特許第6686622号(P6686622)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6686622
(24)【登録日】2020年4月6日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】鳥害防止具
(51)【国際特許分類】
   A01M 29/32 20110101AFI20200413BHJP
【FI】
   A01M29/32
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-65385(P2016-65385)
(22)【出願日】2016年3月29日
(65)【公開番号】特開2017-175974(P2017-175974A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2019年2月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹澤 光弘
【審査官】 大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3150957(JP,U)
【文献】 特開2006−136218(JP,A)
【文献】 特開2011−223723(JP,A)
【文献】 中国実用新案第203467520(CN,U)
【文献】 特開2010−088333(JP,A)
【文献】 特開2012−039918(JP,A)
【文献】 特開2005−034080(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/010932(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 29/32
H02G 7/00− 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
架空電線が挿通される2つの環状部材と、
2つの前記環状部材を連結して前記架空電線と略平行に設けられ、長手方向に空洞部を有する筒状の2つのロッド部材と、
前記ロッド部材に設けられた複数の突起部と、
前記空洞部に挿通される補強部材と、
を備え、
前記環状部材、前記ロッド部材、及び前記突起部は、合成樹脂素材で一体成型され、
前記補強部材は、グラスファイバー樹脂で構成されている
鳥害防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鳥害防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
架空電線に鳥類が飛来すると、電機設備の事故や排泄物による公害の原因となるため、架空電線への鳥類の飛来を防止すべく、従来より、架空電線に鳥害防止具が取り付けられている。このような鳥害防止具としては、例えば、特許文献1に記載されているように、針状の突起が設けられた複数本のバー部材が環状部材間に渡されて構成されるものが用いられている。架空電線に敷設された鳥害防止具に鳥獣類が止まろうとすると、鳥獣類の重さによって鳥害防止具が回転する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−034707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術のように針状の突起が設けられたバー部材は、例えば合成樹脂等で一体成型される場合が多い。この場合、突起が設けられた箇所と設けられていない箇所とでは、気温の変化や外圧等の外的要因によって応力分布が変化する。このため、鳥害防止具を積み上げて保管する際や、架空電線への敷設後において、自重あるいは気温の変化や外圧等の外的要因による応力が掛かり続けることで経時的に塑性変形し、鳥害防止具として機能しなくなる可能性がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、保管時や敷設後の経時的な塑性変形を抑制可能な鳥害防止具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の鳥害防止具は、架空電線が挿通される複数の環状部材と、複数の前記環状部材を連結して設けられ、表面に複数の突起部を有する複数のロッド部材と、を備え、前記ロッド部材は、長手方向に空洞部を有する筒状の部材であり、前記空洞部に補強部材が挿通されて構成されている。
【0007】
本発明の望ましい態様として、前記補強部材は、高弾性素材である。
【0008】
本発明の望ましい態様として、前記補強部材は、絶縁性を有する。
【0009】
本発明の望ましい態様として、前記補強部材は、グラスファイバー樹脂である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、保管時や敷設後の経時的な塑性変形を抑制可能な鳥害防止具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係る鳥害防止具の斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る鳥害防止具の図1に示す矢示方向から見た図である。
図3図3は、実施形態に係る鳥害防止具の架空電線の軸方向に対する移動を制限するストッパの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0013】
図1は、実施形態に係る鳥害防止具の斜視図である。図2は、実施形態に係る鳥害防止具の図1に示す矢示方向から見た図である。
【0014】
図1及び図2に示すように、実施形態に係る鳥害防止具1は、架空電線100が挿通される複数の環状部材2と、複数の環状部材2の間に設けられ、架空電線100の軸方向と略平行に配置され、軸方向に垂直な一方向あるいは複数方向に複数の突起部4を有する複数のロッド部材3と、を含み構成される。
【0015】
本実施形態に係る鳥害防止具1において、ロッド部材3は、軸方向に空洞部を有する筒状の部材である。図1及び図2に示す例では、ロッド部材3が円筒状の部材である例を示しているが、ロッド部材3を形成する筒形状はこれに限るものではなく、例えば、断面形状が四角形等の多角形状を有する筒形状であっても良い。
【0016】
環状部材2及びロッド部材3は、例えばプラスチック製の合成樹脂素材等の絶縁性を有する素材で形成されている。本実施形態において、ロッド部材3は、筒形状を構成する部分と突起部4とが一体成型され構成されるものとする。なお、環状部材2とロッド部材3とは、一体成型されていても良いし、別部材として成型されたものを組み合わせて構成される構造であっても良い。
【0017】
図1及び図2に示す例では、ロッド部材3は、軸方向に垂直な一方向に複数の突起部4を設けた構成例を示している。また、図1及び図2に示す例では、2本のロッド部材3が環状部材2の略中心を通る線上に設けられている例を示したが、ロッド部材3の本数はこれに限るものではない。また、2本のロッド部材3の中間部を接続する中間部材5を備えているが、この中間部材5を備えていない構成であっても良いし、中間部材5を軸方向の複数位置に設けた構成であっても良い。
【0018】
図2に示すように、環状部材2は、第1アーム6と第2アーム7とを有している。第1アーム6は、環状部材2の軸心から径方向に延びる第1延在部6aを有している。第2アーム7は、環状部材2の軸心から径方向に延びる第2延在部7aを有している。
【0019】
第1延在部6aには、掛止部8が設けられている。第2延在部7aには、掛止部8が挿入される挿入開口9が設けられている。挿入開口9には、被係止部9aが設けられ、掛止部8と被係止部9aが係合することによって、第1延在部6aと第2延在部7aとが閉じた状態で保たれる。
【0020】
両端部の環状部材2に架空電線100を挿通し、公知の間接活線工具を用いて第1延在部6aと第2延在部7aとを径方向に押圧することで、第1延在部6aに設けられた掛止部8が第2延在部7aに設けられた被掛止部9aに掛止され、鳥害防止具1が架空電線100に回動可能に敷設される。なお、掛止部8及び被掛止部9aの構造は、図1及び図2に示す構造に限るものではない。
【0021】
本実施形態に係る鳥害防止具1では、ロッド部材3に設けられた軸方向の空洞部に補強部材10が挿通されて構成される。この補強部材10は、ロッド部材3を形成する合成樹脂素材よりも気温の変化や外圧等の外的要因によって塑性変形し難い高弾性素材で構成されている。
【0022】
また、補強部材10は、ロッド部材3と同様に絶縁性を有する素材であるのが望ましい。これにより、ロッド部材3が破損して補強部材10が露出しても、安全性を保つことができる。
【0023】
この補強部材10に用いられる高弾性素材としては、例えばGFRP(Glass Fiber Reinforced Plastics)等のグラスファイバー樹脂であるのがより好ましい。グラスファイバー樹脂は、気温の変化や外圧等の外的要因によって塑性変形し難く、且つ、絶縁性を有する高弾性素材である。
【0024】
このような補強部材10をロッド部材3に設けられた軸方向の空洞部に挿通して構成することで、鳥害防止具1を積み上げて保管する際や、架空電線100への敷設後の経時的な塑性変形を抑制することができる。
【0025】
図3は、実施形態に係る鳥害防止具の架空電線の軸方向に対する移動を制限するストッパの一例を示す図である。鳥害防止具1は、架空電線100に対して回動可能であると共に、架空電線100の軸方向に対して摺動可能である。このため、鳥害防止具1の架空電線100の軸方向に対する移動を制限するストッパ11を鳥害防止具1の両端部に配置する。
【0026】
ストッパ11は、軸方向に垂直な一方向あるいは複数方向に複数の突起部14を有する環状部材12と、環状部材12の内径部に設けられ、径が異なる複数の調整部材20と、を含み構成される。
【0027】
図3に示すように、環状部材12は、第1アーム16と第2アーム17とを有している。第1アーム16は、環状部材12の軸心から径方向に延びる第1延在部16aを有している。第2アーム17は、環状部材12の軸心から径方向に延びる第2延在部17aを有している。
【0028】
環状部材12は、例えばプラスチック製の合成樹脂素材で形成されている。この環状部材12は、一体成型されていても良いし、複数の別部材を組み合わせて構成される構造であっても良い。
【0029】
図3に示す例では、環状部材12は、軸方向に垂直な一方向に複数の突起部14を設けた構成例を示している。
【0030】
図3に示すように、第1延在部16aには、複数の突起18aを備えた掛止部18が設けられている。第2延在部17aには、掛止部18が挿入される挿入開口19が設けられている。挿入開口19には、被係止部19aが設けられ、突起18aと被係止部19aが係合することによって、第1延在部16aと第2延在部17aとが閉じた状態で保たれる。
【0031】
調整部材20は、弾性の高いゴム製で、軸心部に架空電線100を挟み止めする。その際、架空電線100の径に合わせて不要な調整部材20を除去することで、調整部材20の内径を調整可能としている。
【0032】
架空電線100に挿通された鳥害防止具1の両端部から軸方向に所定の距離離れた位置で、環状部材12に架空電線100を挿通し、公知の間接活線工具を用いて第1延在部16aと第2延在部17aとを径方向に押圧することで、第2延在部17aに設けられた挿入開口19に第1延在部16aに設けられた掛止部18が挿入され、掛止部18に設けられた何れかの突起18aが挿入開口19に設けられた被掛止部19aに掛止され、ストッパ11が架空電線100に固定される。なお、掛止部18及び被掛止部19aの構造は、図3に示す構造に限るものではない。
【0033】
これにより、鳥害防止具1は、架空電線100に対して回動可能な状態で、架空電線100の軸方向に対する移動が制限される。
【0034】
なお、ストッパ11を取り付ける軸方向位置は、1つの鳥害防止具1が敷設された軸方向位置の両端部であっても良いし、複数の鳥害防止具1が敷設された軸方向位置の両端部であっても良い。
【0035】
以上説明したように、実施形態に係る鳥害防止具1は、架空電線100が挿通される複数の環状部材2と、複数の環状部材2を連結して設けられ、表面に複数の突起部4を有する複数のロッド部材3と、を含み構成される。
【0036】
ロッド部材3は、軸方向に空洞部を有する筒状の部材であり、ロッド部材3に設けられた軸方向の空洞部に、気温の変化や外圧等の外的要因によって塑性変形し難い高弾性素材で構成された補強部材10が挿通されて構成される。
【0037】
上記構成により、鳥害防止具1を積み上げて保管する際や、架空電線100への敷設後の経時的な塑性変形を抑制することができる。
【0038】
また、GFRP(Glass Fiber Reinforced Plastics)等のグラスファイバー樹脂のように、気温の変化や外圧等の外的要因によって塑性変形し難く、且つ、絶縁性を有する高弾性素材で構成された補強部材10を用いることで、ロッド部材3が破損して補強部材10が露出しても、安全性を保つことができる。
【0039】
さらに、鳥害防止具1の架空電線100の軸方向に対する移動を制限するストッパ11を、軸方向に垂直な一方向あるいは複数方向に複数の突起部14を有する構成とすることで、より効果的に電機設備の事故や排泄物による公害を抑制することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 鳥害防止具
2 環状部材
3 ロッド部材
4 突起部
5 中間部材
6 第1アーム
6a 第1延在部
7 第2アーム
7a 第2延在部
8 掛止部
9 挿入開口
9a 被掛止部
10 補強部材
11 ストッパ
12 環状部材(ストッパ)
14 突起部(ストッパ)
16 第1アーム(ストッパ)
16a 第1延在部(ストッパ)
17 第2アーム(ストッパ)
17a 第2延在部(ストッパ)
18 掛止部(ストッパ)
18a 突起(ストッパ)
19 挿入開口(ストッパ)
19a 被係止部(ストッパ)
20 調整部材(ストッパ)
100 架空電線
図1
図2
図3