特許第6686918号(P6686918)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6686918
(24)【登録日】2020年4月6日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】車椅子固定装置
(51)【国際特許分類】
   A61G 3/08 20060101AFI20200413BHJP
   B60P 3/00 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
   A61G3/08
   B60P3/00 A
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-14766(P2017-14766)
(22)【出願日】2017年1月30日
(65)【公開番号】特開2018-121758(P2018-121758A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2019年3月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】板東 伸幸
【審査官】 永石 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−129023(JP,A)
【文献】 特開2002−58706(JP,A)
【文献】 特開平9−207647(JP,A)
【文献】 米国特許第5628595(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 1/06
3/08
B60P 3/00
3/073 − 3/079
7/08 − 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に車椅子の被係止部材を係入可能に設けられた係合凹部を有していて、基端が係入方向及び反係入方向に揺動自在に支持されたフック部材であって、前記基端と前記係合凹部との間において、延出した摺接面を備えたロック孔を有するフック部材と、
直線の往復軌道を有して移動自在に設けられているとともに、常時付勢されて、前記摺接面を押圧及び摺接することにより前記フック部材を係入方向へ揺動可能に配置されたロック部材と、
前記摺接面に沿った摺接線に対する前記ロック部材の直線の往復軌道との交差角度を変化させる交差角度変更部であって、前記交差角度の変更に応じて、前記フック部材の係合凹部に車椅子の被係止部材が係入された状態をロックするロック状態と、ロック解除状態の遷移を行う交差角度変更部を有する車椅子固定装置。
【請求項2】
前記交差角度変更部は、侵入時の前記被係止部材の押圧にて揺動操作されるとともに、前記被係止部材の押圧方向とは反対側に付勢されたレバー部材を揺動自在に支持する操作部と、前記操作部に対して基端が揺動自在に連結されるとともに、前記フック部材の基端側に向かって延びる先端を有していて、前記レバー部材の揺動と連係して揺動する揺動部材と、前記揺動部材に設けられ、前記ロック部材を支持して直線の往復軌道を形成する直線移動部材と含み、
前記ロック解除状態のときは、前記被係止部材による前記レバー部材への押圧が解除されて、前記被係止部材の押圧方向とは反対側に付勢されたレバー部材により、前記揺動部材がアンロック揺動位置に位置することにより、前記交差角度を、前記ロック部材と前記摺接面との間の静止摩擦力によってはロック不能なアンロック角度とし、
前記ロック状態のときは、前記被係止部材の押圧による、前記レバー部材の揺動にともない、前記揺動部材が、ロック揺動位置に位置して、前記交差角度を、前記ロック部材と前記摺接面との間の静止摩擦力によりロックするロック角度(<アンロック角度)とする請求項1に記載の車椅子固定装置。
【請求項3】
前記操作部は、前記フック部材の基端に対して、第1操作位置、第2操作位置、及び第3操作位置の順に、より近位となるように操作自在に配置されており、
第1操作位置に前記操作部が位置し、かつ、前記レバー部材が前記車椅子の被係止部材に当接していないときの待ち状態では、前記レバー部材及び前記揺動部材が揺動自在となることにより、前記交差角度がアンロック角度となり、
前記交差角度変更部は、
第1操作位置に前記操作部が位置した状態で、前記被係止部材の押圧によってロック状態となり、第2操作位置に前記操作部が位置したときは、ロック解除状態になり、
第3操作位置に前記操作部が位置したときは、前記ロック部材が、前記ロック孔の摺接面とは反対側の面を押圧して、前記被係止部材に対する前記係合凹部の係合を解放するフック解除状態となる請求項2に記載の車椅子固定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車椅子固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車室に乗り入れた車椅子を固定する固定装置は、特許文献1及び特許文献2が公知である。特許文献1では、車椅子のフレームと車室フロア間を、複数のベルト部材と固縛部材とにより連結して、車椅子を固定することが行われている。また、特許文献1では、自動巻取装置により、固縛部材の長さを調整可能とすることも行われている。
【0003】
特許文献2の固定装置は、車椅子の横移動を規制する車輪ガイドと、車室フロアに設けられたベルトガイドを通過させて、車椅子に掛け渡す固定ベルトと、前記固定ベルトの緊張状態を保持するベルト緊張手段とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−209946号公報
【特許文献2】特開2000−116713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記固定装置では、ベルト部材、固定ベルト等を車椅子に連結してロックし、及び連結の解除(すなわち、ロック解除)をする人の作業が必要であり、煩雑であり手間を要する。
【0006】
本発明の目的は、簡単な構成で、車椅子に設けられた被係止部材を容易にロック及びロック解除することができる車椅子固定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、本発明は、先端に車椅子の被係止部材を係入可能に設けられた係合凹部を有していて、基端が係入方向及び反係入方向に揺動自在に支持されたフック部材であって、前記基端と前記係合凹部との間において、延出した摺接面を備えたロック孔を有するフック部材と、直線の往復軌道を有して移動自在に設けられているとともに、常時付勢されて、前記摺接面を押圧及び摺接することにより前記フック部材を係入方向へ揺動可能に配置されたロック部材と、前記摺接面に沿った摺接線に対する前記ロック部材の直線の往復軌道との交差角度を変化させる交差角度変更部であって、前記交差角度の変更に応じて、前記フック部材の係合凹部に車椅子の被係止部材が係入された状態をロックするロック状態と、ロック解除状態の遷移を行う交差角度変更部を有するものである。
【0008】
また、前記交差角度変更部は、侵入時の前記被係止部材の押圧にて揺動操作されるとともに、前記被係止部材の押圧方向とは反対側に付勢されたレバー部材を揺動自在に支持する操作部と、前記操作部に対して基端が揺動自在に連結されるとともに、前記フック部材の基端側に向かって延びる先端を有していて、前記レバー部材の揺動と連係して揺動する揺動部材と、前記揺動部材に設けられ、前記ロック部材を支持して直線の往復軌道を形成する直線移動部材と含み、前記ロック解除状態のときは、前記被係止部材による前記レバー部材への押圧が解除されて、前記被係止部材の押圧方向とは反対側に付勢されたレバー部材により、前記揺動部材がアンロック揺動位置に位置することにより、前記交差角度を、前記ロック部材と前記摺接面との間の静止摩擦力によってはロック不能なアンロック角度とし、前記ロック状態のときは、前記被係止部材の押圧による、前記レバー部材の揺動にともない、前記揺動部材が、ロック揺動位置に位置して、前記交差角度を、前記ロック部材と前記摺接面との間の静止摩擦力によりロックするロック角度(<アンロック角度)とするものとしてよい。
【0009】
また、前記操作部は、前記フック部材の基端に対して、第1操作位置、第2操作位置、及び第3操作位置の順に、より近位となるように操作自在に配置されており、第1操作位置に前記操作部が位置し、かつ、前記レバー部材が前記車椅子の被係止部材に当接していないときの待ち状態では、前記レバー部材及び前記揺動部材が揺動自在となることにより、前記交差角度がアンロック角度となり、前記交差角度変更部は、第1操作位置に前記操作部が位置した状態で、前記被係止部材の押圧によってロック状態となり、第2操作位置に前記操作部が位置したときは、ロック解除状態になり、第3操作位置に前記操作部が位置したときは、前記ロック部材が、前記ロック孔の摺接面とは反対側の面を押圧して、前記被係止部材に対する前記係合凹部の係合を解放するフック解除状態となるものとしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡単な構成で、車椅子に設けられた被係止部材を容易にロック及びロック解除することができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】(a)は一実施形態の車椅子固定装置の平面図、(b)は一実施形態の車椅子固定装置の側面図。
図2】(a)は一実施形態の車椅子固定装置の斜視図、(b)は連結軸516の断面図。
図3】一実施形態の車椅子固定装置の分解斜視図。
図4】車椅子固定装置の待ち状態の要部説明図。
図5】車椅子固定装置のロック状態の要部説明図。
図6】車椅子固定装置のロック解除状態の要部説明図。
図7】車椅子固定装置のフック解除状態の要部説明図。
図8】車椅子固定装置のロック状態のときにロックバー等に作用する力、及びロックバーの移動方向を示す説明図。
図9】車椅子の概略説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1図9を参照して、以下、本発明の車椅子固定装置を具体化した一実施形態を説明する。
図9を参照して、車椅子20を簡単に説明する。車椅子20は金属パイプで構成したフレーム22に着座部24、背もたれ26、肘かけ28、ステップ30を備えている。フレーム22は左右両側に配置された一対の主輪32と、補助輪34とで支えられており、走行自在としている。フレーム22には、介助者が車椅子20を押す場合に用いるグリップ36が設けられている。本実施形態では、フレーム22の下部には、被係止部材としてのアンカーバー38が設けられている。金属製のアンカーバー38は、その左右両端が上方に立ち上がった連結部38aを介してフレームの下部に一体に連結されていて、車椅子20の幅方向(左右方向)に亘って設けられている。アンカーバー38の左右方向の長さは、後述する車椅子固定装置10のフックプレート106、206の離間距離よりも長くされている。
【0013】
<車椅子固定装置10>
図1(a)等を参照して、車椅子固定装置10について説明する。車椅子固定装置10は左右にそれぞれ配置された一対のフック装置100、200と、フック装置100、200をロック状態とする一対のロック機構300、400と、ロック状態のロック機構300、400に対してアンロック操作を行う操作部500と、ロック状態が容易にロック解除状態とならないようにするインターロック機構600を備える。
【0014】
<フック装置100、200>
図1(a)、図1(b)、図2(a)に示すように、フック装置100、200は、図示しない車両の車室フロアに対して固定されたベース板12の上面に対して車両の左右方向において相互に離間し、かつ前後方向に沿って配置されている。
【0015】
フック装置100は、ベース板12に立設されたアウタープレート102及びインナープレート104と、両プレート102、104間に挟まれて、両プレート102、104の前端に対して揺動自在に軸108にて支持されたフックプレート106とにて構成されている。
【0016】
図2(a)、図3に示すようにフックプレート106の後端(すなわち、先端)の下部は、先端側へ行くほど上下幅が狭くなるように斜状のガイド部110が設けられている。また、フックプレート106は、ガイド部110の終端(前端)に隣接する係合凹部112が車椅子20のアンカーバー38に対して係止可能に上方へ凹設されている。フックプレート106の揺動方向の中で下方向は係入方向に相当し、上方向は反係入方向に相当する。フックプレート106は、フック部材に相当する。
【0017】
図2(a)、図4に示すようにフックプレート106には前端(すなわち、基端)から後方向の略中央部に亘って、長孔状のロック孔114が貫通して形成されている。図4図7に示すように、ロック孔114は、前後方向に延びる下部内周面116及び上部内周面117を有していて、後述するロックバー330の径よりもその上下幅(すなわち、下部内周面116・上部内周面117間の距離)が長く形成されている。また、ロック孔114の下部内周面116は、係合凹部112が車椅子20のアンカーバー38を係入した状態では、先端側に向かうほど、基端側よりも上方へいくように斜状に形成されている。下部内周面116は、摺接面に相当する。
【0018】
図1(a)に示すようにアウタープレート102及びインナープレート104はフックプレート106と平行に配置されている。
図3に示すように、アウタープレート102及びインナープレート104には、貫通孔118、120がそれぞれ形成されている。貫通孔118、120は、基端から後方向に延びて長孔状に形成されている。貫通孔118、120は、後述するロックバー330の移動を許容する大きさに設定されている。
【0019】
図2(a)、図3に示すようにアウタープレート102の後端面には、上下方向に延びるストッパ面102aが形成されている。ストッパ面102aの下部は、アンカーバー38の高さh1より低い位置に設定されている。なお、ストッパ面102aは、鉛直に設けられていてもよく、或いは、上方へ行くほど前方へ向くように斜状に設けられていてもよい。また、上下方向に延びるように円弧状であってもよい。
【0020】
ストッパ面102aは、車椅子固定装置10の後方から侵入してきた車椅子20のアンカーバー38に当接して車椅子20の前方への移動を阻止する。
フック装置200を構成する各部材は、フック装置200とフック装置100との間を前後方向に通過する仮想鉛直平面を基準に鏡面対称状(すなわち、左右対称状)に設けられている。このため、フック装置200を構成する部材であって、フック装置100を構成する部材に相当するものには、その部材に付した符号のうち、2桁までの符号を同じとし、3桁目の100番を200番に代えることによりその詳細な説明を省略する。
【0021】
図1(a)、図2(a)、図3に示すように、上記のようにしてフック装置200は、アウタープレート202、インナープレート204及び軸208で回転自在に支持されたフックプレート206を備えている。フックプレート206はフック部材に相当する。図1(b)示すように、アウタープレート202の後端面にはストッパ面202aを有する。図1(b)、図4図7において、Kは、ストッパ面102a,202aの前後位置を示している。図1(a)、図3に示すように、アウタープレート202及びインナープレート204には、貫通孔218、220を有する。
【0022】
また、フックプレート206は、下部内周面216及び上部内周面217を有するロック孔214、ガイド部210及び係合凹部212を有する。下部内周面216は、摺接面に相当する。
【0023】
<ロック機構300、400>
次にロック機構300について説明する。
図1(a)、図2(a)、図3に示すように、ベース板12上において、フック装置100とフック装置200間の領域に、操作レバーベース502が前後方向に移動自在に載置されている。操作レバーベース502は、支持部材に相当する。
【0024】
操作レバーベース502の左右両端には、一対の軸受片504が上方へ突設されている。一対の軸受片504には、平板状の機構ベース250が揺動自在に連結されている。具体的には、機構ベース250の後端(すなわち、基端)の左右両端には、一対の軸受片252が上方へ立設されていて、操作レバーベース502の軸受片504がそれぞれ重ね合わされた状態で、揺動軸254にてそれぞれ揺動自在に操作レバーベース502に対して連結されている。機構ベース250は、揺動軸254に巻装された捩りバネ256により、前端(すなわち、先端)が上方へ揺動するように常時付勢されている。機構ベース250は、揺動部材に相当する。また、機構ベース250の前端(先端)は、フック部材であるフックプレート106、206の基端側に向かって延びたものである。
【0025】
ロック機構300は、機構ベース250上に設けられて前後方向に延出されたガイドレール310と、ガイドレール310に対して前後方向へ直線的にスライドし、上方への抜け出し不能に取付けられたガイドブロック320と、ガイドブロック320の上面に固定されたロックバー330とにて構成されている。ガイドブロック320は、直線移動部材に相当する。ガイドレール310は、フック装置100、200間の中央よりも、フック装置100側に寄った位置で機構ベース250の上面に固定されている。ロックバー330は右方へ水平に延出されていて、その先端が、フック装置100の貫通孔120、ロック孔114及び貫通孔120を介して、フック装置100から外方(右方)へ突出して配置されている。
【0026】
図3に示すように、ガイドブロック320は、機構ベース250に掛け止められた付勢バネ322が掛け止められて、機構ベース250の後端側へ移動するように付勢されている。ロックバー330は、ガイドブロック320がガイドレール310を前後方向にスライドすることにより、前後方向へ往復する直線の往復軌道を有する。
【0027】
前記ロック孔114の下部内周面116は、前述したように、係合凹部112が車椅子20のアンカーバー38を係止状態で、先端側に向かうほど、基端側よりも上方へいくように斜状に形成されており、ロックバー330の往復軌道に対しては交差するように設定されている。
【0028】
図2(a)、図3に示すように、機構ベース250において、左右方向の中央部には、ガイド孔260が前後方向に延出して形成され、該ガイド孔260には、ベース板12上面から突出されたガイドピン19が挿入されている。ガイドピン19は、機構ベース250が前後方向に操作された際、ガイド孔260を介して機構ベース250を前後方向にガイドする。ガイド孔260は、解除レバー510及び502の後述する操作位置(すなわち、第1操作位置〜第3操作位置)に位置することを許容する前後方向の長さを有している。
【0029】
ロック機構400について説明する。
ロック機構400を構成する各部材は、ロック機構300とロック機構400との間を前後方向に通過する仮想鉛直平面を基準に鏡面対称状(すなわち、左右対称状)に設けられている。ロック機構400を構成する部材であって、ロック機構300を構成する部材に相当するものには、その部材に付した符号のうち、2桁までの符号を同じとし、3桁目の300番を400番に代えることによりその詳細な説明を省略する。
【0030】
上記のことから、ロック機構400は、機構ベース250上に設けられて前後方向に延出されたガイドレール410と、ガイドレール410上を前後方向へ直線的にスライドするガイドブロック420と、ロックバー430の上面に固定されたロックバー430とにて構成されている。ガイドブロック420は、直線移動部材に相当する。
【0031】
また、上記のことからロックバー430は、ガイドブロック420がガイドレール410を前後方向にスライドすることにより、前後方向へ往復する直線の往復軌道を有する。フックプレート206のロック孔214の下部内周面216は、係合凹部212が車椅子20のアンカーバー38を係止状態で、先端側に向かうほど、基端側よりも上方へいくように斜状に形成されており、ロックバー430の往復軌道に対しては交差する。また、ガイドブロック420は、機構ベース250に掛け止められた付勢バネ422が掛け止められて、機構ベース250の後端側へ移動するように付勢されている。
【0032】
なお、本実施形態では、ガイドレール310とガイドレール410は相互に平行に配置されているが、両レールの高さが同じであって、ガイドブロック320、420が相互に干渉しなければ必ずしも平行にする必要はない。
【0033】
<操作部500>
次に、操作部500について説明する。
図1(a)及び図2(a)に示すように、操作部500は、前記操作レバーベース502と、解除レバー510とにて構成されている。
【0034】
図1(a)に示すように、フック装置100とフック装置200間の中央を通過する前記仮想鉛直平面に含まれる水平基準線Oを想定すると、ベース板12には、該水平基準線O上に位置するガイド孔16、18aが前後方向に延出して、かつ前後に位置するように透設されている。ガイド孔16は、解除レバー510の後述する操作位置(すなわち、第1操作位置〜第3操作位置)に位置することを許容する前後方向の長さを有している。
【0035】
ガイド孔18aの後端には、係止部18bが右側に向かって凹設されている。なお、係止部18bの凹設する方向は、左側であってもよい。
解除レバー510は、操作レバーベース502の後端に対して、連結軸516にて揺動操作自在に連結されている(図2(b)参照)。連結軸516の下端は、ガイド孔16に対して前後方向に摺動自在に挿入されている。
【0036】
図2(b)に示すように連結軸516の上下両端には、各端面にネジ部材516a、516bが螺合されるとともに、一対のワッシャ518、520が嵌合されていて、操作レバーベース502、解除レバー510の連結軸516からの離脱及び連結軸516のガイド孔16からの離脱を防止している。
【0037】
図2(a)及び図3に示すように、解除レバー510には、ガイドピン17が下方へ突出されていて、ガイド孔18aに対して前後方向に摺動自在に挿入されるとともに、係止部18bに対して係入離脱可能に形成されている。すなわち、解除レバー510は、ガイド孔16の後端に連結軸516が当接した状態において、連結軸516の回りの揺動により、ガイドピン17がガイド孔18aの後端に位置して、係止部18bには係入されていない状態と、係止部18bに係入された状態との選択が可能となっている。
【0038】
以下では、ガイド孔16の後端側に位置した状態で、かつ、ガイドピン17が係止部18bに係入されている状態の解除レバー510、すなわち、操作部500の位置を、「第1操作位置」という。また、ガイドピン17が、係止部18bから離脱して、ガイド孔18aに沿ってガイド孔18aの後端から前方へ第1所定距離d1分を移動した位置を、「第2操作位置」という。また、ガイドピン17が、「第2操作位置」から、さらに前方へ移動して、ガイド孔18aの後端から第2所定距離d2(>d1)分離間した位置を、「第3操作位置」という。
【0039】
図2及び図3に示すように解除レバー510とベース板12との間には、解除レバー510を後方へ付勢する付勢バネ522と、右方へ付勢する付勢バネ524が掛装されている。解除レバー510が「第1操作位置」に位置する場合、付勢バネ524により、ガイドピン17は、係止部18b内に保持されている。
【0040】
<インターロック機構600>
図1(a)、図2図7を参照してインターロック機構600について説明する。
図2(a)、図3に示すようにインターロック機構600は、操作レバーベース502の上面から上方へ突出された軸受片506に対して揺動自在に支持されたインターロック部材602と、機構ベース250の前部上面から上方へ突出された軸受片258とインターロック部材602に対して前後両端が連結されたリンク604とにより構成されている。インターロック部材602を軸受片506に揺動自在に支持する軸507は、揺動軸254と同軸となるように配置されている。
【0041】
インターロック部材602は、後方を向いてアンカーバー38と対向する対向面603を有している。インターロック部材602は、レバー部材に相当する。また、前記操作レバーベース502、機構ベース250、及びインターロック部材602は、交差角度変更部を構成している。
【0042】
図5に示すように、対向面603は、インターロック部材602のインターロックが解除されて、ロック機構300、400がロック状態となったときには、面全体が上下方向に沿うように配置されてストッパ面102a,202aの前後位置Kに位置するようにされている。また、対向面603は、後述する車椅子固定装置10の「待ち状態」、「ロック解除状態」、及び「フック解除状態」のときには、全体が後傾するようにされている。
【0043】
<1.待ち状態について>
図4に示すように、解除レバー510(操作部500)が「第1操作位置」に位置するときは、図1(a)に示す捩りバネ256の付勢力により、機構ベース250は、インターロック部材602及びリンク604を介して、前端がベース板12から上方へ離間して、後端よりも高い位置に位置するようにしている。この状態では、図4に示すようにインターロック部材602の対向面603は、後傾することによりアウタープレート102、202のストッパ面102a,202aの前後位置Kよりも後方側に位置するようにしている。
【0044】
解除レバー510(操作部500)が「第1操作位置」に位置している場合において、係合凹部112、212がアンカーバー38と係合していない状態では、フックプレート106、206は、その下部側面がベース板12に当接するようにしている。図4に示すように、この状態において、ロック孔114、214は後端側が斜め上方へ斜状に位置しており、後方へ付勢されているロックバー330、430は、ロック孔114、214の後端に接近した位置に位置している。この状態のときは、ロック孔114、214は後端側が斜め上方へ斜状に位置しており、フックプレート106、206は付勢バネ322、422の付勢力に抗して上方向のフリーな揺動が可能となっている。
【0045】
上記のように、フックプレート106、206が上方向にフリーな揺動が可能な状態のときの、ロック孔114、214の下部内周面(摺接面)116、216の摺接線aと、ロックバー330、430の直線の往復軌道bとを側面視したときの交差角度をアンロック角度θ1という。アンロック角度θ1は、ロックバー330、430が、ロック孔114、214を後端側から前方へフリーに移動可能にする角度でもある。
【0046】
なお、摺接線aは、ロック孔114、214の下部内周面(摺接面)116、216に含まれる線であって、ロックバー330、430が摺接する軌跡となる線である。
アンロック角度θ1は、後述するロック角度θ2よりも大きな角度である。アンロック角度θ1は、捩りバネ256の付勢力によって得られる機構ベース250の揺動角度、ロック孔114、214の下部内周面116、216のベース板12に対する傾き、ロック孔114、214の下部内周面(摺接面)116、216間に働く動摩擦力等で決定される。
【0047】
このように、解除レバー510(操作部500)が「第1操作位置」に位置し、かつ、フックプレート106、206が少なくとも上方への揺動が可能となっている状態を、以下、車椅子固定装置10の「待ち状態」という。
【0048】
<2.ロック状態について>
図5に示すように、解除レバー510(操作部500)が「第1操作位置」に位置し、かつ、インターロック部材602の対向面603が、後傾を解消して、ストッパ面102a,202aの前後位置Kに位置するときは、インターロック部材602はリンク604を介して、機構ベース250の下面全体をベース板12上に当接させるようにしている。
【0049】
この機構ベース250がベース板12上に当接することにより、インターロック部材602は、図5において、反時計回りの揺動が阻止されている。本実施形態では、機構ベース250が、ベース板12に当接する位置は、ロック揺動位置に相当する。また、図5に示すように、対向面603の後傾の解消により、対向面603にはフックプレート106、206の係合凹部112、212内に係合した状態のアンカーバー38が後方から当接し、図5において、インターロック部材602の時計回りの揺動が阻止するようにしている。なお、本実施形態では、アンカーバー38を係合凹部112、212で係合を完了した状態では、フックプレート106、206は、その下部側面がベース板12に当接するようにしている。
【0050】
また、この状態のとき、ロック孔114、214の下部内周面(摺接面)116、216の摺接線aと、ロックバー330、430の直線の往復軌道bとを側面視したときの交差角度をロック角度θ2(<θ1)となるようにしている。
【0051】
ロック角度θ2は、捩りバネ256の付勢力によって得られる機構ベース250の揺動角度、ロック孔114、214の下部内周面116、216のベース板12に対する傾き、ロック孔114、214の下部内周面(摺接面)116、216間に働く静止摩擦力等で決定される。なお、本実施形態では、捩りバネ256の付勢力によって得られる機構ベース250の揺動角度は、ベース板12に当接しているため、0度である。
【0052】
図8は、ロックバー等に作用する力及びロックバーの移動方向を示す説明図である。
同図に示すように、フック部材(フックプレート106、206)を、上方へ押す力F1が作用したとき、ロック角度θ2によって、ロックバー330、430には下部内周面116、216から垂直に作用する入力N、及び下部内周面116、216に沿って後方に向く静止摩擦力Mが発生する。
【0053】
そして、この静止摩擦力Mにより、ロックバー330、430の前方への移動方向を阻止し、このことにより、フックプレート106、206の上方への回動を禁止してロック保持するようにしている。
【0054】
このように、解除レバー510(操作部500)が「第1操作位置」に位置し、かつ、フックプレート106、206が上方への揺動が禁止されている状態を、以下、車椅子固定装置10の「ロック状態」という。
【0055】
<3.ロック解除状態について>
図6に示すように、解除レバー510(操作部500)が「第1操作位置」から「第2操作位置」に移動したときは、インターロック部材602が第1所定距離d1分、前方へ移動することにより、インターロック部材602は、その時計回りの揺動が許容されるようにしている。また、インターロック部材602のこの移動によって、機構ベース250は捩りバネ256の付勢により、前端がベース板12から離間したアンロック揺動位置に位置するようにしている。
【0056】
また、機構ベース250の前端がベース板12から離間した際、ロックバー330、430は、付勢バネ322、422の付勢力により、ロック孔114、214を後端側へ移動して図4に示す位置へ復帰するようにしている。
【0057】
すなわち、ロック孔114、214の下部内周面(摺接面)116、216の摺接線aと、ロックバー330、430の直線の往復軌道bとを側面視したときの交差角度がアンロック角度θ1に復帰するようにされており、これによりフックプレート106、206は、上方への揺動が可能となっている。
【0058】
<4.フック解除状態>
図7に示すように解除レバー510(操作部500)が「第2操作位置」から「d2−d1」分移動して「第3操作位置」に位置した場合、ロックバー330、430のロック孔114、214の上部内周面117、217への押圧によりフックプレート106、206が上方へ揺動する。これにより、係合凹部112からアンカーバー38の解放を可能としている。
【0059】
(実施形態の作用)
上記のように構成された車椅子固定装置10の作用を説明する。
図4に示すように車椅子固定装置10が「待ち状態」のときは、解除レバー510(操作部500)が「第1操作位置」に位置している。図1に示すように、この状態のときは、ガイドピン17は、解除レバー510に対する付勢バネ522、524(図2参照)の付勢により、係止部18b内に保持され、解除レバー510は、前後方向へ移動しないようにされている。また、フックプレート106、206は、係合凹部112、212がアンカーバー38と係入していない状態であり、その下部側面がベース板12に当接し、交差角度がアンロック角度θ1となっているため、付勢バネ322、422の付勢力に抗して上方向のフリーな揺動が可能となっている。
【0060】
この状態で、車椅子20が後方から侵入して、アンカーバー38が、フックプレート106、206のガイド部110、210に当たると、フックプレート106、206を、上方へ揺動させる。このフックプレート106、206へのアンカーバー38による押圧は、捩りバネ256、付勢バネ322、422の付勢力に抗して行われる。
【0061】
また、後方へ移動するアンカーバー38がガイド部110、210を通過すると、アンカーバー38は、下方へ自重によって揺動するフックプレート106、206の係合凹部112、212に係合される。また、アンカーバー38がインターロック部材602の対向面603を押圧した状態でストッパ面102a、202aに当接することにより、インターロック部材602の対向面603の後傾が解消されて、対向面603はストッパ面102a,202aの前後位置Kに位置する。
【0062】
そして、このようにして、アンカーバー38が、インターロック部材602の対向面603を押圧して前記前後位置Kに位置させると、インターロック部材602、リンク604を介して機構ベース250の下面全体をベース板12上に当接させる。このことにより、交差角度は、ロック角度θ2となる。
【0063】
この結果、車椅子固定装置10は、フックプレート106、206が上方への揺動が禁止されているロック状態となる。
また、この状態では、車両が後突等により、アンカーバー38が後方へ移動しようとしてもアンカーバー38はフックプレート106、206の係合凹部112、212に係入された状態であり、ロックバー330、430が前記後突等による慣性力により、ロックバー330、430を下方へ押圧する。このため、アンカーバー38は、係合凹部112、212から離脱することもない。
【0064】
次に、ロック状態から、ロック解除をしてロック解除状態にする場合について説明する。
図6に示すように、解除レバー510(操作部500)を「第1操作位置」から「第2操作位置」に移動すると、インターロック部材602が第1所定距離d1分、前方へ移動する。このことにより、インターロック部材602は、その時計回りの揺動が許容され、機構ベース250は捩りバネ256の付勢により、前端がベース板12から離間する。
【0065】
また、機構ベース250の前端がベース板12から離間し、ロックバー330、430は、付勢バネ322、422の付勢力により、ロック孔114、214を後端側へ移動して図4に示す位置へ復帰する。
【0066】
この状態では、ロック孔114、214の下部内周面(摺接面)116、216の摺接線aと、ロックバー330、430の直線の往復軌道bとを側面視したときの交差角度がアンロック角度θ1に復帰する。この結果、フックプレート106、206は、上方への揺動が可能となる。
【0067】
ロック解除状態から、図7に示すように解除レバー510(操作部500)を「第2操作位置」から「d2−d1」分移動して「第3操作位置」に位置させる。
すると、ロックバー330、430がロック孔114、214の上部内周面117、217を押圧することにより、フックプレート106、206を上方へ揺動させて、係合凹部112からアンカーバー38を解放するフック解除状態にする。
【0068】
フック解除状態にした後、車椅子20を後方へ移動させて、車椅子固定装置10から離間させる。
本実施形態では、下記の特徴を有する。
【0069】
(1)本実施形態の車椅子固定装置10は、先端に車椅子のアンカーバー38(被係止部材)を係入可能に設けられた係合凹部112、212を有していて、基端が下方向(係入方向)及び上方向(反係入方向)に揺動自在に支持されたフックプレート106、206(フック部材)を有する。フックプレート106、206は、前記基端と係合凹部112、212間において、延出した下部内周面116、216(摺接面)を備えたロック孔114、214を有する。また、車椅子固定装置10は、直線の往復軌道bを有して移動自在に設けられているとともに、常時付勢されて、下部内周面116、216(摺接面)を押圧及び摺接することによりフックプレート106、206(フック部材)を係入方向へ揺動可能に配置されたロックバー330、430(ロック部材)を有する。また、車椅子固定装置10は、下部内周面116、216(摺接面)に沿った摺接線aに対するロックバー330、430(ロック部材)の直線の往復軌道bとの交差角度を変化させる交差角度変更部を構成する操作レバーベース502、機構ベース250、及びインターロック部材602を有している。交差角度変更部は、交差角度の変更に応じて、フックプレート106、206(フック部材)の係合凹部112、212に車椅子20のアンカーバー38(被係止部材)が係入された状態をロックするロック状態と、ロック解除状態の遷移を行う。
【0070】
この結果、本実施形態によれば、簡単な構成で、車椅子に設けられた被係止部材を容易にロック及びロック解除することができる効果を奏する。
(2)また、本実施形態の交差角度変更部は、侵入時のアンカーバー38(被係止部材)の押圧にて揺動操作されるとともに、アンカーバー38(被係止部材)の押圧方向とは反対側に付勢されたインターロック部材602(レバー部材)を揺動自在に支持する操作部500を有している。また、交差角度変更部は、操作部500に対して基端が揺動自在に連結されるとともに、フックプレート106、206(フック部材)の基端側に向かって延びる先端を有していて、インターロック部材602(レバー部材)の揺動と連係して揺動する機構ベース250(揺動部材)を有している。また、交差角度変更部は、機構ベース250(揺動部材)に設けられ、ロックバー330、430(ロック部材)を支持して直線の往復軌道を形成するガイドブロック320、420(直線移動部材)と含む。
【0071】
そして、ロック解除状態のときは、アンカーバー38(被係止部材)によるインターロック部材602(レバー部材)への押圧が解除されて、アンカーバー38(被係止部材)の押圧方向とは反対側に付勢されたインターロック部材602(レバー部材)により、機構ベース250(揺動部材)がアンロック揺動位置に位置する。このことにより、交差角度を、ロックバー330、430(ロック部材)と下部内周面116、216(摺接面)間の静止摩擦力によってはロック不能なアンロック角度とする。また、ロック状態のときは、アンカーバー38(被係止部材)の押圧による、インターロック部材602(レバー部材)の揺動にともなって、機構ベース250(揺動部材)が、ロック揺動位置に位置する。また、この状態のときは、交差角度を、ロックバー330、430(ロック部材)と下部内周面116、216(摺接面)間の静止摩擦力によりロックするロック角度(<アンロック角度)とする。
【0072】
この結果、本実施形態によれば、インターロック部材602の揺動状態を変更することにより、機構ベース250を、ロック揺動位置またはアンロック揺動位置に位置させることにより、ロック状態及びロック解除状態のいずれかの状態に選択することができる。
【0073】
(3)本実施形態では、操作部500は、フックプレート106、206(フック部材)の基端に対して、第1操作位置、第2操作位置、及び第3操作位置の順に、より近位となるように操作自在に配置されている。第1操作位置に操作部500が位置し、かつ、インターロック部材602(レバー部材)が車椅子20のアンカーバー38(被係止部材)に当接していないときの待ち状態では、前記レバー部材及び前記揺動部材が揺動自在となることにより、前記交差角度がアンロック角度となる。また、交差角度変更部は、第1操作位置に操作部500が位置した状態で、アンカーバー38(被係止部材)の押圧によってロック状態となり、第2操作位置に操作部500が位置したときは、ロック解除状態になる。また、交差角度変更部は、第3操作位置に操作部500が位置したときは、ロックバー330、430(ロック部材)が、ロック孔114の下部内周面116、216(摺接面)とは反対側の面を押圧して、アンカーバー38(被係止部材)に対する係合凹部112、212の係合を解放するフック解除状態となる。
【0074】
この結果、本実施形態によれば、操作部500の第1操作位置、第2操作位置、第3操作位置の位置へ操作することにより、待ち状態またはロック状態、並びにロック解除状態、フック解除状態の状態を容易に遷移させることができる。
【0075】
なお、本発明の実施形態は前記実施形態に限定されるものではなく、下記のように変更しても良い。
前記実施形態において、図4に示す待ち状態の場合、フックプレート106、206の下部側面をベース板12に当接するようにしたが、この構成に限定するものではない。例えば、待ち状態のときは、ガイドブロック320、420は、図1に示す付勢バネ322、422により付勢されてガイドレール310、410の後端側へ移動し、ロックバー330、430が、フックプレート106、206のロック孔114、214の後端に係止した状態にしてもよい。そして、ロックバー330、430が、ロック孔114、214の後端に係止することにより、フックプレート106、206の後端側(係合凹部112側)を、ロックバー330、430により浮いた状態で支持する。この状態においても、ロック孔114、214は後端側が斜め上方へ斜状に位置しており、フックプレート106、206は付勢バネ322、422の付勢力に抗して上下方向のフリーな揺動を可能とする。
【0076】
前記実施形態では、ロック状態のときには、機構ベース250の下面全体をベース板12上に当接させるようにして、機構ベース250がベース板12に当接する位置を、ロック揺動位置としたが、この構成に限定するものではない。例えば、ベース板12の上方に被当接部材(図示しない)を設けて、ロック状態のときには該被当接部材に機構ベース250を当接させてその前端をベース板12から離間した状態にして、機構ベース250をベース板12から所定角度で傾斜させてもよい。この場合、機構ベース250が、被当接部材に当接する位置が、ロック揺動位置に相当する。また、この場合、ロック状態において、捩りバネ256の付勢力によって得られる機構ベース250の揺動角度は、ベース板12から前記所定角度となる。従って、この場合の、ロック角度θ2は、捩りバネ256の付勢力によって得られる機構ベース250の揺動角度(前記所定角度)、ロック孔114、214の下部内周面116、216のベース板12に対する傾き、ロック孔114、214の下部内周面(摺接面)116、216間に働く静止摩擦力等で決定される。
【0077】
前記実施形態では、車椅子固定装置10に対して、車椅子20を後方向から侵入させることにより、車椅子20を固定できるように配置したが、前記車椅子固定装置10の配置は、前記実施形態に限定されるものではない。車椅子を車両の左方、右方、或いは前方から侵入した場合に、車椅子固定装置10で固定できるように配置の方向を変更してもよい。
【符号の説明】
【0078】
10…車椅子固定装置、12…ベース板、
16…ガイド孔、17…ガイドピン、18a…ガイド孔、18b…係止部、
19…ガイドピン、20…車椅子、22…フレーム、24…着座部、
26…背もたれ、28…肘かけ、30…ステップ、32…主輪、
34…補助輪、36…グリップ、38…アンカーバー(被係止部材)、
38a…連結部、100…フック装置、102…アウタープレート、
102a…ストッパ面、104…インナープレート、
106…フックプレート(フック部材)、108…軸、110…ガイド部、
112…係合凹部、114…ロック孔、
116…ロック孔114の下部内周面(摺接面)、
117…ロック孔114の上部内周面、
118…アウタープレート102の貫通孔、
120…インナープレート104の貫通孔、
200…フック装置、202…アウタープレート、202a…ストッパ面、
204…インナープレート、206…フックプレート(フック部材)、
208…軸、210…ガイド部、212…係合凹部、
214…ロック孔、216…ロック孔214の下部内周面(摺接面)、
217…ロック孔214の上部内周面、
218…アウタープレート202の貫通孔、
220…インナープレート204の貫通孔、
250…機構ベース(揺動部材)、252…軸受片、254…揺動軸、
256…捩りバネ、258…軸受片、260…ガイド孔、
300…ロック機構、310…ガイドレール、
320…ガイドブロック(直線移動部材)、322…付勢バネ、
330…ロックバー(ロック部材)、400…ロック機構、
410…ガイドレール、420…ガイドブロック(直線移動部材)、
422…付勢バネ、430…ロックバー(ロック部材)、
500…操作部、502…操作レバーベース(支持部材)、
506…軸受片506、507…軸、
504…軸受片、510…解除レバー、516…連結軸、
518、520…ワッシャ、522、524…付勢バネ、
600…インターロック機構、
602…インターロック部材(レバー部材)、603…対向面、
604…リンク、d1…第1所定距離、d2…第2所定距離、
a…摺接線、b…往復軌道、θ1…アンロック角度、θ2…ロック角度、
K…ストッパ面102a、202aの前後位置、M…静止摩擦力、
N…ロックバーへの入力、F1…上方へ押す力F1。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9