特許第6686046号(P6686046)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6686046
(24)【登録日】2020年4月3日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】高性能炭素繊維
(51)【国際特許分類】
   F16D 65/12 20060101AFI20200413BHJP
   D01F 9/22 20060101ALI20200413BHJP
   D06M 10/00 20060101ALI20200413BHJP
   D06M 11/73 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
   F16D65/12 U
   D01F9/22
   D06M10/00 A
   D06M11/73
   F16D65/12 M
【請求項の数】13
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-556980(P2017-556980)
(86)(22)【出願日】2016年4月25日
(65)【公表番号】特表2018-517873(P2018-517873A)
(43)【公表日】2018年7月5日
(86)【国際出願番号】US2016029195
(87)【国際公開番号】WO2016176143
(87)【国際公開日】20161103
【審査請求日】2018年10月29日
(31)【優先権主張番号】14/699,886
(32)【優先日】2015年4月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501348092
【氏名又は名称】グッドリッチ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】ルー,ウェイミン
(72)【発明者】
【氏名】シーハン,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】マルティネス サード,モデスト
(72)【発明者】
【氏名】リンク,ジョン
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−116999(JP,A)
【文献】 特表平11−505890(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 65/12
D01F 9/22
D06M 10/00
D06M 11/73
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
離陸中止(RTO)性能を改良する方法であって、
繊維結晶方位(CO)の改良プロセスを含まない第1の製造プロセスを使用して製造された、第1の高密度化された予備成形体を提供することと、
繊維結晶方位(CO)の改良プロセスを含む以外は前記第1の製造プロセスと同じである第2の製造プロセスを使用して製造された、第2の高密度化された予備成形体を提供することと、
RTO状態における前記第1の高密度化された予備成形体の第1の摩擦係数を測定することと、
前記RTO状態における前記第2の高密度化された予備成形体の第2の摩擦係数を測定することであって、前記第2の摩擦係数が前記第1の摩擦係数よりも大きい、前記測定することと、
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記第2の製造プロセス中に第2の繊維COの改良プロセスを行うことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の製造プロセス中に第3の繊維COの改良プロセスを行うことをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記繊維COの改良プロセスが、溶融紡糸、エアギャップ紡糸、または湿式ジェット紡糸のうちの少なくとも1つを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の繊維COの改良プロセスが、溶融紡糸、エアギャップ紡糸、または湿式ジェット紡糸のうちの少なくとも1つを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法を使用して製造された炭素/炭素ブレーキディスク。
【請求項7】
維結晶方位(CO)の改良プロセスを経た炭素繊維を含む炭素/炭素ブレーキディスクであって、前記炭素繊維が、離陸中止状態に応じて、前記繊維結晶方位(CO)の改良プロセスを経なかった炭素繊維よりも大きい摩擦係数を有する、前記炭素/炭素ブレーキディスク。
【請求項8】
前記炭素繊維が、自らの中に沈着した炭素マトリックスを含む、請求項に記載の炭素/炭素ブレーキディスク。
【請求項9】
前記離陸中止状態が、少なくとも1,000ft lbsの発揮トルクを含む、請求項に記載の炭素/炭素ブレーキディスク。
【請求項10】
前記炭素/炭素ブレーキディスクが航空機ブレーキに設置される、請求項に記載の炭素/炭素ブレーキディスク。
【請求項11】
前記炭素マトリックスが、化学気相含浸プロセスまたは樹脂含浸プロセスのうちの少なくとも1つを介して沈着される、請求項に記載の炭素/炭素ブレーキディスク。
【請求項12】
前記炭素繊維が軸平面を有し、前記COが前記軸平面に沿ったずれとして測定される、請求項に記載の炭素/炭素ブレーキディスク。
【請求項13】
前記COが、広角x線回折を使用して測定される、請求項12に記載の炭素/炭素ブレーキディスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、高性能炭素繊維を含む炭素/炭素ブレーキディスク、炭素/炭素ブレーキディスクを製造する方法、離陸中止(RTO)性能を改良する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
離陸中止(RTO)状態は、航空機が離陸中にパイロットの離陸中断に応じてブレーキングを適用する状態を指すことができる。RTO状態の間、航空機ブレーキには大量のトルクが適用され、これによって大量の熱が生成され、よって温度増加がもたらされる。RTO状態の間に経るこの温度増加によって、航空機ブレーキングシステムにおける炭素/炭素(C/C)ブレーキディスクの摩擦係数が、所望でない程度には大きく低下しないことが重要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
様々な実施形態によれば、80%から100%の間の結晶方位(CO)と、離陸中止状態に応じて0.183を超える摩擦係数とを有する炭素繊維を含む、炭素/炭素ブレーキディスクを備えたシステムが開示される。
【0004】
様々な実施形態によれば、炭素/炭素ブレーキディスクを製造する方法であって、酸化炭素繊維前駆体から繊維性ネットワークを形成することと、酸化炭素繊維前駆体を加熱することによって酸化炭素繊維前駆体を炭化させて炭素繊維を形成することとを含み、この炭素繊維が、80%から100%の間の結晶方位(CO)と、離陸中止状態に応じて0.183を超える摩擦係数とを有する、方法、を含む前記方法が開示される。
【0005】
様々な実施形態によれば、離陸中止(RTO)性能を改良する方法であって、結晶方位(CO)の改良プロセスを含まない第1の製造プロセスを使用して、第1の高密度化された予備成形体を製造することと、結晶方位(CO)の改良プロセスを含む以外は第1の製造プロセスと同じである第2の製造プロセスを使用して、第2の高密度化された予備成形体を製造することと、RTO状態における第1の高密度化された予備成形体の第1の摩擦係数を測定することと、RTO状態における第2の高密度化された予備成形体の第2の摩擦係数を測定することとを含み、ここで、第2の摩擦係数が第1の摩擦係数よりも大きい、方法。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】様々な実施形態による、様々な結晶方位(CO)を有する炭素繊維の概略図である。
図2】様々な実施形態による、様々なCOを有する炭素繊維の概略図である。
図3】様々な実施形態による炭素繊維の生成を例示したものである。
図4】様々な実施形態による広角のX線回折リグを例示したものである。
図5】様々な実施形態によるマルチディスクブレーキを例示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書に開示の全ての範囲及び比率の限界値は、組み合わせることができる。別段の具体的記述がない限り、「a」、「an」、及び/または「the」に対する言及は1つまたは2つ以上を含み得、また、ある項目に対する単数形での言及が複数形の品目も含み得ることを理解されたい。
【0008】
本明細書における代表的な実施形態の詳細な説明は、例示による代表的な実施形態及び最良の態様を示す付属図面を参照するが、これは限定的なものではない。これらの代表的な実施形態は、当業者が本発明を実施することができるようにするために十分に詳細に記載されるが、他の実施形態も実現され得、かつ本発明の趣旨と範囲から逸脱することなく論理的、化学的、及び機械的な変更がされ得ることを理解されたい。例えば、方法またはプロセスの記載のいずれかで列挙されたステップは、任意の順序で実行することができ、かつ必ずしも提示された順序に限定されることはない。さらに、機能またはステップの多くは、1つ以上のサードパーティーに外部委託しても1つ以上のサードパーティーが行ってもよい。さらに、単数の実施形態が言及される場合には複数の実施形態が含まれ、2つ以上の構成材料またはステップが言及される場合には単数の実施形態またはステップが含まれ得る。また、取り付けられた、固定された、接続された等と言及される場合には、恒久的な、取り外し可能な、一時的な、部分的な、完全な、及び/または他のあらゆる取り付けの選択肢が含まれ得る。加えて、接触なしで(または類似のフレーズ)と言及される場合には、緩やかな接触または最低限の接触も含まれ得る。
【0009】
フリクションディスクの形態における炭素/炭素部分(「C/C」)(炭素/炭素ブレーキディスクとも呼ばれる)は、航空機のブレーキディスク用、レーシングカーのブレーキ用、及びクラッチディスク用に、一般的に使用されている。炭素/炭素ブレーキディスクは、C/C材料の優れた高温特性により、これらの用途で特に有用である。特に、C/C部分で使用される炭素/炭素材料は良好な熱伝導体であり、ブレーキング中に生じた熱をブレーキ表面外に散逸させることができる。炭素/炭素材料は熱損傷に対する抵抗性も高く、したがって、摩擦係数を著しく低下させることなく、または機械的破損なしで、過酷なブレーキング中にブレーキ表面間の摩擦を持続させることができる。
【0010】
C/C材料を製造する一方法は、酸化ポリアクリロニトリル(PAN)または炭素繊維予備成形体を製作し、次に炭化させ、化学気相含浸法(CVI)で高密度化させることを伴う。CVIサイクルは、所望の場合、含浸サイクル間の予備成形体の機械加工を伴いながら、所望の部分密度が達成されるまで継続される。
【0011】
図3を参照すると、炭素繊維生成ライフサイクル300が示されている。アクリロニトリル302は、付加重合303で処理してPAN304を生成することができる。PAN304は、200℃から400℃の間(392°Fから752°Fの間)での酸化安定化によって酸化して、酸化PAN繊維(OPF)306を生成することができる。PAN304及びOPF306は、炭素繊維前駆体と呼ぶことができる。OPF306は、不活性環境における1,000℃(1,832°F)以上での炭化/グラファイト化308を経て、炭素繊維310を形成することができる。炭素繊維310は、グラフェンのシートとして構築されてもよい。
【0012】
概して、OPF、炭化、及びCVI高密度化法を使用して生成されるC/C部分は、3つの連続的製造ステップにおいて作製される。第1に、様々な織物の製造手法を利用して繊維性予備成形体が作製される。通常、繊維性予備成形体は、OPFまたは炭素繊維から作製される。OPFから繊維性予備成形体を作製することに関し、多数の手法が当技術分野で知られているが、共通の手法としては、OPFの層の上にさらにOPFの層を重ねることを伴う。次に、追加された層に、バーブ付の織物用針で層に対し垂直に針を通すことができる。このニードリングプロセスによって、繊維性層に対し垂直に延びる繊維性予備成形体を通じて、一連のz繊維が生じる。z繊維は、針が層内(x−y平面または平面)から繊維を押し出し、繊維をz方向(厚さ方向)に再配向させる動きによって生じる。繊維性予備成形体のニードリングは、1つ以上の層がスタックに加えられる際に、またはスタック全体が形成された後に行うことができる。針は、予備成形体の一部のみを貫通してもよく、あるいは予備成形体全体を貫通してもよい。加えて、樹脂が繊維性予備成形体に加えられる場合もあり、これは、構築後に予備成形体に樹脂を注入するか、または繊維性予備成形体を形成する前に繊維または層をコーティングすることによって行われる。また繊維性予備成形体は、ピッチベースの炭素繊維トウ及び/またはリグニン炭素繊維トウから作製することもできる。
【0013】
繊維性予備成形体を作製した後、炭化/グラファイト化308におけるように炭化させ、OPFから炭素繊維に変換する。通常、繊維性予備成形体は、不活性雰囲気の加熱炉に予備成形体を入れることによって炭化する。当業者には十分理解されているように、加熱炉の熱は予備成形体から非炭素化学物質を取り去る化学変換をもたらす。炭化/グラファイト化308は、真空または部分真空で(例えば、1〜10ミリトルの圧力で)、または不活性雰囲気で、約1,400℃〜約2,800℃(2,552°F〜約5,072°F)の範囲の温度で行うことができ、様々な実施形態において約1,600℃〜約2,200℃(2,912°F〜約3,992°F)で、様々な実施形態において約1,600℃〜約2,500℃(2,912°F〜約4,532°F)で行うことができ(この文脈において、約(about)という用語は単に+/−100℃を意味する)、時間期間については約60時間以下、様々な実施形態において約10時間以下の範囲で行うことができる(この文脈において、約という用語は、単に+/−2時間を意味する)。概して、得られた予備成形体は、炭化前の繊維性予備成形体と同じ繊維性構造を有する。ただし、OPFは、100%の炭素または100%に非常に近い炭素、例えば95%の炭素〜99.9%の炭素に変換されている。得られた予備成形体は、繊維性ネットワークを有すると言うことができる。
【0014】
予備成形体が炭化された後、予備成形体は高密度化される。概して、高密度化は、追加の炭素材料で繊維性予備成形体の空隙、または細孔を満たすことを伴う。これは、炭化に使用したものと同じ加熱炉を使用して行っても異なる加熱炉を使用して行ってもよい。通常、多孔質の繊維性予備成形体を炭素マトリックスで高密度化するために化学気相含浸及び化学蒸着(「CVI/CVD」)の手法が使用される。一般的に、これは、加熱炉及び炭化した繊維性予備成形体を加熱することと、炭化水素ガス(例えば、本明細書に記載のように、メタン、エタン、プロパン、ブタン、及び/またはこれらに類するもののうちの少なくとも1つ)を加熱炉内に流し、繊維性予備成形体の周囲及びそれを通るように流すことと、を伴う。炭化水素は、アルカン、例えば、1個〜約8個の炭素原子、様々な実施形態において1個〜約6個の炭素原子、様々な実施形態において1個〜約3個の炭素原子、を有する直鎖、分枝鎖及び/または環状のアルカンを含むことができる。メタン、エタン、プロパン、シクロペンタン、またはこれらの2つ以上の混合物が使用され得る。ガスは、2個〜約8個の炭素原子、様々な実施形態において2個〜約6個の炭素原子、を有する1つまたは複数のアルカンを含むことができる。1個〜約8個の炭素原子を有する1つまたは複数のアルカンと2個〜約8個の炭素原子を有する1つまたは複数のアルケンとの混合物を使用してもよい。様々な実施形態において、繊維性予備成形体は、樹脂またはピッチ材料による含浸を経て自らの中にマトリックスを形成することができる。
【0015】
結果として、炭化水素ガスからの炭素はガスから分離し、繊維性予備成形体上及びその中に沈着する。高密度化ステップが完了すると、得られたC/C部分は繊維構造に含浸する炭素マトリックスを伴った炭素繊維構造を有し、これが「炭素/炭素」という名称の由来となっている。
【0016】
したがって、得られたC/C部分は、C/Cブレーキディスクと呼ぶことができる。C/Cブレーキディスクは、航空機ブレーキングシステムで使用することができる。図5を参照すると、航空機ブレーキングシステム、特にマルチディスクブレーキシステム20が例示されている。様々な実施形態において、マルチディスクブレーキシステム20は、航空機のホイールの速度を低下させるために使用することができる。A軸、R軸、C軸は、軸方向(A)、径方向(R)及び円周方向(C)を例示するために図面に含められている。システムは、車軸12を中心に回転するためにベアリング14によって支持されているホイール10を含むことができる。ホイール10は、タイヤを支持するためのリム16及び、軸方向に延びる一連のロータースプライン18(1つが例示されている)を含む。ホイール10の回転は、ディスクブレーキシステム20によって調節される。ディスクブレーキシステム20は、トルクフランジ22、トルク管24、複数のピストン26(1つが例示されている)、圧力プレート30、及びエンドプレート32を含む。トルク管24は、反応プレート34及び軸方向に延びる一連のステータースプライン36(1つが例示されている)を含む、細長い環状構造である。反応プレート34及びステータースプライン36は、図5に示されるようにトルク管24と一体化していてもよく、あるいは別個の構成要素として取り付けられていてもよい。
【0017】
また、ディスクブレーキシステム20は、C/Cブレーキディスクを含み得る複数のフリクションディスク38も含む。複数のフリクションディスク38は、少なくとも1つの非回転式フリクションディスク40(ステーターとしても知られる)及び、少なくとも1つの回転式フリクションディスク42(ローターとしても知られる)を含む。フリクションディスク38の各々は取り付け式構造を含む。図5に示されるように、4つの非回転式フリクションディスク40の各々が、非回転式フリクションディスク40の周りの円周方向に離間した位置に、取り付け式構造としての複数のステーターラグ44を含む。同様に、5つの回転式フリクションディスク42の各々が、回転式フリクションディスク42の周りの円周方向に離間した位置に、取り付け式構造としての複数のローターラグ46を含む。図5に示されるように、圧力プレート30、エンドプレート32、フリクションディスク38は全て、炭素複合材料(すなわち、C/Cブレーキディスクと呼ぶことができるC/C材料)から少なくとも部分的に作製される環状構造である。
【0018】
トルクフランジ22は、車軸12にマウントされている。トルク管24は、反応プレート34がホイール10の軸方向中心に近いように、トルクフランジ22にボルト留めされる。エンドプレート32は、ホイール10の軸方向中心から軸方向に離れて面する反応プレート34の表面に接続している。したがって、エンドプレート32は、トルク管24との接続によって非回転式である。ステータースプライン36は、圧力プレート30も非回転式であるように圧力プレート30を支持している。ステータースプライン36は、非回転式フリクションディスク40も支持している。非回転式フリクションディスク40は、ステーターラグ44間に形成された間隙によってステータースプライン36と係合している。同様に、回転式フリクションディスク42は、ローターラグ46間に形成された間隙によってロータースプライン18と係合している。したがって、回転式フリクションディスク42は、ホイール10のロータースプライン18との係合によって回転式である。
【0019】
図5に示されるように、回転式フリクションディスク42はエンドプレート32と共に一方の端部に配置され、圧力プレート30は他方の端部に配置され、非回転式フリクションディスク40は、回転式フリクションディスク42が非回転式摩擦構成要素に隣接するように交互配置される。ピストン26は、トルクフランジ22の周りの円周方向に離間した位置で、トルクフランジ22に接続している。ピストン26は、ホイール10の方に軸方向に面しており、回転式フリクションディスク42と反対側の圧力プレート30の側面に接触するパック52を含む。ピストン26は、電気、水圧、または空気圧によって動力供給することができる。
【0020】
マルチディスクブレーキシステム20のような航空機ブレーキングシステムは、航空機が地上にある間、例えば着陸中に、航空機の速度を落とすために使用することができる。通常、航空機ブレーキングシステムは規制により、RTO状態に耐えるように設計される。RTO状態は、航空機が離陸中にパイロットの離陸中断に応じてブレーキを適用する状態を指すことができる。RTO状態は、逆スラスト装置の使用による利益を伴わない最大積載状態の航空機(すなわち、最大定格重量を運ぶ航空機)が関係する場合がある。その点において、RTO状態は、航空機ブレーキングシステムに対する大量のトルク適用を伴う場合がある。例えば、RTO状態の間、マルチディスクブレーキシステム20は1,000lbs ft超のトルク、様々な実施形態においては20,000lbs ft超のトルクを発揮し得る。
【0021】
RTO状態は、ダイナモメーターを使用してシミュレートすることができる。マルチディスクブレーキシステム20のような航空機ブレーキングシステムは、ダイナモメーターに機械的につなぐことができる。ダイナモメーターは、航空機と同等またはほぼ同等の積載におけるRTO前の航空機ホイールの速度をシミュレートすることができる。次に、航空機ブレーキングシステムを作動してブレーキングトルクを発揮することができる。シミュレーション中に、C/Cブレーキディスクの摩擦係数(通常ミュー(□)というギリシャ文字で呼ばれる)を決定することができる。理解され得るように、従来のシステムでは、摩擦係数は積載量及び熱が増加するにつれて減少する傾向がある。
【0022】
RTO状態の間に許容できる摩擦係数を維持する能力は、RTO性能の尺度とすることができ、この能力は航空機ブレーキングシステム開発にとって重要である。したがって、RTO状態下で許容できる摩擦係数を有するC/Cブレーキディスクが望ましい。
【0023】
上で論じられているように、炭素繊維は、所与の平面について様々なレベルのアライメントを有するグラフェンシートからなることができる。図1を参照すると、xy平面についての様々なレベルのアライメントを有する、様々な実施形態による炭素繊維100が示されている。言い換えれば、炭素繊維100は、xy平面についての様々なレベルのアライメントをz方向に沿って示している。炭素繊維において、x方向は炭素繊維の長さとすることができる。例えば、炭素繊維が幾何学的に円筒状である場合、x方向は軸方向と考えられ得る。アライメントの例としては、ポイント102において、炭素繊維100のグラフェンシートは、xy平面に沿って整列し、z方向に重なっている。しかし、ポイント104においては、グラフェンシートは、xy平面に対し第1の角度でz方向に沿って配設される傾向にある。ポイント106においては、グラフェンシートは、xy平面に対し第2の角度(第1の角度は第2の角度よりも小さい)でz方向に沿って配設される傾向にある。ポイント108においては、グラフェンシートは、xy平面に対し第3の角度(第2の角度は第3の角度よりも小さい)でz方向に沿って配設される傾向にある。
【0024】
炭素繊維における、平面に対するアライメントの度合いは、結晶方位(CO)と呼ぶことができる。COは、xy平面に合わせて整列する所与の繊維におけるグラフェンシートの百分率として表現することができる。例えば、ポイント102においては、全てのグラフェンシートがxy平面に合わせて整列していることにより、COは100%である。しかし、ポイント104においては、グラフェンシートの一部がxy平面に第1の角度で整列しているため、COはわずか90%であり得る。そして、ポイント106においてCOは70%であり得、ポイント108においてCOは40%であり得る。
【0025】
図2を参照すると、代表的なCOの例示200が、2つの炭素繊維のサンプルについて示されている。サンプル202は、グラフェンシート206を例示している。サンプル202は、80%のCOを有する。サンプル204は、グラフェンシート208を例示している。サンプル204は、55%のCOを有する。その点において、サンプル202のグラフェンシート206は、一平面(ここでは水平面)に対して、サンプル204のグラフェンシート208よりも高い度合いのアライメントを有する。
【0026】
本発明者らは、高レベルのCOを有する炭素繊維がRTO性能の向上を示すことを見いだした。言い換えれば、高レベルのCOを有する炭素繊維がC/Cブレーキディスクに高密度化されると、低レベルのCOを有する炭素繊維よりも大きい摩擦係数をRTO状態下で示す。本明細書で使用される場合、高レベルのCOは、80%〜100%、82%〜100%、87%〜100%、87%〜98%、87%〜95%、88%〜95%、及び90%〜99%とすることができる。さらに、本発明者らは、PAN繊維またはOPF繊維の製造中または製造後に(本明細書に記載の)1つ以上のCO改良プロセスを行うことで、得られる炭素繊維のCOレベルを改良することができ、この改良によって、1つ以上のCO改良プロセスなしで生成された炭素繊維に比較してRTO性能の向上が示されると考えられる。言い換えれば、従来のPAN繊維またはOPF繊維の製造プロセスは、得られる炭素繊維におけるCOレベルを増加させることによって改良することができる。例えば、従来のPAN繊維またはOPF繊維の製造プロセスは、58%のCOを有する炭素繊維をもたらし得る。PAN繊維またはOPF繊維の製造プロセスは、1つ以上のCO改良プロセスを加えることによって改良することができる。得られる炭素繊維は、65%以上のCOを有することができる。
【0027】
COの測定は、広角X線回折(広角XRDまたはWAXD)を使用して行うことができる。広角XRDは、ポリマーの結晶構造を調べるために使用することができる。概して、広角XRDは、目標に対しX線を投影すること及び、結果として発生する回折パターンを観察することを含み得る。例えば、d間隔は、広角XRDを使用して識別することができる。D間隔は、結晶構造の平面間の間隔として定義することができる。例えば、図1を少々参照すると、d間隔はグラフェンシートのz方向の間隔として考えることができる。
【0028】
例えば、図4を参照すると、様々な実施形態によるリグ400が、広角XRDでの使用のために示されている。支持カード402が、炭素繊維404の支持体として提供されている。支持カード402は、広角XRDと互換性のある任意の好適な硬質の構造を備えることができる。例えば、支持カード402は、頑丈な紙、厚紙、工作用紙、または他の硬質の紙製品を含むことができる。支持カード402は、任意の好適な形状をとることができ、例えば、支持カード402は、円形、正方形、長方形などであってもよい。図4に示される支持カード402は、長方形である。
【0029】
炭素繊維404は、支持カード402に固定することができる。示されるように、炭素繊維404は、支持カード402の長さ(L)にわたって配設されている。様々な実施形態において、Lは10mmから40mmの間である。炭素繊維404は、例えば、ポイント406で固定され、炭素繊維404が支持カード402に対し直角408となるように緩みなく張られる。炭素繊維404は、任意の好適な様式で支持カード402に取り付けられていてもよい。例えば、様々な実施形態において、炭素繊維404は、支持カード402に接着剤、ステープラー、紐、テープで留めるか、または別の方法で固定することができる。
【0030】
支持カード402は、X線源に近接して置くことができる。X線は、X線源から支持カード402に対し投影することができる。センサー、フィルム、または他の記録媒体が分析用にX線回折パターンをキャプチャーしてもよい。炭素繊維404のCOは、X線回折パターンから決定することができる。例えば、炭素繊維404の試験中に得られたX線回折パターンは、他の既知の参照値と比較することができる。例えば、グラファイトによって生じたWAXDパターンは、炭素繊維404のテスト中に得られたX線回折パターンと比較するために使用されてもよい。その点において、参照グラファイトと炭素繊維404との間の差は、COの計算に使用されてもよい。
【0031】
例えば、0.1542nmの波長のCu Ka照射を使用したRIGAKUA 18kW回転アノードX線発生装置で2次元広角X線回折(2DWAXD)の実験が行われた。X線のビームシュートは、繊維長さ方向に対し垂直である。R−AXIS−IVイメージプレートシステムが検出器として使用された。好適なパターンを得るための曝露時間は、各試験について20分〜40分であった。ピーク位置は、シリコン結晶を使用して較正した。2次元のパターンを1次元の粉末パターンに統合した。角度スキャン範囲は、約2度〜60度である。
【0032】
COを決定するために、Hermans一軸配向関数を使用することができる。Hermans一軸配向関数は、角度Φjzに関し、参照軸zに対するベクトルrjの平均配向を特定する。関数は、
【0033】
【数1】
【0034】
として表すことができる。
【0035】
その点において、f=1は、□=0方向における完全な配向に対応し、f=0はランダム配向に対応している。配向関数が直交軸について計算される場合、fa+fb+fc=0である。
【0036】
所与の結晶面(hkl)については、以下の方程式:
【0037】
【数2】
【0038】
によって、参照軸zに対する<cos2φhkl,z>の評価を行うことができる。
【0039】
従来の分析では、試験によるばらつきが大きくなる場合がある。しかし、本明細書に記載のプロセスを使用することによって、サンプル間のばらつきが減少する。このようにして、これからは確実に繊維の差を検出することができる。
【0040】
表1のサンプル1、2、3及び4は、4つの異なるC/Cブレーキディスクを表している。各サンプルのCOは、本明細書に記載のように広角XRDを介して算定された。次に各サンプルは、本明細書に記載のように予備成形体に形成され、CVIを介して高密度化された。各サンプルに対し行われたCVI手法は、同一またはほとんど同一であった。次に、各サンプルは、ダイナモメーター上でRTO状態のシミュレーションを受けた。各サンプルは、適用トルク荷重などの試験パラメーターが同一または実質的に同一であるという点において同じRTO状態の試験を受けた。表1は、各サンプルについてのCO値及び摩擦係数からなり、これらの値は織物の相違を説明するために標準化されている。示されるように、RTO状態下の摩擦係数はCO値と関係があることが示されている。
【0041】
【表1】
【0042】
本明細書に記載のように、炭素繊維のCOを増加させることは、C/Cブレーキディスクにとって有益である。その点において、COを改良するための炭素繊維生成にはいくつかのアプローチを使用することができる。様々な実施形態において、COの改良プロセスは、COの改良につながる炭化の前に、炭素繊維及び/または炭素繊維前駆体に対して行う任意のプロセスを含んでもよい。例えば、COの改良プロセスは、ポリマーアイソタクティシティ含量を増加させる方法、紡糸中の繊維延伸、繊維洗浄、乾燥、酸化及び/または炭化を調整する方法、ならびにポリマー分子量分布を小さくする方法を含んでもよい。様々な実施形態において、溶融紡糸、エアギャップ紡糸、または湿式ジェット紡糸のうちの少なくとも1つを含むCOの改良プロセスを、炭素繊維生成に使用してもよい。溶融紡糸においては、供給材料をバレルヒーターによって処理してギアポンプに送ることができる。ギアポンプは、炭素繊維前駆体繊維を押出するダイを供給してもよい。エアギャップ紡糸においては、炭素繊維前駆体繊維のトウを溶媒浴中で紡糸することができる。湿式ジェット紡糸においては、炭素繊維前駆体繊維のトウを溶媒浴中で紡糸し、紡糸口金を通じて送り、ジェット延伸することができる。炭素繊維前駆体繊維は、触媒担持気相成長によって形成することもできる。触媒担持気相成長は、触媒が介在する炭素繊維前駆体繊維の成長を伴う。様々な実施形態において、CO改良プロセスは、(上で論じられた炭化/グラファイト化308のような)炭化を1,600℃〜約2,500℃(2,912°F〜約4,532°F)で行うことを含んでもよい(この文脈において、約という用語は、単に+/−100℃を意味する)。
【0043】
様々な実施形態において、第1のCO改良プロセス及び第2のCO改良プロセスが炭素繊維前駆体に対して行われてもよい。その点において、1つ以上のCO改良プロセスが炭素繊維前駆体の製造中に使用されてもよい。このようにして、炭素繊維前駆体はCOの改良を経ることができる。第1のCO改良プロセス及び第2のCO改良プロセスを行うことによって、炭素繊維前駆体から生成される炭素繊維のCOが改良され得る。その点において、炭素繊維前駆体は、所与の製造プロセス(例えば、CO改良プロセスを含まない製造プロセス)、例えば、炭化後に55%のCOを有するような製造プロセスで作製されてもよい。ただし、所与の製造プロセスに、5%以上COを改良し得る1つ以上のCO改良プロセスを加えてもよい。
【0044】
システム及び方法が提供される。本明細書の発明を実施するための形態において、「様々な実施形態」、「一実施形態(one embodiment)」、「一実施形態(an embodiment)」、「例となる実施形態」などと言及された場合、記載された実施形態は特定の機構、構造、または特徴を含み得るが、いずれの実施形態も、必ずしも特定の機構、構造、または特徴を含むわけではない場合がある。さらに、このようなフレーズは、必ずしも同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の機構、構造、または特徴が、ある実施形態との関連で記載された場合、明示的に記載されているか否かにかかわらず、このような機構、構造、または特徴が他の実施形態との関連で影響を受けることは、当業者の知識の範囲内であることが提起される。本記載を読めば、代替的実施形態で本開示を実施する方法が当業者にとっては明白となろう。
【0045】
特定の実施形態に関する利益、その他の利点、問題への解決策が本明細書に記載されている。しかし、これらの利益、利点、問題への解決策、そして任意の利益、利点、または解決策を発生させ得るかまたはより顕著にさせ得る他の要素は、本発明における決定的な、必要とされる、または不可欠な機構または要素として解釈されるべきではない。したがって、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ制限され、そこで単数形の要素が言及される場合、明示的に記述されない限り「唯一」を意味するように意図されてはおらず、むしろ「1つ以上」を意味するように意図されている。さらに、「A、B、またはCのうちの少なくとも1つ」に類似するフレーズが特許請求の範囲で使用される場合、このフレーズは、ある実施形態ではAが単独で存在し得、ある実施形態ではBが単独で存在し得、ある実施形態ではCが単独で存在し得、あるいは単一の実施形態では要素A、B及びCの任意の組み合わせ、例えば、A及びB、A及びC、B及びC、またはA及びB及びC、が存在し得ることを意味するように解釈されることが意図されている。さらに、本開示におけるいずれの要素、構成要素、または方法ステップも、これらの要素、構成要素、または方法ステップが特許請求の範囲に明示的に列挙されているか否かにかかわらず、公共に供することは意図されていない。本明細書における請求項の要素は、その要素が「のための手段(means for)」というフレーズを用いて明示的に列挙されない限り、米国特許法112条(f)の下で解釈されるものとする。本明細書で使用される場合、「comprises(含む)」、「comprising(含む)」、またはこれらの任意の他のバリエーションは、非排他的な包含を網羅することが意図されており、そのため、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、または器具は、それらの要素のみを含むのではなく、明示的に収載されていない他の要素、またはこのようなプロセス、方法、物品、または器具に固有の他の要素を含んでもよい。
なお、好ましい、離陸中止(RTO)性能を改良する方法について、以下に記載する。
好ましい、離陸中止(RTO)性能を改良する方法は、
繊維結晶方位(CO)の改良プロセスを含まない第1の製造プロセスを使用して製造された、第1の高密度化された予備成形体を提供することと、
繊維結晶方位(CO)の改良プロセスを含む以外は前記第1の製造プロセスと同じである第2の製造プロセスを使用して製造された、第2の高密度化された予備成形体を提供することと、
RTO状態における前記第1の高密度化された予備成形体の第1の摩擦係数を測定することと、
前記RTO状態における前記第2の高密度化された予備成形体の第2の摩擦係数を測定することであって、前記第2の摩擦係数が前記第1の摩擦係数よりも大きい、前記測定することと、
を含む。
好ましくは、前記方法は、前記第2の製造プロセス中に第2の繊維COの改良プロセスを行うことをさらに含む。
好ましくは、前記方法は、前記第2の製造プロセス中に第3の繊維COの改良プロセスを行うことをさらに含む。
好ましくは、前記繊維COの改良プロセスが、溶融紡糸、エアギャップ紡糸、または湿式ジェット紡糸のうちの少なくとも1つを含む。
好ましくは、前記第2の繊維COの改良プロセスが、溶融紡糸、エアギャップ紡糸、または湿式ジェット紡糸のうちの少なくとも1つを含む。
好ましくは、前記方法を使用して製造された炭素/炭素ブレーキディスクである。
また、好ましい炭素/炭素ブレーキディスクについて、以下に記載する。
好ましい炭素/炭素ブレーキディスクは、前記繊維結晶方位(CO)の改良プロセスを経た炭素繊維を含む炭素/炭素ブレーキディスクであって、前記炭素繊維が、離陸中止状態に応じて、前記繊維結晶方位(CO)の改良プロセスを経なかった炭素繊維よりも大きい摩擦係数を有する。
好ましくは、前記炭素繊維が繊維性ネットワークに形成される。
好ましくは、前記繊維性ネットワークが、自らの中に沈着した炭素マトリックスを含む。
好ましくは、前記離陸中止状態が、少なくとも1,000ft lbsの発揮トルクを含む。
好ましくは、前記炭素/炭素ブレーキディスクが航空機ブレーキに設置される。
好ましくは、前記炭素マトリックスが、化学気相含浸プロセスまたは樹脂含浸プロセスのうちの少なくとも1つを介して沈着される。
好ましくは、前記炭素繊維が軸平面を有し、前記COが前記軸平面に沿ったずれとして測定される。
好ましくは、前記COが、広角x線回折を使用して測定される。
また、好ましい、炭素/炭素ブレーキディスクを製造する方法について、以下に記載する。
好ましくい炭素/炭素ブレーキディスクを製造する方法は、
繊維結晶方位(CO)の改良プロセスを使用して製造された酸化炭素繊維前駆体を提供することと、
前記酸化炭素繊維前駆体から繊維性ネットワークを形成することと、
前記酸化炭素繊維前駆体を加熱することによって前記酸化炭素繊維前駆体を炭化させて炭素繊維を形成することと、
を含む。
好ましくは、前記方法は、前記炭素繊維に対し化学気相含浸を行うことをさらに含む。
好ましくは、前記繊維COの改良プロセスが、溶融紡糸、エアギャップ紡糸、または湿式ジェット紡糸のうちの少なくとも1つを含む。
好ましくは、前記酸化炭素繊維前駆体が、触媒担持気相成長によって形成されたものである。
好ましくは、前記酸化炭素繊維前駆体が、炭素繊維前駆体を200℃〜400℃で熱処理することによって形成される。
好ましくは、前記化学気相含浸が、前記炭素繊維に対し炭素を沈着させる。
好ましくは、前記炭化が、1400℃から2800℃の間で発生する。
また、好ましい、離陸中止(RTO)性能を改良する方法について、以下に記載する。
離陸中止(RTO)性能を改良する方法は、
繊維結晶方位(CO)の改良プロセスを含まない第1の製造プロセスを使用して製造された、第1の高密度化された予備成形体を提供することと、
繊維結晶方位(CO)の改良プロセスを含む以外は前記第1の製造プロセスと同じである第2の製造プロセスを使用して製造された、第2の高密度化された予備成形体を提供することとを含み、
前記第2の高密度化された予備成形体の前記RTO状態における第2の摩擦係数が、前記第1の高密度化された予備成形体のRTO状態における第1の摩擦係数よりも大きい。
図1
図2
図3
図4
図5