特許第6685474号(P6685474)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6685474
(24)【登録日】2020年4月2日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】軸流ファン及びエアコン
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/38 20060101AFI20200413BHJP
   F04D 29/66 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
   F04D29/38 D
   F04D29/66 M
【請求項の数】20
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-516970(P2019-516970)
(86)(22)【出願日】2018年4月27日
(65)【公表番号】特表2020-509277(P2020-509277A)
(43)【公表日】2020年3月26日
(86)【国際出願番号】CN2018084878
(87)【国際公開番号】WO2019153536
(87)【国際公開日】20190815
【審査請求日】2019年3月28日
(31)【優先権主張番号】201810138856.3
(32)【優先日】2018年2月7日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517344192
【氏名又は名称】広東美的制冷設備有限公司
【氏名又は名称原語表記】GD MIDEA AIR−CONDITIONING EQUIPMENT CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】512237419
【氏名又は名称】美的集団股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】MIDEA GROUP CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】王波
(72)【発明者】
【氏名】蔡序杰
(72)【発明者】
【氏名】周何杰
【審査官】 松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/008513(WO,A1)
【文献】 特開2003−161296(JP,A)
【文献】 特開2008−157117(JP,A)
【文献】 中国実用新案第205639069(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/38
F04D 29/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸流ファンであって、
ハブと、
複数の羽根と、
を備え、
複数の前記羽根は、間隔を空けて前記ハブに設置され、前縁と後縁、及び前記前縁の外端と前記後縁の外端とを接続する先端縁を有し、前記羽根の先端位置には前記羽根の圧力面から前記羽根の吸力面へ傾斜している切面が設けられ、且つ前記切面は前記前縁から前記後縁に延びており、前記先端縁に形成されている外接辺、及び前記圧力面に形成されている内接辺を有し、前記内接辺は内外方向に凹凸状で設置されている、ことを特徴とする軸流ファン。
【請求項2】
前記内接辺は、外へ凸設された凸部を有し、前記内接辺の各凸部のトップを順次接続する第1接続線から前記外接辺までの間隔をDとすると、D∈[1mm、10mm]であり、隣接するいずれか2つの前記凸部の間に内へ凹設された凹部が形成されており、前記内接辺の各凹部の底端を順次接続する第2接続線から前記第1接続線までの間隔をDとすると、D∈[2mm、15mm]である、ことを特徴とする請求項1に記載の軸流ファン。
【請求項3】
は∈[5mm、10mm]である、ことを特徴とする請求項2に記載の軸流ファン。
【請求項4】
前記第1接続線から前記外接辺までの間隔が、前から後ろへ次第に増大するように設置されている、ことを特徴とする請求項2に記載の軸流ファン。
【請求項5】
前記第2接続線から前記第1接続線までの間隔が、前から後ろへ次第に増大するように設置されている、ことを特徴とする請求項3に記載の軸流ファン。
【請求項6】
いずれかの前記凸部と該凸部の前側に隣接する凸部との間隔をSとし、且つ該凸部と該凸部の後側に隣接する凸部との間隔をSとすると、S∈[1.2S、1.5S]である、ことを特徴とする請求項4に記載の軸流ファン。
【請求項7】
前記切面と前記圧力面の延伸方向とがなす面取り角度をαとすると、α∈[10°、20°]である、ことを特徴とする請求項1に記載の軸流ファン。
【請求項8】
前記αは、前から後ろへ次第に増大するように設置されている、ことを特徴とする請求項7に記載の軸流ファン。
【請求項9】
前記切面には、前記前縁から前記後縁に延びている溝幅0.5mm〜3mmの導流溝が設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の軸流ファン。
【請求項10】
前記内接辺が鋸歯状又は波状で設置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の軸流ファン。
【請求項11】
エアコンであって、
請求項1に記載の軸流ファンを備える、ことを特徴とするエアコン。
【請求項12】
前記内接辺は、外へ凸設された凸部を有し、前記内接辺の各凸部のトップを順次接続する第1接続線から前記外接辺までの間隔をDとすると、D∈[1mm、10mm]であり、隣接するいずれか2つの前記凸部の間に内へ凹設された凹部が形成されており、前記内接辺の各凹部の底端を順次接続する第2接続線から前記第1接続線までの間隔をDとすると、D∈[2mm、15mm]である、ことを特徴とする請求項11に記載のエアコン。
【請求項13】
は∈[5mm、10mm]である、ことを特徴とする請求項12に記載のエアコン。
【請求項14】
前記第1接続線から前記外接辺までの間隔が、前から後ろへ次第に増大するように設置されている、ことを特徴とする請求項12に記載のエアコン。
【請求項15】
前記第2接続線から前記第1接続線までの間隔が、前から後ろへ次第に増大するように設置されている、ことを特徴とする請求項12に記載のエアコン。
【請求項16】
いずれかの前記凸部と該凸部の前側に隣接する凸部との間隔をSとし、且つ該凸部と該凸部の後側に隣接する凸部との間隔をSとすると、S∈[1.2S、1.5S]である、ことを特徴とする請求項15に記載のエアコン。
【請求項17】
前記切面と前記圧力面の延伸方向とがなす面取り角度をαとすると、α∈[10°、20°]である、ことを特徴とする請求項11に記載のエアコン。
【請求項18】
前記αは、前から後ろへ次第に増大するように設置されている、ことを特徴とする請求項17に記載のエアコン。
【請求項19】
前記切面には、前記前縁から前記後縁に延びている溝幅0.5mm〜3mmの導流溝が設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載のエアコン。
【請求項20】
前記内接辺は、鋸歯状又は波状で設置されている、ことを特徴とする請求項1に記載のエアコン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアコンの技術分野に関し、特に、軸流ファン及びエアコンに関する。
【背景技術】
【0002】
軸流ファンは、一般的に、家庭用器具又はエアコンにおいて換気装置として使用されている。軸流ファンは、回転するとき、その周方向の空気を回転させて気流を形成し、かつ該気流が軸流ファンの軸方向に沿って吹き出されるように駆動する。軸流ファンの回転速度が増加することに伴って、該軸流ファンにより発生したノイズも相応的に増大する。軸流ファンの羽根が回転する過程において、その羽根の先端位置の回転速度が最も速く、羽根の圧力面が比較的滑らかであり、それにより、該羽根の先端において該羽根の吸力面から圧力面までの漏れ渦を発生しやすく、比較的大きな渦ノイズを発生させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の主な目的は、前記軸流ファンの羽根に沿って羽根の先端位置で生じた漏れ渦を減少させることで、渦を減少させてノイズを低減させる軸流ファンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成させるために、本発明は、軸流ファン及び前記軸流ファンを備えるエアコンを提供し、前記軸流ファンはハブ及び複数の羽根を含み、複数の前記羽根は間隔を空けて前記ハブに設けられ、前記羽根は前から後ろへ設置された前縁と後縁、及び前記前縁の外端と前記後縁の外端とを接続する先端縁を有し、前記先端縁には前記羽根の圧力面から前記羽根の吸力面へ傾斜している切面が設けられ、且つ前記切面は前記前縁から前記後縁に延びており、内外両側に位置する内接辺と外接辺とを有し、前記内接辺は内外方向に凹凸状で設置されている。
【0005】
好ましくは、前記内接辺は、外へ凸設された凸部を有し、前記内接辺の各凸部のトップを順次接続する第1接続線から前記外接辺までの間隔をDとすると、D∈[1mm、10mm]であり、隣接するいずれか2つの前記凸部の間に内へ凹設された凹部が形成されており、前記内接辺の各凹部の底端を順次接続する第2接続線から前記第1接続線までの間隔をDとすると、D∈[2mm、15mm]である。
【0006】
好ましくは、前記第1接続線から前記外接辺までの間隔が、前から後ろへ次第に増大するように設置されている。
【0007】
好ましくは、前記第2接続線から前記第1接続線までの間隔が、前から後ろへ次第に増大するように設置されている。
【0008】
好ましくは、いずれかの前記凸部と該凸部の前側に隣接する凸部との間隔をSとし、且つ該凸部と該凸部の後側に隣接する凸部との間隔をSとすると、S∈[1.2S、1.5S]である。
【0009】
好ましくは、前記切面と前記圧力面の延伸方向とがなす面取り角度をαとすると、α∈[10°、20°]である。
【0010】
好ましくは、前記αは、前から後ろへ次第に増大するように設置されている。
【0011】
好ましくは、前記切面には、前記前縁から前記後縁に延びている溝幅0.5mm〜3mmの導流溝が設けられる。
【0012】
好ましくは、前記内接辺は、鋸歯状又は波状で設置されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の技術案によれば、前記羽根の先端縁に前記羽根の圧力面から前記羽根の吸力面へ傾斜している接辺が設置され、且つ前記切面が前記前縁から前記後縁に延びており、前記切面の内接辺が内外方向に凹凸状で設置されることによって、前記軸流ファンが作動するときに、羽根の先端位置を経た気流がまず切面へ流れて、該切面の傾斜方向に沿って流れ、該切面が狭いため、この部分の気流が該切面で漏れ渦を形成しないうちに、切面の内接辺で次第に分離している。該切面の内接辺が内外方向に凹凸状で設置されることで、前記先端縁のエッジが不規則的になり、このようにこの部分の気流が分離して互いにずれて、ずれて分離した小気流の周波数が異なるため、混合した気流が漏れ渦を形成させにくく、羽根の先端の漏れ渦によるノイズを低減させる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の実施例又は従来技術における技術案をより明瞭に説明するために、以下、実施例又は従来技術に使用される図面について簡単に説明するが、当然ながら、以下の説明における図面は本発明の実施例の一部に過ぎず、当業者であれば、創造的な努力を必要とせずに、これら図面に示される構造に基づいて他の図面を想到し得る。
図1図1は、本発明に係る軸流ファンの一実施例の構成模式図である。
図2図2は、図1における軸流ファンの正面図である。
図3図3は、図2におけるI−I線の断面図である。
図4図4は、図3におけるA箇所の拡大図である。
図5図5は、図2における軸流ファンの一部構成の模式図である。
図6図6は、図2における羽根の先端部の構成模式図である。
図7図7は、本発明に係る軸流ファンの風量−ノイズの比較図である。
【0015】
実施例にて図面を参照しながら、本発明の目的の実現、機能の特徴及び利点についてさらに説明する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術案を明瞭且つ完全に説明するが、当然ながら、説明される実施例は本発明の実施例の一部に過ぎず、すべての実施例ではない。本発明における実施例に基づいて、当業者であれば、創造的な努力を必要とせずに想到し得る他の実施例は、すべて本発明の保護範囲に属する。
【0017】
なお、本発明の実施例に記載の方向用語(たとえば、上、下、左、右、前、後など)は、特定の姿勢(図面参照)での各部材同士の相対位置関係、動きなどを説明するために過ぎず、該特定の姿勢が変わると、該方向用語もそれに応じて変わる。
【0018】
また、本発明の実施例において「第1」、「第2」などの用語が記載されている場合、該「第1」、「第2」などの用語は説明するために過ぎず、相対的重要性を示すか示唆するものとして理解できない、または示された技術的特徴の数を暗示的に示すものとして理解できない。このため、「第1」、「第2」により制限される特徴は該特徴の少なくとも1つを明示的または暗示的に含むことができる。また、当業者が実現できる限り、各実施例は互いに組み合わせてもよく、このような技術案の組み合わせも要求される保護範囲に属する。矛盾したり実現できなかったりする場合、このような技術案の組み合わせは存在せず、また本発明の範囲に属さない。
【0019】
本発明は、軸流ファン及びエアコンを提供し、前記軸流ファンは、前記軸流ファンの羽根に沿って羽根の先端位置で生じた漏れ渦を減少させることで、渦を減少させてノイズを低減させることができる。本実施例では、該軸流ファンは、窓型エアコン、スプリット式エアコン又は縦型エアコンの内部に取り付けられる。前記エアコンが窓型エアコンである場合、前記軸流ファンは該窓型エアコンの室外側に設置され、前記エアコンがスプリット式エアコンである場合、前記軸流ファンは該スプリット式エアコンの室外機に設置される。勿論、他の実施例では、該軸流ファンは扇風機、送風機の内部に設置されてもよい。
【0020】
図1及び図3に示すように、本発明に係る軸流ファンの一実施例において、前記軸流ファンは、ハブ100及び複数の羽根200を含む。前記複数の羽根200は、間隔を空けて前記ハブ100に設けられ、それぞれの羽根200は、前後方向に設置される前縁2aと後縁2b(図1における破線矢印に示すように、羽根が後から前へ回転する)、及び前縁2aの外端と後縁2bの外端を接続する先端縁2c(図3及び図4参照)を含み、先端縁2cには、羽根200の圧力面220から羽根200の吸力面210へ傾斜している切面230が設けられ、且つ切面230は前縁2aから後縁2bに延びており、切面230は、内外両側に位置する内接辺231と外接辺232を有し、内接辺231は内外方向に凹凸状で設置されている。
【0021】
具体的には、複数の羽根200は、間隔を空けてハブ100の外周に均等に設置され、ハブ100は、駆動モータに接続されて、前記駆動モータにより駆動されて回転して羽根200を回転させることにより、エアコン内側の気流を室外側へガイドして、室外側へ吹き出す。羽根200の数について、特に限定がなく、3個〜5個であってもよく、具体的には、本実施例では、羽根200の数は3個である。
【0022】
図3及び図4に示されるように、羽根200は、前記軸流ファンの吸気側に向かう吸力面210、及び前記軸流ファンの吹出側に向かう圧力面220を有し、切面230は前記圧力面220から羽根200の吸力面210へ傾斜して設置され、すなわち、羽根200の先端位置について面取り処理を行い、該面取り角度位置の上表面に切面230が形成されることに相当する。それによって、羽根200が回転するときに、羽根200の先端位置を経た気流がまず切面230へ流れて、該切面230の傾斜方向に沿って流れ、該切面230が狭いため、この部分の気流が該切面230で漏れ渦を形成しないうちに、切面230の内接辺231で次第に分離する。該切面230の内接辺231が内外方向に凹凸状で設置されることによって、先端縁2cのエッジが非規則的になり、この部分の気流がずれて分離して、ずれて分離した小気流の周波数が異なるため、混合した気流が漏れ渦を形成しにくく、羽根の先端の漏れ渦によるノイズを低減させる。
【0023】
なお、好適なノイズ低減効果を果たすために、該切面230と気流の摩擦によるノイズを低減させるように切面230を滑らかな切面230にする。切面230の内接辺231が凹凸状で設置される方式には、内接辺231が鋸歯状で設置される方式、又は内接辺231が波状で設置される方式がある。他の実施例では、前縁2aにも切面230が設置され、羽根200が前へ気流を遮断するときの抵抗力を減少させるとともに、ノイズを低減させる効果を果たすように、該切面230は前縁2aに沿って延びて設置される。以下の実施例のいずれにおいても、内接辺231が波状で設置される例について説明する。
【0024】
本発明による技術案では、羽根200の先端縁2cには羽根200の圧力面220から羽根200の吸力面210へ傾斜している切面230が設置され、且つ切面230が前縁2aから後縁2bに延びており、切面230の内接辺231が内外方向に凹凸状で設置されることによって、前記軸流ファンが作動するときに、羽根200の先端位置での気流がまず切面230へ流れて、該切面230の傾斜方向に沿って流れ、該切面230が狭いため、この部分の気流が該切面230で漏れ渦を形成しないうちに、切面230の内接辺231で次第に分離する。該切面230の内接辺231が内外方向に凹凸状で設置されることで、先端縁2cのエッジが不規則的になり、このようにこの部分の気流がずれて分離して、ずれて分離した小気流の周波数が異なるため、混合した気流が漏れ渦を形成しにくく、羽根の先端の漏れ渦によるノイズを低減させる。
【0025】
本発明の軸流ファンによる技術的効果を確認するために、羽根200の数及び作動条件が同じ条件で、通常の軸流ファン及び本発明の軸流ファンについて測定して、測定したデータを下記に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
上記表1及び表2に記載の測定データから図7に示される風量−ノイズの比較図を作成し、この図から分析した結果、通常の軸流ファンに比べて、本発明の軸流ファンは、回転速度が850rpmであるとき、ノイズが2.1dB低減され、回転速度が800rpmであるとき、ノイズが1.8dB低減され、回転速度が750rpmであるとき、ノイズが2.0dB低減され、回転速度が700rpmであるとき、ノイズが1.9dB低減され、回転速度が650rpmであるとき、ノイズが1.8dB低減される。
【0029】
以上から分かるように、同じ回転速度の条件において、通常の軸流ファンに比べて、本発明の軸流ファンは、風量が略同じであるが、ノイズが大幅に低減されて、約2dB低減されている。
【0030】
図3及び図4に示されるように、本実施例では、該切面230が羽根200の圧力面から羽根200の吸力面へ傾斜することで、切面230と羽根200の圧力面の延伸方向に面取り角度が形成され、該面取り角度の大きさが切面200の傾斜の度合いに直接影響する。該面取り角度が小さすぎると、切面230の傾斜の度合いが不十分で、気流が吸力面から切面を経て圧力面へ流れ、この過程において小さな漏れ渦を形成させ、その結果、ノイズ低減効果が不十分になり、該面取り角度が大きすぎると、切面230の傾斜の度合いが過量になり、羽根200による導流能力を低下させて、風量を減少させる。このため、好ましくは、切面230と前記圧力面の延伸方向とがなす面取り角度をαとすると、α∈[10°、20°]である。たとえば、αは12°、14°、16°又は18°などである。
【0031】
α∈[10°、20°]による本発明の軸流ファンへの技術的効果を確認するために、上記測定実験に基づいて、回転速度が750r/minの条件において、該軸流ファンについてさらに測定して、測定したデータを下記に示す。
【0032】
【表3-1】
【0033】
上記表1及び表3−1から分かるように、750r/minの回転速度で、本発明の軸流ファンのαが10°〜20°の範囲に維持されると、通常の軸流ファンに比べて、本発明の軸流ファンは、より大きな風量を形成できるとともに、ノイズを大幅に低減させ、約1.7dB〜2.1dB低下し、特に、α=15°の場合は、本発明の軸流ファンの風量が最大になり、ノイズが最も顕著に低減されて、2.1dBに達し、αが10°から5°に低下する場合、該軸流ファンの風量及びノイズは、通常の軸流ファンに略近く、ノイズ低減効果が不十分であり、αが20°から25°に低下する場合、ノイズが低下したが、風量も約50m/hまで減少される。上記分析から明らかなように、軸流ファンが大きな風量を取得するとともに、ノイズを大幅に低減させるために、αは所定の範囲(10°〜20°)に維持されるべきである。
【0034】
さらに、図3及び図4に示されるように、前記αは前から後ろへ次第に増大して設置され、たとえば、前記αは、前後方向において、10°から15°に次第に増大し、又は12°から約18°に次第に増大し、又は10°から20°に次第に増大する。このように設置されることにより、羽根200の先端縁2cの導流能力を改善して、羽根による先端漏れ渦を低減させ、風損を減少させてノイズ低減効果を果たす。
【0035】
勿論、前記αの設定はそれに制限されず、他の実施例では、前記αは、前後方向においても等しく、たとえば、12°、又は15°又は18°などである。
【0036】
図5及び図6に示されるように、本実施例では、切面230によるノイズ低減効果を高め、内接辺231には外へ凸設された凸部2311を有し、内接辺231の各凸部2311のトップを順次接続する第1接続線10から外接辺232までの間隔をDとすると、D∈[1mm、10mm]、たとえば2mm、4mm、6mm又は8mmなどである。ここで、なお、本実施例及び以下の実施例において、限定される技術的特徴の寸法の数値は、前記軸流ファンが水平に置かれたときに、該軸流ファンが水平面に投影して得た寸法である。また、第1接続線10は仮想線であり、凸部2311の形成位置を特定するだけで、実際に存在する構造ではない。
【0037】
具体的には、第1接続線10におけるいずれの位置も、外接辺232までの間隔Dが同じであってもよく、この間隔Dは、前から後ろへ次第に増大するように設置されている。前記Dは、ほぼ切面230の形成位置を特定し、前記Dが不十分であると、切面230は狭くなり、気流が吸力面210から切面230を経て圧力面220に流れ、この過程において小さな漏れ渦を形成させ、ノイズ低減効果が不十分になる可能性がある。このため、切面230に好適な形状を付与するように、D∈[1mm、10mm]として限定される。
【0038】
さらに、図5及び図6に示されるように、ここで、前記軸流ファンの羽根200が回転する過程において、気流が羽根200の先端縁2cに沿って前から後ろへ流れるため、好ましくは、第1接続線10から外接辺232までの間隔が前から後ろへ次第に増大するように設置され、即ち、前記Dは前から向へ次第に増大する。たとえば、前記Dは、前後方向において、1mmから6mmに次第に増大し、又は3mmから約8mmに次第に増大し、又は5mmから10mmに次第に増大する。このように設置されることによって、切面230の翼端を改善して、切面230の翼端での気流分離点を延ばして、翼端の気流によるノイズを低減させる。
【0039】
また、図5及び図6に示されるように、上記実施例に基づいて、隣接するいずれか2つの凸部2311の間に内へ凹設された凹部2312が形成されており、内接辺231の各凹部2312の底端を順次接続する第2接続線20から第1接続線10までの間隔をDとすると、D∈[2mm、15mm]、たとえば5mm、8mm、10mm又は12mmなどである。同様に、第2接続線20も、仮想線であり、凹部2312の形成位置を特定するだけで、実際に存在する構造ではない。
【0040】
具体的には、前記Dは、切面230の内接辺231の凹凸の大きさを決定する。D>0であれば、内接辺231は凹凸状になり、羽根の先端の漏れ渦を減少させて、ノイズ低減効果を果たすことができる。Dが大きすぎると、内接辺231の凹凸の度合いが過度になり、気流の乱れを発生させやすく、風損が大きくなり、風量の損失を招く。このため、接辺231の凹凸の度合いを適切にするために、D∈[2mm、15mm]に制御される。
【0041】
∈[2mm、15mm]による本発明の軸流ファンへの技術的効果を確認するために、上記測定実験に基づいて、D=6mmの場合、回転速度750r/minの条件において、該軸流ファンについてさらに測定して、測定したデータを下記に示す。
【0042】
【表3-2】
【0043】
上記表3−2から分かるように、750r/minの回転速度では、本発明の軸流ファンのDが2mm〜15mmの範囲に保持されると、通常の軸流ファンに比べて、本発明の軸流ファンは、風量がほぼ同じである場合、ノイズの値が大幅に低下して、約1.5dB〜2.1dB低下し、特にDが5mm〜10mmである場合、本発明の軸流ファンのノイズ低減効果が最も顕著であり、Dが15mmから20mmに増大する場合、該軸流ファンの風量が迅速に減少される。以上から明らかなように、Dの値が大きいほど好ましいのではなく、2mm〜15mmの範囲に維持されるのが好ましい。
【0044】
さらに、第2接続線20から第1接続線10までの間隔が前から後ろへ次第に増大するように設置され、即ち、前記Dが前から後ろへ次第に増大してもよい。このようにして、切面230の翼端を改善して、切面230の翼端での気流分離点を効果的に延ばし、翼端による気流ノイズを低減させることができる。たとえば、前記Dは、前後方向において、2mmから10mmに次第に増大し、又は2mmから約12mmに次第に増大し、又は4mmから15mmに次第に増大する。
【0045】
さらに、図5及び図6に示されるように、上記実施例に基づいて、いずれかの凸部2311と該凸部2311の前側に隣接する凸部2311との間隔をSとし、且つ該凸部2311と該凸部2311の後側に隣接する凸部2311との間隔をSとすると、内接辺231が前後方向において波動する程度を次第に増大して、切面230の翼端を改善し、翼端による気流ノイズを効果的に低減させ、最適なノイズ低減効果を果たすように、S∈[1.2S、1.5S]にする。
【0046】
具体的には、前記Sと前記Sにより内接辺231が前後方向において波動する程度が決定され、前記Sと前記Sとの差が大きすぎると、好ましくなく、Sは1.2S〜1.5Sの範囲に保持されることが好ましい。たとえば、Sが5mmである場合、Sは6mm〜7.5mmであり、又は、Sが7mmである場合、Sは8.4mm〜10.5mmであり、又は、Sが10mmである場合、Sは12mm〜15mmである。
【0047】
図6に示されるように、上記いずれかの実施例に基づいて、羽根200の先端位置で漏れ渦を形成しにくく、羽根200による導流効果を果たすことを確保するために、切面230には、前縁2aから後縁2bに延びている溝幅0.5mm〜3mmの導流溝(図示せず)が設けられる。
【0048】
ここで、前記導流溝は、溝幅0.5mm〜3mmのマイクロ導流溝である。気流が羽根200の先端位置を流れるとき、一部の気流は前記導流溝に沿って後ろへ流れ、このように、羽根200による導流能力を高める一方、羽根の先端で形成される漏れ渦を減少させて、ノイズ低減効果を果たす。
【0049】
本発明はさらにエアコンを提供し、前記エアコンは軸流ファンを含み、前記軸流ファンの具体的な構造について上記実施例を参照すればよく、本エアコンには上記すべての実施例の全部の技術案が適用されるため、上記実施例の技術案によるすべての有益な効果を有するため、詳細な説明を省略する。
【0050】
以上は本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明の特許の範囲を制限するものではなく、本発明の構想を逸脱することなく、本発明の明細書及び図面の内容に基づいて行われる同等構造変化、又は他の関連する技術分野への直接/間接的な適用も本発明の特許の保護範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0051】
100 ハブ
200 羽根
210 吸力面
220 圧力面
230 切面
231 内接辺
2311 凸部
2312 凹部
232 外接辺
2a 前縁
2b 後縁
2c 先端縁
10 第1接続線
20 第2接続線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7