(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6684957
(24)【登録日】2020年4月1日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】固定導電板と弾性導電板を有する電子装置
(51)【国際特許分類】
H01R 13/24 20060101AFI20200413BHJP
H01R 11/01 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
H01R13/24
H01R11/01 Q
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-505837(P2019-505837)
(86)(22)【出願日】2018年2月27日
(86)【国際出願番号】JP2018007081
(87)【国際公開番号】WO2018168424
(87)【国際公開日】20180920
【審査請求日】2019年3月4日
(31)【優先権主張番号】特願2017-48149(P2017-48149)
(32)【優先日】2017年3月14日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135183
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 克之
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】和賀 聡
(72)【発明者】
【氏名】中山 敬介
(72)【発明者】
【氏名】細越 順一
(72)【発明者】
【氏名】菊池 信士
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一彦
【審査官】
高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−32107(JP,A)
【文献】
実開平1−99006(JP,U)
【文献】
特開2001−4365(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/158801(WO,A1)
【文献】
実開平5−50701(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R11/00−11/32
H01R13/00−13/08
H01R13/15−13/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースに、その一部が外部端子部となる固定導電板と、前記固定導電板に接続される弾性導電板と、前記弾性導電板に導通する固定電極部と、が設けられた電子機器において、
前記ケースに、互いに対向する第1接触面と第2接触面が設けられて、前記第1接触面と前記第2接触面の少なくとも一方が、前記固定導電板の板表面となっており、
前記弾性導電板は、金属板ばね材料によって、前記第1接触面に弾圧される第1圧接部と、前記第1圧接部から折り返されて前記第2接触面に弾圧される第2圧接部と、前記第2圧接部から曲げられて前記第1接触面を超えて延びる支持片部と、前記支持片部から曲げられて前記固定電極部に向かう弾性腕部と、前記弾性腕部の先端部に設けられて前記固定電極部に弾圧される弾圧接点部とが一体に形成されており、
前記第1圧接部と前記第2圧接部の少なくとも一方が、前記固定導電板の前記板表面と接触し、
前記固定導電板の一部に連結端部が形成され、前記連結端部と、前記弾性導電板の前記支持片部とが嵌合して、前記支持片部が前記固定電極部から離れるのを規制する規制部が構成されていることを特徴とする固定導電板と弾性導電板を有する電子装置。
【請求項2】
前記支持片部に穴部が形成され、前記規制部で、前記連結端部が前記穴部に嵌合している請求項1記載の固定導電板と弾性導電板を有する電子装置。
【請求項3】
前記連結端部は、板厚が小さくなっており、前記連結端部の板厚の小さい部分が、前記穴部に嵌合している請求項2記載の固定導電板と弾性導電板を有する電子装置。
【請求項4】
前記支持片部には、少なくとも1つの掛止片が切り起こされて形成されており、前記規制部では、前記穴部に挿入された前記連結端部に、前記掛止片の先端が係止されている請求項2記載の固定導電板と弾性導電板を有する電子装置。
【請求項5】
前記ケースには、前記連結端部に対向する凹部が形成されており、前記連結端部の先部が前記凹部に入り込んでいる請求項1ないし4のいずれかに記載の固定導電板と弾性導電板を有する電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケース内に、固定導電板と、物理量センサを搭載した基板などに設けられた固定電極部に弾圧される弾性導電板と、が設けられた電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、筐体1の内部に、外部端子(固定導電板)と内部端子(弾性導電板)が設けられた電気部品に関する発明が記載されている。
この電気部品では、筐体1内に固定された外部端子2が設けられ、外部端子2が折り曲げられて、互いに対向する平坦部2aと対向部2fとが形成されている。外部端子2の平坦部2aと対向部2fとの間に弾性変形可能な内部端子3が装着されている。内部端子3には、平坦部3aと、前記平坦部3aから曲げられた第1弾性部3bと、第1弾性部3bの先部の当接部3cとが一体に形成されている。平坦部3aが外部端子2の前記平坦部2aに弾接し、前記当接部3cが、前記外部端子2の前記対向部2fに弾接している。内部端子3の前記平坦部3aの先部に180度の折返し部が設けられ、折返し部から第2弾性部3dが延び出ている。第2弾性部3dの先部の接点部3eが、絶縁基板4の表面の抵抗パターン4aに弾接している。
【0003】
また、内部端子3に、前記平坦部3aから切り起こしたストッパ部3fが一体に形成されており、このストッパ部3fが外部端子2に形成された凹部2bまたは筐体1の側壁に形成された凹部1tに掛けられて、内部端子3が抜け止めされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−32107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された電子部品は、内部端子3の前記平坦部3aから切り起こしたストッパ部3fが凹部2bまたは凹部1tに掛けられて、内部端子が抜け止めされているが、このストッパ部3fと凹部との係合だけでは、内部端子3の抜け止めを十分に行うことができない。抜け止め効果を高めるためには、ストッパ部3fを長く形成することが必要になり、その結果、内部端子3が必要以上に大きくなる問題が生じる。
【0006】
また、特許文献1に記載された電子部品は、その
図3と
図4に示すように、内部端子3の平坦部3aの先部が180度折り返されている。この180度の折返し部を設けることにより、ここから延びる内部端子3の基端の位置が決められている。しかし、この構造では、第2弾性部3dに力が作用したときに、180度の折返し部に応力が集中し、疲労の原因になりやすい。
【0007】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、弾性導電板の抜け止め効果を高めることができる固定導電板と弾性導電板を有する電子装置を提供することを目的としている。
また本発明は、弾性導電板に180度の折返し部などを形成しなくても、弾性腕部の基端の位置を決めることができ、弾圧接点部と固定電極部との弾圧力を最適に設定することができる固定導電板と弾性導電板を有する電子装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の固定導電板と弾性導電板を有する電子装置は、ケースに、その一部が外部端子部となる固定導電板と、前記固定導電板に接続される弾性導電板と、前記弾性導電板に導通する固定電極部と、が設けられた電子機器において、
前記ケースに、互いに対向する第1接触面と第2接触面が設けられて、前記第1接触面と前記第2接触面の少なくとも一方が、前記固定導電板の板表面となっており、
前記弾性導電板は、金属板ばね材料によって、前記第1接触面に弾圧される第1圧接部と、前記第1圧接部から折り返されて前記第2接触面に弾圧される第2圧接部と、前記第2圧接部から曲げられて前記第1接触面を超えて延びる支持片部と、前記支持片部から曲げられて前記固定電極部に向かう弾性腕部と、前記弾性腕部の先端部に設けられて前記固定電極部に弾圧される弾圧接点部とが一体に形成されており、
前記第1圧接部と前記第2圧接部の少なくとも一方が、前記固定導電板の前記板表面と接触し、
前記固定導電板の一部に連結端部が 形成され、前記連結端部と、前記弾性導電板の前記支持片部とが嵌合して、前記支持片部が前記固定電極部から離れるのを規制する規制部が構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明の固定導電板と弾性導電板を有する電子装置は、前記支持片部に穴部が形成され、前記規制部で、前記連結端部が前記穴部に嵌合しているものとして構成できる。
【0010】
例えば、前記連結端部は、板厚が小さくなっており、前記連結端部の板厚の小さい部分が、前記穴部に嵌合している。
【0011】
本発明の固定導電板と弾性導電板を有する電子装置は、前記支持片部には、少なくとも1つの掛止片が切り起こされて形成されており、前記規制部では、前記穴部に挿入された前記連結端部に、前記掛止片の先端が係止されているものとして構成できる。
【0012】
また、本発明の固定導電板と弾性導電板を有する電子装置は、前記ケースに、前記連結端部に対向する凹部が形成されており、前記連結端部の先部が前記凹部に入り込んでいることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の電子装置は、弾性導電板に、第1圧接部および第2圧接部と、第2圧接部から曲げられた支持片部と、支持片部から曲げられた弾性腕部とが形成されている。そして、規制部において、固定導電板と支持片部が嵌合し、支持片部が固定電極部から離れないように規制されている。そのため、弾性導電板が、第1接触面と第2接触面との間から抜け出るのを効果的に規制することができるようになる。
【0014】
本発明の電子装置は、前記規制部で支持片部が規制されて固定されているため、片持ち梁である弾性腕部の基端(支持端)を、支持片部と弾性腕部との折り曲げ境界部にほぼ一致する場所に設定することができる。弾性腕部の基端(支持端)を確定できるため、弾性腕部の作用長さを均一に揃えやすくなり、弾圧接点部と固定電極部との圧接力を最適に設定することができる。しかも、180度の折返し部などが不要であるため、弾性腕部の基端(支持端)での応力の集中を緩和でき、疲労の蓄積を低減できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1の実施の形態の電子装置を示す断面図、
【
図2】
図1に示す第1の実施の形態の電子装置の断面図の部分拡大図、
【
図3】
図1に示す第1の実施の形態の電子装置の構成を示す一部断面を含む分解斜視図、
【
図4】
図1に示す第1の実施の形態の電子装置に設けられた固定導電板と弾性導電板を示す分解斜視図、
【
図5】本発明の第2の実施の形態の電子装置の断面図の部分拡大図、
【
図6】本発明の第3の実施の形態の電子装置の断面図の部分拡大図、
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1と
図2に本発明の第1の実施の形態の電子装置1の断面図が示され、
図3に一部断面を示す分解斜視図が示されている。
この電子装置1は、ケース(筐体)10の内部空間11に回路基板2が収納されている。
図3に示すように回路基板2は固定ねじ3によって、ケース10に固定されている。回路基板2には、物理量センサとして加速度センサが搭載されている。あるいは物理量センサが、圧力センサや湿度センサまたは角速度センサなどであってもよい。電子装置1は、車載用であり、例えば車軸やその支持部などに設置されて、車体に作用する加速度の検出に使用される。そのため、電子装置1は大きな加速度が作用しても内部構造において接触不良などが生じないように構成されることが必要である。
【0017】
ケース10は合成樹脂材料で形成されており、内部空間11を形成する第1ケース10aと、内部空間11の開口部を塞ぐ蓋体構造の第2ケース10bとが組み合わされて構成されている。第2ケース10bの縁部10cは、第1ケース10aの開口端部に接着されて固定されている。またはねじ止めやレーザー溶接で固定されている。
【0018】
図1と
図2および
図3に示すように、第1ケース10aの図示左側には、筒状のコネクタ部12が一体に形成されている。第1ケース10aの内部に、固定導電板20が埋設されている。第1ケース10aは合成樹脂材料で射出成型されるが、この成型時に金型内に固定導電板20がインサートされ、第1ケース10aと固定導電板20とが、いわゆるインサート成型により一体化される。ただし、固定導電板20は、既に成型された第1ケース10aに差し込まれるなどして固定されてもよい。
【0019】
固定導電板20は黄銅などの導電性金属板で形成されている。固定導電板20は、外部端子部21を有している。外部端子部21は、第1ケース10aからコネクタ部12の内部に突出している。固定導電板20は、外部端子部21の基部と、この基部から図示下向きに折り曲げられた曲げ底部22が第1ケース10a内に埋設されている。
【0020】
図1と
図2および
図3に示すように、第1ケース10aには、図示底部側から内部空間11に向けて立ち上がる内部壁部13が一体に形成されている。
図3と
図4に示すように、固定導電板20には、曲げ底部22からほぼ直角に折り曲げられた接触板部23が設けられている。接触板部23は、前記内部壁部13の対向内面13aに密着して支持されている。
【0021】
図3に示すように、第1ケース10aは、コネクタ部12に連続する周壁部14を有しており、周壁部14の内部空間11に向く内面に、内部壁部13に対向する周壁支持部15が一体に形成されている。周壁支持部15には、上下方向に延びる一対の保持凹部16,16が形成されている。2つの保持凹部16,16の間に、上下に延びる区画リブ17aが一体に形成されている。それぞれの保持凹部16の側方部にも、上下に延びる区画リブ17b,17bが一体に形成されている。
【0022】
図1と
図2に示すように、固定導電板20の接触板部23の表面となる板面が第1接触面23aであり、前記保持凹部16の表面が第2接触面16aである。ケース10の内部空間11において、第1接触面23aと第2接触面16aが、互いに平行に対向している。この実施の形態では、第1接触面23aが、固定導電板20の接触板部23の板表面であり、第2接触面16aが、ケース10を構成する合成樹脂材料の表面である。ただし、この実施の形態とは逆に、第1接触面が内部壁部13の表面であって、第2接触面が、保持凹部16内に位置する固定導電板20の板表面であってもよい。あるいは、第1接触面と第2接触面の双方が、固定導電板20の板表面であってもよい。
【0023】
ケース10の内部空間11では、第1接触面23aと第2接触面16aの対向部が、弾性導電板30の収納空間となっている。弾性導電板30は、ステンレス鋼やベリリウム銅などの板ばね金属材料で形成されている。
図3と
図4に示すように、弾性導電板30は、V字形状に折り曲げられて、第1圧接部31と第2圧接部32とが形成されている。弾性導電板30は、第1圧接部31と第2圧接部32との折り曲げ部を下向きとして、ケース10の内部に差し込まれ、これにより、一対の弾性導電板30が、前記収納空間に装着される。一対の弾性導電板30のそれぞれが、第1ケース10aの前記収納空間に装着されると、第1圧接部31が第1接触面23aに弾圧され、第2圧接部32が第2接触面16aに弾圧される。第1接触面23aが、固定導電板20の板表面であるため、第1接触面23aにおいて、固定導電板20と弾性導電板30が互いに導通している。
【0024】
固定導電板20と弾性導電板30は、少なくとも導通接触部の表面に金メッキ層が形成されている。金メッキ層は、ニッケルなどの下地層の表面に形成されている。
【0025】
図3と
図4に示すように、それぞれの弾性導電板30には、第2圧接部32の上部からほぼ直角に曲げられた支持片部33が一体に設けられている。
図1と
図2に示すように、支持片部33は、第1接触面23aを形成している接触板部23と第2ケース10bとの対向部を通過し、第1接触面23aを超えて、内部空間11の内方に向けて延びている。支持片部33からは弾性腕部34が一体に延びている。弾性腕部34は、支持片部33との境界部35が折り部となって、下向きに折り曲げられており、弾性腕部34の先部が、凹曲面形状に変形させられた弾圧接点部36となっている。弾性腕部34は、
図3に示す回路基板2の表面に設けられた固定電極部5に向かって延びており、弾圧接点部36が固定電極部5に弾圧されている。
【0026】
図3に示すように、支持片部33の幅寸法W1よりも弾性腕部34の幅寸法W2が細くなっている。幅寸法は、境界部35で段階的に変化している。したがって、弾性導電板30は、境界部35において、弾性腕部34の剛性が、支持片部33の剛性よりも段階的に低下している。弾性腕部34はほぼ片持ち梁として機能し、その作用長Lは、折曲げ部である境界部35から、弾圧接点部36と固定電極部5との接触点までの長さとなる。
【0027】
図1と
図2および
図3と
図4に示すように、固定導電板20の接触板部23の先端部に、加圧成型によって板厚寸法が小さく変形した薄板部23bが形成されて、この薄板部が連結端部23cとなっている。弾性導電板30の支持片部33には、いわゆるバーリング加工によって穴部37が形成されている。接触板部23の先部の薄板部23b(連結端部23c)と穴部37とが嵌合することによって、弾性導電板30の支持片部33が、固定電極部5から離れる方向(回路基板2から離れる方向)への変形し、また移動するのを防止する規制部41が構成されている。
【0028】
図2に示すように、第2ケース10bの下面に凹部18が形成されており、薄板部23bの先部が凹部18の内部に入り込んでいる。予想外の加速度が作用するなどして、万が一、薄板部23bと穴部37の嵌合が弛むことがあったとしても、薄板部23bと穴部37とが外れることがなく、図示上方へ変形しようとする支持片部33が、第2ケース10bの下面に当たる。そのため、支持片部33が図示上方に向けて押し上げられても、塑性変形するのを防止できるようになる。
【0029】
第1の実施の形態の電子装置1は、車両の車軸やその支持部などに搭載され、回路基板2に搭載された加速度センサで、車体の加速度が検知される。あるいは、他の物理量センサで、各種情報が検知されてもよい。加速度センサなどの検知信号は、回路基板2に搭載されたICなどで情報処理される。一対の弾性導電板30の弾圧接点部36はそれぞれ固定電極部5に弾圧されており、情報処理された信号は、回路基板の導電パターンから固定電極部5を介して弾性導電板30に伝達される。さらに、弾性導電板30は、第1圧接部31が、固定導電板20の接触板部23に接触しているため、情報処理された信号は、一対の弾性導電板30から一対の固定導電板20に与えられる。ケース10のコネクタ部12にプラグが嵌着されている。
【0030】
図1と
図2に示すように、固定導電板20と弾性導電板30は、規制部41において、支持片部33に形成された穴部37に、接触板部23の先部の薄板部23b(連結端部23c)が嵌合している。薄板部23bは穴部37に強制的に圧入できるように寸法が設定されており、圧入による保持力により、弾性導電板20が、
図2に示す嵌合状態から図示上方に向けて容易に動くことのないように保持される。
【0031】
図3に示すように、弾性導電板30の支持板部33の幅寸法W1は弾性腕部34の幅寸法よりも大きく、支持板部33と弾性腕部34との境界部35に、幅寸法の段差が設けられている。しかも、規制部41において、支持板部33が、固定電極部5から図示上方へ離れないように強固に保持されている。よって、支持片部33の弾性変形は抑制され、弾性腕部34は、境界部35から弾圧接点部36までの長さLが実質的な作用長となる片持ち梁として機能する。
【0032】
弾性導電板30では、第2圧接部32と支持片部33との折り角度がほぼ90度である。そして、
図4に示すように、支持片部33からの弾性腕部34の折り角度θが90度以下でさらには45度以下であり、特許文献1に記載のような180度の折り返し部分を有していない。弾性導電板30は、弾性腕部34の作用長Lを決めることができるため、弾性腕部34の弾圧接点部36が固定電極部5に弾圧する弾圧力を適正に設定しやすくなる。そして、大きな折返し部を有しないため、弾性腕部34の基端(支持端:すなわち境界部35)に大きな応力が集中するのを避けることが可能になる。
【0033】
図5と
図6に、本発明の第2の実施の形態と第3の実施の形態の電子装置が示されている。
図5と
図6において、前記第1の実施の形態と同じ構造部分には同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
図5に示す、本発明の第2の実施の形態の電子機器101は、弾性導電板30の支持片部33に、穴部33aと、穴部33aから上方に切り起こされた係止片38bが一体に形成されている。固定導電板20の接触板部23の先端部である連結端部23cが穴部38aに挿入され、この連結端部23cに係止片38bの先端のエッジ部が弾圧されて係止されて、支持片部33が固定電極部5から離れる方向へ変形したり移動するのを規制する規制部42が構成されている。
【0034】
図6に示す、本発明の第3の実施の形態の電子機器201は、支持片部33の穴部33aに、互いに対向する方向に延びる一対の掛止片38b,38cが形成されている。穴部33aに挿入された連結端部23cの両側表面に、掛止片38b,38cの先端のエッジ部が弾圧されて嵌合し、規制部43が形成されている。
【0035】
また、
図5と
図6に示すように、第2ケース10bの下面に凹部18が形成されており、凹部18内に連結端部23cの上端部が入り込んでいる。よって、予想外の加速度が作用しても、支持片部33が連結端部23cから抜け出ることはない。
【符号の説明】
【0036】
1,101,201 電子装置
2 回路基板
5 固定電極部
10 ケース
10a 第1ケース
10b 第2ケース
11 内部空間
13 内壁部
13b 規制対向部
16 保持凹部
16a 第2接触面
19 規制支持部
20 固定電極板
21 外部端子部
23 接触板部
23a 第1接触面
23b 薄板部(連結端部)
23c 連結端部
30 弾性導電板
31 第1圧接部
32 第2圧接部
33 支持片部
34 弾性腕部
35 境界部
36 弾圧接点部
37 穴部
41,42,43 規制部