(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
いくつかの実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。各図において、連続して配置される同一又は類似の要素については符号を省略することがある。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
各実施形態においては、表示装置の一例として、液晶表示素子を用いた表示パネルを備える表示装置を開示する。ただし、各実施形態は、液晶表示素子以外の表示素子を用いた表示装置に対する、各実施形態にて開示される個々の技術的思想の適用を妨げるものではない。液晶表示素子以外の表示素子としては、有機エレクトロルミネッセンス表示素子等を有する自発光型の表示パネル、或いは電気泳動素子等を有する電子ペーパ型の表示パネルなどが想定される。
【0011】
図1は、本実施形態に係る、タッチ検出機能付き表示装置1の概略的な構成を示す平面図である。表示装置1は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話端末、パーソナルコンピュータ、テレビ受像装置、車載装置、ゲーム機器等の種々の装置に用いることができる。
【0012】
表示装置1は、表示パネル2と、複数の駆動電極TX(TX1〜TXn)と、各駆動電極TXと対向する複数の検出電極RX(RX1〜RXm)と、ドライバモジュールとして機能するドライバIC3と、検出回路4とを備えている。n及びmは、例えば2以上の整数である。駆動電極は、共通電極と呼ばれる場合もある。
【0013】
表示パネル2は、矩形状のアレイ基板AR(第1基板)と、このアレイ基板ARよりも外形が小さい矩形状の対向基板CT(第2基板)とを備えている。
図1の例において、アレイ基板AR及び対向基板CTは、3辺を重ねて貼り合わされている。アレイ基板ARは、対向基板CTと対向しない端子領域NA(非対向領域)を有している。
【0014】
アレイ基板AR及び対向基板CTが対向する領域において、表示パネル2は、画像を表示する表示領域(アクティブエリア)DAと、表示領域DAと表示パネル2の端部との間の周辺領域FAとを有している。
図1の例において、表示領域DAは、端子領域NA側の第1辺E1と、第1辺E1の反対側の第2辺E2と、第1辺E1及び第2辺E2を繋ぐ第3辺E3及び第4辺E4とを有した長方形状である。以下の説明においては、第1辺E1及び第2辺E2と平行な方向を第1方向Xと呼び、第3辺E3及び第4辺E4と平行な方向を第2方向Yと呼ぶ。本実施形態においては、第1方向X及び第2方向Yが垂直に交わるが、第1方向X及び第2方向Yは他の角度で交わっても良い。
【0015】
表示領域DAにおいて、駆動電極TX1〜TXnは、第1辺E1から第2辺E2に至るまで第2方向Yに延びるとともに第1方向Xに並んでいる。駆動電極TX1〜TXnは、例えばインジウム・ティン・オキサイド(ITO)などの透明導電膜で形成することができる。駆動電極TX1〜TXnは、例えば表示パネル2の内部、つまり、アレイ基板ARに形成されている。
【0016】
表示領域DAにおいて、検出電極RX1〜RXmは、第3辺E3から第4辺E4に至るまで第1方向Xに延びるとともに第2方向Yに並んでいる。検出電極RX1〜RXmは、ITOなどの透明導電膜や、金属線を用いた導電パターンによって形成することができる。検出電極RX1〜RXmは、例えば対向基板CTのアレイ基板ARと対向する面とは反対側の表面に形成されている。
【0017】
なお、駆動電極TX1〜TXnが第1方向Xに延びるとともに第2方向Yに並び、検出電極RX1〜RXmが第2方向Yに延びるとともに第1方向Xに並んだ構成を採用しても良い。
ドライバIC3は、駆動電極TX1〜TXnに対して駆動信号を供給することによりセンシングに関する制御、及び画像表示に関する制御を実行するものであり、端子領域NAに実装されている。ドライバICは、COG(Chip On Glass)方式により実装されているが、第1フレキシブル配線基板6に実装されたものであっても良い。
【0018】
端子領域NAには、実装端子5が形成されている。実装端子5には、画像データを表示パネル2に供給する第1フレキシブル配線基板6が接続されている。
端子領域NAに沿う対向基板CTの端部には、実装端子7が形成されている。実装端子7には、検出電極RX1〜RXm、および駆動電極TX1〜TXnからの検出信号を出力する第2フレキシブル配線基板8が接続されている。
図1の例において、検出回路4は、第2フレキシブル配線基板8に実装されている。
【0019】
検出電極RX1〜RXmは、例えば周辺領域FAにおいて対向基板CTの表面に形成された検出配線DLを介して実装端子7と接続されている。
図1の例において、表示領域DAの第2辺E2側から奇数番目の検出電極RXと実装端子7とを接続する検出配線DLは、表示領域DAの第3辺E3と対向基板CTの端部(図中左側の端部)との間に引き回され、これら奇数番目の検出電極RXに接続されている。一方、表示領域DAの第2辺E2側から偶数番目の検出電極RXと実装端子7とを接続する検出配線DLは、表示領域DAの第1辺E1と対向基板CTの端子領域NA側の端部との間、及び、表示領域DAの第4辺E4と対向基板CTの端部(図中右側の端部)との間に引き回され、これら偶数番目の検出電極RXに接続されている。
【0020】
図2は、表示領域DAにおける表示装置1の断面の一例を模式的に示す図である。この図に示す断面は、1つの副画素SPXに着目したものである。それぞれ異なる色に対応する複数の副画素SPXにより、カラー画像を表示するための1つの画素が形成される。
【0021】
図2の例において、アレイ基板ARは、第1絶縁基板10と、第1絶縁層11と、第2絶縁層12と、第1配向膜13と、画素電極PEと、駆動電極TXとを備えている。第1絶縁層11は、第1絶縁基板10の対向基板CT側の面に形成されている。駆動電極TXは、第1絶縁層11の上に形成されている。第2絶縁層12は、駆動電極TXを覆っている。画素電極PEは、副画素SPXごとに設けられ、第2絶縁層12の上に形成されている。例えば画素電極PEは、1又は複数のスリットSLを有している。第1配向膜13は、画素電極PE及び第2絶縁層12の一部を覆っている。
【0022】
対向基板CTは、第2絶縁基板20と、遮光層21と、カラーフィルタ22と、オーバーコート層23と、第2配向膜24とを備えている。遮光層21は、第2絶縁基板20のアレイ基板AR側の面に形成され、副画素SPXを区画している。カラーフィルタ22は、第2絶縁基板20のアレイ基板AR側の面に形成され、副画素SPXに対応する色に着色されている。オーバーコート層23は、カラーフィルタ22を覆っている。第2配向膜24は、オーバーコート層23を覆っている。
【0023】
第1配向膜13と第2配向膜24との間には、液晶分子を含む液晶層LCが形成されている。例えば、検出電極RXは、第2絶縁基板20のアレイ基板ARと対向しない側の面に形成されている。なお、
図2の例においては駆動電極TXがアレイ基板ARに形成されているが、駆動電極TXは対向基板CTに形成されても良い。その他、表示パネル2の内部構造はここに示したものに限られず、種々の構造を適用することができる。
【0024】
続いて、駆動電極TX及び検出電極RXにより表示領域DAに接触或いは近接する物体を検出する原理の一例につき、
図3を用いて説明する。
互いに対向する駆動電極TXと検出電極RXとの間には、容量Ccが存在する。駆動電極TXに駆動信号Stxが供給されると、容量Ccを介して検出電極RXに電流が流れるため、検出電極RXから検出信号Srxが得られる。駆動信号Stxは例えば矩形パルスであり、検出信号Srxは駆動信号Stxに対応した電圧の矩形パルスである。
【0025】
表示装置1にユーザの指などの導体である物体Oが近づくと、物体Oに近接する検出電極RXと物体Oとの間に容量Cxが生じる。駆動電極TXに駆動信号Stxが供給されたとき、物体Oに近接する検出電極RXから得られる検出信号Srxの波形は、容量Cxの影響を受けて変化する。すなわち、各検出電極RXから得られる検出信号Srxに基づけば、検出回路4は、表示装置1に接触或いは近接する物体Oを検出することができる。また、各駆動電極TXに駆動信号Stxを時分割で順次供給した際に各時相にて各検出電極RXから得られる検出信号Srxに基づけば、検出回路4は、物体Oの第1方向X及び第2方向Yにおける位置を検出することができる。以上説明した方式は、相互容量方式、又は、ミューチャル検出方式などと呼ばれる。
【0026】
続いて、駆動電極TXにより表示領域DAに接触或いは近接する物体を検出する原理の他の一例につき、
図4を用いて説明する。
検出回路4は、駆動電極TX自体が有する容量の変化に基づいて物体Oの接触、或いは近接を検出することができる。このような検出方式は、セルフ容量検出方式などと呼ばれるが、以下ではセルフ検出方式と称することとする。
【0027】
このように2つの検出方式を用いることにより、タッチ検出機能付き表示装置1は、物体Oの接触、或いは近接を確実に検出することが可能になる。例えば、表示装置1に水滴が付着した場合、ミューチャル検出方式では水滴を検出するのに対して、セルフ検出方式では水滴を検出しない。一方、表示装置1に指先が接触した場合、ミューチャル検出方式、およびセルフ検出方式のいずれでも指先を検出する。したがって、表示装置1に水滴が付着した場合に、水滴をタッチであると検出する事態を回避することができる。
【0028】
次に、表示装置1による画像表示について説明する。
図5は、画像表示に関わる概略的な等価回路を示す図である。表示装置1は、複数の走査線Gと、これら走査線Gに交差する複数の信号線Sと、第1ゲートドライバGD1と、第2ゲートドライバGD2と、セレクタ(RGBスイッチ)SDとを備えている。セレクタSDは、複数のビデオ線VLを介してドライバIC3と接続されている。
【0029】
各走査線Gは、表示領域DAにおいて第1方向Xに延びるとともに第2方向Yに並んでいる。各信号線Sは、表示領域DAにおいて第2方向Yに延びるとともに第1方向Xに並んでいる。各走査線G及び各信号線Sは、アレイ基板ARに形成されている。各走査線Gは、第1ゲートドライバGD1及び第2ゲートドライバGD2に接続されている。各信号線Sは、セレクタSDに接続されている。
【0030】
図5の例においては、各走査線G及び各信号線Sによって区画された領域が1つの副画素SPXに相当する。例えば、本実施形態においては、赤色に対応する副画素SPXRと、緑色に対応する副画素SPXGと、青色に対応する副画素SPXBとで1つの画素PXが構成される。画素PXは、白色に対応する副画素SPXなどをさらに備えても良い。
【0031】
各副画素SPXは、アレイ基板ARに形成された薄膜トランジスタTFT(スイッチング素子)を備えている。薄膜トランジスタTFTは、走査線G、信号線S、及び画素電極PEと電気的に接続されている。表示に際して、駆動電極TXは共通電位に設定され、いわゆる共通電極として機能する。
【0032】
第1ゲートドライバGD1及び第2ゲートドライバGD2は、各走査線Gに対して走査信号を順次供給する。セレクタSDは、ドライバIC3に制御されて、各信号線Sに対して映像信号を選択的に供給する。ある薄膜トランジスタTFTに接続された走査線Gに走査信号が供給され、かつこの薄膜トランジスタTFTに接続された信号線Sに映像信号が供給される。この映像信号に応じた電圧が画素電極PEに印加され、画素電極PEと駆動電極TXとの間に生じる電界によって液晶層LCの液晶分子の配向が電圧の印加されていない初期配向状態から変化する。このような動作により、表示領域DAに画像が表示される。
以上説明したように、本実施形態に係る表示装置1は、駆動電極TXを画像表示及びタッチ検出の双方に利用する。
【0033】
次に、表示装置1が有する駆動電極TXの構成例について説明する。駆動電極TXは、例えば、ピッチ2Wで構成され、ピッチ2Wは、例えば40画素から100画素で構成され、1画素は、既述のように、副画素SPXR,SPXG,SPXBが含まれる。ここに、駆動電極TXの「ピッチ」は、上述の第1方向Xにおける駆動電極TXの幅に相当する。駆動電極TX間はスリットで仕切られている。各駆動電極TX内にダミーのスリットが設けられてもよい。例えば、駆動電極TX間のスリットとダミーのスリットとを含む各スリットは、上述の第1方向Xにおいて、一定の間隔で並ぶ。
【0034】
第1方向Xに隣り合う副画素の間に、信号線Sと対向して第2方向Yに延びる金属配線が設けられても良い。この金属配線は、例えば、駆動電極TXの上に形成することができる。金属配線を設けることで、駆動電極TXの抵抗を下げることができる。
例えば、金属配線は、駆動電極TX間のスリットとダミーのスリットが形成される位置には設けなくても良い。例えば、駆動電極TX間のスリットとダミーのスリットを副画素SPXR,SPXBの間に設け、金属配線を副画素SPXR,SBXGの間と副画素SPXG,SPXBの間に設ける構成を採用し得る。
【0035】
駆動電極TXのピッチは、適宜に変更することができる。例えば、ピッチ2Wの駆動電極TXと、ピッチWの駆動電極TXとが混在しても良い。なお、ピッチの一例を挙げれば、ピッチ2Wが2mmであり、ピッチWが1mmである。
次に、表示装置1のミューチャル検出方式とセルフ検出方式のセンシング動作について、2つの例を挙げて説明する。一構成例は、ピッチ2Wの駆動電極TXが偶数で構成されている場合と、奇数で構成されている場合とを説明する。また、本実施形態の構成例では、ピッチ2Wの駆動電極TXと、2つのピッチWの駆動電極TXの組との合計数が偶数である場合と、奇数である場合とを説明する。
【0036】
(複数の駆動電極TXの一構成例)
<偶数で構成されている場合>
図6は、駆動電極TXの物理分割数が偶数の場合の一例であり、複数の駆動電極TXがピッチ2Wの駆動電極TX1から駆動電極TX8の8個の駆動電極TXにより構成されている。このように複数の駆動電極TXが構成されている場合のミューチャル検出方式のセンシング動作を
図7,
図8を参照して、また、セルフ検出方式のセンシング動作を
図9,
図10を参照してそれぞれ説明する。
【0037】
まず、ミューチャル検出方式のセンシング動作について説明する。
図7に示す例では、駆動電極TX1〜TX3がブロックMBL11eを構成し、駆動電極TX3〜TX5がブロックMBL12eを構成し、駆動電極TX5〜TX7がブロックMBL13eを構成し、駆動電極TX7,TX8がブロックMBL14eを構成する場合を想定する。このように、ミューチャル検出方式のセンシング動作においては、ブロックMBL毎(3バンドル毎)にセンシングを行うときに、一部の駆動電極TXがオーバーラッップするように構成されている。なお、ブロックMBL14eについては、駆動電極TX7,TX8の2バンドルになるため、ドライバIC3は、仮想の駆動電極VTXを用いて3バンドルとして処理する。また、駆動電極TX2,TX4,TX6,TX8の幅方向の中心を示す位置MC11e〜MC14eは、それぞれ各ブロックMBL11e〜MBL14eの中心位置を示している。
【0038】
ドライバIC3は、ブロックMBL11eに対して駆動信号Stxを供給すると、検出電極RXの検出結果を取得する。このような動作が、ブロックMBL12e〜MBL14eに対しても同様に実行される。
図8は、物体Oを検出していないときの各ブロックMBL11e〜MBL14eの検出結果の一例である。ブロックMBL11e〜MBL13eがそれぞれ3バンドル(ピッチ6W)であるの対して、ブロックMBL14eは2バンドル(ピッチ4W)に駆動電極VTXを加えて仮想的に3バンドルとして検出される。このため、実際に検出される容量に相違が生じ、ブロックMBL11e〜MBL13eのRAWキャパシタンスより、ブロックMBL4eのRAWキャパシタンスが小さくなる。このように、ブロックMBL11eからMBL13eのRAWキャパシタンスと、ブロックMBL14eのRAWキャパシタンスとが相違し、左右の値がアンバランスになっているため、ドライバIC3は、RAWキャパシタンスの補正が困難になり、検出精度に低下が生じる。
【0039】
次に、セルフ検出方式のセンシング動作について説明する。
図9に示す例は、駆動電極TX1,TX2がブロックSBL11eを構成し、駆動電極TX3,TX4がブロックSBL12eを構成し、駆動電極TX5,TX6がブロックSBL13eを構成し、駆動電極TX7,TX8がブロックSBL14eを構成する場合を想定する。また、駆動電極TX1,TX2の間、駆動電極TX3,TX4の間、駆動電極TX5,TX6の間、駆動電極TX7,TX8の間にそれぞれ位置する位置SC11e〜SC14eは、ブロックSBL11e〜SBL14eの中心位置を示している。
【0040】
ドライバIC3は、ブロックSBL11e〜SBL14eの検出結果を同時に取得する。
図10は、物体Oを検出していないときの各ブロックSBL11e〜SBL14eの検出結果の一例である。ブロックSBL11e〜SBL14eは、それぞれ2バンドル(ピッチ4W)であり、同容量となるため、同一のRAWキャパシタンスの値になっている。
【0041】
以上のように、ピッチ2Wの駆動電極TXが偶数で構成されている場合、ミューチャル検出方式の各ブロックMBL11e〜MBL14eの位置MC11e〜MC14eと、セルフ検出方式の各ブロックSBL11e〜SBL14eの位置SC11e〜SC14eとは、それぞれ、ずれて位置される。このように、2つのセンシング動作において、各ブロックの中心位置がずれることにより、ドライバIC3は、物体Oを誤検出する可能性が生じる。
【0042】
<奇数で構成されている場合>
図11は、駆動電極TXの物理分割数が奇数の場合の一例であり、複数の駆動電極TXがピッチ2Wの駆動電極TX1から駆動電極TX7の7個の駆動電極TXにより構成されている。このように複数の駆動電極TXが構成されている場合のミューチャル検出方式のセンシング動作を
図12,
図13を参照して、また、セルフ検出方式のセンシング動作を
図14,
図15を参照してそれぞれ説明する。
【0043】
まず、ミューチャル検出方式のセンシング動作について説明する。
図12に示す例では、駆動電極TX1,TX2がブロックMBL11oを構成し、駆動電極TX2〜TX4がブロックMBL12oを構成し、駆動電極TX4〜TX6がブロックMBL13oを構成し、駆動電極TX6,TX7がブロックMBL14oを構成する場合を想定する。このように、複数の駆動電極TXが奇数で構成されている場合にも、一部の駆動電極TXがオーバーラップするオーバーラップ駆動を実行する。なお、ブロックMBL11o,MBL14oについては、駆動電極TXが2バンドルになるため、ドライバIC3は、ブロックMBL11oは仮想の駆動電極VTX1を用いて、ブロックMBL14oは仮想の駆動電極VTX2を用いて3バンドルとして処理する。また、駆動電極TX1,TX3,TX5,TX7の幅方向の中心を示す位置MC11o〜MC14oは、各ブロックMBL11o〜MBL14oの中心位置を示している。
【0044】
ドライバIC3は、ブロックMBL11oに対して駆動信号Stxを供給すると、検出電極RXの検出結果を取得する。このような動作が、ブロックMBL12o〜MBL14oに対しても同様に実行される。
図13は、物体Oを検出していないときの各ブロックMBL11o〜MBL14oの検出結果の一例である。ブロックMBL2o,MBL3oが3バンドル(ピッチ6W)であるのに対して、ブロックMBL11o,MBL14oは2バンドル(ピッチ4W)に駆動電極VTX1,VTX2をそれぞれ加えて3バンドルとして検出される。このため、実際に検出される容量に相違が生じ、ブロックMBL2o,MBL3oのRAWキャパシタンスより、ブロックMBL11o,MBL14oのRAWキャパシタンスが小さくなる。このように、ブロックMBL11o,MBL14oのRAWキャパシタンスと、ブロックMBL12oからMBL13oのRAWキャパシタンスとが相違する。
図13に示す例では、ブロックMBL11o,ブロックMBL14oのRAWキャパシタンスがブロックMBL12o,MBL13oのRAWキャパシタンスより小さくなっている。このようにRAWキャパシタンスが相違するが、左右の値のバランスが対称的であるため、ドライバIC3は、RAWキャパシタンスの補正が容易になる。
【0045】
次に、セルフ検出方式のセンシング動作について説明する。
図14に示す例は、駆動電極TX1がブロックSBL11oを構成し、駆動電極TX2,TX3がブロックSBL12oを構成し、駆動電極TX4,TX5がブロックSBL13oを構成し、駆動電極TX6,TX7がブロックSBL14oを構成する場合を想定する。なお、ブロックSBL11oについては、駆動電極TX1の1バンドルになるため、ドライバIC3は、仮想の駆動電極VTXを用いて2バンドルとして処理する。また、それぞれ駆動電極TX1の中心、及び駆動電極TX2,TX3の間、駆動電極TX4,TX5の間、駆動電極TX6,TX7の間にそれぞれ位置する位置SC11o〜SC14oは、ブロックSBL11o〜SBL14oの中心位置を示している。
【0046】
ドライバIC3は、ブロックSBL11o〜SBL14oから同時に検出結果を取得する。
図15は、物体Oを検出していないときの各ブロックSBL11o〜SBL14oの検出結果の一例である。ブロックSBL12o〜SBL14oが2バンドル(ピッチ4W)であるのに対して、ブロックSBL11oは1バンドル(ピッチ2W)に駆動電極VTXを加えて仮想的に2バンドルとして検出される。このため、実際に検出される容量に相違が生じ、ブロックSBL12o〜SBL14oのRAWキャパシタンスより、ブロックSBL11oのRAWキャパシタンスが小さくなる。このように、ブロックSBL12o〜SBL14oのRAWキャパシタンスと、ブロックSBL11oのRAWキャパシタンスとが相違し、左右の値がアンバランスになっているため、ドライバIC3は、RAWキャパシタンスの補正が困難になり、検出精度に低下が生じる。
【0047】
以上のように、ピッチ2Wの駆動電極TXが奇数で構成されている場合において、ミューチャル検出方式の各ブロックMBL11e〜MBL14eの位置MC11e〜MC14eと、セルフ検出方式の各ブロックSBL11o〜SBL14oの位置SC11o〜SC14oとは、それぞれ、ずれて位置される。このように、2つのセンシング動作において、各ブロックの中心位置がずれることにより、ドライバIC3は、物体Oを誤検出する可能性が生じる。
【0048】
したがって、ピッチ2Wの駆動電極TXが偶数で構成されていても、奇数で構成されていても、ドライバIC3は、物体Oの誤検出を生じる可能性がある。このように誤検出を生じる仕組みについて、ピッチ2Wの駆動電極TXが奇数で構成されている場合(参照:
図11)を例に挙げ、
図16から
図19を参照して説明する。
【0049】
図16に示すように、物体Oが駆動電極TX3に接触し、且つ、駆動電極TX4にも物体Oの一部が接触する場合を想定する。
ミューチャル検出方式のセンシング動作においては、駆動電極TX3はブロックMBL12oに含まれているため、ブロックMBL12oに駆動信号Stxが供給されたときに、物体Oが検出される。
図17に示す例では、ブロックMBL12oのときにシグナル(Deltaキャパシタンス)が大きく検出される。なお、ブロックMBL11o,MBL14oではシグナルは検出されていないが、ブロックMBL13oでは物体Oの一部が接触しているため、シグナル(Deltaキャパシタンス)が若干検出されている。また、
図17において破線で示すように、物体Oの検出シグナルから少し遅れてゴースト(シグナル)がノイズにより発生する場合がある。このように、ドライバIC3は、ブロックMBL12o,MBL13oで物体Oを検出する場合が生じる。
【0050】
一方、セルフ検出方式のセンシング動作においては、
図18に示すように、
図16に示す例と同様に、物体Oが駆動電極TX3に接触し、駆動電極TX4にも物体Oの一部接触する場合を想定する。
駆動電極TX3がブロックSBL12oに含まれ、駆動電極TX4がブロックSBL13oに含まれているため、
図19に示すように、ブロックSBL12o、SBL13oのときにシグナル(Deltaキャパシタンス)が大きく検出される。なお、ブロックSBL11o,SBL14oではシグナルは検出されない。このように、ドライバIC3は、ブロックSBL12o,SBL13oで物体Oを検出する。
【0051】
したがって、物体Oの検出がブロックMBL12o(駆動電極TX2〜TX4),MBL13o(駆動電極TX4〜TX6)で検出されると共に、ブロックSBL12o(駆動電極TX2、TX3),SBL13o(駆動電極TX4,TX5)で検出される。このため、ドライバIC3は、ブロックMBL12oだけでなく、本来は物体Oを検出しないブロックMBL13oでも物体Oの位置を誤検出する場合が生じる。
【0052】
(本実施形態の複数の駆動電極TXの構成例)
<実施例1:偶数で構成されている場合>
図20は、ピッチ2Wの駆動電極TXと、2つのピッチWの駆動電極TXの組との合計数が偶数である場合の一例であり、複数の駆動電極TXが駆動電極TX1〜TX12の12個の駆動電極TXにより構成されている。駆動電極TX2,TX5,TX8,TX11はピッチ2W(第1幅)であり、駆動電極TX1,TX3,TX4,TX6,TX7、TX9,TX10,TX12はピッチW(第2幅)である。したがって、複数の駆動電極TXは、ピッチW−ピッチ2W−ピッチWの並びが繰り返されて構成されている。この並びを、以下では、第1の配置パターンと称する。なお、本実施形態の構成例においては、ピッチ2W(第1幅)がピッチW(第2幅)の2倍である場合で説明するが、第1幅が第2幅の整数倍となるように構成しても良い。
【0053】
このように複数の駆動電極TXが構成されている場合のミューチャル検出方式のセンシング動作を
図21,
図22を参照して、また、セルフ検出方式のセンシング動作を
図23,
図24を参照してそれぞれ説明する。
まず、ミューチャル検出方式のセンシング動作について説明する。
図21に示す例では、駆動電極TX1〜X4がブロックMBL1eを構成し、駆動電極TX3〜TX7がブロックMBL2eを構成し、駆動電極TX6〜TX10がブロックMBL3eを構成し、駆動電極TX9〜TX12がブロックMBL4eを構成する場合を想定する。したがって、ドライバIC3は、ブロックMBL(第1ブロック)の一部の駆動電極TXを重複させながら5バンドル(ピッチ6W,第1規定数)のオーバーラップ駆動を実行する。なお、ブロックMBL1e,ブロックMBL4eについては、4バンドルになるため、ドライバIC3は、ブロックMBL1eについてはピッチWの仮想の駆動電極VTX1を用いて、ブロックMBL4eについてはピッチWの仮想の駆動電極VTX2を用いて5バンドルとして処理する。また、駆動電極TX2,TX5,TX8,TX11の幅方向の中心を示す位置MC1e〜MC4eは、各ブロックMBL1e〜MBL4eの中心位置を示している。
【0054】
ドライバIC3は、ブロックMBL1eに対して駆動信号Stxを供給すると、検出電極RXの検出結果を取得する。このような動作が、ブロックMBL2e〜MBL4eに対しても同様に実行される。
図22は、物体Oを検出していないときの各ブロックMBL1e〜MBL4eの検出結果の一例である。ブロックMBL2e,MBL3eが5バンドル(ピッチ6W)であるのに対して、ブロックMBL1e,MBL4eは4バンドル(ピッチ5W)に駆動電極VTX1,VTX2をそれぞれ加えて仮想的に5バンドル相当として検出される。このため、実際に検出される容量に相違が生じ、ブロックMBL2e,MBL3eのRAWキャパシタンスと、ブロックMBL1e,MBL4eのRAWキャパシタンスとが相違する。
図22に示す例では、ブロックMBL1e,ブロックMBL4eのRAWキャパシタンスがブロックMBL2e,MBL3eのRAWキャパシタンスより小さくなっている。このように、RAWキャパシタンスが相違するが、左右の値のバランスが良く、対称的になっているため、ドライバIC3は、RAWキャパシタンスの補正が容易である。また、上記一構成例の駆動電極TXが偶数で構成されている場合の仮想的な駆動電極VTXの容量比(ピッチ6W:ピッチ2W,参照:
図8)と比較して、仮想的な駆動電極VTX1容量比(ピッチ6W:ピッチW)が小さくなるため、ドライバIC3は、RAWキャパシタンスの補正をさらに容易にすることができる。
【0055】
次に、セルフ検出方式のセンシング動作について説明する。
図23に示す例は、駆動電極TX1〜TX3がブロックSBL1eを構成し、駆動電極TX4〜TX6がブロックSBL2eを構成し、駆動電極TX7〜TX9がブロックSBL3eを構成し、駆動電極TX10〜TX12がブロックSBL4eを構成する場合を想定する。ブロックSBL1e〜SBL4e(第2ブロック)は、全て3バンドル(ピッチ4W,第2規定数)駆動である。また、駆動電極TX2,TX5,TX8,TX11の幅方向の中心を示す位置SC1e〜SC4eは、各ブロックSBL1e〜SBL4eの中心位置を示している。したがって、ミューチャル検出方式のセンシングの中心位置である位置MC1e〜MC4eと、セルフ検出方式のセンシングの中心位置である位置SC1e〜SC4eとは、それぞれ一致するように構成される。
【0056】
ドライバIC3は、ブロックSBL1e〜SBL4eの検出結果を同時に取得する。
図24は、物体Oを検出していないときの各ブロックSBL1e〜SBL4eの検出結果の一例である。ブロックSBL1e〜SBL4eは、それぞれ3バンドル(ピッチ4W)であり、同容量となるため、同一のRAWキャパシタンスの値になっている。
【0057】
以上のように、ミューチャル検出方式のセンシングの中心位置である位置MC1e〜MC4eと、セルフ検出方式のセンシングの中心位置である位置SC1e〜SC4eとが、それぞれ一致するように構成されている。このため、物体Oが接触、或いは近接した場合に、一構成例のように(参照:
図16〜
図19)、2つの検出方式によるセンシング動作において物体Oを検出する位置がずれない。したがって、ドライバIC3は、例えばノイズによりゴーストが発生した場合にも物体Oの誤検出を回避することができ、物体Oの位置を正確に検出することができる。
【0058】
<実施例2:奇数で構成されている場合>
図25は、ピッチ2Wの駆動電極TXと、2つのピッチWの駆動電極TXの組との合計数が奇数である場合の一例であり、複数の駆動電極TXが駆動電極TX1〜TX10の10個の駆動電極TXにより構成されている。駆動電極TX1,TX4,TX7,TX10はピッチ2W(第1幅)であり、駆動電極TX2,TX3,TX5,TX6,TX8,TX9はピッチW(第2幅)である。したがって、
図14の例と比較すると、駆動電極TX1側から、偶数番目の駆動電極TXが半分に分割されて構成されている。この並びを、以下では、第2の配置パターンと称する。なお、本実施形態の構成例においては、ピッチ2W(第1幅)がピッチW(第2幅)の2倍である場合で説明するが、第1幅が第2幅の整数倍となるように構成しても良い。
【0059】
このように駆動電極TXが構成されている場合のミューチャル検出方式のセンシング動作を
図26,
図27を参照して、また、セルフ検出方式のセンシング動作を
図28,
図29を参照してそれぞれ説明する。
まず、ミューチャル検出方式のセンシング動作について説明する。
図26に示す例では、駆動電極TX1〜TX3がブロックMBL1oを構成し、駆動電極TX2〜TX6がブロックMBL2oを構成し、駆動電極TX5〜TX9がブロックMBL3oを構成し、駆動電極TX8〜TX10がブロックMBL4oを構成する場合を想定する。このように構成される場合にも、ドライバIC3は、ブロックMBL(第1ブロック)の一部の駆動電極TXを重複させながら5バンドル(ピッチ6W:第1規定数)のオーバーラップ駆動を実行する。なお、ブロックMBL1o,MBL4oについては、3バンドル(ピッチ4W)になるため、ドライバIC3は、ブロックMBL1oについてはピッチ2Wの仮想の電極VTX1を用いて、ブロックMBL4oについてはピッチ2Wの仮想の電極VTX2を用いて、5バンドル相当として処理する。また、駆動電極TX1,TX4,TX7,TX10の幅方向の中心を示す位置MC1o〜MC4oは、各ブロックMBL1o〜MBL4oの中心位置を示している。
【0060】
ドライバIC3は、ブロックMBL1oに対して駆動信号Stxを供給すると、検出電極RXの検出結果を取得する。このような動作が、ブロックMBL2o〜MBL4oに対しても同様に実行される。
図27は、物体Oを検出していないときの各ブロックMBL1o〜MBL4oの検出結果の一例である。ブロックMBL2o,MBL3oが5バンドル(ピッチ6W)であるのに対して、ブロックMBL1o,MBL4oは3バンドル(ピッチ4W)に駆動電極VTX1,VTX2をそれぞれ加えて5バンドル相当として検出される。このため、実際に検出される容量に相違が生じ、ブロックMBL2o,MBL3oのRAWキャパシタンスより、ブロックMBL1o,MBL4oのRAWキャパシタンスが小さくなる。このように、ブロックMBL2o,MBL3oのRAWキャパシタンスと、ブロックMBL1o,MBL4oのRAWキャパシタンスとが相違する。
図27に示す例では、ブロックMBL1o,ブロックMBL4oのRAWキャパシタンスがブロックMBL2o,MBL3oのRAWキャパシタンスより小さくなっている。このようにRAWキャパシタンスが相違するが、左右の値のバランスが対称的であるため、ドライバIC3は、RAWキャパシタンスの補正が容易である。
【0061】
次に、セルフ検出方式のセンシング動作について説明する。
図28に示す例は、駆動電極TX1、TX2がブロックSBL1oを構成し、駆動電極TX3〜TX5がブロックSBL2oを構成し、駆動電極TX6〜TX8がブロックSBL3oを構成し、駆動電極TX9,TX10がブロックSBL4oを構成する場合を想定する。なお、ブロックSBL1o,ブロックSBL4oは、2バンドル駆動である。このため、ドライバIC3は、ピッチWの仮想の駆動電極VTX1,VTX2を用いて、ブロックSBL1o〜SBL4o(第2ブロック)を3バンドル(ピッチ4W:第2規定数)相当として処理する。また、駆動電極TX1,TX4,TX7,TX10の幅方向の中心を示す位置SC1o〜SC4oは、各ブロックSBL1o〜SBL4oの中心位置を示している。したがって、既述の第2実施例の偶数で構成される場合と同様に、ミューチャル検出方式のセンシングの中心位置である位置MC1o〜MC4oと、セルフ検出方式のセンシングの中心位置である位置SC1o〜SC4oとは、それぞれ一致するように構成される。
【0062】
ドライバIC3は、ブロックSBL1o〜SBL4oの検出結果を同時に取得する。
図29は、物体Oを検出していないときの各ブロックSBL1o〜SBL4oの検出結果の一例である。ブロックSBL2o,SBL3oが3バンドル(ピッチ4W)であるのに対して、ブロックSBL1o,SBL4oは2バンドル(ピッチ3W)に駆動電極VTX1,VTX2をそれぞれ加えて仮想的に3バンドルとして検出される。このため、実際に検出される容量に相違が生じ、ブロックSBL2o,SBL3oのRAWキャパシタンスと、ブロックSBL1o,SBL4oのRAWキャパシタンスとが相違する。
図29に示す例では、ブロックSBL1o,ブロックSBL4oのRAWキャパシタンスがブロックMBL2o,MBL3oのRAWキャパシタンスより小さくなっている。このように、RAWキャパシタンスが相違するが、左右の値のバランスが対称的であるため、ドライバIC3は、RAWキャパシタンスの補正が容易である。
【0063】
以上のように、既述の第1実施例のように構成される場合と同様に、ミューチャル検出方式のセンシングの中心位置である位置MC1o〜MC4oと、セルフ検出方式のセンシングの中心位置である位置SC1o〜SC4oとが、それぞれ一致するように構成されている。このため、物体Oが接触、或いは近接した場合に、2つの検出方式によるセンシング動作において物体Oを検出する位置がずれない。したがって、ドライバIC3は、物体Oの誤検出を回避することができ、物体Oの位置を正確に検出することができる。
【0064】
このように本実施形態の構成例のように、複数の駆動電極TXを第1の配置パターン、又は第2の配置パターンに構成することにより、ミューチャル検出方式のセンシングの中心位置である位置MC1e〜MC4e,MC1o〜MC4oと、セルフ検出方式のセンシングの中心位置である位置SC1e〜SC4e,SC1o〜SC4oとが、それぞれ一致するため、ドライバIC3は、物体Oの誤検出を回避することができ、物体Oの位置を正確に検出することができる。
【0065】
さらに、仮想の駆動電極VTXを含むブロックと、駆動電極VTXを含まないブロックとの容量の比が既述の一構成例の場合より小さくなるため、ドライバIC3は、RAWキャパシタンスの補正を容易にすることができる。
次に、表示装置1に含まれる、ミューチャル検出方式と、セルフ検出方式とを実行するタッチ検出装置TDの構成の一例について、ピッチ2Wの駆動電極TXと、2つのピッチWの駆動電極TXの組との合計数が奇数である場合の一例(第2の配置パターン)で説明する。
【0066】
図30に示すように、タッチ検出装置TDは、駆動電極TX1〜TX10と、ドライバIC3と、検出回路4と、第1選択回路30と、第2選択回路40と、制御回路50と、を備えている。検出回路4は、ミューチャル検出方式による物体Oを検出する回路(第1検出回路)、及びセルフ検出方式による物体Oを検出する回路(第2検出回路)を含んでいる。したがって、検出回路4は、既述のように、検出電極RX(
図30において図示省略)からの出力を検出し、検出結果をドライバIC3へ出力する処理と、SLMB1o〜SBL4o毎の出力を検出し、検出結果をドライバIC3へ出力する処理とを実行する。第1選択回路30は、スイッチング部SW1〜SW10を有している。第2選択回路40は、スイッチング部SW11〜SW20を有している。
【0067】
スイッチング部SW1〜SW10は、リード線LA1〜LA10,リード線LB1〜LB10を介して駆動電極TX1からTX10にそれぞれ接続されると共に、第2選択回路40と接続される。駆動電極TX1,TX2にそれぞれ接続されるリード線LB1,LB2は、第1選択回路30内で合流してから第2選択回路40に接続され、駆動電極TX3,TX4,TX5にそれぞれ接続されるリード線LB3,LB4,LB5は、第1選択回路30内で合流してから第2選択回路40に接続され、駆動電極TX6,TX7,TX8にそれぞれ接続されるリード線LB6,LB7,LB8は、第1選択回路30内で合流してから第2選択回路40に接続され、駆動電極TX9,TX10にそれぞれ接続されるリード線LB9,LB10は、第1選択回路30内で合流してから第2選択回路40に接続される。
【0068】
スイッチング部SW1〜SW10は、それぞれ、駆動電極TX1からTX10とスイッチング部SW11〜SW20とを導通させる第1状態(オン)と、駆動電極TX1からTX10とスイッチング部SW11〜SW10とを導通させない第2状態(オフ)との間で切り替わると共に、駆動電極TX1からTX10と検出回路4とを導通させる第3状態(オン)と、駆動電極TX1からTX10と検出回路4とを導通させない第4状態(オフ)との間で切り替わる。スイッチング部SW1〜SW10は、ドライバIC3と信号線SL15により接続されている。ドライバIC3は、信号線SL15を介して、スイッチング部SW1〜SW10にSELF_EN信号を出力する。SELF_EN信号がオンのときは、セルフ検出方式によるセンシング動作を実行するため、スイッチング部SW1〜SW10は、それぞれ第2状態、且つ、第3状態になる。一方、SELF_EN信号がオフのときは、ミューチャル検出方式によるセンシング動作などを実行するため、スイッチング部SW1〜SW10は、それぞれ第1状態、且つ、第4状態になる。
【0069】
スイッチング部SW11〜SW20は、リード線LA1〜LA10と接続されると共に、電圧線SL13,14を介してドライバIC3と接続される。電圧線SL13は、グランドに近い共通電圧VCOMDCが供給され、電圧線SL14は、所定の共通電圧TSVCOM(H)が供給される。スイッチング部SW11〜SW20は、それぞれ、リード線LA1〜LA10を介して駆動電極TX1〜TX10に供給する電圧を共通電圧VCOMDCと共通電圧TSVCOMとのいずれかになるように切り替える。共通電圧VCOMDCと共通電圧TSVCOMを高速で交互に切り換えることにより、交流電圧を駆動電極TX1〜TX10に供給することができる。
【0070】
制御回路50は、ゲートG1〜G10と、シフトレジスタS/R1〜S/R10と、を備えている。ゲートG1〜G10は、それぞれ、スイッチング部SW11〜SW20と接続されると共に、シフトレジスタS/R1〜S/R10、及び電圧線SL12と接続される。
【0071】
ゲートG1〜G10は、シフトレジスタS/R1〜S/R10からの出力と、電圧線SL12から供給される選択信号VCOMSELとを比較して、スイッチング部SW11〜SW20の状態を切り替える。
シフトレジスタS/R1〜S/R10は、それぞれゲートG1〜G10と接続されると共に、制御線SL11と接続される。制御線SL11は、ドライバIC3と接続されている。ドライバIC3は、シフトレジスタS/R1〜S/R10を、ブロックMBL1o,MBL2o,MBL3o,MBL4o毎に順次駆動させるようにシフトレジスタS/R1〜S/R10に、スタート信号SDST,クロック信号SDCKを供給する。
【0072】
次に、ミューチャル検出方式のセンシング動作について説明する。
ドライバIC3は、ブロックMBL1o(駆動電極TX1,TX2,TX3)を駆動させるように、制御線SL11を介して制御回路50に制御信号(第1駆動信号)を供給する。これにより、シフトレジスタS/R1,S/R2,S/R3から電圧を切り替えるようにスイッチング部SW11,SW12,SW13に信号が出力される。このとき、SELF_EN信号がオフであるため、リード線LA1〜LA3が接続されている一方、リード線LB1〜LB3は接続されていない。そして、ブロックMBL1oを構成する駆動電極TX1〜TX3に上述の交流電圧が供給される。このとき、検出回路4は、検出電極RX1〜RXnからの検出結果をドライバIC3へ出力する。ドライバIC3は、この検出結果に基づいて、ブロックMBL1oに対するセンシングを行うことができる。
【0073】
次に、ドライバIC3は、ブロックMBL1oに対する処理と同様な処理を、ブロックMBL2o〜MBL4oに対しても順次実行する。これにより、ドライバIC3は、ブロックMBL1o〜MBL4oに対する物体Oのセンシングを実行することができる。
【0074】
次に、セルフ検出方式のセンシング動作について説明する。
ドライバIC3は、セルフ検出方式のセンシングを行うときには、SELF_EN信号(第2駆動信号)をオンにする。これにより、信号線SL15を介して、スイッチング部SW1〜SW10に供給されるSELF_EN信号がオンになる。スイッチング部SW1〜SW10においては、SELF_EN信号がオンであるため、リード線LA1〜LA10が接続されなくなる一方、リード線LB1〜LB10が接続される。これにより、検出回路4は、ブロックSLB1o〜SLB4o毎の検出結果をドライバIC3へ出力する。ドライバIC3は、この検出結果に基づいて、ブロックSBL1o〜SBL4oに対するセンシングを行うことができる。
【0075】
次に、ドライバIC3のセンシング処理、及び画像表示の処理のタイミングについて説明する。
図31の例は、1フレームF毎のセンシング、及び画像表示のタイミングの一例を示すタイミングチャートである。
1フレームFは、複数の期間Taと、複数の期間Tbとで構成されている。期間Taと期間Tbは交互に繰り返される。各期間Taは、それぞれ画像表示のタイミングであり、各期間Tbは、センシング(タッチ検出)を実行するタイミングである。各期間Taにおいては、上述の信号線Sのうち、各期間Taに対応する信号線Snに対して表示信号SIGnが供給される。
【0076】
複数の期間Tbは、期間Tbm1〜Tbm4と、期間Tbsとを含む。ドライバIC3は、期間Tbm1〜Tbm4においてミューチャル検出方式のセンシング動作を行い、期間Tbsにおいてセルフ検出方式のセンシング動作を行う。
期間Tbsを除き、SELF_EN信号は、オフになる。期間Tbm1において、ドライバIC3は、ブロックMBL1o(駆動電極TX1〜TX3)を用いてセンシングを実行する。期間Tbm2において、ドライバIC3は、ブロックMBL2o(駆動電極TX2〜TX6)を用いてセンシングを実行する。期間Tbm3において、ドライバIC3は、ブロックMBL3o(駆動電極TX5〜TX9)を用いてセンシングを実行する。期間Tbm4において、ドライバIC3は、ブロックMBL4o(駆動電極TX8〜TX10)を用いてセンシングを実行する。
【0077】
期間Tbsにおいては、ドライバIC3は、SELF_EN信号をオンにする。これにより、ドライバIC3は、ブロックSBLo1〜SBL4o毎にセルフ検出方式のセンシングを実行することができる。
図31の例では、期間TbsがフレームFの最後の期間である。期間Tbsの終了により、フレームFが終了し、次のフレームFの処理が実行される。なお、期間Tbsは、フレームFの最初の期間Tbなど、他の期間Tbであっても良い。また、
図31では、フレームFの最初の4つの期間Tbがそれぞれ期間Tbm1〜Tbm4である例を示しているが、期間Tbm1〜Tbm4はフレームFの最後の4つの期間Tbなど、他の期間Tbであっても良い。さらに、1フレームFにおいて、複数回の期間Tbm1〜Tbm4及び期間Tbsが設定されても良い。
【0078】
以上のように、ドライバIC3は、センシング処理と、画像表示処理とを交互に切り替えながら実行する。このため、表示及びセンシングそれぞれの駆動で生じるノイズが他方の駆動に影響することを防止できる。また、所定期間画像処理を連続して行うと、当該所定期間センシング処理が実行できないが、センシング処理と、画像表示処理とを交互に切り替えるため、センシング処理ができない期間を非常に短くすることができる。
【0079】
なお、本実施形態に係る回路構成に限らず、タッチ検出装置TDは種々の回路構成によって実現することができる。
また、駆動電極TXを表示及びセンシングの双方に利用するため、表示及びセンシングに必要な電極を別々に設ける必要がない。これにより、表示装置1の構成を簡略化することができるとともに、表示装置1を小型化することができる。
【0080】
駆動電極TX及び検出電極RXは、既述の実施形態において
図1等に示した構成に限られない。例えば、駆動電極TX及び検出電極RXは、島状に形成されるとともに、同一の平面内で第1方向X及び第2方向Yに交互に配置されていても良い。また、駆動電極TX及び検出電極RXの材料は、ITOやIZOなどの透明な導電材料に限られない。例えば、検出電極RXは、金属線によって形成されていても良い。
【0081】
本実施形態では、画像表示に用いる共通電極を駆動電極TXとして利用する構成を例示した。しかしながら、共通電極と別途に駆動電極TXを設けても良い。また、タッチ検出装置TDは、表示装置1と独立した装置であっても良い。一例として、透明基板の一方の面に駆動電極TXを形成し、他方の面に検出電極RXを形成することで、タッチ検出装置TDを構成しても良い。
(他の実施形態)
さらに、
図32から
図34の例は、複数の駆動電極TXを分割する構成の他の一例を示す。
図32に示すように、複数の駆動電極TXがピッチW(同一の幅)の駆動電極TX1〜TX14で構成されている。言い換えると、既述の第1実施例の複数の駆動電極TXが奇数で構成されている場合の各駆動電極TXを全て1/2に分割した構成となっている。
【0082】
このように複数の駆動電極TXを構成した場合のミューチャル検出方式のセンシング動作の一例を
図33に示す。
図33に示す例では、駆動電極TX1〜TX4がブロックMBL21を構成し、駆動電極TX3〜TX8がブロックMBL22を構成し、駆動電極TX7〜TX12がブロックMBL23を構成し、駆動電極TX11〜TX14がブロックMBL24を構成する場合を想定する。このように構成される場合には、ドライバIC3は、6バンドル(ピッチ6W)相当のオーバーラップ駆動を実行する。なお、ブロックMBL21,MBL24は、4バンドル(ピッチ4W)になるため、ドライバIC3は、ブロックMBL21についてはピッチ2Wの仮想の電極VTX1を用いて、ブロックMBL24については仮想の電極VTX2を用いて、6バンドル相当として処理する。また、駆動電極TX1とTX2,TX5とTX6,TX9とTX10,TX13とTX14との間を示す位置MC21〜MC24は、各ブロックMBL21〜MBL24の中心位置を示している。
【0083】
次に、セルフ検出方式のセンシング動作の一例を
図34に示す。
図34に示す例では、駆動電極TX〜TX3がブロックSBL21を構成し、駆動電極TX4〜TX7がブロックSBL22を構成し、駆動電極TX8〜TX11がブロックSBL23を構成し、駆動電極TX12〜TX14がブロックSBL24を構成する場合を想定する。なお、ブロックSBL21,ブロックSBL24は、3バンドル(ピッチ3W)になるため、ドライバIC3は、ピッチWの仮想の駆動電極VTX1,VTX2をそれぞれ用いて、4バンドルとして処理する。また、駆動電極TX1とTX2,TX5とTX6,TX9とTX10,TX13とTX14との間を示す位置SC21〜SC24は、各ブロックSBL21〜SBL24の中心位置を示している。したがって、ミューチャル検出方式のセンシングの中心位置である位置MC21〜MC24と、セルフ検出方式のセンシングの中心位置である位置SC21〜SC24とは、それぞれ一致するように構成される。したがって、この他の実施形態のように複数の駆動電極TXを構成しても上記第2実施例と同様な効果を奏することができる。
【0084】
なお、本実施形態においては、
図30の例のように、検出回路4がミューチャル検出方式と、セルフ検出方式の2つの検出を行う場合で説明したが、このような構成に限るものではない。ミューチャル検出方式による検出を行う回路と、セルフ検出方式による検出を行う回路とをドライバIC3内に含み、1チップ構成としても良い。また、ミューチャル検出方式による回路と、セルフ検出方式による回路を別々のチップとして構成しても良い。
【0085】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
(付記)
(1)複数のセンサと、前記複数のセンサを第1規定数単位で前記センサを重複させながら順次駆動させる第1駆動信号、及び前記複数のセンサを第2規定数単位で一斉に駆動させる第2駆動信号を供給するドライバと、前記第1駆動信号に対応する第1検出信号に基づいて検出領域に接触或いは近接する物体を検出する第1検出回路と、前記第2駆動信号に対応する第2検出信号に基づいて検出領域に接触する或いは近接する物体を検出する第2検出回路と、を備え、前記複数のセンサは、前記第1規定数単位で順次駆動する前記センサの中心位置と、前記第2規定数単位で駆動する前記センサの中心位置とが一致するように分割される、タッチ検出装置。
(2)前記センサの幅が、所定幅であり、前記分割される前記センサの幅は、前記所定幅の半分である、(1)に記載のタッチ検出装置。
(3)前記センサの幅が同一の幅である、(1)に記載のタッチ検出装置。