【実施例】
【0052】
次に製造例および実施例により、本発明を具体的に説明する。なお、本発明は以下の製造例および実施例に限定されるものではない。また「%」は特に断りが無い限り「重量%」を示す。
【0053】
〔製造例1〕ビス(N
ε-ラウロイル-L-リジン)セバコイルアミドジナトリウム塩の合成
N
ε−ラウロイル−L−リジン8.2g(25mmol)を、水70gおよび25%水酸化ナトリウム水溶液(10g)に溶解させ、ジエチルエーテル80gを加えた。そこへセバコイルクロライド3.3g(14mmol)をエーテル層にゆっくり加えた。この2層溶液を0℃に保持したまま1時間ほど攪拌し、その後室温で23時間攪拌した。次いで、75%硫酸を滴下し、pH2に調整した後、得られた白色沈殿を濾取し、水でよく洗い乾燥した。得られた化合物を水酸化ナトリウム水溶液に溶解させて10%のビス(N
ε−ラウロイル−L−リジン)セバコイルアミドジナトリウム塩水溶液を得た。
【0054】
〔製造例2〕ビス(N
ε−オクタノイル−L−リジン)セバコイルアミドジナトリウム塩の合成
N
ε−オクタノイル−L−リジン6.8g(25mmol)を水70gおよび25%水酸化ナトリウム水溶液(10g)に溶解させ、ジエチルエーテル80gを加えた。そこへセバコイルクロライド3.3g(14mmol)をエーテル層にゆっくり加えた。この2層溶液を0℃に保持したまま1時間ほど攪拌し、その後室温で23時間攪拌した。次いで、75%硫酸を滴下し、pH2に調整した後、得られた白色沈殿を濾取し、水でよく洗い乾燥した。得られた化合物を水酸化ナトリウム水溶液に溶解させて10%のビス(N
ε−オクタノイル−L−リジン)セバコイルアミドジナトリウム塩水溶液を得た。
ビス(N
ε−オクタノイル−L−リジン)セバコイルアミド(フリー体)の
1H-NMR
1H-NMR(400 MHz, DMSO-d
6, TMS, 25 ℃):δ 0.85 (t, J = 6.8 Hz, 6H), 1.20-1.29 (m, 28H), 1.32-1.38 (m, 4H), 1.45-1.50 (m, 8H), 1.54-1.59 (m, 4H), 2.02 (t, J = 7.4 Hz, 4H), 2.09 (t, J = 7.4 Hz, 4H), 2.99 (q, J = 6.5 Hz, 4H), 4.08-4.47 (m, 2H), 7.73 (t, J= 5.6 Hz, 2H), 7.97 (d, J = 8.0 Hz, 2H).
【0055】
(実施例1〜14の組成物の製造)
下記表1および表2に記載の成分(I)と成分(II)を混合し(表中の各成分の数値は重量%を意味する)、ラボミキサー(LM-110T、HANIL)で1分間攪拌した後、50℃で8時間乾燥させて、実施例1〜14の組成物を得た。
【0056】
(比較例1および2の組成物の製造)
下記表2に記載の成分(I)と成分(II)を混合し(表中の各成分の数値は重量%を意味する)、ラボミキサー(LM-110T、HANIL)で1分間攪拌し、比較例1および2の組成物を得た。
【0057】
上記の製造方法で得られた組成物の分散性、塗膜の状態とその耐久性、および使用感(しっとり感、密着感、なじみ感)について評価した。評価方法および評価基準は下記のとおりである。
【0058】
評価1:分散性(吸油量)
粉体の分散性を示す指標として、一般に吸油量が用いられる。分散性の評価として、吸油量の測定を下記のように行った。
試料各1gに油剤(あまに油)を少量ずつ加え、へらを用いて混合した。全体がひと塊になった時点を終点とし、終点に到達するまでに加えた油剤の重量を求め、次式より吸油量(%)を算出した。
吸油量(%)=油剤の重量(g)÷試料の重量(g)×100
成分(I)を含まない未処理粉体(以下、単に「未処理粉体」という)の吸油量を基準とし、実施例および比較例での吸油量との差を下記の基準にて評価した。
◎:5%以上の吸油量低下が確認された
○:2%以上5%未満の吸油量低下が確認された
△:2%未満の吸油量低下が確認された
×:吸油量の増加が確認された
【0059】
評価2:塗膜の状態
試料各2mgを人工皮革(サプラーレ、出光テクノファイン製)1cm四方に20〜30gの力で塗布し、その様子をマイクロスコープ(Video Loupe VL-7EX、スカラー製)により観察した。得られた画像をもとに、塗膜のムラと皮溝に関して、下記の基準によりそれぞれ採点を行い、その和を塗膜のスコアとした。
【0060】
(塗膜のムラの無さの採点基準)
−1:塗膜のムラがある
0:どちらでもない
+1:塗膜のムラが無い
【0061】
(皮溝の目立ちにくさの採点基準)
−1:皮溝が目立つ
0:どちらでもない
+1:皮溝が目立たない
【0062】
次いで、未処理粉体の採点結果との差を下記の基準にて評価した。
◎:差が+2点以上である
○:差が+1点である
△:差が0点である
×:差が−1点以下である
【0063】
評価3:耐久性(テープ剥離後の塗膜の状態)
塗膜の耐久性の評価として、テープ剥離後の塗膜の評価を次のように行った。上記評価2を行った後の人工皮革に、セロハンテープ(ニチバン製)をのせ、指の腹で50〜70gの力で5回輪を描くように密着させた後、テープを剥がし、再度マイクロスコープ(Video Loupe VL-7EX、スカラー製)により観察した。得られた画像をもとに、塗膜のムラ、皮溝、および皮丘上の残留量に関して、下記の基準によりそれぞれ採点を行い、その和を塗膜のスコアとした。
【0064】
(塗膜のムラの無さの採点基準)
−1:塗膜のムラがある
0:どちらでもない
+1:塗膜のムラが無い
【0065】
(皮溝の目立ちにくさの採点基準)
−1:皮溝が目立つ
0:どちらでもない
+1:皮溝が目立たない
【0066】
(皮丘上の残留量の採点基準)
−1:皮丘上の塗膜がほぼ剥がれおちている
0:どちらでもない
+1:皮丘上の塗膜が多く残っている
【0067】
次いで、未処理粉体の採点結果との差を下記の基準にて評価した。
◎:差が+2点以上である
○:差が+1点である
△:差が0点である
×:差が−1点以下である
【0068】
評価4〜6:使用感
しっとり感、密着感、なじみ感について、前記のように調製した組成物2mgを前腕内側の皮膚5×2cm以内の範囲に塗布し、健康な男女8名に試験した。未処理粉体と比べ、実施例および比較例の組成物が優れていると回答した人の人数により、下記基準を用いて評価した。なお、被験者には、あらかじめ未処理紛体の使用感(しっとり感、密着感、なじみ感)を認識させた。
◎:被験者のうち6名以上が優れていると回答した
○:被験者のうち4人以上6人未満が優れていると回答した
△:被験者のうち2人以上4人未満が優れていると回答した
×:被験者のうち1人以下が優れていると回答した
【0069】
結果を表1および表2に示す。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
表1および表2から明らかなように、本発明の組成物(実施例1〜14)は、分散性が良好であり、塗膜の状態とその耐久性、およびしっとり感、密着感、なじみ感といった使用感に優れていた。
【0073】
以下、本発明に係る組成物の好適な配合例について説明する。
【0074】
配合例1 プレストパウダーファンデーション
下記表3に示す配合のプレストパウダーファンデーションを常法に従い調製した。
【0075】
【表3】
【0076】
配合例2 スティック型ファンデーション
下記表4に示す配合のスティック型ファンデーションを常法に従い調製した。
【0077】
【表4】
【0078】
配合例3 タルクフリールースパウダーファンデーション
下記表5に示す配合のタルクフリールースパウダーファンデーションを常法に従い調製した。
【0079】
【表5】
【0080】
配合例4 サンプロテクタ(O/W)
下記表6に示す配合のサンプロテクタ(O/W)を常法に従い調製した。
【0081】
【表6】
【0082】
配合例5 サンスクリーン(W/O)
下記表7に示す配合のサンスクリーン(W/O)を常法に従い調製した。
【0083】
【表7】
【0084】
配合例6 リップスティック
下記表8に示す配合のリップスティックを常法に従い調製した。
【0085】
【表8】
【0086】
配合例7 スティック型制汗剤
下記表9に示す配合のスティック型制汗剤を常法に従い調製した。
【0087】
【表9】
【0088】
配合例1〜7の化粧料は、いずれも分散性が良好で、塗膜の状態とその耐久性に優れ、かつしっとり感、密着感、なじみ感といった使用感に優れていた。
【0089】
なお、使用した材料の詳細は以下のとおりである。
タルク、(ジメチコン/メチコン)コポリマー:タルクDN−SH(大日本化成社製)
マイカ、(ジメチコン/メチコン)コポリマー:SIO1−2セリサイトFSE(大日本化成社製)
マイカ、(ジメチコン/メチコン)コポリマー:マイカMA−500(大日本化成社製)
酸化チタン、(ジメチコン/メチコン)コポリマー:チタンDN−SH(2)(大日本化成社製)
酸化チタン、ステアリン酸アルミニウム:MT−100Z(テイカ社製)
酸化亜鉛、メチコン:MZ−303S(テイカ社製)
酸化鉄(赤)、(ジメチコン/メチコン)コポリマー:SIO1−2タロックスR−516L(大日本化成社製)
酸化鉄(黄)、(ジメチコン/メチコン)コポリマー:SIO1−2タロックスLLXLO(大日本化成社製)
酸化鉄(黒)、(ジメチコン/メチコン)コポリマー:SIO1−2タロックスBL−100(大日本化成社製)
ナイロン-12:ORGANOSOL 2002 NAT COS(アルケマ社製)
ジメチコン:KF−96A−20cs(信越化学工業社製)
テトライソステアリン酸ポリグリセリル−2:コスモール44V(日清オイリオ社製)
ミリストイルメチル−β−アラニン(フィトステリル/デシルテトラデシル):ELDEWAPS−307(味の素社製)
ミネラルオイル:モレスコホワイトP−70(松村石油研究所社製)
オクチルドデカノール:リソノール20SP(高級アルコール工業社製)
ジブチルラウロイルグルタミド:アミノ酸系油ゲル化剤GP−1(味の素社製)
ジブチルエチルヘキサノイルグルタミド:アミノ酸系油ゲル化剤EB−21(味の素社製)
トリエチルヘキサノイン:TOG(高級アルコール工業社製)
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル:パルソールMCX(DSMニュートリション社製)
水添ポリイソブテン:パールリーム18(NOF社製)
(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル:コスモール168ARV(日清オイリオ社製)
(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー:トレフィルE−506S(東レ・ダウコーニング社製)
マイカ:マイカY−2300(ヤマグチマイカ社製)
酸化チタン、ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム、ミリスチン酸、水酸化アルミニウム:NAI−チタンCR−50(三好化成社製)
シクロペンタシロキサン:SH245 Fluid(東レ・ダウコーニング社製)
酸化鉄(赤)、ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム、水酸化アルミニウム:NAI−レッド R−516PS(三好化成社製)
酸化鉄(黄)、ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム、水酸化アルミニウム:NAI−イエロー LL−100PS(三好化成社製)
酸化鉄(黒)、ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム、水酸化アルミニウム:NAI−ブラック BL−100PS(三好化成社製)
クオタニウム−18ベントナイト:エスベンW(ホージュン社製)
窒化ホウ素:BNリーフパウダーSHP−3(水島合金鉄社製)
シリカ:シリカマイクロビードP−1500、L−1500を2:5で混合(いずれも日揮触媒化成工業社製)
オクテニルコハク酸デンプンAl:Dry−Flo PC(AKZO NOBEL社製)酸化チタン、水酸化Al:CR−50(石原産業社製)
酸化チタン、ステアリン酸Al:MST−1 TiO
2 R250(大東化成工業社製)
酸化鉄(赤)、ステアリン酸Al:MST−1 RED No.211P(大東化成工業社製)
酸化鉄(黄)、ステアリン酸Al:MST−1 YELLOW No.602P(大東化成工業社製)
酸化鉄(黒)、ステアリン酸Al:MST−1 BLACK No.710P(大東化成工業社製)
ラウロイルリジン:AMIHOPE LL(味の素社製)
ブドウ種子油:NIKKOL グレープシード油(日光ケミカルズ社製)
マカダミアナッツ脂肪酸フィトステリル:YOFCO MAS(日本精化社製)
ラウロイルサルコシンイソプロピル:ELDEW SL−205(味の素社製)
ステアリン酸ソルビタン:EMALEX SPE−100S(日本エマルジョン社製)
イソステアリン酸PEG−90グリセリル:EMALEX GWIS−150EX(日本エマルジョン社製)
1,2−ペンタンジオール:Hydrolite−5(シムライズ社製)
ポリソルベート80:レオドールTW−O120V(花王社製)
ステアレス−2:EMALEX 602(日本エマルジョン社製)
メチルイソチアゾリノン:ゾーネンMT−10(ケミクレア社製)
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル:UVINUL A Plus B(BASF社製)
酸化チタン、イソヘキサデカン、トリエチルヘキサノイン:UVINUL A Plus B(BASF社製)
スクワラン:スクワラン(マルハニチロ食品社製)
アクリル酸アルキルコポリマー:Dermacryl AQ−F(AKZO NOBEL社製)
(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマー、DPG、水:Aristoflex AVS(クラリアント社製)
ヒドロキシエチルウレア、水:Hydrovance(AKZO NOBEL社製)
ステアリン酸:NAA−180(NOF社製)
シクロペンタシロキサン、PEG−10ジメチコン、ジステアルジモニウムヘクトライト:NIKKOL ニコムルスW(日光ケミカルズ社製)
パルミチン酸デキストリン:レオパールTL2(千葉製粉社製)
ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン:Tinosorb S(BASF社製)
(アクリル酸アルキル/ジメチコン)コポリマー、シクロペンタシロキサン:KP−545(信越化学工業社製)
酸化亜鉛、ジメチコン、トリエトキシカプリリルシラン:ALISZ−031(三好化成工業社製)
酸化チタン、トリエチルヘキサノイン、イソヘキサデカン、ポリヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸アルミニウム、アルミナ:ソーラベールCT−434(クローダ社製)
(ビニルジメチコン/メチコンセスキオキサン)クロスポリマー:KSP−102(信越化学工業社製)
ポリメチルシルセスキオキサン:KMP−590(信越化学工業社製)
(スチレン/アクリレーツ)コポリマー、水:ROHMSPHERE GEL(DOW社製)
ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル:Glycasil 2000(Lonza社製)
グリセリン:化粧品用濃グリセリン(阪本薬品工業社製)
ジプロピレングリコール:DPG−RF(ADEKA社製)
ブチレングリコール:1,3−B.G.(ダイセル化学工業社製)
EDTA−2Na:Dissolvine NA(AKZO NOBEL社製)
キャンデリラロウ:キャンデリラ NC−1630(セラリカNODA社製)
パラフィン:パラフィンワックス155(日本精鑞社製)
ミツロウ:WHITE BEES WAX(三木化学社製)
カルナウバロウ:カルナウバロウNo.1(セラリカNODA社製)
ラノリン:日本薬局方精製ラノリン(セラリカNODA社製)
ヒマシ油:精製ヒマシ油(日華油脂社製)
エチルヘキサン酸セチル:エキセパールHO(花王社製)
パルミチン酸エチキシル:サラコスP−O(日清オイリオ社製)
水添ポリイソブテン:パールリーム18(NOF社製)
赤202:赤色202号(たけとんぼ社製)
黄色4:赤色4号アルミニウムレーキ(たけとんぼ社製)
青色1:青色1号アルミニウムレーキ(たけとんぼ社製)
リンゴ酸ジイソステアリル:コスモール222(日清オイリオ社製)
メタクリル酸メチルクロスポリマー:マツモトマイクロスフェアーMHB−R(松本油脂製薬社製)
マイカ、酸化チタン:FlamencoPearl 110C(BASF社製)
マイカ:プロミネンスSF(日本光研社製)
ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル):ELDEW PS−203R(味の素社製)
ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル):Plandool G(日本精化社製)
ヘキシルデカノール:リソノール 16SP(高級アルコール工業社製)
パルミチン酸イソプロピル:IPP(高級アルコール工業社製)
クロルヒドロキシアルミニウム:CHLORHYDROL Powder(REHEIS社製)