(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、室外に設置される室外ユニットでは、想定外の事象によりファンモータ本体が発火源となる虞がある。ここでいう、「想定外の事象」とは、例えば室外ユニットの製造メーカが保証する運転保証範囲外の使われ方をされた場合や運転保証範囲外の環境で使用された場合等に起因する事象のことであり、通常予見することが困難なものを意味する。
【0004】
このような想定外の事象が生じた場合であっても、室外ユニットを製造する際には安全性に対して最大限の配慮をする必要がある。そこで、想定外の事象により、仮にファンモータ本体が発火した場合でも、ファンモータの近傍に存するファンブレード等の周辺部材への延焼を防ぐために、上記特許文献1に示されているような、ファンモータ本体の周囲を完全に覆うカバーを室外ユニットに配置することが考えられる。
【0005】
一方、室外に設置される室外ユニットでは、外部から水が浸入してきたり、内部に結露水が生じたりすることが想定される。そのため、上記特許文献1に示されている構造を採用しようとしても、ファンモータ本体の周囲が完全にカバーで囲まれることから、一旦、カバー内に水が浸入してしまうと、カバー内から水が排出されず、新たな故障原因を誘発する虞がある。
【0006】
本発明の課題は、防火機能を有する、空気調和装置の室外ユニットを提供することである。特に、本発明では、防火機能を有しつつ、排水性の高い室外ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1観点に係る空気調和装置の室外ユニットは、ケーシングと、ファンと、ファンモータと、支持部材と、取付部材と、第1カバー部材と、第2カバー部材とを備える。ここで、ファンは、ケーシング内に設けられ、後方から前方に風を吹き出すものである。ファンモータは、ファンモータ本体、及びファンモータ本体から突出してファンモータ本体の風下側でファンに接続する回転軸を有するものである。支持部材は、ケーシング内にファンモータを支持するためのものである。取付部材は、支持部材にファンモータを取り付けるものである。第1カバー部材は、回転軸が貫通する貫通孔が形成され、ファンモータの風下側に配置されるものである。第2カバー部材は、ファンモータの風上側に配置されるものである。そして、室外ユニットでは、支持部材、取付部材、第1カバー部材、及び第2カバー部材が全体として、ファンモータ本体の周囲を覆う。また、室外ユニットでは、取付部材、第1カバー部材、及び第2カバー部材のうちの少なくとも2つの部材が、平面視で重複するとともに側面視で隙間を有する重複領域をファンモータ本体よりも下方に形成する。
【0008】
第1観点に係る室外ユニットでは、支持部材、取付部材、第1カバー部材、及び第2カバー部材が全体としてファンモータの周囲を覆うので、防火機能を有するものである。さらに、上記構成の室外ユニットでは、外部から水が浸入してきたり、内部に結露水等が生じたりした場合に、ファンモータ本体の下方に形成される重複領域の隙間を経由して水が排出される。一方、重複領域は平面視で重複していることから、通常予見することが困難な想定外の事象により仮にファンモータ本体が発火した場合でも、ファンモータ本体の周囲を覆う部材から外部へ火が漏れることを阻止できる。結果として、上記構成を採用することで、防火機能を有しつつ排水性の高い室外ユニットを提供することができる。
【0009】
本発明の第2観点に係る空気調和装置の室外ユニットは、第1観点に係る室外ユニットにおいて、重複領域を形成する2つの部材のうちの一方は、他方に向けて下向きに傾斜する傾斜部を有するものである。
【0010】
第2観点に係る室外ユニットでは、外部から水が浸入してきたり、内部に結露水等が生じたりした場合に、ファンモータ本体の下方に形成される重複領域の傾斜部を介して水が自然に排出される。したがって、上記構成により、さらに排水性の高い室外ユニットを提供することができる。
【0011】
本発明の第3観点に係る空気調和装置の室外ユニットは、第1観点又は第2観点に係る室外ユニットにおいて、ファン及び支持部材は、ケーシングの前面側から背面側に向けて順次配置される。そして、第1カバー部材は、下向き且つ風上側に向けて傾斜する第1下面部を下部に有する。また、第2カバー部材は、下向き且つ風下側に向けて傾斜する第2下面部を下部に有する。そして、重複領域は、第1下面部及び第2下面部により形成される。
【0012】
第3観点に係る室外ユニットは、ファン及び支持部材がケーシングの前面側から背面側に順次配置される、いわゆるトランク型(横吹き型)の室外ユニットである。そして、このようなトランク型の室外ユニットでも、外部から水が浸入してきたり、内部に結露水等が生じたりした場合に、ファンモータ本体の下方に形成される重複領域の第1下面部及び第2下面部を介して水が自然に排出される。また、上記構成の室外ユニットでは、重複領域を形成する第1下面部及び第2下面部が互いに近づく向きになるので、重複領域を形成する部材をコンパクトに配置することができる。結果として、室外ユニットを小型化することができる。
【0013】
本発明の第4観点に係る空気調和装置の室外ユニットは、第1観点から第3観点に係る室外ユニットにおいて、取付部材、第1カバー部材、及び第2カバー部材の任意の組み合わせの部材は、平面視で互いの隙間を閉塞するラビリンス構造を有するものである。
【0014】
第4観点に係る室外ユニットでは、取付部材、第1カバー部材、第2カバー部材のいずれか又は任意の組み合わせの部材に隙間が形成されるので、排水性及び放熱性を高めることができる。また、この隙間は平面視で他の部材により閉塞されるラビリンス構造を形成することから、通常予見することが困難な想定外の事象により仮にファンモータ本体が発火した場合でもファンモータ本体の周囲を覆う部材から外部へ火が広がることが阻止される。結果として、上記構成を採用することで、防火機能を有しつつ排水性の高い室外ユニットを提供することができる。
【0015】
なお、本発明における「ラビリンス構造」とは、特定の視点から見た投影図において、一の部材により形成される隙間が他の部材により閉塞される構造をいう。
【0016】
本発明の第5観点に係る空気調和装置の室外ユニットは、第1観点又は第2観点に係る室外ユニットにおいて、ファン及び支持部材がケーシング内に上から順に配置される。そして、重複領域が、取付部材及び第2カバー部材により形成される。また、取付部材及び第2カバー部材はそれぞれ開口を有し、取付部材の開口及び第2カバー部材の開口が平面視で閉塞されるラビリンス構造を形成する。
【0017】
第5観点に係る室外ユニットは、ファン及び支持部材がケーシング内に上から順に配置される、いわゆる上吹き型の室外ユニットである。そして、このような上吹き型の室外ユニットにおいて、ファンモータ本体の周囲を覆う部材のうち、取付部材及び第2カバー部材のそれぞれが開口を有するので、排水性及び放熱性を高めることができる。また、取付部材の開口及び第2カバー部材の開口は平面視で閉塞されることから、通常予見することが困難な想定外の事象により仮にファンモータ本体が発火した場合でもファンモータ本体の周囲を覆う部材から外部へ火が広がることが阻止される。結果として、防火機能を有しつつ排水性の高い室外ユニットを提供することができる。
【0018】
本発明の第6観点に係る空気調和装置の室外ユニットは、第5観点に係る室外ユニットにおいて、取付部材が、第2カバー部材に向けて傾斜する傾斜部を有するものである。
【0019】
第6観点に係る室外ユニットでは、取付部材が第2カバー部材に向けて傾斜する傾斜部を有するので、水が自然に排出される。したがって、さらに排水性の高い室外ユニットを提供することができる。
【発明の効果】
【0020】
第1観点に係る室外ユニットでは、防火機能を有しつつ排水性を高くすることができる。
【0021】
第2観点に係る室外ユニットでは、さらに排水性の高くすることができる。
【0022】
第3観点に係る室外ユニットでは、トランク型(横吹き型)の室外ユニットにおいて、防火機能を有しつつ排水性を高くすることができる。また、室外ユニットを小さくすることが可能である。
【0023】
第4観点に係る室外ユニットでは、防火機能を有しつつ排水性及び放熱性を高くすることができる。
【0024】
第5観点に係る室外ユニットでは、上吹き型の室外ユニットにおいて、防火機能を有しつつ排水性及び放熱性を高くすることができる。
【0025】
第6観点に係る室外ユニットでは、さらに排水性を高くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る室外ユニットの実施形態及びその変形例について、図面に基づいて説明する。なお、本発明に係る室外ユニットの具体的な構成は、下記の実施形態及びその変形例に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0028】
<第1実施形態>
(1)空気調和装置の構成
図1は本発明の第1実施形態に係る室外ユニット2が採用された空気調和装置1の概略構成図である。
【0029】
空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うことによって、建物等の室内の冷房や暖房を行うことが可能な装置である。空気調和装置1は、主として、室外ユニット2と室内ユニット3とが接続されることによって構成される。ここで、室外ユニット2と室内ユニット3とは、液冷媒連絡管4及びガス冷媒連絡管5を介して接続される。すなわち、空気調和装置1の蒸気圧縮式の冷媒回路6は、室外ユニット2と室内ユニット3とが冷媒連絡管4、5を介して接続されることによって構成される。また、この冷媒回路6にはR32等の冷媒が封入される。
【0030】
室内ユニット3は、室内に設置されており、冷媒回路6の一部を構成する。室内ユニット3は、主として、室内熱交換器19を有する。
【0031】
室外ユニット2は、室外に設置されており、冷媒回路6の一部を構成する。室外ユニット2は、主として、圧縮機7と、四路切換弁10と、室外熱交換器11と、膨張弁12と、液側閉鎖弁13と、ガス側閉鎖弁14と、室外ファン15とを有する。室外熱交換器11の液側端と液側閉鎖弁13とは液冷媒管16によって接続される。液冷媒管16には膨張弁12が設けられる。
【0032】
このような冷媒回路6を有する空気調和装置1は、冷房運転時において、圧縮機7、放熱器としての室外熱交換器11、膨張弁12、蒸発器としての室内熱交換器19の順に冷媒を循環する。また、空気調和装置1は、暖房運転時において、圧縮機7、放熱器としての室内熱交換器19、膨張弁12、蒸発器としての室外熱交換器11の順に冷媒を循環する。
【0033】
(2)室外ユニットの構成
(2−1)全体
図2は室外ユニット2の外観斜視図である。
図3は室外ユニット2の平面図(送風機室S1の構成のみを図示)である。
図4は室外ユニット2の正面図(送風機室S1のみを図示)である。
【0034】
室外ユニット2は、略直方体箱状のケーシング40の内部が、鉛直に延びる仕切り板48により送風機室S1と機械室S2とに分割された構造(いわゆる「トランク型」と呼ばれる構造)を有する。トランク型の室外ユニット2では、送風機室S1内に、後述する室外ファン15及び支持部材60が、ケーシングの正面側から背面側に向けて順次配置される。また、送風機室S1には室外熱交換器11が配置される。一方、機械室S2には、圧縮機7及び電装品アセンブリ等(図示省略)が設けられる。
【0035】
以下の説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」、「正面」、「背面」は、特にことわりのない限り、
図2に示される室外ユニット2を前方から見た場合の方向を意味するものとする。
【0036】
(2−2)ケーシング
ケーシング40は、主として、底フレーム41と、天板42と、左前板43と、右前板44と、右側板45とを有する。
【0037】
底フレーム41は、ケーシング40の底面部分を構成する横長の略長方形状の板状部材である。底フレーム41の下面には、現地設置面に固定される2つの固定脚46が設けられる。
【0038】
天板42は、ケーシング40の天面部分を構成する横長の略長方形状の板状部材である。
【0039】
左前板43は、主として、ケーシング40の左正面部分及び左側面部分を構成する板状部材であり、その下部が底フレーム41にネジ等により固定される。左前板43には、室外ファン15によってケーシング40内に吸入される空気の吸入口43aが形成される。また、左前板43には、室外ファン15によってケーシング40の背面側及び左側面側から内部に取り込まれた空気を外部に吹き出すための吹出口43bが設けられる。吹出口43bは、ここでは、上下2つ形成されており、それぞれにファングリル47が設けられる。
【0040】
右前板44は、主として、ケーシング40の右正面部分及び右側面の前部を構成する板状部材であり、その下部が底フレーム41にネジ等により固定される。また、右前板44は、その左端部が左前板43の右端部にネジ等により固定される。
【0041】
右側板45は、主として、ケーシング40の右側面の後部及び右背面部分を構成する板状部材であり、その下部が底フレーム41にネジ等により固定される。そして、左前板43の後端部と右側板45の背面側端部との左右方向(ケーシング40の背面)の間には、室外ファン15によってケーシング40内に吸入される空気の吸入口43cが形成される。
【0042】
また、ケーシング40内には、仕切り板48が設けられる。仕切り板48は、底フレーム41上に配置される鉛直に延びる板状部材である。仕切り板48は、ケーシング40を上方から見た際に、左前板43の右端部から背面側に向かって延びるものである。仕切り板48の高さは、ケーシング40の左側面から背面に沿うように配置された略L字形状の室外熱交換器11の右端面まで達している。左前板43の右端部は、仕切り板48の前端部にネジ等により固定される。ここで、ケーシング40の内部は、仕切り板48により、送風機室S1と機械室S2とに区分けされる。送風機室S1は、底フレーム41と、天板42と、左前板43と、仕切り板48とにより囲まれた空間であり、主として、室外ファン15及び室外熱交換器11が配置される。機械室S2は、底フレーム41と、天板42と、右前板44と、右側板45と、仕切り板48とにより囲まれた空間であり、主として、室外熱交換器11以外の冷媒回路構成部品及び電装品アセンブリ等(図示省略)が配置される。
【0043】
(2−3)室外熱交換器
室外熱交換器11は、送風機室S1内に配置されており、室外ファン15によってケーシング40内に取り込まれた空気との間で熱交換を行うものである。室外熱交換器11は、ケーシング40を上方から見た際に、略L字形状を有し、ケーシング40の左側面から背面に沿うように配置される。
【0044】
(2−4)室外ファン
室外ファン15は、プロペラファンであり、送風機室S1内の室外熱交換器11の前方に配置される。ここでは、室外ファン15は、吹出口43bに対向するように、送風機室S1内に上下2つ配置される。室外ファン15はファンモータ50により駆動され、後方(背面側)から前方(正面側)に風を吹き出すものである。
【0045】
(2−5)ファンモータ
ファンモータ50は、室外ファン15を駆動するモータであり、後述する取付部材70を介して、ケーシング40の背面側に立設された支持部材60に取り付けられる。このファンモータ50の周囲にはカバー部材80が配置される。
【0046】
具体的には、ファンモータ50は、
図5に示すように、ファンモータ本体51と回転軸52とを有する。ファンモータ本体51は電線58につながっており、この電線58を介して電力が供給される。回転軸52は、ファンモータ本体51から前方に突き出ており、ファンモータ本体51の正面側(風下側)で室外ファン15に接続する。
【0047】
また、ファンモータ本体51の外面の一部には防火部材55a,55bが配置される。防火部材55a,55bは、金属又は難燃性樹脂により形成される。具体的には、ファンモータ本体51の外面のうち、回転軸52の周辺領域51aが第1防火部材55aで構成される。なお、第1防火部材55aに接触するようにして水きりゴム56が配置される。また、ファンモータ本体51の背面側(風上側)の外面の一部には、第2防火部材55bが配置される。ここでは、ファンモータ本体51の底面51bが第2防火部材55bで構成される。
【0048】
第1防火部材55aは、後述する第1カバー部材81の貫通孔(開口)81hを、貫通孔81hの正面からファンモータ50に投影したときに、少なくとも貫通孔81hを閉塞する程度の大きさを有する。また、第2防火部材55bは、後述する第2カバー部材82の開口82hを、開口82hの正面からファンモータ50に投影したときに、少なくとも開口82hを閉塞する程度の大きさを有する。
【0049】
(2−6)ファンモータの周辺部材の構成
(2−6−1)支持部材
支持部材60は、
図3,4に示すように、ケーシング40内にファンモータ50を支持するための部材である。ここでは、支持部材60は、ケーシング40内で背面側に取り付けられており、一組の柱状部材61a,61bを有している。柱状部材61a,61bは、正面視で上下方向に延びるとともに、その延びている方向に沿って溝部が形成される。柱状部材61a,61bには、コの字形状(C字形状)のものが用いられる。また、コの字形状の1組の柱状部材61a,61bは互いが向き合う側(内側)に溝部を有するように配置される。ただし、柱状部材61a,61bは、互いが向き合う側に溝部を有するものであれば、コの字形状に限らず、L字、Z字、H字形状等を採用することができる。
【0050】
(2−6−2)取付部材
取付部材70は、支持部材60にファンモータ50を取り付ける部材である。取付部材70は、例えば
図6(a)に示す形状を有しており、
図6(b)に示すような板金が折り曲げられることにより形成される。取付部材70は、正面部70aと、上面部70bと、下面部70cと、左側面部70dと、右側面部70eとを有する。正面部70aは開口70hを有しており、この開口70hにファンモータ本体51が嵌め込まれる。そして、ネジを介してファンモータ50が取付部材70に固定される。また、取付部材70は、ネジを介して支持部材60に取り付けられる。これにより、
図7に示すように、取付部材70を介してファンモータ50が支持部材60に取り付けられる。なお、取付部材70の電線58と接触する部分である接触部70pには、後述するヘミング加工が施される。
【0051】
(2−6−3)カバー部材
カバー部材80は、ファンモータ50の周囲に配置される部材である。カバー部材80は、ファンモータ50の周囲に配置されたときに、ファンモータ50の防火部材55a,55bと重複する領域に開口81h,82hを有するものである。そして、カバー部材80と、防火部材55a,55bと、支持部材60と、取付部材70とは、全体として、ファンモータ本体51の周囲を覆う。具体的に、カバー部材80は、第1カバー部材81と、第2カバー部材82とを有する。したがって、ファンモータ本体51の周囲は、
図8、
図9に示すように、防火部材55a,55b、支持部材60、取付部材70、第1カバー部材81、及び第2カバー部材82により覆われることになる。なお、
図8はファンモータ50及びその周辺部材の右前方斜視図を示しており、
図9はファンモータ50及びその周辺部材の右後方斜視図(柱状部材61aを透視)を示している。
【0052】
さらに詳しくは、第1カバー部材81には、回転軸52が貫通する貫通孔81hが形成される。そして、第1カバー部材81は、ファンモータ本体51の前方(風下側)に配置される。貫通孔81hは、回転軸52の軸方向視で第1防火部材55aと重複するように形成される。例えば、第1カバー部材81は、
図10(a)に示す形状を有しており、
図10(b)に示すような板金が折り曲げられることにより形成される。第1カバー部材81は、正面部(固定部)81aと、上面部81b、下面部81c(第1下面部)とを有する。正面部81aは、取付部材70及び/又は支持部材60に固定される部分であり、回転軸52が貫通する貫通孔81hが形成される。ここでは、正面部81aが、ネジ95を介して取付部材70に取り付けられる(
図8参照)。これにより、ファンモータ50の回転軸52が貫通孔81hを貫通する状態で、第1カバー部材81がファンモータ本体51の前方(風上側)に配置される。また、上面部81bは、取付部材70に係止する係止部81kを有する。係止部81kは、例えば組立時に仮止め等ができるように形成される。また、係止部81kは、例えば想定外の事象により正面部81aのネジ95が外れて第1カバー部材81が落下したときに、第1カバー部材81が取付部材70に係止されるように形成される。また、下面部81cは、下向き且つ後方(風上側)に向けて傾斜しており、第2カバー部材82の下面部82cともに、後述の「重複領域R」を形成する。
【0053】
第2カバー部材82は、ファンモータ本体51の後方(風上側)に配置される。第2カバー部材82には、
図9に示すように、回転軸52の軸方向視で第2防火部材55bと重複する領域に開口82hが形成される。補足すると、
図11に概念を示すように、横断面から見た場合、第2カバー部材82の開口82hが第2防火部材55bよりも小さくなるように形成される。具体的に、第2カバー部材82は、
図12(a)に示す形状を有しており、
図12(b)に示すような板金が折り曲げられることにより形成される。第2カバー部材82は、正面部82aと、上面部82bと、下面部82c(第2下面部)とを有する。また、正面部82aは、ネジ96を介して支持部材60に取り付けられる(
図9参照)。正面部82aには開口82hが形成される。また、下面部82cは、下向き且つ前方(風下側)に向けて傾斜しており、第1カバー部材81の下面部81cとともに後述する「重複領域R」を形成する。
【0054】
(2−6−4)重複領域
第1カバー部材81の下面部81cと第2カバー部材82の下面部82cとは、ファンモータ本体51の下部に「重複領域R」を形成する。重複領域Rは、平面視で重複するとともに側面視で隙間を有する領域である。これにより、
図13に示すように、ファンモータ本体51の周囲が隙間を有するようにして覆われる。
【0055】
(2−6−5)電線経路
上述した、支持部材60と取付部材70と第1カバー部材81と第2カバー部材82とのうちの少なくとも2以上の部材は、ファンモータ本体51につながる電線58を規制して「電線経路P」を形成する。ここでは、取付部材70と、第1カバー部材81又は第2カバー部材82とが、電線経路Pの一部として、所定の隙間を形成するように配置される。そして、この隙間を形成する位置に電線58の一部が固定される。例えば、
図14に示す例では、取付部材70と第1カバー部材81との間に隙間Aが形成される。そして、取付部材70及び第1カバー部材81に接触することにより電線58の位置が規制されて、隙間Aの位置に電線58の一部が固定される。また、取付部材70の電線58と接触する部分である接触部70pは、
図15に示すようにヘミング加工が施される。ヘミング加工により、板金の一部が、電線58との接触を避ける方向(
図15においては紙面の手前側)に折り曲げられる。これにより金属加工に伴うバリが電線58に接触することを回避している。なお、
図14では図示されていないが、隙間Aの近傍には支持部材60が配置されるので、支持部材60も電線58に接触し、電線58の位置を規制する。また、電線58は、支持部材60の溝部に配置され、溝部をつたって配線される。
【0056】
なお、上述した隙間A及び接触部70pの位置は一例として示したものであり、本実施形態の電線経路Pがこのような位置に限られるわけではない。例えば、電線経路Pは、
図16に概念を示すように、上下のファンモータ50(図示省略)で異なる位置に形成されることもある。要するに、隙間A及び接触部70pは、ファンモータ50の位置に応じて最適な位置に形成されるものである。
【0057】
(3)室外ユニットの特徴
(3−1)
以上説明したように、本実施形態に係る空気調和装置1の室外ユニット2は、ケーシング40と、室外ファン15と、ファンモータ50と、支持部材60と、取付部材70と、カバー部材80(81,82)とを備える。ここで、室外ファン15は、ケーシング40内に設けられる。ファンモータ50は、ファンモータ本体51を有する。支持部材60は、ケーシング40内にファンモータ50を支持するためのものである。取付部材70は、支持部材60にファンモータ50を取り付けるものである。カバー部材80は、ファンモータ本体51の周囲に配置される。そして、この室外ユニット2では、支持部材60、取付部材70、及びカバー部材80が全体として、ファンモータ本体51の周囲を覆うものとなっている。
【0058】
したがって、本実施形態に係る室外ユニット2の構成によれば、例えば室外ユニットの製造メーカが保証する運転保証範囲外の使われ方をされた場合や運転保証範囲外の環境で使用された場合等に起因する事象により、仮にファンモータ本体51が発火したとしても周辺部材への延焼を回避することができる。
【0059】
(3−2)
また、本実施形態に係る空気調和装置1の室外ユニット2では、ファンモータ本体51の外面の一部に防火部材55a,55bが配置される。そして、カバー部材80が、防火部材55a,55bと重複する領域に開口81h,82hを有している。すなわち、この室外ユニット2では、防火部材55a,55b、支持部材60、取付部材70、及びカバー部材80が全体として、ファンモータ本体51の周囲を覆うものとなっている。
【0060】
したがって、本実施形態に係る室外ユニット2の構成によれば、ファンモータ50の周囲に配置されるカバー部材80(81,82)が、ファンモータ本体51に配置される防火部材55a,55bと重複する領域に開口81h,82hを有し、防火部材55a,55b、支持部材60、及び取付部材70が全体としてファンモータ本体51を覆うので、想定外の事象により、仮にファンモータ本体51が発火したとしても周辺部材への延焼を回避することができる。また、カバー部材80が開口81h,82hを有してファンモータ本体51を覆うので、カバー部材80から熱を排出することができる。結果として、上記構成を採用することで、防火機能を有しつつ、ファンモータ50の放熱性の高い、空気調和装置1の室外ユニット2を提供できる。
【0061】
(3−3)
また、本実施形態に係る室外ユニット2は、室外ファン15が、後方から前方に風を吹き出すものである。また、防火部材が、ファンモータ本体51の前方(風下側)に配置される第1防火部材55a、及び/又は、ファンモータ本体51の後方(風上側)に配置される第2防火部材55bを有する。したがって、ファンモータ本体51の前方(風上側)又は後方(風下側)の外面に防火部材が配置されているものであれば、任意の仕様のファンモータを用いて、放熱性の高い室外ユニット2を提供できる。
【0062】
(3−4)
また、本実施形態に係る室外ユニット2は、防火部材が、少なくとも第2防火部材55bを有する。また、ファンモータ50が、ファンモータ本体51の前方(風下側)で室外ファン15に接続する回転軸52を有する。そして、カバー部材80が、ファンモータ50の後方(風上側)に、回転軸52の軸方向視で第2防火部材55bと重複する領域に少なくとも一つの開口82hが形成される第2カバー部材82を有する。
【0063】
本実施形態に係る室外ユニット2は、開口82hを有する第2カバー部材82を用いてファンモータ本体51を覆うので、ファンモータ50の放熱性を高めることができる。
【0064】
(3−5)
また、本実施形態に係る室外ユニット2は、防火部材が少なくとも第1防火部材55aを有する。また、ファンモータ50が、ファンモータ本体51の前方(風下側)で室外ファン15に接続する回転軸52を有する。また、カバー部材80が、ファンモータ50の前方(風下側)に、回転軸52が貫通する貫通孔81hが形成される第1カバー部材81を有する。そして、貫通孔81hが、回転軸52の軸方向視で第1防火部材55aと重複する領域に形成される。
【0065】
本実施形態に係る室外ユニット2では、回転軸52の軸方向視で第1防火部材55aと重複する領域に貫通孔81hが形成されるので、想定外の事象により、仮にファンモータ本体51が発火した場合でも、ファンモータ50の回転軸52が貫通する貫通孔81hから火が漏れることを回避できる。
【0066】
また、この室外ユニット2では、複数の部材を用いてファンモータ本体51を覆うので、各部材間の隙間を調整することで、ファンモータ50の放熱性を高めることができる。
【0067】
(3−6)
また、本実施形態に係る室外ユニット2は、室外ファン15及び支持部材60が、ケーシング40の正面側から背面側に向けて順次配置される。そして、第1カバー部材81が、上面部81bと、取付部材70及び/又は支持部材60に固定される正面部(固定部)81aとを有する。また、上面部81bは、取付部材70に係止する係止部81kを有する。
【0068】
したがって、本実施形態に係る室外ユニット2では、第1カバー部材81が係止部81kにより取付部材70に係止されるので、ファンモータ50の周辺部材の分離を回避できる。例えば、想定外の事象により、第1カバー部材81を固定するネジ95が仮に外れた場合等であっても、第1カバー部材81が係止部81kを介して取付部材70に係止されるので、ファンモータ50の回転軸52が接続している室外ファン15に第1カバー部材81が接触する事態が生じるのを回避できる。結果として、室外ファン15の運転時の安全性を高めることができる。
【0069】
(3−7)
また、本実施形態に係る室外ユニット2は、防火部材55a,55bが、カバー部材80(81,82)の開口81h,82hを、開口81h,82hの正面からファンモータ50に投影したときに、少なくとも開口81h,82hを閉塞する大きさを有するものである。なお、開口81h,82hはそれぞれ視認できる防火部材55a,55bに対応する。すなわち、防火部材55a,55bと開口82h,81hとが対応するものではない。
【0070】
したがって、本実施形態に係る室外ユニット2では、防火部材55a,55bの方がカバー部材80(81,82)の開口81h,82hよりも大きいので、想定外の事象により、仮にファンモータ本体51が発火したとしても、開口81h,82hから火が漏れることを回避できる。
【0071】
(3−8)
また、本実施形態に係る室外ユニット2は、防火部材55a,55bが、金属又は難燃性樹脂により形成される。これにより、防火機能及び放熱性の高い室外ユニット2を提供できる。換言すると、金属又は難燃性樹脂が本体表面に設けられたファンモータ50であれば、本実施形態に係るファンモータの周辺部材の構造(取付部材70及びカバー部材80)を適用することで、防火機能を有しつつ放熱性の高い室外ユニット2を構築することができる。
【0072】
(3−9)
また、本実施形態に係る空気調和装置1の室外ユニット2は、第1カバー部材81及び第2カバー部材82が、平面視で重複するとともに側面視で隙間を有する重複領域Rをファンモータ本体51よりも下方に形成する(
図13参照)。
【0073】
したがって、本実施形態に係る室外ユニット2は、外部から水が浸入してきたり、内部に結露水等が生じたりした場合に、ファンモータ本体51の下方に形成される重複領域Rの隙間を経由して水が排出される。一方、重複領域Rは平面視で重複していることから、想定外の事象により、仮にファンモータ本体51が発火した場合でも、ファンモータ本体51の周囲を覆う部材から外部へ火が漏れることを阻止できる。結果として、防火機能を有しつつ排水性の高い室外ユニット2を提供できる。
【0074】
なお、本実施形態では一例として、第1カバー部材81及び第2カバー部材82により重複領域Rが形成されるものを挙げたが、重複領域の形態はこれに限るものではない。詳しくは変形例で後述する。
【0075】
(3−10)
また、本実施形態に係る室外ユニット2は、重複領域Rを形成する2つの部材のうちの一方は、他方に向けて下向きに傾斜する傾斜部を有するものである。具体的には、本実施形態に係る室外ユニット2は、第2カバー部材82が、第1カバー部材81の下面部81cに向けて下向きに傾斜する下面部82cを有している。したがって、室外ユニット2では、外部から水が浸入してきたり、内部に結露水等が生じたりした場合に、ファンモータ50の下方に形成される重複領域Rにおいて、第2カバー部材82の下面部82cを介して、第1カバー部材81の下面部81cに水が自然に流出される。また、第1カバー部材81に流れてきた水は第1カバー部材81の下面部81cを介して自然に排出される。したがって、上記構造により、排水性の高い室外ユニット2を提供することができる。
【0076】
(3−11)
また、本実施形態に係る室外ユニット2は、室外ファン15及び支持部材60がケーシング40の正面側から背面側に向けて順次配置される、いわゆるトランク型(横吹き型)の室外ユニットである。また、第1カバー部材81は、下向き且つ後方(風上側)に向けて傾斜する下面部(第1下面部)81cを下部に有する。第2カバー部材82は、下向き且つ前方(風下側)に向けて傾斜する下面部(第2下面部)82cを下部に有する。
【0077】
したがって、このようなトランク型の室外ユニット2では、外部から水が浸入してきたり、内部に結露水等が生じたりした場合に、ファンモータ本体51の下方に形成される重複領域Rの第1下面部81c及び第2下面部82cを介して水が自然に排出される。要するに、上記構成により、排水性の高いトランク型(横吹き型)の室外ユニットを提供できる。さらに、上記構成の室外ユニット2では、重複領域Rを形成する第1カバー部材81の下面部81cと第2カバー部材82の下面部82cとが互いに近づく向きであるので、重複領域Rを形成する部材をコンパクトに配置することができる。結果として、室外ユニット2を小型化することができる。
【0078】
(3−12)
また、本実施形態に係る空気調和装置1の室外ユニット2は、支持部材60と取付部材70と第1カバー部材81と第2カバー部材82とのうちの少なくとも2以上の部材が、電線58を規制して電線経路Pを形成する。
【0079】
したがって、本実施形態に係る室外ユニット2では、ファンモータ本体51につながる電線58の取り回しの自由度を高めることができる。補足すると、単一のカバー部材によりファンモータ本体51の周囲を覆う構成の場合には、電線58の取り出し位置が限定されることになる。これに対し、本実施形態に係る室外ユニット2の構成によれば、複数の部材を用いて電線経路Pを形成するので、各部材の配置に応じて、ファンモータ50につながる電線58の取り回しの自由度を高めることができる。結果として、防火機能を有しつつ、電線58の取り回しの自由度の高い室外ユニット2を提供できる。
【0080】
(3−13)
また、本実施形態に係る室外ユニット2は、取付部材70と、第1カバー部材81又は第2カバー部材82とが、電線経路Pの一部として、所定の隙間Aを形成するように配置される(
図14参照)。そして、その隙間Aを形成する位置に電線58の一部が固定される。これにより、室外ユニット2の組立性を向上できるとともに電線58の損傷を防止する効果をさらに高めることができる。
【0081】
(3−14)
また、本実施形態に係る室外ユニット2は、取付部材70の当該隙間Aを形成する部分(接触部70p)にヘミング加工がされている。これにより、電線58の損傷を阻止することができる。
【0082】
(3−15)
また、本実施形態に係る室外ユニット2は、支持部材60が、所定の方向(上下方向)に延びるとともに、その方向に沿って溝部が形成される柱状部材61a,61bを有する。また、電線58が柱状部材61a,61bの溝部に配置される。そのため、室外ユニット2内の他の部品と電線58との干渉を阻止できる。これにより、室外ユニット2の組立性が向上するとともに電線58の損傷を防止する効果を高めることができる。
【0083】
(4)変形例
(4−1)変形例A
上記説明においては、第1カバー部材81が貫通孔81hを有し、第2カバー部材82が開口82hを有し、ファンモータ本体51の外面が防火部材55a,55bを有する構成としたが、本実施形態に係る室外ユニット2はこれに限られるものではない。すなわち、本実施形態に係る室外ユニット2は、ファンモータ50の周辺部材の構成により防火機能及び放熱性が満たされるものであれば、任意の形態を含むものである。例えば、ファンモータ50は、ファンモータ本体51の前方(風下側)の第1防火部材55aと、後方(風上側)の第2防火部材55bとのいずれか一方だけを具備するものでもよい。このような形態でも、防火機能及び放熱性を向上させることができる。また、防火部材55bを設けない場合、第2カバー部材82は開口82hを有していなくてもよい。これにより防火機能を向上させることができる。要するに、ファンモータ50及び周辺部材の構造は、必要とする防火機能及び放熱性に応じて最適に構成できるものである。
【0084】
(4−2)変形例B
本実施形態に係る室外ユニット2は、
図17に概念を示すように、ファンモータ本体51の一部が開口82hから突出し、突出した部分に防火部材55bが形成されるものでもよい。
【0085】
このように、ファンモータ50の一部を開口82hから突出させて配置することで、ファンモータ50の大きさに応じてカバー部材80(ここでは、第2カバー部材82)の開口82hの大きさを変更することを回避できる。換言すると、任意の大きさのファンモータ50を利用して室外ユニット2を構築できる。
【0086】
また、この場合、カバー部材80(82)は、
図18に示すように、ファンモータ本体51の突出した部分に沿って縁部82rを有するものでもよい。これにより、想定外の事象により、仮にファンモータ本体51が発火した場合でもカバー部材80(82)の内部から外部に火が広がるのを阻止する効果を高めることができる。
【0087】
(4−3)変形例C
本実施形態に係るファンモータ50及び周辺部材の構造は、防火部材と支持部材と取付部材とカバー部材とが全体としてファンモータ本体51の周囲を覆うものであれば任意の形態を採用することができる。
【0088】
例えば、
図19,20に示す形態のものを採用してもよい。ここで、
図19はファンモータ50及びその周辺部材の右前方斜視図(柱状部材61aを透視)を示しており、
図20はファンモータ50及びその周辺部材の右後方斜視図(柱状部材61aを透視)を示している。また、この場合、取付部材70、第1カバー部材81、及び第2カバー部材82は、それぞれ
図21(a),22(a),23(a)に示される形態を有している。なお、
図21(a),22(a),23(a)に示される形態は、
図21(b),22(b),23(b)に示される板金が折り曲げられることにより形成される。
【0089】
(4−4)変形例D
本実施形態に係る室外ユニット2は、ファンモータ50の周辺部材が任意のラビリンス構造を形成するものでもよい。ここで、「ラビリンス構造」とは、特定の視点から見た投影図において、一の部材により形成される隙間が他の部材により閉塞される構造をいう。
【0090】
例えば、
図24に示す例では、取付部材70の上面部70bと第1カバー部材81の上面部81bとでラビリンス構造L1が形成され、取付部材の下面部70cと第1カバー部材81の下面部81cと第2カバー部材82の下面部82cとでラビリンス構造L2が形成される。ここでは、取付部材70の上面部70b及び下面部70cにはそれぞれ第1隙間(開口)70bh及び第2隙間(切り欠き)70chが設けられている。そして、第1隙間70bhは上面視で第1カバー部材81の上面部81bに閉塞され、第2隙間70chは下面視で第1カバー部材81の下面部81c及び第2カバー部材82の下面部82cに閉塞される。
【0091】
このようなラビリンス構造を形成することで、ファンモータ本体51を覆う部材(
図24の例では、取付部材70、第1カバー部材81、及び第2カバー部材82)の間に隙間が多く形成されるので、排水性及び放熱性を高めることができる。一方、ラビリンス構造を形成する隙間は平面視で他の部材により閉塞されるので、想定外の事象により、仮にファンモータ本体51が発火した場合でもファンモータ本体51の周囲を覆う部材から外部へ火が広がることが阻止される。結果として、上記構成により、防火機能を有しつつ排水性の高い室外ユニット2を提供することが可能となる。
【0092】
(4−5)変形例E
上記説明では、一例として、第1カバー部材81及び第2カバー部材82により重複領域Rが形成されるものを挙げたが、本実施形態における重複領域はこれに限るものではない。すなわち、本実施形態における重複領域は、取付部材70と第1カバー部材81と第2カバー部材82とのうちの少なくとも2つの部材により形成される構造であって、平面視で重複するとともに側面視で隙間を有し、ファンモータ本体51よりも下方に形成される任意の構造を意味する。例えば、
図24に示すような形態においても、取付部材70と第1カバー部材81と第2カバー部材82とにより、前述した意味での重複領域が形成されている。
【0093】
(4−6)変形例F
上記説明では、重複領域Rを形成する第2カバー部材82が、第1カバー部材81の第1下面部81cに向けて下向きに傾斜する第2下面部82c(傾斜部)を有する構成としたが、本実施形態に係る室外ユニット2の構成はこれに限るものではない。すなわち、本実施形態に係る室外ユニット2は、重複領域を形成する2つの部材のうちの一方が他方に向けて下向きに傾斜する傾斜部を有していれば、任意の構成を採用することができる。例えば、
図24に示す形態においてもファンモータ本体51の下方に重複領域が形成されるが、重複領域を形成する取付部材70が、第1カバー部材81の第1下面部81cに向けて下向きに傾斜する下面部(傾斜部)70cを有する構成であってもよい。
【0094】
(4−7)変形例G
上記説明では、取付部材70と第1カバー部材81とにより電線58が規制される電線経路Pの例を挙げたが、電線58はこれらの部材にのみ規制されるものではない。すなわち、本実施形態における電線経路Pでは、支持部材60と取付部材70と第1カバー部材81と第2カバー部材82とのうちの少なくとも2以上の部材により電線58を規制する任意の形態を含むものである。
【0095】
また、上記説明では、取付部材70と第1カバー部材81とにより形成される隙間Aの位置に電線58の一部が固定されるものとしたが、電線58の固定される位置はこれに限定されるものではない。例えば、電線58の一部が、取付部材70と第2カバー部材82との間に形成される隙間の位置に固定される形態でもよい。
【0096】
また、電線58は、ファンモータ本体51から延びる方向に沿って、複数の位置で固定されるものでもよい。複数の位置で電線58を固定することで、電線58の弛みを抑えることができる。これにより、室外ユニット2の組立性を向上できるとともに電線58の損傷を防止する効果を高めることができる。例えば、ファンモータ50から延びる電線58に対して、取付部材70と第1カバー部材81とにより形成される隙間Aの位置に、電線58の一部が固定されるようにする。さらに、隙間Aの位置から延びる電線58に対して、第1カバー部材81と支持部材60との間に形成される隙間に、電線58の一部が係止されるようにする。そして、支持部材60の溝部に電線58が配置されるようにする。
【0097】
<第2実施形態>
以下、既に説明した部分と同一の部分には略同一の符号を付し、重複した説明を省略する。なお、他の実施形態と区別するために、本実施形態では添え字Sを付すことがある。
【0098】
本発明の第2実施形態に係る室外ユニット2Sは、第1実施形態の室外ユニット2とは異なる形態を有するものである。具体的には、第2実施形態に係る室外ユニット2Sは、下方からケーシング40内に空気を取り込んで上方からケーシング40外に空気を吹き出す「上吹き型」と呼ばれる形態を採用する。なお、本実施形態においても第1実施形態と同様の冷媒回路6が構成される。
【0099】
図25は、本発明の第2実施形態に係る室外ユニット2Sの外観斜視図である。
図25では、ファングリルが取り除かれた状態を示している。
図26は、同実施形態に係る支持部材60Sの構成を説明するための斜視図である。
図26では、ファングリル、天板、前板、及び冷媒回路部品の一部等が取り除かれた状態を示している。
【0100】
本実施形態に係る室外ユニット2Sでは、略直方体箱状のケーシング40Sを有する。ケーシング40Sの内部は上部と下部とに分割され、上部には室外ファン15及びファンモータ50S(図示せず)等が設けられ、下部には圧縮機8、室外熱交換器11等が設けられる。補足すると、ケーシング40Sの上部と下部との間には、
図26に示すように、ケーシング40S内に支持部材60Sが水平に取り付けられており、この支持部材60Sを介してファンモータ50S及び室外ファン15Sが取り付けられる。なお、室外ファン15Sは、第1の実施形態の室外ファン15と同様の構成を有するものである。ただし、室外ファン15Sは、ケーシング40Sの上面に設けられる吹出口40Sdに対向するように配置されており、後方(下面側)から前方(上面側)に風を吹き出すものとなる。
【0101】
図27は本実施形態に係るファンモータ50S周辺の構成の概念を示す模式図である。
図27においてファンモータ50Sは取付部材70Sを介して、支持部材60S(図示省略)に取り付けられる。支持部材60Sはケーシング40Sの少なくとも2つの横ステーに間に水平に取り付けられるものである。なお、横ステーはケーシング40Sの支柱をつないでいる。また、室外ファン15S及び支持部材60Sはケーシング40S内に上から順に配置される。また、ファンモータ本体51Sの上方(風下側)には、室外ファン15Sとの間に第1カバー部材81Sが設けられ、ファンモータ本体51Sの下方(風上側)には第2カバー部材82Sが設けられる。これにより、支持部材60S、取付部材70S、第1カバー部材81S、及び第2カバー部材82Sが全体として、ファンモータ本体51Sの周囲を覆う構成となる。なお、第1カバー部材81Sには、回転軸52Sが貫通する貫通孔81Shが形成される。
【0102】
取付部材70Sは下方に窪みを有しており、窪みの底面部70Sbに開口70Shが形成される。また、第2カバー部材82Sには、少なくとも開口82Shを有する底面部82Sbが形成される。ここで、底面部82Sbの開口82Shは、取付部材70Sの開口70Shとラビリンス構造を形成する。これにより、取付部材70Sの底面部70Sbと、第2カバー部材82Sの底面部82Sbとにより、ファンモータ本体51の下部に、平面視で重複するとともに側面視で隙間を有する「重複領域RS」が形成される。
【0103】
以上説明したように、本実施形態に係る空気調和装置1の室外ユニット2Sは、ケーシング40Sと、室外ファン15Sと、ファンモータ50Sと、支持部材60Sと、取付部材70Sと、第1カバー部材81Sと、第2カバー部材82Sとを備える。ここで、室外ファン15Sは、ケーシング40S内に設けられ、下方(後方)から上方(前方)に風を吹き出すものである。ファンモータ50Sは、ファンモータ本体51S、及びファンモータ本体51Sから突出してファンモータ本体51Sの上方(風下側)で室外ファン15Sに接続する回転軸52Sを有するものである。支持部材60Sは、ケーシング40S内にファンモータ50Sを支持するためのものである。取付部材70Sは、支持部材60Sにファンモータ50Sを取り付けるものである。第1カバー部材81Sは、回転軸52Sが貫通する貫通孔81Shが形成され、ファンモータ本体51Sの上方(風下側)に配置されるものである。第2カバー部材82Sは、ファンモータ本体51Sの下方(風上側)に配置されるものである。そして、室外ユニット2Sでは、支持部材60S、取付部材70S、第1カバー部材81S、及び第2カバー部材82Sが全体として、ファンモータ本体51Sの周囲を覆うものとなっている。また、室外ユニット2Sでは、取付部材70S及び第2カバー部材82Sが、平面視で重複するとともに側面視で隙間を有する重複領域RSをファンモータ本体51よりも下方に形成する。
【0104】
したがって、本実施形態に係る室外ユニット2Sは、支持部材60S、取付部材70S、第1カバー部材81S、及び第2カバー部材82Sが全体としてファンモータ本体51Sの周囲を覆うので、防火機能を有している。さらに、上記構成の室外ユニット2Sでは、外部から水が浸入してきたり、内部に結露水等が生じたりした場合に、ファンモータ50Sの下方に形成される重複領域RSの隙間を経由して水が排出される。一方、重複領域RSは平面視で重複していることから、想定外の事象により、仮にファンモータ本体51Sが発火した場合でも、ファンモータ本体51Sの周囲を覆う部材から外部へ火が漏れることを阻止できる。結果として、防火機能を有しつつ排水性の高い室外ユニット2Sを提供することができる。
【0105】
なお、本実施形態に係る空気調和装置1の室外ユニット2Sは、重複領域RSを形成する2つの部材のうちの一方が、他方に向けて下向きに傾斜する傾斜部を有するものでもよい。具体的には、室外ユニット2Sの取付部材70Sが下方に向けて傾斜面を有する窪みを有するものでもよい。この場合、
図28に示すように、その窪みの傾斜面70Sgは、第2カバー部材81Sに向けて下向きに傾斜することになる。したがって、室外ユニット2Sでは、外部から水が浸入してきたり、内部に結露水等が生じたりした場合に、ファンモータ本体51Sの下方に形成される重複領域RSにおいて、取付部材72Sの傾斜面70Sg(傾斜部)を介して、第2カバー部材82Sに水が自然に流出される。結果として、上記構成を採用することで、排水性の高い室外ユニット2Sを提供することができる。
【0106】
<付記>
なお、本発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではない。本発明は、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、本発明は、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できるものである。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素は削除してもよいものである。さらに、異なる実施形態に構成要素を適宜組み合わせてもよいものである。