(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、複数の実施形態による洗濯機を、図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
図1は実施形態に係る洗濯機10の概略構成を示す斜視図である。
図2は実施形態に係る洗濯機10の概略構成を示す斜視図であり、蓋16が開状態とされ、給水ケース40が引き出された状態を示している。
図3は洗濯機10の概略構成を示す縦断面図である。以下、洗濯機10の設置面側つまり鉛直下側を、洗濯機10の下側とし、設置面と反対側つまり鉛直上側を、洗濯機10の上側とし、
図3における左側を前側とする。
【0008】
図1に示すように、洗濯機10は、洗濯機本体12、水槽20、回転槽22、蓋16を備えている。洗濯機10は、回転槽22の回転軸が鉛直方向を向いたいわゆる縦軸型の洗濯機である。洗濯機本体12は、洗濯機10の外殻を構成している。洗濯機本体12は、例えば鋼板等によって略矩形の箱状に形成されており、上部の上面部14に開口部を有している。洗濯機本体12の上部の開口部には、蓋16が開閉可能に設けられている。
【0009】
水槽20は、洗濯機本体12の内部に収容されている。水槽20は、図示しない弾性吊持機構を介して洗濯機本体12内に弾性的に支持されている。水槽20の開口部には、洗濯物投入口18が設けられており、洗濯物投入口18を開閉可能に中蓋181が設けられている。
【0010】
回転槽22は、水槽20の内部に回転可能に設けられている。水槽20は、上側に開口部を有し、下側に水槽底部を有した有底円筒形状に形成されている。回転槽22は、上側に開口部を有し、下側に回転槽底部を有した有底円筒形状に形成されている。回転槽22は、洗濯物の洗い、すすぎ及び脱水の運転時に用いられるもので、周壁部の複数個所に通水が可能な図示しない脱水孔が形成されている。
【0011】
回転槽22の上端部周縁部には、バランスリング28が装着され、回転槽22の内底部にはパルセータ26が回動可能に配設されている。洗濯機10は、洗濯物投入口18の上方内周面の側面部分に、粉末洗剤、液体洗剤、液体漂白剤、柔軟剤等を投入するための給水ケース40を備えている。給水ケース40の上部には給水装置32が配置されている。
【0012】
水槽20の外底部には、モータ24及び機構部25が設けられている。機構部25は、図示しないクラッチを有していて、モータ24の回転をパルセータ26のみに伝達して当該パルセータ26のみを回転させる場合と、パルセータ26と回転槽22とを同時に回転させる場合とを切替える機能を備えている。
【0013】
図4は、給水ケース40と、その周りの概略構成を示す斜視図であり、給水ケース40、給水装置32、給水弁34、注水ケース36が示されている。
図4(a)は、給水ケース40が注水ケース36内に収納された状態を示しており、
図4(b)は、給水ケース40が注水ケース36から引き出された状態を示している。
【0014】
給水装置32は、上部に給水弁34、給水管341a、341b、風呂水取水手段341cを備えている。給水管341aには給水源として例えば図示しない水道水の蛇口が接続されている。給水管341bには風呂水を取水する風呂水取水手段341cが接続されている。
【0015】
給水装置32下部には注水ケース36が設けられている。注水ケース36は、前部に開口部35を有しており、開口部35に挿抜可能に給水ケース40が設けられている。注水ケース36は、底部に注水ケース底面36aを有している。なお、後述するように、給水ケース40が注水ケース36に装着された状態で、注水ケース底面36aと、給水ケース40の底部である給水ケース底面402は対向しており、その間には隙間Sが形成されている。
【0016】
給水ケース40には粉末洗剤を投入するための粉末洗剤貯留部44、及び、柔軟剤を投入するための柔軟剤貯留部47が設けられている。粉末洗剤貯留部44にはカバー部材42が脱着可能に設けられている。カバー部材42は液体洗剤を投入するための液体洗剤貯留部46を備えている。
【0017】
給水管341aから供給される水(水道水)は、給水弁34、給水装置32を介して給水ケース40に供給される。すなわち、給水管341a、給水弁34、及び給水装置32は、給水ケース40に対する水の給水経路を構成している。また、風呂水取水手段341cから給水管341bを介して供給される水(風呂水)は給水装置32を介して給水ケース40に供給される。
【0018】
この場合は、給水管341b及び給水装置32は、給水ケース40に対する水の給水経路を構成している。給水経路から供給された水は、給水装置32を介して、給水装置32の下部に位置する給水ケース40に供給される。
【0019】
図5から
図12は、給水ケース40の構成を示す図である。
図5から
図8は、給水ケース40の構成を示す図であり、給水ケース40からカバー部材42を外した状態の構成を示すための図である。
図5は、給水ケース40からカバー部材42を外した状態を示す右前上方向からの斜視図、
図6は同じく右後下方向からの斜視図、
図7は給水ケース40からカバー部材42を外した状態を示す上面図、
図8は
図7のA−A線における断面図である。
【0020】
図9から
図12は、給水ケース40に、後述するカバー部材42が装着された状態の構成を示すための図である。
図9は給水ケース40の右前上方向からの斜視図、
図10は右後下方向からの斜視図、
図11は上面図、
図12は
図11のB−B線における断面図である。
【0021】
図5に示すように、給水ケース40は、粉末洗剤貯留部44及び柔軟剤貯留部47を隣接して備えている。給水ケース40は、手掛け部401を備えている。以下、上述のように
図3における左側を前としたことに合わせ、
図5において手掛け部401側すなわち左下方向を前とする。
【0022】
粉末洗剤貯留部44は粉末洗剤を貯留可能な上部解放の略箱型形状を備えており、後部に開口部である粉末洗剤流出口48を備えている。粉末洗剤貯留部44の上方には注水装置32からの注水経路Cが位置しており、粉末洗剤貯留部44への注水はこの注水経路Cから行われる。給水ケース40が注水ケース36に装着された状態で、注水ケース底面36aと、給水ケース40の底部である給水ケース底面402は対向しており、その間には隙間Sが形成されている。また、注水ケース底面36aには開口部36bが設けられており、回転槽22に連通している。
【0023】
粉末洗剤貯留部44は略箱型形状の左右の側面部及び背面部に壁面部441を備えている。壁面部441は、粉末洗剤貯留部44の後部側、すなわち粉末洗剤流出口48側の近傍に壁面部441の高さ(壁面高さ)が低い部分を備えており、この低い部分は粉末洗剤貯留部44内に溢れた水を外部に排出する溢水部442となっている。粉末洗剤貯留部44は、壁面部441の低い部分と高い部分の境界部に斜め部443を備えている。
【0024】
粉末洗剤貯留部44は、その略箱型形状の内部に内部空間Sを備えている。当該内部空間Sは、粉末洗剤の投入場所となる。粉末洗剤貯留部44は使用者が投入した粉末洗剤を所定量貯留することが可能である。給水装置32から注水経路Cを介して粉末洗剤貯留部44内に給水されると、粉末洗剤を含んだ水が、
図8の矢印で示すように、粉末洗剤貯留部44の後部に流れて粉末洗剤流出口48から流出し、注水ケース底面36aに流れ落ちる。その後、粉末洗剤を含んだ水は、注水ケース底面36aと給水ケース底面402との間に形成された隙間Sを通過して開口部36bから落下し、回転槽22内に供給される。
【0025】
カバー部材42は、粉末洗剤貯留部44に、上方から脱着可能に構成されており、粉末洗剤貯留部44の下部の形状は、粉末洗剤貯留部44の底部の形状に合致するように構成されている。カバー部材42は略箱体形状を備えており、その内部は液体洗剤を貯留可能な液体洗剤貯留部46となっている。カバー部材42すなわち液体洗剤貯留部46は、粉末洗剤貯留部44への装着状態において、カバー部材42の少なくとも一部、好ましくはその全体が内部空間Sの内部に存在するように配置される。すなわち、粉末洗剤貯留部44と液体洗剤貯留部46は、内部空間Sを少なくとも一部において兼用している。
【0026】
カバー部材42すなわち液体洗剤貯留部46は、略箱型形状の側面部及び背面部に壁面部461を備えている。壁面部461は後部側に壁面部461の高さ(壁面高さ)が低い部分を備えており、この低い部分は液体洗剤貯留部46内に溢れた水を外部に排出する溢水部462となっている。カバー部材42は、壁面部461の低い部分と高い部分の境界部に斜め部463を備えている。
【0027】
カバー部材42を粉末洗剤貯留部44に設置した場合に、粉末洗剤貯留部44の斜め部443と、カバー部材42の斜め部463は、当接することにより位置規制部として機能する。
【0028】
粉末洗剤貯留部44の壁面部441は、液体洗剤貯留部46の壁面部461よりもその高さが低い部分を有している。カバー部材42は、壁面部461の上端の周縁部の全周あるいは少なくとも一部にリブ464を備えている。カバー部材42が粉末洗剤貯留部44へ装着された状態では、壁面441の上端にリブ464が載った状態となる。
【0029】
粉末洗剤貯留部44の壁面部441上端の形状は、カバー部材42の壁面部461の周縁部の形状に合致している。すなわち、粉末洗剤貯留部44の壁面部441、溢水部442及び斜め部443の上面の形状は、カバー部材42の壁面部461、溢水部462及び斜め部463のリブ464の形状に合致するように構成されている。従って、カバー部材42の粉末洗剤貯留部44への装着状態では、カバー部材42は粉末洗剤貯留部44の上部を覆うように装着される。
【0030】
カバー部材42はその周縁部の前方に配置された突起物であるタブ50を備えている。タブ50は、例えば「液体 洗剤 漂白剤」と記載がされた第1の文字表示部54を備えている。第1の文字表示部54は、第1の文字表示部54が付された場所が、液体洗剤貯留部46であること、すなわち、液体洗剤及び漂白剤用の投入箇所であることを示している。なお、タブ50は、他の部位との干渉等がなければ、カバー部材42の周縁部のどの場所に配置されていてもよい。タブ50は、例えば、カバー部材42の周縁部の左右側面部に配置されようにしても良いし、カバー部材42の周縁部から内側に突出する配置でも良い。
【0031】
また、
図7及び
図11に示すように、第2の文字表示部56は、液体洗剤貯留部46が粉末洗剤貯留部44に装着された状態において、粉末洗剤貯留部44の周縁部であって、タブ50すなわち第1の文字表示部54に隣接する位置に配置されている。第2の文字表示部56には、例えば「粉末 合成洗剤 漂白剤」と記載されている。このような第2の文字表示部56によれば、第2の文字表示部56が付された場所が、粉末洗剤貯留部44であること、すなわち、粉末洗剤用、及び、漂白剤用の投入箇所であることを表示することができる。
【0032】
例えば、給水ケース40すなわち粉末洗剤貯留部44の色と、カバー部材42すなわち液体洗剤貯留部46の色とが異なるように構成すれば、カバー部材42を外した状態においては、粉末洗剤貯留部44が粉末洗剤・漂白剤用の投入箇所であり、カバー部材42を装着した状態においては、液体洗剤貯留部46が液体洗剤・漂白剤用の投入箇所であること、及び、カバー部材42を取り外せば粉末洗剤貯留部44が現れ、粉末洗剤・漂白剤用の投入箇所に切り替え可能となることを表示することができる。
【0033】
液体洗剤貯留部46の上方には給水装置32からの注水経路Cが位置しており、液体洗剤貯留部46への注水はこの注水経路Cから行われる。注水経路Cは粉末洗剤貯留部44に注水する場合と液体洗剤貯留部46に注水する場合とで共通化することができる。
【0034】
カバー部材42は、
図6、
図10及び
図12に示すように、その後方の底部に、液体洗剤や漂白剤を外部に排出するための液体洗剤流出口52を備えている。液体洗剤流出口52は、カバー部材42を粉末洗剤貯留部44に装着した状態において、粉末洗剤流出口48に対応する位置に設けられている。液体洗剤流出口52はいわゆるサイフォン構造により構成されている。
【0035】
液体洗剤貯留部46は使用者が投入した液体洗剤を所定量貯留することが可能である。給水装置32から液体洗剤貯留部46内に給水され、所定水位まで達すると、サイフォン構造の働きにより、
図12の矢印で示すように、液体洗剤流出口52から液体洗剤を含んだ水が流出し、注水ケース底面36aに流れ落ちる。その後、液体洗剤を含んだ水は、注水ケース底面36aと給水ケース底面402との間に形成された隙間Sを通過して開口部36bから落下し、回転槽22内に供給される。上述の溢水部462及び液体洗剤流出口52は、液体洗剤流出口52の後方に配置されており、溢水部462は液体洗剤流出口52の近傍に位置する。
【0036】
液体洗剤流出口52の真下の位置には、粉末洗剤貯留部44の後方の一部を切り欠いた形状を有する切欠き部44aが形成されている。切欠き部44aが存在することにより、液体洗剤流出口52から流れ出る液体洗剤が粉末洗剤貯留部44に入らず、また、粉末洗剤貯留部44の粉末貯留領域を確保できるようになっている。なお、切欠き部44aは、粉末洗剤貯留部44に設けられた孔として形成しても良い。
【0037】
実施形態に係る洗濯機10によれば以下の効果を奏する。
実施形態に係る洗濯機10は、水道などの給水源に接続された給水装置32(給水経路)と、給水装置32からの水を受けて貯留する給水ケース40とを備えている。給水ケース40は、粉末洗剤を貯留可能な粉末洗剤貯留部44を備えている。カバー部材42すなわち液体洗剤貯留部46は、粉末洗剤貯留部44に脱着可能に構成されている。
【0038】
粉末洗剤貯留部44は略箱型形状を有しており、その略箱型形状に内部空間Sを有している。カバー部材42は略箱体形状を備えており、その内部は液体洗剤を貯留可能な液体洗剤貯留部46となっている。カバー部材42は、粉末洗剤貯留部44への装着状態において、内部空間Sの少なくとも一部、好ましくはその全体が内部空間Sの内部に収まるように配置される。
【0039】
この構成により、粉末洗剤貯留部44の内部空間Sに、カバー部材42すなわち液体洗剤貯留部46と、粉末洗剤貯留部44を兼用して配置することができる。従って、カバー部材42すなわち液体洗剤貯留部46を配置する領域を、粉末洗剤貯留部44とは別に設ける必要がなく、粉末洗剤貯留部44及び液体洗剤貯留部46(洗剤投入ケース)、及び柔軟剤貯留部47の大きさを確保しつつ、給水ケース40をコンパクト化することができ、省スペース化に寄与する。これにより、粉末洗剤貯留部44、液体洗剤貯留部46、及び柔軟剤貯留部47を大きくすることができるため、使用者が粉末洗剤、液体洗剤及び柔軟剤を投入しやすくすることができる。以上のように、洗剤投入ケースの大きさを確保しつつ、粉末洗剤や液体洗剤、及び、柔軟仕上げ剤を使用する際の利便性を高めることができる。
【0040】
実施形態に係る洗濯機10において、粉末洗剤貯留部44の壁面部441上端の形状は、カバー部材42すなわち液体洗剤貯留部46の壁面部461の周縁部の形状に合致している。この場合、粉末洗剤貯留部44の斜め部443と、カバー部材42の斜め部463は、当接することにより位置規制部として機能する。これにより、カバー部材42を粉末洗剤貯留部44に装着する場合に、カバー部材42の位置決めを正確にすることができる。また、カバー部材42を使用する際すなわち液体洗剤使用時も、粉末洗剤貯留部44を使用する際すなわち粉末洗剤使用時も、共通する注水経路Cを使用することができるため、それぞれに別途に注水経路を設ける必要がない。
【0041】
また、カバー部材42は粉末洗剤貯留部44への装着状態において、カバー部材42が粉末洗剤貯留部44の上部のすべてを覆うように構成してもよい。このようにすれば、カバー部材42を最大限に大きく構成することができ、液体洗剤貯留部46の容積を大きくすることができるとともに、カバー部材42に液体洗剤を投入しやすくなる。また、液体洗剤の投入時に、粉末洗剤貯留部44に液体洗剤が不用意に入り込むことを抑制することができる。ここで、液体洗剤が粉末洗剤貯留部44に入り込んだ場合には液体洗剤が粉末洗剤貯留部44に付着してしまうが、液体洗剤貯留部46が取り付けられた状態では粉末洗剤貯留部44に水が注水されないため、液体洗剤がそのまま固着してしまう。実施形態に係る洗濯機10では、粉末洗剤貯留部44に液体洗剤が不用意に入り込むことがないため、液体洗剤貯留部46から粉末洗剤貯留部44へ切り替えての使用時に支障を来したり、美観を損ねたりする虞がない。
【0042】
実施形態に係る洗濯機10は、粉末洗剤貯留部44の後部に粉末洗剤流出口48を備えている。液体洗剤貯留部46は、液体洗剤が外部に流出する液体洗剤流出口52を備えている。液体洗剤貯留部46の粉末洗剤貯留部44への装着時に、液体洗剤流出口52が粉末洗剤流出口48に対応する位置に設けられている。この構成により、液体洗剤の流出時に、粉末洗剤貯留部44が流出障害とならないようにすることができ、液体洗剤の円滑な流出を可能にすることができる。
【0043】
実施形態に係る洗濯機10は、粉末洗剤を貯留可能な上部解放の略箱型形状を備えた粉末洗剤貯留部44を有している。粉末洗剤貯留部44は、その後部に粉末洗剤流出口48を備えている。粉末洗剤貯留部44は略箱型形状の左右の側面部及び背面部に壁面部441を備えている。壁面部441は後部側、すなわち粉末洗剤流出口48の近傍に低い部分を備えており、この低い部分は粉末洗剤貯留部44内に溢れた水を外部に排出する溢水部442となっている。この構成により、粉末洗剤貯留部44に大量の水が給水された場合に、粉末洗剤流出口48の近傍、すなわち、注水ケース36の開口部35から離れた位置に溢水位置を設定することができるため、水漏れ防止効果を向上させることができる。
【0044】
実施形態に係る洗濯機10によれば、カバー部材42すなわち液体洗剤貯留部46を備え、液体洗剤貯留部46は、略箱型形状の側面部及び背面部に壁面部461を備えている。壁面部461は後部側に低い部分を備えており、この低い部分は液体洗剤貯留部46内に溢れた水を外部に排出する溢水部462となっている。粉末洗剤貯留部44の壁面部441は、液体洗剤貯留部46の壁面部461よりも低い部分を有している。
【0045】
この構成により、液体洗剤貯留部46に給水された場合に、液体洗剤流出口52の近傍から溢水させることにより、給水ケース40の後方部において、注水ケース36の開口部35から離れた位置に溢水位置を設定することができるため、他の位置まで溢水位置が広がることがなく、水漏れ防止効果を向上させることができる。また、カバー部材42の後方が低くなって後方に隙間ができるため、給水ケース40が動きやすくなり、給水ケース40の出し入れが容易になる。更に、液体洗剤貯留部46の溢水部462から溢れだした水が、粉末洗剤貯留部44の溢水部442に妨げられることがないので、他の位置まで溢水位置が広がることがなく、水漏れ防止効果を向上させることができる。また、粉末洗剤貯留部44の壁面部441は、液体洗剤貯留部46の壁面部461よりも低い部分を有しているため、液体洗剤貯留部46から溢れ出す水の妨げとならない。
【0046】
実施形態に係る洗濯機10によれば、液体洗剤貯留部46の周縁部の上部に突起物であるタブ50を備える。また、液体洗剤貯留部46の周縁部の上部であるタブ50に液体洗剤貯留部46が液体洗剤貯留部であることを示す第1の文字表示部54を備える。更に、粉末洗剤貯留部44の周縁部の上部に、粉末洗剤貯留部であることを示す第2の文字表示部56を有し、第2の文字表示部56を第1の文字表示部54に隣接する位置に設けた。
【0047】
この構成により、使用者は、突起物たるタブ50を手に取って持ち上げることにより、容易にカバー部材42すなわち液体洗剤貯留部46を取り外すことができるため、利便性を向上させることができる。また、液体洗剤貯留部46が液体洗剤・漂白剤用の投入箇所であることを表示することができるため、使用者において、液体洗剤貯留部46に誤って粉末洗剤等を投入することを抑制することが可能となる。
【0048】
また、第2の文字表示部56が付された場所が粉末洗剤貯留部44であること、すなわち、粉末洗剤・漂白剤用の投入箇所であることを表示することができるため、使用者において、粉末洗剤貯留部44に誤って液体洗剤等を投入することを抑制することが可能となる。また、第1の文字表示部54と第2の文字表示部56を隣接した位置に設けることにより、カバー部材42を取り外すと、粉末洗剤貯留部44が現れ、粉末洗剤・漂白剤用の投入箇所に切り替え可能となることを表示することで、使用者が容易に認識することができるため、更に利便性を向上させることができる。
【0049】
(変形例)
次に実施形態の変形例について説明する。
図13は、カバー部材42すなわち液体洗剤貯留部46を取り外した場合、すなわち粉末洗剤を用いて洗濯を実施する場合に、取り外したカバー部材42を収納可能な取付部58を設けた洗濯機10を示している。洗濯物投入口18の上方内周面であって、給水ケース40の隣接する箇所に取付部58を設けた。
【0050】
変形例に係る洗濯機10によれば、カバー部材42すなわち液体洗剤貯留部46を脱着可能に構成したことにともない、粉末洗剤貯留部44から取り外したカバー部材42の収納場所が問題となるところ、洗濯物投入口18の内周面にカバー部材42の取付部58を設けた。この構成により、取り外したカバー部材42を取付部58に収納することができるため、カバー部材42が邪魔にならず、また、使用者が誤って紛失する恐れがなくなり、利便性を向上させることができる。また、取付部58を給水ケース40に隣接する箇所に設けたため、使用者は取付部58を容易に認識することができる。
【0051】
上記実施形態の説明において、洗濯機10として、回転槽の回転軸が鉛直方向を向いたいわゆる縦軸型の洗濯機を例示して説明したが、これに限らない。例えば洗濯機10が、回転槽の回転軸が水平又は後方へ向かって下降傾斜したいわゆる横軸型のドラム式洗濯機であってもよい。
【0052】
なお、取付部58は、洗濯物投入口18の内周面の左右側面部分のいずれかに設けても良い。洗濯物投入口18の内周面の左右側面部分は比較的構造物が少なく、取付部58を設けるためのスペースを確保しやすい。また、取付部58は、蓋の内面に設けても良い。洗濯物投入口18という、蓋16と中蓋181との間のデッドスペースを有効活用し、収容場所を確保することができる。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。