特許第6684981号(P6684981)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6684981
(24)【登録日】2020年4月2日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】液体塗布容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/04 20060101AFI20200413BHJP
   B43K 1/12 20060101ALI20200413BHJP
   B43K 8/02 20060101ALI20200413BHJP
   B05C 17/00 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
   A45D34/04 525A
   B43K1/12 B
   B43K8/02 100
   B05C17/00
【請求項の数】10
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-154081(P2015-154081)
(22)【出願日】2015年8月4日
(65)【公開番号】特開2017-29511(P2017-29511A)
(43)【公開日】2017年2月9日
【審査請求日】2018年6月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】591147339
【氏名又は名称】株式会社トキワ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(72)【発明者】
【氏名】八角 梨紗
【審査官】 高田 基史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−269133(JP,A)
【文献】 特開2015−002984(JP,A)
【文献】 特開2012−101395(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3137562(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/04
B05C 17/00
B43K 1/12
B43K 8/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を含浸した含浸体を内部に収容する容器本体と、前記液体を塗布するための塗布部を有し前記含浸体から前記液体を取り入れ前記塗布部に誘導する毛細管現象を発現する塗布体と、を備え、前記塗布体は、前記塗布部が形成され前記容器本体から外部に向かって突出する先部と、前記含浸体から前記液体を取り入れる後部と、を備える液体塗布容器であって、
前記塗布体は、板状に構成されており、
前記塗布体が挿入され当該塗布体を支持する塗布体ホルダを備え、
前記塗布体ホルダは、その後部に、前記塗布体の挿入方向に沿うように設けられ前記塗布体の後部を挟むようにして支持すると共に後端が開口され、且つ、前記含浸体に進入する支持部を備え、
前記後端の開口に連通し前側に延びると共に側方に貫通するスリットが、前記支持部同士の間に備えられ
前記支持部の側方端において前記スリットに前記塗布体が進入していることを特徴とする液体塗布容器。
【請求項2】
液体を含浸した含浸体を内部に収容する容器本体と、前記液体を塗布するための塗布部を有し前記含浸体から前記液体を取り入れ前記塗布部に誘導する毛細管現象を発現する塗布体と、を備え、前記塗布体は、前記塗布部が形成され前記容器本体から外部に向かって突出する先部と、前記含浸体から前記液体を取り入れる後部と、を備える液体塗布容器であって、
前記塗布体は、板状に構成されており、
前記塗布体が挿入され当該塗布体を支持する塗布体ホルダを備え、
前記塗布体ホルダは、その後部に、前記塗布体の挿入方向に沿うように設けられ前記塗布体の後部を包むようにして支持すると共に後端が開口され、且つ、前記含浸体に進入する支持部を備え、
前記後端の開口に連通し前側に延びると共に側方に貫通する液体進入スリットが、前記支持部の側面に備えられ
前記支持部の側方端において前記液体進入スリットに前記塗布体が進入していることを特徴とする液体塗布容器。
【請求項3】
液体を含浸した含浸体を内部に収容する容器本体と、前記液体を塗布するための塗布部を有し前記含浸体から前記液体を取り入れ前記塗布部に誘導する毛細管現象を発現する塗布体と、を備え、前記塗布体は、前記塗布部が形成され前記容器本体から外部に向かって突出する先部と、前記含浸体から前記液体を取り入れる後部と、を備える液体塗布容器であって、
前記塗布体は、板状に構成されており、
前記塗布体が挿入され当該塗布体を支持する塗布体ホルダを備え、
前記塗布体ホルダは、その後部に、前記塗布体の挿入方向に沿うように設けられ前記塗布体の後部を挟むようにして支持すると共に後端が開口され、且つ、前記含浸体が進入する支持部を備え、
前記支持部同士の間に、前記後端の開口に連通し前側に延びるスリットを備え、
前記塗布体ホルダは、前記スリットを後側から前側へ通る前記塗布体を突き当てるためのストッパを備えることを特徴とする液体塗布容器。
【請求項4】
液体を含浸した含浸体を内部に収容する容器本体と、前記液体を塗布するための塗布部を有し前記含浸体から前記液体を取り入れ前記塗布部に誘導する毛細管現象を発現する塗布体と、を備え、前記塗布体は、前記塗布部が形成され前記容器本体から外部に向かって突出する先部と、前記含浸体から前記液体を取り入れる後部と、を備える液体塗布容器であって、
前記塗布体は、板状に構成されており、
前記塗布体が挿入され当該塗布体を支持する塗布体ホルダを備え、
前記塗布体ホルダは、その後部に、前記塗布体の挿入方向に沿うように設けられ前記塗布体の後部を挟むようにして支持すると共に後端が開口され、且つ、前記含浸体に進入する支持部を備え、
前記支持部同士の間に、前記後端の開口に連通し前側に延びるスリットを備え、
前記塗布体ホルダは、前記スリットを後側から前側へ通る前記塗布体を突き当てるためのストッパを備えることを特徴とする液体塗布容器。
【請求項5】
前記塗布体は、繊維質の材質から成ることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の液体塗布容器。
【請求項6】
前記含浸体は中綿であることを特徴とする請求項1又は2又は4記載の液体塗布容器。
【請求項7】
前記塗布体は、前記塗布体ホルダの前記後端の開口から後方へ突出していることを特徴とする請求項記載の液体塗布容器。
【請求項8】
前記含浸体は中継芯であることを特徴とする請求項3記載の液体塗布容器。
【請求項9】
前記中継芯は先端に突起を備え、
前記塗布体の後端面には、前記中継芯の前記突起が進入するへこみを備えることを特徴とする請求項記載の液体塗布容器。
【請求項10】
前記液体は、アイライナー化粧料であることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の液体塗布容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を塗布するための液体塗布容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体を塗布する容器として、以下の特許文献1に記載のマーキングペンが知られている。この特許文献1のマーキングペンは以下の通りである。すなわち、従来にあっては、塗布体であるペン体を、容器に収容された含浸体であるインキ吸蔵体に差し込み挿入する際に、ペン体は例えば繊維体より成り柔らかいため曲りが発生し、組立作業が困難であるという問題点に鑑みなされたものであって、有底筒状で後端が尖ったペン体保持部材を設け、このペン体保持部材にペン体を嵌挿し保持させると共に当該ペン体保持部材をインキ吸蔵体へ挿入し、且つ、ペン体保持部材の側壁(周壁)に軸線方向に延び内外を連通するスリット状の切欠部を設けて当該切欠部からペン体を露出させ、この露出部分をインキ吸蔵体に進入させる構成を採用している。そして、このマーキングペンによれば、柔らかいペン体をインキ吸蔵体に直接挿入することなく、ペン体を内部に保持したペン体保持部材をインキ吸蔵体に挿入する構成のため、ペン体保持部材の側壁の切欠部を通して、インキ吸蔵体から液体であるインキが伝達されるようになっている。
【0003】
一方、特許文献1とは逆に、塗布体に対して含浸体を突き刺す特許文献2に記載の塗布具が知られている。この塗布具にあっては、含浸体を棒状の塗料フィーダとし、この塗料フィーダの後端部を、容器内の塗料タンクに収容された液体である塗料に浸漬すると共に、塗料フィーダの先端部を、塗布体であるブラシに突き刺し差し込む構成を採用し、塗料タンクの塗料が塗料フィーダを通してブラシへ供給されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭59−99791号公報
【特許文献2】特開2015−80856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1にあっては、インキが、ペン体保持部材の側壁の切欠部から回り込んで内部に進入しペン体の先端へ直進していくため、インキの流れに抵抗が働き、インキが円滑に移動し難いという問題がある。また、ペン体を、薄く柔らかい扁平状の板材とした場合には、上述のように円滑に移動し難いインキを、さらにペン体保持部材の周方向から切欠部を通して内部のペン体に片寄りなく円滑に移動させるのは、より難しいという問題がある。
【0006】
一方、特許文献2にあっては、塗料タンクから塗料フィーダを通してブラシにインクを移動させる際に、当該インクは円滑に移動するが、ブラシを薄く柔らかい扁平状の板材とした場合には、塗料フィーダの先端部を、薄く柔らかい扁平状の板材に突き刺し差し込もうとしても、当該板材はぺらぺらで、塗料フィーダの先端部の差し込みに対して逃げてしまいうまく差し込むことができず、インクを板材に供給できない虞がある。
【0007】
従って、特許文献1、2に鑑み、板状の塗布体を採用した場合に、インキやインク等の液体を、インキ吸蔵体や塗料フィーダ等の含浸体から板状の塗布体へ円滑且つ確実に移動させることが望まれている。
【0008】
そこで、本発明は、含浸体の液体を板状の塗布体へ確実且つ円滑に移動させることができる液体塗布容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による液体塗布容器は、液体を含浸した含浸体を内部に収容する容器本体と、液体を塗布するための塗布部を有し含浸体から液体を取り入れ塗布部に誘導する毛細管現象を発現する塗布体と、を備え、塗布体は、塗布部が形成され容器本体から外部に向かって突出する先部と、含浸体から液体を取り入れる後部と、を備える液体塗布容器であって、塗布体は、板状に構成されており、塗布体が挿入され当該塗布体を支持する塗布体ホルダを備え、塗布体ホルダは、その後部に、塗布体の挿入方向に沿うように設けられ塗布体の後部を挟むようにして支持すると共に後端が開口され、且つ、含浸体に進入する支持部を備え、後端の開口に連通し前側に延びると共に側方に貫通するスリットが、支持部同士の間に備えられ、支持部の側方端においてスリットに塗布体が進入していることを特徴としている。
【0010】
このような液体塗布容器によれば、塗布体ホルダの後部の支持部が、液体を含浸した含浸体に進入し、板状で且つ毛細管現象を発現する塗布体の後部が、支持部に挟まれるように支持されながら、含浸体に進入するため、支持部により塗布体の後部が保護されながら折れ曲がることなく含浸体に容易に差し込まれる。このため、含浸体の液体を、塗布体へ確実に移動させることができると共に、支持部の後端の開口を通して液体の流れが直進となり、含浸体の液体を円滑に移動させることができる。
また、本発明による液体塗布容器は、液体を含浸した含浸体を内部に収容する容器本体と、液体を塗布するための塗布部を有し含浸体から液体を取り入れ塗布部に誘導する毛細管現象を発現する塗布体と、を備え、塗布体は、塗布部が形成され容器本体から外部に向かって突出する先部と、含浸体から液体を取り入れる後部と、を備える液体塗布容器であって、塗布体は、板状に構成されており、塗布体が挿入され当該塗布体を支持する塗布体ホルダを備え、塗布体ホルダは、その後部に、塗布体の挿入方向に沿うように設けられ塗布体の後部を包むようにして支持すると共に後端が開口され、且つ、含浸体に進入する支持部を備え、後端の開口に連通し前側に延びると共に側方に貫通する液体進入スリットが、支持部の側面に備えられ、支持部の側方端において液体進入スリットに塗布体が進入していることを特徴としている。
このような液体塗布容器によれば、塗布体ホルダの後部の支持部が、液体を含浸した含浸体に進入し、板状で且つ毛細管現象を発現する塗布体の後部が、支持部に包まれるように支持されながら、含浸体に進入するため、支持部により塗布体の後部が保護されながら折れ曲がることなく含浸体に容易に差し込まれる。このため、含浸体の液体を、塗布体へ確実に移動させることができると共に、支持部の後端の開口を通して液体の流れが直進となり、含浸体の液体を円滑に移動させることができる。また、液体進入スリットを通して含浸体の液体が支持部内に進入し、一層多くの液体を塗布体へ移動させることができる。
また、本発明による液体塗布容器は、液体を含浸した含浸体を内部に収容する容器本体と、液体を塗布するための塗布部を有し含浸体から液体を取り入れ塗布部に誘導する毛細管現象を発現する塗布体と、を備え、塗布体は、塗布部が形成され容器本体から外部に向かって突出する先部と、含浸体から液体を取り入れる後部と、を備える液体塗布容器であって、塗布体は、板状に構成されており、塗布体が挿入され当該塗布体を支持する塗布体ホルダを備え、塗布体ホルダは、その後部に、塗布体の挿入方向に沿うように設けられ塗布体の後部を挟むようにして支持すると共に後端が開口され、且つ、含浸体が進入する支持部を備え、支持部同士の間に、後端の開口に連通し前側に延びるスリットを備え、塗布体ホルダは、スリットを後側から前側へ通る塗布体を突き当てるためのストッパを備えることを特徴としている。
このような液体塗布容器によれば、支持部の後端の開口を通して含浸体が進入し、この状態で、塗布体の後部が、支持部に挟まれるように支持されているため、当該塗布体の後部が逃げることなく、支持部に進入した含浸体が、塗布体の後部に容易に差し込まれる。このため、含浸体の液体を、塗布体へ確実に移動させることができると共に、支持部の後端の開口を通して液体の流れが直進となり、含浸体の液体を円滑に移動させることができる。また、塗布体が塗布体ホルダのストッパに突き当たることによって、塗布体の位置決めが容易に成されると共に、塗布体のそれ以上の前進が阻止され、これにより、塗布体の汚れを落とす等の清掃をしているときに当該塗布体が前方に抜け出てしまうことを防止できる。
また、本発明による液体塗布容器は、液体を含浸した含浸体を内部に収容する容器本体と、液体を塗布するための塗布部を有し含浸体から液体を取り入れ塗布部に誘導する毛細管現象を発現する塗布体と、を備え、塗布体は、塗布部が形成され容器本体から外部に向かって突出する先部と、含浸体から液体を取り入れる後部と、を備える液体塗布容器であって、塗布体は、板状に構成されており、塗布体が挿入され当該塗布体を支持する塗布体ホルダを備え、塗布体ホルダは、その後部に、塗布体の挿入方向に沿うように設けられ塗布体の後部を挟むようにして支持すると共に後端が開口され、且つ、含浸体に進入する支持部を備え、支持部同士の間に、後端の開口に連通し前側に延びるスリットを備え、塗布体ホルダは、スリットを後側から前側へ通る塗布体を突き当てるためのストッパを備えることを特徴としている。
このような液体塗布容器によれば、塗布体ホルダの後部の支持部が、液体を含浸した含浸体に進入し、板状で且つ毛細管現象を発現する塗布体の後部が、支持部に挟まれるように支持されながら、含浸体に進入するため、支持部により塗布体の後部が保護されながら折れ曲がることなく含浸体に容易に差し込まれる。このため、含浸体の液体を、塗布体へ確実に移動させることができると共に、支持部の後端の開口を通して液体の流れが直進となり、含浸体の液体を円滑に移動させることができる。また、塗布体が塗布体ホルダのストッパに突き当たることによって、塗布体の位置決めが容易に成されると共に、塗布体のそれ以上の前進が阻止され、これにより、塗布体の汚れを落とす等の清掃をしているときに当該塗布体が前方に抜け出てしまうことを防止できる。
【0011】
ここで、毛細管現象を発現する塗布体としては種々なものを採用できるが、上記作用を好適に奏する塗布体としては、具体的には、繊維質の材質から成る構成を採用できる。
【0012】
また、含浸体は中綿であるのが好ましい。このような構成を採用した場合、塗布体ホルダの支持部の方が中綿に比して硬いため、塗布体の後部を支持する支持部を確実に中綿に差し込むことができる。
【0013】
また、塗布体は、塗布体ホルダの後端の開口から後方へ突出していると、中綿との接触面積が大きくなり、一層多くの液体を塗布体へ移動させることができる。
【0015】
また、含浸体は中継芯であるのが好ましい。このような構成を採用した場合、肌に触れる塗布体の方が中継芯に比して柔らかいため、塗布体ホルダの支持部に挟まれるようにして支持される塗布体の後部のその後端面に対して、中継芯を確実に差し込むことができる。
【0016】
また、中継芯は先端に突起を備え、塗布体の後端面には、中継芯の突起が進入するへこみを備えていると、塗布体の後端面のへこみに、中継芯の突起が確実に差し込まれて進入することができる。
【0018】
ここで、液体としては種々なものを採用できるが、塗布体が板状であると共に毛細管現象を発現するものであることから、具体的には、アイライナー化粧料とするのが好適である。
【発明の効果】
【0019】
このように本発明によれば、含浸体の液体を板状の塗布体へ円滑且つ確実に移動させることができる液体塗布容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態に係る液体塗布容器を示す縦断面図である。
図2図1のII-II矢視図である。
図3図1及び図2中の塗布体及び塗布体ホルダを前方から見た斜視図である。
図4図3に示す塗布体及び塗布体ホルダを後方から見た斜視図である。
図5図1及び図2中の塗布体ホルダを後方から見た斜視図である。
図6図5に示す塗布体ホルダの側面図である。
図7図6に示す塗布体ホルダの平面図である。
図8図1及び図2中の塗布体を示す斜視図である。
図9図8に示す塗布体の側面図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る液体塗布容器を示す縦断面図である。
図11図10のXI-XI矢視図である。
図12図10及び図11中の塗布体及び塗布体ホルダを前方から見た斜視図である。
図13図12に示す塗布体及び塗布体ホルダを後方から見た斜視図である。
図14図10及び図11中の塗布体ホルダを後方から見た斜視図である。
図15図14に示す塗布体ホルダの側面図である。
図16図15に示す塗布体ホルダの平面図である。
図17図10及び図11中の塗布体を示す斜視図である。
図18図17に示す塗布体の側面図である。
図19図10及び図11中の含浸体を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明による液体塗布容器の好適な実施形態について図1図19を参照しながら説明する。図1図9は、本発明の第1実施形態を、図10図19は、本発明の第2実施形態を各々示すものであり、各図において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0022】
先ず、図1図9に示す第1実施形態を説明する。
【0023】
図1及び図2は、本発明の第1実施形態に係る液体塗布容器を示す各断面図、図3及び図4は、塗布体及び塗布体ホルダを示す各斜視図、図5図7は、塗布体ホルダを示す各図、図8及び図9は、塗布体を示す各図であり、本実施形態の液体塗布容器は、内部に収容した液体を使用者により適宜被塗布部に塗布することができるものである。液体は、ここでは、特に好適であるとして、アイラインを描くための液状化粧料であるアイライナー化粧料とされ、従って、液体塗布容器は、ここでは、アイライナー化粧料塗布容器とされている。
【0024】
図1及び図2に示すように、アイライナー化粧料塗布容器100は、容器外形を構成する容器本体1及び先筒2と、容器本体1内に収容された含浸体である中綿3と、容器本体1及び先筒2内に収容されると共に先筒2の先端の開口から突出する平板状の塗布体4と、を備える。
【0025】
容器本体1は、例えばPP等から形成され、先細の段付き円筒状に構成される。容器本体1の後端の開口は、例えばPP等から成る尾栓6を容器本体1に装着することにより閉じられ、容器本体1の外周面の段差面より後側に拡径して形成された内部空間に、アイライナー化粧料Lを含浸した中綿3が充填される。中綿3は、例えばポリエステル等から形成され長尺の円柱状を成し、その後端に配置された例えばHDPE等から成るアジャスター5によりそのサイズが調節可能とされる。
【0026】
先筒2は、塗布体4が挿入され当該塗布体4を支持するための塗布体ホルダであり(以降、先筒2を塗布体ホルダ2と呼ぶ)、例えばPP等から形成される。図5図7に示すように、塗布体ホルダ2は、先端側の先部2xと、後端側の後部2zと、先部2xと後部2zとの間の中間部2yと、を備え、図1及び図2に示すように、先部2xは、容器本体1から突出し、中間部2y及び後部2zは、容器本体1内に収容される。
【0027】
先部2xの後半部及び中間部2yは、筒状に構成され、これらを貫通する筒孔2hは、平板状の塗布体4の中間部4y(図8及び図9参照:詳しくは後述)の収容を可能とする形状、すなわち塗布体4の中間部4yの形状に合致した断面略長方形状とされる。
【0028】
図5図7に示すように、先部2xは、後端側の外周面が円形形状とされ、先端側に行くに従い円形形状が扁平形状になるように縮径する先細り形状とされる。そして、先細り形状の先端の開口2bが、断面略長方形状の筒孔2hに同様な形状で繋がる塗布体4の出口とされ(図1図3及び図4参照)、この出口となる開口2bの短径側(図7の上下方向)の開口縁に、長径側(図7の紙面垂直方向)の開口縁よりも前方に突出する突出部2gを、一対対向して備える。これらの突出部2g,2gは、塗布体4の後述の先部4xを両側から挟み支持する先部支持部であり(以降、突出部2gを先部支持部2gと呼ぶ)、当該塗布体4の先部4xの外縁に概ね沿うような形状となっている(塗布体4の先部4xの外縁の形状については後述)。
【0029】
中間部2yは、その外周面が、先部2xの後端に段差面2eを介して続く小径の円形形状となっており、所定長後方へ延びているブロック体である。そして、中間部2yの後端面には、当該中間部2yを貫通する断面略長方形状の筒孔2hの出口となる開口2dが開口されている。この開口2dを有する中間部2yの後端面の当該開口2dの周囲、より具体的には、当該開口2dの長径側の周囲が、塗布体4を組み付ける際に当該塗布体4のストッパ4f(詳しくは後述)が突き当たるストッパ2fとされる。
【0030】
後部2zは、中間部2yの後端面に、塗布体4の挿入方向に沿うように連設されて後方へ突出する一対の突出部2t,2tを備える。これらの突出部2t,2tは、塗布体4の後述の後部4zを両側から挟み支持する後部支持部であり(以降、突出部2tを後部支持部2tと呼ぶ)、個々の後部支持部2tは、平板状に構成され、後端側に行くに従い先細りとなる形状となっている。そして、後部支持部2t,2tは、開口2dの短径側(図7の上下方向)の開口縁の中央辺りから、後方へ突出する構成となっている。換言すれば、一方の後部支持部2tの一方側(図5の上側)の端部と他方の後部支持部2tの一方側(上側)の端部との間にスリット(隙間)2sが形成された格好となっており、一方の後部支持部2tの他方側(図5の下側)の端部と他方の後部支持部2tの他方側(図5の下側)の端部との間にも同様なスリット2sが形成された格好になっていて、これらのスリット2s,2sが対向し互いに連通する格好となっている。また、後部支持部2t,2t同士の間の後端は、後方へ開放され、開口2uが開口された格好となっている。
【0031】
塗布体4は、アイライナー化粧料Lを目の縁に沿って塗布する際に用いられるものであり、チップとも称されるものである。図8及び図9に示すように、塗布体4は、薄い平板状とされて軸線方向に延び、アイラインの細い線を描くのに最適な厚さにされる。この塗布体4は、中綿3に含浸されたアイライナー化粧料Lを取り入れて先端側の塗布部4aに誘導する(移動させる)毛細管現象を発現するものであり、塗布の際に肌に馴染む柔らかい感触が得られるように、ここでは、ポリオレフィンより形成されている。
【0032】
なお、塗布体4としては、最低限、毛細管現象を発現できれば良いが、柔らかい感触が得られるのが好ましく、柔らかい繊維質の材質や、スポンジ等の柔らかい多孔質材を採用することができ、ポリオレフィン以外の例えばナイロン、ポリエステル等より形成されても良い。因みに、繊維質の材質とするのが、より好ましい。
【0033】
この塗布体4は、先端側の先部4xと、後端側の後部4zと、先部4xと後部4zとの間の中間部4yと、を備える。
【0034】
先部4xは、塗布体ホルダ2の開口2bから突出する部分であり(図1参照)、平面視において(図9の紙面垂直方向視において)、例えば包丁等の片刃形状の先端部分(刃先)の形状を呈する。具体的には、先部4xの外縁の形状は、平面視において、片刃形状の刃の後側の部分である所謂みねに対応する部分4mが、直線状に構成され、その直線状の先端は、鋭角を成し尖る尖部4nとされ、この尖部4nから後方への部分は、刃の所謂反りの部分と同様に、湾曲し傾斜する湾曲傾斜面4aとなっている。そして、この厚みが薄く湾曲する湾曲傾斜面4aが、アイラインを描く塗布部となる(以降、湾曲傾斜面4aを塗布部4aと呼ぶ)。
【0035】
なお、ここでは、アイライナー化粧料Lを塗布するのに特に好ましい形状として、尖部4nは、片刃形状のように、平面視において幅方向(図9の上下方向)の一方側(図9の上側)に片寄って配置されているが、両刃形状のように、幅方向の中央に配置されていても良い。また、塗布部4aは湾曲し傾斜しているが、直線状に傾斜していても良い。
【0036】
中間部4yは、軸線方向の途中の両側面(図9の上下面)に、先端側に対して後端側が幅方向外側へ拡大する段差面4fを有し、この段差面4fより前側の部分に対して後側の部分が幅方向に広い平板となっている。そして、この段差面4fが、塗布体ホルダ2に組み付ける際に当該塗布体ホルダ2のストッパ2fに突き当たるストッパとされる(以降、段差面4fをストッパ4fと呼ぶ)。
【0037】
後部4zは、中綿3に進入しアイライナー化粧料Lを取り入れる部分であり(図1及び図2参照)、平面視において、例えば両刃形状の先端部分の形状を呈する。具体的には、後端の幅方向中央が、中綿3へ容易に差し込まれるべく、後方に向かって尖るように構成される。
【0038】
そして、平板状の塗布体4は、図3及び図4に示すように、その先部4xから、塗布体ホルダ2の中間部2yの後端面の開口2dに挿入され、図1及び図4に示すように、その段差面であるストッパ4fが、塗布体ホルダ2の中間部2yのストッパ2fに突き当たることにより、位置決めが成されると共にそれ以上の前進が阻止される。
【0039】
この状態で、図1図4に示すように、塗布体4の先部4xは、塗布体ホルダ2の先部2xの開口2bから突出し、塗布体4の先部4xの外縁形状に概ね沿うような外縁形状を有する(概ね小さい相似形とされる)塗布体ホルダ2の先部支持部2g,2gにより両側から挟まれ支持される。
【0040】
また、塗布体4の後部4zは、塗布体ホルダ2の中間部2yの後端面の開口2dから後方へ突出し、平板状を成し後方へ延びる塗布体ホルダ2の後部支持部2t,2tにより両側から挟まれて支持される。この状態で、塗布体4の後部4zは、塗布体ホルダ2の後部支持部2t,2tより後方へ多少はみ出すように突出していると共に、上下方向へ大きくはみ出すように突出している。
【0041】
そして、このようにして塗布体4が一体化された塗布体ホルダ2は、図1及び図2に示すように、その後部支持部2t,2t側から容器本体1の円筒状の先端部の筒孔に挿入され、その段差面2eが、容器本体1の先端面に突き当てられ、その段差面2eより後側の部分の外周面が、容器本体1の先端の内周面に嵌着されることにより、塗布体4を支持した塗布体ホルダ2が、容器本体1に装着される。
【0042】
この状態で、塗布体ホルダ2の後部支持部2t,2tに挟まれ支持された塗布体4の後部4zは、中綿3に進入し差し込まれた状態となっており、塗布体4は、塗布体ホルダ2のストッパ2fにより前進が阻止されると共に、中綿3により後退が阻止され、その軸線方向の位置決めが成されている。
【0043】
そして、このようにして、塗布体4を支持した塗布体ホルダ2が容器本体1に装着されることにより、図1及び図2に示すアイライナー化粧料塗布容器100が得られる。なお、アイライナー化粧料塗布容器100にあっては、図1に示すように、塗布体4を覆うようにキャップ9が着脱可能に装着される。
【0044】
このように構成されたアイライナー化粧料塗布容器100にあっては、中綿3に含浸されたアイライナー化粧料Lは、塗布体4の毛細管現象により、塗布体4の後部4zから取り入れられて当該塗布体4を移動しさらに先部4xの塗布部4aへ移動し、当該塗布部4aにより、アイラインの細い線を柔らかい感触で描くことができる。
【0045】
そして、特に、このようなアイライナー化粧料塗布容器100によれば、以下の作用・効果を奏する。すなわち、平板状で且つ毛細管現象を発現する塗布体4の後部4zが、塗布体ホルダ2の後部2zの後部支持部2t,2tに挟まれ支持されながら、後部支持部2t,2tが中綿3に進入する構成のため(図2参照)、当該後部支持部2t,2tにより、塗布体4の後部4zが保護されながら折れ曲がることなく中綿3に容易に差し込まれる。このため、中綿3のアイライナー化粧料Lを、塗布体4へ確実に移動させることができると共に、後部支持部2t,2tの後端の開口2uを通してアイライナー化粧料Lの流れが直進となり、中綿3のアイライナー化粧料Lを円滑に移動させることができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、塗布体ホルダ2の後部支持部2t,2tが中綿3に比して硬いため、後部支持部2t,2tを確実に中綿3に差し込むことができる。
【0047】
また、塗布体4は、塗布体ホルダ2の後端の開口2uから後方へ突出しているため(図2参照)、中綿3との接触面積が大きくなっており、一層多くのアイライナー化粧料Lを塗布体4へ移動させることができる。
【0048】
また、塗布体ホルダ2の後部支持部2t,2t同士の間に、後端の開口2uに連通し前側に延びるスリット2s,2sを備え、塗布体ホルダ2は、スリット2s,2sを後側から前側へ通る塗布体4を突き当てるためのストッパ2f,2fを備えているため(図5参照)、塗布体4のストッパ4f,4fが塗布体ホルダ2のストッパ2f,2fに突き当たることによって(図1参照)、塗布体4の位置決めが容易に成されると共に、塗布体4のそれ以上の前進が阻止され、これにより、図1及び図2に示すアイライナー化粧料塗布容器100の状態において塗布体4の汚れを落とす等の清掃をしているときに、当該塗布体4が前方に抜け出てしまうことを防止できる。
【0049】
さらに、本実施形態によれば、以下の作用・効果を奏する。すなわち、塗布体4は、アイラインの細い線を描くべく薄い平板状にされると共に、柔らかい感触のものとされているため、当該塗布体4はぺらぺらであり、そのままでは、塗布体4の先部4xが、アイラインを描く際の筆圧により折れ曲がってしまうという問題を生じるが、本実施形態においては、塗布体4の先部4xは、当該先部4xの外縁形状に概ね沿うような外縁形状を有する塗布体ホルダ2の先部支持部2g,2gにより両側から挟まれ支持されているため(図3及び図4参照)、アイラインを描く際の筆圧による塗布体4の先部4xの折れ曲がりを防止できる。そして、このように、アイラインを描く際の塗布体4の先部4xの折れ曲がりを防止できるため、塗布部4aにより、目の縁に沿って所望幅の細い綺麗なアイラインを容易に描くことができる。
【0050】
ここで、本発明者は、小型卓上試験機EZ Test(島津製作所製)を用い、支点間距離を20mm、クロスヘッド速度20mm/分、幅3mm、長さ30mmの試験片の厚さ方向に荷重を加える3点曲げ試験を行い、撓み量が4mmとなる際の荷重が0.17N以下である材質・厚さを有する塗布体が、柔らかく且つ塗布感が良い塗布体であることを見出した。そして、このような試験によれば、塗布体の材質をポリオレフィンとし、その厚さを1mm以下とすれば柔らかさを確保でき、柔らかさの観点から0.7mm以下とするのがより好ましいということが分かった。
【0051】
なお、第1実施形態では、特に好ましいとして、塗布体ホルダ2の後部支持部2t,2tにより、平板状の塗布体4の後部4zを挟むようにして支持しているが、塗布体4の後部4zのうち、塗布体ホルダ2の後部支持部2t,2tにより挟まれずに外部に露出している部分を覆うようにし、塗布体4の後部4zの全周を包むようにして支持するようにしても良い。このように構成しても、塗布体4の後部4zを、塗布体ホルダ2の後部支持部2t,2tにより挟み支持する場合とほぼ同様な作用・効果を奏する。因みに、このように後部支持部が塗布体4の後部4zの全周を包むようにして支持する場合、後部支持部の側面(周面)に、後端の開口2uに連通し前側に延びる液体進入スリットを単数又は複数設けることにより、中綿3のアイライナー化粧料Lが液体進入スリットを通して後部支持部内に進入し、一層多くのアイライナー化粧料Lを塗布体4へ移動させることができる。この場合、後部支持部内の塗布体4が、液体進入スリットへ進入、又は、液体進入スリットを通して外部の中綿3へ進入していると、より一層多くのアイライナー化粧料Lを塗布体4へ移動させることができるので、より好ましい。
【0052】
以上、第1実施形態にあっては、平板状の塗布体4を含浸体である中綿3に対して差し込むタイプのアイライナー化粧料塗布容器100について説明したが、次の図10図19に示す第2実施形態にあっては、平板状の塗布体に対して含浸体を差し込むタイプのアイライナー化粧料塗布容器について説明する。
【0053】
図10及び図11は、本発明の第2実施形態に係る液体塗布容器を示す各断面図、図12及び図13は、塗布体及び塗布体ホルダを示す各斜視図、図14図16は、塗布体ホルダを示す各図、図17及び図18は、塗布体を示す各図、図19は、含浸体を示す斜視図であり、この第2実施形態でも、液体塗布容器として、液体をアイライナー化粧料としたアイライナー化粧料塗布容器が用いられている。
【0054】
図10及び図11に示すように、アイライナー化粧料塗布容器200は、各部品を収容する容器本体11と、容器本体11内の後半部に設けられアイライナー化粧料Lを収容する収容部11aと、容器本体11の先端から突出し収容部11a内のアイライナー化粧料Lを塗布するための塗布体14と、塗布体14を支持し容器本体11に装着される塗布体ホルダ12と、容器本体11内に配置され収容部11a内と塗布体14を結ぶ含浸体である軸状の中継芯17と、中継芯17周りに装着された略円筒状のジャバラ部材18と、を備える。
【0055】
なお、ここでは、使用者が持って塗布しやすいように、容器本体11の後側に対して、有底円筒状で軸線方向に長尺な把持筒20が着脱可能又は着脱不能に装着されると共に、塗布体14を保護すべく、容器本体11の前側に対して、キャップ19が着脱可能に装着される。
【0056】
容器本体11は、例えばPP等から形成され、先細の円筒状に構成される。この容器本体11の先端側の外周面には、円環状の鍔部11bが設けられる。容器本体11の後端の開口は、例えばPP等から成る尾栓16を容器本体11に装着することにより閉じられ、容器本体11内のジャバラ部材18より後側に拡径して形成された内部空間が、アイライナー化粧料Lが充填された収容部11aとされる。収容部11a内には、アイライナー化粧料Lと共に、当該アイライナー化粧料Lを撹拌すべく例えばSUS等より形成された球状の撹拌子13が収容される。
【0057】
塗布体ホルダ12は、塗布体14が挿入され当該塗布体14を支持するためのものであり、例えばPP等から形成される。図14図16に示すように、塗布体ホルダ12は、先端側の先部12xと、後端側の後部12zと、先部12xと後部12zとの間の中間部12yと、を備え、図10及び図11に示すように、先部12xの先端側の突出部である先部支持部12g,12g(詳しくは後述)は、容器本体11から突出し、先部12xの先部支持部12g,12gより後側の部分、及び、中間部12y並びに後部12zは、容器本体11内に収容される。
【0058】
図14図16に示すように、先部12xの先部支持部12g,12gより後側の部分及び中間部12yは、円形の外周面を有する筒状に構成され、これらを貫通する筒孔12h(図10及び図11参照)は、その前半部が、平板状の塗布体14の中間部14y(図17及び図18参照:詳しくは後述)の収容を可能とする形状、すなわち塗布体14の中間部14yの形状に合致した断面略長方形状とされ、これに続く後半部の断面略長方形状が、その長径が前半部の長径と同じである(図10参照)一方で、その短径が、中継芯17の後述の軸部17aの直径と同じ長さとなっている(図11参照)。
【0059】
図14図16に示すように、先部12xの先部支持部12g,12gより後側の部分の先端の開口12bは、断面略長方形状の筒孔12hに同様な形状で繋がる塗布体14の出口とされ(図10図12及び図13参照)、この出口となる開口12bの短径側(図16の上下方向)の開口縁に、長径側(図16の紙面垂直方向)の開口縁よりも前方に突出する先部支持部12gを、一対対向して備える。これらの先部支持部12g,12gは、塗布体14の後述の先部14xを両側から挟み支持するものであり、先端側に行くに従い扁平形状になるように縮径する先細り形状とされる。また、この先部支持部12g,12gは、塗布体14の先部14xの外縁に概ね沿うような形状となっている(塗布体14の先部14xの外縁の形状については後述)。
【0060】
中間部12yは、その外周面が、先部12xの後端に段差面12eを介して続く大径の円形形状となっており、短尺に後方へ延びているブロック体である。中間部12yの後端部には、当該中間部12yを貫通する断面略長方形状の筒孔12hに軸線方向視で重なると共に、当該筒孔12hの長径側(図16の紙面垂直方向)に延びる溝12nが、中間部12yの後端面から所定深さで凹設されている。そして、中間部12yを貫通する筒孔12hは、溝12nとの交わる位置が、孔の出口となる開口12dとされる。そして、開口12dの長径側の周囲は、上記溝12nにより軸線方向前側にへこむ凹部12qとされ、塗布体14を組み付ける際に、凹部12qに塗布体14のストッパ14f(詳しくは後述)が進入し、凹部12qの底面12fが、塗布体14のストッパ14fが突き当たるストッパとされる(以降、凹部12qの底面12fをストッパ12fと呼ぶ)。
【0061】
後部12zは、中間部12yの後端面に、塗布体14の挿入方向に沿うように連設されて後方へ突出する一対の突出部12t,12tを備える。これらの突出部12t,12tは、塗布体14の後述の後部14zを両側から挟み支持する後部支持部であり(以降、突出部12tを後部支持部12tと呼ぶ)、個々の後部支持部12tは、円筒を半割とした断面略半円筒形状とされ、一方の後部支持部12tの断面略半円筒形状の両側の端面12m,12mと、他方の後部支持部12tの断面略半円筒形状の両側の端面12m,12mとが、互いに対向し、塗布体14の後部14zを両側から挟む面とされる。これらの後部支持部12t,12tは、軸線方向視において、断面略半円筒形状の後部支持部12t,12t同士の間に、開口12dの短径側(図16の上下方向)が位置するように配置される。
【0062】
そして、このような構成を採用することにより、一方の後部支持部12tの一方側の端面12mと他方の後部支持部12tの一方側の端面12mとの間にスリット12sが形成されると共に、一方の後部支持部12tの他方側の端面12mと他方の後部支持部12tの他方側の端面12mとの間に、同様なスリット12sが形成された格好となっている。このスリット12s,12sの各々は、中間部12yの後端面に凹設された上記凹部12qにそれぞれ直線状に連通する構成となっている。また、後部支持部12t,12t同士の間の後端は、後方へ開放され、開口12uが開口された格好となっている。
【0063】
塗布体14は、アイライナー化粧料Lを目の縁に沿って塗布する際に用いられるものであり、チップとも称されるものである。図17及び図18に示すように、塗布体14は、薄い平板状とされて軸線方向に延び、アイラインの細い線を描くのに最適な厚さにされる。この塗布体14は、中継芯17からアイライナー化粧料Lを取り入れて先端側の塗布部14aに誘導する(移動させる)毛細管現象を発現するものであり、塗布の際に肌に馴染む柔らかい感触が得られるように、ここでは、ポリオレフィンより形成されている。
【0064】
なお、塗布体14としては、最低限、毛細管現象を発現できれば良いが、柔らかい感触が得られるのが好ましく、柔らかい繊維質の材質や、スポンジ等の柔らかい多孔質材を採用することができ、ポリオレフィン以外の例えばナイロン、ポリエステル等より形成されても良い。因みに、繊維質の材質とするのが、より好ましい。
【0065】
この塗布体14は、先端側の先部14xと、後端側の後部14zと、先部14xと後部14zとの間の中間部14yと、を備える。
【0066】
先部14xは、塗布体ホルダ12の開口12bから突出する部分であり(図10参照)、平面視において(図18の紙面垂直方向視において)、例えば包丁等の片刃形状の先端部分(刃先)の形状を呈する。具体的には、先部14xの外縁の形状は、平面視において、片刃形状の刃の後側の部分である所謂みねに対応する部分14mが、直線状に構成され、その直線状の先端は、鋭角を成し尖る尖部14nとされ、この尖部14nから後方への部分は、刃の所謂反りの部分と同様に、湾曲し傾斜する湾曲傾斜面14aとなっている。そして、この厚みが薄く湾曲する湾曲傾斜面14aが、アイラインを描く塗布部となる(以降、湾曲傾斜面14aを塗布部14aと呼ぶ)。
【0067】
なお、ここでは、アイライナー化粧料Lを塗布するのに特に好ましい形状として、尖部14nは、片刃形状のように、平面視において幅方向(図18の上下方向)の一方側(図18の上側)に片寄って配置されているが、両刃形状のように、幅方向の中央に配置されていても良い。また、塗布部14aは湾曲し傾斜しているが、直線状に傾斜していても良い。
【0068】
中間部14yは、先部14xの後端に続き、断面略長方形状に形成される。
【0069】
後部14zは、その後端に進入する中継芯17からアイライナー化粧料Lを取り入れる部分であり(図10参照)、中継芯17の先端の突起17b(詳しくは後述)が容易に差し込まれるべく、後端面から前方へ向かって凹むスリット状のへこみ14kを備える。そして、このへこみ14kを含む後側が、中継芯17からアイライナー化粧料Lを取り入れる後部14zとされる。この後部14zは、後端から切り込むへこみ14kにより二股の突出部14w,14wに分けられる。これらの突出部14w,14wの各々の先端側の両側面(図18の上下面)には、外側へ突出する凸部14fが設けられる。そして、塗布体14を塗布体ホルダ12に組み付ける際に、凸部14fが、塗布体ホルダ12の凹部12qに進入し、塗布体ホルダ12のストッパ12fに突き当たるストッパとされる(以降、凸部14fをストッパ14fと呼ぶ)。
【0070】
このような平板状の塗布体14は、図12及び図13に示すように、その先部14xから、塗布体ホルダ12の中間部12yの後端面の開口12d(図14参照)に挿入され、図10図12及び図13に示すように、その凸部であるストッパ14fが、塗布体ホルダ12の中間部12yのストッパ12fに突き当たることにより、位置決めが成されると共にそれ以上の前進が阻止される。
【0071】
この状態で、図10図13に示すように、塗布体14の先部14xは、塗布体ホルダ12の先部12xの開口12bから突出し、塗布体14の先部14xの外縁形状に概ね沿うような外縁形状を有する(概ね小さい相似形とされる)塗布体ホルダ12の先部支持部12g,12gにより両側から挟まれ支持される。
【0072】
また、図12及び図13に示すように、塗布体14の後部14zは、塗布体ホルダ12の後部支持部12t,12tにより両側から挟まれて支持される。具体的には、一方の後部支持部12tの断面略半円筒形状の一方側の端面12mと、他方の後部支持部12tの断面略半円筒形状の一方側の端面12mとの間に、後部14zの一方の突出部14wが挟まれると共に、一方の後部支持部12tの断面略半円筒形状の他方側の端面12mと、他方の後部支持部12tの断面略半円筒形状の他方側の端面12mとの間に、後部14zの他方の突出部14wが挟まれ、当該塗布体14の後部14zが支持される。
【0073】
そして、このようにして塗布体14が一体化された塗布体ホルダ12は、図10及び図11に示すように、その先端側から容器本体11の後端の開放された開口を通して筒孔に挿入され、その段差面12eが、容器本体11の先端側の内周面に設けられた段差面に突き当てられ、その段差面12eより前側の部分の外周面が、容器本体11の先端の内周面に嵌着されることにより、塗布体14を支持した塗布体ホルダ12が、容器本体11に装着される。
【0074】
ジャバラ部材18は、アイライナー化粧料Lの流量をコントロールするためのものであり、例えばPP等から形成される。このジャバラ部材18は、略円筒状に構成され、その先端部より後側に、軸線方向に沿って、アイライナー化粧料Lを含むための溝(ジャバラ)が設けられる。
【0075】
中継芯17は、例えばPET等から形成され、図19に示すように、断面円形の軸状に構成される。この中継芯17は、軸線方向に延びる軸部17aと、軸部17aの先端に段差面17cを介して縮径するように設けられ前方へ突出する突起17bと、を有する。図10及び図11に示すように、中継芯17の軸部17aは、ジャバラ部材18の筒孔を通過し、その先端側が、ジャバラ部材18の先端側と嵌合することにより、ジャバラ部材18に装着されている。
【0076】
そして、このようにして中継芯17が一体化されたジャバラ部材18は、その先端側から容器本体11の後端の開放された開口を通して筒孔に挿入され、ジャバラ部材18の円筒状の後端部18aが、容器本体11の内周面の凹部11cに嵌合することにより、容器本体11に装着される。
【0077】
この状態で、ジャバラ部材18の円筒状の先端部は、塗布体ホルダ12の中間部12yの後端面に突き当てられ(図11参照)、塗布体14のストッパ14fは、塗布体ホルダ12のストッパ12fとジャバラ部材18の先端面との間に挟まれるようにして軸線方向に移動不能とされる(図10参照)。また、この状態で、中継芯17の段差面17cが、塗布体14の後端面に突き当てられる(図10参照)と共に、中継芯17の突起17bが、塗布体ホルダ12の後部12zの後端の開口12uを通して進入し(図13参照)、さらに、塗布体ホルダ12の後部支持部12t,12tに挟まれ支持されている塗布体14の後部14zに差し込まれ進入する。具体的には、中継芯17の突起17bは、後部14zの突出部14w,14w同士の間に形成されたへこみ14kに差し込まれ進入する(図10参照)。この状態で、中継芯17の突起17bは、塗布体14の後部4zに接触している。
【0078】
そして、容器本体11内のジャバラ部材18の後端部18aより後方の開口に対して、上記尾栓16が装着され、ジャバラ部材18の後端部18aと尾栓16との間に、上記収容部11aが形成され、この収容部11aにアイライナー化粧料Lが充填される。
【0079】
このようにして組み立てられたユニットは、その後端側から、把持筒20の筒孔に挿入され、その容器本体11の鍔部11bが、把持筒20の先端面に突き当てられ、この状態で、容器本体11の鍔部11bより後側の外周面が、把持筒20の先端側の内周面に係合することにより把持筒20に装着され、図10及び図11に示すアイライナー化粧料塗布容器200が得られる。
【0080】
このように構成されたアイライナー化粧料塗布容器200にあっては、容器本体11内のアイライナー化粧料Lは、中継芯17の後部から取り入れられ軸部17aを通って先端の突起17bに移動し、さらに、アイライナー化粧料Lは、塗布体14の毛細管現象により、突起17bが差し込まれ接触する塗布体14の後部14zに取り入れられ、当該塗布体14を移動しさらに先部14xの塗布部14aへ移動し、当該塗布部14aにより、アイラインの細い線を柔らかい感触で描くことができる。
【0081】
そして、特に、このようなアイライナー化粧料塗布容器200によれば、以下の作用・効果を奏する。すなわち、平板状で且つ毛細管現象を発現する塗布体14のその後部14zが、塗布体ホルダ12の後部支持部12t,12tに挟まれ支持された状態で、中継芯17が、塗布体ホルダ12の後端の開口12uを通し後部支持部12t,12tに進入するため、塗布体ホルダ12の後部支持部12t,12tにより塗布体14の後部14zが逃げることなく、当該後部支持部12t,12tに進入した中継芯17が、塗布体14の後部14zに容易に差し込まれる。このため、中継芯17のアイライナー化粧料Lを、塗布体14へ確実に移動させることができると共に、後部支持部12t,12tの後端の開口12uを通してアイライナー化粧料Lの流れが直進となり、中継芯17のアイライナー化粧料Lを円滑に移動させることができる。
【0082】
また、本実施形態によれば、塗布体14の方が中継芯17に比して柔らかいため、塗布体ホルダ12の後部支持部12t、12tに挟まれ支持される塗布体14の後部14zのその後端面に対して、中継芯17を確実に差し込むことができる。
【0083】
また、中継芯17は先端に突起17bを備え、塗布体14の後端面には、中継芯17の突起17bが進入するへこみ14kを備えているため、塗布体14の後端面のへこみ14kに、中継芯17の突起17bが確実に差し込まれて進入することができる。
【0084】
また、塗布体ホルダ12の後部支持部12t,12t同士の間に、後端の開口12uに連通し前側に延びるスリット12s,12sを備え、塗布体ホルダ12は、スリット12s,12sを後側から前側へ通る塗布体14を突き当てるためのストッパ12f,12fを備えているため(図14参照)、塗布体14のストッパ14f,14fが塗布体ホルダ12のストッパ12f,12fに突き当たることによって(図10参照)、塗布体14の位置決めが容易に成されると共に、塗布体14のそれ以上の前進が阻止され、これにより、図10及び図11に示すアイライナー化粧料塗布容器200の状態において塗布体14の汚れを落とす等の清掃をしているときに、当該塗布体14が前方に抜け出てしまうことを防止できる。
【0085】
さらに、本実施形態によれば、第1実施形態で述べたのと同様に、塗布体14の先部14xは、当該先部14xの外縁形状に概ね沿うような外縁形状を有する塗布体ホルダ12の先部支持部12g,12gにより両側から挟まれ支持されているため(図12及び図13参照)、アイラインを描く際の筆圧による塗布体14の先部14xの折れ曲がりを防止でき、当該塗布体14の塗布部14aにより、目の縁に沿って所望幅の細い綺麗なアイラインを容易に描くことができる。
【0086】
なお、この第2実施形態では、特に好ましいとして、塗布体ホルダ12の後部支持部12t,12tを円筒を半割とした断面略半円筒形状とし、一方の断面略半円筒形状の両側の端面12m,12mと他方の断面略半円筒形状の両側の端面12m,12mとの間で、平板状の塗布体14の後部14z(突出部14w,14w)を挟むようにして支持しているが、塗布体14の後部14zのうち、塗布体ホルダ12の後部支持部12t,12tにより挟まれず且つ覆われずに外部に露出している部分を包むように覆い支持するようにしても良い。また、後部支持部12t,12tの断面略半円筒形状を平板状に代え、平板状の塗布体14の後部14zを、一対の平板状の後部支持部同士で挟むようにして支持しても良く、また、この平板状の後部支持部により挟まれずに外部に露出している部分を覆うようにし、塗布体14の後部14zの全周を包むようにして支持するようにしても良い。これらのように構成しても、塗布体14の後部14zを、塗布体ホルダ12の後部支持部12t,12tにより挟み支持する場合とほぼ同様な作用・効果を奏する。また、これらのように構成する場合、塗布体14は、へこみ14kがない平板でも良い。
【0087】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態においては、特に好ましいとして、塗布体4,14を平板状としているが、湾曲した板状でも良い。
【0088】
また、上記実施形態のアイライナー化粧料塗布容器100,200に、アイライナー化粧料Lを先端側に押し出す例えば加圧ピストンのような押出機構を設け、この押出機構を、アイライナー化粧料Lを先端側へ移動させる補助として用いるようにしても良い。また、使用者の押圧力によりアイライナー化粧料Lを押し出すことができるチューブやソフトボトル等のスクイーズタイプのアイライナー化粧料塗布容器に対しても適用することも可能である。
【0089】
また、上記実施形態においては、特に好ましいとして、液体をアイライナー化粧料Lとし、容器をアイライナー化粧料塗布容器100,200としているが、液体を例えばアイブロウやヘアマスカラ等の他の液状化粧料とし、容器を他の液状化粧料塗布容器としても良く、さらには、液体を筆記用具等のインキや糊や液状の医薬品とし、容器を液体塗布容器とすることも可能である。
【符号の説明】
【0090】
1,11…容器本体、2,12…塗布体ホルダ、2f,12f…ストッパ、2s,12s…スリット、2t,12t…後部支持部、2u,12u…開口、2z,12z…塗布体ホルダの後部、3…中綿(含浸体)、4,14…塗布体、4a,14a…塗布部、4x,14x…塗布体の先部、4z,14z…塗布体の後部、14k…へこみ、17…中継芯(含浸体)、17b…突起、100,200…アイライナー化粧料塗布容器(液体塗布容器)、L…アイライナー化粧料(液体)。
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