特許第6684968号(P6684968)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6684968連続鋳造圧延設備内において、金属的なストリップを製造するための方法
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  • 特許6684968-連続鋳造圧延設備内において、金属的なストリップを製造するための方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6684968
(24)【登録日】2020年4月1日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】連続鋳造圧延設備内において、金属的なストリップを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   B21B 1/00 20060101AFI20200413BHJP
   B22D 11/12 20060101ALI20200413BHJP
   B21B 1/26 20060101ALI20200413BHJP
   B21B 1/46 20060101ALI20200413BHJP
   B21B 13/22 20060101ALI20200413BHJP
   B21B 45/00 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
   B21B1/00 B
   B22D11/12 A
   B21B1/26 Z
   B21B1/46 B
   B21B13/22
   B21B45/00 L
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-524197(P2019-524197)
(86)(22)【出願日】2017年1月18日
(65)【公表番号】特表2019-535525(P2019-535525A)
(43)【公表日】2019年12月12日
(86)【国際出願番号】EP2017050950
(87)【国際公開番号】WO2018086762
(87)【国際公開日】20180517
【審査請求日】2019年5月31日
(31)【優先権主張番号】102016222122.1
(32)【優先日】2016年11月10日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102016015414.4
(32)【優先日】2016年12月23日
(33)【優先権主張国】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390035426
【氏名又は名称】エス・エム・エス・グループ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】ザイデル・ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】クライン・クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ペータース・マティアス
(72)【発明者】
【氏名】セセレ・コシモ・アンドレアス
【審査官】 坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】 特表2018−518369(JP,A)
【文献】 特表2018−520876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 1/46,13/22,37/00
B22D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続鋳造圧延設備(2)内において、金属的なストリップ(1)を製造するための方法であって、この連続鋳造圧延設備(2)が、
− スラブを鋳造するための鋳造機械(3)と、
− 前記金属的なストリップの搬送方向(F)において前記鋳造機械(3)に後続する、第1の炉(4)、及び/または、断熱性を有するローラーテーブル領域である第1のローラーテーブル断熱区間と、
− 前記鋳造機械(3)と、前記第1の炉(4)及び/または前記第1のローラーテーブル断熱区間との間に配設されている、第1のせん断機(S1)と、
− 複数の圧延スタンド(R1、R2)を有する粗圧延ライン(5)と、
− 前記金属的なストリップの搬送方向(F)において前記粗圧延ライン(5)に後続する、第2の炉(6)、及び/または、断熱性を有するローラーテーブル領域である第2のローラーテーブル断熱区間と、
− 前記粗圧延ラインと、前記第2の炉(6)及び/または前記第2のローラーテーブル断熱区間との間に配設されている、第2のせん断機(S2)と、
− 複数の圧延スタンド(F1、F2、F3、F4、F5、F6)を有する仕上げ圧延ライン(7)と、
− 冷却区間(8)と、
− 少なくとも2つの巻き取り機(9)または1つの転向リールと、および、
− 前記冷却区間(8)と前記巻き取り設備(9)との間に配設されている、第3のせん断機(S3)と、
を備えている、前記方法において、
前記ストリップ(1)を製造するために、作動モード;即ち、
a) エンドレス圧延、
このエンドレス圧延において、前記鋳造機械(3)と、前記粗圧延ライン(5)と、前記仕上げ圧延ライン(7)とが互いに結合されており、且つ、材料の圧延が、前記鋳造機械の質量流によって行われ、
その際、仕上げられたストリップが、前記巻き取り設備(9)において、前記第3のせん断機(S3)を用いて分離され;
b) 前記粗圧延ライン(5)内におけるエンドレス圧延、
このエンドレス圧延において、前記鋳造機械(3)と前記粗圧延ライン(5)とが互いに結合されており、且つ、材料の圧延が、前記鋳造機械の質量流によって行われる、
並びに、
前記仕上げ圧延ライン(7)内における個別ストリップ圧延
その際、前記粗圧延ライン(5)内において圧延された粗ストリップが、前記仕上げ圧延ライン(7)内における個別ストリップ圧延のために、前記第2のせん断機(S2)を用いて分離される;
c) 前記粗圧延ライン(5)内における個別ストリップ圧延、および、前記仕上げ圧延ライン(7)内における個別ストリップ圧延
その際、前記鋳造機械(3)内において製造されたスラブが、前記粗圧延ライン(5)および前記仕上げ圧延ライン(7)内における前記個別ストリップ圧延のために、前記第1のせん断機(S1)を用いて分離される;
d) 前記粗圧延ライン(5)内におけるセミエンドレス圧延、及び/または、前記仕上げ圧延ライン(7)内におけるセミエンドレス圧延、
その際、前記鋳造機械(3)内において製造されたスラブが、前記粗圧延ライン(5)内における前記セミエンドレス圧延のために、前記第1のせん断機(S1)を用いて分離され、及び/または、
その際、前記粗圧延ライン(5)内において圧延された粗ストリップが、前記仕上げ圧延ライン(7)内における前記セミエンドレス圧延のために、前記第2のせん断機(S2)を用いて分離され;
その際、前記仕上げられたストリップが、前記巻き取り設備(9)において、前記第3のせん断機(S3)を用いて分離される、
のこれら作動モードの内の1つの作動モードが選択され、
その際、前記仕上げ圧延ライン(7)内における圧延が、複数の圧延スタンドによって行われ、これら圧延スタンドの数が、
2.316×h×v×e(−0.167×n)≧480m/min mm
ここで、
n:前記仕上げ圧延ライン(7)内における前記圧延スタンドの数
:スラブの厚さ mm
:スラブ速度 m/min
の関係により与えられることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1の炉(4)内において、または、前記第1のローラーテーブル断熱区間内において、または、適宜の順序および組み合わせにおける、第1の炉部分(4)と第1のローラーテーブル断熱区間との配設において、少なくとも1つのスラブは位置決めされる、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第第2の炉(6)内において、または、前記第2ローラーテーブル断熱区間内において、または、適宜の順序および組み合わせにおける、第2の炉部分(6)と第2のローラーテーブル断熱区間との配設において、少なくとも1つのスラブまたは粗ストリップは位置決めされる、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の炉(4)の出側における平均的なスラブ温度は、少なくとも1,000℃、有利には、少なくとも1,100℃の値であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
前記第2の炉(6)の出側における平均的な粗ストリップ温度は、少なくとも1,100℃、有利には、少なくとも1,150℃の値であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
前記仕上げ圧延ライン(7)内における前記ストリップ(1)の成形度合いは、
ε=(h−h)/h×100≧96%
ここで、粗ストリップ厚さとしてのh、仕上げストリップ厚さとしてのh
の値であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
前記第2の炉(6)の出側における平均的な粗ストリップ温度は、少なくとも1,150℃の値であり、
その際、前記ストリップの厚さ(h)と前記ストリップの速度(v)との積が、少なくとも350mm m/min、有利には少なくとも500mm m/minの値であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記スラブ及び/または粗ストリップの誘導的な加熱は行わないことを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
前記仕上げ圧延ライン(7)の、最後の機能中の圧延スタンド内における温度は、γ−α相変態の上方、特に820℃の上方にあることを特徴とする請求項1から8のいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
前記作動モードにおける、エンドレス圧延またはセミエンドレス圧延に関する前記仕上げ圧延スタンドの間での、前記仕上げ圧延ラインの内側での誘導的な加熱は、
850℃以上の最終圧延温度の調節のために行われることを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
前記作動モードにおける、エンドレス圧延またはセミエンドレス圧延に関する前記仕上げ圧延スタンドの間での、前記仕上げ圧延ラインの内側での誘導的な加熱は、
機械的な仕上げストリップ特性の合目的な影響のために行われることを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
前記作動モードにおける、エンドレス圧延またはセミエンドレス圧延に関する前記仕上げ圧延スタンドの間での、前記仕上げ圧延ラインの内側での誘導的な加熱は、
低い鋳造速度の際に行われることを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項13】
前記第1のせん断機(S1)の後ろでの、前記第1の炉(4)の長さ、または、前記第1のローラーテーブル断熱区間、または、適宜の順序および組み合わせにおける、第1の炉部分(4)と第1のローラーテーブル断熱区間との配設は、
有利には、前記第2のせん断機(S2)の後ろでの、前記第2の炉(6)の長さ、または、前記第2のローラーテーブル断熱区間、または、適宜の順序および組み合わせにおける、第2の炉部分(6)と第2のローラーテーブル断熱区間との配設よりも短い、
ことを特徴とする請求項1から12のいずれか一つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続鋳造圧延設備内において、金属的なストリップを製造するための方法に関し、この連続鋳造圧延設備が、
− スラブを鋳造するための鋳造機械と、
− 前記金属的なストリップの搬送方向において前記鋳造機械に後続する、第1の炉、及び/または、断熱性を有するローラーテーブル領域である第1のローラーテーブル断熱区間と、
− 前記鋳造機械と、前記第1の炉及び/または前記第1のローラーテーブル断熱区間との間に配設されている、第1のせん断機と、
− 複数の圧延スタンドを有する粗圧延ラインと、
− 前記金属的なストリップの搬送方向において前記粗圧延ラインに後続する、第2の炉、及び/または、断熱性を有するローラーテーブル領域である第2のローラーテーブル断熱区間と、
− 前記粗圧延ラインと、前記第2の炉及び/または前記第2のローラーテーブル断熱区間との間に配設されている、第2のせん断機と、
− 複数の圧延スタンドを有する仕上げ圧延ラインと、
− 冷却区間と、
− 少なくとも2つの巻き取り機または1つの転向リールと、および、
− 前記冷却区間と前記巻き取り設備との間に配設されている、第3のせん断機と、
を備えている。
【背景技術】
【0002】
薄いスラブ連続鋳造圧延設備(CSP設備)のフレキシブルな作動に対する要求は、恒常的に増大している。その際、異なる作動条件が調節可能であることは、努力される。例えば、圧延された仕上げストリップ厚さ、または、鋳造速度に対する適合は、同様に品質の理由およびエネルギー消費量の理由からも望ましい。
【0003】
個別ストリップの圧延、または、エンドレス圧延のための、薄いスラブ連続鋳造圧延設備は、既に従来技術において十分に言及されている。例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6が指摘される。
部分的に同様に異なる作動モードも使用される更に別の解決策は、特許文献7および特許文献8から公知である。
【0004】
公知の解決策は、しかしながら、フレキシビリティの観点のもとで、時として欠点を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許第195 18 144 C2号明細書
【特許文献2】ドイツ連邦共和国特許第196 13 718 C2号明細書
【特許文献3】ヨーロッパ特許第0 870 553 B1号明細書
【特許文献4】国際出願公開第2007/073841 A1号パンフレット
【特許文献5】国際出願公開第2009/012963 A1号パンフレット
【特許文献6】ヨーロッパ特許第2 569 104 B1号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2011/272116 A1号明細書
【特許文献8】国際出願公開第2000/10741 A1号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の根底をなす課題は、上述された様式の方法を、増大された程度がフレキシビリティに対して可能であるように、更に発展させることであり;且つ、その際、特に異なる作動条件に対してフレキシブルに応動され得るべきである。提案された設備コンセプトおよび作動方法は、従って、フレキシビリティに対する高い程度によって特徴付けられるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題の解決策は、本発明により、
前記ストリップを製造するために、作動モード;即ち、
a) エンドレス圧延、
このエンドレス圧延において、前記鋳造機械と、前記粗圧延ラインと、前記仕上げ圧延ラインとが互いに結合(作用結合)されており、且つ、材料の圧延が、前記鋳造機械の質量流(鋳造機械−質量流)によって行われ、
その際、仕上げられたストリップが、前記巻き取り設備において、前記第3のせん断機を用いて分離され;
b) 前記粗圧延ライン内におけるエンドレス圧延、
このエンドレス圧延において、前記鋳造機械と前記粗圧延ラインとが互いに結合されており、且つ、材料の圧延が、前記鋳造機械の質量流によって行われる、
並びに、
前記仕上げ圧延ライン内における個別ストリップ圧延(バッチ式作動)、
その際、前記粗圧延ライン内において圧延された粗ストリップが、前記仕上げ圧延ライン内における個別ストリップ圧延のために、前記第2のせん断機を用いて分離される;
c) 前記粗圧延ライン内における個別ストリップ圧延(バッチ式作動)、および、前記仕上げ圧延ライン内における個別ストリップ圧延(バッチ式作動)、
その際、前記鋳造機械内において製造されたスラブが、前記粗圧延ラインおよび前記仕上げ圧延ライン内における前記個別ストリップ圧延のために、前記第1のせん断機を用いて分離される;
d) 前記粗圧延ライン内におけるセミエンドレス圧延、及び/または、前記仕上げ圧延ライン内におけるセミエンドレス圧延、
その際、前記鋳造機械内において製造されたスラブが、前記粗圧延ライン内における前記セミエンドレス圧延のために、前記第1のせん断機を用いて分離され、及び/または、
その際、前記粗圧延ライン内において圧延された粗ストリップが、前記仕上げ圧延ライン内における前記セミエンドレス圧延のために、前記第2のせん断機を用いて分離され;
その際、前記仕上げられたストリップが、前記巻き取り設備において、前記第3のせん断機を用いて分離される、
のこれら作動モードの内の1つの作動モードが選択され、
その際、前記仕上げ圧延ライン内における圧延が、複数の圧延スタンドによって行われ、これら圧延スタンドの数が、
2.316×h×v×e(−0.167×n)≧480m/min mm
ここで、
n:前記仕上げ圧延ライン内における前記圧延スタンドの数
:スラブの厚さ mm
:スラブ速度 m/min
の関係により与えられることによって特徴付けられている。
【発明の効果】
【0008】
第1の炉内において、及び/または、第1のローラーテーブル断熱区間内において、その際、有利には少なくとも1つのスラブは位置決めされる。同様に、第2の炉内において、または、第2ローラーテーブル断熱区間内において、有利には少なくとも1つのスラブまたは粗ストリップは位置決めされる。
【0009】
上述の作動モードa)、b)、c)、及び/または、d)は、その際、ストリップの最終厚さに依存して選択され得る。
【0010】
作動モードa)、b)、c)、及び/または、d)が、連続鋳造圧延設備の始動プロセスに依存して選択されることは同様に可能である。
【0011】
更に、作動モードa)、b)、c)、及び/または、d)が、粗圧延ライン内において及び/または仕上げ圧延ライン内において行われるロール交換に依存して選択されることは可能である。
【0012】
先ず第一に、言及された作動モードの内の1つの作動モードが選択され、且つ、生産が、その場合に、このモードによって実施され;および、上記のことに応じて、与えられた時間に、言及された可能性a)、b)、c)、または、d)の内のただ1つだけの可能性が実現される。但し、時系列的に順々に、同様に異なる、言及されたこれら作動モードの間の交番も行われ得る。
【0013】
第1の炉の出側における平均的なスラブ温度は、有利には、少なくとも1,000℃、特に有利には、少なくとも1,100℃の値である。
【0014】
第2の炉の出側における平均的な粗ストリップ温度は、有利には、少なくとも1,100℃、特に有利には、少なくとも1,150℃の値である。
【0015】
更なる構成において、
仕上げ圧延ライン内におけるストリップの成形度合いは、
ε=(h−h)/h×100≧96%
ここで、粗ストリップ厚さとしてのh、仕上げストリップ厚さとしてのh
の値である。
【0016】
特に、この場合、有利には、第2の炉の出側における平均的な粗ストリップ温度は、少なくとも1,150℃の値であり、その際、ストリップの厚さ(h)とストリップの速度(v)との積が、少なくとも350mm m/min、有利には少なくとも500mm m/minの値である。
【0017】
有利には、記載された方法のやり方において、スラブ及び/または粗ストリップの誘導的な加熱は行わないことは、意図されている。
【0018】
仕上げ圧延ラインの、最後の機能中の圧延スタンド内における温度は、有利には、γ−α相変態の上方、特に820℃の上方にある。
【0019】
図において、本発明の実施例が図示されている。唯一の図は、概略的に、ストリップを製造するための、1ストラング−連続鋳造圧延設備の側面図を示している。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】ストリップを製造するための、1ストラング−連続鋳造圧延設備の概略的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
提案された薄スラブ連続鋳造圧延設備のコンセプトは、図から与えられている以下の主構成要素から成っている:
【0022】
ストリップ1を製造するための連続鋳造圧延設備2は、少なくとも1つの鋳造機械3を有している。
鋳造機械3の後ろの材料の搬送方向Fにおいて、第1の炉4が配設されており、この第1の炉4に、搬送方向Fにおいて、複数の圧延スタンドR1およびR2を有する粗圧延ライン5が続いている。粗圧延ライン5の後ろに、第2の炉6が続いており、この第2の炉に、他方また、複数の圧延スタンドF1、F2、F3、F4、F5、F6を有する、仕上げ圧延ライン7が続いている。仕上げ圧延ライン7の後ろに、冷却区間8が配設されており、この冷却区間に、巻き取り機9が続いている。
【0023】
鋳造機械3と第1の炉4との間に、第1のせん断機S1が配設されている。第2のせん断機S2は、粗圧延ライン5の後ろ、および、第2の炉6の手前に配置されている。第3のせん断機S3は、最後には、巻き取り機9の直前に配置されている。
【0024】
第1の炉4及び/または第1のローラーテーブル断熱区間内において、少なくとも1つの個別のスラブがスペースを見出し;且つ、更に、少なくとも1つの個別のスラブが、第1のせん断機S1と粗圧延ライン5の第1の圧延スタンドR1との間の領域内において収まることは行われる。粗圧延ライン5は、有利には、1つから4つまでの圧延スタンドから成り、その際、特に有利には、2つの圧延スタンドが配置されている。
【0025】
粗圧延ライン5の後ろの、第2の炉6及び/または第2のローラーテーブル断熱区間は、
少なくとも1つの個々の粗ストリップが、この粗ストリップの水平方向の姿勢もしくは広がりにおいてスペースを見出し、または、少なくとも1つの個別の粗ストリップが、第2のせん断機S2と仕上げ圧延ライン7の第1の圧延スタンドF1との間の領域内において収まる、
ように形成されている。
仕上げ圧延ライン7は、大抵の場合、1つから7つまでの圧延スタンドから成り、有利には4つから6つまでの圧延スタンドが配置されている。
【0026】
第1のせん断機S1は、鋳造機械3を離れるスラブの分離のためのスラブせん断機である。第2のせん断機S2は、粗圧延ライン5の後ろの粗ストリップの分離のための粗ストリップせん断機であり、且つ、有利には、第2の炉6の手前に配設されている。第3のせん断機S3は、要するに、巻き取り機9の手前のストリップの分離のためのストリップせん断機である。
【0027】
上記のことに応じて、上記異なる作動モードを実現可能とするために、3つのせん断機S1、S2、および、S3が配置されている。
【0028】
連続鋳造圧延設備2内において、有利には、如何なる(例えば、誘導加熱装置の様式の)迅速加熱装置も配置されて無く、このことは、コストの安いガスの使用の際、および、エネルギー的な(energetischen)観点のもとで、有利である。
【0029】
(例えばおよび有利には、ローラーコンベヤ炉の様式の)第1の炉4及び/または第2の炉6の代わりに、選択的に、ローラーテーブル断熱区間が設けられていることは可能であり、これらローラーテーブル断熱区間内において、少なくとも1つの個別のスラブ、または、個別の粗ストリップがスペースを見出し;且つ、この場合に、同様に選択的に誘導加熱装置が上記ローラーテーブル断熱区間の後ろに配設されていることも可能である。
同様に、粗圧延ラインの手前及び/または後ろでの、適宜の順序および組み合わせにおける、炉部分およびローラーテーブル断熱区間の配設も可能である。
【0030】
第1のせん断機S1の後ろでの、第1の炉4の長さ、または、第1のローラーテーブル断熱区間、または、適宜の順序および組み合わせにおける、第1の炉部分4とローラーテーブル断熱区間との配設は、有利には、
第2のせん断機S2の後ろでの、第2の炉6の長さ、または、第2のローラーテーブル断熱区間、または、適宜の順序および組み合わせにおける、第2の炉部分6とローラーテーブル断熱区間との配設よりも短い。
【0031】
1つの個別のスラブ、または、1つの個別の粗ストリップは、これから、典型的に生産されるリング重量を有する1つのコイルが圧延もしくは生産され得る程に長い。
【0032】
この連続鋳造圧延設備(CSP設備)は、上述された主構成要素の最適化された作動によって、極めてフレキシブルに作動され得る。その際、異なる作動モードが、粗圧延ライン、仕上げ圧延ライン、または全設備内において実地に適用可能である:
【0033】
上記方法モードa)に従い、
先ず第一に、粗圧延ライン5内におけるエンドレス圧延と、仕上げ圧延ライン7内におけるエンドレス圧延とは可能であり、即ち、この場合に、鋳造機械3並びに粗圧延ライン5および仕上げ圧延ライン7は互いに接続されている。
その際、鋳造機械−質量流によって圧延され、且つ、巻き取り機9におけるストリップが第3のせん断機S3によって分離される。
【0034】
上記方法モードb)に従い、
更に、鋳造機械−質量流によっての、粗圧延ライン5内におけるエンドレス圧延と、仕上げ圧延ライン7内における個別ストリップ圧延(バッチ式作動)とが可能である。その際、個別のストリップは、第2のせん断機S2において分離される。仕上げ圧延ライン7内における質量流は、圧延の際、粗圧延ライン5もしくは接続された鋳造機械3内におけるよりも大きい。
このことによって、比較的に大きな変形度合いとの、関連した第1の圧延スタンド内におけるエンドレス圧延の、利点の組み合わせと、並びに、
仕上げ圧延ライン7内におけるバッチ式圧延の利点と、これに伴って達成可能なより高い最終圧延温度とを有する、頭部および末端部におけるより良好な粗ストリップ幾何学的形状とは与えられる。
【0035】
上記方法モードc)に従い、
更に、粗圧延ライン5内における個別ストリップ圧延(バッチ式作動)と、仕上げ圧延ライン7内における個別ストリップ圧延(バッチ式作動)とが可能である。その際、個別のスラブは、第1のせん断機S1において分離される。粗圧延ライン5と仕上げ圧延ライン7とは、両方共、圧延工程の間じゅう、鋳造機械3よりも大きな質量流によって作動される。温度ガイダンスは、圧延ラインの個々の速度選択によって、適宜調整され得る。
【0036】
上記方法モードd)に従い、
要するに、更に別の作動が可能である:
第1の炉4と第2の炉6とが、もしくは、第1のせん断機S1と粗圧延ライン5の圧延スタンドR1との間の、及び/または、第2のせん断機S2と仕上げ圧延ライン7の圧延スタンドF1との間の間隔が、これらが1つ以上のスラブ(例えば、2つまたは3つのスラブ)を収容可能である程に、長く測定されている場合、
第1の炉4、及び/または、第2の炉6、もしくは、相応する設備区間から成る、セミエンドレスストリップ圧延が可能である。
次いで、第1のせん断機S1におけるセミエンドレススラブ、または、第2のせん断機S2におけるセミエンドレス粗ストリップの、第1の分離、および、巻き取り機9の手前の第3のせん断機S3による個別のストリップへの最終的な分割が行われる。
【0037】
最終厚さに依存して、または、(鋳造開始の際の)設備の始動において、または、ロール交換の前、または、温度の理由から、異なる作動モードが選択され得、且つ、調節され得る。圧延設備の熱作動(Warmfahren)は、例えば、バッチ式モードにおいて、粗圧延ラインおよび仕上げ圧延ラインにおいて行われ得る。次いで、先ず第一に、粗圧延ライン内におけるエンドレスモードへの切り換えが実施され得る。
(有利には、1.2mmより薄いかまたは等しい厚さにおける)より薄く成るストリップにおいて、粗圧延ラインおよび仕上げ圧延ラインのためのエンドレスストリップ圧延は考慮に値する。ロール交換が、ただ仕上げ圧延ライン内において計画される場合、この仕上げ圧延ラインのためのバッチ式モードに切り換えられる。
【0038】
仕上げ圧延ライン内におけるワークロール交換のための交換時間を得るために、有利には、仕上げ圧延ライン内における増大されたストリップ走行速度及び/または温度速度アップでもって圧延され、及び/または、粗圧延ライン内における鋳造速度並びに圧延速度が低減される。
バッチ式圧延の際に、異なるスラブ温度及び/または粗ストリップ温度を、ストリップ長さにわたって補償するために、および、仕上げ圧延ラインの後ろでの、可能な限り一定な仕上げストリップ温度を発生させるために、粗圧延ライン及び/または仕上げ圧延ラインは、温度速度アップでもって作動され、または、選択的に、少なくとも1つの中間スタンド冷却装置の水量が、相応して変化される。
【0039】
フレキシビリティの拡大は、提案された設備によって、これに伴って可能である。
【0040】
提案された連続鋳造圧延設備(CSP設備)は、異なる、有利な技術的な装置および操作条件によって特徴付けられる。
【0041】
スラブ洗浄装置(もしくはスラブスケール除去装置)の最適な配設は、鋳造機械3の出側において、最後のストラングローラの後ろ(2m以下)に存在する。選択的に、スラブは、最後の両方のストラングローラ対の間で洗浄(スケール除去)される。
【0042】
鋳造機械3またはスラブ洗浄装置と、第1の炉4の入り口に至るまでとの間のローラーテーブル断熱装置は、有利である。第1のせん断機S1の領域内において、断熱装置は、旋回入り込み可能である。このようにして、エネルギー損失もしくは温度損失は、この移送領域内において最小限に減らされる。
【0043】
以下の条件、
spez/h/m < 600×v、有利には、Vspez/h/m < 450×v
ここで、
v:スケール洗浄装置の領域内における、圧延または鋳造製品の移送速度m/s
(「×」は、乗法記号)
を有する、最小限化された、特有のスケール除去水量Vspezを有する、コンパクトに構成する、一列のスケール除去ビームの使用は有利である:
【0044】
機能中の仕上げ圧延スタンド数nは、有利には、仕上げストリップ厚さhと適合される。
この目的のために、以下の近似方程式、
n≧5×h−0.6
が使用される:
【0045】
より厚い最終ストリップ厚さにおいて、正確な仕上げストリップ最終圧延温度を維持するために、最後の仕上げ圧延スタンドでもって開始する1、2、または3圧延スタンドは、上昇される。その際、良好なストリップ品質を生じさせるために、ストリップ冷却装置によって、有利には、既に、仕上げ圧延ラインの内側で、最後の機能中の圧延スタンドに後ろで開始される。
これら最後の仕上げ圧延スタンドの間の温度計は、その際、正確な仕上げストリップ最終圧延温度の調節状態を監視し、且つ、制御目的のために利用される。
【0046】
それぞれの第1の炉4及び/または第2の炉6、または、断熱性を有する相応するローラーテーブル領域が、(長手方向において)異なる領域に分割されていることは可能であり、従って、スラブもしくはスラブ部片、及び/または、粗ストリップもしくは粗ストリップ部片が導出され得る。
これによって、例えば、バッファー時間が提供され得、容易にダミーバーが廃棄物処理され得、または、障害の除去が簡略化され得る。付加的に、火炎切断機が、炉部分の手前及び/または後ろに配置されていることは可能である。
【0047】
第1の炉4の出側における平均的なスラブ温度(定義:中央における厚さにわたって平均値化される)は、≧1,000℃、有利には、≧1,100℃の値である。
【0048】
第2の炉6からの出口における平均的な粗ストリップ温度は、≧1,100℃、有利には、≧1,150℃の値である。
【0049】
仕上げ圧延ライン内における、高変形(全仕上げ圧延ライン成形)、
ε=(h−h)/h×100≧96%
(ここで、h=粗ストリップ厚さ、h=仕上げストリップ厚さ)
によって、
≧1,150℃の高い粗ストリップ温度(第2の炉6からの出口における)と、および、h×v≧350m/min mm(有利には、h×v≧500m/min mm)の、m/min mmにおける高い質量流と、または、
一般的に、圧延スタンド数、
2.316×h×v×e(−0.167×n)≧480m/min mm
(ここで、n=圧延スタンド数、h=スラブ厚さ mm、v=スラブ速度 m/min)
に依存する条件とが組み合わさり、
同様に通常、エンドレス圧延において、仕上げ圧延ラインの内側での誘導的な後加熱も省略可能であり、且つ、設備が有利に作動され得、
従って、最後の機能中の仕上げ圧延スタンド内における成形が、γ−α相変態(例えば、820℃)の上方で行われる。
選択的に、作動モードにおける、エンドレス圧延またはセミエンドレス圧延に関する、仕上げ圧延スタンドの間での、仕上げ圧延ラインの内側での誘導的な加熱は、
最終圧延温度(例えば、≧850℃)の調節のため、または、機械的な仕上げストリップ特性の合目的な影響のため、または、低い鋳造速度の際に行われる。
【0050】
有利には全ての圧延スタンド(選択的に、最後の機能中の仕上げ圧延スタンドを除いて)における、有効な圧延ロール間隙潤滑装置を有する仕上げ圧延ライン(定義については上記参照)内での高成形も有利であり、これら全ての圧延スタンドが、圧延スタンド当たり、>10%の潤滑の結果としての圧延力低減を達成する。
【0051】
バッチ式圧延へのエンドレス圧延の移行は、第1のせん断機S1における切断によって、中間くさび形部無しに行われ得る。第1のせん断機S1は、切断し、且つ、エンドレススラブの仕上げ圧延が、粗圧延ライン5の圧延スタンドR1/R2内におけるセットアップの変更無しに行われ得る。
鋳造速度の低減、及び/または、エンドレススラブ圧延の加速によって、圧延スタンドR1及び/または圧延スタンドR2が後続のスラブにおいて新しいセットアップによって差し込むことを許容する、間隙が引き出される。
【符号の説明】
【0052】
1 ストリップ
2 連続鋳造圧延設備
3 鋳造機械
4 第1の炉
5 粗圧延ライン
6 第2の炉
7 仕上げ圧延ライン
8 冷却区間
9 巻き取り機、もしくは、巻き取り設備
S1 第1のせん断機
S2 第2のせん断機
S3 第3のせん断機
R1、R2 粗圧延ラインの圧延スタンド
F1、F2 仕上げ圧延ラインの圧延スタンド
F3、F4 仕上げ圧延ラインの圧延スタンド
F5、F6 仕上げ圧延ラインの圧延スタンド
F 搬送方向
図1