特許第6685629号(P6685629)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6685629竪型射出成形機の金型段取装置と設置台の組合わせ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6685629
(24)【登録日】2020年4月3日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】竪型射出成形機の金型段取装置と設置台の組合わせ
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/17 20060101AFI20200413BHJP
   B29C 33/30 20060101ALI20200413BHJP
   B29C 45/42 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
   B29C45/17
   B29C33/30
   B29C45/42
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-87321(P2019-87321)
(22)【出願日】2019年5月7日
【審査請求日】2019年5月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100097696
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 嘉昭
(74)【代理人】
【識別番号】100147072
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 裕通
(72)【発明者】
【氏名】中山 清貴
【審査官】 関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−240689(JP,A)
【文献】 実開昭59−061920(JP,U)
【文献】 特開平04−323014(JP,A)
【文献】 特開平08−052757(JP,A)
【文献】 特開平01−127163(JP,A)
【文献】 実開昭58−029424(JP,U)
【文献】 実開昭59−076326(JP,U)
【文献】 特開平06−190526(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00−45/84
B29C 33/00−33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
竪型射出成形機の型締装置に取付けられる金型が一時的に載置される金型載置テーブルを備えた金型段取装置と、各種装置がその上に固定的に載置される設置台とからなる組合わせであって、
前記金型載置テーブルは前記型締装置の固定盤に隣接するように設けられ、
前記設置台は前記金型載置テーブルの側方に設けられ、所定の駆動機構によって前記金型載置テーブルより高い位置で水平にスライドされて、前記金型載置テーブルを覆う第1の位置と、前記金型載置テーブルの側方に退避する第2の位置とを採るようになっていることを特徴とする、竪型射出成形機の金型段取装置と設置台の組合わせ。
【請求項2】
請求項1に記載の金型段取装置と設置台の組合わせにおいて、前記設置台には成形品を取り出す成形品取出装置が設けられていることを特徴とする、竪型射出成形機の金型段取装置と設置台の組合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、竪型射出成形機に設けられている、金型を交換・取付するための金型段取装置と、成形された成形品を取り出す成形品取出装置やインサート品をインサートするインサート装置等の各種装置が載置される設置台の組合わせに関するものである。
【背景技術】
【0002】
竪型射出成形機は従来周知であり、一対の金型を上下方向に型開閉する型締装置、型締めされた金型に溶融樹脂を射出する射出装置とから概略構成されている。型締装置がトグル式からなる場合には、型締装置は固定盤と、上可動盤と下可動盤と、複数本のタイバーと、トグル機構とからなる。固定盤はベッドの天板に固定されており、タイバーが固定盤を貫通している。そして、それらのタイバーの上端部に上可動盤が、下端部に下可動盤が設けられ、トグル機構が下可動盤と固定盤の間に設けられている。このような固定盤と上可動盤とにそれぞれ下側金型と上側金型とが取付けられるようになっているが、固定盤上にターンテーブルが設けられることも多い。ターンテーブルが設けられている場合には、下側金型はターンテーブルに設けられる。トグル機構を駆動すると固定盤に対して上可動盤と下可動盤とが駆動される。そうすると上型金型と下側金型とが型開閉される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61−154912号公報
【0004】
竪型射出成形機には、例えば特許文献1に記載の金型交換装置のように、型締装置に金型を取付けるための金型段取装置が設けられている。金型段取装置は、金型が一時的に載置される金型載置テーブルを備え、この金型載置テーブルは固定盤に隣接するように設けられている。金型を型締装置に取付けるとき次のようにする。すなわち金型をホイストクレーン等で吊り下げて金型載置テーブルに載せる。金型載置テーブルの高さは固定盤あるいはターンテーブルと同じになっているので、金型を金型載置テーブルからスライドして、固定盤あるいはターンテーブルに移動させる。金型を固定盤あるいはターンテーブルにクランプする。
【0005】
竪型射出成形機には、成形品を取り出す成形品取出装置も設けられる。成形品取出装置はロボットチャックを備え、金型から突き出された成形品を取り出すことができるようになっている。成形品取出装置も、固定盤あるいはターンテーブルの近傍に設けられることが好ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のように竪型射出成形機においては、金型段取装置も成形品取出装置もベッドに設けるようにするが、これらは固定盤に隣接するように設けたり、あるいは固定盤の近傍に設ける必要がある。ところで竪型射出成形機においては、オペレータが竪型射出成形機を操作するようになっている操作側と、その反対側の反操作側とがあり、反操作側にはベッド上に若干のスペースが確保されているが、操作側にはスペースは確保されていない。ところが反操作側に確保されているスペースは、金型段取装置と成形品取出装置の両方を設けるのには十分でない。仮に両方を設ける場合には、金型段取装置を固定盤に隣接させなければいけないので、成形品取出装置は若干離間して配置させる必要がある。そうすると金型までの距離が遠くなるので成形品の取出しに支障を来す。そこで、竪型射出成形機においては操作側においてベッドを拡張した所定の拡張テーブルを設けるようにし、例えば反操作側のベッド上には金型段取装置を、拡張テーブルには成形品取出装置を設けるようにすることもある。しかしながら拡張テーブルを設けると、その分だけ竪型射出成形機の設置面積が大きくなってしまい、工場内の設置スペースを圧迫するという問題がある。また竪型射出成形機においてインサート成形を実施するときにはインサート品を挿入するインサート装置も必要になる。このようなインサート装置を設ける場合にも、ベッド上のスペースが足りず、問題がある。
【0007】
本発明は、上記したような問題点を解決した、竪型射出成形機の金型段取装置と各種装置を設置できる設置台の組合わせを提供することを目的としており、具体的には、金型段取装置を固定盤に接するように配置させながら、成形品取出装置等の各種装置を固定盤に可及的に近接して配置させることができ、これらの装置を限られたスペースに配置することができ、それによって拡張テーブルを設ける必要がなく、竪型射出成形機の設置スペースを小さくすることができる、竪型射出成形機の金型段取装置と設置台の組合わせを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、竪型射出成形機の金型段取装置と設置台の組合わせとして構成する。金型段取装置は、型締装置に取付けられる金型が一時的に載置されて、金型がスライドされるための金型載置テーブルを備え、固定盤に隣接するように設けられる。設置台は、成形品を取り出す成形品取出装置や、インサート成形におけるインサート品を挿入するインサート装置がその上に設けられるようにし、金型載置テーブルの側方に設ける。そして所定の駆動機構によって金型載置テーブルより高い位置で水平にスライドされるようにする。設置台は、スライドによって金型載置テーブルを覆う第1の位置と、金型載置テーブルの側方に退避する第2の位置とを採るように構成する。
【0009】
かくして、請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するために、竪型射出成形機の型締装置に取付けられる金型が一時的に載置される金型載置テーブルを備えた金型段取装置と、各種装置がその上に固定的に載置される設置台とからなる組合わせであって、前記金型載置テーブルは前記型締装置の固定盤に隣接するように設けられ、前記設置台は前記金型載置テーブルの側方に設けられ、所定の駆動機構によって前記金型載置テーブルより高い位置で水平にスライドされて、前記金型載置テーブルを覆う第1の位置と、前記金型載置テーブルの側方に退避する第2の位置とを採るようになっていることを特徴とする、竪型射出成形機の金型段取装置と設置台の組合わせとして構成される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の金型段取装置と設置台の組合わせにおいて、前記設置台には成形品を取り出す成形品取出装置が設けられていることを特徴とする、竪型射出成形機の金型段取装置と設置台の組合わせとして構成される。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明は、竪型射出成形機の型締装置に取付けられる金型が一時的に載置される金型載置テーブルを備えた金型段取装置と、各種装置がその上に固定的に載置される設置台とからなる組合わせとして構成される。金型載置テーブルは前記型締装置の固定盤に隣接するように設けられる。そして設置台は金型載置テーブルの側方に設けられ、所定の駆動機構によって金型載置テーブルより高い位置で水平にスライドされて、金型載置テーブルを覆う第1の位置と、金型載置テーブルの側方に退避する第2の位置とを採るように構成される。従って、第1の位置を採ると各種装置は固定盤に近接することが保証される。例えば設置台に成形品取出装置を設ける場合には、金型の近傍で成形品を取り出せるので精度良く成形品が取り出せるし、設置台にインサート装置が設けられる場合には、金型の近傍でインサート品をインサートできるので効率がよい。そして型締装置への金型の交換・取付けを実施する場合には、設置台を第2の位置を採るようにして金型載置テーブルが露出するようにすればよい。そうすれば一時的に金型を金型載置テーブルに載せることができる。つまり、竪型射出成形機のベッド上に限られたスペースしかなくても金型段取装置と各種装置とを固定盤の近傍に配置させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】竪型射出成形機の一部と、本実施の形態に係る金型段取装置と、各種装置をその上に設置する設置台とを示す斜視図である。
図2】竪型射出成形機の一部と、本実施の形態に係る金型段取装置と、各種装置をその上に設置する設置台とを、図1におけるX−X断面で示す正面断面図であり、その(A)、(B)は、設置台がそれぞれ第1、2の位置にスライドされたときの、竪型射出成形機の一部と金型段取装置と設置台とを示す正面断面図である。
図3】竪型射出成形機の一部と、本実施の形態に係る金型段取装置と、各種装置をその上に設置する設置台とを示す上面図であり、その(A)、(B)は、設置台がそれぞれ第1、2の位置にスライドされたときの、竪型射出成形機の一部と金型段取装置と設置台とを示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施の形態について説明する。本実施の形態に係る竪型射出成形機1も、従来の竪型射出成形機と同様に金型を型締めする型締装置、樹脂を射出する射出装置等から構成されている。図1には型締装置の一部が示されているが、本実施の形態に係る型締装置はトグル式型締装置からなり、ベッド2に設けられている固定盤3と、この固定盤3を貫通している3本のタイバー4、4、…と図に示されていない上可動盤と下可動盤とトグル機構とから構成されている。そして本実施の形態においては固定盤3の上には、回転可能にターンテーブル6が設けられ、金型はこのターンテーブル6にクランプされるようになっている。本実施の形態に係る竪型射出成形機1は、図1において符号Yで示されている奥側がいわゆる操作側になっていて、図示されない安全ドアが設けられてオペレータが操作可能になっている。これに対して符号Zで示されている手前側がいわゆる反操作側になっており、竪型射出成形機1を制御する制御盤8が設けられている。制御盤8の上面はベッド2と同じ高さになっており、各種装置が設置可能なスペースが確保されている。
【0013】
本実施の形態に係る金型段取装置10は、このようなスペース、つまり制御盤8とベッド2との上のスペースに設けられている。金型段取装置10は、金型が一時的に載置される金型載置テーブル11からなり、金型載置テーブル11は固定盤3に隣接、すなわちターンテーブル6に隣接している。金型載置テーブル11は、上面形状が長方形状の台部12と、この台部12の上面に設けられている複数個のフリーボールベアリング14、14、…とからなる。フリーボールベアリング14、14、…は、金属ボールと、該金属ボールの上面を露出した状態で収納するボール受けと、ボール受け内に収納されている複数個のボールベアリングとからなり、金属ボールはボールベアリングによって滑らかに任意の方向に回転自在になっている。従って、金型がこれらのフリーボールベアリング14、14、…の上に載置された状態で横方向に力を作用させると、金型を滑らかにスライドさせることができる。金属載置テーブル11は、これらのフリーボールベアリング14、14、…の金属ボールがちょうどターンテーブル6の高さと等しくなるように台部12の高さが調整されている。
【0014】
本実施の形態に係る竪型射出成形機1には、金型段取装置10の側部に、本発明に特有の部材、すなわち設置台16が設けられている。設置台16は金型載置テーブル11の横幅より長い略長方形に形成され、その上に各種装置が設置できるようになっている。本実施の形態においては成形品を取り出す成形品取出装置が固定されているが、これは図1に示されていない。金型載置テーブル11の両端には、その高さがフリーボールベアリング14、14、…の高さより若干高い、一対の支持ガイド部材18、18が設けられており、設置台16は一方の支持ガイド部材18の上にスライド可能に載置されている。そして設置台16がスライドされると金型載置テーブル11を覆うように横切って他方の支持ガイド部材18の上に到達するようになっている。この他方の支持ガイド部材18にはリミットスイッチ19が設けられ、設置台16が到達したか否かが検出されるようになっている。このような設置台16の端部にはボールネジ機構20が設けられ、そのボールネジ21が設置台16に固定されている。制御盤8上にはモータ23が設けられ、このモータ23によってボールネジ機構20のボールナット24を回転して、設置台8をスライドさせるようになっている。
【0015】
本実施の形態に係る竪型射出成形機1の作用を説明する。竪型射出成形機1に金型を取付けるとき、モータ23を駆動して、図2の(A)や図3の(A)に示されているように、設置台16を図面において左側にスライドさせる。すなわち設置台16を第2の位置にする。そうすると金型載置テーブル11が露出する。図に示されていないホイストクレーン等によって金型26を搬入し、金型載置テーブル11に載置する。金型26をスライドさせてターンテーブル6に移動させ、適切な位置で金型26をクランプする。型締力を調整する等、必要な作業を実施する。金型26の取付段取を完了する。
【0016】
金型26の取付段取が完了したら、モータ23を駆動して、図2の(B)や図3の(B)に示されているように、設置台16を図面において右側にスライドさせる。すなわち設置台16が金型載置テーブル11の上に位置する第1の位置になるようにする。リミットスイッチ19は設置台16が第1の位置に到達したことを検出し、竪型射出成形機1の図示されないコントローラに通知する。成形サイクルの開始が可能になる。設置台16が第1の位置にあるとき、図2の(B)に示されているように、その上に設けられている成形品取出装置28は、固定盤3の近傍に位置することになるので、成形品を確実に取り出せる。
【0017】
本実施の形態に係る金型段取装置10と設置台16の組合わせは色々な変形が可能である。例えば設置台16には、成形品取出装置28が設けられるように説明したが、インサート成形を実施するときインサート品を挿入するインサート装置を設けるようにしてもよい。さらには、成形品取出装置28とインサート装置とを共に設けるようにしてもよい。金型段取装置10の金型載置テーブル11も変形が可能であり、フリーボールベアリング14、14、…は必須の部材ではない。例えばフリーボールベアリング14、14、…に代えて、台部12に無給油プレートを敷き詰めるようにしてもよい。竪型射出成形機1も変形が可能である。本実施の形態に係る竪型射出成形機1はターンテーブル6を備えているが、ターンテーブル6を備えていない竪型射出成形機1に対しても、本実施の形態に係る金型段取装置10と設置台16の組合わせは適用可能である。
【符号の説明】
【0018】
1 竪型射出成形機 2 ベッド
3 固定盤 4 タイバー
6 ターンテーブル 8 制御盤
10 金型段取装置 11 金型載置テーブル
12 台部 14 フリーボールベアリング
16 設置台 18 支持ガイド部材
19 リミットスイッチ 20 ボールネジ機構
21 ボールネジ 23 モータ
24 ボールナット 26 金型
28 成形品取出装置
【要約】
【課題】竪型射出成形機の設置スペースを大きくせずに、金型段取装置と成形品取出装置とを固定盤に近接して配置できる、竪型射出成形機の金型段取装置と設置台の組合わせを提供する。
【解決手段】
固定盤(3)に近接して、金型段取装置(10)の金型載置テーブル(11)を設ける。金型載置テーブル(11)は型締装置に取付けられる金型(26)が一時的に載置されるためのテーブルである。成形品取出装置(28)を設置する設置台(16)を金型載置テーブル(11)の側方に設ける。そして所定の駆動機構によって金型載置テーブル(11)より高い位置で水平にスライドさせ、設置台(16)が、金型載置テーブル(11)を覆う第1の位置と、金型載置テーブル(11)の側方に退避する第2の位置とを採るように構成する。
【選択図】 図1
図1
図2
図3