特許第6685210号(P6685210)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サントリーホールディングス株式会社の特許一覧

特許6685210ボトルの搬送方法、スクリュー装置、及び、搬送装置
<>
  • 特許6685210-ボトルの搬送方法、スクリュー装置、及び、搬送装置 図000002
  • 特許6685210-ボトルの搬送方法、スクリュー装置、及び、搬送装置 図000003
  • 特許6685210-ボトルの搬送方法、スクリュー装置、及び、搬送装置 図000004
  • 特許6685210-ボトルの搬送方法、スクリュー装置、及び、搬送装置 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6685210
(24)【登録日】2020年4月2日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】ボトルの搬送方法、スクリュー装置、及び、搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 33/04 20060101AFI20200413BHJP
   B65B 35/10 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
   B65G33/04
   B65B35/10
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-181988(P2016-181988)
(22)【出願日】2016年9月16日
(65)【公開番号】特開2018-43877(P2018-43877A)
(43)【公開日】2018年3月22日
【審査請求日】2019年4月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】西谷 潤
【審査官】 土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−229718(JP,A)
【文献】 特開2004−115206(JP,A)
【文献】 特開2004−175504(JP,A)
【文献】 特開2013−060258(JP,A)
【文献】 特開2000−109210(JP,A)
【文献】 特開2001−199517(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 33/04
B65B 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ形状の異なる複数種類のボトルを搬送可能に構成されたスクリュー装置を用いた前記ボトルの搬送方法であって、
前記スクリュー装置は、周面から径方向に突出する螺旋状の山部により画定される螺旋状の溝部により長手方向に並列する複数のポケットが形成されているスクリュー部材と、前記スクリュー部材と平行に設けられ、前記ボトルの搬送時において、前記ポケットに一方側の側面が当接する前記ボトルの他方側の側面に当接させるガイド部材と、を備え、
搬送対象とする種類のボトルについて、前記スクリュー装置における前記ボトルの搬送経路の所定位置における前記ポケットと前記ガイド部材との間の収容領域に収容された状態にある当該種類のボトルの中心軸が前記収容領域内で平行移動し得る前記長手方向の幅が、
3.2(mm)≦長手方向の幅≦12.6(mm)を満たすように前記スクリュー装置を調整し、
前記スクリュー部材を回転させて、前記長手方向を搬送方向として各ポケットに収容した前記ボトルを搬送する搬送方法。
【請求項2】
前記ボトルの口部を挟持部により挟持して前記スクリュー装置から前記ボトルを運び出す回転搬送装置を用いて、前記スクリュー装置によって順次搬送される前記ボトルの口部を、前記所定位置において前記挟持部により順次挟持して前記スクリュー装置から運び出す請求項1に記載の搬送方法。
【請求項3】
前記スクリュー部材は、前記所定位置より前記搬送方向の後方領域では、各ポケットが等ピッチで形成され、前記所定位置より前記搬送方向の前方領域では、前記ポケットのピッチが前記後方領域におけるピッチよりも大きくなる状態で形成されたものであり、
前記回転搬送装置を用いて、前記スクリュー装置の運転に同期させて前記挟持部を円運動させながら、前記スクリュー部材により搬送される前記ボトルの口部を前記所定位置において前記挟持部により挟持する請求項2に記載の搬送方法。
【請求項4】
それぞれ形状の異なる複数種類のボトルを搬送可能に構成されたスクリュー装置であって、
周面から径方向に突出する螺旋状の山部により画定される螺旋状の溝部により長手方向に並列する複数のポケットが形成されているスクリュー部材と、前記スクリュー部材と平行に設けられ、前記ボトルの搬送時において、前記ポケットに一方側の側面が当接する前記ボトルの他方側の側面に当接させるガイド部材と、を備え、
前記スクリュー部材を回転させることにより、前記長手方向を搬送方向として各ポケットに収容した前記ボトルを搬送可能であり、
搬送対象とする種類のボトルについて、前記スクリュー装置における前記ボトルの搬送経路の所定位置における前記ポケットと前記ガイド部材との間の収容領域に収容された状態にある当該種類のボトルの中心軸が前記収容領域内で平行移動し得る前記長手方向の幅が、
3.2(mm)≦長手方向の幅≦12.6(mm)を満たすスクリュー装置。
【請求項5】
前記山部の断面形状が台形状である請求項4に記載のスクリュー装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のスクリュー装置と、
前記ボトルの口部を挟持可能な挟持部を備え、前記スクリュー装置によって順次搬送される前記ボトルの口部を、前記所定位置において前記挟持部により順次挟持して前記スクリュー装置から運び出す回転搬送装置と、を備えた搬送装置。
【請求項7】
前記回転搬送装置は、前記スクリュー装置の運転に同期させて前記挟持部を円運動させながら、前記スクリュー部材により搬送される前記ボトルの口部を前記所定位置において前記挟持部により挟持するものであり、
前記スクリュー部材は、前記所定位置より前記搬送方向の後方領域では、各ポケットが等ピッチで形成されており、前記所定位置より前記搬送方向の前方領域では、前記ポケットのピッチが前記後方領域におけるピッチよりも大きくなる状態で形成されている請求項6に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記ボトルに対して飲料を充填する充填包装ラインに設けられる請求項6又は7に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトルの搬送方法、ボトルを搬送するスクリュー装置、及び、搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料品を製造する設備では、成形した空のボトルを搬送ラインに沿って連続的に搬送しながら、飲料の充填、ラベルの包装等の処理を行う。このような処理を行うためには、ボトルが互いに接触している状態ではなく、互いに等間隔に離間した状態で搬送しなければならないため、この搬送ラインに投入されるボトルを等間隔で離間させる必要がある。そして、特開2000−229718号公報(特許文献1)には、周面に形成された螺旋状の溝部により長手方向に並列する複数のポケットが形成されているスクリュー部材と、スクリュー部材と対向するガイド部材とを備え、ポケットにボトルの一方側の側面が当接し、ガイド部材にボトルの他方側の側面が当接する状態でスクリュー部材を回転させて、各ポケットに収容したボトルをスクリュー部材の長手方向に所定の搬送ピッチで搬送するスクリュー装置と、スクリュー装置の搬送速度と同期させた状態で、所定の間隔でスクリュー装置におけるボトルを順次挟持して搬送ラインに投入する処理装置と、を備えた搬送装置が開示されており、この装置によって搬送ラインにボトルを等間隔で投入することができる。
【0003】
そして、この種の搬送装置では、スクリュー部材のポケットに収容したボトルがポケット内で動く(図4参照)ことによりスクリュー装置から処理装置へのボトルの受け渡しができないおそれがあるため、一般に、スクリュー部材のポケットの形状やガイド部材とスクリュー部材との間の間隔は対象とするボトルの形状にフィットするように形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−229718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ただし、通常、飲料品を製造する設備は、一種類の飲料品のみを製造するのではなく、様々な種類の飲料品を製造するものである。そして、飲料品ごとに、それを充填するためのボトルの形状は異なるものであり、そのため、設備の搬送ラインには、形状が互いに異なる複数種のボトルが投入されることとなる。そうすると、スクリュー装置から処理装置へのボトルの受け渡しを円滑に行うためには、投入するボトルの種類が変更されるごとに、ポケットの形状が対象ボトルの形状にフィットするスクリュー部材への交換や、ガイド部材の位置調整が必要になる。
【0006】
そのため、投入するボトルの種類が変更されるごとに、スクリュー部材の交換作業やガイド幅の位置調整を行うために、その都度搬送ラインの運転を停止しなければならず、その結果、製造効率を低下させることとなっていた。さらに、スクリュー部材は重たく作業が困難であるため、交換作業には労力と時間を要することとなっていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、簡易な基準により、それぞれ形状の異なる複数種のボトルを搬送しながらも、スクリュー部材の交換やガイド部材の位置調整を要することなく、処理装置へのボトルの受け渡しを確度高く行うことのできるボトルの搬送方法、ボトルを搬送するスクリュー装置、及び、スクリュー装置を備える搬送装置を提供することを目的とする。
【0008】
本発明に係るボトルの搬送方法は、
それぞれ形状の異なる複数種類のボトルを搬送可能に構成されたスクリュー装置を用いた前記ボトルの搬送方法であって、
前記スクリュー装置は、周面から径方向に突出する螺旋状の山部により画定される螺旋状の溝部により長手方向に並列する複数のポケットが形成されているスクリュー部材と、前記スクリュー部材と平行に設けられ、前記ボトルの搬送時において、前記ポケットに一方側の側面が当接する前記ボトルの他方側の側面に当接させるガイド部材と、を備え、
搬送対象とする種類のボトルについて、前記スクリュー装置における前記ボトルの搬送経路の所定位置における前記ポケットと前記ガイド部材との間の収容領域に収容された状態にある当該種類のボトルの中心軸が前記収容領域内で平行移動し得る前記長手方向の幅が、
3.2(mm)≦長手方向の幅≦12.6(mm)を満たすように前記スクリュー装置を調整し、
前記スクリュー部材を回転させて、前記長手方向を搬送方向として各ポケットに収容した前記ボトルを搬送する。
【0009】
発明者は、所定位置における収容領域に収容された状態にあるボトルの中心軸が収容領域内で平行移動し得る長手方向の幅(図2におけるW)が、スクリュー装置から処理装置へのボトルの受け渡しを確度高く行うための重要なパラメータであることを見出した。そして、鋭意創作の結果、搬送対象の全種のボトルについて、「3.2(mm)≦長手方向の幅≦12.6(mm)」の条件を満たすようにスクリュー装置を構成することにより、スクリュー部材の交換やガイド部材の位置調整を行うことなく、各ボトルについて共通のスクリュー装置を用いてスクリュー部材から処理装置への受け渡しを円滑に行うことができることを見出した。
【0010】
これについて説明すると、平行移動幅が大きいほど、その分ボトルは回動しやすく、回動幅も大きくなるため、平行移動幅を小さくすれば回動幅も小さくできるといえる。また、例えば処理装置の挟持部の最大開度が平行移動幅に比べ十分大きかったとしても、平行移動幅や回動幅が大きく、ボトルが大きく動いている場合には、挟持部によりボトルを挟持しようとしても、ボトルの運動によりボトルが挟持部に弾かれて、挟持部がボトルを挟持し損ねてしまう。つまり、平行移動幅がある程度大きいと、ボトルが挟持される際に挟持部に当たる力が大きくなるため、挟持部の最大開度が十分大きく、挟持部にボトルが一度収まるものであっても、挟持部がボトルを挟持し損ねてしまう。このように、スクリュー装置から処理装置へのボトルの受け渡しを確度高く行うためには、ボトルが平行移動し得る長手方向の幅Wが重要なパラメータであり、これを考慮するのみでよいことを発明者は見出した。
【0011】
そして、この場合、Wに上限値を定め、各ボトルについて、ただWが小さくなるようにスクリュー装置を構成すればよいというのではなく、Wが小さくなり過ぎない、適度な数値範囲に収まることが必要となっていることも発明者は見出した。つまり、どれか一つのボトルについてWが極めて小さくなると、そのボトルについては収容領域内で動きにくくできるが、スクリュー装置の構成がその種類のボトルに対して適合しすぎた状態となり、他の種類のボトルの全てについてWを所定の値を超えないようにすることが極めて困難になる。このように、Wに上限のみを定めて、その上限を各ボトルについて満たすようにスクリュー装置を構成するのは極めて困難であり、Wに上限と下限とを定めて、Wが各種のボトルについて上限と下限との間の値となるようにスクリュー装置を構成する必要がある。つまり、下限を定めることによって初めて、全ボトルについて上限を下回るスクリュー装置を形成可能になる。そして、発明者は、鋭意創作の結果、スクリュー部材から処理装置への受け渡しを円滑に行うための条件として、搬送対象の全種のボトルについて「3.2(mm)≦W≦12.6(mm)」という条件を見出した。
【0012】
そして、上記構成では、発明者の知見に基づき、各ボトルについて、「3.2(mm)≦W≦12.6(mm)」の条件を満たすようにスクリュー装置及び処理装置を調整するため、スクリュー部材の交換やガイド部材の位置調整を行うことなく、各ボトルについて共通のスクリュー装置によりスクリュー部材から処理装置への受け渡しを円滑に行うことができる。
【0013】
1つの態様として、前記ボトルの口部を挟持部により挟持して前記スクリュー装置から前記ボトルを運び出す回転搬送装置を用いて、前記スクリュー装置によって順次搬送される前記ボトルの口部を、前記所定位置において前記挟持部により順次挟持して前記スクリュー装置から運び出すと好適である。
【0014】
形状の異なるボトルでも口部の形状・寸法はほぼ一定であるため、形状の異なる複数種のボトルの口部を回転搬送装置の挟持部に挟持させることにより、形状の異なる複数種のボトルを搬送する場合でも対応可能になる。
【0015】
1つの態様として、前記スクリュー部材は、前記所定位置より前記搬送方向の後方領域では、各ポケットが等ピッチで形成され、前記所定位置より前記搬送方向の前方領域では、前記ポケットのピッチが前記後方領域におけるピッチよりも大きくなる状態で形成されたものであり、前記回転搬送装置を用いて、前記スクリュー装置の運転に同期させて前記挟持部を円運動させながら、前記スクリュー部材により搬送される前記ボトルの口部を前記所定位置において前記挟持部により挟持すると好適である。
【0016】
回転搬送装置において、挟持部が円軌道上を動き、所定位置において挟持部によりスクリュー部材からボトルを運び出すようにしたとき、ボトルが挟持部で掴まれた後はボトルに遊びがなくなりボトルが固定されてしまうため、挟持部がボトルを挟持してスクリュー部材からボトルを運び出すまでの間に、スクリュー部材の山部がボトルに干渉するとボトルに傷やへこみが生じる虞がある。これは、本発明のように、複数種のボトルを一つのスクリュー部材に適用するときに特に問題となり得る。これに対し、この構成では、挟持部によりボトルを挟持する所定位置より前方の領域では、所定位置より後方の領域よりも、ポケットのピッチ(各ポケットの中央位置の間隔)が大きくなるようにしてあり、これにより、スクリュー部材の山部がボトルに干渉することを効果的に抑制してある。
【0017】
本発明に係るスクリュー装置は、
それぞれ形状の異なる複数種類のボトルを搬送可能に構成されたスクリュー装置であって、
周面から径方向に突出する螺旋状の山部により画定される螺旋状の溝部により長手方向に並列する複数のポケットが形成されているスクリュー部材と、前記スクリュー部材と平行に設けられ、前記ボトルの搬送時において、前記ポケットに一方側の側面が当接する前記ボトルの他方側の側面に当接させるガイド部材と、を備え、
前記スクリュー部材を回転させることにより、前記長手方向を搬送方向として各ポケットに収容した前記ボトルを搬送可能であり、
搬送対象とする種類のボトルについて、前記スクリュー装置における前記ボトルの搬送経路の所定位置における前記ポケットと前記ガイド部材との間の収容領域に収容された状態にある当該種類のボトルの中心軸が前記収容領域内で平行移動し得る前記長手方向の幅が、
3.2(mm)≦長手方向の幅≦12.6(mm)を満たす。
【0018】
上記構成では、発明者の知見に基づき、各ボトルについて、「3.2(mm)≦W≦12.6(mm)」の条件を満たすようにスクリュー装置及び処理装置を構成するため、スクリュー部材の交換やガイド部材の位置調整を行うことなく、各ボトルについて共通のスクリュー装置によりスクリュー部材から処理装置への受け渡しを円滑に行うことができる。
【0019】
1つの態様として、前記山部の断面形状が台形状であると好適である。
【0020】
発明者は、山部の断面形状が台形状であることで、各ボトルについて、「3.2(mm)≦W≦12.6(mm)」の条件を満たしやすくなることを見出した。そして、上記構成では、山部の断面形状を台形状とすることで、「3.2(mm)≦W≦12.6(mm)」の条件を満たしやすくしてある。
【0021】
本発明に係る搬送装置は、
本発明に係るスクリュー装置と、
前記ボトルの口部を挟持可能な挟持部を備え、前記スクリュー装置によって順次搬送される前記ボトルの口部を、前記所定位置において前記挟持部により順次挟持して前記スクリュー装置から運び出す回転搬送装置と、を備える。
【0022】
形状の異なるボトルでも口部の形状・寸法はほぼ一定であるため、形状の異なる複数種のボトルの口部を回転搬送装置の挟持部に挟持させることにより、形状の異なる複数種のボトルを搬送する場合でも対応可能になる。
【0023】
1つの態様として、前記回転搬送装置は、前記スクリュー装置の運転に同期させて前記挟持部を円運動させながら、前記スクリュー部材により搬送される前記ボトルの口部を前記挟持部により前記所定位置において前記ボトルを挟持するものであり、前記スクリュー部材は、前記所定位置より前記搬送方向の後方領域では、各ポケットが等ピッチで形成されており、前記所定位置より前記搬送方向の前方領域では、前記ポケットのピッチが前記後方領域におけるピッチよりも大きくなる状態で形成されていると好適である。
【0024】
この構成では、挟持部によりボトルを挟持する所定位置より前方の領域では、所定位置より後方の領域よりも、ポケットのピッチ(各ポケットの中央位置の間隔)が大きくなるようにしてあり、これにより、スクリュー部材の山部がボトルに干渉することを効果的に抑制してある。
【0025】
1つの態様として、前記ボトルに対して飲料を充填する充填包装ラインに設けられると好適である。
【0026】
この構成によれば、充填包装ラインでのボトルの搬送を好適に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本実施形態における搬送装置の概要図
図2】ボトルがスクリュー装置に収容された状態の一例を示す図
図3】スクリュー部材を示す図
図4】ボトルがポケット内で回動する状態の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に係るボトルの搬送方法、ボトルを搬送するスクリュー装置、及び、搬送装置の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態に係る搬送装置1はそれぞれ形状の異なる複数種のボトル4を搬送するものであり、成形した空のボトル4に対して飲料の充填、ラベルの包装やボトル4に対して飲料を充填する等の処理を行う充填包装ライン(図示は省略する)に対してボトル4を等間隔で投入するために、搬送ラインの入口に設けられている。図1は本実施形態に係る搬送装置1の概要を示し、図1に示すように、搬送装置1は、スクリュー装置2と回転搬送装置3とを備え、スクリュー装置2により所定の搬送ピッチで搬送されるボトル4を、回転搬送装置3により図示しない充填包装ラインに順次等間隔で投入する。以下、各部の構成について、具体的に説明する。
【0029】
スクリュー装置2は、周面から径方向に突出する螺旋状の山部11を備えるスクリュー部材10と、スクリュー部材10と平行に設けられたガイド部材20と、を備える。スクリュー部材10は、山部11により画定される螺旋状の溝部12により長手方向Lに並列する複数のポケット13が形成されている。また、本実施形態では、ガイド部材20はスクリュー部材10と対向する板状の部材で形成されている。スクリュー装置2は、ボトル4の搬送時において、ポケット13とガイド部材20との間を収容領域14として、ポケット13にボトル4の一方側の側面を当接させ、ガイド部材20はボトル4の他方側の側面に当接させる状態で収容領域14にボトル4を収容する。そして、図示しない駆動部と制御部とによりスクリュー部材10を回転させることにより、長手方向Lを搬送方向として各ポケット13(各収容領域14)に収容したボトル4を搬送可能になっている。
【0030】
また、図3に示すように、スクリュー部材10は、所定位置Pより搬送方向の後方の領域では、各ポケットが等ピッチで形成されている。つまり、隣接するポケット13の搬送方向における中央位置13aの間の間隔が等間隔となる状態で形成されている。これにより、スクリュー装置2では、所定位置Pに至るまでボトル4が等ピッチで搬送されるようになっている。
【0031】
回転搬送装置3は、本実施形態ではいわゆるグリッパホイールであり、ボトル4の口部4aを挟持可能な複数の挟持部3aが円周上に等間隔で配置されている(図1では複数の挟持部3aのうちの一部のみを図示し、他は省略してある)。そして、回転搬送装置3は、スクリュー装置2の運転に同期させながら挟持部3aを円運動させて、挟持部3aにより、スクリュー装置2によって順次搬送されるボトル4の口部4aを、スクリュー装置2におけるボトル4の搬送経路の所定位置Pにおいて順次挟持して、スクリュー装置2から図示しない搬送ラインに運び出す。
【0032】
本実施形態の搬送装置1は、基本的には上記のような構成であり、スクリュー装置2により所定の搬送ピッチで搬送されるボトル4が、回転搬送装置3により搬送ラインに順次等間隔で投入されるようになっている。そして、本実施形態の搬送装置1は、それぞれ形状の異なる複数種のボトル4を搬送するのに適しており、搬送対象の全種のボトル4についてスクリュー装置2の構成を共通としながらも、スクリュー装置2から回転搬送装置3への受け渡しの際のボトル4の脱落を抑制可能になっている。
【0033】
これについて説明すると、通常、この種の搬送装置1では、スクリュー装置2から回転搬送装置3への受け渡しの際のボトル4の脱落を抑制するため、スクリュー装置2の構成(スクリュー部材10の形状やスクリュー部材10とガイド部材20との間隔)をボトル4の形状に合ったものにして、ボトル4の収容領域14での遊びをなくすことが行われているが、そうすると、それぞれ形状の異なる複数種のボトル4を搬送する際には、搬送するボトル4の種類が変更されるたびに、スクリュー装置2の構成をそのボトル4に合わせて変更する必要があり、スクリュー部材10の交換やガイド部材20の位置調整のために運転を停止しなければならない。これに対し、本実施形態の搬送装置1では、搬送するボトル4の種類を変更してもスクリュー装置2の構成を変更することなく、スクリュー装置2から回転搬送装置3への受け渡しの際のボトル4の脱落を抑制可能な装置構成の条件が見出され、その条件を満たすように調整・構成されている。
【0034】
具体的には、本実施形態の搬送装置1では、搬送対象とするボトル4の全種類について、所定位置Pにおけるポケット13とガイド部材20との間の収容領域14に収容された状態にある当該ボトル4の中心軸4bが収容領域14内で平行移動し得る長手方向Lの幅W(図2参照)が、
3.2(mm)≦W≦12.6(mm)
(より好ましくは、3.2(mm)≦W≦10.0(mm))
の関係を満たすようにスクリュー装置2が調整・構成されている。
【0035】
まず、収容領域14の形状が対象のボトル4の形状に完全にフィットするものでない限り、収容領域14に収容されたボトル4はある程度収容領域14内で動いてしまうものであり、スクリュー装置2側の条件として、ボトル4の中心軸4bが収容領域14内で移動し得る長手方向Lの幅Wを把握している。つまり、この幅Wはボトル4の収容領域14内での遊びの大きさを反映したものとなっている。
【0036】
そして、「3.2(mm)≦W≦12.6(mm)」の条件について説明すると、収容領域14内の遊びがある程度大きいと、ボトル4が大きく動いてしまい、挟持部3aによりボトル4を挟持しようとしても、挟持部3aの最大開度にかかわらず、ボトル4の運動によりボトル4が挟持部3aに弾かれて、挟持部3aがボトル4を挟持し損ねてしまう。そこで、Wの上限値として12.6(より好ましくは10.0)(mm)が設定されている。この上限値を下回っていれば、挟持部3aがボトル4をつかみ損ねることを効果的に抑制できる。また、どれか一つの種類のボトル4についてWが小さくなりすぎると、そのボトル4については収容領域14内で動きにくくできるが、スクリュー装置2の構成がその種類のボトル4に対して適合しすぎた状態となり、他の種類のボトル4の全てについてWが上限値を超えないようにすることが極めて困難になる。そこで、Wの下限値として3.2(mm)が設定されている。つまり、Wに上限のみを定めるのでなく、下限も定めることによって初めて、全ボトル4について上限を下回るスクリュー装置2を形成可能になる。
【0037】
このような考えのもと、本実施形態のスクリュー装置2では、全ボトル4について「3.2(mm)≦W≦12.6(mm)」の条件を満たすように、スクリュー部材10の形状や、スクリュー部材10とガイド部材20との間隔を調整・構成してあり、これにより、スクリュー装置2の構成を各ボトル4で共通としながらも、全ボトル4についてスクリュー装置2から回転搬送装置3への受け渡しを確度高く行えるようにしてある。
【0038】
全ボトル4について「3.2(mm)≦W≦12.6(mm)」の条件を満たすようにする手段としては、スクリュー部材10の形状やガイド部材20の配置の調整を行うことが挙げられる。そして、本実施形態では、「3.2(mm)≦W≦12.6(mm)」の条件を満たすようにするための手段の一つとして、図1〜3に示すように、スクリュー部材10は、山部11の断面形状が台形状となるように形成されている。山部11の断面形状を台形状とし角張らせることで、各ボトル4について、「3.2(mm)≦W≦12.6(mm)」の条件を満たしやすくなるためである。例えば、スクリュー部材10における各ポケット13の幅が73mmで深さ31mmであり、外径が68mmのボトル4がポケット13に収容されているときのボトル4の中心軸とガイド部材20との間の距離が35±0.5mmであると、外径が65〜69mmの値となる複数種のボトルの全てについて「3.2(mm)≦W≦12.6(mm)」の条件を満たすことができる。
【0039】
複数種のボトル4を共通のスクリュー装置2に適用するときには、挟持部3aがボトル4を挟持してスクリュー部材10からボトル4を運び出すまでの間に、スクリュー部材10の山部11がボトル4に干渉するとボトル4に傷やへこみが生じる虞がある。これは、山部11の断面形状を台形状とし角張らせたときに、特に問題となる。そこで、本実施形態の搬送装置1では、図3に示すように、所定位置P(基準位置)より搬送方向(長手方向L)の後方の領域では、ポケット13が間隔X1で等ピッチで設けられた状態となっているが、所定位置Pより搬送方向の前方領域では、ポケット13のピッチ(間隔X2)が後方領域におけるピッチ(間隔X1)よりも大きくなる状態で形成されている。つまり、所定位置P(基準位置)より搬送方向の前方領域は、ポケット13が途中で分断された状態とはなっているが、分断されたところからさらに先にスクリュー部材10が延びているとしたときのポケット13の中央位置13a´と所定位置Pにおけるポケット13の中央位置13aとの間隔をX2としたときに、この間隔X2が間隔X1よりも大きくなるように、所定位置P(基準位置)に対して搬送方向の前方領域が形成されている。そして、これにより、スクリュー部材の山部がボトルに干渉することを効果的に抑制される。
【0040】
最後に、本実施形態に係る搬送装置1を用いてそれぞれ形状の異なる複数種のボトル4を搬送する方法について説明する。
【0041】
まず、搬送対象とするボトル4の全種類について、所定位置Pにおけるポケット13とガイド部材20との間の収容領域14に収容された状態にある当該ボトル4の中心軸4bが収容領域14内で平行移動し得る長手方向Lの幅W(図2参照)が、
3.2(mm)≦W≦12.6(mm)
(より好ましくは、3.2(mm)≦W≦10.0(mm))
を満たすようにスクリュー装置2を調整する。その後、スクリュー部材10を回転させて、長手方向Lを搬送方向として各ポケット13に収容したボトル4を搬送する。そして、ボトル4の口部4aを挟持部3aにより挟持してスクリュー装置2からボトル4を運び出す回転搬送装置3を用いて、スクリュー装置2によって順次搬送されるボトル4の口部4aを、スクリュー装置2におけるボトル4の搬送経路の所定位置Pにおいて挟持部3aにより順次挟持してスクリュー装置2から運び出す。このとき、回転搬送装置3を用いて、スクリュー装置2の運転に同期させて挟持部3aを円運動させながら、スクリュー部材10により搬送されるボトル4の口部4aを所定位置Pにおいて挟持部3aにより挟持する。
【0042】
以上のように、本実施形態に係る搬送装置1によれば、それぞれ形状の異なる複数種のボトル4を搬送する場合でも、スクリュー装置2の構成を各ボトル4で共通とし、且つ、全ボトル4についてスクリュー装置2から回転搬送装置3への受け渡しを確度高く行うことができる。
【0043】
〔その他の実施形態〕
最後に、本発明に係る搬送装置のその他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0044】
(1)上記の実施形態では、回転搬送装置3がいわゆるグリッパホイールである構成を例に説明したが、本発明の実施形態はこれに限定されず、例えばスターホイール等他の装置を用いてもよい。
【0045】
(2)上記の実施形態では、スクリュー部材10の山部11の断面形状を台形状とした構成を例に説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されず、「3.2(mm)≦W≦12.6(mm)」の条件を満たすのであれば、山部11の断面形状は円弧状にしてもよく適宜選択可能である。
【0046】
(3)上記の実施形態では、スクリュー部材10を所定位置Pを基準にピッチを異ならせる山部11の断面形状を台形状とした構成を例に説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されず、「3.2(mm)≦W≦12.6(mm)」の条件を満たすのであれば、山部11の断面形状は円弧状にしてもよく適宜選択可能である。
【0047】
(4)上記の実施形態では、スクリュー装置2が、それぞれ形状の異なる複数種のボトル4を搬送する構成を例に説明したが、本発明の実施形態はこれに限定されず、1種類のボトルや、複数種類ではあってもそれぞれ形状の異ならないボトルを搬送するようにしてもよい。
【0048】
(5)その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の範囲はそれらによって限定されることはないと理解されるべきである。当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜改変が可能であることを容易に理解できるであろう。従って、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変された別の実施形態も、当然、本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、例えば飲料ボトルなどを搬送するための搬送装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 搬送装置
2 スクリュー装置
3 回転搬送装置
4 ボトル
4a 口部
4b 中心軸
10 スクリュー部材
11 山部
12 溝部
13 ポケット
14 収容領域
20 ガイド部材
P 所定位置
W 長手方向の幅
図1
図2
図3
図4