(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6685575
(24)【登録日】2020年4月3日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】レール監視装置
(51)【国際特許分類】
B61L 23/04 20060101AFI20200413BHJP
B61D 15/00 20060101ALI20200413BHJP
B61D 37/00 20060101ALI20200413BHJP
B61K 13/00 20060101ALI20200413BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
B61L23/04
B61D15/00 B
B61D37/00 G
B61K13/00 A
H04N7/18 J
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-15673(P2016-15673)
(22)【出願日】2016年1月29日
(65)【公開番号】特開2017-132416(P2017-132416A)
(43)【公開日】2017年8月3日
【審査請求日】2017年10月23日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 集会名 第3回 平成27年鉄道施設技術発表会 開催場所 ホテルメトロポリタン池袋 開催日 平成27年 7月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】390007607
【氏名又は名称】大鉄工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】516030465
【氏名又は名称】株式会社サンテック
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 生吾
(74)【代理人】
【識別番号】100166659
【弁理士】
【氏名又は名称】楠 和也
(72)【発明者】
【氏名】安田 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】栗林 広
(72)【発明者】
【氏名】安田 裕也
(72)【発明者】
【氏名】森田 貢
(72)【発明者】
【氏名】坂本 士
(72)【発明者】
【氏名】橘 航平
【審査官】
清水 康
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2014/0209757(US,A1)
【文献】
特開2003−002200(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/146167(WO,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第01970279(EP,A1)
【文献】
特開平10−016777(JP,A)
【文献】
特開2012−030627(JP,A)
【文献】
特開2009−023565(JP,A)
【文献】
特開2004−276757(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0186692(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 23/00 − 23/34
B61D 15/00
B61D 37/00
B61K 13/00
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レール上を走行する走行車に搭載されたカメラ(22)によって該レールを撮影するレール監視装置であって、
運転席(2)が設置された運転車両(3)及び該運転車両(3)に連結される一又は複数の連結車両(4)を有し且つレール上を走行する前記走行車に設置されたカメラ(22)及びモニタ(17)と、
前記カメラ(22)で撮影した画像を前記モニタ(17)に表示させるように両者を無線又は有線で接続する接続装置(16,23)とを備え、
前記モニタ(17)は、上記運転席(2)側に配置され、
前記カメラ(22)は、上記運転車両(3)の前進方向側に連結された連結車両(4)中の最前方位置に位置する連結車両である監視側連結車両(4A)に配置され、
該カメラ(22)は、その撮影方向が前進方向に向けられた姿勢で、監視側連結車両(4A)における前進方向側の端部側に着脱可能に設置されることにより進行方向のレールを撮影するように構成され、
前記モニタ(17)は、オペレータが推進運転時に表示窓(15)を介して進行方向の監視側連結車両(4A)を目視した際に同時に目視可能な位置に設置された
ことを特徴とするレール監視装置。
【請求項2】
前記カメラ(22)の撮影方向を照らす照明装置(36)を設け、
前記カメラ(22)と、前記照明装置(36)とを、左右に分けて配置することにより、前記照明装置(36)は、前記カメラ(22)による撮影方向を左右方向反対側から照らすように構成した
請求項1に記載のレール監視装置。
【請求項3】
前記カメラ(22)は、上記監視側連結車両のシャーシー側に設置された
請求項1又は2の何れかに記載のレール監視装置。
【請求項4】
前記カメラ(22)は、上記監視側連結車両(4A)の他の連結車両との連結部(8)に設置された
請求項1乃至3の何れかに記載のレール監視装置。
【請求項5】
前記カメラ(22)は、該カメラ(22)を駆動させる電源装置(24)と共にユニット化された状態で、着脱可能に監視側連結車両に設置された
請求項1乃至4の何れかに記載のレール監視装置。
【請求項6】
運転車両(3)に搭載された発電装置(7)からの電力を、カメラ(22)の電源装置(24)に送電する送電回路(9)を、運転車両(3)及び連結車両(4)に設けた
請求項5の記載のレール監視装置。
【請求項7】
前記接続装置(16,23)は、運転車両(3)側に設置された運転席側無線装置(16)と、監視側連結車両(4A)に設置され且つ運転席側無線装置(16)と無線通信可能な監視側無線装置(23)とを有する
請求項1乃至6の何れかに記載のレール監視装置。
【請求項8】
前記運転席側無線装置(16)と、前記監視側無線装置(23)とを、車両側に着脱自在に固定するマグネット固定部(19)を設けた
請求項7に記載のレール監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転席側からレールを監視できるレール監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レール上を走行する運転車両と、進行方向のレールを撮影するカメラと、前記運転車両の運転席側に配置されて前記カメラによって撮影された映像を表示するモニタとを備え、オペレータが運転席側からカメラで撮影したレールの状態をモニタによって監視できる特許文献1に記載のレール監視装置が従来公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−2200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献のレール監視装置は、運転車両中のモニタを介してオペレータが運転席側からレールの分岐状態等を視認することによって、分岐部を走行する際の脱線等を防止することができるものであるが、運転車両の前方又は後方に一又は複数の連結車両が連結された状態で、連結車両を先頭にして走行する推進運転をする場合には、進行方向のレールの状態を確認し難い場合があるという課題があった。
【0005】
本発明は、運転車両に一又は複数の連結車両を連結し、連結車両を先頭にした状態で走行する場合であっても、モニタを介してオペレータが運転席側から進行方向のレールの状態を容易に確認できるレール監視装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、第1に、レール上を走行する走行車に搭載されたカメラ22によって該レールを撮影するレール監視装置であって、運転席2が設置された運転車両3及び該運転車両3に連結される一又は複数の連結車両4を有し且つレール上を走行する前記走行車に設置されたカメラ22及びモニタ17と、前記カメラ22で撮影した画像を前記モニタ17に表示させるように両者を無線又は有線で接続する接続装置16,23とを備え、前記モニタ17は、上記運転席2側に配置され、前記カメラ22は、上記運転車両3の前進方向側に連結された連結車両4中の最前方位置に位置する連結車両である監視側連結車両4Aに配置され、該カメラ22は、その撮影方向が前進方向に向けられた姿勢で、監視側連結車両4Aにおける前進方向側の端部側に
着脱可能に設置されることにより進行方向のレールを撮影するように構成され、前記モニタ17は、オペレータが推進運転時に表示窓15を介して進行方向の監視側連結車両4Aを目視した際に同時に目視可能な位置に設置されたことを特徴としている。
【0007】
第2に、 前記カメラ22の撮影方向を照らす照明装置36を設け、前記カメラ22と、前記照明装置36とを、左右に分けて配置することにより、前記照明装置36は、前記カメラ22による撮影方向を左右方向反対側から照らすように構成したことを特徴としている。
【0008】
第3に、前記カメラ22は、上記監視側連結車両のシャーシー側に設置されたことを特徴としている。
【0009】
第4に、前記カメラ22は、上記監視側連結車両4Aの他の連結車両との連結部8に設置されたことを特徴としている。
【0010】
第5に、前記カメラ22は、該カメラ22を駆動させる電源装置24と共にユニット化された状態で、着脱可能に監視側連結車両に設置されたことを特徴としている。
【0011】
第6に、運転車両3に搭載された発電装置7からの電力を、カメラ22の電源装置24に送電する送電回路9を、運転車両3及び連結車両4に設けたことを特徴としている。
【0012】
第7に、前記接続装置16,23は、運転車両3側に設置された運転席側無線装置16と、監視側連結車両4Aに設置され且つ運転席側無線装置16と無線通信可能な監視側無線装置23とを有することを特徴としている。
【0013】
第8に、前記運転席側無線装置16と、前記監視側無線装置23とを、車両側に着脱自在に固定するマグネット固定部19を設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
前記カメラを監視側連結車両における運転車両から遠い側の端部側に設置したことにより、運転車両に一又は複数の連結車両を連結した状態で、運転車両を先頭としない推進運転をする場合であっても、オペレータはカメラで撮影されたレールの状態を運転席側のモニタにより視認できるため、監視側連結車両に監視者を用意することなく、レールの分岐状態等を確認することができる。
【0015】
また、前記カメラは、上記監視側連結車両のシャーシー側に設置されたものによれば、カメラを安定した状態で設置できるとともに、レールとの間に遮蔽物のない近い位置に配置できるため、進行方向のレールを明確に撮影できる。
【0016】
また、前記カメラは、上記連結側連結車両の他の連結車両との連結部に設置されたものによれば、カメラが監視側連結車両の端部側で且つレールの真上に配置されるため、レールの状態を鮮明に撮影することができる。
【0017】
なお、前記モニタは、運転席から監視側車両を目視した場合に、併せて目視可能な状態で、該運転席に設置されているものによれば、オペレータが運転車両の運転とモニタによるレールの目視とを同時且つスムーズに行うことができる。
【0018】
また、前記カメラは、該カメラを駆動する電源装置と共にユニット化された状態で、着脱可能に監視側連結車両に設置されたものによれば、カメラの監視側連結車両側への設置作業がよりスムーズになる。
【0019】
また、運転車両に搭載された発電装置から電力を、カメラの電源装置に送電する送電回路を、運転車両及び連結車両に設けたものによれば、カメラ用の電源を別途に用意する必要がないため、部品点数を削減することができる。
【0020】
なお、前記接続装置は、運転車両側に設置された運転席側無線装置と、監視側車両に設置され且つ運転席側無線装置と無線通信可能な監視側無線装置とを有するものによれば、前記運転車両と、監視側連結車両との距離によらず、カメラの撮影画像をモニタ側に出力することができる。
【0021】
また、前記運転席側無線装置と、監視側無線装置とに、走行車側に着脱自在に固定可能なマグネット固定部を設けたものによれば、各無線装置間の送受信を良好にするための取付位置の調整が容易となる。
【0022】
また、前記カメラの撮影方向を照射する照明装置を設けたものによれば、夜間に走行する際のレールの視認性が向上する。
【0023】
なお、前記カメラは、左右一方側のレール上方側から撮影するように配置され、前記照明装置は、左右他方側のレール上方側から撮影方向を照らすように配置されたものによれば、夜間走行時にカメラによって撮影されるレールが照明によって白くぼやけ難くなり、より鮮明に映るようになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本願のレール監視装置が搭載された走行車を示した図である。
【
図5】(A)及び(B)は、撮影ユニットの取付態様を示した要部側面図である。
【
図6】(A)及び(B)は、撮影ユニットの取付状態を示した正面図及び平面図である。
【
図7】(A)は、表示窓からの進行方向を見た状態を示した図であり、(B)は、レール監視装置のモニタの状態を示した図である。
【
図8】(A)乃至(C)は、推進走行時のレールの分岐状態を示した図である。
【
図9】撮影ユニットの別実施例を示した正面図である。
【
図10】運転車両に連結車両が連結された構成を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図示する例に基づき本発明の実施形態について説明する。
図1は、本願のレール監視装置が搭載された走行車を示した図であり、
図2は、レール監視装置の構成を示した図であり、
図3は、表示ユニットを示した図であり、
図4は、撮影ユニットを示した斜視図である。図示する例より、本願のレール監視装置が搭載される走行車は、オペレータが搭乗する運転席2を備えてレール上を走行する保守用車等である運転車両3と、該運転車両3の前方又は後方に連結されてレール上を走行する一又は複数の連結車両4とから構成されている。
【0026】
前記運転車両3は、レール(線路)上を走行し、作業員がレール又は枕木の交換や点検作業、架線の張替え作業や点検作業等の保守作業を行うための車両である。該運転車両3は、エンジン(図示しない)と、該エンジンにより発電されるオルタネータ7(発電機)とを備え、架線からの電力供給なしで走行することができる。
【0027】
また、該運転車両3の前後端には、前記連結車両4が連結される連結部8が設けられており、一又は複数の連結車両4が連結可能に構成されている。該運転車両3は、運転車両3を先頭にして連結車両4を引張るように走行する牽引運転や、運転車両3に連結車両を連結した状態で連結車両4を後から押しながら走行する推進運転をすることができる(
図1参照)。
【0028】
前記連結車両4は、前後端の連結部8を介して運転車両3側に連結されることによって、積載された枕木や資材、重機等を運搬することができる(
図10参照)。また、各連結車両4は、資材等の積載に使用可能なクレーン11や、照明10などが設けられている。
【0029】
上記の運転車両3及び連結車両4には、前記オルタネータ7で発電された電力を供給するため送電回路9が設けられており、架線側から電力供給を受けることなく、運転車両3側で発電された電力によって前記クレーン11や照明10、前記レール監視装置を駆動させることができる(
図2参照)。
【0030】
ちなみに、上記の走行車には、運転車両3の進行方向に連結された連結車両4中の進行方向端部側の連結車両(以下、監視側連結車両4A)と、運転車両3の運転席2側とに、オペレータがレールの状態を運転席2側から監視(視認)するためのレール監視装置が設置されている。該レール監視装置について以下説明する。
【0031】
前記レール監視装置は、
図1及び
図2に示されるように、前記監視側連結車両4Aの運転車両3から遠い側の連結部8に設置されて、進行方向のレールを撮影する撮影ユニット12と、前記運転車両3の運転席2側に設置されて、撮影ユニット12で撮影された映像を出力(表示)する表示ユニット13とから構成されている。
【0032】
前記表示ユニット13は、制御部14と、前記撮影ユニット12で撮影された映像を出力するモニタ17と、該モニタの背面側に設けられて前記撮影ユニット13側から送信された電波を受信する運転席側無線装置(接続装置)16と、電源ユニットと20を備え、前記運転車両3の運転席2側に設置されている。
【0033】
前記モニタ17は、運転席2側から監視側連結車両4Aを目視した際に、オペレータが向きを変えることなくほぼ同時に目視可能な位置に着脱可能に設置されている。図示する例では、進行方向の表示窓15の右上方側に設定されている。これにより、オペレータは推進運転時に表示窓15を介して進行方向を視認しながら目線をモニタ17に移すだけで撮影ユニット12により撮影された映像を確認することができる(
図3及び
図7参照)。
【0034】
前記運転席側無線装置16は、前記モニタ17側に接続されており、電波の送受信を行う運転席側アンテナ18と、該運転席側アンテナ18を運転車両3のフレーム側に着脱可能に固定するためのマグネット固定部19とを備え、運転席側アンテナ18の取付け位置を容易に調整することができるように構成されている。
【0035】
前記撮影ユニット12は、制御部21と、進行方向のレールを撮影するカメラ22と、該カメラ22によって撮影された映像を表示ユニット13側に送信する監視側無線装置(接続装置)23と、前記カメラ22等を駆動させるための電源ユニット24と、前記監視側連結車両4Aの端部側に着脱可能に取付けるための取付体26とを備え、該取付体26側にカメラ22及び電源ユニット24等が一体的に取付けられることでユニット化されている(
図4参照)。
【0036】
前記取付体26は、板状部材を前後方向及び上方側が開放された箱状(上方が解放されたコ字型)に屈曲形成したメインフレーム27と、該メインフレーム27の左右両端(の上端)側を水平方向外側に折曲げ形成した屈曲部28,28と、該屈曲部28の後端側から下方に向って延設形成された左右の位置決め部29,29と、メインフレーム27の左右両壁の上下方向中途部に架け渡されるようにして配置された平行な2枚の板状部材からなるユニット支持部31とから構成されている。
【0037】
上記屈曲部28は、左右一方側(図示する例では右側)がカメラ22の左右幅よりも幅広となるように形成されており、下面側に前記カメラ22が配置されるように取付けられるカメラ取付部28Aを構成している。
【0038】
上記ユニット支持部31には、車両間同士を連結する連結部8側にボルト固定するための固定孔31aが穿設されている。また、該ユニット支持部31を介した監視側連結車両4A側への撮影ユニット12の具体的な着脱態様については後述する。
【0039】
前記カメラ22は、方形状の前記取付体26の左右一方側に配置され、水平方向に突出形成された板状の前記カメラ取付部28Aの下方側に配置した状態でボルト固定されている。該構成により、前記カメラ22が雨風に直接晒されることを防止できるため、基本的に野外で使用されるカメラ22の劣化・損傷を防止することができる。また、該カメラ22は、赤外線カメラを使用することによって、夜間であってもレールを視認可能な状態で撮影することができる。
【0040】
前記電源ユニット24は、前後に長い方形状の収容箱内に変圧器(図示しない)と、監視側連結車両4A側に設けたコンセント35に接続可能なソケット24aとが設けられている(
図3及び
図6(A)参照)。これにより、前記送電回路9を介して監視側連結車両4A側に送電された電力を、撮影ユニット12側で使用できるように変圧している。また、該電源ユニット24は、前記取付体26のメインフレーム27下面側に後方側に突出された状態で取付固定されている。
【0041】
前記監視側無線装置23は、撮影ユニット12側に接続されており、電波を送受信する監視側アンテナ32と、該監視側アンテナ32を監視側連結車両4Aのフレーム側に固定するためのマグネット固定部33とを備えている。すなわち、各アンテナ18,32に設けたマグネット固定部19,33により、監視側アンテナ32と、運転席側アンテナ18とは、互いの間に遮蔽物がないように取付位置を調整することができるため、両無線装置16,23間の電波の送受信がより安定する。
【0042】
ちなみに、図示する例では、撮影ユニット12と表示ユニット13との間は、監視側無線装置23及び運転側無線装置16によって無線接続されているが、有線接続であっても良い。
【0043】
図4乃至
図6に基づき、前記撮影ユニットの取付態様について説明する。
図5(A)及び(B)は、撮影ユニットの取付態様を示した要部側面図であり、
図6(A)及び(B)は、撮影ユニットの取付状態を示した正面図及び平面図である。前記撮影ユニット12は、前記監視側連結車両4Aの運転車両3から遠い側の連結部8に着脱自在に取付けられる。
【0044】
具体的に説明すると、
図5に示されるように、撮影ユニット12が取付けられる前記連結部8は、上下並行に突出形成された2枚の板状部材からなるヒッチ部材8aにより構成されており、撮影ユニット12のメインフレーム27に設けられた前記ユニット支持部31を、上下一対のヒッチ部材8aの間に形成されたスペースに差込むことによって、撮影ユニット12が連結部8側に支持される。
【0045】
言い換えると、2枚の板状部材からなる前記ユニット支持部31の上下幅は、前記連結部8(ヒッチ部材8a)を構成する2枚の板状部材の間に形成されるスペースの上下幅と略同じとなるように構成されている。これにより、ユニット支持部31の上面側と下面側とがヒッチ部材8aの面と当接することによって、撮影ユニット12を左右方向にガタつかない状態で支持することができる。
【0046】
このとき、撮影ユニット12後端の前記位置決め部29,29を監視側連結車両4Aの前面側に当接させることによって、撮影ユニット12を取付固定する位置に位置決めすることができるとともに、該位置決め部29に穿設された複数の取付孔29を介して、位置決め部29を監視側連結車両4Aの前面側にボルト固定することができる(
図5(A)及び(B)参照)。
【0047】
該状態によって、ヒッチ部材8aに穿設された上下方向の固定孔8bと、ユニット支持部31に穿設された固定孔31aとに単一の固定用ボルト34が挿通可能な状態となるため、ユニット支持部31を連結部8側にボルト固定することができるようになる。これにより、撮影ユニット12が前記連結部8に強固に取付固定される。
【0048】
上記により撮影ユニット12が監視側連結車両4Aの連結部8側に取付けられると、前記カメラ22が、監視側連結車両4Aの進行方向端部のレール直上側に配置されるため、カメラ22により撮影される映像にレール以外のものが写ることがなくなり、前記モニタ17に進行方向のレール状態を明確に表示することができる。
【0049】
また、撮影ユニット12を監視側連結車両4Aに取付けたことにより、前記電源ユニット24が取付体26及び監視側車両4Aの下面側に配置されるため、電源ユニット24が雨等に直接晒されることによる、劣化や故障を効率的に防止することができる(
図5(B)参照)。
【0050】
次に、
図7及び
図8に基づき、レール監視装置の使用状態について説明する。
図7(A)は、表示窓からの進行方向を見た状態を示した図であり、
図7(B)は、レール監視装置のモニタの状態を示した図であり、
図8(A)乃至(C)は、推進走行時のレールの分岐状態を示した図である。
【0051】
前記運転車両3は、一又は複数の連結車両4を連結した状態で推進運転する場合には、
図7(A)に示されるように、運転席2から進行方向の表示窓15を確認しても、オペレータはレールの状況を確認することができない。その一方で、
図7(B)に示されるように、撮影ユニット12で撮影された映像を前記モニタ17によって監視することによって、オペレータは、レール分岐部30の分岐状態を運転席2で運転操作しながら確認することができる。
【0052】
すなわち、運転車両3が進行方向に連結車両4が連結された状態で走行する(推進運転する)場合には、通常、監視側連結車両4Aにオペレータとは別途にレール分岐部30の分岐状態を監視する監視者を別途に乗せる必要があるところ、上記構成のレール監視装置を設けたことにより、操縦席2側のオペレータのみでレール分岐部30の分岐状態を監視することができる。また、監視側連結車両4側の監視者を乗せるとともに、上述のレール監視装置を設ければ、レールの状態を二人で監視することができるため、より安全性が向上する。
【0053】
具体的には、レールに設けた分岐部30を介して直線進路と分岐進路とに分岐可能に構成されている場合において、
図8(A)及び(B)に示されるように、レールの分岐が正常な場合には、レール監視装置(及び監視者)によってレール分岐部30のトングレール30aが走行可能な分岐状態であることを確認し、そのまま走行することができる。
【0054】
その一方で、
図8(C)に示されるように、レール分岐部30を走行するにあたり、レール監視装置(及び監視者)によってトングレール30aが走行可能な方向に操作されていない状態であることが確認された場合には、車両がレール分岐部30で脱線してしまうおそれがあるため、オペレータは即座に運転車両3の走行を停止させることができる。
【0055】
以上より、運転車両3及び監視側連結車両4Aに、上記構成のレール監視装置を設けることによって、レール分岐部30での脱線事故をより確実に防止することができる。
【0056】
次に、
図9に基づき、前記撮影ユニットの別実施例について、上記と異なる点について説明する。
図9は、撮影ユニットの別実施例を示した正面図である。図示するように、前記撮影ユニット12は、制御部21と、取付体26と、カメラ22と、監視側無線装置23と、電源ユニット24と、上記カメラ22によって撮影される方向を照らす照明装置36と備えている。
【0057】
前記照明装置36は、メインフレーム27の左右外側に向けて形成された屈曲部28の左右一方側(図示する例では左側)であって、前記カメラ22が取付けられるカメラ取付部28Aの左右方向反対側に配置されている(
図9参照)。また、該照明装置36の電源は上記電源ユニット24から供給可能に構成されている。
【0058】
該構成によれば、照明装置36を設けたことによって、夜間であってもカメラ22で撮影されるレールの映像をより鮮明に表示することができる。また、照明装置36をメインフレーム27介してカメラ22の左右反対側に配置したことによって、照明装置36による光がレールに反射し、カメラ22で撮影される映像が白くぼやけて見難くなることを効率的に防止することができる。
【0059】
また、前記撮影ユニット12に光センサ(図示しない)を設け、前記制御部21は、該光センサにより設定した明るさよりも暗くなったことが検出された場合に、照明装置36をON操作したり、検出された光量に応じて照明装置36の明るさを調整したりするように構成しても良い。
【0060】
次に、
図10に基づき、レール監視装置の他の設置例について説明する。
図10は、運転車両に連結車両が連結された構成を示した側面図である。図示する例のように、前記運転車両3の前後に一又は複数の連結車両が連結されている場合には、該運転車両3は、前進走行する場合も後進走行する場合も推進運転となる。
【0061】
そのため、運転車両3の前進方向側に連結された連結車両4の中の最前方位置に位置する連結車両と、後進方向側に連結された連結車両4中の最後方位置に位置する連結車両とを何れも前記監視側連結車両4A,4Aとして、運転車両3から遠い側の連結部8にそれぞれ撮影ユニット12を取付けた構成としても良い。
【0062】
この場合、運転車両3の運転席2側に設けられる前記表示ユニット13は、進行方向(前進又は後進)に合わせて2つのモニタ17を設置する構成にしても良く、単一のモニタ17に表示される映像を進行方向に応じて切換える構成にしても良い。
【符号の説明】
【0063】
2 運転席
3 運転車両
4 連結車両
4A 監視側連結車両
8 連結部
16 運転側無線装置(接続装置)
17 モニタ
19 マグネット固定部
22 カメラ
23 監視側無線装置(接続装置)
24 電源装置
32 マグネット固定部
36 照明装置