特許第6686633号(P6686633)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6686633-廃棄物処理炉装置及び方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6686633
(24)【登録日】2020年4月6日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】廃棄物処理炉装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   F23G 5/50 20060101AFI20200413BHJP
   B09B 3/00 20060101ALI20200413BHJP
   F23K 1/00 20060101ALI20200413BHJP
   F23G 5/44 20060101ALI20200413BHJP
   G01N 27/22 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
   F23G5/50 QZAB
   B09B3/00 303M
   B09B3/00 302C
   F23K1/00 A
   F23G5/44 B
   G01N27/22 Z
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-69058(P2016-69058)
(22)【出願日】2016年3月30日
(65)【公開番号】特開2017-180962(P2017-180962A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2018年8月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084180
【弁理士】
【氏名又は名称】藤岡 徹
(72)【発明者】
【氏名】薄木 太一
(72)【発明者】
【氏名】傳田 知広
(72)【発明者】
【氏名】中山 剛
【審査官】 渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−215318(JP,A)
【文献】 特開2015−210044(JP,A)
【文献】 特開2002−011444(JP,A)
【文献】 特開2006−297242(JP,A)
【文献】 特開2014−185835(JP,A)
【文献】 特開2015−224822(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23G 5/50
B09B 3/00
F23G 5/44
F23K 1/00
G01N 27/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を焼却又はガス化する廃棄物処理炉と、処理前の廃棄物を貯留しておくごみピットと、ごみピット内の廃棄物を廃棄物処理炉の投入口へ投入供給するごみクレーンとを備える廃棄物処理炉装置において、
ごみピット内の廃棄物を掴むごみクレーンのバケットの内面に設けられた接触式水分計と、制御装置とを有し、
上記制御装置は、ごみピット内の一部位にて、上記バケットで掴んだ廃棄物について上記水分計で計測された水分率が所定の設定範囲内にあるかどうかを判定し、廃棄物の水分率が上記設定範囲内ならば該廃棄物を上記廃棄物処理炉の投入口へ投入供給するように指令信号を発し、廃棄物の水分率が上記設定範囲外ならば該廃棄物を上記ごみピットへ戻し、上記バケットで上記ごみピット内の他の部位で廃棄物を掴み、該廃棄物の水分率が所定の設定範囲内にあるかどうかを再度判定し、その判定結果にもとづいて廃棄物を上記廃棄物処理炉の投入口へ投入供給するかあるいはさらに他の部位の廃棄物を掴み直すように指令信号を発する、
ことを特徴とする廃棄物処理炉装置。
【請求項2】
廃棄物を焼却又はガス化する廃棄物処理炉と、処理前の廃棄物を貯留しておくごみピットと、ごみピット内の廃棄物を廃棄物処理炉の投入口へ投入供給するごみクレーンとを備える廃棄物処理炉装置による廃棄物処理方法において、
ごみクレーンのバケットでごみピット内の廃棄物を掴むとともに該バケット内の廃棄物の水分をバケット内面に設けられた接触式水分計で計測する計測工程と、
計測された水分率の計測値にもとづいて、廃棄物処理炉の運転条件を制御する制御工程とを有し、
上記制御工程は、ごみピット内の一部位にて、上記バケットで掴んだ廃棄物について計測工程で計測した水分率が所定の設定範囲内にあるかどうかを判定する判定工程と、該判定工程にて廃棄物の水分率が上記設定範囲内ならば該廃棄物を上記廃棄物処理炉の投入口へ投入供給するように指令信号を発する投入供給工程と、上記判定工程にて廃棄物の水分率が上記設定範囲外ならば該廃棄物を上記ごみピットへ戻し、上記バケットで上記ごみピット内の他の部位で廃棄物を掴むように指令信号を発する切替え工程とを有し、該切替え工程が行われた場合には、該切替え工程後に上記判定工程を再度行い、その判定結果にもとづいて上記投入供給工程あるいは再度上記切替え工程を行うことを特徴とする廃棄物処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は廃棄物の性状としての水分率を計測しその計測値に応じて廃棄物を焼却又はガス化する廃棄物処理炉装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、廃棄物焼却炉やガス化炉等の処理炉における廃棄物の焼却又はガス化処理によって発生する熱エネルギーの回収への関心が高まってきており、この熱エネルギーで駆動するボイラ発電設備が設置された廃棄物の処理炉が増加し、高い効率での熱回収を実現できる焼却又はガス化運転が要求されている。一方、廃棄物処理炉から大気中に放出される環境汚染物質の規制が厳しくなるに従い、ダイオキシン類や窒素酸化物など燃焼由来の有害物質の排出を低減する焼却又はガス化運転も必要とされている。
【0003】
このように、廃棄物処理炉に高度な燃焼運転制御が望まれているため、自動燃焼制御装置によって上記の要求を満たす運転制御が行われている。自動燃焼制御装置では、処理炉が例えばストーカ式焼却炉の場合、操作量である給塵速度、燃焼火格子送り速度、燃焼空気量、及び冷却空気量などを制御することにより、蒸気発生量を安定化し、かつ排ガス中のダイオキシン類や窒素酸化物濃度を低く抑え、灰中の未燃成分を少なくする目的で、廃棄物を安定して燃焼するように運転されている。しかしながら、このような燃焼制御は、廃棄物の投入の時点で該廃棄物の性状を監視せずに、いずれも燃焼の結果発生する燃焼ガス温度、燃焼ガス中酸素濃度、燃焼ガス中一酸化炭素濃度等を監視する因子として検出して、各操作量の制御値へフィードバックする方法であり、そのため後追い型の制御となり、処理炉に投入する廃棄物の性状が変動した場合に必ずしも安定した運転制御が達成できないことがある。
【0004】
廃棄物処理炉の焼却又はガス化運転の安定性を乱す大きな要因として、投入される廃棄物の性状が一定しないため廃棄物の発熱量が変動するという点がある。処理炉へ投入される廃棄物の性状は、廃棄物が収集される地域や、収集される時刻、または天候や、季節によって大きく異なることから、廃棄物の発熱量は大きく変動する。そこで、投入される廃棄物の性状を投入前に求めて、求めた廃棄物の性状により運転制御を行う廃棄物処理炉の制御方法が特許文献1で提案されている。廃棄物の性状のうち、上記発熱量を大きく左右する因子は廃棄物の水分率であり、特許文献1の技術では、廃棄物焼却炉へ廃棄物を供給するコンベアに、コンベア上の廃棄物の重量を計測する重量計測装置と、コンベア上の廃棄物の厚みを計測するレベル計測装置と、コンベア上の廃棄物の水分含有率を計測する赤外線水分計を備え、これらの計測値から廃棄物の性状としての水分率を推定し、その性状に応じた運転制御を行うことが記載されている。また、特許文献2では、廃棄物処理炉の投入口から燃焼室へ向け垂下するシュートに水分率計として静電容量計を配置し、一対の電極間での廃棄物の静電容量を計測することで廃棄物の水分率を得ることとしている。
【0005】
赤外線水分計は、赤外線を測定対象物に照射しその対象物からの赤外線の反射を検出して水分率を求めている。水分は近赤外線の特定波長を吸収する性質があり、測定対象物に含まれる水分量が多くなれば、吸収される赤外線エネルギーも大きくなり、反射する赤外線エネルギー量が減少する。赤外線水分計はこのような現象を応用して、測定対象物の水分含有率を測定するものである。
【0006】
静電容量計は、静電容量の値と水分率との値の対応関係を保有している水分率算定器に接続されており、静電容量計で計測された計測値から上記対応関係にもとづいて水分率を算定できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−283444
【特許文献2】特開2010−216990
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の技術では、コンベア上の廃棄物の重量とレベル(高さ)と水分率を計測し、廃棄物の性状を推定している。しかしながら、この技術では、廃棄物の水分率測定に赤外線水分計を用いて廃棄物表層部からの赤外線の反射を計測するため、廃棄物表層部の水分率しか計測できないという問題がある。したがって、表層部よりも下層の廃棄物の水分率が表層部と異なる場合には、不具合が生じることとなってしまう。
【0009】
また、特許文献2にあっては、シュート内の廃棄物の水分を測定しているが、炉内へ投入される廃棄物の水分率が急激に変動する場合、特に常時大きく変動する場合、廃棄物処理炉の運転条件の調整だけでは対応できず、あるいは変動に対して運転条件の変更調整が間に合わず、廃棄物処理炉を安定して運転できない、という問題が生じる。
【0010】
本発明は、かかる事情に鑑み、廃棄物処理炉へ投入供給される廃棄物の水分率が急激に変動することを抑制して、常時所定範囲の水分率の廃棄物を供給することを可能とし、また、廃棄物の水分率に対応した廃棄物処理炉の運転条件の制御を容易とする廃棄物処理炉装置及び方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の課題は本発明によれば、次のように構成される第一発明としての廃棄物処理炉装置そして第二そして第三発明としての廃棄物処理方法のいずれによっても解決される。
【0012】
<廃棄物処理炉装置>
(第一発明)
廃棄物を焼却又はガス化する廃棄物処理炉と、処理前の廃棄物を貯留しておくごみピットと、ごみピット内の廃棄物を廃棄物処理炉の投入口へ投入供給するごみクレーンとを備える廃棄物処理炉装置において、
ごみクレーンは、ごみピット内の廃棄物を掴むバケットに水分計の検出要素が設けられていることを特徴とする廃棄物処理炉装置。
【0013】
このような構成の第一発明の装置によれば、廃棄物処理炉へ投入供給される、廃棄物そのもの、すなわちバケットで掴んだ廃棄物そのものの水分率を知ることができるので、投入供給する廃棄物の発熱量を把握でき廃棄物処理炉の運転条件を速やかにかつ正確に制御できるとともに、上記廃棄物処理炉へ所定範囲の水分率の廃棄物のみを投入供給することが可能となり、投入供給する廃棄物の水分率の変動すなわち廃棄物の発熱量の変動を抑制できる。
【0014】
このような、投入供給する廃棄物の水分率の変動すなわち廃棄物の発熱量の変動に対応する運転制御を自動的に行うためには、廃棄物処理炉装置は、さらに制御装置を有し、該制御装置が水分計の計測値にもとづいて廃棄物処理炉の運転条件を制御するようにすることができる。
【0015】
<廃棄物処理方法>
(第二発明)
廃棄物を焼却又はガス化する廃棄物処理炉と、処理前の廃棄物を貯留しておくごみピットと、ごみピット内の廃棄物を廃棄物処理炉の投入口へ投入供給するごみクレーンとを備える廃棄物処理炉装置による廃棄物処理方法において、
ごみクレーンのバケットでごみピット内の廃棄物を掴むとともに該バケット内の廃棄物の水分を計測する計測工程と、
計測された水分率の計測値にもとづいて、廃棄物処理炉の運転条件を制御する制御工程とを有することを特徴とする廃棄物処理方法。
【0016】
(第三発明)
廃棄物を焼却又はガス化する廃棄物処理炉と、処理前の廃棄物を貯留しておくごみピットと、ごみピット内の廃棄物を廃棄物処理炉の投入口へ投入供給するごみクレーンとを備える廃棄物処理炉装置による廃棄物処理方法において、
ごみピット内の一部位にてバケットで掴んだ廃棄物の水分率が所定の設定範囲内にあるかどうかを判定する判定工程と、該判定工程にて廃棄物の水分率が上記設定範囲内ならば該廃棄物を廃棄物処理炉の投入口へ投入供給する投入供給工程と、上記判定工程にて廃棄物の水分率が上記設定範囲外ならば該廃棄物をごみピットへ戻し、バケットでごみピット内の他の部位で廃棄物を掴む切替え工程とを有し、該切替え工程が行われた場合には、該切替え工程後に上記判定工程を再度行い、その判定結果にもとづいて上記投入工程あるいは上記切替え工程を行うことを特徴とする廃棄物処理方法。
【0017】
このような構成の第二および第三発明の方法によれば、バケットによりごみピットから廃棄物処理炉へ投入供給される廃棄物そのものの水分率を直接計測して、投入供給する廃棄物の発熱量を把握でき廃棄物処理炉の運転条件を速やかにかつ正確に制御できるとともに、上記廃棄物処理炉へ所定範囲の水分率の廃棄物のみを投入供給することが可能となり、投入供給する廃棄物の水分率の変動すなわち廃棄物の発熱量の変動を抑制できる。
【発明の効果】
【0018】
このように構成される本発明装置そして方法によれば、バケットによりごみピットから廃棄物処理炉へ投入供給される廃棄物そのものの水分率を直接計測するので、廃棄物処理炉へ投入供給する前に、該廃棄物のその水分率を計測して知ることができ、所定範囲から外れる水分率の廃棄物の投入供給を回避して廃棄物処理炉へ所定範囲内の水分率の廃棄物のみを投入供給でき、廃棄物処理炉への投入供給前の廃棄物に水分率の変動があっても、廃棄物処理炉の運転条件を速やかかつ正確に制御でき、廃棄物処理炉の安定した運転が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態装置の概要構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、廃棄物処理炉等としての火格子式廃棄物焼却炉1の構成を示す。本発明は、火格子式のみならず他の形式の廃棄物焼却炉にも、また廃棄物焼却炉に限定されず廃棄物ガス化溶融炉にも適用可能であり、以下、廃棄物焼却炉と廃棄物ガス化溶融炉の両者をあわせて、廃棄物処理炉と称することとする。
【0021】
廃棄物焼却炉1は、火格子11の下方に接続して設けられた複数の空気供給系12から燃焼用空気を受け、上記火格子11の上方に形成される燃焼室13で火格子11上の廃棄物Pを焼却するようになっている。火格子11は右方に向けた送り速度で上記廃棄物Pを送っている。上記火格子11の左端上方位置には給塵装置14、例えばプッシャーがごみを火格子11上に送り出すように設けられている。該給塵装置14の上方にはシュート15が上方に延びており、その上端に投入口としてのホッパ16が設けられている。廃棄物焼却炉1の炉外には、ごみピット17が配置されている。そして、その上方には、ごみクレーン18が設けられていて、ごみピット17から廃棄物Pを取り出して上記ホッパ16へ投下するようになっている。
【0022】
上記空気供給系12での空気吹込み量、火格子11の送り速度、給塵装置14の送り出し速度は可変となっている。
【0023】
上記ごみクレーン18は、横方向に走行自在なクレーン本体18Aと、該クレーン本体18Aからワイヤ18Bにより垂下し昇降自在なバケット18Cとを有している。該バケット18Cは、上記ごみピット17の上方位置とごみピット17内位置との間を昇降自在で、ごみピット17内の廃棄物Pを掴んで上昇し、ホッパ16の上方位置まで横方向に移動した後に、廃棄物Pを該ホッパ16内へ落下投入するようになっている。
【0024】
本実施形態では、上記バケット18Cで掴まれた廃棄物Pの静電容量を計測する静電容量計20が設けられている。該静電容量計20は、上記バケット18Cで掴まれた廃棄物Pに直接接触する検出要素19(例えば電極)を有していて、該検出要素19は上記バケット18Cの開閉自在なバケット片の側壁の内面に取り付けられている。かくして、静電容量計20は、バケット18Cにより掴まれた廃棄物Pのうち検出要素19に接して存在する廃棄物Pの静電容量を直接検出する。
【0025】
上記静電容量計20は、水分率算定器21に接続されている。この水分率算定器21では、予め保有しているごみの静電容量の値と水分率の値との関係から、上記静電容量計20で計測された静電容量の値から対応する水分率の値を算定できるようになっている。具体的には、水分率算定器21には、廃棄物の静電容量と廃棄物の水分率との関係を予め計測して明らかにした関係データベースが収納されており、静電容量計20から送られてきた廃棄物の静電容量の計測値を、上記関係データベースにおける静電容量と水分率との関係と照合して計測された廃棄物の水分率を算定する。
【0026】
本実施形態では、検出要素19を含む静電容量計20そして水分率算定器21によって、静電容量接触式水分計が構成されている。また、水分計としては、該静電容量接触式水分計に限られず、例えば、マイクロ波接触式水分計や赤外線水分計を採用してもよい。
【0027】
上記水分率算定器21は制御装置22に接続されており、この制御装置22は、上記バケット18Cで掴まれた廃棄物Pについて水分率算定器21より受けた水分率の値から、予め保持している対応関係に基づき、正確な廃棄物の発熱量を推定し、それに応じて予め保持している制御フローに基づき、安定的な廃棄物の焼却処理が行われるように、空気供給系12、火格子11、給塵装置14へ指令信号を送り、空気供給系12での空気吹込み量、火格子11の送り速度、給塵装置14の送り出し速度等の各操作量を制御するようになっている。このようにして、投入供給する廃棄物の水分率を測定して発熱量を把握でき廃棄物処理炉の運転条件を速やかにかつ正確に制御できる。したがって、本実施形態によれば、廃棄物焼却炉1への供給前の廃棄物Pに水分率の変動があっても、廃棄物焼却炉1の運転条件を速やかにかつ正確に制御でき、廃棄物焼却炉1の安定した運転が可能となる。
【0028】
さらに、本実施形態では、上記制御装置22は計測された水分率の値が、予め設定されている所定の設定範囲にあるかどうかを判定し、該設定範囲であれば、廃棄物をホッパ16へ落下投入し、上記設定範囲外であれば、ごみピット17へ戻すよう、上記ごみクレーン18に指令信号を発するようになっている。上記設定範囲は適宜設定可能である。例えば、水分率の計測値が所定の水分率以下である場合に該計測値が上記設定範囲内にあるとするとともに、水分率の計測値が所定の水分率より大きい場合に該計測値が上記設定範囲外にあるとすることができる。
【0029】
また、本実施形態では、水分率の計測値が上記設定範囲外であると判定され、バケット18Cで一旦掴まれた廃棄物Pがごみピット17に戻された場合には、次に、制御装置22は、ごみピット17内において前回バケット18Cで廃棄物Pを掴んだ部位とは異なる他の部位で廃棄物Pを掴むように指令信号を発する。そして、この他の部位で掴んだ廃棄物Pの水分率を、既述した要領で静電容量計20そして水分率算定器21が再度計測そして算定し、制御装置22がその計測値について上記設定範囲内にあるかどうか判定し、その判定結果にもとづいて廃棄物Pをホッパ16へ落下投入するか、ごみピット17へ戻すかを決定する。
【0030】
この一連の動作が繰り返される結果、上記設定範囲内の水分率の廃棄物Pのみがホッパ16に落下投入される。このようにして、投入供給する廃棄物の水分率の変動すなわち廃棄物の発熱量の変動を抑制できる。
【0031】
廃棄物焼却炉1に供給された廃棄物Pは次の要領で処理される。
【0032】
既述したように、ごみピット17内の廃棄物Pはホッパ16へごみクレーン18により水分率が所定範囲のもののみが投入される。該廃棄物Pは、シュート15の下部に設置された給塵装置14(プッシャー)により火格子11上に押し出される。火格子11上の廃棄物Pは火格子11下の空気供給系12から吹き込まれる燃焼用空気により燃焼される。
【0033】
一方、制御装置22では、水分率算定器21から送られてきた水分率の値から、予め保持している対応関係に基づき、正確な廃棄物の発熱量を推定し、それに応じて予め保持している制御フローに基づき、安定的な廃棄物の焼却処理が行われるように指令信号を発する。この指令信号によって給塵装置14の送り速度、火格子11の送り速度、火格子11の下方の空気供給系12から吹き込まれる燃焼用空気の吹込み量等の操作量が調整される結果、廃棄物の燃焼状態が制御される。
【符号の説明】
【0034】
1 廃棄物処理炉(廃棄物焼却炉)
15 シュート
16 投入口(ホッパ)
17 ごみピット
18 ごみクレーン
18C バケット
19 検出要素
20 静電容量計
21 水分率算定器
22 制御装置
P 廃棄物(ごみ)
図1