特許第6685597号(P6685597)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6685597曲面形状を有する結晶化ガラス部材の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6685597
(24)【登録日】2020年4月3日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】曲面形状を有する結晶化ガラス部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C03B 23/03 20060101AFI20200413BHJP
   C03C 10/14 20060101ALI20200413BHJP
   C03C 10/02 20060101ALI20200413BHJP
   C03C 3/085 20060101ALI20200413BHJP
   C03C 3/083 20060101ALI20200413BHJP
   C03B 32/02 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
   C03B23/03
   C03C10/14
   C03C10/02
   C03C3/085
   C03C3/083
   C03B32/02
【請求項の数】1
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-81167(P2016-81167)
(22)【出願日】2016年4月14日
(65)【公開番号】特開2017-190265(P2017-190265A)
(43)【公開日】2017年10月19日
【審査請求日】2018年10月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000128784
【氏名又は名称】株式会社オハラ
(72)【発明者】
【氏名】野崎 守二
(72)【発明者】
【氏名】八木 俊剛
(72)【発明者】
【氏名】山下 豊
(72)【発明者】
【氏名】後藤 直雪
【審査官】 井上 政志
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭60−049145(JP,B1)
【文献】 特開2004−309021(JP,A)
【文献】 特開2012−091995(JP,A)
【文献】 特開2016−037424(JP,A)
【文献】 特開2016−169116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B23/03
C03B32/02
C03C3/083
C03C3/085
C03C10/02
INTERGLAD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状ガラスの屈伏点をAt(℃)とするとき、[At−40]℃以上[At+40]℃以下の範囲である第一の温度域内となるように板状ガラスの温度を保持し、前記板状ガラスから結晶を析出させながら、前記板状ガラスに押圧部材が前記板状ガラスに及ぼすことにより作用する外力によって、前記板状ガラスの少なくとも一部を曲面形状へ変形させる変形工程を有し、次いで、板状ガラスの転移点をTg(℃)とするとき、ガラス転移点[Tg]℃以上屈伏点[At]℃以下である第二の温度域内となるように変形後の板状ガラスの温度を保持し、前記変形後の板状ガラスからさらに結晶を析出させる結晶化工程を有し、その後板状ガラスの温度を低下させる徐冷工程を有する曲面形状を有する結晶化ガラス部材の製造方法であって、
前記板状ガラスは、
厚さ0.5mmにおける、波長410nmの光線透過率が86%以上であり、
酸化物換算のモル%で、
SiO成分を30.0%〜70.0%、
Al成分を8.0%〜25.0%、
NaO成分を0%〜25.0%、
成分を0%〜3.7%、
MgO成分を0%〜15.0%、
ZnO成分を0%〜30.0%、
TiO成分を1%〜10.0%
ZrO成分を1%〜10.0%
ならびにTiO成分およびZrO成分を合計で0%〜4.6%含有する組成からなり、
モル比ZnO/MgOが0〜1.44である前記製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は曲面形状を有する結晶化ガラス部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンの意匠の自由度を高めるため、そのカバーガラスや筐体に、曲面形状を有するガラス部材が使用されはじめている。これらのガラス部材の製造においては、板状ガラスを熱加工することにより曲面形状を得ることが、製造コストの面で有利となる。また、これらのガラス部材は、外的要因による衝撃を受けても割れにくいことが必要である。このため、スマートフォンのカバーガラスや筐体のガラス部材に使用されるガラスは、高い機械的強度と優れた熱加工性が求められ、化学強化ガラスが多く選ばれている。しかし、化学強化ガラスの機械的強度は、十分に高いものとは言えない。
化学強化ガラスのほか、カバーガラスへの使用が検討されている素材としては、サファイアがある。サファイアは高い機械的強度を有するが、単結晶のため、熱加工によって曲面形状とすることは困難であり、研削、研磨等の機械的加工によらなければ、曲面形状が得られない。サファイアの機械加工性はガラスと比較して極度に悪いため、サファイアを用いたカバーガラスは製造コストが高くなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許文献1には、モバイルディスプレイ用カバーガラスの製造方法が開示されている。
【特許文献1】特開2014−94885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
化学強化ガラスより高い機械的強度が得られる材料として、結晶化ガラスがある。結晶化ガラスは、非晶質のガラスを加熱することで、ガラス内部に無数の結晶を析出させた材料である。結晶化ガラスは、結晶を析出させることにより、結晶を析出させる前の原ガラスの物性値より優れた物性値とすることができる。種々の用途に使用する結晶化ガラスは、その使用する用途に合わせ、結晶の析出を制御して製造されている。
板状の結晶化ガラスを熱加工することにより、曲面形状とすることができれば、スマートフォンのカバーガラスや筐体用途として、優れたガラス部材を得ることができる。
【0005】
しかし、結晶が析出した結晶化ガラスは、熱加工性が悪く、曲面形状への加工が困難であるか、熱加工が可能であったとしても、熱加工時の加熱により結晶化が進んでしまい、場合によっては乳白化して透明性を失うことになり、所望の形状と結晶の析出量を両立することが困難であった。
【0006】
本発明の課題は、機械的強度が高く、用途に応じた形状と結晶析出量が両立しており、曲面形状を有する結晶化ガラス部材を、低い製造コストで提供することである。特に、スマートフォンのカバーガラスや筐体用途として適した、曲面形状を有する結晶化ガラス部材を、低い製造コストで提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、熱処理に対し結晶化の速度を制御しつつ、板状ガラスから結晶を析出させながら曲面形状へも変形させることができる結晶化ガラスにより、上記課題を解決できることを見いだし、この発明を完成したものであり、その具体的な構成は以下の通りである。
【0008】
(構成1)
第一の温度域内となるように板状ガラスの温度を保持し、前記板状ガラスから結晶を析出させながら、前記板状ガラスに作用する外力によって、前記板状ガラスの少なくとも一部を曲面形状へ変形させる変形工程を有する、曲面形状を有する結晶化ガラス部材の製造方法。
(構成2)
前記第一の温度域は、板状ガラスの屈伏点をAt(℃)とするとき、[At−40]℃以上[At+40]℃以下の範囲である、構成1に記載の曲面形状を有する結晶化ガラス部材の製造方法。
(構成3)
前記板状ガラスは、酸化物換算のモル%で、
SiO成分を30.0%〜70.0%、
Al成分を8.0%〜25.0%、
NaO成分を0%〜25.0%、
MgO成分を0%〜25.0%、
ZnO成分を0%〜30.0%、
ならびにTiO成分およびZrO成分を合計で0%〜10.0%含有する組成からなる、構成1または2に記載の曲面形状を有する結晶化ガラス部材の製造方法。
(構成4)
前記板状ガラスは、酸化物換算のモル%で、
TiO成分を1%〜10.0%含有する組成からなる、構成3に記載の曲面形状を有する結晶化ガラス部材の製造方法。
(構成5)
前記板状ガラスは、酸化物換算のモル%で、
ZrO成分を1%〜10.0%含有する組成からなる、構成3または4に記載の曲面形状を有する結晶化ガラス部材の製造方法。
(構成6)
前記板状ガラスのガラス転移点をTg(℃)とするとき、前記板状ガラスは、
[Tg]℃以上[At+50]℃以下の範囲の温度条件下において結晶が析出することを特徴とする、構成1から5のいずれかに記載の曲面形状を有する結晶化ガラス部材の製造方法。
(構成7)
前記変形工程は、前記板状ガラスに対して外力が作用する方向に成形型を配置し、前記成形型に前記板状ガラスが沿うことで、前記板状ガラスの少なくとも一部を曲面形状へ変形させる工程である、構成1から6のいずれかに記載の曲面形状を有する結晶化ガラス部材の製造方法。
(構成8)
前記外力の少なくとも一部は、前記板状ガラスに作用する重力である、構成1から7のいずれかに記載の曲面形状を有する結晶化ガラス部材の製造方法。
(構成9)
前記外力の少なくとも一部は、前記板状ガラスの上面に載せたウエイトが前記板状ガラスに及ぼす力である構成1から8のいずれかに記載の曲面形状を有する結晶化ガラス部材の製造方法。
(構成10)
前記外力の少なくとも一部は、押圧部材が前記板状ガラスに及ぼす力である、構成1から9のいずれかに記載の曲面形状を有する結晶化ガラス部材の製造方法。
(構成11)
前記変形工程の後、変形後の板状ガラスの温度を低下させる徐冷工程を有する、構成1から10のいずれかに記載の曲面形状を有する結晶化ガラス部材の製造方法。
(構成12)
前記変形工程の後、第二の温度域内となるように変形後の板状ガラスの温度を保持し、前記変形後の板状ガラスからさらに結晶を析出させる結晶化工程を有する、構成1から11のいずれかに記載の曲面形状を有する結晶化ガラス部材の製造方法。
(構成13)
前記結晶化工程の後、変形後の板状ガラスの温度を低下させる徐冷工程を有する、構成12に記載の曲面形状を有する結晶化ガラス部材の製造方法。
(構成14)
曲面形状を有し、厚さ0.5mmにおける、波長410nmの光線透過率が86%以上であることを特徴とする、結晶化ガラス部材。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、用途に応じた形状と結晶析出量が両立しており、曲面形状を有する結晶化ガラス部材を、低い製造コストで提供することができる。本発明で得られる曲面形状を有する結晶化ガラス部材は、機械的強度が高い。また、本発明の製造方法で得られる曲面形状を有する結晶化ガラス部材は、高い可視光域の光線透過率を得ることが可能である。
本発明の製造方法により得られた曲面形状を有する結晶化ガラス部材は、スマートフォンのカバーガラス、スマートフォンの筐体、時計のカバーガラス、車載用途に使われるHUD(ヘッドアップディスプレイ)用基板や近赤外線センサー用カバーガラス、その他電子機器、機械器具等の部品として、好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の変形工程の態様の一例を示す図であり、板状ガラスの断面が現れる方向から見た図である。(a)は変形前、(b)は変形後の図である。
図2】本発明の変形工程の態様一例を示す図であり、板状ガラスの断面が現れる方向から見た図である。(a)は変形前、(b)は変形後の図である。
図3】本発明の変形工程の態様一例を示す図であり、板状ガラスの断面が現れる方向から見た図である。(a)は変形前、(b)は変形後の図である。
図4】本発明の変形工程の態様一例を示す図であり、板状ガラスの断面が現れる方向から見た図である。(a)は変形前、(b)は変形後の図である。
図5】本発明の変形工程の態様一例を示す図であり、板状ガラスの断面が現れる方向から見た図である。(a)は変形前、(b)は変形後の図である。
図6】本発明の変形工程の態様一例を示す図であり、板状ガラスの断面が現れる方向から見た図である。(a)は変形前、(b)は変形後の図である。
図7】本発明の製造方法によって得られる、曲面形状を有する結晶化ガラス部材の一例を示す斜視図である。
図8】本発明の製造方法によって得られる、曲面形状を有する結晶化ガラス部材の一例を示す斜視図である。十字に交差する線は、形状の理解を容易にするための補助線である。
図9】本発明の製造方法によって得られる、曲面形状を有する結晶化ガラス部材の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0011】
G 板状ガラス
1 支持部材
2 成形型
3 成形型の縁部
4 成形型
5 ウエイト
6 押圧部材
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の曲面形状を有する結晶化ガラス部材の製造方法は、第一の温度域内となるように板状ガラスの温度を保持し、前記板状ガラスから結晶を析出させながら、前記板状ガラスに作用する外力によって、前記板状ガラスの少なくとも一部を曲面形状へ変形させる変形工程を有することを特徴とする。以下、本発明の製造方法について、詳細に説明する。
【0013】
[板状ガラスを準備する工程]
まず、非晶質の板状ガラスを準備する。板状ガラスは、変形後に所望の形状となるような、または所望の形状に近い形状となるような形状としておくことが好ましい。
板状ガラスの表面は、研磨加工を施して、鏡面としておいても良く、研削後の表面としておいても良い。
【0014】
板状ガラスの材料は、加熱することにより結晶が析出するガラス、すなわち、結晶化ガラスの原ガラスであれば良い。
原ガラスの組成は、特に限定されないが、酸化物換算のモル%で、
SiO成分を30.0%〜70.0%、
Al成分を8.0%〜25.0%、
NaO成分を0%〜25.0%、
MgO成分を0%〜25.0%、
ZnO成分を0%〜30.0%、
およびTiO成分およびZrO成分を合計で0%〜10.0%含有する組成からなるガラスであると、高い機械的強度を有し、可視域の光線透過率が高い結晶化ガラス部材を得ることができ、熱加工により曲面形状へ変形させやすいため、好ましい。
上記組成の原ガラスは、結晶化により、RAl、RTi、RTiO、RSiO、RAlSiおよびRAlSi18(ただしRはZn、Mg、Feから選択される1種類以上)から選ばれる1種以上の結晶相を有する結晶化ガラスとなる。
【0015】
SiO成分は、その下限が50%であることがより好ましく、その上限が65%であることがより好ましい。
Al成分は、その下限が8%であることがより好ましく、その上限が16%であることがより好ましい。
NaO成分、その下限が3%であることがより好ましく、その上限が17%であることがより好ましい。
MgO成分は、その上限が15%であることがより好ましい。
ZnO成分は、その上限が16%であることがより好ましい。
TiO成分およびZrO成分の合計の含有量は、その下限が0.5%であることがより好ましく、その上限が10%であることがより好ましく、6%であることが最も好ましい。
【0016】
また、原ガラスは、熱加工により曲面形状へ変形させやすく、結晶化ガラス部材が、高い機械的強度を有し、高い可視域の光線透過率を得るため、上記の組成であることに加え、以下の構成であって良い。
【0017】
原ガラスの組成は、TiO成分を1%〜10.0%含有するものであって良い。
【0018】
原ガラスの組成は、ZrO成分を1%〜10.0%含有するものであって良い。
【0019】
原ガラスの組成は、酸化物基準で表された含有成分のモル比[Al/(MgO+ZnO)]の値が0.5以上2.0以下であって良い。
【0020】
原ガラスの組成は、酸化物基準で表された含有成分のモル比[TiO/NaO]の値が0以上0.41以下であって良い。
【0021】
原ガラスの組成は、酸化物基準で表された含有成分のモル比[MgO/NaO]の値が0以上1.60以下であって良い。
【0022】
原ガラスの組成は、酸化物基準で表された含有成分のモル比[ZnO/MgO]の値が0以上1.50以下であって良い。
【0023】
原ガラスの組成は、酸化物換算のモル%で、MgO成分とZnO成分の含有量の合計の値が1.0%以上、30.0%以下であって良い。
【0024】
原ガラスの組成は、
成分を0%〜25.0%、
成分を0%〜10.0%、
O成分を0%〜20.0%、
CaO成分を0%〜10.0%、
BaO成分を0%〜10.0%、
FeO成分を0%〜8%、
ZrO成分を0%〜10.0%、
SnO成分を0%〜5.0%
LiO成分を0%〜10.0%、
SrO成分を0%〜10.0%、
La成分を0%〜3%、
成分を0%〜3%、
Nb成分を0%〜5%、
Ta成分を0%〜5%、
WO成分を0%〜5%含有するものであって良い。
【0025】
板状ガラスは、板状ガラスのガラス転移点をTg(℃)と、屈伏点をAt(℃)とするとき、[Tg]℃以上[At+50]℃以下の範囲の温度条件下において結晶が析出するものであることが好ましい。前記温度範囲で結晶が析出するような板状ガラスであると、本発明の製造方法によって、曲面形状を有する結晶化ガラス部材を得やすくなる。本発明の製造方法によって、曲面形状を有する結晶化ガラス部材を得やすくするためには、少なくとも[At−20]℃以上[At+20]℃以下の温度範囲で結晶が析出するような板状ガラスであることが、より好ましい。
【0026】
板状ガラスは、例えば以下のように作製される。すなわち、上記各成分が所定の含有量の範囲内になるように原料を均一に混合し、混合した原料を白金製や石英製の坩堝に投入し、電気炉やガス炉で1300〜1540℃の温度範囲で5〜24時間溶融して、溶融ガラスとし、攪拌均質化する。耐火煉瓦製のタンク炉で溶融し、溶融ガラスとしても良い。その後、溶融ガラスを適当な温度に下げてから、金型に鋳込むことでブロック状または、柱状に成形する。ブロック状または柱状に成形したガラスは、徐冷した後、切断加工、研削加工をすることにより、板状に成形する。または、攪拌均質化した後の溶融ガラスを、フロート法、スリットダウンドロー法などの方法を用いて、直接、板状に成形し、その後徐冷をすることで板状ガラスを作製しても良い。
【0027】
[変形工程]
変形工程は、第一の温度域内となるように板状ガラスの温度を保持し、前記板状ガラスから結晶を析出させながら、前記板状ガラスに作用する外力によって、前記板状ガラスの少なくとも一部を曲面形状へ変形させる工程であり、本発明に必須の工程である。
【0028】
準備した板状ガラスは、その一部を支持または保持するようにして、炉内に入れ、加熱する。板状ガラスの全面ではなく、一部を支持または保持することにより、板状ガラスが加熱により軟化し、板状ガラスに外力が作用することにより、板状ガラスが曲面形状に変形する。
【0029】
前記炉内で、板状ガラスは、第一の温度域内となるようにその温度を保持する。
第一の温度域は、板状ガラスの屈伏点をAt(℃)とするとき、[At−40]℃以上[At+40]℃以下の範囲であると、板状ガラスから結晶を析出させながら、板状ガラスを曲面形状に変形させることができるため、好ましい。第一温度域の下限は、板状ガラスのガラス転移点をTg(℃)とするとき、[Tg]℃未満としないことが好ましい。第一の温度域の下限は、[At−30]℃がより好ましく、[At−20]℃が最も好ましい。第一の温度域の上限は、[At+30]℃がより好ましく、[At+20]℃が最も好ましい。
【0030】
原ガラスの組成が、酸化物換算のモル%で、
SiO成分を30.0%〜70.0%、
Al成分を8.0%〜25.0%、
NaO成分を0%〜25.0%、
MgO成分を0%〜25.0%、
ZnO成分を0%〜30.0%、
ならびにTiO成分およびZrO成分を0%〜10.0%含有するものである場合、第一の温度域は、705℃以上790℃以下であることが好ましい。第一の温度域を前記の範囲とすることで、板状ガラスを曲面形状を有する形状へ変形させることが容易となる。また、第一の温度域を前記の範囲とすることで、高い可視域の光線透過率を有しつつも、機械的強度が高くなる結晶析出量となりやすい。第一の温度域の下限は、715℃であることがより好ましく、720℃であることが最も好ましい。同様に、第一の温度域の上限は、780℃であることがより好ましく、770℃であることが最も好ましい。
【0031】
図1から図6の(a)は、前記炉内での、板状ガラスを変形させる前の、板状ガラスの一部を支持または保持する態様を例示したものである。例示の様に、板状ガラスの一部を支持することにより、板状ガラスに外力が作用することで、板状ガラスが曲面形状を有するように変形できる。
図1の(a)に示した態様は、支持具1によって、板状ガラスの端部を支持している。
図2の(a)に示した態様は、成形型2の縁部に板状ガラスの端部が保持されている。
図3及び図4の(a)に示した態様は、凹形状を有する成形型2の縁部に板状ガラスの端部が支持されている。
図5の(a)に示した態様は、凹形状を有する成形型2の、凹形状を構成する斜面に板状ガラスの端部が支持されている。この態様は、成形型2の縁部の角の接触によって、板状ガラス端部の表面性状が荒れてしまうことが無い点で好ましい。
図6の(a)に示した態様は、凸形状を有する成形型4の中央部に板状ガラスの中央部が支持されている。
【0032】
板状ガラスに作用する外力は、重力、板状ガラスの上面に載せたウエイトが板状ガラスに及ぼす力、押圧部材が板状ガラスに及ぼす力、またはこれらの力の合力であって良い。すなわち、外力の少なくとも一部は、重力であって良く、板状ガラスの上面に載せたウエイトが板状ガラスに及ぼす力であって良く、または押圧部材が板状ガラスに及ぼす力であって良い。
図1図2図5および図6は、板状ガラスに作用する重力によって、板状ガラスが変形する態様を示したものである。
【0033】
図4は、板状ガラスの上面に載せたウエイト5が板状ガラスに及ぼす力が、板状ガラスの変形に寄与する態様を示したものである。ウエイト5は重力の作用によって、板状ガラスに力を及ぼしている。
ウエイトの材料は、SiC、カーボン、NiCrAl合金、ダクタイル鋳鉄、ステンレス鋼、タングステンを主成分とする焼結体、超硬合金等から選択することができる。ウエイトが板状ガラスと接する表面には、ダイヤモンド状炭素膜、水素化アモルファスカーボン膜(a−C:H膜)、硬質炭素膜、テトラヘドラルアモルファスカーボン膜(taC膜)等の炭素含有膜、貴金属合金膜等を設けることが、平滑な表面性状の結晶化ガラス部材が得やすくなり、ウエイトと結晶化ガラス部材の融着を防ぐことが容易となりやすいため、好ましい。
ウエイトの形状は、その形状を転写することで、結晶化ガラス部材が所望の形状となるものであることが好ましい。
【0034】
図3は、押圧部材6が及ぼす力が、板状ガラスの変形に寄与する態様を示したものである。押圧部材6は、図示しない動力源から発生した力が伝達され、板状ガラスに力を及ぼしている。
押圧部材の材料は、SiC、カーボン、NiCrAl合金、ダクタイル鋳鉄、ステンレス鋼、タングステンを主成分とする焼結体、超硬合金等から選択することができる。押圧部材の材料は、耐熱性が高いことが好ましい。押圧部材が板状ガラスと接する表面には、ダイヤモンド状炭素膜、水素化アモルファスカーボン膜(a−C:H膜)、硬質炭素膜、テトラヘドラルアモルファスカーボン膜(taC膜)等の炭素含有膜、貴金属合金膜等を設けることが、平滑な表面性状の結晶化ガラス部材が得やすくなり、押圧部材と結晶化ガラス部材の融着を防ぐことが容易となりやすいため、好ましい。
押圧部材の形状は、その形状を転写することで、結晶化ガラス部材が所望の形状となるものであることが好ましい。
【0035】
成形型は必須ではないが、板状ガラスに対して外力が作用する方向に成形型を配置し、板状ガラスの少なくとも一部を曲面形状へ変化させることが好ましい。板状ガラスの温度が第一の温度域内の温度となり、板状ガラスが軟化し、成形型に沿うことで、所望の形状が得やすくなるからである。図2から図6の(b)は、成形型に沿うことで、板状ガラスの少なくとも一部が曲面形状へ変化した態様を示している。
成形型の材料は、SiC、カーボン、NiCrAl合金、ダクタイル鋳鉄、ステンレス鋼、タングステンを主成分とする焼結体、超硬合金等から選択することができる。成形型の材料は、耐熱性が高いことが好ましい。成形型が板状ガラスと接する表面には、ダイヤモンド状炭素膜、水素化アモルファスカーボン膜(a−C:H膜)、硬質炭素膜、テトラヘドラルアモルファスカーボン膜(taC膜)等の炭素含有膜、貴金属合金膜等を設けることが、平滑な表面性状の結晶化ガラス部材が得やすくなり、離型も容易となりやすいため、好ましい。
成形型の形状は、その形状を転写することで、結晶化ガラス部材が所望の形状となるものであることが好ましい。
【0036】
変形工程の時間、すなわち板状ガラスの温度を第一の温度域内となるように保持する時間は、原ガラスの組成により異なるため、適宜調節して良い。
【0037】
原ガラスの組成が、酸化物換算のモル%で、
SiO成分を30.0%〜70.0%、
Al成分を8.0%〜25.0%、
NaO成分を0%〜25.0%、
MgO成分を0%〜25.0%、
ZnO成分を0%〜30.0%、
ならびにTiO成分およびZrO成分を合計で0%〜10.0%含有するものである場合、変形工程の時間は、10分以上60分以下であることが好ましい。変形工程の時間を前記の範囲とすることで、板状ガラスを曲面形状を有する形状への変形が容易となる。 変形工程の時間を前記の範囲とすることで、高い可視域の光線透過率を有しつつも、機械的強度が高くなる結晶析出量となりやすい。変形工程の時間は、15分以上50分以下がより好ましく、15分以上45分以下がさらに好ましい。
【0038】
[結晶化工程]
結晶化工程は任意の工程である。結晶化工程は、前記変形工程の後、第二の温度域内となるように変形後の板状ガラスの温度を保持し、前記変形後の板状ガラスからさらに結晶を析出させる工程である。結晶化工程は、製造工程の設計上、変形工程における板状ガラスの結晶析出量が所望の結晶析出量に至らない場合に、設けることができる。変形工程で板状ガラスの変形は終了しており、結晶化工程では、板状ガラスは変形することはなく、結晶の析出量が増加する。
【0039】
第二の温度域は、その温度の上限が、第一の温度域の温度の上限よりも低い。
第二の温度域は、板状ガラスのガラス転移点をTg(℃)、屈伏点をAt(℃)とするとき、[Tg]℃以上であることが結晶化を促進するために好ましく、[At]℃以下の範囲であると、材料の乳白化が生じずに板状ガラスから結晶を析出させることができるため、好ましい。
【0040】
原ガラスの組成が、酸化物換算のモル%で、
SiO成分を30.0%〜70.0%、
Al成分を8.0%〜25.0%、
NaO成分を0%〜25.0%、
MgO成分を0%〜25.0%、
ZnO成分を0%〜30.0%、
ならびにTiO成分を0%〜10.0%含有するものである場合、第二の温度域は、[Tg]℃以上[At]℃以下であることが好ましい。第二の温度域を前記の範囲とすることで、変形が生じずに板状ガラスから結晶を析出させることができる。第二の温度域は、[Tg]℃以上[At−20]℃以下が材料内部の結晶化を均一に進行させる上でもより好ましい。
【0041】
[徐冷工程]
徐冷工程は、変形工程または結晶化工程の後に行われ、変形後の板状ガラスの歪を除去する工程である。徐冷工程は、変形工程または結晶化工程を終えた板状ガラスの温度を、所定の降温速度で所定の目標温度まで下げることにより行う。降温速度は、50℃/hr以上200℃/hr以下であると、板状ガラス内部の歪を十分に除去でき、当該工程に係る時間が必要以上に長時間とならないため好ましい。降温速度は、15℃/hr以上80℃/hr以下であることが、より好ましい。目標温度は、[Tg−200]℃が好ましい。徐冷温度の下限は、[Tg−300]℃が好ましく、より好ましくは[Tg−250]℃であり、さらに好ましくは[Tg−200]℃である。
徐冷工程が終了した後は、炉から板状ガラスを出し、室温まで自然放冷する。
【0042】
変形工程および結晶化工程の温度条件・時間条件を設計するためには、所望の結晶化ガラス部材の結晶析出量に対応する比重をあらかじめ測定して目標比重とし、本発明の製造方法の工程終了後の板状ガラスの比重が、目標比重となるように、変形工程および結晶化工程の温度条件・時間条件を設計すれば良い。
【0043】
[化学強化]
本発明の製造方法により得られた曲面形状を有する結晶化ガラス部材は、機械的強度を更に高めるために圧縮応力層を形成させても良い。本発明の製造方法により得られた曲面形状を有する結晶化ガラス部材は、析出結晶によりあらかじめ機械的特性が高いことに加え、圧縮応力層を形成することにより、より高い強度を得ることができる。
【0044】
圧縮応力層の形成方法としては、例えば結晶化ガラス部材の表面層に存在するアルカリ成分を、それよりもイオン半径の大きなアルカリ成分と交換反応させ、表面層に圧縮応力層を形成する化学強化法がある。また、結晶化ガラス部材を加熱し、その後急冷する熱強化法、結晶化ガラス部材の表面層にイオンを注入するイオン注入法がある。
【0045】
化学強化法は、例えば次の様な工程で実施することができる。結晶化ガラス部材を、カリウムまたはナトリウムを含有する塩、例えば硝酸カリウム(KNO)、硝酸ナトリウム(NaNO)またはその複合塩を350〜500℃に加熱した溶融塩に、0.1〜12時間接触または浸漬させる。これにより、表面付近のガラス相に存在するリチウム成分(Liイオン)またはナトリウム成分(Naイオン)と、これらよりもイオン半径の大きなアルカリ成分であるナトリウム成分(Naイオン)またはカリウム成分(Kイオン)とのイオン交換反応が進行する。この結果、結晶化ガラス部材の表面部に圧縮応力層が形成される。
【0046】
[結晶化ガラス部材]
本発明の製造方法により得られる結晶化ガラス部材は、その厚さが0.5mmであるとき、反射損失を含む波長410mmの光線透過率が86%以上である様な、光線透過率を有する。
【実施例】
【0047】
本発明の製造方法を用いて、曲面形状を有する結晶化ガラス部材を製造した。
まず、結晶化ガラス部材の原ガラスとなる板状のガラスを製造した。各成分の原料として各々相当する酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、弗化物、塩化物、水酸化物、メタ燐酸化合物等の原料を選定し、これらの原料を表1から表3に示した各実施例の組成の割合になるように秤量して均一に混合した。次に、混合した原料を白金坩堝に投入し、ガラス組成の溶融難易度に応じて電気炉で1300〜1550℃の温度範囲で5〜24時間溶融した。その後、溶融したガラスを攪拌して均質化してから金型等に鋳込み、徐冷して原ガラスのインゴットを作製した。
【0048】
原ガラスのガラス転移点を「ガラス転移点Tg(℃)」、屈伏点を「屈伏点At(℃)」、原ガラスの比重を「原ガラスの比重」として表に記載する。
【0049】
作製したインゴットを切断し、研削を行うことにより、厚さ0.55mm、150mm×70mmの長方形の板状ガラスとした。その後、この板状ガラスを研磨加工することにより、板状ガラスの表面を鏡面とした。研磨加工後の板状ガラスの厚さは0.50mmである。
【0050】
板状ガラスに対し、図3の態様で変形工程を施した。成形型と押圧部材の材料はステンレス材(SUS304)を用いた。
成形型の形状は、図7の様な結晶化ガラス部材を成形するための凹形状となっており、平面視の形状が長方形である。成形型の凹部の底面は58mm×160mmの平面である。成形型の凹部の深さは5mmである。成形型の底面の長辺部から半径5mmの円筒内面が接続され、成形型の側壁部を形成している。
押圧部材の形状は、成形型の形状と対となる凸形状である。
板状ガラスの長辺部の縁を、成形型の長辺部の縁で支持し、成形型と共に炉内に入れた。炉内では、板状ガラスの上面を押圧部材で330gfの力を及ぼすようにした。炉の温度は、板状ガラスの温度が第一の温度域内となるように調節した。
【0051】
変形工程の炉の温度を「変形工程の温度(℃)」、変形工程の時間を「変形工程の時間(分)」、結晶化工程の板状ガラスの炉の温度を「結晶化工程の温度(℃)」、結晶化工程の時間を「結晶化工程の時間(分)」、徐冷工程の炉温の降温速度を「降温速度(℃/hr)」、徐冷工程の最終の炉の温度(目標温度)を「目標温度(℃)」、板状ガラスに析出した結晶相を「結晶相」、結晶化ガラスの比重を「結晶化ガラスの比重」、結晶化ガラス部材(厚さ0.50mm)の波長410nm、500nm、700nmの反射損失を含む光線透過率をそれぞれ「透過率(410nm)(%)」、「透過率(500nm)(%)」、「透過率(700nm)(%)」として、表1に示す。表中の「結晶化工程の温度」の欄に温度の値の記載がない場合は、結晶化工程を施していないことを示す。
【0052】
板状ガラスのガラス転移点(Tg)、屈伏点(At)の測定は、以下のように行った。板状ガラスと同じ組成からなる長さ50mm、直径4±0.5mmの丸棒状の試料を作製した。この試料について、ブルカー・エイエックス株式会社のTD5000SA熱膨張計高温測定機を用い、日本光学硝子工業会規格JOGIS08−2003「光学ガラスの熱膨張の測定方法」に準じて温度と試料の伸びを測定した。試料には、長さ方向に10gfの測定荷重が付加されている。ガラス転移点(Tg)は前記JOGIS08−2003に基づき、温度と試料の伸びを測定して得られた熱膨張曲線から決定した。屈伏点は、測定荷重によって、試料が膨張した後、試料が軟化して収縮に転じたときの温度とした。
【0053】
なお、炉の温度は炉の内壁に設置した熱電対で計測した温度である。事前の実験により、炉の温度を読み取り、その直後に炉内の板状ガラスの温度を放射温度計で測定したところ、その温度差は±3℃であることが判明している。今回の実施例では、成形型や押圧部材があるために放射温度計によって板状ガラスの温度を直接測定できないため、炉の温度を測定した。
【0054】
結晶相は、製造工程終了後の板状ガラスについて、X線回折分析装置(Philips製X’PERT−MPD)を用いてX線回折図形において現れるピークの角度から、および必要に応じてTEMEDX(日本電子製JEM2100F)を用いて、析出した結晶相を判別した。
【0055】
透過率は、各実施例に相当するサンプルを別途用意して測定した。具体的には、各実施例と同じ組成を有する原ガラスを作製し、鏡面に研磨した厚さ0.5mmの平行平板として、各実施例の変形工程、結晶化工程、徐冷工程と同じ温度条件、同じ時間条件下で熱処理したものをサンプルとした。
作製したサンプルについて、日本光学硝子工業会規格JOGIS02−2003「光学ガラスの着色度の測定方法」に準じて、分光透過率を測定し、波長410nm、500nm、700nmの透過率を求めた。




【0056】
【表1】




【0057】
【表2】





【0058】
【表3】
【0059】
実施例1から11においては、全て成形型に沿うように板状ガラスが変形し、短時間で曲面形状を有する結晶化ガラス部材を得ることができた。得られた結晶化ガラス部材は、所望の結晶相が所望の結晶量で析出しており、高い光線透過率を有していた。
【0060】
実施例5で得られた結晶化ガラス部材を450℃のKNO溶融塩中に15分浸漬し、化学強化法によって、結晶化ガラス部材の表面に圧縮応力層を形成した。圧縮応力層の厚みを、株式会社ルケオ製のガラス表面応力計FSM−6000LEを用いて測定した。圧縮応力層の厚みは7μmであり、表面応力は1010MPaであった。
【0061】
実施例6で得られた結晶化ガラス部材を450℃のKNO溶融塩中に5分間浸漬し、化学強化法によって、結晶化ガラス部材の表面に圧縮応力層を形成した。圧縮応力層の厚みを、株式会社ルケオ製のガラス表面応力計FSM−6000LEを用いて測定した。圧縮応力層の厚みは4μmであり、表面応力は950MPaであった。
【0062】
実施例4で得られた結晶化ガラス部材を450℃のKNO溶融塩中に6時間浸漬し、化学強化法によって、結晶化ガラス部材の表面に圧縮応力層を形成した。圧縮応力層の厚みを、株式会社ルケオ製のガラス表面応力計FSM−6000LEを用いて測定した。圧縮応力層の厚みは58μmであり、表面応力は1050MPaであった。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9