(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6685344
(24)【登録日】2020年4月2日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】フィルターの回転枠構造
(51)【国際特許分類】
G03B 11/00 20060101AFI20200413BHJP
【FI】
G03B11/00
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2018-81137(P2018-81137)
(22)【出願日】2018年4月20日
(65)【公開番号】特開2019-191280(P2019-191280A)
(43)【公開日】2019年10月31日
【審査請求日】2018年7月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】502201826
【氏名又は名称】マルミ光機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100171354
【弁理士】
【氏名又は名称】畠山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100071663
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 保夫
(72)【発明者】
【氏名】高橋 薫
【審査官】
高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭55−029425(JP,U)
【文献】
特開2004−257498(JP,A)
【文献】
特開2017−132324(JP,A)
【文献】
実開平04−079337(JP,U)
【文献】
特開平09−090469(JP,A)
【文献】
特開平09−236849(JP,A)
【文献】
特開2004−054044(JP,A)
【文献】
実開昭55−167218(JP,U)
【文献】
特開2001−215382(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルターレンズを嵌着した前枠とカメラのレンズ鏡筒の前面に装着される後枠からなるフィルター枠をそなえ、前枠と後枠の間にワッシャを介挿してグリースを注入することなしに後枠に対し前枠を回転可能に保持することによりフィルターレンズが回転できるようになっているフィルターの回転枠構造において、後枠の内周部に形成した溝部に自己潤滑性を有する樹脂から成形したワッシャを装入して、前枠をワッシャに摺動させながら後枠に押し込むことによりワッシャが前枠と後枠の間に弾発的に介挿されるようにしたもので、前記後枠に押し込む前枠の押し込み側の先端部を前枠の内周側に撓み得る薄肉部に成形し、該薄肉部の先端に鉤部を設け、該鉤部を後枠の内周部に形成した溝部に装入したワッシャの内周面に摺動させながら前枠の先端部の薄肉部を後枠に押し込むことにより、前枠の薄肉部が内周側に撓みながら後枠に押し込まれて前枠の薄肉部の撓みが復元するとともに鉤部がワッシャの端部に引っかかることによってワッシャが前枠と後枠の間に弾発的に介挿されることを特徴とするフィルターの回転枠構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデジタルカメラ、デジタルビデオカメラなどのレンズ鏡筒の前面に装着されるフィルターで、フィルターレンズが回転できるようになっているフィルターの回転枠構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラなどにおいては、レンズ前面に汚れやきずが生じるのを防止したり、光透過率を低減するなどの目的で、レンズ鏡筒の前面にフィルターが装着される。このうち、水面やガラス面などからの反射により発生する偏光を抑え、被写体本来の色彩を映し出すための偏光フィルターや、イルミネーションなどの強い光の線をつくるクロスフィルターのように、フィルターレンズが回転できるようになっているフィルターがある。
【0003】
これらのフィルターの構造は、フィルターレンズを嵌着した前枠とカメラのレンズ鏡筒の前面に装着される後枠からなるフィルター枠をそなえ、前枠と後枠の間にリン青銅などのバネ性を有するワッシャを介挿して後枠に対し前枠を回転可能に保持、一体化することによりフィルターレンズが回転できるようになっている。
【0004】
このように前枠と後枠の間にリン青銅のようなワッシャを介挿して後枠に対し前枠を回転可能に保持、一体化したフィルターにおいては、ワッシャの変形により前枠と後枠とが分離してしまうことがあるため、前枠が後枠から抜け落ちるのを防止するためにワッシャの形状を複数の直線と円弧の組み合わせ形状または二種類以上の異なる曲率半径を持った複数の円弧の組み合わせ形状のような複雑な形状にするなどの提案がなされている。
【0005】
一方、後枠に対する前枠の回転を円滑にするために前枠と後枠の摺動面にグリースを注入しておくことも行われているが、気温が高い地域ではグリースの粘度が低くなり、フィルターの外側に染み出してフィルターレンズ面に付着したりカメラや手を汚すなどの問題があり、気温が低い地域ではグリースの粘度が高くなり、前枠の回転トルクが上がって扱い難くなるという問題がある。さらに、後枠からワッシャが外れ易いため、ワッシャを嵌めながら組み立てる際に習熟度を要するという難点もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】公開実用新案昭55−167218号明細書
【特許文献2】実開平4−79337号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、フィルターレンズを嵌着した前枠とカメラのレンズ鏡筒の前面に装着される後枠からなるフィルター枠をそなえ、前枠と後枠の間にワッシャを介挿して後枠に対し前枠を回転可能に保持することによりフィルターレンズが回転できるようになっているフィルターの回転枠構造における上記の問題点を解消するためになされたものであり、その目的は、複雑な形状のワッシャを使用することなしに前枠と後枠とが分離するという問題点を解消することができ、グリースを注入することなしに後枠に対する前枠の円滑な回転を可能とするフィルターの回転枠構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するための請求項1によるフィルターの回転枠構造は、
フィルターレンズを嵌着した前枠とカメラのレンズ鏡筒の前面に装着される後枠からなるフィルター枠をそなえ、前枠と後枠の間にワッシャを介挿してグリースを注入することなしに後枠に対し前枠を回転可能に保持することによりフィルターレンズが回転できるようになっているフィルターの回転枠構造において、後枠の内周部に形成した溝部に自己潤滑性を有する樹脂から成形したワッシャを装入して、前枠をワッシャに摺動させながら後枠に押し込むことによりワッシャが前枠と後枠の間に弾発的に介挿されるようにしたもので、前記後枠に押し込む前枠の押し込み側の先端部を前枠の内周側に撓み得る薄肉部に成形し、該薄肉部の先端に鉤部を設け、該鉤部を後枠の内周部に形成した溝部に装入したワッシャ
の内周面に摺動させながら前枠の先端部の薄肉部を後枠に押し込むことにより、前枠の薄肉部が内周側に撓みながら後枠に押し込まれて前枠の薄肉部の撓みが復元するとともに鉤部がワッシャの端部に引っかかることによってワッシャが前枠と後枠の間に弾発的に介挿されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば以下の効果が達成される。
(1)前枠をワッシャに摺動させながら後枠に押し込むことによりワッシャが前枠と後枠の間に弾発的に装着され、前枠と後枠とを一体化させることができるから組立時の習熟度が不要となる。
(2)グリースを使用しないから、グリースの染み出しに起因する問題が解消され、前枠の回転トルクの変動を生じることもない。また、グリースの注入工程が不要となるから組立工数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明によるフィルターの回転枠構造を適用したフィルターの一実施形態の組立前の状態を示す要部断面図である。
【
図2】
図1の組立時の状態を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明はデジタルカメラ、デジタルビデオカメラなどのレンズ鏡筒の前面に装着されるフィルターで、フィルターレンズが回転できるようになっているフィルターの回転枠構造を提供するもので、円板状のフィルターレンズが取り付けられる丸枠フィルターの回転枠構造に好適に使用される。
【0014】
本発明によるフィルターの回転枠構造は、フィルターレンズを嵌着した前枠とカメラのレンズ鏡筒の前面に装着される後枠からなるフィルター枠をそなえ、前枠と後枠の間にワッシャを介挿して後枠に対し前枠を回転可能に保持することによりフィルターレンズが回転できるようになっているフィルターの回転枠構造において、後枠の内周部に形成した溝部に自己潤滑性を有する樹脂から成形したワッシャを装入して、前枠をワッシャに摺動させながら後枠に押し込むことによりワッシャが前枠と後枠の間に弾発的に介挿されるようにしたことを構成上の特徴とする。
【0015】
フィルター枠(前枠および後枠からなる)はアルミニウム合金などの金属材料や繊維強化プラスチックなどからなる高分子材料を成形加工して製作される。前枠と後枠の間に介挿されるワッシャは、自己潤滑性(摺動特性)を有する樹脂から成形される。さらに低摩擦性、低摩耗性をそなえていることが望ましい。このような樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE、フッ素樹脂)、ポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA)が適用され、ポリオレフィン系樹脂、フェノール樹脂やポリエステルなどの熱硬化性樹脂も適用することができる。
【0016】
以下、本発明によるフィルターの回転枠構造の構成を実現するための実施形態について図面(図
1〜3)に基づいて説明する。
【0017】
実施例1
図1〜3は、本発明によるフィルターの回転枠構造を適用したフィルター1の一実施形態の組立過程を示す要部断面図である。
図1は組立前の状態を示す要部断面図で、2は前枠であり、前枠2の内周部にはリン青銅やばね用鋼材を弾性樹脂で被覆してなる押えリング10を介してフィルターレンズ4が嵌着される。後枠3に押し込まれる前枠2の押し込み側の先端部を
図2に示すように前枠2の内周側に撓み得る薄肉部6に成形し、薄肉部6の先端には鉤部7を設ける。後枠3の内周部に形成した溝部8には環状のワッシャ(PTFEから成形)5を装入する。11は後枠3をカメラのレンズ鏡筒に装着するための雄ねじ部、12は前枠2に関連部品を装着するための雌ねじ部である。
【0018】
図2は組立時の状態を示す要部断面図、
図3は組立後の状態を示す要部断面図で、それぞれ、前枠2を後枠3に対して矢印Aの方向に押し込む途中の状態、押し込みが完了した状態を示す。前枠2を後枠3に対して矢印Aの方向に押し込むと、前枠2の先端部の薄肉部6が内周側に矢印B方向に撓むとともに、先端に設けた鉤部7がワッシャ5の内周面を摺動しながら後枠3に押し込まれ、
図3に示すように、前枠2の薄肉部6の撓みが復元するとともに鉤部7がワッシャ5の端部に引っかかることによってワッシャ5が前枠2と後枠3の間に弾発的に介挿され、フィルター1が完成する。
【符号の説明】
【0021】
1 本発明のフィルターの回転枠構造を適用したフィルター
2 前枠
3 後枠
4 フィルターレンズ
5 ワッシャ
6 薄肉部
7 薄肉部の先端に設けた鉤部
8 後枠3の内周部に形成した溝部
10 押えリング
11 雄ねじ部
12 雌ねじ部