(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記隆起部の遠位端は、前記押子が抜けないためのバリアを形成するために、前記外筒の内面の断面幅が減少する前記外筒の遠位端に面する遠位部を有することを特徴とする請求項1に記載のシリンジアセンブリ。
前記外筒の前記隆起部から前記開放近位端にかけて増大する断面幅を持つ前記隆起部の近位側の付近に設けられた傾斜部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のシリンジアセンブリ。
前記柔突起は、前記押子に遠位方向の力が加えられた時に近位方向に撓むことによって、前記押子を遠位方向に移動しやすくすることを特徴とする請求項1に記載のシリンジアセンブリ。
前記シリンジアセンブリが初期位置にある時に、前記ストッパの前記遠位端と前記外筒の前記遠位壁との間のギャップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のシリンジアセンブリ。
前記押子に継続的に遠位方向の力が加えられると、前記ストッパと前記押子が一体で前記外筒内で遠位方向に移動し、最終的に前記ストッパが前記外筒の前記遠位端に到達し、それによって、前記柔突起が前記外筒内の前記隆起部を越えて遠位方向に進み、前記押子を前記外筒内にロックして、前記シリンジアセンブリの再使用を防止することを特徴とする請求項1に記載のシリンジアセンブリ。
前記柔突起が前記隆起部を越えて遠位方向に進んだ後に、前記押子に近位方向の力を加えると、前記押子の前記易壊部が破断することを特徴とする請求項1に記載のシリンジアセンブリ。
前記2つまたはそれ以上の点状接続要素は、前記押子に遠位方向に加えられる力に耐え、前記柔突起が前記隆起部を越えて遠位方向に進んだ後に、近位方向の力を加えると破断するようになされていることを特徴とする請求項1に記載のシリンジアセンブリ。
前記2つまたはそれ以上の点状接続要素は遠位端および近位端を含み、前記2つまたはそれ以上の点状接続要素は、該点状接続要素の前記遠位端から該点状接続要素の前記近位端へと延びる本体部分をさらに含み、前記本体部分は、第一の断面幅を有する遠位部と、前記第一の断面幅より小さい第二の断面幅を有する近位部と、前記遠位部と前記近位部の間の遷移部と、を有し、前記遷移部は、前記遠位部から前記近位部へと減少する遷移的断面幅を有することを特徴とする請求項1に記載のシリンジアセンブリ。
前記ストッパ係合部の視覚的インディケータは、前記ストッパ係合部が前記ストッパに関して近位方向に移動すると完全に見えることを特徴とする請求項1に記載のシリンジアセンブリ。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のいくつかの例示的実施形態を説明する前に、理解しておくべき点として、本発明は、以下の説明に記されている構成または工程ステップの詳細に限定されない。本発明は、他の実施形態を採ることができ、さまざまな方法で実施し、実行することができる。
【0017】
本発明の1つの態様は、外筒と、押子と、ストッパと、を含むシリンジアセンブリを提供し、これらは、使用者が受動的に外筒内に押子をロックしてシリンジアセンブリを再使用不能とすることができるような個々の特徴と構成を有する。
【0018】
図1は、1つまたは複数の実施形態によるシリンジアセンブリ100を示す。
図2に示されているように、シリンジアセンブリは、外筒120と、押子140と、ストッパ160と、を含み、これらは、ストッパの近位端169が押子の遠位端141に連結されるように構成されている。接続されたストッパ160と押子140は、外筒120の近位端129に挿入される。
【0019】
図3に最もよく示されているように、外筒120は円筒形の側壁110を有し、これは内室128を画定する内面126を有する。1つの実施形態において、内室128はシリンジアセンブリの内容物を保持し、これは粉状または液状の薬剤であってもよい。外筒120は、開放近位端129と、遠位端121と、遠位壁122と、を有するように示されている。遠位壁122は、内室128と流体連通する開口部111を有する。
【0020】
外筒120の側壁110は、シリンジの長軸に沿って連続的な内径を有する内室を画定する。あるいは、外筒は、内径が近位端から遠位端へと直線的に減少する側壁を含むようにすることができる。当然のことながら、図の構成は例にすぎず、構成要素は、形状と大きさの点で図と異なるようにすることができる。例えば、外筒は、外側が角柱の形状で、その中に円筒状の内部形状が保持されるようにすることができる。あるいは、外筒の外面と内面の両方を、非円形の断面形状を有するようにすることができる。
【0021】
シリンジ外筒120は、外筒120の近位端129に取り付けられた周辺フランジ124を有するように示されている。外筒120はさらに、ニードルカニューレ150を有し、これは、外筒120の遠位壁122の開口部111に取り付けられる内腔153を有する。当業界で周知のように、ニードルカニューレ150を遠位壁122に取り付けるため取付手段152が設けられている。アセンブリ100はまた、ニードルカニューレを覆う保護キャップ(図示せず)を有していてもよい。
【0022】
図4により明瞭に示されているように、外筒120はさらに、近位端129の付近に隆起部123を含む。外筒の、隆起部123の位置における内径は、外筒120の、外筒の長さに沿った他の位置における内径より小さい。1つまたは複数の任意のタブまたは戻り止めを使って、外筒に、外筒120の内径より小さい直径を有する領域を作ることができる。具体的な実施形態において、隆起部は、内面126の円周全体または外筒120の内面126の一部に沿って形成されたリング(図示せず)とすることができる。外筒120はまた、外筒120の近位端129(
図3に示す)において、隆起部123に隣接する直径遷移領域127を含む。外筒の、直径遷移領域127における内径は、外筒120の遠位端121から近位端129(
図3に示す)に向かって増大する。図の実施形態では、外筒は、外筒の近位端129(
図3に示す)において、直径遷移領域に隣接する大径領域125を含む。外筒120の、大径領域125の内径は、外筒の、直径遷移領域127全体の内径より大きい。
【0023】
外筒は、プラスチック、ガラスまたはその他適当な材料で作製してよい。外筒はさらに、任意の投与量計量目盛り(図示せず)を含む。
【0024】
次に、
図5を参照すると、ストッパ160は、遠位端161と、近位端169と、ストッパ本体164と、外筒の内面126との密着部を形成する周辺端部162と、を有する。1つまたは複数の実施形態において、ストッパ160の周辺端部162の直径は、隆起部123の内面の直径より大きい。
図5に示されるストッパ160は、その遠位端161において、任意の長い先端166を含み、これによって残留流体が減り、シリンジ外筒から流体を押し出しやすくなる。
【0025】
ストッパ160は、その近位端169において、ストッパ本体164に隣接するテーパ部165をさらに有するように示されている。ストッパ160の近位端169には、テーパ部165に隣接したネック163がある。ストッパ本体164は、内側陥凹部168を含むように描かれており、これによって押子140のストッパ係合部146をストッパ160と接続することができる。周縁147を設けて、ストッパ160を押子140に保持しやすくしてもよい。外筒の隆起部と同様に、ストッパ160を押子140に保持するために、戻り止めまたはタブを使用することができる。
【0026】
ストッパは一般に、プラスチックまたはその他容易に廃棄可能および/またはリサイクル可能な材料で作製される。ストッパに天然または合成ゴムを取り入れるか、ストッパとともに天然または合成ゴムのシール材を使用することが望ましいかもしれない。当然のことながら、ストッパには複数のシール材を取り入れてもよい。
【0027】
次に、
図6を参照すると、シリンジアセンブリに含まれる押子140は、近位端149と、遠位端141と、近位端149と遠位端141の間に延びる主要部148と、を有する。押子140はさらに、押子140の近位端149に母指押圧部(thumb press)142を含む。図の実施形態において、母指押圧部142はさらに、しぼ面、書込み可能面および/またはラベルを含む。
【0028】
さらに
図6を参照すると、押子140はさらに、母指押圧部142と主要部148との間に環状の突起144として示される突起144を有する。押子の、突起144における外径は、外筒120の、隆起部123における内径より大きい。本発明のいくつかの実施形態において、突起144は、テーパ部145を有し、これによって突起が隆起部123を越え、外筒120の中へと遠位方向に移動しやすくなり、これは、シリンジの動作に関する以下の説明から明らかとなるであろう。少なくとも1つの実施形態において、シリンジアセンブリは、使用者が押子を外筒内で最後まで押し切った時に、突起144が隆起部123を越えて遠位方向に進み、押子が外筒内にロックされるように(
図10〜
図11に、より明瞭に示す)構成される。特定の実施形態において、押子140はさらに、使用者がロックされた後の押子に十分な近位方向の力を加えた時に、押子の少なくとも一部が本体から分離されるようにするための、少なくとも1つの易壊接続部または点143を含む。図の実施形態において、易壊点143は突起144と母指押圧部142との間に位置付けられる。当然のことながら、図の易壊接続部または点143は例にすぎず、押子を永久的に損壊し、またはその他、押子の少なくとも一部を主要部から分離させるためのその他の適当な手段を設けてもよい。
【0029】
図の例において、ストッパ160は、押子140のストッパ係合部146に接続された時に、外筒内で遠位方向および近位方向に移動できる。シリンジアセンブリの動作に関する説明を読み、
図7を参照すればよりよく理解できるように、ストッパは、ストッパ係合部に関して、事前に選択された軸方向の距離132だけ遠位方向と近位方向に移動できる。
【0030】
他の実施形態において、ストッパは押子に関して固定される。このような実施形態の場合、軸方向の距離はゼロであってよい。当然のことながら、このような実施形態では、シリンジは購入時のような初期位置にあり、ストッパと外筒の遠位壁との間にギャップがある。使用者がシリンジに充填する際、ストッパと押子は一体で近位方向に移動する。使用者がシリンジの内容物を押し出す際、ストッパと押子は一体で遠位方向に移動し、柔突起がロック用隆起部を越えて移動できる。
【0031】
押子は、プラスチックまたはその他適当な材料で作製してもよい。突起はまた、プラスチックまたは、押子を外筒内にロックするのに適した、より硬い材料で作製してもよい。
【0032】
図7において、外筒120はストッパ160と押子140を内室内に保持しており、ストッパは最後まで押し切られ、「終点位置に停止され(parked)」、すなわち外筒120の遠位壁122と接触している。ストッパの周辺端部162は、外筒120の内面126と密着部を形成する。1つの実施形態において、ストッパ160は押子140のストッパ係合部146に接続される。ストッパ係合部146は、ネック163によってストッパ本体164の陥凹部168の中に着脱可能に保持される。
【0033】
図7において、ストッパ160と主要部148の遠位端との間のギャップは、注射工程前の事前に選択された軸方向の距離132を画定する。少なくとも1つの実施形態において、突起144は隆起部123の近位側に留まるが、これは、事前に選択された軸方向の距離132を含め、押子140とスッパを合わせた長さが、外筒120の遠位壁122から外筒120の近位端までの長さより大きいからである。突起144とストッパ本体164の周辺端部162との間の距離を第一の距離D1と定義する。
【0034】
図8は、本発明の1つまたは複数の実施形態による使用中のシリンジを示し、特に吸引、すなわち充填ステップを示している。使用者が押子140に、
図8の矢印で示されるような近位方向の力を加えると、押子140とストッパ160は一体で近位方向に移動し、その一方で、ストッパ係合部146は周縁147によってストッパ160に接続される。1つまたは複数の実施形態において、ストッパ160と押子140とが一体でシリンジ外筒の内面に沿って近位方向に移動する間、事前に選択された軸方向の距離132を画定するギャップは保持される。使用者は、所望の量の薬剤がシリンジ内に吸引されると、押子に近位方向に力を掛けるのを止める。吸引ステップ中、押子とストッパ本体は一体で近位方向に移動して、第一の距離D1を保ちながら、薬剤をシリンジ内に吸引する。
【0035】
図9もまた、使用中のシリンジアセンブリを示しており、具体的には注射中に押子に遠位方向の力が加えられる状態を示している。1つの実施形態において、使用者が押子140に矢印で示されるように遠位方向の力を加えると、押子140は遠位方向に、
図7に示された事前に選択された軸方向の距離132を画定するギャップの長さだけ移動し、その一方で、ストッパ160は静止したままである。ストッパ160が静止しているのは、ストッパの周辺端部162によって外筒の内面126にかかる摩擦力が、ストッパ係合部146がストッパ160の陥凹部168の中に入ることによって発生する摩擦力より大きいからである。少なくとも1つの実施形態によれば、ストッパ係合部が事前に選択された軸方向の距離132の長さだけ遠位方向に移動し、陥凹部168の近位端と接触すると、ストッパ160と押子140は直列に並んで遠位方向へと移動を始める。さらに、使用者が掛ける力がストッパ160の周辺端部162と外筒の内面126との間の摩擦より大きく、したがって、ストッパ160は押子140とともに近位方向に押される。1つの実施形態において、使用者は、シリンジアセンブリが最後まで押し切られない限り、押子をロックすることなく、吸引済みの流体を限定的な量だけ注射するか、または押子に遠位方向への限定的な力を加えることによって、吸引済みの流体をフラッシュし、すなわち一部を押し出してもよい。しかしながら、
図10に関して後述するように、使用者はストッパを最後まで押し切って外筒の遠位壁に当て、押子を外筒内にロックしてもよい。
【0036】
シリンジの内容物を押し出す際、押子は遠位方向に、
図7に示される事前に選択された距離132の長さだけ移動し、その間ストッパ本体は静止しており、したがって事前に選択された軸方向の距離132を画定するギャップが閉じられる。シリンジの内容物が全て押し出された後、突起144と周辺端部162は第二の距離D2を画定し、D2は第一の距離D1と事前に選択された軸方向の距離132を画定するギャップとの差である。
【0037】
図10は、押子が外筒内にロックされた後のシリンジアセンブリのある実施形態を示す。1つまたは複数の実施形態において、ストッパ係合部がストッパ160の陥凹部168の中に入ると(
図9にも示す)、事前に選択された軸方向の距離132を画定するギャップが閉じられ、突起144がロック用隆起部123を越えて進むことができる(
図11により明瞭に示す)。突起144の外径は、外筒の、隆起部123における内径より大きい。したがって、1つまたは複数の実施形態において、隆起部123により突出部144が外筒120の内側にロックされ、押子140は近位方向に移動できない。
【0038】
図12は、外筒120が視覚的マーカ300を有するシリンジアセンブリ100を示す。マーカは隆起部123と整列し、これは
図16においてより明瞭に示されている。マーカは、外筒の側壁上に一体に形成でき、またはその側壁の外面に追加できる。マーカは、インクで印刷でき、接着剤で付着でき、しぼ面とし、またはシリンジ外筒の周辺に固定される別の部品とすることができる。マーカは、側壁の円周の周りのリングを形成することができ、または、側壁の円周の周りに一定間隔で配置されたタブの形態とすることもできる。具体的な実施形態において、マーカは色付きのストライプである。より具体的な実施形態において、マーカには、使用者にそのシリンジが使用不能であることを示す、1つまたは複数の文字および/または数字の形態のテキスト、幾何学的形状、記号、またはこれらの組合せを含めることができる。
【0039】
図13は、ストッパ係合部146に配置された視覚的インディケータまたは表示手段310を有する押子140を示す。視覚的マーカ300と同様に、視覚的インディケータ310は、押子のストッパ係合部と一体に形成でき、またはその外面に追加できる。インディケータまたは表示手段は、インクで印刷でき、接着剤で付着でき、しぼ面とし、またはストッパ係合部に固定される別の部品とすることができる。1つまたは複数の実施形態において、インディケータまたは表示手段は、パターン、中実部とすることができ、および/またはストッパ係合部の表面全体を覆うものとすることができる。具体的な実施形態において、インディケータは、ストッパ係合部146の長さに沿って、押子の遠位端141と主要部148の間に配置された色付きのストライプである。より具体的な実施形態において、インディケータは、押子のストッパ係合部146の円周に沿って配置された色付きのストライプである。さらにより具体的な実施形態において、マーカは、1つまたは複数の文字および/または数字の形態のテキスト、幾何学的形状、記号、またはこれらの組合せを含めることができる。
【0040】
図14により明瞭に示されるように、ストッパ160と主要部148の遠位端との間のギャップは、注射工程の前の事前に選択された軸方向の距離132を画定する。視覚的インディケータ310は、ギャップがある時に見える。視覚的マーカ300は、外筒120の外面に配置され、隆起部123と整列する。
図8に関して述べたように、使用者が押子140に
図8の矢印で示される近位方向の力を加えると、押子140とストッパ160は一体で近位方向に移動し、その間、ストッパ係合部146は周縁147によってストッパ160に接続されている。1つまたは複数の実施形態において、事前に選択された軸方向の距離132を画定するギャップが保持され、その間、ストッパ160と押子140は一体でシリンジ外筒の内面に沿って近位方向に移動する。したがって、視覚的インディケータ310はずっと見えている。
【0041】
図9に関して述べたように、シリンジの内容物を押し出す際、押子は遠位方向に、
図7と14に示される事前に選択された軸方向の距離132の長さだけ移動し、その間、ストッパ本体は静止したままで、その結果、事前に選択された軸方向の距離132を画定するギャップが閉じられる。ストッパ係合部がストッパに関して遠位方向に移動すると、押子のストッパ係合部146はストッパの陥凹部168(
図9に示す)の中へと移動する。
図15からより明瞭に分るように、この相対的な運動によって、ストッパ本体164はストッパ係合部を覆い、視覚的インディケータ310を隠す。
【0042】
図15と
図16においてより明瞭に分るように、外筒120に配置されて、隆起部123と整列される視覚的マーカ300はまた、突起144が隆起部123を越えて進んだことを示す。これに加えて、ストッパ係合部がストッパ160の陥凹部168の中に入ると(
図9にも示す)、事前に選択された軸方向の距離132を画定するギャップも閉じられ、これによって突起144は隆起部123を越えて進むことができる(
図11と16により明瞭に示す)。視覚的マーカに関する突起の位置は、押子が外筒内にロックされたか否か、およびシリンジアセンブリが使用不能化とされたか否かを示す。押子がロックされる前は、突起144が視覚的マーカ300の近位側の付近にある。押子がロックされると、突出部144は視覚的マーカ300の遠位側の付近にある。
【0043】
当然のことながら、視覚的マーカ300と視覚的インディケータ310の各々は、単独でも、組み合わせても使用できる。
【0044】
図17は、押子140が外筒120の中にロックされた後のアセンブリを示す。押子140に近位方向の力を加えることによって、シリンジアセンブリの再使用が試みられると、押子140の一部が易壊接続部または点143で分離する。易壊接続部または点143は、押子120に近位方向の力が加えられている間にロック用隆起部123によって突起に掛けられる保持力が、易壊点143において押子を破断するのに必要な力より大きく、したがって使用者が隆起部により突起に掛けられている力に打ち勝つ前に、易壊点が破断し、または分離するように設計される。
【0045】
図18は、ストッパ160がストッパ係合部146から分離した状態のシリンジアセンブリを示す。本発明の1つまたは複数の実施形態によれば、ストッパ160とストッパ係合部146が外れ、使用者は使用前にシリンジアセンブリの部品を分解することができない。
図5に関して他の箇所で説明したように、ストッパ160の周辺端部162の直径は、隆起部123の内面の直径より大きい。本発明の少なくとも1つの実施形態によれば、使用者が押子140に近位方向の力を加えると、隆起部123によってストッパ160の周辺端部162がロックされ、ストッパ係合部146の周縁147がストッパのネック163から外れる。隆起部123がストッパの周辺端部に掛ける力は、押子に近位方向の力が掛けられている間に押子のストッパ係合部の周縁とストッパのネック部により発せられる力または摩擦より大きい。
【0046】
図19は、本発明の他の実施形態による例としてのシリンジアセンブリ200を示す。
図19に示される実施形態において、アセンブリは外筒220と、押子240と、ストッパ260と、を含み、これらは、ストッパの近位端269が押子の遠位端241に連結されるように配置されている。ストッパ260、続いて押子240は、外筒の近位端229に挿入される。フランジ224が外筒220の近位端229に取り付けられている。外筒220はさらに、内腔253を有するニードルカニューレ250を含み、これは、外筒220の遠位端221において遠位壁222の開口部に取り付けられる。1つまたは複数の実施形態はまた、ニードルカニューレ250を遠位壁222に取り付けるための取付ハブ252を含む。アセンブリはまた、ニードルカニューレを覆う保護キャップ(図示せず)を含んでいてもよい。
【0047】
先に
図3と
図4に示した外筒と同様に、また
図22に示されるように、外筒はさらに、隆起部223、ロック用隆起部または、押子を外筒内にロックするためのその他の手段を含み、その内面の直径は外筒の内面の直径より小さい。
【0048】
次に
図20を参照すると、押子240の斜視図が示され、これは、主要部248と、遠位端241と、近位端249と、を有する。押子240はさらに、その近位端の母指押圧部242と、その近位端のストッパ係合部246と、を含む。押子240はまた、母指押圧部242と主要部248との間に環状突起244の形態の突出部も含む。突起244はテーパ部245を含んでいてもよく、これによって突起244は隆起部223を越えて、外筒220の中へと遠位方向に移動しやすくなる。いくつかの実施形態において、突起244の外径は、外筒の、隆起部223における内径より大きい。少なくとも1つの実施形態において、シリンジアセンブリの構成により、突起244は隆起部223を越えて遠位方向に進み、使用者がシリンジアセンブリを最後まで押し切ると、押子240は外筒220内にロックされる(
図25〜
図26により明瞭に示し、以下により詳しく説明する)。
【0049】
図の押子240はさらに、少なくとも1つの易壊点243を含む。図の実施形態において、押子240の易壊点243は突起244と母指押圧部242の間に位置付けられているが、易壊点は他の位置にあってもよい。ストッパ係合部246は、押子240の遠位端241に含められる。図のように、ストッパ係合部246はまた、押子陥凹部と保持手段247を含んでいてもよい。本発明の少なくとも1つの実施形態は、ストッパの端を保持するための押し嵌め式取付手段またはその他適当な手段を含む。
【0050】
次に
図21を参照すると、遠位端261と近位端269を有するストッパ260のある実施形態が示されている。少なくとも1つの実施形態によれば、ストッパ260は周辺端部262を有し、これは外筒220の内壁との密着部を形成し、その直径は、外筒の、隆起部223の位置における内面の直径より大きい(
図22〜
図24により明瞭に示す)。図のように、長い先端266がストッパ260の遠位端261に設けられ、シリンジの内容物全部を押し出すのに役立つ。ストッパ220にはさらに、本発明の少なくとも1つの実施形態によれば、近位端269において周辺リップ263を有するストッパ本体264を含めることができる。さらに、ストッパ260には、ストッパ本体264をストッパ260に接続するストッパ易壊接続部(stopper frangible connection)265を含めることができる。
【0051】
この構成では、ストッパ260と押子240が外筒220の内室を占め、ストッパは外筒の遠位端に当るように最後まで押し切られる。さらに、ストッパ260の周辺端部262は、外筒220の内面との密着部を形成する。ストッパ260は、押子240のストッパ係合部246に接続される。図のように、ストッパ係合部246の保持手段247は、ストッパ260の周辺リップ263を保持する。
【0052】
図19〜
図27のシリンジアセンブリの実施形態にはまた、
図13〜
図16に関して述べたように、視覚的マーカ300、視覚的インディケータ310またはその両方を含めることができる。具体的な実施形態において、1つまたは複数の実施形態の外筒220にはまた、ロック用隆起部223と整列する視覚的マーカを含めることができる。より具体的な実施形態において、シリンジアセンブリには、ストッパ本体164に配置された視覚的インディケータを含めることができる。
【0053】
1つまたは複数の実施形態によれば、ストッパ260と主要部248の遠位端との間にギャップがあり、これは事前に選択された軸方向の距離232を画定する。1つまたは複数の実施形態において、突起244とストッパ260の周辺端部262との間の距離は、第一の距離D1を画定する。
【0054】
図23は、本発明の1つまたは複数の実施形態による、使用中のシリンジアセンブリを示し、具体的には吸引または充填ステップ中の押子の動きを示す。使用者が押子に近位方向の力を加えると、押子240とストッパ260は一体で矢印により示される近位向に移動し、その間、ストッパ係合部246は周縁263によってストッパ260に接続されている。この構成では、事前に選択された軸方向の距離232を画定するギャップは、ストッパ260と押子240が一体で近位方向に移動する間、保持される。使用者は押子に近位方向に力を加え、最終的に所定の、または所望の量の薬剤がシリンジの中に吸引または引き込まれる。吸引ステップ中、押子とストッパ本体が一体で近位方向に移動し、薬剤をシリンジ内に引き込み、その間、第一の距離D1が保持される。
【0055】
図24もまた、本発明の少なくとも1つの実施形態による、注射中に遠位方向の力が押子に加えられている時のシリンジアセンブリを示す。遠位方向の力が加えられると、ギャップが閉じられ、押子が
図22に示される事前に選択された軸方向の距離232だけ移動し、その間、ストッパ260は静止したままである。少なくとも1つの実施形態によれば、ストッパ係合部246が事前に選択された軸方向の距離232だけ遠位方向に移動し、ストッパ易壊接続部265と接触すると、ストッパ260と押子240は直列に並んで遠位方向に移動し始める。
【0056】
シリンジの内容物を押し出す際、押子は事前に選択された軸方向の距離232の長さだけ遠位方向に移動し、その間、ストッパ本体は静止したままである。シリンジの内容物が押し出され始め、または完全に押し出されると、突出部244と周辺端部262の間の距離が第二の距離D2を画定し、D2は、第一の距離D1と、事前に選択された軸方向の距離232を画定するギャップと、の差である。
【0057】
1つの実施形態において、使用者は、シリンジアセンブリが最後まで押し切られない限り、押子をロックすることなく、吸引済みの流体を限定的な量だけ注射するか、または押子に遠位方向への限定的な力を加えることによって、吸引済みの流体をフラッシュし、すなわち一部を押し出してもよい。しかしながら、後に詳しく述べるように、使用者は通常、ストッパを最後まで押し切って外筒の遠位壁に当てることによって、シリンジの内容物の実質的に全部を押し出す。
【0058】
次に、
図25を参照すると、押子240が外筒220の内部にロックされた後のシリンジアセンブリを示しており、ストッパ係合部246がストッパ260のストッパ易壊接続部265まで遠位方向に移動すると(
図24にも示す)、事前に選択された軸方向の距離を画定するギャップが閉じられ、突起244は隆起部223を越えて進むことができ、それによって押子240が外筒220の中にロックされ、シリンジアセンブリを再使用できなくなる。
【0059】
次に
図26を参照すると、押子240が外筒220の中にロックされた後に、使用者が押子240に近位方向の力を加えることによって、シリンジアセンブリの再使用を試みた状態のシリンジアセンブリが示されている。押子に十分な近位方向の力が加えられると、押子240の一部が易壊接続部または点243において分離し、これは、突起244と隆起部の保持力が、易壊点または接続部を破断させる力を超えるからである。
【0060】
図27は、押子に近位方向の力が加えられ、ストッパが外筒の近位端へと移動した後の状態のシリンジアセンブリを示す。
図27に示されるように、ストッパ260は、押子のストッパ係合部246から分離している。ストッパの易壊接続部265が破断し、使用者はシリンジアセンブリの部品を分解することができない。本明細書の別の箇所で説明するように、ストッパ260の周辺端部の外径は、外筒の、隆起部223の位置における内面の内径より大きい。本発明の少なくとも1つの実施形態によれば、使用者が押子240に近位方向に力を加えると、外筒220の隆起部223によってストッパ260の周辺端部262がロックされ、ストッパ易壊接続部265が破断し、ストッパ本体264はストッパ260から分離する。理論によって限定されることなく、ストッパ易壊接続部の破断に必要な力は、ストッパの周辺端部に掛けられる力より小さいと考えられる。
【0061】
図28は、本発明の他の実施形態による例としてのシリンジアセンブリ400を示している。
図28に示される実施形態において、アセンブリは外筒420と、押子440と、ストッパ460と、を含み、これらは、ストッパ469の近位端が押子の遠位端441に連結されるように構成されている。ストッパ460、続いて押子440は、外筒の近位端429に挿入される。外筒は、外筒420の近位端429に取り付けられたフランジ424と、外筒420の遠位端421において、遠位壁422の開口部に取り付けられた内腔453を有するニードルカニューレ450と、を含む。1つまたは複数の実施形態はまた、ニードルカニューレ450を遠位壁442に取り付けりための取付ハブ452を含む。
【0062】
外筒はさらに、
図29により明瞭に示されるように、円筒形の側壁410を有し、その内面426は内室428を画定する。
図30により明瞭に示されているように、外筒はさらに、隆起部423、ロック用隆起部またはその他、押子を外筒内にロックするための手段を含み、その内面の直径は外筒の内面の直径より小さい。隆起部423の遠位端はさらに、外筒421の遠位端に面する遠位部412を有する。当然のことながら、隆起部423と隆起部の遠位部412は、別の形状と構成であってもよい。隆起部423の近位側の付近に傾斜部427が設けられ、その直径は隆起部から開放近位端に向かって増大する。大径領域425は、傾斜部427の近位側の付近に配置される。大径領域425の直径は、外筒426の内面と同じでも、それより大きくてもよい。
【0063】
次に
図31を参照すると、遠位端461と近位端469を有するストッパ460のある実施形態が示されている。少なくとも1つの実施形態によれば、ストッパ460は密着端部462を有し、これは、外筒426の内面との密着部を形成し、外筒の、隆起部423の位置における内面の直径より大きい(
図29と
図30により明瞭に示す)。ストッパ460はさらに、本発明の少なくとも1つの実施形態によれば、ストッパ本体464を含んでいてもよく、これは、内側陥凹部468とその近位端469に設けられたネックを画定する。1つまたは複数の実施形態によれば、ストッパは弾性またはプラスチック材料で形成されてもよい。ストッパはまた、当業界で公知のその他の材料で形成してもよい。
【0064】
次に
図32を参照すると、押子440の斜視図が示されており、これは主要部448と、遠位端441と、近位端449と、を有する。押子440はさらに、その近位端の母指押圧部442と、その遠位端のストッパ係合部446と、を含む。押子440はまた、母指押圧部442と主要部448との間の柔突起444と、柔突起の近位側の付近の支持手段445と、を有し、これによって、押子の使用と使用中のシリンジ400がより安定する。いくつかの実施形態において、柔突起444の外径は、外筒の、隆起部423における内径より大きい。少なくとも1つの実施形態において、シリンジアセンブリの構成により、使用者がシリンジアセンブリを最後まで押し切ると、柔突起444は隆起部423を越えて遠位方向に進み、押子440が外筒420の中にロックされる(
図37〜
図38により明瞭に示し、後に詳しく説明する)。押子はさらに、主要部448の遠位端と近位端に配置された、任意の1対のディスク430、431を含んでいてもよい。ディスク430、431により安定性が増し、これらは外筒の形状に応じて、別の形状であってもよい。
【0065】
図33に示されるように、押子440はさらに、支持手段445の付近に複数の易壊接続要素またはブリッジ443を含む。図の実施形態において、押子440の複数の易壊接続要素443は、支持手段445と母指押圧部442の間に配置されているが、易壊接続要素は他の位置にあってもよい。
【0066】
押子の遠位端441はさらに、ストッパ係合部446を含む。図のように、ストッパ係合部446はまた、ストッパ460のネック463を保持する保持リング447を含む。本発明の少なくとも1つの実施形態は、ストッパの端を保持するための押し嵌め式の取付手段またはその他適当な手段を含む。
【0067】
組み立てられた状態で、ストッパ460は押子440のストッパ係合部446に接続される。
図34に示される実施形態において、ストッパ460と押子440は外筒420の内室を占めてもよく、ストッパの遠位端461は押子の遠位壁422に当たるように位置付けられる。さらに、ストッパ460の密着端部462は、外筒420の内面との密着部を形成する。図のように、ストッパ係合部446の保持リング447は、ストッパ460を保持する。
図40を参照しながらより詳しく説明するように、保持リング447とストッパ係合部446との間の接続部は破断しやすくてもよい。
【0068】
シリンジアセンブリ400の実施形態はまた、
図13〜
図16に関して説明したような視覚的マーカを含んでいてもよい。具体的な実施形態において、1つまたは複数の実施形態の外筒420にはまた、ロック用隆起部423と整列する視覚的マーカを含めることができる。より具体的な実施形態において、シリンジアセンブリには、ストッパ本体464に配置された視覚的インディケータを含めることができる。
【0069】
次に
図34〜
図35を参照すると、ストッパ460と主要部448の遠位端との間に画定される空間は、事前に選択された軸方向の距離432を画定する。1つまたは複数の実施形態において、柔突起444とストッパ460の密着端部462との間の距離は、第一の距離D1を画定する。
【0070】
吸引または充填ステップ、注射ステップおよびロックステップが
図35〜
図38に示される。
図7〜
図11、
図14〜
図16および
図22〜
図24の実施形態と同様に、使用者が押子に対して近位方向の力を加えると、押子440とストッパ460は、ネック463と保持リング447によって連結され、一体で矢印により示される近位方向に移動する。
図35に示されるように、事前に選択された軸方向の距離432を画定する空間と第一の距離D1は、ストッパ460と押子440が一体で近位方向に移動する際、保持される。
図36は、注射ステップ中に近位方向の力が押子440に加えられた時のシリンジアセンブリ440を示す。この力によって、押子440は、
図34に示される事前に選択された軸方向の距離432だけ移動でき、その間、ストッパ460は静止したままである。これによって、押子440が内側陥凹部468の中に移動すると、押子440とストッパ460の間の空間が閉じられる。押子に遠位方向の力が引き続き加えられると、ストッパ460と押子440は直列に並んで遠位方向に移動する。
【0071】
シリンジの内容物が押し出され始め、または完全に押し出されると、柔突出444と密着端部462の間の距離は第二の距離D2を画定し、D2は、第一の距離D1と、事前に選択された軸方向の距離432を画定する空間と、の差である。
【0072】
本明細書の他の箇所で説明したように、シリンジアセンブリ400の使用者は、シリンジアセンブリが最後まで押し切られない限り、押子をロックすることなく、吸引済みの流体を限定的な量だけ注射するか、または押子に遠位方向への限定的な力を加えることによって、吸引済みの流体をフラッシュし、すなわち一部を押し出してもよい。
【0073】
次に、
図37〜
図38を参照すると、押子440が外筒420の中にロックされた後のシリンジアセンブリを示しており、ストッパ係合部446をストッパ460に関して遠位方向に移動させると、事前に選択される軸方向の距離を画定するギャップが閉じられ、柔突起444が隆起部423を越えて進むことができ、これによって押子440が外筒420の中にロックされ、シリンジアセンブリの再使用が防止される。
【0074】
1つまたは複数の実施形態によれば、柔突起444により、シリンジアセンブリの通常の使用中に、押子を最後まで押し切ることができ。具体的には、柔突起444は、これが外筒の隆起部423の小径部を通過する時に撓む。1つまたは複数の実施形態において、突起444が隆起部423を越えて遠位方向に移動する際、押子に加えられる力は若干強められるかもしれない。図の実施形態によれば、シリンジの通常の使用中、このように押子に加えられる力が若干強められることは使用者により認識されない。さらに、外筒の傾斜部427によって、柔突起444は隆起部423を越えて移動しやすくなる。柔突起444が隆起部423を越えて遠位方向に進んだ後、隆起部の遠位部412により、柔突起444の近位方向への移動が制約される。本願で定義する作動力は、押子を引き戻すのに必要な力より小さいと考えられる。
【0075】
次に
図39を参照すると、押子440が外筒420の中にロックされた後に、使用者が押子440に対して、本願で定義する挽き戻し力を近位方向に加えることによって、シリンジアセンブリの再使用を試みた状態のシリンジアセンブリ400が示されている。押子に十分な近位方向の力が加えられると、引き戻し力が、押子の一部を本体から分離する、または複数の易壊接続要素またはブリッジを破断するのに必要な無効化力を超えたところで、押子440の一部が複数の易壊接続要素443において分離する。
【0076】
図40は、近位方向の力が押子に加えられ、ストッパが外筒の近位端に移動した後の状態のシリンジアセンブリ400を示す。本明細書の他の箇所でも述べたように、ストッパ462の密着端部の外径は、外筒の、隆起部423の位置における内面の内径より大きく、したがって、近位方向の力を加えると、ストッパ460は押子のストッパ係合部446から分離する。
【0077】
1つまたは複数の実施形態によれば、シリンジ外筒は、シリンジアセンブリの識別情報を含んでいてもよい。このような情報の例としては、これらに限定されないが、シリンジアセンブリの内容物に関する識別情報または投与対象者に関する情報の1つまたは複数がある。
【0078】
図41は、本発明の他の実施形態による例としてのシリンジアセンブリ500を示す。
図41に示される実施形態において、アセンブリは、外筒520と、押子540と、ストッパ560と、を含み、これらは、ストッパの近位端569が押子の遠位端451に連結されるように構成されている。組み立てられたストッパ560と押子540は、使用時には外筒520の近位端529に挿入される。
【0079】
図42により明瞭に示されているように、外筒520は、開放近位端529と、遠位端521と、遠位壁522と、を含む。側壁524は、遠位端521から開放近位端529へと延び、内面526を含み、これが流体を保持、または保有するための内室528を画定し、ここには液体薬剤および/またはその他の液体が収容されてもよい。遠位端521はまた、先端523を含んでいてもよく、これは、内室528と流体連通する開放通路525を有する。外筒はまた、外筒520の近位端529に取り付けられたフランジ527を含んでいてもよく、また、任意で、外筒520の遠位端521の遠位壁522の開口部に取り付けられる内腔503を有するニードルカニューレ502を含んでいてもよい。1つまたは複数の実施形態はまた、
図41に示されているように、外筒520にニードルカニューレを取り付けるための取付ハブ508を含む。
【0080】
外筒はさらに、隆起部510、ロック用隆起部、または押子540を外筒520の中にロックするためのその他の手段を含む。図の実施形態において、隆起部510は、外筒の側壁524の内面526の断面幅より小さい断面幅の内面を画定する。1つまたは複数の実施形態において、隆起部510は、押子が外筒520から外れないようにする、または押子540を外筒内にロックするような、他の構成、形状、大きさを有していてもよい。例えば、
図42に示される実施形態において、隆起部510は、外筒の内面526に沿って形成され、半径方向に内室528の中へと突出し、または延びる環状の壁を形成するように延びる。他の実施形態において、隆起部510は、内室528へと延びる1つまたは複数の突起(図示せず)を含んでいてもよい。
【0081】
1つまたは複数の実施形態において、隆起部510の遠位端は、
図42と
図54に示されているように、外筒の遠位端521に面する遠位部(図示せず)を含んでいてもよい。遠位部(図示せず)では、外筒の内面526の断面幅が急速に減少し、押子540が抜けないようにするためのバリアを形成する。遠位部(図示せず)はまた、押子540が外筒から抜けないようにするためのバリアを形成する垂直壁としてもよい。傾斜部(図示せず)を隆起部510の近位側の付近に設けてもよく、その断面幅は隆起部510から外筒の開放近位端529へと増大する。断面幅が大きい領域(図示せず)もまた、傾斜部(図示せず)の近位側の付近に配置してよい。断面幅が大きい領域(図示せず)の断面幅は、外筒の内面526と同じでも、それより大きくてもよい。傾斜部(図示せず)および/または断面幅が大きい領域(図示せず)によって、押子540は隆起部510を越えて遠位方向に移動しやすくなる。
【0082】
ストッパ560は、遠位端561と近位端569を有し、これは
図41により明瞭に示されている。
図52に示されるように、ストッパ560は、外筒の内面526との密着部を形成する密着端部562を含む。1つまたは複数の実施形態において、密着端部562の断面幅は、隆起部510の内面の断面幅より大きくてもよい。
図50に示されるように、ストッパの遠位端561は、密着端部562に隣接するストッパ面563を含む。ストッパ560にはさらに、内側陥凹部を画定するストッパ本体564と、その近位端569に配置されたネック568と、を設けることができる。ストッパは、弾性またはプラスチック材料または、当業界で公知のその他の材料で形成してもよい。押子と組み立てた時に、押子540の一部はストッパの内側陥凹部の中に挿入され、ネック568が押子540と係合し、これは
図50により明瞭に示されていている。1つまた複数の実施形態において、押子540とストッパ560の間の接続部は、
図1〜
図40に関して述べたように、易壊性であってもよい。
【0083】
次に
図45を参照すると、押子540が示されており、これは主要部548を含む押子本体544を有する。押子本体544は、遠位端541から近位端549へと延び、第一の軸501に沿って整列する。押子540はさらに、その近位端549に母指押圧部543、その遠位端541にストッパ係合部546を含む。
【0084】
図43〜
図45に示される押子本体544は、2つの水平部材504、505を含んでおり、これらは交差して、2つの水平部材504、505の間に4つの四分割部506を画定する十字の本体を形成する。水平部材504、505と四分割部506は、押子の遠位端541から近位端549へと延び、そこに柔突起550、支持部530および易壊部570が交差し、これについては後により詳しく説明し、
図45により明瞭に示す。水平部材504、505の寸法は、押子本体544の長さに沿って変化してもよい。例えば、
図45に示されているように、水平部材504、505の断面幅は、母指押圧部の近位端549の付近で減少し、これによって押子本体544の断面幅が減少する。1つまたは複数の実施形態において、押子本体544は、単独の部材(図示せず)から形成されてもよく、これは、円筒形の断面(図示せず)を有するように成形されてもよい。
【0085】
図45に示されるストッパ係合部546は、ストッパ560のネック568を押子の遠位端541に係合させるための保持リング547を含む。
図45に示される実施形態において、ストッパ係合部546は、保持リング547と押子の主要部548との間に配置された延長部509を含んでいてもよい。
図50に示されるように、延長部509により、ストッパのネック568と保持リング547の間は、ストッパ560の内側陥凹部に収容され、またはそこを占めることによって係合できる。図の実施形態において、保持リング547は、半径方向に外側に向かう突出部を有し、その断面幅は、ストッパ560の内側陥凹部の、ネック568における断面幅より大きい。ストッパには、任意でストッパ係合部546の保持リング547と係合するための、対応する構造を設けてもよい。本発明の少なくとも1つの実施形態は、ストッパ560の端を押子540に保持または係合させるための、押し嵌め式取付手段またはその他適当な手段を含む。
【0086】
図41に示される実施形態において、押子540は、押子のストッパ係合部546の近位側の付近、すなわち主要部548の遠位端に配置された第一のディスク542を含む。第一のディスク542の断面幅は、隆起部510の内面の断面幅より大きい。第一のディスク542は、円形の断面を有するように示されているが、正方形、三角形またはその他の形状の断面を有していてもよい。1つまたは複数の実施形態において、第一のディスク542は、半径方向に外側に延び、第一のディスク542の断面幅を増大させるような1つまたは複数の突出部(図示せず)を有していてもよい。押子はさらに、主要部548の近位端に配置された任意の第二のディスク545を含んでいてもよい。第一のディスク542および/または第二のディスク545により、安定性が増し、外筒および/または押子の形状に応じて、別の形状であってもよい。
【0087】
押子540はまた、母指押圧部543と主要部548の間に配置された柔突起550を含む。
図45、
図46Aに具体的に示されているように、突起550は、第二のディスク545の近位側の付近の押子本体544および/または主要部と交差する。柔突起550は、押子540から半径方向に外側に延び、第一の軸501に関して垂直に配置される。柔突起550の外側断面幅は、隆起部510の内面の断面幅より大きい。後述のように、シリンジアセンブリの形状により、柔突起550は隆起部510を越えて遠位方向に進むことができ、使用者がシリンジアセンブリを最後まで押し切った、または外筒530の内容物をすべて押し出した時に、押子540が外筒520の中にロックされる(
図53〜
図55により明瞭に示し、以下に詳しく説明する)。柔突起550により、それが押子に遠位方向の力が加えられると近位方向に撓むため、押子540は隆起部510を越えて遠位方向に移動できる。換言すれば、押子に遠位方向の力が加えられて押子540が内室528内で遠位方向に移動することによって、外筒520の内容物が押し出される際、突起550は、隆起部510との相互作用によって内側に撓み、ストッパ560が遠位壁522においてシリンジ外筒の内面526と接触し、これは
図51〜
図52により明瞭に示されている。ストッパ560が遠位壁522においてシリンジ外筒の内面526と接触していれば、突起550は既に隆起部510を越えて遠位方向に移動していることになる。
【0088】
図の実施形態において、突起550は、それが隆起部510を越えて遠位方向に移動する際、近位方向に撓むことができる構造を有する。
図46A、
図49、
図51、
図52、
図53に示される実施形態において、突起550は、半径方向に外側に延びる4つの薄板551、552、553、554を含む。薄板551、552、553、554は、薄板の各々を押子本体544に取り付けるための取付部555を有する。薄板551、552、553、554はまた、各々、取付部554と反対の端に、取り付けられない、すなわち自由部556を含む。薄板551、552、553、554は押子540に取り付けられ、取付部555において押子から垂直方向、すなわち半径方向に外側に延びる。自由部556をいずれの構造にも取り付けられないように、また薄板551、552、553、554をカンチレバー構造とすることもできる。1つまたは複数の実施形態において、取付部555と自由部556の間の部分は、押子540から押子の近位端549に向かって外側に湾曲し、それによって薄板の各々は、弓形形状(図示せず)を有する。自由部556はまた、テーパ状端部558を含んでいてもよく、これによって柔突起550が隆起部510を越えて遠位方向に移動しやすくなる。以下に詳しく説明するように、薄板551、552、553、554が弓形形状であることにより、押子540が外筒520内にロックされた後は、柔突起550が内側に撓まないようになる。1つまたは複数の実施形態において、薄板551、552、553、554は、薄板の各々の間に空間557を有する。空間557は、三角形の形状を有するように示され、2辺が2つの薄板により画定され、第三の開放辺が2つの薄板の間に、取付部555と反対に配置される。
【0089】
1つまたは複数の実施形態において、柔突起550はベルヴィルワッシャまたは円錐形のディスク(図示せず)の形状を有していてもよく、取付部、すなわち押子に取り付けられた部分は、自由部、すなわち押子に取り付けられていない部分の遠位側の付近にある。1つまたは複数の実施形態において、柔突起550は、押子540に対して垂直に整列する平坦なディスク(図示せず)の形状であってもよい。平坦なディスク(図示せず)は、テーパ付端部(図示せず)を有する自由部(図示せず)を含んで、隆起部510を越えて遠位方向に移動しやすくなっていてもよい。
【0090】
1つまたは複数の実施形態において、支持部530は、柔突起550の近位側の付近に設置され、押子本体544と交差する。支持部530により、使用中の押子540とシリンジアセンブリ500がより安定する。1つまたは複数の実施形態において、支持部530は、押子540に垂直に配置されて、遠位側を向く表面532と、近位側を向く表面533と、外縁534を有する環状突起531と、を含む。図の実施形態において、支持部530は、遠位側を向く表面532の上の、柔突起550と環状突起531の間に配置される支柱要素535を含む。支柱要素535は、第一の軸501に沿って、遠位方向に面する表面532から遠位方向に延びる2つの梁部材536、537を含む。梁部材536、537は、その中間点において相互に交差して、交差部538を形成する。梁部材536、537は、押子本体544の水平部材504、505と整列していてもよい。図の実施形態の支柱要素535は、交差部538において、柔突起550に取り付けられる。
図46Aに示される梁部材536、537は、丸みのついた縁辺539を有し、その高さは環状突起531の外縁534から公差部538に向かって増大する。
【0091】
1つまたは複数の他の実施形態において、支持部530は、支柱要素535の代わりに、遠位側を向く表面532に取り付けられたドーム型本体(図示せず)を有する環状突起531を含んでいてもよい。換言すれば、梁部材536、537間の空間をなくして、支柱要素がドーム型(図示せず)となるようにしてもよい。任意で、支持部530の環状突起531をより厚くしてもよく(図示せず)、支柱要素をなくして、支持部530が概してディスク型の構成を有するようにしてもよい(図示せず)。
【0092】
図45に示されるように、押子540はさらに、易壊部570を含む。易壊部570は、
図45の実施形態では、支持部530に隣接して配置された複数の点状態接続要素571またはブリッジを有するように示されている。1つまたは複数の実施形態において、易壊部570は、押子540の一部が破断するようにするその他の構造を含んでいてもよい。図の実施形態において、押子540の複数の点状接続要素571は、支持部530と母指押圧部543との間に配置されているが、易壊部570は他の位置に設けてもよい。
【0093】
複数の点状接続要素571は、支持部530を押子の近位端549に連結するようにしてもよい。図中、複数の点状接続要素571は、環状突起531の近位側を向く表面533に配置され、支持部530を母指押圧部543および押子540の、押子の近位端549に隣接する残りの部分に接続する。
図45に示される実施形態において、易壊部570は4つの易壊要素572、573,574、575を含んでいる。1つまたは複数の実施形態において、易壊部570は1つ、2つ、3つまたは5つ以上の点状接続要素(図示せず)を含んでいてもよい。点状接続要素571は、これらが近位側を向く表面533の全体に分散されて、複数の点状接続要素571が比較的小さな寸法であっても、使用中に押子540の安定性を高めるように分布され、これについては後述する。
【0094】
複数の点状接続要素571は遠位端576と近位端577を含み、本体部分578が遠位端から近位端へと延びる。図の実施形態において、複数の点状接続要素571の本体部分578は、断面幅を画定する円形の断面を有する。任意で、複数の点状接続要素571の本体部分578は、異なる形状、例えば正方形、三角形またはその他適当な形状の断面を有していてもよい。
【0095】
1つまたは複数の実施形態において、複数の点状接続要素571の本体部分578の断面幅は、遠位端576から近位端577まで一定のままである。1つの変形において、点状接続要素571の本体部分578の断面幅は、遠位端576から近位端577へと減少してもよい。1つまたは複数の実施形態の本体部分578の断面幅は、遠位端576から近位端577へと、直線的に、または徐々に増大しても、減少してもよい。
図46Bに示される実施形態において、複数の点状接続要素の本体部分578の断面幅は、遠位端576から近位端577へと徐々に減少する。具体的には、本体部分578は、第一の断面幅を有する遠位部579と、第一の断面幅より小さい第二の断面幅を有する近位部580と、を含む。複数の点状接続要素の本体部分578はまた、遠位部579と近位部580の間に配置された遷移部581を含む。遷移部581の遷移的断面幅は、遠位部579から近位部580へと減少する。
【0096】
1つまたは複数の他の実施形態において、遠位部570と近位部580は実質的に同じ断面幅を有していてもよく、その一方で、遷移部分581の遷移断面幅が遠位部や近位端577より小さい。
【0097】
複数の点状接続要素571は、一定の断面幅を有する1つまたは複数の点状接続要素を含んでいてもよく、残りの点状接続要素の断面幅は、遠位端から近位端へと増加または減少し、または、遠位部と近位部の間の遷移部における断面幅が小さい。あるいは点状接続要素の1つまたは複数の断面幅は徐々に、または段階的に減少または増大してもよく、その一方で、残りの点状接続要素は、一定の断面幅、直線的に増大または減少する断面幅、および/または遠位部と近位部の間の遷移部で減少する断面幅を有していてもよい。
【0098】
点状接続要素571間の距離は一定であっても、変化してもよい。図の実施形態において、点状接続要素572と点状接続要素574との間の距離は、点状接続要素573と点状接続要素575との間の距離より大きい。点状接続要素間の距離が一定でないこのような実施形態において、点状接続要素は、ずれた状態で、すなわち互い違いに配置される。例えば、
図46Aにおいて、点状接続要素572と574は、押子本体544の水平部材504、505および/または支持部530の梁部材536と537と整列し、その一方で、点状接続要素573と575は、押子の遠位端541から見て、梁部材536と537の若干左側に配置される。
図46Aに示されている実施形態において、ずれている要素(off-set element)582は、点状接続要素572と574を支持するために取り入れられている。ずれている要素582は、水平部材504、505から半径方向の外側に、水平部材により画定される開口部506の中へと延び、突出していてもよい。図の実施形態において、ずれている要素582は、これが水平部材504、505から開口部506に向かって半径方向に外側に延びる間にテーパが付けられる。点状接続要素571の遠位端576は集合的点状接続表面を有し、その断面幅は、支持部530の近位側を向く表面533の表面積より実質的に小さい。1つまたは複数の実施形態において、近位側を向く表面533の表面積と、点状接続要素571の表面積と、の比は約1:200より大きくてもよい。換言すれば、点状接続要素571と近位側を向く表面533の表面積の差は約1:200より大きい。より具体的な実施形態において、近位側を向く表面533の表面積と、点状接続要素571の表面積と、の比は約1:250より大きくても、あるいは、より具体的には、約1:300より大きくてもよい。1つまたは複数の実施形態において、近位側に面する表面533の表面積と、点状接続部材571の表面積と、の比は、約1:250〜約1:350の範囲であってもよい。1つまたは複数の実施形態において、近位側を向く表面533の表面積と点状接続要素571の表面積の比は約1:300であってもよい。
【0099】
シリンジアセンブリ500の実施形態はまた、
図13〜
図16に関して説明した視覚的マーカ(図示せず)を含んでいてもよい。具体的な実施形態において、1つまたは複数の実施形態の外筒520にはまた、側壁524に、隆起部510と整列するように配置された視覚的マーカ(図示せず)を含めることができる。より具体的な実施形態において、シリンジアセンブリ500には、ストッパ本体564に配置された視覚的インディケータ(図示せず)を含めてもよい。
【0100】
1つまたは複数の実施形態において、ストッパ560と押子540は、
図1〜
図40に関して前述したように、ストッパ560と押子540の間に相対的な運動が発生するように構成し、組み立ててもよい。このような実施形態において、ストッパ560と押子540は、外筒520の内室528の中に、ストッパ面563が外筒の遠位壁522に当たるように、すなわち接触するように位置付けられるように配置されてもよい。
【0101】
図50に示される実施形態において、ストッパ560と押子540は、固定された関係に組み立てられる。このような実施形態では、ストッパ560と押子540は、外筒の内室528を占めていてもよく、ストッパ面563の遠位端561は外筒の遠位壁522から離れて配置される。押子540とストッパ560の、ストッパ面563から柔突起550までの長さは、外筒の遠位壁522と隆起部510との間の長さより短く、それによって柔突起550は、ストッパ面563が外筒の遠位壁522と接触している時に、隆起部510を越えて遠位方向に移動できる。
【0102】
図51に示されるように、ストッパ560と押子540が当初、外筒520の中に位置付けられると、柔突起550は隆起部510の近位側の付近に位置付けられる。1つまたは複数の実施形態において、ストッパ面563と外筒の遠位壁522との間の距離は、柔突起550が隆起部510の近位側の付近に位置付けられるように調整してもよい。
【0103】
使用者が押子540に近位方向の力を加えると、押子540とストッパ560は、ネック568と保持リング547によって連結されて、一体で矢印により示される近位方向に移動する。
図53は、注射ステップ中に、押子540に継続的に遠位方向の力が加えられている時のシリンジアセンブリ500を示す。この力によって、押子540とストッパ560は遠位方向に移動し、最終的に外筒の内室528の内容物が押し出され、ストッパ面563が外筒の遠位壁522と接触する。任意で、シリンジアセンブリ500の使用者は、シリンジアセンブリが最後まで押し切られない限り、押子をロックすることなく、吸引済みの流体を限定的な量だけ注射するか、または押子に遠位方向への限定的な力を加えることによって、吸引済みの流体をフラッシュし、すなわち一部を押し出してもよい。
【0104】
外筒520の内容物が全て押し出されると、柔突起550は、
図53〜
図55に示されるように、隆起部510を越えて遠位方向に移動する。ストッパ面563が外筒の遠位壁522と接触している時、柔突起550は隆起部510の遠位側の付近に位置付けられ、押子540は外筒520の中にロックされる。
【0105】
1つまたは複数の実施形態において、柔突起550により、押子540とストッパ560はシリンジアセンブリの通常の使用中に最後まで押し切られる。具体的には、柔突起550は、外筒の隆起部510の狭い断面幅の部分を通過する際に撓む。1つまたは複数の実施形態において、突起550が隆起部10を越えて遠位方向に移動すると、押子に加えられる力は若干強められるかもしれない。図の実施形態によれば、シリンジの通常の使用中、このように押子に加えられる力が若干強められることは使用者により認識されない。さらに、外筒520の傾斜部514により、柔突起550は隆起部510を越えて移動しやすい。本願で定義する作動力は、押子を引き戻すのに必要な力より小さいと考えられる。柔突起550が隆起部510を越えて遠位方向に移動した後、隆起部510は柔突起550が近位方向に移動するのを制限する。遠位部(図示せず)を有する隆起部510を用いる実施形態において、遠位部は特に、柔突起550を近位方向に移動するのを制限する。柔突起550の弓形形状もまた、柔突起550が内側に撓み、柔突起550が隆起部510と係合するのを防止して、押子540を外筒520から解除し、またはロックを解くことができるようになる。
【0106】
図53〜
図55に示されるように、外筒520から流体が押し出された後および/またはストッパ560が外筒の遠位壁522と接触した後は、押子540は外筒520の中にロックされ、力をさらに加える必要はない。その代わりに、使用者が押子540とストッパ560を外筒530の中で最後まで押し切り、および/または外筒520の内容物を全て押し出す際に、柔突起550は隆起部510を越えて遠位方向に移動する。したがって、シリンジアセンブリ500は受動的な再使用防止機構を提供し、それにより、使用者が積極的に押子540を外筒520の中にロックする必要がない。
【0107】
次に
図55を参照すると、押子540が外筒520の中にロックされた後に、使用者が本願で定義するような引き戻し力を押子540に近位方向に加えることによってシリンジアセンブリの再使用を試みた状態のシリンジアセンブリ500を示している。押子540に十分な近位方向の力を加えると、引き戻し力が、複数の易壊点状接続要素571またはブリッジの少なくとも一部において押子の一部を本体から分離させる、または破断するために必要な無効化力を超えたところで、押子540の一部が易壊部570において分離する。換言すれば、隆起部510によって柔突起550の薄板551、552、553、554に掛かる力が、易壊接続要素571を破断するのに必要な力を超える。
【0108】
1つまたは複数の実施形態において、シリンジ外筒は、シリンジアセンブリ上に識別情報を含んでいてもよい。このような情報の例としては、これらに限定されないが、シリンジアセンブリの内容物に関する識別情報、または投与対象者に関する情報の1つまたは複数がある。
【0109】
本明細書中の「1つの実施形態」、「特定の実施形態」、「1つまたは複数の実施形態」または「ある実施形態」との用語は、その実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、材料、または特徴が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれことを意味する。それ故、本明細書中の各所における「1つまたは複数の実施形態において」、「特定の実施形態において」、「1つの実施形態において」、または「ある実施形態において」等の語句の出現は、必ずしも、本発明の同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、材料または特徴は、1つまたは複数の実施形態において、あらゆる適当な方法で組み合わせてもよい。
【0110】
本明細書において、本発明を特定の実施形態に関して説明したが、当然のことながら、これらの実施形態は単に本発明の原理と用途の例にすぎない。当業者にとって明らかであるが、本発明の真の主旨と範囲から逸脱することなく、本発明の方法と装置に各種の改良や変更を加えることができる。それ故、本発明は、付属の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内の改良と変化も含むものとする。