(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
プレキャストコンクリートの柱と、鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造、又は端部に鉄骨を有するプレキャストコンクリートの梁とを有する建築物を施工する施工方法において、
第1工区において前記柱及び前記梁を複数階施工した後に、前記第1工区に隣接する第2工区において前記柱及び前記梁を複数階施工する施工方法であり、
前記第1工区又は前記第2工区における前記複数階施工時には、建築物の下層階の前記柱及び前記梁を施工した後に、前記下層階のスラブを施工すること無く建築物の上層階の前記柱及び前記梁を施工する施工方法であって、
いずれかの前記柱又は前記梁を施工する際に、前記柱の外周面に設けられた柱側接続片と、前記梁の外周面に設けられた梁側接続片とを相互に接続する接続手段を設置する接続手段設置工程を含む、
施工方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る施工方法の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0014】
[実施の形態の基本的概念]
まずは、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、プレキャストコンクリートの柱(PCa柱)と、鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造、又は端部に鉄骨を有するプレキャストコンクリートの梁とを有する建築物を施工する施工方法に関する。なお、梁は上記のいずれの梁であっても構わないが、本実施の形態では鉄骨の梁を適用する施工方法を例示して説明する。
【0015】
ここで、本実施の形態においては、第1工区において柱及び梁を複数階施工した後に、第1工区に隣接する第2工区において柱及び梁を複数階施工する施工方法であり、第1工区又は第2工区における複数階施工時には、建築物の下層階の柱及び梁を施工した後に、下層階のスラブを施工すること無く建築物の上層階の柱及び梁を施工する施工方法(いわゆる屏風建て工法、又は建て逃げ工法)を適用する。このような屏風建て工法を鉄骨の柱と鉄骨の梁を有する建築物に適用すること自体は公知であり、本実施の形態においては公知の部分については適宜説明を省略する。なお、建築物の大きさ、用途、及び形状については任意である。また、建築物の階数は、屏風建て工法が適用可能な階数である限り任意であり、本実施の形態においては説明の便宜上、一階(下層階)と二階(上層階)とから成る二階建ての建築物であるものとする。
【0016】
[実施の形態の具体的内容]
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0017】
(構成)
初めに、本実施の形態に係る施工方法にて施工された建築物1の構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係る建築物1を示す平面図、
図2は、
図1のP−P矢視断面図、
図3は、
図2のA部の拡大図である。これら
図1から
図3に示すように、本実施の形態に係る建築物1は、柱10、梁20、及びサポート30を備えて構成されている。なお、以下の説明では、各図のX−X´方向を幅方向(X方向を右方、X´方向を左方)、Y−Y´方向を奥行き方向(Y方向を前方、Y´方向を後方)、Z−Z´方向を高さ方向(Z方向を上方、Z´方向を下方)、と称する。
【0018】
ここで、この建築物1には、概念的に、第1工区E1、及び第2工区E2が設けられている。「第1工区」E1とは、各工区のうち初めに施工される工区であって、具体的な位置については任意であるが、本実施の形態では建築物1における後方の端部に位置する工区であるものとして説明する。具体的には、
図1において一点鎖線で囲われた工区であって、当該第1工区E1において施工された柱10、梁20、及びサポート30の符号の語尾には「a」を付している。なお、
図2は、第1工区E1のみを図示した断面図である。なお、第1工区の具体的な領域は任意であるが、本実施の形態では、図示の簡略化のために、2行3列に配置された複数の柱10を含む領域であるものとして説明する。
【0019】
また、「第2工区」E2とは、第1工区E1に隣接する工区であって、第1工区E1の次に施工される工区であり、具体的な位置については任意であるが、本実施の形態では第1工区E1の前方に位置する工区であるものとして説明する。具体的には、
図1において二点鎖線で囲われた工区であって、当該第2工区E2において施工された柱10、梁20、及びサポート30の符号の語尾には「b」を付している。なお、第2工区の具体的な領域は任意であるが、本実施の形態では、図示の簡略化のために、1行3列に配置された複数の柱10を含む領域であるものとして説明する。
【0020】
なお、本実施の形態では、施工途中の建築物1の一部のみを図示しており、実際には、これらの各工区以外の工区にも同様に柱10や梁20を屏風建て工法で施工することができる。なお、第1工区E1から第2工区E2へと工区を広げていく限りにおいて第2工区E2の位置は任意で、例えば本実施の形態のように第1工区E1の前方の位置に限らず、後方や右方や左方の位置であっても構わない。
【0021】
(構成−柱)
柱10は、第1工区E1及び第2工区E2に施工されるプレキャストコンクリートの柱である。具体的には、本実施の形態において、柱10は、一階柱11a、11b、及び二階柱12a、12bを備えており、このうち一階柱11a及び二階柱12aは第1工区E1に属する柱10であり、一階柱11b及び二階柱12bは第2工区E2に属する柱10である。なお、
図2においては、第1工区E1の一階柱11a及び二階柱12aのみを図示している。また、各柱10はそれぞれ隣接する他の柱10に対して梁20で接続されている。ここで、各柱10の上端部からは上方に向けて主筋が突出し、下端部には主筋を挿通可能な鉛直方向に沿った孔が形成されており、一の柱(例えば、一階柱11a)の上端部から上方に向けて突出した主筋を、他の柱(例えば、二階柱12a)の下端部の孔に挿通した状態で、継手にグラウト充填されて接続されている。なお、一階柱11bと二階柱12bに関しても同様の方法で接続されている。
【0022】
ここで、柱10の外周面(本実施の形態においては、柱10の側面)には、柱側接続片40が取り付けられている。
図4は、
図3のB部の拡大図であって、
図4(a)はサポート30設置前、
図4(b)はサポート30設置後を示す図である。この柱側接続片40は、柱10に対してサポート30を接続するためのサポート接続手段である。具体的には、
図4に示すように柱側接続片40は、柱10におけるサポート30の端部に対応する位置に設けられており、アンカー44で柱10に打ち込まれて取り付けられている。
【0023】
この柱側接続片40の形状は、サポート30の端部を接続可能である限り任意であるが、本実施の形態においては、当接部41と突出部42とを備えて構成されている。ここで、当接部41は、柱10の外周面に沿って当接するように配置される長板形状体である。また、突出部42は、長板形状部から外側に向けて突出するように配置される半円形の板状体である。ここで、突出部42は、柱側接続孔43を備えている。この柱側接続孔43は、サポート30の端部を固定するための孔であって、サポート30の端部から当該柱側接続孔43を介するようにボルト45を挿通することにより、サポート30を柱側接続片40に固定することができる。
【0024】
なお、当該柱10と梁20の仕口部の構造は任意であり、本実施の形態では、
図3に示すように、柱10の外周面から外側に向けてH型鋼が突出するように設けられており、このH型鋼と梁20の端面が公知の方法で溶接されて接合されている。
【0025】
(構成−梁)
図1から
図3に戻り、梁20は、柱10の相互間に配置される鉄骨造の梁である。具体的には、本実施の形態において、梁20は、一階梁21a、21b、二階梁22a、22b、及び三階梁23a、23bを備えており、このうち一階梁21a、二階梁22a、及び三階梁23aは第1工区E1に属する梁20であり、一階梁21b、二階梁22b、及び三階梁23bは第2工区E2に属する梁20である。なお、
図2においては、第1工区E1の一階梁21a、二階梁22a、及び三階梁23aのみを図示している。
【0026】
ここで、梁20の外周面(本実施の形態においては、梁20の上フランジの上面)には、梁側接続片50が形成されている。
図5は、
図3のC部の拡大図であって、
図5(a)はサポート30設置前、
図5(b)はサポート30設置後を示す図である。この梁側接続片50は、梁20に対してサポート30を接続するためのサポート接続手段である。具体的には、この梁側接続片50は、各梁20における上フランジの上面に対して、各梁20の長手方向に沿って2つ形成された吊りピースであって、梁20を重機等で吊り上げる際に用いられる公知のピースである。この梁側接続片50の形状は任意であるが、本実施の形態では、梁20の上フランジの上面から上方に向かって突出するように上フランジに対して溶接された、半円形の板状体として形成されている。
【0027】
この梁側接続片50には、吊り上げ用孔51と、梁側接続孔52とが備えられている。吊り上げ用孔51は、梁20を重機等で吊り上げる際に用いる孔であり、この吊り上げ用孔51に治具を挿通してワイヤー等で当該梁20を吊り上げることができる。また、梁側接続孔52は、サポート30の端部を固定するための孔であって、サポート30の端部から当該梁側接続孔52を介するようにボルト53を挿通することにより、サポート30を梁側接続片50に固定することができる。このように、サポート30を接続するための梁側接続片50として、既存の梁20に形成されている吊りピースを流用することにより、新たに部材を製造したり取り付けたりする手間やコストを低減することができる。
【0028】
(構成−サポート)
図1から
図3に戻り、サポート30は、第1工区E1又は第2工区E2において、いずれかの柱10又は梁20を施工する際に、柱10の外周面に設けられた柱側接続片40と、梁20の外周面に設けられた梁側接続片50とを相互に接続する接続手段である。具体的には、本実施の形態において、サポート30は、一階サポート31a、31b、及び二階サポート32a、32bを備えており、このうち一階サポート31a及び二階サポート32aは第1工区E1に属するサポート30であり、一階サポート31b及び二階サポート32bは第2工区E2に属するサポート30である。なお、
図2においては、第1工区E1の一階サポート31a、及び二階サポート32aのみを図示している。このサポート30は、具体的には、柱側接続片40から梁側接続片50に至るように斜めに架け渡されて配置された金属製の長尺部材であって、柱10及び梁20の建方精度調整に用いられるインクサポートである。
【0029】
(施工方法)
次に、上記のように構成された建築物1の施工方法について説明する。この施工方法は、概略的に、PCa柱と、鉄骨造の梁20とを有する建築物1を施工する施工方法において、第1工区E1において柱10及び梁20を複数階施工した後に、第1工区E1に隣接する第2工区E2において柱10及び梁20を複数階施工する施工方法であり、第1工区E1又は第2工区E2における複数階施工時には、建築物1の下層階の柱10及び梁20を施工した後に、下層階のスラブを施工すること無く建築物1の上層階の柱10及び梁20を施工する施工方法に関する。なお、「複数階」とは、少なくとも複数の階であれば足り、必ずしも最上階まで施工することを要さないが、本実施の形態においては二階分の躯体(三階梁も含む)であるものとして説明する。
【0030】
図6は、施工方法の手順1を示す
図1のP−P矢視断面に対応する断面図である。この手順1に示すように、まずは、第1工区E1において、一階梁施工工程、及び一階柱施工工程を行う。ここで、一階梁施工工程は、一階梁21aを施工する工程である。このように一階梁21aを施工する方法は公知であり、例えば、現場打ちコンクリートで地中にフーチング及び柱脚部を形成し、各柱脚部の相互間に一階梁21aを配置し、これらの端部を柱脚部に設けられたH型鋼に溶接することにより施工することが可能である。
【0031】
一階柱施工工程は、一階柱11aを施工する工程である。このように一階柱11aを施工する方法は公知であり、例えば、フーチングの上端部から上方に向けて突出させた主筋に一階柱11aを積み上げていくことにより、一階柱11aを施工することができる。なお、フーチングをPCaで形成しても構わない。
【0032】
図7は、施工方法の手順2を示す
図1のP−P矢視断面に対応する断面図である。この手順2に示すように、続いて、第1工区E1において、一階サポート施工工程を行う。ここで、一階サポート施工工程は、一階柱11aと一階梁21aとを相互に接続する一階サポート31aを施工する工程である。具体的には、まず、柱側接続片40の当接部41から一階柱11aに至るようにアンカー44を打ち込むことにより、一階柱11aの外周面に対して、柱側接続片40を取り付ける。次に、一階柱11aから一階梁21aに至るように一階サポート31aを配置し、一階サポート31aの一方の端部を一階柱11aに取り付けられた柱側接続片40の柱側接続孔43に固定し、一階サポート31aの他方の端部を一階梁21aの上面に形成された梁側接続片50の梁側接続孔52に固定する。この固定方法は任意で、例えば一階サポート31aの端部に形成された孔から、柱側接続孔43又は梁側接続孔52に至るようにボルト45、53を挿通して締結することにより固定することができる。
【0033】
図8は、施工方法の手順3を示す
図1のP−P矢視断面に対応する断面図である。この手順3に示すように、続いて、第1工区E1において、二階梁施工工程、二階柱施工工程、及び二階サポート施工工程を行う。
【0034】
ここで、二階梁施工工程は、二階梁22aを施工する工程であって、上述した一階梁施工工程と同様に実施できる。また、二階サポート施工工程は、二階柱12aと二階梁22aとを相互に接続する二階サポート32aを施工する工程であって、上述した一階サポート施工工程と同様に実施できる。また、二階柱施工工程は、二階柱12aを施工する工程である。このように二階柱12aを施工する方法は公知であり、例えば一階柱11aの上端部から上方に向けて突出した主筋を内部に挿通するように、一階柱11aの上方に二階柱12aを積み上げていくことにより、二階柱12aを施工することができる。
【0035】
このように、本実施の形態のように一階柱11aと一階梁21aとを相互に接続する一階サポート31aを設けて一階柱11aを支持することにより、建築物1の下層階(一階)の一階柱11a及び一階梁21aを施工した後に、一階のスラブを施工することなく、建築物1の上層階(二階)の二階柱12a及び二階梁22aを施工することが可能となる。
【0036】
次に、三階梁施工工程を実施して、
図2に示す第1工区E1の構造を完成させる。
図9は、三階梁施工工程後の建築物1の平面図である。この段階では、図示のように建築物1における第1工区E1のみが完成しており、第2工区E2は施工されていない。この三階梁施工工程は、三階梁23aを施工する工程であって、上述した一階梁施工工程及び二階梁施工工程と同様に実施することができる。
【0037】
次に、建方精度調整を行う。この建方精度調整工程は、建築物1の建方精度を調整する工程であって、この調整の具体的な方法は任意であり、例えばサポート30の締結強度の調整等を行うことにより、建築物1を構成する柱10や梁20等の位置や傾きを調整することができる。なお、このような建方精度調整は任意のタイミングで行うことができ、例えば上記に説明した各工程のいずれか、又は各工程の相互間において行うことが可能である。
【0038】
次に、グラウト充填工程を行う。このグラウト充填工程は、建方精度調整により建方精度が確立した状態で
図3に示す各柱10の継手にグラウト充填することにより、柱10同士を相互に接続する工程である。このグラウト充填の具体的な手順については公知であり、例えば柱10の主筋の継手部に形成された円筒形のスリーブ(図示省略)にグラウトを流し込んで充填する公知の方法を適用することができる。
【0039】
これにて第1工区E1の柱10、梁20、及びサポート30の施工が完了する。同様の工程を第1工区E1の前方に位置する第2工区E2にて実施することにより、第1工区E1の前方に第2工区E2を施工することができる。具体的には、第2工区E2の柱10を規定の位置に施工し、当該第2工区E2の柱10と第1工区E1の柱10とを第2工区E2の梁20で接続し、各柱10と梁20とをサポート30で接続し、以降同様の施工を繰り返して第2工区E2を完成させていく。このようにして第1工区E1及び第2工区E2の施工が完了したら、同様の手順を、他の工区(例えば第2工区E2のさらに前方の工区(図示省略))にて繰り返し実施することにより、柱10、梁20、及びサポート30を施工していくことができ、建築物1を屏風建て工法で施工していくことができる。
【0040】
そして、任意のタイミング(例えば複数の工区において柱10、梁20、及びサポート30の施工が完了したタイミング)において、柱10及び梁20によって支持されるスラブを構築する。なお、本実施の形態では、建方精度調整及びグラウト充填工程を工区毎に行ったが、これに限らず、複数の工区にて柱10、梁20、及びサポート30を施工した後に、複数の工区でまとめてこれらの建方精度調整及びグラウト充填工程を行っても構わないし、上記の各階のスラブを構築する際に合わせてグラウト充填工程を行っても構わない。
【0041】
また、本実施の形態に示す方法以外で屏風建て工法を適用する方法として、上下の柱10の外表面に架け渡すようにアンカーで取り付けられる公知の柱建入れ調整器具を用いて、PCa柱を接続しながら積み上げる方法も考えられる。しかし、PCa柱は鉄骨柱よりも重量が大きいため、このような方法ではより多くの柱建入れ調整器具が必要となり、柱建入れ調整器具の取り付けの手間や費用が増大してしまう可能性があった。本実施の形態ではこのような方法と比べて、サポート30を用いた極めて簡素な構成により屏風建てを行うことができ、施工に要する手間や費用を削減することが可能となる。また、上記の方法では、下方の柱の外周面から上方の柱に至るように柱建入れ調整器具を設置するので、柱の継手が柱建入れ調整器具と干渉してしまうこととなり、柱の継手にグラウト充填する際に障害となってしまう可能性があった。しかし、本実施の形態に係る施工方法では、柱10の外周面から梁20の外周面に至るようにサポート30を設置するので、柱10の継手が柱建入れ調整器具と干渉してしまうことはなく、継手に対して容易にグラウト充填することが可能となる。以上にて、本実施の形態に係る建築物1の施工方法に関する説明を終了する。
【0042】
(実施の形態の効果)
このように、本実施の形態の施工方法によれば、柱10の外周面に設けられた柱側接続片40と、梁20の外周面に設けられた梁側接続片50とを相互に接続する接続手段を設置する接続手段設置工程を含むので、接続手段によりPCa柱を安定的に複数階積み上げることができ、屏風建て工法を適用することが可能となる。
【0043】
また、柱側接続片40から梁側接続片50に至るように配置されたサポート30であって、一方の端部が柱側接続孔43に固定され、他方の端部が梁側接続孔52に固定されるサポート30を備えるので、既存の部材を用いた極めて簡素な構成により屏風建て工法を適用することができ、施工に要する手間や費用を削減することが可能となる。
【0044】
また、梁側接続片50は、梁20を吊りあげる際に使用する吊りピースであるので、既存の部材を流用して梁側接続片50を構築することができ、施工に要する手間や費用を削減することが可能となる。
【0045】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0046】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏することがある。例えば、本実施の形態に係る施工方法によって、PCa柱を安定的に複数階積み上げることができない場合であっても、従来と異なる技術により建築物1の施工ができている場合には、本願発明の課題が解決されている。
【0047】
(寸法や材料について)
発明の詳細な説明や図面で説明した建築物1の各部の寸法、形状、材料、比率等は、あくまで例示であり、その他の任意の寸法、形状、材料、比率等とすることができる。
【0048】
(梁側接続片について)
本実施の形態では、梁側接続片50として、梁20を重機などで吊り上げるために用いる吊りピースを流用するものとして説明したが、これに限らず、吊りピース以外の梁側接続片50を新たに梁20に対して溶接等して取り付けても良い。また、本実施の形態では、一つの梁20に2つの梁側接続片50を形成したが、これに限らず、単一の梁側接続片50を形成して、この梁側接続片50に対して複数のサポート30を取り付けても構わない。
【0049】
また、本実施の形態では、吊り上げ用孔51とは別に梁側接続孔52を形成したが、これに限らず、吊り上げ用孔51と梁側接続孔52を兼用しても構わない。この場合には、梁側接続孔52として新たに孔を形成する手間や費用を削減することが可能となる。
【0050】
(付記)
付記1の施工方法は、プレキャストコンクリートの柱と、鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造、又は端部に鉄骨を有するプレキャストコンクリートの梁とを有する建築物を施工する施工方法において、第1工区において前記柱及び前記梁を複数階施工した後に、前記第1工区に隣接する第2工区において前記柱及び前記梁を複数階施工する施工方法であり、前記第1工区又は前記第2工区における前記複数階施工時には、建築物の下層階の前記柱及び前記梁を施工した後に、前記下層階のスラブを施工すること無く建築物の上層階の前記柱及び前記梁を施工する施工方法であって、いずれかの前記柱又は前記梁を施工する際に、前記柱の外周面に設けられた柱側接続片と、前記梁の外周面に設けられた梁側接続片とを相互に接続する接続手段を設置する接続手段設置工程を含む。
【0051】
付記2の施工方法は、付記1に記載の施工方法において、前記柱側接続片は柱側接続孔を備え、前記梁側接続片は梁側接続孔を備え、前記接続手段は、前記柱側接続片から前記梁側接続片に至るように配置されたサポートであって、一方の端部が前記柱側接続孔に固定され、他方の端部が前記梁側接続孔に固定されるサポートである。
【0052】
付記3の施工方法は、付記1又は2に記載の施工方法において、前記梁側接続片は、前記梁を吊りあげる際に使用する吊りピースである。
【0053】
(付記の効果)
付記1に記載の施工方法によれば、柱の外周面に設けられた柱側接続片と、梁の外周面に設けられた梁側接続片とを相互に接続する接続手段を設置する接続手段設置工程を含むので、接続手段によりPCa柱を安定的に複数階積み上げることができ、屏風建て工法を適用することが可能となる。
【0054】
付記2に記載の施工方法によれば、柱側接続片から梁側接続片に至るように配置されたサポートであって、一方の端部が柱側接続孔に固定され、他方の端部が梁側接続孔に固定されるサポートを備えるので、既存の部材を用いた極めて簡素な構成により屏風建て工法を適用することができ、施工に要する手間や費用を削減することが可能となる。
【0055】
付記3に記載の施工方法によれば、梁側接続片は、梁を吊りあげる際に使用する吊りピースであるので、既存の部材を流用して梁側接続片を構築することができ、施工に要する手間や費用を削減することが可能となる。