(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特開平7−71343号公報及び特開平7−19142号公報に開示されている点火装置内蔵インジェクタは、点火装置として使用される点火プラグ用の高電圧の影響によって、噴射ノズルのニードルを作動するためのアクチュエータ(例えば、電磁コイルやピエゾ素子)の誤作動や破損する可能性があるという問題がある。また、特表2005−511966及び特開2008−255837号公報に開示されている点火装置内蔵インジェクタは、燃料噴射装置と点火装置として使用される点火プラグとを1つのケーシング内に配置するようにしたもので、点火プラグの外径の寸法は通常の点火プラグを用いているため小径化には限界があり、ケーシング全体の外径が大径となり、内燃機関への取り付けスペースの確保が困難であるという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃料噴射装置と点火装置として使用される点火プラグとを1つのケーシング内に配置するようにした点火装置内蔵インジェクタであって、点火装置が小径で燃料噴射装置と点火装置とを並列に配置し、1のケーシング内に収納した構造でも、装置全体の外径をコンパクトにすることができる点火装置内蔵インジェクタ提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた発明は、
燃料を噴射する噴射口を備えた燃料噴射装置と、
噴射された燃料を点火する点火装置と、
前記燃料噴射装置及び点火装置を内部に配設するケーシングからなり、
前記点火装置が、電磁波を発信する電磁波発信器と容量結合した共振構造からなる昇圧手段、接地電極及び放電電極を一体的に形成し、前記昇圧手段により、前記接地電極、放電電極間の電位差を高め放電を生じさせるプラズマ生成器である点火装置内蔵インジェクタである。
【0008】
本発明の点火装置内蔵インジェクタは、燃料噴射装置と点火装置とを並列に配置して1のケーシング内に収納した構造であって、収納する点火装置が、電磁波を発信する電磁波発信器と容量結合した共振構造からなる昇圧手段、接地電極及び放電電極を一体的に形成プラズマ生成器であり、放電部のみを高電界とすることができ、放電部までの経路における絶縁構造を簡素化することが可能となり、一般的に用いられる点火プラグと比べて小型で小径に構成することができる。これにより、装置全体をコンパクトに構成することができる。また、昇圧手段は複数の共振回路から構成することができ、供給される電磁波を十分に昇圧し、接地電極と放電電極との間の電位差を高め(高電圧を発生させ)放電を生じさせ、燃料噴射装置から噴射される燃料を点火する。また、共振構造からなる昇圧手段(共振器)は、電磁波の周波数を高くすること(例えば、2.45GHz)で小さくすることができ、この点もプラズマ生成器の小型化に資する。
【0009】
また、前記プラズマ生成器を、ケーシング内に複数配設することができる。このように点火装置として、燃料点火のためのプラズマ生成器を複数配設することで、燃料噴射装置から噴射される燃料を確実に点火することができる。
【0010】
また、前記プラズマ生成器の放電電極が、燃料噴射装置の軸心と同軸の円周上に位置するように点火装置としてのプラズマ生成器を配設することができる。このようにプラズマ生成器を配設することで複数のプラズマ生成器を備えた点火装置内蔵インジェクタ全体の小型化を図ることができる。このとき、燃料噴射装置の噴射口を軸心と同軸の円周上に複数開口するとともに、各放電電極の位置を、隣り合う噴射口の間となるように調整することが好ましい。このように構成することで、放電電極に燃料が直接当たることが無く、放電部が燃料と空気との混合域となり、良好な点火を実現する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の点火装置内蔵インジェクタは、燃料噴射装置と点火装置とを並列に配置して1のケーシング内に収納した構造であっても、装置全体の外径をコンパクトにすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0014】
<実施形態1>点火装置内蔵インジェクタ
本実施形態1は、本発明に係る点火装置内蔵インジェクタ1である。当該点火装置内蔵インジェクタ1は、
図1に示すように、燃料噴射装置2、点火装置としてのプラズマ生成器3及びケーシング10を備えている。
【0015】
この点火装置内蔵インジェクタ1は、円筒状のケーシング10に
図1(b)に示すように、中心に燃料噴射装置2を取り付ける取付口11、この取付口11を囲むように取付口11の軸心と同心円上にプラズマ生成器3を取り付ける複数の取付口12(本実施形態においては4箇所)を開口している。燃料噴射装置2及びプラズマ生成器3の取付口11、12に対する固定手段は特に限定されるものではなく、シール部材を介装し、取付口に刻設した雌ねじ部に燃料噴射装置2及びプラズマ生成器3の外表面に刻設した雄ねじ部を螺合することで固定したり、燃料噴射装置2及びプラズマ生成器3を上方から押圧固定する固定手段によって固定したりすることができる。
【0016】
―燃料噴射装置―
燃料噴射装置2の概略を
図2に示す。燃料噴射装置2は、周知のごとく、燃料を噴射する噴射口2aに連なるオリフィス23a(弁座)からノズルニードル24の先端(弁体)をアクチュエータ21の作動によって接離させるように構成されている。アクチュエータ21は、図に示すように電磁コイルアクチュエータを用いることもできるが、燃料の噴射時間、噴射タイミング(多段噴射)をナノ秒単位で制御可能なピエゾ素子(ピエゾ素子アクチュエータ)を用いることが好ましい。
【0017】
具体的に、高圧燃料は、本体20に形成されるオリフィス23aに連なる燃料溜まり室23及び圧力室25に燃料供給流路28から導入されている。燃料を噴射しない状態(
図1(a)参照)では、高圧燃料からの圧力が作用するノズルニードル21の受圧面が、燃料溜まり室23より圧力室25の方が大きく、さらにノズルニードル21は付勢手段22(例えば、スプリング)によりオリフィス23a側に付勢されているため燃料溜まり室23からオリフィス23aを介して噴射口2aに燃料が流れることはない。そして、アクチュエータ21が、制御手段(例えば、ECU)からの噴射指令(例えば、電磁コイルアクチュエータに通電される燃料噴射弁駆動電流E)によって作動し、圧力室25の機密を保持するバルブ21aを引き上げ、圧力室25内の高圧燃料を、作動流路29を介してタンク27に逃がし、圧力室25の圧力を低下させることでノズルニードル24をオリフィス23aから離間させる(
図1(b)参照)。これにより、燃料溜まり室23の高圧燃料(ガソリン、軽油、ガス燃料等)が、オリフィス23aを通過し、燃料噴射口2aから噴射される。27は燃料タンク、26はレギュレータを含む燃料ポンプである。圧力室25から点火装置内蔵インジェクタ1外に放出される高圧燃料は、燃料タンク27に循環するように構成することが好ましいが、高圧燃料としてガスを利用する場合、インテークマニホールド(吸入経路)に供給し、吸入空気と混合するように構成することもできる。
【0018】
―プラズマ生成器―
プラズマ生成器3は、電磁波を発信する電磁波発信器MWと容量結合した共振構造からなる昇圧手段5、接地電極(ケース51の先端部51a)及び放電電極55aを一体的に形成している。そして、昇圧手段5により、接地電極(先端部51a)、放電電極55a間の電位差を高め(高電圧を発生させ)放電を生じさせるようにしている。なお、断面図のハッチング部は金属、クロスハッチング部は絶縁体(誘電体)を示す。
【0019】
昇圧手段5は、入力部の中心電極53、出力部の中心電極55、結合部の電極54及び絶縁体59(誘電体)から構成される。中心電極53、中心電極55、電極54及び絶縁体59は、ケース51内に同軸状に収納されているが、これに限定されるものではない。絶縁体59は、本実施形態においては、絶縁体59a、絶縁体59b及び絶縁体59cの分割構造としているが、これに限られるものではない。絶縁体59aは、入力端52及び入力部の中心電極53の一部をケース51と絶縁する。絶縁体59bは、入力部の中心電極53と結合部の電極54とを絶縁するとともに、両電極を容量結合する。絶縁体59cは、結合部の電極54とケース51と絶縁するとともに、出力部の中心電極55の軸部55bとケース51を絶縁し、共振空間を形成する。また、放電電極55aの位置決めを行う機能も有する。
【0020】
出力部の中心電極55の放電電極55aは、軸部55bを介して結合部の電極54と電気的に結合されている。入力部の中心電極53は、電磁波発振器MWと入力端52を介して電気的に接続されている。
【0021】
結合部の電極54は有底の筒状で、電極54の筒状部分の内径、中心電極53の外径及び中心電極53の先端部と電極54の筒状部分との結合度(距離L)によって結合容量C1が決定される。結合容量C1の調整のため、中心電極53は軸芯方向に移動可能に、例えば、ねじ調整可能なように配設することができる。また、電極54の開放端部を斜めに切断することで結合容量C1の調節を容易に行うこともできる。
【0022】
共振容量C2は、結合部の電極54とケース51によって形成されるコンデサC
2による接地容量(浮遊容量)である。共振容量C2は、電極54の筒状長さ、外径、ケース51の内径(電極54を覆う部分の内径)、電極54とケース51との間隙(電極54を覆う部分の間隙)及び絶縁体(誘電体)59cの誘電率によって決定される。コンデサC
2の部分の詳細寸法は、電磁波発振器MWから発振される電磁波(マイクロ波)の周波数に合わせて共振するように設計される。
【0023】
共振容量C3は、出力部の中心電極55とケース51の中心電極55を覆う部分によって形成されるコンデサC
3による放電側容量(浮遊容量)である。出力部の中心電極55は、上述したとおり、結合部の電極54の底板中央から延設される軸部55bと軸部55bの先端に形成される放電電極55aとを備えている。放電電極55aは、軸部55bよりも大径である。共振容量C3は、放電電極55a及び軸部55bの長さ、外径、ケース51の内径(中心電極55を覆う部分の内径)、中心電極55とケース51との間隙(ケース51の先端部51aが中心電極55を覆う部分の間隙)、軸部55bを覆う絶縁体(誘電体)59cの厚みや誘電率によって決定される。特に、放電電極55aの外周面と先端部51aの内周面との間隙によって形成される環状部分の面積及び放電電極55aの外周面と先端部51aの内周面との距離が、共振周波数を決定する際の重要な要素となるため、詳細に計算され決定される。
【0024】
昇圧手段5を構成する共振構造は、電極(入力部の中心電極53及び結合部の電極54)とケーシング51との間で構成するコンデサC
2、C
3(
図7に示す等価回路参照)の共振容量C2、C3を、C3に比べてC2が十分に大きく(C2≫C3)なるように各寸法を調整することで構成するようにしている。このように構成することで、電磁波を十分に昇圧し高電圧として、放電(絶縁破壊)を可能とする。
【0025】
本実施形態において、ケース51は、コンデサC2及びコンデサC3の部分を収納する先端ケース部51Aと、この先端ケース部51Aと入力端52とを接続して収納する後端ケース部51Bに分割した例を示すが、これに限られることなく、先端ケース部51Aと後端ケース部51Bとを一体に構成しても構わない。また、本実施形態においては、後端ケース部51Bに、ケーシング10への取り付け用ねじ部を刻設し、工具嵌合用の六角面を形成した例を示すがこれに限られるものではない。
図3(b)に示すように構成することで、点火装置としてのプラズマ生成器3の外径は5mm程度とすることが可能となり、点火装置内蔵インジェクタ1全体をコンパクトに構成することができる。
【0026】
放電電極55aは軸部55bに対して、軸方向に移動可能に配設することが好ましいが、軸部55bと一体的に形成しても構わない。また、放電電極55aは外径の異なる複数種類を用意して共振容量C3を調整することもできる。具体的には、軸部55bの先端に雄ねじ部を形成し、放電電極55aの底面に、軸部55bの雄ねじ部に対応した雌ねじ部を形成する。また、放電電極55aとケース51の先端部51a内面との距離を軸方向と直交する方向で異なるように、放電電極55aの周面の形状を波形に構成したり、放電電極55aの形状を球状体、半球状体又は回転楕円体形状としたりすることもできる。この放電電極55a及びケース51の先端部51a内面(接地電極)が放電部6を構成し、放電電極55aとケース51の先端部51a内面(接地電極)とのギャップで放電が生じる。
【0027】
放電部6を構成する放電電極55aは、放電を確実に行うようにするために、
図4(a)〜(b)に示すように、ティアドロップ形状、楕円形状とし、軸部55bに対して偏芯して取り付けたり、
図4(c)に示すように、外周形状を連続した凹凸形状としたりすることができる。これによって、ケース51の先端部51aの内周面と放電電極55aの尖頭部との間で確実に放電が生じる。なお、この様な形状としたときも放電電極55aの外周面と先端部51aの内周面との間隙によって形成される環状部分の面積及び放電電極55aの外周面と先端部51aの内周面との距離が、共振周波数を決定する際の重要な要素となるため、環状部分の面積及び放電電極55aの外周面と先端部51aの内周面との距離は詳細に計算される。
【0028】
このように、放電ギャップを部分的に短くすることで、高気圧下において、低電力で放電が可能となる。本発明者らの実験によると、放電電極55aが円筒形でケース51と同軸の場合、8気圧において840Wで放電するものの、9気圧では1kWでも放電しなかったものが、放電ギャップを部分的に短くした形状の場合、15気圧では500Wで放電することが確認できた。また、1.6kWの出力とすれば40気圧以上でも放電することが確認できた。
【0029】
−点火装置の動作−
点火装置としてのプラズマ生成器3のプラズマ生成動作について説明する。プラズマ生成動作では、放電部6からの放電により、放電部6の近傍にプラズマが生じ、燃料噴射弁2から噴射される燃料が点火する。
【0030】
具体的なプラズマ生成動作は、まず制御装置(図示省略)が、所定周波数fの電磁波発振信号を出力する。この発信信号は燃料噴射装置2への燃料噴射信号と同期(燃料噴射信号の発信後、所定時間経過したタイミング)して、発信される。電磁波用電源(図示省略)から電力の供給を受ける電磁波発振器MWは、このような電磁波発振信号を受けると、所定の設定時間に亘って周波数fの電磁波パルスを所定のデューティー比で出力する。電磁波発振器MWから出力された電磁波パルスは、共振周波数がfであるプラズマ生成器3の昇圧手段5により、高電圧となる。高電圧になる仕組みは、上述したように、共振容量(浮遊容量)C2、C3を、C3に比べてC2が十分に大きくなるように構成するとともに、中心電極55とケース51との浮遊容量C3及び結合部の電極54とケース51との浮遊容量C2が、コイル(軸部55b(等価回路のL1)が相当)と共振するように構成しているためである。そして、昇圧された電磁波が放電電極55aとケース51の先端部51a内面(接地電極)との間で放電を起こし、スパークが生じる。このスパークにより、プラズマ生成器3の放電部6の近傍で生成されるガス分子から電子が放出され、プラズマが生成され、燃料が点火する。なお、電磁波発信器MWからの電磁波は、連続波(CW)であっても構わない。
【0031】
このとき、プラズマ生成器3を、ケーシング10内に放電部6が、燃料噴射装置2の軸心と同軸の円周上に位置するよう複数配設することで、点火装置内蔵インジェクタ1全体の小型化を図ることができる。このとき、燃料の噴射口2aを燃料噴射装置2の軸心と同軸の円周上に複数開口するとともに、各放電部6の位置を、隣り合う噴射口の間となるように調整することで、放電部6に燃料が直接当たることが無く、また、放電部6が燃料と空気との混合域で放電することとなり、良好な点火を実現する。
【0032】
また、
図5(a)に示すように、燃料噴射装置2及びプラズマ生成器3をケーシング10にそれぞれ1台ずつ配設するように構成することもできる。この際、プラズマ生成器3を、
図2(b)に示すケース51が非分割タイプのものとすることでケーシング10の外径を大幅に小径化することができる。
【0033】
また、当該点火装置内蔵インジェクタ1は、中古車市場の大型ディーゼルエンジントラックの燃料をガス燃料に置き換える用途に好適に用いることができる。この場合、
図5(b)に示すように、例えば、2リッターのディーゼルインジェクタを500ccのガス用インジェクタ(例えばCNGインジェクタ)に交換することで、ケーシング10の外径を元々のエンジンに開口するインジェクタ取付口に、当該点火装置内蔵インジェクタ1をそのまま装着して利用することができる。この際、ケース51が非分割タイプのプラズマ生成器3を用いることで、燃料噴射装置2(500ccガス用インジェクタ)の軸心に対して、所定角度傾斜させてプラズマ生成器3を配設することができる。このように、プラズマ生成器3を傾斜させ燃料の噴射口2aから所定間隔を空けることで燃料の点火効率が安定する。また、プラズマ生成器3はケーシング10の取付口12内を上下方向(取付口12の軸心と平行方向)に移動可能に取り付けて燃料が最適に点火する位置で固定するように構成することが好ましい。
【0034】
また、2リッターのディーゼルインジェクタを500ccのガス用インジェクタに交換することで、制御装置(例えば、ECU)からの燃料噴射量、噴射期間の設定は、トータル噴射量が4倍となるように設定する。設定方法としては単純に噴射期間を4倍にする他、所定間隔をあけて4回に分けて噴射するように設定することもできる。
【0035】
このように、中古車市場の大型ディーゼルエンジントラックの燃料をガス燃料に置き換える用途では、元々の燃料噴射装置より外径が小さい小型の燃料噴射装置2を使用し、本発明のプラズマ生成器3と組み合わせ、これら小型の燃料噴射装置2及びプラズマ生成器3が配設可能な取付口を形成し、シリンダヘッドへの取り付け部Tの外径の寸法Dが元々の燃料噴射装置の外径となるケーシング10を用いることによって、エンジンのシリンダヘッドに追加工を行うことなく燃料を軽油からガスに変更しても良好な燃料点火を行うことができる。
【0036】
−実施形態1の効果−
本実施形態1の点火装置内蔵インジェクタ1は、燃料噴射装置2と点火装置として使用されるプラズマ生成器3とを並列に配置して1のケーシング10内に収納した構造であっても、プラズマ生成器3の外形寸法が小径であり装置全体の外径寸法の大幅なコンパクト化を図ることができる。
【0037】
−実施形態1の変形例1−
実施形態1の変形例1では、点火装置としてのプラズマ生成器3からの放電プラズマに電磁波を供給し、プラズマの維持拡大を行うための電磁波照射アンテナ4を備えている。電磁波照射アンテナ4を配設している以外の構成は実施形態1と同様であり、説明を省略する。
【0038】
この電磁波照射アンテナ4は、
図6(a)に示すようにケーシング10とは別に、例えば内燃機関のシリンダヘッドに取付口を開口して取り付けることもできるが、
図6(b)に示すようにケーシング10に取付口13を開口して取り付けるようにすることが好ましい。この場合、アンテナ用の取付口13は1箇所に限られず複数の箇所に開口することもできる。
【0039】
電磁波照射アンテナ4に供給される電磁波は、プラズマ生成器3に供給される電磁波の反射波を、サーキュレータSを介して供給される。サーキュレータとは、3つ以上の入出力端子を備え、各端子の入出力方向が定まっている回路をいい、本実施形態においては、電磁波発信器MWからの電磁波はプラズマ生成器3へ、プラズマ生成器3からの反射波は電磁波照射アンテナ4に流れるように結線されている。このように、サーキュレータSを用い、プラズマ生成器3の反射波を利用することで、別途、電磁波照射アンテナ4用の電磁波発信器を用意する必要がない。
【0040】
このように、プラズマ生成器3からの反射波を、サーキュレータSを介して照射することで、局所的なプラズマ生成領域に生成されたプラズマを維持、拡大することが可能となり、燃料噴射装置2から噴射された燃料を安定して点火することができる。
【0041】
電磁波照射アンテナ4の長さは、照射する電磁波の周波数をλとした場合、λ/4の整数倍となるように設定することが好ましい。
【0042】
また、電磁波照射アンテナ4用の電磁波発信器を用意して、電磁波照射アンテナ4から電磁波(マイクロ波)を連続波(CW)又はパルス波として放射するようにしても構わない。