特許第6685739号(P6685739)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6685739防護プロテクターおよびシールドセグメント撤去方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6685739
(24)【登録日】2020年4月3日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】防護プロテクターおよびシールドセグメント撤去方法
(51)【国際特許分類】
   E21D 19/00 20060101AFI20200413BHJP
   E21D 13/02 20060101ALI20200413BHJP
   E21D 11/40 20060101ALI20200413BHJP
   E21D 9/06 20060101ALI20200413BHJP
   E21D 9/04 20060101ALI20200413BHJP
   E21D 23/00 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
   E21D19/00
   E21D13/02
   E21D11/40 A
   E21D9/06 301D
   E21D9/04 F
   E21D11/40 Z
   E21D23/00
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-16215(P2016-16215)
(22)【出願日】2016年1月29日
(65)【公開番号】特開2017-133311(P2017-133311A)
(43)【公開日】2017年8月3日
【審査請求日】2019年1月29日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 http://www.ktr.mlit.go.jp/gaikan/index.html 掲載日 平成27年12月22日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国土交通省関東地方整備局、東京外環トンネル地中拡幅部における技術開発業務(その7)、履行期間 平成26年11月6日〜平成27年9月30日、国土交通省関東地方整備局、東京外環トンネル地中拡幅部における技術開発業務(その10)、履行期間 平成26年11月6日〜平成27年9月30日、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青山 哲也
(72)【発明者】
【氏名】浜口 幸一
(72)【発明者】
【氏名】増田 湖一
【審査官】 富士 春奈
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−083014(JP,A)
【文献】 特開2001−115782(JP,A)
【文献】 特開2000−291393(JP,A)
【文献】 特開2000−213297(JP,A)
【文献】 特開平11−229751(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−1002402(KR,B1)
【文献】 特開2000−034900(JP,A)
【文献】 特開2002−242595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 1/00−19/06、23/00−23/26
E02D 1/00−3/115
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールドトンネルを供用しながらシールドトンネルの覆工セグメントの撤去作業を可能とするためにシールドトンネル内に設けられる防護プロテクターであって、
横断面視で円弧状の覆工セグメントを下方から支持するためのセグメント支持装置を備え
セグメント支持装置は、ジャッキの伸縮で上下移動可能な支持フレームを備えており、支持フレームは、その上方に位置する覆工セグメントを支持可能な横断面視で円弧状のフレームであることを特徴とする防護プロテクター。
【請求項2】
シールドトンネルを供用しながらシールドトンネルの覆工セグメントの撤去作業を可能とするためにシールドトンネル内に設けられる防護プロテクターであって、覆工セグメントを下方から支持するためのセグメント支持装置を備える防護プロテクターにおいて、
セグメント支持装置は、撤去対象の覆工セグメントと、これに軸方向に隣接する覆工セグメントとを同時に支持可能であることを特徴とする防護プロテクター。
【請求項3】
シールドトンネルを供用しながらシールドトンネルの覆工セグメントの撤去作業を可能とするためにシールドトンネル内に設けられる防護プロテクターであって、覆工セグメントを下方から支持するためのセグメント支持装置を備える防護プロテクターにおいて、
横断面視で左右に張り出して覆工セグメントに当接し、撤去対象の覆工セグメントを撤去する際の支保機能を発揮する張出部を備えることを特徴とする防護プロテクター。
【請求項4】
シールドトンネルを供用しながらシールドトンネルの覆工セグメントの撤去作業を可能とするためにシールドトンネル内に設けられる防護プロテクターであって、覆工セグメントを下方から支持するためのセグメント支持装置を備える防護プロテクターを用いて供用中のシールドトンネルの覆工セグメントを撤去することを特徴とするシールドセグメント撤去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば道路トンネルの分岐合流部などの大断面の地中空洞を施工する場合に用いられる防護プロテクターおよびこの防護プロテクターを用いたシールドセグメント撤去方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、未固結地盤の都市圏における道路トンネルの施工に際しては、地表および地中の既存構造物に対する悪影響を回避するべく地山に対する高度の支保性能が要求され、また施工中および完成後の止水性能と地下水保全性能が高度に要求されることから、一般にシールド工法が採用されている。
【0003】
道路トンネルをシールド工法により施工する場合、本線トンネルの他にランプトンネルを設け、それら双方のトンネルを要所にて接合して分岐合流部を施工する必要があるが、そのような分岐合流部の施工は必ずしも容易ではない。すなわち、本線トンネルおよびランプトンネルはそれぞれ在来のシールド工法により地山を安定に支保し、また止水性を確保しつつ支障なく施工できるが、分岐合流部では断面を漸次変化させつつ双方のシールドトンネルどうしを接合する必要があることから、分岐合流部の施工に際しては在来のシールド工法をそのまま適用できるものではなく、何らかの補助工法の採用が不可欠である。
【0004】
そのため、大規模な道路トンネルにおける分岐合流部の施工に好適な工法として、例えば特許文献1〜4に示されるトンネル工法が提案されている。例えば特許文献1は、本線シールドトンネルとランプシールドトンネルとをいずれも在来のシールド工法により施工するとともに、それらの分岐合流部の外側に複数のルーフシールドトンネルを所定間隔で先行施工してシールドルーフ先受工を構築し、シールドルーフ先受工と凍結ゾーン(改良ゾーン)を施工したうえでルーフシールドトンネルどうしを連結する形態で分岐合流部の本設覆工壁を施工していき、その内側全体を掘削することで分岐合流部となる地中空洞を完成させるものである。最終的には、分岐合流部の両端部に対して褄壁となる覆工壁を本設覆工壁の内側にそれぞれ設け、前方側の褄壁には本線シールドトンネルとランプシールドトンネルとを接合して、後方側の褄壁には本線シールドトンネルを接合し、分岐合流部の覆工全体を完成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−156907号公報
【特許文献2】特開2006−70530号公報
【特許文献3】特開2007−217911号公報
【特許文献4】特開2014−43738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、本設覆工壁および褄壁の施工が完了した後、本線シールドトンネルを部分供用した状態で本設覆工壁の内側を掘削し、本線シールドトンネルの覆工セグメントを撤去することができれば、道路供用開始時期が早まるので経済的に有利である。
【0007】
これを実現する方法として、例えば本線シールドトンネル内に車両を保護するための防護プロテクターを設け、その上で覆工セグメント撤去作業を行うことが考えられる。しかし、撤去中の覆工セグメントが防護プロテクターに落下するおそれや、撤去中の覆工セグメントに隣接した覆工セグメントに過大な負荷がかかり破損するおそれがある。また、撤去作業中は覆工セグメントが横断面視で円の一部が欠けた欠円状になるため、何らかの支保工が必要になるという問題がある。
【0008】
このため、本線シールドトンネルを供用しながら本線シールドトンネルの覆工セグメントを撤去する場合において、覆工セグメントの落下を確実に防止することのできる技術の開発が求められていた。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、シールドトンネルを供用しながらシールドトンネルの覆工セグメントを撤去する場合において、覆工セグメントの落下を確実に防止することのできる防護プロテクターおよびシールドセグメント撤去方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る防護プロテクターは、シールドトンネルを供用しながらシールドトンネルの覆工セグメントの撤去作業を可能とするためにシールドトンネル内に設けられる防護プロテクターであって、覆工セグメントを下方から支持するためのセグメント支持装置を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る他の防護プロテクターは、上述した発明において、セグメント支持装置は、ジャッキの伸縮で上下移動可能な支持フレームを備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る他の防護プロテクターは、上述した発明において、セグメント支持装置は、軸方向に走行移動可能であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る他の防護プロテクターは、上述した発明において、セグメント支持装置は、撤去対象の覆工セグメントと、これに軸方向に隣接する覆工セグメントとを同時に支持可能であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る他の防護プロテクターは、上述した発明において、横断面視で左右に張り出して覆工セグメントに当接し、撤去対象の覆工セグメントを撤去する際の支保機能を発揮する張出部を備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係るシールドセグメント撤去方法は、上述した防護プロテクターを用いて供用中のシールドトンネルの覆工セグメントを撤去することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る防護プロテクターによれば、シールドトンネルを供用しながらシールドトンネルの覆工セグメントの撤去作業を可能とするためにシールドトンネル内に設けられる防護プロテクターであって、覆工セグメントを下方から支持するためのセグメント支持装置を備えるので、セグメント支持装置で撤去中の覆工セグメントを下方から支持することにより、覆工セグメントの落下を確実に防止することができるという効果を奏する。
【0017】
また、本発明に係る他の防護プロテクターによれば、セグメント支持装置は、ジャッキの伸縮で上下移動可能な支持フレームを備えるので、支持フレームを介して撤去中の覆工セグメントを支持するとともに、その支持荷重を調整することができるという効果を奏する。
【0018】
また、本発明に係る他の防護プロテクターによれば、セグメント支持装置は、軸方向に走行移動可能であるので、軸方向に連続して設けられた覆工セグメントリングの各リングを撤去することができるという効果を奏する。
【0019】
また、本発明に係る他の防護プロテクターによれば、セグメント支持装置は、撤去対象の覆工セグメントと、これに軸方向に隣接する覆工セグメントとを同時に支持可能であるので、撤去対象の覆工セグメントに引っ張られて隣接する覆工セグメントが落下する事態を防ぐことができるという効果を奏する。
【0020】
また、本発明に係る他の防護プロテクターによれば、横断面視で左右に張り出して覆工セグメントに当接し、撤去対象の覆工セグメントを撤去する際の支保機能を発揮する張出部を備えるので、覆工セグメントの撤去用の支保工を新たに設けずに済み、撤去作業の安全性および効率が向上するという効果を奏する。
【0021】
また、本発明に係るシールドセグメント撤去方法によれば、上述した防護プロテクターを用いて供用中のシールドトンネルの覆工セグメントを撤去するので、セグメント支持装置で撤去中の覆工セグメントを下方から支持することにより、覆工セグメントの落下を確実に防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、分岐合流部の施工方法の概略説明図である。
図2図2は、分岐合流部の横断面図である。
図3図3は、分岐合流部の平断面図である。
図4図4は、分岐合流部の施工方法の手順を示す図である。
図5図5は、本発明に係る防護プロテクターおよびシールドセグメント撤去方法の実施の形態を示す横断面図である。
図6図6は、本発明に係る防護プロテクターおよびシールドセグメント撤去方法の実施の形態を示す縦断面図である。
図7図7は、本発明に係る防護プロテクターおよびシールドセグメント撤去方法の実施の形態を示す部分拡大図であり、左側のM1は移動時、右側のM2はセグメント解体作業時である。
図8図8は、本発明に係る防護プロテクターおよびシールドセグメント撤去方法によるセグメント撤去時の作業概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明に係る防護プロテクターおよびシールドセグメント撤去方法の実施の形態について、道路トンネルの分岐合流部の施工に適用する場合を例に取り、図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0024】
(分岐合流部の施工方法)
まず、本発明に係る防護プロテクターおよびシールドセグメント撤去方法が適用される分岐合流部(地中空洞)の施工方法について説明する。
【0025】
図1図3に示すように、この分岐合流部の施工方法は、本線シールドトンネル10およびランプシールドトンネル12を包含する分岐合流部14の掘削予定位置の外側に、小口径の外殻シールド機16を使って予め複数の外殻シールドトンネル18を配列した状態で施工することにより、それら外殻シールドトンネル18によって分岐合流部14の掘削予定位置を取り囲む外殻体20を構築し、この外殻体20の内側の地山を掘削して分岐合流部14を施工する。
【0026】
より具体的には、まず、図4(1)に示すように、本線シールドトンネル10を在来のシールド工法により地山を安定に支保し、止水性を確保しつつ施工する。同様に、本線シールドトンネル10の隣に図示しないランプシールドトンネル12を在来のシールド工法により施工する。続いて、施工予定の分岐合流部14の軸方向(本線シールドトンネル10が延在するトンネル軸方向と平行な方向)の後端部(始端部)となる本線シールドトンネル10の外周に大径の地中発進基地Bを構築する。地中発進基地Bは、分岐合流部14の外殻体20をなす外殻シールドトンネル18を掘進する小口径の外殻シールド機16を発進するための基地である。なお、本実施の形態では本線シールドトンネル10の直径が例えば16m程度、ランプシールドトンネル12の直径が例えば11m程度、分岐合流部14の直径が32m程度であることを想定している。
【0027】
次に、図4(2)に示すように、地中発進基地Bから外殻シールド機16を発進させ、施工予定の分岐合流部14の外側周囲にその軸方向に沿う複数の小径(例えば直径4m程度)の外殻シールドトンネル18を所定間隔で配列した状態で施工する。
【0028】
次に、図4(3)に示すように、この外殻シールドトンネル18間の地山を凍結工法や薬液注入工法などにより改良して施工予定領域を取り囲む改良ゾーンを形成した後に本体覆工壁22を形成し、さらに、図3に示すように、本体覆工壁22の両端となる部分にそれぞれ褄壁23A、23Bを形成することによって外殻体20を構築する。図4(4)に示すように、この外殻体20によって囲まれた領域の地山を掘削して分岐合流部14を施工する。このようにして図4(5)に示すような道路トンネル用の分岐合流部14が完成する。なお、図3中の符号25Aは、褄壁23Aを構築する場合に必要となる凍結壁であり、符号25Bは、凍結壁25Aおよび本体覆工壁22によって囲まれる領域に構築した未凍結地盤改良部分である。
【0029】
(防護プロテクター)
次に、上記の施工方法に適用される本発明に係る防護プロテクターについて説明する。
【0030】
図5図7に示すように、供用中の本線シールドトンネル10内に道路面をなす床板26が設けられており、この上を車両Vが走行可能となっている。床板26の上方には車両Vを防護する防護プロテクター100が設けられている。図5中の符号26Aは建築限界を示している。
【0031】
防護プロテクター100は、逆U字状断面のプロテクター本体28と、その上方に設けられるセグメント支持装置30とからなる。
【0032】
プロテクター本体28は、軸方向に間隔を置いて横断面視で左右に配置される柱材32と、これにジャッキ34を介して支持された平板状の屋根材36と、柱材32の下端どうしを繋ぐ敷材38と、軸方向に隣り合う柱材32の上下端を繋ぐ斜材40(図6を参照)とからなる。屋根材36は覆工セグメント10A撤去時の支保材として機能する。屋根材36の上面には覆工板42が設けられており、その上にセグメント支持装置30が配置される。
【0033】
また、屋根材36の横断面視で左右端部には張出部44(図5を参照)が設けられている。この張出部44は左右に張り出して両側の覆工セグメント10Aに当接しており、上側の撤去対象の覆工セグメント10Aを撤去する際の支保機能を発揮するようになっている。張出部44を設けることで、覆工セグメント10Aの撤去用の支保工を新たに設けずに済み、撤去作業の安全性および効率が向上する。
【0034】
セグメント支持装置30は、作業員が搭乗可能な移動式作業架台46と、油圧ジャッキ48と、支持フレーム50とからなる。
【0035】
移動式作業架台46は、下部四隅に車輪52を備え、モータ54を駆動源として覆工板42上に設けられた図示しない車輪ガイドに沿って軸方向に走行移動可能な架台である。移動式作業架台46が軸方向に移動可能であることにより、軸方向に連続して設けられた覆工セグメント10Aの各リングを撤去することができる。油圧ジャッキ48は移動式作業架台46の左右端側に固定されている。
【0036】
支持フレーム50は、その上方に位置する本線シールドトンネル10の覆工セグメント10Aを支持可能な横断面視で円弧状のフレームであり、例えばH型鋼などの鋼材で構成されている。支持フレーム50の下側には左右方向に延在する補強材50Aが設けられている。支持フレーム50の円弧の長さは、撤去対象の覆工セグメント10Aと、これに周方向に隣接する覆工セグメント10Aとを同時に支持可能な長さとしてある。これにより、撤去対象の覆工セグメント10Aに引っ張られて隣接する覆工セグメント10Aが落下する事態を防ぐことができる。
【0037】
図6に示すように、支持フレーム50は軸方向に複数(図6の例では3箇所)設けられており、撤去対象の覆工セグメント10Aと、これに軸方向に隣接する覆工セグメント10Aとを同時に支持可能である。これにより、撤去対象の覆工セグメント10Aに引っ張られて隣接する覆工セグメント10Aが落下する事態を防ぐことができる。
【0038】
図7に示すように、支持フレーム50の円弧の左右端部は油圧ジャッキ48に固定されている。油圧ジャッキ48は覆工板42上に配置された桁材56に接離可能に配置される。図7の左側のM1に示すように、移動式作業架台46が軸方向に走行移動する際には、油圧ジャッキ48が桁材56から浮き、支持フレーム50が覆工セグメント10Aから下方に離れた状態で移動する。一方、図7の右側のM2に示すように、覆工セグメント10Aを撤去等するために支持フレーム50を上下移動する際には、油圧ジャッキ48は桁材56に支持されて、上下に伸縮するようになっている。この場合、支持フレーム50を介して撤去中の覆工セグメント10Aを支持可能である。また、油圧ジャッキ48を伸縮することで支持荷重を調整することができる。
【0039】
上記の構成によれば、セグメント支持装置30で撤去中の覆工セグメント10Aを下方から支持することにより、覆工セグメント10Aの落下を確実に防止することができる。
【0040】
(シールドセグメント撤去方法)
次に、上記の防護プロテクター100を用いた本発明に係るシールドセグメント撤去方法について説明する。
【0041】
図8に示すように、本発明に係るシールドセグメント撤去方法は、上記の防護プロテクター100を用いて供用中の本線シールドトンネル10の覆工セグメント10Aを撤去する方法である。例えば本体覆工壁22の施工後に本線シールドトンネル10の内部に防護プロテクター100を設置し、本線シールドトンネル10の供用を開始する。その後、バックホウなどの作業機械で本体覆工壁22の内部を掘削するとともに、供用中の本線シールドトンネル10の覆工セグメント10Aを撤去する。ここで、覆工セグメント10Aを1リング撤去する毎にセグメント支持装置30を軸方向に走行移動させることにより、覆工セグメント10Aを撤去していく。
【0042】
本実施の形態によれば、支持フレーム50で撤去対象と隣の覆工セグメント10Aを支持した状態で覆工セグメント10Aを撤去するので、撤去中の覆工セグメント10A自体が落下したり、隣のものまで引っ張って落下したり破壊する事態を防止することができる。
【0043】
また、防護プロテクター100自体が支保兼用の構造となるため、覆工セグメント撤去用に新たに支保工を設ける必要がなく作業の安全性、効率が向上する。
【0044】
以上説明したように、本発明に係る防護プロテクターによれば、シールドトンネルを供用しながらシールドトンネルの覆工セグメントの撤去作業を可能とするためにシールドトンネル内に設けられる防護プロテクターであって、覆工セグメントを下方から支持するためのセグメント支持装置を備えるので、セグメント支持装置で撤去中の覆工セグメントを下方から支持することにより、覆工セグメントの落下を確実に防止することができる。
【0045】
また、本発明に係る他の防護プロテクターによれば、セグメント支持装置は、ジャッキの伸縮で上下移動可能な支持フレームを備えるので、支持フレームを介して撤去中の覆工セグメントを支持するとともに、その支持荷重を調整することができる。
【0046】
また、本発明に係る他の防護プロテクターによれば、セグメント支持装置は、軸方向に走行移動可能であるので、軸方向に連続して設けられた覆工セグメントリングの各リングを撤去することができる。
【0047】
また、本発明に係る他の防護プロテクターによれば、セグメント支持装置は、撤去対象の覆工セグメントと、これに軸方向に隣接する覆工セグメントとを同時に支持可能であるので、撤去対象の覆工セグメントに引っ張られて隣接する覆工セグメントが落下する事態を防ぐことができる。
【0048】
また、本発明に係る他の防護プロテクターによれば、横断面視で左右に張り出して覆工セグメントに当接し、撤去対象の覆工セグメントを撤去する際の支保機能を発揮する張出部を備えるので、覆工セグメントの撤去用の支保工を新たに設けずに済み、撤去作業の安全性および効率が向上する。
【0049】
また、本発明に係るシールドセグメント撤去方法によれば、上述した防護プロテクターを用いて供用中のシールドトンネルの覆工セグメントを撤去するので、セグメント支持装置で撤去中の覆工セグメントを下方から支持することにより、覆工セグメントの落下を確実に防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上のように、本発明に係る防護プロテクターおよびシールドセグメント撤去方法は、例えば道路トンネルの分岐合流部などの大断面の地中空洞を施工する場合に有用であり、特に、シールドトンネルを供用しながらシールドトンネルの覆工セグメントを撤去する際に、覆工セグメントの落下を確実に防止するのに適している。
【符号の説明】
【0051】
10 本線シールドトンネル(シールドトンネル)
10A 覆工セグメント
12 ランプシールドトンネル
14 分岐合流部(地中空洞)
16 外殻シールド機
18 外殻シールドトンネル
20 外殻体
22 本体覆工壁
23A,23B 褄壁
25A 凍結壁
25B 未凍結地盤改良部分
26 床板
26A 建築限界
28 プロテクター本体
30 セグメント支持装置
32 柱材
34 ジャッキ
36 屋根材
38 敷材
40 斜材
42 覆工板
44 張出部
46 移動式作業架台
48 油圧ジャッキ
50 支持フレーム
50A 補強材
52 車輪
54 モータ
56 桁材
100 防護プロテクター
B 地中発進基地
V 車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8