【文献】
FANG, S.-H. 外2名,“LOCATION FINGERPRINTING IN A DECORRELATED SPACE”,IEEE TRANSACTIONS ON KNOWLEDGE AND DATA ENGINEERING [online],2008年 3月31日,Volume 20, Number 5,8 Pages,URL,DOI: 10.1109/TKDE.2007.190731
【文献】
FANG, S.-H. 外1名,“Principal Component Localization in Indoor WLAN Environments”,IEEE TRANSACTIONS ON MOBILE COMPUTING [online],2011年 2月 4日,Volume 11, Number 1,Pages 100-110,URL,DOI: 10.1109/TMC.2011.30
【文献】
FANG, S.-H. 外1名,“A Dynamic Hybrid Projection Approach for Improved Wi-Fi Location Fingerprinting”,IEEE TRANSACTIONS ON VEHICULAR TECHNOLOGY [online],2011年 3月21日,Volume 60, Number 3,Pages 1037-1044,URL,DOI: 10.1109/TVT.2011.2107757
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記記憶部に記憶された対応情報と、前記取得部により取得された電波の強度に基づく情報とに基づいて、前記電波の強度に基づく情報の取得元である端末装置の位置を特定する特定部をさらに備える、
請求項1記載の位置特定支援装置。
前記特定部は、前記記憶部に記憶された対応情報に含まれる固有ベクトルと、前記取得部により取得された電波の強度に基づく情報に含まれる所定のベクトルとの類似度を算出し、前記所定のベクトルとの類似度が最大となる前記固有ベクトルと、前記記憶部に記憶された対応情報とに基づいて、前記電波の強度に基づく情報の取得元である端末装置の位置を特定する、
請求項3記載の位置特定支援装置。
前記取得部は、発信源から送信される電波を受信する端末装置から、前記端末装置により複数の時刻において測定された電波の強度に基づく情報から、前記端末装置により抽出された前記電波の強度における安定成分を示す情報を取得し、
前記特定部は、前記記憶部に記憶された対応情報と、前記取得部により取得された安定成分を示す情報とに基づいて、前記電波の強度に基づく情報の取得元である端末装置の位置を特定する、
請求項2記載の位置特定支援装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施形態の位置特定支援装置、位置特定方法、および位置特定プログラムを、図面を参照して説明する。
【0017】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における位置特定支援装置200を含む位置特定システム1の一例を示す概略図である。本実施形態における位置特定システム1において、位置特定支援装置200は、端末装置100が発信源S1からSnのうちいずれか1つ以上から受信した電波の信号強度RSSI(Received Signal Strength Indication)に基づいて、端末装置100の位置を特定する。位置特定システム1は、発信源S1からSn(nは任意の自然数)と、端末装置100と、位置特定支援装置200とを備える。
【0018】
発信源S1からSnは、例えば、Wi-FiやBluetooth等の無線技術を用いて所定の電波を発信する。所定の電波は、例えばビーコンであり、複数の発信源Snをそれぞれ特定することが可能な識別情報を示す発信源IDが含まれる。これによって、後述する端末装置100は、受信した電波の発信元の発信源Sを特定することができる。
【0019】
発信源S1からSnは、例えば、デパートなどの建物内に設けられ、当該建物内に滞在する利用者が保有する端末装置100に対して電波を発信する。なお、発信源S1からSnを特段区別しない場合、単に「発信源S」と記載する。
【0020】
端末装置100は、例えば、ユーザが保有するスマートフォンや携帯電話等の電子デバイスである。
図2は、第1の実施形態における端末装置100の機能構成の一例を示す図である。第1の実施形態における端末装置100は、アンテナ102と、変調/復調部104と、AD/DA変換部106と、入力部108と、出力部110と、制御部130と、記憶部150とを備える。
【0021】
アンテナ102は、例えば、発信源Sにより発信される電波を受信し、受信した電波に基づく信号を変調/復調部104に入力する。また、アンテナ102は、変調/復調部104により変調された信号に基づいた電波を外部装置に送信する。外部装置は、例えば、位置特定支援装置200、無線基地局、ルータやプロキシサーバ等の通信中継装置等である。
【0022】
変調/復調部104は、アンテナ102により受信された信号をダウンコンバートした後に復調し、復調した信号(アナログ信号)をAD/DA変換部106に入力する。また、変調/復調部104は、自装置内で生成されAD/DA変換部106によりアナログ信号に変換された信号を変調し、アップコンバートしてアンテナ102に出力する。
【0023】
AD/DA変換部106は、変調/復調部104から入力されたアナログ信号をディジタル信号に変換し、変換したディジタル信号を制御部130に入力する。また、AD/DA変換部106は、制御部130から出力されるディジタル信号をアナログ信号に変換し、変換したアナログ信号を変調/復調部104に入力する。
【0024】
入力部108は、ユーザの操作を受け付けて、操作に応じた信号を生成する。入力部108は、例えば、タッチパネル、キーボード、マウス等である。
【0025】
出力部110は、入力された信号に基づいた画像を表示する。出力部110は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ等である。なお、出力部110は、入力部108の機能を有するタッチパネルであってもよい。
【0026】
制御部130は、RSSIデータ生成部132と、出力制御部134とを備える。上述した制御部130の機能部のうち一部または全部は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサが記憶部150に記憶されたプログラムを実行することにより機能するソフトウェア機能部である。プログラムは、例えば、ネットワークNWを介してアプリサーバからダウンロードされる。また、制御部130の機能部のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア機能部であってもよい。
【0027】
記憶部150は、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SDカード等の不揮発性の記憶媒体と、RAM(Random Access Memory)、レジスタ等の揮発性の記憶媒体とを有する。記憶部150に記憶される情報は、プロセッサが実行するプログラムの他、発信源ID、後述する
図6に示すフローチャートの処理を制御部130(プロセッサ)に実行させるためのアプリケーションプログラム等の情報を含む。
【0028】
上述した制御部130におけるRSSIデータ生成部132は、AD/DA変換部106により変換された信号、すなわち発信源Sから受信した電波に基づく信号を基に、発信源IDと対応付けた電波の信号強度を表すデータを生成する。以下、発信源IDと対応付けた電波の信号強度を表すデータを、「RSSIデータ」と称する。例えば、RSSIデータ生成部132は、発信源SごとにRSSIデータを生成する。
【0029】
より具体的には、RSSIデータ生成部132は、発信源Skから発信された電波に基づく信号に対して、発信源Skの発信源IDを対応付けたRSSIデータ(発信源毎データRSSI
Sk)を生成する(k=1〜n)。このようにして、RSSIデータ生成部132は、発信源Sの数nに応じて、RSSIデータを生成する。
【0030】
出力制御部134は、RSSIデータ生成部132により生成された発信源毎データRSSI
Skを、ネットワークNWを介して位置特定支援装置200に送信するように、アンテナ102、変調/復調部104、およびAD/DA変換部106を制御する。ネットワークNWは、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)、シリアル通信線、無線基地局、通信中継装置等を含む。前述した発信源S1からSnも同様にネットワークNWに接続され得るため、端末装置100がネットワークにアクセスする際の窓口装置は発信源S1からSnのいずれかであってよい。また、出力制御部134は、アンテナ102を用いた無線通信の代わりに、USB、PCI等の図示しない通信インターフェースを用いた有線接続によって、発信源毎データRSSI
Skを位置特定支援装置200に送信するように制御してもよい。
【0031】
本実施形態における位置特定支援装置200は、運用開始までに行う事前処理と、運用後に行う運用処理との2種類の処理パターンを有する。位置特定支援装置200は、事前処理として、上述した端末装置100から発信源毎データRSSI
Skを予め取得しておき、取得した発信源毎データRSSI
Skに基づいて、運用時に参照するためのデータベースを生成する。また、位置特定支援装置200は、運用処理として、端末装置100からネットワークNWを介して取得した発信源毎データRSSI
Skに基づき、予め生成したデータベースを参照して、その時点における端末装置100の位置を特定する。なお、事前処理時の端末装置100と運用処理時の端末装置100は異なってもよいし、同じであってもよい。
【0032】
以下、位置特定支援装置200の構成図、およびフローチャートを参照して、位置特定支援装置200における2種類の処理パターンを具体的に説明する。
図3は、第1の実施形態における位置特定支援装置200の機能構成の一例を示す図である。
【0033】
本実施形態における位置特定支援装置200は、通信インターフェース202と、入力部204と、表示部206と、制御部210と、記憶部230とを備える。通信インターフェース202は、ネットワークNWに接続するための通信インターフェースであり、例えば、ネットワークカード等を含む。
【0034】
入力部204は、ユーザの操作を受け付けて、操作に応じた情報を生成する。入力部204は、例えば、タッチパネル、キーボード、マウス等である。入力部204には、例えば、事前処理の段階において、発信源Sの発信源IDや、発信源Sから事前に電波を受信した際の端末装置100の位置等が、ユーザにより入力される。
【0035】
表示部206は、入力された信号に基づいた画像を表示する。表示部206は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示装置である。なお、表示部206は、入力部204の機能を有するタッチパネルであってもよい。
【0036】
位置特定支援装置200の制御部210は、取得部212と、相関行列演算部214と、固有ベクトル導出部216と、記憶制御部218と、類似度演算部220と、位置特定部222とを備える。上述した制御部210の機能部のうち一部または全部は、CPU等のプロセッサが記憶部230に記憶されたプログラムを実行することにより機能するソフトウェア機能部である。また、制御部210の機能部のうち一部または全部は、LSI、ASIC等のハードウェア機能部であってもよい。なお、上述した相関行列演算部214および固有ベクトル導出部216は、「抽出部」の一例である。また、類似度演算部220および位置特定部222は、「特定部」の一例である。
【0037】
位置特定支援装置200の記憶部230は、例えば、ROM、フラッシュメモリ、HDD等の不揮発性の記憶媒体と、RAM、レジスタ等の揮発性の記憶媒体とを有する。記憶部230に記憶される情報は、位置特定支援装置200のプロセッサが実行するプログラムの他、後述するフィンガープリント、数式、RSSIデータ(発信源毎データRSSI
Sk)等の情報を含む。
【0038】
(事前処理)
以下、制御部210が実行する事前処理をフローチャートに則して説明する。
図4は、第1の実施形態における位置特定支援装置200の制御部210の事前処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0039】
まず、取得部212は、通信インターフェース202に接続されるネットワークNWを介して端末装置100から発信源毎データRSSI
Skを取得し(ステップS100)、相関行列演算部214に出力する。次に、取得部212は、ユーザにより入力された、発信源Sから電波を受信した際の端末装置100の位置と、発信源Sの発信源IDとを、入力部204から取得する(ステップS102)。
【0040】
次に、相関行列演算部214は、取得部212により取得された発信源毎データRSSI
Skに基づいて、RSSIデータ数nに対応するn次元のベクトルを生成する(ステップS104)。以下、RSSIデータ数nに対応するn次元のベクトルを、「RSSIベクトル→x」と称し、RSSIベクトル→xの一例を数式(1)に示す。なお、矢印→は、ベクトルを表すものとする。
【0042】
数式(1)に表すように、RSSIベクトル→xは、端末装置100が各発信源Snから受信した電波強度をそれぞれ示す発信源毎データRSSI
S1から発信源毎データRSSI
Snを並べたものである。ここで、端末装置100が存在し得る空間の座標を、数式(2)に示すように→ξにより表す。数式(2)に示すように空間座標→ξは、例えば、X軸上の座標(X成分)と、X軸に直行するY軸上の座標(Y成分)とによって表される。
【0044】
図5は、事前処理の段階において、複数の発信源Sから端末装置100が電波を受信する様子を上方から見た図である。
図5の例の場合、端末装置100は、座標→ξにより示される位置で、発信源S1からSnのそれぞれから電波を所定時間(例えば10秒間程度)受信する。端末装置100は、例えば、所定時間として10秒間の間に1回でも電波を受信することができた発信源Sを、着目対象に含めるようにしてnを決定し、その上で着目対象に含めるように決定した発信源Sについて、電波を受信できない時刻に対応する発信源毎データRSSI
Skの値を“0”にする。
【0045】
本実施形態における端末装置100は、ある時刻において、複数の発信源Sの全てから電波を受信しない場合と、いずれか1つ以上(全てを含む)の発信源Sから電波を受信する場合との2つのケースが存在する。例えば、端末装置100が複数の発信源Sの全てから電波を受信しない場合、相関行列演算部214は、上述した数式(1)に示すRSSIベクトル→x内の成分(要素)を、いずれも“0”としたベクトルを生成する。また、端末装置100が複数の発信源Snのうち、いずれか1つ以上(全てを含む)から電波を受信する場合、相関行列演算部214は、上述した数式(1)に示すRSSIベクトル→x内の成分(要素)のうち、電波を受信できた発信源Sに対応した成分(要素)を、受信電波の強度値に対応した数値に置き換えたベクトルを生成する。
【0046】
また、端末装置100が、所定時間において同一の座標→ξの位置で発信源Sからの電波を測定し続けるため、取得部212は、座標→ξにおいて受信された複数の時系列の発信源毎データRSSI
Skを端末装置100から取得し、取得した複数の時系列の発信源毎データRSSI
Skを相関行列演算部214に出力する。相関行列演算部214は、取得部212により出力された複数の時系列の発信源毎データRSSI
Skを用いて、RSSIベクトル→xを所定数n
→ξ生成する。すなわち、相関行列演算部214は、サンプル数n
→ξ個のRSSIベクトル→xを生成する。相関行列演算部214により生成された複数のRSSIベクトル→xのうち、例えば、i回目に生成されたRSSIベクトル→x
→ξiを数式(3)に示し、j回目に生成されたRSSIベクトル→x
→ξjを数式(4)に示す。
【0049】
次に、相関行列演算部214は、上述したように所定数n
→ξ個生成したRSSIベクトル→xに対して、以下の数式(5)に示す自己相関行列Γ
→ξを計算する。
【0051】
数式(5)中に示すn
→ξは上述した位置→ξにおけるRSSIベクトル→xのサンプル数を表す。相関行列演算部214は、数式(5)に示すように、n
→ξ個のRSSIベクトル→xから、例えば、1回目に生成したRSSIベクトル→x
→ξ1と、このRSSIベクトル→x
→ξ1の転置行列とを乗算し、2回目以降も同様に生成した各RSSIベクトル→xに対してもその転置行列を乗算する。相関行列演算部214は、このような自己相関処理をn
→ξ個の全てのRSSIベクトル→xに対して行い、得られた乗算値を全て加算し、n
→ξ値で除算して平均を取る。このようにして得られた行列は、Γ
→ξ=Γ
→ξTを満たす対称行列となる。
【0052】
固有ベクトル導出部216は、相関行列演算部214により導出された自己相関行列に基づいて、固有値問題を解き、固有ベクトル→ψ
→ξkを導出する(ステップS106)。
【0053】
例えば、端末装置100により受信される電波には、電波強度が常に安定しているものと、不安定なものとが存在している。この場合、大きな成分は、座標→ξに位置する端末装置100が、所定時間内において安定的に電波を受信することができていた発信源Sの集合を表している。すなわち、固有ベクトル導出部216は、相関行列演算部214により導出された自己相関行列から、所定時間内において端末装置100により受信された電波の信号強度の変化が小さく安定した成分を抽出する。固有ベクトル導出部216は、数式(6)に示す固有方程式を解くことで、座標→ξに対応した固有ベクトル→ψ
→ξkを算出する。
【0055】
次に、記憶制御部218は、固有ベクトル導出部216により算出された固有ベクトル→ψ
→ξkを、座標→ξに対応させて記憶部230に記憶させる(ステップS108)。記憶制御部218は、記憶部230に座標→ξと対応させて記憶させた固有ベクトル→ψ
→ξkの数が所定数に達したか否かを判定し(ステップS110)、所定数未満の場合に、上述した事前処理を繰り返し行うように、取得部212、相関行列演算部214、および固有ベクトル導出部216を制御する。制御部210は、記憶部230に座標→ξと対応させて記憶させた固有ベクトル→ψ
→ξkの数が所定数に達した場合に、
図4に示すフローチャートの処理を終了する。
【0056】
このように、位置特定支援装置200の制御部210は事前処理を行い、端末装置100が発信源Sからの電波を測定した際の位置に応じて、所定数の固有ベクトル→ψ
→ξkを導出し、導出した固有ベクトル→ψ
→ξkを、ユーザによって入力部204に入力された端末装置100の位置を示す座標→ξに対応付けて記憶部230に記憶させることにより、運用時において参照するデータベースを生成することができる。以下、事前処理を行って構築したデータベースを、「フィンガープリント」と称する。なお、フィンガープリントは、「対応情報」の一例である。
【0057】
(運用処理)
以下、運用処理における、端末装置100側の処理と、位置特定支援装置200側の処理とを、それぞれ別々のフローチャートに則して説明する。まず、運用処理における端末装置100側の処理について説明する。
図6は、第1の実施形態における端末装置100の運用処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0058】
端末装置100の制御部130は、記憶部150に予め記憶されたアプリケーションプログラムを実行し(ステップS200)、例えば、以下の処理をバックグラウンドで実施させる。次に、制御部130は、アンテナ102を介して発信源Sから電波を受信したか否かを判定する(ステップS202)。
【0059】
RSSIデータ生成部132は、アンテナ102を介して発信源Sから電波を受信した場合、発信源Sから受信した電波に基づく信号を基に、RSSIデータを生成する(ステップS204)。制御部130は、アンテナ102を介して発信源Sから電波を受信していない場合、ステップS204の処理を行わずに、ステップS206の処理を行う。
【0060】
次に、制御部130は、発信源Sからの電波を測定し始めてから、所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS206)。制御部130は、所定時間が経過しない場合、ステップS202の処理に戻る。出力制御部134は、所定時間が経過した場合、アンテナ102、変調/復調部104、およびAD/DA変換部106を制御して、当該所定時間において蓄積した複数のRSSIデータを、位置特定支援装置200に出力する(ステップS208)。なお、出力制御部134は、例えば、所定時間において蓄積した複数のRSSIデータの平均値を、位置特定支援装置200に出力するようにしてもよい。これによって、制御部130は、本フローチャートの処理を終了する。
【0061】
次に、運用過程における位置特定支援装置200側の処理について説明する。
図7は、第1の実施形態における位置特定支援装置200の運用処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0062】
取得部212は、端末装置100により出力された複数のRSSIデータを、ネットワークNWを介して取得する(ステップS300)。次に、相関行列演算部214は、取得部212により取得された複数のRSSIデータに基づいて、RSSIベクトル→xを生成する(ステップS302)。
【0063】
次に、類似度演算部220は、記憶部230に記憶されているフィンガープリントと、相関行列演算部214により生成されたRSSIベクトル→xとに基づいて、位置→ξに対応する類似度C
ξを算出する。数式(7)は、類似度Cの算出式の一例である。例えば、類似度演算部220は、上述した数式(7)に示すように、正規化したRSSIベクトル→xを、フィンガープリントとして記憶されている固有ベクトル→ψ
→ξkに対して射影して類似度C
ξを算出する。なお、類似度演算部220は、例えば、RSSIベクトル→xと固有ベクトル→ψ
→ξkとの二乗誤差を用いて類似度C
ξを算出してもよい。
【0065】
数式(7)に示すように、類似度演算部220は、相関行列演算部214により生成されたRSSIベクトル→xを正規化し、正規化したRSSIベクトル→xと、フィンガープリントとして記憶されている固有ベクトル→ψ
→ξkとの内積を算出する。類似度演算部220は、複数の固有ベクトル→ψ
→ξkから、他の固有ベクトル→ψ
→ξkとの相関が高いd個の固有ベクトル→ψ
→ξkを抽出する。例えば、類似度演算部220は、相関行列演算部214により導出された自己相関行列に対する固有値λの大きいものから順に所定数d個の固有ベクトル→ψ
→ξkを抽出し、抽出したd個の固有ベクトル→ψ
→ξkのそれぞれに対して、上述したRSSIベクトル→xとの内積を算出し、算出した全ての内積の総和を位置→ξに対応する類似度C
ξとして導出する。
【0066】
次に、位置特定部222は、類似度演算部220により算出された類似度C
ξに基づいて、取得部212の取得元である端末装置100の位置を特定する(ステップS306)。具体的には、位置特定部222は、観測データであるRSSIベクトル→xとの類似度C
ξが最大となる座標→ξが示す位置を、取得部212の取得元である端末装置100の位置として特定する。位置特定部222は、通信インターフェース202を介して、特定した端末装置100の位置を、例えば、地図等の画像情報に加工して取得部212の取得元である端末装置100に出力する(ステップS308)。これによって、制御部130は、本フローチャートの処理を終了する。
【0067】
以上説明した第1の実施形態の位置特定支援装置200によれば、発信源Sから送信される電波を受信する端末装置100から、複数の時刻において測定された電波の強度に基づく発信源毎データRSSI
Skを取得する取得部と、取得部により取得された発信源毎データRSSI
Skから、RSSIベクトル→xを生成し、生成したRSSIベクトル→xに対して自己相関行列Γ
→ξを導出する相関行列演算部214と、相関行列演算部214により導出された自己相関行列から共起した成分を抽出し、抽出した成分を固有値λとした未知数の固有ベクトル→ψ
→ξkを導出する固有ベクトル導出部216と、固有ベクトル導出部216により導出された固有ベクトル→ψ
→ξkを、座標→ξに対応させて記憶部230に記憶させる記憶制御部218とを備えることにより、複数の測定データをまとめて処理することができる。この結果、第1の実施形態の位置特定支援装置200は、処理負荷を軽減することができる。
【0068】
また、第1の実施形態の位置特定支援装置200によれば、自己相関行列から共起した成分(安定した成分)を抽出することにより、次元数nのRSSIベクトル→xのデータ量に比して位置特定に用いる際のデータ量を少なくすることができる。この結果、第1の実施形態の位置特定支援装置200は、処理負荷を更に軽減することができる。
【0069】
また、第1の実施形態の位置特定支援装置200によれば、複数(所定数n
→ξ)のRSSIベクトル→xと、フィンガープリントの固有ベクトル→ψ
→ξkとに基づいて類似度Cを算出することにより、精度よく端末装置100の位置を特定することができる。
【0070】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態における位置特定システム1について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点として、端末装置100から位置特定支援装置200に対して送信される情報が、固有ベクトル→ψ
→ξkである場合について説明する。以下、上述した第1の実施形態と共通する機能等についての説明は省略する。
【0071】
図8は、第2の実施形態における端末装置100の機能構成の一例を示す図である。
図8に示すように、第2の実施形態における端末装置100は、相関行列演算部136と、固有ベクトル導出部138とをさらに備える。相関行列演算部136と固有ベクトル導出部138とは、第1の実施形態における位置特定支援装置200の相関行列演算部214と固有ベクトル導出部216とのそれぞれに相当する機能部である。
【0072】
(運用処理)
以下、運用過程における、第2の実施形態における端末装置100側の処理を、ローチャートに則して説明する。
図9は、第2の実施形態における端末装置100の運用処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0073】
端末装置100の制御部130は、記憶部150に予め記憶されたアプリケーションプログラムを実行し(ステップS400)、例えば、以下の処理をバックグラウンドで実施させる。次に、制御部130は、アンテナ102を介して発信源Sから電波を受信したか否かを判定する(ステップS402)。
【0074】
RSSIデータ生成部132は、アンテナ102を介して発信源Sから電波を受信した場合、発信源Sから受信した電波に基づく信号を基に、発信源毎データRSSI
Skを生成する(ステップS404)。制御部130は、アンテナ102を介して発信源Sから電波を受信していない場合、ステップS404の処理を行わずに、ステップS406の処理を行う。
【0075】
次に、制御部130は、発信源Sからの電波を測定し始めてから、所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS406)。制御部130は、所定時間が経過しない場合、ステップS402の処理に戻る。相関行列演算部136は、所定時間が経過した場合、生成した発信源毎データRSSI
Skに基づいて、RSSIベクトル→xを生成する(ステップS408)。
【0076】
次に、相関行列演算部136は、生成したRSSIベクトル→xの数が所定数n
→ξに達したか否かを判定する(ステップ410)。制御部130は、RSSIベクトル→xの数が所定数n
→ξに達しない場合、ステップS402の処理に戻る。固有ベクトル導出部138は、RSSIベクトル→xの数が所定数n
→ξに達した場合、所定数n
→ξのRSSIベクトル→xに対して、上述した数式(5)に示す自己相関関数式Γ
→ξを適用して、自己相関行列を導出する。
【0077】
次に、固有ベクトル導出部138は、相関行列演算部136により導出された自己相関行列に基づいて、固有値問題を解き、固有ベクトル→ψ
→ξk#を導出する(ステップS412)。次に、出力制御部134は、アンテナ102、変調/復調部104、およびAD/DA変換部106を制御して、固有ベクトル導出部138により導出された固有ベクトル→ψ
→ξk#を、位置特定支援装置200に出力する(ステップS414)。これによって、制御部130は、本フローチャートの処理を終了する。
【0078】
以上説明した第2の実施形態の端末装置100によれば、上述した処理によって、運用時において生成した固有ベクトルψ
→ξk#を位置特定支援装置200に送信することにより、生成した固有ベクトルψ
→ξk#とフィンガープリントして予め記憶されている固有ベクトル→ψ
→ξkとの類似度Cを位置特定支援装置200に算出させることができる。この結果、第2の実施形態の端末装置100は、第1の実施形態と同様の効果を奏する上に、第1の実施形態に比して、通信負荷や位置特定支援装置200側の処理負担を軽減することができる。
【0079】
(他の実施形態)
以下、他の実施形態(変形例)について説明する。
上述した第1、2の実施形態における位置特定システム1は、測定した発信源毎データRSSI
Skに基づく情報(RSSIベクトル→x)を、予め記憶させておいたフィンガープリントの固有ベクトルψ
→ξkにより張られる空間に線形変換(射影)することによって、端末装置100の位置を特定するものとして説明したがこれに限られない。例えば、位置特定システム1は、kernelPCA等の非線形変換を用いて固有ベクトルψ
→ξkを導出する主成分分析手法を適用してもよい。
【0080】
上述した実施形態における端末装置100、または位置特定支援装置200の処理をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0081】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。