(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記機能モデルが、前記ツリーを形成する前記導管を識別する多数のセグメントを備え、当該セグメントが、境界条件を考慮するために、集中化されたパラメータ0Dモデルに接続されている終端部分により、前記機能モデル内の1Dセグメントに関連づけられている、請求項1に記載の作動方法。
CTのような画像モダリティから入手可能なデータが、患者特有の機能モデルを精緻にするために使用され、当該データが、骨格の直径、血管長、血管湾曲、分岐の角度からなる群から選択される一つ以上の特徴を備える、請求項1−4の何れか1項に記載の作動方法。
前記ツリーが冠動脈ツリーであり、かつ前記潅流された器官が心臓の心筋であり、入力された前記モデルが、冠動脈ツリーの左優位、右優位、バランスされているまたは小さい右/左優位モデルを備える多くの予め定められた冠動脈優位モデルの間で選択される、請求項1−5の何れか1項に記載の作動方法。
CTのような三次元画像モダリティを、前記3D再構成を作成するために使用される前記二次元画像を登録するために使用し、ブラッシェ分析が実行されるべき前記心筋の前記位置のより正確な表示を提供する、請求項7−9の何れか1項に記載の作動方法。
前記ツリーの副行フローの前記存在を、少なくとも一つの二次元画像に基づく速度測定によって決定し、副行フローの量を、前記機能モデルを補正するために使用する、請求項4−10の何れか1項に記載の作動方法。
【背景技術】
【0002】
心臓血管系疾患(CVD: cardiovascular disease)は、世界的に主要な死因の一つである。CVDは、一般に、血管が狭くなりまたは閉塞され、そのため血液が減少するまたは存在せず、従って、狭窄より遠位のセクションに対する酸素の供給が、例えば、胸痛(アンギナ)および虚血と言う結果になる状態に関連する。CVDの防止および治療の点で非常に重要な態様は、このような狭小化されたまたは閉塞された血管の機能評価である。
【0003】
現時点では、X線血管造影法が、冠動脈の解剖学的評価および冠動脈疾患の診断の標準技術である。X線血管造影法が行われている間、検査されるオブジェクトのいくつかの異なる二次元画像(二次元投影とも呼ばれる)が、患者に対して、アームを回転させ、X線源および画像増倍管を保持することによって、異なる図または透視から得ることが出来る。
【0004】
病変の重症度に関する評価の客観性、再現性および精度は、定量的冠動脈分析ツールによって向上して来てはいるが、冠動脈疾患の患者において最も重要な予後因子であるアテローム硬化型病変の機能的重要性は、抽出された幾何学的特徴に基づいて閉塞の重症度を定量化する従来の心血管撮影法では、評価することは出来ない。
【0005】
中間状態の冠動脈病変(30%−70%)に対しては、例えば、狭窄が患者に対し危険であるか否かおよび処置をすることが望ましいか否か常に明らかであるという訳では無い。狭窄の重症度の過剰評価が、本来必要ではなかった治療を行ってしまう原因にもなり得る。従って、これは、患者を不必要なリスクに曝すことになる。しかしながら、狭窄の過小評価は、狭窄が実際に重症であるにもかかわらず患者が治療されないままにされてしまうので、危険を生じさせることにもなるであろう。特にこれらの状況に対しては、良好な意思決定の助けとするために付加的な機能評価を有することが望ましい。
【0006】
冠動脈血液フロー予備量比(FFR: Fractional Flow Reserve)は、おそらく経皮的冠動脈介入(PCI: percutaneous coronary intervention)の利点により、冠動脈病変を効率的に識別しかつこれを検査対象とする方法として、ここ10―15年その使用が増大して来ている。FFRは、冠動脈狭窄に渡る圧力差を計測して、狭窄が、心筋への酸素の配送を妨げる可能性を決定するために使用される技術である。この技術では、経皮的に冠動脈内部に圧力変換ワイヤを挿入しかつ病変の前後の圧力を測定することが必要である。これは、充血が最大の場合に、心筋への血液フローが心筋潅流圧に比例するので、充血状態において行われるのが最良である。従って、FFRは、非特許文献1において記述されているように、冠動脈病変の機能重症度の定量的評価を提供する。
【0007】
ESCおよびACC/AHAガイドラインは、両者とも、冠動脈狭窄が中間状態(30%― 70%)である患者に、FFRの使用を推奨する。EUでは、年間約25,000のFFR測定が、実行されている。
【0008】
しかしながら、FFRは、いくつかの問題点を有する。この技術は、圧力ワイヤが一度しか使用することが出来ないので付加的コストを伴う。さらにまた、FFRの測定は、コストおよび処置時間を要する侵襲性のカテーテル法を必要とする。また、(最大)充血を誘起するために、薬(アデノシンまたはパパベリン)の注入が付加的に必要であり、これは、患者には余分の負担となる。
【0009】
コストを下げかつ患者への対応を向上させる方法は、仮想冠動脈血液フロー予備量比測定(vFFR: virtual fractional flow reserve)である。vFFRでは、計算流体力学(CFD: computational fluid dynamics)の計算が、非侵襲的に冠動脈血液フロー循環を推定しかつ冠動脈病変の結果である冠動脈血液フロー予備量比を導出するために使用される。
【0010】
vFFRの最も困難な態様の一つは、高計算能力を用いずに(解剖学的かつ機能的な)計算の種々の態様を結合し、正確な計算のために必要な患者特有な多くの情報を組込むことである。
【0011】
患者特有の診断情報を導出するために、計算流体力学(CFD)および有限要素モデル(FEM: finite element models)を組合わせる、非特許文献2のような高性能数値モデルが、開発されている。
【0012】
最大の課題の一つは、撮像された血管系の抽出された幾何学的配置において動的血液フローをシミュレートするために、現実の境界条件を適用することである。
【0013】
非特許文献3においては、大動脈の幾何学的配置がMRAから抽出されるCFDを使用して、圧力の勾配が計算される。境界条件として使用される速度を測定するために、MR位相コントラスト画像処理が、付加的に、実行される。
【0014】
非特許文献4においては、心臓、大循環および冠動脈微小循環の集中パラメータ・モデルが、CTAから抽出された大動脈起始部および噴門上部冠動脈の患者特有の3次元モデルに、結合される。これらのアプローチの欠点は、全ての計算が3Dでしか実行されないことである。これは、計算が複雑になると言う結果をもたらす。さらにまた、これらの方法が、MRまたはCT画像処理を必要とすると言う事実により、これらは、X線血管造影法が標準の画像処理法である介入処置の間には、使用することができない。
【0015】
計算処理上の要求を実行可能なレベルに保持するために、削減モデルを、計算に使用することが出来る。すなわち、冠動脈ツリーのセクションは、一次元のネットワークまたはゼロ次元の(集中)モデルによって、表すことが出来る。
【0016】
このマルチ・スケール・アプローチは、基本的な状態で冠動脈血管の現実の圧力およびフロー波形を生理的に計算するために、非特許文献5により採用された。3D CFDシミュレーションは、循環の分析1Dモデルおよび冠動脈抵抗の集中パラメータ・モデルに結合された。しかしながら、これらの方法のいくつかの基礎をなす仮定は、非特許文献6により記述される限界を提供する。例えば、その仮定は、心筋が健常であることである。フローは、例えば、生体心筋および酸素消費の量によって決まる。さらにまた、血管再構築および副行フローは、考慮されていないので、病変から遠位にある冠動脈血管床に繋がる副行動脈は存在しないと仮定される。
【0017】
心筋毛細血管系の状態は、心臓のある部分が健常であるとみなすことが出来るかを示す。例えば、虚血の存在は、例えば、心臓のある部分には、(以前の)梗塞により十分な血液が供給されていないことを示す(
図1)。これは、毛細血管抵抗に影響を及ぼすので、モデルの計算において調整されなければならない。
【0018】
さらにまた、副行フローの存在は、副行血管が、病変を迂回することによって心臓に血液を提供する血管があることを意味する(
図2)。これの効果は、非常に重篤な狭窄(例えば、完全閉塞部に対して)の場合でさえ、狭窄から遠位のセクションに、血液フローがあることである。従って、実際には、狭窄の影響は、必ずしも重篤であるというわけではなく、そして血管再生は、必ずしも、好ましい治療でない。
【0019】
副行フローが存在する場合、これも計算に影響を及ぼすので、補償されるべきである。しかしながら、これらのサイズの関係から、これらの副行血管は、通常、X線心血管画像では視覚出来ないので、X線血管造影法に基づいて副行フローの存在を決定する更なるステップが、必要である。
【0020】
従って、複雑性が低くかつ心筋毛細血管系および副行フローの状態に対応することが出来、かつ介入の間に使用することが出来る患者特有の方法が、必要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】Pijls外による「冠動脈−狭窄の機能重症度を評価する冠血流予備量比測定("Measurement of Fractional Flow Reserve to Assess the Functional Severity of Coronary-Artery Stenoses”)」、N Engl J Med 1996、334:1703-1708、June 1996年
【非特許文献2】Siebes外による「臨床および病理学上の観察の評価における生物流体メカニズムの役割(“The role of biofluid mechanics in the assessment of clinical and pathological observations”)」、Annals of Biomedical Engineering 38、1216-1224、2010年
【非特許文献3】Taymallin外による「動脈に対するCFDに基づいた機能画像化:イン・ビトロ検査(“CFD-based functional imaging for arteries: in vitro validation”)」、19eme Congres Francais de Mecanique、2009年
【非特許文献4】Taylor外による「非侵襲的冠血流予備量比測定のための心臓CTに適用されるコンピュータによる流体力学(“Computational Fluid Dynamics Applied to Cardiac Computed Tomography for Noninvasive Quantification of Fractional Flow Reserve”)」、Journal of the American College of Cardiology、Vol. 61、No. 22、2013年
【非特許文献5】Kim外による「人間の冠動脈における血液フローおよび血圧の患者特有のモデル化(“Patient-specific modelling of blood flow and pressure in human coronary arteries”)」、Annals of Biomedical Engineering 38、3195-3209、2010年
【非特許文献6】Wijngaard外による「心臓内の潅流分布の生物物理学のモデル化に対する血管ネットワークの3D画像化(“3D imaging of vascular networks for biophysical modeling of perfusion distribution within the heart”)」、Journal of Biomechanics 46 (2013)、229-239
【非特許文献7】Dodge外による「健常者の冠動脈の内径:年齢、性別、解剖的差異、および左心室肥大または拡張による影響(“Lumen diameter of normal human coronary arteries: influence of age, sex, anatomic variation, and left ventricular hypertrophy or dilation”)」、Circulation 1992; 86: 232-246
【非特許文献8】Shi外による「心臓血管系における血液フローのゼロDおよび1D・モデルのレビュー(“Review of Zero-D and 1-D Models of Blood Flow in the Cardiovascular System”)」、BioMedical Engineering Online 2011、10:33
【非特許文献9】Dindorf外による「血管における脈フローのモデル化(“Modelling of pulsatory flows in blood vessels”)」、Acts of Bioengineering and Biomechanics、Vol. 3、No. 2、2001年
【非特許文献10】Yoshinobu Onuma、Chrysafios Girasis、Jean-Paul Aben、Giovanna Sarno、Nicolo Piazza、 Coen Lokkerbol、Marie-Angel Morel、Patrick W. Serruysによる「二分岐の病変に対する新規な専用3次元定量的冠動脈分析(“A novel dedicated 3-dimensional quantitative coronary analysis methodology for bifurcation lesions”)」、EuroIntervention 2011; 6:1-00
【非特許文献11】Marchandise外による「心血管のフロー・シミュレーションに対するクオリティ・オープン・ソース・メッシュ生成(“Quality open source mesh generation for cardiovascular flow simulations”)」、Modeling of Physiological Flows、MS&A-Modeling, Simulation and Applications、Volume 5、2012年、pp 395-414
【非特許文献12】P. Wesselingによる「計算流体力学の原理(“Principles of Computational Fluid Dynamics”)」、Springer Series in Computational Mathematics 29、2009年、p. 1-4
【非特許文献13】Schrauwen外による「矯正されたアテローム性動脈硬化症の冠動脈における高速かつ正確な圧力−低下予測("Fast and Accurate Pressure-Drop Prediction in Straightened Atherosclerotic Coronary Arteries")」、Annals of Biomedical Engineering、2014年
【非特許文献14】Vogelzang外による「急性心筋梗塞に対する冠動脈血管形成後のコンピュータによる心筋ブラッシェの定量化:TAPASトライアルのサブ研究(“Computer-assisted myocardial blush quantification after percutaneous coronary angioplasty for acute myocardial infarction: a substudy from the TAPAS trial”)」 European Heart Journal (2009) 30、594-599
【非特許文献15】Markelj外による「X線画像のCTおよびMRの堅牢な勾配に基づく3D/2D登録(“Robust Gradient-Based 3-D/2-D registration of CT and MR to X-ray images”)」、IEEE Trans Med Imaging 2008年 27(121): 1704 -14
【非特許文献16】Appleby外による「TIMIフレーム・カウントの重要性:将来のトライアルに対する影響(“Importance of the TIMI frame count: implications for future trials”)」、Curr Control Trials Cardiovasc Med 2000、1:31-34
【非特許文献17】Clay外による「長軸半径方向方位における定常状態自由歳差運動MRIを用いる人間の左心室のボリュームおよびマスの通常範囲(“Normal Range of human left ventricular volumes and mass using steady state free precession MRI in the radial long axis orientation”)」、Magn Reson Mater Phy (2006) 19: 41-45
【非特許文献18】Vasan外による「心血管病変の分子ベースおよび実際の考察の生物マーカ(“Biomarkers of Cardiovascular Disease Molecular Basis and Practical Considerations”)」、Circulation 2006、113:2335-2362
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
従って、本発明の目的は、フローを量的に評価するための方法、特に、冠動脈病変から結果的に得られる冠血流予備量比を導出することができ、処理時間を減少させかつ画像化に関連する患者への負担を減少させた、手術中の間にも撮ることが出来る画像から冠動脈血液フローを量的に評価するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
方法に対する実施態様が提供される。特に、少なくとも二つの二次元画像から、典型的には、異なる透視から得られるX線血液画像から、器官に潅流する導管のツリーの定量的フローを分析するためのコンピュータ実行方法であって、
前記コンピュータ実行方法が、以下のステップ、
a)当該少なくとも二つの二次元画像から前記ツリーの少なくとも部分の3D再構成を作成するステップと、
b)ユーザ入力に応じて自動的にまたは半自動的に前記3D再構成の範囲内で関心のあるセグメントを識別するステップと、
c)前記3D再構成に基づいて計算を行って、直径、長さ、湾曲、中心線等の前記導管の幾何学的特徴を決定するステップと、
d)前記フロー分析のために考慮されるべき前記ツリーのマルチ・スケール機能モデルを入力し、かつ当該モデルの範囲内で関心のある前記セグメントの位置を入力するユーザからの指示を受信するステップと、
e)前記3D再構成の幾何学的特徴を使用して、関心のある前記セグメントに関連する前記機能モデルの部分を調整するステップと、
f)こうして得られた前記機能モデルに基づいて定量的フロー分析を実行するステップとを、
備えるコンピュータ実行方法が、提供される。
【0024】
この入力モデルは、ツリーを形成する導管を識別する複数のセグメントを備えることが有利である。このようなセグメントは、境界条件を考慮するために、集中化されたパラメータ0Dモデルに接続されている終端部分により、機能モデルの1Dセグメントに関連づけられている。
【0025】
一実施態様によると、この方法は、更に、ツリーの実行を形成する導管の少なくとも部分の状態を考慮する機能モデルを補正するために、定量的画像解析を実行するステップを備える。このような定量的画像解析は、例えば、濃度測定画像解析に依存させて、潅流させた器官の状態および/または導管の狭小化または閉塞によるツリー内の副行フローの存在を決定しても良い。3D再構成から抽出される幾何学的特徴を、機能モデルの圧力方程式の計算に使用して、計算速度を向上させることも出来る。
【0026】
本開示の教示が医療の分野において適用される場合、ツリーは典型的には冠動脈ツリーでありかつ灌流された器官は心臓の心筋である。この場合、入力モデルは、冠動脈ツリーの左優位、右優位、バランスされているまたは小さい右/左優位モデルを備える多くの予め定められた冠動脈優位モデルの間で選択することが出来る。
【0027】
心筋毛細血管系の状態は、機能モデルを補正するために、ブラッシェ画像解析により決定することが出来ることが有利である。遠近短縮および/または重畳を減らすために、ブラッシェ測定は、典型的には、3D再構成を作るために使用される少なくとも二つの二次元画像で実行される。
【0028】
これに代えてまたはこれと共に、CTのような三次元画像モダリティを使用して、3D再構成を作るために使用される二次元画像を登録し、ブラッシェ分析が実行されるべき心筋の位置のより正確な表示を提供することが出来る。
【0029】
ツリーの副行フローに関する限り、それらは、速度測定によって二次元画像に基づいて決定することが出来る。従って、副行フローの量は、機能モデルを補正するために使用することが出来る。
【0030】
一実施態様によれば、副行フローのタイプは、機能モデルを補正するために、濃度測定画像分析および幾何学的情報を使用して決定することが出来る。副行フローの決定は、更に、各二次元画像の間に存在している遅延に関する情報を使用して改善させて、測定の時間分解能を増加させることが出来る。二面取得デバイスは、このパラメータを容易に得ることを可能にするであろう。
【0031】
一実施態様によると、心筋の状態および動脈ツリーの脆弱性は、生物マーカによって評価することが出来る。生物マーカは、生物学的指標であり、そして例えば、心筋の健常状態または疾患状態についての特定情報を提供する。これらの生物マーカは、例えば、血液分析によって非侵襲的に得ることが出来る。
【0032】
濃度測定、ブラッシェおよび/または生物マーカ測定は、一つ以上の1Dモデルおよび機能モデルの0D集中パラメータを補正するために使用しても良い。更なるパラメータ(左心室の壁運動、冠動脈の運動、身長、体重、性別、年齢および血圧のような患者に関する情報、からなるグループに属するようなパラメータ)を、機能モデルを補正するために考慮することも出来る。
【0033】
冠動脈分析の場合には、機能モデルは、フロー、圧力を計算しかつ冠動脈血液フロー予備量比を抽出して充血状態をシミュレートするように調整することが出来るので、充血を誘起するための薬注射は不要である。また、測定を実行するために、付加的な画像処理データは、何ら必要ない。全てのデータが、処置の間に、収集される。
【0034】
一実施態様は、コンピュータのメモリに直接ロード可能なコンピュータ製品に関し、かつこの製品がコンピュータで実行されると上で開示した方法を実行するためのソフトウェア・コード部分を備えている。このコンピュータ製品は、計算時間を向上させるために、クラウドまたは高実行効率コンピューティング・クラスタにアップロードさせることも出来る。
【0035】
他の実施態様は、二次元画像を取得するためのX線画像化デバイスに関する。このデバイスは、種々の透視から冠動脈ツリーのまたは冠動脈ツリーの部分の少なくとも二つの画像を得るためのモジュールと、ツリーのフロー分析のために考察されるべきモデルについておよびこのようなモデルの範囲内で関心のあるセグメントの位置についてのユーザ入力を受信するための入力とを備える。このデバイスは、更に、患者の冠動脈血液フロー予備量比を計算する動作を実行するようにプログラムされている処理ユニットを備える。
【0036】
この処理ユニットは、本願明細書における実施態様の方法を実行する専用プロセッサ(単数または複数)、または特に有利な構成では、マシンのメイン画像取得機能をカバーする同じ処理ユニットまたはそれの一部とすることが出来る(従って、非常にコンパクトでかつ強力な装置が得られる)。
【0037】
更なる実施態様は、上述したX線画像処理デバイス、およびブラッシェおよび濃度測定の精度を増大させるためにこのような画像処理デバイスの回転および角形成位置に関する情報を読み出すためのモジュールを備える、X線血管造影装置に関する。特に、画像処理デバイスの正面および横のX線源に対する、取得された画像フレームの間の遅延についての情報を使用することによって、測定の時間分解能が向上する。
【0038】
更なる改良は、従属請求項の主題を形成するであろう。
【0039】
本発明の特性及びそこから導出される利点は、添付の図面に図示される、限定するものではない実施態様の以下の説明からより明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図12は、本出願の一実施態様による動作を示すフロー・チャートを示す。この動作は、血管器官(またはこれらの部分)または他の関心のあるオブジェクトの二次元画像を取得しかつ処理することが可能な画像処理システムを使用する。例えば、一面または二面血管造影システムには、例えば、シーメンス社によって製造されているArtis zee Biplaneまたはフィリップス社によって製造されているAllura Xper FDを使用することが出来る。
【0042】
図14は、一面血管造影システムの一例の機能ブロック図であり、これは、ユーザ・インタフェース・モジュール116からのコマンドの下で作動しかつデータ処理モジュール114にデータを提供するであろう血管造影画像処理装置112を含む。一面血管造影画像処理装置112は、例えば、関心のある血管器官の二次元X線画像を背腹(PA: postero-anterior)方向で捕獲する。一面血管造影画像処理装置112は、典型的には、支持構台のアームにマウントされているX線源および検出器対を含む。構台は、X線源と検出器間にあるテーブルで支えられている患者に対して種々の角度でX線源および検出器のアームの位置決めを提供する。データ処理モジュール114は、パーソナル・コンピュータ、ワークステーションまたは他のコンピュータ処理システムによって実現することが出来る。データ処理モジュール114は、一面血管造影画像処理装置112によって捕獲された二次元画像を処理して、本願明細書において記述されるデータを生成する。ユーザ・インタフェース・モジュール116は、ユーザと対話しかつデータ処理モジュール114と通信する。ユーザ・インタフェース・モジュール116は、視覚出力のためのディスプレイ・スクリーン、タッチ入力のためのタッチ・スクリーン、入力のためのマウス・ポインタまたは他のポインティング・デバイス、スピーチ入力のためのマイクロホン、オーディオ出力のためのスピーカ、入力のためのキーボードおよび/またはキーボード等のような様々な種類の入出力デバイスを含むことが出来る。データ処理モジュール114およびユーザ・インタフェース・モジュール116は、協働して、以下に記述される
図12の動作を実行する。
【0043】
図12の動作は、コンピュータ製品(例えば、USBドライブまたはネットワーク・サーバのような持続性メモリの光ディスクまたは他の形態)に組入れられているソフトウェア・コードによって、実行させることも出来る。このソフトウェア・コードは、
図12の動作を実行するためのデータ処理システムのメモリに直接ロードすることが出来る。このようなデータ処理システムは、入力としてこのような画像を得るための任意のタイプのデータ通信を使用して画像を取得するために使用される血管造影システムと、物理的に分離させることも出来る。
【0044】
この具体例では、画像処理システムは、関心のあるオブジェクトの少なくとも二つの二次元画像を取得しかつ格納したと仮定されている。二次元血管造影画像を提供することが可能な如何なる画像デバイスも、この目的のために使用することが出来る。例えば、二面または一面血管造影システムには、例えば、シーメンス社によって製造されるArtis zee Biplaneまたはフィリップス社によって製造されるAllura Xper FDを使用することが出来る。
【0045】
1210で、データ処理モジュール114には、種々の透視から得られた導管のツリーのまたはツリーの部分の少なくとも二つの二次元画像が供給される。
【0046】
1211で、データ処理モジュールは、二次元画像を使用して、3D再構成を生成する。1212で、データ処理モジュール114は、3D再構成に基づいて計算をして、径、長さ、湾曲、中心線等のような導管の幾何学的特徴を決定する。これらの特徴は、少なくともツリーの関心のあるセグメントにおける、フローおよび圧力のような機能パラメータを決定するために使用される。
【0047】
1213で、データ処理モジュール114は格納ユニットを検索し、または、例えば、非特許文献5で考えられているユーザ入力に基づいて、ツリーのマルチ・スケール機能モデル(本記載の範囲内では、1D/0Dモデルとも呼ばれる)を任意の利用可能なデータ・ソースから選択する。ツリーが冠動脈ツリーでかつ灌流された器官が心臓の心筋である場合、1D/0Dモデルは、例えば、心臓タイプに依存する冠動脈ツリーの左優位、右優位、バランスしているまたは小さい右/左優位モデルを備える数多くの所定モデル間で選択することが出来る心臓モデルである。
【0048】
データ処理モデルにおいて関心のあるセグメントが識別されると、関心のあるセグメントに関連した機能モデルの部分は、3D再構成の幾何学的特徴から導出される機能パラメータを使用して、1214で調整することが出来る。
【0049】
1215で、データ処理モジュールは、定量的画像解析を実行して正しい機能モデルを補正することが出来る。これは、例えば、心筋状態または副行フローの存在を考慮することによって行うことが出来る。例えば、虚血の存在は、例えば、心臓のある部分には、(以前の)梗塞のため、十分な血液が供給されていないということを示す。また、血液フローが主動脈の冠動脈病変を迂回するかもしれずかつ冠動脈病変から遠位の組織に十分な酸素を含む血液を供給するかもしれないので、副行フローの存在は狭窄の重篤度を軽減する可能性がある。
【0050】
1216で、処理モジュールは、定量的フロー解析を実行する。3D再構成の各中心線ポイントに対するvFFR値は、例えば、計算されかつユーザのためのディスプレイに示される。
【0051】
実施態様は、二次元(2D)の血管造影X線画像に基づく冠動脈ツリー解析において特に有利であり、そしてこれらは、主に、この分野に関して(特に、心筋が潅流させられた器官である冠動脈フロー評価に対し)開示されるであろう。しかしながら、冠動脈ツリーの心筋および動脈が、管状器官の床によって潅流される任意のオブジェクトによって置換することが出来ることは、理解されるべきである。本開示の教示は、一般に導管のツリー(特に、冠動脈ツリー)の1D/0Dモデルに結合されている3D再構成に基づいて、スマート・フロー分析により、任意の他のフロー・パラメータを決定するために使用することが出来ることは理解することが出来るが、FFRの決定が、目的(goal)の一つである。
【0052】
ここでは、一実施態様が、
図3Aを参照して開示される。ここに記載される動作は、明らかに、任意の論理シーケンスで実行させることができかつ一部は省略することが出来る。患者特有な3D再構成および
図3Aの動作301により示されるモデルについてのより多くの詳細は、
図3Bに提示されている動作3011−3014により記述されている。
図3Cにおいて、動作3021および3022は、
図3Aの動作302によって記述されるように、患者特有のマルチ・スケール機能モデル(1D/0D)をより詳細に記述する。明確にするために、
図3Aの動作303によって表される3次元モデルおよび1D/0Dモデルの結合は、より小さい動作(3031−3033)に分割され、そしてそれらは
図3Dに表されている。動作304によって
図3Aにおいて表されている患者特有の心臓状態による、結合されたモデルの適合化の説明は、
図3Eの動作3041−3044によって与えられている。
【0053】
図3Aに戻ると、冠動脈病変に対する正確なvFFRを決定するために、患者特有のモデルが、処理モジュール114(以下、プロセッサとも呼ばれる)によって生成される。冠動脈血液フローおよび圧力損失の良好な理解を得るために、冠動脈ツリー全体を考察するのが好ましい。冠動脈ツリー全体の3次元モデルが作られる場合、これはいくつかの問題点を有する。第一に、処置(例えば、CT)の間に使用することができない画像処理方法が、必要となる。第二に、このアプローチは、時間を消費し過ぎる(数時間のオーダの)計算をもたらすであろう。従って、一実施態様は、1D/0Dモデルとしてモデル化されるべき冠動脈ツリーを提供する。この簡略化は、計算量を著しく減少させる。従って、実施態様の第一の動作は、
図3Aの動作302に示されるように患者特有の1D/0Dモデルを入力する/構成することである。
【0054】
患者特有の1D/0Dモデルを構成するために、3021で、(心臓タイプのような)患者特有な付加的な情報、特に、患者に適用可能である冠動脈優位システムのタイプが、ユーザから入力される。心臓モデルは、例えば、心臓タイプによって決まる。心臓タイプは、後方下行動脈の血液供給で決定される。後方下行動脈には、右冠動脈,左冠動脈、または右および左両方の冠動脈によって血液が供給される。例えば、右冠動脈が、後方下行動脈の主な供給元である場合、患者は、右冠動脈優位心臓タイプを有すると言える。同様に、左冠動脈優位心臓タイプまたは平衡心臓タイプが、規定される。全ての心臓タイプに対して、特有な心臓モデルが、作成される。これらの心臓モデルは、冠動脈ツリーの全ての血管に対する幾何学的特徴(例えば、径、血管長および湾曲)を含みかつ冠動脈優位を考慮する。例えば、右冠動脈優位心臓モデルの血管径は、左冠動脈優位な心臓モデルの血管径とは異なる。血管長についても同じである。
【0055】
3022で、心臓のタイプ情報は、プロセッサによって使用され、この患者に対して使用されるべき標準1Dモデルが検索される。1Dモデルは、冠動脈ツリーの範囲内の各セグメントの骨格の一般径、長さおよび空間方位に関する情報を含む。
【0056】
この1Dモデルを向上させるために、冠動脈ツリーの骨格(冠動脈の中心線)を、使用しても良い。例えば、既定の骨格モデルを使用し、CT血管造影法(CTA: CT Angiography)画像データから抽出される平均化された骨格から決定することが出来る。それを患者に対しより特有にするために、既定の骨格を、種々の心臓モデル/タイプに対し生成することが出来る。冠動脈ツリーの骨格は、指定された径を有する多数のセグメントに分割される。この径は、非特許文献7によって教示される既定の骨格モデルに含ませることも出来る。
【0057】
さらに、セグメントの長さおよび径は、例えば、CTA画像データから決定することが出来る。さらにまた、動脈の湾曲は、例えば、冠動脈ツリーの骨格を用いてセグメント当たりの湾曲を抽出することによって、考慮される。ローカル湾曲が定義された閾値より上にある場合、セグメントは、多数のより小さいセグメントに分割される。このようにして、セグメント湾曲が最小にされ、そしてセグメントの軸方向は、1Dモデルに対して想定される直交座標によって記述することが出来る。細分割された各セグメントに対し、圧力損失反応が、ローカル湾曲に基づいて規定される。
【0058】
これの次に、血管ツリーの全ての血管二分枝に対する主分岐と側枝間の二分枝角が、例えば、冠動脈ツリーの骨格を使用して計算される。血管ツリーの二分枝の各セグメントに対し、圧力損失は、メイン血管と側枝間のローカル二分枝角を考慮して計算される。
【0059】
患者からのCTAデータが利用可能である場合、実際の骨格、径、血管長、血管湾曲および二分枝角は、患者特有の1Dモデルを構成するために決定することが出来る。1Dモデルは、これらのセグメントのフローおよび圧力を関連させて導出される。このモデルは、壁の機械的属性を考慮しかつ各セグメントに沿って軸方向の対称性、半径方向の変位および恒圧を仮定することによって、壁変形に対処することが出来る。このモデルは、次いで、各セグメントに使用することが出来る。
【0060】
ローカル湾曲の変化および二分枝角による圧力損失が考慮された冠動脈ツリー全体に対して1つの全体の1Dモデルを構成するために、これらの各セグメントの1Dモデルは、次いで、結合される。
【0061】
1Dモデルは、例えば、血管の終端ポイントで適用されるある境界条件を有する。冠動脈血管は、相当量に対しより小さい血管に分岐し続けるので、血管は、1Dにおいて完全にモデル化することは出来ない。
【0062】
あるポイントで、血管は、もはや1Dモデルによってモデル化されないが、集中化される。しかしながら、これは、依然として特徴を含む。この集中化は、実際上、0Dモデルである。
【0063】
血管の終端ポイントの集中化に対しては、しばしば、液圧−電気の類似が使用される。血圧およびフロー率は、電圧および電流によって表すことができ、かつ血液フロー量の摩擦および慣性の効果および血管弾力性の効果は、それぞれ抵抗、インダクタンスおよびキャパシタンスを使用することにより記述することが出来る。この類似を行うことによって、電気回路の分析方法を、心臓血管の力学に適用することが出来る。0D心臓血管系分析モデルの具体例は、
図5に示されていてかつ非特許文献8によって要約されているRCウインドケッセル・モデルである。
【0064】
冠動脈ツリーの血管終端で、集中パラメータ・モデルが適用される。これらのコンポーネントの初期値は、非特許文献9によって教示されるスケーリング則を用いて、決定することが出来る。
【0065】
冠動脈ツリーの血管は、 1Dモデルによりモデル化され、かつ血管終端ポイントは、0Dモデルにより集中化され、これは、1D/0Dモデルを作る。冠動脈ツリーのサブセットの1D/0Dモデルの具体例は、
図6に示されている。
【0066】
心臓モデルは、冠動脈優位に基づく冠動脈ツリー内の全ての血管に対して幾何学的特徴を含む。これらの幾何学的特徴は、非特許文献7に記述されている一般的な値に基づく。心臓モデルにおけるこのセグメントは、冠動脈ツリーのセグメントの患者特有の3D幾何学的特徴を使用して、一般的な幾何学的特徴に代えて患者特有の幾何学的特徴に設定することが出来る。
【0067】
図3Bの3011で、プロセッサは、例えば、非特許文献10に教示される公知技術である多数の二次元画像を用いて、関心のある冠動脈病変を含む冠動脈ツリーの関心のあるサブセットの患者特有の3D再構成を作る。一例が、
図7に示されている。
【0068】
3012で、3D再構成において関心のあるセグメントが、識別される。これは、ユーザ入力の手動によりまたは自動的にまたは半自動式に行うことが出来る。これは、3D再構成内で対応するセグメントを識別するプロセッサにより、二次元画像において、または(
図8に示されるように)直接3D再構成においての何れかにより行うことが出来る。例えば、プロセッサは、フローの狭小化または閉塞を有するゾーンを決定し、これにより、このようなゾーンを備える画像の部分を識別する様にしても良い。これに代えてまたはこれと共に、ユーザは、3D再構成のこのようなゾーンの位置を決定するこのような情報を精緻にするプロセッサにより、3D再構成における、または一つまたは両方の二次元画像における関心部分を示すことが出来る。
【0069】
更なるCFD計算の実行を可能とするために、3013で、ボリューム・メッシュが、プロセッサによって3D再構成に適用される。CFD計算要素の計算処理精度および速度を増大させるために、ボリューム・メッシュのサイズおよび形状は、例えば、非特許文献11によって教示されるように、血管全体にわたって変化させることが出来る。これらの適合化は、血管内の位置(例えば、血管境界近くのより小さい要素)およびローカル湾曲および径/領域変化のような幾何学的特性/特徴に依存させることが出来る。
【0070】
例えば、湾曲が大きい血管の領域では、高分解能のボリューム要素が使用され、湾曲が小さい領域に対しては、低分解能の要素が使用される。これは、ボリューム・メッシュの要素の量を最小にするために行われる。
【0071】
3D再構成を1D/0Dモデルに挿入することは計算的に複雑であるので、3D再構成を簡略化することは好都合である。これを行う一つの方法は、3D再構成を、
図3Bの動作3014に示されるようになされる減少3次元モデルにより置換することである。これの利点は、計算時間の減少である。
【0072】
3D再構成を使用する代わりに、3D再構成は、圧力−フロー関係を表す方程式により置換される。この方程式は、次いで、更なる計算のために使用される。この方程式は、CFDシミュレーションによってプロセッサによって得ることが出来る。
【0073】
CFD数値解析法およびアルゴリズムは、流体力学(例えば、冠動脈フローおよび圧力)の方程式を解析するために、使用することが出来る。これらの方程式は、古典物理学の保存(質量、運動量およびエネルギの保存)の原理に基づく。これらの法則から、偏微分方程式が導出され、可能であれば、非特許文献12によって教示されるように単純化される。シミュレーションは、境界条件(入射および出射条件)によって規定されるルーメンと血液の相互作用をシミュレートするために使用される。
【0074】
これらのCFDシミュレーションに対して、プロセッサは、圧力データを得るための境界条件として、フローを変化させることを使用することが出来る。オプションとして、これらの計算は、クラウドにアップロードさせることができ、多数のシステムで実行させることができ、または計算時間を減少させるために、高実行効率コンピューティング・クラスタにアップロードさせることが出来る。
【0075】
オプションとして、計算時間をより減少させる他の方法は、非特許文献13によって教示される3D再構成の幾何学的特徴に基づいて圧力−フロー関係を決定することである。モデルは、最小径、径変化および湾曲のような3D形状からの特徴を使用して生成することが出来る。
【0076】
プロセッサによって実行されるこの動作の結果は、所定のフロー値に対する圧力損失を計算する、関心のあるセグメントにフィットした方程式である。
【0077】
303で、プロセッサは、患者特有の幾何学的特徴と冠動脈ツリーのセグメント内の共通幾何学的特徴との間の変動を使用して、心臓モデルを調整することが出来る。
【0078】
構築された1D/0Dモデルをより精緻にするため、かつ関心のある病変の3D形態を組み込むためには、冠動脈ツリーの関心のあるセグメントの3D情報を使用することが出来る。この情報は、二次元血管造影画像から得ることが出来る。
【0079】
3D再構成を単純化した後に、関心のあるセグメントを表す減少3次元モデルは、1D/0Dモデルに挿入することが出来る。しかしながら、ある入力は、正しい結合を保証するために必要である。第一に、ユーザによって以前に示された関心のあるセグメントは、1D/0Dモデルの範囲内で、ある位置を有する。この位置で、3D再構成の情報が挿入される。従って、3031で、プロセッサは、心臓モデル(例えば、
図4で示すAHAモデル)のどのセグメント(単数または複数)が3D再構成によって表されているかを指示するユーザからの入力を受信する。3次元モデルとは対照的に、1Dモデルは、血管壁の弾力を考慮することによって領域変化に対処することが出来る。結合された1D−減少3次元モデルを使用する利点は、モデルのインタフェースで不連続性(例えば、領域の不連続性)が存在しないことである。3033で、関心のあるセグメントの位置において、プロセッサは、余分のカップリング状態として減少3次元モデルを1D/0Dモデルに追加する。
【0080】
さらにまた、1D/0Dモデルの次元は、実際の患者特有の状況に適合させるように調整される。これを達成するために、プロセッサは、3D再生された幾何学的特徴から抽出された幾何学的特徴を使用して1D/0Dモデルの3次元モデルへの適合化を実行する。例えば、3032で、3D再構成セグメントの入口半径は、完全な1Dモデルの範囲内で全般的な直径を調整するために使用することが出来る。
【0081】
計算をより正確にするために、1D/0Dモデルは、それをより患者特有なものとするために調整させることが出来る。異なる態様(例えば、心筋状態、副行フローの存在、LV壁の運動、冠動脈の運動および患者情報)を考慮することが出来る。これらの態様は、以前に先行技術によって解析されたことはなく、そして患者の微小な仮想冠動脈血液フロー予備量比の正確な決定のために非常に重要である。
【0082】
計算を改善するために、
図3Eの動作3041によって示されるように、心筋毛細血管系の状態を知ることは重要である。心筋毛細血管系の状態が、心臓のある部分が健常であるとみなすことが出来るか否かを指示するので、状態は、毛細血管抵抗に影響を及ぼしかつそれに応じてモデル計算において調整されなければならない。
【0083】
例えば、虚血の存在は、例えば、心臓のある部分に(以前の)梗塞のため十分な血液が供給されないということを示す。
【0084】
心筋毛細血管系の状態は、プロセッサが心筋ブラッシェ計算を実行することによって決定することが出来る。心筋ブラッシェは、例えば、二次元血管造影画像を使用して計算される。血管造影画像実行のフレームにおいて、関心領域は、予想される梗塞領域から遠位であると規定される。画像実行のフレーム間の運動の補正は、例えば、相関法を使用して計算される。関心領域は、計算された運動のオフセットに従って、フレーム当たりシフトされる。バックグラウンド・マスクは、例えば、メジアン・フィルタにより実行される画像のあらゆるフレームで構成される。画像マスク(例えば、5×5ピクセル)当たりの関心領域の平均ピクセル強度は、実行中の画像の全ての画像に対するオリジナル画像の強度から計算されたバックグラウンド・マスクを減算することによって計算される。このようにして、小型構造の像強度だけが時間とともに考慮される。このようにして、心筋ブラッシェは、時間とともに関心領域の中で定量化させることが出来る。心筋ブラッシェの計算は、例えば、非特許文献14によって教示されるように従来技術において公知である。これは、心臓の一つのまたは多数の大きいまたは小さいセクションに対して実行することが出来る。
【0085】
計算が二次元血管造影画像に実行されるので、ユーザが調査することを望む心臓のセクションは、遠近短縮および重畳による影響を受ける。しかしながら、正確に心筋状況を決定するために、これらの影響は、最小にすることが好ましい。
【0086】
これは、例えば、3Dブラッシェ測定を実行することによって行われる。すなわち、これは、3D再構成または他のいかなる二次元投影を構築するために使用される両方の投影においてブラッシェ測定を実行することによって行われる。各画像において、ユーザは、測定が実行されるべき領域を指示する。両方の画像視野に属する幾何学的な情報(例えば、回転、角形成、拡大倍率)を使用して、交差領域画像を、計算することが出来る。この情報を使用して、例えば、心筋の後側部または前側部の両者間に、差異を作ることが出来る。
【0087】
遠近短縮および重畳の影響を最小化する他の方法は、例えば、CTまたはMRからの3次元画像化モダリティを用いることである。
【0088】
CT画像化情報を使用するときには、例えば、患者の心筋の患者特有の解剖学的モデルを作ることが出来る。
【0089】
CTデータは、
図3Bのステップ3011において説明したように、プロセッサによって、3D再構成をつくるために使用された二次元のX線画像に登録させることが出来る。これは、例えば、非特許文献15によって行うことが出来る。
【0090】
CT画像の情報を二次元血管造影画像に逆投影することによって、より正確なセミ3D再構成を作ることが出来る。これは、結果として、心筋状況測定が実行されるべき場所のより正確な表示になる。この情報は、例えば、X線撮像デバイスの回転位置および角形成位置に関する情報を含むことができ、これは遠近短縮および重畳を最小化する効果の助けとなる。
【0091】
心筋ブラッシェが心臓の特定領域において測定される場合には、これらの結果は、1D/0Dモデルのコンポーネントを調整するために使用される。しかしながら、ブラッシェが、心臓のより大きなセクションで測定される場合には、これらの結果は、患者間の1D/0Dモデルを調整するために使用することが出来る。
【0092】
心筋状態を使用して心臓モデルの特定コンポーネントを調整する一例として、3041で、プロセッサは、
図9に示されるモデルの終端抵抗を調整する。例えば、心臓の特有部分の増加した毛細血管抵抗は、ブラッシェを使用して測定される。これは、重み係数を使用して、心臓のその領域に血液を供給する冠動脈に属する終端抵抗の値を調整することによって、モデルに組込むことが出来る。
【0093】
3042で、プロセッサは、副行フローの存在に対して1D/0Dモデルを調整する。
副行フローは、血液フローが主動脈において冠動脈病変を迂回しそして酸素が与えられた十分な血液を冠動脈病変から遠位の組織に供給するかもしれない(これにより、狭窄の重篤度が緩和される)ので、計算のための重要な要素である。側枝には、病変に渡る側枝と、他の冠動脈/動脈から生じる側枝の2タイプがある。正確なvFFR結果を得るために、計算は、副行フローの存在に対して調整されなければならない。可能性がある副行フローの存在は、非特許文献16による技術で教示されるように決定することができ、そして濃度測定および幾何学的な情報を用いて、一つまたは多数の血管造影画像に基づいて、より一般的な速度情報の使用により、この方法を更に改善することが出来る。
【0094】
例えば、血管造影画像シーケンスからの多数のフレームで、例えば、冠動脈に沿った造影剤の伝搬を、決定することが出来る。異なるフレームで冠動脈に沿って造影剤密度を血管造影画像シーケンスの範囲内で規定し、かつ濃度情報に基づいて造影剤密度正面の長さを計量することによって、造影剤速度を、抽出することが出来る。長さの測定をより正確にするためには、冠動脈の3D再構成を使用することが出来る。3D再構成において決定される長さは、例えば、遠近短縮の影響を受けない。速度情報に結合されている冠動脈のローカル直径および/または横断面積に基づいて、フローを、決定することが出来る。さらに、冠動脈病変からのそしてそのまわりの濃度測定情報は、冠動脈のその特有セクションを通るフローとも、関係がある。例えば、濃度測定の計算は、冠動脈の直ぐ外側で実行することが出来る。濃度測定の計算が、造影剤が冠動脈の直ぐ外側に存在することを示す場合、これは副行フローの存在を示す。側枝は画像化に対して小さ過ぎるので、これは、濃度測定情報無しで確立することはできない。
【0095】
例えば、ジーメンス社によって製造されたArtis Zee Biplaneまたはフィリップス社によって製造されたAllura Xper FDのような二面造影システムが使用されるときには、副行フロー測定はより正確にすることが出来る。測定の時間分解能は、正面および横方向の画像化ソースに対して獲得された各フレーム間の遅延を用いてに改善させることが出来る。
【0096】
病変を迂回する副行フローが存在する場合、3042で、プロセッサは、副行フローの量に対処するように1D/0Dモデルを調整する。同じ動脈から病変に渡って副行フローが存在する場合、1Dモデルは、例えば、
図10aに図示されるように1Dモデルの病変に平行する副行フローに対して一つ以上の要素を追加することによって、調整される。
【0097】
副行フローが他の冠動脈から発生している場合、3042で、プロセッサは、それに応じて1D/0Dモデルを調整する。例えば、0D素子を、
図10bに図示されるように、副行フローをシミュレートして更に追加することが出来る。
【0098】
加えて、狭窄したセグメントの静止状態のフローが決定されるので、これらの計算は、1D/0Dモデルを患者特有の測定に調整する0Dパラメータの調整に使用することが出来る。
【0099】
オプションとして、左室X線血管造影画像を、左心室の壁運動を分析するために使用することが出来る。心臓の終端弛緩期の、および心臓の終端収縮期の二次元画像(一面または二面の何れか)を使用して、心筋の壁運動を、決定することが出来る。この壁運動は、心臓の特有領域に関する心臓状態についての付加情報を提供する。さらにまた、左心室性X線血管造影法は、心筋質量の推定を提供する。
【0100】
例えば、異常な壁運動は、毛細血管の血液フローがより少ない罹患した心臓の筋組織を示す。結合された1D/0Dモデルの終端抵抗(この組織が異常な壁運動をすることを表している)は、次に、それに応じて減少させることが出来る。
【0101】
オプションとして、冠動脈血管の4D情報(3D+時間)を使用して、冠動脈血管の運動を、決定することが出来る。この運動は、心筋状態についてのローカル情報を提供する。
【0102】
例えば、通常の運動から逸脱している冠動脈血管の運動は、罹患している心臓の筋組織を示すことが出来る。「LV壁運動」と同様に、異常な運動をする心臓の部分に属する終端抵抗は、調整することが出来る。
【0103】
更なる実施態様は、
図3Eの3044に示されるように、モデルをより患者特有とするために1D/0Dモデル・パラメータの調整を改善するための患者情報の使用を提供する。例えば、患者の身長、体重、性別、経過時間および心臓のタイプが、1D/0Dのコンポーネントに対する補正率を計算するために使用される。これは、例えば、非特許文献17によって行われる。
【0104】
1D/0Dモデル・コンポーネントの調整は、例えば、患者間の1D/0Dモデル・コンポーネントを調整することによって、行うことが出来る。
【0105】
例えば、背が高くかつ体重がある患者は、より多くの心臓質量を有するので、血液を供給する必要がある、より大きな心臓組織を有する。冠動脈の数は、不変であるので、毛細血管系には相違があることが必要となる。従って、(毛細血管系を表す)各動脈の終端抵抗は、それに応じて採用されることが必要である。
【0106】
オプションとして、患者特有の心筋状態および/または心筋動脈の脆弱性が、考慮される。心筋状態および/または心筋動脈の脆弱性は、
図3Eの動作3043に示されるように生物マーカによって評価することが出来る。多数の生物学的パラメータがある。そして、これは、例えば、非特許文献18に記載されている、代謝プロセスおよび病理学的プロセスから逸脱している炎症の明白な証拠を提供する。生物学的パラメータは、例えば、血液分析によって評価することが出来る。血液分析によって評価することが出来る生物マーカの一例は、トロポニンである。血液のトロポニン・レベルが高いことは、急性心筋梗塞および虚血による心筋損傷を表す。
【0107】
心筋の状態および/または心筋動脈脆弱性に対する機能モデルを調整するために生物マーカを組み込むことは、機能モデルをより患者特有のものにする。
【0108】
今までに議論された全ての計算は、安静中に実行されかつ測定される。しかしながら、正確なvFFR計算のために、充血をシミュレートすることは有利である。
【0109】
305で、1D/0Dモデルは、充血状態を取扱うようにプロセッサによって調整される。計算のために実行される測定は全て、患者の安静状態において行われる。次に、1D/0Dモデルには、副行血液フローおよび心筋血管構造状態の存在が組み込まれかつこのモデルはそれに応じて調整される。これは、患者に充血を誘導させる必要がなく、従って、アデノシンまたはパパベリンを患者に投与する必要がないと言う大きな利点を有する。充血に対するモデルの調整は、例えば、換算係数を使用して終端抵抗を変えることによって行うことが出来る。これは、充血では、心臓組織による血液潅流の要求は、毛細血管系の血管拡張によって増加すると言う理由による。血管拡張は、抵抗を減少させることによってモデル化させることが出来る。
【0110】
オプションとして、MR潅流から得られた情報、CT潅流、そして/またはSPECT取得は、患者に対するストレスの間、心筋毛細血管フローに関する情報を追加するために使用することが出来る。
【0111】
充血性状態の調整がこのステージで行われるので、1D/0Dモデルへの患者特有の全ての調整も考慮される。しかしながら、X線画像化が充血の間に実行される場合には、動作305は省略することが出来る。
【0112】
307で、プロセッサは、vFFRを計算する。上述した1D/0Dモデルは、大動脈圧を入口境界条件として使用して306で解析される。その結果、関心のあるセグメントについてのvFFR値(すなわち近位圧力によって分割される遠位圧力)が、知られる。これは、3D再構成の各中心線ポイントに対して知られている。
【0113】
より明確にするためのみで、
図11は、左冠動脈の狭窄の場合のステップバイステップ・アプローチの一例を記述する。この例では、大動脈圧が、1Dモデルの圧力値を調整するための入力境界条件として使用される。血圧に関する情報は、カテーテルに接続されている圧力計から、または患者の腕上のカフ測定によって利用出来るようにすることが出来る。
【0114】
本説明において、狭窄した動脈が存在する冠動脈ツリーが参照されているが、実施態様においては、いくつかの狭窄が冠動脈ツリーの異なる位置に存在する場合を考慮してもよいことを、当業者は理解すべきである。減少3次元モデルが1D/0Dモデルに挿入されるべきであるので、各狭窄は、事実、現実のより正確な表示を得るために計算させることが出来る。
【0115】
動作は、スタンド・アロン・システム上のプロセッサ・ユニットによって実行させることが出来る、または直接、二次元血管造影画像を取得するために、例えば、X線蛍光撮影システムまたは他の任意の画像システムに含ませることが出来る。
図13は、X線シネ蛍光システムのハイレベル・ブロック図の一例を示す。このブロック図において、一例が、どのように実施態様がこのようなシステムに一体化させることが出来るかについて示されている。
【0116】
(様々な機能ブロックで規定される)システムの部分は、専用ハードウエア、アナログおよび/またはデジタル回路、および/またはメモリに格納されているプログラム命令を動作させる一つ以上のプロセッサによって実装させてもよい。
【0117】
図13のX線システムは、X線ビーム803を生成する高電圧発生器802を有するX線管801を含む。高電圧発生器802は、電力を制御しかつ電力をX線管801に配送する。
【0118】
高電圧発生器802は、陰極とX線管801の回転陽極との間の真空ギャップを横切って高電圧を印加する。
【0119】
X線管801に印加される電圧により、結果として制動X線とも呼ばれるX線光子生成効果を生じるX線管801の陰極から陽極まで、電子移動が発生する。生成された光子は、画像検出器806に向けられるX線ビーム803を形成する。
【0120】
X線ビーム803は、とりわけX線管801に提出される電圧および電流によって決定される最大値まで変動するエネルギのスペクトルを有する光子から成る。
【0121】
X線ビーム803は、次に、調整可能テーブル805に横たわる患者804を通過する。X線ビーム803のX線光子は、可変角度で患者の組織を透過する。患者804の異なる構造部分は、ビーム強度を変調する放射線の異なる画分を吸収する。
【0122】
患者804から出る変調されたX線ビーム803’は、X線管に対向して配置されている画像検出器806によって検出される。この画像検出器806は、間接または直接検出システムの何れかとすることが出来る。
【0123】
間接的な検出システムの場合には、画像検出器806は、X線出射ビーム803’を増幅された可視光画像に変換する真空管(X線画像増倍管)から成る。この増幅された可視光画像は、次に、可視光画像レセプタ(例えば、画像表示および記録のためのデジタル・ビデオ・カメラ)に送信される。これは、結果としてデジタル画像信号になる。
【0124】
直接検出システムの場合には、画像検出器806は、フラットパネル検出器から成る。
フラットパネル検出器は、X線出射ビーム803’を直接デジタル画像信号に変換する。
【0125】
画像検出器806から生成されるデジタル画像信号は、デジタル画像処理ユニット807を通過する。デジタル画像処理ユニット807は、806からのデジタル画像信号を、標準画像ファイル形式(例えば、DICOM)で、補正されたX線画像(例えば、反転されたおよび/または強化されたコントラスト)に変換する。補正されたX線画像は、次に、ハードドライブ808に格納させることが出来る。
【0126】
さらに、
図13のX線システムは、Cアーム809から成る。Cアームは、患者804および調整可能なテーブル805がX線管801と画像検出器806の間にあるように、X線管801および画像検出器806を保持する。Cアームは、Cアーム制御810を使用して制御された態様である投影を得るために所望の位置へ、移動させる(回転させ、角移動させる)ことが出来る。Cアーム制御は、ある投影でX線記録のための所望の位置においてCアームの調整のための手動または自動入力を可能にする。
【0127】
図13のX線システムは、一面または二面造影システムの何れかとすることが出来る。二面造影システムには、各々がX線管801、画像検出器806およびCアーム制御810から成る多数のCアーム809が、存在する。
【0128】
加えて、調整可能なテーブル805は、テーブル制御811を使用して移動させることが出来る。調整可能なテーブル805は、x,yおよびz軸に沿って移動させかつあるポイントの周りに傾けることが出来る。
【0129】
さらに、X線システムには、測定ユニット813も存在する。この測定ユニットは、例えば、大動脈圧、バイオマーカおよび/または身長、長さ等の情報である計算のための入力である患者に関する情報を含む。
【0130】
X線システムに存在する造影剤制御ユニットは、814において記述される。この造影剤制御ユニット814を使用して、ユーザは、患者804の造影剤注入システム815を制御して、一般的な処理ユニット812を使用して濃度測定画像解析を実行することが可能であるように造影剤を可能な患者804に注入することが出来る。
【0131】
一般的なユニット812は、X線システムにも存在する。この一般的なユニット812は、Cアーム制御810、テーブル制御811、デジタル画像処理ユニット807、検出部813および造影剤制御ユニット814と相互作用するために使用することが出来る。
【0132】
一実施態様は、
図13のX線システムによって、以下の様に実装される。臨床医または他のユーザは、Cアーム制御810を用いて、患者804に対する所望の位置へCアーム809を移動させて、患者804の少なくとも二つのX線血管造影画像を得る。患者804は、テーブル制御811を使用して、ユーザが既にある位置へ移動させている調整可能なテーブル805上に横たわる。
【0133】
X線画像が、次で、上述した高電圧発生器802、X線管801、画像検出器806およびデジタル画像処理ユニット807を使用して生成される。これらの画像は、次いで、ハードドライブ808に格納される。これらのX線画像を使用して、一般の処理ユニット812は、3D再構成を生成し、多官能価のモデルおよび調整への3D再構成の減少したモデルを組み込み、そして3D再構成の幾何学的特徴を用いて機能モデルを調整する。
【0134】
一般の処理ユニット812は、測定ユニット813の情報を使用して機能モデルを調整することが出来る。
【0135】
この造影剤制御ユニット814を使用して、ユーザは、患者804の造影剤注入システム815を制御して、患者804に造影剤を注入して、一般的な処理ユニット812を用いて定量的画像解析を実行することが出来る。
【0136】
一般的な処理ユニット812は、次で、定量的フロー解析を実行し、これはユーザに表示される。
【0137】
定量的フロー分析のための方法と装置のいくつかの実施態様が、本願明細書に、記載されかつ示されて来た。本発明の特定な実施態様が記述されてきたが、本発明は、技術が許す範囲の程度に広く、かつ明細書もそのように読まれることが意図されているので、本発明が実施態様に限定されることは、意図されていない。例えば、データ処理動作は、医療用画像通信システム(PACS)のようなデジタル・ストレージに格納される画像にオフラインで実行させることが出来る。従って、請求項の趣旨及び範囲から逸脱すること無く、さらに他の変更を、提供された本発明になすことが出来ることは、当業者には理解されるであろう。
【0138】
本願明細書に記述される実施態様は、上述したような様々なデータ格納及び他のメモリ及びストレージ・メディアを含んでいても良い。これらは、一つ以上のコンピュータにローカルに存在する(及び/又はそこに常駐する)、又はネットワーク全体のコンピュータの一部又は全部から遠隔のストレージ媒体のような、様々な位置に存在させることが出来る。特定の組の実施態様においては、情報は、当業者には馴染みのあるストレージ−領域ネットワーク(「SAN: storage-area network」)に存在していても良い。同様に、任意の必要なファイル- コンピュータ、サーバ又は他ネットワーク・デバイスに起因している機能を実行するために必要な如何なるファイルも、適切に、ローカルに及び/又は遠隔で格納させても良い。システムがコンピュータ化されたデバイスを含む場合、そのような各デバイスは、バスを介して電気的に結合させても良いハードウェア素子を含むことが出来る。これらの素子は、例えば、少なくとも一つの中央処理ユニット(「CPU」又は「プロセッサ」)、少なくとも一つの入力デバイス(例えば、マウス、キーボード、コントローラ、タッチ・スクリーン又はキー部分ド)及び少なくとも一つの出力デバイス(例えば、表示デバイス、プリンタ又はスピーカ)を含む。このようなシステムは、ディスク・ドライブ、光ストレージ・デバイス、及びランダム・アクセス・メモリ(「RAM」)又はリード・オンリ・メモリ(「ROM」のような固体物理ストレージ・デバイス並びに可換型媒体デバイス、メモリ・カード、フラッシュ・カード等のような、一つ以上のストレージ・デバイスを含んでいても良い。
【0139】
このようなデバイスは、上述したコンピュータ可読記憶媒体メディア・リーダ、(モデム、ネットワーク・カード(無線又は配線)、赤外線通信デバイスのような)通信デバイス及び作業メモリを含むことも出来る。コンピュータ可読記憶媒体メディア・リーダは、遠隔の、ローカルの、固定された及び/又は着脱可能なストレージ・デバイス並びにコンピュータ可読情報を一時的に及び/又は永久に含み、格納し、送信し、読み出すためのストレージ・メディアを表すコンピュータ可読格納媒体に、接続させる又はこれを受けるように構成することが出来る。システム及び種々のデバイスは、通常、オペレーティング・システム、及びクライアント・アプリケーション又はウェブ・ブラウザのようなアプリケーション・プログラムを含む、少なくとも一つの動作するメモリ・デバイス内に配置される多くのソフトウェア・アプリケーション、モジュール、サービス又は他の素子を含むであろう。代替の実施態様が、上述されたものに対し多数の変更例を有していても良いことは、理解されるべきである。例えば、カスタマイズされたハードウェアが使用されるかもしれないし、及び/又は特定の要素を、ハードウェア、(アプレットのような、高移植性ソフトウェアを含む)ソフトウェア又は両方で、実装するかもしれない。更に、ネットワーク入力/出力デバイスのような他のコンピューティング・デバイスへの接続を、採用しても良い。
【0140】
種々の実施態様は、更に、前述の記載に従って実装される命令及び/又はデータを受信し、送信し、コンピュータ可読媒体に格納することを含んでいても良い。コード又はコードの一部を含むためのストレージ・メディア及びコンピュータ読取り可能な媒体は、揮発性及び不揮発性で、コンピュータ可読命令のようなストレージ及び/又は情報伝送のための任意の方法又は技術において実装される着脱可能な及び取り外し不可能なメディアに制限されず、データ構造(プログラム・モジュール又は他のデータ)のような、ストレージ・メディア及び通信媒体を含み、RAM、ROM、電気的に消去可能なプログラム可能なリード・オンリ・メモリ(「EEPROM」)、フラッシュ・メモリ又は他のメモリ技術、コンパクト・ディスク・リードオンリ・メモリ(「CD―ROM」)、デジタル広用途ディスク(DVD)又は他の光学ストレージ、所望の情報の格納に使用することが出来る及びシステム装置によってアクセスさせることが出来る磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク・ストレージ又は他の磁気ストレージ・デバイス又は何れかの他のメディアを含む、この技術分野において公知である又は使用される任意の適切なメディアを含むことが出来る。本明細書において提供されている開示及び教示に基づいて、当業者は、種々の実施態様を実装する他の方法(単数)及び/又は方法(複数)を理解するであろう。
【0141】
従って、明細書及び図面は、限定的なものではなく、開示するものであるとみなすべきである。しかしながら、種々の変更及び改変を、請求項に記載される本発明のより広い精神と範囲を逸脱しない範囲でなしてもよいことは、明白であろう。
【0142】
他の変更は、本開示の精神の中にある。従って、開示された技術には、種々の変更及び代替の構成が可能であるが、それらのいくつかの実施態様は、図面に示されかつ詳細に上述されてきた。しかしながら、開示される特定の形(単数)又は形(複数)に本発明を制限する意図はなく、この逆で、この意図は、添付の請求項において定義され本発明の精神と範囲に入る全ての変更、代わりの構造及び等価物をカバーすることであることを理解すべきである。
【0143】
用語「a」及び「an」及び「the」の使用及び開示された実施態様で記述される文脈(特に続く請求項の文脈)内の類似する参照の使用は、本願明細書においてそれに反する記載がない限り又はコンテクストと明らかに矛盾しない限り、 単数及び複数をカバーするものとする。用語「備える」、「有する」、「含む」及び「含有する」は、特に明記しない限り、開放型用語(すなわち、「−を含むが、これに限定されるものではない」)であると解釈されるべきである。変更されずかつ物理的接続に関連するときの用語「接続されている」は、何か介在物がある場合であっても、部分的に又は完全に、含有されている、付着されている又は結合されているように解釈すべきである。本願明細書における値の範囲の説明は、特に明記されていない限りそしてあたかも各別個の値が本願明細書に個々に詳述されていたかのように、それが明細書に組み込まれていない限り、各別個の値が範囲に入っていることを個々に示す簡略的な方法として機能することを意図しているに過ぎない。用語「セット」(例えば、「アイテムのセット」)又は「サブセット」の使用は、特に明記されていない限り又はコンテクストと矛盾しない限り、一つ以上の部材を備えている空がない集合と解釈されるべきである。さらに、特に明記されていない限り又はコンテクストと矛盾しない限り、対応するセットの用語「サブセット」は、必ずしも対応するセットの適切なセットを示すというわけではなく、サブセット及び対応するセットは、等しくても良い。
【0144】
本願明細書において記述されるプロセスの動作は、本願明細書においてそれに反する記載がない限り又はコンテクストと明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行させることが出来る。本願明細書において記述される(又は変更例及び/又はこれらの組合せ)プロセスは、実行可能な命令によって構成されている一つ以上のコンピュータ・システムの制御の下で実行させても良く、そしてハードウェア又はこれらの組合せによって、一つ以上のプロセッサに集合的に実行するコード(例えば、実行可能な命令、一つ以上のコンピュータ・プログラム又は一つ以上のアプリケーション)として実装させても良い。コードは、そうであることが出来る、例えば、一つ以上のプロセッサによって実行可能な複数の命令を備えているコンピュータ・プログラムの形態で、コンピュータ読出し可能な格納媒体に格納させても良い。コンピュータ読出し可能な格納媒体は、非一時的としても良い。
【0145】
この開示の好ましい実施態様は、発明を実行するための本発明者等が知る最良の形態を含めて、本願明細書において記述されている。これらの好ましい実施態様の変更例は、当業者が前述の記載を読込めば、即座に、明らかになる。本発明者等は、当業者が、そのような変更例を適切に採用することを期待し、そして本開示の実施態様が、本願明細書において特定的に記述されているもの以外で実行されると理解する。従って、本開示の範囲は、準拠法によって許される、添付の請求項に記載される主題全ての変更及び等価物を含む。さらに、これらの全ての可能性がある変更例の上記の要素の任意の組合せは、本願明細書においてそれに反する記載がない限り又はコンテクストと明らかに矛盾しない限り、本開示の範囲に含まれる。
【0146】
公表、特許出願及び特許を含む全ての参照は、あたかも、各参照が、参照によって組み込まれていると個々にかつ特定的に示されていてかつその全部が本願明細書に記載されていたかのように、参照によって本願明細書に組込まれている。