(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
I型結晶構造を有する平均繊維幅2〜1000nmの微細セルロース繊維を主成分とするシート層の片面又は両面に、硬化性樹脂層又はフィルム層を有する複合体であって、シート層が親水性高分子または親水性低分子化合物を含み、シート層の厚さが25μm以上である、複合体。
シート層の厚さが25〜150μmであり、被覆層の一層当たりの厚さが0.1〜30μmであり、硬化性樹脂層又はフィルム層の一層当たりの厚さが0.2〜100μmである、請求項5に記載の複合体。
シート層と、硬化性樹脂層又はフィルム層の密着性が、JIS規格K5400に準拠したクロスカット試験において100マス中のはく離数が10以下である、請求項5又は6に記載の複合体。
有機成分がメチル基、メルカプト基、メタクリル基、アクリロイル基、ビニル基、及びアミノ基から選ばれる少なくとも1種類を含む成分である、請求項9又は10に記載の複合体。
有機成分が、メチル基、メルカプト基、メタクリル基、アクリロイル基、ビニル基、及びアミノ基から選ばれる少なくとも1種を含む成分である、請求項16に記載のシート。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、樹脂層の密着性が高く、かつ高透明である、不織布と樹脂との複合体を提供することを解決すべき課題とした。
本発明はまた、高強度で透明性の高い複合体、また、微細セルロース繊維を主成分とするシート(シート層)と、硬化性樹脂層又はフィルム層との密着性の高い複合体、微細セルロース繊維を主成分とするシート(シート層)と、被覆層との密着性の高い張り合わせ用シートを提供することを解決すべき課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記の課題を解決するために鋭意検討した。その結果、平均繊維幅2〜1000nmの微細繊維を含有する不織布層の片面又は両面に、易接着性層を介して、樹脂層を積層することによって、樹脂層の密着性が高く、高透明である不織布樹脂複合体を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
詳細には、本発明者らは上記の課題を解決するために鋭意検討した。その結果、1)平均繊維幅2〜1000nmの微細繊維を主成分とするシート(以下、「シート層」という。)の片面又は両面に硬化性樹脂層又はフィルム層が積層された複合体は高強度で高透明であることを見出した。また、2)平均繊維幅2〜1000nmの微細繊維を主成分とするシート層の片面又は両面に被覆層を介して硬化性樹脂層又はフィルム層が積層された複合体、3)平均繊維幅2〜1000nmの微細繊維を主成分とするシート層の片面又は両面に被覆層が積層された張り合わせ用シートは、各層間の密着性が高く、高強度で高透明であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1)平均繊維幅2〜1000nmの微細繊維を主成分とするシート層の片面又は両面に、硬化性樹脂層又はフィルム層を有する複合体。
(2)微細繊維の平均繊維幅が2〜100nmである、(1)に記載の複合体。
(3)シート層の密度が0.90g/cm
3以上である、(1)又は(2)に記載の複合体。
(4)シート層が不織布である(1)から(3)の何れか1項に記載の複合体。
(5)微細繊維が、セルロース繊維を含む繊維である、(1)から(4)の何れか1項に記載の複合体。
(6)シート層の片面又は両面に設けられた被覆層を介して、硬化性樹脂層又はフィルム層が積層された、(1)から(5)の何れか1項に記載の複合体。
(7)シート層の厚さが2〜150μmであり、被覆層の厚さが0.1〜30μmであり、硬化性樹脂層又はフィルム層の厚さが0.2〜100μmである、(6)に記載の複合体。
(8)シート層と、硬化性樹脂層又はフィルム層の密着性が、JIS規格K5400に準拠したクロスカット試験において100マス中のはく離数が10以下である、(6)又は(7)に記載の複合体。
(9)全光線透過率が85%以上であり、ヘーズが10%以下である、(6)から(8)の何れか1項に記載の複合体。
(10)被覆層が、有機成分と無機成分のハイブリッド材である、(6)から(9)の何れか1項に記載の複合体。
(11)有機成分と無機成分のハイブリッド材が、ケイ素骨格を有する有機成分と無機成分から構成される、(10)に記載の複合体。
(12)有機成分がメチル基、メルカプト基、メタクリル基、アクリロイル基、ビニル基、及びアミノ基から選ばれる少なくとも1種を含む成分である、(10)又は(11)に記載の複合体。
(13)有機成分と無機成分のハイブリッド材が、シルセスキオキサンである、(10)から(12)の何れか1項に記載の複合体。
(14)被覆層が、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、及び光硬化性樹脂の中から選ばれる少なくとも1種である、(6)から(9)の何れか1項に記載の複合体。
(15)被覆層が粘着剤である、(6)から(9)の何れか1項に記載の複合体。
(16)平均繊維幅2〜1000nmのセルロース微細繊維を主成分とするシート層の片面又は両面に、被覆層を有する貼り合わせ用シート。
(17)被覆層が、有機成分と無機成分のハイブリッド材である(16)に記載のシート。
(18)有機成分がメチル基、メルカプト基、メタクリル基、アクリロイル基、ビニル基、及びアミノ基から選ばれる少なくとも1種を含む成分である、(17)に記載のシート。
(19)有機成分と無機成分のハイブリッド材が、シルセスキオキサンである、(17)又は(18)に記載のシート。
(20)(16)〜(19)のシートに、硬化性樹脂層又はフィルム層を積層した複合体。
(21)平均繊維幅2〜1000nmの微細繊維を主成分とするシート層の片面又は両面に、被覆層を設ける工程;及び前記被覆層の、シート層とは反対側の表面上に、硬化性樹脂層又はフィルム層を設ける工程、を含む、複合体の製造方法。
(22)シート層と被覆層が、塗工、又は貼り合わせにより積層された、(21)に記載の複合体の製造方法。
(23)被覆層と、硬化性樹脂層又はフィルム層が、塗工、又は貼り合わせにより積層された、(21)に記載の複合体の製造方法。
(24)(1)から(20)の何れか1項に記載の複合体を含む、照明装置、投影装置、看板又は画像表示装置、タッチパネル又は太陽電池。
【0010】
[1]繊維原料を化学的処理及び解繊処理することにより得た平均繊維幅2〜1000nmの微細繊維を含有する不織布層の片面又は両面に、易接着性層を介して、樹脂層が積層されている不織布樹脂複合体。
[2]微細繊維の平均繊維幅が2〜100nmである、[1]に記載の不織布樹脂複合体。
[3]不織布層の密度が0.90g/cm
3以上である、[1]又は[2]に記載の不織布樹脂複合体。
[4]不織布層の厚さが2〜150μmであり、易接着性層の厚さが0.1〜30μmであり、樹脂層の厚さが0.2〜50μmである、[1]から[3]の何れかに記載の不織布樹脂複合体。
[5]樹脂層の密着性が、JIS規格K5400に準拠したクロスカット試験において100マス中のはく離数が10以下である、[1]から[4]の何れかに記載の不織布樹脂複合体。
[6]全光線透過率が85%以上であり、ヘーズが10%以下である[1]から[5]の何れかに記載の不織布樹脂複合体。
[7]易接着性層が、樹脂からなる、[1]から[6]の何れかに記載の不織布樹脂複合体。
[8]易接着性層が、ポリエステル樹脂又はシルセスキオキサン系樹脂からなる、[1]から[7]の何れかに記載の不織布樹脂複合体。
[9]樹脂層が、硬化性樹脂前駆体を紫外線処理又は熱処理によって硬化することにより得た樹脂層である、[1]から[8]の何れかに記載の不織布樹脂複合体。
[10]微細繊維が、セルロース繊維を含む繊維である、[1]から[9]の何れかに記載の不織布樹脂複合体。
[11]繊維原料を化学的処理及び解繊処理することにより得た平均繊維幅2〜1000nmの微細繊維を含有する不織布層の片面又は両面に、易接着性層を設ける工程;及び
前記易接着性層の、不織布層とは反対側の表面上に、樹脂層を設ける工程、
を含む、[1]から[10]の何れかに記載の不織布樹脂複合体の製造方法。
[12][1]から[10]の何れかに記載の不織布樹脂複合体を含む、照明装置、投影装置、看板又は画像表示装置、タッチパネル又は太陽電池。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、樹脂層の密着性が高く、かつ高透明である、不織布と樹脂との複合体が提供される。より詳細には、本発明によれば、1)高強度で高透明である複合体、2)シート層と、硬化性樹脂層又はフィルム層との密着性が高く高強度で高透明である複合体、3)シート層と被覆層との密着性が高く高強度で高透明である貼り合わせ用シートが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について更に詳細に説明する。なお、本明細書に記載される材料、方法及び数値範囲などの説明は、当該材料、方法及び数値範囲などに限定することを意図したものではなく、また、それ以外の材料、方法及び数値範囲などの使用を除外するものでもない。数値範囲「x〜y」は、両端の値x及びyを含む。主成分とは、質量を基準として最も多く含まれる成分をいう。
【0015】
本発明の不織布樹脂複合体は、繊維原料を化学的処理及び解繊処理することにより得た平均繊維幅2〜1000nmの微細繊維を含有する不織布層の片面又は両面に、易接着性層を介して、樹脂層が積層されていることを特徴とする。即ち、本発明の不織布樹脂複合体は、不織布層、易接着性層及び樹脂層を少なくとも含む積層体である。より詳細には、本発明の複合体は、1)平均繊維幅2〜1000nmの微細繊維を主成分とするシート層の片面又は両面に、硬化性樹脂層又はフィルム層が積層された複合体、2)平均繊維幅2〜1000nmの微細繊維を主成分とするシート層の片面又は両面に、被覆層を介して硬化性樹脂層又はフィルム層が積層された複合体、3)平均繊維幅2〜1000nmの微細繊維を主成分とするシート層の片面又は両面に被覆層が積層された貼り合わせ用シート、であることを特徴とする。即ち、本発明の複合体は、1)シート層と、硬化性樹脂層又はフィルム層の2層から構成される複合体、2)シート層と、被覆層と、硬化性樹脂層又はフィルム層の3層から構成される複合体、3)シート層と被覆層の2層から構成される張り合わせ用シートである。
【0016】
硬化性樹脂層又はフィルム層は、シート層の片面又は両面に積層することができる。
図1は、硬化性樹脂層又はフィルム層が、被覆層を介してシート層の片面に積層されている場合を示す。
図2は、硬化性樹脂層又はフィルム層が、被覆層を介してシート層の両面に積層されている場合を示す。
【0017】
[シート層(不織布層)]
本発明におけるシート層は、平均繊維幅2〜1000nmの微細繊維を主成分とする。微細繊維は、平均繊維幅が2〜1000nmの微細繊維であればその種類は特に限定されず、微細セルロース繊維でもよいし、微細セルロース繊維以外の微細繊維でもよく、微細セルロース繊維と、微細セルロース繊維以外の微細繊維との混合物でもよい。好ましくは、微細繊維はセルロース繊維である。
【0018】
微細セルロース繊維の詳細については後記する。微細セルロース繊維以外の繊維としては、例えば、無機繊維、有機繊維、合成繊維等、半合成繊維、再生繊維が挙げられるが特に限定されない。無機繊維としては、例えば、ガラス繊維、岩石繊維、金属繊維等が挙げられるがこれらに限定されない。有機繊維としては、例えば、炭素繊維、キチン、キトサン等の天然物由来の繊維等が挙げられるがこれらに限定されない。合成繊維としては、例えば、ナイロン、ピニロン、ビニリデン、ポリエステル、ポリオレフィン(例えばポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリウレタン、アクリル、ポリ塩化ビニル、アラミド等が挙げられるがこれらに限定されない。半合成繊維としては、アセテート、トリアセテート、プロミックス等が挙げられるがこれらに限定されない。再生繊維としては、例えば、レーヨン、キュプラ、ポリノジックレーヨン、リヨセル、テンセル等が挙げられるがこれらに限定されない。微細セルロース繊維と微細セルロース繊維以外の微細繊維を混合して用いる場合、微細セルロース繊維以外の微細繊維は、必要に応じて化学的処理、解繊処理等の処理を施すことができる。微細セルロース繊維以外の微細繊維は、微細セルロース繊維と混合してから化学的処理、解繊処理等の処理を施すこともできるし、微細セルロース繊維以外の微細繊維に化学的処理、解繊処理等の処理を施してから微細セルロース繊維と混合することもできる。微細セルロース繊維以外の微細繊維を混合する場合、微細セルロース繊維と微細セルロース繊維以外の微細繊維の合計量における微細セルロース繊維以外の微細繊維の添加量は特に限定されないが、好ましくは50質量%以下である。上記の微細セルロース繊維以外の微細繊維の添加量は、より好ましくは40質量%以下であり、さらに好ましくは30質量%以下であり、特に好ましくは20質量%以下である。
【0019】
<微細セルロース繊維>
本発明においては、微細繊維として、セルロース原料を化学的処理及び解繊処理することによって得られる微細セルロース繊維を使用してもよい。
セルロース原料としては、製紙用パルプ、コットンリンターやコットンリントなどの綿系パルプ、麻、麦わら、パガスなどの非木材系パルプ、ホヤや海草などから単離されるセルロースなどが挙げられるが、特に限定されない。これらの中でも、入手のしやすさという点で、製紙用パルプが好ましいが、特に限定されない。製紙用パルプとしては、化学パルプ、半化学パルプ、機械パルプ、非木材パルプ、及び脱墨パルプが挙げられるが、特に限定されない。化学パルプとしては、広葉樹クラフトパルプ、針葉樹クラフトパルプ、サルファイトパルプ(SP)、ソーダパルプ(AP)等を挙げることができる。ここで広葉樹クラフトパルプとしては、晒クラフトパルプ(LBKP)、未晒クラフトパルプ(LUKP)、酸素漂白クラフトパルプ(LOKP)などが挙げられる。また針葉樹クラフトパルプとしては、晒クラフトパルプ(NBKP)、未晒クラフトパルプ(NUKP)、酸素漂白クラフトパルプ(NOKP)などが挙げられる。半化学パルプとしては、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等が挙げられる。機械パルプとしては、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等を挙げられる。非木材パルプとしては、楮、三椏、麻、ケナフ等を原料とする非木材パルプが挙げられる。脱墨パルプとしては、古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられる。これらの中でも、より入手しやすいことから、クラフトパルプ、脱墨パルプ、サルファイトパルプが好ましいが、特に限定されない。セルロース原料は1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
【0020】
微細セルロース繊維の(数平均)繊維幅は、2〜1000nmであり、より好ましくは数平均繊維幅2〜100nmである。微細セルロース繊維は、通常製紙用途で用いるパルプ繊維よりもはるかに細いセルロース繊維あるいは棒状粒子でもよい。微細セルロース繊維は結晶部分を含むセルロース分子の集合体であり、その結晶構造はI型(平行鎖)である。微細セルロース繊維の数平均繊維幅は電子顕微鏡で観察して測定することができる。微細セルロース繊維の平均繊維幅が2nm未満であると、セルロース分子として水に溶解しているため、微細セルロース繊維としての物性(強度や剛性、寸法安定性)が発現しなくなる。ここで、微細セルロース繊維がI型結晶構造をとっていることは、回折プロファイルにおいて、2θ=14〜17°付近と2θ=22〜23°付近の2箇所の位置に典型的なピークをもつことから同定することができる。ここで言う回折プロファイルとは、グラファイトで単色化したCuKα(λ=1.5418Å)を用いた広角X線回折写真より得られる回折プロファイルである。また、微細セルロース繊維の電子顕微鏡観察による繊維幅の測定は以下のようにして行う。濃度0.05〜0.1質量%の微細セルロース繊維の水系懸濁液を調製し、該懸濁液を親水化処理したカーボン膜被覆グリッド上にキャストしてTEM観察用試料とする。幅の広い繊維を含む場合には、ガラス上にキャストした表面のSEM像を観察してもよい。構成する繊維の幅に応じて1000倍、5000倍、10000倍あるいは50000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡画像による観察を行う。但し、試料、観察条件や倍率は下記の条件を満たすように調整する。
【0021】
(1)観察画像内の任意箇所に一本の直線Xを引き、該直線Xに対し、20本以上の繊維が交差する。
(2)同じ画像内で該直線と垂直に交差する直線Yを引き、該直線Yに対し、20本以上の繊維が交差する。
【0022】
上記条件を満足する観察画像に対し、直線X、直線Yと交錯する繊維の幅を目視で読み取る。こうして少なくとも重なっていない表面部分の画像を3組以上観察し、各々の画像に対して、直線X、直線Yと交錯する繊維の幅を読み取る。このように少なくとも20本×2×3=120本の繊維幅を読み取る。微細セルロース繊維の平均繊維幅はこのように読み取った繊維幅の平均値である。
【0023】
微細セルロース繊維の繊維長は特に限定されないが、1〜1000μmが好ましく、5〜800μmがさらに好ましく、10〜600μmが特に好ましい。繊維長が1μm未満になると、微細繊維シートを形成し難くなる。1000μmを超えると微細繊維のスラリー粘度が非常に高くなり、扱いづらくなる。繊維長は、TEM、SEM、AFMによる画像解析より求めることができる。
【0024】
<化学的処理>
セルロース原料又はその他の繊維原料(無機繊維、有機繊維、合成繊維等、半合成繊維、再生繊維など)の化学的処理の方法は、微細繊維を得ることができる方法である限り特に限定されない。処理の方法は、例えば、オゾン処理、TEMPO酸化処理、酵素処理、又はセルロース又は繊維原料中の官能基と共有結合を形成し得る化合物による処理などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0025】
オゾン処理の一例としては、特開2010−254726号公報に記載されている方法を挙げることができるが特に限定されない。具体的には、繊維をオゾン処理した後、水に分散し、得られた繊維の水系分散液を粉砕処理する。
【0026】
TEMPO酸化処理の一例としては、Biomacromolecules 8、2485−2491、2007(Saitoら)に記載されている方法を挙げることができるが特に限定されない。
【0027】
酵素処理の一例としては、国際公開WO2013/176033(WO2013/176033の内容は全て本明細書中に引用される)に記載の方法を挙げることができるが特に限定されない。具体的には、繊維原料を、少なくとも酵素のEG活性とCBHI活性の比が0.06以上の条件下で、酵素で処理する方法である。
【0028】
セルロース又は繊維原料中の官能基と共有結合を形成し得る化合物による処理としては、以下の方法が挙げられるが、特に限定されない。
(1)特開2011−162608に記載されている四級アンモニウム基を有する化合物による処理;
(2)特開2013−136859(特開2013−136859の内容は全て本明細書中に引用される)に記載されているカルボン酸系化合物を使用する方法;並びに
(3)国際公開WO2013/73652(WO2013/73652の内容は全て本明細書中に引用される)に記載されている「構造中にリン原子を含有するオキソ酸、ポリオキソ酸又はそれらの塩から選ばれる少なくとも1種の化合物」を使用する方法:
【0029】
特開2011−162608号公報に記載されている四級アンモニウム基を有する化合物による処理は、繊維中の水酸基と四級アンモニウム基を有するカチオン化剤とを反応させて、該繊維をカチオン変性する方法である。
【0030】
特開2013−136859に記載されているカルボン酸系化合物を使用する方法は以下の通り行うことができる。2つ以上のカルボキシ基を有する化合物、2つ以上のカルボキシ基を有する化合物の酸無水物、及びそれらの誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種のカルボン酸系化合物により、繊維原料を処理して、繊維原料にカルボキシ基を導入する。次いで、カルボキシ基を導入した繊維原料をアルカリ溶液で処理する。
【0031】
国際公開WO2013/73652に記載されている構造中にリン原子を含有するオキソ酸、ポリオキソ酸又はそれらの塩から選ばれる少なくとも1種の化合物(以下化合物Aと称す)により繊維原料を処理する方法は、以下の方法で行うことができる。即ち、繊維原料に化合物Aの粉末や水溶液を混合する方法、又は繊維原料のスラリーに化合物Aの水溶液を添加する方法等である。化合物Aはリン酸、ポリリン酸、亜リン酸、ホスホン酸、ポリホスホン酸あるいはこれらのエステルが挙げられるが特に限定されない。また、これらは塩の形でもよい。リン酸基を有する化合物としては、リン酸、リン酸のナトリウム塩、リン酸のカリウム塩、リン酸のアンモニウム塩などが挙げられるが特に限定されない。リン酸のナトリウム塩としては、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム及びメタリン酸ナトリウムなどが挙げられる。リン酸のカリウム塩としては、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸カリウム及びメタリン酸カリウムなどが挙げられる。リン酸のアンモニウム塩としては、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、メタリン酸アンモニウムなどが挙げられる。
【0032】
<解繊処理>
セルロース原料又はその他の繊維原料(無機繊維、有機繊維、合成繊維等、半合成繊維、再生繊維など)は解繊処理に供することにより微細化して、数平均繊維幅が2〜1000nmである微細繊維を得ることができる。解繊処理工程では、解繊処理装置を用いて、前記の化学的処理で得られた原料を解繊処理して、微細繊維分散液を得ることができる。
【0033】
解繊処理装置としては、湿式粉砕する装置等を適宜使用することができる。例えばグラインダー(石臼型粉砕機)、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、高圧衝突型粉砕機、ボールミル、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナー、二軸混練機、振動ミル、高速回転下でのホモミキサー、超音波分散機、ビーターなどである。但し、解繊処理装置は、上記に限定されるものではない。
【0034】
本発明のシート層は、微細繊維を主成分とする。シート層に用いるシートとしては、例えば、不織布、織布、紙、フィルム等、特に限定なく用いることができる。シート層に含まれる微細繊維の含有量は、シート層の乾燥重量に対して50質量%以上が好ましく、60質量%以上がさらに好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が特に好ましい。シート層の微細繊維の含有量が高いほど強度の高いシートを得ることができる。
【0035】
<シート層の物性>
本発明におけるシート層の密度は、特に限定されないが、好ましくは0.90g/cm
3以上であり、より好ましくは1.00g/cm
3以上であり、さらに好ましくは1.10g/cm
3以上である。シート層の密度の上限は、特に限定されないが、一般的には、1.60g/cm
3以下である。
【0036】
本発明におけるシート層の厚みは特に限定されず、一般的には1〜300μm程度であり、好ましくは2〜150μmであり、より好ましくは5〜100μmであり、さらに好ましくは5〜50μmである。
なお、シート層は、目的に応じて複数のシート層を積層したものでもよい。複数のシート層を使用する場合は、複数のシート層の合計の厚み並びに合計の密度が、上記した範囲内であることが好ましい。
【0037】
[シート層の形成]
シート層の形成に際して、微細繊維を含む懸濁液を調製する。この懸濁液には、親水性高分子を添加してもよい。親水性高分子としては、例えば、ポリエチレングリコール、セルロース誘導体(ヒドロキシエチルセルロース,カルボキシエチルセルロース,カルボキシメチルセルロース等)、カゼイン、デキストリン、澱粉、変性澱粉、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール(アセトアセチル化ポリビニルアルコール等)、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸塩類、ポリアクリルアミド、アクリル酸アルキルエステル共重合体、ウレタン系共重合体などを挙げることができるが、特に限定されない。
【0038】
また親水性高分子の代わりに親水性の低分子化合物を用いることもできる。親水性の低分子化合物としては、グリセリン、エリトリトール、キシリトール、ソルビトール、ガラクチトール、マンニトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコールなどを挙げることができるが、特に限定されない。親水性高分子、又は親水性の低分子化合物を添加する場合の添加量は、微細繊維の固形分100質量部に対し好ましくは1から200質量部、より好ましくは1から150質量部、さらに好ましくは2から120質量部、特に好ましくは3から100質量部であるが、特に限定されない。
【0039】
基材に塗工する微細繊維を含有する懸濁液は、微細繊維と分散媒とを含有する液である。分散媒としては、水、有機溶剤を使用することができるが、取り扱い性やコストの点から、水のみが好ましいが、特には限定されない。有機溶剤を使用する場合でも水と併用することが好ましいが、特には限定されない。水と併用する有機溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、アセテート系溶剤等の極性溶剤が好ましいが、特にこれらに限定されない。アルコール系溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられる。ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。エーテル系溶剤としては、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等が挙げられる。アセテート系溶剤としては、酢酸エチル等が挙げられる。
【0040】
懸濁液に含まれる微細繊維の固形分濃度は、特に限定されないが、0.1〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましく、0.5〜10質量%がさらに好ましい。希釈後の固形分濃度が前記下限値以上であれば、解繊処理の効率が向上し、前記上限値以下であれば、解繊処理装置内での閉塞を防止できる。
【0041】
シート層は、微細繊維を含有する懸濁液を基材上に塗工することによって調製することができる。基材としては、フィルム、織布、不織布に代表されるシート状のもの、板又は円筒体を使用することができるが、特にこれらに限定されない。基材の材質としては、例えば、樹脂、金属又は紙などが使用され、より容易に微細繊維含有シートを製造できる点では、樹脂又は紙が好ましいが、特にこれらに限定されない。樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、アクリル樹脂等が挙げられるが、特に限定されない。金属としては、アルミニウム、ステンレス、亜鉛、鉄、真鍮等が挙げられるが、特に限定されない。紙基材としては、例えば、片艶紙、上質紙、中質紙、コピー用紙、アート紙、コート紙、クラフト紙、板紙、白板紙、新聞用紙、更紙等の紙基材が挙げられるが、特に限定されない。
【0042】
微細繊維を含有する懸濁液を塗工する塗工機としては、例えば、ロールコーター、グラビアコーター、ダイコーター、カーテンコーター、エアドクターコーター等を使用することができるが特に限定されない。厚みをより均一にできることから、ダイコーター、カーテンコーター、スプレーコーターが好ましく、ダイコーターがより好ましいが、特にこれらに限定されない。
【0043】
塗工温度は特に限定されないが、10〜80℃であることが好ましく、10〜60℃であることがさらに好ましい。塗工温度が前記下限値以上であれば、微細繊維含有懸濁液を容易に塗工でき、前記上限値以下であれば、塗工中の分散媒の揮発を抑制できる。
【0044】
基材上に塗工した微細繊維を含有する懸濁液を乾燥することによって不織布層を形成する。乾燥方法としては、特に限定されないが、非接触の乾燥方法でも、シートを拘束しながら乾燥する方法の何れでもよく、これらを組み合わせてもよい。
【0045】
非接触の乾燥方法としては、特に限定されないが、熱風、赤外線、遠赤外線又は近赤外線により加熱して乾燥する方法(加熱乾燥法)、真空にして乾燥する方法(真空乾燥法)を適用することができる。加熱乾燥法と真空乾燥法を組み合わせてもよいが、通常は、加熱乾燥法が適用される。赤外線、遠赤外線又は近赤外線による乾燥は、赤外線装置、遠赤外線装置又は近赤外線装置を用いて行うことができるが、特に限定されない。加熱乾燥法における加熱温度は特に限定されないが、40〜120℃とすることが好ましく、40〜105℃とすることがより好ましい。加熱温度を前記下限値以上とすれば、分散媒を速やかに揮発させることができ、前記上限値以下であれば、加熱に要するコストの抑制及び微細繊維の熱による変色を抑制できる。
【0046】
[被覆層(易接着性層)]
被覆層を構成する成分は、特に限定されず、無機成分と有機成分のハイブリッド材、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などを用いることができる。前記樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、等が挙げられる。被覆層を構成する成分は、無機成分と有機成分のハイブリッド材を用いることが好ましい。前記、無機成分と有機成分のハイブリッド材、又は樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。無機成分と有機成分のハイブリッド材と樹脂を併用することもできる。また、被覆層として、粘着剤、粘着シートなどを用いることもできる。
【0047】
無機成分と有機成分のハイブリッド材としては、例えば、被覆層がケイ素骨格を有する有機成分と無機成分の複合体が挙げられる。ケイ素骨格を有する有機成分と無機成分のハイブリッド材としては、例えば、シルセスキオキサンなどが挙げられる。
【0048】
シルセスキオキサンは、(RSiO
3/2)nで表される構造を有するネットワーク型ポリマー又は多面体クラスターである(式中、Rは有機基を示す)。Rに反応性置換基を導入すれば、この反応性置換基を利用して有機成分と無機成分のハイブリッド材の硬化物を作製することができる。シルセスキオキサンの構造としては、ランダム型構造、完全カゴ型構造、不完全カゴ型構造、ハシゴ型構造などが知られている。シルセスキオキサンとしては、荒川化学工業社製のコンポセランSQ100シリーズ、東亜合成株式会社製の光硬化型SQシリーズ、小西化学工業株式会社製のポリシルセスキオキサンSRシリーズなどを使用することができるが特に限定されない。
【0049】
無機成分と有機成分のハイブリッド材を構成する有機成分としては、メチル基、メルカプト基、メタクリル基、アクリロイル基、ビニル基、アミノ基を有する成分が挙げられ、少なくとも1種類以上の成分を含む。具体的な有機成分としては、アミンなどが挙げられる。
【0050】
前記被覆層を構成する成分を用いることにより、シート層と、硬化性樹脂層又はフィルム層(1:シート層と硬化性樹脂層、2:シート層とフィルム層)の密着性の高い複合体を製造することができる。
【0051】
前記無機成分と有機成分のハイブリッド材に含まれる有機成分は、硬化性樹脂層又はフィルム層と接着し易く、一方、ハイブリッド材に含まれる無機成分はシート層と接着し易いため、シート層と、硬化性樹脂層又はフィルム層の接着性が良好となる。無機成分と有機成分のハイブリッド材を被覆層の成分として用いることにより、強度が高く、かつ割れにくい複合体を製造することが可能となる。
【0052】
シート層と被覆層を接着させる方法としては、特に制限されないが、塗布、貼り合わせなどの方法が挙げれる。塗布によりシート層と被覆層を接着させる場合、前記被覆層を構成する成分を含む溶液をシート層に塗工して、必要に応じ硬化させることによって、被覆層を形成させることができる。硬化方法としては、例えば、熱により硬化させる方法、放射線照射により硬化される方法等が挙げられるが、これらに制限されない。放射線としては、赤外線、可視光線、紫外線等が挙げられるが、これらに制限されない。熱により硬化させる方法の場合、例えば、熱重合開始剤を用いても良く、硬化することができる方法であれば特に制限なく用いることができる。また、粘着剤、粘着剤と剥離シートから構成される粘着剤(使用時に粘着剤をカバーしている剥離シートを剥がし粘着剤を使用する。(例)商品名:ノンキャリアテープ)、粘着シートなどを用いてシート層と被覆層を張り合わせることもできる。
【0053】
本発明における被覆層の厚みは特に限定されず、一般的には0.1〜50μm程度であり、好ましくは0.1〜30μmであり、より好ましくは0.2〜20μmであり、さらに好ましくは0.5〜10μmである。
被覆層は、2層以上とすることもできる。複数の被覆層とする場合は、複数の被覆層の合計の厚みが、上記の範囲内であることが好ましい。
【0054】
[硬化性樹脂層又はフィルム層(樹脂層)]
硬化性樹脂層又はフィルム層を構成する成分としては、特に限定されないが、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂などを用いることができる。硬化性樹脂層又はフィルム層を構成する成分は、湿度、水、熱、ガスなどに対してバリア能を有する成分を用いることが望ましい。硬化性樹脂層又はフィルム層は、少なくとも2層以上積層することもできる。
【0055】
熱可塑性樹脂としては、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、芳香族ポリカーボネート系樹脂、脂肪族ポリカーボネート系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリオレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリスルホン系樹脂、非晶性フッ素系樹脂等が挙げられるが特に制限されない。
【0056】
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、オキセタン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、珪素樹脂、ポリウレタン樹脂、アリルエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂等が挙げられるが特に制限されない。
【0057】
光硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、オキセタン樹脂等の前駆体が挙げられるが、これらに制限されない。
【0058】
樹脂は、単独で用いても良く、2種類以上の異なる樹脂を用いても良い。
なお、上記の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及び光硬化性樹脂のうち、光硬化性樹脂が最も好ましい。
【0059】
熱硬化性樹脂の硬化剤としては、例えば、多官能アミン、ポリアミド、酸無水物、フェノール樹脂等が挙げられるが特にこれらに制限されない。また、熱硬化性樹脂の硬化触媒としては、例えば、イミダゾール等が挙げられるが特にこれらに制限されない。前記硬化剤、硬化触媒は、単独で用いることもできるし、2種類以上を用いることもできる。
【0060】
シート層と硬化性樹脂層又はフィルム層を接着させる方法、及びシート層と硬化性樹脂層又はフィルム層を被覆層を介して接着させる方法としては、特に制限されないが、塗布、貼り合わせなどの方法が挙げれる。塗布によりシート層に硬化性樹脂層又はフィルム層を接着させる場合、樹脂前駆体及び硬化剤を含む溶液をシート層に塗工して、硬化させることによって、硬化性樹脂層又はフィルム層を形成させることができる。硬化方法としては、例えば、熱により硬化させる方法、放射線照射により硬化される方法等が挙げられるが、これらに制限されない。放射線としては、赤外線、可視光線、紫外線、挙げられるが、これらに制限されない。熱により硬化させる方法の場合、例えば、熱重合開始剤を用いても良く、硬化することができる方法であれば特に制限なく用いることができる。
また、塗布により被覆層を介してシート層に硬化性樹脂層又はフィルム層を接着させる場合、シート層に被覆層を塗工した後、被覆層に上記と同様の方法により硬化性樹脂層又はフィルム層を形成させることができる。
被覆層として、粘着剤、粘着剤と剥離シートから構成される粘着剤(使用時に粘着剤をカバーしている剥離シートを剥がし粘着剤を使用する。(例)商品名:ノンキャリアテープ)、粘着シートなどを用いてシート層と硬化性樹脂層又はフィルム層を貼合わせることもできる。
【0061】
本発明における硬化性樹脂層又はフィルム層の厚みは特に限定されず、一般的には0.1〜100μm程度であり、好ましくは0.2〜50μm、より好ましくは0.5〜20μmであり、さらに好ましくは1〜10μmである。
硬化性樹脂層又はフィルム層は、目的に応じて複数の硬化性樹脂層又はフィルム層を積層したものでもよい。複数の硬化性樹脂層又はフィルム層を使用する場合は、複数の硬化性樹脂層又はフィルム層の合計の厚みが、上記の範囲内であることが好ましい。
【0062】
上記の方法によりシート層に例えば、水に対してバリア能を有する硬化性樹脂層又はフィルム層を積層することにより、シート層の水に対するバリア能を向上させることが可能となる。
【0063】
[複合体(不織布と樹脂との複合体)]
本発明の複合体は、1)シート層に硬化性樹脂層又はフィルム層が積層された複合体(2層)、2)シート層と、硬化性樹脂層又はフィルム層が、被覆層を介して積層された複合体(3層)、3)シート層に被覆層が積層された張り合わせ用シート(2層)である。
1)シート層に硬化性樹脂層又はフィルム層が積層された複合体(2層)は、高強度で高透明であるという特徴を有する。2)シート層と、硬化性樹脂層又はフィルム層が、被覆層を介して積層された複合体(3層)は、高強度で高透明であり、シート層と、硬化性樹脂層又はフィルム層の密着性が高いという特徴を有する。3)シート層に被覆層が積層された張り合わせ用シート(2層)は、高強度で高透明であり、シート層と被覆層の密着性が高いという特徴を有する。
前記複合体、及び張り合わせ用シートの各層間の密着性は、以下の実験例に記載したJIS規格K5400に準拠したクロスカット試験において100マス中のはく離数が10以下であることが好ましく、より好ましくは5以下であり、さらに好ましくは3以下である。
また、本発明の複合体、及び張り合わせ用シートは透明性が高いことを特徴とする。本発明の複合体の全光線透過率は、好ましくは70%以上であり、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは85%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。全光線透過率の上限は特に限定されず、100%でもよいし、99%以下でもよい。本発明の複合体のヘーズは、好ましくは10%以下であり、より好ましくは5%以下であり、さらに好ましくは3%以下である。
【0064】
[複合体の用途(不織布樹脂複合体の用途)]
本発明の複合体、及び張り合わせ用シートは、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、リアプロジェクションテレビ等の画像表示装置等に用いることができる。さらに本発明の複合体は、照明装置、投影装置に用いることもできる。さらに本発明の複合体、及び張り合わせ用シートは、タッチパネルや太陽電池(シリコン系太陽電池、色素増感太陽電池など)の配線基板や前面板、カラーフィルター基板等に用いることができる。基板としての用途において、バリア膜、ITO、TFT等と積層してもよい。
【0065】
以下の実験例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実験例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0066】
(実験例1)
(1)シート層(A)(不織布層(A)ということもある。)の成膜
シートとして不織布を用いて下記の方法でシート層(不織布層)を作製した。
リン酸二水素ナトリウム二水和物265g、及びリン酸水素二ナトリウム197gを538gの水に溶解させ、リン酸系化合物の水溶液(以下、「リン酸化試薬」という。)を得た。
【0067】
針葉樹晒クラフトパルプ(王子製紙株式会社製、水分50質量%、JIS P8121に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)700ml)を含水率80質量%になるようイオン交換水で希釈し、パルプ懸濁液を得た。このパルプ懸濁液500gに前記リン酸化試薬210gを加え、105℃の送風乾燥機で時折混練しながら質量が恒量となるまで乾燥させた。次いで、150℃の送風乾燥機で時折混練しながら1時間加熱処理して、セルロースにリン酸基を導入した。
【0068】
次いで、リン酸基を導入したセルロースに5000mlのイオン交換水を加え、攪拌洗浄後、脱水した。脱水後のパルプを5000mlのイオン交換水で希釈し、攪拌しながら、1Nの水酸化ナトリウム水溶液をpHが12〜13になるまで少しずつ添加して、パルプ懸濁液を得た。その後、このパルプ懸濁液を脱水し、5000mlのイオン交換水を加えて洗浄を行った。この脱水洗浄をさらに1回繰り返した。
【0069】
洗浄脱水後に得られたパルプにイオン交換水を添加して、1.0質量%のパルプ懸濁液にした。このパルプ懸濁液を、高圧ホモジナイザー(NiroSoavi社製「Panda Plus 2000」)で、操作圧力1200barにて5回パスさせ、微細繊維状セルロース懸濁液(1)を得た。さらに、湿式微粒化装置(スギノマシン社製「アルティマイザー」)で245MPaの圧力にて5回パスさせ微細繊維状セルロース懸濁液(2)を得た。微細繊維状セルロースの平均繊維幅は、4.2nmであった。
【0070】
微細繊維状セルロース懸濁液(2)にポリエチレングリコール(和光純薬社製:分子量4000000)を微細繊維状セルロース100質量部に対し、15質量部になるように添加した。なお、固形分濃度が0.5質量%となるよう濃度調製を行った。不織布の仕上がり坪量が37.5g/m
2になるように懸濁液を計量して、市販のアクリル板に展開し50℃のオーブンにて乾燥した。なお、所定の坪量となるようアクリル板上には堰止用の板を配置し、得られる不織布が四角形になるようにした。以上の手順により、不織布層(A)を得た(不織布層に含まれる微細繊維状セルロースの含有量は、86.9質量%)。得られた不織布層(A)の厚さは25μm、密度は1.49g/cm
3であった。
【0071】
(2)被覆層(B)の成膜
ポリエステル系樹脂であるUVコートアンカー剤(荒川化学工業社製アラコートAP2510、固形分30質量%)76重量部、硬化剤(荒川化学工業社製アラコートCL2502、固形分20質量%)10重量部及びメチルエチルケトン14重量部を混合し、易接着性塗工液を得た。次いで、不織布層(A)の片面に易接着性塗工液をメイヤーバーを用いて塗工した。その後、100℃で3分間乾燥して易接着性塗工液を硬化し、厚さ1μmの被覆層(B)を成膜した。以上の手順により、不織布層(A)と被覆層(B)から構成される複合体を得た。
【0072】
(3)樹脂層(C)の成膜
アクリル樹脂組成物(荒川化学工業社製「ビームセット381」)80重量部、及びメチルエチルケトン20重量部を混合して、硬化性樹脂前駆体溶液を得た。不織布層(A)・被覆層(B)複合体の被覆層(B)の上に上記の硬化性樹脂前駆体溶液をメイヤーバーを用いて塗工した。次いでUVコンベア装置(アイグラフィックス社製「ECS−4011GX」)を用いて300mJ/cm
2の紫外線を照射して、硬化性樹脂前駆体溶液を硬化し、厚さ2.5μmの樹脂層(C)を成膜した。以上の手順により、不織布層(A)の片面に被覆層(B)を介して樹脂層(C)が積層された複合体を得た。
【0073】
(実験例2)
(1)被覆層(B)の成膜
実験例1の(2)において、不織布層(A)の片面に被覆層(B)を成膜した後、反対側の面にも同様の手順で厚さ1.0μmの被覆層(B)を成膜し、不織布層(A)と被覆層(B)から構成される複合体を得た。
【0074】
(2)樹脂層(C)の成膜
不織布層(A)と被覆層(B)から構成される複合体の片面に実験例1の(3)と同様の手順で2.5μmの樹脂層(C)を成膜した。さらに、反対側の面にも同様の手順で厚さ2.5μmの樹脂層(C)を成膜した。以上の手順により、不織布層(A)の両面に被覆層(B)を介して樹脂層(C)が積層された複合体を得た。
【0075】
(実験例3)
ウレタンアクリレート樹脂組成物(荒川化学工業社製「ビームセット575CB」)50重量部、及びメチルエチルケトン50重量部を混合して、硬化性樹脂前駆体溶液を得た。 実験例2の(1)において得た不織布層(A)と被覆層(B)から構成される複合体の片面に、上記の硬化性樹脂前駆体溶液をメイヤーバーを用いて塗工した。次いで80℃で3分間乾燥した後、UVコンベア装置(アイグラフィックス社製「ECS−4011GX」)を用いて300mJ/cm
2の紫外線を照射して、硬化性樹脂前駆体溶液を硬化し、厚さ2.5μmの樹脂層(C)を成膜した。さらに、反対側の面にも同様の手順で厚さ2.5μmの樹脂層(C)を成膜した。以上の手順により、不織布層(A)の両面に被覆層(B)を介して樹脂層(C)が積層された複合体を得た。
【0076】
(実験例4)
アクリル樹脂組成物(アデカ社製「アデカオプトマー HC500−60」)40重量部、及びメチルエチルケトン60重量部を混合して、硬化性樹脂前駆体溶液を得た。実施例2の(1)において得た不織布層(A)と被覆層(B)から構成される複合体の片面に、上記の硬化性樹脂前駆体溶液をメイヤーバーを用いて塗工した。次いで100℃で2分間乾燥した後、UVコンベア装置(アイグラフィックス社製「ECS−4011GX」)を用いて300mJ/cm
2の紫外線を照射して、硬化性樹脂前駆体溶液を硬化し、厚さ2.5μmの樹脂層(C)を成膜した。さらに、反対側の面にも同様の手順で厚さ2.5μmの樹脂層(C)を成膜した。以上の手順により、不織布層(A)の両面に被覆層(B)を介して樹脂層(C)が積層された複合体を得た。
【0077】
(実験例5)
実験例4において、不織布層(A)の厚さを50μm(密度1.47g/cm
3)とした。上記以外は実験例4と同様の手順で、不織布層(A)の両面に被覆層(B)を介して樹脂層(C)が積層された複合体を得た。
【0078】
(実験例6)
実験例4において、不織布層(A)の厚さを75μm(密度1.46g/cm
3)とした。上記以外は実験例4と同様の手順で、不織布層(A)の両面に被覆層(B)を介して樹脂層(C)が積層された複合体を得た。
【0079】
(実験例7)
実験例6において、不織布層(A)と被覆層(B)から構成される複合体の両面に成膜する樹脂層(C)の厚さを10μmとした。上記以外は実験例6と同様の手順で、不織布層(A)の両面に被覆層(B)を介して樹脂層(C)が積層された複合体を得た。
【0080】
(実験例8)
実験例6において、不織布層(A)と被覆層(B)から構成される複合体の両面に成膜する樹脂層(C)の厚さを20μmとした。上記以外は実験例6と同様の手順で、不織布層(A)の両面に被覆層(B)を介して樹脂層(C)が積層された複合体を得た。
【0081】
(実験例9)
(1)被覆層(B)の成膜
シルセスキオキサン(荒川化学工業社製「コンポセランSQ107」)26重量部、硬化剤(荒川化学工業社製「HBSQ201」)14重量部、イソプロピルアルコール60重量部を混合し、接着性塗工液を得た。次いで、実験例1の(1)で得られた不織布層(A)の片面に接着性塗工液をメイヤーバーを用いて塗工した。その後、100℃で3分間乾燥した後、UVコンベア装置(アイグラフィックス社製「ECS−4011GX」)を用いて300mJ/cm
2の紫外線を照射して、接着性塗工液を硬化し、厚さ2.5μmの被覆層(B)を成膜した。さらに、反対側の面にも同様の手順で厚さ2.5μmの被覆層を成膜した。以上の手順により、不織布層(A)と被覆層(B)から構成される複合体を得た。
【0082】
(2)樹脂層(C)の成膜
アクリル樹脂組成物(アデカ社製「アデカオプトマー HC500−60」)40重量部、及びメチルエチルケトン60重量部を混合して、硬化性樹脂前駆体溶液を得た。不織布層(A)と被覆層(B)から構成される複合体の片面に、上記の硬化性樹脂前駆体溶液をメイヤーバーを用いて塗工した。次いで100℃で2分間乾燥した後、UVコンベア装置(アイグラフィックス社製「ECS−4011GX」)を用いて300mJ/cm
2の紫外線を照射して、硬化性樹脂前駆体溶液を硬化し、厚さ2.5μmの樹脂層(C)を成膜した。さらに、反対側の面にも同様の手順で厚さ2.5μmの樹脂層(C)を成膜した。以上の手順により、不織布層(A)の両面に被覆層(B)を介して樹脂層(C)が積層された複合体を得た。
【0083】
(実験例10)
実験例9において、不織布層(A)の両面に成膜する被覆層(B)の厚さを5.0μmとし、また不織布層(A)と被覆層(B)から構成される複合体の両面に成膜する樹脂層(C)の厚さを10μmとした。上記以外は実験例9と同様の手順で、不織布層(A)の両面に被覆層(B)を介して樹脂層(C)が積層された複合体を得た。
【0084】
(実験例11)
実験例10において、不織布層(A)の厚さを130μm(密度1.42g/cm
3)とした。上記以外は実験例10と同様の手順で、不織布層(A)の両面に被覆層(B)を介して樹脂層(C)が積層された複合体を得た。
【0085】
(実験例12)
実験例11において、不織布層(A)と被覆層(B)から構成される複合体の両面に成膜する樹脂層(C)の厚さを40μmとした。なお、樹脂層(C)の成膜においては、硬化性樹脂前駆体溶液の塗工量を増やし、所定の膜厚とするため、フィルムアプリケーターを用いて塗工を行った。上記以外は実験例11と同様の手順で、不織布層(A)の両面に被覆層(B)を介して樹脂層(C)が積層された複合体を得た。
【0086】
(実験例13)
実験例12において、不織布層(A)の両面に成膜する被覆層(B)の厚さ25μmとした。なお、被覆層(B)、及び樹脂層(C)の成膜においては、易接着性塗工液、及び硬化性樹脂前駆体溶液の塗工量を増やし、所定の膜厚とするため、フィルムアプリケーターを用いて塗工を行った。上記以外は実験例12と同様の手順で、不織布層(A)の両面に被覆層(B)を介して樹脂層(C)が積層された複合体を得た。
【0087】
(実験例14)
実験例1の(1)で得られた不織布層(A)の片面に、実験例1の(3)と同様の手順で2.5μmの樹脂層(C)を成膜した。さらに、反対側の面にも同様の手順で厚さ2.5μmの樹脂層(C)を成膜した。以上の手順により、不織布層(A)の両面に樹脂層(C)が直接積層された複合体を得た。
【0088】
(実験例15)
実験例1の(1)で得られた不織布層(A)の片面に、アクリル樹脂組成物(アデカ社製「アデカオプトマー HC500−60」)40重量部、及びメチルエチルケトン60重量部を混合して得た硬化性樹脂前駆体溶液をメイヤーバーを用いて塗工した。次いで100℃で2分間乾燥した後、UVコンベア装置(アイグラフィックス社製「ECS−4011GX」)を用いて300mJ/cm
2の紫外線を照射して、硬化性樹脂前駆体溶液を硬化し、厚さ2.5μmの樹脂層(C)を成膜した。さらに、反対側の面にも同様の手順で厚さ2.5μmの樹脂層(C)を成膜した。以上の手順により、不織布層(A)の両面に樹脂層(C)が直接積層された複合体を得た。
【0089】
(実験例16)
実験例1の(1)において、ポリエチレングリコール(和光純薬社製:分子量4000000)を微細繊維状セルロース100質量部に対し、150質量部になるように添加した以外は実験例1の(1)と同様にして不織布層(A)を得た(不織布層に含まれる微細繊維状セルロースの含有量は、40質量%)。次いで、実験例1の(3)と同様の手順で2.5μmの樹脂層(C)を成膜した。さらに、反対側の面にも同様の手順で厚さ2.5μmの樹脂層(C)を成膜した。以上の手順により、不織布層(A)の両面に樹脂層(C)が直接積層された複合体を得た。
【0090】
<評価方法>
前記の実験例で作製した複合体について以下の評価方法に従って評価した。上記の評価結果を表1に示す。
【0091】
(1)密着性の評価(クロスカット試験)
JIS規格K5400に準拠し、複合体の面に1mm
2のクロスカットを100個入れ、セロハンテープ(ニチバン社製)をその上に貼り付け、1.5kg/cm
2の荷重で押し付けた後、90°方向にはく離した。はく離したマス数により、不織布層(A)と樹脂層(C)の密着性を評価した。
(2)複合体の全光線透過率
JIS規格K7105に準拠し、ヘーズメータ(スガ試験機社製「HM−150」)を用いてC光による全光線透過率を測定した。
(3)複合体のヘーズ
JIS規格K7136に準拠し、ヘーズメータ(スガ試験機社製「HM−150」)を用いてC光によるヘーズ値を測定した。
(4)引張弾性率
JIS規格P8113に準拠し、引張試験機(L&W社製「フラクチャータフネステスターSE−064」)を用いて引張弾性率を測定した。
【0092】
【表1】
【0093】
表1から明らかなように、不織布層(A)に被覆層(B)を介して樹脂層(C)を積層した実験例1〜13においては、不織布層(A)と樹脂層(C)の密着性が高く高透明(全光線透過率が高く、ヘーズが低い)な複合体が得られた。また、微細繊維状セルロースの含有量が86.9質量%である不織布層(A)に樹脂層(C)を直接積層した実験例(実験例14及び実験例15)では、微細繊維状セルロースの含有量が40質量%である不織布層(A)に樹脂層(C)を直接積層した実験例(実験例16)と比較し、高強度で高透明な複合体が得られた。
【0094】
(実験例17)
実験例1において、不織布層(A)に被覆層(B)を成膜し、樹脂層(C)を成膜しない複合体を作製した。すなわち、不織布層(A)と被覆層(B)の2層から構成される張り合わせ用シート(複合体)を作製した。不織布層(A)と被覆層(B)の密着性について評価した。それ以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
【0095】
(実験例18)
実験例17において、不織布層の片面に被覆層を成膜した後、不織布層の反対側の面にも同様の手順で厚さ1.0μmの被覆層を成膜した以外は全て実験例17と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
【0096】
【表2】
表2から明らかなように、不織布層(シート層)に被覆層を積層した張り合わせ用シート(実験例17及び18)は、不織布層と被覆層の密着性が高く高透明であった。
【0097】
(実験例19)
実験例1で作製した複合体の割れ易さについて下記の方法で評価した(以下、「割れ性の評価」という。)。結果を表3に示す。
【0098】
<割れ性の評価>
複合体(縦10cm x 横10cm)を手で折り曲げ、不織布複合体に亀裂が生じるかかどうかを目視で下記の基準で評価した。
○:亀裂が生じなかった。
×:亀裂が生じた
【0099】
(実験例20)
実験例2で作製した複合体の割れ易さについて実験例19と同様の方法で評価した。結果を表3に示す。
【0100】
(実験例21)
実験例1において、被覆層としてポリエステル系樹脂の代わりにシルセスキオキサン(荒川化学工業社製「コンポセランSQ107」)を用いた以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。作製した複合体の割れ易さについて実験例19と同様の方法で評価した。結果を表3に示す。
【0101】
(実験例22)
実験例2において、被覆層としてポリエステル系樹脂の代わりにシルセスキオキサン(荒川化学工業社製「コンポセランSQ107」)を用いた以外は全て実験例2と同様の方法で試験した。作製した複合体の割れ易さについて実験例19と同様の方法で評価した。結果を表3に示す。
【0102】
【表3】
【0103】
被覆層としてシルセスオキサンを用いた複合体(実験例21、22)は、被覆層としてポリエステル系樹脂を用いた複合体(実験例19、20)と比較し亀裂(割れ目)が生じなかった。
【0104】
(実験例23)
実験例1で得られた不織布層(A)に対し、被覆層(B)としてアフターUV型粘着剤(新タック化成製「DC011」、厚さ25μm)を貼合した。さらに、被覆層(B)の上面にフィルム層(C)としてPETフィルム(東レ製「ルミラーS10」、厚さ25μm)を貼合した。その後、UVコンベア装置(アイグラフィックス社製「ECS−4011GX」)を用いてフィルム層(C)側から250mJ/cm
2の紫外線を6回照射して、被覆層(B)を硬化させた。以上の手順により、不織布層(A)の片面に被覆層(B)を介してフィルム層(C)が積層された複合体を得た。結果を表4に示す。
【0105】
(実験例24)
実験例23において、シート層(A)の片面に被覆層(B)、及びフィルム層(C)を積層した後、反対側の面にも同様の手順で被覆層(B)、及びフィルム層(C)を積層した。以上の手順により、シート層(A)の両面に被覆層(B)を介してフィルム層(C)が積層された複合体を得た。結果を表4に示す。
【0106】
【表4】
【0107】
被覆層として粘着剤を用いた複合体(実験例23、24)についても不織布層(シート層)と樹脂層の密着性が良好であった。