(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方で、放射冷却部の内側側面のダスト除去については効果的な除去技術がなく、通常、人手により清掃されることによってダストが除去される。或いは、人手によらずにダスト除去を行う方法として、放射冷却部の天井部分に水噴射ノズルを吊り下げ、ノズルから水平方向に水を噴射しながらノズルを回転させることにより内側側面のダストを除去する方法がある。しかしながら、人手によりダスト除去を行う方法においては作業効率の悪化が問題となる。また、水噴射によりダスト除去を行う方法では、放射冷却部の天井部分にノズルを挿入するための空間を設けると共に、水噴射を行うための専用装置を取付ける必要があるため、設備構成が複雑になり設備コストが増大することが問題となる。
【0006】
そこで、本開示は、低コスト且つ簡易な手法で、ボイラにおける放射冷却部のダストを除去することができるクリーニングシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、対流伝熱部の伝熱管のダスト除去に利用されているショットクリーニングシステムに着目し、該ショットクリーニングシステムを、放射冷却部の内側側面のダスト除去にも利用する技術を見い出した。
【0008】
すなわち、本開示に係るクリーニングシステムは、水冷壁で区画された放射冷却部を有するボイラにおいて、放射冷却部の水冷壁にショット球を衝突させ、該水冷壁に付着したダストを除去する。
【0009】
本開示に係るクリーニングシステムでは、放射冷却部の水冷壁のダストが、ショット球を衝突させることにより除去されている。これにより、従来から対流伝熱部のダスト除去に用いられているショットクリーニング設備を利用して、放射冷却部のダスト除去を低コスト且つ簡易な手法で行うことができる。
【0010】
また、当該クリーニングシステムは、ボイラ内にショット球を噴射する噴射ノズルと、噴射ノズルの先端に設けられ、噴射ノズルから噴射されたショット球の進路を、噴射ノズルの軸方向に対して任意の角度の方向に設定する衝突板と、を有し、衝突板は、噴射ノズルの軸周りに回転可能に構成されていてもよい。これにより水冷壁に対して万遍なくショット球を衝突させることができ、ダストをより好適に除去することができる。
【0011】
また、ボイラは、放射冷却部の冷却空間を通過したガスと熱交換を行う伝熱管を含む対流伝熱部を有し、クリーニングシステムは、対流伝熱部の伝熱管に対してショット球を落下させるショット球輸送配管から分岐して、噴射ノズルに向かって延びる分岐配管を有し、管路切替により、ショット球輸送配管から分岐配管に流入したショット球を、噴射ノズルから噴射してもよい。このように、対流伝熱部の伝熱管のダスト除去に用いる設備であるショット球輸送配管から、分岐配管を分岐させ、放射冷却部の水冷壁のダスト除去を行うことにより、放射冷却部のダスト除去を低コスト且つ簡易な手法で行うことができる。
【0012】
また、噴射ノズルは、放射冷却部の冷却空間内に進退可能となるように構成されていてもよい。これにより、必要な場合にのみ噴射ノズルを設置する構成とでき、ボイラ運転中に1000℃程度となる放射冷却部に噴射ノズルが常設されることを回避することができる。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、低コスト且つ簡易な手法で、ボイラにおける放射冷却部のダストを除去することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
[ショットクリーニングシステム]
まず、
図1を参照して、本実施形態に係るショットクリーニングシステム1(クリーニングシステム)の概要を説明する。
図1は、ショットクリーニングシステム1を模式的に示した図である。
【0017】
ショットクリーニングシステム1は、例えば、高温ガスを蒸気として回収し発電を行うボイラ50に適用される。ショットクリーニングシステム1では、ボイラ50の伝熱管52aに鋼球60(ショット球)を散布することにより、伝熱管52aに付着した粉状のダスト70を除去する。更に、ショットクリーニングシステム1では、ボイラ50の放射冷却空間51aに鋼球60を噴射することにより、内側側面51e(水冷壁面)に付着したダスト70を除去する(詳細は後述)。なお、本実施形態では、ボイラ50は、廃棄物溶融炉(図示せず)における廃棄物の燃焼によって発生した高温ガスを回収し発電を行うものであるとして説明する。
【0018】
図1に示されるように、ショットクリーニングシステム1は、ボイラ50と、クリーニング部2と、を備えている。クリーニング部2は、放射冷却部51の水冷壁に鋼球60を衝突させ、水冷壁に付着したダストを除去する。クリーニング部2は、鋼球回収装置40と、搬送ブロア80と、ショット球輸送配管10と、分岐配管20と、噴射ノズル21と、を備えている。
【0019】
ボイラ50は、廃棄物の燃焼によって発生した高温ガスを蒸気として回収し発電を行う。ボイラ50は、放射冷却部51と、対流伝熱部52とを備える。放射冷却部51は、上下方向に延びる側面(水冷壁)により区画された高温ガスの放射冷却空間51a(冷却空間)を含む。対流伝熱部52は、放射冷却空間51aを通過した高温ガスと熱交換を行う伝熱管52aを含む。
【0020】
一例としてボイラ50は、内側の断面積が一定の直胴部50aと、直胴部50aの下側に連なり、下方に向かうに従い内側の断面積が小さくなるテーパ部50bとを含んで構成されている。直胴部50aの内面は角筒状を呈し、テーパ部50bの内面は逆角錐形状を呈している。直胴部50aは、直胴部50aの上端から下端にかけて延びる仕切壁53により、放射冷却部51と対流伝熱部52とに分断されている。テーパ部50bは、放射冷却部51及び対流伝熱部52の下方において、それぞれと連通している。すなわち、放射冷却部51及び対流伝熱部52はテーパ部50bを介して連通している。また、テーパ部50bの下端と鋼球回収装置40とは、供給シュート50cにより互いに接続されている。これにより、ダスト70の除去を目的として放射冷却部51又は対流伝熱部52に散布された鋼球60は、テーパ部50bから供給シュート50cを介して、鋼球回収装置40に流入する。
【0021】
以下では、水平方向であって上述した放射冷却部51及び対流伝熱部52が隣り合う方向を横方向、該横方向及び上下方向(垂直方向)に交差する方向を奥行方向と記載する場合がある。
【0022】
放射冷却部51は、上下方向に延びる4つの側面により高温ガスの放射冷却空間51aが区画された部分である。放射冷却部51は、上記4つの側面として、上述した仕切壁53の表面と、該仕切壁53に横方向で対向する側面51sと、奥行き方向で互いに対向する側面(図示せず)とを有している。放射冷却部51は、側面全面が水冷壁で構成されている。放射冷却部51では、冷却媒体導入管の冷却媒体と高温ガスとの間で熱交換が行われることにより、高温ガスが冷却される。
【0023】
放射冷却空間51aには、例えば側面51sの上端側より、廃棄物の燃焼によって発生した高温ガスが流入する。当該高温ガスは、例えば900℃〜1000℃である。高温ガスは、放射冷却空間51aにおいて冷却されながら下方に流れ、テーパ部50bに到達する。該テーパ部50bにおいては、放射冷却部51側(放射冷却空間51a側)と対流伝熱部52側とが仕切壁53の下部空間で、互いに連通している。そのため、テーパ部50bに到達した高温ガスは、テーパ部50bにおいて対流伝熱部52側に流れ込み、反転し上方に流れる。
【0024】
対流伝熱部52は、放射冷却空間51aを通過した高温ガスと熱交換を行う伝熱管52aを含む部分である。対流伝熱部52は、上下方向に延びる4つの側面により高温ガスが通過する空間が区画されている。対流伝熱部52は、上記4つの側面として、上述した仕切壁53の表面と、該仕切壁53に横方向で対向する側面52sと、奥行き方向で互いに対向する側面(図示せず)とを有している。
【0025】
対流伝熱部52は、過熱器52bと、蒸発器52cと、節炭器52dとを有しており、それぞれが伝熱管52aを含んで構成されている。テーパ部50bにおいて反転し上方に流れる高温ガスは、過熱器52b、蒸発器52c、及び節炭器52dを順に通過し、対流伝熱部52の上方より、熱回収後の排ガスとして排出される。
【0026】
鋼球回収装置40は、放射冷却部51又は対流伝熱部52に散布された、ショットクリーニング用の鋼球60を回収する。鋼球回収装置40は、供給シュート50cを介してボイラ50のケーシングに連結されているので、高温ガス流に直接さらされることがない。このように、鋼球回収装置40は、ボイラ50を通過する高温ガスからの伝熱の影響を受けにくい位置に配置される。鋼球回収装置40は、鋼球60とダスト70とを分離して回収し、次のクリーニング開始まで鋼球60を貯留する。鋼球回収装置40は、クリーニング開始タイミングになると、貯留した鋼球60を切り出し、搬送ブロア80により発生する空気流により鋼球60を排出する。
【0027】
鋼球回収装置40は、篩部41と、鋼球シュート42と、鋼球タンク43と、ダストシュート44と、塊状シュート45と、鋼球切出し装置46と、を有している。篩部41は、ボイラ50から排出された鋼球60及びダスト70を篩にかけてそれぞれ排出する。鋼球シュート42は、篩部41の粗目篩から排出された鋼球60を、下方の鋼球タンク43に送り出す。鋼球タンク43は、鋼球シュート42により送り出された鋼球60を貯留する。鋼球切出し装置46は、鋼球タンク43に貯留された鋼球60を切り出し、ショット球輸送配管10に排出する。ダストシュート44は、篩部41の細目篩から排出されたダスト70を、鋼球回収装置40の外部に排出する。塊状シュート45は、篩部41の粗目篩を通過しない塊状物を鋼球回収装置40の外部に排出する。
【0028】
搬送ブロア80は、気流搬送用の気流をショット球輸送配管10内に発生させる。搬送ブロア80は、昇圧空気により、ボイラ50から排出された鋼球60をショット球輸送配管10内において搬送する。より詳細には、搬送ブロア80は、鋼球切出し装置46から排出された鋼球60を、ショット球輸送配管10の噴射配管10c又は分岐配管20の噴射ノズル21まで気流搬送する。搬送ブロア80は、ショット球輸送配管10の一端と接続されており、該ショット球輸送配管10の一端に昇圧空気を送り込むことにより、ショット球輸送配管10内において鋼球60を気流搬送する。
【0029】
ショット球輸送配管10は、搬送ブロア80により気流搬送される鋼球60を対流伝熱部52の上方に移送し、対流伝熱部52の上方から伝熱管52aに対して鋼球を落下させる配管である。ショット球輸送配管10は、搬送ブロア80の昇圧空気吹き出し口に接続されると共に横方向に延びる流入配管10aと、流入配管10aに連続すると共に上方に延びる配管10bと、配管10bの上端に連続すると共に横方向に延び側面52sに接続される噴射配管10cと、を有している。噴射配管10cは、最上段の伝熱管52aよりも上方の側面52sに接続されている。
【0030】
流入配管10aには、鋼球切出し装置46における鋼球60の排出口が接続されている。配管10bには、分岐配管20が接続されている(詳細は後述)。また、噴射配管10cは、より詳細には、側面52sの開口(図示せず)に接続されており、先端の噴射口10xが、対流伝熱部52における高温ガスが通過する空間にまで延びている。そして、ボイラ50には、ショット球輸送配管10の噴射口10xから噴射された鋼球60に衝突し、鋼球60を均一に分散させるための衝突板11が更に設けられている。
【0031】
衝突板11は、例えば、鋼球60の噴出方向と直交する水平回転軸11aと、該水平回転軸11a周りに回転可能な板部11bとを含んでいる。板部11bは、例えばモータ(不図示)により、水平回転軸11aを軸として、鋼球60に対する衝突角度が可変とされている。噴射口10xから噴射された鋼球60は、衝突板11(より詳細には板部11b)に衝突して節炭器52dに分散して落下する。衝突板11の板部11bを傾動させることにより、鋼球60の噴出方向の分散が一様となる。節炭器52dに散布された鋼球60は、節炭器52d、蒸発器52c、及び過熱器52bを順に通過し、払い落とされたダスト70と共に、ボイラ50の下部に集められる。ボイラ50の下方には、上述したように、鋼球60及びダスト70を分離して回収する鋼球回収装置40が設けられている。
【0032】
分岐配管20は、ショット球輸送配管10から分岐されて、放射冷却部51の側面51sに向かって延びる配管である。分岐配管20は、ショット球輸送配管10から分岐され、連結されている。
【0033】
配管20aにおける、ショット球輸送配管10(詳細には、配管10b)からの分岐箇所には、鋼球60の進路を切り替える流路切替弁90(切替機構)が設けられている。流路切替弁90は、配管20a及び配管10bの接続箇所において、鋼球60の搬送経路を、配管10b及び配管20aの何れか一方に選択切替する構成である(
図2)。
【0034】
図2に示されるように、流路切替弁90は、ケーシング91と、ケーシング91内で回転可能な弁体をなすベント管92とを有している。ベント管92は、一端が配管10bに接続されると共に、ケーシング91の中央に位置する回転軸Q(奥行方向の回転軸)周りに回転可能なように、ケーシング91内に納められている。流路切替弁90は、ベント管92の回転により、配管10b及び配管20aの何れか一方に鋼球60を搬送する。すなわち、流路切替弁90は、ベント管92の回転により、鋼球60の搬送経路を切り替えることができる。
【0035】
図1に戻り、噴射ノズル21は、配管20bの端部(分岐配管20の端部)に設けられ、側面51sに交差する噴射方向に沿って鋼球60をボイラ50(詳細には、放射冷却空間51a)内に噴射する。噴射ノズル21は、スイベルジョイント等のジョイント20j(
図3参照)を介して配管20bの先端部分に接続されている。噴射ノズル21の先端は、側面51sの開口51o(
図3参照)を貫通して放射冷却空間51aにまで達している。噴射ノズル21は、例えば40〜50m/sの速度で、鋼球60を噴射する。
【0036】
噴射ノズル21は、放射冷却空間51a内に進退可能となるように構成されている。より詳細には、噴射ノズル21は、配管20bに対して着脱可能とされており、配管20bに対して取付けられた状態において先端が放射冷却空間51a内に配置可能とされている。噴射ノズル21を取付ける領域には専用の開孔又はマンホールMH(
図3参照)が形成されており、噴射ノズル21の取付け時には、マンホールMHに噴射ノズル21を挿入すると共に、ジョイント20jを介して噴射ノズル21と配管20bとを接続する。マンホールMHにおける側面51sの開口51oと噴射ノズル21との隙間から噴射散乱した鋼球60が飛び出すことを回避すべく、開口51oと噴射ノズル21との間にはバッフルプレート等の阻止板65(
図3参照)が設けられている。
【0037】
更に、ショットクリーニングシステム1は、噴射ノズル21から噴射された鋼球60の進行方向を変化させる方向変化機構30を備えている。
図3及び
図4も参照しながら、方向変化機構30の詳細を説明する。方向変化機構30は、衝突板31と、第1角度調節機構32と、第2角度調節機構33と、を有する。
【0038】
衝突板31は、噴射ノズル21の先端に設けられ、噴射ノズル21から噴射された鋼球60の進路を、噴射ノズル21の中心軸CA方向に対して任意の角度の方向に設定する。衝突板31は、鋼球60と衝突することにより鋼球60の進行方向を変化させる。
図3及び
図4に示されるように、衝突板31は、鋼球60の噴射方向と直交する方向(より詳細には奥行方向)に延びる水平回転軸31aと、該水平回転軸31a周りに回転可能な板部31bと、該水平回転軸周りに回転可能な接続部31cとを有している。板部31b及び接続部31cは、水平回転軸31aを介して互いに接続されている。水平回転軸31aは、噴射ノズル21における鋼球60の噴射口21xの先端に固定されている。衝突板31では、水平回転軸31aを支点として板部31bを回転させることにより、板部31bと鋼球60との衝突角度が変更可能とされている。接続部31cは、一端が操作軸32a(後述)の先端に接続され、他端が水平回転軸31aに接続されている。
【0039】
第1角度調節機構32は、鋼球60の噴射方向に対する衝突板31の傾斜角度を変更可能とする。第1角度調節機構32は、操作軸32aと、ハンドル32bと、止め部32c,32dと、ねじ切り領域32eと、締結部32fとを有している。操作軸32aは、噴射ノズル21の上方において、噴射ノズル21の中心軸CAと略平行に横方向に延びている。操作軸32aの先端と噴射ノズル21の先端とは、横方向における位置が略一致している。操作軸32aにおける横方向の所定の領域には、全周に亘ってねじが切られたねじ切り領域32eが形成されている。ねじ切り領域32eの先端及び後端には、止め部32c,32dが設けられている。
【0040】
ねじ切り領域32eには、操作軸32aの全周を囲う締結部32fが設けられている。締結部32fの内周面には、ねじが切られており、該締結部32fの内周面と、操作軸32aのねじ切り領域32eとが螺合している。また、操作軸32aの後端にはハンドル32bが設けられている。ハンドル32bを回転させることにより、操作軸32aが回転し、締結部32fとねじ切り領域32eとの螺合位置が変化する。これにより、横方向における操作軸32aの位置を変化させることができる。なお、締結部32fがねじ切り領域32eの両端において止め部32c,32dにぶつかるため、操作軸32aの可動範囲は、締結部32fと止め部32cがぶつかる位置から、締結部32fと止め部32dがぶつかる位置までに限定されている。
【0041】
ハンドル32bを回転させることにより、操作軸32aの横方向の位置が変化するので、操作軸32aの先端に接続された、衝突板31の接続部31cが水平回転軸31aを支点として回転する。上述したように、水平回転軸31aには板部31bも接続されているので、接続部31cと共に、板部31bも水平回転軸31aを支点として回転する。板部31bが回転することにより、鋼球60の噴射方向に対する板部31bの傾斜角度が調節させる。このように、第1角度調節機構32は、ハンドル32bの回転に応じて、鋼球60の噴射方向に対する板部31bの傾斜角度を調節する。
【0042】
第2角度調節機構33は、噴射ノズル21の中心軸CA(鋼球60の噴射方向に沿う軸線)周りに衝突板31を旋回可能とする。第2角度調節機構33は、締結部32fから垂直上方に延びる回転ハンドル33aと、締結部32fから垂直下方に延びて噴射ノズル21に接続される連結部33bとを有している。回転ハンドル33aは、噴射ノズル21周りに回転可能とされている。回転ハンドル33aは、締結部32f及び連結部33bを介して噴射ノズル21に接続されているので、回転ハンドル33aを噴射ノズル21周りに回転させることにより、噴射ノズル21が中心軸CA周りに回転する。また、衝突板31(詳細には、水平回転軸31a)は、噴射ノズル21の先端に固定されているので、噴射ノズル21に伴って中心軸CA周りに回転する。すなわち、衝突板31は、中心軸CA周りに回転可能に構成されている。
【0043】
上述した、方向変化機構30による鋼球60の進行方向変化について、
図5〜7も参照しながら説明する。
【0044】
図5(a)に示されるように、放射冷却部51の側面51sに交差する噴射方向に沿って放射冷却空間51a内に噴射された鋼球60は、衝突板31の板部31bに衝突して、更に、対向する仕切壁53の内側側面51eに衝突する。
【0045】
また、
図5(b)に示されるように、
図5(a)と比べて鋼球60の噴射方向に対する板部31bの傾斜角度を大きくすることによって、板部31bに衝突した鋼球60は、噴射ノズル21が設けられている噴射側の側面である側面51sの内側側面51eに衝突する。このように、鋼球60と板部31bとの衝突角度を変化させることにより、噴射ノズル軸に対する鋼球60の進行方向(角度)を変化させることができる。
【0046】
また、
図6に示されるように、鋼球60と板部31bとが衝突しないように、板部31bの傾斜角度を設定してもよい。これにより、仕切壁53の内側側面51eのうち、噴射ノズル21の水平方向の領域にも好適に鋼球60を衝突させることができる。なお、
図5(a)(b)においては記載を省略しているが、
図6に示されるように、鋼球60は高速で噴射されるため、対向する側面間で跳ね返りを繰り返しながら、下方に落下する。
【0047】
更に、
図7(a)に示されるように、噴射ノズル21及び衝突板31を中心軸CA周りに回転させることにより、放射冷却空間51aを区画する4つの側面のうち、鋼球60の噴射方向から見て左右方向の側面の内側側面51eに対しても好適に鋼球60を衝突させることができる。そして、噴射ノズル21を回転させること、及び、噴射方向に対する板部31bの傾斜角度を変化させることを行うことにより、
図7(b)に示されるように、放射冷却空間51aを区画する4つの側面の内側側面51eの各領域に対して万遍なく鋼球60を衝突させることができる。
【0048】
[本実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態に係るショットクリーニングシステム1は、水冷壁で区画された放射冷却部51を有するボイラ50において、放射冷却部51の水冷壁に鋼球60を衝突させ、水冷壁に付着したダスト70を除去する。
【0049】
本開示に係るショットクリーニングシステム1では、放射冷却部51の水冷壁のダスト70が、鋼球60を衝突させることにより除去されている。これにより、すでに対流伝熱部52におけるダスト除去に用いられているショットクリーニング設備を利用して、放射冷却部51のダスト除去を低コスト且つ簡易な手法で行うことができる。
【0050】
また、ショットクリーニングシステム1は、ボイラ50内に鋼球60を噴射する噴射ノズル21と、噴射ノズル21の先端に設けられ、噴射ノズル21から噴射された鋼球60の進路を、噴射ノズル21の軸方向に対して任意の角度の方向に設定する衝突板31と、を有し、衝突板31は、噴射ノズル21の軸周りに回転可能に構成されている。これにより水冷壁に対して万遍なく鋼球60を衝突させることができ、ダスト70をより好適に除去することができる。
【0051】
また、ボイラ50は、放射冷却部51の放射冷却空間51aを通過したガスと熱交換を行う伝熱管52aを含む対流伝熱部52を有し、ショットクリーニングシステム1は、対流伝熱部52の伝熱管52aに対して鋼球60を落下させるショット球輸送配管10から分岐して、噴射ノズル21に向かって延びる分岐配管20を有し、管路切替により、ショット球輸送配管10から分岐配管20に流入した鋼球60を、噴射ノズル21から噴射してもよい。このように、対流伝熱部52の伝熱管52aのダスト除去に用いられている設備であるショット球輸送配管10から、分岐配管20を分岐させ、放射冷却部51の水冷壁のダスト除去を行うことにより、従来から用いられている設備を利用して、放射冷却部51のダスト除去を低コスト且つ簡易な手法で行うことができる。
【0052】
より詳細には、本実施形態に係るショットクリーニングシステム1は、上下方向に延びる側面により区画されたガスの放射冷却空間51aを含む放射冷却部51と、放射冷却空間51aを通過したガスと熱交換を行う伝熱管52aを含む対流伝熱部52と、を有するボイラ50と、気流搬送された鋼球60を対流伝熱部52の上方に移送し、対流伝熱部52の上方から伝熱管52aに対して鋼球60を落下させるショット球輸送配管10と、ショット球輸送配管10から分岐されて、放射冷却部51の側面51sに向かって延びる分岐配管20と、分岐配管20の端部に設けられ、側面51sに交差する噴射方向に沿って鋼球60を放射冷却空間51a内に噴射する噴射ノズル21と、を備える。
【0053】
このショットクリーニングシステム1では、ショット球輸送配管10が、気流搬送された鋼球60を対流伝熱部52の上方まで移送している。また、ショット球輸送配管10から分岐された分岐配管20が放射冷却部51の側面51sに向かって延びている。ショット球輸送配管10内には、鋼球60を対流伝熱部52の上方まで気流搬送するための空気(昇圧空気)が流れている。このため、ショット球輸送配管10から分岐された分岐配管20では、当該昇圧空気により鋼球60が気流搬送される。そして、分岐配管20の端部に設けられた噴射ノズル21では、当該昇圧空気により、側面51sに交差する噴射方向に鋼球60が噴射される。側面51sから噴射された鋼球60は、例えば上方から落下する鋼球60と比較して、放射冷却部51の内側側面51eに衝突し易い。このことにより、放射冷却部51の内側側面51eに付着したダスト70を好適に除去することができる。そして、当該ショットクリーニングシステム1が、対流伝熱部52の伝熱管52aのダスト70除去に導入されている設備である場合には、ショット球輸送配管10から、分岐配管20を分岐させることにより、放射冷却部51の内側側面51eのダスト除去を行うことができる。この場合、放射冷却部51のダスト70除去を低コスト且つ簡易な手法で行うことができる。
【0054】
また、ショットクリーニングシステム1は、噴射ノズル21から噴射された鋼球60の進行方向を変化させる方向変化機構30を更に備えている。これにより、放射冷却空間51aを区画する内側側面51eに対して万遍なく鋼球60を衝突させることができ、ダスト70をより好適に除去することができる。
【0055】
また、ショットクリーニングシステム1では、方向変化機構30が、鋼球60の進路に設けられた衝突板31と、鋼球60の噴射方向に対する衝突板31の傾斜角度を変更可能とする第1角度調節機構32と、を有している。鋼球60に対する衝突板31の衝突角度を調整することで、内側側面51eの様々な箇所に容易に鋼球60を衝突させることができる。
【0056】
また、ショットクリーニングシステム1では、方向変化機構30が、中心軸CA周りに衝突板31を旋回可能とする第2角度調節機構を有している。衝突板31が中心軸CA周りに回転することにより、衝突板31の傾斜角度に加えて衝突板31の旋回角度を調節することができるので、内側側面51eに対してより万遍なく鋼球60を衝突させることができる。
【0057】
また、ショットクリーニングシステム1では、噴射ノズル21が、放射冷却部51の放射冷却空間51a内に進退可能となるように構成されている。これにより、必要な場合にのみ噴射ノズル21を設置する構成とでき、ボイラ50の運転中に1000℃程度となる放射冷却部51に噴射ノズル21が常設されることを回避することができる。
【0058】
また、ショットクリーニングシステム1は、ショット球輸送配管10及び分岐配管20の接続箇所において、鋼球60の進路を切り替える流路切替弁90を備える。このように、ショット球輸送配管10への鋼球搬送と分岐配管20への鋼球搬送とを切り替えることにより、従来対流伝熱部52のダスト70除去に利用されていたショットクリーニングシステム1を、放射冷却部51のダスト70除去にも適切に利用することができる。