(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
清涼感を有する香気成分を含む香料を含有させた炭酸飲料は、口に含んだ瞬間は香料由来の清涼感があるものの、炭酸飲料の酸味や炭酸のキレによってその清涼感は短時間のうちに消失し、持続しないという問題があることを本発明者らは見出した。そこで、本発明は、香料に起因する清涼感が持続する炭酸飲料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、香料由来の清涼感の持続に関して、カフェインにイソα酸又はクワシンを組み合わせて配合させると特に優れた効果が得られることを見出した。かかる知見に基づき、本発明者らは、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明は、これに限定されるものではないが、以下に関する。
(1)香料を含む炭酸飲料であって、
(a)カフェインを5〜80mg/100mL含有し、
(b)イソα酸を5〜100ppm及び/又はクワシンを5〜100ppb含有する、
上記炭酸飲料。
(2)前記香料が、リナロール、リモネン、α−ターピネオール、n−オクタナール、酪酸エチル、イソ吉草酸エチル、酢酸イソアミル及び酪酸イソアミルからなる群より選ばれる少なくとも1つの成分を含有する、(1)に記載の炭酸飲料。
(3)カフェインの含有量が10〜45mg/100mLである、(1)又は(2)に記載の炭酸飲料。
(4)イソα酸の含有量が10〜60ppmである、(1)〜(3)のいずれか1に記載の炭酸飲料。
(5)クワシンの含有量が14〜50ppbである、(1)〜(4)のいずれか1に記載の炭酸飲料。
(6)酸度が0.02〜1g/100gである、(1)〜(5)のいずれか1に記載の炭酸飲料。
(7)Brixが1〜20である、(1)〜(6)のいずれか1に記載の炭酸飲料。
(8)ミネラルを0.1〜100mg/100mlさらに含有する、(1)〜(7)のいずれか1に記載の炭酸飲料。
(9)容器詰め飲料である、(1)〜(8)のいずれか1に記載の炭酸飲料。
【発明の効果】
【0009】
本発明によって、香料に起因する清涼感が持続する炭酸飲料を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の飲料について、以下に説明する。なお、特に断りがない限り、本明細書において用いられる「ppm」、及び「ppb」は、重量/容量(w/v)のppm、及びppbを意味する。
【0011】
本発明の一態様は、香料を含む炭酸飲料であって、
(a)カフェインを5〜80mg/100mL含有し、
(b)イソα酸を5〜100ppm及び/又はクワシンを5〜100ppb含有する、
上記炭酸飲料である。本発明の炭酸飲料は、香料に起因する清涼感を持続させることができる。本明細書において清涼感とは、爽やかですっきりした風味を感じる感覚を意味する。
【0012】
(香料)
本発明の炭酸飲料は、香料を含有する。本明細書において香料とは、対象飲料に対して香りや味を付与することのできる物質を意味する。本発明では特に、清涼感を付与することのできる香料が好ましく、清涼感を有する香気成分が含まれた香料が好ましい。
【0013】
本発明で用いられる香料には、香気成分としてテルペン系化合物及び/又はエステル系化合物が含まれるものが好ましい。テルペン系化合物としては、リナロール、リモネン、α−ターピネオール、及びオクタナールが好ましいが、本発明における香料にはこれら以外のテルペン系化合物が含まれていてもよい。また、エステル系化合物としては、イソ吉草酸エチル、酢酸イソアミル、酪酸イソアミル、及び酪酸エチルが好ましいが、本発明における香料にはこれら以外のエステル系化合物が含まれていてもよい。上記の香気成分について、本発明における香料では、1種のみが含まれていてもよいし、2種以上、3種以上、又は4種以上が組み合わされて含まれていてもよい。なお、香料は本発明の炭酸飲料に含まれることから、香料に含まれる上記の香気成分は、本発明の炭酸飲料に含まれるともいえる。
【0014】
香料又は本発明の炭酸飲料に含まれるリナロール、リモネン、α−ターピネオール、n−オクタナール、酪酸エチル、イソ吉草酸エチル、酢酸イソアミル又は酪酸イソアミルの量は特に限定されない。本発明の炭酸飲料中の濃度として、リナロールは、例えば0.01〜100000ppb、好ましくは0.1〜50000ppb、より好ましくは1〜10000ppbとすることができ、リモネンは、例えば0.01〜5000000ppb、好ましくは0.1〜2500000ppb、より好ましくは1〜1000000ppbとすることができ、α−ターピネオールは、例えば0.01〜1000000ppb、好ましくは0.1〜100000ppb、より好ましくは1〜10000ppbとすることができ、n−オクタナールは、例えば0.001〜10000000ppb、好ましくは0.01〜1000000ppb、より好ましくは0.1〜100000ppbとすることができ、酪酸エチルは、例えば0.01〜100000ppb、好ましくは0.1〜50000ppb、より好ましくは1〜10000ppbとすることができ、イソ吉草酸エチルは、例えば0.01〜1000000ppb、好ましくは0.1〜100000ppb、より好ましくは1〜10000ppbとすることができ、酢酸イソアミルは、例えば0.001〜10000000ppb、好ましくは0.01〜1000000ppb、より好ましくは0.1〜100000ppbとすることができ、酪酸イソアミルは、例えば0.001〜10000000ppb、好ましくは0.01〜1000000ppb、より好ましくは0.1〜100000ppbとすることができる。本発明の炭酸飲料における香料の含有量も特に限定されないが、リナロール、リモネン、α−ターピネオール、n−オクタナール、酪酸エチル、イソ吉草酸エチル、酢酸イソアミル又は酪酸イソアミルの飲料中の濃度が上記の範囲となるように香料の含有量を調整することができる。
【0015】
本発明の炭酸飲料において、リナロール、リモネン、α−ターピネオール、n−オクタナール、酪酸エチル、イソ吉草酸エチル、酢酸イソアミル及び酪酸イソアミルの含有量は、それぞれガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)などの公知の手法を用いて測定することができる。
【0016】
本発明で用いられる香料は、特に限定されないが、清涼感を付与するという点で柑橘系香料であることが好ましい。本明細書において柑橘系香料とは、対象飲料に対して柑橘系果実様の香りや味を付与することのできる香料組成物を意味する。本発明における柑橘系香料としては、特に限定されないが、例えば、レモン香料、グレープフルーツ香料、オレンジ香料、ライム香料、シークヮーサー香料、ユズ香料、スダチ香料、及びカボス香料等が挙げられる。本発明において柑橘系香料は、レモン香料、グレープフルーツ香料、及びオレンジ香料が好ましい。本発明の炭酸飲料では、1種のみの柑橘系香料が含まれていてもよいし、2種以上、3種以上、又は4種以上の柑橘系香料が含まれていてもよい。
【0017】
また、本発明で用いられる香料は、柑橘系香料以外のフルーツ香料であってもよく、2種以上の果実が組み合わされたフルーツミックス香料も本発明における香料の一つである。本発明の炭酸飲料では、1種のみのフルーツ香料が含まれていてもよいし、2種以上、3種以上、又は4種以上のフルーツ香料が含まれていてもよい。また、本発明の香料は、フルーツ香料以外の香料であってもよい。なお、フルーツミックス香料のうち、組み合わされる果実の中に柑橘系果実が含まれるものは、柑橘系香料の範囲に包含される。
【0018】
(カフェイン)
本発明の炭酸飲料は、特定量のカフェインを含有することを特徴とする。本発明の炭酸飲料におけるカフェインの含有量は5〜80mg/100mLである。本発明の炭酸飲料におけるカフェインの含有量は、好ましくは8mg/100mL以上、より好ましくは10mg/100mL以上であり、好ましくは45mg/100mL以下、より好ましくは33mg/100mL以下である。カフェインの含有量が上記範囲内にあることにより本発明の効果は十分に発揮される。カフェインの含有量は多くなりすぎると飲料の香味に悪影響を及ぼす傾向にあり、例えばカフェインの含有量が150mg/100mL以上になると飲料の苦味が強くなり飲料として適さない場合がある。典型的に、本発明の炭酸飲料におけるカフェインの含有量は、好ましくは8〜45mg/100mL、より好ましくは10〜33mg/100mLである。カフェインの含有量については、カフェインが水和物等の形態にある場合は、これを遊離体(フリー体)に換算した上で当該含有量を算出するものとする。カフェインの含有量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた方法によって、測定及び定量できる。
【0019】
本発明に用いられるカフェインは、食品添加物の他、カフェインを含有する植物(茶葉、コーラの実、コーヒー豆等)の抽出物又はその濃縮物の形態でも用いることができる。本発明の炭酸飲料においては、食品添加物基準の市販品を用いることが好ましく、その中でも純品(カフェイン含量98%以上の精製品)を用いることが好ましい。
【0020】
(イソα酸、クワシン)
本発明の炭酸飲料は、特定量のイソα酸及び/又はクワシンを含有することを特徴とする。イソα酸は、ホップ由来の苦味成分であるα酸が異性化(イソ化)した化合物であり、イソフムロンとも言われている。本発明においてイソα酸を用いる場合、本発明の炭酸飲料におけるイソα酸の含有量は5〜100ppmである。本発明の炭酸飲料におけるイソα酸の含有量は、好ましくは6ppm以上、より好ましくは8ppm以上、さらに好ましくは10ppm以上であり、好ましくは60ppm以下、より好ましくは40ppm以下、さらに好ましくは30ppm以下である。イソα酸の含有量が上記範囲内にあることにより本発明の効果は十分に発揮される。典型的に、本発明の炭酸飲料におけるイソα酸の含有量は、好ましくは6〜60ppm、より好ましくは8〜40ppm、さらに好ましくは10〜30ppmである。
【0021】
本発明の炭酸飲料におけるイソα酸の含有量は、EBC(European Brewery Convention)が発行している分析法の規定「Analytica−EBC」のMethod 7.7に従って測定することができる。
【0022】
本発明の炭酸飲料に含まれるイソα酸は、ホップからの抽出物を用いてもよいし、市販のイソα酸製剤を用いてもよい。市販のイソα酸製剤としては、例えばISOHOP(John I. HAAS社)などが挙げられる。ホップの抽出手段としては公知の技術であれば何ら限定されず用いることができる。
【0023】
クワシン(quassin)は、分子式C
22H
28O
6で表される物質であり、クアシンとも言われている。クワシンは、ジャマイカカッシア(Quassia excelsa SW.)抽出物の苦味成分の一つであることが知られている。ジャマイカカッシア抽出物はカッシアエキスともカッシアともいい、ニガキ科ジャマイカカッシアの幹枝又は樹皮より水で抽出して得られる。本発明においてクワシンを用いる場合、本発明の炭酸飲料におけるクワシンの含有量は5〜100ppbである。本発明の炭酸飲料におけるクワシンの含有量は、好ましくは8ppb以上、より好ましくは12ppb以上、さらに好ましくは14ppb以上であり、好ましくは50ppb以下、より好ましくは40ppb以下、さらに好ましくは20ppb以下である。クワシンの含有量が上記範囲内にあることにより本発明の効果は十分に発揮される。典型的に、本発明の炭酸飲料におけるクワシンの含有量は、好ましくは8〜50ppb、より好ましくは12〜40ppb、さらに好ましくは14〜20ppbである。
【0024】
本発明の炭酸飲料におけるクワシンの含有量は、LC−MS(液体クロマトグラフ質量分析計)で測定することができる。
【0025】
本発明の炭酸飲料は、上述した所定の濃度でイソα酸とクワシンとの両方を含んでいてもよい。イソα酸とクワシンの両方が含まれることで、香料に起因する清涼感の持続効果が高まることが期待される。
【0026】
(炭酸飲料)
本発明の炭酸飲料は、炭酸ガス(二酸化炭素)を含有させた飲料である。炭酸ガスは、当業者に公知の方法を用いて飲料中に提供することができ、例えば、これらに限定されないが、二酸化炭素を加圧下で飲料に溶解させてもよいし、カーボネーターなどのミキサーを用いて配管中で二酸化炭素と飲料とを混合してもよい。あるいは、二酸化炭素を充填したタンク中に飲料を噴霧することにより二酸化炭素を飲料に吸収させてもよいし、飲料と炭酸水とを混合してもよい。
【0027】
本発明の炭酸飲料の炭酸ガス圧は、特に限定されないが、温度20℃において、例えば1.0〜5.0kgf/cm
2、好ましくは1.5〜4.0kgf/cm
2、より好ましくは2.0〜3.5kgf/cm
2とすることができる。本発明において、炭酸飲料中の炭酸ガス圧は、例えば、京都電子工業製ガスボリューム測定装置GVA−500Aを用いて測定することができる。試料温度を20℃にし、前記ガスボリューム測定装置において容器内空気中のガス抜き(スニフト)、振とう後、炭酸ガス圧を測定すればよい。
【0028】
本発明の炭酸飲料としては、例えば、非アルコール飲料、及びアルコール飲料等が挙げられるが、非アルコール飲料であることが好ましい。ここで、非アルコール飲料とは、エタノールが1体積%(v/v)未満の飲料を意味する。非アルコール飲料としては、エナジー飲料、コーラ飲料、ジンジャーエール、炭酸水、スパークリング飲料、サイダー、果汁含有炭酸飲料、及びビールテイスト飲料等の清涼飲料水が挙げられ、エナジー飲料及びコーラ飲料が好ましく、エナジー飲料が特に好ましい。一方、ビールテイスト飲料は、ビール特有のコクにより、本発明の効果が目立たなくなるおそれがあるので、ビールテイスト飲料でないことが好ましい。
【0029】
(酸度)
本発明の炭酸飲料の酸度は、特に限定されないが、例えば0.02〜1.00g/100gであり、好ましくは0.10〜0.7g/100g、より好ましくは0.15〜0.35g/100gである。酸度が1.00g/100gを超えると酸味が強すぎて飲料として飲みにくく、一方、酸度が0.02g/100gを下回ると飲用時の清涼感が弱くなり、本発明の効果が感じにくくなる場合がある。
【0030】
本明細書において用いる酸度とは、酸の含有量の指標となる値であり、一定量の飲料(試料)に水酸化ナトリウムなどのアルカリを加えて中和する際の、中和に要した(pH7.0)アルカリの量から計算により求めることができる。酸度の測定には、自動滴定装置(Mettler toledo DL50など)を用いることができる。本発明において、酸度は、クエン酸量に換算した値(中和量から、飲料に含まれている酸が全てクエン酸であると仮定して計算して求める)を用いる。
【0031】
本発明の炭酸飲料の酸度は、いずれの酸を用いて調整してもよい。例えば、クエン酸、リン酸、酒石酸、リンゴ酸、シュウ酸、グルコン酸、アスコルビン酸、コハク酸、乳酸、酢酸、硫酸、塩酸、フマル酸、フィチン酸、イタコン酸、又はその他の酸を用いて炭酸飲料の酸度を調整することができるが、これに限定されない。また、本発明において酸度は、果汁(透明果汁及び混濁果汁のいずれであってもよい)や食品添加物基準の酸味料等を用いて調整することもできる。
【0032】
(Brix)
本発明の炭酸飲料のBrixは、特に限定されないが、例えば1〜20であり、好ましくは3〜15、より好ましくは5〜12である。Brix値は、糖度計や屈折計などを用いて20℃で測定された屈折率を、ICUMSA(国際砂糖分析法統一委員会)の換算表に基づいてショ糖溶液の質量/質量パーセントに換算した値であり、溶液中の可溶性固形分濃度を表す。単位は「°Bx」、「%」または「度」で表示される。飲料のBrix値が低ければ、糖質を含めた可溶性固形分の濃度が低いこととなる。
【0033】
(ミネラル)
本発明の炭酸飲料は、特に限定されるわけではないが、ミネラルを含有してもよい。ミネラルを含有させることにより、夏場やスポーツの際に引用する水分補給用飲料にもなり得る。その際、ミネラルの濃度を適度な範囲に調整することにより、発汗時のミネラル補給用の飲料とすることができる。ミネラルとしては、これらに限定されないが、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄等を挙げることができ、これらを飲食品に用いることができる塩の形態で、或いはこれらを豊富に含む海洋深層水、海藻エキスなどを本発明の炭酸飲料に添加することができる。本発明の炭酸飲料において、ミネラルは一種のみを単独で用いてもよく、或いは二種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明の炭酸飲料に用いられるミネラルは、好ましくはナトリウムである。
【0034】
本発明の炭酸飲料におけるミネラルの含有量は、特に限定されないが、例えば0.1〜100mg/100mlであり、好ましくは1〜80mg/100ml、より好ましくは5〜60mg/100mlである。ミネラルが塩の形態にある場合は、これを遊離体(フリー体)に換算した上で前記の含有量を算出するものとする。本発明の炭酸飲料におけるミネラルの含有量は、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析装置(ICP−AES)を用いて当業者に公知の方法により測定することができる。
【0035】
(その他の成分)
本発明の炭酸飲料には、本発明の効果を妨げない範囲で、通常の飲料と同様、各種添加剤等を配合してもよい。各種添加剤としては、例えば、糖類(ブドウ糖、果糖、ショ糖など)、栄養強化剤(ビタミン類など)、酸化防止剤、乳化剤、保存料、エキス類、食物繊維、pH調整剤、品質安定剤等を挙げることができる。
【0036】
(pH)
本発明の炭酸飲料のpHとしては、特に限定されないが、例えばpH2〜8であり、好ましくはpH2.5〜7、より好ましくはpH3〜6である。pH調整剤としては、例えば、クエン酸三ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素ニナトリウム、及び炭酸カリウム等が挙げられるが、本発明では特にクエン酸三ナトリウムが最も好ましい。
【0037】
(容器詰め飲料)
本発明の炭酸飲料は、容器詰め飲料とすることもできる。容器詰め飲料とすることにより長期間に渡って安定に保存することが可能になるため好適である。容器詰め飲料の容器は特に限定されず、金属製容器、樹脂製容器、紙容器、ガラス製容器など、通常用いられる容器のいずれも用いることができる。具体的には、アルミ缶やスチール缶などの金属製容器、PETボトルなどの樹脂製容器、紙パックなどの紙容器、ガラス瓶などのガラス製容器などを挙げることができる。
【0038】
また、本発明の炭酸飲料は、加熱殺菌処理されていても、加熱殺菌処理されていなくてもよいが、加熱殺菌処理されていることが好ましい。本発明の炭酸飲料を加熱殺菌処理する場合、その加熱殺菌方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、炭酸飲料や炭酸ガス封入前の飲料を容器に充填した後に加熱殺菌を行う方法や、炭酸ガス封入前の飲料を加熱殺菌して容器に充填する方法などにより、加熱殺菌処理された容器詰め飲料を製造することができる。より具体的には、ペットボトルや紙パック、瓶飲料、パウチ飲料などの容器詰め飲料とする場合には、例えば65〜130℃、好ましくは85〜120℃で1〜60秒保持するFP又はUHT殺菌を行うことができる。加熱殺菌処理の時間は10〜40分であってもよく、上記の条件と同等の殺菌効果が得られれば適当な温度で数秒、例えば5〜30秒での殺菌でも問題はない。本発明の炭酸飲料を容器詰め飲料とする場合は、ホットパック充填法又は無菌充填法のいずれも用いることができる。
【0039】
(製造方法)
本発明の炭酸飲料は、上述した成分を適宜配合することにより製造することができる。本発明の炭酸飲料の製造において、各種成分の配合順序は特に限定されるものではない。また、本発明の炭酸飲料の製造においては、上記に示した成分及び材料を配合する工程やそれらの含有量を調整する工程も含むことができる。本発明の炭酸飲料の製造における飲料中の成分の種類やその含有量等の各種要素については、本発明の炭酸飲料に関して上記した通りであるか、それらから自明である。
【0040】
本発明の炭酸飲料の製造においては、飲料に炭酸ガス(二酸化炭素)を含有させる工程や炭酸ガス圧を調整する工程を含んでいてもよい。炭酸ガスを含有させる方法や炭酸ガス圧については、本発明の炭酸飲料に関して上記した通りであるか、それらから自明である。また、本発明の炭酸飲料の製造においては、飲料のpHを調整する工程も含むことができ、調整すべき飲料のpHについても上記に示した通りである。
【0041】
また、本発明の炭酸飲料の製造においては、必要に応じて、飲料を殺菌する工程や飲料の容器詰めを行う工程も含むことができ、これらの工程を経て、容器詰め飲料とすることができる。本発明の炭酸飲料の殺菌及び容器詰めに関する方法や条件についても、本発明の炭酸飲料に関して上記した通りであるか、それらから自明である。
【実施例】
【0042】
以下、実験例を示して本発明の詳細を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、本明細書において、特に記載しない限り、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
【0043】
(実験例1)
香料として市販のオレンジ香料(リナロール2200ppm、n−オクタナール190ppm含有)を用いて、炭酸飲料を調製した。具体的には、グラニュー糖、クエン酸(無水)、クエン酸三ナトリウム、オレンジ香料、及びカフェイン、並びにイソα酸又はクワシンのいずれかを純水に順次添加し、そこに炭酸水を配合して炭酸飲料を調製した。また、イソα酸及びクワシンを両方とも用いた炭酸飲料も調製した。イソα酸としては、イソアルファー苦味酸(JOHN I. HAAS,INC.社)を、クワシンとしては、クワシンを含有するジャマイカカッシア抽出物を原料として使用した。
【0044】
本実験においては、グラニュー糖の濃度が6.3%(w/v)、クエン酸(無水)の濃度が0.31%(w/v)、オレンジ香料の濃度が0.05%(w/v)となるように各種成分を配合し(いずれも炭酸飲料における濃度である)、また、pH3.1となるようにクエン酸三ナトリウムを配合して、炭酸飲料を調製した。また、カフェイン、イソα酸、及びクワシンの炭酸飲料中の最終濃度は下表に示した通りである。
【0045】
得られた炭酸飲料はいずれも、Brixが6.5、酸度(クエン酸換算)が0.3g/100g、pHが約3.1、液温20℃におけるガス圧が2.8kgf/cm
2であった。次いで、調製した炭酸飲料を350mLペットボトル容器に充填し、密閉して、容器詰め炭酸飲料を製造した。
【0046】
得られた容器詰め炭酸飲料を5℃に冷却してから、官能評価試験を実施した。具体的には、良く訓練された官能評価者3名が各種炭酸飲料を飲用し、飲用時および飲用してから10秒後のオレンジ香料由来の清涼感について、下記の6段階の基準に基づいて評価した。
・6点:清涼感をとても感じる
・5点:清涼感を感じる
・4点:清涼感をやや感じる
・3点:どちらでもない
・2点:清涼感をほとんど感じない
・1点:清涼感を感じない
結果を下表に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
上記の結果の通り、所定量のカフェインとイソα酸との組み合わせ、又は所定量のカフェインとクワシンとの組み合わせによって、炭酸飲料を飲用した際のオレンジ香料に由来する清涼感が持続することが示された。上記の結果から、所定量のカフェインとイソα酸との組み合わせ、又は所定量のカフェインとクワシンとの組み合わせは、リナロールを含有する香料を含んだ炭酸飲料において、当該香料に起因する清涼感を持続させる効果を有することが示唆された。なお、所定量のカフェインに対して所定量のイソα酸とクワシンとを組み合わせた場合にも、炭酸飲料を飲用した際のオレンジ香料に由来する清涼感が持続することが確認できた。
【0051】
(実験例2)
香料として、レモン香料(リモネン18000ppm、α−ターピネオール530ppm含有)、グレープフルーツ香料(リモネン10000ppm、n−オクタナール150ppmを含有)、及びフルーツミックス香料(酪酸エチル15000ppm、イソ吉草酸エチル1800ppm、酢酸イソアミル1500ppm及び酪酸イソアミル900ppm含有)を用いて、炭酸飲料の評価を行った。炭酸飲料は、実験例1と同様にして調製し、オレンジ香料に代えてレモン香料、グレープフルーツ香料及びフルーツミックス香料を使用した。炭酸飲料中のレモン香料、グレープフルーツ香料及びフルーツミックス香料の濃度はそれぞれ0.05%(w/v)とした。また、カフェイン、イソα酸、及びクワシンの炭酸飲料中の最終濃度は下表に示した通りである。
【0052】
得られた炭酸飲料はいずれも、Brixが6.5、酸度(クエン酸換算)が0.3g/100g、pHが約3.1、液温20℃におけるガス圧が2.8kgf/cm
2であった。炭酸飲料は、実験例1と同様にして容器詰め炭酸飲料とした。
【0053】
本実験での官能評価試験も実験例1と同様にして実施した。すなわち、炭酸飲料の飲用時および飲用してから10秒後の各種香料由来の清涼感について、実験例1と同様にして官能評価を行った。その結果を下表に示す。
【0054】
【表4】
【0055】
【表5】
【0056】
上記の結果の通り、レモン香料、グレープフルーツ香料、及びフルーツミックス香料を用いた場合はいずれも、所定量のカフェインとイソα酸との組み合わせ、又は所定量のカフェインとクワシンとの組み合わせによって、炭酸飲料を飲用した際の各種香料に由来する清涼感が持続することが示された。以上の結果から、所定量のカフェインとイソα酸との組み合わせ、又は所定量のカフェインとクワシンとの組み合わせによる清涼感の持続効果は、香気成分としてリナロール、リモネン、α−ターピネオール、n−オクタナール、酪酸エチル、イソ吉草酸エチル、酢酸イソアミル及び酪酸イソアミルからなる群より選ばれる少なくとも1つを含有する香料に対して有効であることが示唆された。