【文献】
DE OLIVEIRA SN et al., Modification of hematopoietic stem/progenitor cells with CD19-specific chimeric antigen receptors as a novel approach for cancer immunotherapy, Human Gene Therapy [online], Vol.24, p.824-839, Epub 2013.08.22, <Retrieved on 2018.09.10>, <URL= https://www.liebertpub.com/doi/abs/10.1089/hum.2012.202>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
リガンド結合ドメインが、Kabat番号付けに従い、RASQDISKYLN(SEQ ID NO.108)の配列であるCDRL1、SRLHSGV(SEQ ID NO.111)の配列であるCDRL2、GNTLPYTFG(SEQ ID NO.104)の配列であるCDRL3、DYGVS(SEQ ID NO.103)の配列であるCDRH1、VIWGSETTYYNSALKS(SEQ ID NO.114)の配列であるCDRH2及びYAMDYWG(SEQ ID NO.115)の配列であるCDRH3を含む、単鎖のFvフラグメント(scFv)である、請求項1に記載の処方物。
リガンド結合ドメインが、SEQ ID NO.108、111、104、103、114及び115で表されるFMC63抗体の軽鎖及び重鎖可変領域のCDRを含む、単鎖のFvフラグメント(scFv)である、請求項1に記載の処方物。
リガンド結合ドメインが、SEQ ID NO.56、57又は58で表されるR12の単鎖のFvフラグメント(scFv)の重鎖及び軽鎖可変領域のCDRを含む、scFvである、請求項1に記載の処方物。
リガンド結合ドメインが、SEQ ID NO.53、54又は55で表されるR11の単鎖のFvフラグメント(scFv)の重鎖及び軽鎖可変領域のCDRを含む、scFvである、請求項1に記載の処方物。
スペーサー領域が、ヒンジ領域、及びCH1、CH2、CH3又はその組み合わせから選択されるヒト抗体のFcドメインの少なくとも1つのほかの部分を含む、請求項12に記載の処方物。
スペーサー領域が、SEQ ID NO:47、SEQ ID NO:52、又はSEQ ID NO:61で表される配列を有する、請求項12に記載の処方物。
遺伝子的に改変された細胞が、SEQ ID NO:34、53、54、55、56、57、又は58で表される配列を有するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する、請求項1に記載の処方物。
免疫系の再増殖が、化学療法、放射線療法、及び/またはHCTに対応した骨髄機能廃絶療法による、免疫不全、汎血球減少症、好中球減少症、及び/または白血球減少症を治療する、請求項23に記載の医薬。
再増殖が、造血細胞移植(HCT)に対応して骨髄機能廃絶療法への暴露に基づいて行われる必要があり及び望ましくない細胞が、CD19を発現している急性リンパ性白血病細胞である、請求項23に記載の医薬。
【発明を実施するための形態】
【0008】
がん細胞などの、望ましくない細胞を標的にし、及び殺傷する免疫系の遺伝的に改変されたT細胞において、著しい進歩が成し遂げられている。例えば、T細胞は、特定の標的抗原を結合する細胞外成分及びその細胞外成分が標的抗原に結合した際に、T細胞の作用を指示する細胞内成分を持つ分子を発現するように、遺伝子的に改変されている。例として、その細胞外成分は、がん細胞上に見出された標的抗原を選択的に結合するように設計でき、及び結合した際に、その細胞内成分が、結合されたがん細胞を破壊するようにT細胞に指示する。そのような分子の例には、遺伝子的に改変されたT細胞受容体(TCR)及びキメラ抗原受容体(CAR)を含む。
【0009】
遺伝子的に改変されたT細胞は、望ましくない細胞型を標的にし、及び破壊する能力を著しく進歩させた一方で、治療行為に使用する前に、個別の特定対象者との免疫学的な適合が必要である。一旦、ドナー適合が判明すると(または、治療が必要な対象者からT細胞が得られると)、その細胞は、その対象者に使用する前に改変され及び増殖されなければならない。この時間を浪費しかつ費用のかかるプロセスは、例えば、治療において致命的な遅延を引き起こす可能性がある。
【0010】
本開示は、特定対象者に対する免疫学的な適合の必要が無く治療に投与できる、遺伝子的に改変された幹細胞を提供する。したがって、これらの遺伝子的に改変された幹細胞は、ドナーの特定及びそれに続く細胞改変及び増殖に関連した治療における遅延及び費用を排除した、「すぐに使える」治療を提供する。この改変幹細胞は、単独で投与でき、または多数の治療目的を達成するその他の治療法との多様な組み合わせで使用できる。特定の実施形態において、当該改変幹細胞は、投与前に、改変された非エフェクターT細胞に分化できる。
【0011】
より特定には、造血幹/前駆細胞(HSPC)は、特定細胞マーカーを結合する細胞外成分及びその細胞外成分が、その細胞マーカーを結合した際に、当該遺伝子的に改変された細胞の作用を指示する細胞内成分を有する分子を発現するように、遺伝子的に改変される。例として、当該細胞外成分は、がん細胞上に見出された細胞マーカーを選択的に結合するように設計でき、及び結合した際に、その細胞内成分が、結合されたがん細胞を破壊するように、当該遺伝子的に改変された細胞に指示する。そのような分子の例には、遺伝子的に改変されたT細胞受容体(TCR)、キメラ抗原受容体(CAR)、及びその他の本明細書に開示される分子を含む。当該改変されたHSPCは、投与前の非エフェクターT細胞に、分化できる。
【0012】
特定の実施形態の一使用例として、臍帯血移植(CBT)は、適切な適合ドナーが特定できない場合の、再発小児急性リンパ芽球性白血病(ALL)に対するケアの標準である。この方法は、適切なドナーが非常に見つかりにくい、少数または混合民族(及び白色人種の30%)を背景にもつ患者には、特に重要である。
【0013】
ALLを根絶し、及び長期寛解を与えるCBTの能力は、移植片対白血病(GVL)効果の一部によるものである。しかしながら依然として、CBT処置後のALLの再発率は、移植片対宿主病(GVHD)を含む、再発及び治療関連死の両方に関連した全生存率を含めて、約40%である(Smith et al.,Biol Blood Marrow Transplant,2009.15(9):p.1086―93、Tomblyn et al.,J Clin Oncol,2009.27(22):p.3634―41)。本明細書で開示される組成及び処方は、GVHD疾患率を増加させることなしに、GVL効果を高めることができる。この戦略は、ノッチリガンドを使用した内因性ノッチシグナル伝達経路の活性化を介した、臍帯血(CB)HSPCの体外増殖を利用して臨床的に実行可能であり、CD34+細胞の100倍増殖よりさらに大きい結果をもたらす。臨床的に、この増殖HSPCは、非操作ユニットと一緒に注入可能であり、その増殖ユニットから誘導される産物と共にこの増殖HSPCの一時生着へと導き、一方で、長期生着は、この非操作ユニットから最終的に誘導される。
【0014】
ノッチリガンド増殖のCB HSPCは、CD19特異のCARを発現するベクターを使用した遺伝子改変に適している。このノッチリガンドCB増殖システムを利用して、CD19 CARを発現するための増殖HSPCの遺伝子改変により、GVLをCBTに遺伝子的に組み入れることができ、ここで、この移植骨髄性及びリンパ性エフェクター細胞は、残存している白血病細胞を認識し、そして溶解する。
【0015】
請求項に係る発明を、ここではより一般的に記述する。
【0016】
造血幹/前駆細胞またはHSPCは、造血幹細胞及び/または造血前駆細胞を指す。HSPCは、自己更新することができ、または(i)単球及びマクロファージ、好中球、好塩基球、好酸球、赤血球、巨核球/血小板または樹状細胞を、最終的に生じさせる骨髄前駆細胞、または(ii)T細胞、B細胞、及びナチュラルキラー細胞(NK細胞)と呼ばれるリンパ球様細胞を、最終的に生じさせるリンパ球前駆細胞に、分化できる。造血及びHSPC分化の一般的な論議に対しては、Chapter 17,Differentiated Cells and the Maintenance of Tissues,Alberts et al.,1989,Molecular Biology of the Cell,2nd Ed.,Garland Publishing,New York,NY、Chapter 2 of Regenerative Medicine、Department of Health and Human Services,August 5,2006、及びChapter 5 of Hematopoietic Stem Cells,2009,Stem Cell Information,Department of Health and Human Servicesを参照のこと。
【0017】
HSPCは、別のタイプの造血細胞に比べて、HSPC上で亢進したレベルで発現した特定マーカーに対しては、陽性になり得る。例えば、そのようなマーカーには、CD34、CD43、CD45RO、CD45RA、CD59、CD90、CD109、CD117、CD133、CD166、HLA DR、またはそれらの組み合わせを含む。また、当該HSPCは、別のタイプの造血細胞と比べて、発現マーカーに対しては相対的に陰性になり得る。例えば、そのようなマーカーには、Lin、CD38、またはそれらの組み合わせを含む。望ましくは、当該HSPCは、CD34+細胞である。
【0018】
HSPC源には、臍帯血、胎盤血、及び末梢血を含む(米国特許第5,004,681号、第7,399,633号及び第7,147,626号、Craddock et al.,1997、Blood 90(12):4779−4788、Jin et al.,2008、Journal of Translational Medicine 6:39,Pelus,2008、Curr.Opin.Hematol.15(4):285−292、Papayannopoulou et al.,1998、Blood 91(7):2231−2239、Tricot et al.,2008,Haematologica 93(11):1739−1742、及びWeaver et al.,2001,Bone Marrow Transplantation 27(2):S23−S29、を参照)。血液サンプルの収集、抗血液凝固およびその処理などの方法は、当業者には公知である。例えば、Alsever et al.,1941,N.Y.St.J.Med.41:126、De Gowin,et al.,1940,J.Am.Med.Ass.114:850、Smith,et al.,1959,J.Thorac.Cardiovasc.Surg.38:573、Rous及びTurner,1916,J.Exp.Med.23:219、及びHum,1968,Storage of Blood,Academic Press,New York,pp.26−160を参照のこと。HSPC源にはまた、適正年齢ドナーからの、骨髄(Kodo et al.,1984,J.Clin Invest.73:1377−1384を参照)、胚細胞、大動脈・性腺・中腎派生細胞、リンパ、肝臓、胸腺、及び脾臓を含む。HSPCの収集された全てのサンプルは、その時点で許容される最新の基準に従って、望ましくない成分を選び出し及び破棄し、処理し、または利用できる。
【0019】
HSPCは、任意の適切な技術を使用したサンプルから、収集され及び単離できる。適切な収集及び単離の手順には、磁気分離、蛍光活性化細胞選別(FACS;Williams et al.,1985、J.Immunol.135:1004、Lu et al.,1986、Blood 68(1):126−133)、親和性クロマトグラフィー、モノクローナル抗体に結合して、または補体及び細胞毒素などのモノクローナル抗体と併用して使用される細胞毒性薬、固相母体に付着した抗体との「プランニング」(Broxmeyer et al.,1984,J.Clin.Invest.73:939−953)、大豆などのレクチンを用いた選択的凝集(Reisner et al.,1980,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.77:1164)などを含む。
【0020】
特定の実施形態において、HSPCサンプル(例えば、新鮮な臍帯血ユニット)は、磁気細胞分離機、例えば、CliniMACS(登録商標)細胞分離システム(Miltenyi Biotec、 Bergisch Gladbach、Germany)に組み込まれた磁気粒子に直接または間接に接合させられた抗―CD34抗体を用いて、CD34+細胞に対して選択/濃縮の処置ができる。正常な骨髄細胞数の1−2%から50−80%へのCD34+HSPCの濃縮を記述する、米国特許第7,399,633号のセクション5.4.1.1を参照のこと。
【0021】
同様に、CD43、CD45RO、CD45RA、CD59、CD90、CD109、CD117、CD133、CD166、HLA DR、またはそれらの組み合わせを発現しているHSPCを、それら抗原に対する抗体を使用して濃縮できる。米国特許第5,877,299号は、サンプルからHSPC細胞を単離し、収集し、及び濃縮するために使用可能である適切な造血抗原をさらに記述している。
【0022】
以下の単離及び/または濃縮によって、HSPCの数を増加するために、HSPCを増殖できる。単離及び/または増殖法は、例えば、米国特許第7,399,633号及び第5,004,681号、米国特許公開番号2010/0183564、国際公開特許(WO)WO2006/047569、WO2007/095594、WO2011/127470、及びWO2011/127472、Vamum−Finney et al.,1993、Blood 101:1784−1789、Delaney et al.,2005,Blood 106:2693−2699、Ohishi et al.,2002、J.Clin.Invest.110:1165−1174、Delaney et al.,2010,Nature Med.16(2):232−236、及びChapter 2 of Regenerative Medicine、Department of Health and Human Services、August 2006、及び本明細書の参照欄に記述される。収集、単離、及び増殖で参照される各方法は、本開示の特定の実施形態において、利用可能である。
【0023】
HSPCを増殖する好ましい方法は、ノッチアゴニストを伴うHSPCの増殖である。ノッチアゴニストを使用したHSPCの増殖に関する情報については、米国特許第7,399,633号のセクション5.1及び5.3、米国特許第5,780,300号、第5,648,464号、第5,849,869号、及び第5,856,441号、WO1992/119734、Schlondorfiand Blobel,1999、J.Cell Sci.112:3603−3617、Olkkonen and Stenmark,1997,Int.Rev.Cytol.176:1−85、Kopan et al.,2009,Cell 137:216−233、Rebay et al.,1991、Cell 67:687−699、及びJarriault et al.,1998,Mol.Cell.Biol.18:7423−7431を参照のこと。特定の実施形態において、当該ノッチアゴニストは、増殖中に固定される。
【0024】
ノッチアゴニストは、そのニッチ経路において、ノッチタンパク質またはその他のタンパク質に結合するかもしくは相互作用し、そのためノッチ経路の活性化を促進する任意の化合物を含む。例示的なノッチアゴニストは、リガンドのDelta及びSerrate(例えば、Jagged)を結合する細胞外成分、HairlessのRBP JκI 抑制遺伝子、Deltex、Fringe、またはノッチ経路の活性化を促進するそれらのフラグメントである。Deltaファミリーメンバー及びSerrateファミリーメンバーの核酸及びアミノ酸配列は、複数の種から単離されており、及び例えば、WO1993/12141、WO1996/27610、WO1997/01571、及びGray et al.,1999,Am.J.Path.154:785−794に記述される。
【0025】
特定の実施形態において、当該ノッチアゴニストは、Delta1
ext−IgGである。特定の実施形態において、Delta1
ext−IgGは、0.2から20 μg/mlの間の濃度で、1.25から10 μg/mlの間の濃度で、または2から6 μg/mlの間の濃度で、固相に適用される。
【0026】
特定の実施形態において、増殖の間に、HSPCは、ノッチアゴニスト及びアリール炭化水素受容体アンタゴニストの存在中で、培養される。当該ノッチアゴニストは、固定され得て、及び当該アリール炭化水素受容体アンタゴニストは、その細胞に接触している液体中に存在し得る。
【0027】
当業者には理解されることだが、さらなる培養条件には、アンジオポエチン様タンパク質(Angptls、例えば、Angptl2、Angptl3、Angptl7、Angpt15、およびMfap4)、エリスロポエチン、線維芽細胞成長因子1(FGF−1)、Flt−3リガンド(Flt−3L)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージ・コロニー刺激因子(GM−CSF)、インスリン成長因子2(IFG−2)、インターロイキン−3(IL−3)、インターロイキン−6(IL−6)、インターロイキン−7(IL−7)、インターロイキン−11(IL−11)、幹細胞因子(SCF、またc−kitリガンドまたは肥満細胞の成長因子として知られる)、トロンボポエチン(TPO)、それらの類似体(ここでその類似体には、天然に存在する成長因子の生物学的活性を有する成長因子の任意の構造変異体を含み、例えば、WO2007/1145227、米国特許公開番号2010/0183564を参照)などの、1つ以上の成長因子の存在下での増殖を含めることができる。
【0028】
特定の実施形態において、HSPCの増殖に適切な成長因子の量または濃度は、HSPCの増殖を促進させるが、しかしそれに続くそのHSPCの分化を促進させないのに効果的な量または濃度である。細胞数はまた、ヒトの対象者に少なくとも一回の点滴を与えるのに適切な数の細胞、通常は約10
4 細胞/kgから10
9 細胞/kgが得られるまで、好ましくは増殖される。
【0029】
HSPCの増殖に適した成長因子の量または濃度は、成長因子調製液の活性、及びその成長因子及びHSPC間の種の対応性に依存している。一般的に、成長因子とHSPCが同一種である場合、その培地中の成長因子の総量は、1 ng/mlから5 μg/mlの範囲に、5 ng/mlから1 μg/mlの範囲に、または5 ng/mlから250 ng/mlの範囲にある。さらなる実施形態において、成長因子の量は、5−1000または50−100 ng/mlの範囲にあり得る。
【0030】
特定の実施形態において、前述の成長因子は、以下の濃度におけるHSPC増殖の培養条件中に存在する。25−300 ng/mlのSCF、25−300 ng/mlのFlt−3L、25−100 ng/mlのTPO、25−100 ng/mlのIL−6及び10 ng/mlのIL−3。より特定の実施形態において、50、100、または200 ng/mlのSCF、50、100、または200 ng/mlのFlt−3L、50または100 ng/mlのTPO、50または100 ng/mlのIL−6、及び10 ng/mlのIL−3が使用され得る。
【0031】
特定の実施形態において、HSPCは、1つの固定されたノッチアゴニスト、及び50 ng/mlまたは100 ng/mlのSCFに、1つの固定されたノッチアゴニスト、及び50 ng/mlまたは100 ng/mlのFlt−3L、IL−6、TPO、及びSCFの各々、または1つの固定されたノッチアゴニスト、及び50 ng/mlまたは100 ng/mlのFlt−3L、IL−6、TPO、及びSCFの各々、そして10 ng/mlのIL−11またはIL−3に、そのHSPCを暴露することにより増殖され得る。
【0032】
HSPCは、フィブロネクチン(FN)、またはそのフラグメント(例えば、CH−296(Dao et.al.,1998,Blood 92(12):4612−21))またはRetroNectin(登録商標)(遺伝子組換えヒトフィブロネクチン・フラグメント(Clontech Laboratories,Inc.,Madison,WI)などの、細胞外マトリックスタンパク質が結合されている培養の組織培養皿中で増殖され得る。
【0033】
特定の実施形態において、HSPC増殖法には、固定化Delta1
ext−IgG及びCH−296、そしてIL−6、TPO、Flt−3L、CSF、及びIL−3から選ばれる4つ以上の成長因子でコートされた固相上で、体外的に単離されたHSPCを培養し、その結果、増殖されたHSPCサンプルを産出する方法を含む。
【0034】
HSPCを増殖する特定の実施形態において、当該細胞は、固定化Deltaリガンド及びフィブロネクチンそして25 ng/mlまたは100 ng/ml(またはこれらの値間の任意の範囲)、及び好ましくは50 ng/mlのSCF及びTPOの各々を含む、プラスチック製の組織培養皿上で培養される。HSPCを増殖する特定の実施形態において、当該細胞は、25 ng/mlまたは100 ng/ml(またはこれらの値間の任意の範囲)、及び好ましくは50 ng/mlのSCF及びFlt−3Lの各々の存在下における、固定化Deltaリガンド及びフィブロネクチンを含むプラスチック製の組織培養皿上で培養される。HSPCを増殖する特定の実施形態において、当該細胞は、固定化Deltaリガンド及びフィブロネクチンそして25 ng/mlまたは100 ng/ml(またはこれらの値間の任意の範囲)、及び好ましくは50 ng/mlのSCF、Flt−3L及びTPOの各々を含む、プラスチック製の組織培養皿上で培養される。HSPCを増殖する特定の実施形態において、当該細胞は、固定化Deltaリガンド及びフィブロネクチンそして25 ng/mlまたは100 ng/ml(またはこれらの値間の任意の範囲)、及び好ましくは50 ng/mlのSCF、Flt−3L、TPO、及びIL−6の各々を含む、プラスチック製の組織培養皿上で培養される。特定の実施形態において、当該HSPCはさらに、5から15 ng/ml、及び好ましくは10 ng/mlのIL−3の存在下で培養される。特定の実施形態において、当該HSPCはさらに、5から15 ng/ml、及び好ましくは10 ng/mlのGM−CSFの存在下で培養される。特定の実施形態において、使用されるひとつ以上の成長因子は、GM−SCFまたはIL−7ではない。特定の互換的な実施形態において、フィブロネクチンは、その組織培養皿から除外されまたは別の細胞外マトリクスタンパク質に置き換えられる。HSPCの増殖に関するさらなる方法及び詳細は、WO 2013/086436に見出せる。
【0035】
特定の実施形態において、記述される方法を利用して得られた、増殖HSPCサンプル中のCD34+細胞のパーセンテージは、増殖前の単離HSPC中のCD34+細胞のパーセンテージより高い。適切な培養条件に関するさらなる情報については、米国特許第7,399,633号、米国特許公開番号2010/0183564、及びFreshney Culture of Animal Cells、Wiley−Liss,Inc.,New York、NY(1994))を参照のこと。
【0036】
改変HSPC。特定の実施形態において、HSPCは、1つの細胞外成分及び1つの細胞内成分を有する分子を発現するように改変される。その細胞外成分及びの細胞内成分は、直接にまたはスペーサー領域を介して、1つの膜貫通ドメイン、1つのタグ配列、及び/または1つのリンカー配列に連結され得る。
【0037】
細胞外成分。細胞外成分は、ドメインを連結している(これ以降は、結合ドメイン)少なくとも1つのリガンドを含む。その結合ドメインは、当該改変された細胞が、特に望ましくない細胞型を、その望ましくない細胞型上に選択的に見出される細胞マーカーを結合することによって標的にするように設計される。
【0038】
細胞マーカー。特定の実施形態において、細胞マーカーは、望ましくないがん細胞のような望ましくない細胞により選択的に発現される。「選択的に発現された」は、1つの細胞マーカーが、1つの望ましくない細胞型上に、その他の非標的細胞に比べて、より高いレベルで見出されることを意味する。健全な医療判断内で、そのマーカーの存在に基づいてその望ましくない細胞を標的にし、及び殺傷する細胞の投与が、そのマーカーをより少ない程度に発現させるかもしれない別の非標的細胞を巻き添え死させるリスクを上回っている、そうした発現レベルの違いが非常に重要である。ある例において、細胞マーカーは、望ましくない細胞型のみにより発現される。その他に例においては、当該細胞マーカーは、望ましくない細胞型上に、非標的細胞に比べて、少なくとも25%、35%、45%、55%、65%、75%、85%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%以上多く発現される。例示的な望ましくないがん細胞には、副腎がん、膀胱がん、血液がん、骨がん、脳腫瘍、乳がん、上皮性悪性腫瘍、子宮頸がん、結腸がん、大腸がん、コーパス子宮がん、耳、鼻と喉(ENT)のがん、子宮内膜がん、食道がん、消化管がん、頭頸部のがん、ホジキン病、腸がん、腎臓がん、喉頭がん、白血病、肝臓がん、リンパ節がん、リンパ腫、肺がん、黒色腫、中皮腫、骨髄腫、鼻咽頭がん、神経芽細胞腫、非ホジキン病のリンパ腫、口腔がん、卵巣がん、膵がん、陰茎がん、咽頭がん、前立腺がん、直腸がん、非上皮性悪性腫瘍、精上皮腫、皮膚がん、胃がん、奇形腫、精巣がん、甲状腺がん、子宮がん、腟がん、血管系腫瘍、及びそれらの転移からのがん細胞を含む。
【0039】
特定の以下のがん細胞は、関連する細胞マーカーを結合するドメインを、その細胞外成分内に含めることにより標的化され得る。
【表1】
【0040】
上述の限定なしに、細胞マーカーにはまた、A33、BAGE、Bcl−2、β−カテニン、B7H4、BTLA、CA125、CA19−9、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD33、CD37、CD44v6、CD45、CD123、CEA、CEACAM6、c−Met、CS−1、サイクリンB1、DAGE、EBNA、EGFR、エフリンB2、ErbB2、ErbB3、ErbB4、EphA2、エストロゲン受容体、FAP、フェリチン、α-フェトプロテイン(AFP)、FLT1、FLT4、葉酸結合タンパク質、Frizzled、GAGE、G250、GD−2、GHRHR、GHR、GM2、gp75、gp100(Pmel 17)、gp130、HLA、HER−2/neu、HPV E6、HPV E7、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、HVEM、IGF1R、IL6R、KDR、Ki−67、LIFRβ、LRP、LRP5、LTβR、メソテリン、OSMRβ、p53、PD1、PD−L1、PD−L2、PRAME、プロゲステロン受容体、PSA、PSMA、PTCH1、MAGE、MART、メソテリン、MUC、MUC1、MUM−1−B、myc、NYESO−1、RANK、ras、Robo1、RORl、サバイビン、TCRα、TCRβ、テネイシン、TGFBR1、TGFBR2、TLR7、TLR9、TNFR1、TNFR2、TNFRSF4、TWEAK−R、TSTAチロシナーゼ、VEGF、及びWT1を含む。
【0041】
特定のがん細胞の細胞マーカーには、以下を含む。
【表2】
【0042】
望ましくない細胞及び細胞マーカーは、がん細胞及びがん細胞マーカーに限定されないが、例えば、B型肝炎表面抗原を発現するものなどのウイルス感染細胞もまた、含むことができる。
【0043】
結合ドメイン。結合ドメインには、錯体を形成する細胞マーカーを結合する任意の物質を含む。結合ドメインの例には、細胞マーカーリガンド、受容体リガンド、抗体、ペプチド、ペプチドアプタマー、受容体(例えば、T細胞受容体)、またはそれらの組み合わせを含む。
【0044】
抗体は、結合ドメインの一例であり及び全ての抗体または抗体に結合しているフラグメント、例えば、Fv、Fab、Fab′、F(ab′)2、Fc、及び単鎖(sc)形成体及び細胞マーカーを特異的に結合するそれらのフラグメントを含む。さらなる例示には、scFv−ベースのグラバ抗体(grababody)及び溶解性VHドメイン抗体を含む。これらの抗体は、重鎖の可変領域のみを使用した結合領域を形成する。例えば、Jespers et al.,Nat.Biotechnol.22:1161,2004、Cortez−Retamozo et al.,Cancer Res.64:2853,2004、Baral et al.,Nature Med.12:580,2006、及びBarthelemy et al.,J.Biol.Chem.283:3639,2008)を参照のこと。
【0045】
抗体またはフラグメントを結合している抗原には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、合成抗体、キメラ抗体、二重特異性抗体、ミニ抗体、及び線形抗体の全て又は一部を含むことができる。
【0046】
ヒト起源の抗体またはヒト化抗体は、ヒトにおける免疫原性が低いかもしくは無く及び非ヒト抗体と比べて少ない数の非免疫原性エピトープを有する。抗体及びそれらのフラグメントは一般に、ヒトの対象者において抗原のレベルを低くまたは無いように選択される。
【0047】
特定の細胞マーカーを特異的に結合する抗体は、モノクローナル抗体を得る方法、ファージディスプレイ方法、ヒトまたはヒト化抗体を生成する方法、または当業者には公知である、抗体を作り出すために組み換えられた遺伝子組換え動物または植物を使用する方法(例えば、米国特許第6,291,161号及び第6,291,158号を参照)、を利用して調製できる。合成抗体の一部または全体のファージディスプレイ用ライブラリーが利用可能であり及び細胞マーカーを結合できる抗体またはそれらのフラグメントを選別できる。例えば、結合ドメインは、対象となる細胞マーカーに特異的に結合するFabフラグメントに対応したFabファージライブラリーを選別することで、特定されるであろう(Hoet et al.,Nat.Biotechnol.23:344、2005を参照)。ヒト抗体のファージディスプレイ用ライブラリーもまた、利用可能である。さらに、簡便な系統(例えば、マウス、HuMAbマウス(登録商標)(GenPharm Int’‘l.Inc.,Mountain View、CA)TCマウス(登録商標)(Kirin Pharma Co.Ltd.,Tokyo,JP)、KM−マウス(登録商標)(Medarex,Inc.,Princeton,NJ)ラマ、チキン、ラット、ハムスター、ウサギなど)における免疫源として、対象の細胞マーカーを使用したハイブリドーマ発現に対応した伝統的な戦略が、結合ドメインの発現に利用できる。特定の実施形態において、抗体は、特定の望ましくない細胞型により選択的に発現された細胞マーカーを結合し及び非特異の成分または関連しない標的とは交差反応しない。一度特定されると、その抗体のアミノ酸配列及びその抗体をコードしている遺伝子配列が、単離でき及び/または決定できる。
【0048】
結合ドメインの代替源には、scTCR(例えば、Lake et al.,Int.Immunol.11:745,1999、Maynard et al.,J.Immunol.Methods 306:51,2005、米国特許第8,361,794号を参照)、フィブリノゲンドメイン(例えば、Weisel et al.,Science 230:1388,1985を参照)、クニッツドメイン(例えば、米国特許第6,423,498号を参照)、設計されたアンキリン繰り返しタンパク質(DARPins;Binz et al.,J.Mol.Biol.332:489,2003、及びBinz et al.,Nat.Biotechnol.22:575,2004)、フィブロネクチン結合ドメイン(アドネクチンまたはモノボディー、Richards et al.,J.Mol.Biol.326:1475,2003、Parker et al.,Protein Eng.Des.Selec.18:435,2005及びHackel et al.(2008)J.Mol.Biol.381:1238−1252)、システイン−結び目ミニタンパク質(Vita et al.,1995,Proc.Nat’l.Acad.Sci.(USA)92:6404−6408;Martin et al.,2002、Nat.Biotechnol.21:71,2002、及びHuang et al.(2005)Structure 13:755,2005)、テトラトリコペプチドの繰り返しドメイン(Main et al.,Structure 11:497,2003及びCortajarena et al.,ACS Chem.Biol.3:161,2008)、ロイシン−リッチ繰り返しドメイン(Stumpp et al.,J.Mol.Biol.332:471,2003)、リポカリンドメイン(例えば、WO 2006/095164、Beste et al.,Proc.Nat‘l.Acad.Sci.(USA)96:1898、1999、及びSchonfeld et al.,Proc.Nat‘l.Acad.Sci.(USA)106:8198,2009を参照)、V−様ドメイン(例えば、米国特許公開番号2007/0065431を参照)、C型レクチンドメイン(Zelensky及びGready,FEBS J.272:6179,2005、Beavil et al.,Proc.Nat‘l.Acad.Sci.(USA)89:753,1992及びSato et al.,Proc.Nat’l.Acad.Sci.(USA)100:7779,2003)、mAb2またはFcab商標(例えば、WO 2007/098934及びWO 2006/072620を参照)、アルマジロの繰り返しタンパク質(例えば、Madhurantakam et al.,Protein Sci.21:1015,2012、WO 2009/040338を参照)、アフィリン(Ebersbach et al.,J.Mol.Biol.372:172,2007)、アフィボディー(affibody)、アビマー(avimers)、ノッチン(knottins)、フィノマー(fynomers)、アトリマー(atrimers)、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質−4(Weidle et al.,Cancer Gen.Proteo.10:155,2013)、またはそれらに類するもの(Nord et al.,Protein Eng.8:601,1995、Nord et al.,Nat.Biotechnol.15:772,1997、Nord et al.,Euro.J.Biochem.268:4269,2001、Binz et al.,Nat.Biotechnol.23:1257,2005、Boersma及びPluckthun,Curr.Opin.Biotechnol.22:849,2011)などの、ランダムペプチド・ライブラリーをコードする配列または互換的な非抗体スカフォードのループ領域におけるアミノ酸の組換え多様性をコードする配列を含む。
【0049】
特定の実施形態において、結合ドメインは、Vα/β及びCα/β鎖(例えば、Vα−Cα、Vβ−Cβ、Vα−Vβ)を含む、または対象の細胞マーカー(例えば、ペプチド−MHC錯体)に対して特異的なVα−Cα、Vβ−Cβ、Vα−Vβペアを含む、単鎖T細胞受容体(scTCR)である。
【0050】
ペプチドアプタマーには、タンパク質スカフォードの両端に接続している(細胞マーカーに特異的な)ペプチドループを含む。この二重の構造上の制約が、ペプチドアプタマーの結合親和性を、抗体に匹敵するレベルに増加させる。可変のループ長は、通常は8から20のアミノ酸であり及びそのスカフォードは、任意の、安定した、溶解性の、小さな、及び非毒性のタンパク質であり得る。ペプチドアプタマーの選択は、酵母2−ハイブリッドシステム(例えば、Gal4酵母−2−ハイブリッドシステム)、またはLexA相互作用トラップシステムなどの異なるシステムを利用して実施できる。
【0051】
特定の実施形態において、当該結合ドメインは、細胞マーカーCD19を結合する抗体であり得る。特定の実施形態において、結合ドメインは、CD19に特異的なVH及びVL領域を含む単鎖Fvフラグメント(scFv)である。特定の実施形態において、そのVH及びVL領域は、ヒトである。例示的なVH及びVL領域には、抗CD19特異のモノクローナル抗体FMC63のセグメントを含む。特定の実施形態において、当該scFVは、ヒトまたはヒト化のフラグメントであり及びRASQDISKYLNであるCDRL1の配列(SEQ ID NO.108)、SRLHSGVであるCDRL2の配列(SEQ ID NO.111)、及びGNTLPYTFGであるCDRL3の配列(SEQ ID NO.104)を含む、可変部の軽鎖を含む。他の実施形態において、当該scFVは、DYGVSであるCDRH1の配列(SEQ ID NO.103)、V
IWGSETTYYNSALKSであるCDRH2の配列(SEQ ID NO.114)、及びYAMDYWGであるCDRH3の配列(SEQ ID NO.115)を含む可変部の重鎖を含む、ヒトまたはヒト化のScFvである。
【0052】
結合ドメインをコードする遺伝子配列を、FMC63などの、CD19を特異的に結合する抗体からのscFVとして、
図1に示す。GSTSGSGKPGSGEGSTKG(SEQ ID NO:30)のアミノ酸を含むフレキシブルリンカーをコードする遺伝子配列は、当該scFVのVHとVLを分離する。そのリンカーを含む当該scFvのアミノ酸配列を、
図2に示す(SEQ ID NO:34)。SJ25C1(Bejcek et al.Cancer Res 2005、PMID 7538901)及びHD37(Pezutto et al.JI 1987、PMID 2437199)などのその他のCD19標的抗体が知られている。SEQ ID NO.10は、抗CD19scFv(VH−VL)のDNA配列を与え及びSEQ ID NO.9は、抗CD19scFv(VH−VL)のアミノ酸配列を与える。
【0053】
特定の実施形態において、当該結合ドメインは、細胞マーカーROR1を結合する。特定の実施形態において、当該scFVは、ASGFDFSAYYMであるCDRL1の配列(SEQ ID NO.101)、TIYPSSGであるCDRL2の配列(SEQ ID NO.112)、及びADRATYFCAであるCDRL3の配列(SEQ ID NO.100)を含む可変部の軽鎖を含む、ヒトまたはヒト化のscFvである。特定の実施形態において、当該scFVは、DTIDWYであるCDRH1の配列(SEQ ID NO.102)、VQSDGSYTKRPGVPDRであるCDRH2の配列(SEQ ID NO.113)、及びYIGGYVFGであるCDRH3の配列(SEQ ID NO.117)を含む可変部の重鎖を含む、ヒトまたはヒト化のscFvである。
【0054】
特定の実施形態において、当該結合ドメインは、細胞マーカーROR1を結合する。特定の実施形態において、当該scFVは、SGSDINDYPISであるCDRL1の配列(SEQ ID NO.109)、INSGGSTであるCDRL2の配列(SEQ ID NO.105)、及びYFCARGYSであるCDRL3の配列(SEQ ID NO.116)を含む可変部の軽鎖を含む、ヒトまたはヒト化のscFvである。特定の実施形態において、当該scFVは、SNLAWであるCDRH1の配列(SEQ ID NO.110)、RASNLASGVPSRFSGSであるCDRH2の配列(SEQ ID NO.107)、及びNVSYRTSFであるCDRH3の配列(SEQ ID NO.106)を含む可変部の重鎖を含む、ヒトまたはヒト化のScFvである。ROR1に特異的なさらなる多数の抗体が、当業者には知られている。
【0055】
特定の実施形態において、当該結合ドメインは、細胞マーカーHer2を結合する。Her2に特異的な多数の抗体が、当業者には知られており及び配列、エピトープ結合、及び親和性に対応して容易に特徴づけることができる。特定の実施形態において、当該結合ドメインは、ハーセプチン抗体からのscFv配列を含む。特定の実施形態において、当該結合ドメインは、ハーセプチン抗体のCDRL1配列、CDRL2配列、及びCDRL3配列を含む可変部の軽鎖を含む、ヒトまたはヒト化のScFvである。特定の実施形態において、当該scFVは、ハーセプチン抗体のCDRH1配列、CDRH2配列、及びCDRH3配列を含む可変部の重鎖を含む、ヒトまたはヒト化のScFvである。当該CDR配列は、ハーセプチンのアミノ酸配列から容易に決定できる。Her2リガンド結合ドメインをコードする例示的な遺伝子配列は、SEQ ID NO:39及び40に見出せる。
【0056】
特定の実施形態において、CDR領域は、Kabatにより以下のように数えられる抗体領域内に見出せる。軽鎖に対しては、CDRL1は、アミノ酸24−34、CDRL2は、アミノ酸50−56、CDRL3は、アミノ酸89−97及び重鎖に対しては、CDRH1は、アミノ酸31−35、CDRH2は、アミノ酸50−65、CDRH3は、アミノ酸95−102。
【0057】
その他の抗体が公知であり及び商業的に入手可能である。例えば、抗PSMA及び抗PSCA抗体は、Abcam plc(各々、ab66912及びab15168)から入手可能である。メソテリン及びWT1抗体は、Santa Cruz Biotechnology,Incから入手可能である。リツキシマブ(商品名が、Rituxan、MabThera及びZytux)などの抗CD20抗体が、IDEC Pharmaceuticalsにより開発されている。
【0058】
細胞内成分。分子を発現する細胞内成分には、エフェクタードメインを含めることができる。エフェクタードメインは、細胞に機能的なシグナルを送ることができる。特定の実施形態において、エフェクタードメインは、直接的に細胞応答を高める1つ以上の他のタンパク質を伴って、直接的または間接的に細胞応答を高める。エフェクタードメインは、望ましくない細胞に発現する細胞マーカーを結合している、改変された細胞の少なくとも1つの機能の活性化を与えることができる。その改変された細胞の活性化には、分化、増殖及び/または活性化または別のエフェクター機能の1つ以上を含むことができる。
【0059】
エフェクタードメインは、1つ、2つ、3つまたはそれ以上の受容体シグナル伝達ドメイン、細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、細胞質シグナル伝達の配列)、供刺激ドメイン、またはそれらの組み合わせを含むことができる。例示的なエフェクタードメインには、4−1BB、CARD11、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD3ζ、CD27、CD28、CD79A、CD79B、DAP10、FcRα、FcRβ、FcRγ、Fyn、HVEM、ICOS、LAG3、LAT、Lck、LRP、NKG2D、NOTCH1、pTα、PTCH2、OX40、ROR2、Ryk、SLAMF1、Slp76、TCRα、TCRβ、TRIM、Wnt、Zap70、またはそれらの任意の組み合わせから選択された、シグナル伝達及び刺激ドメインを含む。
【0060】
刺激により作用する一次細胞質シグナル伝達配列は、受容体チロシン活性化モチーフまたはiTAMsとして知られるシグナル伝達モチーフを含んで良い。一次細胞質シグナル伝達配列を含むiTAMの例には、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD3ζ、CD5、CD22、CD66d、CD79a、CD79b、及びFeRγから誘導されたものを含む。特定の実施形態において、CD3ζの変異体は、
図7に示される、少なくとも1つの、2つの、3つの、または全てのITAM領域を保有する。
【0061】
特定の実施形態において、エフェクタードメインには、細胞質シグナル伝達タンパク質を関連付ける細胞質部分を含み、ここでその細胞質シグナル伝達タンパク質は、リンパ球受容体またはそれらのシグナル伝達ドメイン、ITAM、供刺激ドメインの大多数を含むタンパク質、または任意のそれらの組み合わせである。
【0062】
細胞内シグナル伝達ドメインの例には、CD3ζ鎖の細胞質配列、及び/または結合ドメインの関与に続くシグナルの形質導入の開始と同時に作用する共受容体を含む。
【0063】
特定の実施形態において、改変された細胞により発現した分子の細胞内シグナル伝達ドメインは、任意のその他の望ましい細胞質ドメインと組み合わされた、細胞内シグナル伝達ドメインを含むように設計できる。例えば、分子の細胞内シグナル伝達ドメインは、細胞内シグナル伝達ドメイン及び共刺激領域などの共刺激ドメインを含むことができる。
【0064】
この共刺激シグナル伝達領域は、共刺激ドメインの細胞内ドメインを含む分子の一部を指す。共刺激ドメインは、細胞マーカーの結合に対してリンパ球が応答できるようにされた、発現された細胞マーカー結合ドメイン以外の、細胞表面分子である。そのような分子の例には、CD27、CD28、4−1BB(CD 137)、OX40、CD30、CD40、リンパ球官能−関連抗体−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3、及びCD83に特異的に結合するリガンドを含む。
【0065】
特定の実施形態において、CD3ζの変異体を含む細胞内シグナル伝達ドメインのアミノ酸配列及び4−1BB細胞内シグナル伝達ドメインの一部は、
図2に与えられる。代表的な遺伝子配列は、
図1に与えられる(SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:1)。
【0066】
特定の実施形態において、当該細胞内シグナル伝達ドメインには、(i)CD3ζのシグナル伝達ドメインの全てまたは一部、(ii)CD28のシグナル伝達ドメインの全てまたは一部、(iii)4−1BBのシグナル伝達ドメインの全てまたは一部、または(iv)CD3ζ、CD28及び/または4−1BBのシグナル伝達ドメインの全てまたは一部を含む。
【0067】
発現された分子の細胞内シグナル伝達ドメインの配列は、互いにランダムにまたは特定の順序で連結され得る。任意で、好ましくは2から10のアミノ酸の長さであるショートオリゴ−またはタンパク質リンカーは、連結を形成して良い。
【0068】
スペーサー領域。特定の実施形態において、スペーサー領域は、その結合ドメインと、発現された分子の細胞内成分との間に見出される。特定の実施形態において、当該スペーサー領域は、発現された分子の細胞外成分の一部分である。
【0069】
スペーサー領域の長さは、望ましくない細胞の認識及び破壊を最適化するために、望ましくない細胞上の個別の細胞マーカーに対応してカスタマイズできる。特定の実施形態において、スペーサー領域の長さは、細胞マーカーエピトープの場所、そのエピトープへの結合ドメインの親和性、及び/または細胞マーカーの認識に応答して、体外及び/または体内で増殖する分子を発現している改変細胞の能力に応じて選択できる。
【0070】
通常、スペーサー領域は、発現された分子の結合ドメインと膜貫通ドメインの間に見出せる。スペーサー領域は、その結合ドメインに柔軟性を与え、及び改変された細胞に高い発現レベルを与えることができる。特定の実施形態において、スペーサー領域は、少なくとも10から250のアミノ酸、少なくとも10から200のアミノ酸、少なくとも10から150のアミノ酸、少なくとも10から100のアミノ酸、少なくとも10から50のアミノ酸、または少なくとも10から25のアミノ酸を有することができる。さらなる実施形態において、スペーサー領域は、250以下のアミノ酸、200以下のアミノ酸、150以下のアミノ酸、100以下のアミノ酸、50以下のアミノ酸、40以下のアミノ酸、30以下のアミノ酸、20以下のアミノ酸、または10以下のアミノ酸を有する。
【0071】
特定の実施形態において、スペーサー領域は、免疫グロブリン様分子のヒンジ領域、例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4からのヒンジ領域の全てまたはその一部から誘導され得る。ヒンジ領域は、二量体化などの望ましくない構造的相互作用を避けるために改変できる。特定の実施形態において、ヒンジ領域の全てまたはその一部は、免疫グロブリンの定常領域の1つ以上のドメインと組み合わせることができる。例えば、ヒンジ領域の一部分は、CH2またはCH3ドメインの全てまたはその一部と組み合わせることができる。特定の実施形態において、当該スペーサー領域は、CD8αからの47−48アミノ酸のヒンジ領域配列を含まない。
【0072】
特定の実施形態において、当該スペーサー領域は、CH2領域の全てまたはその一部、CH3領域の全てまたはその一部、またはCH2領域の全てまたはその一部及びCH3領域の全てまたはその一部との組み合わせにおける、IgG1、IgG2、lgG3、またはlgG4からのヒンジ領域配列を含む群から選ばれる。
【0073】
特定の実施形態において、ショートスペーサー領域は、12以下のアミノ酸を有し及びIgG4ヒンジ領域配列の全てまたはその一部(例えば、SEQ ID NO:50にコードされたタンパク質)を含み、中間スペーサー領域は、119以下のアミノ酸を有し及びIgG4ヒンジ領域配列及びCH3領域の全てまたはその一部(例えば、SEQ ID NO:52)を含み、ロングスペーサー領域は、229以下のアミノ酸を有し及びIgG4ヒンジ領域配列、CH2領域、及びCH3領域の全てまたはその一部(例えば、SEQ ID NO:50)を含む。
【0074】
特定の実施形態において、結合ドメインが、望ましくない細胞の膜の非常に近位にある細胞マーカーの一部を結合する場合、ロングスペーサー領域(例えば、229以下のアミノ酸かつ119以上のアミノ酸)が選ばれる。望ましくない細胞の膜の非常に近位とは、細胞マーカーの最初の100細胞外アミノ酸内を意味する。
【0075】
特定の実施形態において、結合ドメインが、望ましくない細胞の膜の遠位にある細胞マーカーの一部を結合する場合、中間またはショートペーサー領域が選ばれる(例えば、119以下のアミノ酸または12以下のアミノ酸)。
【0076】
当業者には理解されることだが、細胞マーカーの結合部分が、膜に対して近位であるか遠位であるかは、3次元構造モデルまたは結晶構造解析を基に決定できる。
【0077】
特定の実施形態において、発現された分子には、Ig/フリズルド(Frizzled)ドメインに対して膜の遠位に位置するROR1エピトープに結合するscFVを含む結合ドメイン及び15以下のアミノ酸のスペーサーを含む。特定の実施形態において、発現された分子には、クリングルドメインに対して膜の近位に位置するROR1エピトープを結合するscFVを含む結合ドメイン及び15アミノ酸を超えて長いスペーサーを含む。特定の実施形態において、発現された分子には、CD19を結合するscFVを含む結合ドメイン及び15以下のアミノ酸であるスペーサーを含む。
【0078】
特定の実施形態において、当該結合ドメインが、(i)RASQDISKYLNであるCDRL1配列(SEQ ID NO:108)、SRLHSGVであるCDRL2配列(SEQ ID NO:111)、及びGNTLPYTFGであるCDRL3配列(SEQ ID NO:104)を含む変異軽鎖、そしてDYGVSであるCDRH1配列(SEQ ID NO:103)、V
IWGSETTYYNSALKSであるCDRH2配列(SEQ ID NO:114)、及びYAMDYWGであるCDRH3配列(SEQ ID NO:115)を含む変異重鎖、または(ii)ASGFDFSAYYMであるCDRL1配列(SEQ ID NO:101)、TIYPSSGであるCDRL2配列(SEQ ID NO:112)、及びADRATYFCAであるCDRL3配列(SEQ ID NO:100)を含む変異軽鎖、そしてDTIDWYであるCDRH1配列(SEQ ID NO:102)、VQSDGSYTKRPGVPDRであるCDRH2配列(SEQ ID NO:113)、及びYIGGYVFGであるCDRH3配列(SEQ ID NO:117)を含む変異重鎖を含む場合、そのスペーサーは、12以下のアミノ酸であり得て、より特定の実施形態においては、SEQ ID NO:47を含むことができる。
【0079】
特定の実施形態において、当該結合ドメインが、(i)SGSDINDYPISであるCDRL1配列(SEQ ID NO:109)、INSGGSTであるCDRL2配列(SEQ ID NO:105)、及びYFCARGYSであるCDRL3配列(SEQ ID NO:116)を含む変異軽鎖、そしてSNLAWであるCDRH1配列(SEQ ID NO:110)、RASNLASGVPSRFSGSであるCDRH2配列(SEQ ID NO:107)、及びNVSYRTSFであるCDRH3配列(SEQ ID NO:106)を含む変異重鎖、または(ii)ハーセプチン抗体のCDRL1配列、CDRL2配列及びCDRL3配列を含む変異軽鎖、そしてハーセプチン抗体のCDRH1配列、CDRH2配列及びCDRH3配列を含む変異重鎖を含む場合、そのスペーサーは、229以下のアミノ酸であり得て、より特定の実施形態においては、SEQ ID NO:61を含むことができる。
【0080】
膜貫通ドメイン。本明細書に開示する発現分子はまた、膜貫通ドメイン、少なくとも当該細胞外成分及び細胞内成分の間に位置する部分を含むことができる。この膜貫通ドメインは、当該改変細胞の膜に当該発現分子を固定できる。当該膜貫通ドメインは、天然の及び/または合成の供給源のいずれかから誘導され得る。その供給源が天然の場合、当該膜貫通ドメインは、任意の膜結合または膜貫通タンパク質から誘導され得る。膜貫通ドメインには、少なくとも、T細胞受容体のα、βまたはζ鎖、CD28、CD3、CD45、CD4、CD5、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137及びCD154の膜貫通領域を含めることができる。膜貫通ドメインには、
図2または
図6に示されるものを含めることができる。
【0081】
特定の実施形態において、当該膜貫通ドメインには、
図2に示されるCD28膜貫通ドメインのアミノ酸配列またはCD4膜貫通ドメインのアミノ酸配列を含む。CD28膜貫通ドメインをコードする代表的な遺伝子配列を、
図1に示す(SEQ ID NO:12)。SEQ ID NO:118は、CD4膜貫通ドメインをコードする代表的な遺伝子配列である。
【0082】
タグ配列。特定の実施形態において、当該発現分子はさらに、タグ配列を含む。タグ配列は、形質導入された細胞の特定及び/または選択に対して与えることができる。多数の異なるタグ配列を、採用できる。ポジティブに選択的なタグ配列は、遺伝子によりコードされて、当該改変細胞に導入され、その遺伝子を運ぶ細胞のポジティブな選択を限定している支配的な形質を発現する。このタイプの遺伝子は、当業者には公知であり、及びハイグロマイシンBへの耐性を付与するハイグロマイシンBリン酸転移酵素遺伝子(hph)、抗生物質0418への耐性をコードするTn5からのアミノ配糖体のリン酸転移酵素遺伝子(ネオまたはaph)、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子、アデノシンのデアミナーゼの遺伝子(ADA)、及び多剤耐性(MDR)遺伝子を含む。特定の実施形態において、当該タグ配列は、
図2に示される切断されたEGFRである。この切断されたEGFRをコードしている例示的な遺伝子配列を、
図1に示す(SEQ ID NO:9)。
【0083】
特定の実施形態において、機能性遺伝子は、生体内のネガティブ選択を可能にする改変HSPC中に導入され得る。「ネガティブ選択」とは、投与された細胞が、ある対象者の生体内条件において、変化の結果排除され得る、ということを意味する。このネガティブ選択的形質は、投与された薬剤に対する感受性を付与する遺伝子の挿入の結果、もたらすことができる。ネガティブ選択的遺伝子は、当業者には公知であり、及びガンシクロビル感受性を付与する単純ヘルペスウイルスI型キミジンキナーゼ(HSV−I TK)遺伝子、細胞性ヒポキサンチン−ホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)遺伝子、細胞性アデニン−ホスホリボシルトランスフェラーゼ(APRT)遺伝子、及び細菌性シトシンデアミナーゼを含む。ネガティブ選択を裏付けるさらなる開示には、Lupton S.D.et.al.,Mol.and Cell Biol.,11:6(1991)、Riddell et al.,Human Gene Therapy 3:319−338(1992)、WO 1992/008796及びWO 1994/028143及び米国特許第6,040,177号、段落14−17)を参照のこと。
【0084】
当該改変細胞により発現される特定分子の設計は、標的細胞マーカーのタイプ、その細胞マーカーに対する結合ドメインの親和力、その細胞マーカー結合ドメインに必要な柔軟性、及び/または細胞内シグナル伝達ドメインに応じてカスタマイズされ得る。特定の実施形態において、培養で増殖し及び/または望ましくない細胞を殺傷する改変細胞の能力を決定するために、多数のコンストラクトが、生体内及び生体外モデルで試験されている。特定の実施形態において、1つの分子が、生体内で少なくとも2世代にわたり及び/または生体内への導入後72時間以内に増殖するために、改変エフェクター(例えば、分化した改変HSPC)の少なくとも30%の能力を提供するように選択される。特定の実施形態において、1つの分子が、免疫不全マウスの生体内に72時間以内に細胞死(AICD)を誘発する活性化を受ける細胞が、50%以上になるようには選択されず、及び腫瘍細胞の存在を減らすのに失敗するようには選択されない。
【0085】
以下の開示は、発現された分子及び関連ベクターのさらに特定の例示を提供する。
【0086】
「キメラ抗原受容体」または「CAR」は、エフェクタードメインに連結された望ましくない細胞に特異的に関連付けられた細胞マーカーを結合する結合ドマメインを含む、合成的に設計された受容体を指す。この結合ドメイン及びエフェクタードメインは、スペーサードメイン、膜貫通ドメイン、タグ配列、及び/またはリンカー配列を介して連結され得る。
【0087】
特定の実施形態において、ROR1特異の及びCD19特異のCARは、2A2、R12、及びR11 mAhs(ROR1)及びFMC63 mAb(CD19)のVL及びVH鎖セグメントを使用して構築され得る。R11及びR12に対応した変異領域の配列は、Yang et al,Plos One 6(6):e21018、June 15,2011において提供されている。各scFVは、(G4S)3(SEQ ID NO:60)タンパク質により、『ヒンジ−CH2−CH3』(229 AA、SEQ ID NO:61)、『ヒンジ−CH3』(119 AA、SEQ ID NO:52)または『ヒンジ単独』(12 AA、SEQ ID NO:47)のいずれかの配列(
図1)を含む、IgG4−Fc(Uniprotデータベース:P0186l、SEQ ID NO:92)から誘導されたスペーサードメインに連結される。全てのスペーサーは、天然のIgG4−Fcタンパク質の108位に位置する「ヒンジ」ドメイン内でのS→P置換を含むことができ、及びヒトCD28(Uniprot:P10747、SEQ ID NO:93)の27AA膜貫通ドメインに及び(i)天然のCD28タンパク質(SEQ ID NO:93)の186−187位に位置するLL→GG置換を伴うヒトCD28の41AA細胞質ドメインまたは、(ii)ヒト4−1BB(Uniprot:Q07011、SEQ ID NO:95)の42AA細胞質ドメインのいずれかを含む、エフェクタードメインのシグナル伝達モジュールに連結され得て、その各々が、ヒトCD3ζ(Uniprot:P20963、SEQ ID NO:94)のアイソフォーム3の112AA細胞質ドメインに連結される。このコンストラクトは、T2Aリボソームのスキップエレメント(SEQ ID NO:88)及びキメラ受容体下流のtEGFR配列(SEQ ID NO:27)をコードする。各導入遺伝子をコードするコドン最適化遺伝子配列は、合成され得て(Life Technologies)及び、Nhel及びNot1制約サイトを使用したepHIV7レンチウイルスベクターにクローンされ得る。このepHIV7レンチウイルスベクターは、サイトメガロウイルスプロモーターpHIV7をEF−1プロモーターで置き換えることにより、pHIV7ベクターから誘導され得る。ROR1キメラ受容体、CD19キメラ受容体またはレンチウイルスをコードするtEGFRは、パッケージングベクターpCHGP−2、pCMV−Rev2及びpCMV−G、そしてCalphos(登録商標)トランスフェクション試薬(Clontech)を使用した293T細胞中で、産生できる。
【0088】
HER2特異キメラ受容体は、HER2上の膜近位エピトープ(
図12A)を認識するHER2特異のmAbのVL及びVH鎖セグメントを使用して構築でき、及びそのscFVsは、IgG4ヒンジ/CH2/CH3、IgG4ヒンジ/CH3、及びIgG4ヒンジ単独の細胞外スペーサードメインに、及びCD28膜貫通ドメイン、4−1BB及びCD3ζシグナル伝達ドメイン(
図12B)に連結され得る。
【0089】
示されるように、各CD19キメラ受容体は、互いに単独または並行した、CD19特異mAb FMC63(scFv:VL−VH)の配列、『ヒンジ−CH2−CH3』ドメイン(229 AA、ロングスペーサー)または『ヒンジ』ドメイン単独(12 AA、ショートスペーサー)のいずれかを含むIgG4−Fcから誘導されたスペーサー、及び膜近位CD28または4−1BB共刺激ドメインを伴うCD3ζのシグナル伝達モジュール(
図13A)に相応した、単鎖変異フラグメントを含むことができる。導入遺伝子カセットには、キメラ受容体改変細胞に対する形質導入、選択及び生体内トラッキングのためのタグ配列として作用するように、開裂可能なT2Aエレメントにより分離され、キメラ受容体遺伝子から切断されたEGFR(tEGFR)下流を含むことができる。
【0090】
当業者には理解されることだが、改変HSPCは、HSPCへの組換え遺伝子配列の導入により、組換えができる。遺伝子的に改変されたHSPCの記述は、米国特許第7,399,633号の5.1項に見出すことができる。当該改変細胞に望ましく発現させる遺伝子が、その細胞及び/またはそれらの産物により発現可能である当該HSPCに導入される。
【0091】
望ましい遺伝子が、トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、リポフェクション、リン酸カルシウムを介した遺伝子導入、遺伝子配列を含むウイルスやバクテリオファージのベクターによる感染、細胞融合、染色体を介した遺伝子導入、マイクロセルを介した遺伝子導入、スフェロプラスト融合などの、当技術分野で公知の任意の方法により、HSPCに導入され得る。外来遺伝子を細胞に導入するための多数の技術が、当技術分野で公知であり(例えば、Loeffler及びBehr,1993,Meth.Enzymol.217:599−618、Cohen et al.,1993,Meth.Enzymol.217:618−644、Cline、1985、Pharmac.Ther.29:69−92を参照)及び受け入れ細胞に必要な発現機能及び生理機能が破壊されずに利用され、提供される。その遺伝子が細胞によって発現し及びその細胞の産物により好ましく遺伝し及び発現するには、細胞に遺伝子を適切に導入するための技術が必須である。示されるように、特定の実施形態において、当該導入法には、当該細胞への選択可能なタグ配列の導入を含む。次いで、当該細胞は、導入を受け入れてその導入遺伝子を発現している細胞を単離するために、選別される。
【0092】
用語「遺伝子」は、本明細書に記述される細胞外成分及び細胞内成分を有する分子をコードする核酸配列(ポリヌクレオチドまたはヌクレオチド配列と互換的に使用される)を指す。本定義には、多様な配列の多型、変異、及び/またはそのような変更が、そのコードされた分子の機能に実質的に悪影響しない配列変異体を含む。用語「遺伝子」には、コード配列のみならず、プロモーター、エンハンサー、及び末端領域などの定常領域をも含んでよい。当該用語はさらに、互換的スプライスサイトからもたらされる変異体を伴う、mRNA転写からスプライスされた全てのイントロン及びその他のDNA配列を含むことができる。当該分子をコードする遺伝子配列は、当該分子の発現を指示するDNAまたはRNAであり得る。これらの核酸配列は、RNAに転写されるDNA標準配列またはタンパク質に翻訳されるRNA配列であって良い。当該核酸配列には、完全長の核酸配列と同様に、その完全長タンパク質から誘導される非完全長配列の両方を含む。当該配列にはまた、天然配列または特定の細胞型にコドン選好を与えるように導入される配列の、縮退コドンを含むことができる。完全遺伝子配列の一部分が、本開示を通して参照されることは、当業者には理解されるであろう。
【0093】
結合ドメイン、エフェクタードメイン、スペーサー領域、膜貫通ドメイン、タグ配列、リンカー配列、または本明細書に記述される任意のその他のタンパク質またはペプチド配列をコードする遺伝子配列は、関連アミノ酸配列からの合成または組換え法により容易に調製できる。複数の実施形態において、これら配列のいずれをもコードする遺伝子配列はまた、異なる配列をコードする他の遺伝子配列を伴う配列をコードする遺伝子配列の切除及び交換を容易にするために、そのコード配列の5′及び/または3′末端に、1つ以上の制限酵素サイトを有することができる。複数の実施形態において、当該配列をコードする遺伝子配列は、哺乳類細胞での発現に最適化されたコドンであり得る。
【0094】
「コードする」は、cDNAまたはmRNAなどの、遺伝子内のヌクレオチドの特定配列の特徴を指し、アミノ酸として定義される配列などの、その他のマクロ分子の合成に対応したテンプレートとしての役割を果たす。したがって、仮に細胞またはその他の生物学的システムにおいて、遺伝子に対応したmRNAの転写及び翻訳が、そのタンパク質を産生するならば、遺伝子はタンパク質に対してコードする。「タンパク質をコードする遺伝子配列」は、互いに縮退バージョンであり、及び同じアミノ酸配列に対してまたは本質的に同じ形態及び機能のアミノ酸配列に対してコードする全てのヌクレオチド配列を含む。
【0095】
発現された分子の一部分以上をコードするポリヌクレオチド遺伝子配列は、互いに及び関連する調節配列に、連結操作が可能である。例えば、調節配列と異種核酸配列間での機能的連結が、後者の発現をもたらすことができる。他の例として、第一核酸配列が、第二核酸配列と機能的な関係にある場合には、その第一核酸配列は、その第二核酸配列と連結操作が可能である。例えば、仮にプロモーターが、コード配列の転写または発現に影響する場合には、そのプロモーターをそのコード配列に連結操作される。一般的に、連結操作されたDNA配列は、連続しており及び、必要で有用な場所で、同じリーディングフレームにコード領域を結合する。
【0096】
レトロウイルスベクターが利用できる(Miller et al.,1993、Meth.Enzymol.217:581−599を参照)。そのような実施形態において、発現された遺伝子は、HSPCへの送達のために、レトロウイルスベクターにクローンされる。特定の実施形態において、レトロウイルスベクターは、そのウイルスゲノムのパッケージング及び統合、すなわち(a)そのベクターの各末端における、ロングの末端リピート(LTR)、またはそれらの一部、(b)ネガティブ及びポジティブ鎖DNA合成に対応するサイトを結合するプライマー、及び(c)ゲノムRNAのウイルス粒子への組む込みに必要な、パッケージングシグナルに必要な、全てのシス作用配列を含む。レトロウイルスベクターについてのより詳細は、Boesen et al.,1994,Biotherapy 6:291−302、Clowes et al.,1994,J.Clin.Invest.93:644−651、Kiem et al.,1994,Blood 83:1467−1473、Salmons and Gunzberg,1993,Human Gene Therapy 4:129−141、及びGrossman and Wilson,1993,Curr.Opin.in Genetics and Devel.3:110−114に見出せる。アデノウイルス、アデナ関連ウイルス(AAV)及びアルファウイルスもまた、使用できる。Kozarsky and Wilson,1993,Current Opinion in Genetics and Development 3:499−503、Rosenfeld et al.,1991,Science 252:431−434、Rosenfeld et al.,1992,Cell 68:143−155、Mastrangeli et al.,1993,J.Clin.Invest.91:225−234、Walsh et al.,1993,Proc.Soc.Exp.Bioi.Med.204:289−300、及びLundstrom,1999,J.Recept.Signal Transduct.Res.19:673−686を参照のこと。その他の遺伝子送達法には、哺乳類人工染色体(Vos,1998,Curr.Op.Genet.Dev.8:351−359)、リポソーム(Tarahovsky and Ivanitsky,1998,Biochemistry(Mosc)63:607−618)、リボサイム(Branch and Klotman,1998,Exp.Nephrol.6:78−83)、及び三重鎖DNA(Chan and Glazer,1997,J.Mol.Med.75:267−282)の使用を含む。
【0097】
さらなる実施形態には、本明細書に開示される任意の遺伝子、タンパク質またはペプチド配列の70%配列同一性、80%配列同一性、81%配列同一性、82%配列同一性、83%配列同一性、84%配列同一性、85%配列同一性、86%配列同一性、87%配列同一性、88%配列同一性、89%配列同一性、90%配列同一性、91%配列同一性、92%配列同一性、93%配列同一性、94%配列同一性、95%配列同一性、96%配列同一性、97%配列同一性、98%配列同一性、または99%配列同一性を有する配列を含む。
【0098】
「%配列同一性」は、その配列を比較して決定される、2つ以上の配列間の関係性を指す。タンパク質配列間の配列の類似度合いを意味する。「同一性」(しばしば「類似性」として示される)は、Computational Molecular Biology(Lesk,A.M.,ed.)Oxford University Press,NY(1988)、Biocomputing:Informatics and Genome Projects(Smith,D.W.,ed.)Academic Press,NY(1994)、Computer Analysis of Sequence Data,Part I(Griffin,A.M.,及びGriffin,H.G.,eds.)Humana Press,NJ(1994)、Sequence Analysis in Molecular Biology(Von Heijne,G.,ed.)Academic Press 1987)、及びSequence Analysis Primer(Gribskov,M.及びDevereux,J.,eds.)Oxford University Press,NY(1992)に記述されるものを含む、公知の方法により容易に計算できる。配列同一性を決定する好ましい方法は、試験される配列間の最良の一致を与えるように設計される。配列同一性及び類似性を決定する方法は、公開されているコンピュータープログラムにより体系化されている。配列アラインメント及びパーセント同一性の計算は、LASERGENE生物情報学コンピュータープログラムのパッケージソフト(the LASERGENE bioinformatics computing suite)のMegalignプログラム(DNASTAR,Inc.,Madison,Wisconsin)を使用して実施されて良い。配列の多重アラインメントはまた、既定のパラメーターを伴うアラインメントのClustal法(the Clustal method of alignment)(Higgins及びSharp CABIOS,5,151−153(1989)(ギャップペナルティー=10、ギャップレングス・ペナルティー=10)を使用して実施できる。関連プログラムにはまた、GCGプログラムパッケージソフト(the GCG suite of programs)(Wisconsin Package Version 9.0,Genetics Computer Group(GCG),Madison,Wisconsin)、BLASTP,BLASTN,BLASTX(Altschul,et al.,J.Mol.Biol.215:403−410(1990)、DNASTAR(DNASTAR,Inc.,Madison,Wisconsin)、及びSmith−Watermanアルゴリズムを組み込むFASTAプログラム(the FASTA program incorporating the Smith−Waterman algorithm)(Pearson,Comput. Methods Genome Res.,[Proc.Int.Symp.](1994),Meeting Date 1992,111−20.Editor(s):Suhai,Sandor.Publisher:Plenum,New York,N.Y.を含む。本開示の文脈内において、配列分析ソフトウェアが分析に使用される場合、その分析の結果は、そのプログラムが参照する「デフォルト値」に基づいていることは理解されよう。「デフォルト値」とは、初期化に際してそのソフトウェアが最初にロードする値またはパラメーターの任意のセットを意味する。
【0099】
前述に限定されずに、本明細書に開示される配列と配列同一性を有するタンパク質またはペプチドには、それらの変異体及びD置換の類似体を含む。
【0100】
本明細書に開示される配列の「変異体」には、本明細書に開示される配列との比較で、1つ以上の付加、欠失、停止位置、または置換を有する配列を含む。
【0101】
アミノ酸置換は、保存的または非保存的置換であり得る。本明細書に開示されるタンパク質またはペプチド配列の変異体には、1つ以上の保存的なアミノ酸置換を有するものを含むことができる。「保存的置換」には、以下の保存置換基の1つに見出せる置換を含む。グループ1:アラニン(AlaまたはA)、グリシン(GlyまたはG)、Ser、Thr、グループ2:アスパラギン酸(AspまたはD)、Glu、グループ3:アスパラギン(AsnまたはN)、グルタミン(GlnまたはQ)、グループ4:Arg、リシン(LysまたはK)、ヒスチジン(HisまたはH)、グループ5:Ile、ロイシン(LeuまたはL)、メチオニン(MetまたはM)、バリン(ValまたはV)、及びグループ6:Phe、Tyr、Trp。
【0102】
さらに、アミノ酸は、類似の機能、化学構造、または組成(例えば、酸性、塩基性、脂肪族、芳香族、硫黄含有)により保存置換基にグループ化される。例えば、脂肪族グループには、置換の目的に応じて、Gly、Ala、Val、Leu、及びIleを含めて良い。互いに保存的置換であると考えられるアミノ酸を含むその他のグループには、硫黄含有:Met及びCys、酸性:Asp、Glu、Asn、及びGln、小分子の脂肪族、無極性またはわずかな極性の残基:Ala、Ser、Thr、Pro、及びGly、極性、負荷電残基及びそれらのアミド:Asp、Asn、Glu、及びGln、極性、正電荷残基:His、Arg、及びLys、大分子の脂肪族、無極性残基:Met、Leu、Ile、Val、及びCys、及び大分子の芳香族残基:Phe、Tyr、及びTrpを含む。追加情報は、Creighton(1984)Proteins,W.H.Freeman and Companyに見出せる。
【0103】
「D置換類似体」には、1つ以上のDアミノ酸で置換された1つ以上のLアミノ酸を有する本明細書に開示のタンパク質またはペプチドを含む。当該Dアミノ酸は、参照配列に見出されるような同じアミノ酸タイプであり得て、または異なるアミノ酸であり得る。したがって、D類似体はまた、変異体でもあり得る。
【0104】
前述に限定されず、及び例示目的のみ。
【0105】
特定の実施形態において、結合ドメインは、本明細書で開示される軽鎖の可変領域(VL)または重鎖の可変領域(VH)の、またはその両方のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%配列同一性を有する、配列をみ、ここで、各CDRは、対象の細胞マーカーを特異的に結合するモノクローナル抗体またはそれらのフラグメントからの、ゼロの、または多くても1つの、2つの、または3つ変化を含む。
【0106】
特定の実施形態において、結合ドメインは、Vα、Vβ、Cα、またはCβ領域のTCRのアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%配列同一性を有する、配列を含み、ここで各CDRは、TCRまたはフラグメントまたは対象の細胞マーカーに特異的に結合するそれらからの変更が無いかまたは多くとも1つ、2つ、または3つの変更を含む。
【0107】
特定の実施形態において、Vα、Vβ、Cα、またはCβ領域の結合ドメインは、既知のTCR(例えば、高親和性TCR)のVα、Vβ、Cα、またはCβから誘導され得るかまたは基づき、及び既知TCRのVα、Vβ、Cα、またはCβと比較して、1つ以上の(例えば、 2、3、4、5、6、7、8、9、10)の挿入、1つ以上の(例えば、 2、3、4、5、6、7、8、9、10)の欠失、1つ以上の(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10)のアミノ酸置換(例えば、保存的アミノ酸置換または非保存的アミノ酸置換)または上記変更の組み合わせを含む。挿入、欠失または置換は、Vα、Vβ、Cα、またはCβ領域のどこでもよく、アミノ末端またはカルボキシ末端またはこれら領域の両端においてを含み、各CDRに、変更がないかまたは多くとも1つの、2つの、または3つの変更を含むことを与えて良く、及び変更されたVα、Vβ、Cα、またはCβ領域を含む結合ドメインが、野生タイプに類似した親和性で、その標的を特異的に結合できることを与えて良い。
【0108】
特定の実施形態において、結合ドメインVHまたはVL領域は、既知のモノクローナル抗体のVHまたはVLから誘導され得るかまたは基づき、及び既知のモノクローナル抗体のVH、またはVLと比較して、個別にまたは集団的に1つ以上の(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10)の挿入、1つ以上の(例えば、 2、3、4、5、6、7、8、9、10)の欠失、1つ以上の(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10)のアミノ酸置換(例えば、保存的アミノ酸置換または非保存的アミノ酸置換)、または上記変更の組み合わせを含むことができる。挿入、欠失または置換は、VHまたはVL領域のどこでもよく、アミノ末端またはカルボキシ末端またはこれら領域の両端においてを含み、各CDRに、変更がないかまたは多くとも1つの、2つの、または3つの変更を含むことを与えて良く、及び変更されたVHまたはVL領域を含む結合ドメインが、野生タイプの結合ドメインに類似した親和性で、その標的をさらに特異的に結合できることを与えて良い。
【0109】
特定の実施形態において、結合ドメインは、(i)FMC63に対応するscFv、(ii)R12に対応するscFv、(iii)R11に対応するscFv、または(iv)ハーセプチンに対応するscFvの配列に対して、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する配列を含む。
【0110】
特定の実施形態において、細胞内シグナル伝達ドメインは、
図2で与えられる配列を有するCD3ζに対して、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有することができる。
【0111】
特定の実施形態において、共刺激シグナル伝達ドメインは、
図5に示されるCD28の細胞内ドメインまたは
図2で与えられる配列を有する4−1BBに対して、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有することができる。特定の実施形態において、CD28細胞内ドメインの変異体には、186−187位でのアミノ酸置換を含み、ここでLLは、GGで置換される。
【0112】
特定の実施形態において、膜貫通ドメインは、受容体複合体のその他のメンバーとの相互作用を最小化するために、類似のまたは異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインへの、そのようなドメインの結合を避けるように選択でき、またはアミノ酸置換により改変できる。さらなる特定の実施形態において、合成または変異膜貫通ドメインには、ロイシン、バリンなどの主要な疎水性残基を含む。変異膜貫通ドメインは、好ましくはKyte Doolittleにより計算される疎水性指標で少なくとも50を有する。特定の実施形態において、膜貫通ドメインは、
図2または6の配列と、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有することができる。
【0113】
本明細書に開示されるものと同じ官能性を有するタンパク質及びペプチドもまた、含まれる。
【0114】
本明細書に表現されていない場合であっても、公開されたデータベースにより提供される配列情報及び当業者が有するそれらの知識が、関連するタンパク質及びペプチドの配列及びそのようなタンパク質及びペプチドをコードする遺伝子配列を特定するために、利用できる。
【0115】
分化。特定の実施形態において、改変HSPCは、対象者への投与前に、改変された非エフェクターT細胞に分化される。改変HSPCの分化が必要な場合、HSPCは、非エフェクターT細胞への分化を促進する1つ以上の成長因子に暴露することができる。この成長因子及び分化を促進する細胞培養条件は、当技術分野では公知である(例えば、米国特許第7,399,633号、セクション5.2及び5.5を参照)。例えば、SCFは、HSPCを各々骨髄性幹/前駆細胞またはリンパ球幹/前駆細胞に分化するために、GM−SCFまたはIL−7との組み合わせで使用できる。特定の実施形態において、HSPCは、SCF及びGM−SCFまたはIL−7の各々の100 ng/mlにHSPCを暴露することにより、リンパ球幹/前駆細胞に分化できる。特定の実施形態において、レチノイン酸受容体(RAR)アゴニスト、または好ましくは全トランスレチノイン酸(ATRA)は、HSPCの分化を促進するために使用される。例えば、ナチュラルキラー細胞への分化は、培養されたHSPCを、IL−2の50 U/ml及びIL−15の500 ng/mlのヒト血清で補足されたRPMI培地に暴露することにより、達成できる。さらなる実施形態において、RPMI培地はまた、L−グルタミン酸で補足され得る。
【0116】
特定の実施形態において、改変HSPCは、ナチュラルキラー(NK)細胞または好中球を含む非エフェクターT細胞に分化され得る。NK細胞は、2つの主要な機能を発揮する。すなわち、(i)腫瘍細胞及びその他のウイルス感染細胞を認識し及び殺傷する、及び(ii)CCL3、CCL4,CCL5、及び/またはXCL1ケモカインまたは顆粒球マクロファージ・コロニー刺激因子、腫瘍壊死因子−α、またはインターフェロン−γなどのサイトカインの分泌によって、自然免疫と適応免疫応答を調節する。好中球は一般に、彼らが標的とし及び破壊する異常細胞型がある炎症対象者へ到達するまで、血流中を循環する。
【0117】
組成物及び処方物。細胞及び改変細胞は、対象者への投与に対応した組成物及び/または処方物として調製され得る。組成物は、対象者への投与に対応した薬学的に許容されるキャリアーを伴って調製される、細胞または改変細胞を指す。処方物は、対象者への投与に対応した薬学的に許容されるキャリアー(以降はキャリアー)内の少なくとも2つの細胞型を指す。
【0118】
組成物または処方物の調製の間の様々な場面において、細胞を冷凍保存することが必要または有益であり得る。用語「凍結した(frozen)/凍結している(freezing)」及び「凍結した(cryopreserved)/凍結している(cryopreserving)」は、互換的に使用できる。凍結には、凍結乾燥を含む。
【0119】
当業者には理解されることだが、細胞の凍結は、凍結破壊を起こすが(Mazur, P.,1977,Cryobiology 14:251−272を参照)、しかしそのような損傷を防ぐことが可能な多数の手段がある。例えば、(a)凍害防止剤の使用、(b)凍結速度の制御、及び/または(c)分解反応を最小化するのに十分低い温度での貯蔵により避けることができる。例示的な凍結防止剤には、ジメチルスルホキシド(DMSO)(Lovelock及びBishop,1959,Nature 183:1394−1395、Ashwood−Smith,1961,Nature 190:1204−1205)、グリセロール、ポリビニルピロリジン(Rinfret,1960,Ann.N.Y.Acad.Sci.85:576)、ポリエチレングリコール(Sloviter及びRavdin,1962,Nature 196:548)、アルブミン、デキストラン、ショ糖、エチレングリコール、i−エリスリトール、D−リビトール、D−マンニトール(Rowe et al.,1962,Fed.Proc.21:157)、D−ソルビトール、i−イノシトール、D−乳糖、塩化コリン(Bender et al.,1960,J.Appl.Physiol.5:520)、アミノ酸(Phan The Tran及びBender,1960,Exp.Cell Res.20:651)、メタノール、アセトアミド、グリセロールモノアセテート(Lovelock,1954,Biochem.J.56:265)、及び無機塩(Phan The Tran 及び Bender,1960,Proc.Soc.Exp.Biol.Med.104:388、Phan The Tran及びBender,1961,放射線生物学、放射線生物学の第3回のオーストラリア会議論文集(in Radiobiology,Proceedings of the Third Australian Conference on Radiobiology,)Ilbery ed.,Butterworth,London,p.59)を含む。特定の実施形態において、DMSOが使用できる。プラズマの添加(例えば、20−25%濃度まで)は、DMSOの保護効果を強化できる。1%DMSO濃度は、4℃以上の温度では毒性があるので、DMSOの添加後、細胞は、凍結まで0℃に保つことができる。
【0120】
細胞の冷凍保存においては、ゆっくりした冷却速度の制御が重要であり及び異なる凍結防止剤(Rapatz et al.,1968,Cryobiology 5(1):18−25)及び異なる細胞型は、異なる最適冷却速度を持つ(例えば、Rowe 及び Rinfret,1962,Blood 20:636、Rowe,1966,Cryobiology 3(1):12−18、Lewis,et al.,1967,Transfusion 7(1):17−32、及び幹細胞の生存及びそれらの移植潜在性における冷却速度の効果に対しては、Mazur,1970,Science 168:939−949を参照)。水が氷になる熱融解相を、最小にする必要がある。当該冷却手段は、例えば、プログラム可能な凍結装置またはメタノール浴処置の利用によって実行できる。プログラム可能な凍結装置は、置最適冷却速度の決定及び標準的な再生冷却の促進を可能にする。
【0121】
特定の実施形態において、DMSO処理細胞は、氷上での予冷が可能で及び−80℃の機械式冷蔵庫(例えば、HarrisまたはRevco)の中で並べて配置された、冷やしたメタノールを含むトレイに移すことができる。メタノール浴及びサンプルの熱電対測定は、1℃から3℃/分の冷却速度を示す熱電対が推奨できる。少なくとも2時間後、試験体は−80℃に到達し及び直接液体窒素中に配置することができる(−196℃)。
【0122】
完全凍結の後、その細胞は、長期極低温貯蔵容器に迅速に移送できる。好ましい実施形態において、サンプルは、液体窒素(−196℃)または窒素蒸気中(−1℃)に、極低温で貯蔵できる。そのような貯蔵は、高効率液体窒素冷凍庫の入手により促進される。
【0123】
細胞の操作、冷凍保存及び長期貯蔵に対するさらなる検討事項及び手順は、以下の例示的な参照に見出すことができる。米国特許第4,199,022号、第3,753,357号、及び第4,559,298号、Gorin,1986,Clinics In Haematology 15(1):19−48、Bone−Marrow Conservation,Culture and Transplantation,Proceedings of a Panel、Moscow,July 22−26,1968,International Atomic Energy Agency、Vienna,pp.107−186、Livesey 及び Linner,1987,Nature 327:255、Linner et al.,1986,J.Histochem.Cytochem.34(9):1123−1135、Simione,1992,J.Parenter.Sci.Technol.46(6):226−32)。
【0124】
以下の冷凍保存、凍結細胞は、当業者には公知の方法に従って、その使用に対応して解凍できる。好ましくは、凍結細胞はすぐに解凍され及び解凍時に即座に冷蔵される。特定の実施形態において、その凍結細胞を入れた小瓶は、温水浴にその首まで浸す。穏やかな回転は、細胞を解凍し及びその温水から内氷部分への熱伝達を高め、その細胞懸濁液の混合を確実にするであろう。氷が完全に溶けると同時に、その小瓶をただちに氷上に配置できる。
【0125】
特定の実施形態において、解凍時に細胞の凝集を防ぐための手立てをとることができる。例示的な方法には、低分子デキストラン及びクエン酸、ヒドロキシエチル澱粉(Stiff et al.,1983,低温生物学(Cryobiology)20:17−24)などの、DNaseの冷凍前及び/または後での添加(Spitzer et al.,1980,Cancer 45:3075−3085)を含む。
【0126】
当業者には理解されることだが、仮に、ヒトに毒性のある凍結防止剤が使用される場合、その凍結防止剤は、治療使用の前に取り除かれるべきである。DMSOは、深刻な毒性は有しない。
【0127】
例示的な細胞投与のキャリアー及び方法は、米国特許公開番号2010/0183564の14−15ページに記述されている。さらなる薬学的キャリアーは、Remingtonに記述されている。The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition,David B.Troy,ed.,Lippicott Williams & Wilkins(2005)。
【0128】
特定の実施形態において、細胞は、培地から収穫でき、及び洗浄できそして治療に効果的な量でキャリアーに濃縮できる。例示的なキャリアーには、食塩水、緩衝生理食塩水、生理食塩水、水、Hanks液、リンゲル液、Nonnosol−R(Abbott Labs)、Plasma−Lyte A(登録商標)(Baxter Laboratories,Inc.,Morton Grove,IL)、グリセロール、エタノール、及びそれらの組み合わせを含む。
【0129】
特定の実施形態において、キャリアーは、ヒト血清アルバミン(HSA)またはその他のヒト血清成分またはウシ胎児血清で補完できる。特定の実施形態において、点滴用のキャリアーには、5%HASまたはブドウ糖で緩衝された生理食塩水を含む。さらに等張剤には、グリセリン、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、またはマンニトールなど、三価またはより多価の糖アルコール含む多価の糖アルコールを包含する。
【0130】
キャリアーには、クエン酸バッファー、コハク酸バッファー、酒石酸バッファー、フマル酸バッファー、グルコン酸バッファー、シュウ酸バッファー、バッファー乳酸、酢酸バッファー、リン酸バッファー、ヒスチジンバッファー及び/またはトリメチルアミン塩などの、緩衝剤を含むことができる。
【0131】
安定剤は、増量剤から容器の壁への細胞付着を防ぐのに役立つ添加剤までの機能に及ぶことが可能な、賦形剤の広範なカテゴリーを指す。典型的な安定剤には、多価の糖アルコール、アルギニン、リジン、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アラニン、オルニチン、L−ロイシン、2−フェニルアラニン、グルタミン酸、及びスレオニンなどのアミノ酸、乳糖、トレハロース、スタキオース、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、リビトール、ミオイノシトール、ガラクチトール、グリセロール、およびイノシトールなどのシクリトール、などの有機砂糖または糖アルコール、PEG、アミノ酸ポリマー、尿素、グルタチオン、チオクト酸、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリセロール、α−モノチオグリセロール、及びチオ硫酸ナトリウムなどの硫黄含有還元剤、低分子量ポリペプチド(すなわち、<10残基)、HSA、ウシ血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンなどのタンパク質、ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー、キシロース、マンノース、フルクトース及びグルコースなどの単糖類、乳糖、麦芽糖、ショ糖などの二糖類、ラフィノースなどの三糖類、及びデキストランなどの多糖類を含めることができる。
【0132】
必要または有益である場合、組成物または処方物には、注入場所で、痛みを緩和するリドカインなどの局所麻酔薬を含めることができる。
【0133】
例示的な防腐剤には、フェノール、ベンジルアルコール、メタ−クレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、オクタデシルジメチルベンジル・塩化アンモニウム、ベンザルコニウムハロゲン化物、塩化ヘキサメトニウム、メチル、またはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、及び3−ペンタノールを含む。
【0134】
組成物または処方物中の治療に効果的な細胞の量は、10
2細胞を超えて多く、10
3細胞を超えて多く、10
4細胞を超えて多く、10
5細胞を超えて多く、10
6細胞を超えて多く、10
7細胞を超えて多く、10
8細胞を超えて多く、10
9細胞を超えて多く、10
10細胞を超えて多く、または10
11を超えて多くあり得る。
【0135】
本明細書に開示される組成物及び処方物において、細胞は一般に、1リットル以下の、500 mls以下の、250 mls以下の、または100 mls以下の容積である。したがって、投与される細胞の密度は通常、10
4 細胞/mlを超えて、10
7 細胞/mlまたは10
8 細胞/mlを超えて高い。
【0136】
示されるように、組成物には、1つの細胞型(例えば、改変HSPCまたは改変エフェクター)を含む。処方物には、HSPC、改変HSPC及び/または改変エフェクター(改変NK細胞など)を組み合わせで含む。特定の実施形態において、同じ結合ドメインの改変HSPCと改変エフェクターとの組み合わせで、組まれる。その他の実施形態において、異なる結合ドメインの改変HSPCと改変エフェクターとが、組み合わされる。同様に、一処方物中の改変HSPCと改変エフェクター間の多様な組み合わせにおいて、発現分子(例えば、エフェクタードメイン成分、スペーサー領域など)の全てのその他の側面が、同じことも異なることも可能である。さらに、異なる分子を発現する改変HSPCまたはそれらの成分は、処方物中に共に含めることができ、及び異なる分子を発現する改変エフェクターまたはそれらの成分は、処方物中に共に含めることができる。特定の実施形態において、一処方物は、異なる分子を発現する少なくとも2つの改変HSPC及び異なる分子を発現する少なくとも2つの改変エフェクター細胞を含むことができる。
【0137】
HSPC、改変HSPC及び改変エフェクターは、例えば、1対1対1の比率、2対1対1の比率、1対2対1の比率、1対1対2の比率、5対1対1の比率、1対5対1の比率、1対1対5の比率、10対1対1の比率、1対10対1の比率、1対1対10の比率、2対2対1の比率、1対2対2の比率、2対1対2の比率、5対5対1の比率、1対5対5の比率、5対1対5の比率、10対10対1の比率、1対10対10の比率、10対1対10の比率、などの異なる比率で組み合わせることができる。これら比率はまた、同じかまたは異なる分子の成分を発現する細胞の数に適応できる。仮に2つの細胞型だけで組み合わすかまたは発現分子成分の2種類の組み合わせだけが、処方物に含まれるならば、その比率は、前述の3数字の組み合わせから作り得る任意の2数字の組み合わせを含むことができる。複数の実施形態において、組み合わされた細胞集団は、生体内及び/または生体外における有効性及び/または細胞増殖が試験され、及び有効性及び/または細胞増殖に対して与えられる細胞の比率が選択される。
【0138】
本明細書に開示される当該組成物及び処方物は、例えば、注射、点滴、灌流、または洗浄による投与に対して調製され得る。当該組成物及び処方物はさらに、骨髄、静脈内、皮内、動脈内、節内、リンパ内及び結節、腹腔内、病巣内、前立腺内、膣内、直腸内、局所、髄腔内、腫瘍内、筋肉内、膀胱内、及び/または皮下注射に対して、処方できる。
【0139】
キット。キットには、1つ以上の当該細胞、本明細書に記述される組成物または処方物が入った1つ以上の容器を含むことができる。特定の実施形態において、当該キットは、1つ以上の細胞、組成物または処方物及び/または別の細胞、組成物または処方物との組み合わせで使用される組成物が入った1つ以上の容器を含むことができる。そのような容器関連事項は、医薬品または生物学的製品の製造、使用、または販売を規制する政府機関により定められる所定の形式で通達され、その通達は、ヒトへの投与に対応した製造、使用または販売を所管する機関による承認を反映している。その通達は、当該提供細胞、組成物または処方物は、免疫適合無しで、対象者に投与できることを言明するであろう。当該キットは、例えば、投与に対する細胞、組成物及び/または処方物の調製、関連廃棄物の適切な処分、及びそれらに類する事項に関する説明書、などのキットの使用説明書を含むことができる。その説明書は、キット内に与えられた印刷物の形式においても可能であり、またはその説明書が、キット自身の一部分に印刷されることも可能である。説明書は、手順書、パンフレット、冊子、CD−Rom、またはコンピューター読み取り可能なデバイスの形式で良く、またはウエブサイトなどのように、遠隔地から説明書の使い方を提供することができる。特定の実施形態において、キットはまた、シリンジ、アンプル、チューブ、フェイスマスク、無針の流体輸送装置、インジェクションキャップ、スポンジ、滅菌接着剤ストリップ、Chloraprep、手袋などの、そのキットを効果的に使用するために必要な医療用品のいくつかまたは全てを含むことができる。本明細書に記述されるキットのいずれの中身においても変更が可能である。
【0140】
使用法。本明細書に開示される方法には、本明細書で開示される細胞で治療される対象者(人間、獣医動物(犬、猫、爬虫類、鳥など)、家畜(馬、牛、ヤギ、豚、鶏など)、及び研究動物(サル、ラット、マウス、魚など))を含む。治療対象者には、治療に効果的な量の送達を含む。治療に効果的な量には、効果的な量、予防処置、及び/または治療処置を与える量を含む。
【0141】
「有効量」は、対象者に望ましい生理的変化をもたらすのに必要な細胞数である。有効量はしばしば、研究目的で投与される。本明細書に開示される有効量は、(i)免疫不全、汎血球減少症、好中球減少症及び/または白血球減少症(例えば、免疫システムの再増殖細胞)を減らすことによる血液サポートを与える、及び(ii)抗ガン効果を有する、の1つ以上に作用する。
【0142】
「予防処置」には、治療する状態のサインまたは症状を現わさないまたは治療する状態の初期サインまたは初期症状を現わす対象者に投与される治療で、状態の発現リスクを徐々に下げ、防ぎ、または減らす目的に対して治療が行われる場合を含む。したがって、予防処置は、ある状態に対しての予防的な治療として機能する。
【0143】
「治療処置」には、ある状態に対して症状またはサインを現わしている対象者に投与される処置を含み、及びその状態の重篤度合いまたは進行度合いを減らす目的に対してその対象者へ投与される。
【0144】
特定の対象者への実際の投与量は、例えば、標的を含む物理的及び生理学的要因、体重、状態のタイプ、状態の重症度、もし判るならば、予想される関連事象、以前または同時並行の治療介入、その対象者の特発性疾患、及び投与の経路などのパラメーターを考慮する医師、獣医師、または研究者により決定できる。さらに、最適投与範囲の特定を補助するために、生体内及び生体外アッセイを、任意で取り入れることができる。
【0145】
投与する治療有効量は、10
2細胞を超えて、10
3細胞を超えて、10
4細胞を超えて、10
5細胞を超えて、10
6細胞を超えて、10
7細胞を超えて、10
8細胞を超えて、10
9細胞を超えて、10
10細胞を超えて、または10
11を超えて、多く含むことができる。
【0146】
示されるように、本明細書で開示される組成物及び処方物は、例えば、注射、点滴、灌流、または洗浄により投与でき、及びより特定には、骨髄、静脈内、皮内、動脈内、節内、リンパ内及び結節、腹腔内、病巣内、前立腺内、膣内、直腸内、局所、髄腔内、腫瘍内、筋肉内、膀胱内、及び/または皮下注射、及び/またはボーラス注入の1つ以上を介した投与を含むことができる。
【0147】
非改変HSPCの使用については、米国特許第7,399,633号のセクション5.6.1及びWO 2013/086436に記述される。HSPC及び改変HSPCは、同様の目的または異なる目的に対して投与できる。共通目的には、必要に応じて対象者へ造血機能を与えること、及び/または免疫不全、汎血球減少症、好中球減少症及び/または白血球減少症(周期性好中球減少及び特発性好中球減少症を含んで)の1つ以上を治療することを含む(総称して「目的」)。HSPC及び改変HSPCは、低下した血液細胞レベルを有するか、または対照となる血液細胞レベルと比較して低下した血液細胞レベルを発症するリスクがある対象者に投与できる。特定の実施形態において、当該対象者は、貧血であるかまたは貧血を発症するリスクがある。
【0148】
当該目的に対する処置は、アルキル化剤、シタラビン(Ara−C)、アザチオプリン、カルボプラチン、シスプラチン、クロランブシル、クロファラビン、シクロホスファミド、イホスファミド、メクロレタミン、メルカプトプリン、オキサリプラチン、タキサン系薬剤、及びビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、及びビンデシン)の1つ以上への露出を含む、集中化学療法への暴露に基づいて行う必要があり得る。
【0149】
当該目的に対する処置はまた、造血細胞移植(HCT)に対応して骨髄機能廃絶療法への暴露に基づいて行う必要があり得る。特定の実施形態において、HSPC及び/または改変HSPCは、劣化骨髄リスクのある、または劣化した、または限定された血液細胞レベルの発症リスクのある骨髄ドナーに投与される。投与は、骨髄取得の前後に生じることができる。HSPC及び/または改変HSPCはまた、骨髄移植の受給者に投与できる。
【0150】
当該目的に対する処置はまた、急性電離放射線への暴露及び/または抗生物質、ペニシリン、ガンシクロビ、ダウノマイシン、サルファ剤、フェノチアジン、精神安定剤、メプロバメート、鎮痛薬、アミノピリン、ジピロン、抗けいれん薬、フェニトイン、カルバマゼピン、抗甲状腺薬、プロピルチオウラシル、メチマゾール、及び利尿薬を含む骨髄抑制または造血欠陥を起こす可能性があるその他の薬剤への暴露に基づいて行う必要があり得る。
【0151】
当該目的に対する処置はまた、ウイルス(例えば、HIVI、HIVII、HTLVI、HTLVII、HTLVIII)、微生物または寄生虫感染及び/または、例えば透析などの腎疾患または腎不全に対する処置の結果に基づいて行う必要があり得る。例えば、T及び/またはBリンパ球、または、例えば関節リウマチなどの免疫異常における多様な免疫不全はまた、HSPC及び/または改変HSPCによる処置で有益な影響を受けるであろう。免疫不全はまた、別の医療処置の結果でもあっても良い。
【0152】
HSPC及び/または改変HSPCはまた、再生不良性貧血、チェディアック・東症候群、全身性エリテマトーデス(SLE)、白血病、骨髄異形成症候群、骨髄線維症または血小板減少症の治療に使用できる。重篤な血小板減少症はまた、ファンコーニ貧血(Fanconi’s Anemia)、Wiscott−Aldrich、またはMay−Hegglin症候群などの遺伝的欠陥からもたらされる。後天性血小板減少症はまた、免疫性血小板減少性紫斑病、全身性エリテマトーデス(Systemic Lupus Erythromatosis)、溶血性貧血、または胎児母体非互換性などにおける、自己または同種抗体からもたらされる。さらに、脾腫、播種性血管内凝固症候群、血栓性血小板減少性紫斑病、感染症、及び/または人工心臓弁は、血小板減少症をもたらす。血小板減少症はまた、がん、リンパ腫、白血病または線維症による骨髄浸潤からもたらされる。
【0153】
特定の実施形態において、当該対象者は、例えば外傷のため出血を被り、または出血のリスクがある。特定の実施形態において、当該対象者は、例えば、骨髄損失や劣化骨髄によって特徴付けられる先天的、遺伝的または後天的症候群に関連した劣化骨髄を被る。特定の実施形態において、当該対象者は、造血の必要がある。
【0154】
骨髄ドナーに関連して示されるように、対象者へのHSPCまたは改変HSPCの投与は、治療専門者により有用と判断される治療計画中の任意の時間に生じ得る。非限定的な例示として、HSPC及び/または改変HSPCは、例えば、化学療法、放射線治療または骨髄移植の前に、同時に、または後で対象者へ投与できる。HSPC及び/または改変HSPCは、そのHSPC及び/または改変HSPCの対象者への投与後、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10日目(または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10日を超えて、または未満で)、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10週目(または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10週を超えて、または未満で)、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12か月目(または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12か月を超えて、または未満で)、1、2、3、4、5年目(または1、2、3、4、5年を超えて、または未満で)にアッセイされた場合、効果的に生着を与えうる。特定の実施形態において、当該HSPC及び/または改変HSPCは、当該HSPC及び/またはCAR−HSPCの対象者への投与後、10日以内、2週間以内、3週間以内、4週間以内、6週間以内、または13週間以内にアッセイされた場合、生着を与えるのに効果的である。
【0155】
HSPC、改変HSPC及び改変エフェクター。HSPC、改変HSPC及び改変エフェクターは、一治療計画内の異なる目的に対して投与できる。血液支援を与えるためのHSPC及び改変HSPCの使用、及び全ての処置における白血病に対する移植片効果を与える改変HSPC及び改変エフェクターが、上述される。同様のアプローチが、血液支援を与えるために及び/または望ましくないがん細胞を標的にするために、及び化学療法または放射線療法の補助治療として使用できる。
【0156】
改変HSPC及び改変エフェクターで治療ができる例示的ながんには、副腎がん、膀胱がん、血液がん、骨のがん、脳腫瘍、乳がん、がん、子宮頸がん、結腸がん、大腸がん、コーパス子宮がん、耳、鼻と喉(ENT)のがん、子宮内膜がん、食道がん、消化器がん、頭頸部がん、ホジキン病、腸がん、腎臓がん、喉頭がん、白血病、肝臓がん、リンパ節がん、悪性リンパ腫、肺がん、黒色腫、中皮腫、骨髄腫、鼻咽頭がん、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、口腔がん、卵巣がん、膵がん、陰茎がん、咽頭がん、前立腺がん、直腸がん、肉腫、セミノーマ、皮膚がん、胃がん、奇形、精巣がん、甲状腺がん、子宮がん、腟がん、血管腫瘍、及びそれらの転移を含む。
【0157】
がんの文脈において、治療有効量は、抗がん効果を有する。抗がん効果には、腫瘍細胞数の減少、転移数の減少、腫瘍量の減少、寿命の増加、がん細胞のアポトーシスの誘導、がん細胞死の誘導、がん細胞の増殖抑制、腫瘍の増殖抑制、転移の予防、対象者の生命の延長、及び/または再発の減少または治療以降のがんの再発を観察することにより、定量化され得る。
【0158】
血液支援の文脈において、治療有効量は、対象者の循環で望ましい細胞数を増やすことにより、免疫不全、汎血球減少症、好中球減少症及び/または白血球減少症を治療する。免疫系細胞及び/または免疫系細胞前駆体の数を増やすことにより、対象者の循環で望ましい細胞数を増やすことで、その対象者の免疫系を再生着できる。
【0159】
改変HSPC及び改変エフェクターを利用する特定の実施形態において、ある対象者のがん細胞は、細胞マーカーの存在で特徴づけができる。改変HSPCまたは改変エフェクターで発現している結合ドメインは、その細胞マーカーの特徴を基に選択できる。特定の実施形態において、事前に産生された改変HSPC及び改変エフェクターは、特定対象者のがん細胞上で選択的に発現した細胞マーカーを結合する能力に基づいて選択される。
【0160】
がんを治療するために処方される場合、当開示の組成物及び処方物にはまた、p53、RB、BRCA1、E1A、bcl−2、MDR−1、p21、p16、バックス、bcl―xs、E2F、IGF−I VEGF、アンギオスタチン、オンコスタチン、エンドスタチン、GM−CSF、IL−12、IL−2、IL−4、IL−7、IFN−γ、TNF−α、及び/またはHSV−tkから選ばれた、1つ以上の抗がん遺伝子を運ぶプラスミドDNAを含むことができる。組成物及び処方物はまた、アドリアマイシン、アンギオスタチン、アザチオプリン、ブレオマイシン、ブスルファン、カンプトテシン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、クロルメテャミン、クロロキノキサリン、スルホンアミド、シスプラチン、シクロホスファミド、シクロプラタム、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、didox、ドキソルビシン、エンドスタチン、エンロプラチン、エストラムスチン、エトポシド、リン酸エクストラムスチ(extramustinephosphat)、フルシトシン、フルオロデオキシウリジン、フルオロウラシル、硝酸ガリウム、ヒドロキシウレア、イドクスウリジン、インターフェロン、インターロイキン、リュープロリド、ロバプラチン、ロムスチン、マンノムスチン、メクロレタミン、メクロレタミン酸化物、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、ミスラマイシン、ミトブロニトール、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノコダゾール、オンコスタチン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペンタムスチン、プラチナ−トリアミン錯体、プリカマイシン、プレドニゾロン、プレドニゾン、プロカルバジン、プロテインキナーゼC阻害剤、ピューロマイシン、セムスチン、シグナル伝達阻害剤、スピロプラチン、ストレプトゾトシン、ストロメリシン阻害剤、タキソール、テガフール、テロメラーゼ阻害剤、テニポシド、サリドマイド、チアミプリン、チオグアニン、チオテパ、チアミプリン、トレタミン、トリアジコン、トロホスファミド(trifosfamide)、チロシンキナーゼ阻害剤、ウラムスチン、ビダラビン、ビンブラスチン、ビンカアルカロイド、ビンクリスチン、ビンデシン、ボロゾール、ゼニプラチン、ゼニプラチンまたはジノスタチンを含む、1つ以上の抗がん剤の組み合わせを含み得てまたは投与され得る。
【0161】
改変HSPC及び改変エフェクター。改変HSPC及び/または改変エフェクターは、造血機能を付与するために、または免疫不全、汎血球減少症、好中球減少症及及び/または白血球減少症の治療に、処置が望ましくないまたは必要でない場合には、HSPC無しで使用できる。
【0162】
当業者には理解されることだが、異なる血液疾患及びがんの動物モデルが公知であり及び必要または有益であれば、特定治療の枠組みの有効性を評価するために使用できる。
【0163】
以下の実施例及び例示的な実施形態は、本開示の特定の実施形態を代表する目的に含まれる。当業者は、本明細書に開示される特定の実施形態に対して多数の変更がなされ得て及び本開示の主旨及び範囲からの逸脱無しで類似のまたは同様の結果が得られる、ということを、本開示に照らして認識すべきである。
【0164】
例示的な実施形態。
1.(i)CD19を結合するリガンド結合ドメインを含む細胞外成分、(ii)CD28または4−1BBの細胞質ドメインを含むエフェクタードメインを含む細胞内成分、(iii)ヒトIgG4のヒンジ領域を含むスペーサー領域、及び(iv)ヒトCD4またはCD28膜貫通ドメインを発現するように、遺伝子的に改変されたCD34+造血幹前駆細胞(HSPC)。
2.当該リガンド結合ドメインが、RASQDISKYLN(SEQ ID NO.108)のCDRL1配列、SRLHSGV(SEQ ID NO.111)のCDRL2配列、GNTLPYTFG(SEQ ID NO.104)のCDRL3配列、DYGVS(SEQ ID NO.103)のCDRH1配列、V
IWGSETTYYNSALKS(SEQ ID NO.114)のCDRH2配列、及びYAMDYWG(SEQ ID NO.115)のCDRH3配列を含む単鎖のFvフラグメント(scFv)である、実施形態1に記載のHSPC。
3.当該スペーサー領域が、12以下のアミノ酸である、実施形態1または2に記載のHSPC。
4.当該スペーサー領域が、SEQ ID NO:47を含む、実施形態1−3の任意の1つに記載のHSPC。
5.(i)CD19を結合するリガンド結合ドメインを含む細胞外成分、(ii)CD28または4−1BBの細胞質ドメインを含むエフェクタードメインを含む細胞内成分、(iii)ヒトIgG4のヒンジ領域を含むスペーサー領域、及び(iv)ヒトCD4またはCD28膜貫通ドメインを発現するように、遺伝子的に改変された非エフェクターT細胞。
6.当該リガンド結合ドメインが、RASQDISKYLN(SEQ ID NO.108)のCDRL1配列、SRLHSGV(SEQ ID NO.111)のCDRL2配列、GNTLPYTFG(SEQ ID NO.104)のCDRL3配列、DYGVS(SEQ ID NO.103)のCDRH1配列、V
IWGSETTYYNSALKS(SEQ ID NO.114)のCDRH2配列、及びYAMDYWG(SEQ ID NO.115)のCDRH3配列を含む単鎖のFvフラグメント(scFv)である、実施形態5に記載の非エフェクターT細胞。
7.当該スペーサー領域が、12以下のアミノ酸である、実施形態5または6に記載の非エフェクターT細胞。
8.当該スペーサー領域が、SEQ ID NO:47を含む、実施形態5−7の任意の1つに記載の非エフェクターT細胞。
9.当該非エフェクターT細胞が、ナチュラルキラー細胞である、実施形態5−8の任意の1つに記載の非エフェクターT細胞。
10.SEQ ID NO:34、53、54、55、56、57、または58のキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように、遺伝子的に改変された造血幹前駆体細胞(HSPC)。
11.当該HSPCがCD34+である、実施形態10に記載のHSPC。
12.SEQ ID NO:34、53、54、55、56、57、または58のCARを発現するように、遺伝子的に改変された非エフェクターT細胞。
13.当該非エフェクターT細胞が、ナチュラルキラー細胞である、実施形態12に記載の非エフェクターT細胞。
14.(i)望ましくない細胞上に選択的に発現した細胞マーカーを結合するリガンド結合ドメインを含む細胞外成分、及び(ii)エフェクタードメインを含む細胞内成分を発現するように、遺伝子的に改変されたHSPC。
15.当該リガンド結合ドメインが、抗体フラグメントである、実施形態14に記載のHSPC。
16.当該リガンド結合ドメインが、抗体の単鎖変異体フラグメントである、実施形態14または15に記載のHSPC。
17.当該リガンド結合ドメインが、CD19を結合する、実施形態14―16の任意の1つに記載のHSPC。
18.当該リガンド結合ドメインが、RASQDISKYLN(SEQ ID NO.108)のCDRL1配列、SRLHSGV(SEQ ID NO.111)のCDRL2配列、GNTLPYTFG(SEQ ID NO.104)のCDRL3配列、DYGVS(SEQ ID NO.103)のCDRH1配列、V
IWGSETTYYNSALKS(SEQ ID NO.114)のCDRH2配列、及びYAMDYWG(SEQ ID NO.115)のCDRH3配列を含むscFvである、実施形態14−17の任意の1つに記載のHSPC。
19.当該HSPCがまた、アミノ酸が12以下のスペーサー領域を発現するように遺伝子的に改変された、実施形態18に記載のHSPC。
20.当該スペーサー領域が、SEQ ID NO:47を含む、実施形態19に記載のHSPC。
21.当該リガンド結合ドメインが、ROR1を結合する、実施形態14―16の任意の1つに記載のHSPC。
22.当該リガンド結合ドメインが、ASGFDFSAYYM(SEQ ID NO.101)のCDRL1配列、TIYPSSG(SEQ ID NO.112)のCDRL2配列、ADRATYFCA(SEQ ID NO.100)のCDRL3配列、DTIDWY(SEQ ID NO.102)のCDRH1配列、VQSDGSYTKRPGVPDR(SEQ ID NO.113)のCDRH2配列、及びYIGGYVFG(SEQ ID NO.117)のCDRH3配列を含むscFvである、実施形態14−16または21の任意の1つに記載のHSPC。
23.当該リガンド結合ドメインが、SGSDINDYPIS(SEQ ID NO.109)のCDRL1配列、INSGGST(SEQ ID NO.105)のCDRL2配列、YFCARGYS(SEQ ID NO.116)のCDRL3配列、SNLAW(SEQ ID NO.110)のCDRH1配列、RASNLASGVPSRFSGS(SEQ ID NO.107)のCDRH2配列、及びNVSYRTSF(SEQ ID NO.106)のCDRH3配列を含むscFvである、実施形態14−16または21の任意の1つに記載のHSPC。
24.当該HSPCがまた、アミノ酸が229以下のスペーサー領域を発現するように遺伝子的に改変された、実施形態23に記載のHSPC。
25.当該スペーサー領域が、SEQ ID NO:61を含む、実施形態24に記載のHSPC。
26.当該リガンド結合ドメインが、PSMA、PSCA、メソテリン、CD20、WT1、またはHer2を結合する、実施形態14―16の任意の1つに記載のHSPC。
27.当該細胞内成分が、4−1BB、CARD11、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD3ζ、CD27、CD28、CD79A、CD79B、DAP10、FcRα、FcRβ、FcRγ、Fyn、HVEM、ICOS、LAG3、LAT、Lck、LRP、NKG2D、NOTCH1、pTα、PTCH2、OX40、ROR2、Ryk、SLAMF1、Slp76、TCRα、TCRβ、TRIM、Wnt、及びZap70のシグナル伝達及び/または刺激ドメインから選ばれる1つ以上のシグナル伝達及び/または刺激ドメインを含有するエフェクタードメインを含む、実施形態14―26の任意の1つに記載のHSPC。
28.当該細胞内成分が、CD3ζ、CD28ζ、または4−1BBの細胞内シグナル伝達ドメインを含有するエフェクタードメインを含む、実施形態14―27の任意の1つに記載のHSPC。
29.当該細胞内成分が、CD27、CD28、4−1BB、OX40、CD30、CD40、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、またはB7−H3の共刺激ドメインから選ばれる1つ以上の共刺激ドメインを含有するエフェクタードメインを含む、実施形態14―28の任意の1つに記載のHSPC。
30.当該細胞内成分が、(i)CD3ζのシグナル伝達ドメインの全部またはその一部、(ii)CD28のシグナル伝達ドメインの全部またはその一部、(iii)4−1BBのシグナル伝達ドメインの全部またはその一部、または(iv)CD3ζ、CD28、及び/または4−1BBのシグナル伝達ドメインの全部またはその一部を含む細胞内シグナル伝達ドメインを含有するエフェクタードメインを含む、実施形態14―29の任意の1つに記載のHSPC。
31.当該細胞内成分が、CD3ζの変異体及び/または4−1BBの細胞内シグナル伝達ドメインの一部分を含有するエフェクタードメインを含む、実施形態14―30の任意の1つに記載のHSPC。
32.当該HSPCがまた、スペーサー領域を発現すように遺伝子的に改変された、実施形態14―18、21−23、または26−31の任意の1つに記載のHSPC。
33.当該スペーサー領域が、ヒト抗体のヒンジ領域の一部分を含む、実施形態32に記載のHSPC。
34.当該スペーサー領域が、ヒンジ領域、及びCH1、CH2、CH3またはそれらの組み合わせから選ばれるヒト抗体のFcドメインの少なくとも1つのその他の部分を含む、実施形態32または33に記載のHSPC。
35.当該スペーサー領域が、Fcドメイン及びヒトIgG4重鎖ヒンジを含む、実施形態32または33に記載のHSPC。
36.当該スペーサー領域が、12以下のアミノ酸、119以下のアミノ酸、または229以下のアミノ酸から選ばれた長さの領域である、実施形態32に記載のHSPC。
37.当該スペーサー領域が、SEQ ID NO:47、SEQ ID NO:52、またはSEQ ID NO:61である、実施形態32に記載のHSPC。
38.当該HSPCがまた、膜貫通ドメインを発現するように遺伝子的に改変された、実施形態14―37の任意の1つに記載のHSPC。
39.当該膜貫通ドメインが、CD28膜貫通ドメインまたはCD4膜貫通ドメインである、実施形態38に記載のHSPC。
40.当該細胞外成分がさらに、タグ配列を含む、実施形態14―39の任意の1つに記載のHSPC。
41.当該タグ配列が、細胞内シグナル伝達ドメインを欠いたEGFRである、実施形態40に記載のHSPC。
42.当該HSPCが、CD34+である、実施形態14―41の任意の1つに記載のHSPC。
43.(i)望ましくない細胞上の細胞マーカーを結合するリガンド結合ドメインを含む細胞外成分、及び(ii)エフェクタードメインを含む細胞内成分を発現するように、遺伝子的に改変された非エフェクターT細胞。
44.当該リガンド結合ドメインが、抗体フラグメントである、実施形態43に記載の非エフェクターT細胞。
45.当該リガンド結合ドメインが、抗体の単鎖可変フラグメントである、実施形態43または44に記載の非エフェクターT細胞。
46.当該リガンド結合ドメインが、CD19を結合する、実施形態43−45の任意の1つに記載の非エフェクターT細胞。
47.当該リガンド結合ドメインが、RASQDISKYLN(SEQ ID NO.108)のCDRL1配列、SRLHSGV(SEQ ID NO.111)のCDRL2配列、GNTLPYTFG(SEQ ID NO.104)のCDRL3配列、DYGVS(SEQ ID NO.103)のCDRH1配列、V
IWGSETTYYNSALKS(SEQ ID NO.114)のCDRH2配列、及びYAMDYWG(SEQ ID NO.115)のCDRH3配列を含むscFvである、実施形態43−46の任意の1つに記載の非エフェクターT細胞。
48.当該非エフェクターT細胞がまた、アミノ酸が12以下のスペーサー領域を発現するように遺伝子的に改変された、実施形態47に記載の非エフェクターT細胞。
49.当該スペーサー領域が、SEQ ID NO:47を含む、実施形態48に記載の非エフェクターT細胞。
50.当該リガンド結合ドメインが、ROR1を結合する、実施形態43−45の任意の1つに記載の非エフェクターT細胞。
51.当該リガンド結合ドメインが、ASGFDFSAYYM(SEQ ID NO.101)のCDRL1配列、TIYPSSG(SEQ ID NO.112)のCDRL2配列、ADRATYFCA(SEQ ID NO.100)のCDRL3配列、DTIDWY(SEQ ID NO.102)のCDRH1配列、VQSDGSYTKRPGVPDR(SEQ ID NO.113)のCDRH2配列、及びYIGGYVFG(SEQ ID NO.117)のCDRH3配列を含むscFvである、実施形態43−45または50の任意の1つに記載の非エフェクターT細胞。
52.当該リガンド結合ドメインが、SGSDINDYPIS(SEQ ID NO.109)のCDRL1配列、INSGGST(SEQ ID NO.105)のCDRL2配列、YFCARGYS(SEQ ID NO.116)のCDRL3配列、SNLAW(SEQ ID NO.110)のCDRH1配列、RASNLASGVPSRFSGS(SEQ ID NO.107)のCDRH2配列、及びNVSYRTSF(SEQ ID NO.106)のCDRH3配列を含む単鎖のFvフラグメント(scFv)である、実施形態43−45または50の任意の1つに記載の非エフェクターT細胞。
53.当該非エフェクターT細胞がまた、アミノ酸が229以下であるスペーサー領域を発現するように遺伝子的に改変された、実施形態52に記載の非エフェクターT細胞。
54.当該スペーサー領域が、SEQ ID NO:61を含む、実施形態53に記載の非エフェクターT細胞。
55.当該リガンド結合ドメインが、PSMA、PSCA、メソテリン、CD20、WT1、またはHer2を結合する、実施形態43―45の任意の1つに記載の非エフェクターT細胞。
56.当該細胞内成分が、4−1BB、CARD11、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD3ζ、CD27、CD28、CD79A、CD79B、DAP10、FcRα、FcRβ、FcRγ、Fyn、HVEM、ICOS、LAG3、LAT、Lck、LRP、NKG2D、NOTCH1、pTα、PTCH2、OX40、ROR2、Ryk、SLAMF1、Slp76、TCRα、TCRβ、TRIM、Wnt、及びZap70のシグナル伝達及び/または刺激ドメインから選ばれる1つ以上のシグナル伝達及び/または刺激ドメインを含有するエフェクタードメインを含む、実施形態43―55の任意の1つに記載の非エフェクターT細胞。
57.当該細胞内成分が、CD3ζ、CD28ζ、または4−1BBの細胞内シグナル伝達ドメインを含有するエフェクタードメインを含む、実施形態43―56の任意の1つに記載の非エフェクターT細胞。
58.当該細胞内成分が、CD27、CD28、4−1BB、OX40、CD30、CD40、LFA−1、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、またはB7−H3の共刺激ドメインから選ばれる1つ以上の共刺激ドメインを含有するエフェクタードメインを含む、実施形態43―57の任意の1つに記載の非エフェクターT細胞。
59.当該細胞内成分が、(i)CD3ζのシグナル伝達ドメインの全部またはその一部、(ii)CD28のシグナル伝達ドメインの全部またはその一部、(iii)4−1BBのシグナル伝達ドメインの全部またはその一部、または(iv)CD3ζ、CD28、及び/または4−1BBのシグナル伝達ドメインの全部またはその一部を含む細胞内シグナル伝達ドメインを含有するエフェクタードメインを含む、実施形態43―58の任意の1つに記載の非エフェクターT細胞。
60.当該細胞内成分が、CD3ζの変異体及び/または4−1BBの細胞内シグナル伝達ドメインの一部を含有するエフェクタードメインを含む、実施形態43―59の任意の1つに記載の非エフェクターT細胞。
61.スペーサー領域を発現すように遺伝子的に改変された、実施形態43―47、50−52、または55−60の任意の1つに記載の非エフェクターT細胞。
62.当該スペーサー領域が、ヒト抗体のヒンジ領域の一部分を含む、実施形態61に記載の非エフェクターT細胞。
63.当該スペーサー領域が、ヒンジ領域、及びCH1、CH2、CH3またはそれらの組み合わせから選ばれるヒト抗体のFcドメインの少なくとも1つのその他の部分を含む、実施形態61または62に記載の非エフェクターT細胞。
64.当該スペーサー領域が、Fcドメイン及びヒトIgG4重鎖ヒンジを含む、実施形態61または62に記載の非エフェクターT細胞。
65.当該スペーサー領域が、12以下のアミノ酸、119以下のアミノ酸、または229以下のアミノ酸から選ばれた長さの領域である、実施形態61に記載の非エフェクターT細胞。
66.当該スペーサー領域が、SEQ ID NO:47、SEQ ID NO:52、またはSEQ ID NO:61である、実施形態61に記載の非エフェクターT細胞。
67.当該非エフェクターT細胞がまた、膜貫通ドメインを発現するように遺伝子的に改変された、実施形態43―66の任意の1つに記載の非エフェクターT細胞。
68.当該膜貫通ドメインが、CD28膜貫通ドメインまたはCD4膜貫通ドメインである、実施形態67に記載の非エフェクターT細胞。
69.当該細胞外成分がさらに、タグ配列を含む、実施形態43―68の任意の1つに記載の非エフェクターT細胞。
70.当該タグ配列が、細胞内シグナル伝達ドメインを欠いたEGFRである、実施形態69に記載の非エフェクターT細胞。
71.当該非エフェクターT細胞が、ナチュラルキラー細胞である、実施形態43―70の任意の1つに記載の非エフェクターT細胞。
72.実施形態1−4、10、11、または14−42の任意の1つに記載の、遺伝子的に改変されたHSPCを含む組成物。
73.実施形態5−9、12、13、または43−71の任意の1つに記載の、非エフェクターT細胞を含む組成物。
74.点滴または注射に対応して処方された、実施形態72または73に記載の組成物。
75.HSPC及び実施形態1−4、10、11、または14−42の任意の1つに記載の、遺伝子的に改変されたHSPCを含む処方物。
76.HSPC及び実施形態5−9、12、13、または43−71の任意の1つに記載の、遺伝子的に改変された非エフェクターT細胞を含む処方物。
77.実施形態1−4、10、11、または14−42の任意の1つに記載の、遺伝子的に改変されたHSPC及び実施形態5−9、12、13、または43−71の任意の1つに記載の、非エフェクターT細胞を含む処方物。
78.HSPCをさらに含む、実施形態77に記載の処方物。
79.点滴または注射に対応して処方された、実施形態75−78の任意の1つに記載の処方物。
80.当該組成物または処方物を、免疫的な適合無しで、対象者に投与できることを助言する説明書を含む、実施形態72−74の任意の1つに記載の組成物を含むキット。
81.当該組成物または処方物を、免疫的な適合無しで、対象者に投与できることを助言する説明書を含む、実施形態75−79の任意の1つに記載の処方物を含むキット。
82.当該組成物または処方物を、免疫的な適合無しで、対象者に投与できることを助言する説明書を含む、実施形態72−74の任意の1つに記載の組成物及び実施形態75−79の任意の1つに記載の処方物を含むキット。
83.遺伝子的に改変されたHSPCの治療に効果的な量を対象者に投与することを含み、その遺伝子的に改変されたHSPCが、(i)望ましくないがん細胞上に選択的に発現する細胞マーカーを結合する、リガンド結合ドメインを含む細胞外成分、及び(ii)エフェクタードメインを含む細胞内成分を発現し、それにより対象者の免疫系を再増殖し及び望ましくないがん細胞を標的化する、それを必要とする対象者の免疫系の再増殖を行い及び対象者において望ましくないがん細胞を標的化する方法。
84.遺伝子的に改変された非エフェクターT細胞を対象者に投与することをさらに含む、実施形態83に記載の方法であって、その遺伝子的に改変された非エフェクターT細胞が、(i)望ましくないがん細胞上に選択的に発現する細胞マーカーを結合する、リガンド結合ドメインを含む細胞外成分、及び(ii)エフェクタードメインを含む細胞内成分を発現する、前記方法。
85.HSPCを投与することをさらに含む、実施形態83または84に記載の方法。
86.投与前に、対象者に対する免疫的な適合が必要でない、実施形態83−85の任意の1つに記載の方法。
87.当該細胞マーカーが、CD19、ROR1、PSMA、PSCA、メソテリン、CD20、WT1、またはHer2である、実施形態83−86の任意の1つに記載の方法。
88.増殖が、造血細胞移植(HCT)に対応して骨髄機能廃絶療法への暴露に基づいて行われる必要があり及びその望ましくないがん細胞が、CD19を発現している急性リンパ性白血病細胞である、実施形態83−87の任意の1つに記載の方法。
89.当該対象者が、再発小児急性リンパ性白血病の患者である、実施形態83−88の任意の1つに記載の方法。
90.遺伝子的に改変された非エフェクターT細胞の治療に有効な量を対象者に投与し、その遺伝子的に改変された非エフェクターT細胞が、(i)選択的に発現した細胞マーカーを結合するリガンド結合ドメインを含む細胞外成分、及び(ii)エフェクタードメインを含む細胞内成分を発現し、当該対象者からのがん細胞上に選択的に発現した少なくとも1つの細胞マーカーを特定することを含む、対象者の望ましくないがん細胞を標的化する方法。
91.遺伝子的に改変されたHSPCを対象者に投与することを含み、その遺伝子的に改変されたHSPCが、(i)選択的に発現した細胞マーカーを結合するリガンド結合ドメインを含む細胞外成分、及び(ii)エフェクタードメインを含む細胞内成分を発現する、実施形態90に記載の方法。
92.対象者からのがん細胞上に選択的に発現した少なくとも1つの細胞マーカーを特定することを含む、対象者の望ましくないがん細胞を標的化する方法であって、遺伝子的に改変されたHSPCを対象者に投与し、前記遺伝子的に改変されたHSPCが、(i)選択的に発現した細胞マーカーを結合するリガンド結合ドメインを含む細胞外成分、及び(ii)エフェクタードメインを含む細胞内成分を発現し、当該対象者からのがん細胞上に選択的に発現した少なくとも1つの細胞マーカーを特定することを含む、対象者の望ましくないがん細胞を標的化する方法。
93.HSPCの治療に効果的な量を対象者に投与することにより、その対象者の免疫不全、汎血球減少症、好中球減少症、及び/または白血球減少症を治療することをさらに含む、実施形態90−92の任意の1つに記載の方法。
94.免疫不全、汎血球減少症、好中球減少症、及び/または白血球減少症が、化学療法、放射線療法、及び/またはHCTに対応した骨髄機能廃絶療法によるものである、実施形態93に記載の方法。
95.当該細胞マーカーが、CD19、ROR1、PSMA、PSCA、メソテリン、CD20、WT1、またはHer2である、実施形態90−94の任意の1つに記載の方法。
96.投与前に、当該対象者への免疫的な適合が必要でない、実施形態90−95の任意の1つに記載の方法。
97.当該望ましくないがん細胞が、CD19を発現している急性リンパ性白血病細胞である、実施形態90−96の任意の1つに記載の方法。
98.当該対象者が、再発小児急性リンパ性白血病の患者である、実施形態90−97の任意の1つに記載の方法。
99.HSPC及び/または遺伝子的に改変されたHSPCの治療に効果的な量を当該対象者に投与し、それにより当該対象者の免疫系が増殖することを含む、それを必要とする対象者の免疫系を増殖する方法。
100.当該増殖が、免疫不全、汎血球減少症、好中球減少症、または白血球減少症の1つ以上に基づいて必要とされる、実施形態99に記載の方法。
101.当該増殖が、ウイルス感染、微生物感染症、寄生虫感染症、腎疾患、及び/または腎不全の1つ以上に基づいて必要とされる、実施形態99または100に記載の方法。
102.当該増殖が、化学療法、HCTに対応した骨髄機能廃絶療法、及び/または急性電離放射線への暴露に基づいて必要とされる、実施形態99―101の任意の1つに記載の方法。
103.当該増殖が、骨髄抑制または造血欠陥を引き起こす薬剤への暴露に基づいて必要とされる、実施形態99−102の任意の1つに記載の方法。
104.当該増殖が、ペニシリン、ガンシクロビ、ダウノマイシン、メプロバメート、アミノピリン、ジピロン、フェニトイン、カルバマゼピン、プロピルチオウラシル、及び/またはメチマゾールへの暴露に基づいて必要とされる、実施形態99−103の任意の1つに記載の方法。
105.当該増殖が、透析への暴露に基づいて必要とされる、実施形態99−104の任意の1つに記載の方法。
106.遺伝子的に改変されたHSPC及び/または遺伝子的に改変された非エフェクターT細胞を投与することにより、対象者における望ましくないがん細胞を標的化することをさらに含む、実施形態99−105の任意の1つに記載の方法であって、その遺伝子的に改変されたHSPC及び/または遺伝子的に改変された非エフェクターT細胞が、(i)対象者のがん細胞上に選択的に発現していると判っている細胞マーカーに結合するリガンド結合ドメインを含む細胞外成分、及び(ii)エフェクタードメインを含む細胞内成分を発現する、前記方法。
107.当該がん細胞が、副腎がん、膀胱がん、血液がん、骨のがん、脳のがん、乳がん、カルシノーマ、子宮頸がん、結腸がん、大腸がん、子宮体がん、耳、鼻と喉(ENT)のがん、子宮内膜がん、食道がん、消化器がん、頭頸部がん、ホジキン病、腸がん、腎臓がん、喉頭がん、白血病、肝臓がん、リンパ節がん、悪性リンパ腫、肺がん、黒色腫、中皮腫、骨髄腫、鼻咽頭がん、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、口腔がん、卵巣がん、膵がん、陰茎がん、咽頭がん、前立腺がん、直腸がん、肉腫、セミノーマ、皮膚がん、胃がん、テラトーマ、精巣がん、甲状腺がん、子宮がん、腟がん、血管腫瘍、及び/またはそれらの転移からの細胞である、実施形態106に記載の方法。
108.当該細胞マーカーが、A33、BAGE、Bcl−2、β−カテニン、B7H4、BTLA、CA125、CA19−9、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD33、CD37、CD44v6、CD45、CD123、CEA、CEACAM6、c−MET、CS−1、サイクリンB1、DAGE、EBNA、EGFR、エフリンB2、ErbB2、ErbB3、ErbB4、EphA2、エストロゲン受容体、FAP、フェリチン、α-フェトプロテイン(AFP)、FLT1、FLT4、葉酸結合タンパク質、Frizzled、GAGE、G250、GD−2、GHRHR、GHR、GM2、gp75、gp100(Pmel 17)、gp130、HLA、HER−2/neu、HPV E6、HPV E7、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、HVEM、IGF1R、IL6R、KDR、Ki−67、LIFRβ、LRP、LRP5、LTβR、メソテリン、OSMRβ、p53、PD1、PD−L1、PD−L2、PRAME、プロゲステロン受容体、PSA、PSMA、PTCH1、MAGE、MART、メソテリン、MUC、MUC1、MUM−1−B、myc、NYESO−1、RANK、ras、Robo1、RORl、サバイビン、TCRα、TCRβ、テネイシン、TGFBR1、TGFBR2、TLR7、TLR9、TNFR1、TNFR2、TNFRSF4、TWEAK−R、TSTAチロシナーゼ、VEGF、及びWT1から選ばれる細胞マーカーである、実施形態106または107に記載の方法。
109.当該がんが、白血病/リンパ腫であり及び当該細胞のマーカーが、CD19、CD20、CD22、ROR1、CD33、及びWT−1の1つ以上である、当該がんが、多発性骨髄腫であり及び当該細胞のマーカーが、BCMAである、当該がんが、前立腺がんであり及び当該細胞マーカーが、PSMA、WT1、PSCA、及びSV40 Tの1つ以上である、当該がんが、乳がんであり及び当該細胞マーカーが、HER2、ERBB2、及びROR1の1つ以上である、当該がんが、幹細胞がんであり及び当該細胞マーカーがCD133である、当該がんが、卵巣がんであり及び当該細胞マーカーが、L1−CAM、MUC−CD、葉酸受容体、Lewis Y、ROR1、メソテリン、及びWT−1の1つ以上である、当該がんが、中皮腫あり及び当該細胞マーカーが、メソテリンである、当該がんが、腎細胞がんであり及び当該細胞マーカーが、CAIXである、当該がんが、黒色腫であり及び当該細胞マーカーが、GD2である、当該がんが、膵臓がんであり及び当該細胞マーカーが、メソテリン、CEA、CD24、及びROR1の1つ以上である、または当該がんが、肺がんであり及び当該細胞マーカーが、ROR1である、実施形態106−108の任意の1つに記載の方法。
110.当該がんが、急性リンパ性白血病であり及び当該対象者が、小児患者である、実施形態106−109の任意の1つに記載の方法。
111.投与前に、当該対象者への免疫的な適合が必要でない、実施形態106−110の任意の1つに記載の方法。
112.遺伝子的に改変されたHSPC及び/または遺伝子的に改変された非エフェクターT細胞の治療に効果的な量を、必要に応じて対象者に投与し、その遺伝子的に改変された細胞が、(i)リガンド結合ドメインCD19を含む細胞外成分、及び(ii)エフェクタードメインを含む細胞内成分を発現し、それによりCD19を選択的に発現している細胞を標的化し及び破壊することを含む、破壊に対応してCD19を選択的に発現している細胞を標的化する方法。
113.HSPCの治療に効果的な量を当該対象者に投与することによる、当該対象者の免疫不全、汎血球減少症、好中球減少症、及び/または白血球減少症の治療をさらに含む、実施形態112に記載の方法。
114.当該免疫不全や汎血球減少症、好中球減少症、及び/または白血球減少症が、化学療法、放射線療法、及び/またはHCTに対応した骨髄機能廃絶療法によるものである、実施形態113に記載の方法。
115.投与前に、当該対象者への免疫的な適合が必要でない、実施形態112−114の任意の1つに記載の方法。
116.CD19を選択的に発現している当該細胞が、急性リンパ性白血病細胞である、実施形態112−115の任意の1つに記載の方法。
117.当該対象者が、再発小児急性リンパ性白血病患者である、実施形態112−116の任意の1つに記載の方法。
【0165】
実施例1。CD19−CAR及びhuEGFRt選択/自滅コンストラクトの同調発現に対応した、2/3世代レンチウイルスベクターの設計及びcGMP産生を創出した。CD19特異のCARをコードするcGMP条件下でのSIN水疱性口内炎ウイルス G(VSV−G)偽型のレンチウイルスベクター及び細胞内シグナル伝達ドメインを含まない切断されたヒトEGFRであるhuEGFRtの両方を、発現させた。CD19特異のscFvFc−CD3ζCD28 CAR及びhuEGFRtベクターは、そのU3領域が、CMVプロモーターで置き換えられた領域のハイブリッド5′LTR及びそのシス作用制御配列が、U3領域から完全に取り除かれた領域の3′LTRを含む。その結果、プロウイルスが産生され及び染色体に組み込まれる場合、5′及び3′の両LTRは不活性化される。当該CD19 CARは、CD19特異のマウスIgG1mAb(FMC63)、Fc及びヒトIgG4重鎖のヒンジ領域、ヒトCD28膜貫通領域、及びCD3ζ及びCD28の細胞質ドメインから誘導されたヒトGMCSFRα鎖リーダー配列、VL及びVH配列を含む。このコンストラクトは、そのCMVプロモーターが、ヒトEF−1αプロモーターと交換された領域の改変pHIV7にクローンされた(
図29A)。当該ベクターは、T2Aエレメントの使用を介して、CD19 CARとhuEGFRtの約1対1の発現を可能にする。次に、CD19特異のscFv−4−1BB/CD3ζ CARフラグメントが、IgG1マウスのモノクローナル抗体(FMC63)、ヒトIgG4ヒンジ及びヒトCD28膜貫通領域そしてヒトCD3ζの細胞質テールを伴う4−1BB共刺激エレメントから誘導された、CD19特異のscFvの表面発現を指示するために、ヒトGMCSF受容体α鎖シグナル伝達配列のN末端リーダーペプチドをコードする(
図29B)。再び当該ベクターは、T2Aエレメントの使用を介して、CD19 CARとhuEGFRtの約1対1の発現を可能にする。
【0166】
huEGFRtの発現は、形質導入効率の容易な実験を可能にする第二細胞表面マーカーに対して与えられる。ビオチン化アービタックスは、細胞表面に発現したhuEGFRtに結合し及びフローサイトメトリーでの解析に対応して蛍光色素で標識化できる。さらに、それはアービタックスの治療を伴う臨床場面において、自滅遺伝子として利用可能である。CARの場所において、eGFPを伴う類似のベクターが、産生された。
【0167】
実施例2。ノッチを介した、CB HSPCの体外増殖は、臨床的に検証された、良受容性の細胞療法産生物であり、HLA適合無しでいつでもその効用を与えることができ、そしてHCT及び集中化学療法の両場面において、一時的な骨髄生着を提供する。既成の増殖ユニットを、85を超える対象者に点滴したが、DMSOに起因するアレルギー反応の一例を除いて、重篤な有害事象は指摘されなかった。さらに、HCT場面における180日を超えた及び化学療法場面における点滴後14日での永続的な生着は、無かった。
【0168】
方法。臍帯血/胎盤血液ユニットを、出産時にヒトから採取した。採取した血液は、凝固を防ぐため抗凝血剤と混合し及び貯蔵した。計画された増殖培養の開始前に、組織培養容器を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で、2.5 μg/mlのDelta1
ext−lgG及び5 μg/mlのRetroNectin(登録商標)(遺伝子組み換えのヒトフィブロネクチン・フラグメント)(Clontech Laboratories,Inc.,Madison,WI)と共に、4℃で一晩または37℃で最小2時間の第一被覆を行った。次いでフラスコをPBSで洗浄し及び次いでPBS−2%のヒト血清アルブミン(HSA)でブロックした。新鮮な臍帯血ユニットから、赤血球を分離し及び自動MACS(登録商標)細胞分離システム(the autoMACS(登録商標) Cell Separation System)(Miltenyi Biotec GmbH,Gladbach,Germany)を使用してCD34
+細胞の選別を実施した。濃縮後、サンプル中のCD34
+細胞のパーセンテージは、濃縮前のサンプル中のCD34
+細胞のパーセンテージに比べて相対的に増加した。この濃縮CD34
+細胞の断片を、rhIL−3(10 ng/ml)、rhIL−6(50 ng/ml)、rhTPO (50 ng/ml)、rhFlt−3L(50 ng/ml)、rhSCF(50 ng/ml)で補ったSTEMSPAN
TM無血清増殖培地(STEMSPAN
TM Serum Free Expansion Medium)(StemCell Technologies,Vancouver,British Columbia)から成る、最終培地中で再懸濁した。
【0169】
CD19特異のscFvFc:CD28:ζキメラ抗原受容体及び選択的自滅コンストラクトhuEGFRtの共増殖を指示するSINレンチウイルスベクターを、その3日目または4日目に、レンチウイルス上清(MOI 3)及び4 μg/mlのプロタミン硫酸塩と共に、800xgを32℃で45分間の遠心分離を介して、ノッチ増殖CB幹細胞に形質導入した。また、そのSINレンチウイルスベクターは、4−1BBの共刺激をコードした(当該図の概説を参照)。潜在的なシグナル伝達能力を有するHSPC上のCARの発現を考慮して、抗原刺激を与えるために、7日目に、放射線照射LCLを1対1の比率で培養に加えた。
【0170】
当該増殖培養の最終段階で、NK細胞及び好中球は、依然として未熟である。溶菌能力の完全評価のため、培養法を、成熟度を高めるように工夫した。NK細胞のために、当該培養を、ヒト血清、50 U/mLのIL−2及び500 ng/mLのIL−15で補われるRPMI培地、またはヒト血清、L−グルタミン、50 U/mLのIL−2及び500 ng/mLのIL−15で補われるRPMI培地に交換した。
【0171】
NOD/SCID IL2R null(NOG)マウスモデルを、増殖CB細胞の生着を評価するために使用した。亜致死照射の後に、マウスに、増殖CB細胞を確実に生着させることができる。形質導入された増殖CB細胞での生着を判断するために、NOGマウスを、線形加速器により325cGyの線量で照射し及びDelta−1
ext−IgG上で培養された10,000から30,000細胞数のCD34
+CB細胞から産生された産物を、尾静脈注射を介して注入した。
【0172】
結果。形質導入効率は、10から>50%の範囲であり及びCD34+及びCD34−間では、一般に等しい形質導入であった。コピー数分析は、検証された定量リアルタイムPCR解析による判定として、1−4コピー/細胞の間に在ることを示したので、これは臨床的遺伝子治療の細胞産物に対するFDAの要件に則している。
【0173】
ノッチリガンド上で培養されたCD34+CB細胞は、様々な細胞型を含んでおり、それらは、免疫表現型検査に基づき特定できる。CD19 CARレンチウイルスで形質導入された培養を、同じ臍帯血ユニットからの非形質導入培養と比較したが、その採取時点でのまたはCD34倍増殖及びTNC倍増殖を含む培養における細胞の全体的な増殖においての、最終免疫表現型検査による顕著な差異は検出されなかった。
【0174】
導入遺伝子の発現は、14日目の最終培養の表現型には影響を与えず、及び導入遺伝子の発現は、全ての細胞のサブセットに見られ及びその培養期間にわたり相対的に安定して表れた。
【0175】
抗体への暴露が、その培養に不都合な影響を引き起こすかどうかを判定するために、当該細胞培養をCD19+LCLに暴露する追加実験を行った。7日目に、当該培養に放射線照射LCLを1対1の比率で追加したことによる不都合は起きなかったし、及び形質導入された及び形質導入されなかった両培養において、事実、増殖及び生存力が高められた。当該LCLは、CAR+数の増加を示さず、抗原が未熟細胞を発現しているCARの増殖を高めないことを示唆している。さらに、当該導入遺伝子は、最終産物の全ての形質細胞のサブセットに等しく検出された。これらの結果のグラフ描写に対しては、
図30A、30B、31、32及び33を参照のこと。
【0176】
当該CD19 CARの発現を介しCD19に遭遇することによるエフェクター機能の導入は、当該改変CB HSPC細胞の究極の抗ガン活性(例えば、抗白血病)にとって重要である。差異化した培養条件は、NK細胞の増加をもたらした(
図34)。CD56+細胞の断片を整理して、K562及びLCLの標的細胞を伴うCRAに使用した。予想通り、形質導入されない及び形質導入された両細胞は、K562を殺傷することができ、及び、LCLもまた両者に死滅させられたが、当該CARの発現を通して、LCLの溶菌が非常に高められた。より特定には、当該CD19−CAR発現のNK細胞は、両者がK562標的を等しく死滅させたのに反して(75%対80%)、非形質導入NK細胞と比べて細胞障害活性を高めた(50%対30%)。
図35を参照。
【0177】
増殖CB細胞を移植された当該NOGモデルは、移植後、約4−5週目に始まる、多数のCD19+細胞の増殖を招いた。形質導入された細胞の早期生着への影響は無なかったがしかし、CD19 CARを発現している細胞を移植されたマウスにおけるCD19生着は、非形質導入細胞と比べて大幅な減少があり、そのCD19細胞数は、抗CD19活性を示している生着細胞の>20%であった。NK細胞数は、高いエフェクター機能を与えるために、開始3週目から週3回の照射及び皮下注射による、NS0−IL15分泌細胞の使用により増加した。この影響で、生体内におけるCD56+細胞の量が高められた。
図36及び37を参照。
【0178】
このデータは、CD19特異のCARを発現するための、固定化されたDelta
1ext−IgGの存在下の培養中での増殖CB細胞の形質導入は、当該マウスモデルにおけるその増殖に、または再生能力においても、定性的及び定量的な検出可能な効果をもたらさないことを示す。これらの結果は、移植片対がん効果(例えば、白血病)を臍帯血移植に遺伝子改変的に持ち込む方法が、有望であると示している。さらに、CB HSPCを増殖するユニバーサルドナーへのCD19 CARの形質導入は、治療に対する臨床的な必要性を伴う、例えば、再発した者または永続的MRDを有する者などの対象者の特定に従い、即効性(例えば、投与前の免疫的な適合が要求されない)を与えるために、抗CD19産物の点滴が可能である。培養全体または生体内生着能力への影響無しで、ノッチリガンド上に増殖したCD34+臍帯血細胞は、同時に抗CD19活性を遺伝子的に組み入れる一方で、信頼性の高い形質導入を示した。増殖臍帯血細胞は、既存の、非HLA一致の細胞療法として、すでに臨床的に使用されているので、本明細書に記述の実施例は、たとえ手に入れるのが不可能な患者が免疫療法を受けることを及び自己T細胞産物を遺伝子組み換え的に得ることを可能にする、さらなるいつでも使える細胞療法としての使用を示す。
【0179】
示されるように、特に明示が無い限り、本開示の実践に、当技術分野におけるウイルス学、微生物学、分子生物学、及び遺伝子組換えDNA技術の従来の方法を取り入れることができる。そのような技術は、文献に完全に解説されている。例えば、Sambrook,et al.Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Current Edition)、DNA Cloning:A Practical Approach,vol.I & II(D.Glover,ed.)、Oligonucleotide Synthesis(N.Gait,ed.,Current Edition)、Nucleic Acid Hybridization(B.Hames & S.Higgins,eds.,Current Edition)、Transcription and Translation(B.Hames & S.Higgins,eds.,Current Edition)、CRC Handbook of Parvoviruses,vol.I & II(P.Tijessen,ed.)、Fundamental Virology,2nd Edition,vol.I & II(B.N.Fields及びD.M.Knipe,eds.)を参照のこと。各々に記載の、同じ目的に対する教示内容を本明細書に援用し、参照として組み込む。
【0180】
当業者には理解されることだが、本明細書に開示される各実施形態は、その特別に示される要素、ステップ、含有物または組成物を含み、それらから本質的に成りまたはそれらから成ることができる。「含む(inludes)」または「含んでいる(including)」は、「含む(comprises)、〜から本質的に成るまたは〜から成る」を意味する。移行用語「含有(comprise)」または「含む(comprises)」は、包含することを意味し、しかし非限定的に、及びたとえ多量であっても、非特定の要素、ステップ、含有物、または組成物の包含を可能にする。移行フレーズ「〜から成る」は、特定されない任意の要素、ステップ、含有物、または組成物を除外する。移行フレーズ「〜から本質的に成る」は、特定の要素、ステップ、含有物、または組成物に対して、及びその実施形態に物質的に影響しないそれらに対して、その実施形態の範囲を限定する。物質的影響は、(i)対象者において抗がん効果を創出するための細胞投与の有効性に、統計的に有意な減少、及び/または(ii)対象者の免疫系を増殖させるための細胞投与の有効性に、統計的に有意な減少をもたらす可能性がある。
【0181】
特に明示しない限り、含有物の量、分子量、反応条件などの特徴を表し、及び本明細書と請求項にこれ以降に使用される全ての数字は、用語「約」により全ての例示において変更されると理解される。したがって、その反対に明示しない限り、本明細書及び添付の請求項に記載の数値パラメーターは、本発明により得られると考えられる望ましい特徴に応じて変動してよい、近似値である。少なくとも、当該請求項の範囲への均等論の適用を制限する試みとしてではなく、各数値パラメーターは少なくとも、報告された有効桁数に照らして及び通常の丸めのテクニックの適用によって解釈するべきである。さらなる明瞭さが必要な場合、用語「約」は、表明された数値または数値の範囲との組み合わせで使用される際に、当業者が、それに属すると合理的にみなす意味を有する、すなわち、表明された数値または数値の範囲に比べ、表明値の±20%の範囲内で、表明値の±19%の範囲内で、表明値の±18%の範囲内で、表明値の±17%の範囲内で、表明値の±16%の範囲内で、表明値の±15%の範囲内で、表明値の±14%の範囲内で、表明値の±13%の範囲内で、表明値の±12%の範囲内で、表明値の±11%の範囲内で、表明値の±10%の範囲内で、表明値の±9%の範囲内で、表明値の±8%の範囲内で、表明値の±7%の範囲内で、表明値の±6%の範囲内で、表明値の±5%の範囲内で、表明値の±4%の範囲内で、表明値の±3%の範囲内で、表明値の±2%の範囲内で、または表明値の±1%の範囲内で、幾分多いかまたは少ないことを示す。
【0182】
本発明の広い範囲に定められている数値の範囲及びパラメーターは、近似値であるにもかかわらず、特定の実施例に定められる数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、任意の数値は、本質的に、それらの各々の試験測定に見出される標準偏差から必然的に生じるある誤差を含む。
【0183】
本発明を記述する文脈において(特に以下の請求項の文脈において)使用する、用語「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」及び類似の指示語は、本明細書で特に明示が無い限りまたは文脈で明確に否定しないかぎり、単数と複数の両方を含んでいると解釈する。本明細書の値の範囲の記述は、その範囲内に含まれる個別の各値を指す、速記法としての役割を果たすことだけを意図している。本明細書で特に明示が無い限り、個別の値は、それが、個別のここに記述されたかのように、本明細書に組み込まれる。本明細書に記述される全ての方法は、本明細書で特に明示が無い限りまたは文脈で明確に否定しないかぎり、任意の適切な順序で実施できる。任意の及び全ての例示、または本明細書で与えられる例示的な用語(例えば、「などの」)使用は、本発明をより良く照らし出すことのみを意図しており及び請求以外の本発明の範囲に限定をもたらすものではない。本明細書中の言語は、本発明の実践に不可欠な任意の非請求要素を示している、と解釈すべきではない。
【0184】
本明細書に開示される本発明の代替可能な要素または実施形態のグループは、制約として解釈されるべきではない。各グループ要員は、本明細書に見出されるそのグループの別の要員または別の要素を、参照し及び個別に請求しまたはそれらとの任意の組み合わせであってよい。グループの1つ以上の要員が、利便性及び/または特許性の理由により、そのグループに含まれても、または削除されても良い、と予想される。そのような任意の包含または削除が起きる場合、本明細書は、添付された請求項において使用される全てのマーカッシュグループの書面による記述を満たすように改定されたとして、そのグループを含むとみなされる。
【0185】
本発明の特定の実施形態は、本発明の実践に対して、発明者が知りえる最高の様式を含んで、記述されている。もちろん、実施形態に記述された内容の変更は、これまでの記述を読む当業者には明らかであろう。当発明者は、熟練者が、そのような変更を適切に取り入れることを期待し、及び当発明者は、特に本明細書に記述された以外のことが実践されることを、本発明に意図している。したがって、本発明は、適用される法律の範囲内で、ここに添付される請求項において繰り返される主題の全ての変更内容及び同等内容を含む。さらに、全ての可能な変更内容における、上述された要素の任意の組み合わせは、本明細書で特に明示が無い限りまたは文脈で明確に否定しないかぎり、本発明に含まれる。
【0186】
さらに、本明細書を通して、多数の参照が、書籍、雑誌記事、論文、特許、印刷出版物などから得られている(正確には「参照欄」)。上述の参照の各々は、それらの教示内容に対応して、本明細書に参照として個別に組み入れられる。
【0187】
最後に、本明細書に記述される本発明の実施形態は、本発明の原理の実例となることを理解されよう。取り入れられて良いその他の変更は、本発明の範囲内である。したがって、例示よって、非限定的に、本発明の別の構成が、本明細書の教示に従って利用されて良い。したがって、本発明は、厳密に示され及び記述された内容に制約されない。
【0188】
本明細書に示される詳細は、例示的な方法により及び本発明のみの好ましい実施形態の例示的な討議目的のためであり、及び最も有用でありそして本発明の原理及び多様な実施形態の概念的側面を容易に理解できる記述と考えるものを提供するために、示している。これに関連して、本発明の基本的理解に対して必要なより詳細内容において、本発明の構造の細部を示す試みは無く、当業者に本発明の複数の形態がどのようなものであるかを明らかにする図面及び/または例示に取り入れられた記述は、実践で具体化されて良い。
【0189】
本開示に使用される定義及び説明は、以下の例示を明確に及びあいまいさを残さずに変更するか、またはその意味の適用が、任意の構成を無意味にまたは本質的に無意味にする場合でない限り、任意の将来の構成を制約することを意味し及び意図している。当該用語の構成が、その用語を無意味にまたは本質的に無意味にする場合、当該定義は、Webster‘s Dictionary,3rd Edition、またはthe Oxford Dictionary of Biochemistry and Molecular Biology(Ed.Anthony Smith,Oxford University Press,Oxford,2004)などの、当業者に知られる辞典から取り入れられるべきである。