特許第6685791号(P6685791)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6685791
(24)【登録日】2020年4月3日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20200413BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20200413BHJP
   G03F 7/38 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
   H01L21/30 563
   G03F7/20 501
   G03F7/20 521
   G03F7/38 501
【請求項の数】18
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2016-61858(P2016-61858)
(22)【出願日】2016年3月25日
(65)【公開番号】特開2017-175058(P2017-175058A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2018年12月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】金岡 雅
(72)【発明者】
【氏名】今村 雅敬
(72)【発明者】
【氏名】松 泰司
(72)【発明者】
【氏名】佐川 栄寿
(72)【発明者】
【氏名】田中 淳
(72)【発明者】
【氏名】田所 和弘
(72)【発明者】
【氏名】小野 和也
(72)【発明者】
【氏名】高田 真一
(72)【発明者】
【氏名】三橋 毅
【審査官】 長谷 潮
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−131930(JP,U)
【文献】 特開平04−275554(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2016−0023562(KR,A)
【文献】 特開平11−274024(JP,A)
【文献】 特開2007−281304(JP,A)
【文献】 特開2005−183994(JP,A)
【文献】 特開2001−291655(JP,A)
【文献】 特開2014−170806(JP,A)
【文献】 特開2013−004804(JP,A)
【文献】 特開平10−041213(JP,A)
【文献】 特開2010−147360(JP,A)
【文献】 米国特許第05763006(US,A)
【文献】 中国特許出願公開第101393840(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
G03F 7/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レジストパターンの溶解エリア寸法に関する目標に基づいて、基板の表面を疎水化するときの処理条件を決定する決定工程と、
基板の表面にレジスト膜を形成する前に、前記決定工程で決定された前記処理条件で基板の表面を疎水化する処理工程と、
を備え
前記レジストパターンは、スペース、ライン、ホールおよびドットの少なくともいずれかを含み、
前記溶解エリア寸法は、スペースの寸法、ホールの寸法、および、ドット間の距離の少なくともいずれかであり、
前記目標が第1目標であるとき、前記決定工程は第1処理条件に決定し、
前記目標が前記第1目標よりも広い溶解エリア寸法を規定する第2の目標であるとき、前記決定工程は、前記第1処理条件よりも基板の表面における接触角を増大させる第2処理条件に決定する基板処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理方法において、
前記処理条件によって基板の表面における接触角が変わる基板処理方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板処理方法において、
前記目標は、前記溶解エリア寸法の目標値、または、前記溶解エリア寸法の基準値に対する調整量の少なくともいずれかである基板処理方法。
【請求項4】
請求項1からのいずれかに記載の基板処理方法において、
前記処理条件は、前記処理工程に用いる処理ガスのガス濃度を含み、
前記ガス濃度は、処理ガスにおける疎水化処理剤の濃度であり、
前記目標が第1目標であるとき、前記決定工程は第1ガス濃度に決定し、
前記目標が前記第1目標よりも広い溶解エリア寸法を規定する第2目標であるとき、前記決定工程は前記第1ガス濃度よりも高い第2ガス濃度に決定する基板処理方法。
【請求項5】
請求項1からのいずれかに記載の基板処理方法において、
前記処理条件は、基板に対する処理ガスの吹出を行わずに、基板の表面を前記処理ガスで覆った状態を保つ保持時間を含み、
前記目標が第1目標であるとき、前記決定工程は第1保持時間に決定し、
前記目標が前記第1目標よりも広い溶解エリア寸法を規定する第2目標であるとき、前記決定工程は、前記第1保持時間よりもよりも長い第2保持時間に決定する基板処理方法。
【請求項6】
請求項1からのいずれかに記載の基板処理方法において、
前記処理条件は、前記処理工程に用いる処理ガスのガス温度を含み、
前記目標が第1目標であるとき、前記決定工程は第1ガス温度に決定し、
前記目標が前記第1目標よりも広い溶解エリア寸法を規定する第2目標であるとき、前記決定工程は、前記第1ガス温度よりもよりも高い第2ガス温度に決定する基板処理方法。
【請求項7】
請求項1からのいずれかに記載の基板処理方法において、
前記処理条件は、
前記処理工程に用いる処理ガスのガス濃度、
前記処理ガスのガス温度、
基板に吹き出す前記処理ガスのガス流量、
前記処理ガスを基板に吹き出す吹出時間、
基板に対する前記処理ガスの吹出を行わずに、基板の表面を前記処理ガスで覆った状態を保つ保持時間、
基板の表面を疎水化する処理時間、
および、基板の温度、
の少なくともいずれかであり、
前記ガス濃度は、処理ガスにおける疎水化処理剤の濃度である基板処理方法。
【請求項8】
請求項1からのいずれかに記載の基板処理方法において、
前記決定工程は、前記目標に基づいて少なくとも2種類以上の処理条件を決定する基板処理方法。
【請求項9】
請求項1からのいずれかに記載の基板処理方法において、
前記決定工程は、前記溶解エリア寸法と前記処理条件との関係を規定する関連情報を参照することによって、前記処理条件を決定する基板処理方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の基板処理方法において、
前記処理工程は、
処理ガスを不活性ガスで希釈することによって処理ガスのガス濃度を調整し、前記ガス濃度が調整された前記処理ガスを基板の表面に吹き出す吹出工程と、
基板に対する前記処理ガスの吹出を行わずに、基板の表面を前記処理ガスで覆った状態を保つ保持工程と、
を含み、
前記ガス濃度は、処理ガスにおける疎水化処理剤の濃度である基板処理方法。
【請求項11】
請求項10に記載の基板処理方法において、
前記吹出工程は、前記処理ガスのガス温度を調整する基板処理方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の基板処理方法において、
前記基板処理方法は、さらに、処理ガスを基板以外に向けて吹き出して、前記処理ガスを捨てる事前吹出工程を備え、
前記処理条件は、前記処理工程に用いる処理ガスに関する処理ガス条件を含み、
前記決定工程によって前記処理ガス条件が変わったとき、前記事前吹出工程を行う基板処理方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載の基板処理方法において、
前記レジストパターンが形成されるレジスト膜の膜厚は厚膜である基板処理方法。
【請求項14】
請求項1から13のいずれかに記載の基板処理方法において、
疎水化された基板の表面にレジスト膜を形成する塗布工程と、
基板の表面上のレジスト膜に現像液を供給する現像工程と、
を備えている基板処理方法。
【請求項15】
請求項14に記載の基板処理方法において、
前記塗布工程の後で前記現像工程の前に行われる露光処理により、前記レジスト膜の一部が可溶部となり、かつ、前記レジスト膜のその他の部分が不溶部となり、
前記溶解エリア寸法は、前記可溶部の寸法よりも広くならない基板処理方法。
【請求項16】
請求項15に記載の基板処理方法において、
前記可溶部と前記不溶部の境界は、基板の表面に対して垂直である基板処理方法。
【請求項17】
請求項1から16のいずれかに記載の基板処理方法において、
前記スペースの寸法は、スペース幅であり、
前記ホールの寸法は、ホール径である基板処理方法。
【請求項18】
請求項1から17のいずれかに記載の基板処理方法において、
前記レジストパターンは、前記ラインと前記スペースを含み、
前記スペースの下部における幅寸法は、前記スペースの上部における幅寸法よりも広くならない基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を処理する基板処理方法に関する。基板は、半導体ウエハ、フォトマスク用のガラス基板、液晶表示用のガラス基板、光ディスク用の基板などである。
【背景技術】
【0002】
フォトリソグラフィー技術は、レジストパターンを形成する方法に用いられている。レジストパターンを形成する方法は、例えば、基板の表面を疎水化する工程と、基板にレジスト膜を形成する工程と、レジスト膜を露光する工程と、露光されたレジスト膜を現像する工程とを有する。レジスト膜を現像することによってレジストパターンが得られる。
【0003】
レジストパターンは、レジスト膜が溶解された溶解エリアとレジスト膜が溶解されなかった非溶解エリアを含む。溶解エリアは、例えば、スペース、ホール、ビアホール、スルーホールなどである。非溶解エリアは、例えば、ライン、ドットなどである。
【0004】
レジストパターンの寸法は、露光に用いられるレチクルによって概ね決まる。さらに、特許文献1は、露光量によってレジストパターンの線幅が変動することを開示する。特許文献1は、露光後の加熱処理における温度によってレジストパターンの線幅が変動することも開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−157986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来例は次のような問題がある。レジストパターンの寸法精度を高めることが困難な場合がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、寸法精度の良いレジストパターンを得ることができる基板処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、基板の表面を疎水化するときの処理条件によって、レジストパターンの溶解エリアの寸法が変動することを知見した。
【0009】
本発明は、このような知見に基づいて鋭意検討することによって得られたものであり、次のような構成をとる。
すなわち、本発明に係る基板処理方法は、レジストパターンの溶解エリア寸法に関する目標に基づいて、基板の表面を疎水化するときの処理条件を決定する決定工程と、基板の表面にレジスト膜を塗布する前に、前記決定工程で決定された前記処理条件で基板の表面を疎水化する処理工程と、を備える基板処理方法である。
【0010】
本発明に係る基板処理方法は決定工程を備えているので、目標に基づいて処理条件を決定できる。基板処理方法は処理工程を備えているので、決定された処理条件で基板の表面を疎水化できる。その後、基板の表面上にレジストパターンを形成すれば、寸法精度の良いレジストパターンを得ることができる。具体的には、レジストパターンに含まれる溶解エリアの寸法精度を向上できる。ここで、溶解エリアは、レジスト膜が溶解されることによって形成された(抜かれた)エリアである。
【0011】
上述の基板処理方法において、前記処理条件によって基板の表面における接触角が変わることが好ましい。換言すれば、前記処理条件は、基板の表面における接触角を変える因子であることが好ましい。決定工程で決定される処理条件によって基板の表面における接触角が変動するので、溶解エリアの寸法精度を好適に向上できる。
【0012】
上述の基板処理方法において、前記目標は、前記溶解エリア寸法の目標値、または、前記溶解エリア寸法の基準値に対する調整量の少なくともいずれかであることが好ましい。目標が溶解エリア寸法の目標値の場合、決定工程は所望の溶解エリア寸法を得るための処理条件を簡易に決定できる。目標が溶解エリア寸法の基準値に対する調整量の場合、決定工程は溶解エリア寸法を調整するための処理条件を簡易に決定できる。
【0013】
上述の基板処理方法において、前記目標が第1目標であるとき、前記決定工程は第1処理条件に決定し、前記目標が前記第1目標よりも広い溶解エリア寸法を規定する第2の目標であるとき、前記決定工程は、前記第1処理条件よりも基板の表面における接触角を増大させる第2処理条件に決定することが好ましい。目標が規定する溶解エリア寸法が広いほど、基板の表面における接触角を大きくする。これにより、実際に得られる溶解エリアの寸法精度を好適に向上できる。
【0014】
上述の基板処理方法において、前記処理条件は、前記処理工程に用いる処理ガスのガス濃度を含み、前記目標が第1目標であるとき、前記決定工程は第1ガス濃度に決定し、前記目標が前記第1目標よりも広い溶解エリア寸法を規定する第2目標であるとき、前記決定工程は前記第1ガス濃度よりも高い第2ガス濃度に決定することが好ましい。目標が規定する溶解エリア寸法が広いほど、決定されるガス濃度が高くなる。これにより、目標が規定する溶解エリア寸法が広いほど、基板の表面における接触角を好適に大きくできる。
【0015】
上述の基板処理方法において、前記処理条件は、基板に対する処理ガスの吹出を行わずに、基板の表面を前記処理ガスで覆った状態を保つ保持時間を含み、前記目標が第1目標であるとき、前記決定工程は第1保持時間に決定し、前記目標が前記第1目標よりも広い溶解エリア寸法を規定する第2目標であるとき、前記決定工程は、前記第1保持時間よりもよりも長い第2保持時間に決定することが好ましい。目標が規定する溶解エリア寸法が広いほど、決定される保持時間が長くなる。これにより、目標が規定する溶解エリア寸法が広いほど、基板の表面における接触角を好適に大きくできる。
【0016】
上述の基板処理方法において、前記処理条件は、前記処理工程に用いる処理ガスのガス温度を含み、前記目標が第1目標であるとき、前記決定工程は第1ガス温度に決定し、前記目標が前記第1目標よりも広い溶解エリア寸法を規定する第2目標であるとき、前記決定工程は、前記第1ガス温度よりもよりも高い第2ガス温度に決定することが好ましい。目標が規定する溶解エリア寸法が広いほど、決定されるガス温度が高くなる。これにより、目標が規定する溶解エリア寸法が広いほど、基板の表面における接触角を好適に大きくできる。
【0017】
上述の基板処理方法において、前記処理条件は、前記処理工程に用いる処理ガスのガス濃度(処理ガスにおける疎水化処理剤のガス濃度)、前記処理ガスのガス温度、基板に吹き出す前記処理ガスのガス流量、前記処理ガスを基板に吹き出す吹出時間、基板に対する前記処理ガスの吹出を行わずに、基板の表面を前記処理ガスで覆った状態を保つ保持時間、基板の表面を疎水化する処理時間、および、基板の温度、の少なくともいずれかであることが好ましい。レジストパターンに含まれる溶解エリアの寸法精度を向上できる。
【0018】
上述の基板処理方法において、前記決定工程は、前記目標に基づいて少なくとも2種類以上の処理条件を決定することが好ましい。換言すれば、前記決定工程は、前記目標に基づいて、第1処理条件と、第1条件と異なる種類の第2処理条件とを決定することが好ましい。決定工程は処理条件をきめ細かく決定できるので、レジストパターンに含まれる溶解エリアの寸法精度を一層向上できる。
【0019】
上述の基板処理方法において、前記決定工程は、前記溶解エリア寸法と前記処理条件との関係を規定する関連情報を参照することによって、前記処理条件を決定することが好ましい。決定工程は簡易に処理条件を決定できる。
【0020】
上述の基板処理方法において、前記処理工程は、処理ガスを不活性ガスで希釈することによって処理ガスのガス濃度を調整し、前記ガス濃度が調整された前記処理ガスを基板の表面に吹き出す吹出工程と、基板に対する前記処理ガスの吹出を行わずに、基板の表面を前記処理ガスで覆った状態を保つ保持工程と、を含むことが好ましい。処理工程は吹出工程と保持工程を含むので、基板の表面を好適に疎水化できる。
【0021】
上述の基板処理方法において、前記吹出工程は、前記処理ガスのガス温度を調整することが好ましい。基板の表面を一層好適に疎水化できる。
【0022】
上述の基板処理方法において、前記基板処理方法は、さらに、前記処理ガスを基板以外に向けて吹き出して、前記処理ガスを捨てる事前吹出工程を備え、前記処理条件は、前記処理工程に用いる処理ガスに関する処理ガス条件を含み、前記決定工程によって前記処理ガス条件が変わったとき、前記事前吹出工程を行うことが好ましい。基板処理方法は事前吹出工程を備えているので、仮に処理ガスを吹き出すことができる。さらに、決定工程によって決定される処理ガス条件が変わる度に事前吹出工程を行うので、変更後の処理ガス条件で処理ガスを吹き出す準備を整えることができる。処理ガス条件は、例えば、処理ガスの濃度、温度、流量などである。よって、処理ガス条件の変更後に行われる最初の疎水化処理工程であっても、変更後の処理ガス条件に精度良く調整された処理ガスを基板に供給できる。これにより、基板の表面を適切に疎水化でき、レジストパターンの寸法精度が低下することを防ぐことができる。
【0023】
上述の基板処理方法において、前記レジストパターンが形成されるレジスト膜の膜厚は厚膜であることが好ましい。処理条件を変えることによってレジストパターンに含まれる溶解エリアの寸法を効果的に調整できる。
【0024】
上述の基板処理方法において、疎水化された基板の表面にレジスト膜を形成する塗布工程と、基板の表面上のレジスト膜に現像液を供給する現像工程と、を備えていることが好ましい。基板処理方法はレジスト膜形成工程を備えているので、基板上にレジスト膜を好適に形成できる。基板処理方法は現像工程を備えているので、基板上のレジスト膜を好適に現像できる。
【0025】
なお、本明細書は、次のような基板処理方法に係る発明も開示している。
【0026】
(1)上述した基板処理方法において、前記関連情報は、前記溶解エリア寸法と基板の表面における接触角の関係を規定する第1関連情報と、前記接触角と前記処理条件の関係を規定する第2関連情報を含む基板処理方法。
【0027】
前記(1)に記載の基板処理方法によれば、第1関連情報および第2関連情報をそれぞれ容易に設定できる。
【0028】
(2)上述した基板処理方法において、前記処理条件は、第1処理条件と、第2処理条件と、を含み、前記関連情報は、前記溶解エリア寸法と、前記第1処理条件および前記第2処理条件の組み合わせとの関係を規定する基板処理方法。
【0029】
前記(2)に記載の基板処理方法によれば、決定工程は、複数の処理条件を効率良く決定できる。
【0030】
(3)上述した基板処理方法において、前記レジストパターンは、スペース、ライン、ホールおよびドットの少なくともいずれかを含む基板処理方法。
【0031】
前記(3)に記載するとおり、本発明に係る基板処理方法は、種々のレジストパターンに適用できる。例えば、レジストパターンがスペースとラインを含む場合であっても、レジストパターンがホールを含む場合であっても、あるいは、レジストパターンがドットを含む場合であっても、レジストパターンの寸法精度を向上できる。ホールは、スルーホールまたはビアホールとも呼ばれる。
【0032】
(4)上述した基板処理方法において、前記溶解エリア寸法は、スペースの寸法、ホールの寸法、および、ドットの寸法の少なくともいずれかである基板処理方法。
【0033】
前記(4)に記載するとおり、本発明に係る基板処理方法は、種々の溶解エリア寸法に適用できる。例えば、レジストパターンがスペースとラインを含み、かつ、溶解エリアがスペースである場合、スペースの寸法の精度を向上できる。スペースの寸法は、例えば、スペース幅である。例えば、レジストパターンがホールを含み、かつ、溶解エリアがホールである場合、ホールの寸法の精度を向上できる。ホールの寸法は、例えば、ホール径である。例えば、レジストパターンがドットを含み、かつ、溶解エリアがドット以外の領域である場合、ドットの寸法の精度を向上できる。ドットの寸法は、例えば、ドット間の距離(すなわち、ドットピッチ)である。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係る基板処理方法によれば、目標に基づいて処理条件を決定でき、決定された処理条件で基板の表面を疎水化できる。その後、基板の表面上にレジストパターンを形成すれば、寸法精度の良いレジストパターンを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】基板処理装置の概要構成を示す平面図である。
図2】基板処理装置の概要構成を示す側面図である。
図3】基板処理方法の手順を示すフローチャートである。
図4図4(a)−4(d)は、基板処理方法の各工程における基板Wを模式的に示す断面図である。
図5】疎水化処理ユニットおよびこれに関連する構成を示す図である。
図6】関連情報を模式的に示す図である。
図7】基板処理方法の手順を示すフローチャートである。
図8図8(a)−8(c)は、各ガス濃度におけるスペースを模式的に示す拡大断面図である。
図9】関連情報を模式的に示す図である。
図10】関連情報を模式的に示す図である。
図11】関連情報を模式的に示す図である。
図12】関連情報を模式的に示す図である。
図13】基板処理方法の手順を示すフローチャートである。
図14】疎水化処理ユニットおよびこれに関連する構成を示す図である。
図15】変形実施例に係る疎水化処理ユニットおよびこれに関連する構成を示す図である。
図16】変形実施例に係る疎水化処理ユニットおよびこれに関連する構成を示す図である。
【実施例1】
【0036】
以下、図面を参照して本発明の実施例1を説明する。実施例1に係る基板処理方法は、基板(例えば、半導体ウエハ)にレジストパターンを形成する方法である。
【0037】
<基板処理装置の概略構成>
実施例1に係る方法を行うための基板処理装置を概略構成を説明する。
図1は、基板処理装置の概要構成を示す平面図である。図2は、基板処理装置の概要構成を示す側面図である。
【0038】
基板処理装置1は、インデクサ部(以下、「ID部」と記載する)11と処理部13とインターフェイス部(以下、「IF部」と記載する)17とを備える。処理部13は、ID部11およびIF部17とそれぞれ接続している。IF部17はさらに、基板処理装置1とは別体の露光機EXPと接している。
【0039】
ID部11は、載置台21を備える。載置台21は、複数のキャリア25を載置する。各キャリア25は、複数の基板(例えば、半導体ウエハ)Wを収容する。
【0040】
ID部11は搬送機構T1を備える。搬送機構T1は基板Wを搬送する。基板処理装置1は、ID部11と処理部13との間に設けられる基板載置部P1を備える。基板載置部P1は基板Wを載置する。搬送機構T1は、載置台21に載置されたキャリア25と基板載置部P1との間で基板Wを搬送する。搬送機構T1は、基板載置部P1を介して、処理部13に基板Wを渡し、処理部13から基板Wを受ける。
【0041】
処理部13は塗布ブロック14と現像ブロック15を備えている。
【0042】
塗布ブロック14は、疎水化処理ユニット31と熱処理ユニット32を有する。疏水化処理ユニット31は、処理ガスを基板Wに供給して、基板Wの表面を疎水化する。疎水化処理の目的は、基板Wとレジスト膜との密着性を向上させることである。疎水化処理ユニット31の具体的な構成については、後述する。熱処理ユニット32は基板Wに熱処理を行う。具体的には、熱処理ユニット32は熱処理プレート33を備えている。熱処理プレート33は、熱処理プレート33上に載置された基板Wを加熱または冷却する。
【0043】
塗布ブロック14は塗布ユニット34を有する。塗布ユニット34は基板Wの表面にレジスト膜を形成する。具体的には、塗布ユニット34は、保持部35とカップ36とノズル37とノズル搬送機構38を備える。図2では、ノズル37とノズル搬送機構38の図示を省略する。保持部35は基板Wを保持する。保持部35は不図示のモータによって回転する。カップ36は、保持部35の周囲に配置され、基板Wから飛散する処理液を回収する。ノズル37はレジスト膜材料を吐出する。ノズル搬送機構38は、基板Wの上方の位置と基板Wの上方から外れたノズル待機位置との間にわたってノズル37を搬送する。保持部35が基板Wを保持しているとき、ノズル37は基板Wの上方の位置でレジスト膜材料を基板Wの表面に吐出する。このとき、保持部35は基板Wを適宜に回転してもよい。これにより、塗布ユニット34は、レジスト膜材料を基板Wの表面に塗布する。
【0044】
塗布ブロック14は搬送機構T2を有する。基板処理装置1は、塗布ブロック14と現像ブロック15との間に設けられる基板載置部P2を備える。搬送機構T2は、ユニット31、32、34と基板載置部P1、P2との間で、基板Wを搬送する。搬送機構T1は、基板載置部P1を介して、ID部11に基板Wを受け渡す。搬送機構T1は、基板載置部P2を介して、現像ブロック15に基板Wを受け渡す。
【0045】
現像ブロック15は熱処理ユニット42を有する。熱処理ユニット42は基板Wに熱処理を行う。具体的には、熱処理ユニット42は熱処理プレート43を備えている。熱処理プレート43は、熱処理プレート43上に載置された基板Wを加熱または冷却する。
【0046】
現像ブロック15は現像ユニット44を有する。現像ユニット44は基板W上のレジスト膜を現像する。具体的には、現像ユニット44は、保持部45とカップ46とノズル47とノズル搬送機構48を備える。図2は、ノズル47とノズル搬送機構48の図示を省略する。保持部45は基板Wを保持する。保持部45は不図示のモータによって回転する。カップ46は、保持部45の周囲に配置され、基板Wから飛散する処理液を回収する。ノズル47は基板Wに現像液を吐出する。現像液は、水性であることが好ましい。現像液は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)である。ノズル搬送機構48は、基板Wの上方の位置と基板Wの上方から外れたノズル待機位置との間にわたってノズル47を搬送する。保持部45が基板Wを保持しているとき、ノズル47は基板Wの上方の位置で現像液を基板Wに吐出する。このとき、保持部45は基板Wを適宜に回転してもよい。これにより、現像ユニット44は、基板W上のレジスト膜に現像液を供給する。
【0047】
現像ブロック15は搬送機構T3と基板載置部P3を備える。搬送機構T3は、ユニット42、44と基板載置部P2、P3との間で、基板Wを搬送する。搬送機構T3は、基板載置部P3を介して、IF部17と基板Wを受け渡す。
【0048】
IF部17は、搬送機構T4、T5と基板載置部P4を備えている。基板載置部P4は、搬送機構T4、T5の間に配置されている。搬送機構T4は、基板載置部P3と基板載置部P4との間で基板Wを搬送する。搬送機構T5は、基板載置部P4と露光機EXPとの間で基板Wを搬送する。これにより、搬送機構T4、T5は、現像ブロック15と露光機EXPとの間で基板Wを搬送する。搬送機構T4、T5同士は、基板載置部P4を使って、基板Wを受け渡す。
【0049】
露光機EXPは、基板Wに露光処理を行う。露光機EXPは、ステージ49と光源50とレチクル(「フォトマスク」ともいう)51を備えている。これらの要素49乃至51は、図2に示される。ステージ49は基板Wを載置する。光源50は光を照射する。レチクル51はステージ49と光源50との間に設置されている。レチクル51を透過した光がレジスト膜Rに達することによって、レチクル51が有するパターンがレジスト膜Rに転写される。これにより、レジスト膜の一部が可溶部となり、レジスト膜のその他の部分が不溶部となる。可溶部は現像液に対して可溶である。不溶部は現像液に対して不溶である。
【0050】
<基板処理方法の概略>
実施例1に係る基板処理方法の概略を説明する。図3は、基板処理方法の手順を示すフローチャートである。説明の便宜上、ステップS1については後述し、ステップS2ーS5を説明する。図4(a)−4(d)は、基板処理方法の各工程における基板Wを模式的に示す断面図である。
【0051】
搬送機構T1がキャリア25から基板Wを搬出し、その基板Wを基板載置部P1に載置する。搬送機構T2が基板載置部P1から疎水化処理ユニット31に基板Wを搬送する。疎水化処理ユニット31は基板Wの表面を疎水化する(ステップS2)。
【0052】
図4(a)は、疎水化された表面Wsを有する基板Wを示す。基板Wの表面Wsはパターン形成面であってもよい。あるいは、基板Wの表面Wsは被エッチング膜であってもよい。被エッチング膜は、例えば酸化膜や窒化膜である。
【0053】
搬送機構T2は、疎水化処理ユニット31から塗布ユニット34に基板Wを搬送する。塗布ユニット34は基板Wの表面にレジスト膜を形成する(ステップS3)。
【0054】
図4(b)は、基板W上に形成されたレジスト膜Rを示す。レジスト膜Rは厚膜である。すなわち、レジスト膜Rの厚みは比較的に大きい。レジスト膜Rの厚さRtは、2[μm]以上であることが好ましい。レジスト膜Rの厚さRtは、6[μm]以上であることがさらに好ましい。レジスト膜Rの厚さRtは、8[μm]以上であることがさらに好ましい。
【0055】
搬送機構T2ーT5は、塗布ユニット34から露光機EXPに基板Wを搬送する。具体的には、搬送機構T2は塗布ユニット34から基板載置部P2に基板Wを搬送する。搬送機構T3は基板載置部P2から基板載置部P3に基板Wを搬送する。搬送機構T4は基板載置部P3から基板載置部P4に基板Wを搬送する。搬送機構T5は基板載置部P4から露光機EXPに基板Wを搬送する。露光機EXPは基板W上のレジスト膜を露光する(ステップS4)。
【0056】
図4(c)は、レチクル51と露光されたレジスト膜Rを例示する。図4は、さらに、レチクル51を通過した光を模式的に示す。レジスト膜Rは、可溶部Raと不溶部Rbを含む。
【0057】
搬送機構T3−T5は、露光機EXPから現像ユニット44に基板Wを搬送する。現像ユニット44は基板W上のレジスト膜Rを現像する(ステップS5)。現像工程によって、可溶部Raが除去される。
【0058】
図4(d)は、レジスト膜Rを現像した後に得られるレジストパターンRPを示す。レジストパターンRPは、ラインLとスペースSを含む。ラインLは、現像工程において除去されなかったレジスト膜Rの部分である。ラインLは主として不溶部Rbで構成される。スペースSは、可溶部Raが除去されることによって形成される。換言すれば、スペースSは、レジスト膜Rが溶解されることによって形成された(抜かれた)エリアである。スペースSは、隣り合う2つのラインLと基板Wの表面とによって区画される空隙(溝)である。スペースSは、本発明における溶解エリアの例である。
【0059】
図4(c)に示すように可溶部Raの幅方向の寸法を「可溶部幅C」と呼び、図4(d)に示すようにスペースSの幅方向の寸法を「スペース幅D」と呼ぶ。より厳密に言えば、可溶部幅Cは可溶部Raの下部における幅寸法である。スペース幅DはスペースSの下部における幅寸法である。スペース幅Dは、可溶部幅Cより広くなることはない。すなわち、スペース幅Dの上限値は可溶部幅Cである。なお、スペース幅Dは、ラインLの幅方向の寸法(ライン幅とも言われる)とは異なる。スペース幅Dは、本発明における溶解エリア寸法の例である。
【0060】
その後、搬送機構T1−T3は、現像ユニット44からキャリア25に基板Wを搬送する。なお、上述した基板処理方法において、塗布ユニット34に基板Wを搬送する前後に基板Wを熱処理ユニット32に搬送して、レジスト膜形成工程の前後に基板Wに熱処理を行ってもよい。同様に、現像ユニット44に基板Wを搬送する前後に基板Wを熱処理ユニット42に搬送して、現像工程の前後に基板Wに熱処理を行ってもよい。
【0061】
以下では、スペース幅Dの寸法精度を高めることができる構成および方法を詳細に説明する。
【0062】
<疎水化処理ユニット31の詳細構成>
図5は、疎水化処理ユニットおよびこれに関連する構成を示す図である。疎水化処理ユニット31は、プレート53と基板温調部54とカバー55と昇降機構56を備える。プレート53は基板Wを載置する。基板温調部54はプレート53に載置された基板Wの温度を調節する。基板温調部54は、例えばプレート53に取り付けられている。基板温調部54は例えばヒータである。カバー55はプレート53の上方に設けられている。昇降機構56はカバー55を下方位置と上方位置との間で昇降させる。図5では、下方位置にあるカバー55を実線で示し、上方位置にあるカバー55を点線で示す。昇降機構56は例えばエアシリンダである。カバー55が下方位置にあるとき、カバー55とプレート53との間の空間(以下、「処理空間という)Bを略密閉する。基板Wは、処理空間Bの内部で、疎水化される。カバー55が上方位置にあるとき、処理空間Bが開放される。処理空間Bが開放されているとき、基板Wをプレート53に載置でき、基板Wをプレート53から搬出できる。
【0063】
疎水化処理ユニット31は、ノズル57と排気孔58とチャンバー59を備える。ノズル57はカバー55に取り付けられている。ノズル57はカバー55の下方に処理ガスを吹き出す。カバー55が下方位置にあるとき、ノズル57は処理空間Bに処理ガスを吹き出す。排気孔58は、プレート53に形成されている。排気孔58は、処理空間Bと連通している。処理空間Bの気体は、排気孔58を通じて処理空間Bの外部に排出される。チャンバー59は、要素53乃至59を収容する。
【0064】
基板処理装置1は処理ガス供給部60を備えている。処理ガス供給部60は、疎水化処理ユニット31と接続されている。処理ガス供給部60は、疎水化処理ユニット31に処理ガスを供給する。
【0065】
処理ガス供給部60は、疎水化処理剤供給源61と配管62と開閉弁63と気化容器64を備える。疎水化処理剤供給源61は、疎水化処理剤を供給する。疎水化処理剤は例えばHMDS(ヘキサメチルジシラザン)である。配管62は疎水化処理剤供給源61と気化容器64とを接続する。開閉弁63は配管62に設けられている。開閉弁63が開くと、疎水化処理剤供給源61から気化容器64に疎水化処理剤が供給される。気化容器64は、疎水化処理剤を気化させて、疎水化処理剤を含む処理ガスを生成する。処理ガスは、例えば気化したHMDS(ヘキサメチルジシラザン)を含む。配管62は、本発明における処理液管の例である。
【0066】
処理ガス供給部60は配管65を備える。配管65の一端は疎水化処理ユニット31に接続される。より具体的には、配管65の一端は、チャンバー59内に挿入され、ノズル57に接続されている。配管65の他端は気化容器64に接続されている。このように、気化容器64と疎水化処理ユニット31とは、配管65によって接続される。配管65は、気化容器64で生成された処理ガスを疎水化処理ユニット31に供給する。配管65は、本発明における処理ガス管の例である。
【0067】
処理ガス供給部60は、ガス供給源66と配管67と流量調整弁68を備える。ガス供給源66は不活性ガスを供給する。不活性ガスは、例えば窒素ガスである。配管67の一端はガス供給源66に接続される。配管67の他端は気化容器64に接続される。例えば、配管67は、気化容器64内の処理液中に不活性ガスを吹き出してもよい。あるいは、配管67は、気化容器64内の気体層中に不活性ガスを吹き出してもよい。このように、ガス供給源66と気化容器64とは、配管67によって接続される。流量調整弁68は配管67に設けられている。流量調整弁68が開くと、ガス供給源66から気化容器64に不活性ガスが供給される。不活性ガスが気化容器64に供給されると、気化容器64は、気化容器64に供給された不活性ガスと同量の処理ガスを配管65に出す。流量調整弁68は、さらに、気化容器64に供給される不活性ガスの流量を調整する。これにより、流量調整弁68は、気化容器64が処理ガスを生成する量を調整する。配管67は、本発明における不活性ガス管の例である。
【0068】
処理ガス供給部60は、配管71と流量調整弁72を備える。配管71の一端はガス供給源66に接続される。配管71の他端は配管65の途中に接続される。流量調整弁72は配管71に設けられている。流量調整弁72が開くと、ガス供給源66から配管71に不活性ガスが流れる。これにより、配管71を流れた不活性ガスは、配管65に流入し、気化容器64から出された処理ガスと合流する。これにより、気化容器64から出された処理ガスは、配管65内において希釈される。流量調整弁72は、さらに、気化容器64から出された処理ガスを希釈する不活性ガスの流量を調整する。これにより、処理ガスのガス濃度が調整される。
【0069】
例えば、流量調節弁72が希釈用の不活性ガスの流量を大きくするほど、処理ガスのガス濃度は低くなる。例えば、気化容器64で生成される処理ガスのガス濃度をm[%]とする。気化容器64に供給する不活性ガスの流量(すなわち、気化容器64から出る処理ガスの流量)がq1であり、希釈する不活性ガスの流量がq2であるとき、処理ガスのガス濃度Gはm*q1/(q1+q2)[%]になる。
【0070】
流量調整弁68、72は、例えばニードル弁またはマスフローメータである。マスフローメータは流量を検出する機能をさらに有する。
【0071】
処理ガス供給部60は、三方弁74と配管75を備える。三方弁74は、配管65の途中に設けられている。三方弁74は、配管65と配管71との接続位置よりも疎水化処理ユニット31に近い位置に配置されることが好ましい。三方弁74は第1入口ポートと第2入口ポートと出口ポートを有する。第1入口ポートと出口ポートはともに、配管65に接続されている。第2入口ポートは、配管75の一端と接続されている。配管75の他端はガス供給源66に接続されている。三方弁74は、出口ポートが第1入口ポートのみに連通接続している状態と、出口ポートが第2入口ポートのみに連通接続している状態との間で切り替える。これにより、疎水化処理ユニット31に供給する気体が、処理ガスと不活性ガスとの間で切り替わる。
【0072】
処理ガス供給部60は、処理ガス温調部76を備えている。処理ガス温調部76は処理ガスの温度を調節する。
【0073】
処理ガス温調部76は第1外側管77を備えている。第1外側配管77は、配管65の外側に設けられ、配管65の少なくとも一部を収容する。第1外側管77に収容される配管65の部分は、疎水化処理ユニット31に近い部分であることが好ましい。配管65と第1外側配管77とは二重管構造である。第1外側配管77の内面と配管65の外面とに間には、環状の空間が形成される。
【0074】
処理ガス温調部76は導入管78を備えている。導入管78は第1外側配管77に連通接続されている。導入管78は、温度が調整された気体を第1外側配管77と配管65の間に形成される環状の空間に供給する。導入管78が導入する気体は、例えば清浄な空気である。以下では、導入管78が導入する気体を「温調エア」と呼ぶ。
【0075】
第1外側管77の内部に導入された温調エアは、配管65の外面上を流れる。すなわち、配管65の外面は温調エアに晒される。温調エアは、配管65自体の温度を調整し、配管65内を流れる処理ガス/不活性ガスの温度を調整する。
【0076】
処理ガス温調部76は空調制御装置79を備えている。空調制御装置79は、任意の温度の温調エアを生成し、温調エアを導入管78に供給する。
【0077】
基板処理装置1は処理ガス排出部81を備えている。処理ガス排出部81は、疎水化処理ユニット31と接続されている。処理ガス排出部81は、疎水化処理ユニット31の処理空間Bの気体を排出する。
【0078】
気体排出部81は、配管82と吸引機構83を備えている。配管82の一端は、チャンバー59内に挿入され、排気孔58に接続されている。配管82の他端は吸引機構83に接続されている。吸引機構83は、例えばポンプやアスピレータである。吸引機構83が気体を吸引すると、処理空間Bの気体が排気孔58を通じて処理空間Bの外部に排出される。
【0079】
基板処理装置1は制御部85と記憶部87と入力部89を備えている。
【0080】
制御部85は、基板温調部54と昇降機構56と開閉弁63と流量調整弁68、72と三方弁74と空調制御装置79と吸引機構83を制御する。制御部85は、各種処理を実行する中央演算処理装置(CPU)、演算処理の作業領域となるRAM(Random-Access Memory)、固定ディスク等の記憶媒体等によって実現されている。
【0081】
記憶部87は、制御部85と通信可能に接続されている。記憶部87は、目標Eや関連情報Fを記憶している。
【0082】
目標Eはスペース幅Dに関する。より厳密に言えば、目標Eは、スペース幅Dに関する目標を規定する情報である。目標Eは、例えばスペース幅Dの目標値である。関連情報Fは、スペース幅Dと処理条件との関係を規定する。具体的には、関連情報Fは、各処理条件と、仮にその処理条件で基板の表面を疎水化したならば、得られると推定されるスペース幅Dとの関係を規定する。
【0083】
図6を参照する。関連情報Fは、図6に例示する関連情報F1を含む。関連情報F1は、処理ガスのガス濃度Gとスペース幅Dとの関係を規定する。より具体的には、関連情報F1は、処理ガスのガス濃度Gが高くなるにしたがって、スペース幅Dが大きくなるような関係を規定している。ガス濃度Gは、処理ガスの体積に対する、処理ガスに含まれる気化した疎水化処理剤の体積の割合である。
【0084】
ガス濃度Gは、基板Wの表面における接触角に影響を与える処理条件である。より具体的には、基板Wの表面を疎水化するときに用いるガス濃度Gが高くなるほど、基板Wの表面における接触角が大きくなる。接触角は、厳密に言えば、基板Wの表面における水の接触角ある。接触角は、基板Wの表面の疎水性の度合いを示す指標である。本明細書では、接触角が大きいことは、疎水性が高いことと同義である。ガス濃度Gは、本発明の処理条件の例である。
【0085】
目標Eと関連情報Fは、実験またはシミュレーションによって設定される。目標Eと関連情報Fは、本実施例に係る基板処理方法を実行する前に、記憶部87に記憶される。関連情報Fは、スペース幅Dと処理条件とが対応付けられている表(テーブル)であってもよい。あるいは、関連情報Fは、スペース幅Dと処理条件の関数であってもよい。
【0086】
記憶部87は、さらに、基板Wを処理するための処理レシピ(処理プログラム)など各種情報を記憶している。
【0087】
入力部89は制御部85と通信可能に接続されている。入力部89はユーザーによって操作される。入力部89は各種の情報を受け付ける。入力部89が受け付ける情報は、例えば目標Eである。入力部89が受け付ける情報は、例えば特定の目標Eを選択、決定する命令である。
【0088】
<基板処理方法の詳細>
図7は、図3に示すステップS1、S2の手順を詳細に示すフローチャートである。図7に示すステップS2a−S2gの全体が、図3に示すステップS2(疎水化処理工程)に相当する。
【0089】
<ステップS1> 決定工程
制御部85は、目標Eと関連情報F1とに基づいてガス濃度Gを決定する。この際、制御部85は、記憶部87から目標Eを取得してもよいし、入力部89から目標Eを取得してもよい。あるいは、制御部85は、記憶部87に記憶された情報と入力部89に入力された情報に基づいて目標Eを特定してもよい。また、制御部85は、記憶部87から関連情報F1を取得する。
【0090】
図6を参照する。例えば目標Eが値d1である場合、制御部85はガス濃度Gを値g1に決定する。
【0091】
<ステップS2a> 基板Wを搬入する
カバー55は上方位置にある。不図示の基板搬送機構がプレート53上に載置する。制御部85は、基板温調部54を制御して基板Wを所定の温度に調整する。
【0092】
<ステップS2b> カバーが下方位置に移動する
制御部85は、昇降機構56を制御して、カバー55を下方位置に位置させる。処理空間Bが略密閉される。
【0093】
<ステップS2c> 吹出工程
制御部85は、決定されたガス濃度Gに基づいて流量調整弁68、72を制御し、処理ガスを生成し、生成された処理ガスを不活性ガスで希釈する。これにより、処理ガスは、決定されたガス濃度Gに調整される。
【0094】
制御部85は、三方弁74および吸引機構83を制御し、処理ガスを疎水化処理ユニット31に送りながら、疎水化処理ユニット31(処理空間B)の気体を排出する。ノズル57は処理ガスを吹き出す。ノズル57から吹き出された処理ガスは、処理空間Bの全体に飛散する。処理ガス中の疎水化処理剤が基板Wの表面全体において液化する。すなわち、疎水化処理剤が基板Wの表面全体に塗布される。これにより、基板Wの表面が疎水化される。
【0095】
制御部85は空調制御装置79を制御して、疎水化処理ユニット31に送られる処理ガスの温度を所定の温度に保つ。
【0096】
<ステップS2d> 保持工程
制御部85は、流量調整弁68、72を閉じる。これにより、基板Wに対する処理ガスの吹出を止める。この際、制御部85は、吸引機構83を停止させる。これにより、処理ガスが処理空間B内に満たされる。すなわち、基板に対する処理ガスの吹出を行わずに基板の表面を前記処理ガスで覆った状態になる。
【0097】
<ステップS2e> 不活性ガスに置換する
制御部85は三方弁74を制御して、不活性ガスを疎水化処理ユニット31に供給させるとともに、制御部85は吸引機構83に吸引動作をさせ、排気孔58を通じて処理空間Bから処理ガスを排出する。処理空間Bの気体は、処理ガスから不活性ガスに置換される。
【0098】
<ステップS2f> カバーが上方位置に移動する
制御部85は、昇降機構56を制御して、カバー55を上方位置に位置させる。処理空間Bが開放される。
【0099】
<ステップS2g> 基板を搬出する
不図示の搬送機構がプレート53から基板Wを搬出する。
【0100】
ステップS2a−S2gによって基板Wの表面を疎水化した後、上述したレジスト膜形成工程(ステップS3)、露光工程(ステップS4)および現像工程(ステップS5)を実行する。これにより、レジストパターンRPが実際に得られる。レジストパターンRPは、ラインLとスペースSを有する。スペースSのスペース幅Dは、目標Eに規定された目標値に近似するように、あるいは、目標Eに規定された目標値と実質的に一致するように、調整されている。
【0101】
図8(a)−8(c)は、各ガス濃度GにおけるスペースSを模式的に示す拡大断面図である。図8(a)、8(b)、8(c)はそれぞれ、ガス濃度ga、gb、gcで基板Wの表面を疎水化したときに得られるスペースSaを示す。ガス濃度gaはガス濃度gbよりも高く、ガス濃度gbはガス濃度gcよりも高い。
【0102】
ガス濃度ga、gb、gcの処理ガスを用いて基板Wの表面を疎水化したときに得られるスペース幅Dを、スペース幅Da、Db、Dcと呼ぶ。スペース幅Daはスペース幅Dbよりも広く、スペース幅Dbはスペース幅Dcよりも広い。このように、ガス濃度Gを変えることによって、可溶部幅C以下の範囲でスペース幅Dを微調整できる。ガス濃度ga、gb、gcとスペース幅Da、Db、Dcの関係は、上述した関連情報F1に規定されている。
【0103】
発明者らは、ガス濃度Gに依存してスペース幅Dが変化する主たる原因について、以下のように推察する。例えば、基板Wの表面を疎水化するときのガス濃度Gが高くなると、基板Wの表面における接触角は大きくなる(すなわち、基板Wの表面の疎水性が高くなる)。現像工程において、可溶部Raが除去されて基板Wの表面が露出すると、基板Wの表面が現像液と直接的に接する。基板Wの表面における接触角が大きいほど、基板Wの表面と接する現像液は動きやすい(換言すれば、基板Wの表面における接触角が大きいほど、基板Wの表面と接する現像液の移動量が大きい)。基板Wの表面と接する現像液が動きやすいほど、現像液が可溶部Raを溶解する反応が促進され、スペース幅Dが広くなる。逆に、ガス濃度Gが小さくなるほど、基板Wの表面の接触角が小さくなり、スペース幅Dが狭くなる。このように、スペース幅Dが変動した主たる原因は、ガス濃度Gによって基板Wの表面における接触角が変動し、接触角の変動が現像の進行に影響を与えたことであると、本発明者らは推察する。
【0104】
このように、実施例1に係る基板処理方法によれば、以下の効果を奏する。
決定工程(ステップS1)はスペース幅Dに関する目標Eに基づいてガス濃度Gを決定するので、適切なガス濃度Gを決定できる。また、処理工程(ステップS2)は決定されたガス濃度Gで基板Wの表面を疎水化する。疎水化された基板Wの表面にレジスト膜Rを形成し、レジスト膜Rを現像すれば、基板W上に寸法精度の高いレジストパターンRPを形成できる。具体的には、スペースSの寸法精度を向上できる。すなわち、実際に得られるスペースSは、目標Eに規定された目標値に一層近いスペース幅Dを有する。
【0105】
ガス濃度Gは基板Wの表面における接触角を変動させる処理条件であるので、スペースSの寸法精度を好適に向上できる。また、ガス濃度Gを変えることによって、スペース幅Dを調整できる。
【0106】
目標Eはスペース幅Dの目標値であるので、決定工程は処理条件(ガス濃度G)を簡易に決定できる。また、ユーザーは、目標Eを簡易に設定できる。
【0107】
目標Eが規定するスペース幅Dが広いほど、決定工程が決定するガス濃度Gは高くなる。他方、目標Eが規定するスペース幅Dが狭いほど、決定工程が決定するガス濃度Gは低くなる。これにより、実際に得られるスペースSの寸法精度を好適に向上できる。
【0108】
決定工程は関連情報F1を参照するので、ガス濃度Gを容易に決定できる。
【0109】
吹出工程は処理ガスを不活性ガスで希釈するので、処理ガスのガス濃度Gを好適に調整できる。
【0110】
保持工程は、基板Wに対する処理ガスの吹出を行わずに、基板Wの表面を処理ガスで覆った状態を保つので、処理ガスの消費量を抑制しつつ、基板Wの表面全体を均一に疎水化できる。
【0111】
基板W上に形成されるレジスト膜Rが厚膜であるので、ガス濃度Gを変えることによってスペース幅Dを効果的に変えることができる。レジスト膜Rの厚さRtが2[μm]以上であれば、ガス濃度Gによってスペース幅Dを効果的に変えることができる。レジスト膜Rの厚さRtが6[μm]以上であれば、ガス濃度Gによってスペース幅Dを一層効果的に変えることができる。レジスト膜Rの厚さRtが8[μm]以上であれば、ガス濃度Gによってスペース幅Dをより一層効果的に変えることができる。
【0112】
基板処理方法はレジスト膜形成工程を備えているので、基板W上にレジスト膜Rを好適に形成できる。基板処理方法は現像工程を備えているので、基板W上のレジスト膜Rを好適に現像できる。
【0113】
吹出工程は処理ガスのガス温度を調整する。これにより、適切な温度の処理ガスを基板Wに供給できる。
【0114】
基板処理装置1は第1外側管77と導入管78を備えているので、配管65の外面に温調エアを好適に供給できる。これにより、配管65の内部を流れる処理ガスの温度を好適に調整できる。
【0115】
第1外側管77と導入管78は処理ガスの温度を一定に保つので、処理ガスの温度が意図せずにばらつくことを防止できる。このため、処理ガスの温度のばらつきに起因して、基板Wの表面における接触角が意図せずに変動するおそれがない。すなわち、処理ガスの温度のばらつきに起因して、スペース幅Dが意図せずに変動するおそれがない。よって、スペースSの寸法精度を一層向上できる。
【0116】
温調エアを使って処理ガスの温度を調整するので、第1外側配管77および導入管78が過度に高温になることがない。よって、処理ガスを安全に取り扱うことができる。
【実施例2】
【0117】
以下、図面を参照して本発明の実施例2を説明する。
実施例2は、基板にレジストパターンを形成する基板処理方法である。実施例2に係る方法についても、実施例1で説明した基板処理装置1で行うことができる。よって、基板処理装置1の構成に関する説明を省略する。
【0118】
図9を参照する。関連情報Fは、図9に例示する関連情報F2を含む。関連情報F2は、保持時間Jとスペース幅Dとの関係を規定する。関連情報F2は、保持時間Jが長くなるにしたがって、スペース幅Dが大きくなるような関係を規定している。保持時間Jは、基板Wに対する処理ガスの吹出を行わずに基板Wの表面を処理ガスで覆った状態(以下、「保持状態」と呼ぶ)を保つ時間である。保持時間Jは、保持工程(ステップS2d)を行う時間に相当する。
【0119】
保持時間Jは、基板Wの表面における接触角に影響を与える処理条件である。より具体的には、保持時間Jが長くなるほど、基板Wの表面における接触角が大きくなる。保持時間Jは、本発明の処理条件の例である。
【0120】
次に、実施例2に係る基板処理方法の手順について説明する。便宜上、実施例1の図3、7を参照する。なお、実施例1と同じ動作については、適宜に説明を簡略化する。
【0121】
<ステップS1> 決定工程
制御部85は、目標Eと関連情報F2とに基づいて保持時間Jを決定する。図9を参照する。例えば目標Eが値d2である場合、制御部85は保持時間Jを値j2に決定する。
【0122】
<ステップS2a、2b>
不図示の基板搬送機構がプレート53上に載置する(ステップS2a)。カバー55が下方位置に移動する(ステップS2b)。
【0123】
<ステップS2c> 吹出工程
制御部85は、流量調整弁68、三方弁74および吸引機構83を制御し、処理ガスを疎水化処理ユニット31に送る。ノズル57は、プレート53上の基板Wの表面に処理ガスを吹き出す。この際、制御部85は、流量調整弁72と空調制御装置79を制御して、処理ガスのガス濃度Gおよび温度を一定に保つ。
【0124】
<ステップS2d> 保持工程
制御部85は、流量調整弁68、72を閉じ、吸引機構83を停止させる。これにより、保持状態となる。制御部85は、保持状態を保持時間Jにわたって維持する。
【0125】
<ステップS2e> 不活性ガスに置換する
保持時間Jが経過すると、制御部85は三方弁74を制御して、不活性ガスを疎水化処理ユニット31に供給させるとともに、制御部85は吸引機構83に吸引動作をさせ、排気孔58を通じて処理空間Bから処理ガスを排出する。処理空間Bの気体は、処理ガスから不活性ガスに置換される。すなわち、保持状態が解除される。
【0126】
<ステップS2f、2g>
カバー55が上方位置に移動する(ステップS2f)。不図示の搬送機構がプレート53上の基板Wを搬出する(ステップS2g)。
【0127】
その後、図3に示すように、レジスト膜形成工程(ステップS3)、露光工程(ステップS4)および現像工程(ステップS5)を実行する。これにより、レジストパターンRPが得られる。実際に得られるスペースSは、目標Eに規定された目標値に近似した、あるいは、目標Eに規定された目標値と実質的に同等のスペース幅Dを有する。
【0128】
このように、実施例2に係る基板処理方法によれば、実施例1と同様の効果を奏する。すなわち、決定工程(ステップS1)は目標Eに基づいて保持時間Jを決定するので、適切な保持時間Jを好適に決定できる。また、処理工程(ステップS2)は決定された保持時間Jで基板Wの表面を疎水化する。疎水化された基板Wの表面にレジスト膜Rを形成し、レジスト膜Rを現像すれば、基板W上に寸法精度の高いレジストパターンRPを形成できる。具体的には、実際に得られるスペースSの寸法精度を向上できる。
【0129】
保持時間Jは基板Wの表面における接触角を変動させる処理条件であるので、スペース幅Dの寸法精度を好適に向上できる。また、保持時間Jを変えることによって、スペース幅Dを調整できる。
【0130】
目標Eが規定するスペース幅Dが広いほど、決定工程が決定する保持時間Jは長くなる。これにより、実際に得られるスペースSの寸法精度を好適に向上できる。
【0131】
決定工程は関連情報F2を参照するので、保持時間Jを容易に決定できる。
【0132】
基板W上に形成されるレジスト膜Rが厚膜であれば、保持時間Jを変えることによってペース幅Dを効果的に変えることができる。レジスト膜Rの厚さRtが2[μm]以上であれば、保持時間Jによってスペース幅Dを効果的に変えることができる。レジスト膜Rの厚さRtが6[μm]以上であれば、保持時間Jによってスペース幅Dを一層効果的に変えることができる。レジスト膜Rの厚さRtが8[μm]以上であれば、保持時間Jによってスペース幅Dをより一層効果的に変えることができる。
【実施例3】
【0133】
以下、図面を参照して本発明の実施例3を説明する。
実施例3は、基板にレジストパターンを形成する基板処理方法である。実施例3に係る方法についても、実施例1で説明した基板処理装置1で行うことができる。よって、基板処理装置1の構成に関する説明を省略する。
【0134】
関連情報Fは関連情報F3を含む。関連情報F3はさらに関連情報F4、F5を含む。
【0135】
図10は関連情報F4を模式的に示す。関連情報F4はスペース幅Dと基板Wの表面における接触角θとの関係を規定する。関連情報F4は、接触角θが大きくなるにしたがって、スペース幅Dが大きくなるような関係を規定している。関連情報F4は、本発明における第1関連情報の例である。
【0136】
図11は関連情報F5を模式的に示す。関連情報F5は接触角θと処理ガスのガス温度Kとの関係を規定する。関連情報F5は、ガス温度Kが高くなるにしたがって、スペース幅Dが大きくなるような関係を規定している。関連情報F5は、本発明における第2関連情報の例である。
【0137】
図11に示すとおり、ガス温度Kは、基板Wの表面における接触角θに影響を与える処理条件である。より具体的には、ガス温度Kが高くなるほど、基板Wの表面における接触角θが大きくなる。ガス温度Kは、本発明の処理条件の例である。
【0138】
次に、実施例3に係る基板処理方法の手順について説明する。便宜上、実施例1の図3、7を参照する。なお、実施例1と同じ動作については、適宜に説明を簡略化する。
【0139】
<ステップS1> 決定工程
制御部85は、目標Eと関連情報F3とに基づいてガス温度Kを決定する。図10、11を参照する。例えば目標Eが値d3である場合、制御部85は、スペース幅d3に対応する接触角θ3を特定し、接触角θ3に対応するガス温度k3を特定する。そして、制御部85は、ガス温度k3をガス温度Kとして決定する。
【0140】
<ステップS2a、2b>
不図示の基板搬送機構がプレート53上に載置する(ステップS2a)。カバー55が下方位置に移動する(ステップS2b)。
【0141】
<ステップS2c> 吹出工程
制御部85は、流量調整弁68、三方弁74、空調制御装置79および吸引機構83を制御し、ガス温度Kに調整された処理ガスを疎水化処理ユニット31に送る。具体的には、制御部85は、空調制御装置79を制御して、温調エアの温度および供給量を制御する。空調制御装置79は、所定温度に調整された温調エアを所定流量で導入管78に供給する。導入管78は、温調エアを第1外側配管77の内部に供給する。供給された温調エアは配管65の外面上を流れる。すなわち、配管65の外面が温調エアに晒される。これにより、配管65の内部を流れる処理ガスを、ガス温度Kに調整する。ノズル57は、ガス温度Kに調整された処理ガスを基板Wの表面に吹き出す。
【0142】
この際、制御部85は、流量調整弁72を制御して、処理ガスのガス濃度Gを一定に保つ。
【0143】
<ステップS2d> 保持工程
制御部85は、流量調整弁68、72を閉じ、吸引機構83を停止させる。これにより、保持状態となる。
【0144】
<ステップS2e> 不活性ガスに置換する
制御部85は三方弁74を制御して、不活性ガスを疎水化処理ユニット31に供給させるとともに、制御部85は吸引機構83に吸引動作をさせ、排気孔58を通じて処理空間Bから処理ガスを排出する。処理空間Bの気体は、処理ガスから不活性ガスに置換される。
【0145】
<ステップS2f、2g>
カバー55が上方位置に移動する(ステップS2f)。不図示の搬送機構がプレート53上の基板Wを搬出する(ステップS2g)。
【0146】
その後、図3に示すように、レジスト膜形成塗布工程(ステップS3)、露光工程(ステップS4)および現像工程(ステップS5)を実行する。これにより、レジストパターンRPが得られる。実際に得られるスペースSは、目標Eに規定された目標値に近似した、あるいは、目標Eに規定された目標値と実質的に同等のスペース幅Dを有する。
【0147】
このように、実施例3に係る基板処理方法によれば、実施例1と同様の効果を奏する。すなわち、決定工程(ステップS1)は目標Eに基づいてガス温度Kを決定するので、適切なガス温度Kを決定できる。また、処理工程(ステップS2)は決定されたガス温度Kの処理ガスを用いて基板Wの表面を疎水化する。疎水化された基板Wの表面にレジスト膜Rを形成し、レジスト膜Rを現像すれば、基板W上に寸法精度の高いレジストパターンRPを形成できる。具体的には、実際に得られるスペースSの寸法精度を向上できる。
【0148】
ガス温度Kは、基板Wの表面における接触角θを変動させる処理条件であるので、スペース幅Dの寸法精度を好適に向上できる。また、ガス温度Kを変えることによって、スペース幅Dを調整できる。
【0149】
目標Eが規定するスペース幅Dが広いほど、決定工程が決定するガス温度Kは高い。これにより、実際に得られるスペースSの寸法精度を好適に向上できる。
【0150】
決定工程は関連情報F3(F4、F5)を参照するので、ガス温度Kを容易に決定できる。
【0151】
関連情報F3は関連情報F4と関連情報F5を含む。関連情報F4はスペース幅Dと基板Wの表面における接触角θとの関係を規定する。関連情報F4が規定する関係を特定するためには、例えば、ステップS3からステップS5までの工程を実験またはシミュレーションする。ちなみに、スペース幅Dとガス温度Kとの関係を特定する作業は、ステップS2からステップS5までの工程を実験またはシミュレーションすることであり、関連情報F4の設定よりも複雑である。よって、関連情報F4を比較的に容易に設定できる。同様に、関連情報F5は、接触角θとガス温度Kとの関係を規定する。ここで、接触角θとガス温度Kとの関係は、スペース幅Dとガス温度Kとの関係よりも容易に特定できる。よって、関連情報F5を比較的に容易に設定できる。
【0152】
さらに、処理条件がガス温度Kでない場合においても、関連情報F4を流用できる。例えば、処理条件がガス濃度Gである場合、関連情報F4の他に、接触角θとガス濃度Gとの関係を規定する関連情報F5g(不図示)を準備すれば、関連情報F3を構成できる。このため、関連情報F5gを設定するだけで関連情報F3を構成でき、関連情報F5gの設定自体は容易である。このように、処理条件の種類を変更する場合や、複数の種類の処理条件を使う場合、関連情報F3を効率良く構成できる。
【0153】
基板W上に形成されるレジスト膜Rが厚膜であれば、ガス温度Kを変えることによってスペース幅Dを効果的に変えることができる。レジスト膜Rの厚さRtが2[μm]以上であれば、ガス温度Kによってスペース幅Dを効果的に変えることができる。レジスト膜Rの厚さRtが6[μm]以上であれば、ガス温度Kによってスペース幅Dを一層効果的に変えることができる。レジスト膜Rの厚さRtが8[μm]以上であれば、ガス温度Kによってスペース幅Dをより一層効果的に変えることができる。
【0154】
基板処理装置1は第1外側管77と導入管78を備えているので、配管65の外面に温調エアを好適に供給できる。よって、決定工程で決定されたガス温度Kに応じて、配管65の内部を流れる処理ガスのガス温度Kに好適に変えることができる。
【実施例4】
【0155】
以下、図面を参照して本発明の実施例4を説明する。
実施例4は、基板にレジストパターンを形成する基板処理方法である。実施例4に係る方法についても、実施例1で説明した基板処理装置1で行うことができる。よって、基板処理装置1の構成に関する説明を省略する。
【0156】
図12を参照する。関連情報Fは、図12に例示する関連情報F6を含む。関連情報F6は、ガス濃度Gおよび保持時間Jの組み合わせと、スペース幅Dとの関係を規定する。実線は、ガス濃度Gが値ghであるときの保持時間Jとスペース幅Dの関係を示す。点線は、ガス濃度Gが値glであるときの保持時間Jとスペース幅Dの関係を示す。ここで、gh>glである。
【0157】
関連情報F6は、次のような関係を規定する。
・ガス濃度Gが同じである場合、保持時間Jが長くなるにしたがって、スペース幅Dが大きくなる。
・保持時間Jが同じである場合、ガス濃度ghに対応するスペース幅Dは、ガス濃度glに対応するスペース幅Dよりも大きい。
【0158】
ガス濃度Gと保持時間Jが、本発明の処理条件の例である。
【0159】
次に、実施例4に係る基板処理方法の手順について説明する。便宜上、実施例1の図3、7を参照する。なお、実施例1と同じ動作については、適宜に説明を簡略化する。
【0160】
<ステップS1> 決定工程
制御部85は、目標Eと関連情報F6とに基づいてガス濃度Gおよび保持時間Jを決定する。図12を参照する。例えば目標Eが値dwである場合、制御部85は、ガス濃度Gを値ghに決定し、保持時間Jを保持時間j4に決定する。例えば目標Eが値dwより小さい値dsである場合、制御部85は、ガス濃度Gを値glに決定し、保持時間Jを保持時間j4に決定する。
【0161】
<ステップS2a、2b>
不図示の基板搬送機構がプレート53上に載置する(ステップS2a)。カバー55が下方位置に移動する(ステップS2b)。
【0162】
<ステップS2c> 吹出工程
制御部85は、流量調整弁68、三方弁74および吸引機構83を制御し、ガス濃度Gに調整された処理ガスを基板Wの表面に供給する。
【0163】
<ステップS2d> 保持工程
制御部85は、流量調整弁68、72を閉じ、吸引機構83を停止させる。これにより、保持状態となる。
【0164】
<ステップS2e> 不活性ガスに置換する
制御部85は三方弁74を制御して、不活性ガスを疎水化処理ユニット31に供給させるとともに、制御部85は吸引機構83に吸引動作をさせ、排気孔58を通じて処理空間Bから処理ガスを排出する。処理空間Bの気体は、処理ガスから不活性ガスに置換される。
【0165】
<ステップS2f、2g>
カバー55が上方位置に移動する(ステップS2f)。不図示の搬送機構が、プレート53上の基板Wを搬出する(ステップS2g)。
【0166】
その後、図3に示すように、レジスト膜形成工程(ステップS3)、露光工程(ステップS4)および現像工程(ステップS5)を実行する。これにより、レジストパターンRPが得られる。実際に得られるスペースSは、目標Eに規定された目標値に近似した、あるいは、目標Eに規定された目標値と実質的に同等のスペース幅Dを有する。
【0167】
このように、実施例4に係る基板処理方法によれば、実施例1と同様の効果を奏する。すなわち、決定工程(ステップS1)は目標Eに基づいてガス濃度Gと保持時間Jを決定するので、適切なガス濃度Gおよび保持時間Jを決定できる。また、処理工程(ステップS2)は、決定されたガス濃度Gの処理ガスを用いて吹出工程を行い、決定された保持時間Jにわたって保持工程を実行する。疎水化された基板Wの表面にレジスト膜Rを形成し、レジスト膜Rを現像すれば、基板W上に寸法精度の高いレジストパターンRPを形成できる。具体的には、実際に得られるスペースSの寸法精度を向上できる。
【0168】
ガス濃度Gおよび保持時間Jは基板Wの表面における接触角を変動させる処理条件であるので、スペース幅Dの寸法精度を好適に向上できる。また、ガス濃度Gおよび保持時間Jを変えることによって、スペース幅Dを調整できる。
【0169】
決定工程が目標Eに基づいて複数種類の処理条件(ガス濃度Gおよび保持時間J)を決定するので、処理条件をきめ細かく決定できる。これにより、スペース幅Dの寸法精度を一層向上できる。さらに、決定工程が複数種類の処理条件を決定するので、スペース幅Dを一層広い範囲にわたって調整できる。
【0170】
例えば、保持時間Jが過度に短い場合、基板Wの表面全体を均一に疎水化できない。よって、保持時間Jのみを変えても、スペース幅Dを調整できる範囲は限られている。しかし、本実施例のように、保持時間Jとガス濃度Gの両方を変えることによって、保持時間Jを過度に短くすることなく、スペース幅Dを調整できる範囲を拡大できる。同様に、ガス濃度Gのみを変えても、スペース幅Dを調整できる範囲は限られている。しかし、本実施例のように、保持時間Jとガス濃度Gの両方を変えることによって、ガス濃度Gを過度に高く/低くすることなく、スペース幅Dを調整できる範囲を拡大できる。
【0171】
決定工程は関連情報F6を参照するので、ガス濃度Gおよび保持時間Jを容易に決定できる。
【実施例5】
【0172】
以下、図面を参照して本発明の実施例5を説明する。
実施例5は、基板にレジストパターンを形成する基板処理方法である。実施例5に係る方法についても、実施例1で説明した基板処理装置1で行うことができる。よって、基板処理装置1の構成に関する説明を省略する。
【0173】
実施例5の基板処理方法は、ガス濃度Gを変更する度に、プリディスペンス工程を行う。以下、実施例5に係る基板処理方法の手順について説明する。なお、実施例1と同じ動作については、適宜に説明を簡略化する。
【0174】
図13は、実施例5に係る基板処理方法の手順を示すフローチャートである。
【0175】
<ステップS1> 処理条件の決定(決定工程)
制御部85は、目標Eと関連情報F1に基づいてガス濃度Gを決定する。
【0176】
<ステップS11> 処理ガス条件が変わったか?
制御部85は、今回、決定された処理条件と、前回、決定された処理条件との間で、処理ガス条件が変わったか否かを判断する。処理ガス条件が変わったと判断された場合、ステップS12に進む。そうでない場合、ステップS2に進む。
【0177】
ここで、「今回、決定された処理条件」は最後に決定された処理条件であり、「前回、決定された処理条件」は最後から2番目に決定された処理条件である。処理ガス条件は、処理条件のうち、特に疎水化処理工程に用いる処理ガスに関する処理条件を言う。ガス濃度Gは、処理ガス条件の例である。
【0178】
<ステップS12> プリディスペンス工程
プレート53上には基板Wが載置されていない。この状態で、カバー55が下方位置に移動し、処理空間Bが略密閉される。制御部85は、流量調整弁68、三方弁74および吸引機構83を制御し、処理ガスを今回、決定されたガス濃度Gに調整して、処理空間Bに吹き出す。処理空間Bに吹き出された処理ガスは、処理ガス排出部81によって排出される。プリディスペンス工程が終了すると、ステップS2に進む。
【0179】
ここで、プリディスペンス工程は、今回、決定されたガス濃度Gでノズル57が処理ガスを吹き出すようになるまで、継続されることが好ましい。あるいは、プリディスペンス工程は、ノズル57から吹き出される処理ガスが決定されたガス濃度Gで安定するまで、継続されることが好ましい。
【0180】
プリディスペンス工程は、本発明における事前吹出工程の例である。
【0181】
その後、疎水化処理工程(ステップS2)、塗布工程(ステップS3)、露光工程(ステップS4)および現像工程(ステップS5)を実行する。
【0182】
このように、実施例5に係る基板処理方法によれば、実施例1と同様の効果を奏する。
【0183】
さらに、実施例5に係る基板処理方法はプリディスペンス工程を備えているので、処理ガスを基板W以外に向けて吹き出して、処理ガスを捨てることができる。これにより、処理ガスの吹出を試すことができる。
【0184】
決定工程によって決定される処理ガス条件が変わる度に、プリディスペンス工程を行う。換言すれば、時間的に相前後して行われる2つの疎水化処理工程の間で処理ガス条件が異なるときには、前の疎水化処理工程を行った後で、かつ、後の疎水化処理工程を行う前に、プリディスペンス工程を行う。これにより、ノズル57や配管65の内部等に残留する変更前のガス濃度Gの処理ガスを捨てることができる。よって、処理ガス条件の変更後に行われる最初の疎水化処理工程であっても、変更後のガス濃度Gの処理ガスを基板Wに供給できる。よって、処理ガス条件の変更後に行われる最初の疎水化処理工程であっても、基板Wの表面を疎水化する処理の品質が低下することを防止できる。その結果、レジストパターンRPの寸法精度が低下することを抑制できる。
【0185】
決定工程によって決定される処理ガス条件が変わらない場合には、プリディスペンス工程を行わずに、複数の疎水化処理工程を連続して行う。換言すれば、時間的に相前後して行われる2つの疎水化処理工程の間で処理ガス条件が同じであるときには、前の疎水化処理工程を行った後、プリディスペンス工程を行うことなく、後の疎水化処理工程を行う。これにより、基板Wの表面を疎水化する処理にかかる時間を短縮できる。
【実施例6】
【0186】
以下、図面を参照して本発明の実施例6を説明する。
実施例6は処理ガス温調部76の構成において実施例1と異なる。よって、以下では、処理ガス温調部76の構成について詳述する。なお、実施例1と同じ構成については同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
【0187】
図14は、疎水化処理ユニットおよびこれに関連する構成を示す図である。処理ガス温調部76は、第1外側配管77と導入管78と空調制御装置79を備えている。第1外側配管77の一端は、配管65に沿って、疎水化処理ユニット31の近傍まで延びている。換言すれば、第1外側配管77の一端は、疎水化処理ユニット31と接続される配管65の一端の近傍まで延びている。
【0188】
第1外側管77の一端は開放されている。第1外側管77の一端は、第1外側配管77の内部の気体を排出する排出口77aである。
【0189】
導入管78は第1外側配管77と直接的に接続する。第1外側管77は、排出口77aよりも第1外側管77の他端に近い位置で、導入管78と接続する。排出口77aは、本発明における第1排出口の例である。導入管78は、本発明の導入部の例である。
【0190】
基板処理装置1は、キャビネット91を備えている。キャビネット91は、気化容器64を収容する。キャビネット91は、さらに、疎水化処理剤供給源61と配管62と開閉弁63を収容する。配管65は、キャビネット91を貫通するように設置されている。キャビネット91は、配管65の他端側の一部を収容する。
【0191】
不活性ガスを供給する配管67、71、75は、キャビネット91の内部で配管92に集合されている。配管92はキャビネット91を貫通するように設置されている。配管92は、キャビネット91の外部において、ガス供給源66と接続されている。
【0192】
キャビネット91は、配管67、71、75の全部と配管92の一部を収容する。キャビネット91は、さらに、流量調整弁68と流量調整弁72と三方弁74を収容する。
【0193】
第1外側配管77の他端は、キャビネット91に接続されている。第1外側配管77の内部とキャビネット91の内部とは、互いに連通している。
【0194】
キャビネット91は、外部に開放されている排出口91aを有する。キャビネット91の内部の気体は、排出口91aを通じて排出される。キャビネット91は、本発明の筐体の例である。排出口91aは、本発明における筐体用排出口の例である。
【0195】
処理ガス温調部76は、さらに、配管65の外面に取り付けられる温度検出部93を備えている。温度検出部93は、疎水化処理ユニット31の近くに設置されることが好ましい。より具体的には、疎水化処理ユニット31と接続する配管65の一端に近い位置に配置されることが好ましい。温度検出部93は、配管65の表面温度を直接的に検出する。これにより、温度検出部93は、配管65の内部を流れる処理ガスの温度を間接的に検出する。温度検出部93は制御部85と通信可能に接続されている。温度検出部93の検出結果は、制御部85に出力される。
【0196】
基板処理装置1は報知部95を備えている。報知部95は、制御部85と通信可能に接続されている。報知部95は、警報をユーザーに報知する。警報は、警報音、音声などの聴覚情報でもよいし、警報ランプ、光の点滅、画像などの視覚情報でもよい。
【0197】
記憶部87は、基準範囲を記憶している。基準範囲は、温度域に関する情報である。温度域は、例えば、予め設定される処理ガスのガス温度Kの±1度の範囲である。温度域は、例えば、決定工程で決定される処理ガスのガス温度Kの±1度の範囲である。基準範囲は、少なくとも疎水化処理工程を実行する前に、予め設定されている。
【0198】
このように構成される処理ガス温調部76は、次のように動作する。
制御部85が空調制御装置79を制御することによって、空調制御装置79は導入管78に温調エアを供給する。導入管78は第1外側配管77の内部に温調エアを導入する。
【0199】
図14は、温調エアの流れを点線で模式的に示す。第1外側配管77の内部において、温調エアは配管65の外面上に沿って流れる。これにより、温調エアは、配管65の内部を流れる処理ガスの温度を調整する。一部の温調エアは、配管65の一端側に流れ、排出口77aを通じて放出される。その他の温調エアは、配管65の他端側に流れ、キャビネット91の内部に流入する。
【0200】
キャビネット91の内部において、温調エアは、キャビネット91に収容される要素61−65、67、68、71、72、74、75の外面に供給される。換言すれば、キャビネット91に収容される要素61−65、67、68、71、72、74、75の外面は、温調エアに晒される。これにより、温調エアは、各要素61−65、67、68、71、72、74、75の内部の処理ガス、不活性ガス、および、疎水化処理剤を温調する。温調エアは、排出口91aを通じて、筐体の外部に放出される。
【0201】
制御部85は、温度検出部93の検出結果に基づいて、処理ガスの実際の温度を監視する。具体的には、制御部85は、温度検出部93の検出結果が基準範囲内にあるか否かを判断する。制御部85による監視は、少なくとも疎水化処理ユニット31に処理ガスを供給しているときに、実行されることが好ましい。あるいは、制御部85による監視は、少なくとも疎水化処理ユニット31が基板Wを処理しているときに、実行されることが好ましい。
【0202】
温度検出部93の検出結果が基準範囲内に無いと判断された場合、制御部85は、報知部95に警報を発報させる。加えて、制御部85は、流量調整弁68、72等を制御して、疎水化処理ユニット31に対する処理ガスの供給を中断させる。制御部85は、昇降機構56や吸引機構83等を制御して、疎水化処理ユニット31による処理を中断させる。他方、温度検出部93の検出結果が基準範囲内にあると判断されている場合、制御部85は、警報を発報しない。さらに、制御部85は、疎水化処理ユニット31に対する処理ガスの供給、および、疎水化処理ユニット31による処理を許容する。
【0203】
このように、実施例6によれば、以下の効果を奏する。
基板処理装置1は第1外側配管77と導入管78を備えているので、配管65の内部を流れる処理ガスの温度を好適に変更および調整できる。これにより、基板Wの表面を精度良く疎水化でき、基板W上に寸法精度の高いレジストパターンRPを形成できる。
【0204】
さらに、基板処理装置1は第1外側配管77と導入管78を備えているので、配管65の内部を流れる処理ガスの温度を一定に保つことができる。換言すれば、処理ガスの温度が意図せずにばらつくことを防止できる。このため、処理ガスの温度のばらつきに起因して、基板Wの表面における接触角が意図せずに変動するおそれがない。すなわち、処理ガスの温度のばらつきに起因して、スペース幅Dが意図せずに変動するおそれがない。よって、スペースSの寸法精度を一層向上できる。
【0205】
第1外側配管77の一端は、配管65に沿って、配管65の一端の近傍まで延びているので、疎水化処理ユニット31に近い配管65の部分に温調エアを供給できる。よって、疎水化処理ユニット31で使用される処理ガスの温度を好適に管理できる。
【0206】
第1外側配管77は排出口77aを備えているので、温調エアは第1外側配管77の内部を円滑に流れることができる。よって、配管65の内部を流れる処理ガスの温度を効率良く調整できる。
【0207】
第1外側管77と導入管78との接続位置が排出口77aよりも第1外側管77の他端に近いので、一部の温調エアは第1外側配管77からキャビネット91に流入する。この一部の温調エアの流れは、キャビネット91から第1外側配管77に気体が逆流することを的確に妨げる。このため、仮に万が一、キャビネット91内で処理ガスが漏洩したとしても、処理ガスが第1外側配管77に流出するおそれがなく、処理ガスが第1外側配管77を通じて疎水化処理ユニット31の近くに及ぶおそれもない。
【0208】
第1外側配管77の内部とキャビネット91の内部とは連通しているので、導入管78は、第1外側配管77を介して、キャビネット91に温調エアを好適に供給できる。これにより、キャビネット91の内部に設置される各要素の内部の処理ガス、不活性ガス、および、疎水化処理剤を温調できる。
【0209】
具体的には、気化容器64はキャビネット91の内部に設置されているので、処理ガスが生成されるときから処理ガスのガス温度を調整できる。よって、処理ガスのガス温度を確実に管理できる。
【0210】
疎水化処理剤供給源61はキャビネット91の内部に設置されているので、処理ガスの元となる疎水化処理剤の温度を調整できる。よって、処理ガスの温度を一層確実に管理できる。同様に、配管62はキャビネット91の内部に設置されているので、処理ガスの元となる疎水化処理剤の温度を調整できる。よって、処理ガスの温度を一層確実に管理できる。
【0211】
配管67の一部がキャビネット91の内部に設置されているので、処理ガスの生成に用いられる不活性ガスの温度を調整できる。よって、処理ガスの温度を一層確実に管理できる。
【0212】
配管71の一部がキャビネット91の内部に設置されているので、処理ガスの希釈に用いられる不活性ガスの温度を調整できる。よって、処理ガスの温度を一層確実に管理できる。
【0213】
基板処理装置1は温度検出部93を備えているので、処理ガスの実際の温度を好適に検知できる。
【0214】
基板処理装置1は制御部85を備えているので、処理ガスの実際の温度を好適に監視できる。
【0215】
制御部85は温度検出部93の検出結果に基づいて警報を発報するので、処理ガスのガス温度Kが基準範囲外であることをユーザーに好適に知らせることができる。
【0216】
制御部85は温度検出部93の検出結果に基づいて疎水化処理ユニット31に対する処理ガスの供給を中断させるので、不適切な温度の処理ガスが基板Wに供給されることを早期に止めることができる。
【0217】
制御部85は温度検出部93の検出結果に基づいて疎水化処理ユニット31による処理を中断させるので、不適切な温度の処理ガスを使った処理を早期に止めることができる。
【0218】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0219】
(1)上述した各実施例において、目標Eはスペース幅Dの目標値であったが、これに限られない。例えば、目標Eは、基準値に対する調整量でもよい。基準値は、例えば、スペース幅Dの上限値、下限値、許容値のいずれもでもよい。あるいは、基準値は、特定の処理条件で得られるスペース幅Dでもよい。調整量は、例えば、基準値から増減する距離でもよい。
【0220】
(2)上述した各実施例では、処理条件として、ガス濃度G、保持時間J、ガス温度Kを例示したが、これに限られない。以下に、その他の処理条件を例示する。
・基板Wに吹き出す処理ガスのガス流量
・基板Wの温度
・処理ガスを基板Wに吹き出す吹出時間
・基板Wの表面を疎水化する処理時間
ここで、吹出時間は、吹出工程を行う時間に相当する。
処理時間は、保持時間Jおよび吹出時間などの含む包括的な概念であり、疎水化処理工程に応じて適宜に定義される。例えば、疎水化処理工程が吹出工程または保持工程を有しない場合であっても、処理時間を適宜に定義できる。
【0221】
(3)上述した実施例1、2、3では決定工程は1種類の処理条件を決定し、実施例4では決定工程は2種類の処理条件を決定したが、これに限られない。決定工程は3種類以上の処理条件を決定してもよい。
【0222】
(4)上述した実施例4では、決定工程によって決定される2種類の処理条件はガス濃度Gと保持時間Jであったが、これに限られない。例えば、2種類の処理条件は、上述したガス濃度G、保持時間J、ガス温度K、ガス流量、基板Wの温度、吹出時間、処理時間のいずれか2つであってもよい。
【0223】
(5)上述した実施例5では、処理ガス条件として、ガス濃度Gを例示したが、これに限られない。例えば、処理ガス条件はガス温度Kでもよい。あるいは、処理ガス条件はガス流量であってもよい。
【0224】
(6)上述した実施例5に係る基板処理方法において、プリディスペンス工程は、吹き出される処理ガスの実際の濃度を監視してもよい。本変形実施例によれば、プリディスペンス工程を終了するか否かを適切に判断でき、プリディスペンス工程を好適なタイミングで終了できる。
【0225】
(7)上述した各実施例では、レジストパターンRPは、いわゆるラインアンドスペースであったが、これに限られない。種々のレジストパターンRPに、実施例に係る基板処理方法を適用できる。例えば、レジストパターンRPは、ホールパターンやドットパターンであってもよい。これらの変形実施例によっても、レジストパターンRPの寸法精度を向上できる。また、上述した各実施例では、レジストパターンRPは、ラインLとスペースSを含んでいたが、これに限られない。例えば、レジストパターンRPは、スペース、ライン、ホールおよびドットの少なくともいずれかを含んでもよい。ホールは、例えばスルーホールやビアホールなどである。例えばレジストパターンRPがホールを含む場合においても、レジストパターンRPの寸法精度を向上できる。例えばレジストパターンRPがドットを含む場合においても、レジストパターンRPの寸法精度を向上できる。
【0226】
(8)上述した各実施例では、溶解エリアとしてスペースSを例示し、溶解エリア寸法としてスペースSの寸法、すなわち、スペース幅Dを例示したが、これに限られない。例えば、溶解エリアがホールであり、溶解エリア寸法がホールの寸法であってもよい。ホールの寸法は、例えば、ホール径である。本変形実施例によれば、ホールの寸法を好適に向上できる。あるいは、溶解エリアがドットの周囲に形成され、ドットの輪郭を画定する領域であり、溶解エリア寸法がドットの寸法であってもよい。ドットの寸法は、例えば、ドット間の距離である。本変形実施例によれば、ドットの寸法を好適に向上できる。
【0227】
(9)上述した各実施例では、レジスト膜形成工程は基板処理装置1(塗布ユニット34)において行ったが、これに限られない。すなわち、レジスト膜形成工程を基板処理装置1の外部で行ってもよい。同様に、上述した実施例では、現像工程は基板処理装置1(現像ユニット44)において行ったが、これに限られない。すなわち、現像工程を基板処理装置1の外部で行ってもよい。
【0228】
(10)上述した各実施例に係る基板処理方法は、さらに、基板Wの表面に反射防止膜を形成する工程を備えてもよい。基板Wの表面に反射防止膜を形成する工程は、疎水化処理工程の後で、レジスト膜形成工程の前に実行されることが好ましい。
上述した実施例に係る基板処理方法において、レジスト膜の表面に保護膜を形成する工程を備えてもよい。レジスト膜の表面に保護膜を形成する工程は、レジスト膜形成工程の後で露光工程程の前に実行されることが好ましい。
【0229】
(11)上述した各実施例において、レジスト膜形成工程を基板処理装置1(塗布ユニット34)において行ったが、これに限られない。すなわち、レジスト膜形成工程を基板処理装置1の外部で行ってもよい。同様に、上述した実施例では、現像工程を基板処理装置1(現像ユニット44)において行ったが、これに限られない。すなわち、現像工程を基板処理装置1の外部で行ってもよい。
【0230】
(12)上述した各実施例では、導入管78は第1外側配管77と直接的に接続したが、これに限られない。導入管78はキャビネット91と直接的に接続してもよい。これによれば、導入管78はキャビネット91の内部に直接的に温調エアを供給できる。あるいは、導入管78は第1外側配管77とキャビネット91の両方と接続してもよい。これによれば、導入管78第1外側配管77の内部とキャビネット91の内部の両方に直接的に温調エアを供給できる。
【0231】
図15を参照する。図15は、変形実施例に係る疎水化処理ユニットおよびこれに関連する構成を示す図である。なお、実施例1と同じ構成については同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
【0232】
図示するように、処理ガス温調部76は導入管101を備える。導入管101は空調制御装置79と接続されている。導入管101はキャビネット91と直接的に接続されており、キャビネット91の内部に直接的に温調エアを供給する。キャビネット91の内部の温調エアの一部は、排出口91aから排出される。その他の温調エアは、第1外側配管77の内部に流入し、排出口77aから排出される。本変形実施例によっても、配管65の内部を流れる処理ガスの温度を好適に変更・調整・維持できる。
【0233】
(13)上述した各実施例で説明した基板処理装置1において、さらに、疎水化処理剤の温度を専ら調整する構成を備えてもよい。また、上述した実施例で説明した基板処理装置1において、さらに、不活性ガスの温度を専ら調整する構成を備えてもよい。
【0234】
図16を参照する。図16は、変形実施例に係る疎水化処理ユニットおよびこれに関連する構成を示す図である。なお、実施例1と同じ構成については同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
【0235】
図示するように、疎水化処理剤供給源61はキャビネット91の外部に設置されている。配管62はキャビネット91を貫通するように設置されている。配管62の一部は、キャビネット91の外部に設置されている。基板処理装置1は第2外側配管102と導入管103を備えている。第2外側配管102は、配管62の一部の外側に設けられ、配管62の一部を収容する。導入管103は空調制御装置79に接続されている。導入管103は、第2外側配管102の一端の近傍に接続され、第2外側配管102の内部に温調エアを供給する。第2外側配管102の他端は、第2外側配管102の内部の気体を排出する排出口102aである。
【0236】
導入管103が第2外側配管102の内部に温調エアを導入すると、導入された温調エアは、配管62の外面上に沿って流れ、排出口102aを通じて第2外側配管102の外部に放出される。このように、第2外側配管102の内部に供給された温調エアによって、処理ガスの元となる疎水化処理剤の温度を調整できる。
【0237】
基板処理装置1は、第3外側配管107と導入管109を備えている。第3外側配管107は、配管92の一部の外側に設けられ、配管92の一部を収容する。キャビネット91の外側に設置されている配管92の部分が、第3外側配管107に収容される。導入管109は空調制御装置79に接続されている。導入管109は第3外側配管107の一端の近傍と接続され、第3外側配管107の内部に温調エアを供給する。第3外側配管107の他端は、第3外側配管107の内部の気体を排出する排出口107aである。配管92は、本発明における不活性ガス管の例である。
【0238】
導入管109が第3外側配管107の内部に温調エアを導入すると、導入された温調エアは、配管92の外面上に沿って流れ、排出口107aを通じて第3外側配管107の外部に放出される。このように、第3外側配管107の内部に供給された温調エアによって、処理ガスの生成/希釈に用いられる不活性ガスの温度を調整できる。
【0239】
第1外側配管77は排出口77aを有しない。すなわち、第1外側配管77の一端は閉塞されている。導入管78は、第1外側配管77の一端の近傍に接続されている。第1外側配管77の他端はキャビネット91に接続されている。
【0240】
導入管78が第1外側配管77の内部に温調エアを導入すると、導入された温調エアは、配管65の外面上に沿って流れ、キャビネット91に流入する。このように、第1外側配管77の内部に供給された温調エアによって、処理ガスのガス温度Kを調整できる。
【0241】
導入管103、109は、本発明の導入部の例である。
【0242】
(14)上述した実施例6では、第1外側管77の一端は排出口77aであったが、これに限られない。例えば、第1外側管77の一端の近傍に排出口を形成してもよい。あるいは、図16に示す変形実施例のように、第1外側管77の一端または一端の近傍に排出口を有しなくてもよい。
【0243】
(15)上述した実施例1、6では、第1外側管77は配管65の一部を収容したが、これに限られない。例えば、第1外側配管77は配管65の全部を収容してもよい。
【0244】
(16)上述した実施例6では、温度検出部93の検出結果に基づいて、制御部85は、警報の発報、疎水化処理ユニット31に対する処理ガスの供給の中断、および、疎水化処理ユニット31による処理の中断を行った。しかしながら、これに限られない。例えば、温度検出部93の検出結果に基づいて、制御部85は、警報の発報、処理ガスの供給の中断、疎水化処理ユニット31による処理の中断の少なくともいずれかを行ってもよい。
【0245】
(17)上述した実施例6では、警報の発報、処理ガスの供給の中断、および、疎水化処理ユニット31による処理の中断は、同じ基準を使って実行されたが、これに限られない。例えば、第1の基準範囲と第2の基準範囲と第3の基準範囲の少なくとも2つは、異なる温度域を規定するものとして、これら第1乃至第3の基準範囲を使って、警報の発報、処理ガスの供給の中断、および、疎水化処理ユニット31による処理の中断が実行されてもよい。例えば、処理ガスの温度が第1の基準範囲内に無いと判断されたとき、制御部85は警報の発報を実行し、処理ガスの温度が第2の基準範囲内に無いと判断されたとき、制御部85は処理ガスの供給の中断を実行し、処理ガスの温度が第3の基準範囲内に無いと判断されたとき、制御部85は疎水化処理ユニット31による処理の中断を実行してもよい。
【0246】
(18)上述した各実施例では、処理ガス温調部76を、疎水化処理剤を含む処理ガスに適用したが、これに限られない。すなわち、処理ガス温調部76は種々の処理ガスに適用できる。例えば、処理ガス温調部76は、疎水化処理剤以外の処理液を気化させることによって生成される処理ガスの温度を調整してもよい。
【0247】
(19)上述した各実施例では、疏水化処理剤としてHMDSを例示したが、これに限られない。例えば、処理液は、N−トリメチルシリルジメチルアミン(TMSDMA)やN−トリメチルシリルジエチルアミン(TMSDEA)等のシリル化剤であってもよい。処理液は、溶剤であってもよい。
【0248】
(20)上述した各実施例および上記(1)から(19)で説明した各変形実施例については、さらに各構成を他の変形実施例の構成に置換または組み合わせるなどして適宜に変更してもよい。
【0249】
以下に、前記の実施の形態の特徴を付記する。
【0250】
(付記1)
基板処理装置であって、
基板を処理する処理ユニットと、
前記処理ユニットに処理ガスを供給する処理ガス管と、
前記処理ガス管の外側に設けられ、前記処理ガス管の少なくとも一部を収容する第1外側管と、
前記第1外側管の内部に温調された気体を供給する導入部と、
を備えている基板処理装置。
【0251】
(付記2)
付記1に記載の基板処理装置において、
前記処理ガス管の一端は、前記処理ユニットに接続され、
前記第1外側管の一端は、前記処理ガス管に沿って前記処理ガス管の前記一端の近傍まで延びている基板処理装置。
【0252】
(付記3)
付記2に記載の基板処理装置において、
前記第1外側管は、前記第1外側管の前記一端または前記一端の近傍に形成され、前記第1外側管の内部の気体を排出する第1排出口を有する基板処理装置。
【0253】
(付記4)
付記3に記載の基板処理装置において、
前記第1外側管は、前記第1排出口よりも前記第1外側管の他端に近い位置で、前記導入部と接続する基板処理装置。
【0254】
(付記5)
付記1から付記4のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記処理ガス管と接続され、処理ガスを生成する気化容器と、
前記気化容器を収容する筐体と、
を備え、
前記導入部は、さらに、前記筐体の内部に温調された気体を供給する基板処理装置。
【0255】
(付記6)
付記5に記載の基板処理装置において、
前記処理ガス管は、前記筐体を貫通するように設置され、
前記第1外側管は、前記筐体に接続されており、
前記第1外側管の内部と前記筐体の内部とは、互いに連通しており、
前記導入管部は、前記第1外側管の内部から前記筐体の内部に温調された気体を流入させる基板処理装置。
【0256】
(付記7)
基板処理装置であって、
基板を処理する処理ユニットと、
前記処理ユニットに処理ガスを供給する処理ガス管と、
前記処理ガスに連通接続され、処理ガスを生成する気化容器と、
前記気化容器を収容する筐体と、
前記筐体の内部に温調された気体を供給する導入部と、
を備える基板処理装置。
【0257】
(付記8)
付記5から付記7のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記処理ガス管の少なくとも一部は、前記筐体の内部に設置されている基板処理装置。
【0258】
(付記9)
付記5から付記8のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記筐体内に設けられ、前記気化容器に処理液を供給する処理液供給源を備えている基板処理装置。
【0259】
(付記10)
付記5から付記9のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記筐体は、前記筐体の内部の気体を排出する筐体用排出口を有する基板処理装置。
【0260】
(付記11)
付記5から付記10のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記気化容器に処理液を供給する処理液管を備え、
前記処理液管の少なくとも一部は、前記筐体の内部に設置されている基板処理装置。
【0261】
(付記12)
付記5から付記11のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記気化容器に不活性ガスを供給する不活性ガス管を備え、
前記不活性ガス管の少なくとも一部は、前記筐体の内部に設置されている基板処理装置。
【0262】
(付記13)
付記1から付記12のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記処理ガス管と接続され、処理ガスを生成する気化容器と、
前記気化容器に処理液を供給する処理液管と、
前記処理液管の外側に設けられ、前記処理液管の少なくとも一部を収容する第2外側管と、
を備え、
前記導入部は、さらに、前記第2外側管の内部に温調された気体を供給する基板処理装置。
【0263】
(付記14)
付記1から付記13のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記処理ガス管と接続され、処理ガスを生成する気化容器と、
前記気化容器に不活性ガスを供給する不活性ガス管と、
前記不活性ガス管の外側に設けられ、前記不活性ガス管の少なくとも一部を収容する第3外側管と、
を備え、
前記導入部は、さらに、前記第3外側管の内部に温調された気体を供給する基板処理装置。
【0264】
(付記15)
付記1から付記14のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記処理ガスの温度を検出する温度検出部と、
前記温度検出部の検出結果に基づいて前記処理ガスの温度を監視する制御部と、
を備える基板処理装置。
【0265】
(付記16)
付記15に記載の基板処理装置において、
前記制御部は、前記温度検出部の検出結果に基づいて警報の発報、前記処理ガスの供給の中断、前記処理ユニットによる処理の中断の少なくともいずれかを行う基板処理装置。
【0266】
(付記17)
付記15または付記16に記載の基板処理装置において、
前記制御部は、前記温度検出部によって検出された温度が、予め設定されている基準範囲内にあるか否かを判断する基板処理装置。
【0267】
(付記18)
付記1から付記17のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記処理ユニットは疎水化処理ユニットであり、
前記処理液は疎水化処理剤である基板処理装置。
【符号の説明】
【0268】
1 … 基板処理装置
31 … 疎水化処理ユニット(処理ユニット)
34 … 塗布ユニット
44 … 現像ユニット
EXP … 露光機
60 … 処理ガス供給部
61 … 疎水化処理剤供給源(処理液供給源)
62 … 配管(処理液管)
64 … 気化容器
65 … 配管(処理ガス管)
67 … 配管(不活性ガス管)
68 … 流量調整弁
71 … 配管
72 … 流量調整弁
75 … 配管
76 … 処理ガス温調部
77 … 第1外側管
77a … 排出口(第1排出口)
78 … 導入管(導入部)
79 … 空調制御装置
85 … 制御部85
91 … キャビネット(筐体)
91a … 排出口(筐体用排出口)
92 … 配管(不活性ガス管)
93 … 温度検出部
101 … 導入管(導入部)
102 … 第2外側配管
102a… 排出口(第2排出口)
103 … 導入管(導入部)
107 … 第3外側配管
107a… 排出口(第3排出口)
109 … 導入管(導入部)
B … 処理空間
C … 可溶部幅
D … スペース幅(溶解エリア寸法)
E … 目標
F、F1−F6… 関連情報
F4 … 関連情報(第1関連情報)
F5 … 関連情報(第2関連情報)
G、 … ガス濃度
J … 保持時間
K … ガス温度
L … ライン
R … レジスト膜
Ra … 可溶部
Rb … 不溶部
RP … レジストパターン
S … スペース(溶解エリア)
W … 基板
θ … 接触角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16