特許第6685562号(P6685562)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6685562
(24)【登録日】2020年4月3日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】電話詐欺通報装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/08 20060101AFI20200413BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20200413BHJP
   H04M 11/04 20060101ALI20200413BHJP
   H04M 3/42 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
   G08B25/08 A
   G08B25/04 E
   H04M11/04
   H04M3/42 P
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-166621(P2018-166621)
(22)【出願日】2018年9月6日
(65)【公開番号】特開2020-38593(P2020-38593A)
(43)【公開日】2020年3月12日
【審査請求日】2019年5月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】313007127
【氏名又は名称】桑原 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100077573
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100126413
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 太亮
(72)【発明者】
【氏名】桑原 徹
【審査官】 大橋 達也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−323107(JP,A)
【文献】 特開2015−015530(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2018/0240028(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/00 − H04M 11/00
G08B 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターネットと切り離されている電話回線網と電話機の通信回線とを通って家屋内電話機と外部電話機の間を受送信可能とするための音声データ信号の出入口である信号入出力部と、
予め定められた指定語の群から構成される指定語群のデータを格納する指定語格納部と、
前記信号入出力部で受信した前記音声データ信号を日本語の文章を構成する文字列信号に変換する日本語音声認識部と、
前記日本語音声認識部で変換された文字列信号の中から、前記指定語格納部に格納された指定語群に含まれる指定語のデータに一致する文字列信号を検出する指定語検出手段と、
前記指定語検出手段で検出された指定語の検出回数を計数する指定語カウント手段と、
前記外部電話機から前記家屋内電話機に対して電話がかけられた場合には、前記家屋内電話機が取られたことを識別する受信信号又は前記家屋内電話機から前記外部電話機に対して電話がかけられた場合には、かけられた電話が通話状態となったことを契機とした発信信号を前記信号入出力部が受領したことを契機とし、通話の発信回数と受信回数の合計値を計数する受発信回数カウント手段とを備え、
所定時間内において前記指定語カウント手段で計数された指定語の検出回数の総数が所定値を超えた場合と、所定時間内において前記受発信回数カウント手段で計数された通話の発信回数と受信回数の合計値が所定値を超えた場合の少なくともいずれか一方が満たされた場合に、予め登録された連絡先の電話機に向けて通報信号を発信する登録先通報手段と、を備えることを特徴とする電話詐欺通報装置。
【請求項2】
前記指定語格納部に格納された指定語群のデータを変更する指定語群更新手段を備える、請求項1に記載の電話詐欺通報装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話詐欺通報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
不特定の方に対して対面することなく電話、FAX、メール等の通信手段を使って詐欺を行う特殊詐欺事件が、社会問題化している。特殊詐欺事件には、「振り込め詐欺」と「振り込め類似詐欺」があり、振り込め詐欺には架空請求詐欺などが含まれ、振り込め類似詐欺には架空の有価証券のあっせん等に関する金融商品取引名目の詐欺などが含まれる。こうした詐欺では、高齢者等の弱者が狙われる場合が多く、詐欺を行う際に通信手段のなかでも電話が利用される場合が多い。例えば、振り込め詐欺では、詐欺の実行者が電話で親族、警察官、弁護士等を装い、電話の会話内容で電話の相手を心理的に動揺させ、電話の相手が現金を特定の預金口座等に振り込むように仕向けることが行われる。近年、こうした特殊詐欺の手口が巧妙化しているため、その被害額が増加している。
【0003】
特殊詐欺を抑制するためには、詐欺の実行者が電話で相手に話をする段階で特殊詐欺の危険を察知できることが重要となる。
【0004】
この点、電話詐欺通報装置として、特許文献1には不審会話検出装置が提案されている。この不審会話検出装置は、相手の会話の内容を単語又は文節として切りだして危険類型を推定し、相手の会話の内容から切り出した単語又は文節を組み合わせて作成される文章と、あらかじめ登録されているその危険類型に該当する危険文章とを比較した場合に一致する危険文章があらかじめ定めた閾値の回数出現した場合に、その会話を、特定された危険類型の会話であると判定するように構成されている。
【0005】
この不審会話検出装置によれば、詐欺の実行者によって電話を受けた者が動揺しまっても、電話を受けた者が、この装置によって察知された特殊詐欺の危険を知らせる警報を受領することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−139864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電話を受けた者が詐欺の実行者によって動揺させられてしまうと、冷静な判断をする意識が奪われてしまう虞がある。電話を受けた者が、特許文献1の不審会話検出装置によって特殊詐欺の危険を知らせる警報を受領することができたとしても、それによって電話を受けた者が冷静に警報を受けとることは難しく、特殊詐欺の危険を知らせる警報を有効に活用できているという状態ではない。
【0008】
また、複雑化した新手の詐欺の場合には、複数の詐欺の実行者がグループとなり個々に様々な役割を持って電話をかけてくることがあり、個々の通話では危険類型や危険文章を特定できない虞がある。
【0009】
本発明は、特殊詐欺の危険を知らせる警報を有効に活用できるとともに特殊詐欺の危険を知らせる警報を受領する新手の詐欺の場合にあっても危険を知らせる警報を受領できる可能性を向上させることができる電話詐欺通報装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、
(1)インターネットと切り離されている電話回線網と電話機の通信回線とを通って家屋内電話機と外部電話機の間を受送信可能とするための音声データ信号の出入口である信号入出力部と、予め定められた指定語の群から構成される指定語群のデータを格納する指定語格納部と、前記信号入出力部で受信した前記音声データ信号を日本語の文章を構成する文字列信号に変換する日本語音声認識部と、前記日本語音声認識部で変換された文字列信号の中から、前記指定語格納部に格納された指定語群に含まれる指定語のデータに一致する文字列信号を検出する指定語検出手段と、前記指定語検出手段で検出された指定語の検出回数を計数する指定語カウント手段と、前記外部電話機から前記家屋内電話機に対して電話がかけられた場合には、前記家屋内電話機が取られたことを識別する受信信号又は前記家屋内電話機から前記外部電話機に対して電話がかけられた場合には、かけられた電話が通話状態となったことを契機とした発信信号を前記信号入出力部が受領したことを契機とし、通話の発信回数と受信回数の合計値を計数する受発信回数カウント手段とを備え、所定時間内において前記指定語カウント手段で計数された指定語の検出回数の総数が所定値を超えた場合と、所定時間内において前記受発信回数カウント手段で計数された通話の発信回数と受信回数の合計値が所定値を超えた場合の少なくともいずれか一方が満たされた場合に、予め登録された連絡先の電話機に向けて通報信号を発信する登録先通報手段と、を備えることを特徴とする電話詐欺通報装置、
(2)前記指定語格納部に格納された指定語群のデータを変更する指定語群更新手段を備える、上記(1)に記載の電話詐欺通報装置、を要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、特殊詐欺の危険を知らせる警報を有効に活用できるとともに特殊詐欺の危険を知らせる警報を受領する新手の詐欺の場合にあっても危険を知らせる警報を受領できる可能性を向上させることができる電話詐欺通報装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の電話詐欺通報装置の一実施例を模式的に示すためのブロック構成図である。
図2図2は、本発明の電話詐欺通報装置の一実施例において電話詐欺通報装置の設置状態を説明するための説明図である。
図3図3は、本発明の電話詐欺通報装置の一実施例において受発信回数に基づき特殊詐欺の危険性を判別するフローを説明するフローチャートである。
図4図4は、本発明の電話詐欺通報装置の一実施例において指定語の検出回数に基づき特殊詐欺の危険性を判別するフローを説明するフローチャートである。
図5図5は、本発明の電話詐欺通報装置の他の一実施例を模式的に示すためのブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(電話詐欺通報装置)
本発明は、電話詐欺通報装置1である。図1図2に示すように電話詐欺通報装置1の後述する信号入出力部10の一つの端子6(6b)が、通信回線5を介して、家屋2に設置された電話回線接続部4に接続されている。電話詐欺通報装置1の信号入出力部10の他の一つの端子6(6a)は、通信回線5を介して、家屋2内に配置されている家屋内電話機3に接続される。電話回線接続部4は、電話回線網7に接続されてその電話回線網7から家屋2に向かう家屋外の通信回線5に接続可能とするためのコネクターである。
【0014】
家屋内電話機3は、通信回線5と電話詐欺通報装置1を介して電話回線網7に有線接続されており、外部の電話機8と接続可能な状態となっている。このような家屋内電話機3としては、例えばいわゆる固定型の電話機があげられる。家屋内電話機3には、通信回線5と電話詐欺通報装置1を通じて送信された音声データ信号が送り込まれ、電話機内の音声化処理機構により、音声データ信号が音声化データにされて通話者に音声として伝達されることとなる。
【0015】
(電話回線網7)
電話詐欺通報装置1は、上記したように家屋内電話機3と電話回線網7との間に介在して、家屋内電話機3と電話回線網7の両方に対して通信回線5を介して接続される。このとき、電話回線網7は、インターネット等のデジタルデータ通信回線であってもよいし、インターネット等とは切り離された電話通信回線網であってもよい。コンピュータウイルスなどによるサイバー攻撃や、ハッキングを物理的に防止することができる観点からは、電話回線網7は、インターネット等とは切り離された電話通信回線網であることが好ましい。
【0016】
電話詐欺通報装置1は、図1に示すように、音声認識処理回路モジュール部12と、様々なデータを記憶可能なメモリ部11と、カウンター部13と、制御部14と、発信部15と、信号入出力部10とを備える。なお、電話詐欺通報装置1は、外部電源と接続可能な電源部(図示しない)を備えており、電源部を介して取得された外部電源からの電力に基づいて作動する。また、電話詐欺通報装置1には、日本語音声認識部と指定語格納部と指定語検出手段と指定語カウント手段と受発信回数カウント手段とが備えられており、所定の条件を満たした場合に所定の連絡先に通報信号を発信する登録先通報手段が備えられている。ここに日本語音声認識部と指定語格納部と指定語検出手段と指定語カウント手段と受発信回数カウント手段と登録先通報手段は、後述するように音声認識処理回路モジュール部12とカウンター部13とメモリ部11と制御部14と発信部15と信号入出力部10によって、それぞれ電話詐欺通報装置1に備えられた状態が実現される。
【0017】
電話詐欺通報装置1のメモリ部11には、指定語の群で構成される指定語群のデータが記憶されており、これにより電話詐欺通報装置1に指定語格納部が備えられた状態が形成される。メモリ部11に記憶された指定語群のデータは、指定語の文字列データの群で形成される。メモリ部11に記憶格納される指定語の文字列データとしては、例えば、事実情報に関連付けられた指定語に対応する事実系文字列データと金融情報に関連付けられた指定語に対応する金融系文字列データなどがあげられる。事実情報に関連付けられた指定語としては、事故、会社、お金、相手、警察、上司、部下、同僚、コンビニ、今日中、短期、皆さん、先着、限定、プレゼント、当選、確実、宅配便、郵送、契約など金銭を要求する理由につながる事実に関連する言葉があげられる。金融情報に関連付けられた指定語としては、賠償金、元金、元本、保証、高金利、高利回り、年利、銀行、保険、投資などが挙げられる。これらの指定語は、あらかじめ選択される。この例では、指定語群のデータは、事実系文字列データの群と金融系文字列データの群とで構成されることとなる。なお、メモリ部11には、上記した指定語群のデータの他、発信回数と受信回数の合計値、指定語の検出回数が記憶される。発信回数と受信回数の合計値と指定語の検出回数は、初期状態では、ゼロである。また、電話詐欺通報装置1は、通報信号を発信する宛先となる連絡先、通報信号を発信するか否かを区分する閾値となる受発信回数閾値と指定語検出回数閾値、受発信回数の加算及び指定語の加算を連続して続ける時間(1タームの時間)それぞれに対応するデータがメモリ部11に記憶されている。電話詐欺通報装置1には、メモリ部11に記憶されている連絡先、受発信回数閾値、指定語検出回数閾値、1タームの時間に対応するデータを入力可能な入力手段が備えられており、連絡先、受発信回数閾値、指定語検出回数閾値、1タームの時間は、入力手段から入力されたデータの内容に応じて適宜変更可能である。
【0018】
日本語音声認識部は、通話信号に基づく音声情報から文字情報を抽出して該文字情報に対応する文字列データを生成することで、通話中の音声信号を日本語の文章を構成する文字列信号に変換する。このような日本語音声認識部としては、音声化データを文字列データ化する処理を行うソフトウェアを搭載した回路モジュールからなる音声認識処理回路モジュール部12を適宜備えることで具体的に実現することができる。
【0019】
受発信回数カウント手段と指定語カウント手段は、それぞれ所定の条件に応じて回数をカウントするカウンター部13を用いて構成される。登録先通報手段は、予め記録された発信先に通信信号を発信する発信部15を用いて構成される。カウンター部13は、従前より公知のカウンター回路を適宜実装すること実現することができる。
【0020】
電話詐欺通報装置1の制御部14は、音声認識処理回路モジュール部12、メモリ部11、カウンター部13、発信部15といった各部の動作を制御し、具体的には例えば中央演算処理装置(CPU)などで実現される。また、信号入出力部10は、電話回線網7と通信回線5を通って電話機3と電話機8の間でやり取りされる音声データ信号を電話詐欺通報装置1において受送信可能とするためのデータ信号の出入口である。
【0021】
電話詐欺通報装置1の作動機構について、次に図2図3及び図4を参照しながら説明する。電話詐欺通報装置1は、次のように受発信回数や指定語の検出回数に基づき特殊詐欺の危険性があることを検出して、登録された連絡先への通報を実施する。
【0022】
(電話詐欺通報装置1の作動機構)
電話詐欺通報装置1は、信号入出力部10で、外部の電話機8からの電話を受けることになる対象者が家屋2で使用する電話機(家屋内電話機3)に対し、電話回線網7から通信回線5を伝って送信されてくる音声データ信号(外部由来音声データ信号)と、家屋内電話機3の受話器から対象者の話した言葉に対応した音声データであり通信回線5を伝って電話回線網7を経由して外部の電話機8へと流れでる音声データ信号(家屋由来音声データ信号)とを受信する。
【0023】
電話詐欺通報装置1では、外部の電話機8から家屋内電話機3に対して電話がかけられた場合には、対象者が家屋内電話機3を取ったことを識別する受信信号が信号入出力部10で受けとられ、家屋内電話機3から外部の電話機8に対して電話がかけられた場合には、対象者からかけられた電話が通話状態となったことを契機とした発信信号が信号入出力部10で受け取られる。電話詐欺通報装置1は、制御部14で、受信信号と発進信号の受信を認識する。対象者が電話機を取ったことや対象者からかけられた電話が通話状態となったことの認識は、例えば、電話の受話器のオンフックとオフフックを認識する信号を制御部14で認識することにより具体的に実現することができる。
【0024】
(受発信回数のカウント)
電話詐欺通報装置1では、図3に示すように、信号入出力部10が受信信号を受領したことを契機として受発信回数カウント手段が次のように機能して受発信回数のカウントが実施される。すなわち、信号入出力部10が受信信号を受領したことを契機として(ステップS101)、制御部14が、メモリ部11に記憶された発信回数と受信回数の合計値(受発信回数)を読み出し、その受発信回数に1加算された数値(加算後受発信回数値)をカウンター部13で生成させる(ステップS102)。生成された加算後受発信回数値は、受発信回数カウント手段で計数された通話の発信回数と受信回数の合計値に対応する。そして制御部14は、加算後受発信回数値に対応するデータを、メモリ部11で新たな発信回数と受信回数の合計値として更新記憶させる。この受発信回数カウント手段は、信号入出力部10が発信信号を受領した場合においても機能し、受発信回数のカウントが実施される。このような受発信回数のカウントは、1タームの時間として予め設定された所定時間の間、同一のタームの間は継続して加算されつづける。例えば、1タームの時間が24時間であれば、1タームの開始から終了するまでの24時間の間が同一のタームとなり、その同一タームの間、受発信回数は、加算カウントされ続ける。
【0025】
そして制御部14は、1タームの時間として予め設定された所定時間内において受発信回数カウント手段で計数された通話の発信回数と受信回数の合計値を示す加算後受発信回数値が予め記憶された所定値(受発信回数閾値)を超えた場合に(ステップS103においてYes)、予め登録された連絡先に向けて通報信号を発信させるための命令信号を発信部15に送信する。発信部15で命令信号が受領されると発信部15から登録された連絡先に向けて通報信号が発せられる(ステップS104)。信号入出力部10から通信回線5を伝って通報信号が出力されることを契機として、登録された連絡先の電話機に接続される。こうして、電話詐欺通報装置1は、所定期間内で計数された通話回数が所定の条件を満たす場合に登録された連絡先への通報を行うように構成されることとなる。なお、同一のターム内において受発信回数カウント手段で計数された通話の発信回数と受信回数の合計値を示す加算後受発信回数値が受発信回数閾値以下である場合には(ステップS103においてNo)、ステップS101の前に戻る。そして、新たに信号入出力部10が受信信号を受領した場合に、その新たな受信信号の受領を契機として受発信回数のカウントが実施される。
【0026】
(指定語のカウント)
電話詐欺通報装置1では、指定語のカウントが次のように実施される。まず、制御部14は、受信した外部由来音声データ信号や家屋由来音声データ信号といった音声データ信号を音声認識処理回路モジュール部12に送り、図4に示すように、音声認識処理回路モジュール部12で音声データ信号に対応する文字列信号や家屋由来音声データ信号に対応する文字列信号を生成する(ステップS111)。
【0027】
次に、電話詐欺通報装置1では、指定語の識別処理が行われる。まず制御部14は、生成した文字列信号と、メモリ部11に格納された指定語に対応する文字列データとを対比して、文字列信号の中に、指定語に対応する文字列データのいずれかと一致するものがあるかどうかを判定する(ステップS112)。一致するものがあると判断された場合には(ステップS112においてYes)、指定語カウント手段が次のように機能する。すなわち、制御部14が、メモリ部11から記憶された指定語の検出回数を読み出し、その記憶された指定語の検出回数に1加算された数値をカウンター部13で生成させる(ステップS113)。生成された数値(加算後指定語検出回数値)は、同一のターム内の時間での指定語の検出回数の総数に対応する。指定語のカウントは、同一のタームの間、継続して加算されつづける。なお、文字列信号の中に、指定語に対応する文字列データのいずれにも一致しないと判断された場合には(ステップS112においてNo)、ステップS111の前に戻る。そして、新たにステップS111が実施される。
【0028】
制御部14は、メモリ部11に記憶された指定語の検出回数に1加算された数値(加算後指定語検出回数値)を、新たな指定語の検出回数としてメモリ部11に更新記憶させる。また、制御部14は、同一のターム内において加算後指定語検出回数値が予め設定された所定値(指定語検出回数閾値)を超えた場合に(ステップS114においてYes)、予め登録された連絡先に向けて通報信号を発信させるための命令信号を発信部15に送信する。発信部15で命令信号が受領されると発信部15から登録された連絡先に向けて通報信号が発せられる(ステップS115)。信号入出力部10から通信回線5を伝って通報信号が出力されることを契機として、登録された連絡先の電話機に接続される。こうして、電話詐欺通報装置1は、同一のタームの時間内で計数された指定語の回数が所定の条件を満たす場合に登録された連絡先への通報を行うように構成されることとなる。なお、所定時間内において加算後指定語検出回数値が指定語検出回数閾値以下である場合(ステップS114においてNo)、ステップS111の前に戻る。そして、新たにステップS111が実施される。
【0029】
(発信回数と受信回数の合計値と指定語の検出回数の初期化)
上記の例では、発信回数と受信回数の合計値、指定語の検出回数は、初期値ゼロから予め設定された1タームの時間となる所定時間の間、継続して加算され続ける。そして、単位時間ごとに、発信回数と受信回数の合計値、指定語の検出回数の値はゼロに更新され、初期化状態となる。本発明は、この例に限定されず、発信回数と受信回数の合計値、指定語の検出回数の値は、対象者が登録された連絡先からの電話連絡を受け取った場合に初期化されてもよい(ゼロにリセットされてもよい)。これは、次のように実施することができる。まず登録された電話番号に対応する電話機から家屋内電話機3に対して電話がかけられた場合に対象者が家屋内電話機3を取ったことを識別する受信信号が信号入出力部10で受けとられる。そして、このとき、制御部14は、メモリ部11に記憶された発信回数と受信回数の合計値、指定語の検出回数の値を、ゼロに変更させる。
【0030】
(指定語群更新手段)
電話詐欺通報装置1には、指定語格納部に格納された指定語群を変更する指定語群更新手段を備えることが好ましい。指定語群更新手段は、メモリ部11に格納記憶された指定語群のデータを変更する手段である。指定語群のデータの変更は、更新された指定語群のデータがメモリ部11に格納されることで実現することができる。更新された指定語群のデータは、すでに記憶された指定語と新たに加えられた指定語をあわせた指定語群のデータで構成される。このような指定語群のデータの変更は、例えば、メモリ部11を構成する部品自体を差し替えることで実現することができる。図1の例に示す電話詐欺通報装置1においては、メモリ部11が、着脱自在なメモリ部品(着脱自在型メモリ部品16)で構成されている。そして、メモリ部11に格納された指定語群のデータを変更する際には、この着脱自在型メモリ部品が交換されるのである。したがって、電話詐欺通報装置1がメモリ部品16を着脱自在に備えることで、指定語群更新手段を電話詐欺通報装置1に搭載することができる。具体的には、着脱自在型メモリ部品として、更新された指定語群を記憶した交換用メモリ部品が準備され、電話詐欺通報装置1に取り付けられている着脱自在型メモリ部品が交換用メモリ部品に取り換えられる。
【0031】
(指定語群更新手段の他例)
上記では、メモリ部11が着脱自在型メモリ部品16で構成される場合を例として、指定語群更新手段が説明された。メモリ部11は、この例に限定されず、例えば、図5に示すように電話詐欺通報装置1の内部に搭載された固定型メモリ部品17で構成されていてもよい。電話詐欺通報装置1の内部に搭載された固定型メモリ部品17で構成されている場合においても、電話詐欺通報装置1に指定語群更新手段を搭載することが可能である。この場合、電話詐欺通報装置1において、図5に示すように、固定型メモリ部品17に記憶されたデータに対して外部からアクセス可能とする通信インターフェイス18が搭載されている。そして、電話詐欺通報装置1において、指定語群のデータの変更は、次のように実施される。更新された指定語群のデータを格納したコンピュータ装置等のハードウェアを通信インターフェイス18に接続する。ハードウェアから通信インターフェイス18を介して、更新された指定語群のデータが固定型の電話詐欺通報装置1にむけて送信され、これら更新された指定語群のデータが固定型メモリ部品17に記憶される。これにより、メモリ部11に格納された指定語群のデータを変更することができる。したがって、電話詐欺通報装置1が固定型メモリ部品17を備え且つ固定型メモリ部品17に記憶されたデータに対して外部からアクセス可能とする通信インターフェイス18が搭載されていることで、指定語群更新手段を電話詐欺通報装置1に搭載することができるのである。
【0032】
特殊詐欺での電話のやりとりがなされる場合、限られた時間内に詐欺の実行者・集団から対象者に対して多くの電話連絡がなされることが多く、限られた時間内での通話回数が増えることが多いとされている。この点、本発明の電話詐欺通報装置1によれば、例えば家屋内電話機の使用者による日常的な通話回数を受発信回数閾値として設定されていることで、限られた期間内に家屋内電話機の使用回数が日常時に比べて急に多くなっていることが検出できるようになる。このことから、使用者が特殊詐欺に遭遇している危険性があることを検出できるようになる。
【0033】
また、特殊詐欺での電話のやりとりがなされる場合、詐欺の実行者・集団と対象者との会話の中で、金銭のやりとりに関わる言葉を使った会話が頻繁になされることが多いとされている。この点、本発明の電話詐欺通報装置1によれば、例えば家屋内電話機の使用者による日常的な通話のなかで金銭のやりとりに関わる言葉を使用する回数を指定語検出回数閾値として設定されていることで、限られた期間内に家屋内電話機での通話のなかで金銭のやりとりに関わる言葉を使用する回数が日常時に比べて急に多くなっていることが検出できるようになる。これにより、使用者が特殊詐欺に遭遇している危険性があることを検出できるようになる。
【0034】
そして、本発明の電話詐欺通報装置1によれば、このような特殊詐欺の危険性が検出された場合に、登録先通報手段で予め登録された連絡先に向けて発信されることから、家屋内電話機の使用者以外の者に、使用者の現状況を知らせることができる。
【0035】
このように、本発明の電話詐欺通報装置1によれば、同一のタームとなる所定時間内において指定語カウント手段で計数された指定語の検出回数の総数が所定値を超えた場合と、同一のタームとなる時間内において受発信回数カウント手段で計数された通話の発信回数と受信回数の合計値が所定値を超えた場合の少なくともいずれか一方が満たされた場合に、登録先通報手段で予め登録された連絡先に向けて発信されることから、特殊詐欺の危険を知らせる警報を有効に活用できるとともに特殊詐欺の危険を知らせる警報を受領する新手の詐欺の場合にあっても危険を知らせる警報を受領できる可能性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0036】
1 電話詐欺通報装置
2 家屋
3 家屋内電話機
4 電話回線接続部
5 通信回線
6、6a、6b 端子
7 電話回線網
8 外部の電話機
10 信号入出力部
11 メモリ部
12 音声認識処理回路モジュール部
13 カウンター部
14 制御部
15 発信部
16 着脱自在型メモリ部品
17 固定型メモリ部品
18 通信インターフェイス
図1
図2
図3
図4
図5