(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一部に開口を有する底部を備え、前記開口を利用して電磁波の少なくとも1つの波長を検出する検出部を収容する、ABS樹脂、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリスルホン(PS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアセタール(POM)、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)、超高分子量ポリエチレン(U−PE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリサルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PESU)及び前述の各樹脂とガラス繊維(GF)とを混合した混合物の群から選択される少なくとも一種からなる液密の筒状体と、
シール材を介して前記開口を液密に塞ぐ、前記波長を通過させる窓部と、を備え、かつ、
検出器としてIPX7を満たす液密性、又はIPX7を超える液密性を有する、
検出器。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態を、添付する図面に基づいて詳細に述べる。尚、この説明に際し、全図にわたり、特に言及がない限り、共通する部分には共通する参照符号が付されている。また、図中、本実施形態の要素は必ずしもスケール通りに示されていない。また、各図面を見やすくするために、一部の符号が省略され得る。
【0021】
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態の検出器100を示す全体外観図である。また、
図2は、本実施形態における検出器100が収容される筒状体10及び絶縁材40、並びに蓋体20を示す、A−A方向の一部側面断面図である。また、
図3Aは、本実施形態における検出器100のA−A方向の一部側面断面図である。また、
図3Bは、本実施形態における検出器の組立分解図である。なお、図面を分かりやすくするために、検出部90から引き出される電気ケーブルは図示されていない。
【0022】
本実施形態の検出器100は、主として下記の(1)〜(5)の部材によって構成されている。
(1)外部から赤外線(IR)、可視光線、及び/又は紫外線(UV)の波長の電磁波の少なくとも1つを受けるために一部が開口(図示しない)する容器(シールドケース)内に公知の受光素子を収容した検出部90
(2)検出部90をさらに収容し、一部に開口12を有する底部を備える金属からなる液密の筒状体10
(3)筒状体10と公知のシール材(本実施形態では公知のOリング)74を用いて液密に覆う蓋体20
(4)公知のシール材(本実施形態では公知のOリング)72を介して開口12を液密に塞ぐ、上述の各波長を通過させる窓部30
(5)検出部90が筒状体10に接触しないように筒状体10と検出部90との間に配置される絶縁材40
【0023】
より詳細に説明すると、本実施形態の検出部90は、何らかの光源(例えば、炎、あるいは天然又は人工の発光体など)から発せられる、赤外線(IR)、可視光線、及び/又は紫外線(UV)の波長の電磁波の少なくとも1つを受光する受光素子と、該受光素子を動作させ、制御する回路基板を備えている。例えば、炎から放射される特有な電磁波(例えば、赤外線)の波長の少なくとも1つ(より好適には、3つ)を検出することができる受光素子を備えた検出部90が採用され得る。本願出願人が販売する、本実施形態に採用し得る検出部90の一例は、3波長赤外線式炎センサーを受光素子として備えた検出装置(型式:SX−7000又はSX−3024III)である。また、検出部90を上部に設けられた端子98は、前述の回路基板と電気ケーブルとを電気的に接続する役割を担う。
【0024】
また、本実施形態の筒状体10は、一部に開口12を有する底部を備え、上述の検出部90を内部空間16内に備えている。また、筒状体10は、電磁波の少なくとも1つの波長を検出部90が検出できるように開口12を備えている。
【0025】
また、本実施形態の筒状体10の材質は、液密性を有する金属である。なお、筒状体10を製造するための材料は、液密性を有し得る金属であれば特に限定されない。代表的な該材料は、アルミニウム、真鍮、鉄、又は各種のステンレス素材(例えば、マルテンサイト系、フェライト系、オーステナイト系、2相系、析出硬化系)である。なお、液密性を有する金属として、特に、水及び/又は油(油ミストを含む)に対して高い密閉性を有し得る材料は、C3604、A2017、A5052、A5056、A6061、A6063、SUS304、SUS304L、SUS316、SUS316L、ADC10、ADC12、AC4系、P系、FDC系、及び、塗装又はめっき処理に代表される公知の液密処理が施された材料であるため、それらの材料を採用することは好適な一態様である。
【0026】
ところで、本実施形態における「液密の」又は「液密性を有する」とは、IEC(国際電気標準会議)規格(IEC144、IEC529及びDIN40
05)に基づく「水の浸入に対する保護」の等級における、少なくともIPX7を満たす状態をいう。なお、本実施形態の検出器100においては、採用する材料の条件によってはIPX7を超える液密性を発揮し得る。
【0027】
また、本実施形態の蓋体20は、シール材74を用いて液密に覆うことができる材料によって成形されている。蓋体20を製造するための材料は、液密性を有している金属又は樹脂であれば、特に限定されない。代表的な蓋体20の材料のうち、金属材料は、筒状体10のそれらと同様である。また、蓋体20の材料のうち、樹脂材料は、切削加工が容易であり、剛性を有する材料が選定される。例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルスルホン(PESU)、及び/又は、グラファイト又はカーボンを用いて前述の各樹脂材料の剛性を高めた材料である。前述の金属及び樹脂は、いずれも、水及び/又は油(油ミストを含む)に対して高い密閉性を発揮し得る材料であることが好ましい。
【0028】
なお、本実施形態の蓋体20は、検出部90からの電気ケーブルを取り出すための貫通孔22が設けられている。電気ケーブルは、この貫通孔22に接続するコネクタ80を通過させることによって接続される。
【0029】
また、本実施形態の窓部30は、赤外線(IR)、可視光線、及び/又は紫外線(UV)の波長の電磁波の少なくとも1つの波長を通過させる材料から成形されている。前述の3波長赤外線式炎センサーを受光素子として採用した場合は、窓部30は、赤外線を通過させる特性(「赤外線透過性」ともいう)のガラス(代表的には、サファイアガラス)を用いて成形された略板状の部材である。また、窓部30は、シール材72を介して開口12を液密に塞いでいる。
【0030】
本実施形態においては、筒状体10の底部が有する非貫通孔18と、絶縁材40が有する貫通孔48とを利用して、固定具(本実施形態においてはボルト)52が、絶縁材40と筒状体10とを固定する。さらに、検出部90の底部94が有する貫通孔と、絶縁材40が有する非貫通孔46とを利用して、固定具(本実施形態においてはボルト)54が検出部90と絶縁材40とを固定する。その結果、検出部90は、本実施形態の絶縁材40を介して、筒状体10に電気的に接触しないように筒状体10に固定される。なお、図面を見やすくするために、
図3Aにおける検出部90の紙面左下側の一部は、容器(シールドケース)を取り除いた状態を示している。また、他の実施形態においても同様に描かれている。
【0031】
なお、
図2、
図3A、及び
図3Bに示すように、本実施形態においては、絶縁材40の底面が窓部30の端部を押圧しているため、より確度高く、シール材72を用いた開口12に対する高度の液密性が維持され得る。仮に、窓部30の外側に存在するガス、水、及び/又は油(油ミストを含む)などの圧力が高くなり、シール材72と窓部30とを引き離すような力が印加されたとしても、絶縁材40の底面による窓部30の端部の押圧が、液密性の維持に貢献し得る。
【0032】
加えて、
図3A及び
図3Bに示すように、本実施形態のシール材72は、筒状体10の底部の内周面側に形成された溝14内に、窓部30の外側に存在するガス、水、及び/又は油(油ミストを含む)などに直接接触しないように配置されている。そのため、窓部30の外側に存在するガス、水、及び/又は油(油ミストを含む)などの影響をシール材72が受けにくくなるため、シール材72の信頼性及び安定性の向上、ひいては、筒状体10の液密性の向上に寄与し得る。
【0033】
また、本実施形態においては、
図2、
図3A、及び
図3Bに示すように、絶縁材40が備える凹部44に、検出部90が備える凸部92が嵌入された状態で、検出部90が、絶縁材40ひいては筒状体10に対して固定される。なお、凹部44と凸部92は、検出部90の受光素子が電磁波を適切に受けることができる位置にそれぞれ設けられる。その結果、検出部90が、筒状体10内に対して固定された絶縁材40の凹部44によって嵌入された状態で確度高く支持されるため、検出部90が筒状体10に電気的に接続しないように配置された状態で電磁波を適切に受けることが可能となり、検出部90による検出の安定性及び信頼性を高めることができる。
【0034】
ところで、本実施形態においては、筒状体10における検出部90の受光側の面(底面)に加えて、筒状体10の側面側においても、検出部90と筒状体10とが電気的に接続しないように、筒状の絶縁材40aが、筒状体10の内周面に沿って配置されている。筒状の絶縁材40aが筒状体10の内周面に対して相対的に離隔又は接近等の動きを生じさせないことは、検出器100の安定性又は信頼性を高める観点から好適な一態様である。なお、上述のとおり、本実施形態においては、筒状体10に対して検出部90が確度高く固定されているため、筒状の絶縁材40aは必ずしも配置されなくとも、本実施形態の効果が奏され得る。
【0035】
絶縁材40,40aの材料は、圧縮成形法又は射出成形法の適用が比較的容易であり、剛性を有する材料が選定される。例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリブチレンテレフタレート(PBC)、ポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE),ポリエチレンテレフタレート(PET)、ABS樹脂、ポリアセタール(POM)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリスルホン(PS),ポリエーテルスルホン(PESU)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、及び/又は、グラファイト又はカーボンを用いて前述の各樹脂材料の剛性を高めた材料が、絶縁材40,40aの材料として採用され得る。
【0036】
なお、本実施形態において採用されるシール材72,74は、いずれも、水及び/又は油ミストに対して高い密閉性を実現し得る材料を用いて成形される。代表的なシール材72,74を製造するための材料は、ニトリルゴム(NBR)、フッ化ビニリデン系(FKM)、テトラフルオロエチレン−パープルオロビニルエーテル系(FFKM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム(ACM、ANM)、ウレタンゴム(PUR、U)、エピクロルヒドリンゴム(ECO)、多流化ゴム(T)である。
【0037】
続いて、本実施形態の検出器100の製造方法を説明する。
【0038】
本実施形態においては、筒状体10、蓋体20、及び絶縁材40,40aは、いずれも生材からの切削加工法、ダイカスト法、射出成形法、又は圧縮成形法によって加工され、成形される。また、窓部30は、赤外線(IR)、可視光線、及び/又は紫外線(UV)の波長の電磁波の少なくとも1つを通過させるように公知の方法を用いて製造される。例えば、上述の赤外線透過性のサファイアガラスを採用する場合は、公知のEFG(Edge-defined Film-fed Growth Method)法によって窓部30が製造される。
【0039】
次に、本実施形態の検出器100の使用態様について説明する。
図4及び
図5は、本実施形態における検出器100の一例としての使用状態図である。
【0040】
図4及び
図5に示すように、検出器100がその機能を発揮させるために設置される各種の装置又は機器、あるいは、区画又は隔離された空間(部屋など)において、窓部30の向き、換言すれば、受光素子によって確度高く検出し得る向きを自在に変更し得るように構成されている。
【0041】
具体的には、筒状体10の外周面に沿って設けられた帯状の支持部材84が備える貫通穴を有する凸部84aを、スペーサ85を介して板材86に対して回動自在に支持する第1枢支具88が、検出器100に取り付けられる。また、この例においては、板材86が、枢支具88による回動軸と直交する回転軸に対して回動可能にする、図示しない第2枢支具に組込みネジ87を用いて取り付けられる。
【0042】
さらに、本実施形態の検出器100の他の使用態様について説明する。
図6は、検出器100を備えた工作機械900の概要図である。
【0043】
図6に示すように、工作機械900は、火災や何らかの事情で処理室910内に発光源が生じた場合に、赤外線(IR)、可視光線、及び/又は紫外線(UV)の波長の電磁波の少なくとも1つを検出する、本実施形態の検出器100を備えている。また、この例においては、温度を感知する温度センサー920が処理室910内に設置されている。工作機械900は、前述の複数の手段による発火や急な温度上昇を感知すると、消火又は事前の予防のため、図示しない制御部が、消火剤貯蔵容器930からノズル940を介して、処理室910内に消火剤を放出するように構成されている。また、この例においては、処理室910内に発火や急な温度上昇を感知すると、ガスの流入を遮断するとともに、仮に火災が生じた場合は、その延焼の拡大を防止するためのダンパー950が設けられている。加えて、この例においては、ガスを排気する際の油ミスト収集器960が配置されている。
【0044】
ここで、少なくとも筒状体10(及び窓部30)が油ミストを含む気体又は液体に曝露される処理室910を備えた、工作機械900の代表的な一例において、本実施形態の検出器100の液密性が特に発揮され得る。なお、本実施形態における「油ミストを含む気体」とは、処理室910内の空間中の油ミストの密度が、0g/cm
3超(より狭義には0.5g/cm
3以上)であることを意味する。
【0045】
<第2の実施形態>
図7は、本実施形態における検出器200の、
図3Aに対応する一部側面断面図である。
【0046】
本実施形態の検出器200は、以下の(2a)〜(2b)を除いて、第1の実施形態の検出器100と同じ構成を備えている。従って、第1又は第2の実施形態と重複する説明は省略される。
(2a)第1の実施形態の検出器100の筒状の絶縁材40aの代わりに、筒状体10内の空隙を充填する樹脂材料60が導入された点
(2b)第1の実施形態における、絶縁材40と筒状体10とを固定する固定具52と、検出部90と絶縁材40とを固定する固定具54とを有してない点
【0047】
図7に示すように、検出器200においては、検出部90が周囲の樹脂材料60によって筒状体10内に固定されている。本実施形態においては、上述の各固定具が用いられていないため、絶縁材40及び検出部の底部94は、貫通孔又は非貫通孔が形成されていない。
【0048】
なお、本実施形態の樹脂材料60の種類は、検出部90とその周囲(代表的には、筒状体10)との絶縁性を保持した上で、筒状体10内の検出部90の自由な動き(揺れ等)を制限することが可能な状態にすることができる材料であれば、限定されない。例えば、筒状体10内にシール材72、窓部30、絶縁材40、検出部90、及び樹脂材料60の例としての公知の光硬化性樹脂(代表的には、紫外線硬化性樹脂)を配置した後に、紫外線を照射することによって樹脂材料(例えば、エポキシ樹脂)60を硬化させることは、好適な一態様である。
【0049】
上述のとおり、本実施形態の各構成が採用された場合であっても、第1の実施形態の効果と同様の効果が奏され得る。
【0050】
<第3の実施形態>
図8は、本実施形態における検出器300の、
図3Aに対応する一部側面断面図である。
【0051】
本実施形態の検出器300は、以下の(3a)〜(3c)を除いて、第1の実施形態の検出器100と同じ構成を備えている。従って、第1又は第2の実施形態と重複する説明は省略される。
(3a)第1の実施形態の検出器100の筒状の絶縁材40aの代わりに、筒状体10の内周面に沿って形成された樹脂材料260の膜又は層(以下、総称して「膜」という)が導入された点
(3b)第1の実施形態の絶縁材40の代わりにリング状の絶縁材40bが導入された点
(3c)第1の実施形態の固定具52及び固定具54の代わりに、検出部90の底部94及び樹脂材料260の膜を貫通し、筒状体10の非貫通孔18を利用して検出部90と筒状体10とを固定する樹脂性且つ絶縁性の固定具354が導入された点
【0052】
図8に示すように、検出器300は、筒状体10の内周面に沿って形成された樹脂材料260の膜を備えている。また、リング状の絶縁材40b及び固定具354がいずれも絶縁性であるため、本実施形態の検出部90とその周囲(代表的には、筒状体10)との絶縁性が保持される。また、樹脂材料260の材料は、筒状体10の内周面に固定されるように固化し得る絶縁性の材料であれば、限定されない。樹脂材料260の材料の例は、公知の光硬化性樹脂(代表的には、紫外線硬化性樹脂)である。加えて、絶縁性の固定具354の材料は、固定具として機能し得る剛性と絶縁性とを備える材料であれば、限定されない。固定具354の材料の例は、絶縁材40,40aの材料と同じである。
【0053】
また、本実施形態においては、検出部90と窓部30の端部との間の空間を埋めるようにリング状の絶縁材40bが配置され、絶縁材40bの底面が窓部30の端部を押圧しているため、より確度高く、シール材72を用いた開口12に対する高度の液密性が維持され得る。仮に、窓部30の外側に存在するガス、水、及び/又は油(油ミストを含む)などの圧力が高くなり、シール材72と窓部30とを引き離すような力が印加されたとしても、リング状の絶縁材40bの底面による窓部30の端部の押圧が、液密性の維持に貢献し得る。
【0054】
なお、本実施形態のリング状の絶縁材40b及び固定具354の材料は、第1の実施形態の絶縁材40,40aの材料と同じ材料を採用することができる。
【0055】
上述のとおり、本実施形態の各構成が採用された場合であっても、第1の実施形態の効果と同様の効果が奏され得る。
【0056】
<第4の実施形態>
図9は、本実施形態における検出器400の、
図3Aに対応する一部側面断面図である。
【0057】
本実施形態の検出器400は、以下の(4a)〜(4c)を除いて、第1の実施形態の検出器100と同じ構成を備えている。従って、第1乃至第3の実施形態と重複する説明は省略される。
(4a)第1の実施形態の検出器100の筒状の絶縁材40aの代わりに、検出部90の外周面に沿って形成された絶縁性の樹脂材料360の膜又は層(以下、総称して「膜」という)が導入された点
(4b)第1の実施形態の絶縁材40の代わりにリング状の絶縁材40bが導入された点
(4c)第1の実施形態の固定具52及び固定具54の代わりに、検出部90の底部94及び樹脂材料360の膜を貫通し、筒状体10の非貫通孔18を利用して検出部90と筒状体10とを固定する樹脂性且つ絶縁性の固定具354が導入された点
【0058】
図9に示すように、検出器400は、検出部90の外周面に沿って形成された絶縁性の樹脂材料360の膜を備えている。また、リング状の絶縁材40b及び固定具354がいずれも絶縁性であるため、本実施形態の検出部90とその周囲(代表的には、筒状体10)との絶縁性が保持される。
【0059】
また、本実施形態においては、検出部90と窓部30の端部との間の空間を埋めるようにリング状の絶縁材40bが配置され、絶縁材40bの底面が窓部30の端部を押圧しているため、より確度高く、シール材72を用いた開口12に対する高度の液密性が維持され得る。仮に、窓部30の外側に存在するガス、水、及び/又は油(油ミストを含む)などの圧力が高くなり、シール材72と窓部30とを引き離すような力が印加されたとしても、リング状の絶縁材40bの底面による窓部30の端部の押圧が、液密性の維持に貢献し得る。
【0060】
なお、本実施形態の樹脂材料360の材料は、第3の実施形態の樹脂材料260と同じ材料を採用することができる。
【0061】
上述のとおり、本実施形態の各構成が採用された場合であっても、第1の実施形態の効果と同様の効果が奏され得る。なお、本実施形態の変形例の一つとして、絶縁性の樹脂材料360の膜が導入される代わりに、検出部90の外周を担う容器(シールドケース)のうち、導電体部分を剥離することによって、検出部90の内部の非導電体層が最表面に現れる構造が採用された場合であっても、第1の実施形態の効果と同様の効果が奏され得る。
【0062】
<第5の実施形態>
図10は、本実施形態における検出器500の、
図3Aに対応する一部側面断面図である。
【0063】
本実施形態の検出器500は、以下の(5a)〜(5d)を除いて、第1の実施形態の検出器100と同じ構成を備えている。従って、第1乃至第4の実施形態と重複する説明は省略される。
(5a)第1の実施形態の検出器100の筒状体10の代わりに、筒状体10と同じ形状を有し、外周表面上に金属層(めっき層を含む。以下、総称して「金属層」という)550を備えた、樹脂からなる筒状体510が導入された点
(5b)第1の実施形態の絶縁材40,40aが用いられていない点。
(5c)窓部30の端部を押圧して開口512に対する高度の液密性を実現し得る凸部596を備えた、検出部590が導入された点
(5d)第1の実施形態の固定具52及び固定具54の代わりに、検出部590の底部594及び筒状体510の非貫通孔518を利用して検出部590と筒状体510とを固定する固定具54が導入された点
【0064】
図10に示すように、検出器500は、筒状体510の内部空間516内に、検出部590を備えている。検出部590は、第1の実施形態の凸部92の代わりに凸部596が設けられた点を除いて、検出部90と同じである。また、筒状体510は、第1の実施形態の筒状体10と同様に、電磁波の少なくとも1つの波長を検出部590が検出できるように開口512を備えている。また、窓部30により、筒状体510が備える溝514内のシール材72を介して開口512が液密に塞がれている。
【0065】
なお、本実施形態の筒状体510の材質は、圧縮成形法又は射出成形法の適用が比較的容易であり、絶縁性及び剛性を有する材料が選定される。代表的な筒状体510の材質は、第1の実施形態の絶縁材40,40aの材料と同じである。
【0066】
また、本実施形態においては、筒状体510の外周面に沿って金属層550が設けられる。筒状体510の外周表面上の金属層550は、公知の方法(蒸着法、めっき法など)を用いて形成され得る。
【0067】
金属層550の材料は、液密性を有する金属材料である。なお、金属層550の材料の例は、アルミニウム、鉄、鋼、真鍮、及び/又はチタンである。また、金属層550の構成する金属材料は、1種類の金属に限定されず、複数種類の金属材料が採用され得る。例えば、めっき層を形成する際には、筒状体510の表面上にパラジウムを吸着させた後に無電解めっき法を用いて金属層550を形成することができる。
【0068】
加えて、検出部590の底部594及び筒状体510の非貫通孔518を利用して、検出部590と筒状体510とが、固定具54によって固定される。本実施形態においては、筒状体510の材質が絶縁性を有する樹脂であるため、固定具54を製造するための材料は、導電性と絶縁性のいずれであっても固定具54に適用することができる。その結果、検出部590とその周囲との絶縁性を保持した上で、検出器500の外周全体について確度高く液密性を特に高めた密閉構造を実現し得る。
【0069】
なお、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、検出器500は、IEC(国際電気標準会議)規格(IEC144、IEC529及びDIN40
05)に基づく「水の浸入に対する保護」の等級における、少なくともIPX7を満たす、液密性を発揮し得る。なお、本実施形態の検出器500においても、第1の実施形態と同様に、採用する材料の条件によってはIPX7を超える液密性を発揮し得る。
【0070】
また、本実施形態においては、
図10に示すように、窓部30の端部を押圧して開口12に対する高度の液密性を実現し得る検出部90の凸部596の外形に合わせた凹部を、筒状体510が備えている。その結果、検出部590が、筒状体510の凹部によって嵌入された状態で確度高く固定されるため、検出部590が金属層550に電気的に接続しないように配置された状態で電磁波を適切に受けることが可能となり、検出部590による検出の安定性及び信頼性を高めることができる。
【0071】
上述のとおり、本実施形態の各構成が採用された場合であっても、第1の実施形態の効果と同様の効果が奏され得る。
【0072】
<第6の実施形態>
図11は、本実施形態における検出器600の、
図3Aに対応する一部側面断面図である。
【0073】
本実施形態の検出器600は、以下の(6a)〜(6d)を除いて、第1の実施形態の検出器100と同じ構成を備えている。従って、第1乃至第5の実施形態と重複する説明は省略される。
(6a)第1の実施形態の検出器100の筒状体10の代わりに、筒状体10と同じ形状を有する、ABS樹脂、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリスルホン(PS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアセタール(POM)、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)、超高分子量ポリエチレン(U−PE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリサルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PESU)及び前述の各樹脂とガラス繊維(GF)とを混合した混合物の群から選択される少なくとも一種からなる筒状体610が導入された点
(6b)第1の実施形態の絶縁材40,40aが用いられていない点。
(6c)窓部30の端部を押圧して開口612に対する高度の液密性を実現し得る凸部596を備えた、検出部590が導入された点
(6d)第1の実施形態の固定具52及び固定具54の代わりに、検出部590の底部594及び筒状体610の非貫通孔618を利用して検出部590と筒状体610とを固定する固定具54が導入された点
【0074】
図11に示すように、検出器600は、筒状体610の内部空間616内に、検出部590を備えている。検出部590は、第1の実施形態の凸部92の代わりに凸部596が設けられた点を除いて、検出部90と同じである。また、筒状体610は、第1の実施形態の筒状体10と同様に、電磁波の少なくとも1つの波長を検出部590が検出できるように開口612を備えている。また、窓部30により、筒状体610が備える溝614内のシール材72を介して開口612が液密に塞がれている。
【0075】
なお、本実施形態の筒状体610の材質は、圧縮成形法又は射出成形法の適用が比較的容易であり、絶縁性及び剛性を有する材料が選定される。ここで、本実施形態においては、絶縁性及び剛性に特に優れた、ABS樹脂、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリスルホン(PS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアセタール(POM)、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)、超高分子量ポリエチレン(U−PE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリサルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PESU)及び前述の各樹脂とガラス繊維(GF)とを混合した混合物の群から選択される少なくとも一種からなる筒状体
610が採用されている。そのため、第5の実施形態の検出器500とは異なり、筒状体510の外周面に沿って設けられる金属層550がなくても、検出部590とその周囲との絶縁性を保持した上で、検出器600の外周全体について確度高く液密性を特に高めた密閉構造を実現し得る。
【0076】
なお、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、検出器600は、IEC(国際電気標準会議)規格(IEC144、IEC529及びDIN40
05)に基づく「水の浸入に対する保護」の等級における、少なくともIPX7を満たす、液密性を発揮し得る。なお、本実施形態の検出器500においても、第1の実施形態と同様に、採用する材料の条件によってはIPX7を超える液密性を発揮し得る。
【0077】
<第7の実施形態>
図12は、本実施形態における検出器700の、
図3Aに対応する一部側面断面図である。
【0078】
本実施形態の検出器700は、以下の(7a)〜(7c)を除いて、第1の実施形態の検出器100と同じ構成を備えている。従って、第1乃至第6の実施形態と重複する説明は省略される。
(7a)第1の実施形態の検出器100の筒状の絶縁材40aの代わりに、少なくとも外周面が絶縁性を有している材料から形成された容器(シールドケース)内に公知の受光素子を収容した検出部790が導入された点
(7b)第1の実施形態の絶縁材40の代わりに、リング状の絶縁材40bと同じ材料から成形されたリング状の絶縁材740bが導入された点
(7c)第1の実施形態の固定具52及び固定具54の代わりに、検出部790の底部94を貫通し、筒状体10の非貫通孔18を利用して検出部790と筒状体10とを固定する樹脂性且つ絶縁性の固定具754が導入された点
【0079】
図12に示すように、検出器700は、少なくとも外周面が絶縁性及び剛性を有する、ABS樹脂、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリスルホン(PS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアセタール(POM)、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)、超高分子量ポリエチレン(U−PE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリサルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PESU)及び前述の各樹脂とガラス繊維(GF)とを混合した混合物の群から選択される少なくとも一種からなる容器内に公知の受光素子を収容した検出部790を備えている。また、リング状の絶縁材740bと、検出部790の底部794を貫通する固定具754とがいずれも絶縁性であるため、本実施形態の検出部790とその周囲(代表的には、筒状体10)との絶縁性が保持される。
【0080】
また、本実施形態においては、検出部790と窓部30の端部との間の空間を埋めるようにリング状の絶縁材740bが配置され、絶縁材740bの底面が窓部30の端部を押圧しているため、より確度高く、シール材72を用いた開口12に対する高度の液密性が維持され得る。仮に、窓部30の外側に存在するガス、水、及び/又は油(油ミストを含む)などの圧力が高くなり、シール材72と窓部30とを引き離すような力が印加されたとしても、リング状の絶縁材740bの底面による窓部30の端部の押圧が、液密性の維持に貢献し得る。
【0081】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、検出器600は、IEC(国際電気標準会議)規格(IEC144、IEC529及びDIN40
05)に基づく「水の浸入に対する保護」の等級における、少なくともIPX7を満たす、液密性を発揮し得る。なお、本実施形態の検出器500においても、第1の実施形態と同様に、採用する材料の条件によってはIPX7を超える液密性を発揮し得る。
【0082】
<その他の実施形態>
ところで、第5及び第6の実施形態においてはリング状の絶縁材40bが採用されていないが、第5又は第6の実施形態において検出部590が凸部596を備える代わりに、窓部30の端部を押圧して開口512,612の高度の液密性を実現し得るリング状の絶縁材40bが導入されることも、採用し得る一態様である。また、第3、第4、又は第7の実施形態において採用されているリング状の絶縁材40bの代わりに、検出部90が第5又は第6の実施形態の凸部596の役割を果たし得る凸部を備えることも、採用し得る一態様である。
【0083】
また、第5の実施形態においては外周表面上に金属層(めっき層を含む)550を備えた樹脂製の筒状体510が採用されているが、第5の実施形態はそのような態様に限定されない。例えば、金属層550及び筒状体510の代わりに、内周面上に液密性を有する金属層(めっき層を含む)を備えた樹脂性の筒状体が採用された態様、あるいは、筒状体510の内周面又は外周面に沿って、液密性を有する金属からなる筒(金属筒)が設けられた態様であっても、第1又は第5の実施形態の効果と同様の効果が奏され得る。なお、液密性を有する金属の材料は、第5の実施形態の金属層550の材料と同じである。
【0084】
以上述べたとおり、上述の各実施形態の開示は、それらの実施形態の説明のために記載したものであって、本発明を限定するために記載したものではない。加えて、各実施形態の他の組合せを含む本発明の範囲内に存在する変形例もまた、特許請求の範囲に含まれるものである。
本発明の1つの検出器100は、一部に開口12を有する底部を備え、開口12を利用して電磁波の少なくとも1つの波長を検出する検出部90を収容する金属からなる液密の筒状体10と、シール材72を介して開口12を液密に塞ぐ、前述の波長を通過させる窓部30と、検出部90が筒状体10に電気的に接続しないように筒状体10と検出部90との間に配置される絶縁材40と、を備える。