特許第6684890号(P6684890)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6684890
(24)【登録日】2020年4月1日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】3D印刷方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/124 20170101AFI20200413BHJP
   B29C 64/241 20170101ALI20200413BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20200413BHJP
   B29C 64/321 20170101ALI20200413BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20200413BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20200413BHJP
【FI】
   B29C64/124
   B29C64/241
   B29C64/393
   B29C64/321
   B33Y10/00
   B33Y50/02
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-230973(P2018-230973)
(22)【出願日】2018年12月10日
(65)【公開番号】特開2020-37245(P2020-37245A)
(43)【公開日】2020年3月12日
【審査請求日】2018年12月10日
(31)【優先権主張番号】201811025213.4
(32)【優先日】2018年9月4日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514008930
【氏名又は名称】三緯國際立體列印科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】XYZprinting, Inc.
(73)【特許権者】
【識別番号】511067204
【氏名又は名称】金▲宝▼電子工業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】倪 志銘
(72)【発明者】
【氏名】呂 冠儀
(72)【発明者】
【氏名】陳 俊瑞
(72)【発明者】
【氏名】黄 澄富
(72)【発明者】
【氏名】李 安修
(72)【発明者】
【氏名】林 財億
【審査官】 ▲来▼田 優来
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2016/0096331(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0339741(US,A1)
【文献】 特開平04−366618(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C64/00−64/40,67/00
B33Y10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光造形3Dプリンタに用いられる3D印刷方法であって、
前記光造形3Dプリンタは、光源モジュールと、成形ステージと、回転モジュールと、
成形槽と
を含み、
前記3D印刷方法は、
(a)多層の印刷データのうちの1層の印刷データを順次選択するステップと、
(b)前記成形ステージの成形面と前記成形槽の底部との間の距離を所定層厚にするステップと、
(c)選択された前記1層の印刷データに基づいて、前記成形面に向かって照射するように前記光源モジュールを制御して、1層のスライスソリッドモデルを印刷するステップと、
(d)前記成形面を前記成形槽内の光硬化性材料から離脱させるステップと、
(e)オフセット条件が満たされたとき、前記成形槽の回転前後の角度差である変位角度が、0度〜60度、120度〜240度、及び300度〜360度の範囲のうち1つの範囲内にあるように、前記回転モジュールを介して前記成形槽を回転させるステップと、
(f)前記オフセット条件が満たされないとき、前記成形槽の回転前後の角度差を0度にするように、前記回転モジュールを介して前記成形槽を回転させるステップと、
)全ての前記スライスソリッドモデルの印刷を完成させて3Dソリッドモデルをなすように積み重ねるまで、前記ステップ(a)〜前記ステップ()を繰り返して実行するステップと、含むことを特徴とする3D印刷方法。
【請求項2】
前記オフセット条件は、現在選択された前記1層の印刷データの層数値がプリセット値又は当該プリセット値の倍数に一致することであることを特徴とする請求項に記載の3D印刷方法。
【請求項3】
前記変位角度が120度〜240度の範囲内にあり、前記プリセット値が1又は2であることを特徴とする請求項に記載の3D印刷方法。
【請求項4】
前記成形槽は、ドクターブレード構造をさらに含み、
前記ステップ(e)において、前記ドクターブレード構造が前記成形槽内の前記光硬化性材料を攪拌し、前記成形槽の底部から硬化した前記光硬化性材料を掻き取るように、前記成形槽を回転させることを特徴とする請求項1に記載の3D印刷方法。
【請求項5】
前記所定層厚が0.1mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の3D印刷方法。
【請求項6】
各層の前記印刷データが2D画像であり、
前記ステップ(c)において、選択された前記1層の前記印刷データの複数の画素の画素値に基づいて、1層の前記スライスソリッドモデルを印刷するために、前記成形ステージの前記複数の画素に対応する複数の位置にそれぞれ向かって照射するように前記光源モジュールを制御することを特徴とする請求項1に記載の3D印刷方法。
【請求項7】
(h)補充条件が満たされたときに、前記成形槽に新たな前記光硬化性材料を注入するように前記光造形3Dプリンタの材料供給モジュールを制御するステップ
さらに含むことを特徴とする請求項1に記載の3D印刷方法。
【請求項8】
前記補充条件は、印刷命令を受信したこと、所定層数の前記スライスソリッドモデルを印刷したこと、所定体積の前記スライスソリッドモデルを印刷したこと、又は前記成形槽内の前記光硬化性材料の液面が所定高さよりも低いことであることを特徴とする請求項に記載の3D印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3D印刷に関し、特に、3D印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既存の光造形3Dプリンタは、光照射によって光硬化性材料を3Dソリッドモデルに硬化させることができる。具体的に、光造形3Dプリンタは、成形ステージと、成形槽と、光源モジュールとを含む。成形槽は、流体の光硬化性材料を装填するために用いられ、その底部が透光性材料(例えば透光性アクリル)であり、透光性の離型フィルム(例えば、シリコーン又はテフロン(登録商標))が敷設される。この離型フィルムの表面が成形ステージの盤面よりも滑らかなので、硬化した光硬化性材料(即ち3Dソリッドモデル)は、成形ステージに付着し、成形槽に付着して印刷不良を生じないようにされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、印刷回数が増えるにつれて、成形槽の底部や離型フィルムが劣化することがある。例えば、照射回数が増えるにつれて変質現象(例えば白化)が生じて光透過率が低下したり、3Dソリッドモデルを引き離す回数が増えるにつれて剥離現象が生じたりすることがある。また、3D印刷工程において、劣化位置に位置する光硬化性材料が硬化不完全や成形槽に付着して印刷失敗が発生する可能性がある。
【0004】
さらに、一般に、3D印刷工程において、成形槽の全ての位置に対して均一に印刷するわけではない(即ち、一部位置のみに対して照射し、3Dソリッドモデルを引き離す)ため、底部及び離型フィルムの一部領域のみが劣化する。
【0005】
また、成形槽の任意の領域に劣化が生じる場合、成形槽が寿命に達したことを意味する。ユーザは、印刷失敗を回避するために、新しい成形槽に交換する(又は離型フィルムを再敷設する)必要があり、メンテナンス費用が大幅に増加する。
【0006】
そこで、本発明は、劣化の発生を遅らせる3D印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態において、光造形3Dプリンタに用いられる3D印刷方法であって、前記光造形3Dプリンタは、光源モジュールと、成形ステージと、回転モジュールと、成形槽とを含み、前記3D印刷方法は、多層の印刷データのうちの1層の印刷データを順次選択するステップと、前記成形ステージの成形面と前記成形槽の底部との間の距離を所定層厚にするステップと、選択された前記1層の印刷データに基づいて、前記成形面に向かって照射するように前記光源モジュールを制御して、1層のスライスソリッドモデルを印刷するステップと、前記成形面を前記成形槽内の光硬化性材料から離脱させるステップと、オフセット条件が満たされたとき、前記成形槽の回転前後の角度差である変位角度が、0度〜60度、120度〜240度、及び300度〜360度の範囲のうち1つの範囲内にあるように、前記回転モジュールを介して前記成形槽を回転させるステップと、前記オフセット条件が満たされないとき、前記成形槽の回転前後の角度差を0度にするように、前記回転モジュールを介して前記成形槽を回転させるステップと、全ての前記スライスソリッドモデルの印刷を完成させて3Dソリッドモデルをなすように積み重ねるまで、上記のステップを繰り返して実行するステップと、含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、成形槽の寿命を効果的に向上させ、3Dソリッドモデルの横縞現象を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】劣化現象を示す第1の概略図である。
図1B】劣化現象を示す第2の概略図である。
図2】本発明の一実施形態に係る光造形3Dプリンタを示す構造図である。
図3】本発明の一実施形態に係る3Dプリンタの外観を示す概略図である。
図4】本発明の一実施形態に係る成形槽を揺動させる様子を示す概略平面図である。
図5A】本発明の一実施形態による劣化を遅らせることを説明するための第1の概略断面図である。
図5B】本発明の一実施形態による劣化を遅らせることを説明するための第2の概略断面図である。
図6A】本発明の一実施形態による横縞が形成されることを説明するための第1の概略断面図である。
図6B】本発明の一実施形態による横縞が形成されることを説明するための第2の概略断面図である。
図6C】本発明の一実施形態による横縞が形成されることを説明するための第3の概略断面図である。
図6D】本発明の一実施形態による横縞が形成されることを説明するための第4の概略断面図である。
図6E】本発明の一実施形態による横縞を示す概略図である。
図7A】本発明の一実施形態による横縞を改善することを説明するための概略図である。
図7B】本発明の他の実施形態による横縞を改善することを説明するための概略図である。
図7C】本発明の別の実施形態による横縞を改善することを説明するための概略図である。
図8A図7Aによって生成された横縞を示す概略図である。
図8B図7Bによって生成された横縞を示す概略図である。
図8C図7Cによって生成された横縞を示す概略図である。
図9】本発明の第1の実施形態に係る3D印刷方法を示すフローチャートである。
図10】本発明の第2の実施形態による成形槽を回転させるフローチャートである。
図11】本発明の第3の実施形態による光硬化性材料を補充するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の目的、実施方式及び効果をより理解するために、具体的な実施形態と添付の図面を組み合わせて本発明に係る技術内容を詳細に説明するが、本発明の特許請求の範囲は限定されない。
【0011】
図1A図1Bを参照する。図1Aは、劣化現象を示す第1の概略図である。図1Bは、劣化現象を示す第2の概略図である。図1A及び図1Bは、「成形槽の寿命が短い」という本発明が解決しようとする技術課題をより詳しく説明するための図である。
【0012】
図1Aに示すように、一般的に、光造形3Dプリンタ(上照射タイプの光造形3Dプリンタを例とする)は、成形槽10と、光源モジュール11と、成形ステージ12とを含む。成形槽10は、底部に離型フィルム13が敷設され、光硬化性材料14を収容している。
【0013】
3D印刷工程において、光造形3Dプリンタは、成形槽10の底面及び離型フィルム13を照射して、その上方の光硬化性材料14を1層のスライスソリッドモデル15に硬化させるように光源モジュール11を制御する。
【0014】
長期間照射後、成形槽10の底部や離型フィルム13の一部領域に劣化が生じることがある(例えば、離型フィルム13の劣化領域16)。劣化領域16が存在すると、印刷されたスライスソリッドモデル15の対応位置151に硬化不完全や成形槽10に付着して印刷失敗が発生する可能性がある。
【0015】
また、図1Bに示すように、離型フィルム13の表面での劣化領域16の面積が極めて小さくても、印刷失敗を引き起こすため、ユーザは新しい離型フィルム13に交換する必要があり、メンテナンス費用が増加する。
【0016】
図2図4を併せて参照する。図2は、本発明の一実施形態に係る光造形3Dプリンタを示す構造図である。図3は、本発明の一実施形態に係る3Dプリンタの外観を示す概略図である。図4は、本発明の一実施形態に係る成形槽を揺動させる様子を示す概略平面図である。本実施形態に係る光造形3Dプリンタ2は、光源モジュール21と、回転モジュール22と、成形槽23と、成形ステージ24と、これらに電気的に接続された制御モジュール20とを主に含む。
【0017】
制御モジュール20は、光造形3D印刷を実行するように光造形3Dプリンタ2を制御するために用いられる。光源モジュール21は、成形ステージ24に向けて光ビームを射出するように構成され(光源モジュール21は、点光源、線光源又は面光源であってもよい)、成形槽23及び成形ステージ24に指定された印刷位置に光ビームを照射することで、光路中の光硬化性材料を硬化させる(図5A図6Dに示す成形ステージ24と離型フィルム40との間の光硬化性材料41を硬化させる)。
【0018】
成形槽23(円筒状槽等)は、コロイド状態(又は半コロイド状態)の光硬化性材料41(例えば、UV硬化樹脂(UV curable resin))を装填するためのものである。一実施形態では、光造形3Dプリンタ2が上照射タイプの3Dプリンタである(図3に示す)場合、成形槽23のボトムシェルは透光性材料(例えば透光性アクリル)で構成され、槽体の内側の底部に透光性の離型フィルムが敷設される(図4に示す離型フィルム40を例とする。離型フィルム40の材質が透光性シリコーン又はテフロンであってもよい)。これにより、光源モジュール21から射出された光ビームは、成形槽23の底部及び離型フィルム40を貫通して成形槽23に収容される光硬化性材料41を照射することができる。
【0019】
回転モジュール22は、成形槽23に接続され、成形槽23を水平回転(時計回り又は反時計回り)させるように制御モジュール20によって制御されることにより、成形槽23に装填された光硬化性材料41を回転して強制流動させる。成形ステージ24は、印刷された3Dソリッドモデルを載置するために用いられる。
【0020】
一実施形態において、光造形3Dプリンタ2は、材料供給モジュール26をさらに含む。材料供給モジュール26は、コロイド状態(又は半コロイド状態)である光硬化性材料41を貯蔵し、成形槽23に所定体積の光硬化性材料41を(所定流速で)注入するように制御モジュール20によって制御される。
【0021】
一実施形態において、光造形3Dプリンタ2は、制御モジュール20に電気的に接続された接続モジュール25(例えば、USBモジュール、PCIバスモジュール、Wi−Fi(登録商標)モジュールやBluetooth(登録商標)モジュール)をさらに含む。接続モジュール25は、コンピュータ装置3に接続し、コンピュータ装置3から印刷データを受信するために用いられる。一実施形態において、コンピュータ装置3は、スライスソフトウェア30を記憶し、スライスソフトウェア30を実行して3Dモデルデータに対してスライス処理を行って、多層の印刷データ(例えば、複数枚の2D画像)を取得し、接続モジュール25に印刷データを送信して3D印刷を行う。
【0022】
一実施形態において、光造形3Dプリンタ2は、制御モジュール20に電気的に接続されるとともに、成形ステージ24に接続された昇降モジュール27をさらに含む。昇降モジュール27は、成形ステージ24を予め設定された軸方向(例えば、Z軸)に沿って移動させように制御モジュール20によって制御される。
【0023】
一実施形態において、光造形3Dプリンタ2は、制御モジュール20に電気的に接続されたマンマシンインタフェース28(例えば、ボタン、モニター、インジケータ、ブザー、又はこれらの任意の組み合わせ)をさらに含む。マンマシンインタフェース28は、ユーザの操作を受け入れて印刷関連情報を出力するために用いられる。
【0024】
一実施形態において、光造形3Dプリンタ2は、制御モジュール20に電気的に接続された記憶モジュール29をさらに含む。記憶モジュール29は、印刷データ等のデータを格納するために用いられる。
【0025】
一実施形態において、記憶モジュール29は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体を含む。コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体には、光造形3Dプリンタ2のファームウェア(firmware)等の印刷ソフトウェア290やオペレーティングシステムが格納される。印刷ソフトウェア290には、コンピュータ実行可能なコードが記録される。制御モジュール20は、印刷ソフトウェア290を実行した後、本発明の各実施形態の3D印刷方法の各ステップを実行するように、光造形3Dプリンタ2を制御することができる。
【0026】
図5A及び図5Bを併せて参照する。図5Aは、本発明の一実施形態による劣化を遅らせることを説明するための第1の概略断面図である。図5Bは、本発明の一実施形態による劣化を遅らせることを説明するための第2の概略断面図である。図5A及び図5Bは、上述した「成形槽の寿命が短い」という技術課題を解決する方法を説明するための図である。図5A図5Bには、一定の水平幅を有する3Dソリッドモデル(例えば、円筒形又は角筒形)を印刷することを例として示されている。
【0027】
図5Aに示すように、1層目のスライスソリッドモデル421を印刷する際、離型フィルム40の領域401は、印刷範囲内(例えば、成形ステージ24の盤面下、及び/又は光源モジュール21の照射範囲)にある。光造形3Dプリンタ2は、成形ステージ24の成形面(ここでは盤面である)と離型フィルム40との距離を所定層厚(例えば0.1mm)にし、1層目の印刷データに基づいて、成形面と領域401との間の光硬化性材料41を照射して1層目のスライスソリッドモデル421に硬化させるように光源モジュール21を制御する。
【0028】
次に、図5Bに示すように、光造形3Dプリンタ2は、昇降モジュール27を介して、成形ステージ24の成形面(1層目(即ち、前層)のスライスソリッドモデル421の表面)を成形槽23内の光硬化性材料41から離脱させ、離型フィルム40の他の領域402を印刷範囲内に進入させるために、回転モジュール22を介して成形槽23を回転させる(領域401と領域402は、部分的に重なっても、重なり合わなくてもよい)。そして、光造形3Dプリンタ2は、回転が完了した後、昇降モジュール27を介して成形ステージ24の成形面と離型フィルム40との距離を所定層厚にするように制御し、2層目(即ち、次層)の印刷データに基づいて、成形面と領域401との間の光硬化性材料41を照射して2層目のスライスソリッドモデル422に硬化させるように光源モジュール21を制御し、2層目のスライスソリッドモデル422を1層目のスライスソリッドモデル421に付着させる。
【0029】
なお、成形槽23は、回転前後の角度差が変位角度であり、変位角度は、360度未満、且つ0度ではない。例えば、変位角度は、60度、90度又は180度であってもよい。
【0030】
一実施形態において、成形槽23は、360度以上回転することができる。例えば、成形槽23は、時計回りに450度(即ち、360度+90度)回転する場合、変位角度が90度である。他の実施形態において、成形槽23は、反時計回りに780度(即ち、360度×2+60度)回転する場合、変位角度が60度である。
【0031】
これにより、本発明は、成形槽23を回転させて角度差を生じることで、印刷範囲内に位置する離型フィルム40の領域を変更することができる。
【0032】
次に、光造形3Dプリンタ2は、上記ステップを繰り返して、多層のスライスソリッドモデルを層ごとに印刷し、多層のスライスソリッドモデルを3Dソリッドモデルになるように積み重ねることができる。
【0033】
光造形3Dプリンタ2は、印刷工程において、単一領域に過度に集中することなく、離型フィルム40の各領域に均一に3D印刷を行うので、各領域の劣化を大幅に遅らせることができ、成形槽23の寿命を延ばすことができる。換言すれば、本発明の上記の技術内容は、「単一の領域の劣化による新しい成形槽の交換(又は離型フィルムの再敷設)」の発生確率を低減することができる。
【0034】
図6A図6E及び図9を併せて参照する。図6Aは、本発明の一実施形態による横縞が形成されることを説明するための第1の概略断面図である。図6Bは、本発明の一実施形態による横縞が形成されることを説明するための第2の概略断面図である。図6Cは、本発明の一実施形態による横縞が形成されることを説明するための第3の概略断面図である。図6Dは、本発明の一実施形態による横縞が形成されることを説明するための第4の概略断面図である。図6Eは、本発明の一実施形態による横縞を示す概略図である。図9は、本発明の第1の実施形態に係る3D印刷方法を示すフローチャートである。
【0035】
図6A図6Eは、図9のフローチャートと併せて上述した技術内容の詳細な実施形態を説明し、上述した技術内容によってもたらされる技術課題をさらに説明するための概略図である。図6A図6Eには、一定の水平幅を有する3Dソリッドモデル(例えば、円筒形又は角筒形)を印刷することを例として示されている。
【0036】
具体的には、図5A及び図5Bに示すのが理想的な状態である。理想的な状態において、離型フィルム40の全ての位置の厚さが同一である(例えば、厚さが標準厚さtである)。しかしながら、離型フィルム40は、プロセス不良のため、通常、成形槽23の底部に水平に敷設されることができない(即ち、離型フィルム40に高低差がある。図6Aに示すように、敷設された離型フィルム40は、左高右低状に敷設され、つまり、左側の厚さが標準厚さtより大きく、右側の厚さが標準厚さtよりも小さい)。そのため、光造形3Dプリンタ2は、上述した技術内容を用いて3D印刷を行う場合、実際に製造した3Dソリッドモデルの側面は、明らかな横縞や表面が滑らかでない現象を有し、図5Bに示す3Dソリッドモデルのような滑らかな表面を有しない。
【0037】
さらに、回転モジュール22を介して成形槽23を回転させて、離型フィルム40の薄い部分のある領域を印刷範囲内に進入させると(図6Bの右側又は図6Cに示す)、成形面と離型フィルム40の薄い部分との間の光硬化性材料41の厚さが所定層厚hよりも大きくなる。また、上述した厚さの差異は、光の屈折又は散乱の角度や経路に影響するため、成形面と離型フィルム40の薄い部分との間の光硬化性材料41は、照射されて硬化した後、突出した外縁を有するスライスソリッドモデルに形成される。この状態で製造されたスライスソリッドモデルの水平幅は、理想的な状態で製造されたスライスソリッドモデル(図5A及び図5Bに示すスライスソリッドモデル421、スライスソリッドモデル422)の水平幅よりも大きくなる。
【0038】
一方、回転モジュール22を介して成形槽23を回転させて、離型フィルム40の厚い部分のある領域を印刷範囲内に進入させると(図6Bの左側又は図6Dに示す)成形面と離型フィルム40の厚い部分との間の光硬化性材料41の厚さが所定層厚hよりも小さくなる。また、上述した厚さの差異は、光の屈折又は散乱の角度や経路に影響するため、成形面と離型フィルム40の厚い部分との間の光硬化性材料41は、照射されて硬化した後、萎縮した外縁を有するスライスソリッドモデルに形成される。この状態で製造されたスライスソリッドモデルの水平幅は、理想的な状態で製造されたスライスソリッドモデル(図5A及び図5Bに示すスライスソリッドモデル421、スライスソリッドモデル422)の水平幅よりも小さくなる。
【0039】
本発明の各実施形態の3D印刷方法は、図2図6Dに示す光造形3Dプリンタ2のいずれによっても実現することができる。本実施形態の3D印刷方法は、以下のステップを含む。
【0040】
ステップS10:光造形3Dプリンタ2の制御モジュール20は、多層の印刷データのうちの1層(例えば、1層目の印刷データ)の印刷データを順次選択する。
【0041】
一実施形態において、多層の印刷データは複数枚の2D画像を含み、各2D画像は、一群の層数値にそれぞれ対応し、対応する層のスライスソリッドモデルの形状を記述するために用いられる。
【0042】
ステップS11:制御モジュール20は、成形ステージ24の成形面(1層目のスライスソリッドモデルを印刷する場合、成形面が成形ステージ24の盤面であり、2層目以上のスライスソリッドモデルを印刷する場合、成形面が前層のスライスソリッドモデルの頂面である)と成形槽23の底部(例えば、離型フィルム40の中心)との間の垂直距離を所定層厚h(図6Bに示すように、成形面と成形槽23の底部本体との間の垂直距離が、所定層厚hと離型フィルム40の標準厚さtとの和である)にするように、昇降モジュール27を介して成形ステージ24を移動させる。一実施形態では、所定層厚hは、0.1mm以下(例えば、0.1mm又は0.05mm)である。
【0043】
ステップS12:制御モジュール20は、選択された1層の印刷データに基づいて、成形面に向かって照射するように光源モジュール21を制御することにより、1層のスライスソリッドモデルを印刷する。
【0044】
一実施形態において、各層の印刷データは2D画像であり、制御モジュール20は、選択された1層の印刷データにおける複数の画素の画素値に基づいて、成形面の複数の画素に対応する位置にそれぞれ向かって照射するように光源モジュール21を制御することで、1層のスライスソリッドモデル(図6Bに示す1層目のスライスソリッドモデル431)を印刷する。
【0045】
なお、現在の印刷範囲内にある離型フィルム40の厚さが均一ではないので(図6Bの例では、左が厚く、右が薄い)、右半分の実際の垂直距離が所定層厚hより大きく、左半分の実際の垂直距離が所定層厚hよりも小さくなる。そのため、製造された1層目のスライスソリッドモデル431の厚さが一致しない(左が薄く、右が厚い)。また、離型フィルム40の厚さは、光透過率に影響を及ぼすので、光硬化性材料41の実際の硬化体積に影響を及ぼす。例えば、1層目のスライスソリッドモデル431は、左側が埋まっており(即ち、硬化体積が小さい)、右側が突出している(即ち、硬化体積が大きい)。
【0046】
ステップS13:制御モジュール20は、成形槽23内の光硬化性材料41から成形面(例えば、1層目のスライスソリッドモデル431の頂面)を離脱させる(即ち、3Dソリッドモデルを光硬化性材料41から離脱させる)ために、昇降モジュール27を介して成形ステージ24を移動(例えば上昇)させるように制御する。成形槽23内の光硬化性材料41から成形面を離脱した後、成形槽23内の光硬化性材料41が自然流動により印刷されたスライスソリッドモデルによって占められた空間を補填して、液面を水平状態に回復させることができる。
【0047】
ステップS14:制御モジュール20は、例えば、全てのスライスソリッドモデルが印刷されたか否かを判定して、3D印刷が完了したか否かを判定する。
【0048】
制御モジュール20は、いずれかの層のスライスソリッドモデルが印刷されていない(即ち、3D印刷が完了していない)と判定した場合、ステップS15を実行する。そうでなければ、制御モジュール20は、印刷を終了する。
【0049】
ステップS15:制御モジュール20は、回転モジュール22を介して成形槽23を回転させて、離型フィルム40の他の領域(図6Cに示すような左右が薄い領域)を印刷範囲内に移動させる。ここで、成形槽23の回転前後に角度差(例えば、1度又は30度)がある。
【0050】
一実施形態において、成形槽23には、成形槽23の回転時に成形槽23内の光硬化性材料41を攪拌し、成形槽23の底部(即ち、離型フィルム)から底部に付着し硬化した光硬化性材料を掻き取るためのドクターブレード構造(図示せず)が配置される。これにより、本発明は、ドクターブレード構造を介して光硬化性材料41の流動を加速させて光硬化性材料41を迅速に混合させることができ、離型フィルム40を洗浄して硬化した光硬化性材料41が離型フィルム40に付着することによる印刷失敗を回避することもできる。
【0051】
そして、制御モジュール20は、ステップS10〜S14を再度実行して、次層のスライスソリッドモデルを印刷し、全てのスライスソリッドモデルの印刷が完了して3Dソリッドモデルになるように積み重ねられるまで繰り返す。
【0052】
例えば、図6Cに示すように、光造形3Dプリンタ2の制御モジュール20は、2層目の印刷データを選択し(ステップS10)、昇降モジュール27を介して成形ステージ24を移動させて、成形ステージ24の成形面(即ち、1層目のスライスソリッドモデル431の頂面)と離型フィルム40の中心(中心の厚さが標準厚さtである場合)との間の垂直距離を所定層厚h(ステップS11では、成形面と成形槽23の底部本体との間の垂直距離が、所定層厚hと離型フィルム40の標準厚さtとの和である)にする。次に、制御モジュール20は、2層目の印刷データに基づいて、照射を行うように光源モジュール21を制御して(ステップS12)、2層目のスライスソリッドモデル432を製造して1層目のスライスソリッドモデル431に付着させる。また、この領域の離型フィルム40が比較的薄い(厚さが標準厚さtよりも薄い)ため、2層目のスライスソリッドモデル432の左側及び右側が比較的突出している。次に、制御モジュール20は、1層目のスライスソリッドモデル431及び2層目のスライスソリッドモデル432を光硬化性材料41から離脱させるために、成形ステージ24を上昇させるように昇降モジュール27を制御する。次に、制御モジュール20は、印刷が完成していないと判断した場合(ステップS14)、離型フィルム40の他の領域(図6Dに示すような左右の厚さが標準厚さtよりも厚い領域)を印刷範囲内に移動させるために、成形槽23を回転させるように回転モジュール22を制御する(ステップS15)。また、成形槽23の回転前後の角度差が所定の変位角度である。
【0053】
次に、制御モジュール20は、次層のスライスソリッドモデルを印刷し続ける。図6Dに示すように、光造形3Dプリンタ2の制御モジュール20は、3層目の印刷データを選択し(ステップS10)、昇降モジュール27を介して成形ステージ24を移動させて、2層目のスライスソリッドモデル432の頂面と離型フィルム40の中心(中心の厚さが標準厚さtである場合)との間の垂直距離を所定層厚h(ステップS11では、成形面と成形槽23の底部本体との間の垂直距離が、所定層厚hと離型フィルム40の標準厚さtとの和である)にする。次に、制御モジュール20は、3層目の印刷データに基づいて、照射を行うように光源モジュール21を制御して(ステップS12)、3層目のスライスソリッドモデル433を製造して2層目のスライスソリッドモデル432に付着させる。また、この領域の離型フィルム40が比較的厚いため、3層目のスライスソリッドモデル433の左側及び右側が比較的萎縮している。次に、制御モジュール20は、全てのスライスソリッドモデル431−433を光硬化性材料41から離脱させるために、成形ステージ24を上昇させるように昇降モジュール27を制御する。次に、制御モジュール20は、印刷が完成していないと判断した場合(ステップS14)、離型フィルム40の他の領域を印刷範囲内に移動させるために、成形槽23を回転させるように回転モジュール22を制御する(ステップS15)。また、成形槽23の回転前後の角度差が同じ変位角度である。これにより、光造形3Dプリンタ2は、上記ステップを繰り返して、多層のスライスソリッドモデルを層ごとに印刷し、多層のスライスソリッドモデルを3Dソリッドモデルになるように積み重ねることができる(図6Eに示すのが3Dソリッドモデルの外観の一部である)。
【0054】
なお、本実施形態は、離型フィルム40の各領域の劣化を遅らせるために、次層のスライスソリッドモデルを印刷する前に、離型フィルム40の異なる領域を用いて隣り合うスライスソリッドモデルを印刷するように成形槽23を回転させる。また、離型フィルム40の凹凸により、隣り合うスライスソリッドモデルの水平幅が異なる(理想的な状態では、隣り合うスライスソリッドモデルの水平幅が同じである)ため、製造された3Dソリッドモデルの側面が凹凸を有し、不均一になり、滑らかでない、3Dソリッドモデルの印刷品質が低下する。
【0055】
また、成形槽23の毎回の回転の角度差が同じ変位角度であるため、上述した凹凸の現象が規則的であり、目立つ横縞の視覚効果を呈するため、3Dソリッドモデルは、悪い視覚効果を呈する。
【0056】
また、成形槽23の毎回の回転の角度差が異なる変位角度である場合には、上記凹凸現象が不規則であり、より目立つ横縞の視覚効果を呈する。
【0057】
本発明は、上記横縞現象を改善するための技術内容をさらに説明する。
【0058】
図7A図8Cを併せて参照する。図7Aは、本発明の一実施形態による横縞を改善することを説明するための概略図である。図7Bは、本発明の他の実施形態による横縞を改善することを説明するための概略図である。図7Cは、本発明の別の実施形態による横縞を改善することを説明するための概略図である。図8Aは、図7Aによって生成された横縞を示す概略図である。図8Bは、図7Bによって生成された横縞を示す概略図である。図8Cは、図7Cによって生成された横縞を示す概略図である。
【0059】
本発明の解決方法は、以下のような原理を有する。上述した横縞の目立ちやすさは、横縞幅に関係しており、横縞幅は、所定層厚及び成形槽23の回転ごとに生じた角度差(変位角度)との差に関係している。ここで、変位角度が0度より大きく360度より小さい。
【0060】
図7Aに示すように、所定層厚を0.1mmとする場合、変位角度が90度であれば、成形槽23を4回(即ち、360度)回転させるごとに、離型フィルム40の同一領域を開始位置に戻せることを意味する。換言すれば、スライスソリッドモデルの各層を印刷する前の成形槽23の回転角度差が同じ変位角度であれば、3次元ソリッドモデルの各横縞の横縞幅P1は、所定層厚の4倍(図8Aに示す)となり、即ち、0.4mmとなる。上記の例から、変位角度が小さいほど、離型フィルム40の同一領域を開始位置に戻ったり、開始位置を通過させたりするために、成形槽23を多く回転させる必要があることが分かる。つまり、横縞幅が大きいほど、人間の視覚から横縞の存在を知覚しにくくなる。
【0061】
そこで、一実施形態において、本発明の選択された変位角度は、以下の条件の1つを満たす。
(i)0度<変位角度≦臨界角度
(ii)360度−臨界角度≦変位角度<360度
ここで、臨界角度=である。所定層厚は、各スライスソリッドモデルの厚さであり、システムにより予め設定され、又はユーザにより印刷前に設定される(例えば、0.1mm以下)。幅臨界値は、複雑な分析及び実験によって得られる。横縞幅が幅臨界値より大きい場合は、その凹凸の現象が非常に穏やかであり、人間の視覚がその横縞の存在を知覚しづらいことを意味する。
【0062】
例えば、所定層厚が0.1mmであり、幅臨界値が0.6mmである場合、臨界角度は60度である。変位角度が0度より大きく60度以下、又は300度以上360度より小さい場合、横縞現象を改善することができる(即ち、人間の視覚によって横縞が容易に知覚されない)。
【0063】
他の実施形態において、図7Bに示すように、変位角度が30度であれば(条件(i)を満たしている場合)、成形槽23を12回(即ち、360度)回転させるごとに、離型フィルム40の同一領域を開始位置に戻せることを意味する。換言すれば、スライスソリッドモデルの各層を印刷する前の成形槽23の回転角度差が同じ変位角度であれば、3次元ソリッドモデルの各横縞の横縞幅P2は、所定層厚の12倍(図8Bに示す)となる。横縞幅P2(1.2mm)は幅臨界値(0.6mm)よりも大きいので、横縞現象を改善することができる。
【0064】
また、変位角度が180度に近い場合、スライスソリッドモデルの隣り合う任意の2つの層は、離型フィルム40における厚さの差が最も大きい2つの領域にそれぞれ対応する(各層の印刷の回転の角度差が変位角度であれば)ので、横縞幅が極めて細くなり(例えば、所定層厚の2倍)、人間の視覚から横縞の存在を知覚しにくい。
【0065】
そこで、一実施形態において、条件(iii)を追加し、本発明の選択された変位角度が、以下の条件の1つを満たす。
(i)変位角度≦180度の場合、0度<変位角度≦臨界角度
(ii)変位角度>180度の場合、360度−臨界角度≦変位角度<360度
(iii)変位角度≦180度の場合、180度−臨界角度≦変位角度≦180度+臨界角度
【0066】
例えば、所定層厚が0.1mmであり、幅臨界値が0.6mmである場合、臨界角度は60度である。変位角度が0度〜60度、120度〜240度、及び300度〜360度の範囲のうち1つの範囲内にあると、横縞現象を改善することができる。
【0067】
別の実施形態において、図7Cに示すように、変位角度が180度であれば、成形槽23を2回(即ち、360度)回転させるごとに、離型フィルム40の同一領域を開始位置に戻せることを意味する。換言すれば、スライスソリッドモデルの各層を印刷する前の成形槽23の回転角度差が同じ変位角度であれば、3次元ソリッドモデルの各横縞の横縞幅P3は、所定層厚の2倍(図8Cに示す)となる。横縞幅P3(0.2mm)が極めて細いので、横縞現象を改善することができる。
【0068】
一実施形態において、変位角度が1度、179度、181度、又は359度であるが、これらに限定されない。
【0069】
これにより、本発明は、成形槽の寿命を効果的に向上させるとともに、3Dソリッドモデルの横縞現象を改善することができる。
【0070】
図9及び図10を併せて参照する。図10は、本発明の第2の実施形態による成形槽を回転させるフローチャートである。本実施形態では、各層のスライスソリッドモデルを印刷する印刷工程において、成形槽23の回転角度が完全に一致するわけではない。図9に示す3D印刷方法に比べて、本実施形態の3D印刷方法のステップS15は、以下のステップを含む。
【0071】
ステップS20:制御モジュール20は、予め設定されたオフセット条件が満たされるか否かを判定する。具体的には、オフセット条件は、ユーザや開発者によって予め設定され、記憶モジュール29に格納されている。
【0072】
一実施形態において、上記オフセット条件は、現在選択された層の印刷データの層数値がプリセット値又はプリセット値の倍数に一致すること、或いは、所定時間の経過を計時したことであってもよいが、これらに限定されない。
【0073】
例えば、プリセット値が1である場合、成形槽23は、各層を印刷する前にステップS21を実行する。プリセット値が2である場合、成形槽23は、奇数層又は偶数層を印刷する前のみステップS21を実行する。
【0074】
一実施形態では、変位角度が上記条件(iii)を満たす場合、プリセット値を3より小さく(例えば、1又は2)設定することにより、横縞をより効果的に改善することができる。
【0075】
制御モジュール20は、予め設定されたオフセット条件が満たされたと判断した場合、以下のステップSを実行する。
ステップS21:制御モジュール20は、離型フィルム40の他の領域を印刷範囲内に進入させるように、回転モジュール22を介して成形槽23を回転させ、成形槽23の回転前後の角度の差を変位角度とする。次に、ステップS10を実行する。
【0076】
制御モジュール20は、予め設定されたオフセット条件が満たされていないと判断した場合、成形槽23を回転させず、又は、回転モジュール22を介して成形槽23を全周(一周以上)に亘って回転させる(即ち、成形槽23の回転前後の角度差がない)。次に、ステップS10を実行する。
【0077】
成形槽23を全周に亘って回転させる目的は、光硬化性材料41の混合を加速させ、及びドクターブレード構造を介して硬化した光硬化性材料41を掻き取ることである。回転が完了した後、離型フィルム40の印刷範囲内における面積が変化しない。
【0078】
本発明は、一部の層を印刷する前、成形槽23の回転前後の角度差を変位角度に一致させるように成形槽23を回転させることにより、横縞幅を効果的に広げて、人間の視覚から横縞の存在を知覚しにくいようにする。
【0079】
図9及び図11を併せて参照する。図11は、本発明の第3の実施形態による光硬化性材料を補充するフローチャートである。本発明の材料自動補充機能は、成形槽23内の光硬化性材料41が不十分である(又は不十分である可能性がある)ときに、自動的に補充することができる。図9に示す3D印刷方法に比べて、本実施形態の3D印刷方法は、以下のステップをさらに含む。
【0080】
ステップS30:制御モジュール20は、予め設定された補充条件が満たされるか否かを判定する。具体的には、補充条件は、ユーザや開発者によって予め設定され、記憶モジュール29に格納されている。
【0081】
一実施形態において、補充条件は、1層目のスライスソリッドモデルを印刷する前のこと(例えば、印刷命令を受信する又は次層の印刷データをロードする)、所定層数(例えば、10層)のスライスソリッドモデルの印刷を完成したこと、所定体積のスライスソリッドモデルの印刷を完成したこと、又は成形槽23内の光硬化性材料41の液面が所定高さよりも低いこと(例えば、所定層厚よりも低い)であってもよい。
【0082】
補充条件が満たされた場合、制御モジュール20はステップS31を実行する。そうでなければ、制御モジュール20は、今回の検出を終了する。
【0083】
ステップS31:制御モジュール20は、貯蔵された新しい光硬化性材料41を成形槽23に注入するように材料供給モジュール26を制御する。
【0084】
一実施形態において、材料供給モジュール26は、輸送チューブ(図3図6B図6Dに示す)を介して貯蔵された光硬化性材料41を成形槽23に注入する。
【0085】
これにより、本発明は、成形槽23内の光硬化性材料41を自動的に補充することができる。
【0086】
勿論、本発明は、他の複数の実施形態を有してもよい。当業者であれば本発明の要旨を逸脱しない範囲内で対応する変化又は付加はいずれも本願の特許請求の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0087】
1…光造形3Dプリンタ
10…成形槽
11…光源モジュール
12…成形ステージ
13…離型フィルム
14…光硬化性材料
15…スライスソリッドモデル
16…劣化領域
2…光造形3Dプリンタ
20…制御モジュール
21…光源モジュール
22…回転モジュール
23…成形槽
24…成形ステージ
25…接続モジュール
26…材料供給モジュール
27…昇降モジュール
28…マンマシンインタフェース
29…記憶モジュール
290…印刷ソフトウェア
3…コンピュータ装置
30…スライスソフトウェア
40…離型フィルム
41…光硬化性材料
421−422、431−433…スライスソリッドモデル
h…所定層厚
P1−P3…横縞幅
t…標準厚さ
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11