(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
フィリング及び/又はトッピング用油脂組成物を40質量%以上70質量%以下含有し、糖質を5質量%以上40質量%以下含有することを特徴とする、フィリング及び/又はトッピング用油中水型乳化油脂組成物であって、
該フィリング及び/又はトッピング用油脂組成物の構成脂肪酸において、該構成脂肪酸全体中、トランス脂肪酸の含有量が5質量%以下、ラウリン酸含有量が5質量%以下及びベヘン酸の含有量が0.3質量%以上5質量%以下であり、
該フィリング及び/又はトッピング用油脂組成物のトリグリセリド組成において、該トリグリセリド全体中、SSSの含有量が2質量%以上7質量%以下、S2Uの含有量が16質量%以上29質量%以下及びUUUの含有量が10質量%以上35質量%以下であって、並びにSSU及びSUSの質量比SSU/SUSが1.5以上4.0以下であり、P及びSの質量比P/Sが0.6以上0.9以下であることを特徴とする、フィリング及び/又はトッピング用油中水型乳化油脂組成物
(但し、S:炭素数16以上の飽和脂肪酸、U:炭素数16以上の不飽和脂肪酸、P:パルチミン酸、SSS:Sが3分子結合しているトリグリセリド、S2U:Sが2分子、Uが1分子結合しているトリグリセリド、UUU:Uが3分子結合しているトリグリセリド、SSU:1,2位又は2,3位にS,1又は3位にUが結合しているトリグリセリド、SUS:1,3位にS、2位にUが結合しているトリグリセリド、を表す。)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るフィリング及び/又はトッピング用油脂組成物、フィリング及び/又はトッピング用油中水型乳化油脂組成物、該油中水型乳化油脂組成物を含む食品、並びに該組成物を用いた食品の製造方法について説明する。なお、本発明は、以下に具体的に示す実施形態に限定されるものではない。
【0015】
[フィリング及び/又はトッピング用油脂組成物]
本発明に係るフィリング及び/又はトッピング用油脂組成物は、構成脂肪酸全体中、トランス脂肪酸及びラウリン酸の含有量がそれぞれ5質量%以下であり、ベヘン酸を0.3質量%以上5質量%以下含有し、SSS、S2U及びUUUをそれぞれ2質量%以上7質量%以下、16質量%以上29質量%以下及び10質量%以上35質量%以下含有し、SSU及びSUSの質量比SSU/SUS、並びにP及びSの質量比P/Sがそれぞれ1.5以上4.0以下、0.6以上0.9以下であることを特徴とする。このような構成を有するフィリング及び/又はトッピング用油脂組成物を利用することで、トランス脂肪酸やラウリン酸の含有量が少なくても、保型性、口溶け、外観、及び可塑性が良好で、必要に応じて、風味の出方も良好なフィリング及び/又はトッピング用油中水型乳化油脂組成物を製造することができる。
【0016】
(トランス脂肪酸及びラウリン酸)
トランス脂肪酸は、構造中にトランス型の二重結合を持つ不飽和脂肪酸である。健康上の観点からトランス脂肪酸の含有量は少ない程好ましく、フィリング及び/又はトッピング用油脂組成物の構成脂肪酸全体中、5質量%以下であり、好ましくは3質量%以下であり、より好ましくは1質量%未満である。
【0017】
ラウリン酸は、炭素数12の直鎖飽和脂肪酸である。価格変動が大きいなどコストの観点からラウリン酸の含有量は少ない程好ましく、フィリング及び/又はトッピング用油脂組成物の構成脂肪酸全体中、5質量%以下であり、好ましくは3質量%以下であり、より好ましくは1質量%未満である。
【0018】
(ベヘン酸)
ベヘン酸は、炭素数22の直鎖飽和脂肪酸である。ベヘン酸の由来は、ベヘン酸を含む油脂、又は該油脂を原料としたエステル交換油脂であることが好ましい。ベヘン酸を含む油脂としては、例えば、ハイエルシン菜種極度硬化油脂、又は魚油の極度硬化油脂等を挙げることができる。エステル交換油脂は、上記ベヘン酸を含む油脂を、例えばナトリウムメチラートやリパーゼ等の食品用途に用いられる触媒を用いて常法に従ってエステル交換させたものを用いることができる。
【0019】
ベヘン酸の含有量は、フィリング及び/又はトッピング用油脂組成物の構成脂肪酸全体中、0.3質量%以上5質量%以下であり、好ましくは、0.4質量%以上3質量%以下である。ベヘン酸の含有量が0.3質量%未満であると保型性が不十分である場合があり、5質量%を超えるとコストが高くなり、また、口溶けが悪く、風味が出にくい場合がある。
【0020】
(トリグリセリド)
Sは炭素数16以上の飽和脂肪酸を表し、Uは炭素数16以上の不飽和脂肪酸を表し、Pはパルチミン酸を表す。Sの炭素数の上限値は、24以下であり、好ましくは、22以下である。Uの炭素数の上限値は、24以下であり、好ましくは、20以下である。
【0021】
SSSは、炭素数16以上の飽和脂肪酸(S)が3分子結合しているトリグリセリドを表す。SSSの含有量は、フィリング及び/又はトッピング用油脂組成物のトリグリセリド全体中、2質量%以上7質量%以下であり、好ましくは4質量%以上7質量%以下である。2質量%より少ないと保型性が悪化する場合があり、7質量%を超えると口溶けが悪化し、風味が出にくい場合がある。
【0022】
S2Uは、炭素数16以上の飽和脂肪酸(S)が2分子、炭素数16以上の不飽和脂肪酸(U)が1分子結合しているトリグリセリドを表す。S2Uの含有量は、フィリング及び/又はトッピング用油脂組成物のトリグリセリド全体中、16質量%以上29質量%以下であり、好ましくは、20質量%以上28質量%以下である。16質量%未満であると保型性が悪化する場合があり、29質量%を超えると可塑性が悪くなる場合がある。
【0023】
UUUは、炭素数16以上の不飽和脂肪酸(U)が3分子結合しているトリグリセリドを表す。UUUの含有量は、フィリング及び/又はトッピング用油脂組成物のトリグリセリド全体中、10質量%以上35質量%以下であり、好ましくは15質量%以上30質量%以下である。UUUが10質量%未満であると硬く十分な可塑性が得られず、また風味が出にくい場合があり、35質量%を超えると保型性が悪化する場合がある。
【0024】
SSUは、1,2位又は2,3位にSが結合し、3又は1位にUが結合しているトリグリセリドを表す。SUSは、1,3位にSが結合し、2位にUが結合しているトリグリセリドを表す。SSU及びSUSの質量比SSU/SUSは、フィリング及び/又はトッピング用油脂組成物のトリグリセリド全体中、1.5以上4.0以下であり、好ましくは2.0以上4.0以下である。1.5未満であると、結晶性の悪いSUSの比率が多くなるため外観や可塑性が悪化する場合があり、4.0を超えると、ラードを原料とすると、ラードの比率が多すぎて風味が悪化する場合があり、他の油脂を原料とすると、コストが上がり過ぎる場合がある。
【0025】
P及びSの質量比P/Sは、フィリング及び/又はトッピング用油脂組成物のトリグリセリド全体中、0.6以上0.9以下であり、好ましくは0.7以上0.9以下である。0.6よりも少ないと長鎖飽和脂肪酸の影響で口溶けが悪くなる場合があり、0.9よりも大きいとコストが高くなる場合がある。
【0026】
こうした構成を有する本発明に係るフィリング及び/又はトッピング用油脂組成物は、フィリング及び/又はトッピング用油脂組成物の構成脂肪酸全体中、ベヘン酸を0.3重量質量%以上5重量質量%以下含有し、SSSを2重量質量%以上7重量質量%以下、S2Uを16重量質量%以上29重量質量%以下及びUUUを10重量質量%以上35重量質量%以下含有し、さらに、SSU/SUS(質量比)で1.5以上4.0以下及びP/S(質量比)で0.6以上0.9以下であるので、トランス脂肪酸及びラウリン酸の含有量が少なくても、保型性、口溶け、外観及び可塑性の良いフィリング及び/又はトッピング用油中水型乳化油脂組成物を製造することができる。
【0027】
また、本発明に係るフィリング及び/又はトッピング用油脂組成物は、ラード及びパーム系油脂から選ばれる少なくとも1種の油脂を35質量%以上75質量%以下、ハイエルシン菜種極度硬化油脂(a)と、牛脂、ラード及びパーム系油脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の油脂(b)との質量比(a)/(b)が、5/95以上30/70以下である混合油脂をエステル交換したエステル交換混合油脂を5質量%以上35質量%以下、並びに液油を5質量%以上35質量%以下、で含有することができる。
【0028】
(ラード及びパーム系油脂から選ばれる少なくとも1種の油脂)
ラードは、豚の脂肪組織から得られた食用油脂である。パーム系油脂は、パーム油、パームステアリン、パーム中融点部、パームオレイン、又はパームスーパーオレイン、或いはこれらをエステル交換した油脂である。中でも、エステル交換した油脂が好ましく、エステル交換後に分別された液状部で、かつヨウ素価が35以上62以下である油脂がより好ましい。
【0029】
ラード及びパーム系油脂から選ばれる少なくとも1種の油脂の含有量は、フィリング及び/又はトッピング用油脂組成物全体中、35質量%以上75質量%以下であり、好ましくは、35質量%以上65質量%以下であり、より好ましくは、35質量%以上60質量%以下である。
【0030】
(エステル交換混合油脂)
ここでいうところのエステル交換混合油脂とは、ハイエルシン菜種極度硬化油脂(a)と、牛脂、ラード及びパーム系油脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の油脂(b)とを5/95以上30/70以下の質量比(a)/(b)で含む混合油脂を、エステル交換して得られたエステル交換油脂を意味する。
【0031】
ハイエルシン菜種極度硬化油脂(a)は、構成脂肪酸中にエルシン酸を20質量%以上60質量%以下、好ましくは40質量%以上60質量%以下含む菜種油を、ヨウ素価が10以下、好ましくはヨウ素価0以上1以下になるように水素添加して得られる食用油脂である。水素添加の方法は、特に制限はなく、通常の方法により行うことができ、例えば、ニッケル触媒の下、水素圧0.02〜0.3Mpa、160〜200℃の条件にて行うことができる。
【0032】
また、牛脂としては、牛の脂肪組織から得られた食用油脂を用いることができる。ラードとしては、豚の脂肪組織から得られた食用油脂を用いることができる。パーム系油脂としては、パーム油、パームステアリン、パーム中融点部、パームオレイン、又はパームスーパーオレイン、或いはこれらをエステル交換した油脂を用いることができる。
【0033】
エステル交換混合油脂の作製方法は、例えば、ハイエルシン菜種極度硬化油脂(a)を5質量部以上30質量部以下と、牛脂、ラード及びパーム系油脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の油脂(b)を70質量部以上95質量部以下とを、50℃以上100℃以下で混合後、エステル交換して得ることができる。エステル交換反応は、ナトリウムメチラート等のアルカリ触媒による方法でもリパーゼ等の酵素による方法でもよく、公知の非選択的エステル交換法を用いることもできる。
【0034】
こうして得られるエステル交換混合油脂中の、ハイエルシン菜種極度硬化油脂(a)と、牛脂、ラード及びパーム系油脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の油脂(b)との質量比(a)/(b)は、5/95以上30/70以下であり、好ましくは、8/92以上20/80以下である。
【0035】
エステル交換混合油脂のフィリング及び/又はトッピング用油脂組成物中の含有量は、フィリング及び/又はトッピング用油脂組成物全体中、5質量%以上35質量%以下であり、好ましくは、10質量%以上25質量%以下である。エステル交換油脂の含有量を5質量%以上35質量%以下とすることで、適度な保型性と、良好な口溶けを両立することができる。
【0036】
(液油)
液油は、常温(15℃以上25℃以下程度)で実質的に液体である油を意味する。液油としては、例えば、菜種油、大豆油、コーン油、サフラワー油、綿実油、米油等を用いることができる。液油の含有量は、フィリング及び/又はトッピング用油脂組成物全体中、5質量%以上40質量%以下であり、好ましくは、10質量%以上25質量%以下である。液油の含有量が5質量%未満であると外観や可塑性が劣る場合があり、40質量%を超えると保型性が劣る場合がある。
【0037】
(その他の油脂)
本発明に係るフィリング及び/又はトッピング用油脂組成物は、上記油脂以外に、例えば、魚油、乳脂、鶏油、卵黄油、及び羊油等の動物油脂、或いはこれらの動物油脂をエステル交換した油脂、硬化又は分別した油脂等を含むこともできる。
【0038】
(フィリング及び/又はトッピング用油脂組成物の製造方法)
本発明に係るフィリング及び/又はトッピング用油脂組成物は、その構成脂肪酸全体中、ベヘン酸を0.3質量%以上5質量%以下、SSSを2質量%以上7質量%以下、S2Uを16質量%以上29質量%以下及びUUUを10質量%以上35質量%以下含有し、さらに、SSU/SUS(質量比)が1.5以上4.0以下、及びP/S(質量比)が0.6以上0.9以下である範囲で、その製造のために用いる油脂及び液油の種類は限定されない。例えば、上記したラード及びパーム系油脂から選ばれる少なくとも1種の油脂35〜65質量%と、上記したエステル交換混合油脂5〜35質量%と、上記した液油5〜40質量%とを50℃以上100℃以下で加熱しながら混合して得ることができる。
【0039】
(フィリング及び/又はトッピング用油脂組成物の使用用途)
本発明に係るフィリング及び/又はトッピング用油脂組成物は、バタークリーム、サンドクリーム、マーガリン、ショートニング、アイスクリーム、ホイップクリーム等の加工油脂製品の原料油脂用として広く使用できる。本発明に係るフィリング及び/又はトッピング用油脂組成物は、例えば、以下に例示されるように、他成分と組み合わせて油中水型乳化油脂組成物を製造するために用いることが好ましく、水溶性成分を含む水相と組み合わせて油中水型乳化油脂組成物を製造するために用いることがより好ましく、他の油溶性成分及び水相と組み合わせて油中水型乳化油脂組成物を製造するために用いることがさらに好ましい。
【0040】
[フィリング及び/又はトッピング用油中水型乳化油脂組成物]
本発明に係るフィリング及び/又はトッピング用油中水型乳化油脂組成物は、少なくとも、本発明に係るフィリング及び/又はトッピング用油脂組成物を40質量%以上70質量%以下含む。本発明に係るフィリング及び/又はトッピング用油脂組成物を含むので、トランス脂肪酸やラウリン酸の含有量が少なくても、保型性、口溶け、外観、及び可塑性が良好で、必要に応じて風味の出方の良いフィリング及び/又はトッピング用油中水型乳化油脂組成物とすることができる。
【0041】
本発明に係るフィリング及び/又はトッピング用油中水型乳化油脂組成物は、本発明に係るフィリング及び/又はトッピング用油脂組成物を含む油相、及び水溶性成分と水とを含む水相を含むことが好ましい。油相と水相との質量比は、限定されるものではないが、30:70以上10:90以下であることが好ましく、40:60以上15:85以下であることがより好ましく、40:60以上60:40以下であることがさらに好ましい。
【0042】
(油相)
油相には、本発明に係るフィリング及び/又はトッピング用油脂組成物の他に、必要に応じて、一般的に油中水型乳化油脂組成物に含むことができる、油溶性の乳化剤、着色料、呈味剤、香料、及び酸化防止剤等を含有することができる。
【0043】
油溶性の乳化剤としては、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、HLB6〜10のジグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等を挙げることができる。乳化剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、フィリング及び/又はトッピング用油中水型乳化油脂組成物全体中、0.01質量%以上5質量%以下とすることができる。
【0044】
乳化剤として、HLB6〜10のジグリセリン脂肪酸エステルを0.01質量%以上2.0質量%以下、好ましくは、0.03質量%以上1.5質量%以下含有すると、異味や異臭がより少なく油脂のおいしさが感じられ、風味の出方が良くなる。
【0045】
着色料としては、β−カロチン、アナトー色素等を挙げることができる。呈味剤としては、乳脂の加熱処理物、酵素処理物等を挙げることができる。香料としては、ミルクフレーバー、バターフレーバー等を挙げることができる。酸化防止剤としては、トコフェロール、トコトリエノール、ローズマリー抽出物、茶抽出物、甘草抽出物等を挙げることができる。
【0046】
本発明に係るフィリング及び/又はトッピング用油中水型乳化油脂組成物は、油溶性の乳化剤、着色料、呈味剤、香料、及び酸化防止剤等の任意成分を、合計で10質量%以下含むことが好ましく、5質量%以下含むことがより好ましく、3質量%以下含むことがさらに好ましい。
【0047】
(水相)
水相には、必要に応じて、糖質を含むことができる。糖質は、果糖、ブドウ糖、砂糖、麦芽糖等の可食糖又はそれらの組み合わせを意味する。糖質として、結晶状、粒状、粉状等の糖質そのものを使用してもよいし、糖質が予め溶解されたものを使用してもよい。添加できる糖質の例としては、異性化液糖、砂糖、水あめ、ブドウ糖、乳糖等を用いることができる。異性化液糖は、デンプンを酵素又は酸により加水分解して得られた糖液に由来する果糖及び/又はブドウ糖を主成分とする液糖であって、水分率が、15質量%以上40質量%以下のものが好ましく、水分率が約25質量%の市販用液糖がより好ましい。
【0048】
糖質の含有量は、油中水型乳化油脂組成物全体中、5質量%以上40質量%以下であることが好ましく、15質量%以上35質量%以下であることがさらに好ましい。
【0049】
水相には、さらに必要に応じて、フィリング及び/又はトッピング用油中水型乳化油脂組成物として通常含むことができる、水溶性の増粘剤、呈味剤、風味エキス類、多糖類、乳製品、香料、塩分、ミネラル類、及びその他食品成分等を利用することができる。増粘剤としては、カラギーナン、ペクチン、寒天、ジェランガム、ゼラチン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアーガム、アラビアガム、ネイティブジェランガム、グルコマンナン、タラガム、プルラン、タマリンド種子多糖類、トラガントガム、及びカラヤガム等を挙げることができる。呈味剤としては、砂糖、水飴、ブドウ糖果糖液糖、ソルビトール、トレハロースなどの糖類等を挙げることができる。風味エキス類としては、昆布エキス、発酵調味料等を挙げることができる。多糖類としては、デンプン、グリコーゲン、セルロース、キチン等を挙げることができる。乳製品としては、脱脂粉乳、牛乳、加糖練乳、発酵乳、生クリーム、チーズ等を挙げることができる。香料としては、ミルクフレーバー等を挙げることができる。塩分としては、食塩等を挙げることができる。ミネラル類としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン等を挙げることができる。その他食品成分としては、卵黄、全卵、コーヒー、カカオ原料、抹茶、緑茶、餡類、果汁、果肉、野菜ペースト、粉末野菜等を挙げることができる。
【0050】
水溶性の増粘剤、呈味剤、風味エキス類、多糖類、乳製品、香料、塩分、ミネラル類、及びその他食品成分等の含有量は、本発明の効果を阻害しない範囲内で限定されないが、油中水型乳化油脂組成物全体中、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。
【0051】
(油中水型乳化油脂組成物の製造方法)
本発明に係るフィリング及び/又はトッピング用油中水型乳化油脂組成物の製造方法を以下に例示する。上記フィリング及び/又はトッピング用油脂組成物に対して、油溶性の乳化剤、着色料、呈味剤、香料、酸化防止剤を混合し、60〜75℃になるまで撹拌しながら加熱し油相を調整する。また、必要に応じて水溶性の増粘剤、呈味剤、風味エキス類、多糖類、乳製品、香料、塩分、ミネラル類、その他食品成分等を添加し、60〜75℃になるまで撹拌しながら加熱して殺菌し、水相を調整する。そして油相を撹拌しながら水相を添加していき、乳化させた後、急冷捏和して、フィリング及び/又はトッピング用油中水型乳化油脂組成物を得ることができる。
【0052】
また、風味を強化するため、上記油相及び水相を乳化、急冷捏和した後に呈味成分を後合わせすることができる。呈味成分としては呈味剤、乳製品、風味エキス類、その他食品成分及びその他呈味を有する原料を水又は油脂に溶解もしくは分散させて後合わせすることができる。
【0053】
こうして得られるフィリング及び/又はトッピング用油中水型乳化油脂組成物は、バタークリーム、サンドクリーム、マーガリン、ショートニング、アイスクリーム、ホイップクリーム等の加工油脂製品、又は、加工油脂製品の原料として広く使用できる。例えば、塩味を持つ付けマーガリン、もしくは甘味を持つバタークリーム、チョコレートクリーム、その他果物など呈味原料を加えたクリーム等として、パン、菓子類にサンドもしくはトッピングしても用いることができる。なお、上記加工油脂製品の原料としての使用の場合、他の原料、食品と組み合わせることができる。これらの加工油脂製品は、食パン、菓子パン、デニッシュ、シュー、ドーナツ、ケーキ、クッキー、ハードビスケット、ワッフル、スコーン等のパン、菓子類をはじめとする食品のフィリング及び/又はトッピングとして広く使用できる。
【0054】
[食品]
本発明に係る食品は、上記した本発明に係るフィリング及び/又はトッピング用油中水型乳化油脂組成物を含む。本発明に係るフィリング及び/又はトッピング用油中水型乳化油脂組成物を含むので、トランス脂肪酸やラウリン酸の含有量が少なくても、保型性、口溶け、外観、及び可塑性が良好で、必要に応じて風味の出方も良い食品とすることができる。
【0055】
本発明に係る食品としては、例えば、上記フィリング及び/又はトッピング用油中水型乳化油脂組成物を含むバタークリーム、サンドクリーム、マーガリン、ショートニング、アイスクリーム、ホイップクリーム等の加工油脂製品をサンド又はトッピング等した、食パン、菓子パン、デニッシュ、シュー、ドーナツ、ケーキ、クッキー、ハードビスケット、ワッフル、スコーン等のパン、菓子類をはじめとする食品等を挙げることができる。
【0056】
[食品の製造方法]
本発明に係る食品の製造方法は、上記した本発明に係るフィリング及び/もしくはトッピング用油脂組成物又はフィリング及び/もしくはトッピング用油中水型乳化油脂組成物を添加する工程を含む。本発明に係るフィリング及び/もしくはトッピング用油脂組成物又はフィリング及び/もしくはトッピング用油中水型乳化油脂組成物を用いることにより、トランス脂肪酸やラウリン酸の含有量が少なくても、保型性、口溶け、外観、及び可塑性が良好で、必要に応じて風味の出方も良い食品を製造することができる。
【0057】
本発明に係る食品の製造方法は、特定の方法に限定されるものではなく、本発明の目的に反しない範囲で、フィリング及び/もしくはトッピング用油脂組成物又はフィリング及び/もしくはトッピング用油中水型乳化油脂組成物を原材料の一つとして用いるものであれば、どのような調理・加工工程を含んでもよい。上記組成物をそのまま食品の一部として用いることも、これらを添加した後に、更なる材料を添加することや、調理・加工を行うことも可能である。また、製造後の食品における上記組成物の組成は工程に伴って変化し得るものであり、特定の組成に限定されるものではない。これに限定されるものではないが、好ましくは、上記組成物の少なくとも一部は、製造後の食品においても、実質的に本発明のフィリング及び/もしくはトッピング用油脂組成物又はフィリング及び/もしくはトッピング用油中水型乳化油脂組成物である。
【実施例】
【0058】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は質量基準である。
【0059】
(製造例1) パーム系油脂(パームステアリン)のエステル交換油脂の分別液状部の作製
ラード及びパーム系油脂から選ばれる少なくとも1種の油脂の例として、パーム系油脂(パームステアリン)のエステル交換油脂の分別液状部を作製した。まず、脱酸処理されたパームステアリン(ヨウ素価35)100質量部を500Paの減圧下で90℃に加熱し、0.2質量部のナトリウムメチラートを加えて30分攪拌してランダムエステル交換した。水洗した後、500Paの減圧下、90℃において2質量部の白土を加えて脱色した。脱色後の油脂を、70℃に加熱して完全に溶解し、46℃で攪拌しながら24時間晶析した。晶析後、3MPaでフィルタープレスして液状部を得た。得られた液状部を240℃、200Paの条件で1時間脱臭してヨウ素価43のパーム系油脂(パームステアリン)のエステル交換油脂の分別液状部を得た。なお、ヨウ素価は、「日本油化学会制定、基準油脂分析試験法2.3.4.1−1996」に従い分析を行った。
【0060】
(製造例2) パームスーパーオレインエステル交換油脂の作製
ラード及びパーム系油脂から選ばれる少なくとも1種の油脂の例として、パームスーパーオレインエステル交換油脂を作製した。まず、パームスーパーオレイン100質量部を500Paの減圧下90℃に加熱し、0.2質量部のナトリウムメチラートを加えて30分攪拌してランダムエステル交換した。水洗した後、500Paの減圧下、90℃において2質量部の白土を加えて脱色し、240℃、200Paの条件で1時間脱臭してパームスーパーオレインエステル交換油脂を得た。
【0061】
(製造例3) エステル交換混合油脂Aの作製
ハイエルシン菜種極度硬化油脂(a)と牛脂、ラード及びパーム系油脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の油脂(b)との質量比(a)/(b)が5/95以上30/70以下である混合油脂をエステル交換したエステル交換混合油脂の例として、エステル交換混合油脂Aを作製した。まず、牛脂90質量部及びハイエルシン菜種極度硬化油脂10質量部を500Paの減圧下90℃に加熱し、0.2質量部のナトリウムメチラートを加えて30分攪拌してランダムエステル交換した。水洗した後、500Paの減圧下、90℃において2質量部の白土を加えて脱色し、240℃、200Paの条件で1時間脱臭してエステル交換混合油脂Aを得た。
【0062】
(製造例4) パーム系油脂(パーム油)のエステル交換油脂の分別液状部の作製
ラード及びパーム系油脂から選ばれる1種又は2種の油脂の例として、パーム系油脂(パーム油)のエステル交換油脂の分別液状部を作製した。まず、脱酸処理されたパーム油(ヨウ素価52)100質量部を500Paの減圧下で90℃に加熱し、0.2質量部のナトリウムメチラートを加えて30分攪拌してランダムエステル交換した。水洗した後、500Paの減圧下、90℃において2質量部の白土を加えて脱色した。脱色後の油脂を、70℃に加熱して完全に溶解し、37℃で攪拌しながら12時間晶析した。晶析後、3MPaでフィルタープレスして液状部を得た。得られた液状部を240℃、200Paの条件で1時間脱臭してヨウ素価56のパーム系油脂(パーム油)のエステル交換油脂の分別液状部を得た。
【0063】
(製造例5) エステル交換混合油脂Bの作製
ハイエルシン菜種極度硬化油脂(a)と牛脂、ラード及びパーム系油脂からなる群より選ばれる1種又は2種以上の油脂(b)との質量比(a)/(b)が5/95以上30/70以下である混合油脂をエステル交換したエステル交換混合油脂の例として、エステル交換混合油脂Bを作製した。まず、パームスーパーオレイン70質量部及びハイエルシン菜種極度硬化油30質量部を500Paの減圧下90℃に加熱し、0.2質量部のナトリウムメチラートを加えて30分攪拌してランダムエステル交換した。水洗した後、500Paの減圧下、90℃において2質量部の白土を加えて脱色し、240℃、200Paの条件で1時間脱臭してエステル交換混合油脂Bを得た。
【0064】
(製造例6) エステル交換混合油脂Cの作製
菜種油50質量部及びハイエルシン菜種極度硬化油脂50質量部を500Paの減圧下90℃に加熱し、0.2質量部のナトリウムメチラートを加えて30分攪拌してランダムエステル交換した。水洗した後、500Paの減圧下、90℃において2質量部の白土を加えて脱色し、240℃、200Paの条件で1時間脱臭してエステル交換混合油脂Cを得た。
【0065】
(実施例1)
表1に示す配合に従い、ラード、パームスーパーオレインエステル交換油脂、エステル交換混合油脂A、及び液油としての菜種油を70℃に加温して融解し、実施例1のフィリング及び/又はトッピング用油脂組成物を得た。次いで、表3に示す配合に従い、融解しているフィリング及び/又はトッピング用油脂組成物に、グリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル(HLB:8.7)、レシチン及び香料を添加して攪拌しながら溶解させて油相とした。一方、水に脱脂粉乳及び異性化液糖を溶解し、70℃で20分間殺菌して水相とした。油相に水相を加えて20分間以上乳化させ、急冷捏和装置で急冷して捏和し、実施例1のフィリング及び/又はトッピング用油中水型乳化油脂組成物を得た。
【0066】
(実施例2)
表1に示す配合に従い、ラードの一部を製造例1のパーム系油脂のエステル交換油脂の分別液状部に替えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2のフィリング及び/又はトッピング用油脂組成物を作製した。次いで、表3に示す配合に従い、実施例1と同様にして、実施例2のフィリング及び/又はトッピング用油中水型乳化油脂組成物を作製した。
【0067】
(実施例3)
表1に示す配合に従い、油脂組成物中の各油脂の量を替えた以外は、実施例1と同様にして、実施例3のフィリング及び/又はトッピング用油脂組成物を作製した。次いで、表3に示す配合に従い、実施例1と同様にして、実施例3のフィリング及び/又はトッピング用油中水型乳化油脂組成物を作製した。
【0068】
(実施例4)
表1に示す配合に従い、ラードを製造例1のパーム系油脂のエステル交換油脂の分別液状部に替え、パームスーパーオレインエステル交換油脂及びエステル交換混合油脂Aの量を替えた以外は、実施例1と同様にして、実施例4のフィリング及び/又はトッピング用油脂組成物を作製した。次いで、表3に示す配合に従い、実施例1と同様にして、実施例4のフィリング及び/又はトッピング用油中水型乳化油脂組成物を作製した。
【0069】
(実施例5)
表2に示す配合に従い、ラード、パームスーパーオレインエステル交換油及びエステル交換油脂Aを加えず、製造例4のパーム系油脂(パーム油)のエステル交換油脂の分別液状部及びエステル交換油脂Bを加え、菜種油の量を替えた以外は、実施例1と同様にして、実施例5のフィリング及び/又はトッピング用油脂組成物を作製した。次いで、表4に示す配合に従い、実施例1と同様にして、実施例5のフィリング及び/又はトッピング用油中水型乳化油脂組成物を作製した。
【0070】
(実施例6)
表2に示す配合に従い、ラード及びパームスーパーオレインエステル交換油を加えず、製造例4のパーム系油脂(パーム油)のエステル交換油脂の分別液状部を加え、菜種油の量を替えた以外は、実施例1と同様にして、実施例6のフィリング及び/又はトッピング用油脂組成物を作製した。次いで、表4に示す配合に従い、実施例1と同様にして、実施例6のフィリング及び/又はトッピング用油中水型乳化油脂組成物を作製した。
【0071】
(実施例7)
表2に示す配合に従い、ラードを加えず、パーム極度硬化油を加え、パームスーパーオレインエステル交換油、エステル交換混合油脂A及び菜種油の量を替えた以外は、実施例1と同様にして、実施例7のフィリング及び/又はトッピング用油脂組成物を作製した。次いで、表5に示す配合に従い、実施例1と同様にして、実施例7のフィリング及び/又はトッピング用油中水型乳化油脂組成物を作製した。
【0072】
(実施例8)
表2に示す配合に従い、ラード及び菜種油を加えず、パームスーパーオレインエステル交換油の量を替えた以外は、実施例1と同様にして、実施例8のフィリング及び/又はトッピング用油脂組成物を作製した。次いで、表5に示す配合に従い、実施例1と同様にして、実施例8のフィリング及び/又はトッピング用油中水型乳化油脂組成物を作製した。
【0073】
(比較例1)
表1に示す配合に従い、パームスーパーオレインエステル交換油脂を加えず、ラード、エステル交換混合油脂A及び菜種油の量を替えた以外は、実施例1と同様にして、比較例1のフィリング及び/又はトッピング用油脂組成物を作製した。次いで、表3に示す配合に従い、実施例1と同様にして、比較例1のフィリング及び/又はトッピング用油中水型乳化油脂組成物を作製した。
【0074】
(比較例2)
表1に示す配合に従い、ラードをパーム油に替え、パームスーパーオレインエステル交換油脂及び菜種油の量を替えた以外は、実施例1と同様にして、比較例2のフィリング及び/又はトッピング用油脂組成物を作製した。次いで、表3に示す配合に従い、実施例1と同様にして、比較例2のフィリング及び/又はトッピング用油中水型乳化油脂組成物を作製した。
【0075】
(比較例3)
表2に示す配合に従い、ラードを加えず、製造例1のパーム系油脂(パームステアリン)のエステル交換油脂の分別液状部を加え、パームスーパーオレインエステル交換油脂、エステル交換混合油脂A及び菜種油の量を替えた以外は、実施例1と同様にして、比較例3のフィリング及び/又はトッピング用油脂組成物を作製した。次いで、表4に示す配合に従い、実施例1と同様にして、比較例3のフィリング及び/又はトッピング用油中水型乳化油脂組成物を作製した。
【0076】
(比較例4)
表2に示す配合に従い、ラードを加えず、パームスーパーオレインエステル交換油脂の量を替え、エステル交換混合油脂Aをエステル交換混合油脂Cに替えた上でその量も替え、菜種油の量を替えた以外は、実施例1と同様にして、比較例4のフィリング及び/又はトッピング用油脂組成物を作製した。次いで、表4に示す配合に従い、実施例1と同様にして、比較例4のフィリング及び/又はトッピング用油中水型乳化油脂組成物を作製した。
【0077】
(比較例5)
表2に示す配合に従い、ラードを加えず、パームスーパーオレインエステル交換油脂、エステル交換混合油脂A及び菜種油の量を替えた以外は、実施例1と同様にして、比較例5のフィリング及び/又はトッピング用油脂組成物を作製した。次いで、表4に示す配合に従い、実施例1と同様にして、比較例5のフィリング及び/又はトッピング用油中水型乳化油脂組成物を作製した。
【0078】
(比較例6)
表2に示す配合に従い、パーム極度硬化油を加え、ラードの量を替えた以外は、実施例1と同様にして、比較例6のフィリング及び/又はトッピング用油脂組成物を作製した。次いで、表5に示す配合に従い、実施例1と同様にして、比較例6のフィリング及び/又はトッピング用油中水型乳化油脂組成物を作製した。
【0079】
(比較例7)
表2に示す配合に従い、ラード及びパームスーパーオレインエステル交換油脂を加えず、製造例4のパーム系油脂(パーム油)のエステル交換油脂の分別液状部に替え、エステル交換混合油脂A及び菜種油の量を替えた以外は、実施例1と同様にして、比較例7のフィリング及び/又はトッピング用油脂組成物を作製した。次いで、表5に示す配合に従い、実施例1と同様にして、比較例7のフィリング及び/又はトッピング用油中水型乳化油脂組成物を作製した。
【0080】
(脂肪酸組成及びトリグリセリド組成)
実施例1〜8及び比較例1〜7で用いたフィリング及び/又はトッピング用油脂組成物、フィリング及び/又はトッピング用油中水型乳化油脂組成物中の脂肪酸組成及びトリグリセリド組成を、以下のようにして測定した。結果を表1〜5に示した。
<脂肪酸組成の測定>
脂肪酸組成の測定は、「日本油化学会制定、基準油脂分析試験法暫11−2003及び暫15−2003」に記載されたメチルエステル化法及びガスクロマトグラフ法に準拠して行なった。
<トリグリセリド組成の分析>
SSS含量やS2U含量、UUU含量等のトリグリセリド組成は「AOCS Official Method Ce5c−93」に準拠してHPLCにより分析した。
<SSU/SUS比率の分析>
トリグリセリドの異性体比率は、HPLCを用いて硝酸銀カラムにより分析した。分析条件は「Journal of the American Oil Chemists Society, 68, 289−293, 1991」記載の方法に準拠して分析した。
【0081】
(評価)
実施例1〜8及び比較例1〜7で得られたフィリング及び/又はトッピング用油中水型乳化油脂組成物について、以下に示す方法に従って、保型性、口溶け、外観、可塑性及び風味の出方の評価をした。実施例1〜4及び比較例1、2の結果を表3に、実施例5、6及び比較例3〜5の結果を表4に、実施例7、8及び比較例6、7の結果を表5に示す。
【0082】
<保型性の評価>
実施例及び比較例で得られたフィリング及び/又はトッピング用油中水型乳化油脂組成物をコッペパンに35g挟み、25℃で2日間保管して状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
5点:極めて保型性がある。
4点:非常に保型性があり、ダレやシマリがない。
3点:保型性があり、殆どダレやシマリがない。
2点:若干保型性が劣り、ややダレやシマリが生じる。
1点:保型性がなく、ダレやシマリが生じる。
【0083】
<口溶けの評価>
実施例及び比較例で得られたフィリング及び/又はトッピング用油中水型乳化油脂組成物を、熟練した10名のパネラーにそのまま食べてもらい、以下の基準により評価を実施し、それらの平均点を評価値とした。
5点:極めて口溶けが良好である。
4点:非常に口溶けが良好である。
3点:口溶けが良好である。
2点:やや口溶けが悪い。
1点:口溶けが悪い。
【0084】
<外観の評価>
実施例及び比較例で得られたフィリング及び/又はトッピング用油中水型乳化油脂組成物を、バターナイフを用いてその表面を平滑に削り取って、その表面状態を以下の基準で評価した。
5点:艶があり極めてなめらかで光沢があり、ザラザラ感が全くない。
4点:なめらかで光沢があり、ザラザラ感が殆どない。
3点:やや滑らかであって光沢があるが、ザラザラ感がある。
2点:滑らかさや光沢が殆どなく、ザラザラ感が強い。
1点:滑らかさや光沢が全くなく、ザラザラしている。
【0085】
<可塑性の評価>
実施例及び比較例で得られたフィリング及び/又はトッピング用油中水型乳化油脂組成物を、両切りぺネ缶(内径57mm、長さ40mm)の片方から突っ込み、もう一方からはみ出す迄押し込む。両端からはみ出た油脂組成物をバターナイフで面切りし、20℃の恒温水槽に浸漬しておき、3時間後にペネトロメーター(ELEX SCIENTIFIC社製「PENETRO METER」)で測定し、以下の基準で評価した。なお、測定で得られるペネ値は、小数点以下は四捨五入されている。
5点:ぺネ値が180〜220で適度な硬さで、極めて使用性が良好である。
4点:ぺネ値が160〜179又は221〜240で、やや硬め又はやや柔らかめであるが、使用性は良好である。
3点:ぺネ値が140〜159又は241〜260で、硬め又は柔らかめであり、使用性が悪い。
2点:ぺネ値が120〜139又は261〜280で、硬すぎ又は柔らかすぎで、使用性が非常に悪い。
1点:ぺネ値が100〜119又は281〜300で、硬すぎ又は柔らかすぎで、使用性が非常に悪い。
【0086】
<風味の出方の評価>
実施例及び比較例で得られたフィリング及び/又はトッピング用油中水型乳化油脂組成物を熟練した10名のパネラーにそのまま食べてもらい、以下の基準により官能評価を実施し、それらの平均点を評価値とした。なお、「風味の出方」とは、「感じられる風味の強さ」のことであり、甘味及び乳感が強く感じられる風味の場合を、「風味の出方が良好である」と評価した。
5点:極めて風味の出方が良好である。
4点:非常に風味の出方が良好である。
3点:風味の出方が良好である。
2点:やや風味の出方が悪い。
1点:風味の出方が悪い。
【0087】
【表1】
【0088】
【表2】
【0089】
【表3】
【0090】
【表4】
【0091】
【表5】
【0092】
表3〜5から明らかなように、本発明に係るフィリング及び/又はトッピング用油脂組成物及び油中水型乳化油脂組成物は、トランス脂肪酸量やラウリン酸量が少なくても、保型性と口溶けが良好で、艶のある外観となめらかで可塑性の良いフィリング及び/又はトッピング用油中水型乳化油脂組成物を製造することができることがわかる。また、異味や異臭がなく風味の出方が良好なフィリング及び/又はトッピング用油中水型乳化油脂組成物を製造することができることがわかる。