(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
操作レバーと、筐体と、前記操作レバーに連結されて前記筐体に収納された節度発生機構と、を備え、前記操作レバーの操作時のクリック感を発生させる操作装置であって、
前記節度発生機構は、凹部及び凸部が形成されたカム面を有して前記筐体に固定されたカム部材と、該カム部材に当接する当接部材と、前記当接部材の可動方向を規制する規制部材と、前記当接部材を前記可動方向に付勢する付勢力発生手段と、前記筐体に固定された磁気センサと、を備え、
前記規制部材は、前記操作レバーに連動して回動動作可能に前記筐体に支持され、
前記付勢力発生手段は、少なくとも一方に永久磁石を有する一対の磁性体を備えており、一対の前記磁性体は、前記規制部材と連動して回動動作すると共に、互いに吸着し合った状態で接離方向に移動可能となるように前記規制部材に支持されており、
前記当接部材は、一対の前記磁性体間の吸着力により前記カム面に対して付勢され、
前記操作レバーが回動操作されると、前記カム面と前記当接部材との摺動負荷変動により前記クリック感を発生させる、
ことを特徴とする操作装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、自動変速機用シフト操作装置900は、節度ばねで節度体をカム面に当接するという構造であったため、カムの節度溝(凹部)での付勢力が最低となり操作レバーの保持力が弱く操作レバーがガタつくという問題があった。またこの保持力を強くするとカムの凸部での付勢力が必要以上に強くなり、操作レバーの操作感が悪くなったり、凸部が摩耗して装置の寿命が短くなったりするという問題があった。
【0007】
本発明はこのような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、操作感触の良い操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明の操作装置は、操作レバーと、筐体と、前記操作レバーに連結されて前記筐体に収納された節度発生機構と、を備え、前記操作レバーの操作時のクリック感を発生させる操作装置であって、前記節度発生機構は、凹部及び凸部が形成されたカム面を有して前記筐体に固定されたカム部材と、該カム部材に当接する当接部材と、前記当接部材の可動方向を規制する規制部材と、前記当接部材を前記可動方向に付勢する付勢力発生手段と、前記筐体に固定された磁気センサと、を備え、前記規制部材は、前記操作レバーに連動して回動動作可能に前記筐体に支持され、前記付勢力発生手段は、少なくとも一方に永久磁石を有する一対の磁性体を備えており、一対の前記磁性体は、前記規制部材と連動して回動動作すると共に、互いに吸着し合った状態で接離方向に移動可能となるように前記規制部材に支持されており、前記当接部材は、一対の前記磁性体間の吸着力により前記カム面に対して付勢され、前記操作レバーが回動操作されると、前記カム面と前記当接部材との摺動負荷変動により前記クリック感を発生させる、という特徴を有する。
【0009】
このように構成された操作装置は、磁性体の吸着力を当接部材に対する付勢力としたので、カム部材の凹部での付勢力が最大となり、操作レバーのガタつきを抑えることができる。また、凹部が摩耗したとしても更に付勢力が強まる方向なので、寿命を長くすることができる。従って、操作感触の良い操作装置を得ることができる。
【0010】
また、上記の構成において、回動動作する一対の前記磁性体の磁束の変化を前記磁気センサによって検出する、という特徴を有する。
【0011】
このように構成された操作装置は、操作時のクリック感を発生させるために用いられる磁性体を、回動操作による磁束の変化を検出するためにも用いたので、磁束を検出するための専用の磁石を必要としない。そのため、操作装置を安価に製造することができる。
【0012】
また、上記の構成において、前記カム部材が略環状に形成されており、一対の前記磁性体が前記カム部材の内部に配設されている、ことを特徴とする。
【0013】
このように構成された操作装置は、カム部材内部に一対の磁性体を配置できるため、スペース効率を良くすることができる。
【0014】
また、上記の構成において、前記カム面が、前記カム部材に一対に形成されており、一対の前記カム面それぞれが、仮想中心軸に対して点対称に配置されている、ことを特徴とする。
【0015】
このように構成された操作装置は、一対のカム面それぞれを仮想中心軸に対して点対称に配置したので、より強いクリック感を得ることができる。
【0016】
また、本発明の操作装置は、前記磁気センサが、前記仮想中心軸上に配置されている、ことを特徴とする。
【0017】
このように構成された操作装置は、磁気センサを仮想中心軸上に配置したので、磁束の変化をより効率良く検出することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の操作装置は、磁性体の吸着力を当接部材に対する付勢力としたので、カム部材の凹部での付勢力が最大となり、操作レバーのガタつきを抑えることができる。また、凹部が摩耗したとしても更に付勢力が強まる方向なので、寿命を長くすることができる。従って、操作感触の良い操作装置を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[実施形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。尚、分かりやすいように、各図面は寸法を適宜変更している。
【0021】
図1は、本発明の実施形態の操作装置100を示すブロック図であり、
図2は、操作装置100における節度発生機構90を示す斜視図であり、
図3は、操作装置100における節度発生機構90を示すY1側から見た正面図である。
図4は、操作装置100における節度発生機構90の、X2側から見た側面図であり、
図5は、操作装置100における節度発生機構90を示す分解斜視図である。また、
図6は、カム部材40を示す外観図であり、X2側から見た側面図である。
図7は、付勢力発生手段10を示す外観図であり、
図7(a)はX2側から見た側面図であり、
図7(b)はその平面図であり、
図7(c)はその底面図である。更に、
図8は、規制部材60を示す外観図であり、
図8(a)はY1側から見た正面図であり、
図8(b)はX1側から見た側面図である。
図9は、節度発生機構90の内部構造を示す説明図であり、
図4のB−B線で切断した断面をZ1側から見た断面模式図である。
【0022】
本実施形態の操作装置100は、
図1に示すように、操作レバー50と、筐体80と、操作レバー50に連結されて筐体80に収納された節度発生機構90と、を備えており、操作レバー50の操作時のクリック感を発生することができる。
【0023】
操作装置100は、操作レバー50が操作された時の操作レバー50の位置を、
図4に示す仮想中心軸90aに対してZ1方向に垂直に伸びる線を基準とした回動角度として検出し、外部の装置に出力する。本実施形態の操作装置100では、当該回動角度の変化を、操作レバー50の操作時に発生する磁束の変化によって検出する。
【0024】
操作装置100は、節度発生機構90が
図2〜
図9に示すものであるとして、以下に、その具体的な構成を説明する。尚、操作装置100には、
図2〜
図9に示す節度発生機構90以外にも操作感触を付与するための機構を必要に応じて付加することが可能であるが、本明細書では他の部分については説明を割愛する。また、操作レバー50及び筐体80の形状や、操作レバー50と規制部材60との連結機構についても説明を割愛する。そのため、操作レバー50及び筐体80の形状は、各図面上で便宜上略直方体として2点鎖線で表示している。
【0025】
節度発生機構90は、
図1に示すように、カム部材40と、当接部材30と、付勢力発生手段10と、規制部材60と、信号出力機構70と、を筐体80内に備えている。本実施形態における付勢力発生手段10は、一対の磁性体11、21を備えている。本実施形態では、規制部材60に操作レバー50が連結され、操作レバー50の操作時に規制部材60が筐体80に対して相対移動するように構成される。
【0026】
信号出力機構70は、操作レバー50の位置に関する情報を出力するための電子回路を備えている。当該電子回路には磁気センサ7を含み、操作レバー50の操作時に信号を発生し、外部に出力する。
【0027】
本実施形態では、カム部材40が筐体80に固定されており、操作レバー50の操作時に規制部材60が回動するように構成されている。カム部材40は、合成樹脂から形成され、
図5及び
図6に示すように、略環状に形成された環状部45を備えている。カム部材40の環状部45の外側には、カム面49が一対に形成されており、一対のカム面49それぞれが、仮想中心軸90aに対して点対称に配置されている。
【0028】
一対のカム面49それぞれには、凹部40a(41a、42a)及び凸部40b(41b、42b)が形成されている。本実施形態では、
図5及び
図6に示す回動の仮想中心軸90aから見て点対称となるように凹部41a、42aがそれぞれ4個ずつ配置され、凸部41b、42bがそれぞれ3個ずつ配置される。また、
図5に示すように、一対のカム面49それぞれには、環状部45の凹部40a(41a、42a)及び凸部40b(41b、42b)のX1−X2方向の略中央部分に、Z1−Z2方向に長辺を有した略長方形形状の開口45aが設けられている。言い換えれば、一対のカム面49それぞれは、開口45aによってX1側及びX2側の2つの部分に分けられている。
【0029】
付勢力発生手段10は、
図5に示すように、一対の磁性体11、21を備える構成となっている。付勢力発生手段10は、磁性体11を構成する永久磁石12とヨーク13とを一体に保持するホルダ部材15、及び、磁性体21を構成する永久磁石22とヨーク23とを一体に保持するホルダ部材25を備えている。
【0030】
ホルダ部材15は、合成樹脂から形成され、
図7に示すように、永久磁石12を保持するための第1保持部15aと、ヨーク13(13a、13b)を保持するための第2保持部15bと、当接部材30を支持する支持部15eと、を有している。支持部15eには、当接部材30を挿入するための孔15fが形成されている。
【0031】
本実施形態では、ホルダ部材15の第1保持部15aは、Z2側の面に永久磁石12を挿入する第1開口部15cを有している。また、第1保持部15aのZ1側はホルダ部材15の壁面で塞がれている。これにより、第1開口部15cに永久磁石12を挿入する際、Z1側の壁面に当接するまで押し込めばよい。
【0032】
さらに、ホルダ部材15の第2保持部15bは、Z1側の面にヨーク13(13a、13b)を挿入する第2開口部15dを有しており、ホルダ部材15は第1開口部15cと第2開口部15dとが互いに異なる方向を向いて配置されている。尚、Z1側から見てヨーク13(13a、13b)及び第2開口部15dはL字形状を有しており、Y2方向への抜け止めを兼ねている。また、第2保持部15bのZ2側はホルダ部材15の壁面で塞がれている。これにより、第2開口部15dにヨーク13(13a、13b)を挿入する際、Z2側の壁面に当接するまで押し込めばよい。また、第2保持部15bにヨーク13(13a、13b)を挿入してから第1保持部15aに永久磁石12を挿入するときに、ヨーク13(13a、13b)が第2開口部15dから抜け出てしまったり、永久磁石12に吸着してしまったりする心配がなく、きわめて取り扱いしやすいものとなる。
【0033】
本実施形態では、ホルダ部材15に挿入された永久磁石12とヨーク13(13a、13b)とが接するように、ホルダ部材15は第1保持部15aのX1−X2方向に開口が設けられた形状になっている。第1保持部15aに挿入された永久磁石12が、第2保持部15bに挿入されたヨーク13(13a、13b)を引き寄せるように作用するので、組立後は磁力で固定される。したがって、接着材等を用いることなく、ホルダ部材15に永久磁石12とヨーク13(13a、13b)とが一体に保持される。このため、小型化する場合でも製造が容易である。
【0034】
尚、第2開口部15dの向きは、
図7に示す向きに限定されず、第1開口部15cの向き及び磁性体21と対向する面の向き以外であればよい。本実施形態のホルダ部材15は、第1開口部15cと第2開口部15dとが逆方向を向くように配置されているので、それぞれを区画する壁面がリブとしての補強を兼ねている。このため、本実施形態のホルダ部材15は、より変形しにくいものとなっている。
【0035】
付勢力発生手段10は、前述したように、磁性体21を構成する永久磁石22とヨーク23とを一体に保持するホルダ部材25を備えている。ホルダ部材25は、合成樹脂から形成され、
図7に示すように、永久磁石22を保持するための第1保持部25aとヨーク23(23a、23b)を保持するための第2保持部25bと、当接部材30を支持する支持部25eと、を有している。支持部25eには、当接部材30を挿入するための孔25fが形成されている。
【0036】
ホルダ部材25の第1保持部25aは、Z2側の面に永久磁石22を挿入する第1開口部25cを有している。また、第1保持部25aのZ1側はホルダ部材25の壁面で塞がれている。ホルダ部材25の第2保持部25bは、Z1側の面にヨーク23(23a、23b)を挿入する第2開口部25dを有しており、ホルダ部材25は第1開口部25cと第2開口部25dとが互いに異なる方向を向いて配置されている。
【0037】
本実施形態では、
図7に示すように、磁性体21を構成する永久磁石22とヨーク23とを一体に保持するホルダ部材25が、ホルダ部材15とまったく同じ構造になっている。すなわち、永久磁石12とヨーク13(13a、13b)とが一体に保持されたホルダ部材15を、Z1−Z2方向を軸として180度回転させたものである。このように、まったく同じ構成の永久磁石とヨークを2組用意して対向する向きに配置すれば、磁気吸引力を発生させるように配置されることになる。付勢力発生手段10は、発生する付勢力が一対の磁性体11、21同士の磁気吸引力である。
【0038】
図9に示すように、磁性体11の一部を構成している永久磁石12は、永久磁石12aと永久磁石12bとから成り、磁性体21の一部を構成している永久磁石22は、永久磁石22aと永久磁石22bとから成る。永久磁石12aと永久磁石12b、及び永久磁石22aと永久磁石22bとは、Z1側から見た場合、それぞれX1−X2方向に異なる磁極が配置されるように保持されている。
【0039】
そのため、一対の磁性体11、21は、永久磁石12の磁極配置と永久磁石22の磁極配置とが逆向きで対向し、ヨーク13(13a、13b)及びヨーク23(23a、23b)を介して磁力線が閉ループとなり、磁気回路としても効率的に配置される。その結果、小さな永久磁石12、22でも磁力を高めることができる。
【0040】
磁性体11、21を保持しているホルダ部材15、25は、規制部材60と連動して回動動作すると共に、一対の磁性体11、21の吸着力によって互いに吸着し合った状態で接離方向に移動可能となるように規制部材60に支持される。
【0041】
規制部材60は、合成樹脂によって形成され、
図2乃至
図5に示すように、筐体80に固定されるカバー62とX1側の端部が微小な隙間を有して対向するように配設され、操作レバー50に連動して回動動作可能に筐体80に支持される。規制部材60には、Z1方向に突出形成された連結部66が形成されており、操作レバー50は、連結部66を介して規制部材60に連結される。操作レバー50は、
図4に示すように、仮想中心軸90aを中心に回動させて操作される。
【0042】
規制部材60には、
図8に示すように円筒壁面60cと規制部60a、60bとが形成されている。規制部材60の円筒壁面60cは、カム部材40の環状部45の外周と摺接するように形成されており、回動の仮想中心軸90aを中心とする円筒面になっている。一方、規制部材60の規制部60a、60bは、一対の磁性体11、21を保持しているホルダ部材15、25と摺接するように形成されている。規制部60a、60bは、それぞれX1側に突出する突出部分を複数箇所備えており、これら複数の突出部分でホルダ部材15、25のZ1−Z2方向の動きを規制すると共に、Y1−Y2方向の動きを摺動可能にガイドしている。
【0043】
当接部材30は、
図5に示すように、金属材から円柱状に形成されており、本実施形態では、ホルダ部材15の支持部15eに固設される当接部材31と、ホルダ部材25の支持部25eに固設される当接部材32とに分かれている。前述したように、支持部15e、25eには、当接部材30(31、32)が挿入される孔15f、25fが形成されており、
図9に示すように、この孔15f、25fに当接部材31、32を圧入することによって当接部材31、32が固設される。尚、当接部材31、32を当該位置で回動可能に軸支する構成としてもよい。
【0044】
図5及び
図9に示すように、上述したカム部材40のX1側の端部には、配線基板9が取り付けられており、カム部材40及び配線基板9はカバー62と共に筐体80に固定されている。また、配線基板9の中央部には、磁気センサ7が搭載されている。従って、磁気センサ7が、環状に形成されたカム部材40内の空間のY1−Y2方向における中央のX1側に位置する。磁気センサ7は、磁気センサ7の近傍における磁束の変化を検出するために設けられている。
【0045】
前述したように、操作装置100では、操作レバー50の操作時の回動角度の変化を、操作レバー50の操作時に発生する磁束の変化によって検出する。操作レバー50が回動操作された時、操作レバー50に連結された規制部材60が回動し、その規制部材60の回動に伴って磁性体11、21が回動する。
【0046】
上述したように、磁気センサ7は、環状に形成されたカム部材40内の空間のY1−Y2方向における中央のX1側に位置している。即ち、磁気センサ7は、仮想中心軸90a上に配置されている。一方、一対の磁性体11、21は、
図9に示すように、略環状に形成されたカム部材40の内部に配設されており、磁性体11内の永久磁石12(12a、12b)、及び磁性体21内の永久磁石22(22a、22b)は、互いに所定の距離を有して配設されていると共に、磁気センサ7に対して所定の距離を有して配設されている。言い換えれば、永久磁石12と永久磁石22との間に形成された磁力線の閉ループ上に、磁気センサ7が効率的に配置されている。
【0047】
このように、永久磁石12と永久磁石22との間に形成された磁力線の閉ループ上に磁気センサ7を効率的に配置することによって、操作レバー50が回動操作された時、発生する磁束の変化を精度良く検出することができる。その結果、操作レバー50の回動角度を正確に検出することができる。
【0048】
前述したように、操作装置100では、カム部材40と規制部材60と当接部材30と永久磁石12、22を含む一対の磁性体11、21とを備えている。そして、これらの部材は、操作時のクリック感を発生させるために設けられている。尚、このクリック感を発生させる動作については、後に詳述する。
【0049】
本発明の操作装置100では、永久磁石12、22を、操作時のクリック感を発生させるために用いると共に、上述したように、操作レバー50の回動角度を検出するためにも用いている。即ち、操作クリック感の発生用と回動角度の検出用に兼用している。そのため、操作装置100では、操作レバー50の回動操作による磁束の変化を検出するための専用の磁石を必要としない。
【0050】
本実施形態の操作装置100では、節度発生機構90が以下のようにして組み立てられる。
【0051】
永久磁石12とヨーク13a、13bとが保持されたホルダ部材15と、永久磁石22とヨーク23a、23bとが保持されたホルダ部材25とを、カム部材40の開口45aに支持部15e、25eが突出するようにカム部材40に挿入する。尚、両者が引き合う磁力を有しているので、スペーサ―冶具を配置して次の作業をしやすくしておくことが好ましい。
【0052】
続いて、ホルダ部材15における支持部15eの孔15fに当接部材31が固設され、また、ホルダ部材25における支持部25eの孔25fに当接部材32が固設される。このとき、回動の仮想中心軸90aから見て点対称となる凹部41a、42aに当接部材31、32が配置されるように位置決めしておく。
【0053】
次に、スペーサ―冶具を外して、これらの部材を規制部材60の円筒壁面60cに収容する。このとき、ホルダ部材15、25は規制部材60の規制部60a、60bの突出部分にガイドされるようにして、所望の位置に配置される。規制部60a、60bは、ホルダ部材15、25がY1−Y2方向のみに移動可能とするようにZ1−Z2方向の動きを規制している。ホルダ部材15、25に対して可動方向を規制することにより、規制部材60を当接部材31、32の位置に設けなくてもよいので、規制部材60の規制部60a、60bの配置が容易で小型化しやすい。
【0054】
最後に、カバー62、磁気センサ7が実装された配線基板9及びカム部材40を固定部材(図示せず)によって筐体80に固定する。操作装置100は、以上のようにして組み立てられた節度発生機構90が、操作レバー50や他の構成部材とともに配設されて組み立てられる。
【0055】
次に、本実施形態における節度発生機構90の、操作レバー50の操作時におけるクリック感を発生させる動作について、
図10〜
図12を参照して説明する。
図10は、付勢力発生手段10の動作を示す説明図であり、当接部材30がカム部材40の凹部40aに収容された安定状態を示す説明図である。尚、
図10は、
図3のA−A線で切断した断面をX1側から見た断面図である。
図11は、付勢力発生手段10の動作を示す説明図であり、当接部材30がカム部材40の凸部40bに位置する過渡状態を示す説明図である。
図12は、
図11の状態における一対の磁性体11,21の磁力線を平面視で示す説明図である。
【0056】
図10に示すように、当接部材31がカム部材40のカム面49における凹部41aに当接し、当接部材32がカム部材40のカム面49における凹部42aに当接して配置される。これにより、一対の磁性体11、21が、2個の当接部材31、32を別々に付勢する2箇所に分かれて配置され、仮想中心軸90aの近傍で対向配置される。一対の磁性体11、21は当接部材31、32同士を近づける方向に磁気吸引力を発生させているので、カム部材40の凹部41a、42aに当接部材31、32が収容された安定状態となっている。このため、操作レバー50を回動動作させようとしても、当接部材31、32が凹部41a、42aのそれぞれの両側にある凸部41b、42bを乗り越えるまでは、
図10の安定位置に引き戻されることになる。
【0057】
一対の磁性体11、21による磁気吸引力より強い力を加えて、操作レバー50を回動動作させることによって、
図11に示すように、当接部材31、32がカム部材40のカム面49における凸部41b、42bに位置する過渡状態まで相対移動する。このとき、一対の磁性体11、21それぞれは、規制部60a、60bに摺接するホルダ部材15又はホルダ部材25と共に、略Y1−Y2方向の互いに離れる向きに移動することになる。このため、
図12に示すように、一対の磁性体11、21の磁力線は、閉ループが広げられる方向になり、相対的に弱まることになる。
【0058】
図11及び
図12に示す過渡状態での磁気吸引力F11、F21は、互いの位置が離れるほど小さくなるので、当接部材31、32がカム部材40の凸部41b、42bを削る力も弱められる。尚、この作用は節度ばねの伸縮を利用した付勢力の場合には得られないものであり、本実施形態のように磁性体11、21を配置したことによる特徴的な作用効果である。
【0059】
一方、
図10に示すように、一対の磁性体11、21が近接した状態では磁気吸引力が大きくなるので、節度ばねの伸縮を利用した付勢力の場合に比べて、より強い付勢力を得ることが可能である。この状態での付勢力が強いほど、ガタつきが少ないものにすることができる。本実施形態では、カム部材40の凹部40aでの付勢力が最大となり、操作レバー50のガタつきが抑えられる。また凹部40aが摩耗したとしてもさらに付勢力が強まる方向なので操作レバー50のガタが発生せず結果として寿命が長くなる。また、上述のように、節度ばねで付勢力を強くしようとすると、カム山を削る力も強くなるので好ましくない。本実施形態のように磁性体11,21の磁気吸引力で節度ばねと同じ強さの付勢力を得る場合、節度ばねで得られる状態に比べて、より好ましい状態が得られると言える。
【0060】
本実施形態では、カム部材40のカム面49には凹部41a、42aがそれぞれ4個ずつ形成され、その4箇所で安定状態を得ることができる。すなわち、本実施形態の操作装置100は、操作レバー50の操作時のクリック感を回動方向で3回発生させて、4箇所の操作状態に対応させることができる。また、凹部41a、42aの個数を増やせば、より多くの操作状態に対応させることができる。
【0061】
本実施形態では、節度発生機構90の回動の仮想中心軸90aから見て点対称となるように凹部40a(41a、42a)及び凸部40b(41b、42b)が配置されているので、仮想中心軸90aから偏った方向に付勢することがない。したがって、操作レバー50に余計な付勢力を生じないため、操作感触が良い。
【0062】
また、本実施形態では、節度発生機構90の付勢力発生手段10が回転動作に対して点対称で配置されているのでバランスよく強い保持力を発生することができる。また、一対の磁性体11、21の磁気吸引力を利用した付勢力発生手段10がカム部材40の内部に収容され、更にカム部材40が規制部材60の内部に収容されているので、可動範囲を大きくする場合であっても小型化することが容易である。したがって、従来の構成に比べ、節度発生機構90としての小型化が可能である。
【0063】
以下、本実施形態としたことによる効果について説明する。
【0064】
本実施形態の操作装置100は、磁性体11、21の吸着力を当接部材30に対する付勢力としたので、カム部材40の凹部40aでの付勢力が最大となり、操作レバー50のガタつきを抑えることができる。また、凹部40aが摩耗したとしても更に付勢力が強まる方向なので、寿命を長くすることができる。従って、操作感触の良い操作装置100を得ることができる。
【0065】
また、操作時のクリック感を発生させるために用いられる磁性体11、21を、回動操作による磁束の変化を検出するためにも用いたので、磁束を検出するための専用の磁石を必要としない。そのため、操作装置100を安価に製造することができる。
【0066】
また、カム部材40内部に一対の磁性体11、21を配置したので、スペース効率を良くすることができる。
【0067】
また、一対のカム面49それぞれを仮想中心軸90aに対して点対称に配置したので、より強いクリック感を得ることができる。
【0068】
また、磁気センサ7を仮想中心軸90a上に配置したので、磁束の変化をより効率良く検出することができる。
【0069】
以上説明したように、本発明の操作装置は、磁性体の吸着力を当接部材に対する付勢力としたので、カム部材の凹部での付勢力が最大となり、操作レバーのガタつきを抑えることができる。また、凹部が摩耗したとしても更に付勢力が強まる方向なので、寿命を長くすることができる。従って、操作感触の良い操作装置を得ることができる。
【0070】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することが可能である。