(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記樹脂層は、前記エアレイド法において前記エアレイドウェブの搬送に用いられたキャリアシートであることを特徴とする請求項3に記載の繊維強化熱可塑性プラスチック作製用プレシート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<繊維強化熱可塑性プラスチック作製用プレシート>
本発明の繊維強化熱可塑性プラスチック作製用プレシートは、強化繊維と熱可塑性樹脂とを含有するウェブ層と、熱可塑性樹脂からなり通気度が0cm
3/cm
2・sを超える樹脂層であってプレシートの少なくとも1つの表面に位置する樹脂層と、を含む積層体が加熱処理されて形成されたシートである。
【0014】
ウェブ層は、強化繊維と熱可塑性樹脂とを含有するシート状物である。ウェブ層は、不織布であることができ、例えばエアレイド法、湿式抄紙法、スパンレース法、ニードルパンチ法などによって形成されることができる。
【0015】
ウェブ層は、熱融着性樹脂をさらに含んでいてもよい。例えば、水を一切使用せずにエアレイド法によりウェブ層を形成する場合、すなわち、いわゆるTDS法(Totally Dry System)によりウェブ層を作製する場合は、ウェブ層は、熱により構成成分同士を結着させるサーマルボンディングのために、熱融着性樹脂を必須の成分として含む。TDS法では、水を一切使用しないため、構成成分の機能を損なわない状態でウェブ層を形成することができる。
【0016】
樹脂層は、熱可塑性樹脂からなり通気度が0cm
3/cm
2・sを超えるシート状物であればよい。例えば、樹脂層は、不織布であることができ、例えばエアレイド法、スパンレース法、ニードルパンチ法などによって形成されることができる。また、樹脂層は、織布や均一に分散された多数の微孔を有するフィルムなどの形態であってもよい。
【0017】
加熱処理は、積層体中の各層の層間接着および層内における構成成分同士の結着を促進させる。
【0018】
(プレシートの層構成)
本発明のプレシートの層構成として、ウェブ層の少なくとも1つの表面に樹脂層が積層された構成が含まれる。また、本発明のプレシートの層構成として、複数のウェブ層の積層体の少なくとも1つの表面に樹脂層が積層された構成が含まれる。複数のウェブ層の層間に樹脂層が配置されていてもよい。
【0019】
例えば、ウェブ層と樹脂層とが積層された構成、樹脂層とウェブ層と樹脂層とがこの順で積層された構成、樹脂層とウェブ層とウェブ層とがこの順で積層された構成、樹脂層とウェブ層とウェブ層と樹脂層とがこの順で積層された構成、樹脂層とウェブ層と樹脂層とウェブ層と樹脂層とがこの順で積層された構成などの構成は本発明の範囲である。
【0020】
1つのプレシートにおいて、複数のウェブ層が含まれる場合、各ウェブ層は同一であってもよく異なっていてもよい。また、1つのプレシートにおいて、複数の樹脂層が含まれる場合、各樹脂層は同一であってもよく異なっていてもよい。
【0021】
層間には、構造を補強する目的の他の層が配置されていてもよい。
【0022】
(強化繊維)
本発明に適用可能な強化繊維としては、炭素繊維(ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、ピッチ系異方性炭素繊維等)、無機繊維(ガラス繊維、バサルト繊維、チタン酸カリウムウィスカ等)、有機繊維(アラミド繊維等)などが挙げられる。
【0023】
上記強化繊維の中でも、炭素繊維およびガラス繊維は、プレシートから得られる成形品の機械的物性をより高くし得るため、好適に用いられる。
【0024】
強化繊維は、例えばチョップドファイバーの形態であることができる。特に、本発明のウェブ層をエアレイド法により形成する場合は、強化繊維は、例えば解繊チョップドファイバーの形態であることができる。
【0025】
強化繊維の平均繊維長は、1mm以上100mm以下であることが好ましく、2mm以上80mm以下であることがより好ましく、2mm以上60m以下であることがさらに好ましい。平均繊維長が前記範囲であると、ウェブの製造が容易となり、また、成形品の強度がより高くなる。
【0026】
(チョップドファイバー)
ここで、チョップドファイバーとは、繊維集束体が切断された短繊維のことである。また、繊維集束体とは、数百本から数千本の強化繊維が、水または樹脂等の結束剤によって集束したものである。また、解繊チョップドファイバーとは、チョップドファイバーを解繊することによって得られた多数本のファイバーである。
【0027】
本発明に適用可能なチョップドファイバーの例として、チョップ状の炭素繊維としては、例えば、平均繊維径が4〜10μm、平均繊維長が3〜13mmの東邦テナックス株式会社製のものが知られている。チョップ状のガラス繊維としては、例えば、平均繊維径が3〜18μm、平均繊維長が1〜20mmのオーウェンス・コーニング社製のものが挙げられる。チョップ状のアラミド繊維としては、例えば、平均繊維径が10〜15μmの、ショートカットファイバー(繊維長0.1〜5mm)や短繊維(繊維長38〜128mm)mmの形態の帝人株式会社製のものが挙げられる。
【0028】
(熱可塑性樹脂)
本発明において、熱可塑性樹脂は、繊維強化熱可塑性プラスチックにおけるマトリクス樹脂となる。
【0029】
本発明のウェブ層に適用可能な熱可塑性樹脂は、繊維状であってもよく、粒子状であってもよい。
【0030】
本発明の樹脂層に適用可能な熱可塑性樹脂は、通気度が0cm
3/cm
2・sを超えるシート状物が得られればよく、繊維状であってもよく、粒子状であってもよく、ペレット状であってもよい。プレシートから得られる成形品の強度がより高くなる点からは、熱可塑性樹脂は繊維状であることが好ましい。
【0031】
熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン6T、ナイロン9T、ナイロンM5Tなどのポリアミド、ポリカーボネート、ポリ乳酸、ポリエーテルイミド(PEI)等が挙げられる。熱可塑性樹脂は2種以上を併用しても構わない。
【0032】
1つのプレシートにおけるウェブ層と樹脂層の熱可塑性樹脂は、同一であってもよく異なっていてもよい。プレス成形体の層間接着性という観点では同一であることが好ましい。
【0033】
熱可塑性樹脂が繊維状である場合、熱可塑性繊維の繊度は1dtex〜120dtexであることが好ましく、1dtex〜85dtexであることがより好ましい。また、熱可塑性繊維の平均繊維長は1〜50mmであることが好ましく、1〜40mmであることがより好ましく、2〜30mmであることがさらに好ましい。熱可塑性繊維の繊度および平均繊維長が前記範囲であると、ウェブ層の形成が容易であり、均一な結着力や分散状態を得やすい。
【0034】
熱可塑性樹脂が粒子状である場合、熱可塑性粒子の平均粒径は、1〜1,000μmであることが好ましく、10〜800μmであることがより好ましい。
【0035】
熱可塑性樹脂がペレット状である場合、一辺が0.1〜5mmであることが好ましく、0.5〜5mmであることがより好ましい。
【0036】
(熱融着性樹脂)
必要に応じて配合されていてもよい本発明における熱融着性樹脂は、プレシート作製時に強化繊維と熱可塑性樹脂とを結着させるバインダ樹脂となる。また、熱融着性樹脂は、繊維強化熱可塑性プラスチックにおけるマトリクス樹脂にもなり得る。このように、本発明において、熱可塑性樹脂および熱融着性樹脂はいずれも、繊維強化熱可塑性プラスチックにおけるマトリクス樹脂になり得るが、以下、本明細書中において単に「マトリクス樹脂」というときは、熱可塑性樹脂を指すものとする。
【0037】
熱融着性樹脂は繊維状であってもよいし、粒子状であってもよい。また、プレシートを湿式法で製造する場合、熱融着性樹脂は粒子が液体に分散している形態であってもよい。
【0038】
熱融着性樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン、低融点ポリエチレンテレフタレート、低融点ポリアミド、低融点ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、アクリル、ウレタン、スチレンブタジエン共重合体、ポリビニルアルコール(PVA)等が挙げられる。熱融着性樹脂は2種類以上を併用しても構わない。
【0039】
熱融着性樹脂が繊維状である場合、熱融着性繊維の繊度は1dtex〜120dtexであることが好ましく、1dtex〜85dtexであることがより好ましい。また、熱融着性繊維の平均繊維長は1〜100mmであることが好ましく、1〜60mmであることがより好ましく、2〜30mmであることがさらに好ましい。熱融着性繊維の繊度および平均繊維長が前記範囲であると、ウェブ層の形成が容易であり、均一な結着力や分散状態を得やすい。
【0040】
熱融着性樹脂が粒子状である場合、熱融着性粒子の平均粒径は、10〜1,000μmであることが好ましく、20〜800μmであることがより好ましい。水溶液に分散している場合、熱融着性粒子の平均粒径は、10nm〜100μmであることが好ましい。
【0041】
(熱融着性樹脂および熱可塑性樹脂の複合体)
上述の熱可塑性樹脂および熱融着性樹脂は、複合化されて複合体を形成していてもよい。
【0042】
熱可塑性樹脂と熱融着性樹脂との複合体としては、熱可塑性樹脂からなる芯部分と熱融着性樹脂からなる鞘部分とを有する芯鞘繊維、長手方向に垂直な断面において片側の半分が熱融着性樹脂からなり、もう一方の片側の半分が熱可塑性樹脂からなるサイドバイサイド繊維、熱可塑性樹脂からなるコアと熱融着性樹脂からなるシェルとを有するコアシェル粒子等が挙げられる。これらの中でも、異種の樹脂を容易に複合化できることから、芯鞘繊維が好適に用いられる。
【0043】
芯鞘繊維としては、例えば、ポリプロピレン繊維(融点160℃)からなる芯部分と、該芯部分の外周に形成された、ポリエチレン(融点130℃)からなる鞘部分とを備えたPP/PE複合芯鞘繊維が挙げられる。
【0044】
また、他の芯鞘繊維としては、例えば、PET/低融点PET複合芯鞘繊維、高密度ポリエチレン/低密度ポリエチレン複合芯鞘繊維、ポリエチレン/低融点PET複合芯鞘繊維、ポリアミド/低融点ポリアミド複合芯鞘繊維、ポリ乳酸/低融点ポリ乳酸複合芯鞘繊維、ポリ乳酸/ポリブチレンサクシネート複合芯鞘繊維等が挙げられる。
【0045】
これらの複合体は、外部に露出する熱融着性樹脂の存在により、熱融着性を提供することができ、バインダとして機能することができる。したがって、これらの複合体は、本発明において熱融着性樹脂として配合されることができる。また、これらの複合体は、熱可塑性樹脂を含むことから、これを含んで作製されるプレシートから得られる成形品に強度を付与することができる。
【0046】
(各成分の含有比率)
プレシートが熱融着性樹脂を含まない場合、プレシートにおける、強化繊維の含有質量Aと、マトリクス樹脂となる熱可塑性樹脂の含有質量Bと、の比率A/Bは、例えば10/90〜90/10であることができ、20/80〜80/20であることができる。比率A/Bが前記範囲にあると、プレシートから得られる繊維強化熱可塑性プラスチックの機械的物性を充分に高めることができる。
【0047】
プレシートが熱融着性樹脂を含む場合、熱融着性樹脂の含有質量Cは、プレシート全体の質量を100部としたとき、1〜50部であることができ、2〜15部であることができる。すなわち、プレシートが強化繊維と熱可塑性樹脂と熱融着性樹脂とからなると仮定した場合、プレシート全体を100質量部とすると、そのうち熱融着性樹脂の含有量Cは1〜50質量部であることができ、残りの99質量部〜50質量部が、上述の比率A/Bで、強化繊維および熱可塑性樹脂の含有量に割り振られることとなる。
【0048】
プレシート全体における熱融着性樹脂の含有比率が高いと、加熱による構成成分の結着工程を含む製造方法によりプレシートを製造した場合のプレシートの強度が相対的に高くなる傾向がある。また、プレシート全体における熱融着性樹脂の含有比率が低いと、成形品を製造する際のプレシートの熱プレス工程の後において、熱プレス工程後の強度が高くなる傾向がある。これは、理論によって縛られることを望むものではないが、プレシート全体における熱融着性樹脂の含有比率が低いと、成形品に含まれる不純物が少なくなるためであると考えられる。
【0049】
(坪量)
プレシートの坪量は40〜4000g/m
2であることが好ましく、100〜3000g/m
2であることがより好ましく、200〜3000g/m
2であることがさらに好ましい。プレシートの坪量が前記下限値以上であれば、成形品を製造する際の熱プレス工程において、プレシートの積層枚数を減らすことができ、作業を簡略化できる。一方、プレシートの坪量が前記上限値以下であれば、プレシートを容易に得ることができる。
【0050】
(作用効果)
本発明のプレシートは、少なくとも1つの表面に樹脂層を含む。樹脂層に含有される熱可塑性樹脂の特性に基づき、このプレシートから得た繊維強化熱可塑性プラスチックから、光沢度に優れた良好な面感を有する成形品を得ることができる。
【0051】
また、一般に、樹脂成形を行う場合、成形プロセス中に発生するボイドが成形品の内部に残留すると、ボイド割れや剥離が生じやすい。本発明のプレシートは、少なくとも1つの表面に通気度が0cm
3/cm
2・sを超える樹脂層を含む。理論によって縛られることを望むものではないが、本発明のプレシートによると、成形プロセス中に発生したボイドが外部に逃げやすく、ボイドの残留を低減させることができると考えられる。したがって、本発明のプレシートは、このプレシートから得た繊維強化熱可塑性プラスチックを成形加工する際の割れの発生を抑制することができ、良好な成形性を奏することができる。
【0052】
<プレシートの製造方法>
本発明のプレシートの製造方法は、ウェブ層の形成と、樹脂層の形成とを含む。例えば、エアレイド法、湿式抄紙法、スパンレース法、ニードルパンチ法などの知られている不織布の製造方法により、樹脂層を有さないウェブ層のみを得て、得られたウェブ層と別途作製した樹脂層となるべきシート状物とを積層して一体化することにより、プレシートを作製することができる。例えば、エアレイド法によりウェブ層を作製する際に、エアレイド法のキャリアシートを、本発明に係る樹脂層用のシート状物としてもよい。
【0053】
(エアレイド法を用いたプレシートの製造方法)
次に、エアレイド法を用いた実施形態のプレシートの製造方法について詳細に説明する。本実施形態のプレシートの製造方法は、解繊工程と混合工程とウェブ形成工程と結着工程とを有する。各工程について、以下に説明する。
【0054】
(解繊工程)
解繊工程は、チョップドファイバーを空気流および/または機械的シェアによって解繊して、解繊チョップドファイバーを得る工程である。
【0055】
チョップドファイバーの空気流による解繊方法では、ブロアー等によって空気流を形成し、その空気流にチョップドファイバーを供給し、空気流の攪拌効果によってチョップドファイバーを解繊する。空気流による解繊によれば、強化繊維が破断して短くなることを防止できる。特に、炭素繊維およびガラス繊維は、脆くて機械的な剪断力によって破断しやすいところ、空気流によって解繊することにより、破断を防止できる。
【0056】
解繊方法としては、旋回する空気流で解繊することが好ましい。旋回する空気流を利用した解繊方法によれば、チョップドファイバーを充分に解繊することができる。そのため、エアレイド法によってエアレイドウェブを形成する際に、解繊チョップドファイバーの分散性をより高めることができる。
【0057】
旋回する空気流を利用した解繊方法としては、例えば、ブロアーの中にチョップドファイバーを投入してブロアーにて解繊する方法が挙げられる。また、ブロアーによって円筒容器内に、周方向に沿うように空気を送って旋回流を形成し、その旋回流の中にチョップドファイバーを供給し、攪拌して解繊する方法が挙げられる。空気流と機械的シェアを併用する方法としては、ブロアー内に邪魔板を設けることでチョップドファイバーが邪魔板にあたり、空気流および機械的シェアによって解繊される方法が挙げられる。機械的シェアで解繊する方法としては、繊維束をロールで圧縮し広げる方法や針のついたローラーでカーディングする方法などが挙げられる。
【0058】
空気流の流速は、チョップドファイバーの量に応じて適宜選択されるが、通常は、10〜150m/秒の範囲内である。
【0059】
(混合工程)
混合工程は、解繊チョップドファイバーと、熱可塑性樹脂と、熱融着性樹脂と、を混合してウェブ原料を得る工程である。必要に応じて添加する難燃剤等の助剤は、この混合工程において添加することができる。
【0060】
混合に際しては、解繊チョップドファイバーの分散性を向上させるために、解繊チョップドファイバーと熱可塑性樹脂と熱融着性樹脂とを攪拌することが好ましい。ただし、解繊チョップドファイバーの破断を防ぐために、機械的剪断力を利用した攪拌ではなく、空気流を用いた攪拌を適用することが好ましい。
【0061】
混合工程は、解繊工程の後でもよいし、解繊工程と同時でもよい。混合工程を解繊工程と同時とする場合には、解繊工程での空気流を利用して、解繊チョップドファイバーと熱可塑性樹脂と熱融着性樹脂とを混合する。
【0062】
(ウェブ形成工程)
ウェブ形成工程は、ウェブ原料からウェブを形成する工程である。本実施形態ではエアレイド法を採用してエアレイドウェブを得る。ここで、エアレイド法とは、空気流を利用して繊維を3次元的にランダムに堆積させてウェブを形成する方法である。
【0063】
本実施形態におけるウェブ形成工程では、例えば、
図2に示すウェブ形成装置1を用いる。このウェブ形成装置1は、コンベア10と透気性無端ベルト20と繊維混合物供給手段30と第1のキャリアシート供給手段40と第2のキャリアシート供給手段50とサクションボックス60と備える。
【0064】
ここで、コンベア10は、複数のローラー11によって構成されている。透気性無端ベルト20は、コンベア10に装着されて回転するようになっている。繊維混合物供給手段30は、透気性無端ベルト20に繊維混合物を空気流と共に供給するものである。第1のキャリアシート供給手段40は、透気性無端ベルト20に向けて第1のキャリアシート41を供給するものである。第2のキャリアシート供給手段50は、透気性無端ベルト20を通過した第1のキャリアシート41に向けて第2のキャリアシート51を供給するものである。サクションボックス60は、透気性無端ベルト20をその内側から吸引するものである。
【0065】
ウェブ形成装置1においては、繊維混合物供給手段30は透気性無端ベルト20の上方に設置され、第1のキャリアシート供給手段40は透気性無端ベルト20よりも上流に設置され、第2のキャリアシート供給手段50は透気性無端ベルト20よりも下流に設置されている。
【0066】
上記ウェブ形成装置1を用いたウェブ形成工程では、各ローラー11を同方向に回転させることによりコンベア10を駆動させて透気性無端ベルト20を回転させる。また、透気性無端ベルト20の上に接触するように、第1のキャリアシート41を第1のキャリアシート供給手段40から繰り出す。
【0067】
次いで、サクションボックス60によって透気性無端ベルト20を吸引しながら、繊維混合物供給手段30から空気流と共に繊維混合物を下降させ、透気性無端ベルト20上の第1のキャリアシート41上に繊維混合物を落下、堆積させる。これにより、エアレイドウェブAを形成する。
【0068】
次いで、エアレイドウェブAの上に、第2のキャリアシート51を第2のキャリアシート供給手段50より供給して、エアレイドウェブ含有積層シートを得る。
【0069】
第1のキャリアシート41および第2のキャリアシート51は、エアレイド法においてエアレイドウェブを搬送する搬送手段としての機能を有する。
【0070】
(結着工程)
結着方式は、ケミカルボンド方式、サーマルボンド方式、マルチボンド方式より選択される。いずれの方式を選択しても構わないが、強化繊維との結着性という観点からサーマルボンド方式を使用する場合が多い。サーマルボンド方式による結着工程は、エアレイドウェブを加熱処理して、解繊チョップドファイバー同士を熱融着性樹脂によって結着させる工程である。
【0071】
エアレイドウェブの加熱処理としては、熱風処理、赤外線照射処理が挙げられ、装置が低コストである点では、熱風処理が好ましい。
【0072】
熱風処理としては、エアレイドウェブを、周面に通気性を有する回転ドラムを備えたスルーエアードライヤに接触させて熱処理する方法(熱風循環ロータリードラム方式)や、エアレイドウェブを、ボックスタイプドライヤに通し、エアレイドウェブに熱風を通過させることで熱処理する方法(熱風循環コンベアオーブン方式)などが挙げられる。
【0073】
第1のキャリアシートおよび第2のキャリアシートに挟まれて積層シートになっているエアレイドウェブ、すなわちエアレイドウェブ含有積層シートは、積層シートのまま熱風処理することができる。第1のキャリアシートおよび第2のキャリアシートは、熱風処理後にエアレイドウェブから剥離することができる。本実施形態では、第1のキャリアシートおよび第2のキャリアシートをエアレイドウェブから剥離せずに、本発明に係る樹脂層とした。
【0074】
加熱処理温度は、熱融着性樹脂が溶融するが、熱可塑性樹脂は溶融しない温度とすることが好ましい。このような温度とすれば、解繊チョップドファイバー同士を確実に結着しつつ、プレシートを成形する前に熱可塑性樹脂が溶融することを抑制できる。
【0075】
結着工程の後には、プレシートの厚みおよび密度を微調整する目的で、加熱ロールに通して圧縮処理してもよい。
【0076】
本実施形態のプレシートの製造方法では、エアレイド法におけるエアレイドウェブの搬送手段であるキャリアシートに、本発明に係る樹脂層となるべきシート状物を使用した。本実施形態の製造方法によれば、ウェブ層からキャリアシートを剥離する剥離工程、および剥離工程に後続する、キャリアシートを剥離して得たウェブ層に樹脂層となるべきシート状物を積層する積層工程等を省略することができ、作業効率向上の効果が奏される。
【0077】
なお、本実施形態では、ウェブ形成装置は繊維混合物供給手段を1つ有していた。このウェブ形成装置において、上述の工程を繰り返すことにより、複数のウェブ層を有するプレシートを得てもよい。また、ウェブ形成装置に複数の繊維混合物供給手段を設け、1パスの工程で複数のウェブ層を有するプレシートを得てもよい。このとき、複数のウェブ層間に樹脂層または構造強化等を目的とした他のシート状物を間挿してもよい。
【実施例】
【0078】
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
【0079】
[実施例1]
<プレシートの製造>
チョップ状のPAN系炭素繊維(繊維径7μm、繊維長6mm)を、旋回流式ジェット気流解繊装置を用いて解繊処理して、解繊チョップドファイバー(CF)を得た。解繊機での処理風速は45m/分であり、装置内に設けたバッフルにより乱流とした。
【0080】
次いで、得られた解繊チョップドファイバーと、6ナイロン繊維(繊度3.3dtex、繊維長4mm、融点225℃)と、芯鞘型の熱融着性複合繊維(PET/PET複合芯鞘繊維、芯部融点260℃、鞘部融点130℃、繊度2.2dtex、繊維長5mm)とを、50/40/10の割合(質量比)で空気流により均一に混合して繊維混合物を得た。
【0081】
次いで、
図2に示すウェブ形成装置1を用い、繊維混合物からエアレイドウェブを形成した。具体的には、コンベア10に装着されて走行する透気性無端ベルト20の上に、第1のキャリアシート供給手段40によって、第1のキャリアシート41を繰り出した。実施例1では、第1のキャリアシート41として、6ナイロンスパンボンド不織布(坪量30g/m
2、通気度295cm
3/cm
2・s)を使用した。なお、「坪量」はJIS P 8124:2011に記載の「紙及び板紙−坪量の測定方法」に従って測定し、「通気度」はJIS L 1096:2010に記載の「織物及び編物の生地試験方法」に従って測定した。
【0082】
サクションボックス60によって透気性無端ベルト20を吸引しながら、第1のキャリアシート41の上に、繊維混合物供給手段30から空気流と共に繊維混合物を落下堆積させた。その際、エアレイドウェブ部分の坪量が750g/m
2となるように、繊維混合物を供給した。ここで、エアレイドウェブ部分は、プレシートにおけるウェブ層となるべき部分である。
【0083】
次いで、第2のキャリアシート供給手段50によって、第1のキャリアシート41上の繊維混合物堆積物の上に、第2のキャリアシート51を積層して、エアレイドウェブ含有積層シートを得た。実施例1では、第2のキャリアシート51として、6ナイロンスパンボンド不織布(坪量30g/m
2、通気度295cm
3/cm
2・s)を使用した。
【0084】
得られた積層シートを、熱風循環コンベアオーブン方式のボックスタイプドライヤに通し、温度140℃で熱風処理して、坪量810g/m
2のプレシートを得た。実施例1では、第1のキャリアシート41および第2のキャリアシート51は、プレシートにおける樹脂層となる。
【0085】
<炭素繊維強化熱可塑性プラスチック成形品の作製>
上記プレシートを20cm×20cmに裁断し、これにより得た裁断片を2枚積層し、20cm×20cm、深さ2mmの開口部を有するステンレス製の金型内に配置した。次いで、前記金型を熱プレス機にセットし、温度をマトリクス樹脂の融点+30℃に設定し、圧力2MPaで3分間予備プレスし、さらに5MPaに加圧して10分間プレス処理した。その後、5MPaで冷却して、炭素繊維強化熱可塑性プラスチック成形品(第1の成形品)を得た。
【0086】
詳細には、本実施例では、プレシートはマトリクス樹脂として6ナイロンを含むので、その融点225℃よりも30℃高い温度である255℃に熱プレス機の温度を設定して、成形加工を行った。なお、本発明において、プレシートがマトリクス樹脂として複数の熱可塑性樹脂を含むことがあるが、その場合は、熱プレス機の温度は配合部数が一番多い主となるマトリクス樹脂が溶融し、かつ分解しない温度に随時、設定する。
【0087】
同様の方法で高さ5cmのお椀型の金型を使用し、炭素繊維強化熱可塑性プラスチック成形品(第2の成形品)を得た。
【0088】
[実施例2]
エアレイドウェブ部分に関する坪量が1500g/m
2になるように繊維混合物の供給量を調整した以外は実施例1と同様にして、プレシートを得た。得られたプレシートの坪量は1560g/m
2であった。
【0089】
また、得られたプレシートを1枚の単体で成形した以外は実施例1と同様にして、炭素繊維強化熱可塑性プラスチック成形品を作製した。
【0090】
[実施例3]
第1のキャリアシートとして、坪量および通気度の異なる6ナイロンスパンボンド不織布(坪量60g/m
2、通気度115cm
3/cm
2・s)を使用した以外は実施例1と同様にして、プレシートを得た。得られたプレシートの坪量は840g/m
2であった。プレシートを積層する際、薄い方のキャリアシートが向き合うように重ねた以外は、実施例1と同様にして、炭素繊維強化熱可塑性プラスチック成形品を作製した。
【0091】
[実施例4]
解繊チョップドファイバー、6ナイロン繊維、および芯鞘型の熱融着性複合繊維(PET/PET複合芯鞘繊維)を70/20/10の割合(質量比)で混合して繊維混合物を得た以外は実施例3と同様にして、プレシートを得た。プレシートを積層する際、薄い方のキャリアシートが向き合うように重ねた以外は、実施例1と同様にして、炭素繊維強化熱可塑性プラスチック成形品を作製した。
【0092】
[実施例5]
6ナイロン繊維の代わりにポリカーボネート繊維(繊度3dtex、繊維長5mm、融点150℃)を使用して繊維混合物を得た点、および第1および第2のキャリアシートにポリカーボネートスパンボンド不織布(坪量30g/m
2、通気度295cm
3/cm
2・s)を使用した点以外は実施例1と同様にして、プレシートを得た。得られたプレシートを用い、実施例1と同様にして、炭素繊維強化熱可塑性プラスチック成形品を作製した。
【0093】
[実施例6]
6ナイロン繊維の代わりにポリプロピレン繊維(繊度2.2dtex、繊維長5mm、融点168℃)を使用して繊維混合物を得た点、および第1および第2のキャリアシートにポリプロピレンスパンボンド不織布(坪量30g/m
2、通気度290cm
3/cm
2・s)を使用した点以外は実施例1と同様にして、プレシートを得た。得られたプレシートを用い、実施例1と同様にして、炭素繊維強化熱可塑性プラスチック成形品を作製した。
【0094】
[実施例7]
6ナイロン繊維の代わりにポリエーテルイミド繊維(繊度2.2dtex、繊維長5mm、融点215℃)を使用して繊維混合物を得た点、および第1および第2のキャリアシートにポリエーテルイミドスパンボンド不織布(坪量30g/m
2、通気度290cm
3/cm
2・s)を使用した点以外は実施例1と同様にして、プレシートを得た。得られたプレシートを用い、実施例1と同様にして、炭素繊維強化熱可塑性プラスチック成形品を作製した。
【0095】
[実施例8]
炭素繊維の代わりにガラス繊維(繊度1dtex、繊維長5mm)を使用して繊維混合物を得た以外は実施例5と同様にして、プレシートを得た。得られたプレシートを用い、実施例1と同様にして、ガラス繊維強化熱可塑性プラスチック成形品を作製した。
【0096】
[実施例9]
炭素繊維の代わりにガラス繊維(繊度1dtex、繊維長5mm)を使用して繊維混合物を得た以外は実施例7と同様にして、プレシートを得た。得られたプレシートを用い、実施例1と同様にして、ガラス繊維強化熱可塑性プラスチック成形品を作製した。
【0097】
[実施例10]
炭素繊維の代わりにアラミド繊維(繊度1.7dtex、繊維長5mm)を使用して繊維混合物を得た以外は実施例1と同様にして、プレシートを得た。得られたプレシートを用い、実施例1と同様にして、アラミド繊維強化熱可塑性プラスチック成形品を作製した。
【0098】
[実施例11]
実施例1で作製したプレシートを2枚積層する代わりに、実施例1で作製したプレシートと実施例10で作製したプレシートとを各1枚積層した以外は実施例1と同様にして、強化繊維熱可塑性プラスチック成形品を作製した。
【0099】
[実施例12]
エアレイドウェブ部分に関する坪量が、750g/m
2の代わりに300g/m
2になるように繊維混合物の供給量を調整した以外は実施例1と同様にして、プレシートを得た。また、得られたプレシートを、2枚の代わりに4枚積層してプレス成形した以外は実施例1と同様にして、炭素繊維強化熱可塑性プラスチック成形品を作製した。
【0100】
[実施例13]
解繊チョップドファイバー、6ナイロン繊維、および芯鞘型の熱融着性複合繊維(PET/PET複合芯鞘繊維)を50/40/10の割合(質量比)で混合する代わりに、解繊チョップドファイバーおよびポリプロピレン繊維(繊度2.2dtex、繊維長5mm、融点168℃)を50/50の割合(質量比)で混合して繊維混合物を得た点、および第1および第2のキャリアシートにポリプロピレンスパンボンド不織布(坪量30g/m
2、通気度290cm
3/cm
2・s)使用した点以外は実施例1と同様にして、積層シートを得た。また、得られた積層シートを、熱風循環コンベアオーブン方式のボックスタイプドライヤに通し、温度170℃で熱風処理した以外は実施例1と同様にして、プレシートを得た。得られたプレシートを用い、実施例1と同様にして、繊維強化熱可塑性プラスチック成形品を作製した。
【0101】
[実施例14]
ガラス繊維(繊度1dtex、繊維長5mm)およびポリカーボネート繊維(繊度3dtex、繊維長5mm、融点150℃)を、ガラス繊維およびポリカーボネート繊維が55.6/44.4の割合(質量比)となるように計量し、水中に投入した。水の量は、上記繊維の合計質量に対し200倍となるようにした。すなわち、得られるスラリー中の繊維の濃度が0.5質量%となるようにした。上記繊維の合計質量(100質量部)に対し、分散剤として商品名「エマノーン(登録商標)3199」(花王株式会社製)を1質量部となるよう添加して攪拌し、繊維を水中に均一に分散させたスラリー(第1スラリー)を作製した。
【0102】
次に、芯鞘型の熱融着性複合繊維(PET/PET複合芯鞘繊維、芯部融点260℃、鞘部融点130℃、繊度2.2dtex、繊維長5mm)を、得られるスラリー中の繊維の濃度が10質量%となるように水に添加し、攪拌してスラリー(第2スラリー)を作製した。この第2スラリーを、ガラス繊維、ポリカーボネート繊維、および芯鞘型の熱融着性複合繊維(PET/PET複合芯鞘繊維)が50/40/10の割合(質量比)となるように第1スラリーに投入して、湿式抄紙法でウエットウエブを形成した。得られたウエットウエブを180℃の温度で加熱乾燥し、坪量750g/m
2のウェブを得た。得られたウェブの表裏面にポリカーボネートスパンボンド不織布(坪量30g/m
2、通気度295cm
3/cm
2・s、)を積層し、プレシートを得た。得られたプレシートの坪量は810g/m
2であった。得られたプレシートを用い、実施例1と同様にして、強化繊維熱可塑性プラスチック成形品を作製した。
【0103】
[実施例15]
ガラス繊維の代わりにPAN系炭素繊維(繊維径7μm、繊維長6mm)、ポリカーボネート繊維の代わりに6ナイロン繊維(繊度3.3dtex、繊維長4mm、融点225℃)を使用して繊維混合物を得た以外は実施例14と同様にして、プレシートを得た。得られたプレシートを用い、実施例1と同様にして、炭素繊維強化熱可塑性プラスチック成形品を作製した。
【0104】
[比較例1]
解繊チョップドファイバー、6ナイロン繊維、および芯鞘型の熱融着性複合繊維(PET/PET複合芯鞘繊維)を、45/45/10の割合(質量比)で空気流により均一に混合して繊維混合物を得た。エアレイドウェブ部分に関する坪量が750g/m
2になるように繊維混合物の供給量を調整し、第1キャリアシートと、繊維混合物堆積物と、第2キャリアシートと、がこの順で積層されたエアレイドウェブ含有積層シートを得た。得られた積層シートを、熱風循環コンベアオーブン方式のボックスタイプドライヤに通し、温度140℃で熱風処理した後、第1のキャリアシートおよび第2のキャリアシートを剥離して、プレシートを得た。得られたプレシートを用い、実施例1と同様にして、炭素繊維強化熱可塑性プラスチック成形品を作製した。
【0105】
[比較例2]
第1のキャリアシートおよび第2のキャリアシートとして、ポリプロピレンスパンボンド不織布の代わりにポリプロピレンフィルム(坪量30g/m
2、通気度0cm
3/cm
2・s)を使用した以外は実施例6と同様にして、坪量810g/m
2のプレシートを得た。得られたプレシートを用い、実施例1と同様にして、炭素繊維強化熱可塑性プラスチック成形品を作製した。
【0106】
<評価>
得られた成形品について、下記の方法により曲げ弾性率および曲げ強度、光沢度を測定し、成形性を評価した。測定および評価結果を表1に示す。
【0107】
(成形品の曲げ弾性率および曲げ強度の測定方法)
ダイヤモンドカッターを用いて、得られた第1の成形品を幅15mm、長さ100mmに裁断して、試験片を作製した。その試験片の厚みを測定した後、JIS K7074に記載の「炭素繊維強化プラスチックの曲げ試験方法」に従い、3点曲げ試験を、速度5mm/分、支点間距離80mmの条件で行って、曲げ弾性率および曲げ強度を測定した。
【0108】
(成形品の光沢度の測定方法)
JIS Z8741に記載の光沢度の測定方法に従い、75°光沢度を測定した。
【0109】
(成形性の評価基準)
お椀型の型を用いてプレスした第2の成形品の表面の亀裂の有無を確認した。
評価
○:亀裂などが無く、滑らかな表面
×:亀裂が入り、凹凸のある表面
【0110】
(測定および評価結果)
ウェブ層の表裏面に熱可塑性樹脂からなる不織布が積層された実施例1から15のプレシートから得た成形品は、成形性に優れており、光沢度も高かった。これに対し、熱可塑性樹脂からなる不織布が表裏面に積層されてない、ウェブ層からなる比較例1のプレシートは、光沢度が低かった。また、ウェブ層の表裏面に熱可塑性樹脂からなる通気度0cm
3/cm
2・sのフィルムが積層された比較例2のプレシートから得た成形品は、成形品の表面に亀裂が入り、成形性が劣っていた。
【0111】
また、ウェブ層の表裏面に積層された樹脂層の通気度のみが異なる実施例6と比較例2とを比較すると、実施例6のプレシートから得た成形品は、比較例2のプレシートから得た成形品よりも、曲げ弾性率および曲げ強度が高かった。
【0112】
また、プレシート全体における熱融着性樹脂の含有比率が異なる実施例1、2および12を比較すると、プレシート全体における熱融着性樹脂の含有比率が低いほど、成形品を製造する際のプレシートの熱プレス工程の後において、成形品の曲げ強度が高かった。