(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、背景技術で説明した問題点を解決し、複数のワークに対し連続的に焼き入れなどの熱処理を施せると共に、比較的狭いスペースに設置でき、且つ比較的安価な熱処理設備を確実に提供する、ことを課題とする。
【0006】
本発明は、前記課題を解決するため、複数の加熱室と焼入室とを第1走行路に沿って配置し、該第1走行路側のみに焼入室の搬入用および搬出用のドアを設けると共に、焼入れされたワークを搬出する第2走行路を上記第1走行路と焼入室との間に配置する、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明の熱処理設備(請求項1)は、複数のワークを連続的に焼き入れするための熱処理設備であって、互いに平行状であるワークの搬入コンベアおよび搬出コンベアと、前記搬入コンベア上を搬送された上記ワークを、受け渡しチャンバを介して内側に受け入れ、且つ上記搬入コンベアおよび搬出コンベアの長手方向と交差する方向に沿った第1走行路を走行する保温チャンバと、前記第1走行路の少なくとも一方の端部側に配置され、且つ上記保温チャンバから上記受け渡しチャンバを介して上記ワークを内側に受け入れる複数の加熱室と、上記第1走行路の少なくとも他方の端部側に配置され、且つ何れかの前記加熱室で加熱された上記ワークが上記受け渡しチャンバを介して再度内側に受け入れた上記保温チャンバから、上記ワークを内部に受け入れて焼き入れを施す焼入室と、該焼入室内で焼き入れを施された上記ワークを受け取り、上記搬入コンベアおよび搬出コンベアと、上記第1走行路との間に位置する第2走行路を走行する搬出用台車と、を備え、上記焼入室において上記ワークの挿入および排出に用いる気密式ドアは、上記第1走行路および第2走行路側に開口する単一の出入口を開閉すると共に、上記搬出用台車は、上記焼き入れが施されたワークを上記搬出コンベア上に受け渡す横向きにスライド可能な複数のテーブルを装着している、ことを特徴とする。
【0007】
前記のような熱処理設備によれば、以下の効果(1)〜(3)が得られる。
(1)前記焼入室内で焼入れされた前記ワークを、前記搬出コンベア上に受け渡す搬出用台車が走行する第2走行路は、前記搬入コンベアおよび搬出コンベアと前記第1走行路との間に位置しているので、本熱処理設備全体のスペースを比較的コンパクトにすることができる。
(2)前記搬出用台車や第2走行路を付設するのみにより、焼入れ後のワークを搬出でき、且つ従来の長大な搬出(抽出)専用のコンベアが不要となるので、本熱処理設備全体を比較的安価に設置することが可能となる。
(3)前記焼入室において上記ワークの挿入用および排出に用いる気密式ドアは、前記第1走行路側および第2走行路側にのみ1枚を設けるため、該ドアに用いるパッキンの取り替えに伴うメンテナンスとそのコストとを低減できる。
【0008】
尚、前記ワーク(被処理物)は、様々な鋼種からなり且つ焼き入れを含む熱処理を必要とする鋼製品である。比較的大きなワークは、耐熱性のパレット(ラック)上に単独で保持されるが、比較的小さなワークは、耐熱性である複数段のラックに複数個ずつ保持された状態で、焼き入れを含む熱処理が施される。
また、前記搬入・搬出コンベアは、例えば、ローラコンベアあるいは耐熱性のメッシュ(ベルト)コンベアなどからなる。
更に、前記受け渡しチャンバは、前記保温チャンバにおける前記加熱室側に連設された筒形部で且つ横向きにスライド可能な複数のテーブルを内設している。
また、前記保温チャンバは、断熱材で囲まれた保温室を内蔵し、該保温室内を加熱するヒータを備えることにより、前記ワークを予熱しつつ保温する。
更に、前記搬入・搬出コンベアと第1・第2走行路とは、本熱処理設備全体を省スペース化するためには、互いの長手方向が直交する形態とすることが望ましい。
【0009】
また、前記加熱室は、ワークを焼き入れ可能な温度域まで加熱するものである。
更に、前記第1走行路および第2走行路も、本熱処理設備全体を省スペース化するためには、互いに平行に設定(敷設)される。
加えて、前記第1走行路および第2走行路は、前記軌条(一対のレール)の他、フロアに沿って設けた断面凹形のガイド溝とし、該ガイド溝内に自走式の保温チャンバ、あるいは自走式の搬送用台車から垂下したガイドピンまたはガイドローラを挿入する形態、または、断面凸形のガイドをフロア上に敷設し、該ガイドの両側面を一対のガイドローラにより挟む形態としても良い。あるいは、フロアに沿って面一状に埋設した鉄板製のガイド帯とし、該ガイド帯に沿って磁気的に誘導しつつ上記保温チャンバや搬送用台車を自動走行させても良い。
【0010】
また、本発明には、前記焼入室は、前記ワークに油焼き入れあるいは水焼き入れを施すものであり、平面視においてその周囲をピットに囲まれている、熱処理設備(請求項2)も含まれる。
これによれば、上記焼入室がピットに囲まれていても、前記効果(1)により本設備全体をコンパクトにできることにより、付帯する制御盤や真空ポンプなどの設置位置を比較的近接させることができる(効果(4))。
尚、前記焼入室の周囲を囲むピットは、フロアよりも低い位置に形成する形態の他、上記焼入室の周囲を囲むように直立した突堤の内側に設ける形態でも良い。
【0011】
更に、本発明には、前記複数の加熱室は、前記ワークに対し浸炭処理を施し得るものである、熱処理設備(請求項3)も含まれる。
これによれば、前記ワークを焼入れ可能な温度域に加熱すると共に、該ワークの表層部に併せて硬化処理を施すことがてきる(効果(5))。
尚、前記加熱室の内部に、浸炭用ガスを導入することで、前記ワークに対し浸炭処理を施すことが可能となる。
また、前記保温チャンバや加熱室の内部に、窒素ガスを導入して、前記ワークに対し、浸炭処理のみ、あるいは浸炭窒化処理を施すことも可能である。
【0012】
また、本発明には、前記搬出用台車は、前記第2走行路と直交する水平方向に沿って、スライド可能なテレスコープ式の複数のテーブルを上部に装着している、熱処理設備(請求項4)も含まれる。
これによれば、前記第2走行路に沿って走行する上記搬出用台車が、その上部に装着している複数のテーブルを水平方向に沿ってスライドすることにより、前記搬出コンベア上に、焼入れされた前記ワークをスムーズに受け渡すことができるので、前記効果(1),(2)を確実に奏することが可能となる。
【0013】
加えて、本発明には、前記複数の加熱室は、前記第1走行路における一端側に配置されていると共に、前記焼入室は、上記第1走行路における他端側に配置されている、熱処理設備(請求項5)も含まれる。
これによれば、前記搬入・搬出コンベアを挟んで、上記第1走行路における一端側に複数の加熱室を配置し、且つ該第1走行路における他端側に少なくとも1つの焼入室を配置することにより、本熱処理設備全体を緻密且つコンパクトに納めるられるので、前記効果(1)を一層確実に奏することが可能となる。
【0014】
尚、付言すれば、本発明には、前記複数の加熱室が前記第1走行路における両端側に複数ずつ配置されており、前記焼入室は、前記搬入コンベアおよび搬出コンベアと、上記第1走行路の一端側に配置された複数の加熱室との間に配置されていると共に、前記保温チャンバは、2個が上記第1走行路を個別に走行する、熱処理設備も含まれ得る。
これによる場合、前記効果(1)〜(5)に加え、焼入れすべきワークが比較的多数である場合、あるいは、異なる種類の焼入れや、該焼入れを含む複数パターンの熱処理を多数のワーク別に効率良く施すことが可能となる。
【0015】
また、付言すれば、本発明には、前記搬出コンベアの下流側には、前記ワークを焼き戻す焼戻炉が配設されている、熱処理設備も含まれ得る。
これによる場合、前記効果(1)〜(5)に加え、前記焼入れされた複数のワークに対し、順次焼戻し処理を施すことが可能となる。
【0016】
更に、付言すれば、本発明には、前記第1走行路および第2走行路は、それぞれ専用であり且つ互いに平行な2組のレールからなり、前記保温チャンバと前記搬送台車とは、該専用のレール上ごとを走行するための車輪を備えている、熱処理設備も含まれ得る。
これによる場合、前記効果(3)〜(5)に加え、例えば、比較的重量で且つ大きな前記受け渡しチャンバを含む前記保温チャンバが走行する上記第1走行路を、比較的広軌な一対(1組)のレールで構成すると共に、比較的軽量で且つ小さな前記排出用台車が走行する上記第2走行路を、比較的狭軌な一対(1組)のレールで構成することによって、前記効果(1),(2)を確実に奏することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下において、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明による一形態の熱処理設備1aを示す平面図である。
係る熱処理設備1aは、
図1に示すように、互いに平行で且つ複数のワークWを順送りするための搬入コンベアC1および搬出コンベアC2と、該コンベアC1,C2の長手方向と直交する方向に沿って敷設された広軌な一対(1組)のレールrからなる第1走行路R1と、該第1走行路R1上に沿って走行する1個の保温チャンバ4と、上記コンベアC1,C2を挟んで、上記第1走行路R1における一方の端部側(図示で上端側)に配置された2個(複数)の加熱室14と、上記第1走行路R1における他方の端部側(図示で下端側)に配置された1個の焼入室20と、該焼入室20および上記コンベアC1,C2と上記第1走行路R1との間に敷設された狭軌な一対(1組)のレールrからなる第2走行路R2と、該第2走行路R2上に沿って走行する1個の搬出用台車26と、を備えている。
尚、前記第1走行路R1と第2走行路R2とは、互いに平行に敷設されている。
【0019】
図1に示すように、前記搬入コンベアC1および搬出コンベアC2の図示で左側には、これらの長手方向と直交する方向に沿って配置された導入コンベアc1と導出コンベアc2とが直線状に配置されている。係る導入コンベアc1や導出コンベアc2と、前記搬入コンベアC1や搬出コンベアC2との間には、洗浄室2が設置されている。
上記洗浄室2内では、導入コンベアc1上を順送りされるワークWの表面に付着した塵埃などを除去して、
図1中の矢印で示すように、上記搬入コンベアC1上に送り出すと共に、上記搬出コンベアC2上を順送りされたワークWの表面に付着する油脂などの汚れを除去して、上記導出コンベアc2側に送り出している。
また、上記洗浄室2と導出コンベアc2との間には、焼戻炉3が設置され、焼入れされたワークWに対し、所要の焼き戻し処理を順次施すようにしている。
【0020】
前記保温チャンバ4は、保温チャンバ4は、
図2(A)に示すように、円盤状の端板(鏡板)6で一端側を閉じた円筒形状の本体5と、該本体5の図示で左側に同軸状に連設された受け渡しチャンバ12と、を備えている。上記本体5は、台車7上に設置され、該台車7の下側に設けた前後一対の車輪8を、前記第1走行路R1の各レールr上に転動させることによって、受け渡しチャンバ12と共に第1走行路R1に沿って走行する。
上記本体5の内側には、直方体状の断熱室9が内設され、該断熱室9内の側壁、天井、および床面に沿って複数のヒータhが配設されている。尚、係る断熱室9の扉dは、本体5と受け渡しチャンバ12との間を遮断可能に開閉する気密式ドア10に連結されている。該気密式ドア10は、例えば、エアシリンダ11のピストンロッド(図示せず)により、上記本体5内と受け渡しチャンバ12との間を開閉可能としている。尚、上記断熱室9には、該断熱室9内を真空、減圧雰囲気、あるいは、窒素ガス雰囲気にするための配管(図示せず)が接続されている。
一方、前記受け渡しチャンバ12内の床面上には、図示で左右方向に沿ってスライド可能なテレスコープ式である3枚(複数)のテーブル13が積層状に配設され、前記ワークWを断熱室9内に出し入れしたり、前記加熱室14との間で受け渡し可能としている。
【0021】
また、前記加熱室14は、
図1に示すように、前記第1走行路R1における前記搬入コンベアC1および搬出コンベアC2を挟んだ上側(一方)の端部側に配置されている。係る加熱室14は、
図2(A)の左側に示すように、前記同様の端板16で一端側を閉じた円筒形状の本体15と、該本体15に内設された直方体状の断熱室17と、該断熱室17内に前記同様に配設された複数のヒータhと、係る断熱室17内の雰囲気を攪拌するファン18および該ファン18を駆動するモータ19と、を備えている。上記本体15の他端側の開口部は、前記同様の気密式ドア10により開閉可能とされ、該気密式ドア10に上記断熱室17の扉dが連結されている。
尚、上記断熱室17には、浸炭処理または浸炭窒化処理を施すための浸炭用ガスあるいは浸炭窒化用ガスなどを導入および排出するための配管(図示せず)が接続されていても良い。
また、上記本体15は、複数の支柱Sを介してフロアF上に支持されている。
【0022】
更に、前記焼入室20は、
図1に示すように、前記第1走行路R1における前記搬入コンベアC1および搬出コンベアC2を挟んだ下側(他方)の端部側に配置されている。係る焼入室20は、
図2(B)の左側に示すように、フロアFを掘り下げて形成したピットPの底面から立設する四辺の側壁21と、これらの上端間に架設した天井板22と、第2走行路R2側の側壁21に面する開口部を開閉する前記同様の気密式ドア10と、を備えている。係る焼入室20内のピットP側には、油焼入れ用の油23が充填され、且つ天井板22側には、焼入れすべきワークWを前記油23中に浸漬するための枠状の支持フレーム24が、昇降装置25によって昇降可能に配設されている。
尚、上記油23に替えて、水焼入れ用の水を充填しても良い。また、前記ピットPの底面は、フロアFと同じレベルで且つ四辺を突堤(図示せず)に囲まれ、係るピットPの底面に前記焼入室20の各側壁21を立設した形態としても良い。
【0023】
加えて、前記搬出用台車26は、
図2(B)の中央部に示すように、前記焼入室20と第1走行路R1との間に挟まれた第2走行路R2における一対のレールr上を転動する車輪28を有する台車27と、該台車27の上部に装着され、上記焼入室20との間で、前記ワークWを受け渡しするため、前記同様のテレスコープ式にスライド可能である3枚(複数)のテーブル29と、を備えている。
【0024】
以下において、前記熱処理設備1aの使用方法を、
図1,
図3,
図4に沿って説明する。
予め、焼入れおよび焼戻しすべき複数のワークWを個別に耐熱性パレット、あるいは、所定数量ずつ複数段の耐熱性ラックに組別に載置しておくものとする。
先ず、
図1に示すように、複数(組)の上記ワークWは、導入コンベアc1上にから洗浄室2内に順送りされ、高圧エアあるいは高圧洗浄液などによって表面に付着した塵埃や油脂分を除去される。係る洗浄が施されたワークWは、搬入コンベアC1上に順送りされる。
次いで、
図3に示すように、搬入コンベアC1の最先端側に位置するワークWを、前記テレスコープ式のテーブル13を介して、受け渡しチャンバー12から保温チャンバ4の本体5内に位置する前記断熱室9内に装入する。この際、該断熱室9の扉dは、前記気密式ドア10と共に開閉され、且つ該気密式ドア10は、受け渡しチャンバー12と当該断熱室9との間を連通および遮断可能している。
【0025】
前記断熱室9内に装入されたワークWは、前記複数のヒートhによって、所要の温度域(例えば、約850℃)まで加熱され且つ所定時間にわたり保持される。尚、前記断熱室9内に窒素ガスを導入して、前記ワークWの表層部に対して、窒化処理を併せて施しても良い。
次に、前記保温チャンバ4は、
図4中の矢印で示すように、第1走行路R1のレールr上を図示で上側に向かって走行し、図示で上側に位置する加熱室14の開口部に、その受け渡しチャンバ12が連通する位置で停止する。係る状態で、前記断熱室9の扉dを、前記気密式ドア10と共に開放し、前記加熱されたワークWを、上記受け渡しチャンバ12内の前記複数のテーブル13を介して、上記加熱室14の本体15内に位置する断熱室17内に装入する。この際、該断熱室17の扉dは、前記気密式ドア10と共に開閉され、且つ該気密式ドア10は、受け渡しチャンバー12と当該断熱室17との間を連通および遮断している。
そして、上記断熱室17内に装入されたワークWは、前記複数のヒートhによって、所要の温度域(例えば、約930℃)まで加熱され且つ所定時間にわたり保持される。尚、前記断熱室17内に浸炭用ガスあるいは浸炭窒化用ガスを導入して、前記ワークWの表層部に対し、浸炭処理あるいは浸炭窒化処理を併せて施しても良い。
【0026】
この間において、
図3に示すように、並行して、既に焼入室20内で油焼入れされていた別のワークWは、
図4に示すように、該焼入室20内から第2走行路R2のレールr上に待機していた搬出用台車26において、該台車26上に配置された複数のテープル29を介して、最上段のテープル29上に受け渡しされる。
上記別のワークWは、
図4中の矢印で示すように、上記搬出用台車26によって、第2走行路R2のレールr上を図示で上方に搬送され、搬出コンベアC2の先端部に最接近する位置まで搬送される。
更に、上記別のワークWは、搬出用台車26の前記テープル29を介して、搬出コンベアC2上に受け渡しされ、更に前記洗浄室2内において表面に付着した油脂分を洗浄液により除去された後、焼戻炉3に装入されて、所要温度パターンの焼戻し処理を施されてから、導出コンベアc2を経て外部に搬出される。
【0027】
一方、前記保温チャンバ4は、
図4で下側に位置する加熱室14内で前記所要温度域に予め加熱されていた異なるワークWを、前記同様にして受け渡しチャンバ12を経てその本体5内に装入した後、第1走行路R1のレールr上を図示で下側に向かって走行した後、焼入室20における気密式ドア10の開口部に対し、その受け渡しチャンバ12が連通する位置で停止する。この際、前記搬出用台車26は、上記受け渡しチャンバ12と接触しないように、予め第2走行路R2のレールr上を図示で下側の退避位置(図示せず)に向けて走行した後、退避状態とされている。
上記異なるワークWは、上記保温チャンバ4側の前記テーブル13を介して、焼入室20内に装入され、前記フレーム24に支持された状態で、油23中に浸漬されることにより、所要の油焼入れを施される。そして、係る異なるワークWも、前記同様にして搬出用台車26のテーブル29上に受け渡しされ、該搬出用台車26と共に第2走行路R2のレールr上を搬送された後、前記搬出コンベアC2、洗浄室2、焼戻炉3、および導出コンベアc2を経て外部に搬出される。
【0028】
加えて、
図4中で上側の加熱室14内で加熱されていた前記別のワークWも、前記異なるワークWと同様にして、前記同様に焼入室20内に送られて油焼入れを施された後、搬出用台車26と共に第2走行路R2のレールr上を搬送され、前記搬出コンベアC2、洗浄室2、焼戻炉3、および導出コンベアc2を経て外部に搬出される。
以上のような構成を有する熱処理設備1aによれば、前記効果(1)〜(5)を確実に奏することができる。
尚、前記熱処理設備1aにおいて、前記搬入コンベアC1と搬出コンベアC2との各位置を、互いに置き換えた形態としても良い。
【0029】
図5は、前記熱処理設備1aの応用形態である熱処理設備1bを示す平面図である。係る熱処理設備1bは、
図5に示すように、前記同様の搬入・搬出コンベアC1,C2、焼入室20、導入・導出コンベアc1,c2、洗浄室2、および焼戻炉3を備えている。係る熱処理設備1bが前記熱処理設備1aと相違しているのは、第1走行路R1のレールr上を2個の保温チャンバ4a,4bが走行する点と、上記第1走行路R1において搬入・搬出コンベアC1,C2を挟んだ図示で上下両側の両端部側ごとに一対(複数)ずつの加熱室14を合計4個配置した点とである。
図5に示すように、前記焼入室20は、前記搬入コンベアC1と上記第1走行路R1の下端側に追加した一対の加熱室14との間に位置している。
【0030】
前記熱処理設備1bでは、一方の保温チャンバ4aによって、
図5で上側の一対の加熱室14内の何れかにワークWを搬送した後、該ワークWを焼入室20内に搬送すると共に、他方の保温チャンバ4bによって、
図5で下側の一対の加熱室14内の何れかにワークWを搬送した後、該ワークWを焼入室20内に搬送する(
図5中の右側に矢印で示す4a移動範囲,4b移動範囲参照)。これら以外のワークWの搬送については、前記熱処理設備1aの場合と同様である。
以上のような熱処理設備1bによれば、単位時間当たりに熱処理すべきワークWの総数が増えた場合でも、前記効果(1)〜(5)を確実に得ることができる。
尚、前記熱処理設備1bにおいても、前記搬入コンベアC1と搬出コンベアC2との位置を、互いに置き換えた形態としても良い。
【0031】
図6は、前記熱処理設備1bの応用形態であり、且つ前記熱処理設備1aの更に異なる熱処理設備1cを示す平面図である。
係る熱処理設備1cは、
図6に示すように、前記同様の搬入・搬出コンベアC1,C2、保温チャンバ4a,4b、導入・導出コンベアc1,c2、洗浄室2、および焼戻炉3を備えている。係る熱処理設備1cが前記熱処理設備1bと相違しているのは、2棟の焼入室20a,20bと2両の搬出用台車26a,26bとを備えている点である。
図6に示すように、一方の焼入室20aは、前記搬出コンベアC2と上記第1走行路R1の上端側に配置した一対の加熱室14との間に位置しており、他方の焼入室20bは、前記搬入コンベアC1と上記第1走行路R1の下端側に追加した一対の加熱室14との間に位置している。
尚、上記焼入室20a,20bは、同じ焼入れか、同種類の焼入れを施すものであっても良いが、例えば、一方を油焼入れ用とし、且つ他方を水焼入れ用あるいは衝風焼入れ用としても良い。
【0032】
前記熱処理設備1cでは、一方の保温チャンバ4aによって、
図6で上側の一対の加熱室14内の何れかにワークWを搬送し、更に該ワークWを焼入室20a内に搬送した後、一方の搬出用台車26aによって搬出コンベアC2に搬送される。(
図6中の右側に矢印で示す4a,26a移動範囲参照)
一方、他方の保温チャンバ4bによって、
図6で下側の一対の加熱室14内の何れかにワークWを搬送し、更に該ワークWを焼入室20b内に搬送した後、他方の搬出用台車26bによって搬出コンベアC2に搬送される(
図6中の右側に矢印で示す4b,26b移動範囲参照)。これら以外のワークWの搬送については、前記熱処理設備1bの場合と同様である。
以上のような熱処理設備1cによれば、単位時間当たりに熱処理すべきワークWの総数が増えた場合、あるいは、ワークWごとに異なる種類の焼入れを個別に施す場合であっても、前記効果(1)〜(5)を確実に得ることができる。
尚、前記熱処理設備1bにおいても、前記搬入コンベアC1と搬出コンベアC2との位置を、互いに置き換えた形態としても良い。
【0033】
本発明は、以上において説明した各形態に限定されるものではない。
例えば、前記搬入コンベアC1と搬出コンベアC2とは、ほぼ平行状であれば、互いに離れて配置されていても良い。
また、前記第1または第2走行路R1,R2の方向は、前記搬入コンベアC1および搬出コンベアC2の長手方向とほぼ直角であれば良いし、それぞれ平面視で直線の形態に限らず、途中が緩く傾斜またはカーブしている形態としも良い。
更に、前記焼戻炉3は、焼鈍炉としたり、あるいは焼鈍機能を併有するものであっても良い。
加えて、前記第1または第2走行路R1,R2は、フロアFの表面に沿って該フロアFに埋設した鉄板製のガイド帯板とし、該ガイド帯板に沿って磁気的に誘導しつつ、前記保温チャンバまたは搬送用台車を走行させるようにしても良い。