(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両外部に面する表面と前記表面に背向し凹凸面よりなる裏面を有する有色半透明体よりなる基材と、前記基材の裏面側に形成された光非透過層とを備える車両用外装加飾部材であって、
前記基材は、厚さが2.5mm以上4.0mm以下で一定の一般部と、厚さが徐変する徐変部とを有し、
前記徐変部は、前記一般部との厚さの差が最大となる最大偏差部を有し、
前記一般部の厚さ方向における可視光透過率は、25%以上40%以下であり、前記最大偏差部の厚さ方向における可視光透過率は、10%以上25%以下であり、
以下の特徴(A)及び(B)のうち少なくとも1つを備える車両用外装加飾部材。
(A)前記最大偏差部における可視光透過率と前記一般部における可視光透過率との差は5%以上であること
(B)JIS Z 8729に規定のLab表色系のL値を想定したとき、前記最大偏差部におけるL値と前記一般部におけるL値との差は2以上であること
車両外部に面する表面と前記表面に背向し凹凸面よりなる裏面を有する有色半透明体よりなる基材と、前記基材の裏面側に形成された光非透過層とを備える車両用外装加飾部材であって、
前記基材は、厚さが2.5mm以上4.0mm以下で一定の一般部と、厚さが徐々に小さくなる徐変部とを有し、
前記徐変部は、前記一般部との厚さの差が最大となる最大偏差部を有し、以下の特徴(A)及び(B)のうち少なくとも1つを備える車両用外装加飾部材。
(A)前記最大偏差部における可視光透過率と前記一般部における可視光透過率との差は5%以上であること
(B)JIS Z 8729に規定のLab表色系のL値を想定したとき、前記最大偏差部におけるL値と前記一般部におけるL値との差は2以上であること
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、
図1〜
図12を参照しながら本発明の車両用外装加飾部材の好適な実施形態について説明する。
図1〜
図4、
図6〜
図12において、右、左、上、下、前、後は車両乗員が車両の進行方向に向かって見た方向を示している。そして、当該明細書において使用する方向は、全てこの方向を意味する。また、当該明細書中の「板厚方向」とは、図中に表す前後方向を意味する。そして、「板厚」とは、前後方向における基材の厚さを意味する。
【0013】
説明に利用する図面は概略図であり、細かい部分での形状や相対的な位置関係、大きさの関係などは必ずしも厳密に記載されているものではない。なお、以下の説明において説明を分かりやすくする目的で、異なる実施形態の間においても同じ部材や同様の作用効果を発現する部材については同じ符号又は関連する符号をつけている場合があるが、それは両者の関係を不必要に限定することを意図するものではない。
【0014】
また、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事項は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0015】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る車両用外装加飾部材1は、
図1及び
図2に示すような車両10の前面のボディに設けられた導風開口の少なくとも一部を覆うフロントグリルである。当該実施形態における車両用外装加飾部材1は、長手方向である車両左右方向の長さが500mm以上であることが望ましく、1500mm程度の大型の形状として適用できる。また、当該実施形態の車両用外装加飾部材1では、左右方向の中央部であって上下方向の上部にエンブレム11が配設されている。
【0016】
図3に示すように車両用外装加飾部材1は、有色半透明体よりなる基材2と、基材2の裏面22側に形成された光非透過層3とを有する。
【0017】
光非透過層3は、有色半透明体よりなる基材2を透過した光が反射し又は透過した光を吸収する部材である。
図3に示すように光非透過層3は、基材2の裏面22に一体的に形成されている。当該実施形態における光非透過層3は金属材料からなるが、光非透過層3の材質は特に限定されるものではなく、例えば樹脂材料であってもよい。光非透過層3は基材2の裏面22に、蒸着、スパッタ、メッキ、塗装、もしくは接着剤による貼り付け等の手段によって形成されることができる。光非透過層3の層厚は一定であることが望ましく、また、光非透過層3の層厚の大きさは、0.001mm〜0.5mmであることが望ましく、より望ましくは、0.01mm〜0.1mmである。
【0018】
有色半透明体よりなる基材2は、樹脂部材であり、例えば、メチルメタクリレート(共)重合体、ポリカーボネート、スチレン(共)重合体、メチルメタクリレート−スチレン共重合体等の合成高分子、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート等の半合成高分子、ポリエチレンテレフタラート、ポリ乳酸等のポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリウレタン、それら高分子の複合物(ポリメチルメタクリレートとポリ乳酸の複合物、ポリメチルメタクリレートとポリ塩化ビニルの複合物等)、ガラス等が挙げられる。
【0019】
当該実施形態における基材2は、黒色の半透明部材である。しかしながら、色は特に限定されるものではなく、基材2は着色された半透明部材であればよい。
【0020】
基材2は、車幅方向である車両左右方向に延び、車両前方に向かって僅かに膨らむように湾曲した薄板状の形状をなす。基材2は、車両外部に面する車両前方側の表面21と、表面21と背向する車両後方側の裏面22を有する。当該実施形態における表面21は、車両前方に向かって僅かに膨らむように湾曲した平坦面よりなる。なお、基材2は湾曲せずに平坦な薄板状であってもよく、また、表面21もまた湾曲せず平面であってもよい。
【0021】
当該実施形態における裏面22は、後述する複数の一般部23と徐変部24とが交互に配置することにより形成される凹凸面よりなる。具体的には、徐変部24を構成する裏面22には、裏面22側から見た場合に裏面22から突出した凸部が形成されている。換言すると、徐変部24を構成する裏面22には、一般部23を構成する裏面22よりも光非透過層3側に突出した凸部が形成されている。
【0022】
図4に示すように、基材2は板厚が一定な一般部23と、板厚が徐々に変化する徐変部24とを有する。一般部23の板厚23hは、2.5mm以上4.0mm以下であることが、樹脂の流動性や割れ性等の成形性を向上させることに有利である。より望ましくは、2.7mm以上3.5mm以下である。当該実施形態における一般部23の板厚23hは、3.0mmである。
【0023】
当該実施形態における徐変部24の板厚は、一般部23の板厚23hよりも徐々に大きくなるように変化している。換言すると、徐変部24は板厚が徐々に変化して一般部23よりも車両後方に向かって突出するように構成されている。
【0024】
図4に示すように当該実施形態における徐変部24は、互いに連続する第1徐変部24a及び第2徐変部24bから構成されている。第1徐変部24aは第2徐変部24bよりも徐変方向の長さが長くなるように形成されている。ここで、「徐変方向」とは板厚が徐々に変化する方向を示し、すなわち図中において左右方向を示している。
【0025】
第1徐変部24aは、車両左方向から右方向に向けて車両後方側に傾斜するように徐変している。第2徐変部24bは、車両左方向から右方向に向けて車両前方側に傾斜するように徐変している。つまり、第1徐変部24aと第2徐変部24bとは、徐変方向が逆になるように設けられている。そして、第1徐変部24aと第2徐変部24bとの境界に、徐変部24の板厚が最も大きくなる最大偏差部25が形成されている。
【0026】
図4に示すように当該実施形態における一般部23と徐変部24は連続している。第1徐変部24aと一般部23は第1境界部23aで連続しており、第2徐変部24bと一般部23は第2境界部23bで連続している。
【0027】
第1境界部23aから最大偏差部25までの第1徐変部24aの徐変方向の長さは、10mm以上であることが望ましい。より望ましくは、50mm以上である。
【0028】
当該実施形態における基材2は半透明の黒色を有する。したがって、基材2の板厚が第1境界部23aから最大偏差部25に向かって徐々に厚くなる第1徐変部24aは、最大偏差部25に向かうにつれて黒色が濃くなるように観察者に視認され得る。すなわち、グラデーション感が演出される。よって当該実施形態の車両用外装加飾部材1では、第1徐変部24aの徐変方向の長さが長いほど、より広範囲に亘ってグラデーション感が演出されるため意匠性向上に有利である。
【0029】
また、第2境界部23bから最大偏差部25までの第2徐変部24bの徐変方向の長さは、第1徐変部24aの徐変方向の長さより短く、5mm未満であることが望ましい。より望ましくは、3mm未満である。
【0030】
第2徐変部24bにおける徐変方向の長さは、最大偏差部25で演出される色の見栄えに影響を与える。第2徐変部24bにおける徐変方向の長さが短くなる程、最大偏差部25と第2境界部23bとの左右方向の間隔が小さくなる。つまり、観察者に対して最も濃くなるように視認される最大偏差部25と最も薄くなるように視認される一般部23との左右方向の間隔が小さくなる。よって、当該実施形態の車両用外装加飾部材1では、徐変部24により演出されるグラデーション領域の一端部における濃淡を、はっきりと観察者に視認させることができる。
【0031】
一方、第2徐変部24bの徐変方向の長さが長くなる程、最大偏差部25と第2境界部23bとの左右方向の間隔が大きくなる。つまり、観察者に対して最も濃くなるように視認される最大偏差部25と最も薄くなるように視認される一般部23との左右方向の間隔が大きくなる。よって、当該実施形態における車両用外装加飾部材1では、徐変部24により演出されるグラデーション領域における最大偏差部25の濃淡を、ぼかして観察者に視認させることができる。
【0032】
また、第2徐変部24bの徐変方向の長さが長くなる程、当該実施形態の車両用外装加飾部材1は成形性に優れる。これは、第2徐変部24bの徐変方向の長さが長くなる程、第2徐変部24bはなだらかな傾斜面を有することとなるためである。すなわち、当該実施形態の車両用外装加飾部材1の成形時において、第2徐変部24bを成形するキャビティ内がなだらかとなる。よって、成形型内を移動する流動性部材(溶融樹脂)の流動性が向上するため、当該実施形態の車両用外装加飾部材1は成形性の向上に有利となる。
【0033】
当該実施形態における車両用外装加飾部材1は、上記したように有色半透明体よりなる基材2が一般部23と徐変部24を有することにより、グラデーション感を観察者に対して与えるものである。この観察者に与えるグラデーション感は、徐変部24の板厚方向における可視光透過率の変化によって演出される。すなわち、徐変部24の第1徐変部24aにおいて一般部23の第1境界部23aから最大偏差部25までの徐変区間で、第1境界部23aから最大偏差部25に向かって可視光透過率が徐々に小さくなることにより、グラデーション感が演出される。つまり、一般部23の可視光透過率が最も大きくなり、最大偏差部25の可視光透過率が最も小さくなる。このとき、一般部23での板厚方向における可視光透過率と、徐変部24の最大偏差部25での板厚方向における可視光透過率との差が、5%以上であることにより十分なグラデーション感が演出される。
【0034】
一般部23及び徐変部24の可視光透過率が大きすぎると透明度が高くなり、グラデーション感が表現されにくくなる。また、一般部23と徐変部24の可視光透過率が小さすぎると透明度が低くなり、グラデーション感が表現されにくくなる。そこで、当該実施形態における一般部23での板厚方向における可視光透過率は、25%以上40%以下であることが望ましい。また、最大偏差部25での板厚方向における可視光透過率は、10%以上25%以下であることが望ましい。そして、上記した範囲内の可視光透過率となるように徐変部24を構成し、かつ、一般部23と最大偏差部25とでの可視光透過率の差が5%以上となることが望ましい。このように基材2が構成されることにより、当該実施形態における車両用外装加飾部材1は、より意匠性の高いグラデーション感を観察者に対して与えることができる。
【0035】
また、観察者に与えるグラデーション感は、徐変部24におけるL値の変化によって演出される。ここでL値とは、JIS Z 8729に規定のLab表色系で規定される値である。徐変部24の第1徐変部24aにおいて一般部23の第1境界部23aから最大偏差部25までの徐変区間で、第1境界部23aから最大偏差部25に向かってL値が徐々に小さくなることによりグラデーション感が演出される。つまり、一般部23のL値が最も大きくなり、最大偏差部25のL値が最も小さくなる。このとき、一般部23のL値と徐変部24の最大偏差部25でのL値との差が、2以上であることにより十分なグラデーション感が演出される。
【0036】
一般部23と徐変部24のL値が大きすぎると明るくなりすぎてしまい、グラデーション感が演出されにくくなる。また、一般部23と徐変部24のL値が小さすぎると暗くなりすぎてしまい、グラデーション感が表現されにくくなる。そこで、当該実施形態における一般部23のL値は、20.0以上26.0以下であることが望ましい。また、最大偏差部25のL値は、18.0以上24.0以下であることが望ましい。そして、上記した範囲内のL値となるように第1徐変部24aを構成し、かつ、一般部23と最大偏差部25でのL値の差が2以上となることが望ましい。このように基材2が構成されることにより、当該実施形態における車両用外装加飾部材1は、より意匠性の高いグラデーション感を観察者に対して十分に与えることができる。
【0037】
また、徐変部24の最大偏差部25での板厚と一般部23の板厚の差(最大板厚差25h)は、0.3mm以上1.5mm以下であることが望ましい。より望ましくは、0.5mm以上0.9mm以下である。
【0038】
当該実施形態における車両用外装加飾部材1が例えば車幅方向の大きさが500mm以上の大型である場合、当該車両用外装加飾部材1の製造時において基材2の表面21にヒケを生じる虞がある。これは、基材2の裏面22に一般部23より板厚が大きくなる徐変部24を設けることにより、一般部23と徐変部24における樹脂の収縮量に差が生じるために起こり得るものである。
【0039】
そこで、当該実施形態における基材2では上述のとおり、徐変部24の最大偏差部25での板厚と一般部23の板厚の差(最大板厚差)25hは、0.3mm以上1.5mm以下であることが望ましい。より望ましくは、0.5mm以上0.9mm以下である。このように最大板厚差25hが構成されることにより、ヒケの発生を効果的に抑制することができる。また、このような最大板厚差25hを設けるように徐変部24が構成されることにより、徐変部24でのグラデーション感をより十分に演出させることが可能である。
【0040】
次に、当該実施形態における車両用外装加飾部材1の製造方法について説明する。当該製造方法は、成形型4に流動性材料である溶融樹脂を射出成形する射出成形工程に特徴を有するものである。その他の工程は、例えば公知の車両用外装加飾部材の製造方法を採用することができる。したがって以下では、当該実施形態における車両用外装加飾部材1の製造方法のうち、射出成形工程について説明する。
【0041】
図5には、当該実施形態における車両用外装加飾部材1の製造方法で用いる成形型4の部分断面を模式的に表している。
図5に示すように成形型4は、一般部23を成形する第1キャビティ41と徐変部24を成形する第2キャビティ42を有する。
【0042】
第1キャビティ41は、成形後に一般部23の第1境界部23aとなる第1端部41aと、一般部23の第2境界部23bとなる第2端部41bを有する。第1端部41aと第2端部41bは、第1キャビティ41と第2キャビティ42の境界となる。
【0043】
第2キャビティ42は、成形後に第1徐変部24aを成形する第1徐変成形部42aと、第2徐変部24bを成形する第2徐変成形部42bと、最大偏差部25を成形する最大偏差成形部42cを有する。
【0044】
当該実施形態における射出成形工程で用いられる成形型4では、複数の第1キャビティ41と第2キャビティ42とが交互に連続して配置されている。すなわち、第1キャビティ41の第1端部41aと第2キャビティ42の第1徐変成形部42aとが連続している。また、第1キャビティ41の第2端部41bと第2キャビティ42の第2徐変成形部42bとが連続している。
【0045】
図5に示す流動性材料の流動方向における第1徐変成形部42aの大きさは、第2徐変成形部42bの大きさよりも大きく構成されている。
【0046】
図5に示すように、第2キャビティ42の第1徐変成形部42aは、第1キャビティ41の第1端部41aから最大偏差成形部42cに向かって流路断面積が徐々に大きくなるように構成されている。そして、第2キャビティ42の第2徐変成形部42bは、最大偏差成形部42cから第1キャビティ41の第2端部41bに向かって流路断面積が徐々に小さくなるように構成されている。
【0047】
換言すると、第1徐変成形部42aは、第1キャビティ41の第1端部41aから最大偏差成形部42cに向かって重力方向の下方に徐々に傾斜する傾斜面xを有する。他方、第2徐変成形部42bは、最大偏差成形部42cから第1キャビティ41の第2端部41bに向かって重力方向の上方に徐々に傾斜する傾斜面yを有する。また、上記したとおり第1徐変成形部42aの大きさは、第2徐変成形部42bの大きさよりも大きく構成されている。したがって、傾斜面xは傾斜面yよりもなだらかな面となっている。
【0048】
当該実施形態における射出成型工程において、流動性材料である溶融樹脂は第1キャビティ41の第1端部41aから第2キャビティ42の最大偏差成形部42cに向かって流動するように、溶融樹脂が成形型4に射出される。溶融樹脂を成形型4に射出する射出開始ゲートは、成形型4の車幅方向における中央部に設けられていることが望ましい。
【0049】
このように溶融樹脂が成形型4に射出されると、溶融樹脂は成形型4を次のように流動する。すなわち、第1キャビティ41において、溶融樹脂は第2端部41bから第1端部41aに向かって流動する。また、第2キャビティ42において、溶融樹脂は第1徐変成形部42aから第2徐変成形部42bに向かって流動する。つまり、溶融樹脂は流路断面積が大きくなる方向に向かって第2キャビティ42を流動することとなる。
【0050】
上記した射出成形工程を有する当該実施形態における車両用外装加飾部材1の製造方法によれば、第2キャビティ42において、溶融樹脂は、第1徐変成形部42aから第2徐変成形部42bへ向かって流動する。第1徐変成形部42aは傾斜面xを有し、第2徐変成形部42bは傾斜面yを有する。傾斜面xは傾斜面yよりもなだらかな面であるため、溶融樹脂が傾斜面xから傾斜面yに向けて流動することにより、溶融樹脂が最大偏差成形部42cに十分に充填され得る。したがって、当該実施形態における車両用外装加飾部材1の製造方法であれば、成形性の向上に有利となる。
【0051】
(第2実施形態)
第2実施形態における車両用外装加飾部材1は、基材6における徐変部64の板厚が一般部63の板厚よりも小さくなる構成をなす。第2実施形態の車両用外装加飾部材1と第1実施形態の車両用外装加飾部材1ではこの構成において異なり、その他の構成においては同様である。したがって、以下第1実施形態と異なる構成において説明する。
【0052】
図6に示すように、当該実施形態における車両用外装加飾部材1は、有色半透明体よりなる基材6と、基材6の裏面62側に形成された光非透過層3とを有する。光非透過層3は、基材6の裏面62に一体的に形成されている。
【0053】
図7に示すように、基材6は板厚63hが一定な一般部63と、板厚が徐々に変化する徐変部64を有する。当該実施形態における徐変部64の板厚は、一般部63の板厚63hよりも徐々に小さくなるように変化している。換言すると、徐変部64は板厚が徐々に変化して一般部63よりも車両前方に向かって(表面61に向かって)窪むように構成されている。
【0054】
図7に示すように当該実施形態における第1徐変部64aは、車両左方向から右方向に向けて車両前方側に傾斜するように徐変している。また、第2徐変部64bは、車両左方向から右方向に向けて車両後方側に傾斜するように徐変している。そして、第1徐変部64aと第2徐変部64bとの境界に、徐変部64の板厚が最も小さくなる最大偏差部65が形成されている。したがって、基材6の板厚が第1境界部63aから最大偏差部65に向かって徐々に小さくなる第1徐変部64aは、最大偏差部65に向かうにつれて黒色が薄くなるように観察者に視認され得る。すなわち、グラデーション感が演出される。なお、当該実施形態において、徐変部64の最大偏差部65での板厚と一般部63の板厚の差は、最大板厚差65hとして
図7に表している。
【0055】
当該実施形態における車両用外装加飾部材1は、徐変部64の第1徐変部64aにおいて一般部63の第1境界部63aから最大偏差部65までの徐変区間で、第1境界部63aから最大偏差部65に向かって可視光透過率が徐々に大きくなることにより、グラデーション感が演出される。つまり、一般部63の可視光透過率が最も小さくなり、最大偏差部65の可視光透過率が最も大きくなる。このとき、一般部63での板厚方向における可視光透過率と徐変部64の最大偏差部65での板厚方向における可視光透過率との差が5%以上であることにより、第1実施形態と同様な理由から、十分なグラデーション感が演出される。
【0056】
また、観察者に与えるグラデーション感は、徐変部64におけるL値の変化によって演出される。徐変部64の第1徐変部64aにおいて一般部63の第1境界部63aから最大偏差部65までの徐変区間で、第1境界部63aから最大偏差部65に向かってL値が徐々に大きくなることにより、グラデーション感が演出される。つまり、一般部63のL値が最も小さくなり、最大偏差部65のL値が最も大きくなる。このとき、一般部63のL値と徐変部64の最大偏差部65でのL値の差が2以上であることにより、第1実施形態と同様な理由から十分なグラデーション感が演出される。
【0057】
(第3実施形態)
第3実施形態の車両用外装加飾部材1は、徐変部の形状において第1実施形態の車両用外装加飾部材1と異なる。すなわち、第1実施形態の車両用外装加飾部材1における徐変部24では、表面21は平坦な面で裏面22が凹凸面であるのに対して、第3実施形態の車両用外装加飾部材1における徐変部74では、表面71及び裏面72の両方が凹凸面である。第3実施形態の車両用外装加飾部材1と第1実施形態の車両用外装加飾部材1とではこの構成において異なり、その他の構成においては同様である。したがって、以下第1実施形態と異なる構成において説明する。
【0058】
当該実施形態の車両用外装加飾部材1では、基材7に、
図8及び
図9に示すようなストライプ形状の徐変部74や格子形状の徐変部74を備えることができる。
【0059】
図10に示すように、徐変部74を構成する表面71には、表面71側から見た場合に、一般部73を構成する表面71よりも裏面72側に窪んだ凹部が形成されている。換言すると、徐変部74を構成する表面71は、頂点が裏面72側に位置する断面二等辺三角形状をなす。また、徐変部74を構成する裏面72には、裏面72側から見た場合に、一般部73を構成する裏面72よりも光非透過層3側に突出した凸部が形成されている。換言すると、徐変部74を構成する裏面72は、頂点が光非透過層3側に位置する断面二等辺三角形状をなす。
【0060】
図10に示すように、当該実施形態における徐変部74は、互いに連続する第1徐変部74a及び第2徐変部74bから構成されている。第1徐変部74aと第2徐変部74bとの徐変方向の長さは、共に同一となるように構成されている。また、徐変部74における断面二等辺三角形状の表面71の頂角は底辺よりも後方側に位置し、これと同様に徐変部74における断面二等辺三角形状の裏面72の頂角は底辺よりも後方側に位置している。加えて、表面71の頂点と裏面72の頂点とは互いに、前後方向に平行な直線上に位置するように形成されている。つまり、徐変部74における表面71は、徐変部74における裏面72の形状に倣うように形成されている。
【0061】
第1徐変部74aは、車両左方向から右方向に向けて車両後方側に傾斜するように、かつ、板厚が大きくなるように徐変している。第2徐変部74bは、車両左方向から右方向に向けて車両前方側に傾斜するように、かつ、板厚が小さくなるように徐変している。つまり、
図10に示すように、第1徐変部74aと第2徐変部74bとは、互いに徐変方向が逆になるように形成されている。そして、第1徐変部74aと第2徐変部74bとの境界に、徐変部74の板厚が最も大きくなる最大偏差部75が形成されている。このように形成された第1徐変部74aと第2徐変部74bとは、最大偏差部を中心として互いに左右対称な形状をなす。
【0062】
当該実施形態における第1徐変部74aは、表面71の一部である第1徐変表面741aと、裏面72の一部である第1徐変裏面742aとを有する。また、第2徐変部74bは、表面71の一部である第2徐変表面741bと、裏面72の一部である第2徐変裏面742bとを有する。
【0063】
第1徐変表面741aは、一般部73を構成する表面71から最大偏差部75まで車両後方に傾斜している。裏面72の一部である第1徐変裏面742aもまた、一般部73を構成する裏面72から最大偏差部75まで車両後方に傾斜している。第1徐変表面741aは、第1徐変裏面742aよりもなだらかな傾斜面となっている。そして、第1徐変部74aの板厚は、第1徐変部74aと連続する一般部73から最大偏差部75まで徐々に大きくなるように形成されている。第2徐変部74bは、上述したとおり第1徐変部74aと同様の形状をなす。
【0064】
当該実施形態における車両用外装加飾部材1は、第1徐変部74aにおいて一般部73との境界から最大偏差部75までの徐変区間で板厚が徐々に大きくなり、すなわち最大偏差部75に向かって可視光透過率が徐々に小さくなることにより、グラデーション感が演出される。また同様に、第2徐変部74bにおいても一般部73との境界から最大偏差部75に向かって可視光透過率が徐々に小さくなり、グラデーション感が演出される。つまり、一般部73における可視光透過率が最も大きくなり、最大偏差部75における可視光透過率が最も小さくなる。このとき、一般部73における可視光透過率と最大偏差部75における可視光透過率との差が5%以上であることにより、第1実施形態と同様な理由から、十分なグラデーション感が演出される。
【0065】
また、観察者に与えるグラデーション感は、徐変部74におけるL値の変化によって演出される。第1徐変部74a及び第2徐変部74bのそれぞれの一般部73との境界から、最大偏差部75に向かってL値が徐々に小さくなることにより、グラデーション感が演出される。つまり、一般部73におけるL値が最も大きくなり、最大偏差部75におけるL値が最も小さくなる。このとき、一般部73におけるL値と最大偏差部75におけるL値の差が2以上であることにより、第1実施形態と同様な理由から十分なグラデーション感が演出される。
【0066】
また、当該実施形態における徐変部74では、第1徐変部と第2徐変部とが左右対称の形状をなしている。したがって、当該実施形態の車両用外装加飾部材1を観察者が左右どちらの方向から見た場合においても同様なグラデーション感を演出することが可能となる。よって、さらなる意匠性の向上に有利となる。
【0067】
また、当該実施形態における徐変部74では、第1実施形態における徐変部24の平坦な表面21と異なり、第1徐変表面741a及び第2徐変表面741bの傾斜面からなる表面71を有する。したがって、それぞれの実施形態においては、徐変部の表面に到達した光の反射及び屈折が互いに異なったものとなる。これにより、当該実施形態における徐変部74と第1実施形態における徐変部24によって演出されるグラデーション感は、互いに異なったものとなる。特に当該実施形態における徐変部74の場合では、傾斜面である第1徐変表面741a及び第2徐変表面741bを有することにより、第1実施形態に比べて、より様々なグラデーション感や立体感が演出され得る。したがって、さらなる意匠性の向上に有利となる。
【0068】
また、当該実施形態における徐変部74では、
図10に示すように、裏面72に形成された凸部に対応する位置に表面71の凹部が形成されている。換言すると、表面71及び裏面72の断面二等辺三角形の頂点(頂角)が同じ方向を向くように形成されている。これにより、裏面72に形成する凸部によって徐変部74の板厚が大きくなりすぎることを抑制できる。すなわち、板厚が大きくなりすぎることに起因するヒケを効果的に抑制できる。したがって当該実施形態の車両用外装加飾部材1であれば成形性の向上に有利となる。
【0069】
(第4実施形態)
第4実施形態の車両用外装加飾部材1は、第3実施形態の車両用外装加飾部材1と同様に、基材8の表面81及び裏面82の両方が凹凸面である。しかしながら、第4実施形態では、徐変部84における基材8の裏面82の形状において第3実施形態とは異なる。すなわち、第3実施形態における徐変部74を構成する裏面72には、裏面72側から見た場合に裏面72から突出した凸部が形成されているのに対して、第4実施形態における徐変部84を構成する裏面82には、裏面82側から見た場合に表面81側に窪んだ凹部が形成されている。第4実施形態の車両用外装加飾部材1と第3実施形態の車両用外装加飾部材1とではこの構成において異なり、その他の構成においては同様である。したがって、以下第3実施形態と異なる構成において説明する。
【0070】
図11に示すように、徐変部84を構成する裏面82には、一般部83を構成する裏面82よりも表面81側に窪んだ凹部が形成されている。具体的には、徐変部84を構成する表面81は、頂点が裏面82側に位置する断面二等辺三角形状をなす。また、徐変部84を構成する裏面82は、頂点が表面81側に位置する断面二等辺三角形状をなす。
【0071】
図11に示すように、当該実施形態における徐変部84は、互いに連続する第1徐変部84a及び第2徐変部84bから構成されている。第1徐変部84aと第2徐変部84bとの徐変方向の長さは、共に同一となるように構成されている。また、徐変部84における断面二等辺三角形状の表面81の頂角は底辺よりも後方側に位置し、他方、徐変部84における断面二等辺三角形状の裏面82の頂角は底辺よりも前方側に位置している。加えて、表面81の頂点と裏面82の頂点とは、前後方向に平行な直線上に互いに位置するように形成されている。このように、徐変部84における表面81の凹部と徐変部74における裏面82の凹部は、断面二等辺三角形状の頂点(頂角)が向き合うように形成されている。
【0072】
第1徐変部84aは、車両左方向から右方向に向けて板厚が小さくなるように徐変している。第2徐変部84bは、車両左方向から右方向に向けて板厚が大きくなるように徐変している。つまり、第1徐変部84aと第2徐変部84bとは、互いに徐変方向が逆になるように形成されている。そして、第1徐変部84aと第2徐変部84bとの境界に、徐変部84の板厚が最も小さくなる最大偏差部85が形成されている。第1徐変部84aと第2徐変部84bとは、最大偏差部85を中心として互いに左右対称な形状をなす。
【0073】
当該実施形態における第1徐変部84aは、第1徐変表面841aと、第1徐変裏面842aとを有する。第1徐変表面841aは、一般部83を構成する表面81から最大偏差部85まで車両後方に傾斜している。裏面82の一部である第1徐変裏面842aは、一般部83を構成する裏面82から最大偏差部85まで車両前方に傾斜している。第1徐変表面841aは、第1徐変裏面842aよりもなだらかな傾斜面となっている。このように第1徐変表面841aと第1徐変裏面842aとは互いに傾斜方向が異なるため、第1徐変部84aの板厚は、第1徐変部84aと連続する一般部83から最大偏差部85まで徐々に小さくなるように形成されている。また、第2徐変部84bは、第2徐変表面841bと、第2徐変裏面842bとを有する。第2徐変部84bは、上述したとおり第1徐変部84aと同様の形状をなす。
【0074】
当該実施形態における車両用外装加飾部材1は、第1徐変部84aにおいて一般部83との境界から最大偏差部85までの徐変区間で板厚が徐々に小さくなり、すなわち最大偏差部85に向かって可視光透過率が徐々に大きくなることにより、グラデーション感が演出される。また同様に、第2徐変部84bにおいても一般部83との境界から最大偏差部85に向かって可視光透過率が徐々に大きくなり、グラデーション感が演出される。つまり、一般部83における可視光透過率が最も小さくなり、最大偏差部85における可視光透過率が最も大きくなる。このとき、一般部83における可視光透過率と最大偏差部85における可視光透過率との差が5%以上であることにより、第1実施形態と同様な理由から、十分なグラデーション感が演出される。
【0075】
また、観察者に与えるグラデーション感は、徐変部84におけるL値の変化によって演出される。第1徐変部84a及び第2徐変部84bのそれぞれの一般部83との境界から、最大偏差部85に向かってL値が徐々に大きくなることにより、グラデーション感が演出される。つまり、一般部83におけるL値が最も小さくなり、最大偏差部85におけるL値が最も大きくなる。このとき、一般部83におけるL値と最大偏差部85におけるL値の差が2以上であることにより、第1実施形態と同様な理由から十分なグラデーション感が演出される。
【0076】
また、当該実施形態における徐変部84では、第1徐変部84aと第2徐変部84bとが左右対称の形状をなしている。よって第3実施形態と同様の効果を奏する。
【0077】
また、当該実施形態における徐変部84では、第2実施形態における徐変部64の平坦な表面61と異なり、第1徐変表面841a及び第2徐変表面841bの傾斜面からなる表面81を有する。したがって、それぞれの実施形態において、徐変部の表面に到達した光の反射及び屈折が、互いに異なったものとなる。これにより、当該実施形態における徐変部84と第2実施形態における徐変部64によって演出されるグラデーション感は、互いに異なったものとなる。特に当該実施形態における徐変部84の場合では、傾斜面である第1徐変表面841a及び第2徐変表面841bを有することにより、第2実施形態に比べて、より様々なグラデーション感や立体感が演出され得る。したがって、さらなる意匠性の向上に有利となる。
【0078】
(第5実施形態)
第5実施形態の車両用外装加飾部材1では、第3実施実施形態における徐変部74と同様に、徐変部94を構成する表面91に、一般部93を構成する表面91よりも裏面92側に窪んだ凹部が形成され、また、徐変部94を構成する裏面92には、裏面92側から見た場合に裏面92から突出した凸部が形成されている。しかしながら、第5実施形態における徐変部94は、第3実施形態における徐変部74と異なり、複数の徐変区間を有する。以下、この異なる構成について説明する。
【0079】
当該実施形態における徐変部94は、第1徐変部94a、第2徐変部94b、第3徐変部94c、及び第4徐変部94dの4つの徐変部から構成されている。
図12に示すように、左方から右方に向かい第3徐変部94c、第1徐変部94a、第2徐変部94b、第4徐変部94dが順に連なって構成されている。第1徐変部94a及び第3徐変部94cの徐変方向は同じであり、第2徐変部94b及び第4徐変部94dの徐変方向は同じである。第1徐変部94a及び第3徐変部94cと第2徐変部94b及び第4徐変部94dとの徐変方向は互いに異なっている。そして、徐変方向の転換部分である第1徐変部94aと第2徐変部94bとの境界に、徐変部94の板厚が最も大きくなる最大偏差部95が形成されている。また、当該実施形態では、第1徐変部94aと第2徐変部94bとが互いに最大偏差部95を中心として左右対称の形状をなし、第3徐変部94cと第4徐変部94dとが互いに最大偏差部95を中心として左右対称の形状をなす。
【0080】
徐変部94を構成する表面91は、一般部93を構成する表面91と連続し且つ平坦な第3徐変表面941cと、第3徐変表面941cに連続する第1徐変表面941aと、第1徐変表面941aに連続し且つ第1徐変表面941aと傾斜方向が異なる第2徐変表面941bと、第2徐変表面941bに連続し且つ一般部93の表面91に連続する平坦な第4徐変表面941dとからなる。すなわち、当該実施形態の徐変部94は、車両左方から右方に向かって順に第3徐変表面941c、第1徐変表面941a、第2徐変表面941b、及び第4徐変表面941dが連続している。
【0081】
図12に示すように、第3徐変表面941cは、左方側の一般部93における表面91の延長であり、すなわち平坦な面をなす。第1徐変表面941aは、左方側から右方側に向かって後方に傾斜している。第2徐変表面941bは、左方側から右方側に向かって前方に傾斜している。すなわち、第1徐変表面941aと第2徐変表面941bとは互いに異なる傾斜方向を有する傾斜面である。第4徐変表面941dは、右方側の一般部93における表面91の延長であり、すなわち平坦な面をなす。
【0082】
徐変部94を構成する裏面92は、一般部93における裏面92と連続する第3徐変裏面942cと、第3徐変裏面942cに連続する第1徐変裏面942aと、第1徐変裏面942aに連続し且つ第1徐変裏面942aと傾斜方向が異なる第2徐変裏面942bと、第2徐変裏面942bに連続し且つ一般部93の裏面92に連続する第4徐変裏面942dとからなる。すなわち、当該実施形態の徐変部94は、車両左方から右方に向かって順に第3徐変裏面942c、第1徐変裏面942a、第2徐変裏面942b、及び第4徐変裏面942dが連続している。第1徐変裏面942aと第3徐変裏面942cとは傾斜方向が同じであり、第2徐変裏面942bと第4徐変裏面942dとは傾斜方向が同じであり且つ第1徐変裏面942a及び第3徐変裏面942cの傾斜方向と異なる。
【0083】
図12に示すように、第1徐変裏面942a及び第3徐変裏面942cは共に、左方側から右方側に向かって後方に傾斜している。第3徐変裏面942cは第1徐変裏面942aよりもなだらかに傾斜している。第2徐変裏面942b及び第4徐変裏面942dは共に、左方側から右方側に向かって前方に傾斜している。第4徐変裏面942dは第2徐変裏面942bよりもながらかに傾斜している。
【0084】
当該実施形態の第3徐変部94cは、第3徐変表面941cと第3徐変裏面942cとを有し、左方から右方に向かって板厚が大きくなるように形成されている。第1徐変部94aは、第1徐変表面941aと第1徐変裏面942aとを有し、左方から右方に向かって板厚が大きくなるように形成されている。そして、第3徐変部94cと第1徐変部94aとは、互いの徐変割合が異なるように形成されている。ここで「徐変割合」とは、徐変方向の長さに対する板厚の変化量を意味する。すなわち、第3徐変部94cにおける左方から右方に向かうにつれて大きくなる板厚の厚さ変化量と、第1徐変部94aにおける左方から右方に向かうにつれて大きくなる板厚の厚さ変化量とは互いに異なっている。当該実施形態においては、第3徐変部94cの徐変割合は第1徐変部94aの徐変割合よりも小さくなっている。なお、第2徐変部94bと第4徐変部94dとの徐変割合の関係は、第3徐変部94cと第1徐変部94aとの徐変割合の関係と同様である。
【0085】
上述のとおり、当該実施形態の第3徐変部94cは第4徐変部94dと最大偏差部95を中心として左右対称の形状をなし、第1徐変部94aは第2徐変部94bと最大偏差部95を中心として左右対称の形状をなしている。したがって第3徐変部94cの徐変割合は第4徐変部94dの徐変割合と同じであり、第1徐変部94aの徐変割合は第2徐変部94bの徐変割合と同じである。
【0086】
以上のような当該実施形態における車両用外装加飾部材1では、以下の効果を奏する。すなわち、当該実施形態における第3徐変部94c及び第4徐変部94dは、第1実施形態における徐変部24と同様の形状である。よって、第1実施形態の車両用外装加飾部材1と同様の作用効果を奏する。また、当該実施形態の第1徐変部94a及び第2徐変部94bは、第3実施形態における徐変部74と同様の形状である。よって、第3実施形態の車両用外装加飾部材1と同様の作用効果を奏する。
【0087】
また、当該実施形態の車両用外装加飾部材1は、4つの徐変部が連なって構成された徐変部94を有する。したがって、当該実施形態の車両用外装加飾部材1によれば、観察者が当該実施形態の車両用外装加飾部材1を見る方向によって、異なるグラデーション感が連続して演出され得る。ゆえに、さらなる意匠性の向上に有利となる。
【0088】
また、当該実施形態における徐変部94では、第3徐変部94cの徐変割合と第1徐変部94aの徐変割合とは互いに異なっている。すなわち、当該実施形態の車両用外装加飾部材1は、一般部93から最大偏差部95まで板厚が徐々に大きくなるように構成され、且つ、第1徐変部94aと第2徐変部94bとで異なるグラデーション感を演出できる。つまり、2つの異なるグラデーション感を連続して徐変部94において演出することができる。したがって、当該実施形態の車両用外装加飾部材1によれば、第1実施形態及び第3実施形態に比べて、さらなる意匠性の向上に有利となる。
【0089】
以上、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。具体的には、以下のような構成であっても本発明と同様の効果を奏し得る。
【0090】
例えば、第1実施形態における車両用外装加飾部材1には、車両のエンジンルーム内に外気を導通させる貫通開口が設けられていてもよい。
【0091】
また、第1実施形態における一般部23は、徐変部24の第1徐変部24aと第2徐変部24bと連続するように構成されている。しかしながら、第2徐変部24bが設けられないように構成されていてもよい。すなわち、
図4における前後方向に平行な直線上に第2境界部23bと最大偏差部25が位置するように、最大偏差部25が形成されていてもよい。また、第2実施形態においても同様に、
図7における前後方向に平行な直線上に第2境界部63bと最大偏差部65が位置するように、最大偏差部65が構成されていても良い。
【0092】
また、第3実施形態における徐変部74では、表面71及び裏面72の形状は断面二等辺三角形であるが、この形状は特に限定されるものではなく、例えば断面三角形、あるいは断面半円であってもよい。この場合、第1徐変部74aと第2徐変部74bとの徐変方向の長さが異なっていてもよい。なお、第4実施形態及び第5実施形態においても同様である。
【0093】
また、第3実施形態において、徐変部74における表面71及び裏面72の断面二等辺三角形のそれぞれの頂点は、互いに前後方向に平行な直線上に位置するように設けられていなくてもよい。つまり、互いの頂点がオフセットに配置されていてもよい。この場合には、第1徐変部74aと第2徐変部74bとの間にさらにもう一つの第3徐変部が形成されることとなる。したがって、より異なるグラデーション感を演出することが可能となる。なお、第4実施形態及び第5実施形態においても同様である。
【0094】
また、第3実施形態において、徐変部74における表面71側の徐変表面(741a、741b)は、裏面72側の徐変裏面(742a、742b)よりもなだらかな傾斜面となっている。これに代えて、徐変裏面(742a、742b)が徐変表面(741a、741b)よりもなだらかな傾斜面となっていてもよい。なお、第4実施形態及び第5実施形態においても同様である。
【0095】
また、第5実施形態において、徐変部94は第3徐変部94c及び第1徐変部94aと第4徐変部94d及び第2徐変部94bとは、最大偏差部95を中心として互いに左右対称の形状をなしている。これに代えて、徐変部94は全て形状の異なる第1徐変部94a〜第4徐変部94dから構成されていてもよい。この場合には、第1徐変部94a〜第4徐変部94dまで全て徐変割合が異なる構成となる。したがって、この場合の車両用加飾部材であれば4つの異なるグラデーション感を連続して徐変部において演出することが可能となり、更なる意匠性の向上に有利となる。また、徐変部94が4つ以上の異なる徐変区間を有する構成であってもよい。
【0096】
本発明の車両用外装加飾部材1は以下のように表現できる。なおカッコ内の符号は、第2実施形態〜第5実施形態で表すものである。
[1]車両外部に面する表面21(61,71,81,91)と表面に背向し凹凸面よりなる裏面22(62,72,82,92)を有する有色半透明体よりなる基材2(6,7,8,9)と、基材の裏面側に形成された光非透過層3とを備える車両用外装加飾部材1であって、
基材は、厚さ23h(63h,73h,83h,93h)が2.5mm以上4.0mm以下で一定の一般部23(63,73,83,93)と、厚さが徐変する徐変部24(64,74,84,94)とを有し、
徐変部は、一般部との厚さの差が最大となる最大偏差部25(65,75,85,95)を有し、以下の特徴〈A〉及び〈B〉のうち少なくとも1つを備える。
〈A〉最大偏差部における可視光透過率と一般部における可視光透過率との差は5%以上であること
〈B〉JIS Z 8729に規定のLab表色系のL値を想定したとき、最大偏差部におけるL値と一般部におけるL値との差は2以上であること
[2]前記表面21(61)は、平坦面よりなる[1]に記載の車両用外装加飾部材。
[3]前記表面(71,81,91)は、凹凸面よりなる[1]に記載の車両用外装加飾部材。
[4]最大偏差部と一般部との厚さの差は、0.3mm以上1.5mm以下である[1]〜[3]の何れか1つに記載の車両用外装加飾部材。
[5]徐変部は、徐変方向における長さが10mm以上である[1]〜[4]の何れか1つに記載の車両用外装加飾部材。
[6]長手方向の長さが500mm以上である[1]〜[5]の何れか1つに記載の車両用外装加飾部材。
[7]徐変部は、厚さの徐変する割合が異なる複数の徐変部から形成されている[1]〜[6]の何れか1つに記載の車両用外装加飾部材。
[8]徐変部は、境界に最大偏差部を有し且つ連続する第1徐変部24a(64a,74a,84a,94a)及び第2徐変部24b(64b,74b,84b,94b)を備え、
第1徐変部と第2徐変部とは互いに徐変方向が逆である[1]〜[7]の何れか1つに記載の車両用外装加飾部材。
[9]第1徐変部24a(64a)は第2徐変部24b(64b)よりも徐変方向における長さが長い[8]に記載の車両用外装加飾部材。
[10][1]〜[7]の何れか1つに記載の車両用外装加飾部材1の製造方法であって、
徐変部は、一般部から最大偏差部に向かって厚さが徐々に大きくなり、
一般部を成形する第1キャビティ41と徐変部24を成形する第2キャビティ42とを備える成形型4内に、流動性材料が第2キャビティ42において流路断面積が大きくなる側に向かって流動するように流動性材料を射出する射出成形工程を備える車両用外装加飾部材の製造方法。
[11][8]又は[9]に記載の車両用外装加飾部材1の製造方法であって、
徐変部は、一般部から最大偏差部に向かって厚さが徐々に大きくなり、
一般部を成形する第1キャビティ41と、徐変部を成形し且つ第1徐変部を成形する第1徐変成形部42a及び第2徐変部を成形する第2徐変成形部42bを有する第2キャビティ42とを備える成形型4内に、流動性材料が第2キャビティ42において第1徐変成形部42aから第2徐変成形部42bに向かって流動するように流動性材料を射出する射出成形工程を備える車両用外装加飾部材の製造方法。