(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
先ず、本発明に係る作業管理システム及び作業管理方法において用いられる作業機1について説明する。
図1は作業機1の全体の側面図を示しており、
図2は作業機1の後部の平面図を示している。
【0014】
作業機1は、走行車両2と作業装置3とを備えている。
走行車両2は、作業装置3を牽引しながら走行する車両である。本実施形態の場合、走行車両2はトラクタであるため、以下、走行車両2をトラクタ2として説明する。但し、走行車両2は、トラクタに限定されず、コンバインや田植機等の農業車両であっても、建設車両等であってもよい。また、走行車両2は、ピックアップトラックであってもよい、また、作業装置3は、走行車両2により牽引されることなく独立して走行可能なものであってもよい。
【0015】
先ず、トラクタ(走行車両)2の全体構成について説明する。
トラクタ2は、車体4と、走行装置5と、連結装置6と、を備えている。本発明の実施形態において、車体4に搭載された運転席7に着座した運転者の前側(
図1の左側)を前方、運転者の後側(
図1の右側)を後方、運転者の左側(
図1の手前側)を左方、運転者の右側(
図1の奥側)を右方として説明する。また、前後方向K1(
図1参照)に直交する方向である水平方向K2(
図2参照)を車両幅方向として説明する。
【0016】
車体4は、車体フレーム8と、クラッチハウジング9と、ミッションケース10とを有している。車体フレーム5は、車体4の前後方向に延びている。車体フレーム5には、内燃機関11が搭載されている。本実施形態の場合、内燃機関11はエンジン11であり、詳しくはディーゼルエンジンである。エンジン11は、車体フレーム5に搭載されて車体4の前部に配置されている。クラッチハウジング9は、エンジン11の後部に連設されており、クラッチを収容している。ミッションケース10は、クラッチハウジング9の後部に連結されて後方に延びている。ミッションケース10は、後述する変速装置13や後輪デフ装置14等を収容している。ミッションケース10の後部には、後述する構造体25を介して発電機15が装着されている。
【0017】
走行装置5は、車体4の前部に設けられた前輪5Fと、車体4の後部に設けられた後輪5Rとを有している。前輪5Fは、車体フレーム8に支持されている。後輪5Rは、後輪デフ装置14の出力軸に支持されている。走行装置5は、本実施形態の場合はタイヤ型であるが、クローラ型であってもよい。
連結装置6は、圃場等に対して作業を行う作業装置3をトラクタ2の後部に連結するための装置である。本実施形態の場合、連結装置6は3点リンク機構を含んでいる。本実施形態における連結装置6の具体的構成については後述する。但し、連結装置6の構成は、作業装置3を走行車両2の後部に連結可能な構成であれば特に限定されない。例えば、走行車両2がピックアップトラックの場合、連結装置6は3点リンク機構以外の機構によって作業装置3を連結する。
【0018】
連結装置6に連結される作業装置3の種類は特に限定されず、例えば、肥料や薬剤等の散布物を散布する散布装置や、農作物等の種を圃場に播く播種装置、耕耘する耕耘装置、収穫を行う収穫装置、牧草等の刈取を行う刈取装置、牧草等の拡散を行う拡散装置、牧草等の集草を行う集草装置、牧草等の成形を行う成形装置等である。なお、
図1,
図2では、作業装置3として散布装置を取り付けた例を示している。
【0019】
トラクタ2は、当該トラクタ2を駆動するエンジン11からの動力を、作業装置等に伝達するためのPTO軸19を備えている。PTO軸19は、ミッションケース10から後方に向けて突出している。
図3は、エンジン11と変速装置13の動力伝達系を示している。
図3に示すように、変速装置13は、主軸(推進軸)13aと、主変速部13bと、副変速部13cとを備えている。推進軸13aは、変速装置13のハウジングケースに回転自在に支持され、当該推進軸13aには、エンジン11のクランク軸からの動力が伝達される。主変速部13bは、複数のギア及び当該ギアの接続を変更するシフタを有している。主変速部13bは、複数のギアの接続(噛合)をシフタで適宜変更することによって、推進軸13aから入力された回転速度を変更して出力する(変速する)。
【0020】
副変速部13cは、主変速部13bと同様に、複数のギア及び当該ギアの接続を変更するシフタを有している。副変速部13cは、複数のギアの接続(噛合)をシフタで適宜変更することによって、主変速部13bから入力された回転速度を変更して出力する(変速する)。
また、変速装置13は、シャトル部13dを備えている。シャトル部13dは、シャトル軸16と、前後進切替部17とを有している。シャトル軸16には、副変速部5cから出力された動力がギア等を介して伝達される。シャトル軸16には、後輪デフ装置14が設けられている。後輪デフ装置14には、後輪を支持する後車軸が回転自在に支持されている。前後切換部13は、例えば、油圧クラッチや電動クラッチ等のクラッチで構成され、当該クラッチの入切によってシャトル軸16の回転方向、即ち、トラクタ2の前進及び後進を切り換える。
【0021】
PTO動力伝達部13eは、PTOクラッチ18とPTO軸19とを有している。PTO軸19は、回転自在に支持され、推進軸13aからの動力が伝達可能である。PTO軸19は、PTO推進軸19aと、PTO出力軸19bとを有している。PTO推進軸19aは、PTO変速部20を介してPTO出力軸19bに接続されている。
PTO変速部20は、PTO変速レバー等の操作部によって、PTO推進軸19aの回転速度を変更してPTO出力軸19bに伝達することができる。PTO変速部20は、後述する制御部83からの制御信号に基づいて操作部を操作可能な電磁ソレノイドや電動モータ等の変速アクチュエータを備えている。
【0022】
PTOクラッチ18は、推進軸13aの動力をPTO軸19に伝達する接続状態と、推進軸13aの動力をPTO軸19に伝達しない切断状態とに切換可能なクラッチである。具体的には、PTOクラッチ18は、推進軸13aと、PTO推進軸19aとの間に設けられている。PTOクラッチ18は、油圧クラッチや電動クラッチ等で構成され、当該クラッチの入切によって、エンジン11の動力(推進軸13aの動力)をPTO軸19に伝達する状態と、推進軸13aの動力をPTO軸19に伝達しない状態とを切り換えることができる。
【0023】
PTO出力軸19bの中途部には、動力分岐部21が設けられている。動力分岐部21は、PTO出力軸19bに伝達された回転動力を、そのままPTO出力軸19bから出力させる第1経路21aと、発電機15に伝達する第2経路21bとに分岐する。動力分岐部21は、例えば、PTO出力軸19bに取り付けた第1プーリ211と、発電機15の入力軸に取り付けた第2プーリ212と、第1プーリ211から第2プーリ212に回転動力を伝達するベルト213とから構成される。但し、動力分岐部21の構成は、プーリとベルトを用いる構成には限定されず、他の構成(例えば、歯車伝動機構や他の動力伝達機構を用いる構成等)であってもよい。
【0024】
これにより、PTO出力軸19bの回転動力は、動力分岐部21により2つに分岐され、一方がそのままPTO出力軸19bから出力され、他方が発電機15の入力軸に伝達され、発電機15を作動させる。
発電機15は、インバータ22を介してモータ23と接続されている。モータ23は、電動モータであり、発電機15からの動力(電力)によって駆動(回転)する。インバータ22は、モータ23の回転速度(回転数)を変更する変速装置として機能する。発電機15からの動力によって駆動するモータ23の数は、1つであっても2つ以上であってもよい。
【0025】
発電機15は、本実施形態の場合、オルタネータである。但し、発電機15は、モータジェネレータであってもよい。発電機15は、出力電圧が60V以下であることが好ましい。出力電圧が60V以下の発電機15を使用することによって、消費電力を削減することができ、安全性にも優れている。従って、作業装置3は、60V以下の低電圧で作動可能なものが好適に使用される。具体的には、作業装置3として、散布装置や播種装置が好適に使用される。本実施形態の場合、作業装置3は散布装置であるため、以下、作業装置3が散布装置3であるとして説明をする。
【0026】
次に、発電機15の取り付け構造について説明する。
図4に示すように、ミッションケース10の後部に構造体25が設けられており、当該構造体25に発電機15が装着されている。
本実施形態の場合、構造体25は、PTO軸19(PTO出力軸19b)から伝達される動力によって駆動する作業装置3等を連結可能な連結装置であり、具体的にはラダーヒッチである。構造体25は、3点リンク機構を含む連結装置6とは別の連結装置を構成している。
【0027】
構造体25は、ミッションケース10の後面に着脱可能に取り付けられている。構造体25は、第1前板25a、第2前板25b、第1側板25c、第2側板25d、後板25e、下板25fを有している。
第1前板25aと第2前板25bは、車体幅方向に間隔をあけて配置され、上下方向に延びている。第1前板25aは、車体幅方向の一方側(左側)に配置され、ミッションケース10の後面左部にボルトB1により取り付けられている。第2前板25bは、車体幅方向の一方側(右側)に配置され、ミッションケース10の後面右部にボルトB2により取り付けられている。つまり、第1前板25a及び第2前板25bは、ミッションケース10に取り付けられる第1部位を構成している。
【0028】
第1側板25cは、前端部が第1前板25aに接続されており、後方(ミッションケース10から離れる方向)に延びている。第2側板25dは、前端部が第2前板25bに接続されており、後方に延びている。下板25fは。車体幅方向に延びており、第1側板25cの下部と第2側板25dの下部との間を接続している。下板25fには、ドローバ(牽引ヒッチ)等を取り付けることができる。
【0029】
第1側板25cの後部には第1取付部251が設けられている。第2側板25dの後部には第2取付部252が設けられている。第1取付部251及び第2取付部252には、複数の貫通孔が上下方向に間隔をあけて形成されている。当該貫通孔は、作業装置3等を連結するために使用することができる。つまり、構造体25の第1取付部251及び第2取付部252には、作業装置3等を連結することができる。言い換えれば、第1取付部251及び第2取付部252は、作業装置3を取り付け可能な第2部位を構成している。
【0030】
後板25eは、矩形状の板であって、第1取付部251と第2取付部252との間を連絡するように取り付けられている。後板25eには貫通孔25gが形成されており、当該貫通孔25gからPTO軸19(PTO出力軸19b)が後方に向けて突出している。後板25eとミッションケース10の後面との間には、空間Sが形成されており、当該空間Sには動力分岐部21を配置することができる。後板25eの後面には、発電機15がボルト等の固定具によって装着されている。つまり、後板25eは、第1部位をミッションケース10に取り付けた状態においてPTO軸19を突出させる貫通孔25gが形成され且つ発電機15が装着される第3部位を構成している。発電機15は、PTO軸19の上方に配置されている。発電機15は、第1取付部251と第2取付部252との間に位置している。
【0031】
構造体25は、ボルトB1,B2を着脱することによって、ミッションケース10に対して容易に着脱することができる。構造体25をミッションケース10に対して着脱することによって、発電機15をミッションケース10に対して着脱することができる。従って、発電機15を備えていないトラクタ2に対しても、必要に応じて発電機15を容易に装着することができる。
【0032】
尚、構造体25は、発電機15をミッションケース10に取り付けるための構造を有していればよく、作業装置3等を連結可能な連結装置(ラダーヒッチ等)には限定されない。例えば、構造体25は、発電機15をミッションケース10に装着するための専用の治具やブラケットであってもよい。
図4に示すように、ミッションケース10には、連結装置6が接続されている。連結装置6は、リフトアーム61、3点リンク機構62、シフトシリンダ63を有している。
【0033】
リフトアーム61は、第1リフトアーム61Lと第2リフトアーム61Rとを含む。第1リフトアーム61Lは、車体幅方向の一方(左方)に配置されている。第2リフトアーム61Rは、車体幅方向の他方(右方)に配置されている。第1リフトアーム61L及び第2リフトアーム61Rは、前端部がミッションケース10の上部に支持された横軸64に枢支されており、後方に向けて延びている。
【0034】
3点リンク機構62は、トップリンク621、ロアリンク622、リフトロッド623を有している。トップリンク621は、第1リフトアーム61Lと第2リフトアーム61Rとの間に配置され、前端部がミッションケース10の上部に設けられた第1枢支部26に枢支されている。ロアリンク622は、第1ロアリンク622Lと第2ロアリンク6226Rとを含む。第1ロアリンク622L及び第2ロアリンク6226Rの前端部は、ミッションケース10の下部に設けられた第2枢支部27に枢支されている。リフトロッド623は、第1リフトロッド623Lと第2リフトロッド623Rとを含む。第1リフトロッド623Lは、上端部が第1リフトアーム61Lの後端部に接続されており、下端部が第1ロアリンク622Lの長さ方向の中途部に接続されている。第2リフトロッド623Rは、上端部が第2リフトアーム61Rの後端部に接続されており、下端部が第2ロアリンク622Rの長さ方向の中途部に接続されている。
【0035】
トップリンク621の後端部とロアリンク622の後端部には、作業装置3を連結可能なジョイントが設けられている。トップリンク621の後端部とロアリンク622の後端部に作業装置3を連結することにより、作業装置3はトラクタ2の後部に昇降可能に連結される。
リフトシリンダ63は、油圧シリンダであり、第1リフトシリンダ63Lと第2リフトシリンダ63Rとを含む。第1リフトシリンダ63Lは、一端部が第1リフトアーム61Lに接続され、他端部がミッションケース10の左下部に接続されている。第2リフトシリンダ63Rは、一端部が第2リフトアーム61Rに接続され、他端部がミッションケース10の右下部に接続されている。リフトシリンダ63の駆動によって、第1リフトアーム61Lと第2リフトアーム61Rは、横軸64回りに回動して上下方向に揺動する。第1リフトシリンダ63L及び第2リフトシリンダ63Rには、電磁制御弁が接続されている。電磁制御弁は、後述する制御部83からの制御信号に基づいて第1リフトシリンダ63L及び第2リフトシリンダ63Rを駆動することができる。
【0036】
リフトシリンダ63を駆動することによって、作業装置3の高さの調整と、車体幅方向の傾き(右部の高さと左部の高さの差)の調整を行うことができる。高さの調整の際には、第1リフトシリンダ63Lと第2リフトシリンダ63Rの両方を同様に駆動する。傾きの調整の際には、第1リフトシリンダ63Lと第2リフトシリンダ63Rのいずれか一方を駆動する。具体的には、作業装置3の高さが低い側に配置されたリフトシリンダを伸長するか、高さが高い側に配置されたリフトシリンダを短縮するように駆動する。リフトシリンダ63は、後述する高さ調整機構91及び姿勢調整機構92を構成する。
【0037】
図1、
図2に示すように、散布装置3は、収容部31と散布部32とを備えている。
収容部31は、圃場に散布される散布物(肥料、農薬等)を収容する。
収容部31は、略逆角錐形のホッパから構成されている。ホッパは、第1ホッパ31Aと第2ホッパ31Bとを含む。但し、ホッパの数は限定されない。収容部31は、上端部に散布物の投入口を有し、下端部に散布物を取り出す取出口を有している。取出口の数は限定されないが、本実施形態の場合、後述する回転体(ディスク)40の数に応じて設定されている。具体的には、回転体40の数が2つであり、取出口の数も2つである。
【0038】
散布部32は、収容部31に収容された散布物を散布する。
図1、
図5に示すように、散布部32は、収容部31の下方に設けられている。散布部32は、少なくとも2つ以上の散布部を含んでいる。少なくとも2つ以上の散布部は、全ての散布部の散布方向が異なることが好ましいが、散布方向が同じ散布部を含んでいてもよい。
図2、
図5、
図6に示すように、散布部32は、第1散布部321と第2散布部322とを含む。即ち、本実施形態の場合、散布部32の数は2つである。但し、散布部32の数は、2つには限定されず、3つ以上であってもよい。散布部32の数と回転体40の数は同じである。第1散布部321と第2散布部322とは、車両幅方向に並んで設けられている。以下、2つの散布部(第1散布部321、第2散布部322)について説明する。
【0039】
図5、
図6に示すように、第1散布部321は、第1回転体410と第1シャッタ装置411とを有している。
第1回転体410は、円板状であって、縦方向(上下方向)に延びる中心軸40a回りに回転する。第1回転体410の上面には、複数の羽根部材40bが取り付けられている。複数の羽根部材40bは、周方向に間隔をあけて配置されており、中心軸40aの近傍から径外方向に向けて延びている。第1回転体410は、中心軸40a回りに回転することによって、第1取出口71から落下してきた散布物を、羽根部材40bに当てて外方(径外方向)に向けて放射状に飛散させる。
【0040】
第1シャッタ装置411は、シャッタと、電動モータ(図示略)とを有している。シャッタは、収容部31の一方の取出口(第1取出口)311に取り付けられており、移動することによって第1取出口311の面積(開度)を変更することができる。電動モータは、ステッピングモータ等であり、シャッタと連結されている。第1シャッタ装置411は、電動モータの駆動によりシャッタを移動させることによって、第1取出口71の開度を変更する。これにより、第1散布部321による散布物の散布量が調整される。
【0041】
図5、
図6に示すように、第2散布部322は、第2回転体420と第2シャッタ装置421とを有している。第2回転体420の構成は、第1回転体410と同様であるため、説明を省略する。第2シャッタ装置421の構成は、シャッタが収容部31の他方の取出口(第2取出口)312に取り付けられていること以外は、第1シャッタ装置と同じである。第2シャッタ装置421は、第2取出口312の開度を変更することにより、第2散布部322による散布物の散布量を調整することができる。
【0042】
図2、
図6に示すように、第1回転体410と第2回転体420とは、車両幅方向に並んで設けられている。
図2に示すように、第1回転体410と第2回転体420とは、互いに異なる方向に回転する。本実施形態の場合、
図2中の黒矢印で示すように、平面視において、第1回転体410が反時計回り方向に回転し、第2回転体420が時計回り方向に回転する。
【0043】
第1回転体410は、収容部31の第1取出口311の下方に配置されている。第1取出口311から落下してきた散布物は、回転する第1回転体410によって散布される。第2回転体420は、収容部31の第2取出口312の下方に配置されている。第2取出口312から落下してきた散布物は、回転する第2回転体420によって散布される。
本実施形態の場合、第1散布部321と第2散布部322の散布方向はそれぞれ異なっている。第1散布部321の散布方向は、車両幅方向の一方及び後方である。第2散布部322の散布方向は、車両幅方向の他方及び後方である。
図2の白抜き矢印に示すように、本実施形態の場合、第1散布部321の散布方向は右方及び右後方、第2散布部322の散布方向は左方及び左後方である。尚、白抜き矢印で示した方向は、主たる散布方向であり、実際には白抜き矢印で示した方向を含む扇形状に拡がって散布される。
【0044】
図6に示すように、散布部32は、第1散布部321と第2散布部322のそれぞれの散布方向を規制する規制板を有している。規制板は、第1規制板44、第2規制板45、第3規制板46を含んでいる。各規制板は、後述するフレーム35等に取り付けることができる。第1規制板44は、第1回転体410の前方に設けられ、車両幅方向に延びている。第2規制板45は、第2回転体420の前方に設けられ、車両幅方向に延びている。第3規制板46は、第1回転体410と第2回転体420の間に設けられ、前後方向に延びている。
【0045】
第1回転体410の回転による散布方向は、第1規制板44と第3規制板46によって規制され、主として右方及び右後方となる。第2回転体420の回転による散布方向は、第2規制板45と第3規制板46によって規制され、主として左方及び左後方となる。但し、規制板は、第1散布部321と第2散布部322の散布方向を、所望の方向に規制することができるものであれば、どのような構成(位置、数、形状、取り付け構造等)であってもよい。また、規制板の一部又は全部を設けない構成とすることもできる。
【0046】
本実施形態の場合、第1散布部321と第2散布部322は、それぞれ異なる方向への散布を受け持つことになる。これにより、圃場への均一な散布を容易に行うことができる。また、第1回転体410と第2回転体420の回転速度を異ならせることにより、トラクタ2の車両幅方向の一方への散布距離と他方への散布距離を異ならせることができる。これにより、圃場の形状やトラクタ2の走行位置に応じた適切な散布が容易となる。
【0047】
散布装置3は、フレーム(装着部)35を備えている。フレーム35は、収容部31、散布部32、モータ23を支持している。
図1、
図2に示すように、フレーム35の前部は、トラクタ2の後部に設けられた連結装置6に連結される。これにより、フレーム35に支持された散布装置3がトラクタ2の後部に着脱可能に装着される。尚、フレーム35の構成(形状等)は、図示した構成に限定されない。
【0048】
図1、
図5〜
図7に示すように、散布装置3は、動力伝達機構50を備えている。動力伝達機構50は、モータ23からの動力とPTO軸19からの動力を第1回転体410及び第2回転体420に伝達可能な機構である。動力伝達機構50の構成は、特に限定されないが、モータ23からの動力とPTO軸19からの動力とを選択的に第1回転体410又は第2回転体420に伝達可能な選択伝達部(電動クラッチ等)を備えたものとすることができる。また、動力伝達機構50として、モータ23からの動力とPTO軸19からの動力が入力される機構(遊星歯車機構等)と、当該機構から出力された動力を一方と他方に分離して第1回転体410又は第2回転体420に伝達する分離伝達部を備えたものとすることもできる。
【0049】
次に、作業管理システム100について説明する。作業管理システム100は、上述した作業機1により実行される作業を管理等するためのシステムである。
図7に示すように、作業管理システム100は、発電機15、モータ23、検出装置70、管理装置80を備えている。発電機15及びモータ23の構成は、上述した通りであるため、説明を省略する。
【0050】
検出装置70は、発電機15からの動力により作動した作業装置(散布装置)3に関係する情報を検出する。検出装置70は、高さ検出装置71、車速検出装置72、風速検出装置73、姿勢検出装置74、位置検出装置75を有している。高さ検出装置71、車速検出装置72、風速検出装置73、姿勢検出装置74、位置検出装置75は、トラクタ2又は作業装置3に設けられる。なお、トラクタ2又は作業装置3には、高さ検出装置71、車速検出装置72、風速検出装置73、姿勢検出装置74、位置検出装置75の少なくともいずれか1つを設けていればよい。
【0051】
高さ検出装置71は、回転体(ディスク)40の地面からの高さを検出する高さセンサである。高さセンサとしては、例えば、超音波式のレベルセンサ、マイクロ波式のレベルセンサ、レーザー式のレベルセンサ等が使用できる。高さセンサは、回転体の高さを直接的に検出するものであってもよいし、回転体とは異なる部位(例えば、フレーム35、連結装置6、トラクタ2の一部等)の高さを検出し、当該部位と回転体との高さの差から、間接的に回転体の高さを検出するものであってもよい。従って、高さ検出装置71は、作業装置3に設けることが好ましいが、トラクタ2に設けてもよい。
【0052】
車速検出装置72は、作業機1の走行速度(車速)を検出する速度センサである。速度センサは、トラクタ2の走行速度を検出するものであってもよいし、トラクタ2に牽引される作業装置3の走行速度(移動速度)を検出するものであってもよい。従って、車速検出装置72は、トラクタ2に設けることが好ましいが、作業装置3に設けてもよい。速度センサは、例えば、後輪デフ装置14の入力軸の回転速度から走行速度を計測するピックアップ型の車速センサを使用することができるが、これに限定されない。
【0053】
風速検出装置73は、作業装置3が受ける風の速度(風速)及び向きを検出する風速センサである。風速センサは、作業装置3が受ける風の速度及び向きを直接的に検出するものであってもよいし、トラクタ2が受ける風の速度及び向きを検出して、当該速度及び向きを作業装置3が受ける風の速度及び向きとみなしてもよい。従って、風速検出装置73は、作業装置3に設けることが好ましいが、トラクタ2に設けてもよい。
【0054】
姿勢検出装置74は、作業装置3の姿勢を検出する姿勢センサである。姿勢センサは、例えば、作業装置3の傾きを検出する傾きセンサである。傾きセンサは、作業装置3の車体幅方向の傾き(左部と右部の高さの差)を検出する。傾きセンサは、作業装置3の傾きを直接的に検出するものであってもよいし、トラクタ2の傾きを検出して、当該傾きから作業装置3の傾きを算出するものであってもよい。従って、風速検出装置73は、散布装置3に設けることが好ましいが、トラクタ2に設けてもよい。
【0055】
位置検出装置75は、作業装置3の位置を検出する測位装置であり、GPS等の測位衛星からの衛星信号を受信することによって、作業装置3の位置を検出する。測位装置は、作業装置3の位置を直接的に検出するものであってもよいし、トラクタ2の位置を検出して、当該位置から作業装置3の位置を算出するものであってもよい。従って、位置検出装置75は、作業装置3に設けることが好ましいが、トラクタ2に設けてもよい。
【0056】
管理装置80は、コンピュータから構成されている。管理装置80は、トラクタ2に設けてもよいし、作業装置3に設けてもよい。また、管理装置80をトラクタ2と作業装置3の両方に設けてもよい。管理装置80をトラクタ2と作業装置3の両方に設ける場合、管理装置80の構成(機能)の一部をトラクタ2に設け、残りの一部を作業装置3に設けて、相互に情報の送受信が可能な構成とすることができる。
【0057】
管理装置80は、情報取得部81と作業管理部82と制御部83とを備えている。情報取得部81、作業管理部82、制御部83は、管理装置80に設けられた電子・電気部品(CPU,メモリ等)、プログラム等から構成されている。
情報取得部81は、発電機15からの動力により作動した作業装置(散布装置)3の作動時の稼働情報を取得する。稼働情報は、例えば、作業装置3の高さに関する高さ情報、作業機1の速度に関する速度情報、作業装置3の姿勢に関する姿勢情報、作業装置3の位置に関する位置情報等である。また、情報取得部81は、作業装置3が受ける風の速度(風速)及び向きに関する風速情報も取得することができる。稼働情報及び風速情報(以下、まとめて「稼働情報等」という)は、検出装置70により検出された後、バスを介して管理装置80に送信される。管理装置80の情報取得部81は、検出装置70から送られた稼働情報等を取得する。
【0058】
情報取得部81は、高さ情報取得部811、車速情報取得部812、風速情報取得部813、姿勢情報取得部814、位置情報取得部815を含んでいる。高さ情報取得部811は、高さ検出装置71により検出された高さ情報を取得する。車速情報取得部812は、車速検出装置72により検出された車速情報を取得する。風速情報取得部813は、風速検出装置73により検出された風速情報を取得する。姿勢情報取得部814は、姿勢検出装置74により検出された姿勢情報を取得する。位置情報取得部815は、位置検出装置75により検出された位置情報を取得する。
【0059】
作業管理部82は、情報取得部81で取得した稼働情報等に基づいて作業装置3における作業の管理を行う。詳しくは、作業管理部82は、情報取得部81で取得した稼働情報等を表示装置90に表示する。表示装置90は、液晶ディスプレイ等である。表示装置90は、例えば、トラクタ2の運転席7の前方に設けられるが、トラクタ2の他の位置に設けてもよいし、作業装置3に設けてもよい。また、表示装置90と作業管理部82とは一体であってもよいし、別体であってもよい。表示装置90に表示される稼働情報等は、上述した稼働情報等の全てであってもよいし一部であってもよい。また、稼働情報等に加えて作業機1が作業を行っている圃場の情報を表示装置90に表示することもできる。例えば、制御部83は、予め管理装置80のメモリに記憶された圃場の地図情報(圃場の位置や境界線等を示す情報)に基づいて、作業機1が圃場のどの位置を走行しているかを示す画像を、圃場の地図上に作業機1を表示する等の方法で表示装置90に表示することができる。
【0060】
制御部83は、情報取得部81で取得した稼働情報等に基づいて作業装置3の駆動を制御する。詳しくは、制御部83は、情報取得部81で取得した稼働情報等に基づいて、回転体(ディスク)40の回転速度を制御する。より詳しくは、制御部83は、情報取得部が取得した稼働情報等(高さ情報、車速情報、風速情報、姿勢情報、位置情報)のうち、少なくとも1つ以上の情報に基づいて、回転体40の回転速度を制御する。作業装置(散布装置)3が複数の回転体40を備えている場合、制御部83は複数の回転体40の回転速度を個別に制御してもよいし、複数の回転体40の回転速度を連動させて制御してもよい。複数の回転体40の回転速度を個別に制御する場合、複数の回転体40の回転速度をそれぞれ異ならせることもできるし、複数の回転体40の回転速度を全て同じとすることもできる。
【0061】
回転体40の回転速度の制御は、モータ23とPTO軸19の少なくともいずれか一方の回転速度を制御することにより行うことができる。制御部83は、インバータ22に制御信号を送信してモータ23の回転速度を制御することができる。また、制御部83は、PTO変速部20に制御信号を送信してPTO軸19を変速することにより回転体40の回転速度を制御することができる。つまり、制御部83は、モータ23を変速することにより回転体40の回転速度を制御することもできるし、PTO軸19を変速することにより回転体40の回転速度を制御することもできる。また、制御部83は、PTOクラッチ15の接続状態と遮断状態を切り換えることにより、PTO軸19の回転と停止を切り換える制御を行うこともできる。
【0062】
以下、制御部83による回転体40の回転速度の制御について、更に説明する。
制御部83が、高さ情報に基づいて回転体40の回転速度を制御する場合、例えば、回転体40の地面からの高さが低くなるに従って、回転体40の回転速度を速くするように制御する。これによって、回転体40の高さが低くなった場合に、散布物の散布距離が減少することが防がれる。つまり、回転体40の高さが変化しても、散布物の散布距離を略一定とすることができる。
【0063】
制御部83が、車速情報に基づいて回転体40の回転速度を制御する場合、例えば、車速が速くなるに従って、回転体40の回転速度を速くするように制御する。これにより、トラクタ2の速度が速くなった場合に、単位面積当たりの散布物の散布量が減少することが防がれる。つまり、トラクタ2の速度が変化しても、単位面積当たりの散布物の散布量を略一定とすることができる。
【0064】
制御部83が、風速情報に基づいて回転体40の回転速度を制御する場合、例えば、回転体40の散布方向と反対向きの風の速度が速くなるに従って、回転体40の回転速度を速くするように制御する。また、回転体40の散布方向と同じ向きの風の速度が速くなるに従って、回転体40の回転速度を遅くするように制御することができる。これにより、風の向き及び速度が変化しても、散布物の散布距離を略一定とすることができる。
【0065】
制御部83が、姿勢情報に基づいて回転体40の回転速度を制御する場合、例えば、作業装置3が右に傾いた場合(右が下がった場合)には右側の回転体(第1回転体410)の速度を左側の回転体(第2回転体420)の回転速度よりも速くし、作業装置3が左に傾いた場合(左が下がった場合)には左側の回転体(第2回転体420)の速度を右側の回転体(第1回転体410)の回転速度よりも速くするように制御する。つまり、高さが低い側の回転体の回転速度を、高さが高い側の回転体の回転速度よりも速くするように制御することができる。これにより、作業装置3の姿勢が変化しても、散布物の散布距離を略一定とすることができる。
【0066】
制御部83が、位置情報に基づいて回転体40の回転速度を制御する場合、例えば、トラクタ2が走行している現在位置が圃場の境界線の近傍である場合、回転体40の回転速度を減少させる又は0とする(停止する)ように制御する。また、回転体40が複数ある場合は、圃場の境界線に近い側にある回転体の回転速度を減少させる又は0とする(停止する)ように制御する。これにより、境界線を越えた散布物の散布を避けることができる。境界線は、例えば、圃場の縁を示す線(道路との境界線、建物との境界線、他人の圃場との境界線等)や、異なる農作物の間の境界線などである。
【0067】
図7に示すように、作業管理システム100は、更に、高さ調整機構91と姿勢調整機構92を備えている。
高さ調整機構91は、連結装置6のリフトシリンダ63と、リフトシリンダ63に接続された電磁制御弁と、を含んでいる。リフトシリンダ63に接続された電磁制御弁は、制御部83からの制御信号を受信すると、第1リフトシリンダ63Lのロッドと第2シフトシリンダ63Rのロッドを伸長又は短縮させる。これにより、連結装置6に連結された作業装置3が上昇又は下降するため、回転体40の高さを調整することができる。
【0068】
より詳しくは、高さ調整機構91は、回転体40の地面からの高さが常に一定となるように調整する。例えば、制御部83は、高さ検出装置71により検出された高さと、予め管理装置80のメモリに記憶された目標高さとの差を算出し、当該差が0に近づくように、リフトシリンダ63を駆動することによって、回転体40の高さを調整する。高さ調整機構91により、回転体40の地面からの高さが常に一定となるように調整されることによって、回転体40による散布物の散布距離を略一定とすることができる。これにより、圃場内における散布量のばらつきを抑制できる。
【0069】
姿勢調整機構92は、連結装置6のリフトシリンダ63と、リフトシリンダ63に接続された電磁制御弁と、を含んでいる。リフトシリンダ63に接続された電磁制御弁は、制御部83からの制御信号を受信すると、第1リフトシリンダ63L又は第2リフトシリンダ63Rのロッドを伸長又は短縮させる。これにより、連結装置5に連結された作業装置3の車体幅方向の傾き(作業装置3の左部の高さと右部の高さとの差)が変化するため、作業装置3の姿勢を調整することができる。
【0070】
より詳しくは、姿勢調整機構92は、作業装置3の傾き(水平面に対する傾き)が小さくなるように調整する。制御部83は、姿勢検出装置74により検出された作業装置3の傾き(左部と右部の高さの差)が0に近づくように、第1リフトシリンダ63L又は第2リフトシリンダ63Rを駆動することによって、作業装置3の姿勢を調整する。姿勢調整機構92により、作業装置3の傾き(水平面に対する傾き)が小さくなるように調整されることによって、回転体40の回転による散布物の散布距離を略一定とすることができる。これにより、圃場内における散布量のばらつきを抑制できる。
【0071】
上述した作業管理システム100より作業管理方法を実行することができる。
作業管理方法は、発電機15からの動力により作動した作業装置3の作動時の稼働情報を情報取得部81により取得する情報取得ステップと、情報取得部81により取得した稼働情報に基づいて作業装置3における作業の管理を行う作業管理ステップと、情報取得部81により取得した稼働情報に基づいて作業装置3を制御する制御ステップとを備える。
【0072】
尚、情報取得ステップにおいては、稼働情報に加えて風速情報を情報取得部81により取得してもよい。この場合、制御ステップにおいて、情報取得部81により取得した風速情報に基づいて作業装置3を制御することができる。
情報取得ステップは、情報取得部81により実行される。作業管理ステップは、作業管理部82により実行される。制御ステップは、制御部83により実行される。情報取得部81による情報取得の方法、作業管理部82による作業管理の方法、制御部83による制御の方法は、上述した通りであるため、説明を省略する。
【0073】
この作業管理方法によれば、作業装置3に動力を伝達する発電機15を備えた作業機1における作業の管理や作業装置3の制御が可能となる。
以上、本発明について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。