(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、描線の幅を変化させる際、すなわち太い描線を描く場合には、筆記ボールなどから構成される筆記先端から十分なインク流出量の確保が必要である。
そして、特許文献1に開示された構造における筆記先端にインクを供給する中芯においては、毛細管現象によって、十分な量のインクを筆記先端に供給する必要が生じる。
ここで、ボール径が外径0.55mm以下の極細ボールペンにおいては、ボール径と中芯の外径とを一致させて形成することが一般的である。一方、極細ボールペンは、元々ボールペンチップからのインク流出量が少ないため、多くのインク流出量が必要な太い描線で筆記する場合は、中芯からのインクが追従せずに筆跡が掠れてしまうおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、ボール径が外径0.55mm以下の極細ボールペンにおいても、異なる太さが筆記可能なボールペンを使用する際でも、インクの掠れが生じないボールペンを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、以下のような構成を備える。
(第1の発明)
本発明のうち第1の発明に係るボールペン1は、外径0.55mm以下の筆記ボール22と、金属製の円柱材の一端の外周を先細に切削して形成されたテーパー部44を有し、前記筆記ボール22を抱持するホルダー45と、前記テーパー部44の内周を切削して形成され、前記筆記ボール22が挿入されるボールハウス50と、前記ホルダー45の他端から前記ボールハウス50の近傍まで該ホルダー45内を穿孔して形成したバック孔53と、前記ボールハウス50と前記バック孔53との間を貫通して形成した断面円形の孔であるインク孔54と、前記ボールハウス50と前記バック孔53とを連絡するように前記インク孔54の周囲複数箇所に等配されたチャンネル溝55と、前記ボールハウス50の底面であって前記筆記ボール22を前記バック孔53方向へ押圧した際に該筆記ボール22の曲面が転写されたボール受座52と、前記テーパー部44の先端部分を内側にカシメ加工して形成したカシメ部46とを備えたボールペンチップ40と、多孔質の材質で形成され、その内部にインクを含有する円柱形状の中芯30とを備えたボールペン1において、前記中芯30は、側面視において、先端に向かって凸となるように斜めに2方向から削ぎ落としたたがね型に形成されており、該中芯30の先端が前記インク孔54に達するまで圧入されていることを特徴とする。
【0008】
(第2の発明)
本発明のうち第2の発明に係るボールペン1は、前記した第1の発明の特徴に加え、前記バック孔53は、前記ボールペンチップ40の先端にかけて縮径されており、かつ、前記中芯30の外径が該バック孔53の先端部の径よりも大きいことを特徴とする。
【0009】
(第3の発明)
本発明のうち第3の発明に係るボールペン1は、前記した第1又は第2の発明の特徴に加え、前記カシメ部46の先端縁は、該カシメ部46の後端縁と前記筆記ボール22との接線Lよりも内側に位置するように形成されていることを特徴とする。
【0010】
(第4の発明)
本発明のうち第4の発明に係るボールペン1は、前記した第1、第2又は第3の発明の特徴に加え、前記カシメ部46は、その先端縁と後端縁との間が凸曲面46cとして形成されていることを特徴とする。
【0011】
(第5の発明)
本発明のうち第5の発明に係るボールペン1は、前記した第1、第2、第3又は第4の発明の特徴に加え、前記ボールペンチップ40の先端部より前記筆記ボール22が突出するボール出寸法は、該筆記ボール22が前記ボールハウス50の底面に当接した状態において、該筆記ボール22の外径の30%よりも大きいことを特徴とする。
【0012】
(第6の発明)
本発明のうち第6の発明に係るボールペン1は、前記した第1、第2、第3、第4又は第5の発明の特徴に加え、前記筆記ボール22の断面積をXとし、前記ボール受座52を先端方向から見た場合の投影面積をYとした場合に、Y/Xが15%以下であることを特徴とする。筆記ボール22の断面積Xは、ボール外径Pを直径とした円の面積(πP
2/4)を示す。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、以上のように構成されているので、以下の効果を奏する。
本発明に係るボールペンは、中芯の先端をたがね型に形成して、この中芯の先端がインク孔に達するまで圧入されている。
そのため、極細と称されるボールペンにおけるインク流出量が多くても中芯から十分なインクが供給可能なため、筆記描線の掠れを抑制するボールペンが提供できる。また、中芯の外径がバック孔の先端部分の径より大きくても、容易にボールペンチップ内に挿入することができる。さらに中芯を樹脂が含浸された繊維束で形成した場合、中芯の先端の外側には、樹脂で固められた箇所が削ぎ落とされずに残っているため、圧入時に中芯を折れにくくすることもでき、強度の高い中芯を備えたボールペンを提供することができる。
【0014】
また、本発明に係るボールペンは、カシメ部の先端縁がカシメ部の後端縁と筆記ボールとの接線よりも内側に位置するように形成されている。さらに、本発明に係るボールペンは、カシメ部の先端縁と後端縁との間が凸曲面として形成されている。
そのため、筆記時において、カシメ部が紙面と接触して紙の繊維や紙の表面物質などを削ることを極力抑えることができるので、滑らかな筆記感を与えるボールペンを提供可能となる。
【0015】
さらに、本発明に係るボールペンは、ボール出寸法が筆記ボールをボールハウスの底面に当接させた状態において、筆記ボールの外径の30%よりも大きくなるように形成されている。
そのため、カシメ部が紙面と接触する距離を長くすることができるとともに、筆記ボールと紙面との接触面積を大きくすることができる結果、滑らかな筆記感を与えるボールペンを提供可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本実施の形態に係る筆記具として、軸筒10の先端に筆記先端20を備えたボールペン1を例に説明する。なお、本発明において、ボールペン1及びその構成部品についての「前方」及び「先端」とは筆記先端20を備えた方向を示し、「後方」及び「後端」とはその反対側の方向を示すものとする。
【0018】
(全体構成)
本実施の形態に係るボールペン1はその外部構造として、
図1(A)に示すように、先軸11及び後軸12を備えた軸筒10と、筆記先端20としての筆記ボール22及び先軸11の前方側に固定されたアウター24とを備えている。また、先軸11には、未使用時における筆記先端20のインクの乾燥などを防ぐべく、キャップ16が取り付けられている。
一方、本実施の形態に係るボールペン1はその内部構造として、
図1(A)に示すように、図示しないインクが充填される筒形状のインクタンク13と、先軸11の内部に圧入されるコレクター14と、コレクター14の前方に装着される継手15と、筆記ボール22を抱持するボールペンチップ40と、ボールペンチップ40内に挿入されている中芯30とを備えている。
【0019】
(軸筒10)
図1(A)に示すように、軸筒10は、後端が閉鎖された筒形状のインクタンク13と、先端が先細り形状を呈し、インクタンク13の先端がその後端の内周に嵌入している筒形状の先軸11と、後端を閉鎖させ、その先端の内周には先軸11の後端が嵌入している筒形状の後軸12とから構成されている。
【0020】
(コレクター14)
コレクター14は、ABS樹脂により形成されており、先軸11の内部に圧入されている。
また、コレクター14は、
図1(A)に示すように、複数枚の板状部材が軸方向へ平行に配置されており、この板状部材間に図示しないインクが保留可能となっている。さらに、そのコレクター14の軸心には、繊維束体により形成されたコレクター芯14aが貫装されている。
【0021】
(中芯30)
コレクター芯14aの先端には、多孔質の材質、具体的には、合成樹脂を含浸させたポリエステルファイバーなどの繊維束で形成され、その内部にインクを含有する円柱形状の中芯30が挿入されている。また、本実施の形態に係る中芯30の外径は、0.8mmであり、ボール径の1.5倍以上の外径とすることが好ましい。
【0022】
ここで、中芯30は、
図2(C)に示すように、その先端が削ぎ落とされており、その形状は、側面視において先端に向かって凸となるように斜めに2方向から削ぎ落としたたがね型に形成されている。なお、中芯30の後端も先端と同形状に形成されており、いずれの向きでも使用可能となっている。
【0023】
また、
図2(A)、(B)に示すように、中芯30の先端には、略半月状に切断された切断面31が形成されている。この切断面31の開き角(先端角θ)は、
図2(C)に示すように、30°〜110°に形成することが好ましく、45°〜100°に形成することがより好適である。
そして、両切断面31の間の両切断面31が合一する部分は、中芯30の先端縁32となっている。一方、この切断面31の弧状部分33に沿っては、中芯30の樹脂で固められた部分としての外皮が削ぎ落とされずに残っている。この外皮は、切断面31と比較して、樹脂の割合が高く、固いものとなっている。
【0024】
また、
図1(B)は、ボールペン1の先端部分の拡大断面図であり、このとき中芯30は、先端縁32がインク孔54に達するまで圧入されている。なお、中芯30は、コレクター芯14aを所定位置まで押し込むことによって、それに連動してボールペンチップ40のインク孔54に達するまで圧入されることとなっている。
【0025】
(ボールペンチップ40)
以下、
図3を用いて、本実施の形態に係るボールペンチップ40について説明する。
ボールペンチップ40は、円筒状の胴部42と、この胴部42の先端からボールペンチップ40の先端にかけて縮径するように形成されたテーパー部44とを有するホルダー45と、ホルダー45の内部に抱持される外径0.55mmの筆記ボール22から構成されている。
【0026】
ここで、本実施の形態に係るボールペンチップ40は、以下の各工程によって形成される。なお、本実施の形態に係るボールペンチップ40には、フェライト系ステンレス鋼が用いられている。
【0027】
(i)まず、前方から、筆記ボール22が収容されるボールハウス50が切削加工される。このとき形成されるボールハウス底面51には、最終的にボール受座52が形成される(
図3(B)及び(C)参照)。
【0028】
(ii)続いて、ボールハウス底面51の後方からは、ボールペン1内のインクを前方へと導く流路となるバック孔53が切削加工される(
図3(A)参照)。
このとき、本実施の形態に係るバック孔53は、ボールペンチップ40の先端にかけて縮径されており、その先端部分の径は0.75mmとなっている。したがって、中芯30の外径(0.8mm)がバック孔53の先端部分の径(0.75mm)よりも大きくなっている。
【0029】
(iii)そして、これらのボールハウス50とバック孔53とを切削加工等にて貫通させ、インク孔54が形成される(
図3(B)及び(C)参照)。このインク孔54は、バック孔53に至ったインクをさらに先端へ導く流路となる。なお、インク孔54の径は、ボールハウス50の径よりも小さく、またバック孔53の径よりも小さい。
【0030】
(iv)次に、インク孔54の周囲の複数箇所をチャンネル切削ツールを用いて、チャンネル溝55が放射状にバック孔53まで貫通するように切削加工される(
図3(C)参照)。このチャンネル溝55は、インク孔54に至ったインクをボールハウス50へ導く流路となる。
【0031】
(v)そして、筆記ボール22は、ボールハウス50へ挿入された後、後方へ叩かれて押圧される。この工程によって、ボールハウス底面51に筆記ボール22の曲面が転写される。このボールハウス底面51に筆記ボール22の曲面が転写されたものがボール受座52となる。
ボール受座52は、平面視では、
図3(C)に示すように、インク孔54を取り囲むように、チャンネル溝55により等分された状態となっている。なお、チャンネル溝55はインクの粘度等に応じて幅や数を変えてもよい。
このとき、筆記ボール22の断面積をXとし、
図3(C)に示す斜線部分の面積であるボール受座52の投影面積をYとした場合に、本実施の形態においては、Y/Xが15%以下となるように形成されている。
【0032】
(vi)最後に、ボールペンチップ40の先端部分を内方にかしめることで、筆記ボール22の脱落を防ぐカシメ部46が形成される。
【0033】
(カシメ部46)
カシメ部46は、
図4に示すように、カシメ部46の先端縁に形成されたカシメ先端部46aとこのカシメ先端部46aの後方かつ、カシメ部46の後端縁に形成されたカシメ後端部46bとを備えている。このとき、カシメ先端部46aは、カシメ後端部46bと筆記ボール22との接線Lよりも内側に位置するように形成されている。
【0034】
また、本実施の形態に係るカシメ部46は、カシメ先端部46aがカシメ後端部46bと筆記ボール22との接線Lよりも内側に位置するように形成されていれば、
図5に示すような様々なバリエーションのものを用いることができる。
具体的には、
図5(A)に示すものは、カシメ先端部46aとカシメ後端部46bとの間が凸曲面46cとして形成されている。また、
図5(B)に示すものは、カシメ先端部46aとカシメ後端部46bとを結んだ延長線がなす角度αが鈍角となっている。また、
図5(C)に示すものは、カシメ先端部46aとカシメ後端部46bとの間にカシメ中央部46dを設け、カシメ先端部46aとカシメ中央部46d及びカシメ中央部46dとカシメ後端部46bの2段傾斜となるように形成されている。
【0035】
さらに、本実施の形態に係るカシメ部46は、
図6に示すように、その内側部分にカシメ部46と筆記ボール22との接触面となるシール面47が形成されている。
【0036】
(インク)
本実施の形態に係るボールペン1に搭載するインクは、変性ポリビニルアルコール(以下、変性PVAと称す)と、ホウ酸化合物とを少なくとも含むことが好適であり、残部として溶媒である水(水道水、精製水、蒸留水、イオン交換水、純水等)の他、さらに、着色剤、筆記具用に通常用いられる各成分、たとえば、水溶性有機溶剤、上記PVA以外の粘度調整剤、分散剤、潤滑剤、防錆剤、防腐剤もしくは防菌剤、pH調整剤などをボールペン1としての性能を損なわない範囲で、適宜含有することが望ましい。
ここで挙げられている変性PVAとしては、PVAの水酸基、酢酸基をカルボキシル基、スルホン酸基、アセチル基、エチレンオキサイド基などの変性基に変性したもの、または、PVAの側鎖に上記の変性基を有するものが挙げられる。また、部分けん化PVAにアクリル酸とメタクリル酸メチルを共重合したPVA・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体も本発明の変性PVAとして使用することができる。
ここで記載されているホウ酸化合物としては、ホウ酸、ホウ酸のアルカリ金属塩(リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム)、ホウ酸のアンモニウム塩などが挙げられ、たとえば、ホウ酸(H
3BO
3)、三酸化二ホウ酸(B
2O
3)、メタホウ酸ナトリウム(NaBO
2)、二ホウ酸ナトリウム(Na
4B
2O
5)、四ホウ酸ナトリウム(Na
2B
4O
7),五ホウ酸ナトリウム(NaB
5O
8)、六ホウ酸ナトリウム(Na
2B
6O
10)、八ホウ酸ナトリウム(NaB
8O
13)、ホウ酸アンモニウム〔(NH
4)
2O・5B
2O
3〕、並びに、これらの水和物などが挙げられる。
インク粘度は、温度25℃において、E型回転粘度計(VISCOMETER RE215、東機械産業社製、コーン:1°34’*R24)による回転速度100rpm(383s−
1)の条件下で、好ましくは、2〜15mPa・s、より好ましくは、2〜10mPa・s、特に好ましくは、3〜5mPa・sである。このインク粘度が15mPa・sを超えると、当該ボールペン1において追従性が悪くなることがあり、一方、2mPa・s未満では、描線が滲むことがある。
【0037】
(実施例)
以下、実施例について説明する。
評価に用いるボールペンは、各実施例又は比較例の寸法に準拠したボール径0.5mmのボールペンチップを加工し、ボールペンを形成した。
実施例に用いるインクは、以下の処方の通りとした。
粘度調整剤 変性PVA:1.0重量%
粘度調整剤 ホウ酸アンモニウム:0.4重量%
色材 カーボンブラック:8.0重量%
分散剤:6.0重量%
潤滑剤 リン酸エステル:0.2重量%
防錆剤 ベンゾトリアゾール:0.3重量%
防腐剤:0.3重量%
pH調整剤 トリエタノールアミン:1.6重量%
溶剤 プロピレングリコール:12.0重量%
イオン交換水:残部
インク粘度は、温度25℃において、E型回転粘度計(VISCOMETER RE215、東機械産業社製、コーン:1°34’*R24)による回転速度100rpm(383s−
1)の条件下で、製造直後の粘度で4.0mPa・sであった。
【0038】
<評価方法1>
各実施例及び比較例において、筆記角度を約55°とした直径約30mm50周の連続丸書き筆記をJIS P3201に準拠した筆記用紙に発明者による手書きで行い、官能による評価とした。評価基準は以下の通りである。
A:紙面との引っかかりがなく滑らかな筆記感を得ることができた。
B:1〜2回ほど引っかかりを感じることがあった。
C:紙面と引っかかり、滑らかな筆記感を得ることができなかった。
【0040】
<評価方法2>
各実施例及び比較例において、筆記角度を約70°とした直径約30mm50周の連続丸書き筆記をJIS P3201に準拠した筆記用紙に発明者による手書きで行い、官能による評価とした。評価基準は以下の通りである。
A:滑らかな筆記感を得ることができた。
B:1〜2周ほどボールの回転が滑らかに感じられないことがあった。
C:滑らかな筆記感を得ることができなかった。
【0042】
その結果、表1に示すように、ボール出割合が筆記ボールの外径の28%、29%である比較例1及び比較例2においては、十分に滑らかな筆記感を得ることができなかった。
一方、表2に示すように、筆記ボールの断面積をXとし、ボール受座の投影面積をYとした場合に、Y/Xが15%を超えた比較例3、4、5及び6においては、十分に滑らかな筆記感を得ることができなかった。
上記の測定の結果、本発明の各実施例に係るボールペンは、(1)ボール出割合が筆記ボールの外径の30%以上、(2)筆記ボールの断面積をXとし、ボール受座の投影面積をYとした場合に、Y/Xが15%以下、の数値となるように形成することが望ましいものと結論される。
【0043】
(本実施の形態に係るボールペン1における特徴点)
以下、本実施の形態に係るボールペン1における特徴点について説明する。
【0044】
(i)本実施の形態に係るボールペン1は、中芯30の先端をたがね型に形成して、この中芯30の先端縁32がインク孔54に達するまで圧入されていることを特徴としている。
したがって、中芯30の外径がバック孔53の先端部分の径より大きくても、圧入時に先端縁32の両端が適度に潰れるため、容易にボールペンチップ40内に挿入することができる。また、中芯30の先端の外側には、樹脂で固められた外皮が削ぎ落とされずに残っているため、適度な強度が残り圧入しやすくなる。
そのため、外径0.55mmの筆記ボール22を用いたボールペン1においても、中芯30からのインク流量を安定させることができる結果、筆圧により描線の幅を自在に変化させて、「トメ」「ハネ」「ハライ」といった特徴のある描線を描くことができる。
【0045】
(ii)本実施の形態に係るボールペン1は、ボールペンチップ40にフェライト系ステンレス鋼を用いて形成したことを特徴としている。
フェライト系ステンレス鋼は同系統の鋼種よりも靭性及び成形性に優れるといった特徴を有するため、加工時におけるボールペンチップ40の寸法を安定させることができる。
【0046】
(iii)本実施の形態に係るボールペン1は、カシメ部46が備えるカシメ先端部46aがカシメ後端部46bと筆記ボール22との接線Lよりも内側に位置するように形成されたことを特徴としている。
そのため、筆記時において、カシメ部46が紙面と接触して紙の繊維や紙の表面物質などを削ることを極力抑えることができるので、滑らかな筆記感を与えるボールペン1を提供可能となる。
【0047】
(iv)本実施の形態に係るボールペン1は、カシメ部46の内側部分にカシメ部46と筆記ボール22との接触面となるシール面47が形成されたことを特徴としている。
そのため、乾きやすい水性インクを用いたボールペン1においても、筆記先端20のシール性を安定させることができるため、インクの直流や空気巻き込み、カスレや耐摩耗性の問題を解決できる結果、滑らかな筆記感を与えるボールペン1を提供可能となる。
【0048】
(v)本実施の形態に係るボールペン1は、
図6に示すように、ボール出寸法Dが筆記ボール22をボールハウス底面51に当接させた状態において、筆記ボール22の外径Pの30%よりも大きいことを特徴としている。
そのため、カシメ先端部46aが紙面と接触する距離を長くすることができるとともに、筆記ボール22と紙面との接触面積を大きくすることができる結果、滑らかな筆記感を与えるボールペン1を提供可能となる。