特許第6685736号(P6685736)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6685736
(24)【登録日】2020年4月3日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】インクジェットヘッド
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20200413BHJP
【FI】
   B41J2/14 605
   B41J2/14 305
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-10979(P2016-10979)
(22)【出願日】2016年1月22日
(65)【公開番号】特開2017-128098(P2017-128098A)
(43)【公開日】2017年7月27日
【審査請求日】2018年11月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】楠 竜太郎
(72)【発明者】
【氏名】横山 周平
(72)【発明者】
【氏名】ウォン メンフェイ
(72)【発明者】
【氏名】新井 竜一
(72)【発明者】
【氏名】川久保 隆
(72)【発明者】
【氏名】阿部 和秀
(72)【発明者】
【氏名】冨澤 泰
【審査官】 馬渕 貴洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−172323(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0002582(US,A1)
【文献】 特開2012−030582(JP,A)
【文献】 特開2013−075511(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 〜 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクが充填される複数の圧力室と、
この圧力室からインクを吐出させる吐出孔と、
前記圧力室の各々に対向して流体的に連通して前記圧力室の各々にインクを個別供給する複数の個別供給路と、
前記圧力室の各々に対向して流体的に連通して前記圧力室の各々からインクを個別排出する複数の個別排出路と、
電気信号に応じて前記圧力室の容積を変化させて前記圧力室内のインクに圧力振動を生じさせ、前記吐出孔に形成したインクメニスカスからインク滴を吐出させるアクチュエータと、を有し、
前記個別供給路の断面積と前記個別排出路の断面積が略同一であり、前記個別供給路の長さと前記個別排出路の長さが略同一であり、
前記吐出孔の長さをL1[m]とし、前記吐出孔の開口面積をS1[m]とし、前記個別供給路と前記個別排出路の長さをそれぞれL2[m]とし、前記個別供給路と前記個別排出路の開口面積の和をS2[m]とした場合、
L2/S2>=L1/S1/3
が成り立つ、
インクジェットヘッド。
【請求項2】
インクが充填される圧力室と、電気信号に応じて前記圧力室の容積を変化させて前記インクに圧力振動を生じさせるとともに、前記圧力室内のインクを吐出する吐出孔を有するアクチュエータと、を複数有するアクチュエータ基板と、
前記圧力室の各々に対向して流体的に連通する個別供給路と個別排出路が複数形成され、前記アクチュエータ基板の、前記アクチュエータと反対の接合面に接合された流路基板と、を有し、
前記接合面において、前記個別供給路における前記個別排出路と最も遠い部分の外縁と前記個別排出路における前記個別供給路と最も遠い部分の外縁との距離は、前記圧力室の内径より大きい、
ンクジェットヘッド。
【請求項3】
インクが充填される圧力室と、電気信号に応じて前記圧力室の容積を変化させて前記インクに圧力振動を生じさせるとともに、前記圧力室内のインクを吐出する吐出孔を有するアクチュエータと、を複数有するアクチュエータ基板と、
前記圧力室の各々に対向して流体的に連通する個別供給路と個別排出路が複数形成され、前記アクチュエータ基板の、前記アクチュエータと反対の接合面に接合された流路基板と、を有し、
前記吐出孔の長さをL1[m]とし、前記吐出孔の開口面積をS1[m]とし、前記個別供給路と前記個別排出路の長さをそれぞれL2[m]とし、前記個別供給路と前記個別排出路の開口面積の和をS2[m]とした場合、
L2/S2>=L1/S1/3
が成り立つ、
インクジェットヘッド。
【請求項4】
前記個別供給路の断面積と前記個別排出路の断面積が略同一であり、前記個別供給路の長さと前記個別排出路の長さが略同一である、
請求項2または3のインクジェットヘッド。
【請求項5】
前記アクチュエータ基板の厚みは、前記圧力室の直径の1/2以下である、
請求項2〜4のインクジェットヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、インクを充填した圧力室の容積を変化させて、圧力室に設けたノズルのインクメニスカスからインク滴を吐出させるインクジェットヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙などの媒体にインク滴を吐出して画像や文字などを形成するインクジェットプリンタが知られている。この種のインクジェットプリンタは、例えば、インクを充填した圧力室およびアクチュエータを複数組備えたインクジェットヘッドを有する。アクチュエータは、圧力室の容積を変化させて圧力室内のインクに圧力振動を生じさせることで圧力室のノズルからインク滴を吐出させる。
【0003】
この種のインクジェットヘッドでは、インク滴の吐出により、各圧力室内のインクが減るため、各圧力室にインクを補給する必要がある。また、インク滴の吐出により、ノズルのインクメニスカスが大きく凹んで気泡が圧力室内に入るおそれがある。この気泡は、インク滴の吐出を不安定にして、ドットサイズにバラつきを生じる原因となる。このため、各圧力室にインクを循環させて気泡を除去する必要がある。
【0004】
しかし、各圧力室にインクを供給するための供給口およびインクを排出するための排出口は、アクチュエータを駆動して圧力室内のインクに圧力振動を生じさせるとき、圧力室内のインクを流出してしまうことで、圧力室内のインクの圧力を低下させてしまう。このような圧力損失を抑制してインク滴の吐出に寄与する十分な吐出圧力を生じさせるため、各圧力室の供給口および排出口を十分に小さくしたインクジェットヘッドが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−172323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、各圧力室の供給口や排出口を小さくすると、インクの供給や循環のためインクを比較的高圧にする必要があり、ポンプが大型化したり、消費電力が大きくなるなどの不具合を生じる。
【0007】
よって、小型で消費電力が少なくインク滴を安定して吐出させることができるインクジェットヘッドの開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係るインクジェットヘッドは、インクが充填される複数の圧力室と、この圧力室からインクを吐出させる吐出孔と、圧力室の各々に対向して流体的に連通して圧力室の各々にインクを個別供給する複数の個別供給路と、圧力室の各々に対向して流体的に連通して圧力室の各々からインクを個別排出する複数の個別排出路と、電気信号に応じて圧力室の容積を変化させて圧力室内のインクに圧力振動を生じさせ、吐出孔に形成したインクメニスカスからインク滴を吐出させるアクチュエータと、を有する。個別供給路の断面積と個別排出路の断面積は略同一であり、個別供給路の長さと個別排出路の長さは略同一であり、吐出孔の長さをL1[m]とし、吐出孔の開口面積をS1[m]とし、個別供給路と個別排出路の長さをそれぞれL2[m]とし、個別供給路と個別排出路の開口面積の和をS2[m]とした場合、L2/S2>=L1/S1/3が成り立つ
実施形態に係るインクジェットヘッドは、インクが充填される圧力室と、電気信号に応じて圧力室の容積を変化させてインクに圧力振動を生じさせるとともに、圧力室内のインクを吐出する吐出孔を有するアクチュエータと、を複数有するアクチュエータ基板と、圧力室の各々に対向して流体的に連通する個別供給路と個別排出路が複数形成され、アクチュエータ基板の、アクチュエータと反対の接合面に接合された流路基板と、を有する。接合面において、個別供給路における個別排出路と最も遠い部分の外縁と個別排出路における個別供給路と最も遠い部分の外縁との距離は、圧力室の内径より大きい。
実施形態に係るインクジェットヘッドは、インクが充填される圧力室と、電気信号に応じて圧力室の容積を変化させてインクに圧力振動を生じさせるとともに、圧力室内のインクを吐出する吐出孔を有するアクチュエータと、を複数有するアクチュエータ基板と、圧力室の各々に対向して流体的に連通する個別供給路と個別排出路が複数形成され、アクチュエータ基板の、アクチュエータと反対の接合面に接合された流路基板と、を有する。吐出孔の長さをL1[m]とし、吐出孔の開口面積をS1[m]とし、個別供給路と個別排出路の長さをそれぞれL2[m]とし、個別供給路と個別排出路の開口面積の和をS2[m]とした場合、L2/S2>=L1/S1/3が成り立つ。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係るインクジェットヘッドを示す斜視図である。
図2図2は、図1のインクジェットヘッドのアクチュエータ基板を示す平面図である。
図3図3は、図2のアクチュエータ基板の一部を拡大した部分拡大平面図である。
図4図4は、図3のIV−IVに沿った部分拡大断面図である。
図5図5は、図3のV−Vに沿った部分拡大断面図である。
図6図6は、図1のインクジェットヘッドの流路基板をインク供給部材側から見た底面図である。
図7図7は、図6の流路基板の底面を部分的に拡大した部分拡大底面図である。
図8図8は、図1のインクジェットヘッドのインク供給部材を流路基板側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、インクジェットヘッド1を示す外観斜視図である。このインクジェットヘッド1は、アクチュエータ基板2と、流路基板3と、インク供給部材4と、を積層した構造を有する。また、インクジェットヘッド1は、ドライバIC5を備えている。
【0011】
アクチュエータ基板2と流路基板3とインク供給部材4は、例えばエポキシ系接着剤などにより互いに接合されている。アクチュエータ基板2とドライバIC5は、異方性導電フィルム(ACF)により電気的に接続されている。
【0012】
アクチュエータ基板2には、多数のアクチュエータ6がアレイ状に形成されている。各々のアクチュエータ6にはインク滴を吐出するためのノズル7(吐出孔)が形成されている。
【0013】
インク供給部材4は、インクジェットヘッド1へインクを供給するためのインク供給パイプ8と、ノズル7から吐出されなかったインクを回収するためのインク排出パイプ9と、を備えている。インク供給パイプ8およびインク排出パイプ9には、図示しない送液のためのチューブが接続されている。
【0014】
ドライバIC5は、インクジェットプリンタからの制御信号に応じて各々のアクチュエータ6に対し駆動信号を発生する。各アクチュエータ6は、この駆動信号に応じてノズル7を介してインク滴を吐出させる。
【0015】
インク供給パイプ8を介してインク供給部材4へ供給されたインクは、流路基板3を経てアクチュエータ基板2へ供給される。ドライバIC5が発生する駆動信号に応じて、ノズル7からインク滴が吐出する。ノズル7から吐出しなかったインクは、流路基板3を経てインク供給部材4へ回収され、インク排出パイプ9を介して排出される。
【0016】
図2は、アクチュエータ基板2をインクの吐出方向から見た部分拡大平面図である。アクチュエータ基板2には、複数個のアクチュエータ6と、複数本の引出し電極31と、が設けられている。複数本の引出し電極31は、導電性の材料によって形成されており、各引出し電極31の一端(図示下端)には、実装パッド10が設けられている。これら複数本の引出し電極31は、各アクチュエータ6から個別に引き出された複数本の個別電極11と、一直線状に配置した複数個(本実施形態では8個)のアクチュエータ6を接続した複数本の共通電極12と、を含む。
【0017】
個別電極11は、各々のアクチュエータ6の後述する下部電極14と実装パッド10を電気的に接続している。個別電極11同士は、互いに電気的に独立している。また、共通電極12は、複数のアクチュエータ6の後述する上部電極16同士を直列に接続し且つ実装パッド10と電気的に接続している。
【0018】
そして、複数本の引出し電極31に設けた複数個の実装パッド10は、ドライバIC5に電気的に接続している。実装パッド10とドライバIC5との接続には、異方性導電フィルム(ACF)を用いることができる。他に、実装パッド10は、ワイヤボンディングなどの方法により、ドライバIC5と接続しても良い。
【0019】
図3は、アクチュエータ6をさらに拡大して示す部分拡大平面図である。図4は、図3のIV−IVに沿ったアクチュエータ基板2の断面図である。
アクチュエータ6は、振動板13、下部電極14、圧電体15、上部電極16、絶縁層17、共通電極12、保護層18、および撥液層19を有する。アクチュエータ6の中心には、ノズル7が設けられている。ノズル7は、振動板13を貫通した円形の吐出孔である。下部電極14、圧電体15、および上部電極16は、ノズル7を囲む略円環形状を有する。
【0020】
振動板13は、アクチュエータ基板2によって支持されている。本実施形態では、振動板13をアクチュエータ基板2に積層した状態で、アクチュエータ基板2の構成材料を裏面側からエッチングすることで、アクチュエータ基板2内に圧力室20を形成した。すなわち、アクチュエータ6の裏面側には、圧力室20として機能する円柱状の内部空間が設けられている。振動板13に設けたノズル7は、圧力室20の内部空間に連通している。
【0021】
ノズル7の内径、および圧力室20の内径は、所望のインク吐出体積や駆動周波数や駆動電圧を考慮して決められる。本実施例では、ノズル7の内径を20μmとし、圧力室20の内径を200μmとした。なお、ノズル7と圧力室20は、中心軸Cに沿って同心に配置されている。
【0022】
アクチュエータ基板2は、厚みが50μmの単結晶シリコンにより形成されている。アクチュエータ基板2の厚みは、圧力室20の直径の1/2以下であることが望ましい。それにより、後述する個別インク供給路21から流入したインクが後述する個別インク排出路22に流出するとき、圧力室20内のインク全体が流動し、圧力室20内の気泡を排出しやすくできる。
【0023】
反面、アクチュエータ基板2の厚みを圧力室20の直径の1/2より大きくすると、振動板13の裏面近くでインクの流れが悪くなり、ノズル7から入った気泡を除去し難くなる。
【0024】
振動板13は、圧力室20の上面を覆うように、アクチュエータ基板2と一体に積層されている。振動板13の材質はSiOであり、アクチュエータ基板2となるシリコンウエハを高温で加熱することにより形成可能である。本実施形態では、振動板13の厚みを4μmにした。
【0025】
振動板13の表面側には、下部電極14、圧電体15、および上部電極16が、ノズル7を中心にドーナッツ状に積層して形成されている。圧電体15および上部電極16の内径は30μmとし、圧電体15および上部電極16の外径は140μmとした。下部電極14と上部電極16は導電性材料で形成されている。本実施例では、Ptをスパッタ法により成膜して下部電極14と上部電極16を形成している。
【0026】
圧電体15は、圧電性材料により形成されている。本実施例では、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)をスパッタ法で成膜することで圧電体15を形成した。PZTは、ゾルゲル法などにより成膜してもよい。また、圧電体15の材質はPZTに限らず、KNN(ニオブ酸カリウムナトリウム)などを用いても良い。上部電極16と下部電極14の厚みは0.1〜0.2μmである。圧電体15の厚みは、2μmとした。
【0027】
下部電極14と上部電極16との間に電圧が印加されると、圧電体15に電界が作用し、逆圧電効果により圧電体15が膜厚方向に伸長し、その結果、膜厚方向と直交する方向に収縮する。圧電体15の収縮により、振動板13の上面が収縮し、アクチュエータ6の可動領域、すなわち振動板13が圧力室20に対向する領域において、アクチュエータ6が圧力室20に向けて突出する方向に変形する。これにより、振動板13が変形して圧力室20内のインクに圧力変動を生じさせ、ノズル7を介してインク滴が吐出される。
【0028】
上部電極16の表面上には、絶縁性の無機材料により形成された絶縁層17が設けられている。絶縁層17は、TEOS−CVD法によりSiOを成膜して形成可能である。本実施形態では、絶縁層17の厚みを0.5μmにした。絶縁層17は、圧電体15の外周部において、下部電極14と共通電極12との間の絶縁を確保するため、下部電極14と共通電極12の間に設けられている。
【0029】
アクチュエータ6の可動領域に絶縁層17があると、アクチュエータ6の動作が阻害される。そのため、アクチュエータ6の可動領域に重なる絶縁層17の部分をできるだけ小さくすることが望ましい。よって、本実施形態では、アクチュエータ6の可動領域内の大部分には絶縁層17を形成していない。
【0030】
絶縁層17の存在は、アクチュエータ6が変形する際の形状に影響を与える。つまり、絶縁層17が重なった部分でアクチュエータ6の変形が少なく、それ以外の部分で変形が大きくなる。よって、絶縁層17がアクチュエータ6の可動領域に重ねてノズル7の中心に対して非対称な形状で形成されていると、アクチュエータ6の変形がノズル7の中心に対して非対称になり、ノズル7から吐出するインク滴の飛翔方向が傾く可能性がある。そのため、絶縁層17は、アクチュエータ6の可動領域内において、ノズル7の中心に対して対称な形状で重なるように配置する必要がある。
【0031】
本実施形態では、図3に示すように、共通電極12に沿って隣接する2つのアクチュエータ6の間に絶縁層17を配置し、各アクチュエータ6の中心に対して対称な位置で絶縁層17を各アクチュエータ6に重ねた。このようなレイアウトの対称性を確保するため、例えばアクチュエータ6の列の端部に配置されたアクチュエータ6aに重ねて電流を流さないダミーの絶縁層17aを設けた。
【0032】
また、本実施形態では、隣接する2つのアクチュエータ6の間の絶縁層17を、切れ目なく連続的に形成した。これにより、絶縁層17の上に形成される共通電極12に生じる段差を少なくでき、共通電極12が絶縁層17の切れ目の段差の部分で断線する不具合を低減することができ、歩留りの高いインクジェットヘッドを提供できる。
【0033】
振動板13、上部電極16、絶縁層17の上には、導電性材料の共通電極12が形成されている。共通電極12の一端には実装パッド10が設けられている。共通電極12は、同じ列にある複数のアクチュエータ6の上部電極16を実装パッド10と電気的に接続している。なお、共通電極12は、各アクチュエータ6の下部電極14とは絶縁層17を介して電気的に絶縁されている。
【0034】
一方、振動板13及び下部電極14の上には導電性を有する個別電極11が形成されている。個別電極11の一端には、実装パッド10が設けられている。個別電極11は、各アクチュエータ6の下部電極14を実装パッド10に電気的に接続している。個別電極11同士は、互いに電気的に絶縁されている。
【0035】
本実施形態では、個別電極11と共通電極12を、スパッタ法により金を成膜して形成した。個別電極11と共通電極12それぞれの厚みは、0.1μmないし0.5μmである。
【0036】
振動板13、下部電極14、圧電体15、上部電極16、絶縁層17、個別電極11、共通電極12の上には、絶縁性の無機材料により形成した保護層18が設けられている。保護層18は、実装パッド10が形成された領域を除くアクチュエータ基板2の全面に設けられている。保護層18は、TEOS−CVD法によりSiOを成膜して形成した。保護層18の厚みは、0.1μm〜1μmであることが望ましく、本実施形態では保護層18の厚みを0.5μmとした。
【0037】
SiOは無機材料による比較的硬い膜であるので、保護層18で下部電極14と圧電体15と上部電極16を覆うことにより、アクチュエータ6の駆動に伴う応力によってこれら部材14、15、16の結晶構造がずれてクラックが入ることを防止できる。反面、保護層18を厚くし過ぎると、アクチュエータ6の変形動作が妨げられてしまい、インク滴の吐出動作に不具合を生じる。
【0038】
また、保護層18は、インクや空気中の水分などから、アクチュエータ6の内部の電極14、16や圧電体15を保護している。しかし、保護層18の厚みをアクチュエータ6の動作を妨げることのない厚みにすると、アクチュエータ6の内部を水分から保護する作用は、必ずしも十分にできない。よって、本実施形態では、保護層18を薄くした上で、保護層18の上に、樹脂製の比較的柔らかい撥液層19を設けて、保護層18に水分が吸収されないようにしている。
【0039】
保護層18の材質として、SiOの他に、例えばSiNなどの無機材料を用いることができる。SiNはSiOより吸湿性が小さいので、水分に対する保護作用が高い。しかし、SiOの方がSiNよりヤング率が小さいため、アクチュエータ6の変形動作を阻害しにくい。よって、保護層18の材質は、要求に応じて適宜選択される。
【0040】
保護層18の上の全面には、撥液性を有する樹脂により形成した撥液層19が設けられている。撥液層19は、スピンコート法によりアモルファス系フッ素樹脂を成膜して形成した。アモルファス系フッ素樹脂として、例えば、旭硝子製のサイトップ(登録商標)を用いた。撥液層19の水に対する接触角は90度以上である。撥液層19の厚みは0.5μmないし5μmである。本実施例では、撥液層19の厚みを1μmとした。
【0041】
撥液層19は、アクチュエータ6にインクが付着することを防止することができ、保護層18が水分を吸収することを抑制できる。また、撥液層19は樹脂製であるためヤング率が比較的小さく、アクチュエータ6の変形動作を阻害しにくい。また、撥液層19は、アクチュエータ6にインクが付着することを防止して、アクチュエータ6の表面に付着したインクによりノズル7が塞がれてインクの吐出が阻害される不具合を防止できる。
【0042】
図5は、図3のV−Vに沿ったアクチュエータ基板2と流路基板3とインク供給部材4の断面図である。図6は、流路基板3をインク供給部材4側から見た底面図である。図7は、流路基板3の底面を部分的に拡大した部分拡大底面図である。図8は、インク供給部材4を流路基板3側から見た平面図である。
【0043】
流路基板3は、アクチュエータ基板2の複数の圧力室20にそれぞれ対応した複数組の個別インク供給路21(供給路)および複数の個別インク排出路22(排出路)を有する。これら複数組の個別インク供給路21および個別インク排出路22は、それぞれ略半円形の断面形状を有し、流路基板3を貫通して設けられている。よって、これら複数組の個別インク供給路21および個別インク排出路22は、複数の圧力室20と同じパターンでアレイ状に配置されている。
【0044】
各圧力室20に対向した一対の個別インク供給路21および個別インク排出路22に着目すると、これら一対の流路21、22は、その全長にわたって流路基板3の厚み方向に沿った高さを有する隔壁29によって区画されている。隔壁29は、複数の圧力室20に対向して個別に設けられておらず、各組の流路21、22の間を通ってミアンダ状に連続して配置されている。隔壁29の高さ方向の両端は、流路基板3の両面に配置されている。
【0045】
また、流路基板3のインク供給部材4側の底面には、複数の個別インク供給路21に連通した共有インク供給路23、および複数の個別インク排出路22に連通した共有インク排出路24が設けられている。これら共有インク供給路23および共有インク排出路24は、流路基板3の厚みの1/2未満の深さを有する。共有インク供給路23および共有インク排出路24は、それぞれ、櫛歯状の入り組んだ形状を有し、ミアンダ状の隔壁29を間に挟んで対向している。
【0046】
共有インク供給路23は、流路基板3の長手方向に延びた基幹インク供給路25を含む。共有インク排出路24は、流路基板3の長手方向に延びた基幹インク排出路26を含む。
【0047】
1つの圧力室20に着目すると、個別インク供給路21と個別インク排出路22の断面積は、両者を合計して圧力室20の断面積と同程度にしている。また、個別インク供給路21の断面積と、個別インク排出路22の断面積を同じにすることにより、インクの流通が最も効率よく行われるようにしている。仮に、個別インク供給路21の断面積と、個別インク排出路22の断面積が大きく異なると、断面積が狭い方にインクの流通の効率が律速される。さらに、個別インク供給路21の長さと、個別インク排出路22の長さを同じにすることにより、インクの流通が最も効率よく行われるようにしている。仮に、個別インク供給路21の長さと、個別インク排出路22の長さが大きく異なると、長い方にインクの流通の効率が律速される。つまり、本実施形態では、各圧力室20に連通する個別インク供給路21および個別インク排出路22の断面積を十分に大きく設計しており、各圧力室20にインクを容易に流通させることができるため、ポンプ(図示せず)を大型化する必要がなく、消費電力を抑えることができる。
【0048】
個別インク供給路21と個別インク排出路22は、200μm〜1000μmの長さを有する。それにより、個別インク供給路21内を満たしたインクに慣性抵抗を付与することができ、個別インク排出路22内を満たしたインクに慣性抵抗を付与することができる。このため、本実施形態によると、アクチュエータ6が圧力室20内部のインクに圧力振動を発生させた時に、この圧力振動が個別インク供給路21や個別インク排出路22を介して圧力室20から逃げることを抑制でき、ノズル7からインクが噴射しやすいようにできる。本実施例では、個別インク供給路21および個別インク排出路22の長さをそれぞれ400μmとした。
【0049】
個別インク供給路21および個別インク排出路22内のインクに慣性抵抗を持たせるため、個別インク供給路21、圧力室20、および個別インク排出路22をつなぐ流路がインクで満たされている必要がある。この場合、インク滴の吐出によって圧力室20内に発生する僅かな気泡はインクに含まれていてもよい。つまり、特許請求の範囲および発明の詳細な説明における「個別インク供給路21(供給路)の長さ」および「個別インク排出路22(排出路)の長さ」とは、“インクで満たされた部分”の長さを意味する。
【0050】
慣性抵抗を持たせるための個別インク供給路21または個別インク排出路22に必要な長さは、日本国特許5659198号に開示されている理論を本実施形態に適用することにより求められる。すなわち、インク滴を吐出するノズル7の長さをL1とし、ノズル7の開口面積をS1とし、個別インク供給路21と個別インク排出路22の長さをそれぞれL2とし、個別インク供給路21と個別インク排出路22の開口面積の和をS2とした場合、
(式1) L2/S2>=L1/S1/3
を満たすように個別インク供給路21および個別インク排出路22の長さL2や開口面積の和S2を設定すればよい。
【0051】
例えば、L1を5.5×10−6[m]とし、S1を3.14×10−10[m]とし、L2を4×10−4[m]とし、S2を3.14×10−8[m]とした場合、L1/S1/3は5.84×10[1/m]であり、L2/S2は1.27×10[1/m]であり、式1を満たす。この場合、個別インク供給路21と個別インク排出路22内のインクに十分な慣性抵抗を持たせることができ、インク滴を吐出させる際に圧力室20内のインクが個別インク供給路21や個別インク排出路22に流れることを防止でき、インク滴の吐出を安定させることができる。
【0052】
個別インク供給路21と個別インク排出路22との間を隔壁29によって区画した上で、個別インク供給路21の開口面積と個別インク排出路22の開口面積の和を圧力室20の断面積と略同じにするため、個別インク供給路21と個別インク排出路22を合わせた略円形の孔の開口径D(図7)は、圧力室20の内径より大きい。また、隔壁29は、個別インク供給路21と個別インク排出路22を合わせた略円形の中心を通るように形成されている。本実施例では、圧力室20の内径が200μmであるのに対して、個別インク供給路21と個別インク排出路22を合わせた略円形の開口径Dを220μmとした。つまり、この場合、隔壁29の幅は20μmとなる。
【0053】
これにより、アクチュエータ基板2と流路基板3との間の接合面に沿って10μmまでの位置ずれを許容でき、圧力室20の開口面積の変化を抑えることができ、開口面積の変化に伴うインク吐出特性のバラつきを抑えられ、印字品質の低下を防止できる。
【0054】
また、本実施形態のように、複数の個別インク供給路21を共有インク供給路23でつなぎ、複数の個別インク排出路22を共有インク排出路24でつなぎ、共有インク供給路23の基幹インク供給路25とインク供給部材4のインク供給溝27を対向させ、且つ、共有インク排出路24の基幹インク排出路26とインク供給部材4のインク排出溝28を対向させることにより、流路基板3とインク供給部材4との間の接合面にずれを生じた場合であっても、各個別インク供給路21および各個別インク排出路22を流れるインクの流量を一定にできる。これにより、個別インク供給路21および個別インク排出路22を流れるインクの流量のバラつきを抑えることができ、インク吐出特性のバラつきを抑えることができ、印字品質の低下を防止できる。
【0055】
図8に示すように、インク供給部材4の流路基板3側の面には、インク供給溝27およびインク排出溝28が設けられている。インク供給溝27およびインク排出溝28は、インク供給部材4の長手方向に沿って延びている。これらインク供給溝27およびインク排出溝28は、流路基板3とインク供給部材4を接合した状態で、流路基板3の基幹インク供給路25と基幹インク排出路26に各々流体的に接続する。インク供給溝27の一端にはインク供給パイプ8が流体的に接続し、インク排出溝28の一端にはインク排出パイプ9が流体的に接続している。
【0056】
本実施形態では、流路基板3に基幹インク供給路25及び基幹インク排出路26を設け、インク供給部材4にインク供給溝27及びインク排出溝28を設けたが、流路基板3の基幹インク供給路25及び基幹インク排出路26、或いはインク供給部材4のインク供給溝27及びインク排出溝28を省略することもできる。例えば、インク供給部材4のインク供給溝27及びインク排出溝28を無くして、インク供給パイプ8を基幹インク供給路25に接続し、インク排出パイプ9を基幹インク排出路26に接続してもよい。
【0057】
続いて、本実施形態のインクジェットヘッド1の動作について説明する。
インク供給パイプ8からインクが注入されると、インク供給溝27、基幹インク供給路25、共有インク供給路23、および個別インク供給路21を経て、圧力室20にインクが充填される。さらに、個別インク排出路22、共有インク排出路24、基幹インク排出路26、インク排出溝28を経て、インク排出パイプ9からインクが排出される。
【0058】
インク供給パイプ8を流れるインクの圧力をインク排出パイプ9を流れるインクの圧力より高くし、なおかつ両者の圧力の平均値を大気圧よりー1000Pa程度低く調整することにより、ノズル7の内部にインクメニスカスが形成される。この状態で、ノズル7からインクが漏れたりノズル7を介して外気が吸い込まれたりすることなしに(インクメニスカス形状を安定させた状態で)、インク供給パイプ8からインク排出パイプ9に至る上述した流路を通してインクを安定して循環させることができる。
【0059】
この状態で、ドライバIC5が駆動信号を発生させると、個別電極11と共通電極12の間の電圧が変化する。それにより下部電極14と上部電極16との間の電圧が変化して、アクチュエータ6が変位する。アクチュエータ6が変位することにより、圧力室20内のインクに圧力振動が発生し、ノズル7からインク滴が吐出する。その際、個別インク供給路21と個別インク排出路22の中のインクは慣性抵抗を有しているので、圧力振動によってインクが圧力室20から流出することを抑制でき、ノズル7からインク滴を効率的に吐出できる。
【0060】
インク吐出動作中に、ノズル7から圧力室20に気泡が入り込むことがある。圧力室20に気泡が入ると、アクチュエータ6が変位しても、インクに十分な圧力振動を与えられなくなり、インクがノズル7から吐出しなくなる。しかし、インクジェットヘッド1内部のインクは定常的に流動しているので、圧力室20の中に入った気泡は、個別インク排出路22を経て共有インク排出路24に排出される。
【0061】
共有インク排出路24に排出された気泡は、基幹インク排出路26、インク排出溝28、およびインク排出パイプ9を通ってインクジェットヘッド1の外に排出される。つまり、1つの圧力室20の中に入った気泡は、他の圧力室20に入ることなく、インクジェットヘッド1の外に排出される。このように、本実施形態のインクジェットヘッド1は、圧力室20に入った気泡を自動的且つ効果的に排出することができるので、信頼性の高いインクジェットヘッド1を提供できる。
【0062】
続いて、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態のインクジェットヘッド1によると、アクチュエータ基板2とインク供給部材4の間に設けた流路基板3が、各圧力室20に接続した個別インク供給路21と個別インク排出路22を有するため、インクで満たされた個別インク供給路21および個別インク排出路22が慣性抵抗を有する。
【0063】
すなわち、本実施形態によると、個別インク供給路21と個別インク排出路22の断面積は、両者を合計して圧力室20の断面積と同程度にしている。また、個別インク供給路21と個別インク排出路22は、300μm〜1000μmの長さを有する。これにより、個別インク供給路21と個別インク排出路22の内部を満たすインクに十分に大きな慣性抵抗が付与される。
【0064】
このため、アクチュエータ6が圧力室20内部のインクに圧力振動を発生させた時に、この圧力振動に基づいて圧力室20内のインクが個別インク供給路21や個別インク排出路22へ流れることを抑制することができ、ノズル7からインク滴が吐出しやすいようにしている。また、個別インク供給路21と個別インク排出路22の断面積は、両者を合計して圧力室20の断面積と同程度で良いので、インクが流れる経路の開口面積を大幅に小さくする必要がなくなり、圧力室20にインクを定常的に流動させるためのインク供給パイプ8とインク排出パイプ9との間の圧力差を小さくでき、圧力差を生じさせるためのポンプを小型化でき、消費電力も低減できる。
【0065】
以上述べた実施形態のインクジェットヘッド1によれば、各圧力室20に接続した個別インク供給路21および個別インク排出路22内のインクに十分な大きさの慣性抵抗を与えたため、インク滴の吐出時に圧力室20の圧力低下を抑制でき、インク滴を安定して吐出させることができる。また、本実施形態によると、各圧力室20に接続した個別インク供給路21および個別インク排出路22の断面積を十分に大きくすることができ、流路抵抗を小さくでき、小型で消費電力が少ないインクジェットヘッドを提供できる。
【0066】
上述した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述した実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上述した実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
インクが充填される圧力室と、
この圧力室からインクを吐出させる吐出孔と、
前記圧力室の各々に対応して流体的に連通して前記圧力室にインクを供給する供給路と、
前記圧力室の各々に対応して流体的に連通して前記圧力室からインクを排出する排出路と、
電気信号に応じて前記圧力室の容積を変化させて前記圧力室内のインクに圧力振動を生じさせ、前記吐出孔に形成したインクメニスカスからインク滴を吐出させるアクチュエータと、を有し、
前記供給路の断面積と前記排出路の断面積が略同一であり、前記供給路の長さと前記排出路の長さが略同一である、
インクジェットヘッド。
[2]
インクが充填される圧力室と、電気信号に応じて前記圧力室の容積を変化させて前記インクに圧力振動を生じさせるとともに、前記圧力室内のインクを吐出する吐出孔を有するアクチュエータと、を有するアクチュエータ基板と、
前記圧力室の各々に対応して流体的に連通する供給路と排出路が形成され、前記アクチュエータ基板の、前記アクチュエータと反対の接合面に接合された流路基板と、
前記供給路に流体的に接続し、前記インクが供給されるインク供給口と、
前記排出路に流体的に接続し、前記インクを排出するインク排出口と、
を有するインクジェットヘッド。
[3]
前記供給路の断面積と前記排出路の断面積が略同一であり、前記供給路の長さと前記排出路の長さが略同一である、
[2]のインクジェットヘッド。
[4]
前記接合面において、前記供給路と前記排出路の外縁の距離は、前記圧力室の外縁の距離より大きいことを特徴とする、
[2]または[3]のインクジェットヘッド。
[5]
前記吐出孔の長さをL1[m]とし、前記吐出孔の開口面積をS1[m2]とし、前記供給路と前記排出路の長さをそれぞれL2[m]とし、前記供給路と前記排出路の開口面積の和をS2[m2]とした場合、
L2/S2>=L1/S1/3
が成り立つ、
[1]〜[4]のインクジェットヘッド。
【符号の説明】
【0067】
1…インクジェットヘッド、2…アクチュエータ基板、3…流路基板、4…インク供給部材、5…ドライバIC、6…アクチュエータ、7…ノズル、8…インク供給パイプ、9…インク排出パイプ、10…実装パッド、11…個別電極、12…共通電極、13…振動板、14…下部電極、15…圧電体、16…上部電極、17…絶縁層、18…保護層、19…撥液層、20…圧力室、21…個別インク供給路、22…個別インク排出路、23…共有インク供給路、24…共有インク排出路、25…基幹インク供給路、26…基幹インク排出路、27…インク供給溝、28…インク排出溝、29…隔壁、31…引出し電極。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8