(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図9に示すように、上記特許文献1に記載されるような従来型の人体局部洗浄装置1pは、洗浄ノズルNの後方で駆動ギアGやモータMが上方に突出したような形状を呈するため、装置を凹凸がないカバーCで覆ったとすれば、駆動ギアGやモータMの前方かつ洗浄ノズルNの上方に無駄なスペース(デッドスペースDS)ができてしまう。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、駆動源の動力がフレキシブルラックを介して伝達される人体局部洗浄装置のコンパクト化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる人体局部洗浄装置は、進退動作する洗浄ノズルと、駆動源の動力を前記洗浄ノズルに伝達する駆動ギアおよびフレキシブルラックと、洗浄ノズルとともに変位する前記フレキシブルラックを誘導するラックガイドと、を備え、前記ラックガイドは、前記洗浄ノズルの後端側から上方に向かって延びる部分とそこから下方に向かって延びる部分とを有する湾曲形状の第一湾曲部を含み、前記第一湾曲部の頂部より後方で、前記フレキシブルラックに前記駆動ギアが噛み合っているものである。
【0007】
前記ラックガイドは、前記第一湾曲部の下方に向かって延びる部分から直線状に延びる直状部と、前記直状部の前記第一湾曲部側の反対側端部から延びる第二湾曲部と、を含み、前記フレキシブルラックにおける前記直状部に係合している部分に前記駆動ギアが噛み合っているとよい。
【0008】
前記駆動ギアの位置を調整する調整手段を備えるとよい。
【0009】
前記直状部は、前記フレキシブルラックの歯部を露出させる露出部分、および前記フレキシブルラックの歯部を覆う被覆部分を有し、前記被覆部分の間に前記露出部分が設けられているとよい。
【0010】
前記洗浄ノズルである第一洗浄ノズルおよび第二洗浄ノズルが幅方向に並ぶノズルユニットを備え、前記第一洗浄ノズルを駆動させる第一駆動源および前記第二洗浄ノズルを駆動させる第二駆動源の少なくともいずれか一方が、幅方向において前記ノズルユニットの幅方向一方側端部と他方側端部との間に設けられているとよい。
【0011】
前記第一駆動源の出力軸と前記第二駆動源の出力軸は同軸かつ突出方向が同じであり、前記第一駆動源と前記第二駆動源の一方が、幅方向において前記ノズルユニットの幅方向一方側端部と他方側端部との間に設けられているとよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる人体局部洗浄装置は、ラックガイドの第一湾曲部の頂部よりも後方で駆動ギアがフレキシブルラックに噛み合っているため、洗浄ノズルの上方に無駄なスペースができてしまうのを防止することができ、装置のコンパクト化につながる。
【0013】
ラックガイドに第一湾曲部や第二湾曲部を設け、全体としてフレキシブルラック(ラックガイド)を湾曲した形状とすることで、装置のコンパクト化を図ることができる。また、一部のラックガイドを直線状の直状部とし、フレキシブルラックにおける当該直状部に係合している箇所に駆動ギアが噛み合うようにすることで、駆動ギアからフレキシブルラックに至る動力の伝達を円滑なものとすることができる。
【0014】
フレキシブルラックは、ラックガイドの第一湾曲部や第二湾曲部から直状部に移動することになるため、直状部に移動した部分に歪が残存する可能性がある。当該歪は、フレキシブルラックと駆動ギアの噛み合いに不具合(例えば、両者が噛み付いて動かなくなってしまう)を生じさせるおそれがあるため、駆動ギアの位置を調整することで、当該不具合の発生を回避することができるようにしておくとよい。
【0015】
ラックガイドの直状部が、駆動ギアとの噛み合いのためにフレキシブルラックの歯部を露出させる露出部分と、その両側に設けられる歯部を覆う被覆部分を有する構成とすれば、フレキシブルラックは被覆部分から露出部分に移動することになるため、第一湾曲部や第二湾曲部において曲がっていた部分が被覆部分において直線状に矯正された上で露出部分に至ることになる。つまり、湾曲部によって生じていた歪の少なくとも一部が被覆部分によって除去された上で露出部分に至ることになる。よって、フレキシブルラックと駆動ギアの噛み合いに不具合(例えば、両者が噛み付いて動かなくなってしまう)を生じさせるおそれを低減することができる。
【0016】
第一洗浄ノズルおよび第二洗浄ノズルから構成されるノズルユニットの幅方向両端の間に第一駆動源および第二駆動源が収まるようにすれば、装置のコンパクト化につながる。
【0017】
第一駆動源および第二駆動源を同じ方向に並べることで、一方の駆動源のみがノズルユニットの幅方向両端の間に収まるようにすることで、装置のコンパクト化を図ってもよい。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態にかかる人体局部洗浄装置1を詳細に説明する。なお、以下の説明において幅方向とは洗浄ノズル20の幅方向に沿う方向(図示したX方向)をいい、上下方向とは重力方向に沿う方向(図示したZ方向。重力方向上側を上とする)をいい、前後方向とは幅方向および上下方向に沿う方向(図示したY方向。原位置に位置する洗浄ノズル20が洗浄時に移動する側を前とする)をいうものとする。本実施形態における洗浄ノズル20は、上下方向(重力方向)に直交する水平面に対して傾斜して配置される。ただし、洗浄ノズル20を水平面に沿うように配置する構造とすることを否定するものではない。
【0020】
図1〜
図4に示す本実施形態にかかる人体局部洗浄装置1は、ベース部材10と、洗浄ノズル20と、フレキシブルラック30と、駆動源40とを備える。以下、各構成について詳細に説明する。なお、特に明示した場合を除き、各部材の形状等は、洗浄ノズル20が原位置(洗浄ノズル20による洗浄機能を利用しない状態)に位置するときの形状等をいうものとする。
【0021】
人体局部洗浄装置1は、
図1に示すように便座90の後方に設けられた本体部91内に設けられる。本体部91は、人体局部洗浄装置1を収容するカバー911(ケース)部分である。洗浄機能を利用する際には洗浄ノズル20が原位置から前進し、図示されない噴出口から水を上方に向かって噴出させることで使用者の局部を洗浄する。便器の後方には、取付プレートが固定され、当該取付プレートに対して人体局部洗浄装置1のベース部材10が固定される。
【0022】
洗浄ノズル20は、ベース部材10(
図2および
図3参照)に対して進退動可能に支持された部材である。本実施形態では、肛門用洗浄ノズル(以下、第一洗浄ノズル21と称することもある)とビデ用洗浄ノズル(以下、第二洗浄ノズル22と称することもある)とが幅方向に並んで設けられている。以下、両洗浄ノズル20を併せてノズルユニット20uと称することもある。なお、肛門用洗浄ノズルとビデ用洗浄ノズルの基本的な違いは、洗浄水の噴出構造や接続されるホース29の数といったものであるため、以下で特に明示する場合を除き、両洗浄ノズル20を区別することなく単に「洗浄ノズル20」と称して本実施形態にかかる人体局部洗浄装置1を説明する。
【0023】
洗浄ノズル20は、原位置に位置するとき、その先端側の一部がノズル収容ケース部11に収容された状態にある。洗浄時には、ノズル収容ケースの前端に形成された開口を通じて前進し、洗浄位置に到達する。洗浄位置に到達後、洗浄ノズル20の先端側上部に設けられた洗浄水噴出口より洗浄水が噴出される。本実施形態における洗浄ノズル20は、水平面に対して所定角度傾斜して、先端側が基端側よりも下方に位置するように設けられている。
【0024】
洗浄ノズル20には、洗浄水を供給するためのホース29が接続されている(
図3参照)。ホース29は、変形可能な材料(例えばゴム材料)で形成される。ホース29の一端は洗浄ノズルの後方に接続されている。本実施形態では、肛門用洗浄ノズルに二本のホース29が、ビデ用洗浄ノズルに一本のホース29が接続される。肛門用洗浄ノズル内には、二つの流路が形成されており、それぞれに対してホース29が接続される。これにより、肛門用洗浄ノズルによる変化に富んだ洗浄態様が実現可能となっている。
【0025】
ホース29の他端は、ベース部材10に固定された接続部12に接続されている。接続部12は、洗浄ノズル20の下側に位置しており、本実施形態では水平面に沿い、かつ後方に向かうように設けられている。本実施形態における接続部12は、流量調整バルブ13に設けられた継手(給水ポート)である。
【0026】
ホース29は、大まかにみて、一端が洗浄ノズル20に接続され、そのまま洗浄ノズル20の後方から引き出され、さらにその後方でUターンするように下方に湾曲して前方に向かい、その前方に向かった部分の端部である他端が接続部12に接続されるようにして引き回されている。このように、ホース29は、洗浄ノズル20側から辿ると、後方に向かって延び、下方に向かってUターンし、前方に向かって延びて接続部12に繋がる、というように配され、幅方向に直交する平面(YZ平面)に沿って位置する。ホース29が最も撓んだ状態となったとき、当該ホース29の少なくとも一部は、後述するラックガイド50(後述する内側壁502)に接触する。これにより、ホース29がそれ以上外側に拡がってしまうことが防止される。
【0027】
流量調節バルブは、各ホース29(各洗浄ノズル20)に洗浄水を供給するか否か、供給する場合にはその流量を調節する。かかる流量調節バルブには、洗浄ノズル20に接続されたホース29とは別のホース(図示せず)が接続されており、当該別のホースを通じて水源から流量調節バルブに水が送られる。
【0028】
フレキシブルラック30(
図3参照)は、駆動源40の動力を洗浄ノズル20に伝達する動力伝達機構の一つを構成する。フレキシブルラック30の一端側は洗浄ノズル20に接続されている。詳細は後述するが、本実施形態では、第一洗浄ノズル21に接続された第一フレキシブルラック31と、第二洗浄ノズル22に接続された第二フレキシブルラック32が設けられている(人体局部洗浄装置1の全体を示す図において、第二フレキシブルラック32は直接的には図示しないが、第一洗浄ノズル21と第二洗浄ノズル22のちょうど中間に位置する幅方向に直交する面に関し、第一フレキシブルラック31と面対称である)
【0029】
当該フレキシブルラック30は、ベース部材10に設けられたラックガイド50に係合している(第一フレキシブルラック31と第二フレキシブルラック32のそれぞれを誘導するラックガイド50(
図3参照)が設けられている。両ラックガイドは、第一洗浄ノズル21と第二洗浄ノズル22のちょうど中間に位置する幅方向に直交する面に関し、互いに面対称である)。駆動源40の動力が伝達されたフレキシブルラック30は、ラックガイド50に沿って変形、移動する(誘導される)ことになる。なお、以下の説明においては、ラックガイド50の洗浄ノズル20側(フレキシブルラック30の移動方向でみて洗浄ノズル20側という意である)端部を前端部50fと、反対側端部を後端部50bと称することもある。
【0030】
本実施形態におけるラックガイド50は、幅方向外側に向かって開放された細長いガイド溝が形成された部分であり、第一湾曲部51、第二湾曲部52、直状部53を含む(
図3参照)。ラックガイド50の全体形状を大まかにいえば、洗浄ノズル20側からみて、後方に向かって延び、下方に向かってUターンし、前方に向かって延びる、という形状を呈する。なお、ラックガイド50の幅方向外側には、板状の押さえ部材14(
図2参照。
図3は押さえ部材14を取り外した状態を示す)が固定されており、当該押さえ部材14によってフレキシブルラック30およびホース29が幅方向外側に変位してしまうことが防止されている。
【0031】
第一湾曲部51は、(ガイド溝が)所定の曲率で湾曲した部分であって、第二湾曲部52や直状部53よりも前端部50f側に設けられた部分である。本実施形態では、第一湾曲部51はラックガイド50の前端部50fを含む。つまり、ラックガイド50の前端部50fから後端部50b側に向かう一部が第一湾曲部51となっている。ただし、第一湾曲部51がラックガイド50の前端部50fを含まない構成(例えば、第一湾曲部51と前端部50fとの間に直線状の部分が存在する構成)としてもよい。
【0032】
より具体的には、第一湾曲部51は、洗浄ノズル20側から辿ると、洗浄ノズル20の後端側から上方に向かって延びる部分とそこから下方に向かって延びる部分とを有する湾曲形状であるということになる。換言すれば、上に凸となる湾曲形状であって、当該凸の頂点(以下、頂部51tと称する)を含むものであるということがいえる。頂部51tは、ラックガイド50(ガイド溝)全体を通じて最も上方に位置する部分でもある。
【0033】
第二湾曲部52は、詳細を後述する直状部53を介して第一湾曲部51に繋がる部分である。つまり、第一湾曲部51と第二湾曲部52の間に直状部53が位置する。本実施形態における第二湾曲部52は、前端部50f側からみて、後方に向かって延びる部分と、そこから前方に向かって延びる部分とを含む湾曲形状を呈する。本実施形態における第二湾曲部52の曲率は、第一湾曲部51の曲率と同じであるが、両湾曲部の間には直状部53が介在しているため、各湾曲部の中心の位置は異なる。なお、本実施形態におけるラックガイド50は、第二湾曲部52からさらに前方に向かって延びる部分(直線状の部分)を有する。
【0034】
直状部53は、第一湾曲部51と第二湾曲部52の間に設けられた直線状に延びる部分であって、第一湾曲部51の頂部51tよりも後方に位置する。本実施形態における直状部53は、第一湾曲部51側からみて、後方に向かうにつれて下方に向かうように傾斜した形状を呈する。このような直状部53が設けられていることにより、フレキシブルラック30における直状部53に係合している部分は直線状になる。
【0035】
このような形状を有するラックガイド50によって誘導されるフレキシブルラック30は、板状の基部301およびこの基部301の一方の面から突出するように形成された歯部302を有する(
図3および
図5参照)。ラックガイド50は、ガイド溝を構成する外側壁501および内側壁502を有する(
図3および
図5参照)。外側壁501はフレキシブルラック30の歯部302側に位置し、内側壁502はフレキシブルラック30の基部301側に位置する。ラックガイド50の外側壁501は、直状部53に相当する部分の一部が切り欠かれている(以下、切り欠かれてできた部分を開口部501aと称する)(
図3および
図5参照)。当該開口部501aを通じて、フレキシブルラック30における直状部53に係合している部分の歯部302が露出する。なお、本実施形態におけるフレキシブルラック30は、その基部301の幅が歯部302の幅よりも長く設定されており、直状部53に形成される開口部501aは歯部302と基部301の幅方向一方側を露出させるように形成される。つまり、フレキシブルラック30における直状部53に係合する部分は、当該部分における基部301の幅方向他方側が直状部53に係合している(
図5(a)参照)ため、当該フレキシブルラック30における直状部53に係合する部分は直線状とされる。
【0036】
本実施形態における駆動源40はモータである。当該駆動源40はベース部材10に固定されている。当該駆動源40であるモータの出力軸(回転軸)には、平歯車である駆動ギア40gが固定されている。駆動源40と駆動ギア40gから構成される駆動ユニットは、装置後方から斜め上方に向かって突出するように設けられている。本実施形態では、第一洗浄ノズル21と第二洗浄ノズル22のそれぞれに対し、駆動源40および駆動ギア40gが一つずつ設けられている(
図2および
図4参照)。二つの駆動源40の配置の詳細については後述する。
【0037】
駆動ギア40gは、フレキシブルラック30における直状部53に係合する部分に噛み合っている(
図3および
図5(b)参照)。つまり、直状部53に形成された開口部501aを通じて露出するフレキシブルラック30の歯部302の一部に対し、駆動ギア40gが噛み合っている。さらにいえば、駆動ギア40gとフレキシブルラック30が噛み合う部分は、第一湾曲部51の頂部51tよりも後方(頂部51tを通る前後方向に直交する面よりも後方)である(
図3参照)。
【0038】
駆動源40を駆動することで駆動ギア40gが回転すると、それに噛み合うフレキシブルラック30がラックガイド50に誘導されながら変位する。これにより、フレキシブルラック30が接続された洗浄ノズル20が進退動することになる。駆動ギア40gを一方に回転させるとフレキシブルラック30がラックガイド50の前端部50f側に変位し、洗浄ノズル20が前進する。駆動ギア40gを他方に回転させるとフレキシブルラック30がラックガイド50の後端部50b側に変位し、洗浄ノズル20が後退する。
【0039】
以上説明したように、本実施形態にかかる人体局部洗浄装置1は、ラックガイド50の第一湾曲部51の頂部51tよりも後方で駆動ギア40gがフレキシブルラック30に噛み合っているため、洗浄ノズル20の上方に無駄なスペースができてしまうのを防止することができる。具体的には、
図3に示すように洗浄ノズル20の上側の面に沿うような部分を有するカバー911を作成すれば、当該カバー911と洗浄ノズル20の間に無駄なスペースが生じることがない。かかる点は、
図9に示した従来型の装置と異なるものである。つまり、従来型の装置は、ラックガイドの頂部よりも前方で当該フレキシブルラックと駆動ギアが噛み合っていたため、それに合わせて凹凸のないカバーを作成した場合には、洗浄ノズルとカバーとの間に無駄なスペース(デッドスペース)が生じてしまっていたところ、本実施形態ではこのようなスペースが生じないことになる。つまり、本実施形態にかかる人体局部洗浄装置1は、装置全体がコンパクトなものとなる。
【0040】
以下、上記実施形態にかかる人体局部洗浄装置1の変形例について、上記実施形態と異なる点を中心に説明する。第一変形例は、駆動ギア40gの位置を調整する調整手段を備えるものである。かかる調整手段は、駆動ギア40gとフレキシブルラック30(歯部302が露出した部分)との距離を変化させることができるものであればどのようなものであってもよい。駆動ギア40gが駆動源40(モータ)の出力軸に固定されているものであれば、駆動源40自体の取付位置を変化させることで、駆動ギア40gの位置を変化させることができるものであってもよい。例えば、
図6に示すように、駆動源40がボルト等の締結部材49によりベース部材10に固定される構造である場合、締結部材49が通される孔を長孔19とする構造が考えられる。つまり、当該長孔19分は駆動源40およびそれに固定された駆動ギア40gの位置を変化させることができるものである。
【0041】
このような構造とすることによる利点は次の通りである。洗浄ノズル20を進退動作させる際、フレキシブルラック30はラックガイド50の第一湾曲部51や第二湾曲部52から直状部53に移動することになる。そのため、直状部53に移動した部分に湾曲部によって曲がった状態にあったことによる歪が残存する可能性がある。当該歪は、フレキシブルラック30と駆動ギア40gの噛み合いに不具合(例えば、両者が噛み付いて動かなくなってしまう)を生じさせるおそれがあるため、駆動ギア40gの位置を調整可能な構造とすることで、当該不具合の発生を回避することができるようにしておくとよい。
【0042】
第二変形例について説明する。直状部53は、駆動ギア40gとの噛み合いを確保するため、フレキシブルラック30の歯部302の一部を露出させる必要がある。
図7に示すように、本例の直状部53は、フレキシブルラック30の歯部302を露出させる部分(以下、露出部分531と称することもある)と、フレキシブルラック30の歯部302を覆う部分(以下、被覆部分532と称することもある)を含む。露出部分531は、二つの被覆部分532の間に挟まれるようにして設けられる。
【0043】
フレキシブルラック30は、被覆部分532においてはガイド溝を構成する壁面に挟まれる。つまり、フレキシブルラック30は歯部302側と基部301側の両方から変位が規制される。一方、露出部分531においては、フレキシブルラック30の歯部302を外側から押さえる部分は存在しない(基部301の幅方向一方側は押さえられている)。フレキシブルラック30は、どちらの方向に変位する場合であっても、湾曲部(第一湾曲部51または第二湾曲部52)から被覆部分532を通って露出部分531に位置することになる。つまり、第一湾曲部51や第二湾曲部52において曲がっていた部分が被覆部分532において直線状に矯正された上で露出部分531に至ることになる。すなわち、湾曲部によって生じていた歪の少なくとも一部が被覆部分532によって除去された上で露出部分531に至ることになる。よって、フレキシブルラック30と駆動ギア40gの噛み合いに不具合(例えば、両者が噛み付いて動かなくなってしまう)を生じさせるおそれを低減することができる。
【0044】
以下、第一洗浄ノズル21と第二洗浄ノズル22のそれぞれを駆動させる駆動源40の配置について説明する。本実施形態では、第一洗浄ノズル21を動作させるための動力を発現する第一駆動源41と第二洗浄ノズル22を動作させるための動力を発現する第二駆動源42が設けられている。第一駆動源41の出力軸には第一駆動ギア41gが固定されており、第二駆動源42の出力軸には第二駆動ギア42gが固定されている。第一駆動ギア41gは、第一洗浄ノズル21に接続された第一フレキシブルラック31に噛み合っている。第二駆動ギア42gは、第二洗浄ノズル22に接続された第二フレキシブルラック32に噛み合っている。
【0045】
図4に示すように、かかる第一駆動源41と第二駆動源42は、同軸かつ同じ向きに配置されている。つまり、第一駆動源41の出力軸(回転軸)と第二駆動源42の出力軸(回転軸)は同軸であり、かつ本体部分からの突出方向が同じである。換言すると、駆動源の本体部分に対する駆動ギア40gの位置(方向)が同じである。
【0046】
第一洗浄ノズル21および第二洗浄ノズル22の進退動方向における位置が同じであるとき、幅方向から見て、第一駆動ギア41gと第一フレキシブルラック31が噛み合う位置と第二駆動ギア42gと第二フレキシブルラック32が噛み合う位置は同じである(各洗浄ノズル20に対する当該噛み合う位置が同じである)。つまり、第一洗浄ノズル21および第二洗浄ノズル22の進退動方向における位置が同じであるとき、各駆動ギア40gとフレキシブルラック30は、二つのフレキシブルラック30の中間に位置する幅方向に直交する面に関し、面対称である。
【0047】
このように配置される第一駆動源41と第二駆動源42の一方は、幅方向において第一洗浄ノズル21および第二洗浄ノズル22から構成されるノズルユニット20uの幅方向一方側端部と幅方向他方側端部の間に位置する。本実施形態では、第二駆動源42がノズルユニット20uの幅方向両端内(
図4に示される幅W内)に収まるように配置されている。したがって、装置全体の幅方向の大きさを寄与する要素として、第二駆動源42は寄与しない。なお、第一駆動源41の本体部分は、ノズルユニット20uの幅方向一方側端部よりも幅方向外側に位置する。
【0048】
このように、一つの駆動源40と駆動ギア40gが幅方向に占める大きさが、ノズルユニット20uの幅Wの1/2超であるとしても、ノズルユニット20uの幅方向両端(幅W)の間に、少なくとも一方の駆動源40が収まるようにすることで、装置のコンパクト化(幅方向におけるコンパクト化)を図ることができる。
【0049】
本実施形態では、第一洗浄ノズル21および第二洗浄ノズル22の進退動方向における位置が同じであるとき、幅方向から見て、第一駆動ギア41gと第一フレキシブルラック31が噛み合う位置と第二駆動ギア42gと第二フレキシブルラック32が噛み合う位置は同じであるが、当該噛み合う位置を異ならせることにより、第一駆動源41と第二駆動源42の両方が、ノズルユニット20uの幅方向両端内に収まるようにしてもよい。つまり、
図8に示すように、一つの駆動源40と駆動ギア40gが幅方向に占める大きさが、ノズルユニット20uの幅Wの1/2超であるとしても、第一駆動源41の出力軸と第二駆動源42の出力軸が同軸とならないように配置することで、二つの駆動源40の両方ともがノズルユニット20uの幅方向外側に突出しないようにすることができる。これにより、装置全体の幅方向の大きさを寄与する要素として、第一駆動源41と第二駆動源42の両方が寄与しない構造となり、装置をさらにコンパクトなものとすることができる。
【0050】
ただし、幅方向から見て、第一駆動ギア41gと第一フレキシブルラック31が噛み合う位置と第二駆動ギア42gと第二フレキシブルラック32が噛み合う位置が同じ(各洗浄ノズル20に対する当該噛み合う位置が同じ)になるようにすれば(
図4に示すような位置関係とすれば)、駆動ギア40gからフレキシブルラック30を介して洗浄ノズル20に至るまでの動力伝達構造が、それぞれの洗浄ノズル20について全く同じになるという利点がある。
【0051】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。