【文献】
Masahiro Suzuki et al,Novel dumbbell-form low-molecular-weight gelators based on L-lysine: their hydrogelation and organog,New Journal of Chemistry,2005年 9月 9日,29,pp.1439-1444
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、ラウロイルアミノ酸誘導体に代表されるアシル塩基性アミノ酸誘導体の有する肌へのなじみ感やしっとり感を損なうことなく、きしみ感のない良好な使用感を有し、経時安定性および熱安定性に優れ、かつ曳糸性のない良好な使用性を有する組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、成分(A):下記式(1)で示される化合物(以下、「化合物(1)」ともいう)またはその塩に成分(B):塩基性アミノ酸およびその塩、ならびにアシル塩基性アミノ酸低級エステルおよびその塩からなる群から選択される少なくとも一種の成分を配合した組成物が、きしみ感のない良好な使用感を有し、経時安定性および熱安定性に優れ、かつ曳糸性のない良好な使用性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]成分(A):式(1)
【0011】
【化2】
【0012】
(式中、
R
1およびR
2は、各々独立して、炭素原子数5〜21のアルキル基または炭素原子数5〜21のアルケニル基であり、
R
3およびR
4は、各々独立して、水素原子、炭素原子数1〜22のアルキル基または炭素原子数2〜22のアルケニル基であり、
zは0以上の整数であり、
xおよびyは、各々独立して、2〜4の整数である。)で示される化合物またはその塩;
および
成分(B):塩基性アミノ酸およびその塩、ならびにアシル塩基性アミノ酸低級エステルおよびその塩からなる群から選択される少なくとも一種の成分
を含有する組成物。
[2]成分(A)が、前記式(1)においてzが0〜10の整数である化合物またはその塩である、[1]に記載の組成物。
[3]成分(A)が、前記式(1)においてzが7または8である化合物またはその塩である、[1]または[2]に記載の組成物。
[4]成分(A)が、前記式(1)においてxおよびyが共に4である化合物またはその塩である、[1]〜[3]のいずれかに記載の組成物。
[5]成分(A)が、前記式(1)においてR
1およびR
2が各々独立して、炭素原子数8〜15の直鎖アルキル基である化合物またはその塩である、[1]〜[4]のいずれかに記載の組成物。
[6]成分(A)が、前記式(1)においてR
3およびR
4が共に水素原子である化合物またはその塩である、[1]〜[5]のいずれかに記載の組成物。
[7]成分(A)が、前記式(1)においてR
1およびR
2が、各々独立して、炭素原子数8〜15の直鎖アルキル基であり、R
3およびR
4が、共に水素原子であり、zが、0〜10の整数であり、xおよびyが、共に4である化合物またはその塩である、[1]〜[5]のいずれかに記載の組成物。
[8]成分(A)が、前記式(1)においてR
1およびR
2が、共に炭素原子数8〜15の直鎖アルキル基であり、R
3およびR
4が、共に水素原子であり、zが、7または8であり、xおよびyが、共に4である化合物またはその塩である、[1]〜[5]のいずれかに記載の組成物。
[9]成分(A)が、ビス(N
ε-ラウロイル-L-リジン)セバコイルアミドまたはその塩である、[1]〜[5]のいずれかに記載の組成物。
[10]成分(A)が、ビス(N
ε-ラウロイル-L-リジン)セバコイルアミド、およびビス(N
ε-オクタノイル-L-リジン)セバコイルアミドから選択される化合物またはその塩である、[1]〜[5]のいずれかに記載の組成物。
[11]成分(B)が、アルギニン、リジンまたはヒスチジンである、[1]〜[10]のいずれかに記載の組成物。
[12]成分(B)が、ココイルアルギニンエチルエステルピロリドンカルボン酸塩またはラウロイルアルギニンエチルエステル塩酸塩である、[1]〜[10]のいずれかに記載の組成物。
[13]成分(A)を組成物全量に対して0.005〜20重量%含有する、[1]〜[12]のいずれかに記載の組成物。
[14]成分(B)を組成物全量に対して0.005〜20重量%含有する、[1]〜[13]のいずれかに記載の組成物。
[15][1]〜[14]のいずれかに記載の組成物を含む化粧料。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、きしみ感のない良好な使用感を示し、経時安定性および熱安定性に優れ、かつ曳糸性のない良好な使用性を有する組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の組成物は、成分(A):式(1)
【0016】
(式中、
R
1およびR
2は、各々独立して、炭素原子数5〜21のアルキル基または炭素原子数5〜21のアルケニル基であり、
R
3およびR
4は、各々独立して、水素原子、炭素原子数1〜22のアルキル基または炭素原子数2〜22のアルケニル基であり、
zは0以上の整数であり、
xおよびyは、各々独立して、2〜4の整数である。)で示される化合物またはその塩、
および
成分(B):塩基性アミノ酸およびその塩、ならびにアシル塩基性アミノ酸低級エステルおよびその塩からなる群から選択される少なくとも一種の成分
を含有する組成物であることを特徴とする。
【0017】
以下に、本発明の実施の形態について詳述する。
【0018】
1.成分(A):式(1)で示される化合物(化合物(1))またはその塩
R
1およびR
2は、各々独立して、炭素原子数5〜21のアルキル基または炭素原子数5〜21のアルケニル基である。
炭素原子数5〜21のアルキル基とは、炭素原子数5〜21の直鎖または分岐状のアルキル基を意味し、具体的には、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ネオヘキシル基、ヘプチル基、イソヘプチル基、ネオヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等が挙げられる。
炭素原子数5〜21のアルケニル基とは、炭素原子数5〜21の直鎖または分岐状のアルケニル基を意味し、具体的には、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基等が挙げられる。
炭素原子数8〜15のアルキル基とは、炭素原子数8〜15の直鎖または分岐状のアルキル基を意味し、具体的には、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等が挙げられる。
炭素原子数8〜11のアルキル基とは、炭素原子数8〜11の直鎖または分岐状のアルキル基を意味し、具体的には、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基等が挙げられる。
R
1およびR
2は、好ましくは各々独立して、炭素原子数8〜15のアルキル基であり、より好ましくは各々独立して、炭素原子数8〜11のアルキル基である。
また、R
1およびR
2は、直鎖のアルキル基であることが好ましい。さらに、R
1およびR
2は、同一であることが好ましい。
【0019】
R
3およびR
4は、各々独立して、水素原子、炭素原子数1〜22のアルキル基または炭素原子数2〜22のアルケニル基である。
炭素原子数1〜22のアルキル基とは、炭素原子数1〜22の直鎖または分岐状のアルキル基を意味し、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ネオヘキシル基、ヘプチル基、イソヘプチル基、ネオヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等が挙げられる。
炭素原子数2〜22のアルケニル基とは、炭素原子数2〜22の直鎖または分岐状のアルケニル基を意味し、具体的には、エテニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基等が挙げられる。
R
3およびR
4は、好ましくは共に水素原子である。
【0020】
zは、0以上の整数である。
zは、好ましくは0〜10の整数であり、より好ましくは7または8である。
【0021】
xおよびyは、各々独立して、2〜4の整数である。
xおよびyは、好ましくは共に4である。
【0022】
式(1)で示される化合物として、好ましくは、以下の化合物が挙げられる。
(化合物A)
R
1およびR
2が、各々独立して、炭素原子数8〜15の直鎖アルキル基であり、
R
3およびR
4が、共に水素原子であり、
zが、0〜10の整数であり、
xおよびyが、共に4である化合物。
【0023】
(化合物B)
R
1およびR
2が、共に炭素原子数8〜15の直鎖アルキル基であり、
R
3およびR
4が、共に水素原子であり、
zが、7または8であり、
xおよびyが、共に4である化合物。
【0024】
(化合物C)
R
1およびR
2が、共に炭素原子数8〜11の直鎖アルキル基であり、
R
3およびR
4が、共に水素原子であり、
zが、7または8であり、
xおよびyが、共に4である化合物。
【0025】
式(1)で示される化合物の具体例としては、
ビス(N
ε-ラウロイル-L-リジン)セバコイルアミド、
またはそれらの塩が挙げられる。
【0026】
式(1)で示される化合物の塩としては特に限定されず、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛との塩等の無機塩、あるいはアンモニウム塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等の有機アミン塩や、アルギニン塩、リジン塩等の塩基性アミノ酸塩等の有機塩が挙げられる。これらのうち1種を使用してもよいし、上記群から選ばれる2種以上を混合して使用しても構わない。入手の容易性、取り扱い性等の観点から、アルカリ金属塩、有機アミン塩、塩基性アミノ酸塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩が特に好ましい。
【0027】
化合物(1)は、自体公知の方法またはそれに準じた方法により製造することができる(特開2004−323505号公報、Org. Biomol. Chem., 2003, 1, 4124-4131、New J. Chem., 2005, 29, 1439-1444等)。例えば、下記式に示すように、化合物(1)のうち、対称型の化合物(1’)は、N
ω−アシルアミノ酸(2)とジカルボン酸ジクロライド(3)を適切な溶媒中で反応させることにより製造することができる。
【0029】
(式中、R
1’は炭素原子数5〜21のアルキル基または炭素原子数5〜21のアルケニル基であり、R
3’は水素原子、炭素原子数1〜22のアルキル基または炭素原子数2〜22のアルケニル基であり、z’は0以上の整数であり、x’は2〜4の整数である。)
【0030】
N
ω−アシルアミノ酸(2)としては、例えば、N
ε−アシルリジン(例:N
ε−ヘキサノイル−L−リジン、N
ε−オクタノイル−L−リジン等)、N
δ−アシルオルニチン(例:N
δ−ヘキサノイル−L−オルニチン等)、N
γ−アシル−α,γ−ジアミノ酪酸等が挙げられる。
ジカルボン酸ジクロライド(3)としては、例えば、オギザリルクロライド、マロニルクロライド、スクシニルクロライド、グルタリルクロライド、アジポイルクロライド、ピメロイルクロライド、スベロイルクロライド、アゼラオイルクロライド、セバコイルクロライド、ドデカンジオイルクロライド等が挙げられる。ジカルボン酸ジクロライド(3)の使用量は、N
ω−アシルアミノ酸(2)に対して通常0.4〜0.6当量である。
溶媒としては、反応に不活性な溶媒であれば特に限定されないが、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類が挙げられる。
【0031】
また、化合物(1)のうち、非対称型の化合物(1’’)は下記の通り製造することができる。まず、N
ω−アシルアミノ酸(2)とジカルボン酸モノクロライドモノエステル(4)を適切な溶媒中で反応させて化合物(5)を得る(工程1)。続いて、得られた化合物(5)の1級エステル部位を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基存在下で加水分解した後、チオニルクロライド等のクロロ化剤を用いてカルボン酸部位をクロロ化し、前記工程1で用いたN
ω−アシルアミノ酸(2)とは異なるN
ω−アシルアミノ酸(2’)を反応させることにより製造することができる(工程2)。
【0033】
(式中、R
1’、R
3’、z’およびx’は前記定義と同義であり、R
2’は炭素原子数5〜21のアルキル基または炭素原子数5〜21のアルケニル基であり、R
4’は水素原子、炭素原子数1〜22のアルキル基または炭素原子数2〜22のアルケニル基であり、R
5はメチル基、エチル基等のアルキル基であり、y’は2〜4の整数である。)
【0034】
N
ω−アシルアミノ酸(2)および(2’)は、前記と同様のN
ω−アシルアミノ酸を用いることができる。
ジカルボン酸モノクロライドモノエステル(4)は、市販されている場合には市販品をそのまま用いることができ、自体公知の方法またはそれに準じた方法にて製造したものを用いることもできる。
【0035】
なお、前記方法で得られた化合物(1)を、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、有機アミン塩基等と反応させることにより、化合物(1)の塩に変換することができる。
【0036】
本発明の組成物における成分(A):化合物(1)またはその塩の含有量は、組成物全量に対して通常0.005〜20重量%であり、好ましくは0.01〜10重量%であり、より好ましくは0.01〜5.0重量%であり、特に好ましくは0.02〜2.5重量%である。
【0037】
2.成分(B):塩基性アミノ酸およびその塩、ならびにアシル塩基性アミノ酸低級エステルおよびその塩からなる群から選択される少なくとも一種の成分
本明細書における「塩基性アミノ酸」、および「アシル塩基性アミノ酸低級エステル」の「塩基性アミノ酸」とは、分子内に一つのアミノ基に加えて、塩基性を示す基(例、アミノ基、イミダゾリル基等)をさらに有するアミノ酸を意味する。「塩基性アミノ酸」の具体例としては、アルギニン、リジン、ヒスチジン、オルニチン等が挙げられる。中でもアルギニン、リジン等が好ましく、アルギニンがより好ましい。
【0038】
本明細書における「アシル塩基性アミノ酸低級エステル」のアシル基としては、炭素原子数8〜22の飽和または不飽和脂肪酸より誘導される、直鎖または分岐鎖のものを使用できる。アシル基の具体例としては、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オレオイル基、リノレイル基、天然由来の混合脂肪酸(例、ヤシ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、パーム油脂肪酸)より誘導されるアシル基等が挙げられる。好ましくは、ラウロイル基、ミリストイル基、ヤシ油脂肪酸より誘導されるアシル基である。
【0039】
本明細書における「アシル塩基性アミノ酸低級エステル」の低級エステルとしては、炭素原子数1〜6の直鎖または分岐状のアルコールより誘導されるエステルを使用できる。低級エステルの具体例としては、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、sec−ブチルエステル、tert−ブチルエステル、ペンチルエステル、ヘキシルエステル等が挙げられ、より好ましくは、エチルエステルである。
【0040】
本明細書における「アシル塩基性アミノ酸低級エステル」の具体例としては、ココイルアルギニンエチルエステル、ラウロイルアルギニンエチルエステル等が挙げられる。中でも、ココイルアルギニンエチルエステルが好ましい。
なお、不斉炭素原子を有するアミノ酸に関しては、光学活性体またはラセミ体のいずれでもよい。
【0041】
塩基性アミノ酸塩およびアシル塩基性アミノ酸低級エステル塩の塩としては特に限定されず、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸との塩、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、ピロリドンカルボン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、有機酸との塩等が挙げられる。これらのうち1種を使用してもよいし、上記群から選ばれる2種以上を混合して使用しても構わない。
【0042】
塩基性アミノ酸塩としては、リジン塩酸塩、アルギニン塩酸塩、ヒスチジン塩酸塩等が好ましく挙げられ、アシル塩基性アミノ酸低級エステル塩としては、ココイルアルギニンエチルPCA(ヤシ油脂肪酸アシルアルギニンエチル・ピロリドンカルボン酸塩)等が好ましく挙げられる。
【0043】
本発明の組成物における成分(B)の含有量は、組成物全量に対して通常0.005〜20重量%であり、好ましくは0.05〜10重量%である。
【0044】
本発明の組成物のpHは特に限定されないが、pH5.5〜7.5であるのが好ましい。
【0045】
本発明は、また、前記本発明の組成物を含有する化粧料に関する。
【0046】
本発明の化粧料としては、具体的には、洗顔料、化粧水、乳液、クリーム、ジェル、美容液、パック、マスク、石鹸、ボディシャンプー、白粉、ファンデーション、口紅、チーク、アイライナー、マスカラ、アイシャドー、眉墨、シャンプー、リンス、ヘアコンディショナー、ヘアスタイリング剤、ヘアトリートメント等が挙げられる。
【0047】
本発明の化粧料は、通常化粧料に添加してもよい成分を本発明の効果を阻害しない範囲で含有してもよい。具体的には、油剤、キレート剤、界面活性剤、粉体、アミノ酸類(例えば、中性アミノ酸、酸性アミノ酸など)、多価アルコール、ポリアミノ酸およびその塩、水溶性高分子、糖アルコールおよびそのアルキレンオキシド付加物、低級アルコール、動植物抽出物、核酸、ビタミン、酵素、抗炎症剤、殺菌剤、防腐剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、制汗剤、顔料、色素、酸化染料、有機および無機粉体、pH調整剤、パール化剤、湿潤剤が挙げられる。
【0048】
本発明の組成物、および該組成物を含む化粧料は、常法に従って製造することができる。
【実施例】
【0049】
次に製造例および実施例により、本発明を具体的に説明する。なお、本発明は以下の製造例および実施例に限定されるものではない。また「%」は特に断りが無い限り「重量%」を示す。
【0050】
〔製造例1〕ビス(N
ε-ラウロイル-L-リジン)セバコイルアミドジナトリウム塩の合成
N
ε−ラウロイル−L−リジン8.2g(25mmol)を、水70gおよび25%水酸化ナトリウム水溶液(10g)に溶解させ、ジエチルエーテル80gを加えた。そこへセバコイルクロライド3.3g(14mmol)をエーテル層にゆっくり加えた。この2層溶液を0℃に保持したまま1時間ほど攪拌し、その後室温で23時間攪拌した。次いで、75%硫酸を滴下し、pH2に調整した後、得られた白色沈殿を濾取し、水でよく洗い乾燥した。得られた化合物を水酸化ナトリウム水溶液に溶解させて10%のビス(N
ε−ラウロイル−L−リジン)セバコイルアミドジナトリウム塩水溶液を得た。
【0051】
本発明の組成物の経時安定性、熱安定性、使用性(曳糸性のなさ)および使用感(きしみ感のなさ、なじみ感、しっとり感)について評価した。組成物の調製、評価方法および評価基準は下記のとおりである。
【0052】
実施例1〜7および比較例1〜5の組成物の調製
成分(A)(製造例1で合成した化合物)を、あらかじめ80℃にて水に加熱溶解させた、成分(B)、グルタミン又は尿素、およびクエン酸三ナトリウムの混合物に加えた後、撹拌しながら室温まで冷却し、クエン酸にてpH6.5に調整した。得られた混合物を再び80℃で5分間加熱し、室温まで冷却した。得られた組成物を30mLのガラス瓶に完全密封して25℃にて2週間保管した後、各種評価に供した。
【0053】
実施例8〜10および比較例6〜7の組成物の調製
成分(A)(製造例1で合成した化合物)、成分(B)、クエン酸三ナトリウムおよび水3gを80℃にて撹拌溶解し、得られた混合物を、あらかじめ80℃にて加熱撹拌させた、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、オクタン酸セチル(実施例9および10)、PPG−8セテス−20、PPG−6デシルテトラデセス−30およびグリセリンの混合物に添加した。混合物を40℃まで冷却した後、DPG(ジプロプレングリコール)、BG(1,3‐ブチレングリコール)、防腐剤および残りの水を混合し、クエン酸にてpH6.5に調整した。得られた組成物を30mLのガラス瓶に完全密封して25℃にて2週間保管した後、各種評価に供した。
【0054】
評価1:経時安定性
前記のように調製、保管した組成物入りのガラス瓶を20〜30度傾け、目視にて観察し、調製直後の組成物の流動性との違いを下記の基準にて評価した。
◎:組成物の流動性の変化が見られない
△:組成物の流動性の低下が少し確認される
×:組成物の流動性の顕著な低下が確認される
【0055】
評価2:熱安定性
前記のように調製、保管した組成物を、さらに50℃の恒温槽で2週間保管した後、組成物入りのガラス瓶を20〜30度傾け、目視にて観察し、50℃の恒温槽に入れる直前の組成物の流動性との違いを下記の基準にて評価した。
◎:組成物の流動性の変化が見られない
△:組成物の流動性の低下が少し確認される
×:組成物の流動性の顕著な低下が確認される
【0056】
評価3:使用性(曳糸性のなさ)の評価
前記のように調製、保管した組成物をスポイトにて滴下させた際に、組成物に糸を曳く性質が見られるか否かについて下記の基準にて評価した。なお、下記の基準において、水は◎であり、水溶性高分子であるポリアクリル酸ナトリウムの1%水溶液は×である。
◎:曳糸性が全く認められない
〇:曳糸性がほとんど認められない
△:曳糸性が少し認められる
×:曳糸性が明らかに認められる
【0057】
評価4〜6:使用感(きしみ感のなさ、なじみ感、しっとり感)の評価
前記のように調製、保管した組成物(40μL)を、健康な男女5名の前腕内側の皮膚8×2cm以内の範囲に塗布し、塗布中または塗布直後にどのように感じたかを調査し、以下の基準で採点を行った。なお、操作は被験者5人がそれぞれ行い、以下の基準で採点し、その平均点を求め、以下の評価基準で各項目について評価した。
【0058】
評価4(きしみ感のなさ)の基準
5点:きしみ感が全くなく、非常にすべすべしている
4点:きしみ感がほとんどなく、すべすべしている
3点:ふつう
2点:きしみ感が少しある
1点:きしみ感が非常に強い
【0059】
評価5(なじみ感)の基準
5点:肌へのなじみが非常に良い
4点:肌へのなじみが良い
3点:ふつう
2点:肌へのなじみが悪い
1点:肌へのなじみが非常に悪い
【0060】
評価6(しっとり感)の基準
5点:しっとり感が非常に強い
4点:しっとり感がある
3点:ふつう
2点:しっとり感があまりない
1点:しっとり感が全くない
【0061】
評価基準
◎:平均点が4.0以上
○:平均点が3.0以上4.0未満
△:平均点が2.0以上3.0未満
×:平均点が2.0未満
【0062】
結果を表1〜表2に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
本発明の組成物(実施例1〜10)は、成分(B)を含まない比較例1〜7の組成物と比較して、経時安定性および熱安定性に優れ、曳糸性がなく、使用性が良好であることが示された。また、本発明の組成物(実施例8〜10)は、成分(B)を含まない比較例6および7の組成物と比較して、きしみ感がなく、良好な使用感を有することが示された。