特許第6686678号(P6686678)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6686678
(24)【登録日】2020年4月6日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】腕金絶縁カバー
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/02 20060101AFI20200413BHJP
【FI】
   H02G1/02
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-91211(P2016-91211)
(22)【出願日】2016年4月28日
(65)【公開番号】特開2017-200387(P2017-200387A)
(43)【公開日】2017年11月2日
【審査請求日】2019年4月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】山崎 広志
(72)【発明者】
【氏名】松本 慎司
(72)【発明者】
【氏名】磯田 友秀
(72)【発明者】
【氏名】河上 翔
【審査官】 久保 正典
(56)【参考文献】
【文献】 実開平03−040810(JP,U)
【文献】 特開平04−046512(JP,A)
【文献】 特開2010−009819(JP,A)
【文献】 特開平09−028267(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/02
H02G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電柱に設置される四角筒状体の腕金に側方から被せて絶縁保護する腕金絶縁カバーであって、
硬質な絶縁材料からなり断面コ字状の外側カバーと、
スライド方向に対して折れ曲がり可能な絶縁材料からなるシート状の内側カバーとからなり、
腕金の高さが(X)で、
外側カバーの上下内法が(Y)で、
内側カバーの厚さが(t)であるときに、
(Y)−(X)>(t)
との関係を有し、
内側カバーを外側カバーの内面に沿うように位置させた状態で、内側カバーの下端縁が腕金に押圧されたときに、内側カバーが外側カバー内をスライドして内側カバーの上側部分が外側カバーと腕金上面との間から押し出され、さらに折れ曲がって腕金の後面を覆うようにした
ことを特徴とする腕金絶縁カバー。
【請求項2】
内側カバーが、ゴム様シートで形成された
ことを特徴とする請求項1に記載の腕金絶縁カバー。
【請求項3】
内側カバーが、硬質な合成樹脂製の絶縁材料からなり短冊板形状のスラットの長辺部同士を可動可能に連結したものである
ことを特徴とする請求項1に記載の腕金絶縁カバー。
【請求項4】
外側カバーの上板に内側カバーを支えるL字ガイドを設けた
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の腕金絶縁カバー。
【請求項5】
外側カバーの内面であって上下の角部がR面に形成された
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の腕金絶縁カバー。
【請求項6】
ピン碍子が設けられた腕金の腕金絶縁カバーであって、
ピン碍子の支持ピンを挿通するU字状切欠を外側カバーに形成するとともに、支持ピンが露出する長さと同じ高さのU字状壁を外側カバーに形成し、
ピン碍子の支持ピンを挿通するU字スリットを内側カバーに形成した
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の腕金絶縁カバー。
【請求項7】
外側カバーの側面には、絶縁ヤットコなどにより把持される把持部を設けた
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の腕金絶縁カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、配電線作業の際に電柱の腕金を絶縁保護する腕金絶縁カバーに関し、取付が容易で作業時間の短縮を図ることができるようにした腕金絶縁カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
配電線作業の中で、地絡防止の為に高圧腕金へ防護用絶縁カバーを取付る作業等があるが、専用の防護用絶縁カバーがなく、高圧絶縁シート等を使用することが一般的に行われていた。
【0003】
その高圧防護用絶縁シート等を腕金に掛ける作業は、安全性等の面から間接活線作業により行われることが推奨されており、作業者が絶縁性の道具(絶縁ヤットコ、共有操作棒等)を用いて行われる。
【0004】
例えば、特許文献1に示される防護用絶縁シートは、配電線への防護用絶縁シートであるが、絶縁性のあるゴムシート又は樹脂シートからなる柔軟な電気絶縁シートに、その電気絶縁シートを二つ折りに曲げた際に互いに対向する相対位置に磁力によって互いに接合可能な複数の永久磁石を配置して構成される。
【0005】
特許文献2に示される絶縁保護カバーは腕金の各面及びピン碍子の外面に対向するように複数の側面カバー部を複数のヒンジで連結して構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−340462号公報
【特許文献2】特開2012−60702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の発明にあっては、柔軟な防護用絶縁シートの配電線への装着を絶縁作業工具、例えば絶縁ヤットコ等の操作により二つ折りした防護用絶縁シートの中央部を正確に配電線上に位置決めして吊り下げ、更に対向する永久磁石を吸着して配電線に装着する作業は極めて厄介で多く時間を要し、作業者に大きな作業負担が要求され、かつその作業に熟練を要するという問題があった。
【0008】
また、特許文献2の発明にあっては、腕金及びピン端子を保護することはできるが、その構造は多数の側面カバーと多数のヒンジとを組み合わせて構成されているものであり、簡単な構成とは言い難く、またその取付作業も簡単とは言い難いものである。
【0009】
そこでこの発明は、取付作業が容易で作業時間の短縮を図ることができ、また、作業者の負担を軽減することできるとともに、取付状態の確認を容易に行え,絶縁に対する信頼性を向上させることができるようすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、電柱に設置される四角筒状体の腕金に側方から被せて絶縁保護する腕金絶縁カバーであって、硬質な絶縁材料からなり断面コ字状の外側カバーと、スライド方向に対して折れ曲がり可能な絶縁材料からなるシート状の内側カバーとからなり、腕金の高さが(X)で、外側カバーの上下内法が(Y)で、内側カバーの厚さが(t)であるときに、(Y)−(X)>(t)との関係を有し、内側カバーを外側カバーの内面に沿うように位置させた状態で、内側カバーの下端縁が腕金に押圧されたときに、内側カバーが外側カバー内をスライドして内側カバーの上側部分が外側カバーと腕金上面との間から押し出され、さらに折れ曲がって腕金の後面を覆うようにした、ことを特徴とする腕金絶縁カバーである。
【0011】
この発明によれば、腕金絶縁カバーを腕金の側方から被せるように移動させると、腕金の上面と外側カバーの上板との間から内側カバーが押し出されて内側カバーが腕金の後面を覆う。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の腕金絶縁カバーにおいて、内側カバーが、ゴム様シートで形成されたことを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の腕金絶縁カバーにおいて、内側カバーが、硬質な合成樹脂製の絶縁材料からなり短冊板形状のスラットの長辺部同士を可動可能に連結したものであることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3に記載の腕金絶縁カバーにおいて、外側カバーの上板に内側カバーを支えるL字ガイドを設けたことを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4に記載の腕金絶縁カバーにおいて、外側カバーの内面であって上下の角部がR面に形成されたことを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5に記載の腕金絶縁カバーにおいて、ピン碍子が設けられた腕金の腕金絶縁カバーであり、ピン碍子の支持ピンを挿通するU字状切欠を外側カバーに形成するとともに、支持ピンが露出する長さと同じ高さのU字状壁を外側カバーに形成し、ピン碍子の支持ピンを挿通するU字スリットを内側カバーに形成したことを特徴とする。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至請求項6に記載の腕金絶縁カバーにおいて、外側カバーの側面に、絶縁ヤットコなどにより把持される把持部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、硬質な絶縁材料からなり断面コ字状の外側カバーと、スライド方向に対して折れ曲がり可能な絶縁材料からなるシート状の内側カバーとからなり、腕金の高さが(X)で、外側カバーの上下内法が(Y)で、内側カバーの厚さが(t)であるときに、(Y)−(X)>(t)との関係を有するようにしたので、内側カバーを外側カバーの内面に沿うように位置させた状態で、内側カバーの下端縁が腕金に押圧されたときに、内側カバーを外側カバー内でスライドさせることができ、内側カバーの上側部分を外側カバーと腕金上面との間から押し出して、さらに折れ曲がって腕金の後面を覆うようにすることができる。従って、腕金に対して腕金絶縁カバーの取付を容易かつ確実で作業時間を短縮できるとともに、作業者の負担が軽減でき、さらに、腕金に対する腕金絶縁カバーの取付状態の容易に確認でき、絶縁に対する信頼性を向上させることができる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、内側カバーをゴム様シートで形成したので、安価で確実な腕金絶縁カバーを提供することができる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、内側カバーを、硬質な合成樹脂製の絶縁材料からなる短冊板形状のスラットの長辺部同士を可動可能に連結したものにしたので、内側カバーを外側カバーの内面を滑らかにスライドさせることができ、よりスムースな着脱を行うことができる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、外側カバーの上板に内側カバーを支えるL字ガイドを設けたので、内側カバーの上側部分が外側カバーの上板内面に確実に保持されるので、確実に腕金を腕金絶縁カバー内に挿入させることができる。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、外側カバーの内面であって上下の角部をR面に形成したので、内側カバーのスライドをスムースに行うことができる。
【0023】
請求項6に記載の発明は、腕金に設けられたピン碍子の支持ピンを挿通するU字状切欠を外側カバーに形成するとともに、支持ピンが露出する長さと同じ高さのU字状壁を形成し、ピン碍子の支持ピンを挿通するU字スリットを内側カバーに形成したので、腕金に露出する金属部分を完全に覆うことができる。
【0024】
請求項7に記載の発明は、外側カバーの側面に把持部を設けたので、間接活線作業において、絶縁ヤットコなどを使用して腕金絶縁カバーの取付を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図2乃至図10とともにこの発明の第1の実施の形態を示し、本図は腕金を腕金絶縁カバーで覆う直前の状態を示し、内側カバーと外側カバーとを離間して示す斜視図である。
図2】外側カバーの平面図である。
図3】外側カバーの背面図である。
図4】外側カバーの側面図である。
図5】腕金に腕金絶縁カバーを前方から取り付ける直前の状態を示す斜視図である。
図6図7乃至図10とともに、第1の実施の形態における腕金絶縁カバーで腕金を保護する様子を順に示す側面図であり、本図は腕金の前方から腕金絶縁カバーを近づけた状態を示す。
図7】本図は図6の状態から更に腕金絶縁カバーを後方へ移動させて、内側カバー下端縁が腕金に接触した状態を示す。
図8】本図は図7の状態から更に腕金絶縁カバーを後方へ移動させて、内側カバーが外側カバーの内面をスライドしてその上端部が外側カバーよりも後方へ押し出された状態を示す。
図9】本図は図8の状態から更に腕金絶縁カバーを後方へ移動させて、内側カバーの上側部分が腕金より後方へ押し出された状態を示す。
図10】本図は図9の状態から更に腕金絶縁カバーを後方へ移動させて、内側カバーの上側部分が折れ曲がり腕金の後面を覆った状態を示す。
図11】第2の実施の形態を示し、内側カバーを複数のスラットを連接してシャッターのように構成にした斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、この発明を図示の各実施の形態に基づいて説明する。
【0027】
図1乃至図10は、本発明腕金絶縁カバー10の第1の実施の形態を示す。この第1の実施の形態にかかる腕金絶縁カバー10は、活線工事にあたり、電柱上の配電線関連機器である腕金1及び腕金1に取り付けられたピン碍子2の支持ピン2aを絶縁保護する腕金絶縁カバー10に適用したものである。
【0028】
図1は腕金及びピン碍子と腕金絶縁カバーの展開状態を示す斜視図、図2乃至図4は腕金絶縁カバーの外側カバーを示し、図2は平面図、図3は背面図、図4は側面図、図5は腕金に腕金絶縁カバーを取り付ける直前の状態を示す斜視図、図6乃至図10は腕金絶縁カバーを腕金に取り付ける様子を順番に説明するための側面図である。
【0029】
なお、本発明腕金絶縁カバー及び腕金の説明について方向を表すときは、図1における矢印に示すB方向を後方、F方向を前方、R方向を右方、L方向を左方として説明する。
【0030】
腕金1は一辺の長さが(X)の四角筒状の中空状鋼材によって形成され(図1図6参照)、電柱(図示は省略)の上部に水平な状態で固定されている。
【0031】
腕金1の上面1aには複数のピン碍子2、2、…が設けられている(図5参照)。
【0032】
ピン碍子2は碍子本体2aの下面から突設された支持ピン2bが腕金1の上面1aを貫通してボルトなどで腕金1に固定されている。このときピン端子2の支持ピン2bは碍子本体2aと腕金1の上面1aとの間で露出した状態で位置される。
【0033】
腕金絶縁カバー10は、外側カバー20と内側カバー30からなる。
【0034】
外側カバー20は比較的硬質な合成樹脂製の絶縁材料からなり、後方が開口した断面コ字状に形成され、外側カバー20の上板20aと下板20bとの間隔(上下内法)(Y)が上記腕金1の一辺の長さ(X)よりも大きく形成されていて、コ字状の内部に上記腕金1が挿入されるようになっている。
【0035】
外側カバー20の上板20aの左右方向の中央部には、その後端縁から中央よりやや前方に寄った位置までU字状切欠21が形成されている。このU字状切欠21の幅は上記ピン碍子2の支持ピン2bが入る大きさとなっている。
【0036】
また、外側カバー20にはそのU字状切欠21の閉塞端、即ち、上板20aのほぼ中央に立設するU字状壁22が一体に形成され、このU字状壁22の高さは上記ピン碍子2の支持ピン2bが露出している部分の長さとほぼ同じに形成されている。
【0037】
外側カバー20の上板20aの左右両端縁及びU字状切欠21の内端縁にはそれぞれL字ガイド23、23、…が前後方向に伸びるように設けられている。
【0038】
具体的には、L字ガイド23は薄板をL字状に折り曲げて垂直板23vと水平板23hとに形成し、垂直板23v、23v、…の上端縁が上板20aの左右両端縁及びU字状切欠21の内端縁にそれぞれ固定され、4つのL字ガイド23、23、…が上板20aに吊り下がり状に設けられている。そして、U字状切欠21を中心に左右それぞれの2つのL字ガイド23、23はその水平板23h、23hが互いに近づく方向に伸びるように位置される。
【0039】
また、L字ガイド23はその水平板23hと上板20aとの間隔が後述する内側カバー30の厚さ(t)よりやや大きくなるように垂直板23vが形成されている。
【0040】
このようなL字ガイド23、23、…の前後方向の長さは外側カバー20の前後方向の長さのほぼ1/2に形成されている。
【0041】
外側カバー20の下板20bと前板20cとの内側角部及び上板20aと前板20cとの内側角部にはR面24、24が形成されており、後述する内側カバー30が外側カバー20の内面をスライドしやすくなっている。
【0042】
外側カバー20の前板20cの外側面(前面)にはその左右方向のほぼ中央に立方体状の凸条が一体に形成されて把持部25が形成されている。この把持部25は、絶縁作業工具、例えば絶縁ヤットコ等で当該腕金絶縁カバー10を把持するためのもので、これにより、当該腕金絶縁カバー10を絶縁ヤットコで把持して、地上又は高所作業車から電柱の上部に位置する腕金1近傍にまで持っていくことができる。
【0043】
内側カバー30は比較的厚めのゴム様シートで形成されていて、左右幅が上記外側カバー20の左右幅とほぼ同じに、また、前後方向の長さが外側カバー20の上板20a、前板20c、下板20bを展開した状態の長さよりも長く形成されている。
【0044】
また、内側カバー30の厚さ(t)は、外側カバー20の上下内法(Y)から腕金1の一辺の長さ(X)を引き算した大きさよりも薄く形成されている。すなわち、
(Y)−(X)>(t)
との関係を有する。
【0045】
なお、図6乃至図10では、各部材間に比較的隙間がなく、即ち、(Y)−(X)=(t)に近い状態で図示したが、実際には各部材間に適度な余裕を持たせることで腕金絶縁カバー10を腕金1に覆せ易くすることができる。
【0046】
これにより、内側カバー30を外側カバー20の内面に沿うように内接した状態で、内側カバー30の下端縁を腕金1の前板1cで押圧した時に、内側カバー30が外側カバー20の内面を沿うようにスライドするように移動し、内側カバー30の上端部が外側カバー20の上板20aと腕金1の上面1aと間から後方へ押し出されるようになっている。
【0047】
内側カバー30の左右方向の中央部には後方に開口するU字スリット31が形成されており、該U字スリットの長さは腕金1の一辺の長さ(X)のほぼ1.5倍の長さを有する。これにより後述するように、内側カバー30腕金1の上面1a、後面1dを覆い被さって行くときにピン碍子2の支持ピン2bがU字スリット31内に挿入できるようになっている。
【0048】
次に腕金1に腕金絶縁カバー10を被せて腕金1及びピン碍子2を絶縁保護する手順を図6乃至図10の順に説明する。
【0049】
まず、内側カバー30を外側カバー10の内面に沿うように内接させてセッティングし腕金絶縁カバー10を構成する。具体的には、内側カバー30の後端縁を外側カバー20の開口側から挿入して上側に折り曲げて、上板20aに設けられたL字ガイド23、23、…に前方から引掛ける。これにより、内側カバー30の上側部分はL字ガイド23、23、…に支えられ、垂れ下がることはない。この状態から内側カバー30の下側の端縁を外側カバー20内に押し込むようにして図6のように内側カバー30を外側カバー20の内面に沿うように内接するようにセッティングすると、腕金絶縁カバー10が構成される。なお、このセッティングは作業者が地上において行う。
【0050】
このように構成された腕金絶縁カバー10は外側カバー20の上板20aに内側カバー30を支えるL字ガイド23、23、…を設けたので、内側カバー30の上側部分が外側カバーの上板20a内面に確実に保持されるので、腕金1を腕金絶縁カバー10内に確実に挿入させることができる。
【0051】
そして、上述のように絶縁ヤットコで外側カバー20の把持部25を把持して、電柱上部に位置する腕金1の前方に位置させ、腕金1の前面1bの下縁が内側カバー30の下側の端縁に対向した状態とされる(図6参照)。なお、図6乃至図10で示す腕金絶縁カバー10の後方への移動は腕金絶縁カバー10を把持した上記絶縁ヤットコを作業者が地上又は高所作業車から操作することで行う。
【0052】
次に、腕金絶縁カバー10を後方に移動させると、腕金1の前面1bの下縁が内側カバー30の下側の端縁に接触して内側カバー30の下側部分を前方に押圧することになる(図7参照)。このとき、内側カバー30は外側カバー20の内面を沿うようにスライドして移動され、内側カバー30の下側部分は前方へ、内側カバー30の中間側部分は上方へ、上側部分は後方へ移動されることになる。また、このとき、外側カバー20の内面角部がR面24、24に形成されているため、内側カバー30の下側部分の前方への移動、中間部分の上方への移動、上側部分の後方への移動がスムースに行われる。なお、図示は省略したが、ピン碍子2の支持ピン2bは外側カバー20のU字状切欠21及び内側カバー30のU字スリット31の開口部に対向した位置で対向している。
【0053】
更に、腕金絶縁カバー10を後方に移動させると、腕金1の腕金1の前面1bの下縁がさらに内側カバー30の下側の端縁を前方に押圧して(図8参照)、内側カバー30の下側部分は前方へ、内側カバー30の中間側部分は上方へ、上側部分は後方へ移動されることになる。そして、内側カバー30の上側部分は腕金1の上面1a上をスライドして、後方へと移動され、外側カバー20から後方へ押し出されることになる。
【0054】
また更に、腕金絶縁カバー10を後方に移動させると、内側カバー30は外側カバー20の内面をスライドしながらその上側部分が更に後方へ移動され、腕金1の上面1aから後方へ押し出された状態となる(図9)。
【0055】
そして、更に腕金絶縁カバー10を後方に移動させると、内側カバー30の上側部分が更に後方へ押し出されて腕金1の上面1aから後方へ押し出された内側カバー30の上側部分が自重により折れ曲がり、腕金1の後面1dを覆うことになる(図10)。なお、図示は省略したが、腕金絶縁カバー10の腕金1に対して後方へ移動されたときに、ピン碍子2の支持ピン2bは外側カバー20のU字状切欠21内及び内側カバー30のU字スリット31内を相対的に挿入し、図10の状態では外側カバー20のU字状壁22に囲まれることになり、腕金1の金属部分が腕金絶縁カバー10により完全に覆われることになる。
【0056】
このようにして腕金1の下面1b、後面1d、上面1a、前面1cが内側カバー30及び外側カバー20によって覆われることになり、腕金1が腕金絶縁カバー10にて絶縁保護される。
【0057】
また、腕金1を絶縁保護した腕金絶縁カバー10を腕金1から取り外すときは、外側カバー20の把持部25を絶縁ヤットコで把持し、前方に腕金絶縁カバー10を移動させる。このとき、他の絶縁ヤットコなどで腕金1の後面1dに覆い被さった内側カバー30の部分を上方へ持ち上げるようにすると、腕金絶縁カバー10の前方への移動が容易となる。そして、そのまま腕金絶縁カバー10を前方へ移動させることにより、絶縁保護した腕金1から腕金絶縁カバー10を取り外すことができる。このとき、内側カバー30は外側カバー20の内面をスライドすることはなく、外側カバー20に対して押し込まれた状態で腕金1からの取り外されることになる。この状態では内側カバー30が外側カバー20に対してセッティングされた状態ではないので、再度、腕金1を絶縁保護しようとするときは、地上において作業者がそのセッティングを行う。
【0058】
図11は本発明の第2の実施の形態を示すもので、上記第1の実施の形態における腕金絶縁カバー10と相違する点は、内側カバー30Aだけなので、内側カバー30Aのみについて図示し説明する。
【0059】
すなわち、内側カバー30Aは、いわゆるシャッターのような構造をしており、比較的硬質な合成樹脂製の絶縁材料からなり短冊板形状のスラット41、41、…の長辺部同士を可動可能に連結して内側カバー30Aを構成している。
【0060】
また、左右方向の中央部には上記第1の実施の形態に係る内側カバー30と同様にU字スリット42が形成されており、腕金絶縁カバー10の腕金1に対して後方へ移動させたときに、ピン碍子2の支持ピン2bが外側カバー20のU字状切欠21内及び内側カバー30AのU字スリット42内を相対的に挿入される。
【0061】
そして、この第2の実施の形態に係る腕金絶縁カバーにあっても、内側カバー30Aが絶縁材料で形成されているため、第1の実施の形態に係る腕金絶縁カバー10と同様に腕金1を絶縁保護することができ、かつ、内側カバー30Aを比較的硬質な合成樹脂製で形成したので、外側カバー20の内面を滑らかにスライドさせることができ、よりスムースな着脱を行うことができる。
【0062】
以上、この発明の各実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は上記の各実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、腕金1の断面形状が正方形の四角筒状で一辺の長さが(X)として説明したが、本発明はこれに限らず、腕金の断面形状が長方形の四角筒状のものであっても良く、この場合、(X)は高さとなる。
【0063】
更に、上記実施の形態においては、L字ガイド23、23、…で内側カバー30を支えるようにしたが、これに限らず、外側カバー20の内面に係止ピンを立設するとともに内側カバー30にこの係止ピンが挿通できるスリットを形成し、係止ピンの頭部がスリットから抜けないようにしても良い。
【符号の説明】
【0064】
1 腕金
1a 上面
1d 後面
X 腕金の一辺の長さ(高さ)
2 ピン碍子
2a 碍子本体
2b 支持ピン
10 腕金絶縁カバー
20 外側カバー
20a 上板
Y 上板と下板との間隔(上下内法)
21 U字状切欠
22 U字状壁
23 L字ガイド
24 上部、下部に内面R部
25 把持部
30 内側カバー
t 厚さ
31 U字スリット
30A 内側カバー
41 スラット
42 U字スリット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11