特許第6684904号(P6684904)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6684904小売り業者に対してマルチチャネル在庫割当てアプローチを提供するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6684904
(24)【登録日】2020年4月1日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】小売り業者に対してマルチチャネル在庫割当てアプローチを提供するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20120101AFI20200413BHJP
   G06Q 10/04 20120101ALI20200413BHJP
【FI】
   G06Q10/08 330
   G06Q10/04
【請求項の数】13
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2018-524756(P2018-524756)
(86)(22)【出願日】2016年11月3日
(65)【公表番号】特表2018-533807(P2018-533807A)
(43)【公表日】2018年11月15日
(86)【国際出願番号】US2016060313
(87)【国際公開番号】WO2017087179
(87)【国際公開日】20170526
【審査請求日】2019年7月11日
(31)【優先権主張番号】14/941,785
(32)【優先日】2015年11月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502303739
【氏名又は名称】オラクル・インターナショナル・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン,デイビッド・アール
(72)【発明者】
【氏名】バイブル,ジョン・エス
(72)【発明者】
【氏名】ボハノン,パトリック・ジェイ
【審査官】 渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0114196(US,A1)
【文献】 特開2007−172307(JP,A)
【文献】 特表2007−526533(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0287518(US,A1)
【文献】 特開平8−190593(JP,A)
【文献】 米国特許第8744947(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0058781(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0191541(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
G16H 10/00 − 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピューティングデバイスによって実行される方法であって、前記コンピューティングデバイスは、少なくとも、メモリからの命令を実行するためのプロセッサを含み、前記方法は、
小売り商品に関連付けられた入力データを有する少なくとも1つの入力データ構造を読取るステップを含み、前記入力データは、前記小売り商品が販売されている複数の販売チャネルの各販売チャネルごとの収益係数データ、統計上の需要データおよび経常在庫レベルデータを含み、前記方法はさらに、
前記小売り商品についての全体の利用可能な在庫量を前記複数の販売チャネル間にわたって初めに割当てて、在庫割当てデータ構造内で表現される複数の割当て済み在庫量を形成するステップと、
反復プロセスを実行することによって、前記小売り商品についての予想純収益値を最大化するように前記複数の販売チャネル間にわたって前記小売り商品に関連付けられた限界収益値を均等化するステップとを含み、前記反復プロセスは、
(i)前記反復プロセスの各反復ごとに前記在庫割当てデータ構造内で前記複数の割当て済み在庫量を調整し、
(ii)前記入力データと、調整された前記複数の割当て済み在庫量とに少なくとも部分的に基づいて、前記反復プロセスの各反復ごとに、前記複数の販売チャネルの各販売チャネルごとの更新済み限界収益値を限界収益データ構造内で生成する、方法。
【請求項2】
規定された最大の反復数に達するまで前記反復プロセスを続けるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の割当て済み在庫量の変化合計についての、現在の反復と以前の反復との間の差がデータフィールドに格納されたしきい値未満になるまで、前記反復プロセスを続けるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記反復プロセスが完了した後における前記複数の割当て済み在庫量に少なくとも部分的に基づいて、前記複数の販売チャネル間にわたる前記小売り商品についての、データフィールドにおける、総予想純収益値を生成するステップをさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記反復プロセスの開始直前における前記複数の割当て済み在庫量に少なくとも部分的に基づいて、前記複数の販売チャネル間にわたる前記小売り商品についての、データフィールドにおける総予想純収益値を生成するステップをさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の販売チャネルの各販売チャネルが前記小売り商品に対応する在庫を受取るのに適格であると判断するステップをさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記入力データに少なくとも部分的に基づいて、前記複数の販売チャネルの各販売チャネルごとに、前記限界収益データ構造において表現される、前記小売り商品についての初期限界収益値を決定するステップをさらに含み、前記小売り商品についての前記全体の利用可能な在庫量を前記複数の販売チャネル間にわたって初めに割当てるステップは、前記複数の販売チャネルの各販売チャネルごとに前記初期限界収益値に比例して行なわれる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記反復プロセスの各反復ごとに前記複数の販売チャネル間にわたって、データフィールドにおける重み付け平均限界収益値を生成するステップをさらに含み、前記重み付け平均限界収益値は前記全体の利用可能な在庫量によって重み付けされている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記反復プロセスの各反復は、前記複数の販売チャネルの各販売チャネルごとに前記限界収益値を前記重み付け平均限界収益値に向かって進めることによって、前記複数の割当て済み在庫量の各々の割当て済み在庫量を調整するステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
コンピューティングシステムであって、
メモリに接続されたプロセッサと、
限界収益モジュールとを含み、前記限界収益モジュールは、コンピュータ読取り可能媒体に格納された命令を含み、前記命令は、前記プロセッサによって実行可能であり、前記プロセッサに、小売り商品に関連付けられた収益係数データ、統計上の需要データおよび在庫量に少なくとも部分的に基づいて、前記小売り商品が販売されている複数の販売チャネルの各販売チャネルごとに限界収益値を生成させ、複数の限界収益値を形成させ、前記コンピューティングシステムはさらに、
ンピュータ読取り可能媒体に格納された命令を含む在庫割当てモジュールを含み、前記命令は、前記プロセッサによって実行可能であり、
(i)前記複数の販売チャネル間にわたって前記小売り商品についての全体の利用可能な在庫量を初めに割当てて、複数の割当て済み在庫量を形成し、
(ii)前記複数の割当て済み在庫量を反復して変換するように反復プロセスを実行し、
(iii)前記複数の限界収益値を更新して生成するために、反復基準が満たされるまで、前記反復プロセスの各反復ごとに、前記複数の割当て済み在庫量を前記限界収益モジュールに提供することによって、
前記プロセッサに、前記小売り商品についての予想純収益値を最大化するように前記複数の販売チャネル間にわたって前記複数の限界収益値を均等化する試みを行なわせる、コンピューティングシステム。
【請求項11】
前記在庫割当てモジュールは、規定された最大の反復数に達したと判断することによって前記反復基準が満たされたと判断するように構成される、請求項10に記載のコンピューティングシステム。
【請求項12】
前記在庫割当てモジュールは、前記複数の割当て済み在庫量の変化合計についての、現在の反復と以前の反復との間の差がしきい値未満であると判断することによって、前記反復基準が満たされたと判断するように構成される、請求項10に記載のコンピューティングシステム。
【請求項13】
ンピュータ読取り可能媒体に格納された命令を含む総予想収益モジュールをさらに含み、前記総予想収益モジュールは、前記反復基準が満たされた後における前記複数の割当て済み在庫量に少なくとも部分的に基づいて、前記複数の販売チャネル間にわたる前記小売り商品についての総予想純収益値を生成するように構成される、請求項10〜12のいずれか1項に記載のコンピューティングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
【背景技術】
【0002】
現在、小売り業者は、しばしば、一定量の在庫を購入し、在庫を販売するための位置およびチャネル間にわたって在庫を分割している。たとえば、ウェブサイトおよび100個の店舗を所有する小売り業者は、ウェブでの販売用にどのぐらいの在庫を確保するべきかと、購入された個々のタイプの小売り商品について各々の店舗にどのぐらい送るべきであるかとを判断しなければならない場合がある。小売業界は、従来より、需要に基づいて在庫の単位を割当てることに焦点を合わせてきた。また、在庫は、従来より、各店舗位置の在庫レベルがその需要に比例するように店舗間で分割されてきた。
【発明の概要】
【0003】
しかしながら、いくつかの小売り業者は、在庫を割当てるために「優先順位マトリックス(priority matrix)」アプローチを用いてきた。優先順位マトリックスを用いることにより、さまざまなタイプの需要およびさまざまな店舗に割当てられた優先順位に基づいて在庫が割当てられ得る。たとえば、優先順位マトリックスはバックオーダーに最高優先順位を割当て、展示用在庫に第二位の優先順位を割当て、安全在庫に第三位の優先順位を割当て得る。したがって、優先順位マトリックスは、店舗間にわたって、需要に基づいて、在庫に第1の優先順位を割当て、店舗に第二の優先順位を割当て得る。
【0004】
このため、小売業界は、需要に比例して、またはさまざまな需要目的のために、店舗間にわたって在庫を分散させることに焦点を合わせてきた。需要に焦点を合わせたこのようなアプローチは大多数の店舗位置が類似している場合には意味をなしている。しかしながら、このようなアプローチは、小売り業者がマルチチャネルを有しており、ローカライゼーションを広く活用している現在では不適当である。
【0005】
明細書において引用され、その一部を構成する添付の図面は、開示されているさまざまなシステム、方法および他の実施形態を示す。図に例示された要素の境界(たとえば、箱、箱の群または他の形状)が、これら境界の一実施形態を表わすことが認識され得る。いくつかの実施形態においては、1つの要素が複数の要素として設計されてもよく、または、複数の要素が1つの要素として設計されてもよい。いくつかの実施形態においては、別の要素の内部コンポーネントとして示される要素が外付コンポーネントとして実現されてもよく、この逆であってもよい。さらに、要素は縮尺通りには図示されないこともある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】在庫割当て論理を含む収益最大化論理で構成されたコンピューティングデバイスを有するコンピュータシステムの一実施形態を示す図である。
図2】販売チャネル間にわたって小売り商品についての全体の利用可能な在庫を割当てて、結果として小売り商品についての予想純収益を最大化するための、図1のコンピュータシステムの収益最大化論理によって実行することができる方法の一実施形態を示す図である。
図3】コンピューティングシステムの収益最大化論理が実現され得るコンピューティングデバイスの一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
概要
開示の一実施形態においては、メモリからの命令を実行するためのプロセッサを少なくとも含むコンピューティングデバイスによって実行される、コンピュータによって実現される方法が開示される。当該方法は、小売り商品が販売されている複数の販売チャネルの各販売チャネルごとの収益係数データ、統計上の需要データおよび経常在庫レベルデータを含む、当該小売り商品に関連付けられた入力データを有する少なくとも1つの入力データ構造を読取るステップと、当該小売り商品についての全体の利用可能な在庫量を当該複数の販売チャネル間にわたって初めに割当てて、在庫割当てデータ構造内で表現される複数の割当て済み在庫量を形成するステップと、反復プロセスを実行することによって、当該小売り商品についての予想純収益値を最大化するように当該複数の販売チャネル間にわたって当該小売り商品に関連付けられた限界収益値を均等化するよう試みるステップとを含み、当該反復プロセスは、(i)当該反復プロセスの各反復ごとに当該在庫割当てデータ構造内で当該複数の割当て済み在庫量を調整し、(ii)当該入力データと、調整された当該複数の割当て済み在庫量とに少なくとも部分的に基づいて、当該反復プロセスの各反復ごとに、当該複数の販売チャネルの各販売チャネルごとの更新済み限界収益値を限界収益データ構造内で生成する。
【0008】
別の実施形態においては、当該方法はさらに、規定された最大の反復数に達するまで当該反復プロセスを続けるステップを含む。
【0009】
別の実施形態においては、当該方法はさらに、当該複数の割当て済み在庫量の変化合計についての、現在の反復と以前の反復との間の差がデータフィールドに格納されたしきい値未満になるまで、当該反復プロセスを続けるステップを含む。
【0010】
別の実施形態においては、当該方法はさらに、当該反復プロセスが完了した後における当該複数の割当て済み在庫量に少なくとも部分的に基づいて、当該複数の販売チャネル間にわたる当該小売り商品についての、データフィールドにおける、総予想純収益値を生成するステップを含む。
【0011】
別の実施形態においては、当該方法はさらに、当該反復プロセスの開始直前における当該複数の割当て済み在庫量に少なくとも部分的に基づいて、当該複数の販売チャネル間にわたる当該小売り商品についての、データフィールドにおける総予想純収益値を生成するステップを含む。
【0012】
別の実施形態においては、当該方法はさらに、当該複数の販売チャネルの各販売チャネルが当該小売り商品に対応する在庫を受取るのに適格であると判断するステップを含む。
【0013】
別の実施形態においては、当該方法はさらに、当該入力データに少なくとも部分的に基づいて、当該複数の販売チャネルの各販売チャネルごとに、当該限界収益データ構造において表現される、当該小売り商品についての初期限界収益値を決定するステップを含む。当該小売り商品についての全体の利用可能な在庫量を当該複数の販売チャネル間にわたって初めに割当てるステップは、当該複数の販売チャネルの各販売チャネルごとに当該初期限界収益値に比例して行なわれる。
【0014】
別の実施形態においては、当該方法はさらに、当該反復プロセスの各反復ごとに当該複数の販売チャネル間にわたって、データフィールドにおける重み付け平均限界収益値を生成するステップを含む。当該重み付け平均限界収益値は全体の利用可能な在庫量によって重み付けされている。当該反復プロセスの各反復は、当該複数の販売チャネルの各販売チャネルごとに当該限界収益値を当該重み付け平均限界収益値に向かって進めることによって、当該複数の割当て済み在庫量の各々の割当て済み在庫量を調整するステップを含む。
【0015】
別の実施形態においては、メモリに接続されたプロセッサを少なくとも含むコンピューティングシステムが開示される。当該システムはさらに、非一時的なコンピュータ読取り可能媒体に格納された命令を含む限界収益モジュールを含む。当該命令は、当該プロセッサによって実行可能であり、当該プロセッサに、当該小売り商品に関連付けられた収益係数データ、統計上の需要データおよび在庫量に少なくとも部分的に基づいて、小売り商品が販売されている複数の販売チャネルの各販売チャネルごとに限界収益値を生成させ、複数の限界収益値を形成させる。当該システムはさらに、非一時的なコンピュータ読取り可能媒体に格納された命令を含む在庫割当てモジュールを含む。当該命令は、当該プロセッサによって実行可能であり、(i)当該複数の販売チャネル間にわたって当該小売り商品についての全体の利用可能な在庫量を初めに割当てて、複数の割当て済み在庫量を形成し、(ii)当該複数の割当て済み在庫量を反復して変換するように反復プロセスを実行し、(iii)当該複数の限界収益値を更新して生成するために、反復基準が満たされるまで、当該反復プロセスの各反復ごとに、当該複数の割当て済み在庫量を当該限界収益モジュールに提供することによって、当該プロセッサに、当該小売り商品についての予想純収益値を最大化するように当該複数の販売チャネル間にわたって当該複数の限界収益値を均等化する試みを行なわせる。
【0016】
当該コンピューティングシステムの別の実施形態においては、当該在庫割当てモジュールは、規定された最大の反復数に達したと判断することによって当該反復基準が満たされたと判断するように構成される。
【0017】
当該コンピューティングシステムの別の実施形態においては、当該在庫割当てモジュールは、当該複数の割当て済み在庫量の変化合計についての、現在の反復と以前の反復との間の差がしきい値未満であると判断することによって、当該反復基準が満たされたと判断するように構成される。
【0018】
別の実施形態においては、当該コンピューティングシステムはさらに、非一時的なコンピュータ読取り可能媒体に格納された命令を含む総予想収益モジュールを含む。当該総予想収益モジュールは、当該反復基準が満たされた後における当該複数の割当て済み在庫量に少なくとも部分的に基づいて、当該複数の販売チャネル間にわたる当該小売り商品についての総予想純収益値を生成するように構成されている。
【0019】
当該コンピューティングシステムの別の実施形態においては、当該限界収益モジュールは、当該反復プロセスの各反復ごとに当該複数の販売チャネル間にわたる重み付け平均限界収益値を生成するように構成されている。当該重み付け平均限界収益値は全体の利用可能な在庫量によって重み付けされている。別の実施形態においては、当該在庫割当てモジュールは、当該複数の販売チャネルの各販売チャネルごとに当該限界収益値を当該重み付け平均限界収益値に向かって進めることによって、当該反復プロセスの各反復ごとに、当該複数の割当て済み在庫量のうち各々の割当て済み在庫量を変換するように構成されている。
【0020】
詳細な説明
小売り商品の予想売上げによって生じると予想される収益を最大化しようと試みて、複数の販売チャネル間にわたって小売り商品の在庫を如何にして割当てるかを解明するためのコンピュータ化されたシステム、方法および他の実施形態が開示される。抱き合わせ販売の機会、顧客独自の1契約あたりの月間平均収益(average revenue per unit:ARPU)、店舗レベルの価格、およびチャネル専用の輸送費を含む新しいタイプのデータが考慮に入れられている。販売チャネル間にわたる統計上の需要パターンの差も考慮に入れられている。収益係数データ、統計上の需要データおよび経常在庫レベルが考慮に入れられている、コンピュータ化された小売り管理に関する実施形態の例がこの明細書中に説明されている。
【0021】
一実施形態においては、興味深い数学的関係を考慮に入れるように構成されている収益最大化論理が開示される。数学的関係は、小売り商品についての限界収益値が販売チャネル間にわたって均等化されるように、小売り商品についての在庫が販売チャネル間にわたって割当てられる場合に小売り商品についての予想収益を最大化することができることを示している。システムが在庫の収益最大化割当てを目指すことを可能にする反復的アプローチがこの明細書中に記載されている。
【0022】
以下の語はさまざまな実施形態に関連付けてこの明細書中において用いられている。
この明細書中において用いられている「商品」または「小売り商品」という語は、販売環境において販売、購入および/または返却される製品を指している。
【0023】
この明細書中において用いられる「販売チャネル」または「位置」という語は、商品が販売されている物理的な店舗もしくは位置、または商品が販売されているオンラインストアを指す可能性がある。「販売チャネル」および「位置」という語はこの明細書中では同義で用いられている。
【0024】
この明細書中において用いられる「純収益係数」という語は、販売チャネルを介して小売り商品を売り上げたことから生じる予想純収益の生涯価値を指している。純収益係数は、たとえば、販売チャネルにおける小売り商品の価格、販売チャネルにおける抱き合わせ販売の機会、および販売チャネルにおける小売り商品の単位当りの総コストなどのパラメータに依存している。抱き合わせ販売の機会は、付加的な物理的商品の予想売上げと、たとえば、電気通信エンティティのためのネットワークサービス契約または電子機器小売り業者のためのサービスプランなどのサービスの予想売上げとを含む。
【0025】
この明細書中において用いられる「統計上の需要」という語は、たとえば、需要分布関数によって表現される、小売り商品の売上げ見込み(すなわち、実際に発生するさまざまなレベルの需要の確率)を指している。
【0026】
この明細書中において用いられている「全体の利用可能な在庫」という語は、複数の販売チャネル間にわたって分散させる(割当てる)ことができる小売り商品の単位数を指している。
【0027】
この明細書中において用いられている「限界収益」という語は、販売チャネルにおける小売り商品の在庫量の漸進的変化によって生じると予想される収益の付加的な増分量を指している。
【0028】
図1は、収益最大化論理110で構成されたコンピューティングデバイス105を有するコンピュータシステム100の一実施形態を示す。たとえば、一実施形態においては、収益最大化論理110は、さまざまな小売り位置における小売り商品についての売上げ、販売促進および在庫を予測および管理するように構成されたより大型のコンピュータアプリケーションの一部であってもよい。収益最大化論理110は、予想収益を最大化するように小売り商品の在庫を割当てるためにデータを分析するプロセスをコンピュータ化するように構成されている。一実施形態においては、ソフトウェアおよびコンピューティングデバイス105は、クラウドベースのネットワーキングシステム、ソフトウェア・アズ・ア・サービス(software-as-a-service:SaaS)アーキテクチャもしくは他のタイプのコンピューティングソリューションで動作するか、または、クラウドベースのネットワーキングシステム、SaaSアーキテクチャもしくは他のタイプのコンピューティングソリューションとして実現されるように構成されてもよい。
【0029】
小売り業者が直面する問題は、需要が不確実なものであると想定して、特定の期間にわたって最大の純収益をもたらすように販売チャネル間にわたって一定量の在庫を割当てる際に発生する。この問題は、利用可能な在庫に対する制約に従って、需要パターンおよび収益係数を想定して、一定の期間にわたる売上げから予想される純収益を最大化するものとして、数学的に記述することができる。この問題は以下のように表現することができる。
【0030】
【数1】
【0031】
この場合、Nは、在庫を割当てるための販売チャネルの位置の総数である。
iは、位置についての指数である。
【0032】
は、位置iにおける手持ちの初期在庫である。
Vは、期間中に利用可能な在庫の総量である。
【0033】
は、位置iに割当てられるべき在庫である。
は、位置iについての純収益係数である。
【0034】
は、位置iについての期間中における需要分布関数である。
なお、位置iについての純収益係数が、その位置における商品の売上げから生じることとなる予想純収益の生涯価値であることに留意されたい。純収益係数は、たとえば、その位置における商品の価格、その位置における抱き合わせ販売の機会、およびその位置における単位当りの総コストに依存している。抱き合わせ販売の機会は、付加的な物理的商品の予想売上げと、電気通信エンティティのためのネットワークサービス契約または電子機器小売り業者のためのサービスプランなどのサービスの予想売上げとを含む。純収益係数はまた、位置特有の戦略的物流管理コストに起因する、商品の予想単位コストの差を構成している。
【0035】
一実施形態は、需要に比例して在庫を割当てることを準最適化する2つの係数を説明している。2つの係数は、単位当りの予想純収益の差、および相対的な需要変動性の差である。この明細書中のアプローチは、最適性条件を満たす在庫レベルを見出す反復的アルゴリズムを開発することによって上記問題を解決する。最適性条件は、売上げ単位当りの総純収益の差と需要パターンの差とで構成されている。最適性条件は如何なる連続的需要分布にも適用される。当該アプローチはまた、比例割当てと比較して、最適割当てに起因し得る、予想される収益の増加を計算する。
【0036】
電気通信産業は、収益を増やすことに関して、この明細書中に記載される割当てアプローチが如何にして有意な利点を提供し得るかについての好適な例を提供する。電気通信会社は、オンライン上に存在するものだけでなく多くの物理的な店舗をも含む多くの販売チャネルを有していてもよい。さらに、電気通信会社は、たとえば、特定のタイプの携帯電話を、毎日、何千もの単位で取引する可能性がある。在庫割当てプロセスをコンピュータ化することは、収益を最大化するように在庫を割当てる機会を得るための唯一の実現可能な方法となる可能性がある。
【0037】
電気通信産業においては、顧客集団を同様の特質を共有するグループにセグメント化するために、顧客価値をまとめる技術がしばしば用いられる。たとえば、まとめられた1グループは、高価なスマートフォンおよび関連付属品を用いる傾向がある裕福で旅慣れた実業家を含み得る。まとめられた別のグループは、安価なスマートフォンおよび付属品を用いる傾向がある10代女性を含み得る。さらに、いくつかの販売チャネルは、まとめられた1グループに相互に密に関連付けられてもよく、他の販売チャネルはまとめられた別のグループに相互に密に関連付けられてもよい。
【0038】
一実施形態においては、このような顧客価値のまとまりは、販売チャネル間にわたって収益を最大化するように利用可能な在庫を割当てるよう試みる際に考慮に入れられる。たとえば、一実施形態においては、顧客価値のまとまりは純収益係数の一部として考慮に入れられている。別の実施形態においては、顧客価値のまとまりを考慮に入れる別個の係数が導入されてもよい。したがって、電気通信会社は、まとめられた最高レベルの顧客に対応することとなる販売チャネルに対して基本的なニーズを単に例示するだけである販売チャネルへの在庫の割当てよりも先行することができる。このような態様で、顧客効果が解空間に集積されるとともに、この顧客効果により、収益を最大化する極めて適切な機会が提供される。
【0039】
最適性条件は、より高い予想純収益係数を有する店舗により多くの在庫を送る。いくつかの位置では、通常、過去の抱き合わせ販売または価格の差に基づいて、販売単位当たりで、より多くの純収益を生じると予想され得る。たとえば、より多くのビジネスユーザが存在する商業中心地区において電話端末機を販売する店舗は、他の区域における店舗よりも高いユーザ1人当たりサービス平均収益(higher services Average Revenue per User(ARPU))を有し得る。単位当りの平均収益がより高い店舗により多くの端末機を配達することにより、端末機を最も高く評価している顧客にこれらの端末機を割当てることの助けとなり得るとともに、小売り業者のための収益を増やすことの助けとなり得る。
【0040】
さらに、最適性条件は、相対的な売上げ変動性がより低い店舗により多くの在庫を送る。相対的な売上げ変動性がより低い店舗における在庫を増やすことにより、収益を増加させる。なぜなら、これらの店舗は、在庫が少なすぎて予想需要を満たすことができない場合に、売上げ変動性がより高い店舗と比べて、受取った在庫をより多く販売する可能性があるからである。店舗間にわたる相対的な売上げ変動性の差は共通している。通常、より大型の店舗は、より小型の店舗よりも相対的な売上げ変動性が低く、より小型の店舗よりも比較的多くの在庫を受取るはずである。マルチチャネル小売り業者の場合、ウェブチャネルは、物理的な店舗よりも需要変動性がはるかに低い超大型店の需要特性を得ることができる。
【0041】
一実施形態に従うと、最適化条件を実現するのに用いられるアルゴリズムは、正規分布を用いて需要パターンをモデル化する。正規分布は、平均売上げおよび売上げの標準偏差を用いて、商品/位置レベル需要に適合される。アルゴリズムは、さまざまな在庫割当てレベルについて反復して探索することによって最適化条件を解決する。各々の反復ステップにおいては、追加の在庫単位の限界収益の重み付け平均値が推定され、次いで、その限界収益を実現する各々の販売チャネルごとの在庫のレベルが計算される。重み付け平均限界収益値は全体の利用可能な在庫量によって重み付けされる。
【0042】
いくつかの販売チャネルの場合、計算された在庫のレベルが負である可能性もあり、これは在庫がその販売チャネルに送られるべきでないことを意味している。アプローチの反復が完了すると、事前の2つの限界収益等化ステップ間にわたって在庫が平均化される。平均化は、単一のステップが各々最適配分になるようゆっくりと変動する場合にアルゴリズムを加速させるのを支援することができる。
【0043】
一実施形態においては、アルゴリズムは、反復間の在庫レベルの差が充分に小さくになると、または最大反復数に達すると、より優れた解決策の探索を停止する。最適配分が見出された後、アルゴリズムは、比例割当てと比べて、最適配分を用いる利点を計算する。これらの利点を認識していれば、小売り業者が比例割当てと比べて、最適配分を用いる重要性を理解するのが容易になり得る。
【0044】
図1を参照すると、一実施形態においては、収益最大化論理/モジュール110は、コンピューティングデバイス105上で実現されるとともに、収益最大化論理/モジュール110のさまざまな機能的局面を実現するための論理を含む。一実施形態においては、収益最大化論理/モジュール110は、ユーザインターフェイス論理/モジュール120、限界収益論理/モジュール130、在庫割当て論理/モジュール140および総予想収益論理/モジュール150を含む。一実施形態においては、在庫割当て論理/モジュール140は、比例割当て論理/モジュール142および反復割当て論理/モジュール144を含む。
【0045】
コンピュータシステム100はまた、コンピューティングデバイス105に動作可能に接続されたディスプレイスクリーン160を含む。一実施形態に従うと、ディスプレイスクリーン160は、最適な在庫割当てに関連付けられた情報を視認および更新するために、ユーザインターフェイス論理120によって生成されるグラフィカルユーザインターフェイス(graphical user interface:GUI)の画面を表示するとともに当該グラフィカルユーザインターフェイスとのユーザの対話を容易にするように実現されている。グラフィカルユーザインターフェイスは、収益最大化アプリケーションに関連付けられてもよく、ユーザインターフェイス論理120は、グラフィカルユーザインターフェイスを生成するように構成されてもよい。一実施形態においては、収益最大化論理110は、多くのクライアントデバイス/ユーザによってアクセスされる集中型サーバ側アプリケーションである。このため、ディスプレイスクリーン160は、ユーザがネットワーク化されたコンピュータ通信を介して収益最大化論理110からのサービスにアクセスするとともに当該サービスを受信することを可能にする、複数のコンピューティングデバイス/端子を表わし得る。
【0046】
一実施形態においては、コンピュータシステム100はさらに、コンピューティングデバイス105に動作可能に接続された少なくとも1つのデータベースデバイス170、および/または、ネットワーク接続を介してデータベースデバイス170にアクセスするネットワークインターフェイスを含む。たとえば、一実施形態においては、データベースデバイス170は、ユーザインターフェイス論理120に動作可能に接続されている。一実施形態に従うと、データベースデバイス170は、データベースシステム(たとえば、コンピュータ化された小売り管理アプリケーション)において収益最大化論理110に関連付けられたデータ構造(たとえば、収益係数データ、統計上の需要データおよび在庫レベルデータの記録)を格納および管理するように構成されている。
【0047】
他の実施形態は、図1の収益最大化論理110と同じまたは同様の機能を提供するさまざまな論理または論理の組合せを提供し得る。一実施形態においては、収益最大化論理110は、論理の機能を実行するように構成されたアルゴリズムおよび/またはプログラムモジュールを含む実行可能なアプリケーションである。当該アプリケーションは非一時的なコンピュータ記憶媒体に格納されている。すなわち、一実施形態においては、収益最大化論理110の論理は、コンピュータ読取り可能媒体に格納された命令のモジュールとして実現される。
【0048】
図1の収益最大化論理110の論理を再び参照すると、一実施形態においては、ユーザインターフェイス論理120は、収益最大化論理110とのユーザ対話を容易にするためのグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)を生成するように構成されている。たとえば、ユーザインターフェイス論理120は、グラフィカルユーザインターフェイスを生成してインターフェイスの実装された図示設計に基づいて当該グラフィカルユーザインターフェイスを表示させるプログラムコードを含む。GUIを介するユーザの動作および選択に応答して、小売り商品についての収益最大化記録およびパラメータの関連する局面が操作され得る。
【0049】
たとえば、一実施形態においては、ユーザインターフェイス論理120は、ユーザの動作に応答して入力を受取ってデータを読取ることを容易にするように構成されている。たとえば、ユーザインターフェイス論理120は、複数の販売チャネル間にわたって販売された小売り商品に関連付けられた小売りデータ(たとえば、収益係数データ、統計上の需要データ、経常在庫レベルデータ)の選択および読取りを容易にし得る。小売りデータは、グラフィカルユーザインターフェイスを介して収益最大化アプリケーション(たとえば、収益最大化論理110)に関連付けられた(かつ、収益最大化アプリケーションによってアクセス可能な)少なくとも1つのデータ構造に(たとえば、データベースデバイス170内に)常駐していてもよい。小売り商品についての小売りデータは(利用可能な場合には)ネットワーク通信を介してアクセスされ得る。小売り商品についての予想純収益の最大化は、小売りデータに少なくとも部分的に基づいていてもよい。
【0050】
さらに、ユーザインターフェイス論理120は、ディスプレイスクリーン160上のグラフィカルユーザインターフェイスを介するデータの出力および出力データの表示を容易にするように構成されている。出力データは、たとえば、在庫割当てデータ、実行された反復数、最終反復に関する割当ての変更、および最終割当てからの予想収益を含み得る。他のタイプの出力データも、他のさまざまな実施形態に従って実現可能である。
【0051】
図1を再び参照すると、一実施形態においては、限界収益論理130は、小売り商品が販売されている複数の販売チャネルの各販売チャネルごとに限界収益値を生成するように構成されている。結果として、限界収益論理130は複数の限界収益値を形成する。限界収益値は、たとえば、小売り商品に関連付けられた収益係数データ、統計上の需要データおよび在庫量に基づいて生成される。一実施形態に従うと、小売り商品についての予想収益を最大化するための最適性条件は、小売り商品のためのすべての販売チャネルについての限界収益が均等化されるという条件である。このような均等化は以下のように表現され得る。
【0052】
【数2】
【0053】
すべての販売チャネルiおよびjについて、Fが、販売チャネルiにおける確率密度関数f(統計上の需要)についての累積分布関数(cumulative distribution function:CDF)である場合、rは販売チャネルiについての純収益係数であり、zは販売チャネルiにおける小売り商品の経常在庫レベルであり、vは販売チャネルiに割当てられるべき新しい在庫量である。
【0054】
内部での解決策が実現可能でない場合、正の在庫値では、すべての販売チャネルについて、最適性条件を解決することができない。このような場合、在庫量はいずれも、正の在庫量を受取る販売チャネルについての値未満である最適性条件の値を有する販売チャネルに割当てられるべきでない。
【0055】
一実施形態においては、在庫割当て論理140は比例割当て論理142および反復割当て論理144を含む。比例割当て論理142は、各販売チャネルごとの初期限界収益値に比例して、複数の販売チャネル間にわたって、小売り商品についての全体の利用可能な在庫量を割当てるように構成されている。各販売チャネルごとの初期限界収益値は、一実施形態に従うと、各販売チャネルにおける小売り商品についての収益係数データ、統計上の需要データおよび経常在庫レベルデータに基づいて、限界収益論理130によって決定されてもよい。
【0056】
一実施形態においては、反復割当て論理144は、小売り商品についての予想純収益値を最大化するように複数の販売チャネル間にわたって複数の限界収益値を均等化することを試みるように構成される。たとえば、上述されるように、比例割当て論理142は、一実施形態に従って、複数の販売チャネル間にわたって小売り商品についての全体の利用可能な在庫量を初めに割当てて、複数の割当て済み在庫量を形成してもよい。次いで、反復割当て論理144は、全体の利用可能な在庫量を維持しつつ複数の割当て済み在庫量を反復的に変換または調整するために、反復プロセスを実行し得る。反復割当て論理144は、限界収益論理130が限界収益値を更新することができるように、反復プロセスの各反復ごとに、限界収益論理130に複数の割当て済み在庫量を提供する。
【0057】
反復プロセスは、理想的には、限界収益値が複数の販売チャネル間にわたって均等化されるまで継続してもよい。しかしながら、現実的には、絶対的な均等化を常に達成できるとは限らないだろう。一実施形態に従うと、反復プロセスは、反復割当て論理144によって決定されるように、少なくとも1つの反復基準が満たされるまで続けられる。たとえば、反復プロセスは、規定された最大の反復数に達するまで続いてもよい。代替的には、反復プロセスは、複数の割当て済み在庫量の変化合計についての、現在の反復と以前の反復との間の差がしきい値未満になるまで続いてもよい。
【0058】
一実施形態においては、総予想収益論理150は、複数の割当て済み在庫量に少なくとも部分的に基づいて、複数の販売チャネル間にわたる小売り商品についての総予想純収益値を生成するように構成される。総予想純収益値は、反復基準が満たされた後に(すなわち、最終の割当て済み在庫量が決定されると)、生成され得る。代替的には、または付加的には、総予想純収益値は、反復プロセスが開始される直前に(すなわち、小売り商品についての全体の利用可能な在庫量の初期割当てに基づいて)生成されてもよい。
【0059】
このような態様で、(たとえば、より大型のコンピュータアプリケーションの一部として実現される)収益最大化論理110は、或る期間にわたる小売り商品についての予想純収益を最大化するように、複数の販売チャネル間にわたって小売り商品についての全体の利用可能な在庫量を割当てることができる。結果として、このような収益最大化論理110を用いて、小売り業者は、小売り商品についての利用可能な在庫をよりインテリジェントに割当て得る。このような態様で利用可能な在庫をインテリジェントに割当てる能力は、製品の不足があることが分かっており、小売り業者が不足期間を可能な限り最適に切り抜けようと試みているような短期間の場合には、特に重要になり得る。
【0060】
図2は、予想純収益を最大化するように小売り商品の利用可能在庫を割当てるための、コンピュータによって実現される方法200の一実施形態を示す。方法200は、収益最大化論理110の動作を記述しており、図1の収益最大化論理110によって、または方法200のアルゴリズムで構成されたコンピューティングデバイスによって実行されるように実現される。たとえば、一実施形態においては、方法200は、コンピュータアプリケーションを実行するように構成されたコンピューティングデバイスによって実現される。コンピュータアプリケーションは、電子的形態でデータを処理するように構成されているとともに、方法200および/またはその同等例の機能を実行する実行可能命令が格納されている。
【0061】
方法200は、さまざまな位置(たとえば販売チャネル)において販売される商品(たとえば小売り商品)に関して、商品のための新しく取得された在庫がさまざまな時間に利用可能となるとともに、さまざまな販売チャネル間にわたって割当てられるべきであるという観点から記載されることとなる。たとえば、単に各販売チャネルにおける需要に基づいて新しい在庫を単純に割当てるのではなく、予想純収益を最大化するように試みる、よりスマートなアプローチが採用される。方法200は、いくつかのタイプの小売りデータが処理のために(たとえばデータベースデバイスから)利用可能になると想定している。小売りデータは、たとえば、小売り商品が販売されている各販売チャネルごとの、収益係数データ、統計上の需要データおよび経常在庫レベルデータを含み得る。
【0062】
方法200が開始されると、ブロック210において、小売りデータが、収益最大化論理110の入力データ構造に入力される(たとえば、読取られるかまたはロードされる)。一実施形態に従うと、入力データが小売り商品に関連付けられている少なくとも1つのデータ構造が読取られる。入力データは、小売り商品が販売されている複数の販売チャネルの各販売チャネルごとの、収益係数データ、統計上の需要データおよび経常在庫レベルデータを含み得る。より特定的には、入力データは、手持ち在庫についての位置レベル情報、期待生涯純収益、平均売上げ、および売上げの標準偏差を含み得る。
【0063】
さらに、入力データはまた、割当てられるべき全体の利用可能な在庫量、実行すべき最大の反復数、および反復プロセスを停止させるための変化しきい値を含み得る。ここでは、全体の利用可能な在庫量が正であると想定されている。さらに、一実施形態に従うと、反復プロセスについての収束基準として十分に機能することが判明した値は、最大の反復数について10の値と変化しきい値について0.1%の値とを含む。一実施形態に従うと、図1を参照して、小売りデータは、ユーザインターフェイス論理120によって促進されて、収益最大化論理110によってデータベースデバイス170から読取られてもよい。たとえば、ユーザインターフェイス論理120は、データベースデバイス170のメモリに格納されたデータ構造から小売りデータを読取るために、データベースデバイス170のメモリをアドレス指定してもよい。次いで、ユーザインターフェイス論理120は、コンピューティングデバイス105のメモリをアドレス指定し、コンピューティングデバイス105のメモリに小売りデータを格納してもよい。
【0064】
ブロック220において、新しい在庫を受取るのに適格な販売チャネルが識別される。販売チャネルは、これら販売チャネルが一実施形態に従って、正の平均売上げ、売上げの正の標準偏差および正の生涯収益値を有する場合、在庫を受取るのに適格である。この明細書中においてこの直前に記載された3つの量のうちいずれかについてのゼロまたは負の値を有する販売チャネルには割当てプロセスが実行されないだろう。他のすべての販売チャネルには割当てプロセスが実行されることとなる。一実施形態に従うと、ユーザインターフェイス論理120はどの販売チャネルが在庫を受取るのに適格であるかを判断するように構成されている。
【0065】
ブロック230において、全体の利用可能な在庫量は、在庫割当てデータ構造内で表現される複数の割当て済み在庫量を形成するために、限界収益に比例して、適格な販売チャネル間にわたって、初めに割当てられる。初期在庫レベルzにおける各販売チャネルiごとの初期限界収益は、r*[1−F(z)]として決定される。この場合、rは生存期間収益係数であり、F(z)は、需要が初期在庫レベルである場合における販売チャネルについての正規分布のCDFの値である。一実施形態に従うと、初期割当ては比例割当て論理142によって実行される。
【0066】
全体の利用可能な在庫量は、販売チャネルiについての割当て済み在庫レベルvが以下の式によって表現されるように、初期限界収益値に比例して、適格な位置間で分割されている。
【0067】
【数3】
【0068】
この場合、Eは適格な販売チャネルのセットである。他の実施形態に従うと、全体の利用可能な在庫量は、(限界収益に比例しない)他のいくつかの基準に従って、適格な販売チャネル間にわたって初めに割当てられてもよい。
【0069】
ブロック240において、反復プロセスが開始される。反復プロセスは、限界収益が(すなわち、限界収益均等化技術を用いて)均等化されるように、販売チャネル間にわたって全体の利用可能な在庫量の割当てを更新するよう試みる。ブロック250において、販売チャネル間にわたる割当て量の変化合計が変化しきい値未満であるかどうか、および/または、最大の反復数に達したかどうか、についてのチェックが行なわれる。ブロック250をさらに詳述すると、変化しきい値は、
【0070】
【数4】
【0071】
として計算され得る。この場合、vicは位置iについての経常在庫割当てであり、vipは位置iについての以前の在庫割当てである。ブロック240および250は反復プロセスを構成しており、この反復プロセスは、結果として得られる限界収益値を均等化する販売チャネル間にわたる割当て量に収束させるよう試みる。また、販売チャネル間にわたって限界収益値を均等化することにより、結果として、小売り商品についての予想純収益が最大化されることとなる。一実施形態に従うと、ブロック240および250は、限界収益論理130と協働して、反復割当て論理144によって実行される。
【0072】
ブロック240をさらに詳述すると、ブロック240は、ブロック230において決定された初期在庫レベル、または、以前の反復から決定された在庫レベルを用いて、限界収益を均等化する。一実施形態に従うと、ブロック240は、適格な販売チャネル(位置)について以下のサブステップ(iからvi)に従って進められる。
【0073】
i.v=0であるとともにMR=r*[1−F(z+v)]である場合、その現在の割当てz+vをMR=0と想定して、各位置iごとに限界収益を計算する。
【0074】
【数5】
【0075】
v.位置iに割当てるべき初期在庫をqとして規定する。この場合、q=t−zである。
【0076】
vi.位置iがV*q/Σj∈E=vに等しい在庫を受取るように、サブステップvの出力に比例して在庫を設定し直す。
【0077】
サブステップi〜viが、以前の反復からの出力在庫割当てを初期在庫割当てとして用いて反復して繰返されるとともに、各販売チャネルごとの限界収益値を、反復プロセスの各反復ごとに重み付け平均限界収益値に向かって有効に進める。さらに、一実施形態においては、反復プロセスは、在庫レベルが最適値の付近で変動する場合に、収束を加速させるために現在の反復の出力と以前の反復の出力とを平均化する。
【0078】
ブロック240および250を要約すると、小売り商品についての予想純収益値を最大化するように複数の適格な販売チャネル間にわたって小売り商品に関連付けられた限界収益値を均等化する試みがなされる。反復プロセスの各反復ごとに割当て済み在庫量を調整(変換)する反復プロセスが実行される。更新済み限界収益値は、調整された現在の割当て済み在庫量に少なくとも部分的に基づいて、反復プロセスの各反復の際に、各々の適格な販売チャネルごとに生成される。
【0079】
ブロック260において、第1の総予想純収益値は、反復プロセスが完了した後、結果として得られる割当て済み在庫量に少なくとも部分的に基づいて、販売チャネル間にわたる小売り商品に関して生成される。さらに、第2の総予想純収益値は、初期限界収益に比例する初期割当て済み在庫量に少なくとも部分的に基づいて販売チャネルわたって小売り商品に関して生成される。一実施形態に従うと、ブロック260は総予想収益論理150によって実行される。
【0080】
一実施形態に従うと、ブロック260において、予想純収益は、予想される販売機会損失を差し引いた予想売上げに生涯収益を掛けたものとして計算される。予想売上げがブロック210において入力される。予想販売機会損失がルックアップ値を用いて計算される。予想販売機会損失は在庫レベルの平均からの標準偏差の数に依存している。平均からの標準偏差の数は、位置iについて(z+v−μ)/σとして計算される。特定のルックアップテーブルは、予想販売機会損失を推定するために用いられ、最終販売機会損失推定値は、ルックアップテーブルにおいて見出される値と標準偏差σとを掛けたものである。
【0081】
ブロック270において、最終的な割当て結果が(たとえば出力データ構造に)出力される。出力は、取得された最終的な割当て、比例割当て、実行された反復の数、最終反復に関する割当ての変更、ならびに最終的な割当ておよび比例割当てからの予想収益を含む。一実施形態に従うと、ブロック270はユーザインターフェイス論理120によって実行される。たとえば、ユーザインターフェイス論理120は、コンピューティングデバイス105のメモリをアドレス指定し、コンピューティングデバイス105のメモリに格納された出力データ構造に対して最終的な割当て結果を格納し得る。
【0082】
このような態様では、収益最大化および在庫割当てシステムは、この情報を用いて、小売り商品のための販売チャネル間にわたって最適に全体の利用可能な在庫量を分散させることができる。純収益は、小売り業者のために著しく上げることができる。なぜなら、収益最適化問題についての現実的な表現が解決されているからである。顧客サービスは、より信頼性の高い需要のある位置へと在庫をシフトすることによって向上させることができる。価格のより高い位置または抱き合わせ販売機会がより大きい位置へと在庫をシフトすることによってより高い収益を得ることができる。
【0083】
複数の販売チャネル間にわたって販売されている小売り商品についての純収益を最大化するためのシステム、方法および他の実施形態が記載されてきた。限界収益論理は、小売り商品に関連付けられた収益係数データ、統計上の需要データおよび在庫量に少なくとも部分的に基づいて、各販売チャネルごとに限界収益値を生成して、複数の限界収益値を形成するように構成されている。在庫割当て論理は、小売り商品についての予想純収益値を最大化するように販売チャネル間にわたって複数の限界収益値を均等化することを試みるように構成されている。在庫割当て論理は、販売チャネル間にわたって小売り商品についての全体の利用可能な在庫量を初めに割当てて、複数の割当て済み在庫量を形成する。在庫割当て論理は、次いで、複数の割当て済み在庫量を反復して変換する反復プロセスを実行する。限界収益論理が複数の限界収益値を更新することができるように、複数の割当て済み在庫量が反復プロセスの各反復ごとに限界収益論理に提供される。反復プロセスは、反復基準が満たされるまで(この時点で、複数の限界収益値が均等化される(かまたはほぼ均等化される)、実行される。
【0084】
コンピューティングデバイスの実施形態
図3は、この明細書中に記載される例示的なシステムおよび方法ならびに/またはそれらの同等例のうち1つ以上で構成および/またはプログラムされた例示的なコンピューティングデバイスを示す。図3は、小売り商品の売上げによってもたらされる収益を最大化するために収益最大化論理の一実施形態が実現され得るコンピューティングデバイスの例示的な一実施形態を示す。例示的なコンピューティングデバイスは、プロセッサ302と、メモリ304と、バス308によって動作可能に接続された入出力ポート310とを含むコンピュータ300であってもよい。
【0085】
一例においては、コンピュータ300は、対応する限界収益値が販売チャネル間にわたって均等化される(かまたはほぼ均等化される)まで、小売り商品のための販売チャネル間にわたって割当て済み在庫量を反復して調整するために、この明細書中において開示されるように、プログラムされたアルゴリズムで構成された(図1からの収益最大化論理110に対応する)収益最大化論理330を含み得る。さまざまな例においては、論理330は、ハードウェア、命令が格納された非一時的なコンピュータ読取り可能媒体、ファームウェア、および/またはそれらの組合せで実現されてもよい。論理330はバス308に取付けられたハードウェア構成要素として例示されているが、他の実施形態においては、論理330がプロセッサ302において実現され得るか、メモリ304に格納され得るか、またはディスク306に格納され得ることが認識されるはずである。
【0086】
一実施形態においては、論理330またはコンピュータ300は、記載された動作を実行するための手段(たとえば、構造:ハードウェア、非一時的なコンピュータ読取り可能媒体、ファームウェア)である。いくつかの実施形態においては、コンピューティングデバイスは、クラウドコンピューティングシステムにおいて動作するサーバ、ソフトウェア・アズ・ア・サービス(Software as a Service:SaaS)アーキテクチャにおいて構成されるサーバ、スマートフォン、ラップトップ、タブレットコンピューティングデバイスなどであってもよい。
【0087】
手段は、たとえば、小売り商品の売上げによってもたらされるべき収益の最大化を容易にするようにプログラムされたASICとして実現されてもよい。上記手段はまた、メモリ304に一時的に格納されてプロセッサ302によって実行されるデータ316としてコンピュータ300に提示される、格納されたコンピュータ実行可能命令として実現されてもよい。
【0088】
論理330はまた、小売り商品の売上げによってもたらされるべき収益の最大化を容易にするための手段(たとえば、ハードウェア、実行可能命令を格納する非一時的なコンピュータ読取り可能媒体、ファームウェア)を提供し得る。
【0089】
コンピュータ300の例示的構成を概略的に説明すると、プロセッサ302は、デュアルマイクロプロセッサおよび他のマルチプロセッサアーキテクチャを含む、多種多様なプロセッサであってもよい。メモリ304は、揮発性メモリおよび/または不揮発性メモリを含んでいてもよい。不揮発性メモリは、たとえば、ROM、PROMなどを含んでいてもよい。揮発性メモリは、たとえば、RAM、SRAM、DRAMなどを含んでいてもよい。
【0090】
ストレージディスク306は、たとえば入出力インターフェイス(たとえばカード、デバイス)318および入出力ポート310を介して、コンピュータ300に動作可能に接続されてもよい。ディスク306は、たとえば、磁気ディスクドライブ、ソリッドステートディスクドライブ、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、テープドライブ、ジップドライブ、フラッシュメモリカード、メモリスティックなどであってもよい。さらに、ディスク306は、CD−ROMドライブ、CD−Rドライブ、CD−RWドライブ、DVD ROMなどであってもよい。メモリ304は、たとえばプロセス314および/またはデータ316を格納できる。ディスク306および/またはメモリ304は、コンピュータ300のリソースを制御して割当てるオペレーティングシステムを格納することができる。
【0091】
コンピュータ300は、i/oインターフェイス318および入出力ポート310を介して入出力デバイスとやりとりしてもよい。入出力デバイスは、たとえば、キーボード、マイクロホン、ポインティングおよび選択デバイス、カメラ、ビデオカード、ディスプレイ、ディスク306、ネットワークデバイス320などであってもよい。入出力ポート310は、たとえば、シリアルポート、パラレルポート、およびUSBポートを含んでいてもよい。
【0092】
コンピュータ300はネットワーク環境において動作可能であり、このため、i/oインターフェイス318および/またはi/oポート310を介してネットワークデバイス320に接続されてもよい。ネットワークデバイス320を介して、コンピュータ300はネットワークとやりとりしてもよい。ネットワークを介して、コンピュータ300はリモートコンピュータに論理的に接続されてもよい。コンピュータ300がやりとりし得るネットワークは、LAN、WAN、および他のネットワークを含むものの、それらに限定されない。
【0093】
定義および他の実施形態
別の実施形態においては、説明された方法および/またはそれらの同等例は、コンピュータ実行可能命令を用いて実現されてもよい。このため、一実施形態では、マシンによって実行されると、マシン(および/または関連する構成要素)に方法を行なわせる、アルゴリズム/実行可能アプリケーションの格納されたコンピュータ実行可能命令を用いて、非一時的なコンピュータ読取り可能/記憶媒体が構成されている。例示的なマシンは、プロセッサ、コンピュータ、クラウドコンピューティングシステムにおいて動作するサーバ、ソフトウェア・アズ・ア・サービス(SaaS)アーキテクチャにおいて構成されたサーバ、スマートフォン、などを含むが、これらに限定されない。一実施形態においては、コンピューティングデバイスは、開示された方法のうちのいずれかを実行するように構成された1つ以上の実行可能アルゴリズムで実現される。
【0094】
1つ以上の実施形態においては、開示された方法またはそれらの同等例は、当該方法を実行するように構成されたコンピュータハードウェア、または、当該方法を実行するように構成された実行可能なアルゴリズムを含む非一時的なコンピュータ読取り可能媒体において具体化されるコンピュータソフトウェア、のいずれかによって実行される。
【0095】
説明を簡潔にするために、図に例示された方法論はアルゴリズムの一連のブロックとして図示および説明されているが、方法論はブロックの順序によって限定されないことが理解されるはずである。いくつかのブロックは、図示および説明されたものとは異なる順序で、および/または図示および説明された以外の他のブロックと同時に起こり得る。さらに、例示的な方法論を実現するために、すべての図示されたブロックよりも少ないブロックが使用されてもよい。ブロックは組合わされてもよく、または複数の動作/構成要素へと分離されてもよい。さらに、付加的および/または代替的な方法論が、ブロックに例示されていない追加の動作を採用してもよい。
【0096】
以下は、ここに採用された選択された用語の定義を含む。定義は、ある用語の範囲に入り、実現のために使用され得る構成要素のさまざまな例および/または形を含む。例は、限定的であるよう意図されたものではない。用語の単数形および複数形は双方とも、定義の範囲に入り得る。
【0097】
「一実施形態」、「実施形態」、「一例」、「例」などを言及する場合、そのように説明された実施形態または例が特定の特徴、構造、特性、性質、要素、または限定を含み得るものの、すべての実施形態または例が必ずしもその特定の特徴、構造、特性、性質、要素、または限定を含むとは限らないことを示している。さらに、「一実施形態においては」という句を繰り返し使用する場合、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らないものの、同じ実施形態を指す場合もある。
【0098】
ASIC:特定用途向け集積回路。
CD:コンパクトディスク。
【0099】
CD−R:記録可能なCD。
CD−RW:書換え可能なCD。
【0100】
DVD:デジタルバーサタイルディスクおよび/またはデジタルビデオディスク。
HTTP:ハイパーテキスト転送プロトコル。
【0101】
LAN:ローカルエリアネットワーク。
RAM:ランダムアクセスメモリ。
【0102】
DRAM:ダイナミックRAM。
SRAM:シンクロナスRAM。
【0103】
ROM:読取り専用メモリ。
PROM:プログラマブルROM。
【0104】
EPROM:消去可能なPROM。
EEPROM:電気的消去可能なPROM。
【0105】
USB:ユニバーサル・シリアル・バス。
WAN:ワイドエリアネットワーク。
【0106】
「動作可能な接続」、または、エンティティが「動作可能に接続される」接続は、信号、物理的通信および/または論理的通信が送信および/または受信され得る接続である。動作可能な接続は、物理的インターフェイス、電気的インターフェイスおよび/またはデータインターフェイスを含み得る。動作可能な接続は、動作可能な制御を可能にするのに十分なインターフェイスおよび/または接続のさまざまな組合せを含み得る。たとえば、2つのエンティティは互いに直接的に、または1つ以上の中間エンティティ(たとえばプロセッサ、オペレーティングシステム、論理、非一時的なコンピュータ読取り可能媒体)を介して、信号を伝達するように動作可能に接続することができる。動作可能な接続は、データを生成してメモリに当該データを格納する1つのエンティティ、および、たとえば命令制御によってメモリからそのデータを検索する別のエンティティを含んでもよい。論理的および/または物理的な通信チャネルを用いて、動作可能な接続を作成することができる。
【0107】
ここに使用されるような「データ構造」は、メモリ、ストレージデバイスまたは他のコンピュータ化されたシステムに格納されているコンピューティングシステムにおけるデータの構成である。データ構造は、たとえば、データフィールド、データファイル、データ配列、データ記録、データベース、データテーブル、グラフ、ツリー、リンクされたリストなどのうちいずれか1つであってもよい。データ構造は、他の多くのデータ構造から形成され得るとともに、他の多くのデータ構造を含み得る(たとえば、データベースは多くのデータ記録を含む)。他の実施形態に従うと、データ構造の他の例も同様に実現可能である。
【0108】
ここに使用されるような「コンピュータ読取り可能媒体」または「コンピュータ記憶媒体」は、実行されると開示されている機能のうち1つ以上を実行するように構成された命令および/またはデータを格納する非一時的な媒体を指す。コンピュータ読取り可能媒体は、不揮発性媒体および揮発性媒体を含むもののこれらに限定されない形を取ってもよい。不揮発性媒体は、たとえば、光ディスク、磁気ディスクなどを含んでいてもよい。揮発性媒体は、たとえば、半導体メモリ、ダイナミックメモリなどを含んでいてもよい。コンピュータ読取り可能媒体の一般的な形は、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、他の磁気媒体、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit:ASIC)、プログラム可能論理デバイス、コンパクトディスク(compact disk:CD)、他の光学媒体、ランダムアクセスメモリ(random access memory:RAM)、読取り専用メモリ(read only memory:ROM)、メモリチップまたはカード、メモリスティック、ソリッドステートディスクドライブ(solid state storage device:SSD)、フラッシュドライブ、および、コンピュータ、プロセッサまたは他の電子装置が機能可能な他の媒体を含み得るものの、これらに限定されない。各々のタイプの媒体は、一実施形態における実現例のために選択された場合、開示された機能および/または主張された機能のうち1つ以上を実行するように構成されたアルゴリズムの格納された命令を含み得る。
【0109】
ここに使用されるような「論理」は、ここに開示されるように機能または動作のいずれかを行なうように、および/または、ここに開示されるように別の論理、方法および/またはシステムから機能または動作を引き起こすように、コンピュータもしくは電気的ハードウェア、実行可能なアプリケーションもしくはプログラムモジュールの命令が格納された非一時的な媒体、ならびに/またはこれらの組合せで実現される構成要素を表わす。同等の論理は、ファームウェア、アルゴリズムでプログラムされたマイクロプロセッサ、個別論理(たとえばASIC)、少なくとも1つの回路、アナログ回路、デジタル回路、プログラムド論理デバイス、アルゴリズムの命令を含むメモリデバイスなどを含んでいてもよい。これらはいずれも、開示された機能のうち1つ以上を実行するように構成され得る。一実施形態においては、論理は、1つ以上のゲート、ゲートの組合せ、または開示される機能のうち1つ以上を実行するように構成された他の回路部品を含んでいてもよい。複数の論理が説明される場合、その複数の論理を1つの論理に組込むことが可能であり得る。同様に、単一の論理が説明される場合、その単一の論理を複数の論理間に分散させることが可能であり得る。一実施形態においては、これらの論理のうち1つ以上は、開示および/またはクレームされた機能を実行することに係る対応する構造となる。実現すべき論理のタイプの選択は、所望のシステム条件または規格に基づき得る。たとえば、より高い速度が検討すべき事項であれば、機能を実現するためのハードウェアが選択され得る。より低いコストが検討すべき事項であれば、機能を実現するために、格納された命令/実行可能なアプリケーションが選択され得る。
【0110】
ここに使用されるような「ユーザ」は、1人以上の人間、1つ以上のコンピュータもしくは他のデバイス、またはこれらの組合せを含むものの、これらに限定されない。
【0111】
開示された実施形態は極めて詳細に例示および説明されてきたが、添付の特許請求の範囲をそのような詳細に制限したり何らかの形で限定したりすることは、意図されていない。主題のさまざまな局面を説明する目的のために、構成要素または方法論のすべての考えられ得る組合せを説明することは、当然不可能である。したがって、この開示は、図示および説明された特定の詳細または具体的な実例に限定されない。このため、本開示は、法定主題の要件を満たす添付の特許請求の範囲内に収まる変更、修正および変形を包含するよう意図されている。
【0112】
「含む」または「含んで」という語が詳細な説明または請求項において採用されている範囲では、それは、「備える」という語と同様の態様で包括的であるよう意図されている。なぜなら、その語は、採用された場合、請求項において過渡的な言葉として解釈されるためである。
【0113】
「または」という語が詳細な説明または請求項において採用されている(たとえば、AまたはB)範囲では、それは、「AまたはBまたはそれら双方」を意味するよう意図されている。出願人が「AまたはBのどちらか一方だけ」を示すよう意図する場合には、「AまたはBのどちらか一方だけ」という句が使用されるであろう。このため、ここでの「または」という語の使用は包括的使用であり、排他的使用ではない。
【0114】
ここで「A、BおよびCのうち1つ以上」という句(たとえば、A、BおよびCのうち1つ以上を格納するように構成されたデータストア)が用いられている範囲では、それは、A、B、C、AB、AC、BCおよび/またはABCという可能性のセットを示唆する(たとえば、データストアはAだけ、Bだけ、Cだけ、AおよびB、AおよびC、BおよびC、ならびに/または、AおよびBおよびCを格納し得る)ように意図されているが、Aのうちの1つ、Bのうちの1つおよびCのうちの1つを必要とするよう意図されたものではない。出願人が「Aのうち少なくとも1つ、Bのうち少なくとも1つ、およびCのうち少なくとも1つ」を示すよう意図している場合、「Aのうち少なくとも1つ、Bのうち少なくとも1つ、およびCのうち少なくとも1つ」という句が用いられることとなる。
図1
図2
図3