特許第6685919号(P6685919)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6685919
(24)【登録日】2020年4月3日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】ワークピースを融合させる方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 3/105 20060101AFI20200413BHJP
   B22F 3/16 20060101ALI20200413BHJP
   B23K 15/00 20060101ALI20200413BHJP
   B23K 26/073 20060101ALI20200413BHJP
   B23K 26/34 20140101ALI20200413BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20200413BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20200413BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20200413BHJP
【FI】
   B22F3/105
   B22F3/16
   B23K15/00 501B
   B23K26/073
   B23K26/34
   B33Y10/00
   B33Y30/00
   B33Y50/02
【請求項の数】28
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2016-557110(P2016-557110)
(86)(22)【出願日】2015年3月5日
(65)【公表番号】特表2017-512900(P2017-512900A)
(43)【公表日】2017年5月25日
(86)【国際出願番号】EP2015054626
(87)【国際公開番号】WO2015150014
(87)【国際公開日】20151008
【審査請求日】2018年1月23日
(31)【優先権主張番号】14/636,607
(32)【優先日】2015年3月3日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/974,304
(32)【優先日】2014年4月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513089497
【氏名又は名称】ア−カム アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】バックルンド ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】ロック トマス
【審査官】 酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05595670(US,A)
【文献】 特開2009−072789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 3/105,3/16,
B23K 15/00,26/00−26/70,
B29C 64/264−64/273,
B33Y 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピースを溶接する方法であって、
高エネルギービームで、前記ワークピース上の第1の位置に第1の溶接部を作るステップであって前記ワークピースは、アディティブマニュファクチャリングプロセスにおける粉末材料層である、第1の溶接部を作るステップと、
前記ワークピース上の第2の位置に第2の溶接部を作るために、前記高エネルギービームを、少なくとも1つの偏向源で偏向させるステップと、
前記ワークピース上に高エネルギービームスポットを形成するように、前記ワークピース上に、前記高エネルギービームを少なくとも1つの集束レンズシステムにより集束させるステップと、
前記ワークピース上の前記高エネルギービームスポットの形状が、前記高エネルギービームの偏向方向に垂直な方向よりも、前記高エネルギービームスポットの前記偏向方向に平行な方向で長くなるように、少なくとも1つの非点収差レンズシステムにより、前記ワークピース上の前記高エネルギービームスポットを整形するステップと、
を含み、
前記高エネルギービームスポットの前記平行な方向における長さと前記高エネルギービームスポットの前記垂直な方向における幅との比は、前記粉末材料層上で前記高エネルギービームスポットを走査する間、又は前記粉末材料層上で前記高エネルギービームスポットを連続走査する間、前記ワークピース上の前記高エネルギービームのパワーの関数として変化
前記高エネルギービームスポットの前記垂直な方向における前記幅は、一定である、
方法。
【請求項2】
前記高エネルギービームは、電子ビーム又はレーザービームのうちの少なくとも1つである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記偏向源は、傾斜可能ミラー又は傾斜可能レンズのうちの少なくとも1つである、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記偏向源は偏向コイルである、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記高エネルギービームスポットの前記平行な方向における前記長さと前記高エネルギービームスポットの前記垂直な方向における前記幅と前記比は、さらに、前記ワークピース上の前記高エネルギービームスポットの位置の関数として変化する、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記高エネルギービームスポットは、前記偏向方向に平行な方向において、前記偏向方向に垂直な方向に比べて少なくとも5倍長い、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記高エネルギービームスポットは、前記偏向方向に平行な方向において、前記偏向方向に垂直な方向に比べて少なくとも10倍長い、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
走査長全体、断面全体及び/又は3次元物品全体に関する、走査方向に垂直な方向における前記ワークピース上の平均スポットサイズは、前記走査方向に平行な方向における前記ワークピース上の平均スポットサイズより小さい、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記高エネルギービームを偏向させるステップ、集束させるステップ及び整形するステップのうちの1つ又はそれ以上は、1つ又はそれ以上のコンピュータプロセッサの実行を介して実施される、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
3次元物品を、前記3次元物品を形成するように融合する粉末材料の個々の層を連続的に堆積させることによって、形成する方法であって、
前記粉末材料を加熱すること又は融合することのうちの少なくとも1つのための高エネルギービームを放射するために、少なくとも1つの高エネルギービーム源を用意するステップと、
前記粉末材料上に高エネルギービームスポットを形成するように、前記粉末材料の上に前記高エネルギービームを偏向させるために、偏向源を用意するステップと、
前記粉末材料の上に前記高エネルギービームを集束させるために、集束レンズシステムを用意するステップと、
粉末層上の前記高エネルギービームスポットの形状が、前記高エネルギービームの偏向方向に垂直な方向よりも、前記高エネルギービームの前記偏向方向に平行な方向で長くなるように、少なくとも1つの非点収差レンズシステムにより、前記粉末層上の前記高エネルギービームスポットを整形するステップと、
を含み、
前記高エネルギービームスポットの前記平行な方向における長さと前記高エネルギービームスポットの前記垂直な方向における幅との比は、前記粉末材料上で前記高エネルギービームスポットを走査する間、又は前記粉末材料上で前記高エネルギービームスポットを連続走査する間、ワークピース上の前記高エネルギービームのパワーの関数として変化
前記高エネルギービームスポットの前記垂直な方向における前記幅は、一定である、
方法。
【請求項11】
前記高エネルギービームは電子ビーム又はレーザービームのうちの少なくとも1つである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記偏向源は傾斜可能ミラー又は傾斜可能レンズのうちの少なくとも1つである、請求項10又は請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記偏向源は偏向コイルである、請求項10又は請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記高エネルギービームスポットの前記平行な方における前記長さと前記高エネルギービームスポットの前記垂直な方向における前記幅と前記比は、さらに、前記ワークピース上の前記高エネルギービームの位置の関数として変化する、請求項10〜請求項13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記高エネルギービームスポットは、前記偏向方向に平行な方向において、前記偏向方向に垂直な方向に比べて少なくとも5倍長い、請求項10請求項14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記高エネルギービームスポットは、前記偏向方向に平行な方向において、前記偏向方向に垂直な方向に比べて少なくとも10倍長い、請求項10請求項14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
走査長全体、断面全体及び/又は3次元物品全体に関する、走査方向に垂直な方向における前記ワークピース上の平均スポットサイズは、前記走査方向に平行な方向における前記ワークピース上の平均スポットサイズより小さい、請求項10請求項16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
1つ又はそれ以上のメモリ記憶領域内に、前記少なくとも1つの3次元物品のモデルを受け取り及び格納するステップをさらに含み、
少なくとも前記高エネルギービームスポットを整形するステップは、1つ又はそれ以上のコンピュータプロセッサの実行を介して実施される、
請求項10請求項17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
3次元物品を、前記3次元物品を形成するように融合する粉末材料の個々の層を連続的に堆積させることによって、形成するための装置であって、
前記粉末材料を加熱すること又は融合することのうちの少なくとも一方のための高エネルギービームを放射するための少なくとも1つの高エネルギービーム源と、
前記粉末材料の上に前記高エネルギービームを偏向させるための偏向源と、
高エネルギービームスポットを形成するように、前記粉末材料の上に前記高エネルギービームを集束させるための集束レンズシステムと、
少なくとも1つの非点収差レンズシステムと、
粉末層上の前記高エネルギービームスポットの形状が、前記高エネルギービームの偏向方向に垂直な方向よりも、前記高エネルギービームの前記偏向方向に平行な方向で長くなるように、前記少なくとも1つの非点収差レンズシステムを、前記粉末層上の前記高エネルギービームスポットを整形するために制御するように構成された少なくとも1つのコントローラと、
を備え、
前記高エネルギービームスポットの前記平行な方向における長さと前記高エネルギービームスポットの前記垂直な方向における幅との比は、前記粉末材料上で前記高エネルギービームスポットを走査する間、又は前記粉末材料上で前記高エネルギービームスポットを連続走査する間、ワークピース上の前記高エネルギービームのパワーの関数として変化
前記高エネルギービームスポットの前記垂直な方向における前記幅は、一定である、
装置。
【請求項20】
前記高エネルギービームは電子ビーム又はレーザービームのうちの少なくとも1つである、請求項19記載の装置。
【請求項21】
前記偏向源は傾斜可能ミラー又は傾斜可能レンズ又は偏向コイルのうちの少なくとも1つである、請求項19又は請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記高エネルギービームスポットの前記平行な方向における前記長さと前記高エネルギービームスポットの前記垂直な方向における前記幅と前記比は、さらに、前記ワークピース上の前記高エネルギービームの位置の関数として変化する、請求項19請求項21のいずれか1項に記載の装置。
【請求項23】
前記高エネルギービームスポットは、前記偏向方向に平行な方向において、前記偏向方向に垂直な方向に比べて少なくとも5倍長い、請求項19請求項22のいずれか1項に記載の装置。
【請求項24】
前記高エネルギービームスポットは、前記偏向方向に平行な方向において、前記偏向方向に垂直な方向に比べて少なくとも10倍長い、請求項19請求項22のいずれか1項に記載の装置。
【請求項25】
走査長全体、断面全体及び/又は3次元物品全体に関する、走査方向に垂直な方向における前記ワークピース上の平均スポットサイズは、前記走査方向に平行な方向における前記ワークピース上の平均スポットサイズよりも小さい、請求項19請求項24のいずれか1項に記載の装置。
【請求項26】
ワークピースを溶接するための装置であって、
粉末材料層を分布させるための粉末分布器であって、前記ワークピースは、前記粉末材料層を含む、粉末分布器と、
前記ワークピース上の第1の位置に第1の溶接部を作るように構成された高エネルギービームと、
前記高エネルギービームが前記ワークピース上の第2の位置に第2の溶接部を作るために、前記高エネルギービームを偏向させるように構成された少なくとも1つの偏向源と、
前記高エネルギービームを前記ワークピース上に集束させるように構成された少なくとも1つの集束レンズシステムと、
少なくとも1つの非点収差レンズシステムと、
前記ワークピース上の前記高エネルギービームの形状が、前記高エネルギービームの偏向方向に垂直な方向よりも、前記高エネルギービームの前記偏向方向に平行な方向で長くなるように、前記少なくとも1つの非点収差レンズシステムにより、前記ワークピース上の前記高エネルギービームを整形するように構成された少なくとも1つのコントローラであって、
前記高エネルギービームの前記平行な方向と前記垂直な方向とにおける長さの比は、前記ワークピース上の前記高エネルギービームのパワーの関数として変化する、
少なくとも1つのコントローラと、
を備える装置。
【請求項27】
3次元物品を、前記3次元物品を形成するように融合する粉末材料の個々の層を連続的に堆積させることによって形成するためのコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品は、内部に格納されたコンピュータ可読プログラムコード部分を有する少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体を備え、前記コンピュータ可読プログラムコード部分は、
前記粉末材料を加熱すること又は融合することのうちの少なくとも一方のために、高エネルギービームを放射するための少なくとも1つの高エネルギービーム源を用意するように構成された実行可能部分と、
前記高エネルギービームを前記粉末材料の上に偏向させるための偏向源を用意するように構成された実行可能部分と、
前記粉末材料の上に高エネルギービームスポットを形成するよう、前記高エネルギービームを前記粉末材料の上に集束させるために集束レンズシステムを用意するように構成された実行可能部分と、
前記粉末層上の前記高エネルギービームスポットの形状が、前記高エネルギービームの偏向方向に垂直な方向よりも、前記高エネルギービームの前記偏向方向に平行な方向で長くなるように、少なくとも1つの非点収差レンズシステムにより、粉末層上の前記高エネルギービームスポットを整形するように構成された実行可能部分と、
を備え、
前記実行可能部分は、前記高エネルギービームスポットの垂直な方向における幅が一定であり、前記高エネルギービームスポットの前記平行な方向における長さと前記高エネルギービームスポットの前記垂直な方向における前記幅との比、ワークピースの上の前記高エネルギービームのパワーの関数として変化するよう前記高エネルギービームスポットを整形するように構成されている、
コンピュータプログラム製品。
【請求項28】
ワークピースを溶接するためのコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品は、内部に格納されたコンピュータ可読プログラムコード部分を有する少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体を備え、前記コンピュータ可読プログラムコード部分は、
粉末分布器を用いて、前記ワークピースに含まれる粉末材料層を分布させるように構成された実行可能部分と、
前記ワークピース上の第1の位置に第1の溶接部を高エネルギービームによって作るように構成された実行可能部分と、
前記高エネルギービームを少なくとも1つの偏向源によって偏向させ、前記ワークピース上の第2の位置に第2の溶接部を作るように構成された実行可能部分と、
前記ワークピースの上に高エネルギービームスポットを形成するよう、前記ワークピース上に前記高エネルギービームを、少なくとも1つの集束レンズシステムによって集束させるように構成された実行可能部分と、
前記ワークピース上の前記高エネルギービームスポットの形状が、前記高エネルギービームの偏向方向に垂直な方向よりも、前記高エネルギービームの前記偏向方向に平行な方向で長くなるように、少なくとも1つの非点収差レンズシステムにより、前記ワークピース上の前記高エネルギービームスポットを整形するように構成された実行可能部分と、
を備え、
前記実行可能部分は、前記高エネルギービームスポットの垂直な方向における幅が一定であり、前記高エネルギービームスポットの前記平行な方向における長さと前記高エネルギービームスポットの前記垂直な方向における前記幅との比、ワークピースの上の前記高エネルギービームのパワーの関数として変化するよう前記高エネルギービームスポットを整形するように構成されている、
コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の様々な実施形態は、ワークピースを溶接する方法及び3次元物品を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自由形状製作又はアディティブマニュファクチャリング(付加製造技術)は、ワークテーブルに塗布された粉末層の選択部分の連続的な融合によって3次元物品を形成する方法である。この技術による方法及び装置は特許文献1に開示されている。
【0003】
そのような装置は、3次元物品がその上に形成されるワークテーブルと、粉末床を形成するための粉末の薄層をワークテーブル上に付着させるように配置された粉末ディスペンサと、粉末に、粉末の融合を起こすエネルギーを供給するための光線銃と、光線銃から発せられる光線を、粉末床の部分の融合による3次元物品の断面の形成のために粉末床全域にわたって制御するための要素と、3次元物品の連続的な断面に関する情報が格納される制御コンピュータとを備えることができる。3次元物品は、粉末ディスペンサによって連続的に付着される粉末層の連続的に形成された断面の連続的な融合によって形成される。
【0004】
アディティブマニュファクチャリングにおいて粉末材料を融合させるための、又はピースを溶接するときの時間を減らすか又は最小限にする必要性が常に存在する。AMにおける又は一般に溶接するときの効率及び速度を増加させる1つの方法は、エネルギービームの出力を増加させると同時に前記エネルギービームの偏向速度を増加させることである。それにより表面単位面積当りに加えられる出力は一定に保たれるが、融合又は溶接される表面にわたってより速く分布できる。しかし、これは、エネルギービームの所定の出力及び偏向速度になるまで機能するだけである。出力を所定の値を越えて増加させる場合、偏向速度が速くなり過ぎ、その結果、エネルギービームからの熱が、融合又は溶接される材料に浸透するのに十分な時間を有しないことになる。出力が高くなり過ぎ、それにより前記エネルギービームの偏向速度が速くなり過ぎると、表面温度が高くなり過ぎるので、融合又は溶接される材料がその代わりに蒸発することになる。
【0005】
当技術分野には、融合又は溶接される材料を蒸発させることなく、溶接における所定の出力及び偏向速度を越える必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0152771号明細書
【発明の概要】
【0007】
この背景を有して、本発明の目的は、効率を向上させた溶接又はアディティブマニュファクチャリングの方法を提供することである。上記の目的は、本明細書に含まれる特許請求の範囲による特徴によって達成される。
【0008】
様々な実施形態により、ワークピースを溶接する方法が提供される。この方法は、前記ワークピース上の第1の位置に第1の溶接部を高エネルギービームによって作るステップと、高エネルギービームを少なくとも1つの偏向レンズによって、前記ワークピース上の第2の位置に第2の溶接部を作るように偏向させるステップと、前記ワークピース上に、高エネルギービームを少なくとも1つの集束レンズにより集束させるステップと、前記ワークピース上の高エネルギービームの形状が前記高エネルギービームの偏向方向に平行な方向において、前記高エネルギービームの前記偏向方向に垂直な方向よりも長くなるように、前記ワークピース上で高エネルギービームを、少なくとも1つの非点収差レンズにより、整形するステップと、を含み、前記高エネルギービームの前記平行な方向と前記垂直な方向とにおける長さの比は、ワークピース上の前記高エネルギービームの出力の関数として変化する。
【0009】
本発明の利点は、非点収差及び走査速度を増加させるにつれて大幅に又は非常に大幅にビーム出力を増加させることができる一方で、過大温度による蒸発を防ぎながら十分な深さまで粉末を融合させるか又はピースを溶接することができることである。これはまた、構築時間の短縮をもたらすことができる。本発明の別の利点は、走査方向に垂直な融合精度又は融解幅を、使用するビーム出力及び走査速度に無関係に、一定に保つことができることである。
【0010】
本発明の例示的な一実施形態において、前記高エネルギービームはレーザービーム又は電子ビームである。少なくともこの実施形態の非限定的な利点は、本発明が、使用されるエネルギービーム源には依存しないことである。
【0011】
本発明のさらに別の例示的な実施形態において、前記高エネルギービームの前記平行な方向と前記垂直な方向とにおける長さの比を、前記ワークピース上の前記高エネルギービームの位置の関数としても変えることができる。少なくともこの実施形態の非限定的な利点は、ビームスポットの引き伸ばしを、ビーム出力依存性にすることができるばかりでなく、融合されるパターンに依存するようにすることができることである。
【0012】
本発明の別の態様により、ワークテーブル上に設けられた粉末床の少なくとも1つの層の、高エネルギービームによる連続的融合によって3次元物品を形成するためのアディティブマニュファクチャリングにおける非点収差レンズの使用法が提供され、前記部分は3次元物品の連続する断面に対応し、前記非点収差レンズは、前記粉末床の層の上の高エネルギービームのサイズを、偏向方向に平行な方向において、前記偏向方向に垂直な方向におけるよりも長くするために使用でき、前記高エネルギービームの前記平行な方向と前記垂直な方向とにおける長さの比は、ワークピース上の前記高エネルギービームの出力の関数として変化する。
【0013】
少なくともこの実施形態の非限定的な利点は、非点収差レンズの使用法を、ビームスポット形が、レンズシステム内に導入されるエネルギービーム源と標的表面との間の歪曲のために、その原形に戻るように修正される通常の使用法から拡大することができることである。本発明により、非点収差レンズシステムは、レーザービームの場合には実際のレンズシステムとし、電子ビームの場合には電気コイルシステムとすることができるもので、偏向方向に平行な方向にビームサイズを引き伸ばすようにビームを整形し、走査方向に平行な方向において、前記走査方向に垂直な方向に比べて、より長いビーム形状を与えるように使用することができる。前記引き伸ばしの程度は、少なくとも、前記エネルギービームの出力の関数として変化する。
【0014】
本発明のさらに別の態様において、3次元物品を、3次元物品を形成するように融合する粉末材料の個々の層を連続的に堆積させることによって形成する方法が提供され、前記方法は、前記粉末材料を加熱すること又は融合することのうちの少なくとも1つのための高エネルギービームを放射するための少なくとも1つの高エネルギービーム源を提供するステップと、前記粉末材料の上に高エネルギービームを偏向させるための偏向源を提供するステップと、前記粉末材料の上に前記高エネルギービームを集束させるための集束レンズを提供するステップと、前記粉末層上の高エネルギービームの形状が、前記高エネルギービームの偏向方向に平行な方向において、前記高エネルギービームの前記偏向方向に垂直な方向よりも長くなるように、前記粉末層上の高エネルギービームを、少なくとも1つの非点収差レンズを用いて、整形するステップと、を含み、前記高エネルギービームの前記平行な方向と前記垂直な方向とにおける長さの比は、ワークピース上の前記高エネルギービームの出力の関数として変化する。
【0015】
本発明の様々な実施形態の非限定的な利点は、出力を大幅に又は非常に大幅に増加させることができ、出力が大きいほど非点収差を大きくし走査速度を速くすることである。これはまた、加法的に製造される部分に対する構築時間の短縮をもたらす。本発明の別の利点は、走査方向に垂直な融合精度又は融解幅を、使用する出力及び走査速度に無関係に一定に保つことができることであり、これは、本発明により加法的に製造される部分の構築時間を短縮するときにも精度が影響を受けないことを意味する。
【0016】
本発明の例示的な一実施形態において、前記高エネルギービームはレーザービーム又は電子ビームである。少なくともこの実施形態の非限定的な利点は、本発明が使用するエネルギービーム源に依存しないことである。
【0017】
本発明のさらに別の例示的な実施形態において、前記高エネルギービームの、前記平行な方向と前記垂直な方向とにおける長さの比がまた、前記ワークピース上の前記高エネルギービームの位置の関数としても変化する。少なくともこの実施形態の非限定的な利点は、ビームスポットの引き伸ばしがビーム出力に依存するばかりでなく、融合されるパターンにも依存することである。
【0018】
本発明のさらに別の例示的な実施形態において、走査長全体、断面全体及び/又は3次元物品全体に対して、前記ワークピース上の走査方向に垂直な方向における平均スポットサイズが、前記ワークピース上の走査方向に平行な方向における平均スポットサイズよりも小さい。少なくともこの実施形態の非限定的な利点は、構造のどの部分に対して、走査方向に平行な方向における平均スポットサイズを走査方向に垂直な方向における平均スポットサイズよりも長くするか、を選択することができることである。
【0019】
本発明のさらに別の例示的な実施形態において、説明した方法のいずれも、少なくとも部分的に、1つ又はそれ以上のコンピュータプロセッサの実行を介して、実施することができる。
【0020】
本発明のさらに別の例示的な実施形態において、3次元物品を、3次元物品を形成するように融合する粉末材料の個々の層を連続的に堆積させることによって、形成するための装置が提供される。この装置は、前記粉末材料を加熱すること又は融合することのうちの少なくとも1つのための高エネルギービームを放射するための少なくとも1つの高エネルギービーム源と、前記粉末材料の上に高エネルギービームを偏向させるための偏向源と、前記粉末材料の上に前記高エネルギービームを集束させるための集束レンズと、少なくとも1つの非点収差レンズと、前記粉末層上の高エネルギービームを、前記粉末層上の高エネルギービームの形状が前記高エネルギービームの偏向方向に平行な方向において、前記高エネルギービームの前記偏向方向に垂直な方向におけるよりも長くなるように、整形するように、前記少なくとも1つの非点収差レンズを制御するように構成された少なくとも1つのコントローラと、を備え、前記高エネルギービームの前記平行な方向と前記垂直な方向とにおける長さの比は、前記ワークピース上の前記高エネルギービームの出力の関数として変化する。
【0021】
本発明のさらに別の例示的な実施形態において、ワークピースを溶接するための装置が提供される。この装置は、特定の実施形態において、前記ワークピース上の第1の位置に第1の溶接部を作るように構成された高エネルギービームと、高エネルギービームが前記ワークピース上の第2の位置に第2の溶接部を作るように、高エネルギービームを偏向させるように構成された少なくとも1つの偏向レンズと、高エネルギービームを前記ワークピース上に集束させるように構成された少なくとも1つの集束レンズと、少なくとも1つの非点収差レンズと、前記ワークピース上の高エネルギービームを、前記少なくとも1つの非点収差レンズにより、前記ワークピース上の高エネルギービームの形状が、前記高エネルギービームの偏向方向に平行な方向において前記高エネルギービームの前記偏向方向に垂直な方向におけるよりも長くなるように、整形するように構成された少なくとも1つのコントローラであって、前記高エネルギービームの前記平行な方向と前記垂直な方向とにおける長さの比が、前記ワークピース上の前記高エネルギービームの出力の関数として変化する、少なくとも1つのコントローラと、を備える。
【0022】
本発明のさらに別の例示的な実施形態において、3次元物品を、物品を形成するように融合する粉末材料の個々の層を連続的に堆積させることによって形成するためのコンピュータプログラム製品が提供される。このコンピュータプログラム製品は、内部に格納されたコンピュータ可読プログラムコード部分を有する、少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を備える。コンピュータ可読プログラムコード部分は、前記粉末材料を加熱すること又は溶融することのうちの少なくとも1つのための高エネルギービームを放射するための少なくとも1つの高エネルギービーム源を提供するように構成された実行可能部分と、高エネルギービームを前記粉末材料の上に偏向させるための偏向源を提供するように構成された実行可能部分と、前記高エネルギービームを前記粉末材料の上に集束させるための集束レンズを提供するように構成された実行可能部分と、前記粉末層の上の高エネルギービームを、少なくとも1つの非点収差レンズにより、前記粉末層上の高エネルギービームの形状が、前記高エネルギービームの偏向方向に平行な方向において、前記高エネルギービームの前記偏向方向に垂直な方向におけるよりも長くなるように整形するように構成された実行可能部分と、を備え、前記高エネルギービームの前記平行な方向と前記垂直な方向とにおける長さの比が、ワークピースの上の前記高エネルギービームの出力の関数として変化する。
【0023】
本発明のさらに別の例示的な実施形態において、ワークピースを溶接するためのコンピュータプログラム製品が提供される。このコンピュータプログラム製品は、内部に格納されたコンピュータ可読プログラムコード部分を有する少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体を備える。コンピュータ可読プログラムコード部分は、前記ワークピース上の第1の位置に第1の溶接部を高エネルギービームによって作るように構成された実行可能部分と、高エネルギービームを少なくとも1つの偏向レンズによって偏向させ、前記ワークピース上の第2の位置に第2の溶接部を作るように構成された実行可能部分と、前記ワークピース上に高エネルギービームを、少なくとも1つの集束レンズによって集束させるように構成された実行可能部分と、前記ワークピース上の高エネルギービームを、少なくとも1つの非点収差レンズにより、前記ワークピース上の高エネルギービームの形状が、前記高エネルギービームの偏向方向に平行な方向において、前記高エネルギービームの前記偏向方向に垂直な方向におけるよりも長くなるように、整形するように構成された実行可能部分と、を備え、前記高エネルギービームの前記平行な方向と前記垂直な方向とにおける長さの比は、ワークピース上の前記高エネルギービームの出力の関数として変化する。
【0024】
本発明を一般論として説明したので、次に、必ずしも一定の尺度で描かれてはいない添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】走査速度の関数としてのビーム出力の概略のグラフを示す。
図2】アディティブマニュファクチャリングプロセスの上からの図及びビームスポット構造の拡大図を示す。
図3】本発明の方法を実施することができる自由形状製作又はアディティブマニュファクチャリング装置の例示的な一実施形態を示す。
図4A】従来技術によるビームスポット構造を示す。
図4B】本発明によるビームスポット構造の例示的な一実施形態を示す。
図5A】異なるビーム出力に対する3つの異なるビームスポット構造のうちの1つを示す。
図5B】異なるビーム出力に対する3つの異なるビームスポット構造のうちの1つを示す。
図5C】異なるビーム出力に対する3つの異なるビームスポット構造のうちの1つを示す。
図6】レーザービームに基づくシステムにおいて適切なビームスポット形状を達成するための例示的な一実施形態を示す。
図7】電子ビームに基づくシステムにおいて適切なビームスポット形状を達成するための例示的な一実施形態を示す。
図8】本発明による方法の概略のフローチャートを示す。
図9】様々な実施形態による例示的なシステム1020のブロック図である。
図10A】様々な実施形態によるサーバ1200の概略のブロック図である。
図10B】様々な実施形態による例示的なモバイルデバイス1300の概略のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明の様々な実施形態を、以下で、本発明の全てではないが幾つかの実施形態を示す添付の図面を参照しながら、より完全に説明することになる。実際に、本発明の実施形態は、多くの異なる形で具体化することができ、本明細書で説明する実施形態に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が適切な法的必要条件を満たすことになるように与えられたものである。特に別に定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が関係する技術の当業者によって一般に知られ理解されるのと同じ意味を有する。用語「又は(or)」は、本明細書においては、特に別に示されない限り、代替及び接続の両方の意味で用いられる。全体を通して、類似の数字は類似の要素を指す。
【0027】
本発明の理解をさらに容易にするために、多くの用語を以下で定義する。本明細書において定義される用語は、本発明に関連する分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。「1つの(a)、(an)」及び「その(the)」などの用語は、単数のエンティティのみを指すことを意図したものではなく、説明のために特定の例を使用することができる一般的クラスを含む。本明細書において専門用語は、本発明の特定の実施形態を説明するために使用されるが、それらの使用は、特許請求の範囲において説明される場合を除いて、本発明を限定するものではない。
【0028】
本明細書で使用される用語「3次元構造体」などは、特定の目的のために使用されることが意図された、目的の又は実際に作製される3次元構造(例えば、構造材料又は複数の構造材料の)を一般的に指す。そのような構造体などは、例えば、3次元CADシステムを利用して設計することができる。
【0029】
本明細書で使用される用語「電子ビーム」は様々な実施形態において、いずれかの荷電粒子ビームを指す。荷電粒子ビームの源としては、電子銃、線形加速器などを挙げることができる。
【0030】
図3は、本発明の方法を実施することができる自由形状製作又はアディティブマニュファクチャリング装置300を示す。装置300は、電子銃302、2つの粉末ホッパ306、307、スタート板316、ビルドタンク312、粉末分布器310、ビルドプラットフォーム314、ビーム管理光学系305、及び真空チャンバ320を備える。
【0031】
真空チャンバ320は、真空システムを用いて真空環境を維持することができ、この真空システムはターボ分子ポンプ、スクロールポンプ、イオンポンプ及び1つ又はそれ以上のバルブを備えることができ、これらは当業者には周知のものであるので、これに関連するさらなる説明は不要である。真空システムは制御ユニット340によって制御される。
【0032】
電子銃302は、スタート板316の上に提供された粉末材料318を融解又は融合させるのに用いられる電子ビームを生成している。電子銃302は、真空チャンバ320の内部に又はそれに接続するように備えることができる。制御ユニット340は、電子ビーム銃302から発せられた電子ビームを制御及び管理するのに使用することができる。ビーム管理光学系は、少なくとも1つの集束コイル、少なくとも1つの偏向コイル、及び少なくとも1つの非点収差コイルを備えることができ、これらは制御ユニット340に電気的に接続することができる。本発明の例示的な一実施形態において、電子銃は、約60kVの加速電圧及び0〜10kWの範囲のビーム出力により、集束可能電子ビームを発生することができる。真空チャンバ内の圧力は、エネルギービームで粉末層ごとに融合させることによって3次元物品を構築するとき、1×10−3〜1×10−6mBarの範囲にすることができる。
【0033】
1つ又は複数の電子ビーム源を使用する代わりに1つ又は複数のレーザービーム源を使用して、本発明により、粉末材料を融解させるため又はピースを溶接するための1つ又は複数のレーザービームを発生することができる。
【0034】
粉末ホッパ306、307は、ビルドタンク312内のスタート板316の上に供給される粉末材料を備える。粉末材料は、例えば、純金属又は金属合金、例えば、チタン、チタン合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、Co−Cr−W合金などとすることができる。2つの粉末ホッパを使用する代わりに1つの粉末ホッパを使用することができる。別の例示的な実施形態においては、別の既知のタイプの粉末供給装置及び/又は粉末貯蔵装置を使用することができる。
【0035】
粉末分布器310はスタート板316の上に粉末材料の薄層を付着させるように配置される。作業サイクル中、ビルドプラットフォーム314は、粉末材料の層がそれぞれ加えられた後、電子ビームに基づく又はレーザービームに基づく光線銃に対して逐次的に降下されることになる。この移動を可能にするために、ビルドプラットフォーム314は、本発明の一実施形態において、垂直方向、即ち、矢印Pで示される方向に移動可能に配置される。これは、ビルドプラットフォーム314が、必要な厚さの第1の粉末材料層がスタート板316の上に付着する初期位置から出発することを意味する。その後、ビルドプラットフォームは、3次元物品の新しい断面の形成のための新しい粉末材料層の付着に関連して降下される。ビルドプラットフォーム314を降下させるための手段は、例えば、歯車、調節ネジなどを備え付けたサーボエンジンによるものとすることができる。
【0036】
3次元物品の連続した断面に対応する部分である、粉末床の部分の連続的な融合によって形成される3次元物品は、3次元物品のモデルを与えるための段階を含む。モデルはCAD(Computer Aided Design、コンピュータ支援設計)ツールを介して生成することができる。
【0037】
第1の粉末層は、ワークテーブル316上に、幾つかの方法により、ワークテーブルの上に粉末を均一に分布させることによって設けることができる。粉末を分布させるための1つの方法は、ホッパ306、307から落下する材料をレーキシステムによって集めることである。レーキはビルドタンク上で動かされ、それにより、スタート板の上に粉末を分布させる。レーキの下部と、スタート板又は前の粉末層の上部との間の距離は、スタート板の上に分布される粉末の厚さを定める。粉末層の厚さは、ビルドプラットフォーム314の高さを調節することによって簡単に調節することができる。
【0038】
エネルギービームがワークテーブル316の上に向けられ、第1の粉末層を選択された位置で融合させ、3次元物品の第1の断面を形成する。エネルギービームは電子ビーム又はレーザービームとすることができる。ビームは、制御ユニット340によって与えられる指示によりワークテーブル316の上に向けられる。制御ユニット内には、3次元物品の各層に対してビーム銃をいかに制御するかに関する指示が格納される。
【0039】
第1の層が完成した後、即ち、3次元物品の第1の層を作製するための粉末材料の融合が完了した後、第2の粉末層がワークテーブル316の上に設けられる。第2の粉末層は、前の層と同じ方法で分布されることが好ましい。単一レーキシステムの形態の、即ち、1つのレーキが左粉末ホッパ306及び右粉末ホッパ307の両方から落下する粉末を捕獲する形態の粉末分布器は、そのようなレーキの設計を変えることができる。
【0040】
ワークテーブル316上に第2の粉末層を分布させた後、エネルギービームがワークテーブル上に向けられ、第2の粉末層を選択された位置で融合させて3次元物品の第2の断面を形成する。第2の層の中の融合部分は第1の層の融合部分に結合することができる。第1の層及び第2の層の融合部分は、最上層内の粉末の融解だけでなく、最上層の直ぐ下の層の厚さの少なくとも一部分の再融解によって溶け合うことができる。
【0041】
図1は、走査速度の関数としてのビーム出力の概略のグラフ175を示す。所定値より低いビーム出力に対しては、粉末材料を融合させるため又はピースを互いに溶接するために基本的に円形のビームスポットを用いることができる。ビーム出力が所定値を越えて増加し、それにより走査速度が所定値を越えて増加する場合、材料は融解する代わりに沸騰し始めることになる。材料のこの沸騰の原因は、エネルギービームの偏向又は走査速度が速過ぎて、エネルギービームからの熱が、融合又は溶接される材料に浸透するのに十分な時間を有しないことである。前記エネルギービームの出力が高過ぎ、それにより偏向速度が速過ぎると、表面温度が高くなり過ぎて、融合又は溶接されるべき材料が代わりに蒸発することになる。
【0042】
本発明は、この問題を、スポットを引き伸ばすことにより、即ち、走査方向に平行なスポット寸法を伸ばし、走査方向に垂直な寸法を基本的に保持することによって解決する。図1において、それぞれP1及びS1未満のビーム出力及び走査速度に対しては基本的に円形のスポットを用いることができる。それぞれP1及びS1を越えるビーム出力及び走査速度に対しては、ビームスポットは走査方向に平行に引き伸ばされる。ビームスポットを走査方向に平行に引き伸ばすことにより、前記ビーム内の出力がより大きい面積にわたって分布するので、表面温度を下げることができる。ビームスポットからの熱は、より大きい面積にわたるこのビーム出力分布のために、材料の中に浸透するのに十分な時間を有し、それにより融解プールから放射されるエネルギーが最小限になり、それにより材料の沸騰又は蒸発が最小限になる。ビームスポットを走査方向に平行に引き伸ばすことにより、融合又は溶接の解像度を維持するのに、円形スポットが使用される場合に比べてより大きいビーム出力を用いることができる。引き伸ばされたビームスポットは、目的の走査経路を進むことができ、その結果、前記ビームスポットのより長い寸法がビーム経路を進む、即ち、目的のビーム経路の方向に無関係に、走査方向に垂直な寸法が走査方向に平行な寸法よりも小さくなる。
【0043】
図2はアディティブマニュファクチャリングプロセスの上からの図及びビームスポット構造の拡大図200を示す。図2において、3次元物品の断面270がビルドチャンバ290の内部にある粉末材料をエネルギービーム210で融解させることによって構築される。エネルギービーム210は、制御ユニット内に格納された所定の指示に従って、材料を融解させる。図2において走査方向は矢印240によって示される。3次元物品の断面を構築するために、既に多数の走査線250が粉末材料の上に与えられている。1つの走査線220が粉末材料の上に与えられ、ビームスポット230の拡大図200は、ビームスポット230の走査方向240に平行な実長Lが、走査方向に垂直なビームスポット230のHで示される寸法より大きいことを示す。
【0044】
図4Aは、所定値より低いビーム出力を用いるときのビームスポット形状を示す。図4Aにおいて、ビームスポットの走査方向に平行な水平方向サイズL1は、ビームスポットの走査方向に垂直な垂直方向サイズH1に基本的に等しい。
【0045】
図4Bは、前記所定値より高いビーム出力を用いるときのビームスポット形状を示す。図4Bにおいて、ビームスポットの走査方向に平行な水平方向サイズL2は、ビームスポットの走査方向に垂直な垂直方向サイズH1より大幅に大きい。図から分かるように、ビームスポットの走査方向に垂直な垂直方向サイズH1は、図4A図4Bにおいて等しい。任意の走査方向、即ち、図に示した水平走査方向ばかりでなく、任意の走査方向を用いることができる。所定値より大きいビーム出力に対するビームスポットサイズは、任意の走査方向に対して、走査方向に平行な方向において走査方向に垂直な方向におけるよりも大きくすることができる。
【0046】
図5A〜5Cは、3つの異なるビーム出力に対する3つの異なるビームスポット構造を示す。図5Aの第1のビームスポット510は、第1のビーム出力を有する。図5Bの第2のビームスポット520は、第1のビーム出力より高い第2のビーム出力を有する。図5Cの第3のビームスポット530は、第2のビーム出力より高い第3のビーム出力を有する。第1のビームスポット510の第1の長さL3は、第3のビームスポット530の第3の長さL5より短い第2のビームスポット520の第2の長さL4より短い。第1、第2及び第3のビームスポットは全て、走査方向に垂直な同じサイズH1を有する。図5A〜5Cにおいて、ビームスポットの形は楕円形であるように示されている。しかし、ビームスポットの任意の引き伸ばされた形状、例えば、ビームスポットのサイズが、走査方向に垂直なサイズに比べて走査方向に引き伸ばされた長方形又は多角形、或いは任意の他の適切な数学関数を用いることができる。
【0047】
図6は、レーザービームに基づくシステムにおけるビーム管理光学系の例示的な一実施形態を示す。レーザービーム605がレーザービーム源610から発せられる。層に基づくアディティブマニュファクチャリングプロセスにおける粉末層又は溶接される直前の固体ピースとすることができる標的表面660に達する前に、レーザービーム605は、非点収差レンズシステム620、集束レンズシステム630、偏向レンズシステム640、及びオプションの反射面650を通過する。制御ユニット680は、レーザービーム源610及びレンズシステム620、630、640を制御することができる。集束レンズシステム630は、光軸に対して回転可能及び/又は傾斜可能及び/又は並進可能(光軸に沿って移動可能)とすることができる1つ又は複数のレンズを備えることができる。集束レンズシステム630は、標的表面660の上に所定のビームスポットサイズを生成することができる。集束レンズシステム630内のレンズは、完全に又は部分的に透明にすることができる。偏向レンズシステム640は、光軸に対して回転可能及び/又は傾斜可能及び/又は並進可能(光軸に沿って移動可能)とすることができる1つ又は複数のレンズを備えることができる。偏向レンズシステム640は、標的表面660におけるビームスポットの最大偏向によって定められる所与の限界内の任意の所定位置にビームスポットを配置することができる。
【0048】
非点収差レンズシステム620は、光軸に対して回転可能及び/又は傾斜可能及び/又は並進可能(光軸に沿って移動可能)とすることができる1つ又は複数のレンズを備えることができる。ビームが偏向されるとき、偏向の程度に応じた特定の収差がビームスポットに導入される。ビームは偏向の程度に応じて多少歪む場合もあり、これを非点収差レンズシステム620によって補償することができる。本発明により、ビームスポットは、他のレンズシステムによって導入され得る歪みが補償され得るばかりでなく、非点収差レンズシステム620はまた、ビームスポットをビーム偏向の方向に平行な方向に引き伸ばすように、ビームスポットの形状を意図的に歪ませることができる。偏向方向に平行な方向における歪みの程度は、少なくとも、エネルギービームのビーム出力に依存するようにすることができる。例示的な一実施形態において、ビームスポットの形状は、所定のビーム出力を越えるビーム出力の線形関数として、偏向方向に平行に引き伸ばされる。別の例示的な実施形態において、ビームスポットの形状は、所定のビーム出力を越えるビーム出力の多項式関数として、偏向方向に平行に引き伸ばされる。
【0049】
図7は、電子ビームに基づくシステムにおけるビーム管理光学系の例示的な一実施形態を示す。電子ビーム750が電子ビーム源710から発する。層に基づくアディティブマニュファクチャリングプロセスにおける粉末層又は溶接される直前の固体ピースとすることができる標的表面760に達する前に、前記電子ビーム750は、非点収差レンズシステム720、集束レンズシステム730、偏向レンズシステム740を通過することができる。制御ユニット680は、電子ビーム源及びビーム整形光学系を制御することができる。集束レンズシステム730は、1つ又は複数の集束コイルを備えることができる。集束レンズシステム730は、標的表面760の上に所定のビームスポットサイズを生成することができる。
【0050】
偏向レンズシステム740は、1つ又は複数の偏向コイルを備えることができる。偏向レンズシステム740は、標的表面760におけるビームスポットの最大偏向によって定められる所与の限界内の任意の所定位置にビームスポットを配置することができる。
【0051】
非点収差レンズシステム720は、1つ又は複数の非点収差コイルを備えることができる。ビームが偏向されるとき、偏向の程度に応じた特定の収差がビームスポットに導入される。ビームは偏向の程度に応じて多少歪む場合もあり、これを非点収差レンズシステム720によって補償することができる。本発明により、ビームスポットは、他のレンズシステムによって導入され得る歪みが補償されるばかりでなく、非点収差レンズシステム720はまた、ビームスポットをビーム偏向の方向に平行な方向に引き伸ばすように、ビームスポットの形状を意図的に歪ませることができる。偏向方向に平行な方向における歪みの程度は、少なくとも、エネルギービームのビーム出力に依存するようにすることができる。例示的な一実施形態において、ビームスポットの形状は、所定のビーム出力を越えるビーム出力の線形関数として、偏向方向に平行に引き伸ばすことができる。別の例示的な実施形態において、ビームスポットの形状は、所定のビーム出力を越えるビーム出力の多項式関数として、偏向方向に平行に引き伸ばすことができる。例示的な一実施形態において、複数の非点収差レンズを使用して、ワークピースの任意の位置において引き伸ばされたビームの任意の配向を生成することができる。
【0052】
レーザービームに基づくシステム及び電子ビームに基づくシステムにおいて、偏向方向に平行な引き伸ばしは、エネルギービームの出力によるばかりでなく、標的表面の位置によることができる。より具体的には、エネルギービームの引き伸ばしは、エネルギービーム出力に加えて、標的表面上のエネルギービームスポットの実際の融合又は溶接位置によることができる。アディティブマニュファクチャリングプロセスにおいて、引き伸ばしは、融合されるパターンに対するエネルギービームスポットの実際の位置によることができ、即ち、走査長の中央部分において、走査線の開始及び停止位置に比べてより引き伸ばされたビームスポットを用いることができる。輪郭を融解させる場合、輪郭の融解中に、輪郭の派生物及び輪郭派生物までの距離に応じて、引き伸ばしを変更することができる。例示的な一実施形態において、ワークピース上のビームスポットの引き伸ばし、出力及び走査速度は、ビルド時間を最適にするように選択することができる。
【0053】
図8は、ワークピースを溶接するため、又は3次元物品を層ごとに構築するための所定のスキームに従って粉末材料を融合するための、本発明による方法の概略のフローチャートを示す。810で示される第1のステップにおいて、ワークピース又は粉末表面上の第1に位置に、高エネルギービームによって第1の溶接部が作られる。820で示される第2のステップにおいて、高エネルギービームが、少なくとも1つの偏向レンズにより、ワークピース又は粉末表面上の第2の位置に第2の溶接部を作るように、偏向される。830で示される第3のステップにおいて、高エネルギービームが、少なくとも1つの集束レンズにより、ワークピース上に集束される。840で示される第4のステップにおいて、高エネルギービームが少なくとも1つの非点収差レンズにより、ワークピース又は粉末表面上で、ワークピース上の高エネルギービームの形状が高エネルギービームの偏向方向に平行な方向において、高エネルギービームの偏向方向に垂直な方向におけるよりも大きくなるように整形され、ここで、高エネルギービームの平行方向と垂直方向とにおける長さの比は、ワークピース上のエネルギービームの出力の関数として変化する。ワークピース上のビームスポットの出力の増加は、ワークピース上のビームスポットのより高い走査速度を要求することになる。
【0054】
エネルギービームの偏向方向に対する平行方向における長さと垂直方向における長さとの比は、5、10、15又は20の群のうちの1つにすることができる。例示的な一実施形態において、平行方向と垂直方向とにおける長さは、材料の蒸発を引き起さずに所定の溶接又は融合幅で融合することになる所定値より低いビーム出力に対しては、基本的に等しく、その理由は、ワークピース上のビームスポットの速度及び出力がワークピース材料の蒸発を引き起さないからである。
【0055】
本発明の例示的な一実施形態において、走査長全体、断面全体に関する及び/又は3次元物品全体に関する、ワークピース上の走査方向に垂直な方向の平均スポットサイズは、ワークピース上の走査方向に平行な方向の平均スポットサイズより小さい。
【0056】
引き伸ばされたビームスポットによる融合又は溶接は、より高いビームスポット出力及びより高いビーム走査速度を使用することの効果を有することができる。引き伸ばされたビームスポットは、同じ出力及び引き伸ばされたビームスポットの小さい方の寸法に等しい直径を有する円形スポットと比べて、所与の走査速度に対して表面温度を下げることができる。引き伸ばされたビームスポットは、引き伸ばされたビームスポットの小さい方の寸法に等しい直径を有する円形スポットと比べて、走査方向に垂直な方向における解像度を維持する、より高い走査速度を可能にすることができる。引き伸ばされたビームスポットは、円形スポットの場合に起こり得る材料の蒸発の代わりに、熱が材料の中に浸透するのを可能にすることができる。引き伸ばされたビームスポットは、同じ出力及び引き伸ばされたビームスポットの小さい方の寸法と等しい直径を有する円形スポットと比べて、加法的に製造される3次元物品の製造時間を短縮することができる。
【0057】
本発明の別の態様において、コンピュータ上で実行されるとき、3次元物品の連続する断面に対応する部分である粉末床の部分の連続的な融合により、少なくとも1つの3次元物品を形成する方法であって、少なくとも1つの3次元物品のモデルを提供するステップと、第1の粉末層をワークテーブル上に塗布するステップと、第1のエネルギービーム源からの第1のエネルギービームをワークテーブルの上に向け、第1の粉末層を対応するモデルにより第1の選択された位置で融合させて3次元物品の第1の断面を形成するステップであって、第1のエネルギービームが、第1の方向における2つ又はそれ以上の平行な走査線により第1の断面の少なくとも第1の領域を融合させるように構成される、第1の断面を形成するステップと、粉末層を融合させるのに用いられた2つ又はそれ以上の平行な走査線のうちの2つの隣接する走査線の間の距離を、2つの隣接する走査線のうちの少なくとも1つの長さの関数として決定するステップと、を含む方法を実施するように構成され配置されたプログラム要素が提供される。このプログラム要素は、コンピュータ可読記憶媒体内にインストールすることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、本明細書の他箇所で説明したいずれかの制御ユニット、又は別の分離した別個の制御ユニットとすることができる。コンピュータ可読記憶媒体、及び内部に具体化されたコンピュータ可読プログラムコード部分を備えることができるプログラム要素は、さらに、非一時的コンピュータプログラム製品に含めることができる。次に、これらの特徴及び構成に関するさらなる詳細を以下に与える。
【0058】
上述のように、本発明の様々な実施形態は、非一時的コンピュータプログラム製品を含む様々な手段で実施することができる。コンピュータプログラム製品は、アプリケーション、プログラム、プログラムモジュール、スクリプト、ソースコード、プログラムコード、オブジェクトコード、バイトコード、コンパイル済みコード、解釈済みコード、機械コード、実行可能命令など(本明細書においては、本明細書では交換可能に用いられる実行可能命令、実行用命令、プログラムコード、などと呼ばれる)を格納する非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含むことができる。そのような非一時的コンピュータ可読記憶媒体には、あらゆるコンピュータ可読媒体(揮発性及び不揮発性媒体を含む)が含まれる。
【0059】
一実施形態において、不揮発性コンピュータ可読記憶媒体としては、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、ソリッドステート記憶装置(SSS:solid−state strage)(例えば、ソリッドステートドライブ(SSD:solid state drive)、ソリッドステートカード(SSC:solid state card)、ソリッドステートモジュール(SSM:solid state module))、エンタプライズフラッシュドライブ、磁気テープ、又は任意の他の非一時的磁気媒体など、を挙げることができる。不揮発性コンピュータ可読記憶媒体としては、さらに、パンチカード、紙テープ、光学マークシート(又は、孔若しくは他の光学的認識可能な印のパターンを有する任意の他の物理的媒体)、コンパクトディスク読取り専用メモリ(CD−ROM:compact disc read only memory)、再書込み可能コンパクトディスク(CD−RW:compact disc compact disc−rewritable)、デジタル多用途ディスク(DVD:digital versatile disc)、ブルーレイディスク(BD:Blu−ray(登録商標) disc)、任意の他の非一時的光学媒体などを挙げることができる。そのような不揮発性コンピュータ可読記憶媒体としては、さらに、読取り専用メモリ(ROM:read−only memory)、プログラム可能読取り専用メモリ(PROM:programmable read−only memory)、消去可能プログラム可能読取り専用メモリ(EPROM:erasable programmable read−only memory)、電気的消去可能プログラム可能読取り専用メモリ(EEPROM:electrically erasable programmable read−only memory)、フラッシュメモリ(例えば、シリアル、NAND、NORなど)、マルチメディアメモリカード(MMC:multimedia memory card)、セキュアデジタル(SD:secure digital)メモリカード、スマートメディアカード、コンパクトフラッシュ(CF:CompactFlash)カード、メモリスティックなどを挙げることができる。さらに、不揮発性コンピュータ可読記憶媒体としては、導電性ブリッジランダムアクセスメモリ(CBRAM:conductive−bridging random access memory)、相変化ランダムアクセスメモリ(PRAM:phase−change random access memory)、フェロエレクトリックランダムアクセスメモリ(FeRAM:ferroelectric random−access memory)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM:non−volatile random−access memory)、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM:magnetoresistive random−access memory)、抵抗ランダムアクセスメモリ(RRAM:resistive random−access memory)、シリコン−酸化膜−窒化膜−酸化膜−シリコンメモリ(SONOS:Silicon−Oxide−Nitride−Oxide−Silicon)、浮遊接合ゲートランダムアクセスメモリ(FJG RAM:floating junction gate random access memory)、ミリピードメモリ、レーストラックメモリなどをさらに挙げることができる。
【0060】
一実施形態において、揮発性コンピュータ可読記憶媒体としては、ランダムアクセスメモリ(RAM:random access memory)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM:dynamic random access memory)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM:static random access memory)、ファーストページモードダイナミックランダムアクセスメモリ(FPM DRAM:fast page mode dynamic random access memory)、拡張データ出力ダイナミックランダムアクセスメモリ(EDO DRAM:extended data−out dynamic random access memory)、同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(SDRAM:synchronous dynamic random access memory)、ダブルデータレート同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(DDR SDRAM:double data rate synchronous dynamic random access memory)、ダブルデータレートタイプ2同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(DDR2 SDRAM:double data rate type two synchronous dynamic random access memory)、ダブルデータレートタイプ3同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(DDR3 SDRAM:double data rate type three synchronous dynamic random access memory)、ランバスダイナミックランダムアクセスメモリ(RDRAM:Rambus dynamic random access memory)、ツイントランジスタRAM(TTRAM:Twin transistor Ram)、サイリスタRAM(T−RAM:Thyristor RAM)、ゼロキャパシタ(Z−RAM:Zero−capacitor)、ランバスインラインメモリモジュール(RIMM:Rambus in−line memory module)、デュアルインラインメモリモジュール(DIMM:dual in−line memory module)、シングルインラインメモリモジュール(SIMM:single in−line memory module)、ビデオランダムアクセスメモリ(VRAM:video random access memory)、キャッシュメモリ(種々のレベルを含む)、フラッシュメモリ、レジスタメモリ、などを挙げることができる。実施形態がコンピュータ可読記憶媒体を使用するように説明される場合、前述のコンピュータ可読記憶媒体の代わりに、又はそれに加えて、他のタイプのコンピュータ可読記憶媒体を用いることができることを認識されたい。
【0061】
本発明の様々な実施形態はまた、本明細書の他箇所で説明したように、方法、装置、システム、コンピューティングデバイス、コンピューティングエンティティなどとして実施することができることを認識されたい。従って、本発明の実施形態は、コンピュータ可読記憶媒体上に格納された命令を実行して特定のステップ又は操作を行う装置、システム、コンピューティングデバイス、コンピューティングエンティティなどの形態を取ることができる。しかし、本発明の実施形態はまた、特定のステップ又は操作を行う完全にハードウェアの実施形態を取ることもできる。
【0062】
以下で、装置、方法、システム、及びコンピュータプログラム製品のブロック図及びフローチャート説明図を参照しながら様々な実施形態が説明される。ブロック図及びフローチャート説明図のいずれかの各ブロックは、それぞれ、部分的にコンピュータプログラム命令により、例えば、コンピューティングシステム内のプロセッサ上で実行される論理ステップ又は動作として実施することができる。これらのコンピュータプログラム命令は、専用コンピュータ又は他のプログラム可能データ処理装置などのコンピュータにロードして、コンピュータ又は他のプログラム可能データ処理装置上で実行される命令がフローチャートのブロック又は複数のブロック内で指定された機能を実施するような特別に構成された機械を生成することができる。
【0063】
これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ又は他のプログラム可能データ処理装置に特定の仕方で機能するように指示することができるコンピュータ可読メモリ内に格納することができ、その結果、フローチャートのブロック又は複数のブロック内で指定された機能を実施するためのコンピュータ可読命令を含むコンピュータ可読メモリ内に格納された命令が、製造物品を生産する。コンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ又は他のプログラム可能データ処理装置上にロードし、一連の動作ステップがコンピュータ又は他のプログラム可能データ処理装置上で実行されるようにしてコンピュータ実施プロセスを生成し、その結果、コンピュータ又は他のプログラム可能装置の上で実行される命令がフローチャートのブロック又は複数のブロック内で指定された機能を実施するための動作をもたらす。
【0064】
従って、ブロック図及びフローチャート説明図のブロックは、特定の機能を実行するための様々な組合せ、特定の機能を実行するための動作と特定の機能を実行するためのプログラム命令との組合せをサポートする。また、ブロック図及びフローチャート説明図の各ブロック、及びブロック図及びフローチャート説明図内のブロックの組合せは、特定の機能又は動作を実行する専用ハードウェアをベースとするコンピュータシステム、又は専用ハードウェアとコンピュータ命令の組合せによって実施することができる。
【0065】
図9は、本発明の様々な実施形態とともに使用することができる例示的なシステム1020のブロック図である。少なくとも図示した実施形態において、システム1020は1つ又はそれ以上の中央コンピューティングデバイス1110、1つ又はそれ以上の分散コンピューティングデバイス1120、及び1つ又はそれ以上の分散ハンドヘルド又はモバイルデバイス1300を含むことができ、これらは全て1つ又はそれ以上のネットワーク1130を介して中央サーバ1200(又は制御ユニット)と通信するように構成される。図9は、様々なシステムエンティティを、分離した独立エンティティとして示しているが、様々な実施形態はこの特定のアーキテクチャに限定されるものではない。
【0066】
本発明の様々な実施形態により、1つ又はそれ以上のネットワーク1130は、多くの第2世代(2G)、2.5G、第3世代(3G)、及び/又は第4世代(4G)のモバイル通信プロトコルなどのうちの1つ又はそれ以上による通信をサポートすることができる。より具体的には、1つ又はそれ以上のネットワーク1130は、2G無線通信プロトコルIS−136(TDMA)、GSM、及びIS−95(CDMA)による通信をサポートすることができる。さらに、例えば、1つ又はそれ以上のネットワーク1130は、2.5G無線通信プロトコルGPRS、拡張データGSM(登録商標)環境(EDGE:Enhanced Data GSM Environment)などによる通信をサポートすることができる。さらに、例えば、1つ又はそれ以上のネットワーク1130は、3G無線通信プロトコル、例えば、広帯域符号分割多重アクセス(WCDMA:Wideband Code Division Multiple Access)無線アクセス技術を利用したユニバーサルモバイルテレフォンシステム(UMTS:Universal Mobile Telephone System)ネットワークによる通信をサポートすることができる。幾つかの狭帯域AMPS(NAMPS:Narrow−band AMPS)、並びにTACS(単数又は複数)のネットワークもまた、デュアル又はより高モードのモバイルステーション(例えば、デジタル/アナログ又はTDMA/CDMA/アナログ電話)と同様に本発明の実施形態から利益を得ることができる。さらに別の例として、システム1020の構成要素の各々は、例えば、無線周波数(RF:radio frequency)、ブルートゥース(登録商標)、赤外線(IrDA)などの技術、又は、有線若しくは無線パーソナルエリアネットワーク(PAN:Personal Area Network)、ローカルエリアネットワーク(LAN:Local Area Network)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN:Metropolitan Area Network)、広域ネットワーク(WAN:Wide Area Network)などを含む、多くの異なる有線又は無線ネットワーク技術のいずれかにより、互いに通信するように構成することができる。
【0067】
図9においてデバイス(単数又は複数)1110〜1300は同じネットワーク1130上で互いに通信するように描かれているが、これらのデバイスは複数の別々のネットワーク上で同様に通信することができる。
【0068】
一実施形態により、サーバ1200からデータを受け取ることに加えて、分散デバイス1110、1120、及び又は1300は、それ自体でデータを収集し及び送るようにさらに構成することができる。様々な実施形態において、デバイス1110、1120、及び/又は1300は、1つ又はそれ以上の入力ユニット若しくはデバイス、例えば、キーパッド、タッチパッド、バーコードスキャナ、無線周波数識別(RFID:radio frequency identification)リーダ、インタフェースカード(例えば、モデムなど)又は受信機、を介してデータを受け取ることができる。デバイス1110、1120、及び/又は1300はさらに、1つ又はそれ以上の揮発性若しくは不揮発性メモリモジュールにデータを格納することができ、並びに、1つ又はそれ以上の出力ユニット又はデバイスを介して、例えば、デバイスを操作するユーザにデータを表示することにより、又は、データを、例えば1つ又はそれ以上のネットワーク1130上で送ることによってデータを出力することができる。
【0069】
様々な実施形態において、サーバ1200は、本明細書においてより具体的に示し説明する機能を含む、1つ又はそれ以上の機能を実施するための、本発明による様々な実施形態による様々なシステムを含む。しかし、サーバ1200は、本発明の主旨及び範囲から逸脱せずに、1つ又はそれ以上の類似の機能を実施するための種々の代替的デバイスを含むことができることを理解されたい。例えば、特定のアプリケーションに対して望ましくすることができるように、サーバ1200の少なくとも一部分を、特定の実施形態において、分散デバイス(単数又は複数)1110、1120、及び/又はハンドヘルド若しくはモバイルデバイス(単数又は複数)1300の上に配置することができる。以下でさらに詳しく説明するように、少なくとも1つの実施形態において、ハンドヘルド又はモバイルデバイス(単数又は複数)1300は、1つ又はそれ以上のモバイルアプリケーション1330を含むことができ、これらは、全て以下で同様にさらに詳しく説明するように、サーバ1200との通信のためのユーザインタフェースをもたらすように構成することができる。
【0070】
図10Aは、様々な実施形態によるサーバ1200の略図である。サーバ1200は、システムインタフェース又はバス1235を介してサーバ内部の他の要素と通信するプロセッサ1230を含む。さらに、サーバ1200には、データを受け取り及び表示する表示/入力デバイス1250が含まれる。この表示/入力デバイス1250は、例えば、モニタと組み合せて使用されるキーボード又はポインティングデバイスとすることができる。サーバ1200はさらにメモリ1220を含み、これは読取り専用メモリ(ROM)1226及びランダムアクセスメモリ(RAM)1222の両方を含むことが好ましい。サーバのROM1226は、サーバ1200内部の要素の間で情報を転送するのに役立つ基本ルーチンを含む基本入力/出力システム1224(BIOS:basic input/output system)を格納するのに使用される。様々なROM及びRAM構成は、本明細書で既に説明した。
【0071】
さらに、サーバ1200は、様々なコンピュータ可読媒体、例えば、ハードディスク、取外し可能磁気ディスク、又はCD−ROMディスクの上に情報を格納するための、少なくとも1つの記憶デバイス又はプログラム記憶装置1210、例えば、ハードディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、CDロムドライブ、若しくは光ディスクドライブを含む。当業者であれば認識することになるように、これらの記憶デバイス1210の各々は、適切なインタフェースによってシステムバス1235に接続される。記憶デバイス1210及びそれらに関連するコンピュータ可読媒体は、パーソナルコンピュータの不揮発性記憶装置を与える。当業者であれば認識することになるように、上記のコンピュータ可読媒体は、当技術分野で既知の任意の他の型のコンピュータ可読媒体で置換えることが可能である。そのような媒体としては、例えば、磁気カセット、フラッシュメモリカード、デジタルビデオディスク、及びベルヌーイカートリッジが挙げられる。
【0072】
図示しないが、一実施形態により、サーバ1200の記憶デバイス1210及び/又はメモリは、サーバ1200がアクセスすることができる履歴及び/又は現在の配信データ並びに配信状態を格納することができるデータ記憶デバイスの機能をさらに提供することができる。これに関して記憶デバイス1210は、1つ又はそれ以上のデータベースを備えることができる。用語「データベース」は、例えば、関係型データベース、階層型データベース、若しくはネットワークデータベースを介して、コンピュータシステム内に格納された記録又はデータの構造化された集合を指し、従って、限定された様式で解釈されるべきものではない。
【0073】
例えば、プロセッサ1230により実行可能な1つ又はそれ以上のコンピュータ可読プログラムコード部分を備えた多くのプログラムモジュール(例えば、例示的なモジュール1400〜1700)を様々な記憶デバイス1210により及びRAM1222の中に格納することができる。そのようなプログラムモジュールはまたオペレーティングシステム1280を含むことができる。これら及び他の実施形態において、様々なモジュール1400、1500、1600、1700が、プロセッサ1230及びオペレーティングシステム1280の支援によりサーバ1200の動作の特定の側面を制御する。さらに他の実施形態において、本発明の範囲及び本質から逸脱せずに、1つ又はそれ以上の付加的及び/又は代替的モジュールを備えることもできることを理解されたい。
【0074】
様々な実施形態において、プログラムモジュール1400、1500、1600、1700はサーバ1200によって実行され、全てがシステム1020の様々なユーザに対してアクセス可能及び/又は送信可能な1つ又はそれ以上のグラフィカルユーザインタフェース、レポート、命令、及び/又は通知/警告を生成するように構成される。特定の実施形態において、ユーザインタフェース、レポート、命令、及び/又は通知/警告は、前述のインターネット又は他の適切な通信ネットワークを含むことができる1つ又はそれ以上のネットワーク1130を介してアクセス可能とすることができる。
【0075】
様々な実施形態において、1つ又はそれ以上のモジュール1400、1500、1600、1700は、代替的に及び/又は付加的に(例えば、二重に)、1つ又はそれ以上のデバイス1110、1120、及び/又は1300にローカルに格納することができ、1つ又はそれ以上の同じプロセッサによって実行することができる。様々な実施形態により、モジュール1400、1500、1600、1700は、1つ又はそれ以上の別々のリンクされた及び/又はネットワーク接続されたデータベースから構成することができる1つ又はそれ以上のデータベースに、データを送ることができ、それからデータを受け取ることができ、そして、それに含まれるデータを利用することができる。
【0076】
さらに、サーバ1200の中には、1つ又はそれ以上のネットワーク1130の他の要素とインタフェース接続し及び通信するためのネットワークインタフェース1260が配置される。当業者であれば、サーバ1200の1つ又はそれ以上の構成要素を、他のサーバ構成要素から地理的に遠隔に配置することができることを認識するであろう。さらに、サーバ1200の1つ又はそれ以上の構成要素を組み合せることができ、及び/又は本明細書で説明する機能を実行する付加的な構成要素をサーバに含めることもできる。
【0077】
上記は単一のプロセッサ1230を説明するものであるが、当業者であれば認識することになるように、サーバ1200は、本明細書で説明した機能を互いに協力して実施するように動作する複数のプロセッサを備えることができる。メモリ1220に加えて、プロセッサ1230はまた、データ、コンテンツなどを表示し、送信及び/又は受信するための少なくとも1つのインタフェース又は他の手段に接続することができる。これに関して、インタフェース(単数又は複数)は、データ、コンテンツなどを送信及び/又は受信するための少なくとも1つの通信インタフェース又は他の手段、並びに、以下でさらに詳しく説明するように、ディスプレイ及び/又はユーザ入力インタフェースを含むことができる少なくとも1つのユーザインタフェースを含むことができる。次に、ユーザ入力インタフェースは、エンティティがユーザからデータを受け取ることを可能にする多くのデバイス、例えば、キーパッド、タッチディスプレイ、ジョイスティック又は他の入力デバイスの何れかを備えることができる。
【0078】
さらに、「サーバ」1200について言及しているが、当業者であれば認識することになるように、本発明の実施形態は伝統的に定められるサーバアーキテクチャに限定されるものでない。さらに、本発明の実施形態のシステムは、単一サーバ、又は類似のネットワークエンティティ、或いはメインフレームコンピュータシステムに限定されるものではない。本明細書で説明した機能を提供するように互いに協力して動作する1つ又はそれ以上のネットワークエンティティを含む他の類似のアーキテクチャも同様に、本発明の実施形態の主旨及び範囲から逸脱せずに用いることができる。サーバ1200に関連して本明細書で説明した機能を提供するために互いに協働する、例えば、2つ又はそれ以上のパーソナルコンピュータ(PC)、類似の電子デバイス、又はハンドヘルド携帯デバイスのメッシュネットワークも同様に、本発明の実施形態の主旨及び範囲から逸脱せずに用いることができる。
【0079】
様々な実施形態により、プロセスの多くの個々のステップは、本明細書で説明するコンピュータシステム及び/又はサーバを用いて実施してもよく、又はそれらを用いて実施しなくてもよく、コンピュータ実施の度合いは、1つ又はそれ以上の特定のアプリケーションのために望ましい及び/又は有益であり得るように、変えることができる。
【0080】
図10Bは、本発明の様々な実施形態と共に用いることができる典型的なモバイルデバイス1300の略図を提供する。モバイルデバイス1300は様々な関係者が操作することができる。図10Bに示すように、モバイルデバイス1300は、アンテナ1312、送信機1304(例えば、ラジオ)、受信機1306(例えば、ラジオ)、及び、それぞれ送信機1304に信号を供給し及び受信機1306から信号を受け取る処理要素1308を含むことができる。
【0081】
送信機1304に供給される信号及び受信機1306から受け取られる信号は、それぞれ、様々なエンティティ、例えば、サーバ1200、分散デバイス1110、1120などと通信するための適切な無線システムのエアインタフェース標準に従う信号伝達データを含むことができる。これに関して、モバイルデバイス1300は、1つ又はそれ以上のエアインタフェース標準、通信プロトコル、変調形式、及びアクセス形式によって動作することができる。より具体的には、モバイルデバイス1300は、多くの無線通信標準及びプロトコルのいずれかに従って動作することができる。具体的な一実施形態において、モバイルデバイス1300は複数の無線通信標準及びプロトコル、例えば、GPRS、UMTS、CDMA2000、1xRTT、WCDMA、TD−SCDMA、LTE、E−UTRAN、EVDO、HSPA、HSDPA、Wi−Fi、WiMAX、UWB、IRプロトコル、ブルートゥースプロトコル、USBプロトコル、及び/又は任意の他の無線プロトコル、に従って動作することができる。
【0082】
これらの通信標準及びプロトコルを介して、モバイルデバイス1300は、様々な実施形態により、非構造化付加サービスデータ(USSD:Unstructured Supplementary Service data)、ショートメッセージサービス(SMS:Short Message Service)、マルチメディアメッセージングサービス(MMS:Multimedia Messaging Service)、デュアルトーンマルチ周波数シグナリング(DTMF:Dual−Tone Multi−Frequency Signaling)、及び/又は加入者識別モジュールダイヤラ(SIM dialer:Subscriber Identity Module dialer)などのコンセプトを用いて様々な他のエンティティと通信することができる。モバイルデバイス1300はまた、例えば、そのファームウェア、ソフトウェア(例えば、実行可能命令、アプリケーション、プログラムモジュールを含む)、及びオペレーティングシステムに対する変更、アドオン、及び更新をダウンロードすることができる。
【0083】
一実施形態により、モバイルデバイス1300は、位置決定デバイス及び/又は機能を含むことができる。例えば、モバイルデバイス1300は、例えば、緯度、経度、高度、ジオコード、コース及び/又は速度データを取得するように適合されたGPSモジュールを含むことができる。一実施形態において、GPSモジュールは、既定数の衛星をそれら衛星の相対位置を考慮して識別することにより、エフェメリスデータとしても知られる、データを取得する。
【0084】
モバイルデバイス1300はまた、ユーザインタフェース(処理要素1308に結合されたディスプレイ1316を含むことができる)及び/又はユーザ入力インタフェース(処理要素1308(308)に結合された)を備えることができる。ユーザ入力インタフェースは、モバイルデバイス1300がデータを受け取るのを可能にする多くのデバイス、例えば、キーパッド1318(ハード又はソフト)、タッチディスプレイ、音声又は動作インタフェース、或いは他の入力デバイスなどのうちのいずれかを備えることができる。キーパッド1318を含む実施形態において、キーパッドは通常の数字(0〜9)及び関連するキー(#、)、並びにモバイルデバイス1300を操作するのに使用される他のキーを含むことができ、フルセットのアルファベットキー又はフルセットの英数字キーをもたらすためにアクティブにすることができるキーのセットを含むことができる。入力をもたらすことに加えて、ユーザ入力インタフェースは、例えば、スクリーンセーバー及び/又はスリープモードなどの特定の機能をアクティブにするか又は非アクティブにするために使用することができる。
【0085】
モバイルデバイス1300はまた、揮発性記憶装置若しくはメモリ1322及び/又は不揮発性記憶装置若しくはメモリ1324を含むことができ、これらは内蔵型とすることができ及び/又は取外し可能とすることもできる。例えば、不揮発性メモリは、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、MMC、SDメモリカード、メモリスティック、CBRAM、PRAM、FeRAM、RRAM、SONOS、レーストラックメモリなどとすることができる。揮発性メモリは、RAM、DRAM、SRAM、FPM DRAM、EDO DRAM、SDRAM、DDR SDRAM、DDR2 SDRAM、DDR3 SDRAM、RDRAM、RIMM、DIMM、SIMM、VRAM、キャッシュメモリ、レジスタメモリなどとすることができる。揮発性及び不揮発性記憶装置又はメモリは、モバイルデバイス1300の機能を実施するための、データベース、データベースインスタンス、データベースマッピングシステム、データ、アプリケーション、プログラム、プログラムモジュール、スクリプト、ソースコード、オブジェクトコード、バイトコード、コンパイル済みコード、解釈済みコード、機械コード、実行可能命令などを格納することができる。
【0086】
モバイルデバイス1300はまた、1つ又はそれ以上のカメラ1326及びモバイルアプリケーション1330を含むことができる。カメラ1326は、様々な実施形態により、付加的及び/又は代替的データ収集機構として構成することができ、それにより、カメラを介してモバイルデバイス1300によって1つ又はそれ以上のアイテムを読取り、格納し、及び/又は送信することができる。モバイルアプリケーション1330は、それを介して様々なタスクをモバイルデバイス1300と共に実行することができる機構をさらに提供することができる。モバイルデバイス1300の1つ又はそれ以上のユーザ及びシステム1020全体のために望ましい可能性のある様々な構成を提供することができる。
【0087】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲内で多くの修正が可能である。そのような修正は、例えば、例示した電子ビーム以外の、例えばレーザービームなどの異なるエネルギービーム源を使用することを含む。金属粉末以外の他の材料、例えば、非限定的な例として、導電性ポリマ、及び導電性セラミックスの粉末などを使用することができる。実際に、当業者であれば、前述の文章に含まれる情報を用いて、本発明の様々な実施形態を、文字通りには説明されていないが、実質的に同じ結果に達する実質的に同じ機能を達成するために、添付の特許請求の範囲に包含される仕方で、修正することができるであろう。従って、本発明は開示された特定の実施形態に限定されるものではないこと、並びに、修正物及び他の実施形態が添付の特許請求の範囲に含まれることが意図されていることを理解されたい。本明細書では特定の用語が用いられたが、それらは一般的及び説明的意味においてのみ用いられたもので、限定のために用いられたものではない。

図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B