特許第6685487号(P6685487)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社トキワの特許一覧

<>
  • 特許6685487-塗布体付き容器 図000002
  • 特許6685487-塗布体付き容器 図000003
  • 特許6685487-塗布体付き容器 図000004
  • 特許6685487-塗布体付き容器 図000005
  • 特許6685487-塗布体付き容器 図000006
  • 特許6685487-塗布体付き容器 図000007
  • 特許6685487-塗布体付き容器 図000008
  • 特許6685487-塗布体付き容器 図000009
  • 特許6685487-塗布体付き容器 図000010
  • 特許6685487-塗布体付き容器 図000011
  • 特許6685487-塗布体付き容器 図000012
  • 特許6685487-塗布体付き容器 図000013
  • 特許6685487-塗布体付き容器 図000014
  • 特許6685487-塗布体付き容器 図000015
  • 特許6685487-塗布体付き容器 図000016
  • 特許6685487-塗布体付き容器 図000017
  • 特許6685487-塗布体付き容器 図000018
  • 特許6685487-塗布体付き容器 図000019
  • 特許6685487-塗布体付き容器 図000020
  • 特許6685487-塗布体付き容器 図000021
  • 特許6685487-塗布体付き容器 図000022
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6685487
(24)【登録日】2020年4月3日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】塗布体付き容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/04 20060101AFI20200413BHJP
【FI】
   A45D34/04 515A
【請求項の数】6
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-86981(P2016-86981)
(22)【出願日】2016年4月25日
(65)【公開番号】特開2017-195936(P2017-195936A)
(43)【公開日】2017年11月2日
【審査請求日】2019年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】591147339
【氏名又は名称】株式会社トキワ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 匠
【審査官】 前原 義明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−210301(JP,A)
【文献】 米国特許第05328282(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状に構成されて筒壁に第1の係合部が設けられ、内容物を収容した容器本体と、
有頂筒状に構成されて筒壁に、前記第1の係合部に対して回転により係合可能な第2の係合部が設けられ、塗布体を備えた蓋体と、を具備し、
前記第1、第2の係合部同士が係合することにより前記容器本体に前記蓋体が着脱可能に装着され、前記蓋体の前記塗布体が前記容器本体内の前記内容物に進入する塗布体付き容器であって、
前記蓋体は、
有頂筒状に構成され使用者により回転操作される外栓と、
筒状に構成され前記外栓に対して軸線方向に移動不能且つ軸線周りに回転可能に係合すると共に、前記第2の係合部が設けられた内筒と、
前記塗布体を先端に有し軸線方向に移動可能とされ、被案内部を備えた移動体と、
前記移動体の前記被案内部を案内するための案内部と、
前記外栓又は前記内筒と前記移動体との間に介在し、前記案内部による前記被案内部の案内を可能とするように前記移動体を前記容器本体の底部側へ付勢する弾性体と、を備え、
前記内筒は、前記容器本体に対して前記外栓が取り外し方向へ回転操作され当該外栓が取り外し方向へ所定量回転すると、前記取り外し方向への前記外栓との共回りが可能となり、
前記塗布体は、前記容器本体に前記蓋体が前記第1、第2の係合部の係合により装着されている状態では、前記容器本体の前記底部から離間する後退限まで引き戻されている一方で、前記外栓が前記取り外し方向へ回転操作されると、前記移動体及び前記塗布体は、前記弾性体の付勢により前記被案内部が前記案内部に案内されながら前記底部側へ前進し、前記塗布体が前記容器本体の前記底部に当接した状態で、前記外栓と前記内筒が前記取り外し方向へ共回りし、
前記移動体は、前記外栓に対して軸線方向に移動可能且つ軸線周りに回転不能に係合し、
前記内筒は、前記案内部を有すると共に、前記容器本体に対して前記外栓が取り外し方向へ回転操作され当該外栓が取り外し方向へ所定量回転すると、前記外栓の一部に当接し前記取り外し方向への前記外栓との共回りを可能とするストッパを有し、
前記外栓が前記取り外し方向へ回転操作されると、前記移動体及び前記塗布体は、前記弾性体の付勢により前記被案内部が前記案内部に案内されながら前記底部側へ前進し、前記外栓の前記一部が前記内筒の前記ストッパに当接するまでに、前記塗布体が前記容器本体の前記底部に当接し、
前記外栓の前記一部が前記内筒の前記ストッパに当接する前の状態で、前記塗布体が前記容器本体の前記底部に当接し、前記外栓の前記一部が前記内筒の前記ストッパに当接するまで前記移動体は前進せずに前記塗布体はそのままの状態で回転することを特徴とする塗布体付き容器。
【請求項2】
有底筒状に構成されて筒壁に第1の係合部が設けられ、内容物を収容した容器本体と、
有頂筒状に構成されて筒壁に、前記第1の係合部に対して回転により係合可能な第2の係合部が設けられ、塗布体を備えた蓋体と、を具備し、
前記第1、第2の係合部同士が係合することにより前記容器本体に前記蓋体が着脱可能に装着され、前記蓋体の前記塗布体が前記容器本体内の前記内容物に進入する塗布体付き容器であって、
前記蓋体は、
有頂筒状に構成され使用者により回転操作される外栓と、
筒状に構成され前記外栓に対して軸線方向に移動不能且つ軸線周りに回転可能に係合すると共に、前記第2の係合部が設けられた内筒と、
前記塗布体を先端に有し軸線方向に移動可能とされ、被案内部を備えた移動体と、
前記移動体の前記被案内部を案内するための案内部と、
前記外栓又は前記内筒と前記移動体との間に介在し、前記案内部による前記被案内部の案内を可能とするように前記移動体を前記容器本体の底部側へ付勢する弾性体と、を備え、
前記内筒は、前記容器本体に対して前記外栓が取り外し方向へ回転操作され当該外栓が取り外し方向へ所定量回転すると、前記取り外し方向への前記外栓との共回りが可能となり、
前記塗布体は、前記容器本体に前記蓋体が前記第1、第2の係合部の係合により装着されている状態では、前記容器本体の前記底部から離間する後退限まで引き戻されている一方で、前記外栓が前記取り外し方向へ回転操作されると、前記移動体及び前記塗布体は、前記弾性体の付勢により前記被案内部が前記案内部に案内されながら前記底部側へ前進し、前記塗布体が前記容器本体の前記底部に当接した状態で、前記外栓と前記内筒が前記取り外し方向へ共回りし、
前記外栓は、前記案内部を有し、
前記内筒は、上下方向へ延び内外を連通するスリットを有し、
前記移動体は、前記被案内部が、前記内筒の前記スリットを通って前記外栓側へ突出し前記外栓の前記案内部に案内可能とされると共に、前記スリットにより前記内筒に対して軸線方向に移動可能且つ軸線周りに回転不能に係合し、
前記外栓は、前記容器本体に対して前記外栓が取り外し方向へ回転操作され当該外栓が取り外し方向へ所定量回転すると、前記被案内部が当接し前記取り外し方向への前記内筒との共回りを可能とするストッパを有し、
前記外栓が前記取り外し方向へ回転操作されると、前記移動体及び前記塗布体は、前記弾性体の付勢により前記被案内部が前記案内部に案内されながら前記底部側へ前進し、前記移動体の前記被案内部が前記外栓の前記ストッパに当接するまでに、前記塗布体が前記容器本体の前記底部に当接し、
前記被案内部が前記外栓の前記ストッパに当接する前の状態で、前記塗布体が前記容器本体の前記底部に当接し、前記被案内部が前記外栓の前記ストッパに当接するまで前記移動体は前進せずに前記塗布体はそのままの状態を維持することを特徴とする塗布体付き容器。
【請求項3】
前記外栓及び前記内筒の前記取り外し方向への共回りにより前記第1、第2の係合部の係合が解除された状態において、前記移動体及び前記塗布体はさらに前方の前進限まで前進することを特徴とする請求項1又は2記載の塗布体付き容器。
【請求項4】
前記案内部は、螺旋状の案内面を含み、
前記被案内部は、前記移動体の外周面に形成され、前記案内面上を前記弾性体に付勢されながら案内される突起であることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の塗布体付き容器。
【請求項5】
前記第1、第2の係合部は、螺合部であることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の塗布体付き容器。
【請求項6】
前記弾性体は、コイルバネであることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の塗布体付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布体付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばマスカラ等の液状化粧料容器にあっては、液状化粧料を収容する容器本体に対して、先端に塗布体を有する蓋体が着脱可能に装着されるが、塗布体が容器本体の底部に届かないため、液状化粧料全部を使い切ることはできなかった。
【0003】
そこで、以下の特許文献1では、容器本体から蓋体を離脱させる回転操作に連動して塗布体(塗布具)が前進し、この前進により塗布体を容器本体の底部に届かせることによって、当該底部の内容物を保持させ、内容物の残量低減を図る塗布体付き容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5745309号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記塗布体付き容器にあっては、蓋体を離脱させる回転操作に従い、塗布体を上下方向(軸線方向)に移動させるための基部の装着突起が、下方へ傾斜する長孔の一方の端部から他方の端部へ移動することにより、塗布体が容器本体の底部側へ前進し、装着突起が、他方の端部側の突起規制部を乗り越え回転規制部に収まると共に突起規制部に係合し離脱が抑止された状態で、塗布体が容器本体の底部に当接又は圧接する構成となっている。従って、塗布体が容器本体の底部に当接又は圧接している状態(加圧されている状態)では、突起規制部により塗布体の上下方向の移動が規制されており、底部から塗布体に多大な負荷が作用し当該塗布体を傷めてしまい、場合によっては塗布体が変形してしまうという問題がある。また、特許文献1には、塗布体を容器本体の底部に近接させることも記載されているが、これでは、底部の内容物を十分に取ることはできない。
【0006】
そこで、本発明は、塗布体を傷めないようにしつつ容器本体内の内容物を十分に使い切ることができる塗布体付き容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による塗布体付き容器は、有底筒状に構成されて筒壁に第1の係合部が設けられ、内容物を収容した容器本体と、有頂筒状に構成されて筒壁に、第1の係合部に対して回転により係合可能な第2の係合部が設けられ、塗布体を備えた蓋体と、を具備し、第1、第2の係合部同士が係合することにより容器本体に蓋体が着脱可能に装着され、蓋体の塗布体が容器本体内の内容物に進入する塗布体付き容器であって、蓋体は、有頂筒状に構成され使用者により回転操作される外栓と、筒状に構成され外栓に対して軸線方向に移動不能且つ軸線周りに回転可能に係合すると共に、第2の係合部が設けられた内筒と、塗布体を先端に有し軸線方向に移動可能とされ、被案内部を備えた移動体と、移動体の被案内部を案内するための案内部と、外栓又は内筒と移動体との間に介在し、案内部による被案内部の案内を可能とするように移動体を容器本体の底部側へ付勢する弾性体と、を備え、内筒は、容器本体に対して外栓が取り外し方向へ回転操作され当該外栓が取り外し方向へ所定量回転すると、取り外し方向への外栓との共回りが可能となり、塗布体は、容器本体に蓋体が第1、第2の係合部の係合により装着されている状態では、容器本体の底部から離間する後退限まで引き戻されている一方で、外栓が取り外し方向へ回転操作されると、移動体及び塗布体は、弾性体の付勢により被案内部が案内部に案内されながら底部側へ前進し、塗布体が容器本体の底部に当接した状態で、外栓と内筒が取り外し方向へ共回りすることを特徴としている。
【0008】
このような塗布体付き容器によれば、容器本体に蓋体が第1、第2の係合部の係合により装着されている状態では、塗布体は、容器本体内の内容物に進入すると共に容器本体の底部から離間した状態にあり、蓋体を構成する外栓が使用者により取り外し方向へ回転操作されると、弾性体の付勢により移動体の被案内部が案内部に案内されながら、移動体及び塗布体が容器本体の底部側へ前進し、塗布体が容器本体の底部に当接する。そして、塗布体が容器本体の底部に当接した状態で、外栓と内筒が取り外し方向へ共回りし、容器本体の第1の係合部と内筒の第2の係合部の係合が解除されて蓋体が容器本体から取り外され、塗布体が使用に供される。このように、容器本体の底部から離間している塗布体は、蓋体の取り外しに際し前進して底部に当接するため、容器本体内の内容物を十分に使い切ることができる。また、塗布体が底部に当接している状態において当該塗布体に底部から作用する負荷は、塗布体を底部側へ付勢している弾性体の緩衝作用により吸収されるため、塗布体を傷めないようにすることができる。
【0009】
ここで、上記作用を好適に奏する構成としては、具体的には、移動体は、外栓に対して軸線方向に移動可能且つ軸線周りに回転不能に係合し、内筒は、案内部を有すると共に、容器本体に対して外栓が取り外し方向へ回転操作され当該外栓が取り外し方向へ所定量回転すると、外栓の一部に当接し取り外し方向への外栓との共回りを可能とするストッパを有し、外栓が取り外し方向へ回転操作されると、移動体及び塗布体は、弾性体の付勢により被案内部が案内部に案内されながら底部側へ前進し、外栓の一部が内筒のストッパに当接するまでに、塗布体が容器本体の底部に当接する構成が挙げられる。このような構成によれば、外栓が使用者により取り外し方向へ回転操作されると、弾性体の付勢により移動体の被案内部が内筒の案内部により案内されながら、移動体及び塗布体が容器本体の底部側へ前進し、回転する外栓の一部が、共回りを可能とする内筒のストッパに当接するまでに、塗布体が底部に当接する。そして、さらなる外栓の取り外し方向への回転により、外栓と内筒が取り外し方向へ共回りし、容器本体の第1の係合部と内筒の第2の係合部の係合が解除されて蓋体が容器本体から取り外され、塗布体が使用に供されるようになる。
【0010】
また、外栓の一部が内筒のストッパに当接する前の状態で、塗布体が容器本体の底部に当接し、外栓の一部が内筒のストッパに当接するまで移動体は前進せずに塗布体はそのままの状態で回転する構成であると、塗布体は底部に当接している状態で潰れないため、塗布体を傷めないようにすることができる。
【0011】
また、上記作用を好適に奏する構成としては、具体的には、外栓は、案内部を有し、内筒は、上下方向へ延び内外を連通するスリットを有し、移動体は、被案内部が、内筒のスリットを通って外栓側へ突出し外栓の案内部に案内可能とされると共に、スリットにより内筒に対して軸線方向に移動可能且つ軸線周りに回転不能に係合し、外栓は、容器本体に対して外栓が取り外し方向へ回転操作され当該外栓が取り外し方向へ所定量回転すると、被案内部が当接し取り外し方向への内筒との共回りを可能とするストッパを有し、外栓が取り外し方向へ回転操作されると、移動体及び塗布体は、弾性体の付勢により被案内部が案内部に案内されながら底部側へ前進し、移動体の被案内部が外栓の前記ストッパに当接するまでに、塗布体が容器本体の底部に当接する構成も挙げられる。このような構成によれば、外栓が使用者により取り外し方向へ回転操作されると、弾性体の付勢により移動体の被案内部が内筒のスリット及び外栓の案内部により案内されながら、移動体及び塗布体が容器本体の底部側へ前進し、移動体の被案内部が、共回りを可能とする外栓のストッパに当接するまでに、塗布体が底部に当接する。そして、さらなる外栓の取り外し方向への回転により、外栓と内筒が取り外し方向へ共回りし、容器本体の第1の係合部と内筒の第2の係合部の係合が解除されて蓋体が容器本体から取り外され、塗布体が使用に供されるようになる。
【0012】
ここで、被案内部が外栓のストッパに当接する前の状態で、塗布体が容器本体の底部に当接し、被案内部が外栓のストッパに当接するまで移動体は前進せずに塗布体はそのままの状態を維持する構成であると、塗布体は底部に当接している状態で潰れないため、塗布体を傷めないようにすることができる。
【0013】
また、外栓及び内筒の取り外し方向への共回りにより第1、第2の係合部の係合が解除された状態において、移動体及び塗布体はさらに前方の前進限まで前進する構成であると、さらに前進限まで前進した塗布体が容器本体内において傾くように蓋体の外栓が使用者により動かされることによって、塗布体を底部の隅々まで当接させることができ、容器本体内の内容物を一層十分に使い切ることができる。また、容器本体の大きさ以上に使用時の塗布体の前進限を設定できるため、設計の自由度を高めることができ、汎用性が高い塗布体付き容器とすることができる。
【0014】
また、上記作用を好適に奏する案内部、被案内部の構成としては、具体的には、案内部は、螺旋状の案内面を含み、被案内部は、移動体の外周面に形成され、案内面上を弾性体に付勢されながら案内される突起である構成が挙げられる。
【0015】
また、上記作用を好適に奏する第1、第2の係合部の構成としては、具体的には、螺合部が挙げられる。
【0016】
また、上記作用を好適に奏する弾性体としては、具体的には、コイルバネが挙げられる。
【発明の効果】
【0017】
このように本発明によれば、塗布体を傷めないようにしつつ容器本体内の内容物を十分に使い切ることができる塗布体付き容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る塗布体付き容器を示す縦断面図である。
図2図1の状態から外栓が取り外し方向へ回転操作され塗布体が容器本体の底部に当接した状態を示す縦断面図である。
図3図2の状態から外栓がさらに取り外し方向へ回転操作され容器本体と蓋体との係合が解除された状態を示す縦断面図である。
図4図3の状態から塗布体を容器本体から抜き出し使用に供する際の状態を示す縦断面図である。
図5図1中の容器本体を示す斜視図である。
図6図1中の掻き取り部材を示す縦断面図である。
図7図1中の外栓を示す斜視図である。
図8図7に示す外栓の下面図である。
図9図1中の内筒を示す斜視図である。
図10図9に示す内筒に隠れ線を追加した斜視図である。
図11図10に示す内筒を裏側から見た斜視図である。
図12図11に示す内筒の破断斜視図である。
図13図1中の移動体を示す斜視図である。
図14図13に示す移動体の平面図である。
図15図1の状態において外栓及び内筒のストッパ同士が当接している状態を示す平面断面図である。
図16図15の状態から外栓が取り外し方向へ回転操作されている状態を示す平面断面図である。
図17図16の状態から外栓がさらに取り外し方向へ回転操作され外栓のストッパが内筒のストッパに当接した状態を示す平面断面図である。
図18図1の状態において内筒の案内部に対する移動体の被案内部の位置を示す模式図である。
図19図18の状態から外栓が取り外し方向へ回転操作され塗布体が容器本体の底部に当接したときの内筒の案内部に対する移動体の被案内部の位置を示す模式図である。
図20図19の状態から外栓がさらに取り外し方向へ回転操作され外栓のストッパが内筒のストッパに当接したときの内筒の案内部に対する移動体の被案内部の位置を示す模式図である。
図21図20の状態から外栓がさらに取り外し方向へ回転操作され容器本体と蓋体との係合が外れたときの内筒の案内部に対する移動体の被案内部の位置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0020】
図1図4は、本発明の実施形態に係る塗布体付き容器の状態をそれぞれ示す縦断面図、図5は、容器本体を示す斜視図、図6は、掻き取り部材を示す縦断面図、図7及び図8は、外栓を示す各図、図9図12は、内筒を示す各図、図13及び図14は、移動体を示す各図、図15図17は、外栓のストッパと内筒のストッパの位置関係を状態に応じてそれぞれ示す平面断面図、図18図21は、内筒の案内部に対する移動体の被案内部の位置関係を状態に応じてそれぞれ示す模式図である。
【0021】
本実施形態の塗布体付き容器は、容器本体内に収容した内容物を使用者により適宜被塗布部に塗布できるものであり、ここでは、特に好適であるとして、塗布体付き液状化粧料容器(以下単に液状化粧料容器と呼ぶ)として説明する。また、内容物である液状化粧料は、ここでは、特に好適であるとして、マスカラとされているが、例えば、口紅、チーク、アイライナーやアイブロウ等の他の液状化粧料を用いることもできる。
【0022】
図1に示すように、液状化粧料容器100は、液状化粧料Lを収容する容器本体1と、容器本体1に着脱自在に装着されると共に、装着時に容器本体1内に進入する塗布体7を備えた蓋体2と、を概略具備している。
【0023】
容器本体1は、図1及び図5に示すように、液状化粧料Lを収容するための収容部3と、収容部3の上部に一体に連設され当該収容部3に繋がる開口頚部4と、を備える。
【0024】
収容部3は、有底円筒状に構成され、その内部に液状化粧料Lを収容し、開口頚部4は、収容部3より小径の円筒状に構成されて同軸に配置されると共に、収容部3の上端部の縮径する段差部(肩部)を介して繋がり、その筒内が収容部3内に連通している。開口頚部4には、その筒壁の外周面に、蓋体2を着脱自在に装着するための雄螺子(螺合部)5が第1の係合部として形成される。この開口頚部4には、掻き取り部材6が装着される。
【0025】
掻き取り部材6は、例えばゴム等の弾性材より成り略円筒状に構成され、図1及び図6に示すように、その上端に円環状の鍔部8を有すると共に、その下部側の外周面に円環状の大径の段差部(鍔部)9を有する。掻き取り部材6は底部を有しており、底部の略中央には、塗布体7が通過し当該塗布体7に付着する余分な液状化粧料Lを掻き取る(削ぎ落とす)ための掻き取り孔10が設けられる。
【0026】
そして、掻き取り部材6は、図1に示すように、容器本体1の開口頚部4の上方から圧入され、その鍔部8と段差部9との間に、開口頚部4を軸線方向に挟むようにして、開口頚部4に装着される。
【0027】
蓋体2は、容器本体1の蓋(キャップ)として機能すると共に使用者に把持されて回転操作される外栓11と、外栓11に係合すると共に容器本体1に対して着脱可能に係合する内筒12と、塗布体7を先端に有し外栓11の回転に応じて蓋体2の軸線方向に移動する長尺な移動体13と、移動体13を容器本体1の底部14側(下方)へ付勢する弾性体15と、を備える。
【0028】
外栓11は、図7及び図8に示すように、有頂円筒状に構成され、円板状の頂部の略中央に、開放端側へ向かって突出する円筒状の突出部16を備える。突出部16は、その内部が弾性体15を収容する領域とされる(図1参照)。突出部16の外周面には、軸線方向(上下方向)に延び、移動体13を回転方向に係合するための突条17が形成される。突条17は、突出部16の外周面の対向する位置に一対が設けられる。
【0029】
外栓11の頂部の内周縁(頂部と円筒部が接する部分)には、図7図8及び図15に示すように、蓋体2を取り外す際の回転方向A(図7及び図15の平面視での反時計回り;以下単に取り外し方向Aと呼ぶ)の下流側(矢印Aの先側)に、外栓の一部を構成するストッパ18が設けられる。ストッパ18は、外栓11の取り付け方向B(平面視での時計回り;図15参照)への一定以上の回転操作を阻止する一方で、外栓11が取り外し方向Aへ所定量以上回転操作されると内筒12を取り外し方向Aへ共回りさせるものであり(詳しくは後述)、軸線方向に短尺に延びる略直方体状の凸部とされている。
【0030】
外栓11の頂部の内周縁で、ストッパ18より取り外し方向Aの上流側へ多少離間した位置には、軸線方向に短尺に延びる凸状のリブ19が設けられる。リブ19は、ストッパ18より小さい略半円柱状の凸部である。このリブ19は、外栓11の回転操作力により内筒12に離脱可能に係合すると共に、係合時にクリック感を与えるためのものである。これらのストッパ18及びリブ19は、平面視において外栓11の軸心を中心とした点対称の位置に配置され、対を成す構成となっている。また、外栓11の開口端側の内周面には、内筒12を軸線方向に係合するための凸部20(図1参照)が円環状に設けられる。
【0031】
内筒12は、図9図12及び図15に示すように、略円筒状に構成され、一部の上端面から上方へそのまま円弧状を成し突出するストッパ21を備える。ストッパ21の外周面で取り外し方向Aの下流寄りの位置(取り付け方向Bの上流寄りの位置)には、外栓11のリブ19を周方向に係合するための凹部24が設けられる。このストッパ21は、平面視において内筒12の軸心を中心とした点対称の位置に配置され、対を成す構成となっている。
【0032】
内筒12のストッパ21の周方向の端面で取り外し方向Aの下流側の端面22は、外栓11が取り付け方向Bへ一定以上回転操作されると、外栓11の一方のストッパ18が当接し外栓11のそれ以上の回転を阻止し、内筒12のストッパ21の周方向の端面で取り外し方向Aの上流側の端面23は、外栓11が取り外し方向Aへ所定量以上回転操作されると、外栓11の他方のストッパ18が当接し取り外し方向Aへの外栓11との共回りを可能とするものである。
【0033】
内筒12の内周面の上半部には、移動体13を案内するための案内部25が形成される。案内部25は、一方のストッパ18の端面22寄りの位置が基端となって螺旋状を成し略半周延びる第1の案内面(スロープ)26と、第1の案内面26の終端から上方へ垂直に延びる第2の案内面27と、を備える、この案内部25は、平面視において内筒12の軸心を中心とした点対称の形状となっている。
【0034】
内筒12の軸線方向の下部側の内周面には、図1及び図12に示すように、蓋体2を容器本体1に装着したときに、掻き取り部材6の上面に当接する当接部28が内側へ張り出すように設けられる。この当接部28の略中央には、移動体13の後述の軸部35を通すための貫通孔29が設けられる。
【0035】
内筒12の筒壁の下部の内周面には、開口頚部4の雄螺子5に対して螺合する雌螺子(螺合部)30を第2の係合部として備える。また、内筒12の下部の外周面には、図1図9及び図12に示すように、外栓11の凸部20に軸線方向に係合する凹部31が円環状に設けられる。なお、内筒12の当接部28の位置より外側の外周面には、Oリング溝33が円環状に設けられ、気密用のOリング32(図1参照)が装着される。
【0036】
移動体13は、図13及び図14に示すように、外栓11に回転方向に係合する基部34と、基部34の下端中央に連設されて下方へ長尺に延びる軸部35と、軸部35の先端に設けられた塗布体7と、を備える。
【0037】
基部34は、有底円筒状に構成されており、その内周面には、軸線方向に延び外栓11の突出部16の突条17に回転方向に係合される溝部36がそれぞれ設けられる。また、基部34の外周面には、内筒12の案内部25に案内される被案内部37がそれぞれ設けられる。被案内部37は、基部34の外周面の対向する位置に一対が設けられる。この被案内部37は、ここでは、特に好ましいとして、螺旋を短尺にした傾斜突起とされているが、例えば円柱状等の突起であっても良い。
【0038】
また、基部34の底部の中央には、弾性体15(図1参照)をガイドするためのガイド部38が上方へ短尺に突出するように設けられる。
【0039】
軸部35は、基部34より小径の円柱体を成し、内筒12の貫通孔29及び掻き取り部材6の掻き取り孔10を通過する構成とされている。
【0040】
塗布体7は、液状化粧料Lがマスカラのため、ここでは、マスカラブラシとされているが、マスカラ以外の他の液状化粧料を用いた場合には、例えば、スパチュラ、刷毛、毛筆、コームやチップ等を用いることができる。
【0041】
図1に示すように、弾性体15は、ここでは、特に好ましいとして、コイルバネとしているが、複数枚の板バネを積層したものでも良く、また、樹脂バネ等であっても良い。
【0042】
このような弾性体15は、図1に示すように、移動体13の基部34内にガイド部38を囲繞するように配置され、移動体13が、内筒12の上方から進入することにより、図18に示すように、その被案内部37が、内筒12の案内部25の第1の案内面26に載置されると共に、図1に示すように、その塗布体7及び軸部35が、内筒12の貫通孔29に通される。内筒12は、その上端側から外栓11に内挿され、移動体13は、その基部34の溝部36が、外栓11の突出部16の突条17に進入し回転方向に係合することにより、外栓11に軸線方向に移動可能且つ軸線周りに回転不能に装着されると共に、内筒12は、その凹部31が、外栓11の凸部20に軸線方向に係合することにより、外栓11に回転可能且つ軸線方向に移動不能に装着される、この状態で、弾性体15は、外栓11の突出部16内に収容されると共に、外栓11の頂部と移動体13の基部34の底部との間に介在し、移動体13は下方へ付勢されている。
【0043】
そして、蓋体2が容器本体1に対して完全に締められた図1に示す初期状態にあっては、容器本体1の雄螺子5と蓋体2の内筒12の雌螺子30とが螺合限まで螺合し、塗布体7及び軸部35は、掻き取り部材6の掻き取り孔10を通して容器本体1の収容部3内に進入し、塗布体7は、収容部3に貯留されている液状化粧料Lに浸漬した状態になっている。
【0044】
この状態では、図15に示すように、外栓11のストッパ18が、内筒12のストッパ21の一方(取り外し方向Aの下流側)の端面22に当接し、外栓11のそれ以上の取り付け方向Bへの回転が阻止されていると共に、外栓11のリブ19が、内筒12の凹部24に係合し、外栓11の取り外し方向Aへの回転が抑制(阻止)されている。この状態で、移動体13の被案内部37は、図18に示すように、案内部25の第1の案内面26の上端辺りの初期位置Sに位置した状態にある。そして、図15及び図18に示す初期状態では、塗布体7は、図1に示すように、後退限まで引き戻されており(後退限に位置し)、塗布体7の先端は、容器本体1の底部14から所定長離間した状態にある。
【0045】
この状態から、使用者は、蓋体2を取り外すべく容器本体1と蓋体2の外栓11を持ち、外栓11を取り外し方向Aへ回転操作する。すると、容器本体1の雄螺子5と蓋体2の内筒12の雌螺子30とは螺合限まで締められ強く係合しているため、内筒12が容器本体1に螺合した状態で、外栓11が取り外し方向Aへ回転し、外栓11のリブ19と内筒12の凹部24との係合が解除されると同時に、外栓11と移動体13とが取り外し方向Aへ同期回転する。この同期回転に従い、移動体13の被案内部37が、弾性体15の付勢により、内筒12の第1の案内面26に押し付けられ案内されながら初期位置Sから下降していき、移動体13及び塗布体7が前進していく(底部14へ近付いていく)。
【0046】
そして、図2に示すように、塗布体7の先端が底部14に当接する。この状態では、図19に示すように、被案内部37は、第1の案内面26の終端より手前の途中位置Cに位置し、図16に示すように、外栓11のストッパ18は、内筒12のもう一方のストッパ21の他方(取り外し方向Aの上流側)の端面23に達していない状態にある。
【0047】
この状態で、さらに外栓11の取り外し方向Aへの回転操作が続けられ、このとき、上述のように塗布体7は底部14に当接しているため、塗布体7及び移動体13は前進せず、塗布体7及び移動体13はそのままの状態で回転し、図19に矢印で示すように、被案内部37は第1の案内面26から離れ位置Cから周方向に沿って平行移動する。
【0048】
そして、さらに外栓11の取り外し方向Aへの回転操作が続けられ、図17に示すように、外栓11のストッパ18が、内筒12のもう一方のストッパ21の他方の端面23に達すると、図20に示すように、被案内部37は、案内部25の第2の案内面27の位置Dへ達した状態になる。
【0049】
この状態で、さらに外栓11の取り外し方向Aへの回転操作が続けられ、外栓11のストッパ18により内筒12のストッパ21が回転方向に押され一体的に取り外し方向Aへ回転する。
【0050】
すると、外栓11及び内筒12の取り外し方向Aへの回転により、容器本体1の雄螺子5と蓋体2の内筒12の雌螺子30の螺合が解除されていき、外栓11は引き上げられていく。この引き上げられていく間、塗布体7は、弾性体15の付勢により底部14に当接するように前進する。すなわち、塗布体7の底部14に対する当接を維持しながら、外栓11が引き上げられていく。この螺合が解除されていく状態では、被案内部37は第2の案内面27に沿って図20の位置Dよりさらに下降していく。
【0051】
そして、螺合が完全に解除されると、図21に示すように、弾性体15の付勢により被案内部37は第2の案内面27の下端であると共に第1の案内面26の終端位置Eに達し、塗布体7は前進限に達する。このように螺合が完全に解除されて塗布体7が前進限まで達し、図3に示すように、外栓11を容器本体1の開口頚部4から完全に外していない状態にあっては、使用者は、前進限にある塗布体7が容器本体1内において傾くように蓋体2の外栓11を動かしながら、塗布体7を底部14の隅々まで当接させることができ、液状化粧料Lを十分に取ることができる。なお、図3では、図1図2及び図4の一連の説明の都合上、これらの図面と同様に、液状化粧料Lが容器本体1内に十分に満たされているが、図3のように塗布体7により隅々まで掻き取るのは、液状化粧料Lが底部14近くまで消費されたときである。
【0052】
そして、このように塗布体7が底部14に当接している図2及び図3の状態にあっては、底部14から塗布体7に作用する負荷は、弾性体15の緩衝作用により吸収される。
【0053】
次いで、使用者は、図4に示すように、蓋体2を容器本体1から取り外して塗布体7を抜き出し、前進し前進限に位置した塗布体7によって、被塗布部への塗布を行う。
【0054】
塗布体7による被塗布部への塗布が終わり、蓋体2を容器本体1に装着する場合には、使用者は、前進限に位置している塗布体7を容器本体1内へ進入させる。すると、塗布体7の先端が底部14に当接し、この状態で、使用者は、図17に示す状態にある外栓11を取り付け方向Bへ回転操作する。このとき、被案内部37は、弾性体15の付勢により、図21に示すように、第1の案内面26の終端である上り坂の坂下位置Eへ押し付けられているため、外栓11及び移動体13と共に内筒12が取り付け方向Bへ共回りし、容器本体1の雄螺子5と蓋体2の内筒12の雌螺子30が螺合していく。
【0055】
なお、ここでは、前述したように、外栓11と内筒12との間にOリング32が介装されており、このOリング32により、外栓11と内筒12との間に適度な摩擦抵抗を生じさせ、外栓11及び内筒12の取り付け方向Bへの共回りを補完するようにしている。
【0056】
そして、雄螺子5と雌螺子30が螺合していくと、底部14へ塗布体7が押されていくため、被案内部37は、弾性体15の付勢に抗して、図21に示す位置Eと図20に示す位置Dとの間の位置へと押し上げられていき、雌螺子30と雄螺子5が螺合限に達し螺合が完了すると、被案内部37は、図20に示す位置Dへ達する。
【0057】
この状態で、外栓11の取り付け方向Bへの回転操作が続けられ、このとき、上述のように雌螺子30と雄螺子5とが螺合限に達しているため、内筒12が容器本体1に螺合した状態で、外栓11及び移動体13が取り付け方向Bへ回転し、被案内部37は、図20に示す位置Dから周方向に沿って平行移動し、図19に示す位置Cに達し第1の案内面26に達する。
【0058】
この状態(図2に示す状態)で、外栓11の取り付け方向Bへの回転操作が続けられ、被案内部37は、弾性体15の付勢により第1の案内面26に押し付けられ案内されながら上昇していき、移動体13が後退していく。この移動体13の後退により、塗布体7が底部14から離間していく。
【0059】
そして、外栓11の取り付け方向Bへの回転操作がさらに続けられることにより、被案内部37が、図18に示す初期位置Sに達し、図15に示すように、外栓11のストッパ18が、内筒12のストッパ21の端面22に当接し、外栓11のそれ以上の取り付け方向Bへの回転が阻止される。これと同時に、外栓11のリブ19が内筒12の凹部24に係合してクリック感が生じ、使用者に、蓋体2が完全に締まり切ったことが認識される。この状態で、塗布体7は、後退限まで引き戻され、図1に示す状態となる。
【0060】
なお、回転トルクの設定によっては、外栓11の取り付け方向Bへの回転操作による雄螺子5、雌螺子30の螺合に伴って摩擦抵抗が生じ、この摩擦抵抗により内筒12と外栓11とが共回りせずに相対回転し始め、雄螺子5、雌螺子30が螺合しながら塗布体7が後退限まで引き戻される構成とすることもできる。
【0061】
このように、本実施形態においては、容器本体1に蓋体2が雄螺子5及び雌螺子30の螺合により装着されている状態では、塗布体7は、容器本体1内の液状化粧料Lに浸漬すると共に容器本体1の底部14から離間した状態にあり、蓋体2を構成する外栓11が使用者により取り外し方向Aへ回転操作されると、弾性体15の付勢により移動体13の被案内部37が案内部25に案内されながら、移動体13及び塗布体7が容器本体1の底部14側へ前進し、塗布体7が容器本体1の底部14に当接する。そして、塗布体7が容器本体1の底部14に当接した状態で、外栓11と内筒12が取り外し方向へ共回りし、容器本体1の雄螺子5と内筒12の雌螺子30の螺合が解除されて蓋体2が容器本体1から取り外され、塗布体7が使用に供される。このように、容器本体1の底部14から離間している塗布体7は、蓋体2の取り外しに際し前進して底部14に当接するため、容器本体1内の液状化粧料Lを十分に使い切ることができる。また、塗布体7が底部14に当接している状態において当該塗布体7に底部14から作用する負荷は、塗布体7を底部14側へ付勢している弾性体15の緩衝作用により吸収されるため、塗布体7を傷めないようにすることができる。
【0062】
より、具体的には、移動体13は、外栓11に対して軸線方向に移動可能且つ軸線周りに回転不能に係合し、内筒12は、案内部25を有すると共に、容器本体1に対して外栓11が取り外し方向へ回転操作され当該外栓11が取り外し方向へ所定量回転すると、外栓11の一部であるストッパ18に当接し取り外し方向への外栓11との共回りを可能とするストッパ21を有し、外栓11が取り外し方向へ回転操作されると、移動体13及び塗布体7は、弾性体15の付勢により被案内部37が案内部25に案内されながら底部14側へ前進し、外栓の一部であるストッパ18が内筒12のストッパ21に当接するまでに、塗布体7が容器本体1の底部14に当接する構成を採用しているため、外栓11が使用者により取り外し方向へ回転操作されると、弾性体15の付勢により移動体13の被案内部37が内筒12の案内部25により案内されながら、移動体13及び塗布体7が容器本体1の底部14側へ前進し、回転する外栓11の一部であるストッパ18が、共回りを可能とする内筒12のストッパ21に当接するまでに、塗布体7が底部14に当接し、さらなる外栓11の取り外し方向への回転により、外栓11と内筒12が取り外し方向へ共回りし、容器本体1の雄螺子5と内筒12の雌螺子30の螺合が解除されて蓋体2が容器本体1から取り外され、塗布体7が使用に供されるようになっている。このため、上記作用・効果、すなわち、容器本体1の底部14から離間している塗布体7が、蓋体2の取り外しに際し前進して底部14に当接し、容器本体1内の液状化粧料Lを十分に使い切ることができると共に、塗布体7が底部14に当接している状態において当該塗布体7に底部14から作用する負荷は、塗布体7を底部14側へ付勢している弾性体15の緩衝作用により吸収され、塗布体7を傷めないようにすることができるという作用・効果を好適に奏することができる。
【0063】
また、本実施形態においては、外栓11のストッパ18が内筒12のストッパ21に当接する前の状態で、塗布体7が底部14に当接し、外栓11のストッパ18が内筒12のストッパ21に当接するまで移動体13は前進せずに塗布体7はそのままの状態で回転するため、塗布体7は底部14に当接している状態であるが潰れることはなく、塗布体7を傷めないようにすることができる。
【0064】
また、外栓11及び内筒12の取り外し方向Aへの共回りにより、雄螺子5及び雌螺子30の螺合が解除された状態において、移動体13及び塗布体7はさらに前方の前進限まで前進するため、前進限まで前進した塗布体7が容器本体1内において傾くように蓋体2の外栓11が使用者により動かされることによって、塗布体7を底部14の隅々まで当接させることができ、容器本体1内の液状化粧料Lを一層十分に使い切ることができる。また、容器本体1の大きさ以上に使用時の塗布体7の前進限を設定できるため、設計の自由度を高めることができ、汎用性が高い液状化粧料容器とすることができる。
【0065】
なお、この実施形態では、特に好ましいとして、蓋体2を容器本体1から取り外すと(螺合を解除すると)、塗布体7が前進限までさらに前進するようにしているが、塗布体7が容器本体1の底部14に当接した位置を塗布体7の前進限としても良い。このように塗布体7が底部14へ当接するとそれ以上は前進しない構成であっても、前進する場合と同様に、容器本体1の底部14から離間している塗布体7は、蓋体2の取り外しに際し前進して底部14に当接するのは変わりがないため、容器本体1内の液状化粧料Lを十分に使い切ることができると共に、塗布体7が底部14に当接している状態において底部14から塗布体7に作用する負荷は、塗布体7を底部14側へ付勢している弾性体15の緩衝作用により吸収されるため、塗布体7を傷めることを防止できる。
【0066】
ここで、他の実施形態として、以下の構成を採用することもできる。すなわち、外栓11の突出部16をなくすと共に、内筒12のストッパ21及び外栓11のストッパ18をなくし、内筒12の案内部25を外栓11の内周面に移設し、内筒12に、新たに、上下方向へ延び内外を連通するスリットを設け、移動体13の被案内部37を、内筒12のスリットを通して外栓11側へ突出させて、外栓11に移設した案内部25に案内可能に載置すると共に、当該スリットにより移動体13を内筒12に対して軸線方向に移動可能且つ軸線周りに回転不能に係合する構成とする。また、外栓11が、容器本体1に対して外栓11が取り外し方向へ回転操作され当該外栓11が取り外し方向へ所定量回転すると、被案内部37が当接し取り外し方向への内筒12との共回りを可能とするストッパを上記実施形態とは別に有する構成とする。ストッパは、ここでは、案内部25の第2の案内面27とされる。
【0067】
このような塗布体付き容器によれば、塗布体7が容器本体1の底部14から離間した状態において(図1参照)、使用者は、蓋体2を取り外すべく容器本体1と蓋体2の外栓11を持ち、外栓11を取り外し方向Aへ回転操作する。すると、容器本体1の雄螺子5と蓋体2の内筒12の雌螺子30とは螺合限まで締められ強く係合しているため、内筒12が容器本体1に螺合した状態で、外栓11が取り外し方向Aへ回転し、内筒12及び移動体13が回転しない状態で、移動体13の被案内部37が、外栓11の案内部25及び内筒12のスリットに案内されながら、弾性体15の付勢力により移動体13及び塗布体7が前進していき、塗布体7の先端が底部14に当接する(図2参照)。この状態では、図19に示すように、被案内部37は、第1の案内面26の終端より手前の途中位置Cに位置している。
【0068】
この状態で、さらに外栓11の取り外し方向Aへの回転操作が続けられ、このとき、上述のように塗布体7は底部14に当接しているため、塗布体7及び移動体13は前進せず、塗布体7はそのままの状態(回転せず)を維持し、案内部25を有する外栓11のみが取り外し方向Aへ回転する。
【0069】
すると、図20に示すように、被案内部37は、外栓11のストッパである案内部25の第2の案内面27に当接し、この状態で、さらに外栓11の取り外し方向Aへの回転操作が続けられ、外栓11と内筒12が共回りし、一体的に取り外し方向Aへ回転する。
【0070】
すると、外栓11及び内筒12の取り外し方向Aへの回転により、容器本体1の雄螺子5と蓋体2の内筒12の雌螺子30の螺合が解除されていき、外栓11は引き上げられていく。この引き上げられていく間、塗布体7は、弾性体15の付勢により底部14に当接するように前進する。すなわち、塗布体7の底部14に対する当接を維持しながら、外栓11が引き上げられていく。この螺合が解除されていく状態では、被案内部37は第2の案内面27及びスリットに沿って図20の位置Dよりさらに下降していく。
【0071】
そして、螺合が完全に解除されると、図21に示すように、弾性体15の付勢により被案内部37は第2の案内面27の下端であると共に第1の案内面26の終端位置E及びスリットの下端に達し、塗布体7は前進限に達する。このように螺合が完全に解除されて塗布体7が前進限まで達し、外栓11を容器本体1の開口頚部4から完全に外していない状態にあっては、使用者は、前進限にある塗布体7が容器本体1内において傾くように蓋体2の外栓11を動かしながら、塗布体7を底部14の隅々まで当接させることができ、液状化粧料Lを十分に取ることができる(図3参照)。
【0072】
このような他の実施形態によれば、容器本体1に蓋体2が雄螺子5及び雌螺子30の螺合により装着されている状態では、塗布体7は、容器本体1内の液状化粧料Lに浸漬すると共に容器本体1の底部14から離間した状態にあり、蓋体2を構成する外栓11が使用者により取り外し方向Aへ回転操作されると、弾性体15の付勢により移動体13の被案内部37が案内部25に案内されながら、移動体13及び塗布体7が容器本体1の底部14側へ前進し、塗布体7が容器本体1の底部14に当接する。そして、塗布体7が容器本体1の底部14に当接した状態で、外栓11と内筒12が取り外し方向へ共回りし、容器本体1の雄螺子5と内筒12の雌螺子30の螺合が解除されて蓋体2が容器本体1から取り外され、塗布体7が使用に供される。このように、容器本体1の底部14から離間している塗布体7は、蓋体2の取り外しに際し前進して底部14に当接するため、容器本体1内の液状化粧料Lを十分に使い切ることができる。また、塗布体7が底部14に当接している状態において当該塗布体7に底部14から作用する負荷は、塗布体7を底部14側へ付勢している弾性体15の緩衝作用により吸収されるため、塗布体7を傷めないようにすることができる。
【0073】
より、具体的には、外栓11は、案内部25を有し、内筒12は、上下方向へ延び内外を連通するスリットを有し、移動体13は、被案内部37が、内筒12のスリットを通って外栓11側へ突出し外栓11の案内部25に案内可能とされると共に、スリットにより内筒12に対して軸線方向に移動可能且つ軸線周りに回転不能に係合し、外栓11は、容器本体1に対して外栓11が取り外し方向へ回転操作され当該外栓11が取り外し方向へ所定量回転すると、被案内部37が当接し取り外し方向への内筒12との共回りを可能とするストッパ(第2の案内面)27を有し、外栓11が取り外し方向へ回転操作されると、移動体13及び塗布体7は、弾性体15の付勢により被案内部37が案内部25に案内されながら底部14側へ前進し、移動体13の被案内部37が外栓11のストッパ(第2の案内面)27に当接するまでに、塗布体7が容器本体1の底部14に当接し、さらなる外栓11の取り外し方向への回転により、外栓11と内筒12が取り外し方向へ共回りし、容器本体1の雄螺子5と内筒12の雌螺子30の螺合が解除されて蓋体2が容器本体1から取り外され、塗布体7が使用に供されるようになっている。このため、上記作用・効果、すなわち、容器本体1の底部14から離間している塗布体7が、蓋体2の取り外しに際し前進して底部14に当接し、容器本体1内の液状化粧料Lを十分に使い切ることができると共に、塗布体7が底部14に当接している状態において当該塗布体7に底部14から作用する負荷は、塗布体7を底部14側へ付勢している弾性体15の緩衝作用により吸収され、塗布体7を傷めないようにすることができるという作用・効果を好適に奏することができる。
【0074】
また、他の実施形態によれば、被案内部37が外栓11のストッパ(第2の案内面)27に当接する前の状態で、塗布体7が容器本体1の底部14に当接し、被案内部37が外栓11のストッパ(第2の案内面)27に当接するまで移動体13は前進せずに塗布体7はそのままの状態を維持するため、塗布体7は底部14に当接している状態であるが潰れることはなく、塗布体7を傷めないようにすることができる。
【0075】
また、外栓11及び内筒12の取り外し方向Aへの共回りにより、雄螺子5及び雌螺子30の螺合が解除された状態において、移動体13及び塗布体7はさらに前方の前進限まで前進するため、前進限まで前進した塗布体7が容器本体1内において傾くように蓋体2の外栓11が使用者により動かされることによって、塗布体7を底部14の隅々まで当接させることができ、容器本体1内の液状化粧料Lを一層十分に使い切ることができる。また、容器本体1の大きさ以上に使用時の塗布体7の前進限を設定できるため、設計の自由度を高めることができ、汎用性が高い液状化粧料とすることができる。
【0076】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、雄螺子5と雌螺子30の組み合わせは、上記実施形態の逆でも良く、また、例えば形状を変更することにより、内周面の螺子を外周面に設け、外周面の螺子を内周面に設けることもできる。また、容器本体1と蓋体2とは、螺合部により係合するのではなく、回転により係合可能な第1、第2の係合部に代えても良い。また、第1の案内面26は螺旋状の案内面、被案内部37は突起に限定されるものではない。さらに、案内部25と被案内部37の個数は、案内部25と被案内部37が対を成していれば、特に限定されない。
【0077】
また、上記実施形態では、弾性体15を外栓11と移動体13との間に介在させているが、例えば内筒12に内側に張り出す張り出し部等を設け、この張り出し部(内筒)と移動体13との間に弾性体15を介在させるようにしても良い。
【0078】
また、上記実施形態においては、より好ましいとして、ストッパにより外栓11と内筒12との共回りを可能としているが、ストッパを設けずに、比較的硬い塗布体7が底部14に当接し、このような当接した状態で、移動体13を介して外栓11と内筒12とが共回りするようにしても良い。
【0079】
また、上記実施形態においては、特に好ましいとして、内容物を液状化粧料Lとしているが、例えば、筆記用具等のインキ、糊や接着液(接着剤)等に代えることも可能であり、さらには、容器本体1内にジェル状や半固形状の内容物を収容し、当該内容物に塗布体7が進入する塗布体付き容器に対しても適用できる。
【符号の説明】
【0080】
1…容器本体、2…蓋体、5…雄螺子(第1の係合部)、7…塗布体、11…外栓、12…内筒、13…移動体、14…底部、15…弾性体、18…外栓のストッパ(外栓の一部)、21…内筒のストッパ、25…案内部、26…第1の案内面、27…第2の案内面(ストッパ)、30…雌螺子(第2の係合部)、35…軸部、37…被案内部(突起)、100…液状化粧料容器(塗布体付き容器)、L…液状化粧料(内容物)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21