(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
物品搬送車の走行経路に沿って走行レールが配置され、前記物品搬送車の車輪が前記走行レールの上面に設けられた走行面を転動して前記物品搬送車が走行する物品搬送設備であって、
前記走行レールは、前記走行面が形成される面を含む周壁と、当該周壁に囲まれた内側に形成されて前記走行経路に沿って延在する内部空間とを有した中空構造であり、
前記走行面は、前記周壁を貫通して前記走行面に開口部が形成され、前記内部空間と外部空間とを連通する複数の貫通孔を有し、
さらに、前記内部空間と連通して、前記内部空間の空気を吸引する吸引装置を備え、
前記内部空間は、前記吸引装置の接続部と前記貫通孔とを除いて閉塞されている、物品搬送設備。
前記吸引装置は、前記周壁の内、前記走行面が形成されない壁面に設置され、当該壁面は、前記吸引装置と前記内部空間とを連通する吸引孔を有する、請求項1に記載の物品搬送設備。
前記走行レールは、前記走行経路に沿った方向において複数のレール部材が結合されて形成され、前記走行経路に沿って隣接する2つの前記レール部材が結合される結合部には、前記内部空間と前記外部空間との連通を封止する封止部材を備える請求項1又は2に記載の物品搬送設備。
前記吸引装置は、吸引用のファンと、塵を捕獲するフィルタとが一体化されたファンフィルタユニットであり、当該ファンフィルタユニットは、前記周壁の前記幅方向外側の側壁面に設置されている請求項5に記載の物品搬送設備。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、物品搬送設備の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び
図2に示すように、物品搬送設備100は、走行経路1に沿って設置された走行レール2と、走行レール2上を走行経路1に沿って走行する物品搬送車3とを備えている。尚、本実施形態では、物品搬送車3は、半導体基板を収容するFOUP(Front Opening Unified Pod)を物品Fとして搬送する。
【0011】
走行経路1は、1つの環状の主経路4と、複数の環状の副経路5と、主経路4と副経路5とを接続する複数の接続経路6とを備えている。副経路5は、主経路4よりも小さい環状であり、複数の物品処理部Pを経由する経路である。物品搬送車3は、主経路4及び複数の副経路5においては、いずれも同じ周回方向(
図1では矢印で示すように時計回り)に走行する。走行経路1は、直線状に設定された直線部分1aと曲線状に設定された曲線部分1bとを有している。接続経路6には、主経路4から副経路5に分岐する分岐用の接続経路6と、副経路5から主経路4に合流する合流用の接続経路6がある。
【0012】
以下の説明においては、上下方向に見て、物品搬送車3の前後方向(走行する方向)に対して直交する方向を車体横幅方向と称して説明する。
図2は、物品搬送車3を後方から見た状態を示している(背面視)。車体横幅方向において左右方向を示して説明する場合には、背面視にて左右を特定する。また、走行経路1(走行レール2)については、走行経路1に沿う方向を経路長手方向(又は走行レール2の延在方向)とし、上下方向に見て経路長手方向に対して直交する方向(水平面において走行経路1に直交する方向)を幅方向Wと称して説明する。例えば、物品搬送車3が走行経路1の直線部分1aを走行しているときは、走行方向と経路長手方向とは同じ方向となり、車体横幅方向と幅方向Wとは同じ方向となる。尚、後述するように、水平面において2本の走行レール2が平行して配置されて走行レール対2Pが構成される。つまり、走行レール対2Pは、幅方向Wに一定間隔で互いに平行に配置されている(
図3等参照)。幅方向Wにおいて走行レール2が対向するそれぞれの側を幅方向内側W1、幅方向Wにおいて幅方向内側W1とは反対側の方向をそれぞれ幅方向外側W2と称して説明する。
【0013】
図2に示すように、物品搬送車3は、天井Cから吊り下げ支持された走行レール2の上面に設けられた走行面21を車輪15が転動することによって走行する走行部9と、走行レール2の下方に位置して走行部9に吊り下げ支持された搬送車本体10と、走行経路1に沿って配設された給電線11から非接触で駆動用電力を受電する受電部12とを備えている。
【0014】
搬送車本体10には、搬送車本体10に昇降するように備えられて物品Fを吊り下げ状態で支持する支持部13が備えられている。尚、前後方向に並ぶ状態で複数の走行部9(例えば、前方側の第1走行部と後方側の第2走行部との2つの走行部)が備えられていてもよいが、本実施形態では、それらを区別することなく単に走行部9と称する。
【0015】
走行部9(それぞれの走行部9)には、不図示のモータにより駆動される左右一対の車輪15(車輪対15P)が備えられている。この車輪対15Pは、走行レール2を構成する左右一対の走行レール2(走行レール対2P)の夫々の上面(走行面21)を走行するように、走行部9に備えられている。また、走行部9には、車体上下方向に沿う軸心周り(上下軸心周り)で自由回転する左右一対の案内輪16(案内輪対16P)が備えられている。この左右一対の案内輪16は、それぞれの走行レール2における内側面27(
図4等参照)に接当するように、走行部9に設けられている。
【0016】
走行部9(それぞれの走行部9)には、車輪対15Pの下端より下方に突出する状態で連結軸17が備えられている。
図2に示すように、走行部9の連結軸17と搬送車本体10とは、上下方向に沿う縦軸心周りに相対回転可能に連結されている。例えば、走行部9が前方側の第1走行部と後方側の第2走行部との2つの走行部とを有している場合、第1走行部及び第2走行部のそれぞれに連結軸17が設けられている。第1走行部及び第2走行部は、それぞれ搬送車本体10と相対回転することができる状態で連結されている。つまり、第1走行部及び第2走行部は、搬送車本体10に対して縦軸心周りに揺動可能である。これにより、物品搬送車3が複数の走行部9を備えて構成されていても、物品搬送車3は、走行経路1の曲線部分1bに沿って走行することができる。物品搬送車3は、案内輪16が走行レール対2Pに接触して案内されることによって走行部9が走行経路1に沿った姿勢を維持しながら走行経路1に沿って走行する。
【0017】
図2に示すように、走行部9には、車輪15よりも上方側箇所に、上下軸心(車体上下幅方向に沿う軸心)周りで回転する案内補助輪19が設けられている。好適には、案内補助輪19は、1つの走行部9において車輪15の回転軸を挟んで前後一対設けられている。前後一対の案内補助輪19を総称する場合は案内補助輪対19Pと称する。案内補助輪対19Pは、モータによって一体的に車体横幅方向に移動される。
【0018】
走行部9は、案内補助輪対19Pを車体横幅方向に移動させることによって、案内補助輪19の位置を右案内位置と左案内位置とに移動させるように構成されている。右案内位置は、
図2に示すように、案内補助輪対19Pが走行部9の車体横幅方向の中央より右側に位置して、案内レール41に対して右側から当接する位置である。左案内位置は、案内補助輪対19Pが走行部9の車体横幅方向の中央より左側に位置して、案内レール41に対して左側から当接する位置である。
【0019】
図2及び
図3に示すように、本実施形態では、水平面において2本の走行レール2が平行して配置されて走行レール対2Pを構成している。つまり、走行レール対2Pは、幅方向Wに一定間隔で互いに平行に配置されている。それぞれの走行レール2には、支持部材43及び吊り下げ部材44が取り付けられる取り付け溝22が走行経路1に沿って(走行レール2の延在方向に沿って)形成されている。
図2に示すように、取り付け溝22には、吊り下げ部材44の一方の端部が取り付けられている。吊り下げ部材44の他方の端部は、天井Cに固定されている。走行レール対2Pを構成する2つの走行レール2は、吊り下げ部材44によって天井に吊り下げ支持されている。
【0020】
また、
図2に示すように、走行経路1に沿って(走行レール2の延在方向に沿って)複数設けられた吊り下げ部材44の間では、走行レール対2Pを構成する2つの走行レール2は、経路長手方向に沿った方向に見て(幅方向断面において)逆U字状に形成された支持部材43により連結されている。尚、上述した案内レール41は、支持部材43に連結されて支持部材43により支持されている。また、走行レール2は、走行面21が形成される面を含む周壁24と、周壁24に囲まれた内側に形成されて走行経路1に沿って延在する内部空間28とを有する。
【0021】
図3及び
図4に示すように、走行面21は、周壁24を貫通して内部空間28と外部空間とを連通する貫通孔30を有する。つまり、走行面21には、貫通孔30の開口部31(
図4参照)が形成されている。また、走行レール2には、内部空間28と連通して、内部空間28の空気を吸引する吸引装置50が取り付けられている。
図1に示すように、本実施形態では、走行経路1は環状であるから、内部空間28は、吸引装置50の接続部(
図4の吸引孔29参照)と貫通孔30とを除いて閉塞されている。走行経路1が環状ではなく、端部を有する場合には当該端部を塞ぐことによって内部空間28を閉塞空間とすることができる。
【0022】
上述したように、走行面21には中空構造の走行レール2の内部空間28に連通する貫通孔30が開口している。貫通孔30には、内部空間28の空気が吸引装置50に吸引されることによって負圧が掛かかる。上述したように、内部空間28は、吸引装置50との接続部(吸引孔29)と、貫通孔30とを除いて閉塞されているから、貫通孔30に充分な負圧を生じさせることができる。従って、走行面21において生じた塵Dは、
図4に示すように、貫通孔30を通って内部空間28へと吸い込まれ、外部空間に飛び散りにくくなる。
【0023】
本実施形態において、吸引装置50は、吸引用のファン51と、塵Dを捕獲するフィルタ53とが一体化されたファンフィルタユニットである。吸引装置50をファンフィルタユニットとすることによって、貫通孔30に負圧を生じさせるとともに、吸引した塵Dをフィルタ53で捕らえることができ、塵Dを適切に除去することができる。また、ファン51とフィルタ53とが一体化されていることにより、物品搬送設備100への吸引装置50の設置やメンテナンス時の交換等も容易である。
【0024】
図4に示すように、吸引装置50は、周壁24の内、走行面21が形成されない壁面(本実施形態では外側面23)に設置されている。この壁面(外側面23)には、吸引装置50と内部空間28とを連通する吸引孔29が形成されている。走行面21には貫通孔30が開口しており、走行面21以外の面に吸引孔29を設けることで、
図4に破線で示すように、内部空間28を介して貫通孔30に負圧を生じさせる場合の空気の流れを円滑にすることができる。また、走行面21は車輪15が転動するため、走行面21に吸引孔29を設けるためには走行レール2の幅を広くしたり、走行範囲外(例えば後述する走行領域R1外)の場所に吸引孔29を設けたりする必要が生じる場合がある。しかし、走行面21が形成されない壁面(外側面23、下面25、内側面27など)に吸引孔29を設けることでそのような制約を受けることがない。
【0025】
本実施形態では、吸引装置50としてのファンフィルタユニットが、周壁24の幅方向外側W2の外側面23(側壁面)に設置されている。従って、走行経路1上において吸引装置50が設置されている位置に物品搬送車3が存在していても、作業者が吸引装置50の点検やフィルタ53の交換などのメンテナンスを容易に行うことができる。
【0026】
ところで、走行経路1は長距離であり、多くの場合、走行レール2は、走行経路1に沿った方向において複数のレール部材2aが結合されて形成されている(
図5参照)。複数のレール部材2aが結合されることによって、内部空間28も接続されて1つの連続した内部空間28となる。しかし、走行経路1に沿って隣接する2つのレール部材2aが結合される結合部20(
図5参照)では、内部空間28の気密性が損なわれるおそれがある。このため、本実施形態では、
図5に示すように、結合部20には、内部空間28と外部空間との連通を封止する封止部材2bが備えられている。尚、レール部材2aが金属の場合、温度によって走行経路1に沿った方向に伸縮する可能性がある。レール部材2aが収縮した場合には、走行経路1に沿って隣接する2つのレール部材2aの間隔が空いてしまうため、封止部材2bの走行経路1に沿った方向の長さL1は、レール部材2aが収縮したことによって生じる隙間L2よりも長く設定されている。
【0027】
また、本実施形態では、走行面21における貫通孔30の開口部31の直径φ1が、車輪15が走行面21と接する接触面の回転軸方向の長さである車輪幅H1よりも短い(
図4参照)。貫通孔30の直径φ1が大きいほど塵Dが内部空間28に入り易く、塵Dを除去し易くなる。しかし、貫通孔30は走行面21に開口部31を有するため、開口部31の直径φ1が大きいと車輪15が貫通孔に落ち込み、騒音や物品搬送車3の振動が増加するおそれがある。また、開口部31の縁と車輪15との接触によって縁に欠けや摩耗が生じ易くなり、塵Dが生じ易くなるおそれもある。従って、貫通孔30の開口部31の直径φ1は車輪幅H1よりも短いことが好ましい。
【0028】
さらに本実施形態では、
図3及び
図4に示すように、車輪15が走行する走行領域R1が、走行面21において幅方向内側W1に設けられ、貫通孔30の開口部31が、走行面21において走行領域R1よりも幅方向外側W2に設けられている。開口部31の直径φ1が車輪幅H1よりも短くても、貫通孔30の開口部31の上を車輪15が転動すると、騒音や物品搬送車3の振動が増加するおそれがある。また、開口部31の縁と車輪15との接触によって縁に欠けや摩耗が生じ、塵Dを発生させるおそれもある。従って、好ましくは走行面21において車輪15が走行する経路(走行領域R1)と、貫通孔30が開口する領域とが分かれているとよい。これらの領域は完全に分かれている必要はないが、重複する領域が少なくなるように、何れかの方向に寄せてそれぞれの領域が設けられていると好ましい。例えば、本実施形態のように、走行領域R1が、幅方向内側W1に設けられ、貫通孔30の開口部31が、走行領域R1よりも幅方向外側W2に設けられていると両領域が重複しにくくなる。
【0029】
〔その他の実施形態〕
以下、その他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0030】
(1)上記においては、走行レール2が対となった走行レール対2Pによって形成される走行経路1を物品搬送車3が走行する形態を例示した。しかし、1本の走行レール2によって形成される走行経路1を物品搬送車3が走行する、いわゆるモノレール形式の物品搬送設備100であってもよい。
【0031】
(2)上記においては、レール部材2aの結合部20に封止部材2bを備えて内部空間28の気密性を高める形態を例示した。しかし、封止部材2bよりも気密性の低い接続部材によってレール部材2aが結合されてもよい。レール部材2aは一般的に長尺であり、内部空間28の内壁での流体抵抗によってある程度の閉塞性を得ることができる。吸引装置50の吸引力や、設置箇所、設置数等を工夫することによって、気密性が高い封止部材2bを用いることなく、貫通孔30に適切な負圧を発生させることも可能である。
【0032】
(3)上記においては、走行面21において車輪15が走行する走行領域R1が、幅方向内側W1に設けられ、貫通孔30の開口部31が走行領域R1よりも幅方向外側W2に設けられている形態を例示した。しかし、物品搬送車3の構造等に応じて、走行領域R1が、幅方向外側W2に設けられ、貫通孔30の開口部31が走行領域R1よりも幅方向内側W1に設けられている形態を妨げるものではない。
【0033】
(4)上記においては、吸引装置50が、周壁24の幅方向外側W2の側壁面(外側面23)に設置されている形態を例示した。しかし、物品搬送車3の形態に応じて、走行レール2の幅方向内側W1に吸引装置50の設置スペースを有する場合には、吸引装置50を幅方向内側W1(例えば内側面27)に設置してもよい。また、走行レール2の下方に設置スペースを有する場合には、吸引装置50を下方(例えば下面25)に設置してもよい。
【0034】
(5)上記においては、走行面21における貫通孔30の開口部31の直径φ1が、車輪15が走行面と接する接触面の回転軸方向の長さである車輪幅H1よりも短い形態を例示した。しかし、車輪15が走行する走行領域R1とは重複しないように、開口部31を設けることができれば、直径φ1が車輪幅H1以上であってもよい。
【0035】
〔実施形態の概要〕
以下、上記において説明した物品搬送設備の概要について簡単に説明する。
【0036】
上記に鑑みた、物品搬送車の走行経路に沿って走行レールが配置され、前記物品搬送車の車輪が前記走行レールの上面に設けられた走行面を転動して前記物品搬送車が走行する物品搬送設備は、1つの態様として、
前記走行レールが、前記走行面が形成される面を含む周壁と、当該周壁に囲まれた内側に形成されて前記走行経路に沿って延在する内部空間とを有し
た中空構造であり、
前記走行面が、前記周壁を貫通して
前記走行面に開口部が形成され、前記内部空間と外部空間とを連通する
複数の貫通孔を有し、
さらに、前記内部空間と連通して、前記内部空間の空気を吸引する吸引装置を備え、
前記内部空間が、前記吸引装置の接続部と前記貫通孔とを除いて閉塞されている。
【0037】
この構成によれば、開放された空間に存在する走行レールの上面(走行面)への車輪の接触によって生じた塵が、開放された空間に飛び散りにくい。つまり、走行面には中空構造の走行レールの内部空間に連通する貫通孔が開口しており、貫通孔には、内部空間の空気が吸引装置に吸引されることによって負圧が掛かっている。従って、走行面において生じた塵は、貫通孔を通って内部空間へと吸い込まれ、外部空間に飛び散りにくくなる。また、内部空間は、吸引装置との接続部と、貫通孔とを除いて閉塞されているから、貫通孔に充分な負圧を生じさせることができる。このように、本構成によれば、走行レールの上面に設けられた走行面を物品搬送車の車輪が転動して走行する場合に、走行によって生じる塵を適切に除去することが可能となる。
【0038】
ここで、前記吸引装置が、前記周壁の内、前記走行面が形成されない壁面に設置され、当該壁面が、前記吸引装置と前記内部空間とを連通する吸引孔を有すると好適である。
【0039】
走行面には貫通孔が開口しており、走行面以外の面に吸引孔を設けることで、内部空間を介して貫通孔に負圧を生じさせる場合の空気の流れを円滑にすることができる。また、走行面は車輪が転動するため、走行面に吸引孔を設けるためには走行レールの幅を広くしたり、走行範囲外の場所に吸引孔を設けたりする必要が生じる場合がある。しかし、走行面が形成されない壁面に吸引孔を設けることでそのような制約を受けることがない。
【0040】
ここで、前記走行レールが、前記走行経路に沿った方向において複数のレール部材が結合されて形成され、前記走行経路に沿って隣接する2つの前記レール部材が結合される結合部には、前記内部空間と前記外部空間との連通を封止する封止部材を備えると好適である。
【0041】
多くの場合、走行レールは、複数のレール部材を連結して構成される。レール部材が結合される結合部で空気が漏れると、貫通孔に掛かる負圧が弱くなるため、塵を吸引する力が弱くなる。吸引力を確保するために吸引装置の吸引力を強くすると吸引装置のコストが高くなったり、消費電力が大きくなったり、吸引装置の体格が大型化したりする場合がある。従って、内部空間の閉塞性を保つために、結合部に封止部材を備えると好適である。
【0042】
ここで、前記走行面における前記貫通孔の
前記開口部の直径は、前記車輪が前記走行面と接する接触面の回転軸方向の長さである車輪幅よりも短いと好適である。
【0043】
貫通孔の直径が大きいほど塵は内部空間に入り易くなる。しかし、貫通孔は走行面に開口するため、開口部の直径が大きいと車輪が貫通孔に落ち込み、騒音や物品搬送車の振動が増加してしまう。また、開口部の縁と車輪との接触によって縁に欠けや摩耗が生じ易くなり、塵を多く発生させてしまうおそれもある。従って、貫通孔の開口部の直径は車輪幅よりも短いことが好ましい。
【0044】
また、1つの態様として、物品搬送設備は、2本の前記走行レールが平行して配置された走行レール対を備え、前記走行経路に直交する方向を幅方向、前記幅方向において前記走行レールが対向するそれぞれの側を幅方向内側、前記幅方向において前記幅方向内側とは反対側の方向をそれぞれ幅方向外側として、前記車輪が走行する走行領域が、前記走行面において前記幅方向内側に設けられ、前記貫通孔の
前記開口部が、前記走行面において前記走行領域よりも前記幅方向外側に設けられていると好適である。
【0045】
貫通孔の開口部の上を車輪が転動すると、騒音や物品搬送車の振動が増加するおそれがある。また、開口部の縁と車輪との接触によって縁に欠けや摩耗が生じ易くなり、塵を多く発生させてしまうおそれもある。従って、好ましくは走行面において車輪が走行する経路(走行領域)と、貫通孔が開口する領域とが分かれているとよい。これらの領域は完全に分かれている必要はないが、重複する領域が少なくなるように、何れかの方向に寄せてそれぞれの領域が設けられていると好ましい。即ち、本構成のように、走行領域が、幅方向内側に設けられ、貫通孔の開口部が、走行領域よりも幅方向外側に設けられていると両領域が重複しにくく、好適である。
【0046】
前記吸引装置は、吸引用のファンと、塵を捕獲するフィルタとが一体化されたファンフィルタユニットであり、当該ファンフィルタユニットは、前記周壁の前記幅方向外側の側壁面に設置されていると好適である。
【0047】
吸引装置をファンフィルタユニットとすることによって、貫通孔に負圧を生じさせるとともに、吸引した塵をフィルタで捕らえることができ、塵を適切に除去することができる。また、ファンとフィルタとが一体化されていることにより、物品搬送設備への吸引装置の設置やメンテナンス時の交換等も容易である。