(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
さらに、アミノ酸位置の番号付与がKabatに記載のEU指針に準拠する、アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439における操作システインアミノ酸を1以上含む、請求項1に記載のコンジュゲート化合物。
前記操作システインアミノ酸が、アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、271、285、288、291、296、301、307、309、311、329、385、387、433、または435におけるシステインアミノ酸置換、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項2に記載のコンジュゲート化合物。
前記操作システインアミノ酸が、アミノ酸位置258、または435におけるシステインアミノ酸置換、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項2に記載のコンジュゲート化合物。
前記Fcドメインが、アミノ酸位置239、248、254、273、279、282、284、286、287、289、297、298、312、324、326、330、335、337、339、350、355、356、359、360、361、375、383、384、389、398、400、413、415、418、422、440、441、442、443、および446におけるシステインアミノ酸置換から選択される、少なくとも1つの操作システイン残基をさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のコンジュゲート化合物。
前記抗体が、モノクローナル抗体、二重特異性抗体、多特異性抗体、キメラ抗体、ヒト抗体、またはヒト化抗体である、請求項1〜10のいずれか一項に記載のコンジュゲート化合物。
少なくとも1つの異種部分が、毒素、薬物、放射性核種、免疫修飾物質、サイトカイン、リンフォカイン、ケモカイン、増殖因子、腫瘍壊死因子、ホルモン、ホルモン拮抗薬、酵素、オリゴヌクレオチド、DNA、RNA、siRNA、RNAi、マイクロRNA、ペプチド核酸、光活性治療薬、血管新生阻害剤、アポトーシス促進剤、非天然アミノ酸、ペプチド、脂質、炭水化物、足場分子、蛍光性タグ、可視化ペプチド、ビオチン、血清半減期延長剤、捕捉タグ、キレート化剤、固体担体、またはそれらの組み合わせであり、その中で、コンジュゲーションが、前記操作システインの1つにおけるコンジュゲーションである、請求項1〜11のいずれか一項に記載のコンジュゲート化合物。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示は、1つまたは複数のアミノ酸残基が反応性システイン残基で置換されている、システイン操作抗体およびFc融合タンパク質を含むコンジュゲート化合物、より具体的には、治療用または診断用化合物とのコンジュゲート化合物を提供する。本明細書で開示されるコンジュゲート化合物は、例えば、化学療法剤、毒素、放射性核種、および放射性核種またはフルオロフォアなどの検出標識に、コンジュゲートされたシステイン操作抗体またはFc融合タンパク質を含む。本開示はまた、試験管内、原位置、生体外、および生体内で、哺乳類細胞、または関連病的状態を診断または治療するために、開示されるコンジュゲート化合物を使用する方法にも関する。
【0017】
本開示がより容易に理解され得るように、特定の用語が最初に定義される。追加的な定義は、詳細な説明全体を通じて記載される。
【0018】
I.定義
提供される実施形態について詳細に説明する前に、本開示は、特定の組成物または工程段階に限定されず、したがって変動し得るものと理解される。本明細書および添付の特許請求範囲の用法では、文脈上例外が明記されていない限り、単数形「a」、「an」、および「the」は、指示対象の複数形を含む。「a」(または「an」)という用語、ならびに「1つまたは複数」および「少なくとも1つ」という用語は、本明細書で同義的に使用され得る。
【0019】
さらに本明細書で使用される「および/または」は、他方の有無にかかわらず、2つの指定された特徴または成分のそれぞれの特定の開示と見なされるべきである。したがって本明細書において、「Aおよび/またはB」などの語句で使用される「および/または」という用語は、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(単独)、および「B」(単独)を含むことが意図される。同様に、「A、B、および/またはC」などの語句で使用される「および/または」という用語は、以下の実施形態のそれぞれを包含することが意図される:A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);およびC(単独)。
【0020】
特に断りのない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、本開示が関連する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。例えば、Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology,Juo,Pei−Show,2nd ed.,2002,CRC Press;The Dictionary of Cell and Molecular Biology,3rd ed.,1999,Academic Press;およびOxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology,Revised,2000,Oxford University Pressは、本開示で使用される多数の用語の一般的辞書を当業者に提供する。
【0021】
単位、接頭辞、および記号は、それらの国際単位系(SI)公認形式で示される。数値範囲は、範囲を規定する数を包含する。特に断りのない限り、アミノ酸配列は、アミノからカルボキシ方向で左から右に書かれる。本明細書で提供される見出しは、全体として明細書を参照することにより得られ得る、様々な態様の制限ではない。したがって、すぐ下で定義される用語は、明細書全体を参照してより詳細に定義される。
【0022】
本明細書において、態様が、「含む」という言葉を用いて記述される場合は常に、「からなる」および/または「から本質的になる」によって記述される、その他の点では類似した態様もまた提供されるものと理解される。
【0023】
アミノ酸は、それらの一般に知られている三文字記号によって、またはIUPAC−IUB生化学命名委員会が推奨する一文字記号によってのどちらかで、本明細書で言及される。同様にヌクレオチドは、それらの一般に認められた一文字コードによって言及される。
【0024】
本明細書で同義的に使用される「抗体」または「免疫グロブリン」という用語は、全抗体およびそれらの任意の抗原結合断片または単一鎖を含む。
【0025】
典型的な抗体は、ジスルフィド結合によって相互連結される、少なくとも2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖を含む。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書でVHと略記される)および重鎖定常領域から構成される。重鎖定常領域は、3つまたは4つの定常領域、CH1、CH2、CH3、CH4から構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書でVLと略記される)および軽鎖定常領域から構成される。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、CLから構成される。VHおよびVL領域は、相補性決定領域(CDR)と称される超可変性領域にさらに細分化され得て、フレームワーク領域(FW)と称される、より保存された領域がその中に散在する。各VHおよびVLは、アミノ末端からカルボキシ末端に、FW1、CDR1、FW2、CDR2、FW3、CDR3、FW4の順で配列される、3つのCDRおよび4つのFWから構成される。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合領域を含有する。抗体の定常領域は、免疫グロブリンと、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の第1の成分(C1q)をはじめとする、宿主組織または要素との結合を媒介し得る。本開示の代表的システイン操作抗体としては、典型的な抗体と、融合タンパク質と、例えば、典型的な抗体重鎖のCH2ドメインN末端に、またはCH3ドメインC末端に、(例えば、ペプチド性結合を介して、または化学的リンカーを介して)共有結合する、FcドメインおよびscFvを含むコンストラクトなどの抗体またはその抗原結合断片を含むコンストラクトとが挙げられる。
【0026】
「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子の可変領域内の少なくとも1つの抗原認識部位を通じて、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、または前述の組み合わせなどの標的を認識してそれに特異的に結合する、免疫グロブリン分子を意味する。本明細書の用法では、「抗体」という用語は、抗体が所望の生物学的活性を示しさえすれば、無傷ポリクローナル抗体、無傷モノクローナル抗体、抗体断片(Fab、Fab’、F(ab’)2、およびFv断片など)、一本鎖Fv(scFv)変異体、少なくとも2つの無傷抗体から生成される二重特異性抗体などの多特異性抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、抗体の抗原決定部分を含む融合タンパク質、および抗原認識部位を含む任意のその他の修飾免疫グロブリン分子を包含する。抗体は、それぞれα、δ、ε、γ、およびμと称されるそれらの重鎖定常領域の同一性に基づいて、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMの免疫グロブリンの5つの主要なクラスのいずれか、またはそれらのサブクラス(アイソタイプ)(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2)であり得る。免疫グロブリンの異なるクラスは、異なる周知のサブユニット構造および三次元配置を有する。抗体は、裸であり得て、または毒素、放射性同位体などのその他の分子にコンジュゲートされて、抗体薬物コンジュゲート(ADC)を形成し得る。
【0027】
「抗原結合断片」という用語は、無傷抗体の一部を指し、無傷抗体の抗原決定可変領域を指す。抗体の抗原結合機能が、完全長抗体の断片によって実行され得ることは、当該技術分野で公知である。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、およびFv断片、直鎖抗体、一本鎖抗体、および抗体断片から形成される多特異性抗体が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0028】
「モノクローナル抗体」は、単一抗原決定基またはエピトープの非常に特異的な認識およびその結合に関与する、均質抗体集団を指す。これは、典型的に、異なる抗原決定基に対する異なる抗体を含むポリクローナル抗体とは、対照的である。
【0029】
「モノクローナル抗体」という用語は、無傷および完全長の双方のモノクローナル抗体、ならびに抗体断片(Fab、Fab’、F(ab’)2、Fvなど)、一本鎖(scFv)変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、および抗原認識部位を含む任意のその他の修飾免疫グロブリン分子を包含する。さらに、「モノクローナル抗体」は、ハイブリドーマ、ファージ選択、組換え発現、および遺伝子組換え動物をはじめとするが、これに限定されるものではない、多数の様式で生成される抗体を指す。
【0030】
「ヒト化抗体」という用語は、最小の非ヒト(例えば、マウス)配列を含有するように操作されている、非ヒト(例えば、マウス)免疫グロブリンに由来する抗体を指す。典型的に、ヒト化抗体は、その中で相補性決定領域(CDR)からの残基が、所望の特異性、親和性、および能力を有する非ヒト生物種(例えば、マウス、ラット、ウサギ、またはハムスター)のCDRからの残基によって置き換えられている、ヒト免疫グロブリンである(Jones et al.,1986,Nature,321:522−525;Riechmann et al.,1988,Nature,332:323−327;Verhoeyen et al.,1988,Science,239:1534−1536)。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FW)残基が、所望の特異性、親和性、および能力を有する、非ヒト生物種由来抗体中の対応する残基で置換される。
【0031】
ヒト化抗体は、Fvフレームワーク領域中および/または置換された非ヒト残基中のどちらかの追加的な残基の置換によってさらに修飾されて、抗体特異性、親和性、および/または能力が洗練されて最適化され得る。一般に、ヒト化抗体は、非ヒト免疫グロブリンに対応するCDR領域の全てまたは実質的に全てを含有する、少なくとも1つ、および典型的に2つまたは3つの可変領域の全てを実質的に含む一方で、FR領域の全てまたは実質的に全てはヒト型である。ヒト化抗体はまた、典型的にヒト免疫グロブリンである、免疫グロブリン定常領域またはドメイン(Fc)の少なくとも一部を含み得る。ヒト化抗体を作成するのに使用される方法の例は、米国特許第5,225,539号明細書または米国特許第5,639,641号明細書に記載される。
【0032】
抗体の「可変領域」は、単独または組み合わせのどちらかで、抗体軽鎖の可変領域、または抗体重鎖の可変領域を指す。重鎖および軽鎖の各可変領域は、超可変領域としてもまた知られている3つの相補性決定領域(CDR)によって連結される、4つのフレームワーク領域(FW)からなる。各鎖中のCDRは、FW領域によって近傍にまとめられており、もう一方の鎖からのCDRは、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。CDRを判定するための少なくとも2つの技術がある:(1)異種間の配列変動性に基づくアプローチ(すなわち、Kabat et al.Sequences of Proteins of Immunological Interest,(5th ed.,1991,National Institutes of Health,Bethesda Md.));および(2)抗原抗体複合体の結晶学的研究に基づくアプローチ(Al−lazikani et al.(1997)J.Molec.Biol.273:927−948))。さらに、これらの2つのアプローチの組み合わせが、CDR判定技術分野で利用されることもある。
【0033】
Kabat番号付与体系は、通常、可変領域中の残基(およそ軽鎖の残基1〜107および重鎖の残基1〜113)に言及する際に使用される(例えば、Kabat et al.,Sequences of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))。
【0034】
Kabatのアミノ酸配置番号付与は、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991)にある抗体の編纂物の重鎖可変領域または軽鎖可変領域のために使用される番号付与体系を指す。この番号付与体系を使用して、実際の直鎖アミノ酸配列は、可変領域のFWまたはCDRの短縮またはそれへの挿入に対応する、より少ないまたは追加的なアミノ酸を含有し得る。例えば、重鎖可変領域は、H2の残基52の後に単一アミノ酸挿入(Kabatに従った残基52a)、重鎖FW残基82の後に挿入残基(例えば、Kabatに従った残基82a、82b、および82cなど)を含み得る。
【0036】
残基のKabat番号付与は、抗体配列の相同性領域における、「標準」Kabat番号付与配列とのアライメントによって、所与の抗体について判定され得る。Chothiaは、そうではなく、構造ループ部位を参照する(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901−917(1987))。Chothia CDR−H1ループ末端は、Kabat番号付与の慣例を使用して番号付与されると、ループの長さに応じてH32およびH34の間で変動する(これは、Kabat番号付与スキームが、35AおよびH35Bおける挿入を、35Aまたは35Bがどちらも存在しない場合は32のループ末端に;35Aのみが存在する場合は33のループ末端に;35Aおよび35Bの双方が存在する場合は34Hのループ末端に、位置づけるためである)。AbM超可変領域は、Kabat CDRおよびChothia構造ループの間の妥協点に相当し、Oxford MolecularのAbM抗体モデル化ソフトウェアによって使用される。
【0037】
IMGT(ImMunoGeneTics)は、CDRをはじめとする免疫グロブリン可変領域のための番号付与体系もまた提供する。例えば、参照により本明細書に援用される、Lefranc,M.P.et al.,Dev.Comp.Immunol.27:55−77(2003)を参照されたい。IMGT番号付与体系は、5,000を超える配列のアライメント、構造データ、および超可変ループの特性決定に基づいて、全ての生物種について変動領域およびCDR領域が容易に比較できるようにする。IMGT番号付与スキーマによれば、VH−CDR1は位置26〜35、VH−CDR2は位置51〜57、VH−CDR3は位置93〜102、VL−CDR1は位置27〜32、VL−CDR2は位置50〜52、およびVL−CDR3は位置89〜97にある。
【0038】
本明細書の用法では、Fc領域は、第1の定常領域免疫グロブリンドメイン以外の抗体定常領域を含む、ポリペプチドおよびそれらの断片を含む。したがってFcは、IgA、IgD、およびIgGの最後の2つの定常領域免疫グロブリンドメインと、IgEおよびIgMの最後の3つの常領域免疫グロブリンドメインと、任意選択的にこれらのドメインの可撓性ヒンジ領域N末端とを指す。IgAおよびIgMでは、Fc領域はJ鎖を含み得る。IgGでは、Fcは、免疫グロブリンドメインCガンマ2およびCガンマ3(Cγ2およびCγ3)、および任意選択的にCガンマ1(Cγ1)およびCガンマ2(Cγ2)の間のヒンジ領域を含む。Fc領域の境界は変動し得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、通常は、そのカルボキシル末端の残基C226またはP230を含むと定義され、番号付与はKabat(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))に記載のEU指針に準拠する。Fcは、単独でのこの領域、または抗体、抗体断片、またはFc融合タンパク質の文脈でのこの領域を指し得る。EU指針によって番号付与される位置270、272、312、315、356、および358をはじめとするが、これに限定されるものではない、いくつかの異なるFc位置において多形性が観察されており、したがって提示される配列と先行技術の配列の間に、わずかな違いが存在することもある。
【0039】
本明細書の用法では、「Fc融合タンパク質」という用語は、完全長Fcドメインを含むタンパク質(例えば、本開示のコンジュゲート化合物)、ならびにFcドメイン断片(例えば、完全CH2ドメイン、完全CH3ドメイン、CH2断片、CH3断片、またはそれらの組み合わせ)を含むタンパク質を包含する。Fc融合タンパク質はまた、ヒンジ領域の全部または一部を含んでもよい。
【0040】
「ヒト抗体」という用語は、ヒトによって産生された抗体、または当該技術分野で公知の任意の技術を使用して生成された、ヒトによって産生される抗体に対応するアミノ酸配列を有する抗体を意味する。このヒト抗体の定義は、無傷または完全長抗体、それらの断片、および/または例えばマウス軽鎖とヒト重鎖ポリペプチドとを含む抗体などの少なくとも1つのヒト重鎖および/または軽鎖ポリペプチドを含む抗体を含む。
【0041】
「キメラ抗体」という用語は、免疫グロブリン分子のアミノ酸配列が、2種以上の生物種に由来する抗体を指す。典型的に、軽鎖および重鎖の双方の可変領域が、所望の特異性、親和性、および能力がある、哺乳類種(例えば、マウス、ラット、ウサギなど)に由来する抗体の可変領域に相当する一方で、定常領域は、別の種(通常はヒト)に由来する抗体の配列と相同的であり、その生物種において免疫応答を引き起こすことが回避される。
【0042】
「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性」または「ADCC」は、分泌Igが、特定の細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、およびマクロファージ)上に存在するFc受容体(FcRs)に結合して、これらの細胞毒性エフェクター細胞が、抗原保有標的細胞に特異的に結合できるようにして、引き続いて細胞毒によって標的細胞を殺滅する、細胞毒性の形態を指す。標的細胞表面に対するIgG抗体は、細胞傷害性細胞を「武装」させ、このような殺滅に必須である。標的細胞の溶解は細胞外であり、直接的な細胞間接触が必要であり、補体は関与しない。抗体に加えて、抗原保有標的細胞と特異的に結合する能力を有する、Fc領域を含むその他のタンパク質、特にFc融合タンパク質が、細胞媒介性の細胞毒性をもたらし得ることが検討される。簡潔さのために、Fc融合タンパク質の活性からもたらされる細胞媒介性の細胞毒性は、本明細書ではADCC活性とも称される。
【0043】
「単離」ポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、または組成物は、天然に見られない形態のポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、または組成物である。単離ポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞または組成物としては、もはや天然に見られる形態でない程度にまで精製されているものが挙げられる。いくつかの態様では、単離抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、または組成物は、実質的に純粋である。
【0044】
「対象」という用語は、特定の治療の受容者であるヒト、非ヒト霊長類、齧歯類などをはじめとするが、これに限定されるものではない、任意の動物(例えば、哺乳類)を指す。典型的に、「対象」および「患者」という用語は、ヒト対象に関して同義的に使用され得る。
【0045】
「医薬組成物」という用語は、活性成分(例えば、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物)の生物学的活性が効果的であるようにする形態であり、組成物が投与される対象にとって許容できないほど有毒である追加的成分を含有しない製剤を指す。このような組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容可能な賦形剤を含んでもよい。このような組成物は、滅菌され得る。
【0046】
本明細書で開示されるようなコンジュゲート化合物の「有効量」は、具体的に記述される目的を遂げるのに十分な量である。「有効量」は、記述される目的との関連で、経験的かつ日常的様式で判定され得る。
【0047】
「治療有効量」という用語は、対象または哺乳類において疾患または障害を「治療する」のに効果的である、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物またはその他の薬物の量を指す。
【0048】
「標識」という語は、本明細書で使用される場合、「標識」コンジュゲート化合物を生じるように、本明細書で開示されるシステイン操作抗体またはその断片に、直接または間接的にコンジュゲートされた、検出可能化合物または組成物を指す。標識は、単独で検出可能であり得て(例えば、放射性同位体標識または蛍光標識)、または酵素的標識の場合は、基質化合物または組成物の検出可能な化学変性を触媒し得る。
【0049】
「治療する(treating)」または「治療(treatment)」または「治療する「(to treat)」などの用語は、(1)診断された病態または障害の症状を治癒、遅延、軽減し、および/または進行を食い止める治療手段、および(2)標的化される病的状態または障害の発症を予防しおよび/または遅延させる予防または防止手段の双方を指す。したがって、治療を必要とするものとしては、既に障害があるもの;障害を有しやすいもの;およびそれにおいて障害が予防されるものが挙げられる。特定の態様では、患者が、例えば、特定タイプのがんなどの疾患または病状の完全、部分的、または一過性の寛解を示せば、対象は、本開示の方法に従って、例えば、がんなどの疾患または病状について、成功裏に「治療される」。
【0050】
「がん」、「腫瘍」、「がん性」、および「悪性」という用語は、典型的に、無制御の細胞増殖によって特徴付けられる、哺乳類における生理的状態を指し、または記述する。がんの例としては、腺がん、リンパ腫、芽球腫、メラノーマ、肉腫、および白血をはじめとするがんが挙げられるが、これに限定されるものではない。このようながんのより具体的な例としては、扁平細胞がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、胃腸がん、ホジキンおよび非ホジキンリンパ腫、膵臓がん、神経膠芽腫、神経膠腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝臓がんなどの肝臓がんおよび肝細胞腫、膀胱がん、乳がん(ホルモン媒介性乳がんをはじめとする、例えば、Innes et al.(2006)Br.J.Cancer 94:1057−1065を参照されたい)、結腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、骨髄腫(多発性骨髄腫など)、唾液腺がん、腎臓がんおよびウィルムス腫瘍などの腎細胞がん、基底細胞がん、メラノーマ、前立腺がん、外陰部がん、甲状腺がん、精巣がん、食道がん、様々なタイプの頭頸部がん、および粘液卵巣がんなどの粘液起源のがん、胆管細胞がん(肝臓)、および腎臓の乳頭がんが挙げられる。
【0051】
本明細書の「自己免疫疾患」は、個体の自己組織または臓器から生じて、それらに向けられた、疾患または障害、またはその共分離または顕在化であり、またはそれから帰結する病状である。これらの自己免疫および炎症性疾患の多くでは、高ガンマグロブリン血症、高レベルの自己抗体、コルチコステロイドまたは免疫抑制治療から恩恵を被る組織内の抗原抗体複合体沈着、および罹患組織内のリンパ球様細胞凝集体をはじめとするが、これに限定されるものではない、いくつかの臨床用および実験室マーカーが存在してもよい。B細胞媒介性自己免疫疾患に関する任意の1つの理論に限定されることなく、B細胞は、自己抗体産生、免疫複合体形成、樹状細胞およびT細胞活性化、サイトカイン合成、直接ケモカイン放出をはじめとする多数の機構的経路を通じて、ヒト自己免疫疾患における病原性効果を示し、異所性リンパ球新生のための病巣を提供すると考えられる。これらの各経路は、自己免疫疾患の病理学に異なる度合いで関与し得る。自己免疫疾患は、臓器特異的疾患(すなわち、免疫応答は、内分泌系、造血系、皮膚、心肺系、胃腸および肝臓系、腎臓系、甲状腺、耳、筋神経系、中枢神経系などの臓器系に対して特異的に向けられる)または複数臓器系に影響を及ぼし得る全身性疾患(例えば、全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ、多発性筋炎など)であり得る。
【0052】
本明細書で同義的に使用される「ポリヌクレオチド」または「核酸」は、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、DNAおよびRNAが含まれる。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチドまたは塩基、および/またはそれらの類似体、またはDNAまたはRNAポリメラーゼによってポリマーに組み込まれ得る任意の基質であり得る。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチドおよびそれらの類似体などの修飾ヌクレオチドを含み得る。先行する記述は、RNAおよびDNAをはじめとする、本明細書で言及される全てのポリヌクレオチドにあてはまる。
【0053】
「ベクター」という用語は、宿主細胞中内で、関心のある1つまたは複数の遺伝子または配列を送達する能力があり、いくつかの態様では発現する能力がある、コンストラクトを意味する。ベクターの例としては、ウイルスベクター、裸のDNAまたはRNA発現ベクター、プラスミド、コスミドまたはファージベクター、カチオン性縮合剤と結合したDNAまたはRNA発現ベクター、リポソーム内にカプセル化されたDNAまたはRNA発現ベクター、および産生細胞などの特定の真核細胞が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0054】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」という用語は、本明細書で同義的に使用されて、任意の長さのアミノ酸ポリマーを指す。ポリマーは、直鎖または分枝鎖であり得て、それは修飾されたアミノ酸を含み得て、それは非アミノ酸によって中断され得る。この用語はまた、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または標識成分とのコンジュゲーションなどの任意のその他の操作または修飾によって、天然にまたは介入によって修飾されているアミノ酸ポリマーも包含する。例えば、アミノ酸(例えば、非天然アミノ酸などをはじめとする)の1つまたは複数の類似体を含有するポリペプチド、ならびに当該技術分野で公知のその他の修飾もまた、定義に含まれる。本開示のポリペプチドは抗体に基づくので、特定の態様では、ポリペプチドは、単一鎖または結合鎖として存在し得るものと理解される。
【0055】
「組換え」ポリペプチドまたはタンパク質は、組換えDNA技術を通じて生成される、ポリペプチドまたはタンパク質を指す。遺伝子操作宿主細胞で発現される組換え的に生成されたポリペプチドおよびタンパク質は、本開示の目的で単離されたと見なされ、任意の適切な技術によって分離され、分画され、または部分的にまたは実質的に精製された、天然または組換えポリペプチドについても同様である。本明細書で開示されるポリペプチドは、当該技術分野で公知の方法を使用して、組換え的に生成され得る。代案としては、本明細書で開示されるタンパク質およびペプチドは、化学的に合成され得る。
【0056】
「アミノ酸置換」という用語は、親配列中に存在するアミノ酸残基を別のアミノ酸残基で置換することを指す。アミノ酸は、例えば、化学的ペプチド合成を通じて、または当該技術分野で公知の組換え法を通じて、親配列中で置換され得る。したがって、「位置Xにおける置換」または「位置Xにおける置換」への言及は、位置Xに存在するアミノ酸の代案のアミノ酸残基による置換を指す。置換パターンはスキーマAXYに従って記述され得て,その中で、Aは、位置Xに天然に存在するアミノ酸に対応する一文字コードであり、Aは置換アミノ酸残基である。したがって、L234Fは、位置234におけるロイシンアミノ酸(L)のフェニルアラニン(F)による置換を指す。
【0057】
「アミノ酸挿入」という用語は、親配列中に存在する2つのアミノ酸残基の間に新規アミノ酸残基を導入することを指す。アミノ酸は、例えば、化学的ペプチド合成を通じて、または当該技術分野で公知の組換え法を通じて、親配列中に挿入され得る。したがって本明細書の用法では、XおよびYがアミノ酸の位置に対応する「位置XおよびYの間の挿入」(例えば、位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入)という語句は、位置XおよびYの間へのアミノ酸挿入を指し、そしてまた、位置XおよびYでアミノ酸をコードするコドンの間のアミノ酸をコードするコドンの核酸配列中への挿入も指す。挿入パターンは、スキーマAX−insに従って記述され得て、その中で、Aは挿入されるアミノ酸に対応する一文字コードであり、Xは挿入直前の位置である。したがって、C239insは、位置239の後のシステインアミノ酸(C)の挿入(すなわち、位置239および240間の挿入)を指す。C239insはまた、本明細書で、より短い略称「239ins」によって言及されることもある。
【0058】
「操作システイン」または「位置...で操作されたシステイン」という用語、またはそれらの文法的変異型は、抗体または抗体の一部(例えば、Fcドメインまたはその断片)に組み込まれて、チオール官能基(−SH)を有するシステイン(C)アミノ酸を指す。
【0059】
II.操作システインを含むコンジュゲート化合物
本開示は、システイン操作抗体またはFc融合タンパク質と、少なくとも1つの異種部分とを含むコンジュゲート化合物を提供し、(i)抗体またはFc融合タンパク質のFcドメインは、アミノ酸位置の番号付与が、Kabat(1991,NIH Publication 91−3242,National Technical Information Service,Springfield,VA)に記載のEU指針に準拠する、アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439におけるシステインアミノ酸置換、位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの操作システインアミノ酸を含み、(ii)少なくとも1つの異種部分は、操作システインの1つにコンジュゲートされる。
【0060】
いくつかの態様では、操作システインアミノ酸は、アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、271、285、288、291、296、301、307、309、311、329、385、387、433、または435におけるシステインアミノ酸置換、位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0061】
その他の態様では、操作システインアミノ酸は、アミノ酸位置258、または435におけるシステインアミノ酸置換、位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0062】
いくつかの態様では、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物は、本明細書で開示される1つまたは複数の位置の少なくとも1つの操作システインアミノ酸(例えば、位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439、あるいは位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入)を含み、任意選択的に、位置239、248、254、273、279、282、284、286、287、289、297、298、312、324、326、330、335、337、339、350、355、356、359、360、361、375、383、384、389、398、400、413、415、418、422、440、441、442、443、および446をはじめとするが、これに限定されるものではない、当該技術分野で記載されるシステイン操作に適する追加的な位置における、追加的な操作システインを含む。
【0063】
本明細書で開示されるシステイン操作に適する部位は、代表的抗体1C1上で同定された。これらの位置は、全ての抗体種を越えて良好に保存されているドメインである、抗体のCH2およびCH3ドメインにある。これらの部位は、特定の抗体構造の構造設計または知識をさらに要することなく、そして抗体の可変ドメインに固有の抗原結合特性に干渉することなく、その他の抗体に広く適用できるはずである。
【0064】
いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、(i)アミノ酸位置241の操作システインアミノ酸、および(ii)アミノ酸位置243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439の第2の操作システインアミノ酸、あるいは位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入を含む。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、アミノ酸位置243の操作システインアミノ酸、およびアミノ酸位置241、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439の第2の操作システインアミノ酸、あるいは位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入を含む。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、(i)アミノ酸位置251の操作システインアミノ酸、および(ii)アミノ酸位置241、243、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439の第2の操作システインアミノ酸、あるいは位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入を含む。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、(i)アミノ酸位置253の操作システインアミノ酸、および(ii)アミノ酸位置241、243、251、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439の第2の操作システインアミノ酸、あるいは位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入を含む。
【0065】
いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、(i)アミノ酸位置258の操作システインアミノ酸、および(ii)アミノ酸位置241、243、251、253、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439の第2の操作システインアミノ酸、あるいは位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入を含む。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、(i)アミノ酸位置264の操作システインアミノ酸、および(ii)アミノ酸位置241、243、251、253、258、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439の第2の操作システインアミノ酸、あるいは位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入を含む。
【0066】
いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、(i)アミノ酸位置269の操作システインアミノ酸、および(ii)アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439の第2の操作システインアミノ酸、あるいは位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入を含む。
【0067】
いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、(i)アミノ酸位置271の操作システインアミノ酸、および(ii)アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439の第2の操作システインアミノ酸、あるいは位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入を含む。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、(i)アミノ酸位置272の操作システインアミノ酸、および(ii)アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、271、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439の第2の操作システインアミノ酸、あるいは位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入を含む。
【0068】
いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、(i)アミノ酸位置274の操作システインアミノ酸、および(ii)アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439の第2の操作システインアミノ酸、あるいは位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入を含む。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、(i)アミノ酸位置280の操作システインアミノ酸、および(ii)アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439の第2の操作システインアミノ酸、あるいは位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入を含む。
【0069】
いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、(i)アミノ酸位置281の操作システインアミノ酸、および(ii)アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439の第2の操作システインアミノ酸、あるいは位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入を含む。
【0070】
いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、(i)アミノ酸位置285の操作システインアミノ酸、および(ii)アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439の第2の操作システインアミノ酸、あるいは位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入を含む。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、(i)アミノ酸位置288の操作システインアミノ酸、および(ii)アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439の第2の操作システインアミノ酸、あるいは位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入を含む。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、(i)アミノ酸位置291の操作システインアミノ酸、および(ii)アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439の第2の操作システインアミノ酸、あるいは位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入を含む。
【0071】
いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、(i)アミノ酸位置293の操作システインアミノ酸、および(ii)アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439の第2の操作システインアミノ酸、あるいは位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入を含む。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、(i)アミノ酸位置294の操作システインアミノ酸、および(ii)アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439の第2の操作システインアミノ酸、あるいは位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入を含む。
【0072】
いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、(i)アミノ酸位置296の操作システインアミノ酸、および(ii)アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439の第2の操作システインアミノ酸、あるいは位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入を含む。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、(i)アミノ酸位置301の操作システインアミノ酸、および(ii)アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439の第2の操作システインアミノ、あるいは位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入を含む。
【0073】
いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、(i)アミノ酸位置307の操作システインアミノ酸、および(ii)アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439の第2の操作システインアミノ酸、あるいは位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入を含む。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、(i)アミノ酸位置309の操作システインアミノ酸、および(ii)アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439の第2の操作システインアミノ酸、あるいは位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入を含む。
【0074】
いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、(i)アミノ酸位置311の操作システインアミノ酸、および(ii)アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439の第2の操作システインアミノ酸、あるいは位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入を含む。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、(i)アミノ酸位置318の操作システインアミノ酸、および(ii)アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439の第2の操作システインアミノ酸、あるいは位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入を含む。
【0075】
いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、(i)アミノ酸位置329の操作システインアミノ酸、および(ii)アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439の第2の操作システインアミノ、あるいは位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入酸を含む。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、(i)アミノ酸位置340の操作システインアミノ酸、および(ii)アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439の第2の操作システインアミノ酸、あるいは位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入を含む。
【0076】
いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、(i)アミノ酸位置341の操作システインアミノ酸、および(ii)アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439の第2の操作システインアミノ酸、あるいは位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入を含む。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、(i)アミノ酸位置345の操作システインアミノ酸、および(ii)アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439の第2の操作システインアミノ酸、あるいは位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入を含む。
【0077】
いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、(i)アミノ酸位置357の操作システインアミノ酸、および(ii)アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439の第2の操作システインアミノ酸、あるいは位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入を含む。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、(i)アミノ酸位置385の操作システインアミノ酸、および(ii)アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、386、387、401、402、411、417、433、435、または439の第2の操作システインアミノ酸、あるいは位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入を含む。
【0078】
いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、(i)アミノ酸位置386の操作システインアミノ酸、および(ii)アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、387、401、402、411、417、433、435、または439の第2の操作システインアミノ酸、あるいは位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入を含む。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、(i)アミノ酸位置387の操作システインアミノ酸、および(ii)アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、401、402、411、417、433、435、または439の第2の操作システインアミノ酸、あるいは位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入を含む。
【0079】
いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、(i)アミノ酸位置401の操作システインアミノ酸、および(ii)アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、402、411、417、433、435、または439の第2の操作システインアミノ酸、あるいは位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入を含む。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、(i)アミノ酸位置402の操作システインアミノ酸、および(ii)アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、411、417、433、435、または439の第2の操作システインアミノ酸、あるいは位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入を含む。
【0080】
いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、(i)アミノ酸位置411の操作システインアミノ酸、および(ii)アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、417、433、435、または439の第2の操作システインアミノ酸、あるいは位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入を含む。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、(i)アミノ酸位置417の操作システインアミノ酸、および(ii)アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、433、435、または439の第2の操作システインアミノ酸、あるいは位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入を含む。
【0081】
いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、(i)アミノ酸位置433の操作システインアミノ酸、および(ii)アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、435、または439の第2の操作システインアミノ酸、あるいは位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入を含む。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、(i)アミノ酸位置435の操作システインアミノ酸、および(ii)アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、または439の第2の操作システインアミノ酸、あるいは位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入を含む。
【0082】
いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、(i)アミノ酸位置439の操作システインアミノ酸、および(ii)アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、または435の第2の操作システインアミノ酸、あるいは位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入を含む。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、(i)位置239および240の間に挿入される操作システインアミノ酸、および(ii)アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439の第2の操作システインアミノ酸を含む。
【0083】
いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、FcドメインのCH2および/またはCH3ドメインで操作された少なくとも1つのシステインを含む。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、
(i)CH2ドメイン中の1つの操作システインアミノ酸、または
(ii)CH3ドメイン中の1つの操作システインアミノ酸、または
(iii)CH2ドメイン中の2つ以上の操作システインアミノ酸、または
(iv)CH3ドメイン中の2つ以上の操作システインアミノ酸、または
(v)CH2ドメイン中の1つのシステインアミノ酸およびCH3ドメイン中の1つの操作システインアミノ酸、または
(vi)CH2ドメイン中の1つの操作システインアミノ酸、およびCH3ドメイン中の2つ以上の操作システインアミノ酸、または
(vii)CH2ドメイン中の2つ以上の操作システインアミノ酸、およびCH3ドメイン中の1つの操作システインアミノ酸、または
(viii)CH2ドメイン中の2つ以上の操作システインアミノ酸、およびCH3ドメイン中の2つ以上の操作システインアミノ酸
を含み、その中で、操作システインアミノ酸は、
(i)アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439におけるシステインアミノ酸置換、位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入;または
(ii)アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、271、285、288、291、296、301、307、309、311、329、385、387、433、または435におけるアミノ酸置換、位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入;または
(iii)アミノ酸位置258、または435におけるアミノ酸置換、または位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入から選択される。
【0084】
いくつかの態様では、このような2つ以上の操作システインアミノ酸は、2、3、4、または5つの操作システインアミノ酸である。いくつかの態様では、CH2ドメイン中の操作システインアミノ酸は、位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340にあり、または位置239および240の間に挿入される。いくつかの態様では、CH2ドメイン中の操作システインアミノ酸は、位置241、243、251、253、258、264、271、285、288、291、296、301、307、309、311、329にあり、または位置239および240の間に挿入される。いくつかの態様では、CH2ドメイン中の操作システインアミノ酸は、位置258にあり、または位置239および240の間に挿入される。いくつかの態様では、CH3ドメイン中の操作システインアミノ酸は、位置341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439にある。いくつかの態様では、CH3ドメイン中の操作システインアミノ酸は、位置385、387、433、または435にある、いくつかの態様では、CH3ドメイン中の操作システインアミノ酸は、位置435にある。
【0085】
いくつかの態様では、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物は、F241C、F243C、L251C、I253C、S254C、E258C、V264C、P271C、E272C、K274C、Q274C、D280C、G281C、H285C、K288C、P291C、E293C、E294C、Y296C、F296C、R301C、T307C、L309C、V309C、Q311C、E318C、P329C、K340C、G341C、E345C、E357C、G385C、Q386C、P387C、D401C、G402C、T411C、W417C、H433C、H435C、R435C、K439C、S239およびV240の間のシステインアミノ酸挿入、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるシステインアミノ酸置換を含む。
【0086】
いくつかの態様では、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物は、F241C、F243C、L251C、I253C、E258C、V264C、P271C、H285C、K288C、P291C、Y296C、F296C、R301C、T307C、L309C、V309C、Q311C、P329C、G385C、P387C、H433C、H435Cからなる群から選択されるシステインアミノ酸置換、S239およびV240間のシステインアミノ挿入、およびそれらの組み合わせを含む。
【0087】
いくつかの態様では、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物は、F241C、F243C、L251C、I253C、S254C、E258C、V264C、P271C、E272C、K274C、Q274C、D280C、G281C、H285C、K288C、P291C、E293C、E294C、Y296C、R301C、T307C、L309C、V309C、Q311C、E318C、P329C、K340Cのアミノ酸置換、S239およびV240の間のシステインアミノ酸挿入、およびそれらの組み合わせから選択される、CH2ドメイン中の少なくとも1つの操作システインを含むFcドメインを含む。
【0088】
いくつかの態様では、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物は、G341C、E345C、E357C、G385C、Q386C、P387C、D401C、G402C、T411C、W417C、H433C、H435C、R435C、K439C、およびそれらの組み合わせのアミノ酸置換から選択される、CH3ドメイン中の少なくとも1つの操作システインを含むFcドメインを含む。
【0089】
いくつかの態様では、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物は、F241C、F243C、L251C、I253C、E258C、V264C、P271C、H285C、K288C、P291C、Y296C、R301C、T307C、L309C、Q311C、P329Cのアミノ酸置換、S239およびV240間のシステインアミノ挿入、およびそれらの組み合わせから選択される、CH2ドメイン中の少なくとも1つの操作システインを含むFcドメインを含む。いくつかの態様では、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物は、G385C、P387C、H433C、H435C、およびそれらの組み合わせのアミノ酸置換から選択される、CH3ドメイン中の少なくとも1つの操作システインを含むFcドメインを含む。
【0090】
特定の態様では、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物は、
(a)位置239に位置するセリン(S)と位置240に位置するバリン(v)との間に挿入される、システイン(C);
(b)位置258に位置するグルタミン酸(E)を置換する、システイン(C);
(c)位置435に位置するヒスチジン(H)を置換するシステイン(C);
(d)位置435に位置するアルギニン(R)を置換するシステイン(C);または
(e)それらの組み合わせを含むFcドメイン
を含み、アミノ酸位置の番号付与はKabatに記載のEU指針に準拠する。
【0091】
当業者は、対立遺伝子変異型の存在のために、本明細書で開示されるEU位置中の異なるアミノ酸が、システインで置換され得ることを理解するであろう。例えば、このような親抗体がIgG3である場合、いくつかの態様では、システイン(C)は、親抗体またはその断片中の位置435にあるアルギニン(R)を置換し得る。
【0092】
いくつかの態様では、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物は、位置241、243、251、253、258、264、271、285、288、291、296、301、307、309、311、329、385、387、433、または435における挿入、または位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入からなる群から選択される1つの操作システインを含み、アミノ酸位置の番号付与はKabatに記載のEU指針に準拠する。いくつかの態様では、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物は、位置258、435における挿入、または位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入からなる群から選択される1つの操作システインを含み、アミノ酸位置の番号付与はKabatに記載のEU指針に準拠する。
【0093】
いくつかの態様では、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物は、位置241、243、251、253、258、264、271、285、288、291、296、301、307、309、311、329、385、387、433、または435における挿入、または位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入からなる群から選択される2つの操作システインを含み、アミノ酸位置の番号付与はKabatに記載のEU指針に準拠する。いくつかの態様では、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物は、位置258、435における挿入、または位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入からなる群から選択される2つの操作システインを含み、アミノ酸位置の番号付与はKabatに記載のEU指針に準拠する。
【0094】
いくつかの態様では、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物は、位置241、243、251、253、258、264、271、285、288、291、296、301、307、309、311、329、385、387、433、または435における挿入、または位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入からなる群から選択される3つの操作システインを含み、アミノ酸位置の番号付与はKabatに記載のEU指針に準拠する。いくつかの態様では、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物は、位置258、435における挿入、または位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入からなる群から選択される3つの操作システインを含み、アミノ酸位置の番号付与はKabatに記載のEU指針に準拠する。
【0095】
いくつかの態様では、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物は、位置241、243、251、253、258、264、271、285、288、291、296、301、307、309、311、329、385、387、433、または435における挿入、または位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入からなる群から選択される4つの操作システインを含み、アミノ酸位置の番号付与はKabatに記載のEU指針に準拠する。いくつかの態様では、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物は、位置258、435における挿入、または位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入からなる群から選択される4つの操作システインを含み、アミノ酸位置の番号付与はKabatに記載のEU指針に準拠する。
【0096】
いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、位置258の1つの操作システインと、位置435で操作された第2のシステインとを含む。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、位置258の1つの操作システインと、位置442で操作された第2のシステインとを含む。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、位置435の1つの操作システインと、位置442で操作された第2のシステインとを含む。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、位置258の1つの操作システインと、位置239および240の間で操作された第2のシステインとを含む。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、位置435の1つの操作システインと、位置239および240の間で操作された第2のシステインとを含む。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、位置442の1つの操作システインと、位置239および240の間で操作された第2のシステインとを含む。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、位置258、435、および442の3つの操作システインを含む。その他の態様では、コンジュゲート化合物は、位置258、435の2つの操作システインと、位置239および240の間で操作された第3のシステインとを含む。その他の態様では、コンジュゲート化合物は、位置258および442の2つの操作システインと、位置239および240の間で操作された第3のシステインとを含む。その他の態様では、コンジュゲート化合物は、位置435および442の2つの操作システインと、位置239および240の間で操作された第3のシステインとを含む。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、位置258、435、および442の3つの操作システインと、位置239および240の間で操作された第4のシステインとを含む。
【0097】
いくつかの特定の態様では、コンジュゲート化合物は、
(i)親抗体の位置258におけるシステインアミノ酸置換、および親抗体の位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入;
(ii)親抗体の位置289におけるシステインアミノ酸置換、および親抗体の位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入;
(iii)親抗体の位置339におけるシステインアミノ酸置換、および親抗体の位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入;
(iv)親抗体の位置435におけるシステインアミノ酸置換、および親抗体の位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入;
(v)親抗体の位置442におけるシステインアミノ酸置換、および親抗体の位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入;
(vi)親抗体の位置258の第1のシステインアミノ酸置換、および親抗体の位置289の第2のシステインアミノ酸置換;
(vii)親抗体の位置258の第1のシステインアミノ酸置換、および親抗体の位置339の第2のシステインアミノ酸置換;
(viii)親抗体の位置258の第1のシステインアミノ酸置換、および親抗体の位置435の第2のシステインアミノ酸置換;
(ix)親抗体の位置258の第1のシステインアミノ酸置換、および親抗体の位置442の第2のシステインアミノ酸置換;
(x)親抗体の位置435の第1のシステインアミノ酸置換、および親抗体の位置289の第2のシステインアミノ酸置換;
(xi)親抗体の位置435の第1のシステインアミノ酸置換、および親抗体の位置339の第2のシステインアミノ酸置換;
(xii)親抗体の位置435の第1のシステインアミノ酸置換、および親抗体の位置442の第2のシステインアミノ酸置換;
(xiii)親抗体の位置258および289におけるシステインアミノ酸置換、および親抗体の位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入;
(xiv)親抗体の位置258および339におけるシステインアミノ酸置換、および親抗体の位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入;
(xv)親抗体の位置258および435におけるシステインアミノ酸置換、および親抗体の位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入;
(xvi)親抗体の位置258および442におけるシステインアミノ酸置換、および親抗体の位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入;
(xvii)親抗体の位置289および339におけるシステインアミノ酸置換、および親抗体の位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入;
(xviii)親抗体の位置339および435におけるシステインアミノ酸置換、および親抗体の位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入;および
(xix)親抗体の位置435および442におけるシステインアミノ酸置換、および親抗体の位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入
から選択される、二つ組または三つ組の操作システインを含む、システイン操作抗体を含み、アミノ酸位置の番号付与はKabatに記載のEU指針に準拠する。
【0098】
当業者は、いくつかの態様では、Fc領域を構成する分子のホモ二量体の性質のために、特定の位置で単一システイン残基を操作することで、結果として得られる抗体またはFc融合タンパク質中において、このような位置に2つのシステイン残基の提示が頻繁にもたらされることを理解するであろう。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物のFc領域は、変異によって、ヘテロ二量体化(例えば、キメラ変異、相補的変異、ドック・アンド・ロック(lock and dock)変異、ノブ・イントゥ・ホール変異、鎖交換操作ドメイン(SEED)変異など)を促進および/または維持し;半減期を変化させる(例えば、FcRn結合を促進する)ために、示差的に操作されてもよい。したがって、コンジュゲート化合物は、例えば、Fc領域またはその断片中の本明細書で開示される特定の位置で操作された1つのシステイン(例えば、位置258のシステイン)と、第2のFc領域または断片中の本明細書で開示される異なる位置で操作された1つのシステイン(例えば、位置435で操作されたシステイン)とを含む、ヘテロ二量体を形成するように操作され得る。これはまた、Fc領域が、本明細書で開示される特定の位置で操作された2、3または4つのシステインを含む態様にも適用できる。同様に、どちらのFc領域も、本明細書で開示される特定の位置に、異なる数の操作システインを含み得て、例えば、1つのFc領域が、1、2、3または4つの操作システインを含み得る一方で、第2のFc領域は、本明細書で開示される特定の位置で操作された操作システインを含まず、または1、2、3または4つのシステインを含み得る。
【0099】
本明細書で開示される操作システインは、多様な異種性分子による誘導体化のために使用され得るチオール基を導入する(例えば、診断試薬を作成するため、抗体薬物コンジュゲートを作成するため、親抗体の生物学的利用能を改善し得る部分を付加するため、または異なる抗原結合部分を付加して例えば二重特異性抗体を作成するために)。したがって、上で開示されるEU位置で1つまたは複数のシステインを操作することは、1つまたは複数の異種性分子が全ての導入されたチオール基を占有する化合物、またはその中で1つまたは複数のチオール基が追加的なコンジュゲーションのために使用できるコンジュゲート化合物をもたらし得る。したがって、いくつかの態様では(is some aspects)、コンジュゲート化合物は、異種性分子とのコンジュゲーションの目的で、少なくとも少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、13、少なくとも14、少なくとも15、または少なくとも16個のチオール基を含む。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、異種性分子とのコンジュゲーションの目的で、16個を超えるチオール基を含む。
【0100】
いくつかの態様では、1、2、3、または4個のシステインアミノ酸が、
図1および2に示されるEU位置で操作される。いくつかの態様では、その他のシステインが、当該技術分野で記載されるシステイン操作に適する追加的なEU位置で操作され得る。いくつかの態様では、その他のアミノ酸は、当該技術分野で開示される追加的なEU位置で修飾され得る。したがって、いくつかの態様では、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物は、アミノ酸位置239、248、254、273、279、282、286、287、289、297、298、312、324、326、330、335、337、339、350、355、356、359、360、361、375、383、384、389、398、400、413、415、418、422、440、441、442、443、および446におけるシステインアミノ酸置換から選択される、少なくとも1つの操作システイン残基をさらに含む。
【0101】
CH2および/またはCH3ドメインを含むあらゆる形態の抗体またはその断片が、本明細書で開示されるように操作され得て、すなわち、それは変異され得る。例えば、親Fc抗体断片は、システイン操作Fc断片を形成するように操作され得る。同様に、親モノクローナル抗体は、本明細書で開示されるように、システイン操作され得る。本明細書で開示される設計、選択、および調製方法、そして当該技術分野で公知の方法は、本明細書で開示されるEU位置でシステインが操作されている抗体の作成を可能にし、さらに薬物分子が指定され設計された選択的部位にある、抗体薬物コンジュゲート(ADC)化合物などのコンジュゲート化合物を可能にする。操作システイン残基は、例えば、マレイミドまたはハロアセチルなどのチオール反応基を介して、薬物成分などの異種部分が特異的に結合できるようにする。
【0102】
したがって、本開示は、システイン操作抗体またはFc融合タンパク質の少なくとも1つの操作システイン基を異種部分と反応させるステップとを含む、コンジュゲート化合物を作成する方法を提供し、抗体またはFc融合タンパク質のFcドメインは、アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439におけるシステインアミノ酸置換、位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの操作システインアミノ酸を含み、アミノ酸位置の番号付与はKabatに記載のEU指針に準拠する。いくつかの態様では、操作システインアミノ酸は、アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、271、285、288、291、296、301、307、309、311、329、385、387、433、または435におけるシステインアミノ酸置換、位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入、およびそれらの組み合わせから選択される。その他の態様では、操作システインアミノ酸は、アミノ酸位置258、または435におけるシステインアミノ酸置換位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0103】
いくつかの態様では、アミノ酸位置の番号付与がKabatに記載のEU指針に準拠する、241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、439から選択されるアミノ酸位置の操作システイン、および位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入のコンジュゲーション効率は、アミノ酸位置の番号付与がKabatに記載のEU指針に準拠する、アミノ酸位置289にシステインアミノ酸置換を有する異種部分に、同等のシステイン操作抗体またはFc融合タンパク質の操作システイン基を反応させて得られる値の少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%である。
【0104】
いくつかの態様では、コンジュゲーション効率は、アミノ酸位置の番号付与がKabatに記載のEU指針に準拠する、アミノ酸位置289にシステインアミノ酸置換を有する異種部分に、同等のシステイン操作抗体またはFc融合タンパク質の操作システイン基を反応させて得られる値の少なくとも50%である。いくつかの態様では、コンジュゲーション効率は、アミノ酸位置の番号付与がKabatに記載のEU指針に準拠する、アミノ酸位置289にシステインアミノ酸置換を有する異種部分に、同等のシステイン操作抗体またはFc融合タンパク質の操作システイン基を反応させて得られる値の少なくとも80%である。その他の態様では、コンジュゲーション効率は、アミノ酸位置の番号付与がKabatに記載のEU指針に準拠する、アミノ酸位置289にシステインアミノ酸置換を有する異種部分に、同等のシステイン操作抗体またはFc融合タンパク質の操作システイン基を反応させて得られる値の100%を上回る。
【0105】
特定の態様では、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物は、以下の一般的工程に従って、作成され得る:
(i)例えば、(a)アミノ酸位置の番号付与がKabatに記載のEU指針に準拠する、アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439の少なくとも1つのコドンをシステイン(C)アミノ酸をコードするコドンによって置換し、またはアミノ酸位置239および240をコードするコドンの間にシステイン(C)をコードするコドンを挿入し、または
(b)アミノ酸位置の番号付与がKabatに記載のEU指針に準拠する、アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、271、285、288、291、296、301、307、309、311、329、385、387、433、または435の少なくとも1つのコドンをシステイン(C)アミノ酸をコードするコドンによって置換し、またはアミノ酸位置239および240をコードするコドンの間にシステイン(C)をコードするコドンを挿入し、または
(c)アミノ酸位置の番号付与がKabatに記載のEU指針に準拠する、アミノ酸位置258、または435の少なくとも1つのコドンをシステイン(C)アミノ酸をコードするコドンによって置換し、またはアミノ酸位置239および240をコードするコドンの間にシステイン(C)をコードするコドンを挿入することによって、部位特異的変異誘発によって、抗体またはFc融合タンパク質をコードする少なくとも1つの核酸配列を変異誘発し、
(ii)システイン操作抗体またはFc融合タンパク質を発現させ;
(iii)システイン操作抗体またはFc融合タンパク質を単離し;
(iv)システイン操作抗体またはFc融合タンパク質の少なくとも1つの操作システイン基を異種部分と反応させる。
【0106】
特定の態様では、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物は、以下の一般的工程に従って、作成され得る:
(i)(a)アミノ酸位置の番号付与がKabatに記載のEU指針に準拠する、アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439のシステインをコードし、または位置239および240のアミノ酸をコードするコドンの間に挿入される、少なくとも1つのコドンまたは
(b)アミノ酸位置の番号付与がKabatに記載のEU指針に準拠する、アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、271、285、288、291、296、301、307、309、311、329、385、387、433、または435のシステインをコードし、または位置239および240のアミノ酸をコードするコドンの間に挿入される、少なくとも1つのコドンまたは
(c)アミノ酸位置の番号付与がKabatに記載のEU指針に準拠する、アミノ酸位置258、または435でシステインをコードし、または位置239および240のアミノ酸をコードするコドンの間に挿入される、少なくとも1つのコドン
を含むFc領域タンパク質をコードする核酸配列に、可変重鎖領域または異種性タンパク質をコードする核酸配列を作動可能に連結させる、
(ii)システイン操作抗体またはFc融合タンパク質を発現させる;
(iii)システイン操作抗体またはFc融合タンパク質を単離する;および
(iv)システイン操作抗体またはFc融合タンパク質の少なくとも1つの操作システイン基を異種部分と反応させる。
【0107】
いくつかの態様では、アミノ酸位置の番号付与がKabatに記載のEU指針に準拠する、241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、439から選択されるアミノ酸位置の操作システインおよび位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入に化学的に結合した異種部分の約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、または約95%は、3日間の血清培養後に、損傷を受けない。いくつかの態様では、化学的に結合した異種部分の少なくとも70%は、3日間の血清培養後に損傷を受けない。いくつかの態様では、化学的に結合した異種部分の約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、または約95%は、7日間の血清培養後に損傷を受けない。別の態様では、化学的に結合した異種部分の少なくとも70%は、7日間の血清培養後に損傷を受けない。
【0108】
いくつかの態様では、アミノ酸位置の番号付与がKabatに記載のEU指針に準拠する、258、435から選択されるアミノ酸位置の操作システイン、および位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入に化学的に結合した異種部分の約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、または約95%は、3日間の血清培養後に、損傷を受けない。いくつかの態様では、化学的に結合した異種部分の少なくとも70%は、3日間の血清培養後に損傷を受けない。いくつかの態様では、化学的に結合した異種部分の約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、または約95%は、7日間の血清培養後に損傷を受けない。別の態様では、化学的に結合した異種部分の少なくとも70%は、7日間の血清培養後に損傷を受けない。
【0109】
いくつかの態様では、アミノ酸位置の番号付与がKabatに記載のEU指針に準拠する、241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、439から選択されるアミノ酸位置の操作システインおよび位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入に化学的に結合した異種部分を含むコンジュゲート化合物は、血清と共に培養された場合、3日間で約5%、約10%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、または約50%未満の活性喪失を示す。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、血清と共に培養された場合、7日間で5%、約10%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、または約50%未満の活性喪失を示す。その他の態様では、コンジュゲート化合物は、血清と共に培養された場合、7日間で約50%未満の活性喪失を示す。
【0110】
いくつかの態様では、アミノ酸位置の番号付与がKabatに記載のEU指針に準拠する、258、435から選択されるアミノ酸位置の操作システインおよび位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入に化学的に結合した異種部分を含むコンジュゲート化合物は、血清と共に培養された場合、3日間で約5%、約10%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、または約50%未満の活性喪失を示す。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、血清と共に培養された場合、7日間で5%、約10%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、または約50%未満の活性喪失を示す。その他の態様では、コンジュゲート化合物は、血清と共に培養された場合、7日間で約50%未満の活性喪失を示す。
【0111】
いくつかの態様では、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物は、操作システインと化学的に結合した少なくとも1つの異種部分を含む。その他の態様では、コンジュゲート化合物は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つの異種部分を含み、その中では、少なくとも1つの異種部分が操作システインにコンジュゲートされる。その他の態様では、コンジュゲート化合物は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つの異種部分を含み、その中では、それぞれの異種部分が操作システインにコンジュゲートされる。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、少なくとも6、8、10、12、14、16個以上の異種部分を含み、その中では少なくとも1つの異種部分が操作システインにコンジュゲートされる。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、少なくとも6、8、10、12、14、16個以上の異種部分を含み、その中ではそれぞれの異種部分が操作システインにコンジュゲートされる。特定の態様では、全ての異種部分が同一である。その他の態様では、少なくとも1つの異種部分は残りと異なる。
【0112】
いくつかの態様では、システイン操作抗体またはFc融合タンパク質のFcドメインは、モノクローナル抗体、二重特異性抗体、多特異性抗体、キメラ抗体、ヒト抗体、またはヒト化抗体の一部である。
【0113】
いくつかの態様では、システイン操作抗体またはFc融合タンパク質のFcドメインは、IgGFcドメインまたはその断片である。いくつかの態様では、このようなIgGFcドメインまたはその断片はヒトである。いくつかの態様では、IgGは、ヒトIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4アイソタイプまたはその断片である。いくつかの態様では、システイン操作抗体またはFc融合タンパク質のFcドメインは、完全長CH2を含まない。その他の態様では、システイン操作抗体またはFc融合タンパク質のFcドメインは、完全長CH3ドメインおよび/または完全長CH4ドメインを含まない。いくつかの態様では、Fc融合タンパク質は、標的との結合を媒介するポリペプチドを含む。例えば、Fc融合タンパク質は、(a)scFv;(b)二特異性抗体;(c)Fd断片;(d)Fv断片;(e)TANDAB(登録商標);(f)F(ab’)
2断片;(g)FCAB(商標)、および(h)F(ab)断片からなる群から選択される抗原結合領域を含み得る。
【0114】
いくつかの態様では、システイン操作抗体またはFc融合タンパク質は、Fab、Fab’、F(ab’)
2、Fd、一本鎖FvまたはscFv、ジスルフィド結合Fv、V−NARドメイン、IgNar、細胞内抗体、IgGΔCH2、小型抗体、F(ab’)
3、四特異性抗体、三特異性抗体、二特異性抗体、単一ドメイン抗体、DVD−Ig、Fcab、mAb
2、(scFv)
2、またはscFv−Fcを含み得る。
【0115】
いくつかの態様では、Fc融合タンパク質は、タンパク質スキャフォールド(例えば、テネイシンまたはフィブロネクチン由来スキャフォールド)または抗体模倣剤を含む。その他の態様では、Fc融合タンパク質は、(a)リガンド、(b)酵素、(c)の受容体リガンド結合部分、および(d)接着タンパク質からなる群から選択されるポリペプチドを含む。
【0116】
その他の態様では、システイン操作抗体またはFc融合タンパク質のFcドメインは、変異Fcドメインである。Fcドメインの多数の変異が、文献に記載されている。例えば、Fcドメイン変異は、その内容全体が全て参照により本明細書に援用される、国際公開第2012/064733号パンフレット、国際公開第2013/093809号パンフレット、国際公開第2008/070593号パンフレット、および国際公開第1996/014339号パンフレット;米国特許公開第2007/0269369号明細書、米国特許公開第2007/0111260号明細書、および米国特許公開第2010/0297103号明細書;および米国特許第7,855,275号明細書に記載される。いくつかの態様では、システイン操作抗体またはFc融合タンパク質のFcドメインは、234D、234E、234N、234Q、234T、234H、234Y、2341、234V、234F、235A、235D、235R、235W、235P、235S、235N、235Q、235T、235H、235Y、235I、235V、235F、236E、239A、239D、239E、239N、239Q、239F、239T、239H、239Y、2401、240A、240T、240M、241W、241L、241Y、241E、241R、243W、243L、243Y、243R、243Q、244H、245A、247L、247V、247G、251F、252Y、254T、255L、256E、256M、2621、262A、262T、262E、2631、263A、263T、263M、264L、2641、264W、264T、264R、264F、264M、264Y、264E、265G、265N、265Q、265Y、265F、265V、2651、265L、265H、265T、2661、266A、266T、266M、267Q、267L、269Y、269F、269R、270E、280A、284M、292P、292L、296E、296Q、296D、296N、296S、296T、296L、2961、296H、269G、297S、297D、297E、298H、2981、298T、298F、2991、299L、299A、299S、299V、299H、299F、299E、3051、313F、316D、325Q、325L、3251、325D、325E、325A、325T、325V、325H、327G、327W、327N、327L、328S、328M、328D、328E、328N、328Q、328F、3281、328V、328T、328H、328A、329F、329H、329Q、330K、330G、330T、330C、330L、330Y、330V、3301、330F、330R、330H、331G、331A、331L、331M、331F、331W、331K、331Q、331E、331S、331V、3311、331C、331Y、331H、331R、331N、331D、331T、332D、332S、332W、332F、332E、332N、332Q、332T、332H、332Y、332A、339T、370E、370N、378D、392T、396L、416G、419H、421K、440Y、および443Wからなる群から選択される、少なくとも1つの非天然アミノ酸残基を含み、アミノ酸位置の番号付与はKabatに記載のEU指針に準拠する。
【0117】
いくつかの態様では、システイン操作抗体またはFc融合タンパク質のFcドメインは、Fc受容体との結合低下を有して、例えば、ADCCを通じた細胞毒性を低下させる。いくつかの態様では、システイン操作抗体またはFc融合タンパク質のFcドメインは、Fc受容体との結合増大を有して、例えば、ADCCを通じた細胞毒性を増大させる。
【0118】
特定の修飾は、所望のエフェクター機能または血清半減期を提供し得る。副作用または治療合併症を最小化するように、エフェクター機能を排除または低下させることが望ましい場合、特定のその他のFc領域が使用され得る。抗体およびFc融合タンパク質のFc領域は、FcRnとの結合親和性が増大し、ひいては血清半減期が増大するように修飾され得る。したがって、いくつかの態様では、システイン操作抗体またはFc融合タンパク質のFcドメインは、Fc受容体FcRnとの結合低下を有する。
【0119】
いくつかの態様では、システイン操作抗体またはFc融合タンパク質のFcドメインは、Kabatに記載のEU指針に従って番号付与される、234、235、236、237、238、239、240、241、243、244、245,247、251、252、254、255、256、262、263、264、265、266、267、269、279、280、284、292、296、297、298、299、305、313、316、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、339、341、343、370、373、378、392、416、419、421、440、および443からなる群から選択される1つまたは複数の位置に、非天然起源ADCC還元性アミノ酸残基を含む。抗体のADCC活性を低下させる能力がある多数の特定の変異が、当該技術分野で公知であり、例えば234F、235E、235F、235Q(または235Y)、239A、332Q、331S、およびそれらの組み合わせが挙げられる。例えば、その内容全体が参照により本明細書に援用される、国際公開第8807089号パンフレット、国際公開第9958572号パンフレット、国際公開第9951642、国際公開第2012175751号パンフレット号パンフレット、国際公開第2011149999号パンフレット、国際公開第2011066501号パンフレット、国際公開第2000042072号パンフレット、国際公開第2011120134号パンフレットに記載される変異を参照されたい。ADCCエフェクター機能が低下された抗体としてはまた、Fc領域残基238、265、269、270、297、327、および329の1つまたは複数に置換があるものも挙げられる(米国特許第6,737,056号明細書)。このようなFc変異体としてはまた、残基265および297のアラニンによる置換があるFc変異体をはじめとする、265、269、270、297、および327の2つ以上のアミノ酸位置に置換があるFc変異体も挙げられる(米国特許第7,332,581号明細書)。任意選択的に、ADCCおよびCDCの双方を低下させる変異が組み込まれてもよい。
【0120】
(a)異種部分
本明細書で開示されるシステイン操作抗体またはFc融合タンパク質は、反応性システインチオール基を介してシステイン操作抗体またはFc融合タンパク質に共有結合的に付着され得る任意の異種部分に、コンジュゲートされ得る。代表的態様では、コンジュゲート化合物は、システイン操作抗体またはFc融合タンパク質および異種部分を含み、その中で異種部分は、操作システインの1つまたは複数を介して、システイン操作抗体またはFc融合タンパク質に付着する。いくつかの態様では、異種部分とシステイン操作抗体またはFc融合タンパク質との間に、1つまたは複数のリンカーが挿入される。したがって、本開示のコンジュゲートされた化合物は、式、CEP−(L−H)p(式中、CEPはシステイン操作タンパク質(すなわち、抗体またはFc融合タンパク質)であり、Lはリンカーであり、Hは異種部分であり、pは1、2、3、または4である)で表わされ得る。操作システインのチオール基を通じて、システイン操作抗体またはFc融合タンパク質にコンジュゲートされ得る異種部分の数は、本明細書で開示されるようにして導入されたシステイン残基数によって制限される。したがって、先の式は、その中でシステイン操作抗体またはFc融合タンパク質が、1、2、3、または4つの操作システインアミノ酸を含む、コンジュゲート化合物に言及する。
【0121】
いくつかの態様では、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物は、操作システインの1つにコンジュゲートされた少なくとも1つの異種部分を含み、その中で、このような異種部分は、毒素、薬物、放射性核種、免疫修飾物質、サイトカイン、リンフォカイン、ケモカイン、増殖因子、腫瘍壊死因子、ホルモン、ホルモン拮抗薬、酵素、オリゴヌクレオチド、DNA、RNA、siRNA、RNAi、マイクロRNA、ペプチド核酸、光活性治療薬、血管新生阻害剤、アポトーシス促進剤、非天然アミノ酸、ペプチド、脂質、炭水化物、足場分子、蛍光性タグ、可視化ペプチド、ビオチン、血清半減期延長剤、捕捉タグ、キレート化剤、固体担体、またはそれらの組み合わせである。本明細書で開示される操作システインは、反応性システインチオール基と共有結合し得る、任意の異種部分にコンジュゲートされ得る(Singh et al.(2002)Anal.Biochem.304:147−15;Harlow E.and Lane,D.(1999)Using Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Springs Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.;Lundblad R.L.(1991)Chemical Reagents for Protein Modification,2nd ed.CRC Press,Boca Raton,Fla.)。
【0122】
いくつかの態様では、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物は、操作システインの1つにコンジュゲートされた少なくとも1つの異種部分を含み、その中で、このような異種部分は薬物である。いくつかの態様では、薬物は、ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン誘導体、アルキルスルホン酸塩、ニトロソ尿素、ゲムシタビン、トリアゼン、葉酸アナログ、アントラサイクリン、タキサン、COX−2インヒビター、ピリミジンアナログ、プリンアナログ、抗生物質、酵素インヒビター、エピポドフィロトキシン、白金配位錯体、ビンカアルカロイド、置換尿素、メチルヒドラジン誘導体、副腎皮質抑制剤、ホルモン拮抗薬、エンドスタチン、タキソール、カンプトテシン、SN−38、ドキソルビシン、ドキソルビシンアナログ、代謝拮抗薬、アルキル化剤、有糸分裂阻害剤、血管新生阻害剤、チロシンキナーゼインヒビター、mTORインヒビター、熱ショックタンパク質(HSP90)インヒビター、生体沈殿インヒビター、HDACインヒビター、アポトーシス促進剤、メトトレキサート、CPT−11、またはそれらの組み合わせであり、その中で、コンジュゲーションは、操作システインの1つにある。特定の態様では、薬物は、アミホスチン、シスプラチン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、メクロレタミン、ストレプトゾシン、シクロホスファミド、カルムスチン(carrnustine)、ロムスチン、ドキソルビシンlipo、ゲムシタビン、ダウノルビシン、ダウノルビシンリポ、プロカルバジン、マイトマイシン、シタラビン、エトポシド、メトトレキサート、5−フルオロウラシル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ブレオマイシン、パクリタキセル、ドセタキセル、アルデスロイキン、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、クラドリビン、10−ヒドロキシ−7−エチル−カンプトテシン(SN38)、ゲフィチニブ、ダカルバジン、フロクスウリジン、フルダラビン、ヒドロキシ尿素、イホスファミド、イダルビシン、メスナ、インターフェロンα、インターフェロンβ、イリノテカン、ミトキサントロン、トポテカン、ロイプロリド、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、プリカマイシン、ミトタン、ペグアスパラガーゼ、ペントスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、ストレプトゾシン、タモキシフェン、テニポシド、テストラクトン、チオグアニン、チオテパ、ウラシルマスタード、ビノレルビン、クロランブシルアロマターゼ阻害剤、およびそれらの組み合わせである。
【0123】
いくつかの態様では、薬物は、例えば、MMAE(モノメチルオーリスタチンE)またはMMAF(モノメチルオーリスタチンF)などのオーリスタチン(米国特許第5,635,483号明細書;米国特許第5,780,588号明細書)である。その他の態様では、薬物は、ドラスタチンまたはドラスタチンペプチド性アナログまたは誘導体である。ドラスタチンおよびオーリスタチンは、微小管動態、GTP加水分解、および核および細胞分裂を妨げることが示されており(Woyke et al.,Antimicrob.Agents and Chemother.45:3580−3584(2001))、抗がん活性を有する(米国特許第5,663,149号明細書)。ドラスタチンまたはオーリスタチン薬物成分は、ペプチド性薬物成分のN(アミノ)末端またはC(カルボキシル)末端を介して、コンジュゲート化合物に付着され得る(例えば、国際公開第2002088172号パンフレットを参照されたい)。
【0124】
その他の態様では、薬物は、メイタンシノイドである。いくつかの態様では、メイタンシノイドは、N2’−デアセチル−N2’−(3−メルカプト−1−オキソプロピル)−メイタンシン(DM1)、N2’−デアセチル−N2’−(4−メルカプト−1−オキソペンチル)−メイタンシン(DM3)またはN2’−デアセチル−N2’(4−メチル−4−メルカプト−1−オキソペンチル)−メイタンシン(DM4)である。メイタンシノイドは、チューブリン重合を阻害することで機能する、有糸分裂阻害剤である。メイタンシンは、最初に、東アフリカの灌木メイテナス・セラタ(Maytenus serrata)から単離された(米国特許第3,896,111号明細書)。引き続いて、特定の微生物もまた、マイタンシノールおよびC−3マイタンシノールエステルなどのマイタンシノイドを産生することが発見された(米国特許第4,151,042号明細書)。合成マイタンシノールおよび誘導体およびそれらの類似体は、例えば、米国特許第4,137,230号明細書;米国特許第4,248,870号明細書;米国特許第4,256,746号明細書;米国特許第4,260,608号明細書;米国特許第4,265,814号明細書;米国特許第4,294,757号明細書;米国特許第4,307,016号明細書;米国特許第4,308,268号明細書;米国特許第4,308,269号明細書;米国特許第4,309,428号明細書;米国特許第4,313,946号明細書;米国特許第4,315,929号明細書;米国特許第4,317,821号明細書;米国特許第4,322,348号明細書;米国特許第4,331,598号明細書;米国特許第4,361,650号明細書;米国特許第4,364,866号明細書;米国特許第4,424,219号明細書;米国特許第4,450,254号明細書;米国特許第4,362,663号明細書;および米国特許第4,371,533号明細書で開示される。
【0125】
メイタンシノイド薬物成分は、(i)発酵または化学修飾、発酵産物の誘導体化によって調製するために比較的アクセスしやすく、(ii)非ジスルフィドリンカーを介した抗体とのコンジュゲーションに適する官能基による誘導体化を適用でき、(iii)漿中で安定しており、(iv)多様な腫瘍細胞株に対して効果的であることから、抗体薬物コンジュゲート中の魅力的な薬物成分である。マイタンシノイドを含有するコンジュゲート、該物質を作成する方法、およびそれらの治療的使用は、例えば、米国特許第5,208,020号明細書、米国特許第5,416,064号明細書、および欧州特許第0425235B1号明細書;Liu et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:8618−8623(1996)(DM1と称されるメイタンシノイドを含む免疫複合体が記載される);およびChari et al.,Cancer Research 52:127−131(1992)で開示される。
【0126】
メイタンシノイドコンジュゲート化合物は、抗体またはメイタンシノイド分子のどちらの生物学的活性も顕著に低減させることなく、抗体をメイタンシノイド分子と化学的に結合させることで、調製され得る。例えば、米国特許第5,208,020号明細書を参照されたい。抗体分子あたり平均で3〜4つのコンジュゲートされたメイタンシノイド分子は、抗体の機能または溶解度に負の影響を及ぼすことなく、標的細胞の細胞毒性の増強において有効性を示したが、毒素/抗体の1つの分子でさえも、裸の抗体の使用よりも細胞毒性を増強することが予測される。メイタンシノイドは、当該技術分野で周知であり、既知の技術によって合成され、または天然原料から単離され得る。適切なメイタンシノイドは、例えば、米国特許第5,208,020号明細書で開示される。代表的メイタンシノイド薬物成分としては、アンサミトシン(ansamytocin)P2の水素化アルミニウムリチウム還元によって調製される、C−19−デクロロ(米国特許第4,256,746号明細書));(ストレプトミセス属(Streptomyces)またはアクチノミセス属(Actinomyces)を使用して脱メチル化によって、またはLAHを使用して脱塩素によって調製される)C−20−ヒドロキシ(またはC−20−デメチル)+/−C−19−デクロロ(米国特許第4,361,650号明細書および米国特許第4,307,016号明細書);および(塩化アシルを利用してアシル化によって調製される)C−20−デメトキシ、C−20−アシルオキシ(−OCOR)、+/−デクロロ(米国特許第4,294,757号明細書)、およびその他の位置に修飾を有するものなどの修飾芳香族環を有するものが挙げられる。代表的メイタンシノイド薬物成分としてはまた、C−9−SH(米国特許第4,424,219号明細書)(マイタンシノールのH2SまたはP2S5との反応によって調製される);C−14−アルコキシメチル(デメトキシ/CH2OR)(米国特許第4,331,598号明細書);C−14−ヒドロキシメチルまたはアシルオキシメチル(CH2OHまたはCH2OAc)(米国特許第4,450,254号明細書)(ノカルジア属(Nocardia)から調製される);C−15−ヒドロキシ/アシルオキシ(米国特許第4,364,866号明細書)(ストレプトミセス属(Streptomyces)によるマイタンシノールの変換によって調製される);C−15−メトキシ(米国特許第4,313,946号明細書および米国特許第4,315,929号明細書)(トレウィア・ヌディフロラ(Trewia nudiflora)(Trewia nudlflora)から単離される);C−18−N−デメチル(米国特許第4,362,663号明細書および米国特許第4,322,348号明細書)(ストレプトミセス属(Streptomyces)によるマイタンシノールの脱メチル化によって調製される);および4,5−デオキシ(米国特許第4,371,533号明細書)(マイタンシノールの三塩化チタン/LAH還元によって調製される)などの修飾を有するものも挙げられる。メイタンシン化合物上の多数の位置は、結合タイプ次第で、結合位置として有用なことが知られている。例えば、エステル結合を形成するために、ヒドロキシル基を有するC−3位、ヒドロキシメチルで修飾されたC−14位、ヒドロキシル基で修飾されたC−15位、およびヒドロキシル基を有するC−20位は、全て適切である。
【0127】
いくつかの態様では、薬物は、カリケアマイシンである。抗生物質のカリケアマイシンファミリーは、ピコモル濃度未満で二本鎖DNA切断を生成できる。カリケアマイシンファミリーのコンジュゲートの調製については、例えば、米国特許第5,712,374号明細書、米国特許第5,714,586号明細書、米国特許第5,739,116号明細書、米国特許第5,767,285号明細書、米国特許第5,770,701号明細書、米国特許第5,770,710号明細書、米国特許第5,773,001号明細書、米国特許第5,877,296号明細書を参照されたい。使用され得るカリケアマイシンの構造的アナログとしては、γ1I、α2I、α3I、N−アセチル−γ1I、PSAG、およびθ11が挙げられるが、これに限定されるものではない(Hinman et al.,Cancer Research 53:3336−3342(1993),Lode et al.,Cancer Research 58:2925−2928(1998)and the aforementioned U.S.patents to American Cyanamid)。
【0128】
いくつかの態様では、薬物はツブリシンである。ツブリシンは、粘液細菌生物種から単離される天然物のクラスのメンバーである(Sasse et al.,J.Antibiot.53:879−885(2000))。細胞骨格相互作用物質として、ツブリシンは、チューブリン重合を阻害し、細胞周期停止およびアポトーシスを引き起こす、有糸分裂毒である(Steinmetz et al.,Chem.Int.Ed.43:4888−4892(2004);Khalil et al.,ChemBioChem.7:678−683(2006);Kaur et al.,Biochem.J.396:235−242(2006))。ツブリシンは、極めて強力な細胞毒性分子であり、例えば、エポチロン、パクリタキセル、およびビンブラスチンなどの任意の臨床的に妥当な従来の化学療法薬の細胞増殖阻害に優る。さらに、それらは、多剤耐性細胞株に対する効力がある(Domling et al.,Mol.Diversity 9:141−147(2005))。これらの化合物は、がん細胞株のパネルに対して試験されると、IC
50値が低いピコモル濃度範囲内にある、高い細胞毒性を示し;したがって、それらは、抗がん治療薬として注目される。例えば、その内容全体が参照により本明細書に援用される、国際公開第2012019123号パンフレット参照されたい。ツブリシンコンジュゲートは、例えば、米国特許第7,776,814号明細書で開示される。
【0129】
いくつかの態様では、薬物は、ピロロベンゾジアゼピン(PBD)である。PBDは比較的小型の分子であり、いくつかは、DNA副溝内の特異的配列を認識する能力を有して、それと共有結合し、したがって抗生物質/抗腫瘍活性を示す。例えば、PBD二量体(例えば、SJG−136またはSG2000)、C2不飽和PBD二量体、C2アリール置換を有するピロロベンゾジアゼピン二量体(例えば、SG2285)、加水分解によって活性化されるPBD二量体プロドラッグ(例えば、SG2285)、およびポリピロール−PBD(例えば、SG2274)などのいくつかのPBDおよびそれらの誘導体が、当該技術分野で公知である。PBDは、それぞれその内容全体が参照により本明細書に援用される、国際公開第2000/012507号パンフレット、国際公開第2007/039752号パンフレット、国際公開第2005/110423号パンフレット、国際公開第2005/085251号パンフレット、および国際公開第2005/040170号パンフレット、および米国特許第7,612,062号明細書で詳述される。
【0130】
いくつかの態様では、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物は、操作システインの1つにコンジュゲートされた少なくとも1つの異種部分を含み、その中で、このような異種部分は毒素である。いくつかの態様では、毒素は、例えば、アブリン、ブルシン、シクトキシン、ジフテリア毒素、ボツリヌス毒素、志賀毒素、内毒素、破傷風毒素、百日咳毒素、炭疽病毒素、コレラ毒素、ファルカリノール、α毒素、ゲルダナマイシン、ゲロニン、ロタウストラリン、リシン、ストリキニーネ、テトロドトキシン、サポニン、リボヌクレアーゼ(RNase)、DNase I、ブドウ球菌エンテロトキシンA、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、シュードモナス属(Pseudomonas)菌体外毒素、シュードモナス属(Pseudomonas)内毒素、またはそれらの組み合わせを含む。その他の態様では、毒素は、例えば、モデシンA鎖、α−サルシン、シナアブラギリ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチンタンパク質、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolacca americana)(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP−S)、ニガウリ(Momordica charantia)インヒビター、クルシン、クロチン、サボンソウ(Saponaria officinalis)インヒビター、ミトギリン、レストリクトシン、フェノマイシン、ネオマイシン、トリコテシン(tricothecenes)、またはそれらの組み合わせを含む。例えば、国際公開第1993/021232号パンフレットを参照されたい。
【0131】
いくつかの態様では、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物は、操作システインの1つにコンジュゲートされた少なくとも1つの異種部分を含み、その中で、このような異種部分はキレート化剤である。いくつかの態様では、キレート化剤は、例えば、DTPA、EC、DMSA、EDTA、Cy−EDTA、EDTMP、DTPA、CyDTPA、Cy2DTPA、BOPTA、DTPA−MA、DTPA−BA、DTPMP、DOTA、TRITA、TETA、DOTMA、DOTA−MA、HP−DO3A、pNB−DOTA、DOTP、DOTMP、DOTEP、DOTPP、DOTBzP、DOTPME、HEDP、DTTP、anN3Sトリアミドチオール、DADS、MAMA、DADT、N2S4ジアミンテトラチオール、N2P2ジチオール−ビスホスフィン、6−ヒドラジノニコチン酸、プロピレンアミンオキシム、テトラアミン、サイクラム、またはそれらの組み合わせである。
【0132】
いくつかの態様では、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物は、操作システインの1つにコンジュゲートされた少なくとも1つの異種部分を含み、その中で、このような異種部分は放射性核種である。いくつかの態様では、放射性核種は、例えば、クロム(
51Cr)、コバルト(
57Co)、フッ素(
18F)、ガドリニウム(
153Gd、
159Gd)、ゲルマニウム(
68Ge)、ホルミウム(
166Ho)、インジウム(
115In、
113In、
112In、
111In)、ヨウ素(
131I、
125I、
123I、
121I)、lanthanum(
140La)、ルテチウム(
177Lu)、マンガン(
54Mn)、モリブデン(
99Mo)、パラジウム(
103Pd)、亜リン酸(
32P)、プラセオジム(
142Pr)、プロメチウム(
149Pm)、レニウム(
186Re、
188Re)、ロジウム(
105Rh)、ルテニウム(
97Ru)、サマリウム(
153Sm)、スカンジウム(
47Sc)、セレン(
75Se)、ストロンチウム(
85Sr)、イオウ(
35S)、テクネチウム(
99Tc)、タリウム(
201Tl)、スズ(
113Sn、
117Sn)、トリチウム(
3H)、キセノン(
133Xe)、イッテルビウム(
169Yb、
175Yb)、イットリウム(
90Y)、亜鉛(
65Zn)、またはそれらの組み合わせである。いくつかの特定の態様では、放射性核種は、キレート化剤によってコンジュゲート化合物に付着する。
【0133】
いくつかの態様では、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物は、操作システインの1つにコンジュゲートされた少なくとも1つの異種部分を含み、その中で、このような異種部分は血清半減期延長剤である。いくつかの特定の態様では、血清半減期延長剤は、例えば、アルブミン、アルブミン結合ポリペプチド、PAS、ヒト絨毛性ゴナドトロピンのC末端ペプチド(CTP)のβサブユニット、ポリエチレングリコール(PEG)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、XTEN、アルブミン結合小分子、またはそれらの組み合わせを含む。
【0134】
いくつかの態様では、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物は、操作システインの1つにコンジュゲートされた少なくとも1つの異種部分を含み、その中で、このような異種部分は可視化標識である。可視化標識としては、制限なしに、発色団、フルオロフォア、蛍光タンパク質、リン光性染料、タンデム染料、粒子、ハプテン、酵素、放射性同位体、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0135】
いくつかの態様では、可視化標識は、可視化ペプチドである。いくつかの態様では、可視化ペプチドは、試験管内、生体内、生体外、またはそれらの任意の組み合わせで、コンジュゲート化合物の可視化または位置確認を可能にする。いくつかの態様では、可視化ペプチドは、ビオチン受容体ペプチド、リポ酸受容体ペプチド、蛍光タンパク質、二ヒ素染料のライゲーションのためのまたは準安定テクネチウムをコンジュゲーションさせるためのシステイン含有ペプチド、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)ベースの近接アッセイのためにユウロピウムクラスレートをコンジュゲーションさせるためのペプチド、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの態様では、蛍光タンパク質は、緑色蛍光タンパク質(GFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、強化緑色蛍光タンパク質(EGFP)、強化黄色蛍光タンパク質(EYFP)、またはそれらの任意の組み合わせ赤色である。いくつかの態様では、蛍光タンパク質は、フィコビリンタンパク質またはその誘導体である。蛍光タンパク質、特にフィコビリンタンパク質は、タンデム染料で標識された標識試薬を作成するのに有用である。これらのタンデム色素は、より大きなストークスシフトを得る目的で、蛍光タンパク質およびフルオロフォアを含み、発光スペクトルは、蛍光タンパク質の吸収スペクトルの波長からさらに移行する。これは、その中で放出蛍光が最大限に最適化されている、換言すれば、わずかから皆無の蛍光タンパク質が、放射光によって再吸収される、サンプル中で、少量の標的を検出するのに効果的であり得る。これが機能するためには、蛍光タンパク質およびフルオロフォアがエネルギー転移ペアとして機能し、蛍光タンパク質はフルオロフォアが吸収する波長で発光し、次にフルオロフォアは蛍光タンパク質のみで得られ得るよりも遠く離れた波長で発光する。機能的組み合わせは、技術分野で公知のようなフィコビリンタンパク質およびスルホローダミンフルオロフォア、またはスルホン化シアニンフルオロフォアであり得る。フルオロフォアがエネルギー供与体として、蛍光タンパク質がエネルギー受容体して、機能することもある。
【0136】
その他の態様では、二ヒ素染料は、4’,5’−ビス(1,3,2−ジチオアルソラン−2−イル)フルオレセイン(フラッシュ)である。いくつかの態様では、ビオチン受容体ペプチドは、アビジンベースおよびストレプトアビジンベースの試薬のコンジュゲーションを促進する。いくつかの態様では、リポ酸受容体ペプチドは、チオール反応性プローブのコンジュゲーションを促進してリポ酸を結合させ、または蛍光性リポ酸類似体のライゲーションを誘導する。
【0137】
いくつかの態様では、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物は、操作システインの1つにコンジュゲートされた少なくとも1つの異種部分を含み、その中で、このような異種部分は蛍光性タグである。いくつかの態様では、蛍光性タグは、フルオレセイン型染料、ローダミン型染料、ダンシル型染料、リサミン型染料、シアニン型染料、フィコエリトリン型染料、Texas Red型染料、またはそれらの任意の組み合わせを含む。本明細書で開示されるシステイン操作抗体またはFc融合タンパク質とのコンジュゲーションに好適なフルオロフォアとしては、制限なしに、ピレン(対応する誘導体化合物のいずれかを含めた)、アントラセン、ナフタレン、アクリジン、スチルベン、インドールまたはベンゾインドール、オキサゾールまたはベンゾキサゾール、チアゾールまたはベンゾチアゾール、4−アミノ−7−ニトロベンズ−2−オキサ−1,3−ジアゾール(NBD)、シアニン(任意の対応する化合物を含めた)、カルボシアニン(任意の対応する化合物を含めた)、カルボスチリル(carbostyryl)、ポルフィリン、サリチル酸、アントラニル酸、アズレン、ペリレン、ピリジン、キノリン、ボラポリアザインダセン(任意の対応する化合物を含めた)、キサンテン(任意の対応する化合物を含めた)、オキサジン(任意の対応する化合物を含む)またはベンゾキサジン、カルバジン(任意の対応する化合物を含めた)、フェナレノン、クマリン(開示される対応する化合物を含めた)、ベンゾフラン(対応する化合物を含めた)、およびベンズフェナレノン(任意の対応する化合物を含めた)およびそれらの誘導体が挙げられる。本明細書の用法では、オキサジンとしては、レゾルフィン(任意の対応する化合物を含む)、アミノオキサジノン、ジアミノオキサジン、およびそれらのベンゾ置換類似体、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0138】
特定の態様では、本明細書で開示されるシステイン操作抗体またはFc融合タンパク質にコンジュゲートされるフルオロフォアとしては、キサンテン(ロドール、ローダミン、フルオレセインおよびそれらの誘導体)クマリン、シアニン、ピレン、オキサジン、ボラポリアザインダセン、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、このようなフルオロフォアは、スルホン化キサンテン、フッ素化キサンテン、スルホン化クマリン、フッ素化クマリン、スルホン化シアニンまたはそれらの任意の組み合わせである。ALEXA FLUOR(登録商標)DYLIGHT(登録商標)、CY DYES(登録商標)、BODIPY(登録商標)、OREGON GREEN(登録商標)、PACIFIC BLUE(登録商標)、IRDYES(登録商標)、FAM(登録商標)、FITC(登録商標)、およびROX(登録商標)の商標の下に販売されて、一般にその名称で知られている染料もまた含まれる。
【0139】
本明細書で開示されるシステイン操作抗体またはFc融合タンパク質に付着するフルオロフォアの選択が、コンジュゲート化合物の吸収および蛍光放射特性を左右する。使用され得るフルオロフォア標識の物理特性としては、スペクトル特性(吸収、放出、およびストークスシフト)、蛍光強度、寿命、偏光、および光退色速度、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これに限定されるものではない。1つのフルオロフォアをその他から識別し、それによって多重解析を可能にするために、これらの全ての物理特性が利用され得る。特定の態様では、フルオロフォアは、480nmを超える波長に吸収極大を有する。いくつかの態様では、フルオロフォアは、488nm〜514nmまたはその近く(アルゴンイオンレーザー励起源の出力による励起に適する)、または546nmの近く(水銀燈による励起に適する)で吸収する。いくつかの態様では、フルオロフォアは、組織または生物全体の用途において、NIR(近赤外線領域)で発光し得る。蛍光標識のその他の望ましい性質としては、例えば抗体の標識が細胞または生物内(例えば、生きている動物)で実施される場合における、細胞透過性および低毒性が挙げられる。いくつかの特定の態様では、蛍光性タグは、Alexa Fluor 488 C5マレイミドである。
【0140】
いくつかの態様では、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物は、操作システインの1つにコンジュゲートされた少なくとも1つの異種部分を含み、その中で、このような異種部分は捕捉タグである。いくつかの態様では、捕捉タグは、ビオチンまたはHis6タグである。ビオチンは、酵素系内で機能して、検出可能シグナルをさらに増幅させ得るので有用であり、それはまた、単離目的のために、アフィニティクロマトグラフィーで使用されるタグとしても機能する。検出目的では、アビオチンに対して親和性を有する、ビジン−HRPなどの酵素コンジュゲートが使用され得る。引き続いてペルオキシダーゼ基質が添加されて、検出可能シグナルが生じ得る。ビオチンに加えて、ホルモン、天然および合成薬物、汚染物質、アレルゲン、エフェクター分子、増殖因子、ケモカイン、サイトカイン、リンフォカイン、アミノ酸、ペプチド、化学中間体、ヌクレオチドなどをはじめとする、その他のハプテンが使用され得る。
【0141】
いくつかの態様では、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物は、操作システインの1つにコンジュゲートされた少なくとも1つの異種部分を含み、その中で、このような異種部分は酵素である。酵素は、検出可能シグナルの増幅が得られて、アッセイ感度増大がもたらされ得るために、効果的な標識である。酵素それ自体は、検出可能反応を生じないことが多いが、妥当な基質に接触すると機能して、変換された基質が、蛍光性、比色分析またはルミネセンスシグナルを生じるように、基質を分解する。標識試薬上の1つの酵素が複数の基質の検出可能シグナルへの変換をもたらし得るので、酵素は検出可能シグナルを増幅する。酵素基質は、例えば、比色分析、蛍光性または化学発光などの測定可能産物をもたらすように選択される。このような基質は、当該技術分野で広く使用されており、当該技術分野で公知である。
【0142】
いくつかの実施形態では、比色分析または蛍光発生性基質および酵素の組み合わせは、西洋ワサビペルオキシダーゼなどの酸化還元酵素と、識別色(それぞれ褐色および赤色)をもたらす、3,3’−ジアミノベンジジン(DAB)および3−アミノ−9−エチルカルバゾール(AEC)などの基質とを使用する。検出可能産物をもたらすその他の比色分析酸化還元酵素基質としては、2,2−アジノ−ビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)(ABTS)、o−フェニレンジアミン(OPD)、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)、o−ジアニシジン、5−アミノサリチル酸、4−クロロ−1−ナフトールが挙げられるが、これに限定されるものではない。蛍光発生基質としては、ホモバニリン酸または4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル酢酸、Amplex(登録商標)Red試薬をはじめとする還元型フェノキサジンおよび還元型ベンゾチアジンおよびその変異体、およびジヒドロフルオレセインをはじめとする還元型ジヒドロキサンテン、およびジヒドロローダミン123をはじめとするジヒドロローダミンが挙げられるが、これに限定されるものではない。チラミドであるペルオキシダーゼ基質は、ペルオキシダーゼ基質のユニークなクラスを代表し、それらは、酵素作用前に内因的に検出可能であり得るが、チラミドシグナル増幅(TSA)といわれている、処理中のペルオキシダーゼの作用によって「定位置固定」される。これらの基質は、それらの引き続く検出顕微鏡検査、フローサイトメトリー、光学的スキャニング、および蛍光光度分析のために、細胞、組織またはアレイであるサンプル中の標的を標識するために、広く使用されている。
【0143】
比色分析(および場合によっては蛍光発生)基質および酵素組み合わせは、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルリン酸(BCIP)、6−クロロ−3−インドリルリン酸、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルリン酸、p−ニトロフェニルリン酸、またはo−ニトロフェニルリン酸などの比色分析基質と組み合わされた、または4−メチルウンベリフェリルリン酸、6,8−ジフルオロ−7−ヒドロキシ−4−メチルクマリニルリン酸(DiFMUP、米国特許第5,830,912号明細書)フルオレセイン二リン酸、3−O−メチルフルオレセインリンリン酸、レゾルフィンリン酸、9H−(1,3−ジクロロ−9,9−ジメチルアクリジン−2−オン−7−イル)リン酸(DDAOリン酸)、またはELF97、ELF39または関連リン酸塩などの蛍光発生基質と組み合わされた、酸ホスファターゼ、アルカリホスファターゼなどのホスファターゼ酵素、またはこのようなホスファターゼの組換えバージョンを使用することもある。
【0144】
グリコシダーゼ、特にβ−ガラクトシダーゼ、β−グルクロニダーゼおよびβ−グルコシダーゼは、追加的な適切な酵素である。適切な比色分析基質としては、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−ガラクトピラノシド(X−gal)および類似したインドリルガラクトシド、グルコシド、およびグルクロニド、o−ニトロフェニルβ−D−ガラクトピラノシド(ONPG)、およびp−ニトロフェニルβ−D−ガラクトピラノシドが挙げられるが、これに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、蛍光発生基質としては、レゾルフィンβ−D−ガラクトピラノシド、フルオレセインジガラクトシド(FDG)、フルオレセインジグルクロニド、およびそれらの構造変異体、4−メチルウンベリフェリルβ−D−ガラクトピラノシド、カルボキシウンベリフェリルβ−D−ガラクトピラノシドおよびフッ素化クマリンβ−D−ガラクトピラノシドが挙げられる。
【0145】
追加的な酵素としては、コリンエステラーゼおよびペプチダーゼなどのヒドロラーゼ、グルコースオキシダーゼおよびチトクロームオキシダーゼなどのオキシダーゼ、およびそれに対する適切な基質が知られている還元酵素が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0146】
酵素および化学発光を生じるそれらの適切な基質は、いくつかのアッセイで有用である。これらとしては、天然および組換形態のルシフェラーゼおよびエクオリンが挙げられるが、これに限定されるものではない。安定性のジオキセタン、ルミノール、イソルミノール、およびアクリジニウムエステルを含有するものなどのホスファターゼ、グリコシダーゼ、およびオキシダーゼのための化学発光産生基質もまた有効である。
【0147】
いくつかの態様では、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物は、操作システインの1つにコンジュゲートされた少なくとも1つの異種部分を含み、その中で、このような異種部分は核酸である。核酸は、DNA、RNA、短い干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA、ペプチド核酸などのヘアピンまたは核酸ミメティックからなる群から選択され得る。特定の態様では、コンジュゲート核酸は、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60少なくとも100、少なくとも200、少なくとも500、少なくとも1000、少なくとも5000塩基対以上である。コンジュゲート核酸は、一本鎖であり得る。様々な態様において、コンジュゲート核酸は、二本鎖であり得る。いくつかの態様では、コンジュゲート核酸は、オープンリーディングフレームをコードする。いくつかの態様では、オープンリーディングフレームは、アポトーシス誘導タンパク質、ウイルスタンパク質、酵素、または腫瘍抑制因子タンパク質に対応する、コンジュゲート核酸によってコードされる。このような核酸を細胞に送達する技術は、当該技術分野で公知である。
【0148】
(b)リンカー
いくつかの態様では、異種部分は、リンカーを介して、操作システインの1つにコンジュゲートされる。本明細書の用法では、「リンカー」という用語は、ペプチドまたはポリペプチド配列(例えば、合成ペプチドまたはポリペプチド配列)、または非ペプチドリンカーを指し、その主要機能は、操作システインのチオール基を介して、異種部分をシステイン操作抗体またはFc融合タンパク質に結合することである。いくつかの態様では、リンカーは、本開示のコンジュゲート化合物の任意の2つの異種部分または非リンカー要素の間に存在し得る。例えば、1つまたは複数のリンカーが、システイン操作抗体またはFc融合タンパク質と異種部分との間に、または第1の異種部分と第2の異種部分との間に(between a between a)存在し得る。いくつかの態様では、2つ以上のリンカーが、タンデムに連結され得る。本明細書で開示されるコンジュゲート化合物中に複数のリンカーが存在する場合、リンカーのそれぞれは、同一であるかまたは異なり得る。一般に、リンカーは、コンジュゲート化合物に可撓性を提供する。リンカーは、典型的に切断されず、したがって、いくつかの態様では、リンカーは非切断可能リンカーである。しかし特定の実施形態では、このような切断が望ましくあり得る。したがって、いくつかの態様では、リンカーは、リンカー配列中に位置し得る、またはリンカー配列のどちらかの端に隣接し得る、1つまたは複数のプロテアーゼ切断可能部位を含み得る。
【0149】
いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、非ペプチドリンカーを含む。その他の態様では、リンカーは、非ペプチドリンカーからなる。いくつかの態様では、非ペプチド性リンカーは、例えば、マレイミドカプロイル(MC)、val−cit、MC−val−cit、MC−val−cit−PABC、Mal−PEG2C2、Mal−PEG3C2Mal−PEG6C2、マレイミドプロパノイル(MP)、メトキシルポリエチレングリコール(MPEG)、4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボン酸スクシンイミジル(SMCC)、MBS(m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)、4−スクシンイミジルオキシカルボニル−α−メチル−α−(2−ピリジルジチオ)トルエン(SMPT)、6−[3−(2−ピリジルジチオ)−プロピオンアミド]ヘキサン酸スクシンイミジル(LC−SPDP)、BMPEO、SPP、4−(p−マレイミドフェニル)酪酸スクシンイミジル(SMPB)、N−スクシンイミジル−S−アセチルチオ酢酸(SATA)、N−スクシンイミジル(4−ヨードアセチル)アミノベンゾン酸(SIAB)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。例えば、米国特許第7,375,078号明細書を参照されたい。
【0150】
いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、ペプチドリンカーを含む。いくつかの態様では、リンカーは、ペプチドリンカーからなる。いくつかの態様では、ペプチドリンカーは、少なくとも2個のアミノ酸、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、または少なくとも100個のアミノ酸を含む。その他の態様では、ペプチドリンカーは、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400、少なくとも500、少なくとも600、少なくとも700、少なくとも800、少なくとも900、または少なくとも1,000個のアミノ酸を含む。なおも別の態様では、ペプチドリンカーは、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、または2000個のアミノ酸を含み得る。ペプチドリンカーは、1〜5個のアミノ酸、1〜10個のアミノ酸、1〜20個のアミノ酸、10〜50個のアミノ酸、50〜100個のアミノ酸、100〜200個のアミノ酸、200〜300個のアミノ酸、300〜400個のアミノ酸、400〜500個のアミノ酸、500〜600個のアミノ酸、600〜700個のアミノ酸、700〜800個のアミノ酸、800〜900個のアミノ酸、または900〜1000個のアミノ酸を含み得る。
【0151】
例えば、式[(Gly)
x−Ser
y]
z(式中、xは1〜4、yは0または1、およびzは1〜50である)に記載のペプチドリンカーなどのペプチドリンカーの例は、当該技術分野で周知である。一態様では、ペプチドリンカーは、配列G
nを含み、式中、nは1〜100の整数であり得る。特定の態様では、ペプチドリンカーの配列はGGGGである。ペプチドリンカーは、配列(GA)
n含み得る。ペプチドリンカーは、配列(GGS)
n含み得る。その他の態様では、ペプチドリンカーは、配列(GGGS)
nを含む。なおも別の態様では、ペプチドリンカーは、配列(GGS)
n (GGGGS)
nを含む。これらの事例では、nは1〜100の整数であり得る。その他の事例では、nは1〜20の整数、すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20であり得る。リンカーの例としては、GGG、SGGSGGS、GGSGGSGGSGGSGGG、GGSGGSGGGGSGGGGS、GGSGGSGGSGGSGGSGGS、またはGGGGSGGGGSGGGGSが挙げられるが、これに限定されるものではない。その他の態様では、リンカーは、ポリG配列(GGGG)
nであり、nは1〜100の整数であり得る。
【0152】
一態様では、ペプチドリンカーは合成され、すなわち、非天然起源である。一態様(one aspects)では、ペプチドリンカーとしては、アミノ酸の第1の直鎖配列を、それが天然に連結せずまたは天然で遺伝的に融合しない、アミノ酸の第2の直鎖配列に連結または遺伝的に融合するアミノ酸配列を含む、ペプチド(またはポリペプチド)(例えば、天然または非天然ペプチド)が挙げられる。例えば、一態様では、ペプチドリンカーは、天然ポリペプチドの修飾形態である(例えば、付加、置換または欠失などの変異を含む)、非天然ポリペプチドを含み得る。別の態様では、ペプチドリンカーは、非天然アミノ酸を含み得る。別の態様では、ペプチドリンカーは、天然には存在しない、直鎖配列で存在する天然アミノ酸を含み得る。なおも別の態様では、ペプチドリンカーは、天然ポリペプチド配列を含み得る。
【0153】
(III)抗体およびFc融合タンパク質のシステイン操作
いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、少なくとも1つの標的に特異的に結合する、システイン操作抗体またはFc融合タンパク質を含む。いくつかの態様では、システイン操作抗体またはFc融合タンパク質は、2つ以上の標的に結合し得る。いくつかの態様では、システイン操作抗体は、親抗体対応物の抗原結合能力を保つ。したがって、本明細書で開示されるシステイン操作抗体は、抗原に、好ましくは特異的に結合し得る。このような抗原としては、例えば、腫瘍関連抗原(TAA)、細胞表面受容体タンパク質およびその他の細胞表面分子、膜貫通タンパク質、シグナル伝達タンパク質、細胞生存調節因子、細胞増殖調節因子、組織発達または分化と関係がある(例えば、機能的に寄与することが知られているまたは疑われる)分子、リンフォカイン、サイトカイン、細胞周期調節に関与する分子、脈管形成に関与する分子、および血管新生に関連する(例えば、機能的に寄与することが知られているまたは疑われる)分子が挙げられる。腫瘍関連抗原は、クラスター分化因子(すなわち、CDタンパク質)であり得る。システイン操作抗体がそれに結合できる抗原は、上述のカテゴリーの1つのサブセットのメンバーであり得る。
【0154】
いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、少なくとも1つの標的に特異的に結合する、システイン操作抗体またはFc融合タンパク質と、少なくとも1つの第2の標的に特異的に結合する、少なくとも1つの異種部分とを含む。いくつかの態様では、システイン操作抗体またはFc融合タンパク質、および異種部分は、同一標的に結合し得る。その他の態様では、システイン操作抗体またはFc融合タンパク質、および異種部分は、異なる標的に結合し得る。したがって、いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、単一特異性である。その他の態様では、コンジュゲート化合物は、二重特異性、三重特異性、四重特異性などである。その他の態様では、コンジュゲート化合物は、多特異性である。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、一価、二価、三価、四価などである。なおも別の態様では、コンジュゲート化合物は、多価である。特定の態様では、システイン操作抗体およびFc融合タンパク質および由来コンジュゲート化合物は二価であり、例えば、操作抗体化合物は2つの異なる特異的抗原結合部位を含み、または操作Fc融合タンパク質は、2つの異なる標的結合ドメインを含む。特定の態様では、システイン操作抗体およびそれらの断片およびそれに由来するコンジュゲート化合物は、二重特異性であり、すなわち、分子は、2つの異なる抗原(例えば、同一であるかまたは異なる分子上の2つの異なるエピトープ)に特異的に結合し得る。いくつかの特定の態様では、システイン操作抗体およびそれらの断片およびそれに由来するコンジュゲート化合物は二重特異性および四価であり、例えば、2つの異なる抗原(例えば、同一であるかまたは異なる分子上の2つの異なるエピトープ)に結合できる、4つの抗原結合部位を含む親抗体に由来する。
【0155】
本開示は、
(a)細胞をシステイン操作抗体またはFc融合タンパク質またはコンジュゲート化合物に曝露させるステップと;
(b)システイン操作抗体またはFc融合タンパク質またはコンジュゲート化合物と、標的細胞との結合程度を判定するステップと
を含む、本明細書で開示されるシステイン操作抗体またはFc融合タンパク質、または本明細書で開示されるコンジュゲート化合物と、標的細胞との結合を検出するアッセイを提供する。
【0156】
本明細書で開示されるシステイン操作抗体またはFc融合タンパク質が、またはそれに由来する本明細書で開示されるコンジュゲート化合物が、標的に結合する能力は、例えば、フローサイトメトリー、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、または放射免疫測定法(RIA)、または動態(例えば、BIACORE(商標)分析)などの当該技術分野で周知である任意の適切な方法を使用して、実験的に判定され得る。直接結合アッセイならびに競合的結合アッセイ形式もまた、容易に用いられ得る。例えば、Berzofsky et al.,“Antibody−Antigen Interactions,”In Fundamental Immunology,Paul,W.E.,Ed.,Raven Press:New York,N.Y.(1984);Kuby,Immunology,W.H.Freeman and Company:New York,N.Y.(1992);およびその中に記載される方法を参照されたい。本明細書で開示される、特定のシステイン操作抗体またはFc融合タンパク質、またはそれに由来するコンジュゲート化合物と、標的との測定された相互作用親和性は、異なる条件下(例えば、塩濃度、pH、温度など)で測定されると、変動し得る。
【0157】
実質的にあらゆる分子が、システイン操作抗体またはFc融合タンパク質および異種部分を含むコンジュゲート化合物によって、特異的に結合されおよび/またはそれに組み込まれてもよい。いくつかの態様では、TNFスーパーファミリーの構成員(受容体またはリガンド)、ならびにこのタンパク質ファミリーに属するタンパク質のサブユニット、ドメイン、モチーフ、およびエピトープが、コンジュゲート化合物によって特異的に結合されおよび/またはそれに組み込まれる。TNFスーパーファミリーは、腫瘍壊死因子α(「TNF−α」)、腫瘍壊死因子β(「TNF−β」)、リンフォトキシンα(「LT−α」)、CD30リガンド、CD27リガンド、CD40リガンド、4−1BBリガンド、Apo−1リガンド(FasリガンドまたはCD95リガンドとも称される)、Apo−2リガンド(TRAILとも称される)、Apo−3リガンド(TWEAKとも称される)、オステオプロテゲリン(OPG)、APRIL、RANKリガンド(TRANCEとも称される)、TALL−1(BlyS、BAFFまたはTHANKとも称される)、DR4、DR5(Apo−2、TRAIL−R2、TR6、Tango−63、hAPO8、TRICK2、またはKILLERとしてもまた知られている)、DR6、DcR1,DcR2、DcR3(TR6またはM68としてもまた知られている)、CAR1、HVEM(ATARまたはTR2としてもまた知られている)、GITR、ZTNFR−5、NTR−1、TNFL1、CD30、LTBr、4−1BB受容体、およびTR9をはじめとするが、これに限定されるものではない、多数の分子を含む。
【0158】
いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、5T4、ABL、ABCF1、ACVR1、ACVR1B、ACVR2、ACVR2B、ACVRL1、ADORA2A、アグリカン、AGR2、AICDA、AIF1、AIGI、AKAP1、AKAP2、AMH、AMHR2、ANGPT1、ANGPT2、ANGPTL3、ANGPTL4、ANPEP、APC、APOCl、AR、アロマターゼ、ATX、AXl、AZGP1(亜鉛−α糖タンパク質)、B7.1、B7.2、B7−H1、BAD、BAFF、BAG1、BAIl、BCR、BCL2、BCL6、BDNF、BLNK、BLR1(MDR15)、BlyS、BMP1、BMP2、BMP3B(GDFIO)、BMP4、BMP6、BMP8、BMPR1A、BMPR1B、BMPR2、BPAG1(plectin)、BRCA1、C19orflO(IL27w)、C3、C4A、C5、C5R1、CANT1、CASP1、CASP4、CAVl、CCBP2(D6/JAB61)、CCL1(1−309)、CCLI1(エオタキシン)、CCL13(MCP−4)、CCL15(MIP−Id)、CCL16(mcc−4)、CCL17(TARC)、CCL18(PARC)、CCL19(MIP−3b)、CCL2(MCP−1)、MCAF、CCL20(MIP−3a)、CCL21(MEP−2)、SLC、exodus−2、CCL22(MDC/STC−I)、CCL23(MPIF−I)、CCL24(MPIF−2/エオタキシン−2)、CCL25(TECK)、CCL26(エオタキシン−3)、CCL27(CTACK/ILC)、CCL28、CCL3(MIP−la)、CCL4(MIPIb)、CCL5(RANTES)、CCL7(MCP−3)、CCL8(mcp−2)、CCNA1、CCNA2、CCND1、CCNE1、CCNE2、CCRI(CKR1/HM145)、CCR2(mcp−IRB/RA)、CCR3(CKR3/CMKBR3)、CCR4、CCR5(CMKBR5/ChemR13)、CCR6(CMKBR6/CKR−L3/STRL22/DRY6)、CCR7(CKR7/EBI1)、CCR8(CMKBR8/TERI/CKR−L1)、CCR9(GPR−9−6)、CCRL1(VSHK1)、CCRL2(L−CCR),CD164、CD19、CDIC、CD20、CD200、CD22、CD24、CD28、CD3、CD33、CD35、CD37、CD38、CD3E、CD3G、CD3Z、CD4、CD40、CD40L、CD44、CD45RB、CD52、CD69、CD72、CD74、CD79A、CD79B、CD8、CD80、CD81、CD83、CD86、CD137、CDH1(Ecadherin)、CDH10、CDH12、CDH13、CDH18,CDH19、CDH20、CDH5、CDH7、CDH8、CDH9、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6、CDK7,CDK9、CDKN1A(p21Wap1/Cip1),CDKN1B(p27Kip1)、CDKNlC、CDKN2A(p161NK4a)、CDKN2B、CDKN2C、CDKN3、CEBPB、CERI、CHGA、CHGB、キチナーゼ、CHST10、CKLFSF2、CKLFSF3、CKLFSF4、CKLFSF5、CKLFSF6、CKLFSF7、CKLFSF8、CLDN3、CLDN7(クローディン−7)、CLN3、CLU(クラスタリン)、CMKLR1、CMKOR1(RDCl)、CNR1、COL18A1、COLIA1、COL4A3、COL6A1、CR2、Cripto、CRP、CSF1(M−CSF)、CSF2(GM−CSF)、CSF3(GCSF)、CTLA4、CTL8、CTNNB1(b−カテニン)、CTSB(カテプシンB)、CX3CL1(SCYD1)、CX3CR1(V28)、CXCL1(GRO1)、CXCL10(IP−IO)、CXCLI1(I−TAC/IP−9)、CXCL12(SDF1)、CXCL13、CXCL14、CXCL16、CXCL2(GRO2)、CXCL3(GRO3)、CXCL5(ENA−78/LIX)、CXCL6(GCP−2)、CXCL9(MIG)、CXCR3(GPR9/CKR−L2)、CXCR4、CXCR6(TYMSTR/STRL33/Bonzo)、CYB5、CYCl、CYSLTR1、DAB21P、DES、DKFZp451J0118、DNCL1、DPP4、E2F1、Engel、Edge、Fennel、EFNA3、EFNB2、EGF、EGFR、ELAC2、ENG、Enola、ENO2、ENO3、EPHA1、EPHA2、EPHA3、EPHA4、EPHA5、EPHA6、EPHA7、EPHA8、EPHA9、EPHA10、EPHB1、EPHB2、EPHB3、EPHB4、EPHB5、EPHB6、EPHRIN−A1、EPHRIN−A2、EPHRINA3、EPHRIN−A4、EPHRIN−A5、EPHRIN−A6、EPHRIN−B1、EPHRIN−B2、EPHRIN−B3、EPHB4、EPG、ERBB2(Her−2)、EREG、ERK8、エストロゲン受容体、Earl、ESR2、F3(TF)、FADD、ファルネシルトランスフェラーゼ、FasL、FASNf、FCER1A、FCER2、FCGR3A、FGF、FGF1(aFGF)、FGF10、FGF11、FGF12、FGF12B、FGF13、FGF14、FGF16、FGF17、FGF18、FGF19、FGF2(bFGF)、FGF20、FGF21、FGF22、FGF23、FGF3(int−2)、FGF4(HST)、FGF5、FGF6(HST−2)、FGF7(KGF)、FGF8、FGF9、FGFR3、FIGF(VEGFD)、FILI(ε)、FBL1(ZETA)、FLJ12584、FLJ25530、FLRT1(フィブロネクチン)、FLT1、FLT−3、FOS、FOSLI(FRA−1)、FY(DARC)、GABRP(GABAa)、GAGEB1、GAGEC1、GALNAC4S−6ST、GATA3、GD2、GDF5、GFI1、GGT1、GM−CSF、GNAS1、GNRH1、GPR2(CCR10)、GPR31、GPR44、GPR81(FKSG80)、GRCC10(C10)、GRP、GSN(ゲルゾリン)、GSTP1、HAVCR2、HDAC、HDAC4、HDAC5、HDAC7A、HDAC9、ヘッジホッグ、HGF、HIF1A、HIP1、ヒスタミンおよびヒスタミン受容体、HLA−A、HLA−DRA、HM74、HMOXl、HSP90、HUMCYT2A、アイスバーグ、ICOSL、ID2、IFN−a、IFNA1、IFNA2、IFNA4,1FNA5、EFNA6、BFNA7、IFNB1、IFNgamma、IFNWl、IGBP1、IGF1、IGFIR、IGF2、IGFBP2,1GFBP3、IGFBP6、DL−1、ILIO、ILIORA、ILIORB、IL−1、IL1R1(CD121a)、IL1R2(CD121b)、ILIRA、IL−2、IL2RA(CD25)、IL2RB(CD122)、IL2RG(CD132)、IL−4、IL−4R(CD123)、IL−5、IL5RA(CD125)、IL3RB(CD131)、IL−6、IL6RA、(CD126)、IR6RB(CD130)、IL−7、IL7RA(CD127)、IL−8、CXCR1(IL8RA)、CXCR2、(IL8RB/CD128)、IL−9、IL9R(CD129)、IL−10、IL10RA(CD210)、IL10RB(CDW210B)、IL−11、IL11RA、IL−12、IL−12A、IL−12B、IL−12RB1、IL−12RB2、IL−13、IL13RA1、IL13RA2、IL14、IL15、IL15RA、1L16、IL17、IL17A、IL17B、IL17C、IL17R、IL18、IL18BP、IL18R1、IL18RAP、IL19、ILIA、ILIB、IL1F10、IL1F5、IL1F6、IL1F7、IL1F8、DL1F9、ILIHYI、ILIR1、IL1R2、ILIRAP、ILIRAPLI、IL1RAPL2、ILlRL1、ILlRL2、ILIRN、IL2、IL20、IL20RA、IL21R、IL22、IL22R、IL22RA2、IL23、DL24、IL25、IL26、IL27、IL28A、IL28B、IL29、IL2RA、IL2RB、IL2RG、IL3、IL30、IL3RA、IL4,1L4R、IL6ST(糖タンパク質130)、ILK、INHA、INHBA、INSL3、INSL4、IRAK1、IRAK2、ITGA1、ITGA2,1TGA3、ITGA6(a6インテグリン)、ITGAV、ITGB3、ITGB4(134インテグリン)、JAG1、JAK1、JAK3、JTB、JUN、K6HF、KAI1、KDR、KITLG、KLF5(GCボックスBP)、KLF6、KLK10、KLK12、KLK13、KLK14、KLK15、KLK3、KLK4、KLK5、KLK6、KLK9、KRT1、KRT19(ケラチン19)、KRT2A、KRTHB6(毛髪特異的II型ケラチン)、LAMA5、LEP(レプチン)、Lingo−p75、Lingo−Troy、LPS、LTA(TNF−b)、LTB、LTB4R(GPR16)、LTB4R2、LTBR、MACMARCKS、MAGまたはOmgp、MAP2K7(c−Jun)、MCP−1、MDK、MIB1、ミッドカイン、MIF、MISRII、MJP−2,MK、MKI67(Ki−67)、MMP2、MMP9、MS4A1、MSMB、MT3(メタロチオネクチン−UI)、mTOR、MTSS1、MUC1(ムチン)、MYC、MYD88、NCK2、ニューロカン、NFKBI、NFKB2、NGFB(NGF)、NGFR、NgR−Lingo、NgRNogo66、(Nogo)、NgR−p75、NgR−Troy、NMEI(NM23A)、NOTCH、NOTCH1、NOX5、NPPB、NROB1、NROB2、NRID1、NR1D2、NR1H2、NR1H3、NR1H4、NRll2、NRll3、NR2C1、NR2C2、NR2E1、NR2E3、NR2F1、NR2F2、NR2F6、NR3C1、NR3C2、NR4A1、NR4A2、NR4A3、NR5A1、NR5A2、NR6A1、NRP1、NRP2、NT5E、NTN4、ODZl、OPRDI、P2RX7、PAP、PART1、PATE、PAWR、PCA3、PCDGF、PCNA、PDGFA、PDGFB、PDGFRA、PDGFRB、PECAMI、peg−アスパラギナーゼ、PF4(CXCL4)、PGF、PGR、ホスファカン、PIAS2、PI3キナーゼ、PIK3CG、PLAU(uPA)、PLG、PLXDCI、PKC、PKC−β、PPBP(CXCL7)、PPID、PR1、PRKCQ、PRKD1、PRL、PROC、PROK2、PSAP、PSCA、PTAFR、PTEN、PTGS2(COX−2)、PTN、RAC2(P21Rac2)、RANK、RANKリガンド、RARB、RGS1、RGS13、RGS3、RNFI10(ZNF144)、Ron、ROBO2、RXR、S100A2、SCGB1D2(リポフィリンB)、SCGB2A1(マンマグロビン2)、SCGB2A2(マンマグロビン1)、SCYE1(内皮単球活性化サイトカイン)、SDF2,SERPENA1、SERPINA3、SERPINB5(マスピン)、SERPINEI(PAl−I)、SERPINFI、SHIP−l、SHIP−2、SHB1、SHB2、SHBG、SfcAZ、SLC2A2、SLC33A1、SLC43A1、SLIT2、SPP1、SPRR1B(Sprl)、ST6GAL1、STAB1、STAT6、STEAP、STEAP2、TB4R2、TBX21、TCP10、TDGF1、TEK、TGFA、TGFB1、TGFBII1、TGFB2、TGFB3、TGFBI、TGFBR1、TGFBR2、TGFBR3、THIL、THBS
1(トロンボスポンジン−1)、THBS2、THBS4、THPO、TIE (Tie−1)、TIMP3、組織因子、TLR10、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TNF、TNFa、TNFAIP2(B94)、TNFAIP3、TNFRSFI1A、TNFRSF1A、TNFRSF1B、TNFRSF21、TNFRSF5、TNFRSF6(Fas)、TNFRSF7、TNFRSF8、TNFRSF9、TNFSF10(TRAIL)、TNFSF11(TRANCE)、TNFSF12(APO3L)、TNFSF13(April)4、TNFSF13B、TNFSF14(HVEM−L)、TNFSF15(VEGI)、TNFSF18、TNFSF4(OX40リガンド)、TNFSF5(CD40リガンド)、TNFSF6(FasL)、TNFSF7(CD27リガンド)、TNFSF8(CD30リガンド)、TNFSF9(4−1BBリガンド)、TOLLIP、Toll様受容体、TOP2A(トポイソメラーゼlia)、TP53、TPM1、TPM2,TRADD、TRAF1、TRAF2、TRAF3、TRAF4、TRAF5、TRAF6、TRKA、TREM1、TREM2、TRPC6、TSLP、TWEAK、チロシナーゼ、uPAR、VEGF、VEGFB、VEGFC、バーシカン、VHLC5、VLA−4、Wnt−1、XCL1(リンホタクチン)、XCL2(SCM−Ib)、XCRI(GPR5/CCXCR1)、YY1、およびZFPM2からなる群から選択される、1つまたは複数の分子、ならびに分子のサブユニット、ドメイン、モチーフおよびエピトープに特異的に結合しおよび/またはそれらを組み込む。
【0159】
いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、例えば、核酸(例えば、DNAまたはRNA)、脂質、糖脂質、多糖などの1つまたは複数の非タンパク質分子に特異的に結合しおよび/またはそれらを組み込む、システイン操作抗体またはFc融合タンパク質、または異種部分を含む。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、腫瘍関連糖脂質抗原、ならびにそのサブユニット、ドメイン、モチーフ、およびエピトープに特異的に結合するおよび/またはそれらを組み込む、システイン操作抗体またはFc融合タンパク質、または異種部分を含む;例えば、米国特許第5,091,178号明細書を参照されたい)。
【0160】
いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、PDGFRα、PDGFRβ、PDGF、VEGF、VEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、VEGF−D、VEGFE、VEGFF、VEGFR−1、VEGFR−2、VEGFR−3、FGF、FGF2、HGF、KDR、fit−l、FLK−1Ang−2、Ang−1、PLGF、CEA、CXCL13、Baff、IL−21、CCL21、TNF−α、CXCL12、SDF−1、bFGF、MAC−l、IL23p19、FPR、IGFBP4、CXCR3、TLR4、CXCR2、EphA2、EphA4、EphrinB2、EGFR(ErbB1)、HER2(ErbB2またはp185neu)、HER3(ErbB3)、HER4ErbB4またはtyro2)、SC1、LRP5、LRP6、RAGE、Nav1.7、GLP1、RSV、RSVFタンパク質、インフルエンザHAタンパク質、インフルエンザNAタンパク質、HMGB1、CD16、CD19、CD20、CD21、CD28、CD32、CD32b、CD64、CD79、CD22、ICAM−1、FGFR1、FGFR2、HDGF、EphB4、GITR、13−アミロイド、hMPV、PIV−1、PIV−2、OX40L、IGFBP3、cMet、PD−1、PLGF、Neprolysin、CTD、IL−18、IL−6、CXCL−13、IL−1R1、IL−15、IL−4R、IgE、PAl−l、NGF、EphA2、CEA、uPARt、DLL−4、av136、a5131、インターフェロン受容体I型およびII型、CD19、ICOS、IL−17、第II因子、Hsp90、IGF、CD19、GM−CSFR、PIV−3、CMV、IL−13、IL−9、およびEBVに対する結合について、リガンドと競合するドメイン(例えば、エピトープ結合領域、またはリガンドドメイン)を含む、システイン操作抗体またはFc融合タンパク質を含む。
【0161】
いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、アバゴボマブ、アバタセプト(ORENCIA(登録商標)としてもまた知られている)、アブシキシマブ(REOPRO(登録商標)、c7E3 Fabとしてもまた知られている)、アダリムマブ(HUMIRA(登録商標))としてもまた知られている、アデカツムマブ、アレムツズマブ(CAMPATH(登録商標)、MabCampathまたはCampath−1Hとしてもまた知られている)、アルツモマブ、アフェリモマブ、アナツモマブマフェナトックス、アネツムマブ、アンルキズマブ、アポリズマブ、アルシツモマブ、アセリズマブ、アトリズマブ、アトロリムマブ、バピニューズマブ、バシリキシマブ(SIMULECT(登録商標)としてもまた知られている)、バビツキシマブ、ベクツモマブ(LYMPHOSCAN(登録商標)としてもまた知られている)、ベリムマブ(LYMPHO−STAT−B(登録商標)としてもまた知られている)、ベルチリムマブ、ベシレソマブ、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標)としてもまた知られている)、ビシロマブブラロバルビタール、ビバツヅマブメルタンシン、キャンパス、カナキヌマブ(ACZ885としてもまた知られている)、カンツズマブメルタンシン、カプロマブ(PROSTASCINT(登録商標)としてもまた知られている)、カツマキソマブ(REMOVAB(登録商標)としてもまた知られている)、セデリズマブ(CIMZIA((登録商標)としてもまた知られている)、セルトリズマブペゴル、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標))としてもまた知られている、クレノリキシマブ、ダセツズマブ、ダクリキシマブ、ダクリズマブ(ZENAPAX(登録商標)としてもまた知られている)、デノスマブ(AMG162としてもまた知られている)、デツモマブ、ドルリモマブアリトックス、ドルリキシズマブ、ダンツムマブ、デュリムルマブ、ドゥルムルマブ、エクロメキシマブ、エクリズマブ(SOLIRIS(登録商標)としてもまた知られている)、エドバコマブ、エドレコロマブ(Mab17−1A、PANOREX(登録商標)としてもまた知られている)、エファリツマブ(RAPTIVA(登録商標)としてもまた知られている)、エフングマブ(MYCOGRAB(登録商標)としてもまた知られている)、エルシリモマブ、エンリモマブペゴール、エピツモマブシツキセタン、エファリツマブ、エピツモマブ、エピラツズマブ、エルリズマブ、エルツマキソマブ(REXOMUN(登録商標)としてもまた知られている)、エタネルセプト(ENBREL(登録商標)としてもまた知られている)、エタラシズマブ(エタラツズマブ、VITAXlN(登録商標)、ABEGRINTMとしてもまた知られている)、エキスビビルマブ、ファノレソマブ(NEUTROSPEC(登録商標)としてもまた知られている)、ファラリモマブ、フェルビズマブ、フォントリズマブ(HUZAF(登録商標)としてもまた知られている)、ガリキシマブ、ガンテネルマブ、ガビリモマブ(ABXCBL(登録商標)としてもまた知られている)、ゲムツズマブオゾガマイシン(MYLOTARG(登録商標)としてもまた知られている)、ゴリムマブ(CNTO148としてもまた知られている)、ゴミリキシマブ、イバリズマブ(TNX−355としてもまた知られている)、イブリツモマブチウキセタン(ZEVALIN(登録商標)としてもまた知られている)、イゴボマブ、イムシロマブ、インフリキシマブ(REMICADE(登録商標)としてもまた知られている)、イノリモマブ、イノツズマブオゾガマイシン、イピリムマブ(MDX−010、MDX−101としてもまた知られている)、イラツムマブ、ケリキシマブ、ラベツズマブ、レマレソマブ、レブリリズマブ、レルデリムマブ、レキサツムマブ(HGS−ETR2、ETR2−ST01としてもまた知られている)、レキシツムマブ、リビビルマブ、リンツズマブ、ルカツムマブ、ルミリキシマブ、マパツムマブ(HGSETR1、TRM−1としてもまた知られている)、マスリモマブ、マツズマブ(EMD72000としてもまた知られている)、メポリズマブ(BOSATRIA(登録商標)としてもまた知られている)、メテリムマブ、ミラツズマブ、ミンレツモマブ、ミツモマブ、モロリムマブ、モタビズマブ(NUMAXTMとしてもまた知られている)、ムロモナブ(OKT3としてもまた知られている)、ナコロマブタフェナトックス、ナプツモマブエスタフェナトックス、ナタリズマブ(TYSABRI(登録商標)、ANTEGREN(登録商標)としてもまた知られている)、ネバクマブ、ネレリモマブ、ニモツズマブ(THERACIM hR3(登録商標)、THERA−CIM−hR3(登録商標としてもまた知られている)、THERALOC(登録商標))、ノフェツモマブメルペンタン(VERLUMA(登録商標)としてもまた知られている)、オクレリズマブ、オズリモマブ、オファツムマブ、オマリズマブ(XOLAIR(登録商標)としてもまた知られている)、オレゴボマブ(OVAREX(登録商標)としてもまた知られている)、オテリキシズマブ、パギバキシマブ、パリビズマブ(SYNAGIS(登録商標)としてもまた知られている)、パニツマブ(ABX−EGF、VECTIBIX(登録商標)としてもまた知られている)、パスコリズマブ、ペムツモマブ(THERAGYN(登録商標)としてもまた知られている)、ペルツズマブ(2C4、OMNITARG(登録商標)としてもまた知られている)、ペキセリズマブ、ピンツモマブ、プリリキシマブ、プリツムマブ、ラニビズマブ(LUCENTIS(登録商標)としてもまた知られている)、ラキシバクマブ、レガビルマブ、レスリズマブ、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標)、MabTHERA(登録商標)としてもまた知られている)、ロベリズマブ、ルプリズマブ、サツモマブ、セビルマブ、シブロツズマブ、シプリズマブ(MEDI−507としてもまた知られている)、ソンツズマブ、スタムルマブ(MYO−029としてもまた知られている)、スレソマブ(LEUKOSCAN(登録商標)としてもまた知られている)、タカツズマブテトラキセタン、タドシズマブ、タリズマブ、タプリツモマブパプトキス、テフィバズマブ(AUREXlS(登録商標)としてもまた知られている)、テリモマブアリトックス、テネリキシマブ、テプリズマブ、チシリムマブ、トシリズマブ(ACTEMRA(登録商標)としてもまた知られている)、トラリズマブ、トシツモマブ、トラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標)としてもまた知られている)、トレメリムマブ(CP−675,206としてもまた知られている)、ツコツズマブセルモロイキン、ツビルマブ、ウルトキサズマブ、ウステキヌマブ(CNTO1275としてもまた知られている)、バパリキシマブ、ベルツズマブ、ベパリモマブ、ビシリズマブ(NUVION(登録商標)としてもまた知られている)、ボロシキシマブ(M200としてもまた知られている)、ボツムマブ(HUMASPECT(登録商標))としてもまた知られている、ザルツムマブ、ザノリムマブ(HuMAX−CD4としてもまた知られている)、ジラリムマブ、またはゾリモマブアリトックスからなる群から選択される抗体と同一の標的と結合する、システイン操作抗体またはFc融合タンパク質を含む。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、先の抗体一覧から選択される抗体に由来する抗原結合領域を含む、システイン操作抗体またはFc融合タンパク質を含む。
【0162】
本明細書で開示されるコンジュゲート化合物は、例えば、ウイルス、細菌(例えば、マイコプラズマ)、真菌、または動物標的などの複数起源に由来する分子に特異的に結合しおよび/またはそれを組み込み得る。場合によっては、動物分子はヒト分子である。いくつかの態様では、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物は、寄生生物(例えば、真菌、細菌、線虫(nemotodes)など)に由来する分子に特異的に結合しおよび/またはそれらを組み込み得る。いくつかの態様では、分子は抗原である。したがって、いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は細菌抗原を標的化し得て、異種部分は抗細菌剤である。その他の態様では、標的はウイルス抗原であり、異種部分は抗ウイルス剤である。なおも別の態様では、コンジュゲート化合物は腫瘍抗原(例えば、ヒト腫瘍抗原)を標的化し得て、異種部分は抗腫瘍剤である。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は真菌抗原を標的化し得て、異種部分は抗真菌剤である。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は寄生生物抗原を標的化し得て、異種部分は抗寄生虫薬である。その他の態様では、コンジュゲート化合物はマイコプラズマ抗原を標的化し得て、異種部分は抗マイコプラズマ剤である。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は分化抗原または組織適合性抗原を標的化し得て、異種部分は細胞毒性薬である。開示されるシステイン変異(アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439における置換、位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入、および任意のそれらの組み合わせ)、および任意選択的に、当該技術分野で記載されるシステイン操作に適する追加的な位置における1つまたは複数のシステイン変異(例えば、アミノ酸位置239、248、254、273、279、282、284、286、287、289、297、298、312、324、326、330、335、337、339、350、355、356、359、360、361、375、383、384、389、398、400、413、415、418、422、440、441、442、443および446における置換)を含むシステイン操作抗体およびFc融合タンパク質は、当該技術分野で公知の方法に従って調製され得る。例えば、米国特許第4,816,567号明細書を参照されたい。
【0163】
例えば、開示されるシステイン変異をコードするDNAなどの核酸は、当該技術分野で公知の多様な方法によって調製され得る。これらの方法としては、先に調製されたポリペプチドをコードするDNAの部位特異的(またはオリゴヌクレオチド媒介)変異誘発、PCR変異誘発、およびカセット変異誘発による調製が挙げられるが、これに限定されるものではない。組換え抗体およびFc融合タンパク質の変異型はまた、制限酵素断片操作によっても、または合成オリゴヌクレオチドを用いたオーバーラップ伸長PCRによっても構築され得る。変異原性プライマーは、システインコドン置換をコードする。標準変異誘発技術を用いて、このような変異システイン操作抗体およびFc融合タンパク質をコードするDNAが作成され得る。一般的ガイダンスは、Sambrook et al Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1989;およびAusubel et al Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing and Wiley−Interscience,New York,N.Y.,1993.にある。
【0164】
部位特異的変異誘発は、置換変異体、すなわち、変異タンパク質を調製する一方法である。この技術は、当該技術分野で周知である(例えば、Carter(1985)et al Nucleic Acids Res.13:4431−4443;Ho et al(1989)Gene(Amst.)77:51−59;およびKunkel et al(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:488を参照されたい)。簡単に述べると、DNAの部位特異的変異誘発の実施において、出発DNAが、最初に、所望の変異をコードするオリゴヌクレオチドをこのような出発DNAの一本鎖にハイブリダイズさせることで、改変される。ハイブリダイゼーション後、DNAポリメラーゼを使用して、ハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドをプライマーとして使用し、出発DNA一本鎖をテンプレートとして使用して、第2の鎖全体が合成される。このようにして、所望の変異をコードするオリゴヌクレオチドが、結果として生じる二本鎖DNAに組み込まれる。部位特異的変異誘発は、発現プラスミド中の変異誘発されるタンパク質を発現する遺伝子中で実施され得て、結果として生じるプラスミドを配列決定して、所望のシステイン置換変異の導入が確認され得る(Liu et al(1998)J.Biol.Chem.273:20252−20260)。例えば、QuikChange(登録商標)複数部位特異的変異誘発キット(Stratagene,LaJolla,Calif.)などの市販のものをはじめとするプロトコルおよび形式の部位特異的。
【0165】
PCR変異誘発はまた、出発ポリペプチドのアミノ酸配列変異体を作成するのに適する。Higuchi,(1990)in PCR Protocols,pp.177−183,Academic Press;Ito et al(1991)Gene 102:67−70;Bernhard et al(1994)Bioconjugate Chem.5:126−132;およびVallette et al(1989)Nuc.Acids Res.17:723−733を参照されたい。簡単に述べると、PCRにおいて少量のテンプレートDNAが出発原料として使用される場合、テンプレートDNA中の対応する領域とわずかに配列が異なるプライマーを使用して、プライマーがテンプレートと異なる位置のみがテンプレート配列と異なる、特定のDNA断片が比較的大量に生成され得る。
【0166】
変異体を調製する別の方法であるカセット変異誘発は、Wells et al(1985)Gene 34:315−323によって記載される技術に基づく。出発原料は、変異させる出発ポリペプチドDNAを含む、プラスミド(またはその他のベクター)である。変異させる出発DNA中のコドンは、同定される。同定された変異部位の両側に、ユニークな制限エンドヌクレアーゼ部位がなくてはならない。このような制限酵素認識部位が存在しない場合、それらは、上述のオリゴヌクレオチド媒介変異誘発法を使用して、出発ポリペプチドDNA中の適切な部位にそれらを導入することで、作成され得る。プラスミドDNAはこれらの部位で切断されて、直線化される。制限酵素認識部位間のDNA配列をコードするが、所望の変異を含有する二本鎖オリゴヌクレオチドが、標準手順を使用して合成され、その中では、標準技術を使用して、オリゴヌクレオチドの2本の鎖が別々に合成されて、次に共にハイブリダイズされる。この二本鎖オリゴヌクレオチドは、カセットと称される。このカセットは、それがプラスミドに直接ライゲートされ得るように、直線化プラスミド末端と適合性の5’および3’末端を有するように設計される。このプラスミドは、この時点で変異DNA配列を含有する。コードされるシステイン置換を含有する変異DNAは、DNA配列決定によって確認され得る。
【0167】
単一変異はまたPCRベースの変異誘発によって、テンプレートとして二本鎖プラスミドDNAを使用する、オリゴヌクレオチド誘導変異誘発によっても作成される(Sambrook and Russel,(2001)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd edition;Zoller et al(1983)Methods Enzymol.100:468−500;Zoller,M.J.and Smith,M.(1982)Nucl.Acids Res.10:6487−6500)。
【0168】
本開示のシステイン操作抗体またはFc融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、組換えDNA技術を使用して、いくつかの異なる様式でさらに修飾され得る。いくつかの態様では、例えば、マウスモノクローナル抗体などの抗体の軽鎖および重鎖の定常領域は、(1)例えば、ヒト抗体のこれらの領域によって置換されて、キメラ抗体が生成され、または(2)非免疫グロブリンポリペプチドによって置換されて、融合抗体が作成され得る。いくつかの態様では、定常領域は、トランケートまたは除去されて、モノクローナル抗体の所望の抗体断片が作成される。可変領域の部位特異的または高密度変異誘発を使用して、モノクローナル抗体の特異性、親和性などが最適化され得る。
【0169】
ヒト抗体は、当該技術分野で公知の様々な技術を使用して、直接調製され得る。生体外で免疫化された、または標的抗原に対する抗体を生じる免疫化個体から単離された、不死化ヒトBリンパ球が生成され得る(例えば、Cole et al.,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,p.77(1985);Boemer et al.,J.Immunol.147:86−95(1991);および米国特許第5,750,373号明細書を参照されたい)。次に不死化Bリンパ球内で抗体をコードする1つまたは複数のcDNAが調製されて、抗体の非天然組換えバージョンの発現のために、発現ベクターおよび/または異種宿主細胞内に挿入され得る。
【0170】
また、本明細書で開示されるシステイン操作抗体またはFc融合タンパク質は、ファージライブラリーから選択され得て、そのファージライブラリーは、例えば、Vaughan et al.,Nat.Biotech.14:309−314(1996);Sheets et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.95:6157−6162(1998);Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.227:381(1991)、およびMarks et al.,J.Mol.Biol.222:581(1991))に記載されるように、異種ファージタンパク質との融合タンパク質として、ヒト抗体またはそれらの断片を発現する。抗体ファージライブラリーを作成および使用する技術はまた、それぞれその内容全体が参照により援用される、米国特許第5,969,108号明細書、米国特許第56,172,197明細書、米国特許第5,885,793明細書、米国特許第6,521,404明細書、米国特許第6,544,731明細書、米国特許第6,555,313明細書、米国特許第6,582,915明細書、米国特許第6,593,081明細書、米国特許第6,300,064明細書、米国特許第6,653,068明細書、米国特許第6,706,484明細書;および米国特許第7,264,963にも記載される。
【0171】
いくつかの態様では、本開示のシステイン操作抗体またはFc融合タンパク質は、ヒト化抗体であり得る。非ヒトまたはヒト抗体を操作し、ヒト化しまたは表面再構成する方法も使用され得て、当該技術分野で周知である。ヒト化され、表面再構成されまたは同様に操作された抗体は、例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類またはその他の哺乳類をはじめとするが、これに限定されるものではない、非ヒト起源からの1つまたは複数のアミノ酸残基を有し得る。これらの非ヒトアミノ酸残基は、典型的に、「移入」残基と称されることが多い、公知のヒト配列の「移入」可変、定常またはその他のドメインから取り出された残基によって、置換される。技術分野で公知のように、このような移入配列を使用して、免疫原性を低下させ、または結合親和性、オン速度、オフ速度、結合活性、特異性、半減期、または任意のその他の適切な特性を低下させ、促進し、または操作させ得る。本明細書で開示されるシステイン操作抗体またはそれらの断片のヒト化、表面再構成または操作は、その中の参考文献を含めて、それぞれがその全体が参照により本明細書に援用される、Damschroder et al.,Mol.Immunol.44:3049−3060(2007);Jones et al.,Nature 321:522(1986);Riechmann et al.,Nature 332:323(1988);Verhoeyen et al.,Science 239:1534(1988)),Sims et al.,J.Immunol.151:2296(1993);Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901(1987),Carter et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:4285(1992);Presta et al.,J.Immunol.151:2623(1993)、米国特許第5,639,641号明細書;米国特許第5,723,323号明細書;米国特許第5,976,862号明細書;米国特許第5,824,514号明細書;米国特許第5,817,483号明細書;米国特許第5,814,476号明細書;米国特許第5,763,192号明細書;米国特許第5,723,323号明細書;米国特許第5,766,886号明細書;米国特許第5,714,352号明細書;米国特許第6,204,023号明細書;米国特許第6,180,370号明細書;米国特許第5,693,762号明細書;米国特許第5,530,101号明細書;米国特許第5,585,089号明細書;米国特許第5,225,539号明細書;米国特許第4,816,567、7,557,189号明細書;米国特許第7,538,195号明細書;および米国特許第7,342,110号明細書;国際公開第90/14443号パンフレット;国際公開第90/14424号パンフレット;国際公開第90/14430号パンフレット;国際公開第2005/042743;号パンフレット国際公開第2006/102095号パンフレット;および欧州特許第229246号明細書に記載されるものなどであるが、これに限定されるものではない、任意の公知の方法を使用して実施し得る。
【0172】
IV.システイン操作抗体およびFcの発現および精製
融合タンパク質
特定の態様では、本開示は、開示されるシステイン変異(アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439における置換、位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入、および任意のそれらの組み合わせ)を含むシステイン操作抗体またはFc融合タンパク質をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチドを提供する。これらのポリヌクレオチドは、RNAの形態またはDNAの形態であり得る。DNAとしては、cDNA、ゲノムDNA、および合成DNAが挙げられ;二本鎖または一本鎖であり得て、一本鎖であればコード鎖または非コード(アンチセンス)鎖であり得る。特定の態様では、非天然組換えシステイン操作抗体またはFc融合タンパク質を生成するために使用されるDNAは、cDNAである。
【0173】
特定の態様では、ポリヌクレオチドは、単離される。特定の態様では、ポリヌクレオチドは、実質的に純粋である。特定の態様では、ポリヌクレオチドは、同一読み枠内で、例えば、宿主細胞に由来するポリペプチドの発現および分泌を助けるポリヌクレオチド(天然または異種性のどちらか)(例えば、細胞からのポリペプチド輸送を制御するための分泌配列として機能するリーダー配列)に融合された、成熟ポリペプチドのコード配列を含む。リーダー配列を有するポリペプチはプレタンパク質であり、ポリペプチドの成熟形態形成するために、宿主細胞によって切断される、リーダー配列を有し得る。特定の態様では、ポリヌクレオチドが改変されて、特定の宿主細胞のためにコドン使用頻度が最適化される。
【0174】
特定の態様では、ポリヌクレオチドは、同一読み枠内で、例えば、コードされるポリペプチドの精製を可能にする異種性マーカー配列に融合された、成熟システイン操作抗体またはFc融合タンパク質のコード配列を含む。例えば、マーカー配列は、細菌宿主の場合、マーカーに融合された成熟ポリペプチドの精製を提供するために、pQE−9ベクターによって供給されるヘキサヒスチジンタグであり得て、あるいは哺乳類宿主(例えば、COS−7細胞)が使用される場合、マーカー配列は、インフルエンザ赤血球凝集素タンパク質に由来する赤血球凝集素(HA)タグであり得る。
【0175】
ポリヌクレオチドは、コード領域、非コード領域、またはその双方に、改変を含有し得る。いくつかの態様では、これらのポリヌクレオチド変異体は、サイレント置換、付加、または欠失を生じる改変を含有するが、コードされるポリペプチドの性質または機能は変化させない。いくつかの態様では、ポリヌクレオチド変異体は、遺伝コードの縮重に起因するサイレント置換によって生じる。ポリヌクレオチド変異体はまた、例えば、特定の宿主のためにコドン発現を最適化する(ヒトmRNA中のコドンを大腸菌(E.coli)などの細菌宿主にとって好ましいものに変更する)ためなどの多様な理由から、生成され得る。
【0176】
いくつかの態様では、本明細書で開示されるシステイン操作抗体またはFc融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、をオリゴヌクレオチド合成機使用して、化学合成によって構築され得る。このようなオリゴヌクレオチドは、所望のポリペプチドのアミノ酸配列に基づいて設計され、関心のある組換えポリペプチドがその中で産生される、宿主細胞内で好まれるコドンが選択され得る。標準法を適用して、関心のある単離ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチド配列が合成され得る。例えば、完全なアミノ酸配列を使用して、逆翻訳遺伝子が構築され得る。さらに、特定の単離ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含有するDNAオリゴマーが、合成され得る。例えば、所望のポリペプチドの部分をコードするいくつかの小型オリゴヌクレオチドが合成されて、次にライゲートされ得る。個々のオリゴヌクレオチドは、典型的に、相補的組み立てのための5’または3’オーバーハングを含有する。
【0177】
本明細書に記載されるポリヌクレオチドを含むベクターおよび細胞もまた、提供される。ひとたび組み立てられると、(合成、部位特異的変異誘発または別の方法によって)、関心のある特定の単離ポリペプチド(例えば、システイン操作抗体またはFc融合タンパク質)をコードするポリヌクレオチド配列は、発現ベクターに挿入されて、所望の宿主中のタンパク質発現に適する発現制御配列と作動可能に連結され得る。適切な組み立ては、ヌクレオチド配列決定、制限酵素マッピング、および適切な宿主内の生物活性ポリペプチドの発現によって確認され得る。当該技術分野で周知のように、宿主中で形質移入遺伝子の高い発現レベルを得るためには、遺伝子は、選択された発現宿主中で機能できる転写および翻訳発現制御配列と、作動可能に連結しなくてはならない。
【0178】
特定の態様では、組換え発現ベクターを使用して、本明細書で開示されるシステイン操作抗体またはFc融合タンパク質をコードするDNAが増幅され、発現される。組換え発現ベクターは、例えば、抗HER2抗体のポリペプチド鎖またはおよびその抗原結合断片をコードする、合成されたまたはcDNAに由来するDNA断片を有して、哺乳類、微生物、ウイルスまたは昆虫遺伝子に由来する適切な転写または翻訳調節因子と作動可能に連結する、複製可能なDNAコンストラクトである。転写単位は、通常、(1)例えば、転写プロモーターまたはエンハンサーなどの遺伝子発現において調節的役割を有する、1つまたは複数の遺伝要素、(2)mRNAに転写されてタンパク質に翻訳される、構造配列またはコード配列、および(3)下で詳述される適切な転写および翻訳開始および終止配列の組み立てを含む。このような調節因子は、転写を制御するオペレーター配列を含み得る。多種多様な発現宿主/ベクターの組み合わせが用いられ得る。真核宿主のための有用な発現ベクターとしては、例えば、SV40、ウシ乳頭腫ウイルス、アデノウイルスおよびサイトメガロウイルスからの発現制御配列を含む、ベクターが挙げられる。細菌宿主のための有用な発現ベクターとしては、pCR1、pBR322、pMB9、およびそれらの誘導体をはじめとする、大腸菌(E.coli)からのプラスミドなどの公知の細菌プラスミド、M13および繊維状一本鎖DNAファージなどの宿主域のより広いプラスミドが挙げられる。
【0179】
システイン操作抗体またはFc融合タンパク質の発現のための適切な宿主細胞としては、適切なプロモーターの制御下にある、原核生物、酵母、昆虫またはより高等な真核細胞が挙げられる。原核生物としては、例えば、大腸菌(E.coli)または桿菌などのグラム陰性またはグラム陽性生物が挙げられる。より高等な真核細胞としては、下述されるような確立された哺乳類起源の細胞系が挙げられる。無細胞翻訳系もまた、用いられ得る。細菌、真菌、酵母、および哺乳類細胞宿主と共に使用するための適切なクローニングおよび発現ベクターは、その関連する開示が本明細書に参照により援用される、Pouwels et al.(Cloning Vectors:A Laboratory Manual,Elsevier,N.Y.,1985)によって記載される。抗体産生をはじめとする、タンパク質産生方法に関する追加的な情報は、例えば、それぞれその内容全体が参照により本明細書に援用される、米国特許第2008/0187954号明細書、米国特許第6,413,746号明細書、および米国特許第6,660,501号明細書、および国際公開第04009823号パンフレットにある。
【0180】
本開示の組換えシステイン操作抗体またはFc融合タンパク質を発現するために、様々な哺乳類または昆虫細胞培養系もまた、有利に用いられ得る。このようなタンパク質は、通常、正しく折り畳まれて、適切に修飾され、完全に機能性であるので、哺乳類細胞内における組換えタンパク質の発現が実施され得る。適切な哺乳類宿主細胞株の例としては、HEK−293およびHEK−293T、Gluzman(Cell 23:175,1981)によって記載されるCOS−7系統のサル腎培養細胞、そして例えば、L細胞、C127、3T3、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、NSO、HeLa、およびBHK細胞株をはじめとする、その他の細胞株が挙げられる。哺乳類発現ベクターは、複製起点、発現される遺伝子と連結する適切なプロモーターおよびエンハンサー、およびその他の5’または3’フランキング非転写配列などの非転写要素、そして必要なリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライス供与体およびアクセプター部位、および転写終止配列などの5’または3’非翻訳配列を含み得る。昆虫細胞内で異種性タンパク質を作成するためのバキュロウイルスシステムは、Luckow & Summers、BioTechnology 6:47(1988)によって概説される。
【0181】
形質転換宿主によって産生されるシステイン操作抗体またはFc融合タンパク質は、任意の適切な方法に従って精製され得る。このような標準法としては、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性およびサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、示差溶解度、またはタンパク質精製のための任意のその他の標準的な技術が挙げられる。ヘキサヒスチジン、マルトース結合領域、インフルエンザ被覆配列、およびグルタチオン−S−トランスフェラーゼなどの親和性タグをタンパク質に付着させて、適切なアフィニティカラムを通過させることによる容易な精製を可能にし得る。単離されたタンパク質はまた、タンパク質分解、核磁気共鳴、およびX線結晶構造解析などの技術を使用して、物理的に特性決定され得る。
【0182】
例えば、組換えタンパク質を培養液中に分泌するシステムからの上清が、例えば、AmiconまたはMillipore Pellicon限外濾過ユニットなどの市販のタンパク質濃縮フィルターを使用して、最初に濃縮され得る。濃縮ステップに続いて、濃縮物は、適切な精製マトリックスに装入され得る。いくつかの態様では、例えば、ペンダントジエチルアミノエチル(DEAE)基を有する、マトリックスまたは基質などのアニオン交換樹脂が用いられ得る。マトリックスは、アクリルアミド、アガロース、デキストラン、セルロースまたはタンパク質精製で一般に用いられるその他のタイプであり得る。いくつかの態様では、カチオン交換ステップが用いられ得る。適切なカチオン交換体としては、スルホプロピルまたはカルボキシメチル基を含む、様々な不溶性マトリックスが挙げられる。
【0183】
それに加えて、または任意選択的に、例えば、ペンダントメチルまたはその他の脂肪族基を有するシリカゲルなどの疎水性RP−HPLC媒体を用いる、1つまたは複数の逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)ステップを用いて、システイン操作抗体またはその断片がさらに精製され得る。前述の精製ステップの一部または全部を様々な組み合わせで用いて、均質な組換えタンパク質が提供され得る。
【0184】
培養中で生成された組換えシステイン操作抗体またはFc融合タンパク質は、例えば、細胞ペレットからの最初の抽出と、それに続く1つまたは複数の濃縮、塩析、水性イオン交換またはサイズ排除クロマトグラフィーステップによって単離され得る。最終的な精製ステップのために、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)が用いられ得る。組換えタンパク質の発現で用いられる細胞は、凍結解凍サイクル、超音波処理、機械的破壊、または細胞溶解剤の使用をはじめとする、任意の都合良い方法によって破壊され得る。抗体およびその他のタンパク質を精製するための当該技術分野で公知の方法としてはまた、例えば、それぞれその内容全体が参照により本明細書に援用される、米国特許公開第2008/0312425号明細書、米国特許公開第2008/0177048号明細書、および米国特許公開第2009/0187005号明細書に記載されるものも挙げられる。
【0185】
V.異種部分とシステイン操作抗体およびFc融合タンパク質とのコンジュゲーション
開示されるシステイン変異(アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439における置換、位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入、および任意のそれらの組み合わせ)を含むシステイン操作抗体およびFc融合物は、チオール反応性試薬を使用して、部位特異的にかつ効率的に、少なくとも1つの異種部分とカップリングされ得る。いくつかの態様では、非相同部分のコンジュゲーションは、本明細書で開示される1つまたは複数の位置(例えば、位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439、または位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入)における少なくとも1つの操作システイン残基によって、および任意選択的に、当該技術分野で公知の1つまたは複数の位置(例えば、位置239、248、254、273、279、282、284、286、287、289、297、298、312、324、326、330、335、337、339、350、355、356、359、360、361、375、383、384、389、398、400、413、415、418、422、440、441、442、443、および446)における少なくとも1つの操作システイン残基によって、提供されるチオール基で生じ得る。
【0186】
異種部分を操作システイン残基に結合させるための様々な方法は、当該技術分野で公知である。このようなコンジュゲーション試薬は、典型的に、システイン(例えば、本発明の操作クステイン(csteine)システイン)のシステインチオールと直接反応してコンジュゲート化合物を形成し、またはリンカー試薬と直接反応してリンカー標識中間体を形成し、またはリンカータンパク質と直接反応してコンジュゲート化合物を形成してもよい、反応性官能基を有する。使用されてもよいリンカー有機化学反応、条件、および試薬の事例としては、共有結合を介してタンパク質リンカー中間体を形成するシステイン基とリンカー試薬との反応と、それに続く活性化異種部分との反応;および共有結合を介して異種部分リンカー中間体を形成する異種部分とリンカー試薬との求核基反応と、それに続くシステイン基(例えば、本発明の操作システイン)との反応が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0187】
特定の態様では、二官能価リンカーが、本発明で有用である。例えば、二官能価リンカーは、システイン残基に共有結合するためのチオール修飾基と、コンジュゲート化合物に共有結合または非共有結合するための少なくとも1つの付着部分(例えば、第2のチオール修飾部分)とを含む。本発明の化合物を調製するために、多様なタンパク質および化合物、(およびリンカー)が使用され得る。システインチオール基は求核性であり、(i)NHSエステル、HOBtエステルなどの活性エステル、ハロギ酸、および酸ハロゲン化物;(ii)ハロアセトアミドなどのアルキルおよびベンジルハロゲン化物;(iii)アルデヒド、ケトン、カルボキシル、およびマレイミド基;および(iv)スルフィド交換を介した、ピリジルジスルフィドをはじめとするジスルフィドをはじめとする、リンカー試薬または化合物−リンカー中間体または薬物上の求電子性基と反応して、共有結合を形成できる。異種部分またはリンカー上の求核性基としては、リンカー部分およびリンカー試薬上の求電子性基と反応して共有結合を形成できる、アミン、チオール、ヒドロキシル、ヒドラジド、オキシム、ヒドラジン,チオセミカルバゾン、ヒドラジンカルボン酸塩、およびアリールヒドラジド基が挙げられるが、これに限定されるものではない。特定の態様では、標識試薬としては、マレイミド、ハロアセチル、ヨードアセトアミドスクシンイミジルエステル、イソチオシアン酸塩、塩化スルホニル、2,6−ジクロロトリアジニルが挙げられる。
【0188】
非相同分子と、本明細書で開示されるシステイン操作抗体またはFc融合タンパク質とのコンジュゲーションの効率は、コンジュゲーション反応後に残留する遊離チオールの存在を評価することで、判定され得る。遊離チオール基の存在は、技術分野で受け入れられている様々な技術によって、判定され得る。特定の態様では、本明細書の方法は、非相同部分の効率的コンジュゲーションを提供し、その中では、コンジュゲーション効率は、コンジュゲーション反応後に残留する遊離チオール基レベルによる測定で、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%以上である。
【0189】
いくつかの態様では、本明細書の方法は、非相同部分と、ブロックまたはキャッピングされたスルフヒドリル基を含む遊離システイン残基を含有する、本明細書で開示されるシステイン操作抗体またはFc融合タンパク質とのコンジュゲーションを提供する。このようなキャップとしては、スルフヒドリル基と相互作用して、コンジュゲート形成を防止または阻害する、タンパク質、ペプチド、イオンおよびその他の物質が挙げられる。いくつかの態様では、本明細書で開示されるシステイン操作抗体またはFc融合タンパク質は、コンジュゲーション反応前に、キャップ離脱を要し得る。特定の態様では、システイン操作抗体またはFc融合タンパク質は無キャップであり、コンジュゲーションできる遊離スルフヒドリル基を提示する。特定の態様では、本明細書で開示されるシステイン操作抗体またはFc融合タンパク質は、天然ジスルフィド結合を乱さないまたは再配列しない、キャップ離脱反応を受ける。
【0190】
いくつかの態様では、本明細書で開示されるシステイン操作抗体またはFc融合タンパク質は、コンジュゲートされるシステイン操作抗体またはFc融合タンパク質が、少なくとも1mg/ml、少なくとも2mg/ml、少なくとも3mg/ml、少なくとも4mg/ml、少なくとも5mg/ml以上の濃度で存在する、コンジュゲーション反応を受け得る。
【0191】
チオール反応性試薬は、例えば、多官能価リンカー試薬、捕捉(すなわち、親和性)標識試薬(例えば、ビオチンリンカー試薬)、検出標識(例えば、フルオロフォア試薬)、固相固定化試薬(例えば、セファロース(商標)、ポリスチレン、またはガラス)、または薬物リンカー中間体であり得る。チオール反応性試薬の一例は、N−エチルマレイミド(NEM)である。代表的態様では、システイン操作抗体またはFc融合タンパク質と、多官能価リンカー試薬との反応は、官能化リンカーとの中間コンジュゲート化合物を提供し、それは異種部分(例えば、薬物成分)とさらに反応させ得る。
【0192】
このようなアプローチは、その中で、反応基が、例えば、マレイミド、ヨードアセトアミド、ピリジルジスルフィド、ハロアセチル、ヨードアセトアミドスクシンイミジルエステル(例えば、NHS、N−ヒドロキシスクシンイミド)、イソチオシアン酸塩、塩化スルホニル、2,6−ジクロロトリアジニル、ペンタフルオロフェニルエステル、およびホスホラミダイト、またはその他のチオール反応性コンジュゲーションパートナーである、その他のチオール反応性因子とのコンジュゲーションに適用され得る(Haugland,2003,Molecular Probes Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals,Molecular Probes,Inc.;Brinkley,1992,Bioconjugate Chem.3:2;Garman,1997,Non−Radioactive Labelling:A Practical Approach,Academic Press,London;Means(1990)Bioconjugate Chem.1:2;Hermanson,G.in Bioconjugate Techniques(1996)Academic Press,San Diego,pp.40−55,643−671)。
【0193】
したがって、本明細書で開示されるシステイン操作抗体またはFc融合タンパク質は、当該技術分野で公知のチオールコンジュゲーション方法を使用して、毒素、薬物、放射性核種、免疫修飾物質、サイトカイン、リンフォカイン、ケモカイン、増殖因子、腫瘍壊死因子、ホルモン、ホルモン拮抗薬、酵素、オリゴヌクレオチド、DNA、RNA、siRNA、RNAi、マイクロRNA、ペプチド核酸、光活性治療薬、血管新生阻害剤、アポトーシス促進剤、非天然アミノ酸、ペプチド、脂質、炭水化物、足場分子、蛍光性タグ、可視化ペプチド、ビオチン、血清半減期延長剤、捕捉タグ、キレート化剤、固体担体、またはそれらの組み合わせなどの少なくとも1つの異種部分にコンジュゲートされ得て、コンジュゲーションは操作システインの1つにある。
【0194】
VI.医薬組成物
本開示は、希釈剤、担体、または賦形剤と共に調合される、本明細書で開示される少なくとも1つのコンジュゲート化合物を含む製剤を提供する。本開示は、薬学的に許容される希釈剤、担体、または賦形剤と共に調合される、本明細書で開示される少なくとも1つのコンジュゲート化合物を含む医薬組成物もまた提供する。このような製剤または医薬組成物は、例えば、2つ以上異なるコンジュゲート化合物の1つまたは組み合わせを含み得るが、これに限定されるものではない。例えば、本明細書で開示される製剤または医薬組成物は、例えば、異なるエピトープなどの、または相補的活性を有するものなどの、異なる標的と結合する、コンジュゲート化合物の組み合わせを含み得る。
【0195】
本明細書で開示されるコンジュゲート化合物を含む、薬剤または無菌組成物を調製するために、コンジュゲート化合物は、薬学的に許容できる担体または賦形剤と混合され得る。治療薬および診断薬の調合物は、生理学的に許容される担体、賦形剤、または例えば、凍結乾燥粉末、スラリー、水溶液、ローション、または懸濁液の形態の安定剤と混合することで、調製され得る。
【0196】
本明細書で開示されるコンジュゲート化合物を含む医薬組成物はまた、その他の因子との組み合わせなどの併用療法で投与され得る。例えば、併用療法は、外科手術、免疫療法、化学療法、放射線治療、または薬物療法であり得る、少なくとも1つの他の治療法と組み合わされた、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物を含み得る。
【0197】
薬剤化合物は、1つまたは複数の薬学的に許容される塩を含み得る。このような塩の例としては、酸付加塩および塩基付加塩が挙げられる。酸付加塩としては、塩化水素、硝酸、リン酸,硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸亜リン酸などの無毒の無機酸に由来するもの、ならびに脂肪族モノおよびジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、芳香族酸、脂肪族および芳香族スルホン酸などの無毒の有機酸に由来するものが挙げられる。塩基付加塩としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属などに由来するもの、ならびにΝ、Ν’−ジベンジルエチレンジアミン、N−メチルグルカミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、プロカインなどの無毒の有機アミンに由来するものが挙げられる。
【0198】
医薬組成物はまた、薬学的に許容される抗酸化剤を含み得る。薬学的に許容される抗酸化剤の例としては、(1)アスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどの水溶性抗酸化剤;(2)パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α−トコフェロールなどの油溶性抗酸化剤;および(3)、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などの金属キレート化剤が挙げられる。
【0199】
本明細書で開示される医薬組成物で用いられ得る適切な水性および非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの適切な混合物、オリーブ油などの植物油、およびオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルが挙げられる。例えば、レシチンなどのコーティング材の使用によって、分散体の場合は必要な粒度の維持によって、および界面活性剤の使用によって、適切な流動性が保たれ得る。
【0200】
これらの医薬組成物はまた、保存料、湿潤剤、乳化剤、および分散剤などの補助剤を含有し得る。微生物の存在防止は、滅菌手順と、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などの様々な抗菌性および抗真菌剤の包含との双方によって、確実にされ得る。組成物に、糖、塩化ナトリウムなどの等張剤を含めることもまた、望ましくあってもよい。さらに、注射用医薬製剤の持続的吸収は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの遅延吸収剤の包含によって、もたらされ得る。
【0201】
医薬組成物は、製造および保管条件下で、無菌および安定性であり得る。組成物は、溶液、マイクロエマルション、リポソーム、または高薬物濃度に適切なその他の規則正しい構造として調合され得る。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの適切な混合物を含有する、溶媒または分散媒であり得る。例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散体の場合は必要な粒度の維持によって、および界面活性剤の使用によって、適切な流動性が保たれ得る。多くの場合、組成物に、例えば、糖、マンニトールやソルビトールなどのポリアルコール、または塩化ナトリウムなどの等張剤を含めることが適切であり得る。注射用組成物の持続的吸収は、組成物に、例えば、モノステアリン酸塩、およびゼラチンなどの吸収を遅延させる薬剤を含めることでもたらされ得る。
【0202】
無菌注射液は、必要に応じて、上に列挙した成分の1つまたは組み合わせに、適切な溶媒中の必要な量の活性化合物を組み込み、続いて滅菌精密濾過することで調製され得る。通常、分散体は、基礎的分散媒および上に列挙したものからの必要なその他の成分を含有する無菌ビヒクルに、活性化合を組み込むことで調製される。滅菌注射液の調製のための無菌粉末の場合、適切な調製法としては、活性成分と、あらかじめ滅菌濾過された溶液からの任意の追加的な所望の成分との粉末をもたらす、真空乾燥および凍結乾燥(凍結乾燥)が挙げられる。
【0203】
一態様では、本明細書の組成物は、内毒素および/または関連発熱性物質を実質的に含まない、発熱性物質非含有製剤である。内毒素としては、微生物内部に閉じ込められて、微生物が分解されまたは死滅すると放出される、毒素が挙げられる。発熱性物質としてはまた、細菌およびその他の微生物外膜からの発熱誘導熱安定性物質(糖タンパク質)も挙げられる。これらの物質のどちらも、ヒトに投与されると、発熱、低血圧およびショックを引き起こし得る。潜在的有害効果のために、少量の内毒素でさえも静脈内投与される医薬品溶液から、適切に除去され得る。食品医薬品局(「FDA」)は、静脈内薬物用途のための単一1時間内の体重1キログラムあたりの用量につき、5内毒素単位(EU)の上限を設定する。治療用タンパク質が体重1キログラムあたり数百または数千ミリグラムの量で投与される場合、内毒素の痕跡量でさえも適切に除去されてもよい。
【0204】
一態様では、組成物中の内毒素および発熱性物質レベルは、10EU/mg未満、5EU/mg未満、1EU/mg未満、0.1EU/mg未満、0.01EU/mg未満、または0.001EU/mg未満である。特定の実施形態では、組成物中の内毒素および発熱性物質レベルは、約10EU/mg未満、約5EU/mg未満、約1EU/mg未満、または約0.1EU/mg未満、約0.01EU/mg未満、または約0.001EU/mg未満である。
【0205】
(VII)診断法
特定の態様では、本明細書で報告されるコンジュゲート化合物は、診断アッセイのために、生体内および/または生体外で使用され得る。このような診断アッセイは、例えば、(i)疾患または障害の存在または不在の検出、(ii)(がんなどであるが、これに限定されるものではない)疾患または障害の発症または進行のモニタリングまたは予後診断するステップ、(iii)特定の治療法お有効性を判定するなどの臨床試験順、または(iv)特定の治療法のための候補患者の同定を含む。
【0206】
いくつかの態様では、本明細書で開示される技術は、このような分子を含有することが疑われる、サンプル中の関心のある標的分子の存在を判定する方法を提供する。いくつかの態様では、方法は、サンプルを本明細書で開示されるコンジュゲート化合物に曝露させるステップと、コンジュゲート化合物と、サンプル中の関心のある標的分子との結合を判定するステップとを含み、コンジュゲート化合物と、サンプル中の関心のある標的分子との結合は、サンプル中の関心のある標的分子の存在の指標となる。いくつかの態様では、サンプルは、生物学的サンプルである。特定の態様では、生物学的サンプルは、関心のある標的分子に関連する疾患または障害を経験している、または経験していることが疑われる、哺乳類に由来する。
【0207】
例えば、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物と、関心のある標的分子(例えば、細胞表面の標的)との結合の検出は、
(a)コンジュゲート化合物および関心のある標的分子の間の複合体の形成を可能にする条件下で、任意選択的に対照サンプルと並べて、試験されるサンプル(例えば、細胞)をコンジュゲート化合物に曝露させるステップと;
(b)コンジュゲート化合物と、標的分子との結合程度を判定するステップと
によって達成され得る。
【0208】
本明細書で開示されるコンジュゲート化合物は、コンジュゲート化合物を対象に投与するステップを含む、それを必要とする対象において、がん、自己免疫、炎症性、または伝染性疾患または障害を検出する方法で使用され得る。コンジュゲート化合物と標的の間の複合体形成は、例えば、ELISAを使用して検出され得る。試験サンプルと並んで対照サンプルを使用する場合、双方のサンプルで複合体が検出され得て、複合体形成におけるサンプル間の任意の統計的有意差が、試験サンプル中の関心のある標的分子の存在の指標となる。
【0209】
特定の態様では、生体内診断アッセイを使用して、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物を使用して、関心のある標的分子の過剰発現または増幅が検出され得る。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物がサンプルに添加され、コンジュゲート化合物は、検出可能標識(例えば、放射性同位体または蛍光標識)で標識される、検出される関心のある標的分子に結合して、患者は、標識の局在化について外部からスキャニングされる。INFORM(商標)(Ventana,Ariz.によって販売される)またはPATHVISION(商標)(Vysis,III)などのFISHアッセイは、ホルマリン固定パラフィン包埋組織上で実施されて、例えば、腫瘍中における、関心のある標的分子の過剰発現の程度(存在する場合)が判定され得る。
【0210】
特定の態様では、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物は、関心のある標的分子の細胞発現の増大に関連する、細胞増殖性疾患を診断する方法で使用され得る。いくつかの態様では、方法は、生物学的サンプル中の試験細胞を本明細書で開示されるコンジュゲート化合物に接触させるステップと;本明細書で開示されるコンジュゲート化合物の結合を検出することで、サンプル中の試験細胞内の関心のある標的分子のレベルを判定するステップと;対照サンプル中の細胞と結合するコンジュゲート化合物のレベルを比較するステップとを含み、コンジュゲート化合物結合のレベルは、試験および対照サンプル中の関心のある分子を発現する細胞数に対して正規化され、対照サンプルと比較した試験サンプル中のコンジュゲート化合物結合のより高いレベルは、関心のある標的分子を発現する細胞に関連する細胞増殖性疾患の存在を示唆する。
【0211】
特定の態様では、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物は、血液または血清中の関心のある可溶性分子を検出する方法で使用され得る。いくつかの態様では、方法は、関心のある分子関連障害を経験していることが疑われる哺乳類からの血液または血清の試験サンプルを本明細書で開示されるコンジュゲート化合物に接触させて、正常な哺乳類からの血液または血清対照サンプルと比較した、試験サンプル中の関心のある可溶性分子の増大を検出するステップを含む。いくつかの態様では、検出する方法は、哺乳類の血液または血清中の関心のある可溶性分子の増大に関連した障害を診断する方法として有用である。
【0212】
特定の態様では、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物は、(i)MRI(磁気共鳴イメージング);(ii)MicroCT(コンピュータ断層撮影);(iii)SPECT(単光子放射型コンピュータ断層撮影法);(iv)PET(陽電子放出断層撮影)(Chen et al.(2004)Bioconjugate Chem.15:41−49を参照されたい);(v)生物発光;(vi)蛍光;および(vii)超音波などの生物医学的および分子イメージングの様々な方法および技術によって、イメージング生物マーカーおよびプローブとして使用され得る。免疫シンチグラフィーは、放射性物質で標識された抗体来化合物が動物またはヒト患者に投与されて、体内の抗体局在部位の画像が撮影されるイメージング手順である(米国特許第6,528,624号明細書)。イメージング生物マーカーは、正常生物学的過程、発病過程、または治療的介入に対する薬理学的応答の指標として、客観的に測定され評価され得る。イメージング生物マーカーは、(i)標的タンパク質の発現、(ii)治療的タンパク質と、標的タンパク質との結合、すなわち、選択性、および(iii)クリアランスおよび半減期薬物動態データに関する薬力学(PD)治療的情報を提供し得る。
【0213】
VIII.治療法
本開示は、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物を対象に投与するステップを含む、それを必要とする対象において、がん、自己免疫、炎症性、または伝染性疾患または障害を治療する方法もまた提供する。いくつかの態様では、方法は、例えば、化学療法、生物学的療法、免疫療法、放射線療法、ホルモン療法、および外科手術である、追加的な治療法を投与するステップをさらに含む。例えば、細胞を本明細書で開示されるコンジュゲート化合物で処理するステップを含む、治療薬などの異種部分を細胞に送達する方法もまた提供される。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、細胞によって内在化され得る。
【0214】
様々な態様において、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物は、例えばがん細胞などの細胞に投与され得る。コンジュゲート化合物の生物学的効果は、例えば、細胞死、細胞増殖阻害、効果の欠如、細胞形態の変化、または酒蔵(cellar)増殖パターンの変化であり得る。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は、上述されるような検出可能標識を含む。特定の態様では、標識は、細胞内の腫瘍抗原の位置を示す。
【0215】
特定の態様では、コンジュゲート化合物が、治療を必要とする対象に投与され得る。様々な態様では、コンジュゲート化合物は、腫瘍抗原を標的化する薬物または毒素標的を保有する。いくつかの態様では、コンジュゲート化合物は検出可能標識を有し、それによって、例えば、抗原などの標的が同定または位置確認される。いくつかの態様は、例えば、コンジュゲート化合物の治療影響(therapeutic affect)などの生物学的効果の検出を含む。特定の態様では、対象の病状がモニターされ得る。コンジュゲート化合物の服用量はモニタリングに応えて調節され得る。
【0216】
本明細書で開示されるコンジュゲート化合物および同物質を含む組成物は、例えば、自己免疫および/または炎症性疾患、良性または悪性腫瘍などの過剰増殖性障害、白血病およびリンパ系悪性腫瘍;ウイルス、細菌および真菌疾患をはじめとする感染症をはじめとするが、これに限定されるものではない、広範な慢性および急性疾患および障害を予防、管理または治療するための治療薬などの多くの目的で有用である。いくつかの態様では、本明細書で開示される組成物および方法は、上記疾患および障害を予防、管理または治療するために使用される、1つまたは複数の従来の治療法と共に使用され得る。いくつかの態様では、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物を使用して、ウイルス、真菌、真核微生物、および細菌などの様々な感染性因子を不活性化する方法もまた提供される。
【0217】
いくつかの態様では、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物および同物質を含む組成物を使用して、細胞数を減少させる方法もまた提供される。一態様では、本明細書の方法は、以下の細胞型の減少で使用され得る:好酸球、好塩基球、好中球、T細胞、B細胞、肥満細胞、単球、内皮細胞、および腫瘍細胞。
【0218】
特定の態様では、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物および同物質を含む組成物はまた、疾患またはそれらの症状(diseases of symptoms thereof)の診断および検出において有用であり得る。いくつかの態様では、組成物は、疾患進行のモニタリングに有用であり得る。様々な態様では、組成物は、治療計画のモニタリングに有用であり得る。特定の態様では、組成物は、診断キットなどの生体外用途での診断に有用である。
【0219】
いくつかの態様では、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物および同物質を含む組成物は、内部移行する細胞表面受容体である抗原を標的化し得る。特定の態様では、標的抗原は、細胞外抗原である。いくつかの態様では、標的は、核内抗原である。いくつかの態様では、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物は、ひとたび結合すると細胞内に取り込まれ、内部移行は、対照抗体を少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約110%、少なくとも約130%、少なくとも約140%、少なくとも約150%、少なくとも約160%、または少なくとも約170%上回る。
【0220】
特定の実施形態では、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物は、ひとたび結合すると細胞内部に取り込まれ、内部移行は、対照抗体を1〜10%、10〜20%、20〜30%、30〜40%、40〜50%、50〜60%、60〜70%、70〜80%、80〜90%、90〜100%、100〜110%、110〜120%、120〜130%、130〜140%、140〜150%、150〜160%、160〜170%上回る。
【0221】
IX.キット
本開示は、例えば、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物を含むキットなどの製品もまた提供し、それは、本明細書に記載される方法を実施するために使用され得る。特定の態様では、キットは、1つまたは複数の容器内の少なくとも1つの精製コンジュゲート化合物を含む。いくつかの態様では、キットは、全ての対照、アッセイを実施するための指示、そして例えば、結果を解析および提示するための任意の必要なソフトウェアをはじめとする、検出アッセイを遂行するのに必要なおよび/または十分な全ての構成要素を含有する。当業者は、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物が、当該技術分野で周知である確立されたキット形式の1つに、容易に組み込まれ得ることを容易に認識するであろう。いくつかの態様では、キットは、容器と、容器上のまたはそれに随伴するラベルまたは添付文書とを含む。適切な容器としては、例えば、瓶、バイアル、シリンジ、ブリスター包装などが挙げられる。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの多様な材料から形成され得る。いくつかの態様では、容器は、特定の疾患または病状を治療するのに効果的である、本明細書で開示されるコンジュゲート化合物を含む組成物を保持し得て、無菌アクセスポートを有し得る(例えば、容器は、皮下注射針によって貫通可能なストッパーを有する、静脈注射用溶液バッグまたはバイアルであり得る)。ラベルまたは添付文書は、組成物ががんなどの選択された病状の治療のために使用されることを示し得る。代案としては、またはそれに加えて、キットは、静菌注射用水(BWFI)、リン酸緩衝食塩水、リンゲル液、およびデキストロース溶液などの薬理的に許容可能な緩衝液を含む、第2の(または第3の)容器をさらに含み得る。キットは、その他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、およびシリンジをはじめとする、商業的および使用者観点から望ましいその他の材料をさらに含み得る。
【0222】
上記の全ての参考文献、ならびに本明細書の全ての参考文献は、その内容全体を参照によって本明細書に援用する。
【0223】
以下の実施例は、制限としてではなく例証として提供される。
【実施例】
【0224】
実施例1
Fcシステインスキャニング
QuikChange変異誘発を使用して、Fc領域の187個のアミノ酸が、個々にシステインに変異された。発現および凝集レベルは、ハイスループット小規模形質移入および発現系によって検査された。コンジュゲーション効率は、最初に、PhyNexus Micro−Extractor自動化装置を使用して、ハイスループット自動化固相コンジュゲーション法で調べられ、Fc−T289のコンジュゲーション効率に対して正規化された。(このアッセイでは、Fc−T289Cは、95%を超えるコンジュゲーション効率を有する。)
【0225】
手動液相中規模コンジュゲーションを実施して、変異体のコンジュゲーション効率が、T289Cで見られたものの少なくとも約50%のコンジュゲーション効率を有することが確認された。Fc変異体は振盪フラスコ内で発現されて、馴化培地中の発現レベルが判定された。Fc変異体はプロテインA上で精製されて、凝集レベルはSECによって分析された。
【0226】
表2は、Phynexus法におけるT289Cの少なくとも50%のコンジュゲーション効率を有する変異体について、コンジュゲーションおよび小規模発現データを示す。>100%のコンジュゲーション効率は、太字および下線付であり;80〜100%は、下線付きであり;50〜80%は、普通テキストである。コンジュゲーション効率が50%より低いクローンは、図示されない。表3にはまた、手動液相コンジュゲーションを使用して判定された、選択された変異体のコンジュゲーション効率も示される。表3は、選択された変異体の発現レベルおよびパーセントモノマー含有量を示す
【0227】
E258CおよびH435CのAF488とのコンジュゲーション効率はまた、質量分析法によっても測定され、以前報告されたFc変異体S239C、T289C、および軽鎖変異体V205C(本明細書でLC−V205Cと称される)の効率と比較された。表4で要約されるように、全ての変異体は、ほぼ100%のコンジュゲーション効率を有する(DAR=2は、100%コンジュゲーションである)。陰性対照(すなわち、操作システイン残基なし)として、野性型抗体が含まれる。
【0228】
これらの研究を見ても分かるように、下の表2に示される部位の大部分に組み込まれたシステインは、少なくとも約50のコンジュゲーション効率を有して、良好に発現される。これらの部位は、抗体またはFc融合タンパク質コンジュゲートを作成するのに、有用であってもよい。具体的には、258、274、286、289、291、293、296、318、329、340、341、342、345、401、415、433、435、および443をはじめとするいくつかの位置の操作システインは、片方または双方のアッセイ形式で非常に高いコンジュゲーション効率を示し、良好に発現される。これらの部位の1つまたは複数における操作システイン残基の使用が、部位特異的抗体またはFc融合タンパク質コンジュゲートの効率的な作成のために検討される。
【0229】
【表2】
【0230】
【0231】
【表3】
【0232】
【表4】
【0233】
実施例2
挿入変異体および初期血清安定性スクリーニング
実施例1に記載されるシステイン置換に加えて、その中でシステイン残基が、残基239および240の間(C239insと称される)、または残基238および239の間(238−insと称される)に挿入される、2つの挿入変異体が作成される。C239insは、T289Cと同等のコンジュゲーション効率を示した(表6を参照されたい、データ未掲載)。V240C変異のコンジュゲーション効率は非常に低かった(わずか訳11%)ので、これは予想外であった。
【0234】
これらの変異型のいくつかの血清安定性が調べられた。初期安定性アッセイでは、Alexa Fluor488C5マレイミド(AFF488)が、代用薬物積荷として、選択された部位にコンジュゲートされ、分析を容易にした。サンプルは、正常ヒト血清(NHS)またはPBS緩衝液と共に3〜7日間培養された。NHSまたはPBSとの培養後に、蛍光サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)アッセイが使用されて、AFF488を含有するコンジュゲートの安定性がモニターされた。IgGピーク中に残留するパーセント蛍光を使用して、安定性が推定された。ヒト血清と共に培養されたサンプルでは、血清中の薬物交換の優勢な受容体であるヒト血清アルブミン(HSA)に移入されたAF488の百分率は、HSAピーク中のシグナルのパーセントとして直接測定され得る。
図2〜8は、それぞれ、変異体E258C、H435C、L443C、C239ins、S239C、LC−V205C、およびT289CのSECプロファイルを示し、0日目(パネルAおよびB)および7日目(パネルCおよびD)における、NHS(パネルAおよびC)およびPBS(パネルBおよびD)と共に培養されたサンプルが含まれる。これらの研究結果は、
図9にプロットされ、表5に要約される。
【0235】
これらの研究で試験された4つのコンジュゲーション部位(E258C、H435C、L443C、およびC239ins)は、先に報告されたLC−V205CおよびS239C変異体を含むいくつかの抗体で観察された安定性と同様に、7日間の血清培養後に、少なくとも70%のコンジュゲート化合物が無傷であることが分かった(表5を参照されたい)。
【0236】
【表5】
【0237】
実施例3
Fc受容体結合および熱安定性測定
いくつかの変異体と、多様なFc受容体との結合が試験された。ELISAアッセイにおいて、E258C、S239C、C239ins、およびLC−V205Cと、FcRnとの結合は、野性型(WT)と同等であった(
図10A)。さらに、E258C、LC−V205C、およびS239Cと、FcRnとの結合は、A488にコンジュゲートされた場合、本質的に同一であった(
図10B)。これらのデータは、これらの変異体が、薬物にコンジュゲートされた場合でさえも、FcRn結合に影響を及ぼさないことを示す。対照的に、H435C変異は、FcRn結合を消滅させ(データ未掲載)、これは、位置EU435の正荷電残基がFcRn結合に必須であるという、以前報告された観察に対応する。
【0238】
BIACORE解析を実施して、C239ins、S442C、およびL234F/S239A/S442C三重変異と、ヒトFc受容体、FcγRI、FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIIa(158Vおよび158F対立遺伝子の双方)、およびFcRnとの親和性が判定された。
図11で報告されるデータは、C239insがFcγRIとの結合を低下させ、FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIIa(158Vおよび158F対立遺伝子の双方)との結合を消滅させるが、FcRn結合への影響は微々たるものであることを示す。対照的に、S442Cは、試験されたあらゆるFc受容体との結合に対して、わずかな影響を有した。予測されたように、特定のFcγRsとの結合を低下させることが報告された変異体であるL234FおよびS239Aの追加は、FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIIa(158Vおよび158F対立遺伝子の双方)とのはるかにより低下した結合をもたらした。したがってC239ins変異は、エフェクター機能が望ましくない場合における、部位特異的抗体またはFc融合コンジュゲートの作成に、特に有用であってもよい。
【0239】
示差走査熱量測定(DSC)を使用して、野性型(WT)との比較で、E258C、S239C、LC−V205C、C239ins、およびH435Cの熱安定性が調べられた。
図12に示されるように、E258C、S239C、およびLc−V205C変異体のDSCプロファイルは、WTと本質的に同一であり、DSCによる測定で、これらの変異が、モデル1C1 IgG1の熱安定性に影響を及ぼさないことが示唆された。新しいより低い融解ピークが、C239insおよびH435Cの双方で出現したが、Tm1は、双方の変異体でなおも60℃を超えており、これらの変異の熱安定性に対する最小の影響のみが示唆される。
【0240】
実施例4
単一変異毒素コンジュゲート−細胞毒性の血清安定性
1C1−Fc−Cys変異体コンジュゲート:2薬物/Abが、細胞毒性アッセイにおいて血清安定性について試験された:1C1−S239C、1C1−E258C、1C1−H435C、1C1−L443C、1C1−LC−V205C、1C1−239ins、および1C1−T289C。古典的コンジュゲーションを使用して調製された6薬物/Ab対照である1C1−ccADC、細胞毒性アッセイ陰性対照であるR347−S239C、および非コンジュゲートの機能を果たす1C1−WTもまた試験された。各抗体薬物コンジュゲート(ADC)は、オーリスタチンベースの毒素を含む。
【0241】
表6に示されるように、各cys変異体は、わずか2%の背景コンジュゲーションを示す野性型とは対照的に、88〜98%のコンジュゲーション効率を有する。ADCは、下の実施例6に記載されるように、血清と共に0、3または7日間培養されて、細胞毒性についてアッセイされた。単一変異体および対照のそれぞれの細胞毒性曲線は、
図13A、B、およびC(それぞれ0、3、および7日目)にプロットされる。EC
50値もまた、プロットの下の表に提供される。この研究からの全てのデータは表7に要約され、3および7日目のEC
50損失倍数が提供される。
【0242】
1C1−E258C−ADC、1C1−H435C−ADC、1C1−L443C−ADC、および1C1−239ins−ADCは、血清培養後に安定しており、マレイミド化学反応を使用して結合された場合、血清中で安定していると報告されたその他の部位(例えば、LC−V205C)と同等であった。これらの変異体のEC
50は、7日間の血清培養後でさえ保持された1C1−T289C−ADCは、いくらかの活性を失った。表7を参照されたい。1C1−238−ins−ADCを使用して、同様の研究が実施されが、この変異は、7日間で6.25倍を超えるEC
50損失を示し(データ未掲載)、この部位におけるマレイミド化学反応を使用したコンジュゲートが安定しておらず、血清中での培養に際して迅速に活性を失うことが示唆された。
【0243】
EU位置258、435、および443(E258C、H435C、L443C)にあるFc領域内の4つの操作システイン部位、およびEU位置239および240(239ins)の間に位置する新たに操作された挿入部位は、コンジュゲーションにとって高度にアクセスでき(high accessible)、代表的血清安定性を有すると同定された。
【0244】
【表6】
【0245】
【表7】
【0246】
実施例5
二重Cys変異毒素コンジュゲート−細胞毒性の血清安定性
特定の用途では、抗体あたり2つを超える薬物を有することが望ましいことがある(すなわち、4以上のDAR)。上に記載されるCys変異体は、互いに、および/または場合によっては、Fc媒介エフェクター機能を取り除くための変異体L234F−L235F(「FF」と称される)をはじめとするその他の変異体と共に、様々な組み合わせで試験されて、実施例6に記載される細胞毒性アッセイを使用して、血清安定性について試験された。1C1−Fc−2Cys変異体およびコンジュゲート:4薬物/Abコンジュゲートが、細胞毒性アッセイにおいて、血清安定性について試験された:1C1−239ins−E258C、1C1−239ins−H435C、1C1−239ins−S442C、1C1−FF−E258C−H435C、1C1−FF−E258C−S442C、および1C1−FF−H435C−S442C。細胞毒性アッセイのための1C1−T289C−2薬物/Ab比較物質、およびR347−S239C−2薬物/Ab陰性対照もまた含まれた。全てのADCは、マレイミド化学反応を使用してコンジュゲートされた、オーリスタチンベースの毒素を含む。
【0247】
表8に示されるように、各cys変異体は、約92〜100%のコンジュゲーション効率を有する。ADCは、下の実施例6に記載されるように、血清と共に0、3または7日間培養されて、細胞毒性についてアッセイされた。組み合わせ変異体および対照のそれぞれの細胞毒性曲線は、
図14A、B、およびC(それぞれ0、3、および7日目)にプロットされる。EC
50値もまた、プロットの下の表に提供される。この研究からの全てのデータは表9に要約され、3および7日目のEC
50損失倍数が提供される。
【0248】
試験された全ての1C1−二重Cys変異体ADCは、血清培養後に安定していた。EC
50は、特に7日間の血清培養後に保持された。1C1−T289C−ADCは、いくらかの活性を失った。表9を参照されたい。
【0249】
【表8】
【0250】
【表9】
【0251】
実施例6
材料と方法
Fcシステイン変異:1C1抗体を含むヒトIgG1の重鎖が、変異誘発の便宜のために、pOE−単一カセットベクター(MedImmune LLC)にクローン化された。Fc断片上の187個のアミノ酸は、製造業者の説明書に従って、96ウェルプレート形式で、QuikChange II XL部位特異的変異誘発キット(Agilent Technologies Inc.,Santa Clara,CA)を使用して、個々にシステインに変異された。各位置におけるシステイン変異は、配列決定によって確認された。同様の手順を使用して、システイン挿入変異が作成された。
【0252】
ハイスループット小規模形質移入および発現:1C1κ鎖がpOE−κベクター(MedImmune LLC)にクローン化され、96ウェルプレート内で、1C1κ鎖ベクターおよび1C1重鎖ベクター(野生型または変異システインあり)のDNAが293F細胞(Life Technologies,Grand Island,NY)に同時形質移入され、形質移入の5日後に、発現された1C1抗体を含有する馴化培地(CM)が収集されて、精製1C1WT抗体を用いて作成された標準曲線を使用したOctetによってCM中の抗体濃度が判定され、発現はまた、タンパク質ゲルによっても分析されて、凝集レベルが推定された。
【0253】
ハイスループット自動化固相部位特異的コンジュゲーション:Alexa Fluor 488 C5マレイミド(Life Technologies Grand Island,NY)が代用薬物積荷として使用されて、分析を容易にした。PhyNexus Micro−Extractor Automated(MEA)装置(PhyNexus,Inc.,San Jose,CA)を使用して、ハイスループット自動化コンジュゲーションが実施された。CM中の1C1抗体は、ピペットチップ内の固定化プロテインA上に捕捉され、Tris(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)(Thermo Scientific,Rockford,IL)によって還元されてキャップドシステインが除去され、デヒドロアスコルビン酸(dhAA)(Sigma−Aldrich Corp.,St.Louis,MO)によって酸化されて、抗体の鎖内ジスルフィド結合が再形成されて、10倍モル過剰量のAlexa Fluor 488 C5マレイミドにコンジュゲートされた。反応は、N−アセチル−L−システイン(NAC)(Sigma−Aldrich Corp.,St.Louis,MO)によって停止され、コンジュゲート抗体は、IgG溶出緩衝液によって溶出された。
【0254】
コンジュゲーション効率分析:質量分析によって95%よりも高いコンジュゲーション効率を有する1C1−T289Cが、コンジュゲーション基準点対照として選択された。コンジュゲーション効率は、蛍光SECによって分析され、標準曲線を作成するためにT289C−AF488が使用された:異なる量のT289C−AF488が、蛍光検出器(Ex=494、Em=519)付きHPLC−SECに装入された。280nm(X軸)および494nm(Y軸)における曲線下面積(AUC)の値を使用して、標準曲線が作成された。標準曲線は線形であり、R
2は、1に非常に近い。25ulの1C1−変異体−AF488がSECカラムに装入され、T289C−AF488標準曲線を使用して、各サンプルの280および494の面積の値を使用して、コンジュゲーション効率が計算された。コンジュゲーション効率は、T289Cコンジュゲーションの%として示され、いくつかの変異体のコンジュゲーション効率もまた、質量分析によって測定され、それらは良好に相関した。
【0255】
中程度規模の発現および手動コンジュゲーション:手動コンジュゲーションを実施して、コンジュゲーション効率が確認された。自動化固相コンジュゲーション法からの基準点T289Cの50%よりも高いコンジュゲーションレベルがある1C1−Fc変異体が、振盪フラスコ内の293F細胞内で発現されて、プロテインA HPLCによって、馴化培地中の発現レベルが測定された。1C1−Fc変異体は、プロテインAアフィニティクロマトグラフィーによって精製され、SECによって凝集レベルが分析された。手動コンジュゲーションでは、2mgの1C1−Fc変異体が、50mMのTCEP中で37℃で3時間還元されて、操作システインがキャップ離脱されて、コンジュゲーション緩衝液(PBS+1mM EDTA、pH7.2)中の徹底的な透析がそれに続いて、遊離システインが除去されて、次に50mMのdhAA中で室温で4時間酸化され、鎖内ジスルフィド結合が再形成された。この材料は、8倍のモル過剰量のAlexa Fluor 488C5マレイミドに室温で1時間コンジュゲートされ、反応は、N−アセチル−L−システイン(NAC)によって停止され、回転濃縮器内でサンプルを3回にわたり希釈および濃縮することで遊離非結合AF488が除去されて、コンジュゲートされた1C1−Fc変異体は0.3〜0.5mlの最終容積に濃縮されて、タンパク質濃度はナノドロップによって測定された。コンジュゲーション効率は、fluor SECおよび質量分析によって測定された。
【0256】
安定性判定のためのADC血清培養:50μlのPBS中の100μgのAF488コンジュゲート1C1−Fc変異体(最終容積の20%)が、200μlの正常ヒト血清またはPBSと混合された(最終容積の80%)。濾過後、10ulの混合物をHPLC fluor SECカラムに装入して、血清培養0日目対象の蛍光プロファイルを得た。各混合物の残りの部分は、37℃で3日間および7日間培養された。蛍光プロファイルは、0日目サンプルと同様にして得られた。抗体薬物コンジュゲート(ADC)の蛍光ピーク(面積)を全蛍光(面積)で除算して、各時点についてADC蛍光の百分率を得ることで、血清安定性が分析された。0日目、3日目、および7日目のIgGピーク中の蛍光%残留を使用して、安定性が推定された。ヒト血清アルブミン(HSA)面積中の新しい蛍光ピークが、血清培養3日目または7日目のサンプルで観察された。このピークを計算して、HSAに移入されたコンジュゲートの百分率が推定された。
【0257】
FcRn結合ELISA:ハーフエウェルELISAプレートが、5μg/mlの各1C1Fc−Cys変異体で4℃にて一晩被覆されて、PBST、pH5.8、で洗浄され、アイシングラスブロック緩衝液、pH5.8で室温にて1時間ブロックされた。0.02〜100μg/mlのFcRn−ビオチン(アイシングラスブロック緩衝液中で希釈された、pH5.8、合計11回の希釈)がウェルに添加されて、室温で2時間インキュベートされた。プレートはPBST、pH5.8で洗浄され、ストレプトアビジンHRPが添加されて室温で40分間インキュベートされて、ELISAはTMBで発色されて、0.2NのH2SO4で停止された。EnVision 2104マルチラベルリーダー(PerkinElmer,Waltham,MA)によってOD450が測定され、モデルとして可変勾配のあるlog(作動薬)対反応を使用して、Prism5ソフトウェアによってEC50が分析された(GraphPad Software,San Diego,CA)。
【0258】
平衡結合定数FcγRsの測定:IgGとhFcγRsとの結合の結合定数(KD)は、ProteOn XPR36装置上で測定された。簡単に述べると、抗体は、装置製造業者によって概説されるように、標準アミノ共役化学反応を使用して、GLCセンサーチップ上で高密度にて固定化された。測定されたIgGの最終的な表面密度は、およそ3000RUであった。IgGなしで同一固定化プロトコルを使用して、標準フローセルもまた、このセンサーチップ上で調製された。各hFcγRの原液は、装置緩衝液(50mMのリン酸、pH7.4、0.15MのNaCl、3mMのEDTA、および0.005%のツイーン20を含有する、リン酸緩衝食塩水[PBS]/ツイーン/エチレンジアミン四酢酸[EDTA]緩衝液)中で、4000nM、16,000nM、または32,000nMのいずれかで調製されて、次に同一緩衝液中で連続希釈(1:3)され、各受容体について所望の濃度系列が得られた:1.82nM〜4,000nM(hFcγRI)、197.5nM〜16,000nM(hFcγRIIA)、395.1nM〜16,000nM(hFcγRIIb)、21.9nM〜16,000nM(hFcγRIIIA−158V)、および395〜32,000mM(hFcγRIIIA−158F)。各濃度のFcγRは、8分間にわたり25μL/分の流速で、5T4−108−maia IgGおよび対照セル表面の双方の上に注入され、その間に結合データが収集された。注入と注入の間に、5mMのHClの60秒間のパルス投与で表面が再生された(すなわち、結合FcγRが除去された)。数回の緩衝液注入もまた、注入系列全体を通じて散在していた。その後、これらの緩衝液注入の1つが、対照セルデータと共に使用されて、一般に「二重参照」と称される技術(Myszka,1999)を通じて、あらゆる注入の人為結果(例えば、非特異的結合)について、結合データが修正された。最終的に、結合データが収集されて、個々のデータセットは、各濃度(C)での結合(平衡[Req]における反応)について平均され、次に1:1結合等温線(Req対C)プロットに適合された。供給業者の評価ソフトウェアのバージョン3.1.0.6を使用して、これから平衡結合定数KDが誘導された。
【0259】
平衡結合定数ヒトFcRnタンパク質の測定;IgGと、ヒトFcRnタンパク質との結合(huFcRn)の親和性(KD)が、ProteOn XPR36装置上で測定された。簡単に述べると、抗体は、上述されるような標準アミノ共役化学反応を使用して、GLCセンサーチップ上に高密度で固定化された。huFcRnタンパク質の原液は、装置緩衝液(50mMナトリウムリン酸緩衝液、pH6、150mMのNaClおよび0.05%のツイーン20を含有する)中で3000nMにて調製されて、次に、同一緩衝液中で1.37nMに連続希釈(3:1)された。各濃度のFcRnが、5T4−108−maiaIgGおよび直列に連結された対照セル表面上に、25μL/分の流速で16分間にわたり順次注入された。結合データが収集され、続いて、各受容体または緩衝液ブランクの注入と注入の間に、150mMのNaCl、および0.05%のツイーン20を含有する50mMのナトリウムリン酸緩衝液、pH7.4が60秒間にわたり注入されて、IgG表面が再生された(すなわち、結合FcRnタンパク質が除去される)。数回の緩衝液注入もまた、注入系列全体を通じて散在していた。その後、これらの緩衝液注入の1つを対照セルデータと共に使用して、「二重参照」(Myszka,1999)を通じて、注射人為結果(例えば、非特異的結合)について生データセットが修正された。最終的に、結合データが収集されて、個々のデータセットは、各濃度(C)での結合(Req)について平均され、次に1:1結合等温線(Req対C)プロットに適合された。これから、平衡結合定数KDは、供給業者のBIAevaluationソフトウェアv.4.1を使用して誘導された。
【0260】
熱安定性測定:1C1 Fc−Cys変異体の熱的アンフォールディングプロファイルは、示差走査熱量測定(VP−DSC,MicroCal,LLC,Northampton,MA)によって測定され、25mMヒスチジン緩衝液、pH6.0中の1mg/ml濃度の0.503mlの1C1 Fc−Cys変異体がチャンバーに装入されて、20℃から110℃にかけて1℃/分でスキャンされた。温度記録データからの遷移中間点(T
m値)は、製造業者によって提供されるOrigin 7ソフトウェア中の非二状態モデルを使用して断定された。
【0261】
毒素とのコンジュゲーション:上に記載されるAF488とのコンジュゲーションと同一方法を使用して、2mgの各1C1Fc−Cys変異体および基準点対照変異体が、毒素1または毒素2に手動でコンジュゲートされた。遊離薬物は、CHTII型(セラミックヒドロキシアパタイト)液体クロマトグラフィーによって除去され、10mMリン酸緩衝液、pH7.0中の0〜2MのNaCl勾配を用いて溶出された。単量体ADCピークが収集されて、7%スクロース添加25mMヒスチジン、pH6.0中で透析され、0.3〜0.5mlに濃縮された。コンジュゲーション効率は、質量分析法によって分析された。
【0262】
ADCの血清安定性を判定するための細胞毒性アッセイ:ADC血清培養は、上述されるのと同様に準備された。DU−145細胞は、80μl中の2000個の細胞/ウェルで、白色壁96−ウェルプレート(VWR、Radnor、PA)内に播種され、37℃、5%のCO2インキュベーター内で一晩培養された。ADC血清サンプルは、三重反復試験において、培養液で0.004〜80μg/mlに希釈され、20μlの希釈ADC血清が80μlの細胞に添加された。培養中のADCの最終濃度は、0.0008〜16μg/mlであり、細胞は、インキュベーターでさらに3日間培養され、生存細胞は、CellTiter−Gloルミネセンス(Luminesecent)細胞生存率アッセイキット(Promega,Madison,WI)を使用して判定された。ルミネセンスシグナルは、EnVision 2104マルチラベルリーダー(PerkinElmer,Waltham,MA)によって測定され、細胞死滅のEC50は、可変勾配をモデルとして、対数(作動薬)対応答を使用して、Prism5ソフトウェアによって分析された(GraphPad Software,SanDiego,CA)。
【0263】
本明細書で提供される実施形態は、特定機能およびそれらの関係性の具現を例示する、機能的構成要素の助けを借りて上に記載される。これらの機能的構成要素の境界は、本明細書において、説明の便宜のために自由裁量で画定される。代替の境界は、特定の機能およびそれらの関係性が適切に作動しさえすれば、画定され得る。
【0264】
特定の実施形態の前述の説明は、他者が、過度の実験を実施することなく、本明細書で報告される基本概念から逸脱することなく、技術範囲内の知識を適用して、このような特定の実施形態を様々な用途のために、容易に修正および/または適応できるようにするのに十分である。したがってこのような適応および修飾は、本明細書で提示される教示および指標に基づいて、開示された実施形態の均等物の意味および範囲内であることが意図される。本明細書の専門語または用語法は、説明を目的とし、教示および指標に照らして、当業者によって、本明細書の用語法または専門語が解釈されることを制限しないものと理解される。
【0265】
本開示の幅および範囲は、上記の例示的な実施形態のいずれによっても制限されるべきではなく、特許請求の範囲およびそれらの均等物によってのみ定義されるべきである。
[1] システイン操作抗体またはFc融合タンパク質と、少なくとも1つの異種部分とを含む、コンジュゲート化合物であって、
(i)前記抗体またはFc融合タンパク質のFcドメインが、アミノ酸位置の番号付与がKabatに記載のEU指針に準拠する、アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439におけるシステインアミノ酸置換、位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの操作システインアミノ酸を含み、
(ii)少なくとも1つの異種部分が、前記操作システインの1つにコンジュゲートされる、コンジュゲート化合物。
[2] 前記操作システインアミノ酸が、アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、271、285、288、291、296、301、307、309、311、329、385、387、433、または435におけるシステインアミノ酸置換、位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入、およびそれらの組み合わせから選択される、実施形態1に記載のコンジュゲート化合物。
[3] 前記操作システインアミノ酸が、アミノ酸位置258、または435におけるシステインアミノ酸置換、位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入、およびそれらの組み合わせから選択される、実施形態1に記載のコンジュゲート化合物。
[4] アミノ酸位置の番号付与がKabatに記載のEU指針に準拠する、
(a)位置239に位置するセリン(S)と位置240に位置するバリン(V)との間に挿入される、システイン(C);
(b)位置258に位置するグルタミン酸(E)を置換する、システイン(C);
(c)位置435に位置するヒスチジン(H)を置換するシステイン(C);
(d)位置435に位置するアルギニン(R)を置換するシステイン(C);または
(e)それらの組み合わせ
を含む、実施形態1〜3のいずれかに記載のコンジュゲート化合物。
[5] 前記Fcドメインが、アミノ酸位置239、248、254、273、279、282、284、286、287、289、297、298、312、324、326、330、335、337、339、350、355、356、359、360、361、375、383、384、389、398、400、413、415、418、422、440、441、442、443、および446におけるシステインアミノ酸置換から選択される、少なくとも1つの操作システイン残基をさらに含む、実施形態1〜4のいずれかに記載のコンジュゲート化合物。
[6] 少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのチオール基を含む、実施形態1〜5のいずれかに記載のコンジュゲート化合物。
[7] 少なくとも6、8、10、12、14、16個以上のチオール基を含む、実施形態1〜5のいずれかに記載のコンジュゲート化合物。
[8] 少なくとも1つの異種部分が、操作システインに化学的に結合する、実施形態1〜7のいずれかに記載のコンジュゲート化合物。
[9] 少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つの異種部分を含む、実施形態1〜8のいずれかに記載のコンジュゲート化合物。
[10] 前記異種部分のそれぞれ1つが、操作システインにコンジュゲートされる、実施形態9に記載のコンジュゲート化合物。
[11] 少なくとも6、8、10、12、14、16個以上の異種部分を含む、実施形態1〜8のいずれかに記載のコンジュゲート化合物。
[12] 前記異種部分のそれぞれ1つが、操作システインにコンジュゲートされる、実施形態11に記載のコンジュゲート化合物。
[13] 前記異種部分が全て同一である、実施形態9〜12のいずれかに記載のコンジュゲート化合物。
[14] 少なくとも1つの異種部分が残りの部分と異なる、実施形態9〜12のいずれかに記載のコンジュゲート化合物。
[15] 前記抗体またはFc融合タンパク質のFcドメインが、IgGFcドメインである、実施形態1〜14のいずれかに記載のコンジュゲート化合物。
[16] 前記抗体またはFc融合タンパク質のFcドメインが、ヒトIgGFcドメインである、実施形態1〜15のいずれかに記載のコンジュゲート化合物。
[17] 前記ヒトIgGが、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4である、実施形態16に記載のコンジュゲート化合物。
[18] 前記Fc融合タンパク質が、標的との結合を媒介するポリペプチドを含む、実施形態1〜17のいずれかに記載のコンジュゲート化合物。
[19] 前記Fc融合タンパク質が、(a)scFv;(b)二特異性抗体;(c)Fd断片;(d)Fv断片;(e)TANDAB(登録商標);(f)F(ab')2断片;(g)FCAB(商標)、および(h)F(ab)断片からなる群から選択される抗原結合領域を含む、実施形態1〜18のいずれかに記載のコンジュゲート化合物。
[20] 前記Fc融合タンパク質が、タンパク質スキャフォールドまたは抗体模倣剤を含む、実施形態1〜18のいずれかに記載のコンジュゲート化合物。
[21] 前記Fc融合タンパク質が、(a)リガンド;(b)酵素;(c)受容体のリガンド結合部分;および(d)付着タンパク質からなる群から選択されるポリペプチドを含む、実施形態1〜17のいずれかに記載のコンジュゲート化合物。
[22] 前記抗体またはFc融合タンパク質のFcドメインが、234D、234E、234N、234Q、234T、234H、234Y、2341、234V、234F、235A、235D、235R、235W、235P、235S、235N、235Q、235T、235H、235Y、2351、235V、235F、236E、239D、239E、239N、239Q、239F、239T、239H、239Y、2401、240A、240T、240M、241W、241L、241Y241E、241R、243W、243L、243Y、243R、243Q、244H、245A、247L、247V、247G、251F、252Y、254T、255L、256E、256M、2621、262A、262T、262E、2631、263A、263T、263M、264L、2641、264W、264T、264R、264F、264M、264Y、264E、265G、265N、265Q、265Y、265F、265V、2651、265L、265H、265T、2661、266A、266T、266M、267Q、267L、269Y、269F、269R、270E、280A、284M、292P、292L、296E、296Q、296D、296N、296S、296T、296L、2961、296H、269G、297S、297D、297E、298H、2981、298T、298F、2991、299L、299A、299S、299V、299H、299F、299E、3051、313F、316D、325Q、325L、3251、325D、325E、325A、325T、325V、325H、327G、327W、327N、327L、328S、328M、328D、328E、328N、328Q、328F、3281、328V、328T、328H、328A、329F、329H、329Q、330K、330G、330T、330C、330L、330Y、330V、3301、330F、330R、330H、331G、331A、331L、331M、331F、331W、331K、331Q、331E、331S、331V、3311、331C、331Y、331H、331R、331N、331D、331T、332D、332S、332W、332F、332E、332N、332Q、332T、332H、332Y、332A、339T、370E、370N、378D、392T、396L、416G、419H、421K、440Y、および443Wからなる群から選択される、少なくとも1つの非天然アミノ酸残基をさらに含み、アミノ酸位置の番号付与がKabatに記載のEU指針に準拠する、実施形態1〜21のいずれかに記載のコンジュゲート化合物。
[23] 前記抗体が、モノクローナル抗体、二重特異性抗体、多特異性抗体、キメラ抗体、ヒト抗体、またはヒト化抗体である、実施形態1〜22のいずれかに記載のコンジュゲート化合物。
[24] 少なくとも1つの異種部分が、毒素、薬物、放射性核種、免疫修飾物質、サイトカイン、リンフォカイン、ケモカイン、増殖因子、腫瘍壊死因子、ホルモン、ホルモン拮抗薬、酵素、オリゴヌクレオチド、DNA、RNA、siRNA、RNAi、マイクロRNA、ペプチド核酸、光活性治療薬、血管新生阻害剤、アポトーシス促進剤、非天然アミノ酸、ペプチド、脂質、炭水化物、足場分子、蛍光性タグ、可視化ペプチド、ビオチン、血清半減期延長剤、捕捉タグ、キレート化剤、固体担体、またはそれらの組み合わせであり、その中で、コンジュゲーションが、操作システインの1つにある、実施形態1〜23のいずれかに記載のコンジュゲート化合物。
[25] 前記薬物が、ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン誘導体、アルキルスルホン酸塩、ニトロソ尿素、ゲムシタビン、トリアゼン、葉酸アナログ、アントラサイクリン、タキサン、COX−2阻害剤、ピリミジンアナログ、プリンアナログ、抗生物質、酵素阻害剤、エピポドフィロトキシン、白金配位錯体、ビンカアルカロイド、置換尿素、メチルヒドラジン誘導体、副腎皮質抑制剤、ホルモン拮抗薬、エンドスタチン、タキソール、カンプトテシン、SN−38、ドキソルビシン、ドキソルビシンアナログ、代謝拮抗剤、アルキル化剤、有糸分裂阻害薬、血管新生阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、mTOR阻害剤、熱ショックタンパク質(HSP90)阻害剤、生体沈殿阻害剤、HDAC阻害剤、アポトーシス促進剤、メトトレキサート、CPT−11、またはそれらの組み合わせであり、その中で、コンジュゲーションが、操作システインの1つにある、実施形態24に記載のコンジュゲート化合物。
[26] 前記薬物が、オーリスタチン、ツブリシン(tubulysin、チューブリシンともいう)またはピロロベンゾジアゼピン(PBD)である、実施形態24に記載のコンジュゲート化合物。
[27] 前記オーリスタチンが、MMAE(モノメチルオーリスタチンE)またはMMAF(モノメチルオーリスタチンF)である、実施形態26に記載のコンジュゲート化合物。
[28] 前記薬物が、メイタンシノイド(maytansinoid)である、実施形態24に記載のコンジュゲート化合物。
[29] 前記メイタンシノイドが、N2'−デアセチル−N2'−(3−メルカプト−1−オキソプロピル)−メイタンシン(DM1)、N2'−デアセチル−N2'−(4−メルカプト−1−オキソペンチル)−メイタンシン(DM3)またはN2'−デアセチル−N2'(4−メチル−4−メルカプト−1−オキソペンチル)−メイタンシン(DM4)である、実施形態28に記載のコンジュゲート化合物。
[30] 前記毒素が、アブリン、ブルシン、シクトキシン、ジフテリア毒素、ボツリヌス毒素、志賀毒素、内毒素、破傷風毒素、百日咳毒素、炭疽病毒素、コレラ毒素、ファルカリノール、α毒素、ゲルダナマイシン、ゲロニン、ロタウストラリン、リシン、ストリキニーネ、テトロドトキシン、サポニン、リボヌクレアーゼ(RNase)、DNaseI、ブドウ球菌エンテロトキシン−A、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、シュードモナス属(Pseudomonas)菌体外毒素、およびシュードモナス属(Pseudomonas)内毒素、またはそれらの組み合わせである、実施形態24に記載のコンジュゲート化合物。
[31] 前記キレート化剤が、DTPA、EC、DMSA、EDTA、Cy−EDTA、EDTMP、DTPA、CyDTPA、Cy2DTPA、BOPTA、DTPA−MA、DTPA−BA、DTPMP、DOTA、TRITA、TETA、DOTMA、DOTA−MA、HP−DO3A、pNB−DOTA、DOTP、DOTMP、DOTEP、DOTPP、DOTBzP、DOTPME、HEDP、DTTP、N3Sトリアミドチオール、DADS、MAMA、DADT、N2S4ジアミンテトラチオール、N2P2ジチオール−ビスホスフィン、6−ヒドラジノニコチン酸、プロピレンアミンオキシム、テトラアミン、サイクラム、またはそれらの組み合わせである、実施形態24に記載のコンジュゲート化合物。
[32] 前記放射性核種が、クロム(51Cr)、コバルト(57Co)、フッ素(18F)、ガドリニウム(153Gd、159Gd)、ゲルマニウム(68Ge)、ホルミウム(166Ho)、インジウム(115In、113In、112In、111In)、ヨウ素(131I、125I、123I、121I)、ランタン(140La)、ルテチウム(177Lu)、マンガン(54Mn)、モリブデン(99Mo)、パラジウム(103Pd)、亜リン酸(32P)、プラセオジム(142Pr)、プロメチウム(149Pm)、レニウム(186Re、188Re)、ロジウム(105Rh)、ルテニウム(97Ru)、サマリウム(153Sm)、スカンジウム(47Sc)、セレン(75Se)、ストロンチウム(85Sr)、イオウ(35S)、テクネチウム(99Tc)、タリウム(201Tl)、スズ(113Sn、117Sn)、トリチウム(3H)、キセノン(133Xe)、イッテルビウム(169Yb、175Yb)、イットリウム(90Y)、亜鉛(65Zn)、またはそれらの組み合わせである、実施形態24に記載のコンジュゲート化合物。
[33] 前記放射性核種が、キレート化剤によって、前記コンジュゲート化合物に付着される、実施形態32に記載のコンジュゲート化合物。
[34] 前記血清半減期延長剤が、アルブミン、アルブミン結合ポリペプチド、PAS、ヒト絨毛性ゴナドトロピンのC末端ペプチド(CTP)のβサブユニット、ポリエチレングリコール(PEG)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、XTEN、アルブミン結合小分子、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態24に記載のコンジュゲート化合物。
[35] 前記可視化ペプチドが、試験管内、生体内、生体外またはそれらの任意の組み合わせにおける、前記コンジュゲート化合物の可視化または位置確認を可能にする、実施形態24に記載のコンジュゲート化合物。
[36] 可視化ペプチドが、ビオチン受容体ペプチド、リポ酸受容体ペプチド、蛍光タンパク質、二ヒ素染料ライゲーションのためのまたは準安定テクネチウムコンジュゲーションのためのシステイン含有ペプチド、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)ベースの近接アッセイのためのユウロピウムクラスレートコンジュゲーションのためのペプチド、またはそれらの任意の組み合わせである、実施形態35に記載のコンジュゲート化合物。
[37] 前記蛍光タンパク質が、GFP、RFP、YFP、EGFP、またはEYFPである、実施形態36に記載のコンジュゲート化合物。
[38] 前記二ヒ素染料が、4',5'−ビス(1,3,2−ジチオアルソラン−2−イル)フルオレセイン(フラッシュ)である、実施形態36に記載のコンジュゲート化合物。
[39] 前記ビオチン受容体ペプチドが、アビジンベースおよびストレプトアビジンベースの試薬のコンジュゲーションを促進する、実施形態36に記載のコンジュゲート化合物。
[40] 前記リポ酸受容体ペプチドが、リポ酸に結合するためのチオール反応性プローブのコンジュゲーション、または蛍光性リポ酸類似体の直接的ライゲーションを促進する、実施形態36に記載のコンジュゲート化合物。
[41] 前記捕捉タグが、ビオチンまたはHis6タグである、実施形態24に記載のコンジュゲート化合物。
[42] 前記蛍光性タグが、フルオレセイン型染料、ローダミン型染料、ダンシル型染料、リサミン型染料、シアニン型染料、フィコエリトリン型染料、Texas Red型染料、およびそれらの組み合わせを含む、実施形態24に記載のコンジュゲート化合物。
[43] 前記蛍光性タグが、Alexa Fluor 488 C5マレイミドである、実施形態24に記載のコンジュゲート化合物。
[44] 前記異種部分が、リンカーを介して、前記操作システインの1つにコンジュゲートされる、実施形態1〜43のいずれかに記載のコンジュゲート化合物。
[45] 前記リンカーが、切断可能リンカーである、実施形態44に記載のコンジュゲート化合物。
[46] 前記リンカーが、切断不能リンカーである、実施形態44に記載のコンジュゲート化合物。
[47] 前記リンカーが、非ペプチドリンカーを含む、実施形態44に記載のコンジュゲート化合物。
[48] 前記リンカーが、非ペプチドリンカーからなる、実施形態47に記載のコンジュゲート化合物。
[49] 前記非ペプチドリンカーが、MC、val−cit、MC−val−cit、MC−val−cit−PABC、Mal−PEG2C2、Mal−PEG3C2Mal−PEG6C2、MP、MPEG、SMCC、MBS、SMPT、LC−SPDP、BMPEO、SPP、またはSMPBを含む、実施形態47または48のいずれかに記載のコンジュゲート化合物。
[50] 前記リンカーが、ペプチドリンカーを含む、実施形態44に記載のコンジュゲート化合物。
[51] 前記リンカーが、ペプチドリンカーからなる、実施形態44に記載のコンジュゲート化合物。
[52] 前記ペプチドリンカーが、少なくとも2個のアミノ酸、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、または少なくとも100個のアミノ酸を含む、実施形態50または51のいずれかに記載のコンジュゲート化合物。
[53] 前記ペプチドリンカーが、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400、少なくとも500、少なくとも600、少なくとも700、少なくとも800、少なくとも900、または少なくとも1,000個のアミノ酸を含む、実施形態50または51のいずれかに記載のコンジュゲート化合物。
[54] 前記ペプチドリンカーが、式、[(Gly)x−Sery]z(式中、xは1〜4であり、yは0または1であり、zは1〜50である)を有するペプチドを含む、実施形態50に記載のコンジュゲート化合物。
[55] 前記システイン操作抗体またはFc融合タンパク質が、少なくとも1つの標的に特異的に結合する、実施形態1〜54のいずれかに記載のコンジュゲート化合物。
[56] 前記標的が、タンパク質である、実施形態55に記載のコンジュゲート化合物。
[57] 前記標的が、非タンパク質である、実施形態55に記載のコンジュゲート化合物。
[58] 前記抗体、または抗体と同じ標的に結合するFc融合タンパク質が、アバゴボマブ、アバタセプト、アブシキシマブ、アダリムマブ、アデカツムマブ、アレムツズマブ、アルツモマブ、アフェリモマブ、アナツモマブマフェナトックス、アネツムマブ、アンルキズマブ、アポリズマブ、アルシツモマブ、アセリズマブ、アトリズマブ、アトロリムマブ、ピニューズマブ、バシリキシマブ、バビツキシマブ、ベクツモマブ、ベリムマブ、ベルチリムマブ、ベシレソマブ、ベバシズマブ、ビシロマブブラロバルビタール、ビバツヅマブメルタンシン、キャンパス、カナキヌマブ、カンツズマブメルタンシン、カプロマブ、カツマキソマブ、セデリズマブ、セルトリズマブペゴル、セツキシマブ、クレノリキシマブ、ダセツズマブ、ダクリキシマブ、ダクリズマブ、デノスマブ、デツモマブ、ドルリモマブアリトックス、ドルリキシズマブ、ダンツムマブ、デュリムルマブ、ドゥルムルマブ、エクロメキシマブ、エクリズマブ、エドバコマブ、エドレコロマブ、エファリツマブ、エフングマブ、エルシリモマブ、エンリモマブペゴール、エピツモマブシツキセタン、エファリツマブ、エピツモマブ、エピラツズマブ、エルリズマブ、エルツマキソマブ、エタネルセプト、エタラシズマブ、エキスビビルマブ、ファノレソマブ、ファラリモマブ、フェルビズマブ、フォントリズマブ、ガリキシマブ、ガンテネルマブ、ガビリモマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、ゴリムマブ、ゴミリキシマブ、イバリズマブ、イブリツモマブチウキセタン、イゴボマブ、イムシロマブ、インフリキシマブ、イノリモマブ、イノツズマブオゾガマイシン、イピリムマブ、イラツムマブ、ケリキシマブ、ラベツズマブ、レマレソマブ、レブリリズマブ、レルデリムマブ、レキサツムマブ、レキシツムマブ、リビビルマブ、リンツズマブ、ルカツムマブ、ルミリキシマブ、マパツムマブ、マスリモマブ、マツズマブ、メポリズマブ、メテリムマブ、ミラツズマブ、ミンレツモマブ、ミツモマブ、モロリムマブ、モタビズマブ、ムロモナブ、ナコロマブタフェナトックス、ナプツモマブエスタフェナトックス、ナタリズマブ、ネバクマブ、ネレリモマブ、ニモツズマブ、ノフェツモマブメルペンタン、オクレリズマブ、オズリモマブ、オファツムマブ、オマリズマブ、オレゴボマブ、オテリキシズマブ、パギバキシマブ、パリビズマブ、パニツマブ、パスコリズマブ、ペムツモマブ、ペルツズマブ、ペキセリズマブ、ピンツモマブ、プリリキシマブ、プリツムマブ、ラニビズマブ、ラキシバクマブ、レガビルマブ、レスリズマブ、リツキシマブ、ロベリズマブ、ルプリズマブ、サツモマブ、セビルマブ、シブロツズマブ、シプリズマブ、ソンツズマブ、スタムルマブ、スレソマブ、タカツズマブテトラキセタン、タドシズマブ、タリズマブ、タプリツモマブパプトキス、テフィバズマブ、テリモマブアリトックス、テネリキシマブ、テプリズマブ、チシリムマブ、トシリズマブ、トラリズマブ、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレメリムマブ、ツコツズマブセルモロイキン、ツビルマブ、ウルトキサズマブ、ウステキヌマブ、バパリキシマブ、ベルツズマブ、ベパリモマブ、ビシリズマブ、ボロシキシマブ、ボツムマブ、ザルツムマブ、ザノリムマブ、ジラリムマブ、およびゾリモマブアリトックスからなる群から選択される、実施形態55に記載のコンジュゲート化合物。
[59] 前記抗体、または抗体に由来する抗原結合領域を含むFc融合タンパク質が、アバゴボマブ、アバタセプト、アブシキシマブ、アダリムマブ、アデカツムマブ、アレムツズマブ、アルツモマブ、アフェリモマブ、アナツモマブマフェナトックス、アネツムマブ、アンルキズマブ、アポリズマブ、アルシツモマブ、アセリズマブ、アトリズマブ、アトロリムマブ、ピニューズマブ、バシリキシマブ、バビツキシマブ、ベクツモマブ、ベリムマブ、ベルチリムマブ、ベシレソマブ、ベバシズマブ、ビシロマブブラロバルビタール、ビバツヅマブメルタンシン、キャンパス、カナキヌマブ、カンツズマブメルタンシン、カプロマブ、カツマキソマブ、セデリズマブ、セルトリズマブペゴル、セツキシマブ、クレノリキシマブ、ダセツズマブ、ダクリキシマブ、ダクリズマブ、デノスマブ、デツモマブ、ドルリモマブアリトックス、ドルリキシズマブ、ダンツムマブ、デュリムルマブ、ドゥルムルマブ、エクロメキシマブ、エクリズマブ、エドバコマブ、エドレコロマブ、エファリツマブ、エフングマブ、エルシリモマブ、エンリモマブペゴール、エピツモマブシツキセタン、エファリツマブ、エピツモマブ、エピラツズマブ、エルリズマブ、エルツマキソマブ、エタネルセプト、エタラシズマブ、エキスビビルマブ、ファノレソマブ、ファラリモマブ、フェルビズマブ、フォントリズマブ、ガリキシマブ、ガンテネルマブ、ガビリモマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、ゴリムマブ、ゴミリキシマブ、イバリズマブ、イブリツモマブチウキセタン、イゴボマブ、イムシロマブ、インフリキシマブ、イノリモマブ、イノツズマブオゾガマイシン、イピリムマブ、イラツムマブ、ケリキシマブ、ラベツズマブ、レマレソマブ、レブリリズマブ、レルデリムマブ、レキサツムマブ、レキシツムマブ、リビビルマブ、リンツズマブ、ルカツムマブ、ルミリキシマブ、マパツムマブ、マスリモマブ、マツズマブ、メポリズマブ、メテリムマブ、ミラツズマブ、ミンレツモマブ、ミツモマブ、モロリムマブ、モタビズマブ、ムロモナブ、ナコロマブタフェナトックス、ナプツモマブエスタフェナトックス、ナタリズマブ、ネバクマブ、ネレリモマブ、ニモツズマブ、ノフェツモマブメルペンタン、オクレリズマブ、オズリモマブ、オファツムマブ、オマリズマブ、オレゴボマブ、オテリキシズマブ、パギバキシマブ、パリビズマブ、パニツマブ、パスコリズマブ、ペムツモマブ、ペルツズマブ、ペキセリズマブ、ピンツモマブ、プリリキシマブ、プリツムマブ、ラニビズマブ、ラキシバクマブ、レガビルマブ、レスリズマブ、リツキシマブ、ロベリズマブ、ルプリズマブ、サツモマブ、セビルマブ、シブロツズマブ、シプリズマブ、ソンツズマブ、スタムルマブ、スレソマブ、タカツズマブテトラキセタン、タドシズマブ、タリズマブ、タプリツモマブパプトキス、テフィバズマブ、テリモマブアリトックス、テネリキシマブ、テプリズマブ、チシリムマブ、トシリズマブ、トラリズマブ、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレメリムマブ、ツコツズマブセルモロイキン、ツビルマブ、ウルトキサズマブ、ウステキヌマブ、バパリキシマブ、ベルツズマブ、ベパリモマブ、ビシリズマブ、ボロシキシマブ、ボツムマブ、ザルツムマブ、ザノリムマブ、ジラリムマブ、およびゾリモマブアリトックスからなる群から選択される、実施形態55に記載のコンジュゲート化合物。
[60] 前記標的が細菌抗原であり、前記異種部分が抗細菌剤である、実施形態55に記載のコンジュゲート化合物。
[61] 前記標的がウイルス抗原であり、前記異種部分が抗ウイルス剤である、実施形態55に記載のコンジュゲート化合物。
[62] 前記標的が腫瘍抗原であり、前記異種部分が抗腫瘍剤である、実施形態55に記載のコンジュゲート化合物。
[63] 前記標的が真菌抗原であり、前記異種部分が抗真菌剤である、実施形態55に記載のコンジュゲート化合物。
[64] 前記標的が寄生生物抗原であり、前記異種部分が抗寄生虫薬である、実施形態55に記載のコンジュゲート化合物。
[65] 前記標的がマイコプラズマ抗原であり、前記異種部分が抗マイコプラズマ剤である、実施形態55に記載のコンジュゲート化合物。
[66] 前記標的が分化または組織適合性抗原であり、前記異種部分が細胞毒性薬である、実施形態55に記載のコンジュゲート化合物。
[67] 前記システイン操作抗体またはFc融合タンパク質が、
(i)前記親抗体またはその断片の位置258におけるシステインアミノ酸置換、および前記親抗体またはその断片のKabat位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入;
(ii)前記親抗体の位置289におけるシステインアミノ酸置換、および前記親抗体の位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入;
(iii)前記親抗体の位置339におけるシステインアミノ酸置換、および前記親抗体の位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入;
(iv)前記親抗体またはその断片の位置435におけるシステインアミノ酸置換、および前記親抗体またはその断片のKabat位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入;
(v)前記親抗体またはその断片の位置442におけるシステインアミノ酸置換、および前記親抗体またはその断片のKabat位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入;
(vi)前記親抗体の位置258の第1のシステインアミノ酸置換、および前記親抗体の位置289の第2のシステインアミノ酸置換;
(vii)前記親抗体の位置258の第1のシステインアミノ酸置換、および前記親抗体の位置339の第2のシステインアミノ酸置換;
(viii)前記親抗体またはその断片の位置258の第1のシステインアミノ酸置換、および前記親抗体またはその断片のKabat位置435の第2のシステインアミノ酸置換;
(ix)前記親抗体またはその断片の位置258の第1のシステインアミノ酸置換、および前記親抗体またはその断片のKabat位置442の第2のシステインアミノ酸置換;(x)前記親抗体の位置435の第1のシステインアミノ酸置換、および前記親抗体の位置289の第2のシステインアミノ酸置換;
(xi)前記親抗体の位置435の第1のシステインアミノ酸置換、および前記親抗体の位置339の第2のシステインアミノ酸置換;
(xii)前記親抗体またはその断片の位置435の第1のシステインアミノ酸置換、および前記親抗体またはその断片のKabat位置442の第2のシステインアミノ酸置換;
(xiii)前記親抗体の位置258および289におけるシステインアミノ酸置換、および前記親抗体の位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入;
(xiv)前記親抗体の位置258および339におけるシステインアミノ酸置換、および前記親抗体の位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入;
(xv)前記親抗体の位置258および435におけるシステインアミノ酸置換、および前記親抗体の位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入;
(xvi)前記親抗体の位置258および442におけるシステインアミノ酸置換、および前記親抗体の位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入;
(xvii)前記親抗体の位置289および339におけるシステインアミノ酸置換、および前記親抗体の位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入;
(xviii)前記親抗体の位置339および435におけるシステインアミノ酸置換、および前記親抗体の位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入;および
(xix)前記親抗体の位置435および442におけるシステインアミノ酸置換、および前記親抗体の位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入
から選択される操作システインの二つ組または三つ組を含み、アミノ酸位置の番号付与がKabatに記載のEU指針に準拠する、実施形態1〜66のいずれかに記載のコンジュゲート化合物。
[68] 実施形態1に記載のシステイン操作抗体またはFc融合タンパク質をコードする、核酸。
[69] 実施形態68に記載の核酸を含む、ベクター。
[70] 実施形態68に記載の核酸または実施形態69に記載のベクターを含む、宿主細胞。
[71] 実施形態1〜67のいずれかに記載のコンジュゲート化合物と、希釈剤、担体、または賦形剤とを含む製剤。
[72] 実施形態1〜67のいずれかに記載のコンジュゲート化合物と、薬学的に許容可能な希釈剤、担体、または賦形剤とを含む医薬製剤。
[73] 実施形態71に記載の医薬製剤;容器;および添付文書またはラベルを含む製造品。
[74] (i)位置258、または435において、少なくとも1つのコドンをシステイン(C)アミノ酸をコードするコドンで置換することで、または位置239および240のアミノ酸をコードするコドンの間にシステイン(C)をコードするコドンを挿入することで、抗体またはFc融合タンパク質をコードする少なくとも1つの核酸配列を変異誘発するステップと、
(ii)前記システイン操作抗体またはFc融合タンパク質を発現させるステップと;
(iii)前記システイン操作抗体またはFc融合タンパク質を単離するステップと;
(iv)前記システイン操作抗体またはFc融合タンパク質の少なくとも1つの操作システイン基を異種部分と反応させるステップと
を含み、アミノ酸位置の番号付与がKabatに記載のEU指針に準拠する、実施形態1〜67のいずれかに記載のコンジュゲート化合物を作成する方法。
[75] (i)可変重鎖領域または異種タンパク質をコードする核酸配列をFc領域タンパク質をコードする核酸配列に作動可能に連結するステップであって、Fc領域タンパク質をコードする核酸配列が、
(a)アミノ酸位置の番号付与がKabatに記載のEU指針に準拠する、アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439のシステインをコードし、または位置239および240のアミノ酸をコードするコドンの間に挿入される(interted)、少なくとも1つのコドンまたは
(b)アミノ酸位置の番号付与がKabatに記載のEU指針に準拠する、少なくともアミノ酸位置241、243、251、253、258、264、271、285、288、291、296、301、307、309、311、329、385、387、433、または435の、または位置239および240のアミノ酸をコードするコドンの間に挿入された、システインをコードするコドン;または
(c)アミノ酸位置の番号付与がKabatに記載のEU指針に準拠する、アミノ酸位置258、または435でシステインをコードする少なくとも1つのコドン、または位置239および240のアミノ酸をコードするコドンの間に挿入される少なくとも1つのコドン
を含むステップと;
(ii)前記システイン操作抗体またはFc融合タンパク質を発現させるステップと;
(iii)前記システイン操作抗体またはFc融合タンパク質を単離するステップと;
(iv)前記システイン操作抗体またはFc融合タンパク質の少なくとも1つの操作システイン基を異種部分と反応させるステップと
を含む、実施形態1〜67のいずれかに記載のコンジュゲート化合物を作成する方法。
[76] 変異誘発するステップが、部位特異的変異誘発を含む、実施形態74または75に記載の方法。
[77] (a)細胞を実施形態1〜67のいずれかに記載のコンジュゲート化合物に曝露させるステップと;
(b)前記コンジュゲート化合物と標的細胞との結合程度を判定するステップと
を含む、実施形態1〜67のいずれかに記載のコンジュゲート化合物と標的細胞との結合を検出するためのアッセイ(方法)。
[78] 実施形態1〜67のいずれかに記載のコンジュゲート化合物をそれを必要とする対象に投与するステップを含む、それを必要とする対象において、がん、自己免疫、炎症性、または伝染性疾患または障害を検出する方法。
[79] 実施形態1〜67のいずれかに記載のコンジュゲート化合物をそれを必要とする対象に投与するステップを含む、それを必要とする対象において、がん、自己免疫、炎症性、または伝染性疾患または障害を治療する方法。
[80] 化学療法、生物学的療法、免疫療法、放射線療法、ホルモン療法、および外科手術からなる群から選択される、追加的な治療を投与するステップをさらに含む、実施形態78に記載の方法。
[81] 細胞を実施形態1〜67のいずれかに記載のコンジュゲート化合物で処理するステップを含む、前記細胞に異種部分を送達する方法。
[82] 前記コンジュゲート化合物が、前記細胞によって内在化される、実施形態80に記載の方法。
[83] 少なくとも70%のコンジュゲート化合物が、3日間の血清培養後に無傷である、実施形態1〜67のいずれかに記載のコンジュゲート化合物。
[84] 少なくとも70%のコンジュゲート化合物が、7日間の血清培養後に無傷である、実施形態1〜67のいずれかに記載のコンジュゲート化合物。
[85] 血清と共に培養した際に、前記コンジュゲートが、7日間の期間にわたり50%未満の活性喪失を示す、実施形態1〜67、83または84のいずれかに記載のコンジュゲート化合物。
[86] 前記血清が、齧歯類血清、イヌ血清、霊長類血清、およびヒト血清から選択される、実施形態83、84または85に記載のコンジュゲート化合物。
[87] 前記培養が4℃〜37℃で実施される、実施形態68または69に記載のコンジュゲート化合物。
[88] 活性が、細胞死滅アッセイ中で判定される、実施形態85〜87のいずれかに記載のコンジュゲート化合物。
[89] システイン操作抗体またはFc融合タンパク質の少なくとも1つの操作システイン基を異種部分と反応させるステップを含み、前記抗体のFcドメインまたはFc融合タンパク質が、アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、269、271、272、274、280、281、285、288、291、293、294、296、301、307、309、311、318、329、340、341、345、357、385、386、387、401、402、411、417、433、435、または439におけるシステインアミノ酸置換、位置239および240間のシステインアミノ酸挿入、およびそれらの組み合わせから選択される、少なくとも1つの操作システインアミノ酸を含み、前記アミノ酸位置番号付与がKabatに記載のEU指針に準拠する、コンジュゲート化合物を作成する方法。
[90] 前記操作システインアミノ酸が、アミノ酸位置241、243、251、253、258、264、271、285、288、291、296、301、307、309、311、329、385、387、433、または435におけるシステインアミノ酸置換、位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入、およびそれらの組み合わせから選択され、前記アミノ酸位置の番号付与がKabatに記載のEU指針に準拠する、実施形態84に記載の方法。
[91] 前記操作システインアミノ酸が、アミノ酸位置258、または435におけるシステインアミノ酸置換、位置239および240の間のシステインアミノ酸挿入、およびそれらの組み合わせから選択され、前記アミノ酸位置の番号付与がKabatに記載のEU指針に準拠する、実施形態84に記載の方法。
[92] 前記コンジュゲーション効率が、アミノ酸位置289にシステインアミノ酸置換を有する異種部分に、同等のシステイン操作抗体またはFc融合タンパク質の操作システイン基を反応させて得られる値の少なくとも50%であり、前記アミノ酸位置の番号付与がKabatに記載のEU指針に準拠する、実施形態84〜86のいずれかに記載の方法。
[93] 前記コンジュゲーション効率が、アミノ酸位置289にシステインアミノ酸置換を有する異種部分に、同等のシステイン操作抗体またはFc融合タンパク質の操作システイン基を反応させて得られる値の100%を上回り、前記アミノ酸位置の番号付与がKabatに記載のEU指針に準拠する、実施形態84〜86のいずれかに記載の方法。