【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、簡易な基準により、それぞれ形状の異なる複数種のボトルを搬送しながらも、スクリュー部材の交換やガイド部材の位置調整を要することなく、処理装置へのボトルの受け渡しを確度高く行うことのできるボトルの搬送方法、ボトルを搬送するスクリュー装置、及び、スクリュー装置を備える搬送装置を提供することを目的とする。
【0008】
本発明に係るボトルの搬送方法は、
それぞれ形状の異なる複数種類のボトルを搬送
可能に構成されたスクリュー装置を用いた前記ボトルの搬送方法であって、
前記スクリュー装置は、周面から径方向に突出する螺旋状の山部により画定される螺旋状の溝部により長手方向に並列する複数のポケットが形成されているスクリュー部材と、前記スクリュー部材と平行に設けられ、前記ボトルの搬送時において、前記ポケットに一方側の側面が当接する前記ボトルの他方側の側面に当接させるガイド部材と、を備え、
搬送対象とする
種類のボトルについて、前記スクリュー装置における前記ボトルの搬送経路の所定位置における前記ポケットと前記ガイド部材との間の収容領域に収容された状態にある当該
種類のボトルの中心軸が前記収容領域内で平行移動し得る前記長手方向の幅が、
3.2(mm)≦長手方向の幅≦12.6(mm)を満たすように前記スクリュー装置を調整し、
前記スクリュー部材を回転させて、前記長手方向を搬送方向として各ポケットに収容した前記ボトルを搬送する。
【0009】
発明者は、所定位置における収容領域に収容された状態にあるボトルの中心軸が収容領域内で平行移動し得る長手方向の幅(
図2におけるW)が、スクリュー装置から処理装置へのボトルの受け渡しを確度高く行うための重要なパラメータであることを見出した。そして、鋭意創作の結果、搬送対象の全種のボトルについて、「3.2(mm)≦長手方向の幅≦12.6(mm)」の条件を満たすようにスクリュー装置を構成することにより、スクリュー部材の交換やガイド部材の位置調整を行うことなく、各ボトルについて共通のスクリュー装置を用いてスクリュー部材から処理装置への受け渡しを円滑に行うことができることを見出した。
【0010】
これについて説明すると、平行移動幅が大きいほど、その分ボトルは回動しやすく、回動幅も大きくなるため、平行移動幅を小さくすれば回動幅も小さくできるといえる。また、例えば処理装置の挟持部の最大開度が平行移動幅に比べ十分大きかったとしても、平行移動幅や回動幅が大きく、ボトルが大きく動いている場合には、挟持部によりボトルを挟持しようとしても、ボトルの運動によりボトルが挟持部に弾かれて、挟持部がボトルを挟持し損ねてしまう。つまり、平行移動幅がある程度大きいと、ボトルが挟持される際に挟持部に当たる力が大きくなるため、挟持部の最大開度が十分大きく、挟持部にボトルが一度収まるものであっても、挟持部がボトルを挟持し損ねてしまう。このように、スクリュー装置から処理装置へのボトルの受け渡しを確度高く行うためには、ボトルが平行移動し得る長手方向の幅Wが重要なパラメータであり、これを考慮するのみでよいことを発明者は見出した。
【0011】
そして、この場合、Wに上限値を定め、各ボトルについて、ただWが小さくなるようにスクリュー装置を構成すればよいというのではなく、Wが小さくなり過ぎない、適度な数値範囲に収まることが必要となっていることも発明者は見出した。つまり、どれか一つのボトルについてWが極めて小さくなると、そのボトルについては収容領域内で動きにくくできるが、スクリュー装置の構成がその種類のボトルに対して適合しすぎた状態となり、他の種類のボトルの全てについてWを所定の値を超えないようにすることが極めて困難になる。このように、Wに上限のみを定めて、その上限を各ボトルについて満たすようにスクリュー装置を構成するのは極めて困難であり、Wに上限と下限とを定めて、Wが各種のボトルについて上限と下限との間の値となるようにスクリュー装置を構成する必要がある。つまり、下限を定めることによって初めて、全ボトルについて上限を下回るスクリュー装置を形成可能になる。そして、発明者は、鋭意創作の結果、スクリュー部材から処理装置への受け渡しを円滑に行うための条件として、搬送対象の全種のボトルについて「3.2(mm)≦W≦12.6(mm)」という条件を見出した。
【0012】
そして、上記構成では、発明者の知見に基づき、各ボトルについて、「3.2(mm)≦W≦12.6(mm)」の条件を満たすようにスクリュー装置及び処理装置を調整するため、スクリュー部材の交換やガイド部材の位置調整を行うことなく、各ボトルについて共通のスクリュー装置によりスクリュー部材から処理装置への受け渡しを円滑に行うことができる。
【0013】
1つの態様として、前記ボトルの口部を挟持部により挟持して前記スクリュー装置から前記ボトルを運び出す回転搬送装置を用いて、前記スクリュー装置によって順次搬送される前記ボトルの口部を、前記所定位置において前記挟持部により順次挟持して前記スクリュー装置から運び出すと好適である。
【0014】
形状の異なるボトルでも口部の形状・寸法はほぼ一定であるため、形状の異なる複数種のボトルの口部を回転搬送装置の挟持部に挟持させることにより、形状の異なる複数種のボトルを搬送する場合でも対応可能になる。
【0015】
1つの態様として、前記スクリュー部材は、前記所定位置より前記搬送方向の後方領域では、各ポケットが等ピッチで形成され、前記所定位置より前記搬送方向の前方領域では、前記ポケットのピッチが前記後方領域におけるピッチよりも大きくなる状態で形成されたものであり、前記回転搬送装置を用いて、前記スクリュー装置の運転に同期させて前記挟持部を円運動させながら、前記スクリュー部材により搬送される前記ボトルの口部を前記所定位置において前記挟持部により挟持すると好適である。
【0016】
回転搬送装置において、挟持部が円軌道上を動き、所定位置において挟持部によりスクリュー部材からボトルを運び出すようにしたとき、ボトルが挟持部で掴まれた後はボトルに遊びがなくなりボトルが固定されてしまうため、挟持部がボトルを挟持してスクリュー部材からボトルを運び出すまでの間に、スクリュー部材の山部がボトルに干渉するとボトルに傷やへこみが生じる虞がある。これは、本発明のように、複数種のボトルを一つのスクリュー部材に適用するときに特に問題となり得る。これに対し、この構成では、挟持部によりボトルを挟持する所定位置より前方の領域では、所定位置より後方の領域よりも、ポケットのピッチ(各ポケットの中央位置の間隔)が大きくなるようにしてあり、これにより、スクリュー部材の山部がボトルに干渉することを効果的に抑制してある。
【0017】
本発明に係るスクリュー装置は、
それぞれ形状の異なる複数種類のボトルを搬送
可能に構成されたスクリュー装置であって、
周面から径方向に突出する螺旋状の山部により画定される螺旋状の溝部により長手方向に並列する複数のポケットが形成されているスクリュー部材と、前記スクリュー部材と平行に設けられ、前記ボトルの搬送時において、前記ポケットに一方側の側面が当接する前記ボトルの他方側の側面に当接させるガイド部材と、を備え、
前記スクリュー部材を回転させることにより、前記長手方向を搬送方向として各ポケットに収容した前記ボトルを搬送可能であり、
搬送対象とする
種類のボトルについて、前記スクリュー装置における前記ボトルの搬送経路の所定位置における前記ポケットと前記ガイド部材との間の収容領域に収容された状態にある当該
種類のボトルの中心軸が前記収容領域内で平行移動し得る前記長手方向の幅が、
3.2(mm)≦長手方向の幅≦12.6(mm)を満たす。
【0018】
上記構成では、発明者の知見に基づき、各ボトルについて、「3.2(mm)≦W≦12.6(mm)」の条件を満たすようにスクリュー装置及び処理装置を構成するため、スクリュー部材の交換やガイド部材の位置調整を行うことなく、各ボトルについて共通のスクリュー装置によりスクリュー部材から処理装置への受け渡しを円滑に行うことができる。
【0019】
1つの態様として、前記山部の断面形状が台形状であると好適である。
【0020】
発明者は、山部の断面形状が台形状であることで、各ボトルについて、「3.2(mm)≦W≦12.6(mm)」の条件を満たしやすくなることを見出した。そして、上記構成では、山部の断面形状を台形状とすることで、「3.2(mm)≦W≦12.6(mm)」の条件を満たしやすくしてある。
【0021】
本発明に係る搬送装置は、
本発明に係るスクリュー装置と、
前記ボトルの口部を挟持可能な挟持部を備え、前記スクリュー装置によって順次搬送される前記ボトルの口部を、前記所定位置において前記挟持部により順次挟持して前記スクリュー装置から運び出す回転搬送装置と、を備える。
【0022】
形状の異なるボトルでも口部の形状・寸法はほぼ一定であるため、形状の異なる複数種のボトルの口部を回転搬送装置の挟持部に挟持させることにより、形状の異なる複数種のボトルを搬送する場合でも対応可能になる。
【0023】
1つの態様として、前記回転搬送装置は、前記スクリュー装置の運転に同期させて前記挟持部を円運動させながら、前記スクリュー部材により搬送される前記ボトルの口部を前記挟持部により前記所定位置において前記ボトルを挟持するものであり、前記スクリュー部材は、前記所定位置より前記搬送方向の後方領域では、各ポケットが等ピッチで形成されており、前記所定位置より前記搬送方向の前方領域では、前記ポケットのピッチが前記後方領域におけるピッチよりも大きくなる状態で形成されていると好適である。
【0024】
この構成では、挟持部によりボトルを挟持する所定位置より前方の領域では、所定位置より後方の領域よりも、ポケットのピッチ(各ポケットの中央位置の間隔)が大きくなるようにしてあり、これにより、スクリュー部材の山部がボトルに干渉することを効果的に抑制してある。
【0025】
1つの態様として、前記ボトルに対して飲料を充填する充填包装ラインに設けられると好適である。
【0026】
この構成によれば、充填包装ラインでのボトルの搬送を好適に行うことができる。