(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、例えば洗浄剤として使用した場合に水へのなじみがよく、起泡力および泡量に優れ、すすぎ性および乾燥後のさらさら感が向上した、形態安定性にも優れた組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、成分(A):下記式(1)で示される化合物(以下、「化合物(1)」ともいう)またはその塩、成分(B):アシル酸性アミノ酸およびその塩ならびにアシル中性アミノ酸およびその塩からなる群から選択される少なくとも一種のアシルアミノ酸またはその塩、および成分(C):ポリオールを含有する組成物が、形態安定性に優れ、水へのなじみがよく、起泡力および泡量に優れ、すすぎ性および乾燥後のさらさら感を向上させるクリーム状洗浄剤となしうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]成分(A):式(1)
【0015】
【化2】
【0016】
(式中、
R
1およびR
2は、各々独立して、炭素原子数5〜21のアルキル基または炭素原子数5〜21のアルケニル基であり、
R
3およびR
4は、各々独立して、水素原子、炭素原子数1〜22のアルキル基または炭素原子数2〜22のアルケニル基であり、
zは0以上の整数であり、
xおよびyは、各々独立して、2〜4の整数である。)で示される化合物またはその塩;
成分(B):アシル酸性アミノ酸およびその塩ならびにアシル中性アミノ酸およびその塩からなる群から選択される少なくとも一種のアシルアミノ酸またはその塩;
および
成分(C):ポリオール
を含有する組成物。
[2]成分(A)が、前記式(1)においてzが0〜10の整数である化合物またはその塩である、[1]に記載の組成物。
[3]成分(A)が、前記式(1)においてzが7または8である化合物またはその塩である、[1]または[2]に記載の組成物。
[4]成分(A)が、前記式(1)においてxおよびyが共に4である化合物またはその塩である、[1]〜[3]のいずれかに記載の組成物。
[5]成分(A)が、前記式(1)においてR
1およびR
2が各々独立して、炭素原子数5〜15の直鎖アルキル基である化合物またはその塩である、[1]〜[4]のいずれかに記載の組成物。
[6]成分(A)が、前記式(1)においてR
3およびR
4が共に水素原子である化合物またはその塩である、[1]〜[5]のいずれかに記載の組成物。
[7]成分(A)が、前記式(1)においてR
1およびR
2が、各々独立して、炭素原子数5〜15の直鎖アルキル基であり、R
3およびR
4が、共に水素原子であり、zが、0〜10の整数であり、xおよびyが、共に4である化合物またはその塩である、[1]〜[5]のいずれかに記載の組成物。
[8]成分(A)が、前記式(1)においてR
1およびR
2が、共に炭素原子数5〜15の直鎖アルキル基であり、R
3およびR
4が、共に水素原子であり、zが、7または8であり、xおよびyが、共に4である化合物またはその塩である、[1]〜[5]のいずれかに記載の組成物。
[9]成分(A)が、ビス(N
ε-ラウロイル-L-リジン)セバコイルアミドまたはその塩、およびビス(N
ε-オクタノイル-L-リジン)セバコイルアミドまたはその塩から選択される化合物である、[1]〜[5]のいずれかに記載の組成物。
[10]成分(B)が、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコールおよびソルビトールからなる群から選択される少なくとも1種である、[1]〜[9]のいずれかに記載の組成物。
[11]さらに、成分(D):脂肪酸またはその塩、脂肪酸アルカノールアミド、モノ脂肪酸グリセリル、モノ脂肪酸プロピレングリコール、モノ脂肪酸ブチレングリコール、モノ脂肪酸ジエチレングリコール、アルキルポリグルコシドおよび両性界面活性剤から選ばれる少なくとも一種の成分;
および/または
成分(E):親水性増粘剤
を含有する、[1]〜[10]のいずれかに記載の組成物。
[12]成分(A)を組成物全量に対して0.001〜10重量%含有する、[1]〜[11]のいずれかに記載の組成物。
[13]成分(B)を組成物全量に対して1〜50重量%含有する、[1]〜[12]のいずれかに記載の組成物。
[14]成分(C)を組成物全量に対して1〜40重量%含有する、[1]〜[13]のいずれかに記載の組成物。
[15]成分(C)を組成物全量に対して1〜50重量%含有する、[1]〜[13]のいずれかに記載の組成物。
[16][1]〜[15]のいずれかに記載の組成物を含むクリーム状洗浄剤。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、使用時に水へのなじみがよく、起泡力および泡量に優れ、すすぎ性および乾燥後のさらさら感が向上した、形態安定性にも優れた組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の組成物は、成分(A):式(1)
【0020】
(式中、
R
1およびR
2は、各々独立して、炭素原子数5〜21のアルキル基または炭素原子数5〜21のアルケニル基であり、
R
3およびR
4は、各々独立して、水素原子、炭素原子数1〜22のアルキル基または炭素原子数2〜22のアルケニル基であり、
zは0以上の整数であり、
xおよびyは、各々独立して、2〜4の整数である。)で示される化合物またはその塩、
成分(B):アシル酸性アミノ酸およびその塩ならびにアシル中性アミノ酸およびその塩からなる群から選択される少なくとも一種のアシルアミノ酸またはその塩、
および
成分(C):ポリオール
を含有する組成物であることを特徴とする。
また、本発明の組成物は、成分(A)、成分(B)および成分(C)に加えて、さらに、成分(D):脂肪酸またはその塩、脂肪酸アルカノールアミド、モノ脂肪酸グリセリル、モノ脂肪酸プロピレングリコール、モノ脂肪酸ブチレングリコール、モノ脂肪酸ジエチレングリコール、アルキルポリグルコシドおよび両性界面活性剤から選ばれる少なくとも一種の成分、および/または成分(E):親水性増粘剤を含有する組成物であることを特徴とする。
【0021】
以下に、本発明の実施の形態について詳述する。
【0022】
1.成分(A):式(1)で示される化合物(化合物(1))またはその塩
R
1およびR
2は、各々独立して、炭素原子数5〜21のアルキル基または炭素原子数5〜21のアルケニル基である。
炭素原子数5〜21のアルキル基とは、炭素原子数5〜21の直鎖または分岐状のアルキル基を意味し、具体的には、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ネオヘキシル基、ヘプチル基、イソヘプチル基、ネオヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等が挙げられる。
炭素原子数5〜21のアルケニル基とは、炭素原子数5〜21の直鎖または分岐状のアルケニル基を意味し、具体的には、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基等が挙げられる。
炭素原子数5〜15のアルキル基とは、炭素原子数5〜15の直鎖または分岐状のアルキル基を意味し、具体的には、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等が挙げられる。
炭素原子数7〜11のアルキル基とは、炭素原子数7〜11の直鎖または分岐状のアルキル基を意味し、具体的には、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基等が挙げられる。
R
1およびR
2は、好ましくは各々独立して、炭素原子数5〜15のアルキル基であり、より好ましくは各々独立して、炭素原子数7〜11のアルキル基である。
また、R
1およびR
2は、直鎖のアルキル基であることが好ましい。さらに、R
1およびR
2は、同一であることが好ましい。
【0023】
R
3およびR
4は、各々独立して、水素原子、炭素原子数1〜22のアルキル基または炭素原子数2〜22のアルケニル基である。
炭素原子数1〜22のアルキル基とは、炭素原子数1〜22の直鎖または分岐状のアルキル基を意味し、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ネオヘキシル基、ヘプチル基、イソヘプチル基、ネオヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等が挙げられる。
炭素原子数2〜22のアルケニル基とは、炭素原子数2〜22の直鎖または分岐状のアルケニル基を意味し、具体的には、エテニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基等が挙げられる。
R
3およびR
4は、好ましくは共に水素原子である。
【0024】
zは、0以上の整数である。
zは、好ましくは0〜10の整数であり、より好ましくは7または8である。
【0025】
xおよびyは、各々独立して、2〜4の整数である。
xおよびyは、好ましくは共に4である。
【0026】
式(1)で示される化合物として、好ましくは、以下の化合物が挙げられる。
(化合物A)
R
1およびR
2が、各々独立して、炭素原子数5〜15の直鎖アルキル基であり、
R
3およびR
4が、共に水素原子であり、
zが、0〜10の整数であり、
xおよびyが、共に4である化合物。
【0027】
(化合物B)
R
1およびR
2が、共に炭素原子数5〜15の直鎖アルキル基であり、
R
3およびR
4が、共に水素原子であり、
zが、7または8であり、
xおよびyが、共に4である化合物。
【0028】
(化合物C)
R
1およびR
2が、共に炭素原子数7〜11の直鎖アルキル基であり、
R
3およびR
4が、共に水素原子であり、
zが、7または8であり、
xおよびyが、共に4である化合物。
【0029】
式(1)で示される化合物の具体例としては、
ビス(N
ε-ラウロイル-L-リジン)セバコイルアミド、および
ビス(N
ε-オクタノイル-L-リジン)セバコイルアミド、
またはそれらの塩が挙げられる。
【0030】
式(1)で示される化合物の塩としては特に限定されず、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛との塩等の無機塩、あるいはアンモニウム塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等の有機アミン塩や、アルギニン塩、リジン塩等の塩基性アミノ酸塩等の有機塩が挙げられる。これらのうち1種を使用してもよいし、上記群から選ばれる2種以上を混合して使用しても構わない。入手の容易性、取り扱い性等の観点から、アルカリ金属塩、有機アミン塩、塩基性アミノ酸塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩が特に好ましい。
【0031】
化合物(1)は、自体公知の方法またはそれに準じた方法により製造することができる(特開2004−323505号公報、Org. Biomol. Chem., 2003, 1, 4124-4131、New J. Chem., 2005, 29, 1439-1444等)。例えば、下記式に示すように、化合物(1)のうち、対称型の化合物(1’)は、N
ω−アシルアミノ酸(2)とジカルボン酸ジクロライド(3)を適切な溶媒中で反応させることにより製造することができる。
【0033】
(式中、R
1’は炭素原子数5〜21のアルキル基または炭素原子数5〜21のアルケニル基であり、R
3’は水素原子、炭素原子数1〜22のアルキル基または炭素原子数2〜22のアルケニル基であり、z’は0以上の整数であり、x’は2〜4の整数である。)
【0034】
N
ω−アシルアミノ酸(2)としては、例えば、N
ε−アシルリジン(例:N
ε−ヘキサノイル−L−リジン、N
ε−オクタノイル−L−リジン等)、N
δ−アシルオルニチン(例:N
δ−ヘキサノイル−L−オルニチン等)、N
γ−アシル−α,γ−ジアミノ酪酸等が挙げられる。
ジカルボン酸ジクロライド(3)としては、例えば、オギザリルクロライド、マロニルクロライド、スクシニルクロライド、グルタリルクロライド、アジポイルクロライド、ピメロイルクロライド、スベロイルクロライド、アゼラオイルクロライド、セバコイルクロライド、ドデカンジオイルクロライド等が挙げられる。ジカルボン酸ジクロライド(3)の使用量は、N
ω−アシルアミノ酸(2)に対して通常0.4〜0.6当量である。
溶媒としては、反応に不活性な溶媒であれば特に限定されないが、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類が挙げられる。
【0035】
また、化合物(1)のうち、非対称型の化合物(1’’)は下記の通り製造することができる。まず、N
ω−アシルアミノ酸(2)とジカルボン酸モノクロライドモノエステル(4)を適切な溶媒中で反応させて化合物(5)を得る(工程1)。続いて、得られた化合物(5)の1級エステル部位を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基存在下で加水分解した後、チオニルクロライド等のクロロ化剤を用いてカルボン酸部位をクロロ化し、前記工程1で用いたN
ω−アシルアミノ酸(2)とは異なるN
ω−アシルアミノ酸(2’)を反応させることにより製造することができる(工程2)。
【0037】
(式中、R
1’、R
3’、z’およびx’は前記定義と同義であり、R
2’は炭素原子数5〜21のアルキル基または炭素原子数5〜21のアルケニル基であり、R
4’は水素原子、炭素原子数1〜22のアルキル基または炭素原子数2〜22のアルケニル基であり、R
5はメチル基、エチル基等のアルキル基であり、y’は2〜4の整数である。)
【0038】
N
ω−アシルアミノ酸(2)および(2’)は、前記と同様のN
ω−アシルアミノ酸を用いることができる。
ジカルボン酸モノクロライドモノエステル(4)は、市販されている場合には市販品をそのまま用いることができ、自体公知の方法またはそれに準じた方法にて製造したものを用いることもできる。
【0039】
なお、前記方法で得られた化合物(1)を、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、有機アミン塩基等と反応させることにより、化合物(1)の塩に変換することができる。
【0040】
本発明の組成物における成分(A):化合物(1)またはその塩の含有量は、組成物全量に対して通常0.001〜10重量%であり、0.01〜5重量%が好ましい。
【0041】
2.成分(B):アシル酸性アミノ酸およびその塩ならびにアシル中性アミノ酸およびその塩からなる群から選択される少なくとも一種のアシルアミノ酸またはその塩
本明細書における「アシル酸性アミノ酸」および「アシル中性アミノ酸」のアシル基としては、炭素原子数8〜22の飽和または不飽和脂肪酸より誘導される、直鎖または分岐鎖のものを使用できる。アシル基の具体例としては、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オレオイル基、リノレイル基、天然由来の混合脂肪酸(例、ヤシ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、パーム油脂肪酸)より誘導されるアシル基等が挙げられる。好ましくは、ラウロイル基、ミリストイル基、ヤシ油脂肪酸より誘導されるアシル基である。
【0042】
本明細書における「アシル酸性アミノ酸」の酸性アミノ酸としては、グルタミン酸、アスパラギン酸等が挙げられる。
【0043】
本明細書における「アシル中性アミノ酸」の中性アミノ酸としては、グリシン、N−メチルグリシン、β−アラニン、アラニン、N−メチル−β−アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、スレオニン、フェニルアラニン、プロリン、γ−アミノ酪酸等が挙げられる。中でも、グリシン、N−メチルグリシン、β−アラニン、アラニン、N−メチル−β−アラニン、スレオニンが好ましく、グリシン、β−アラニン、アラニン、スレオニンがより好ましく、グリシンが特に好ましい。
なお、不斉炭素原子を有するアミノ酸に関しては、光学活性体またはラセミ体のいずれでもよい。
【0044】
アシル酸性アミノ酸としては、ラウロイルグルタミン酸、ミリストイルグルタミン酸、ココイルグルタミン酸、ラウロイルアスパラギン酸が好ましく、ラウロイルグルタミン酸、ミリストイルグルタミン酸、ココイルグルタミン酸がより好ましい。アシル中性アミノ酸としては、ココイルグリシン、ココイルアラニン、ラウロイルβ−アラニン、ラウロイルN−メチルグリシン、ココイルスレオニンが好ましい。
【0045】
アシル酸性アミノ酸塩、アシル中性アミノ酸塩の塩としては特に限定されず、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛との塩等の無機塩、あるいはアンモニウム塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等の有機アミン塩や、アルギニン塩、リジン塩等の塩基性アミノ酸塩等の有機塩が挙げられる。これらのうち1種を使用してもよいし、上記群から選ばれる2種以上を混合して使用しても構わない。入手の容易性、取り扱い性等の観点から、アルカリ金属塩、有機アミン塩、塩基性アミノ酸塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩が特に好ましい。
【0046】
アシルアミノ酸またはその塩は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0047】
本発明の組成物における成分(B):アシル酸性アミノ酸およびその塩ならびにアシル中性アミノ酸およびその塩からなる群から選択される少なくとも一種のアシルアミノ酸またはその塩の含有量は、組成物全量に対して通常1〜50重量%であり、好ましくは1〜40重量%である。
【0048】
3.成分(C):ポリオール
本明細書における「ポリオール」とは、分子内に水酸基を2個以上有する、炭素原子数2個以上(好ましくは、炭素原子数2〜6)の直鎖または分岐状の多価アルコールを意味する。「ポリオール」の具体的としては、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、へキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール等が挙げられる。「ポリオール」の好適な例としては、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ソルビトールが挙げられ、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、1,3−プロパンジオールがより好適な例として、グリセリン、1,3−ブチレングリコールが特に好適な例として挙げられる。
【0049】
本発明の組成物における成分(C):ポリオールの含有量は、組成物全量に対して通常1〜50重量%であり、好ましくは3〜40重量%である。
【0050】
4.成分(D):脂肪酸またはその塩、脂肪酸アルカノールアミド、モノ脂肪酸グリセリル、モノ脂肪酸プロピレングリコール、モノ脂肪酸ブチレングリコール、モノ脂肪酸ジエチレングリコール、アルキルポリグルコシドおよび両性界面活性剤から選ばれる少なくとも一種の成分
本明細書における「脂肪酸」とは、炭素数8〜22の飽和または不飽和脂肪酸を意味する。「脂肪酸」の具体例としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。
「脂肪酸の塩」としては、前記「アシル酸性アミノ酸の塩、アシル中性アミノ酸塩の塩」と同様の塩が挙げられる。
【0051】
本明細書における「脂肪酸アルカノールアミド」の「脂肪酸」としては、前記「脂肪酸」と同様のものが挙げられる。「脂肪酸アルカノールアミド」の具体例としては、ラウリン酸モノエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ミリスチン酸ジエタノールアミド、パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノイソプロパノールアミド、ヤシ油脂肪酸−N−メチルエタノールアミド等が挙げられる。
【0052】
本明細書における「モノ脂肪酸グリセリル」、「モノ脂肪酸プロピレングリコール」、「モノ脂肪酸ブチレングリコール」および「モノ脂肪酸ジエチレングリコール」の「脂肪酸」としては、前記「脂肪酸」と同様のものが挙げられる。「モノ脂肪酸グリセリル」、「モノ脂肪酸プロピレングリコール」、「モノ脂肪酸ブチレングリコール」および「モノ脂肪酸ジエチレングリコール」の具体例としては、カプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノラウリン酸グリセリル、モノラウリン酸ブチレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノミリスチン酸グリセリル、モノパルミチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル等が挙げられる。
【0053】
本明細書における「アルキルポリグルコシド」としては、例えば、デシルグルコシド、ラウリルグルコシド、ココグルコシド等が挙げられる。
【0054】
本明細書における「両性界面活性剤」の具体例としては、アルキルベタイン型(例、ココベタイン、ラウリルベタイン、ミリスチルベタイン等)、アミドベタイン型(例、コカミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ミリスタミドプロピルベタイン、パーム核脂肪酸アミドプロピルベタイン等)、イミダゾリニウムベタイン型(例、ココアンホ酢酸ナトリウム、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ラウロアンホジ酢酸ナトリウム等)、スルタイン型(例、ラウリルヒドロキシスルタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン等)、スルホ酢酸塩(例、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム等)等が挙げられる。
【0055】
本発明の組成物における成分(D):脂肪酸またはその塩、脂肪酸アルカノールアミド、モノ脂肪酸グリセリル、モノ脂肪酸プロピレングリコール、モノ脂肪酸ブチレングリコール、モノ脂肪酸ジエチレングリコール、アルキルポリグルコシドおよび両性界面活性剤から選ばれる少なくとも一種の成分の含有量は、組成物全量に対して通常0.1〜50重量%であり、好ましくは0.1〜25重量%である。
【0056】
5.成分(E):親水性増粘剤
本明細書における「親水性増粘剤」しては、増粘作用を有する親水性の成分であれば特に限定されないが、例えば、ノニオン性セルロース系高分子(例、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等)、アニオン性セルロース系高分子(例、カルボキシメチルセルロース等)、アクリル酸系高分子(例、カルボマー、アクリレーツコポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル)クロスポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸パルメス−25)コポリマー等)、天然系高分子(例、キサンタンガム、グアーガム、アルギン酸、カラギーナン等)、疎水化ポリエチレングリコール類(例、ジステアリン酸PEG−150、ジオレイン酸PEG−120メチルグルコース、テトラステアリン酸PEG−150ペンタエリスリチル等)、変性デンプン(例、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸等)、ポリビニルピロリドン、高重合ポリエチレングリコール(例、PEG−14M等)、水膨潤性粘土鉱物(例、ベントナイト、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト等)等が挙げられる。
【0057】
本発明の組成物における成分(E):親水性増粘剤の含有量は、組成物全量に対して通常0.1〜10重量%であり、好ましくは0.1〜5重量%である。
【0058】
親水性増粘剤は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0059】
本発明は、また、前記本発明の組成物を含有するクリーム状洗浄剤に関する。
【0060】
本発明のクリーム状洗浄剤としては、具体的には、皮膚洗浄剤、洗顔料等が挙げられる。
【0061】
本発明のクリーム状洗浄剤は、通常クリーム状洗浄剤に添加してもよい成分を本発明の効果を阻害しない範囲で含有してもよい。具体的には、油剤、キレート剤、アミノ酸類、ポリアミノ酸およびその塩、糖アルコールおよびそのアルキレンオキシド付加物、低級アルコール、動植物抽出物、核酸、ビタミン、酵素、抗炎症剤、殺菌剤、防腐剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、制汗剤、顔料、色素、酸化染料、pH調整剤、パール化剤、湿潤剤等が挙げられる。
【0062】
本発明の組成物、および該組成物を含むクリーム状洗浄剤は、常法に従って製造することができる。
【実施例】
【0063】
次に製造例および実施例により、本発明を具体的に説明する。なお、本発明は以下の製造例および実施例に限定されるものではない。また「%」は特に断りが無い限り「重量%」を示す。
【0064】
〔製造例1〕ビス(N
ε-ラウロイル-L-リジン)セバコイルアミドジナトリウム塩の合成
N
ε−ラウロイル−L−リジン8.2g(25mmol)を、水70gおよび25%水酸化ナトリウム水溶液(10g)に溶解させ、ジエチルエーテル80gを加えた。そこへセバコイルクロライド3.3g(14mmol)をエーテル層にゆっくり加えた。この2層溶液を0℃に保持したまま1時間ほど攪拌し、その後室温で23時間攪拌した。次いで、75%硫酸を滴下し、pH2に調整した後、得られた白色沈殿を濾取し、水でよく洗い乾燥した。得られた化合物を水酸化ナトリウム水溶液に溶解させて10%のビス(N
ε−ラウロイル−L−リジン)セバコイルアミドジナトリウム塩水溶液を得た。
【0065】
〔製造例2〕ビス(N
ε−オクタノイル−L−リジン)セバコイルアミドジナトリウム塩の合成
N
ε−オクタノイル−L−リジン6.8g(25mmol)を水70gおよび25%水酸化ナトリウム水溶液(10g)に溶解させ、ジエチルエーテル80gを加えた。そこへセバコイルクロライド3.3g(14mmol)をエーテル層にゆっくり加えた。この2層溶液を0℃に保持したまま1時間ほど攪拌し、その後室温で23時間攪拌した。次いで、75%硫酸を滴下し、pH2に調整した後、得られた白色沈殿を濾取し、水でよく洗い乾燥した。得られた化合物を水酸化ナトリウム水溶液に溶解させて10%のビス(N
ε−オクタノイル−L−リジン)セバコイルアミドジナトリウム塩水溶液を得た。
ビス(N
ε−オクタノイル−L−リジン)セバコイルアミド(フリー体)の
1H-NMR
1H-NMR(400 MHz, DMSO-d
6, TMS, 25 ℃):δ 0.85 (t, J = 6.8 Hz, 6H), 1.20-1.29 (m, 28H), 1.32-1.38 (m, 4H), 1.45-1.50 (m, 8H), 1.54-1.59 (m, 4H), 2.02 (t, J = 7.4 Hz, 4H), 2.09 (t, J = 7.4 Hz, 4H), 2.99 (q, J = 6.5 Hz, 4H), 4.08-4.47 (m, 2H), 7.73 (t, J= 5.6 Hz, 2H), 7.97 (d, J = 8.0 Hz, 2H).
【0066】
〔実施例1〜9〕、および〔比較例1〜3〕
下記表1〜3に示す配合組成(実施例および比較例中の配合量は重量%)からなる組成物(クリーム状洗浄剤)を以下の方法により調製し、専門パネラー(10名)によって水への溶けやすさ(水へのなじみ)、泡立ちの速さ、泡量、すすぎの速さおよび乾燥後のさらさら感について評価し、下記の基準に従って評点した。
【0067】
1.実施例1〜3、および比較例1の組成物の調製
下記表1に示す全成分(成分(A)〜成分(E)、クエン酸水溶液(20%)および水)を60〜70℃にて撹拌溶解し、均一に分散させた後、室温までゆっくりと温度を下げ、クリーム状になるまで緩やかに撹拌した。以下表中の各成分の数値は組成物全体を100重量%とした場合の重量%を示す。
【0068】
2.実施例4〜6、および比較例2の組成物の調製
下記表2に示す成分(A)〜成分(E)を室温にて撹拌した後、水を加え、減圧下70〜80℃にて撹拌溶解した。その後、残りの成分を加え、均一に分散させた後、室温までゆっくりと温度を下げ、クリーム状になるまで緩やかに撹拌した。
【0069】
3.実施例7〜9、および比較例3の組成物の調製
下記表3に示す成分(A)〜成分(D)を80℃にて撹拌した後、残りの成分を加え、室温までゆっくりと温度を下げ、クリーム状になるまで緩やかに撹拌した。
【0070】
4.実施例10、11、および比較例4、5の組成物の調製
下記表4に示す成分(A)〜成分(C)を80℃にて撹拌した後、残りの成分を加え、室温までゆっくりと温度を下げ、クリーム状になるまで緩やかに撹拌した。
【0071】
1)水への溶けやすさ(水へのなじみ)
3点:水への溶けやすさが非常に良好である。
2点:水への溶けやすさが良好である。
1点:水への溶けやすさが普通である。
0点:水に溶けにくい。
【0072】
2)泡立ちの速さ
3点:泡立ちの速さが非常に良好である。
2点:泡立ちの速さが良好である。
1点:泡立ちの速さが普通である。
0点:泡立ちの速さが悪い。
【0073】
3)泡量
3点:泡量が非常に良好である。
2点:泡量が良好である。
1点:泡量が普通である。
0点:泡量が悪い。
【0074】
4)すすぎの速さ
3点:すすぎ時にぬるつきが全くなく、すすぎの速さが非常に良好である。
2点:すすぎ時にぬるつきがなく、すすぎの速さが良好である。
1点:すすぎ時にややぬるつきがあり、すすぎの速さが普通である。
0点:すすぎ時にぬるつきがあり、すすぎの速さが悪い。
【0075】
5)乾燥後のさらさら感
3点:乾燥後に肌が全くべたつかず、さらさら感が非常に良好である。
2点:乾燥後に肌がべたつかず、さらさら感が良好である。
1点:乾燥後に肌がべたつかず、さらさら感が普通である。
0点:乾燥後に肌がべたつき、さらさら感がない。
【0076】
上記の基準に従って各パネラーが評点した後、評点を平均して、下記の指標に従って評価分類を行った。
◎:評点の平均値が2.2以上
○:評点の平均値が1.5以上2.2未満
△:評点の平均値が0.8以上1.5未満
×:評点の平均値が0.8未満
【0077】
結果を表1〜表4に示す。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【表3】
【表4】
【0080】
本発明の組成物(実施例1〜11)は、水への溶けやすさ(水へのなじみ)、泡立ちの速さ、泡量、すすぎの速さおよび乾燥後のさらさら感のいずれの評価項目についても、非常に良好または良好であった。
【0081】
以下、本発明に係る組成物の好適な配合例について説明する。
【0082】
配合例1 洗顔フォーム
下記表5に示す配合の洗顔フォームを常法に従い調製した。
【0083】
【表5】
【0084】
配合例2 洗顔フォーム
下記表6に示す配合の洗顔フォームを常法に従い調製した。
【0085】
【表6】
【0086】
配合例3 洗顔フォーム
下記表7に示す配合の洗顔フォームを常法に従い調製した。
【0087】
【表7】
【0088】
配合例4 洗顔フォーム
下記表8に示す配合の洗顔フォームを常法に従い調製した。
【0089】
【表8】
【0090】
配合例5 洗顔フォーム
下記表9に示す配合の洗顔フォームを常法に従い調製した。
【0091】
【表9】
【0092】
配合例6 洗顔フォーム
下記表10に示す配合の洗顔フォームを常法に従い調製した。
【0093】
【表10】
【0094】
配合例1〜6の化粧料は、いずれも水への溶けやすさ(水へのなじみ)、泡立ちの速さ、泡量、すすぎの速さおよび乾燥後のさらさら感に優れていた。
【0095】
なお、使用した材料の詳細は以下のとおりである。
アシルグリシンナトリウム、水:アミライトGCS−12K(39%)(味の素社製)
グリセリン:(花王社製)
ジメチコン:SH200C 200cs(東レ・ダウコーニング社製)
フルオロケイ酸(Mg/Na):KAPONITE XL21(ウィルバー・エリス社製)
キサンタンガム:ケルトロールCG−T(CP Kelco社製)
ラウロアンホ酢酸ナトリウム、水:ソフタゾリンLHL(30%)(川研ファインケミカル社製)
ラウラミドプロピルベタイン、水:ソフタゾリンLPB(30%)(川研ファインケミカル社製)
ワセリン:サンホワイトP−200(日興リカ社製)
ラウリン酸:NAA−122(NOF社製)
ヒドロキシプロピルデンプンリン酸:STRUCTURE XL(AKZO NOBEL社製)
アクリレーツコポリマー:Carbopol AQUA SF−1(Lubrizol Advanced Materials社製)
ミリストイルグルタミン酸カリウム:アミソフトMK−11(味の素社製)
ブチレングリコール:1,3−B.G.(ダイセル化学工業社製)
ジプロピレングリコール:(ADEKA社製)
ステアリン酸グリセリル(SE):EMALEZ GMS−2E(日本エマルジョン社製)
ココイルアラニンナトリウム、水:アミライトACS−12(30%)(味の素社製)
ポリクオタニウム−39:マーコートプラス3330(Lubrizol Advanced Materials社製)
ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、水:アミノフォーマーFLCS−S1(30%)(旭化成工業社製)
スルホコハク酸ラウリルジナトリウム、水:コハクールL−40(26%)(東邦化学工業社製)
ミリスチルベタイン、水:リカビオンB−300(新日本理化社製)
ステアリン酸:NAA−188(NOF社製)
ベタイン:AUQADEW AN−100(味の素社製)
ラウロイルグルタミン酸ナトリウム:アミソフトLS−11(味の素社製)
ステアリン酸ナトリウム:ノンサールSN−1(NOF社製)
ラウリン酸ナトリウム:ノンサールLN−1(NOF社製)
ポリソルベート20:ノニオンTL−10(NOF社製)
コカミドDEA(ジエタノールアミン):