特許第6686327号(P6686327)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6686327
(24)【登録日】2020年4月6日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】運転支援装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20200413BHJP
   B60R 21/00 20060101ALI20200413BHJP
   B60R 21/0134 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
   G08G1/16 D
   G08G1/16 C
   B60R21/00 992
   B60R21/00 993
   B60R21/0134 312
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-166785(P2015-166785)
(22)【出願日】2015年8月26日
(65)【公開番号】特開2017-45240(P2017-45240A)
(43)【公開日】2017年3月2日
【審査請求日】2018年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陌間 純朗
(72)【発明者】
【氏名】杉山 孝美
(72)【発明者】
【氏名】西山 明宏
(72)【発明者】
【氏名】西別府 慎也
【審査官】 田中 純一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−186953(JP,A)
【文献】 特開2007−079862(JP,A)
【文献】 特開2007−076397(JP,A)
【文献】 特開2008−305319(JP,A)
【文献】 特開2008−282067(JP,A)
【文献】 特開2006−044380(JP,A)
【文献】 特開2014−178836(JP,A)
【文献】 特開2008−197863(JP,A)
【文献】 特開2007−001436(JP,A)
【文献】 特開2010−264856(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/180787(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0172221(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2004−0046088(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 − 99/00
B60R 21/00 − 21/13
B60R 21/34 − 21/38
G01S 11/00 − 11/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を運転するドライバに対して運転の支援を行う運転支援装置であって、
前記車両の後方、且つ前記ドライバの死角の状況を検知するセンサと、
車両走行時の車両の周辺状況を示す周辺状況情報を取得する取得手段と、
前記取得手段で取得した前記車両の周辺状況に基づいて、前記車両の安全システムを制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記取得手段で取得した前記周辺状況情報に基づいて、周辺状況を前記ドライバに対して問い合わせる問い合わせ手段と、
前記問い合わせ手段で問い合わせた結果に基づいて、前記安全システムの作動又は停止を制御するシステム制御手段と、
を備え
前記安全システムは、前記ドライバに対する警報を行う後方死角警報システムであり、
前記取得手段は、前記センサの検知に基づいて前記車両の後方の状況を取得し、
前記問い合わせ手段は、悪天候であるか否かを問い合わせ、
前記システム制御手段は、前記問い合わせ結果に基づいて、前記ドライバから前記悪天候である旨の指示がされた場合に、前記後方死角警報システムを停止させる、
ことを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
車両を運転するドライバに対して運転の支援を行う運転支援装置であって、
前記車両の前方の状況を検知するセンサと、
車両走行時の車両の周辺状況を示す周辺状況情報を取得する取得手段と、
前記取得手段で取得した前記車両の周辺状況に基づいて、前記車両の安全システムを制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記取得手段で取得した前記周辺状況情報に基づいて、周辺状況を前記ドライバに対して問い合わせる問い合わせ手段と、
前記問い合わせ手段で問い合わせた結果に基づいて、前記安全システムの作動又は停止を制御するシステム制御手段と、
を備え、
前記安全システムは、前記前方の障害物と衝突したときに衝突被害を軽減する衝突被害軽減システムであり、
前記取得手段は、前記センサの検知に基づいて前記車両の前方の状況を取得し、
前記問い合わせ手段は、前記センサに付着物が付着していると判断された場合、トンネル通過中であるか否かを問い合わせ、
前記システム制御手段は、前記問い合わせ結果に基づいて、前記ドライバからトンネル走行中ではない旨の指示がされた場合には、前記衝突被害軽減システムの作動を停止させる、
ことを特徴とする運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライバの運転を支援する運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の走行状態を取得する検知手段として、GPS装置、車速センサ、加速度センサ、操舵角センサ等を備え、車両の周辺状況を取得するセンサとして、ミリ波レーダなどの各種レーダ、車外を撮影するカメラ、車車間通信手段を備え、自動運転車両制御装置がこれらセンサからの情報を用いて自動運転を行う車両が知られている(下記特許文献1参照)。
【0003】
これらのセンサは、常に正確なセンシングが行える訳ではなく、状況によって情報が取得できなかったり検知誤差が大きくなったりすることによって、検知精度が低下する。そして、センサから得られる情報の精度が低下する場合には、安全に自動運転をすることができない。このため、自動運転車両制御装置は、検知手段の検知精度が所定の基準よりも低くなると自動運転を行うための条件を満たしていないと判断し、自動運転を解除することによって、安全性を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−106854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の技術によると、検知手段の検知精度が所定の基準よりも低くなり、自動運転を行うための条件を満たしていないと判断された場合、強制的に自動運転が解除されてしまう。安全性の確保という面では優れた制御であるが、検知制度が低下しても実際は安全である場合もある。このような場合は、安全であるにも関わらず、自動運転が強制的に解除されてしまうという事態も生じ得る。
【0006】
ところで、車両の走行時に、センサの種類によっては所定の場合に適切にセンシングができず、車両の周辺状況を的確に把握できない場合がある。
【0007】
例えば、超音波センサを用いて車両後方の死角に対する警報を行う安全システムの場合、降雨時には、雨を障害物として捉えてしまう可能性がある。また、例えば、電波レーダに基づいて走行制御を行うことによって衝突時の被害を軽減する安全システムの場合、トンネルを通過中のときは、トンネルの内壁を障害物として捉えるのであれば良いが、例えば電波レーダのレーダ放射部に付着した雪や泥を障害物として捉えてしまう可能性がある。これらのような場合に、上記特許文献1に記載の技術を用いると、安全な状態にも関わらず安全システムが作動し、結果的に安全システムが誤作動をすることになる。
【0008】
このような誤作動を防止するために、複数のセンサや複数のレーダを設けることにより解決する方法も考えられるが、車両製造のコストアップになると共に制御構成が複雑になり現実的ではない。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、センサからの出力に基づいて周辺状況の判別がつかない状況において、周辺状況を簡易な構成で正確に判別し、安全システムを適切に制御することができる運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
運転支援装置は、車両を運転するドライバに対して運転の支援を行う運転支援装置であって、前記車両の後方、且つ前記ドライバの死角の状況を検知するセンサと、車両走行時の車両の周辺状況を示す周辺状況情報を取得する取得手段と、前記取得手段で取得した前記車両の周辺状況に基づいて、前記車両の安全システムを制御する制御手段と、を備える。前記制御手段は、前記取得手段で取得した前記周辺状況情報に基づいて、周辺状況を前記ドライバに対して問い合わせる問い合わせ手段と、前記問い合わせ手段で問い合わせた結果に基づいて、前記安全システムの作動又は停止を制御するシステム制御手段と、を備える。前記安全システムは、前記ドライバに対する警報を行う後方死角警報システムであり、前記取得手段は、前記センサの検知に基づいて前記車両の後方の状況を取得し、前記問い合わせ手段は、悪天候であるか否かを問い合わせ、前記システム制御手段は、前記問い合わせ結果に基づいて、前記ドライバから前記悪天候である旨の指示がされた場合に、前記後方死角警報システムを停止させる。
【0013】
また、運転支援装置は、車両を運転するドライバに対して運転の支援を行う運転支援装置であって、前記車両の前方の状況を検知するセンサと、車両走行時の車両の周辺状況を示す周辺状況情報を取得する取得手段と、前記取得手段で取得した前記車両の周辺状況に基づいて、前記車両の安全システムを制御する制御手段と、を備える。前記制御手段は、 前記取得手段で取得した前記周辺状況情報に基づいて、周辺状況を前記ドライバに対して問い合わせる問い合わせ手段と、前記問い合わせ手段で問い合わせた結果に基づいて、前記安全システムの作動又は停止を制御するシステム制御手段と、を備える。前記安全システムは、前記前方の障害物と衝突したときに衝突被害を軽減する衝突被害軽減システムであり、前記取得手段は、前記センサの検知に基づいて前記車両の前方の状況を取得し、前記問い合わせ手段は、前記センサに付着物が付着していると判断された場合、トンネル通過中であるか否かを問い合わせ、前記システム制御手段は、前記問い合わせ結果に基づいて、前記ドライバからトンネル走行中ではない旨の指示がされた場合には、前記衝突被害軽減システムの作動を停止させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の運転支援装置によれば、センサからの出力に基づいて周辺状況の判別がつかない状況において、周辺状況を簡易な構成で正確に判別し、安全システムを適切に制御することができる運転支援装置を提供現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施形態に係る運転支援装置の概略的な制御構成の一例を示す図である。
図2】同第1の実施形態に係る道路上を走行中の車両から超音波が放射されている状態の一例を示す図である。
図3】同第1の実施形態に係る表示・入力部に表示されるメッセージの一例を示す図である。
図4】同第1の実施形態に係る表示・入力部に表示されるメッセージの一例を示す図である。
図5】同第1の実施形態に係る安全システム(後方死角警報システム)の制御の一例を示すフローチャートである。
図6】本発明の第2の実施形態に係る運転支援装置の概略的な制御構成の一例を示す図である。
図7】同第2の実施形態に係る道路上を走行中の車両から電波レーダが放射されている状態の一例を示す図である。
図8】同第2の実施形態に係る表示・入力部に表示されるメッセージの一例を示す図である。
図9】同第2の実施形態に係る表示・入力部に表示されるメッセージの一例を示す図である。
図10】同第2の実施形態に係る安全システム(衝突被害軽減システム)の制御の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る運転支援装置の概略的な制御構成の一例を示す図である。各実施形態では、運転支援装置を車両1に適用した場合で説明する。
【0017】
図1に示すように、車両1は、車両ECU(制御手段)11、超音波センサ12、表示・入力部13、音声出力部14を含む。車両1は、これら構成の他にも車両としての一般的な構成も有しているが、本発明とは直接関係がないため図示及び説明を省略する。
【0018】
車両ECU11は、車両1の各装置及び車両1の周辺状況に基づいて、車両の後方死角警報システム(安全システム)を制御する。本第1の実施形態においては、車両ECU11は、超音波センサ12からの入力に基づいて、表示・入力部13、及び音声出力部14を制御する場合を説明する。
【0019】
超音波センサ12は、車両1の後側に設けられており、走行時の車両1の後方の状況(周辺状況)を示す情報(周辺状況情報)を取得する(取得手段)。より詳細には、超音波センサ12は、運転席に位置するドライバから死角になる位置に超音波を出力することが可能な位置に配置される。また、超音波センサ12は、出力した超音波に対する反射波を受信する。なお、図2は、道路R上を走行中の車両1から超音波が放射されている状態の一例を示す図である。
【0020】
表示・入力部13は、例えば、ドライバが運転席に位置したときに、ドライバに対して情報(メッセージ)を表示すると共に、ドライバからの入力を受け付ける。このため、表示・入力部13は、タッチパネルで構成されており、ドライバに対して表示したメッセージに対する回答を受け付けることができるようになっている。したがって、表示・入力部13は、ドライバが視認しやすく操作し易い位置に配置されることが望ましい。
【0021】
音声出力部14は、車両ECU11の制御の下、所定の音声を出力する。音声出力部14は、例えば、表示・入力部13に表示されるメッセージと同内容のメッセージを音声として出力する。また、車両ECU11の制御の下、所定の条件に合致した場合に、ドライバに対する警報を鳴らす。
【0022】
後方死角警報システム(安全システム)は、車両ECU11、超音波センサ12、及び音声出力部14によって構成される。後方死角警報システムは、超音波センサ12から受信する受信波(反射波)が、所定の基準値を超えたときに、車両ECU11が車両1の後側に障害物があると判断し、音声出力部14を鳴動させ、ドライバに対して警告を行うシステムである。
【0023】
例えば、車両1が走行中に、超音波センサ12から出力される超音波が歩行者に対して放射された場合、その反射波が超音波センサ12に受信される。この受信波のレベルは歩行者がいないときと比較すると、大きな値となる。このため、所定の基準値を超えた場合、車両ECU11は、車両1の後ろ側に歩行者(障害物)が存在すると判断し、音声出力部14から所定の警報を鳴らし、ドライバに対して車両1の後方を警戒するように促す。
【0024】
次に、悪天候か否かをドライバに問い合わせるときに表示・入力部13に表示される内容について説明する。図3は、この問い合わせ時に表示・入力部13に表示されるメッセージの一例を示す図である。
【0025】
図3に示すように、表示・入力部13aには、“現在、雨は降っていますか?”というメッセージと共に、ドライバからの回答を受け付けるための“YES”ボタン21,“NO” ボタン22が表示される。“YES”ボタン21,“NO”ボタン22は、タッチセンサが対応しており、ドライバが指先等で“YES”ボタン21,“NO”ボタン22のいずれかをタッチすることにより、回答を入力できるようになっている。なお、本第1の実施形態においては、天候の種類として、“雨”を一例として挙げているが、“雨”に限られず、例えば、雪を挙げることもできる。
【0026】
次に、停止している後方死角警報システムを復帰させるときに表示・入力部13に表示される内容について説明する。図4は、この復帰時に表示・入力部13に表示されるメッセージの一例を示す図である。
【0027】
図4に示すように、表示・入力部13bには、“現在、後方死角警報システムは停止しています。解除しますか?”というメッセージと共に、ドライバからの回答を受け付けるための“YES”ボタン23が表示される。“YES”ボタン23は、図3の場合と同様に、タッチセンサが対応しており、ドライバが指先等で“YES”ボタン23をタッチすることにより、停止の解除を指示できるようになっている。
【0028】
次に、走行時に車両ECU11が実行する後方死角警報システムの停止/作動の制御について説明する。図5は、後方死角警報システムの制御の一例を示すフローチャートである。
【0029】
図5に示すように、まず、車両ECU11は、車両1の走行を開始すると超音波センサ12を作動させ、超音波センサ12により受信される受信波に外来ノイズが発生しているか否かを判断する(ST101)。外来ノイズが発生しているか否かは、例えば、受信波のレベルが所定の基準値を超えているか否かに基づいて判断される。
【0030】
外来ノイズが発生していないと判断した場合(ST101:NO)、車両ECU11は後方死角警報システムを作動する(ST102)。そして、処理はリターンとなる。
【0031】
一方、外来ノイズが発生していると判断した場合(ST101:YES)、車両ECU11は、選択メッセージを表示・入力部13に表示する(ST103:問い合わせ手段)。選択メッセージは、本第1の実施形態においては、図3を参照して説明したメッセージ(現在、雨は降っていますか?等)である。
【0032】
次に、車両ECU11は、悪天候か否かを判断する(ST104)。より具体的には、選択メッセージとして表示した画面において、“YES”ボタン21が入力された場合は、悪天候である(雨が降っている)と判断し、“NO”ボタン22が入力された場合は、悪天候でない(雨が降っていない)と判断する。
【0033】
悪天候でないと判断した場合(ST104:NO)、車両ECU11は、後方死角警報システムを作動する(ST102)。
【0034】
また、悪天候であると判断した場合(ST104:YES)、車両ECU11は、利用不可メッセージを表示・入力部13に表示する(ST105)。利用不可メッセージは、本第1の実施形態においては、図4を参照して説明したメッセージ(現在、後方死角警報システムは停止しています。解除しますか?)である。
【0035】
このように利用不可メッセージを表示した後、車両ECU11は、後方死角警報システムを停止する(ST106)。悪天候であり、後方死角警報システムが正しく作動しない可能性があるため、後方死角警報システムを停止する。また、利用不可メッセージを表示することにより、後方死角警報システムが停止しているため、後方に注意が必要であることをドライバに喚起することができる。
【0036】
次に、車両ECU11は、“解除しますか?”というメッセージの近傍に表示された“YES”ボタン23が入力されたか否かを判断する(ST107)。“YES”ボタン23が入力されていないと判断した場合(ST107:NO)、車両ECU11は、表示・入力部13に利用不可メッセージを表示する処理を継続する。
【0037】
また、“YES”ボタン23が入力されたと判断した場合(ST107:YES)、車両ECU11は、後方支援警報システムの停止を解除し、作動を開始する(ST102)。なお、ステップST104,ST105,ST106,ST107,ST102によりシステム制御手段を構成する。
【0038】
以上のように構成された車両1によると、車両1の後方の状況(周辺状況)が超音波センサ12からの出力に基づいて判別がつかない状況において、ドライバに選択メッセージを提供し(参照:図3)、ドライバに悪天候か否かを問い合わせ、問い合わせ結果に基づいて、後方死角警報システムの作動/停止を制御するため、車両1の後方の状況を簡易な構成で正確に判別し、後方死角警報システムを適切に制御することができる。
【0039】
また、車両ECU11は、超音波センサ12以外の他のセンサを設けずに既述の制御を実行できるため、安価な後方死角警報システムを提供することができる。
【0040】
さらに、ドライバが悪天候か否かを指示しているため、言い換えれば、悪天候か否かの判断をドライバに委ねているため、後方死角警報システムの誤作動に対するドライバの不満を低減することができる。
【0041】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
図6は、第2の実施形態に係る車両(運転支援装置)1の概略的な制御構成の一例を示す図である。図1を参照して説明した車両1とは、超音波センサ12が電波レーダ15に変更されている点、及びブレーキシステム16が追加されている点が異なっている。以下では、第1の実施形態と異なる点を詳細に説明する。
【0042】
電波レーダ15は、例えば、車両1の前側に設けられており、走行時の車両1の前方の状況(周辺状況)を示す情報(周辺状況情報)を取得する(取得手段)。例えば、電波レーダ15は、車両1の前方にレーダを放射し、その放射したレーダに対する反射波を受信する。電波レーダとしては、ミリ波レーダが用いられるが、赤外線を使用しても良いし、ミリ波レーダと赤外線を併用しても良い。なお、図7は、道路R上、且つトンネルTを走行中の車両1から電波レーダが放射されている状態の一例を示す図である。
【0043】
ブレーキシステム16は、例えば、車両ECU11の指示の下、車輪(図示省略)の駆動を制御して、車両1の走行速度を制御する。
【0044】
衝突被害軽減システム(安全システム)は、車両ECU11、電波レーダ15、ブレーキシステム16、及び音声出力部14によって構成される。衝突被害軽減システムは、電波レーダ15から受信する受信波(反射波)が、所定の基準値を超えたときに、車両ECU11が車両1の前側に障害物があると判断し、音声出力部14を鳴動させ、ドライバに対して警告を行うと共にブレーキシステム16を作動させ、車両1の走行速度を減速(又は停止)する。これにより、車両1の衝突時の被害を軽減するシステムである。
【0045】
次に、トンネルを通過中か否かをドライバに問い合わせるときに表示・入力部13に表示される内容について説明する。図8は、この問い合わせ時に表示・入力部13に表示されるメッセージの一例を示す図である。
【0046】
図8に示すように、表示・入力部13cには、“現在、トンネル通過中ですか?”というメッセージと共に、ドライバからの回答を受け付けるための“YES”ボタン24,“NO”ボタン25が表示される。“YES”ボタン24,“NO”ボタン25は、タッチセンサが対応しており、ドライバが指先等で“YES”ボタン24,“NO”ボタン25のいずれかをタッチすることにより、回答を入力できるようになっているのは、第1の実施形態の場合と同様である(参照:図3)。
【0047】
次に、停止している衝突被害軽減システムを復帰させるときに表示・入力部13に表示される内容について説明する。図9は、この復帰時に表示・入力部13に表示されるメッセージの一例を示す図である。
【0048】
図9に示すように、表示・入力部13dには、“現在、衝突被害軽減システムは停止しています。解除しますか?”というメッセージと共に、ドライバからの回答を受け付けるための“YES”ボタン26が表示される。“YES”ボタン26は、図8の場合と同様に、タッチセンサが対応しており、ドライバが指先等で“YES”ボタン26をタッチすることにより、解除を指示できるようになっている。
【0049】
次に、走行時に車両ECU11が実行する衝突被害軽減システムの停止/作動の制御について説明する。図10は、衝突被害軽減システムの制御の一例を示すフローチャートである。
【0050】
図10に示すように、まず、車両ECU11は、車両1の走行を開始すると電波レーダ15を作動させ、電波レーダ15により受信される受信波から雪・泥付着の可能性があるか否かを判断する(ST201)。電波レーダ15の放射部に雪・泥が付着しているか否かは、例えば、受信波のレベルが所定の基準値を超えているか否かに基づいて判断される。
【0051】
雪・泥付着の可能性が無いと判断した場合(ST201:NO)、車両ECU11は、衝突被害軽減システムを作動する(ST202)。そして、処理はリターンとなる。
【0052】
一方、雪・泥が付着している可能性が有ると判断した場合(ST201:YES)、車両ECU11は、選択メッセージを表示・入力部13に表示する(ST203:問い合わせ手段)。選択メッセージは、本第2の実施形態においては、図8を参照して説明したメッセージ(現在、トンネル通過中ですか?等)である。
【0053】
次に、車両ECU11は、トンネル通過中であるか否かを判断する(ST204)。より具体的には、選択メッセージとして表示した画面において、“YES”ボタン24が入力された場合は、トンネル通過中であると判断し、“NO”ボタン25が入力された場合は、トンネル通過中でないと判断する。
【0054】
トンネル通過中であると判断した場合(ST204:YES)、車両ECU11は、衝突被害軽減システムを作動する(ST202)。つまり、車両ECU11は、衝突被害軽減システムの作動を継続する。
【0055】
また、トンネル通過中でないと判断した場合(ST204:NO)、車両ECU11は、利用不可メッセージを表示・入力部13に表示する(ST205)。利用不可メッセージは、本第2の実施形態においては、図9を参照して説明したメッセージ(現在、衝突被害軽減システムは停止しています。解除しますか?)である。
【0056】
このように利用不可メッセージを表示した後、車両ECU11は、衝突被害軽減システムを停止する(ST206)。雪・泥が付着しており、衝突被害軽減システムが正しく作動しない可能性があるため、衝突被害軽減システムを停止する。また、利用不可メッセージを表示することにより、衝突被害軽減システムが停止しているため、前方に注意が必要であることをドライバに喚起することができる。
【0057】
次に、車両ECU11は、“解除しますか?”というメッセージの近傍に表示された“YES”ボタン26が入力されたか否かを判断する(ST207)。“YES”ボタン26が入力されていないと判断した場合(ST207:NO)、車両ECU11は、利用不可メッセージを表示する処理を継続する。
【0058】
また、“YES”ボタン26が入力されたと判断した場合(ST207:YES)、車両ECU11は、衝突被害軽減システムの停止を解除し、作動を開始する(ST202)。なお、ステップST204,ST205,ST206,ST207,ST202によりシステム制御手段を構成する。
【0059】
以上のように構成された車両1によると、車両1の前方の状況(周辺状況)が電波レーダ15からの出力に基づいて判別がつかない状況において、ドライバに選択メッセージを提供し(参照:図8)、ドライバにトンネル通過中か否かを問い合わせ、問い合わせ結果に基づいて、衝突被害軽減システムの作動/停止を制御するため、車両1の前方の状況を簡易な構成で正確に判別し、衝突被害軽減システムを適切に制御することができる。
【0060】
また、車両ECU11は、電波レーダ15以外の他のセンサを設けずに既述の制御を実行できるため、安価な衝突被害軽減システムを提供することができる。
【0061】
さらに、ドライバがトンネル通過中か否かを指示しているため、言い換えれば、トンネル通過中か否かの判断をドライバに委ねているため、衝突被害軽減システムの誤作動に対するドライバの不満を低減することができる。
【0062】
なお、上記第1の実施形態においては超音波センサ12、及び上記第2の実施形態では電波レーダ15をセンサとした場合を説明したが、センサはこれらに限るものではない。例えば、カメラをセンサとして用いるようにしても良い。この場合、車両ECU11は、カメラから撮像した画像を解析することにより、外来ノイズの状態(ST101)、雪・泥付着の可能性(ST201)について判断すれば良い。
【0063】
また、選択メッセージに対する回答を“YES”ボタン21,24、“NO”ボタン22,25の入力、利用不可メッセージに対する解除指示を“YES”ボタン23,26の入力により行う場合を説明したが、これに限るものではない。車両1にドライバの音声を識別する装置を導入している場合は、ドライバが発声をすることにより、回答を行うようにしても良い。この場合、ドライバの運転操作に影響を与えないという利点が生じる。
【0064】
この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。さらに、異なる実施形態の構成を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…車両、11…車両ECU、12…超音波センサ、13…表示・入力部、13a〜13d…表示画面例、14…音声出力部、15…電波レーダ、16…ブレーキシステム、T…トンネル、R…道路、21,23,24,26…YESボタン、22,25…NOボタン
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