(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る旋回式作業機械100を示す側面図である。旋回式作業機械100は、基体を構成するクローラ式の下部走行体1と、その走行面に対して垂直な旋回中心軸Zまわりに旋回可能となるように下部走行体1の上に搭載される上部旋回体2と、この上部旋回体2に搭載されるアタッチメント3と、作動油を吐出する可変容量型の油圧ポンプ20(
図7参照)と、この油圧ポンプ20から吐出される前記作動油の供給を受けて上部旋回体2を旋回させるように作動する旋回モータ30(
図7参照)と、アタッチメント3を動作させるためのアクチュエータ(油圧アクチュエータ)と、を備える。
【0026】
本実施形態では、前記アタッチメント3は、アタッチメント本体と、前記アタッチメント本体の先端部に着脱可能に取り付けられる作業装置とを含む。本実施形態では、前記アタッチメント本体は、上部旋回体2に起伏可能に装着されるブーム4と、このブーム4の先端部に取付けられたアーム5とを含み、前記作業装置は、前記アーム5の先端部に着脱可能に取付けられる。当該作業装置としては、
図1においてアーム5の先端部に取り付けられているバケット6の他、
図2〜
図5に示す他のオプション装置6A〜6Dを用いることができる。すなわち、
図1に示す旋回式作業機械100におけるアーム5の先端部には、バケット6に代えてオプション装置6A〜6Dの何れも装着することが可能である。
【0027】
前記アクチュエータは、ブーム4を動作させるためのブームシリンダ7と、アーム5を動作させるためのアームシリンダ8と、前記作業装置をアーム5に対して回動動作させるための回動シリンダ9と、回動シリンダ9とは別のシリンダであって、オプション装置6A〜6Dそれぞれに特有の動作をさせるためのオプションアクチュエータとしてのオプションシリンダ10(
図7参照)とを含む。
【0028】
図2に示すオプション装置6Aは、例えばスクラップヤード等においてスクラップを把持し搬送するためのグラップル6Aである。グラップル6Aは、アーム5の先端部に取り付けられるブラケット61Aと、ブラケット61Aに支持されるグラップル本体62Aと、当該グラップル本体62Aに支持される複数本の爪63A(
図2では4本の爪63A)とを備える。オプションシリンダ10は、グラップル本体62Aに設けられている。
【0029】
図3に示すオプション装置6Bは、例えばコンクリート構造物等の解体作業を行うための圧砕機6B(破砕機)である。圧砕機6Bは、アーム5の先端部に取り付けられるブラケット61Bと、前記ブラケット61Bに支持される圧砕機本体62Bと、前記圧砕機本体62Bに支持される一対の圧砕アーム63Bとを備える。オプションシリンダ10は、圧砕機本体62Bに設けられている。
【0030】
図4に示すオプション装置6Cは、例えば岩盤の掘削、岩石の小割、コンクリートの破砕などに使用するためのブレーカ6Cである。ブレーカ6Cは、アーム5の先端部に取り付けられるブラケット61Cと、前記ブラケット61Cに支持されるブレーカ本体62Cと、ブレーカ本体62Cに支持されるとともにその軸方向に往復動作可能なチゼル63Cとを備える。オプションシリンダ10は、ブレーカ本体62Cに設けられている。
【0031】
図5に示すオプション装置6Dは、例えば運搬物を把持するためのフォーク6Dである。フォーク6Dは、アーム5の先端部に取り付けられるブラケット61Dと、前記ブラケット61Dに支持されるフォーク本体62Dと、フォーク本体62Dに支持される一対の開閉アーム63Dとを備える。オプションシリンダ10は、フォーク本体62Dに設けられている。
【0032】
オプションシリンダ10は、オプション装置6A〜6Dの何れにおいても各オプション装置に特有の動作をさせるために設けられている。すなわち、グラップル6Aに設けられるオプションシリンダ10は、複数本の爪63Aを開閉動作させるためのものである。圧砕機6Bに設けられるオプションシリンダ10は、一対の圧砕アーム63Bを開閉動作させるためのものである。ブレーカ6Cに設けられるオプションシリンダ10は、ブレーカ本体62Cに対してチゼル63Cをその軸方向に前進後退動作(往復動作)させるためのものである。フォーク6Dに設けられるオプションシリンダ10は、一対の開閉アーム63Dを開閉動作させるためのものである。これらのようなオプションシリンダ10は、バケット6には設けられていない。
【0033】
オプション装置6A〜6Dが前記特有の動作を行うときに必要とされる作動圧は、オプション装置の種類によって異なる。オプション装置6A〜6Dのうち、グラップル6Aとフォーク6Dは一般的に作動圧が小さく、圧砕機6Bとブレーカ6Cは一般的に作動圧が大きい。したがって、オプション装置6A〜6Dは、作動圧の比較的小さい第1のオプション装置と、作動圧の比較的大きい第2のオプション装置とに分類される。すなわち、
図6に示すように、第1のオプション装置は、グラップル6Aと、フォーク6Dとを含み、第2のオプション装置は、圧砕機6Bと、ブレーカ6Cとを含む。
【0034】
オプションシリンダ10は、旋回モータ30を駆動する油圧ポンプ20と同じ油圧ポンプ20から吐出される作動油の供給を受けて作動するように構成されている。なお、ブームシリンダ7、アームシリンダ8及び回動シリンダ9は、旋回モータ30と同じ油圧ポンプ20から吐出される作動油の供給を受けて作動するように構成されていてもよく、旋回モータ30と同じ油圧ポンプ20から吐出される作動油の供給を受けずに旋回モータ30と異なる油圧ポンプ20から吐出される作動油の供給を受けて作動するように構成されていてもよい。
【0035】
図7は、実施形態に係る旋回式作業機械100に搭載された油圧回路を示す図である。この油圧回路は、上部旋回体2の旋回動作と、オプション装置6A〜6Dにおける前記特有の動作に関係する部分とを示す。当該油圧回路は、旋回モータ30と、オプションシリンダ10と、油圧ポンプ20と、旋回制御弁40と、オプション制御弁50と、を備える。
【0036】
旋回モータ30は、上部旋回体2を旋回駆動させるための油圧モータである。旋回モータ30は、作動油の供給を受けて回転する出力軸30cを有し、当該出力軸30cは上部旋回体2を左右双方向に旋回させるように上部旋回体2に連結されている。具体的に、旋回モータ30は、第1ポート30a及び第2ポート30bを有し、そのうちの一方のポートへの作動油の供給を受けることにより当該一方のポートに対応する方向に出力軸30cが回転するとともに他方のポートから作動油を排出する。
【0037】
オプションシリンダ10は、作動油の供給を受けて伸縮方向に作動し、オプション装置6A〜6Dにおいて前記特有の動作が行われるように当該オプション装置6A〜6Dに設けられている。
【0038】
油圧ポンプ20は、旋回モータ30及びオプションシリンダ10を動作させるための作動油を吐出する。すなわち、上部旋回体2を旋回させる旋回モータ30と、オプション装置6A〜6Dを動作させるオプションシリンダ10とが共通の油圧ポンプ20に接続されている。油圧ポンプ20は、図略のエンジンによって駆動され、これによりタンク21内の作動油を吐出する。
【0039】
油圧ポンプ20は、ポンプ吐出量(ポンプ容量)が調節可能である可変容量型の油圧ポンプである。油圧ポンプ20には、レギュレータ22が設けられ、レギュレータ22は、後述するコントローラ70からの容量指令信号の入力を受けることにより油圧ポンプ20の容量を前記容量指令信号に対応した容量に調節する。
【0040】
旋回制御弁40は、油圧ポンプ20と旋回モータ30との間に介在し、旋回モータ30を駆動するための作動油を油圧ポンプ20から旋回モータ30の第1ポート30a及び第2ポート30bに択一的に導いて当該旋回モータ30に供給される作動油の方向を制御するとともに、旋回モータ30に供給される作動油の流量を制御するための制御弁である。
【0041】
オプション制御弁50は、油圧ポンプ20とオプションシリンダ10との間に介在し、オプションシリンダ10を駆動するための作動油を油圧ポンプ20からオプションシリンダ10に導いてオプションシリンダ10に供給される作動油の方向を制御するとともに、オプションシリンダ10に供給される作動油の流量を制御するための制御弁である。
【0042】
旋回制御弁40及びオプション制御弁50のそれぞれは、パイロット操作式の油圧切換弁からなり、各制御弁のパイロットポートに図略のパイロットポンプからのパイロット圧の供給を受け、当該パイロット圧の大きさに対応したストロークで開弁することにより、当該ストロークに対応した流量で旋回モータ30又はオプションシリンダ10に作動油が供給されることを許容する。従って、当該パイロット圧を変えることによって前記流量の制御が可能である。具体的には次の通りである。
【0043】
旋回制御弁40は、パイロットポート41a,41bを有する。旋回制御弁40は、これらのパイロットポート41a,41bにパイロット圧が入力されないときは中立位置(
図7の中央位置)に保持される。この中立位置では、油圧ポンプ20と旋回モータ30との間が遮断されてセンターバイパスライン31が開通することにより油圧ポンプ20からの作動油がセンターバイパスライン31を通じてそのままタンク21に戻る。
【0044】
また、旋回制御弁40は、パイロットポート41aに一定以上のパイロット圧が供給されるとそのパイロット圧の大きさに対応したストロークで前記中立位置から第1駆動位置(
図7の左側位置)にシフトする。この第1駆動位置では、油圧ポンプ20につながるポンプライン32と第1ポート30aにつながるモータライン33とを接続するとともに、第2ポート30bにつながるモータライン34とタンク21につながるタンクライン35とを接続する。このことは、油圧ポンプ20からの作動油が前記ストロークに対応した流量で旋回モータ30の第1ポート30aに供給されるのを許容するとともに、第2ポート30bから排出される作動油がタンク21に戻るのを許容する。
【0045】
また、旋回制御弁40は、パイロットポート41bに一定以上のパイロット圧が供給されるとそのパイロット圧の大きさに対応したストロークで前記中立位置から第2駆動位置(
図7の右側位置)にシフトする。この第2駆動位置では、油圧ポンプ20につながるポンプライン32と第2ポート30bにつながるモータライン34とを接続するとともに、第1ポート30aにつながるモータライン33とタンク21につながるタンクライン35とを接続する。このことは、油圧ポンプ20からの作動油が前記ストロークに対応した流量で旋回モータ30の第2ポート30bに供給されるのを許容するとともに、第1ポート30aから排出される作動油がタンク21に戻るのを許容する。
【0046】
オプション制御弁50は、一対のパイロットポート51a,51bを有する。オプション制御弁50は、これらのパイロットポート51a,51bにパイロット圧が入力されないときは中立位置(
図7の中央位置)に保持され、油圧ポンプ20とオプションシリンダ10との間を遮断する。
【0047】
また、オプション制御弁50は、パイロットポート51aにパイロット圧が入力されたときは前記中立位置から第1駆動位置(図の左側位置)にシフトする。この第1駆動位置では、油圧ポンプ20につながるポンプライン53とロッド側室11Rにつながるシリンダライン54とを接続するとともに、ヘッド側室11Hにつながるシリンダライン55とタンク52につながるタンクライン56とを接続する。このことは、油圧ポンプ20からの作動油が前記ストロークに対応した流量でオプションシリンダ10のロッド側室11Rに供給されるのを許容するとともに、オプションシリンダ10のヘッド側室11Hから排出される作動油がタンク52に戻るのを許容する。
【0048】
また、オプション制御弁50は、パイロットポート51bにパイロット圧が入力されたときは前記中立位置から第2駆動位置(図の右側位置)にシフトする。この第2駆動位置では、油圧ポンプ20につながるポンプライン53とヘッド側室11Hにつながるシリンダライン55とを接続するとともに、ロッド側室11Rにつながるシリンダライン54とタンク52につながるタンクライン56とを接続する。このことは、油圧ポンプ20からの作動油が前記ストロークに対応した流量でオプションシリンダ10のヘッド側室11Hに供給されるのを許容するとともに、オプションシリンダ10のロッド側室11Rから排出される作動油がタンク52に戻るのを許容する。
【0049】
図7に示す油圧回路は、複数の検出部と、コントローラ70と、旋回操作装置81と、オプション操作装置82とをさらに備える。
【0050】
前記複数の検出部は、旋回操作センサ91(旋回操作検出部)と、オプション操作センサ92(オプション操作検出部)と、旋回速度センサ93(旋回速度検出部)と、旋回油圧センサ94(モータ負荷検出部)と、ポンプ作動圧センサ95(モータ負荷検出部)とを含む。
【0051】
旋回操作センサ91は、旋回操作装置81における後述の旋回操作部材81Aによって与えられる旋回指令操作の大きさに対応したパイロット圧を検出するためのセンサである。旋回操作センサ91は、検出されたパイロット圧を電気的信号(パイロット圧検出信号)に変換し、コントローラ70に入力する。
【0052】
オプション操作センサ92は、オプション操作装置82における後述のオプション操作部材82Aによって与えられる動作指令操作の大きさに対応したパイロット圧を検出するためのセンサである。オプション操作センサ92は、検出されたパイロット圧を電気的信号(パイロット圧検出信号)に変換し、コントローラ70に入力する。
【0053】
旋回速度センサ93は、上部旋回体2の旋回速度の大きさ及び旋回の方向を検出することができるセンサである。旋回速度センサ93としては、例えば上部旋回体2の動作を検出可能なエンコーダ、レゾルバ、ジャイロセンサなどを用いることができる。旋回速度センサ93は、検出された上部旋回体2の旋回速度の大きさ、旋回方向などを電気的信号(旋回速度検出信号)に変換し、コントローラ70に入力する。
【0054】
旋回油圧センサ94は、旋回モータ30の第1ポート30aにおける作動油の圧力に対応する第1モータ圧検出信号を生成する第1モータ圧センサ94Aと、旋回モータ30の第2ポート30bにおける作動油の圧力に対応する第2モータ圧検出信号を生成する第2モータ圧センサ94Bとによって構成されている。第1モータ圧センサ94A及び第2モータ圧センサ94Bは、モータ圧検出信号をコントローラ70に入力する。
【0055】
ポンプ作動圧センサ95は、油圧ポンプ20の作動圧に対応する作動圧検出信号を生成し、コントローラ70に入力する。
【0056】
コントローラ70は、中央処理装置(Central Processing Unit)、種々の制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)などから構成される。
【0057】
コントローラ70は、開閉動作制御部71と、オプション装置判定部72と、操作判定部73とを機能として備える。コントローラ70は、CPUが前記制御プログラムを実行することにより、開閉動作制御部71、オプション装置判定部72及び操作判定部73を機能的に構成するように動作する。コントローラ70は、前記複数の検出部などから入力される信号に基づいて、前記制御プログラムを実行することにより、旋回式作業機械100の動作(旋回モータ30、オプションシリンダ10などの動作)を制御する。コントローラ70は、後述する旋回操作部材81Aの操作量、オプション操作部材82Aの操作量などに応じてポンプ吐出量(ポンプ容量)を増減させるポジティブコントロール制御などを行う。
【0058】
開閉動作制御部71は、オプション制御弁50の開閉動作を制御する機能を有する。
【0059】
オプション装置判定部72は、前記オプション装置として第1のオプション装置及び第2のオプション装置のうち、何れの種類のオプション装置がアーム5の先端部に取り付けられているかを判定する機能を有する。具体的には、オプション装置判定部72は、オプション装置6A〜6Dの何れのオプション装置がアーム5の先端部に取り付けられているかを判定する。
【0060】
操作判定部73は、旋回操作装置81による旋回操作及びオプション操作装置82によるオプション操作に関する判定を行う機能を有する。開閉動作制御部71、オプション装置判定部72及び操作判定部73の詳細については後述する。
【0061】
旋回操作装置81は、旋回操作部材81A(旋回操作レバー)と、パイロット弁81Bとを有する。旋回操作部材81Aは、当該旋回操作部材81Aに対してオペレータから旋回指令操作が与えられることによりその向きに回動する。
【0062】
パイロット弁81Bは、図略のパイロットポンプに接続される図略の入口ポートと、図略の一対の出口ポートとを有する。当該一対の出口ポートは、パイロットライン84a及びパイロットライン84bをそれぞれ介して旋回制御弁40におけるパイロットポート41a及びパイロットポート41bに接続される。パイロット弁81Bは、旋回操作部材81Aに連結され、一対のパイロットポート41a,41bのうち旋回操作部材81Aに与えられる旋回指令操作の向きに対応するパイロットポートに対して前記パイロットポンプから当該旋回指令操作の大きさに対応したパイロット圧が供給されることを許容するように開弁する。
【0063】
オプション操作装置82は、オプション操作部材82A(オプション操作レバー)と、パイロット弁82Bとを有する。オプション操作部材82Aは、当該オプション操作部材82Aに対してオペレータから動作指令操作が与えられることによりその向きに回動する。
【0064】
パイロット弁82Bは、図略のパイロットポンプに接続される図略の入口ポートと、図略の一対の出口ポートとを有する。当該一対の出口ポートは、一対のパイロットライン85a,85bを介してオプション制御弁50におけるパイロットポート51a及びパイロットポート51bに接続される。パイロット弁82Bは、オプション操作部材82Aに連結され、一対のパイロットポート51a,51bのうちオプション操作部材82Aに与えられる動作指令操作の向きに対応するパイロットポートに対して前記パイロットポンプから当該動作指令操作の大きさに対応したパイロット圧が供給されることを許容するように開弁する。
【0065】
具体的には、パイロット弁82Bの一対のパイロットライン85a,85bの途中には、電磁弁83A,83Bがそれぞれ設けられている。これらの電磁弁83A,83Bは、オプション操作部材82Aの操作によって前記パイロットポンプから吐出されるパイロット油の供給及び排出の方向を切り換える。また、電磁弁83A,83Bは、コントローラ70によって制御されることにより、パイロットポート51a,51bに供給されるパイロット圧を変化させ、これにより、オプション制御弁50の開閉動作を制御してオプション制御弁50の開度を調節することができる。
【0066】
[旋回式作業機械の制御]
本実施形態に係る旋回式作業機械100では、旋回操作部材81Aの操作とオプション操作部材82Aの操作とが同時に行われる複合操作時において、無条件にオプション制御弁50の開度を減少させる制御が行われるわけではない。旋回式作業機械100では、オプション制御弁50の開度を減少させるか否かの判定をする第1の開度減少条件には、旋回操作部材81Aの操作量に現れるオペレータの意図を反映させることが可能な条件が含まれている。これにより、複合操作時においてオペレータの意図しない上部旋回体2の増速が生じるのを抑制する一方で、複合操作時において上部旋回体2の増速が必要なときには旋回動作を優先させることができる。
【0067】
本実施形態では、開閉動作制御部71は、予め設定された基準操作量SV以上の操作量を旋回操作検出部91が検出し、かつ、オプション操作部材82Aが操作されたことをオプション操作検出部92が検出するという第1の開度減少条件が満たされた場合にのみ、オプション制御弁50の開度を減少させるようにオプション制御弁50を制御する。これにより、当該基準操作量SVとオペレータによる旋回操作部材81Aの実際の操作量との対比に基づいて、オペレータの意志を尊重した制御が可能になる。
【0068】
前記基準操作量SVは、上部旋回体2の旋回動作を行わせるための旋回操作部材81Aの最小操作量よりも大きい範囲で予め設定された閾値である。当該最小操作量は、言い換えると、上部旋回体2が実際に旋回しはじめるときの旋回操作部材81Aの操作量である。当該最小操作量は、旋回操作部材81Aが操作されたことを旋回操作検出部91が検出可能な検出下限操作量よりも大きな値である。前記基準操作量SVは、オペレータが上部旋回体2の増速を意図していると擬制するために任意で設定された値である。言い換えると、前記基準操作量SVは、オペレータが上部旋回体2の増速を意図していると擬制することができる値である。したがって、当該基準操作量SVの値は特に限定されるものではない。具体例を挙げると、前記基準操作量SVは、旋回操作部材81Aのフルストローク(最大ストローク幅)の1/2よりも大きな値に設定することができる。また、前記基準操作量SVは、フルストローク(最大ストローク幅)の2/3よりも大きな値に設定することができる。
【0069】
本実施形態では、前記第1の開度減少条件が満たされない場合、例えば、複合操作がされていても、旋回操作部材81Aの操作量が前記基準操作量SV未満である場合には、オプション制御弁50の開度を減少させる制御が行われない。このように本実施形態では、前記第1の開度減少条件が満たされない場合、複合操作がされていてもオプション制御弁50の開度を維持する制御が行われる。これにより、複合操作時においてオペレータの意図しない上部旋回体2の増速が生じるのを抑制することができる。
【0070】
その一方で、前記第1の開度減少条件が満たされる場合、すなわち、複合操作がされていて、しかも、旋回操作部材81Aの操作量が前記基準操作量SV以上である場合には、オペレータが上部旋回体2の増速を意図しているとみなして、オプション制御弁50の開度を減少させる制御が行われる。これにより、複合操作時において上部旋回体2の増速が必要なときに旋回動作を優先させて上部旋回体2を確実に旋回させることができる。
【0071】
特に、本実施形態に係る旋回式作業機械100では、前記第1の開度減少条件が満たされ、かつ、上部旋回体2の旋回が起動するとき(上部旋回体2が旋回方向に動き始めるとき)に、オプション制御弁50の開度を減少させる制御が行われて旋回動作が優先されることにより、上部旋回体2の旋回を確実に起動させることができる。
【0072】
また、本実施形態では、前記第1の開度減少条件に加え、さらに、交換可能な前記オプション装置6A〜6Dの作動圧を考慮して、オプション制御弁50の開度を減少させる制御の要否を判定する。これにより、無駄な制御が行われないようにしつつ、上部旋回体2の増速が必要なときに旋回動作を優先させて上部旋回体2を確実に旋回させることができる。具体的には次の通りである。
【0073】
1台の油圧ポンプ20からオプションシリンダ10と旋回モータ30に作動油を供給してこれらを駆動する
図7に示す油圧回路においては、オプションシリンダ10の作動圧が低い場合にはそれに伴って旋回モータ30の作動圧も低くなるため、旋回動作、特に旋回の起動が円滑に行われにくくなる。かかる場合には、前記第1の開度減少条件が満たされることを条件に、オプション制御弁50の開度を減少させる制御が行われることにより、旋回動作、特に旋回の起動が円滑に行われる。
【0074】
その一方で、オプションシリンダ10の作動圧が比較的大きい場合には、それに伴って旋回モータ30の作動圧も高くなり、旋回動作時、特に旋回の起動時の圧力が確保される。かかる場合には、前記第1の開度減少条件が満たされていたとしても、オプション制御弁50の開度を減少させる制御は不要となる。むしろ、かかる場合にオプション制御弁50の開度を減少させる制御が行われると、オプションシリンダ10に供給される作動油の流量が不足して前記オプション装置6A〜6Dが動きにくくなることが懸念される。
【0075】
そこで、本実施形態では、開閉動作制御部71は、第1の開度減少条件が満たされ、かつ、オプション装置として、前記オプション装置6A〜6Dのうちで作動圧の比較的小さい第1のオプション装置(グラップル6A,フォーク6D)が用いられている場合には、オプション制御弁50の開度を減少させる制御を行う一方で、第1の開度減少条件が満たされても、オプション装置として、オプション装置6A〜6Dのうちで作動圧の比較的大きい第2のオプション装置(圧砕機6B,ブレーカ6C)が用いられている場合には、オプション制御弁50の開度を減少させる制御を行わない。これにより、無駄な制御が行われないようにしつつ、上部旋回体2の増速が必要なときに旋回動作を優先させて上部旋回体2を確実に旋回させることができる。
【0076】
[制御例1]
図8は、実施形態に係る旋回式作業機械100を制御するための制御例1を示すフローチャートである。
【0077】
図8に示す制御例1において、オプション装置判定部72は、アーム5の先端部に取り付けられている前記オプション装置が予め設定されている特定の装置であるか否か、すなわち、第1のオプション装置であるか否かについて判定する(ステップS1)。具体的には、オプション装置判定部72は、前記オプション装置がオプション装置6A〜6Dの何れであるかについて判定する。
【0078】
当該判定は、例えば次のようにして行うことができる。すなわち、オペレータは、アーム5の先端部に取り付けられる前記オプション装置の種類、具体的にはオプション装置6A〜6Dの何れかに対応する情報を図略の操作パネルに入力し、その入力されたオプション装置に関する情報に対応する信号がコントローラ70に入力される。そして、オプション装置判定部72は、コントローラ70に入力された当該信号に基づいて前記オプション装置がオプション装置6A〜6Dの何れであるかを判定することができる。また、アーム5の先端部にオプション装置6A〜6Dの何れかが取り付けられると、そのオプション装置に対応する信号が自動的にコントローラ70に入力され、オプション装置判定部72は、当該信号に基づいて前記オプション装置がオプション装置6A〜6Dの何れであるかを判定することができるように構成されていてもよい。
【0079】
アーム5の先端部に取り付けられたオプション装置が、作動圧の小さい第1のオプション機器、具体的には
図6に示すグラップル6A又はフォーク6Dである場合(ステップS1においてYES)、操作判定部73は、旋回操作部材81Aによる旋回操作の操作量が前記基準操作量SV以上であるか否かを判定する(ステップS2)。
【0080】
旋回操作の操作量が前記基準操作量SV以上である場合(ステップS2においてYES)、操作判定部73は、オプション操作部材82Aによるオプション操作の操作量が予め設定された閾値B以上であるか否かを判定する(ステップS3)。当該閾値Bは、オプション装置6A〜6Dの動作を行わせるためのオプション操作部材82Aの操作がオペレータによって行われたか否かを判定することができる値に設定されている。具体的には、当該閾値Bは、例えば、オプション装置6A〜6Dの動作を行わせるためのオプション操作部材82Aの最小操作量に相当する値に設定することができる。ただし、当該閾値Bは、当該最小操作量よりも大きな値であってもよい。
【0081】
オプション操作の操作量が前記閾値B以上である場合(ステップS3においてYES)、開閉動作制御部71は、オプション制御弁50の開度を減少させるようにオプション制御弁50を制御し(ステップS4)、コントローラ70は上述の一連の制御を繰り返す(ステップS1〜S4)。
【0082】
一方、アーム5の先端部に取り付けられたオプション装置が、作動圧の大きい第2のオプション装置、具体的には
図6に示す圧砕機6B又はブレーカ6Cである場合(ステップS1においてNO)、開閉動作制御部71は、オプション制御弁50の開度を減少させる制御を行わない。
【0083】
また、オプション装置が、作動圧の小さい第1のオプション機器であっても(ステップS1においてYES)、旋回操作の操作量が前記基準操作量SV未満である場合(ステップS2においてNO)、開閉動作制御部71は、オプション制御弁50の開度を減少させる制御を行わず、コントローラ70は上述の一連の制御を繰り返す(ステップS1〜S4)。
【0084】
また、オプション装置が、作動圧の小さい第1のオプション機器であり(ステップS1においてYES)、旋回操作の操作量が前記基準操作量SV以上であっても(ステップS2においてYES)、オプション操作の操作量が前記閾値B未満である場合(ステップS3においてNO)、開閉動作制御部71は、オプション制御弁50の開度を減少させる制御を行わず、コントローラ70は上述の一連の制御を繰り返す(ステップS1〜S4)。
【0085】
図8のフローチャートに示す制御例1においては、オプション制御弁の開度の調節に関し、さらに次のような制御を加えることもできる。
図9(A)は、実施形態に係る旋回式作業機械100において、旋回操作部材81Aの操作量とオプション制御弁50の開度との関係を示すグラフである。
【0086】
図9(A)の縦軸において、開度Y1は、前記第1の開度減少条件が満たされる前のオプション制御弁50の開度であり、開度Y2は、前記第1の開度減少条件が満たされて開閉動作制御部71によってオプション制御弁50の開度を減少させる制御が行われたときのオプション制御弁50の開度である。
図9(A)の横軸において、操作量X2は、前記基準操作量SVに相当する。操作量X1は、前記第1の開度減少条件が満たされて開閉動作制御部71によってオプション制御弁50の開度を減少させる制御が行われた後、旋回操作部材81Aの操作量が前記基準操作量SV未満となった場合に、オプション制御弁50の開度を開度Y2から開度Y1に戻すか否かを判定するときの基準となる操作量である。したがって、
図8のフローチャートにおいて、開閉動作制御部71が、オプション制御弁50の開度を減少させる制御を行い(ステップS4)、その後、旋回操作部材81Aの操作量が操作量X1以下となった場合には、開閉動作制御部71は、オプション制御弁50の開度を開度Y2から開度Y1に戻すようにオプション制御弁50を制御する。
【0087】
また、実施形態に係る旋回式作業機械100において、旋回操作部材81Aの操作量とオプション制御弁50の開度との関係は、
図9(B),(C)のグラフに示すようなものであってもよい。例えば
図9(B)に示すように、オプション制御弁50の開度をY1からY2に減少させるか否かを判定するときの基準となる操作量は、操作量X2、X4のように複数設定されていてもよい。同様に、オプション制御弁50の開度をY2からY1に戻すか否かを判定するときの基準となる操作量は、操作量X1、X3のように複数設定されていてもよい。また、オプション制御弁50の開度の調節は、予め設定された2つの開度Y1と開度Y2を切り換えるように行われるのではなく、予め設定された3つ以上の開度の何れかに切り換えるように行われてもよい。
【0088】
また、例えば
図9(C)に示すように、旋回操作部材81Aの操作量が閾値X1や閾値X2に到達した後、オプション制御弁50の開度を滑らかに増加又は減少させてもよい。この場合、オプション制御弁50の開度の増加又は減少は、予め設定された関数に従って行われてもよい。
【0089】
[制御例2]
次に、実施形態に係る旋回式作業機械100を制御するための制御例2について説明する。
【0090】
制御例2では、開閉動作制御部71は、制御例1で示した前記第1の開度減少条件が満たされない場合であっても、次のような第2の開度減少条件が満たされた場合には、オプション制御弁50の開度を減少させる制御を行う。すなわち、当該第2の開度減少条件は、オプション操作部材82Aが操作されたことをオプション操作検出部92が検出する時点が、旋回操作部材81Aが操作されたことを旋回操作検出部91が検出する時点よりも早く、かつ、旋回速度センサ93によって検出される旋回速度が予め定められた閾値D以下であるという条件である。
【0091】
この制御例2では、複合操作時であって上記の第2の開度減少条件が満たされた場合においても、オペレータの意図しない上部旋回体2の増速が生じるのを抑制しつつ、上部旋回体2の増速が必要なとき、特に上部旋回体2の旋回が起動するときのように旋回速度が小さいときに、旋回動作を優先させて上部旋回体2の旋回を確実に起動させることができる。このような第2の開度減少条件を規定した理由は次の通りである。
【0092】
図10及び
図11は、第2の開度減少条件を説明するためのグラフである。
図10は、複合操作時において、上部旋回体2を旋回させる旋回操作がオプション装置6A〜6Dを動作させるオプション操作よりも早い場合の特性を示しており、
図11は、前記オプション操作が前記旋回操作よりも早い場合の特性を示している。
【0093】
図10及び
図11のそれぞれにおいて、グラフ(A)は、操作部材81A,82Aの操作量と時間との関係を示しており、グラフ(B)は、ポンプ吐出量と時間との関係を示しており、グラフ(C)は、オプション制御弁50の開度と時間との関係を示しており、グラフ(D)は、上部旋回体2の旋回速度及びオプション装置の動作速度と時間との関係を示している。
【0094】
図10のグラフ(A)は、旋回操作が時間t1の時点で開始され、オプション操作が時間t1よりも後の時間t2の時点で開始される場合(旋回操作がオプション操作よりも早い場合)であって、旋回操作部材81Aの操作量W及びオプション操作部材82Aの操作量が一定である場合を示している。旋回操作部材81Aの当該操作量Wは、上述した基準操作量SVよりも小さい値である。
【0095】
かかる場合に、
図10のグラフ(C)に示すように、オプション操作が開始される時間t2の時点(すなわち複合操作が開始される時点)でオプション制御弁50の開度を減少させる制御が行われると、旋回操作部材81Aの操作量Wが一定であったとしても、
図10のグラフ(D)に示すようにオペレータの意図に反して旋回速度が速度V1から速度V2に増加する。これは、油圧ポンプ20が可変容量型であり、前記ポジティブコントロール制御が行われると、
図10のグラフ(B)に示すようにオプション操作が開始される時間t2の時点でポンプ20の吐出量が増加するためである。
【0096】
図11のグラフ(A)は、オプション操作が時間t3の時点で開始され、旋回操作が時間t3よりも後の時間t4の時点で開始される場合(オプション操作が旋回操作よりも早い場合)であって、旋回操作部材81Aの操作量及びオプション操作部材82Aの操作量が一定である場合を示している。かかる場合には、
図11のグラフ(C)に示すように、旋回操作が開始される時間t4の時点(すなわち複合操作が開始される時点)でオプション制御弁50の開度を減少させる制御が行われても、
図10のグラフ(D)に示すように旋回速度は、オペレータの意図に反して増加することはない。
図11のグラフ(B)に示すように旋回操作が開始される時間t4の時点でポンプ20の吐出量は増加するが、旋回速度は、旋回操作が開始される時間t4の時点から速度V3まで滑らかに漸増するため、オペレータは、
図10のグラフ(D)に示されるような旋回速度の急な増速を感じないためである。
【0097】
したがって、
図11に示すようにオプション操作が旋回操作よりも早い場合には、複合操作が開始されるときにオプション制御弁50の開度を減少させる制御を行うことにより、オペレータの意図しない上部旋回体2の旋回速度の増速が生じるのを抑制しつつ、旋回動作を優先させて上部旋回体2の旋回を確実に起動させることができる。
【0098】
図12は、制御例2における第2の開度減少条件のより好ましい態様を説明するためのグラフである。この態様では、
図11のグラフ(C)に示すようなオプション制御弁50の開度の制御に代えて
図12のグラフ(C)に示すようなオプション制御弁50の開度の制御を行うことにより、オプション制御弁50の開度減少に起因するオプション装置6A〜6Dの動作速度の低下を抑制することができる。具体的には次の通りである。
【0099】
上述した
図11のグラフ(C)に示す制御では、複合操作が開始される時間t4の時点でオプション制御弁50の開度を減少させる制御が行われるため、オプション装置の動作速度は、
図11のグラフ(D)に示されるように複合操作の開始前の速度V4から複合操作の開始後の速度V5まで低下する。
【0100】
ここで、旋回動作を優先させる必要性が最も高い時期は、上部旋回体2の旋回動作の起動時である。複合操作が開始される時間t4の時点でオプション制御弁50の開度を減少させる制御が行われると、上部旋回体2の旋回速度が迅速に増加する。一方、当該旋回速度がある程度増加した後には、旋回動作の起動時に比べて、旋回動作を優先させる必要性が低くなる。
【0101】
これらの点を考慮して、
図12に示すより好ましい態様では、次のような制御を行う。すなわち、
図12のグラフ(C)に示すように、複合操作が開始される時間t4の時点でオプション制御弁50の開度を減少させて、旋回動作の起動時における旋回動作を優先させることにより、上部旋回体2の旋回を確実に起動させる。そして、上部旋回体2の旋回速度が予め設定された閾値E(速度E)以上になる時間t5の時点でオプション制御弁50の開度を増加させる。これにより、オプション装置の動作速度の低下を抑制することができる。なお、
図12のグラフ(C)では、時間t5の時点でオプション制御弁50の開度を、複合操作の開始前の値に戻しているが、これに限られず、当該開始前の値とは異なる値に増加させてもよい。
【0102】
図13は、実施形態に係る旋回式作業機械100における制御例2を示すフローチャートである。
図13に示す制御例2におけるステップS11〜S14は、
図8に示す制御例1におけるステップS1〜S14と同様の処理であるため、詳細な説明を省略する。
【0103】
制御例2では、
図13に示すように旋回操作部材81Aによる旋回操作の操作量が前記基準操作量SV未満である場合(ステップS12においてNO)、すなわち、前記第1の開度減少条件が満たされていない場合には、以下のような処理が行われる。
図13に示すステップS15〜S18では、第2の開度減少条件が満たされているか否かを判定する。当該第2の開度減少条件が満たされている場合には、ステップS14においてオプション制御弁50の開度を減少させる制御を行う。具体的には次の通りである。
【0104】
操作判定部73は、旋回操作部材81Aによる旋回操作の操作量が予め設定された閾値C以上であるか否かを判定する(ステップS15)。当該閾値Cは、上部旋回体2の旋回動作を行わせるための旋回操作部材81Aの操作がオペレータによって行われたか否かを判定することができる値に設定されている。具体的には、当該閾値Cは、例えば、上部旋回体2の旋回動作を行わせるための旋回操作部材81Aの最小操作量に相当する値に設定することができる。言い換えると、当該閾値Cは、上部旋回体2が実際に旋回しはじめる旋回操作部材81Aの最小操作量に設定することができる。当該閾値Cは、前記基準操作量SVよりも小さな値である。当該閾値Cは、旋回操作部材81Aが操作されたことを旋回操作検出部91が検出可能な検出下限操作量よりも大きな値である。
【0105】
旋回操作の操作量が前記閾値C以上である場合(ステップS15においてYES)、操作判定部73は、オプション操作部材82Aによるオプション操作の操作量が予め設定された閾値B以上であるか否かを判定する(ステップS16)。当該閾値Bは、オプション装置6A〜6Dの動作を行わせるためのオプション操作部材82Aの操作がオペレータによって行われたか否かを判定することができる値に設定されている。具体的には、当該閾値Bは、例えば、オプション装置6A〜6Dの動作を行わせるためのオプション操作部材82Aの最小操作量に相当する値に設定することができる。ただし、当該閾値Bは、当該最小操作量よりも大きな値であってもよい。なお、当該閾値Bは、
図13のステップS13における閾値B、及び上述の制御例1において説明した
図8のステップS3における閾値Bと同じ値である。
【0106】
オプション操作の操作量が前記閾値B以上である場合(ステップS16においてYES)、複合操作がされていることになる。かかる場合、操作判定部73は、オプション操作部材82Aが操作されたことをオプション操作検出部92が検出する時点が、旋回操作部材81Aが操作されたことを旋回操作検出部91が検出する時点よりも早いか否かを判定する(ステップS17)。
【0107】
オプション操作が旋回操作よりも早い場合(ステップS17においてYES)、コントローラ70は、旋回速度センサ93によって検出される上部旋回体2の旋回速度が予め設定された閾値D以下であるか否かを判定する(ステップS18)。当該閾値Dは、
図12のグラフ(D)に示すように、上部旋回体2が旋回動作の起動時の段階又は旋回起動後の初期段階にあるか否かを判定するための値である。
【0108】
旋回速度が閾値D以下である場合(ステップS18においてYES)、開閉動作制御部71は、オプション制御弁50の開度を減少させるようにオプション制御弁50を制御する(ステップS14)。このようにオプション操作が旋回操作よりも早く、かつ、旋回速度が閾値D以下である場合に、オプション制御弁50の開度を減少させる制御を行うことにより、オペレータの意図しない上部旋回体2の増速が生じるのを抑制しつつ、旋回動作を優先させて上部旋回体2の旋回を確実に起動させることができる。
【0109】
その後、上部旋回体2の旋回速度がある程度増加した後には、旋回動作の起動時に比べて、旋回動作を優先させる必要性が低くなる。したがって、コントローラ70は、上部旋回体2の旋回速度が予め設定された閾値E以上であるか否かを判定する(ステップS19)。当該閾値Eは、上述の閾値D(上部旋回体2が旋回動作の起動時の段階又は旋回起動後の初期段階にあるときの速度)よりも大きな値に設定されている。当該閾値Eは、上部旋回体2の旋回の起動が確実に行われた以降の速度である。
【0110】
旋回速度が閾値E以上である場合(ステップS19においてYES),開閉動作制御部71は、オプション制御弁50の開度を増加させるようにオプション制御弁50を制御する(ステップS20)。これにより、
図12のグラフ(D)に示すようにオプション装置6A〜6Dの動作速度の低下を抑制することができる。
【0111】
[制御例3]
次に、実施形態に係る旋回式作業機械100を制御するための制御例3について説明する。
【0112】
制御例3では、開閉動作制御部71は、制御例1で示した前記第1の開度減少条件が満たされない場合であっても、次のような第3の開度減少条件が満たされた場合には、オプション制御弁50の開度を減少させる制御を行う。すなわち、当該第3の開度減少条件は、オプション操作部材82Aが操作されたことをオプション操作検出部92が検出する時点が、旋回操作部材81Aが操作されたことを旋回操作検出部91が検出する時点よりも早く、かつ、モータ負荷検出部(旋回油圧センサ94又はポンプ作動圧センサ95)によって検出される旋回モータ30の負荷が予め定められた閾値F以下であるという条件である。
【0113】
この制御例3では、複合操作時であって上記の第3の開度減少条件が満たされた場合においても、オペレータの意図しない上部旋回体2の増速が生じるのを抑制しつつ、上部旋回体2の増速が必要なとき、特に上部旋回体2の旋回が起動するときに、旋回動作を優先させて上部旋回体2の旋回を確実に起動させることができる。
【0114】
図10及び
図11を参照してすでに説明したように、
図10のグラフ(D)に示すようにオペレータの意図に反して旋回速度が増加するのを抑制するために、第3の開度減少条件は、オプション操作が旋回操作よりも早いことを条件に含む。この点で、第3の開度減少条件は、第2の開度減少条件と同様である。
【0115】
一方、第3の開度減少条件が第2の開度減少条件と異なる点は次の通りである。すなわち、旋回動作を優先させる必要性が高い段階、すなわち、上部旋回体2が旋回動作の起動時の段階又は旋回起動後の初期段階にあるか否かを判定する条件として、上述の制御例2における旋回速度に関する条件に代えて、制御例3では、モータ負荷に関する条件が採用されている。当該モータの負荷は、例えば、ポンプ作動圧センサ95によって検出される油圧ポンプ20の吐出圧、旋回油圧センサ94によって検出される旋回モータ30の作動圧などによって定量化できる。
【0116】
上述した
図11のグラフ(C)に示す制御では、複合操作が開始される時間t4の時点でオプション制御弁50の開度を減少させる制御が行われるため、オプション装置の動作速度は、
図11のグラフ(E)に示されるように複合操作の開始前の速度V4から複合操作の開始後の速度V5まで低下する。
【0117】
ここで、旋回動作を優先させる必要性が最も高い時期は、上述したように上部旋回体2の旋回動作の起動時である。複合操作が開始される時間t4の時点でオプション制御弁50の開度を減少させる制御が行われると、
図11のグラフ(E)に示すように旋回モータ30の旋回起動時における起動圧が迅速に増加する。一方、当該起動圧がある程度増加した後には、旋回動作の起動時に比べて、旋回動作を優先させる必要性が低くなる。
【0118】
これらの点を考慮して、
図14に示すより好ましい態様では、次のような制御を行う。すなわち、
図14のグラフ(C)に示すように、複合操作が開始される時間t4の時点でオプション制御弁50の開度を減少させて、旋回動作の起動時における旋回動作を優先させることにより、上部旋回体2の旋回を確実に起動させる。そして、旋回動作の起動圧が予め設定された閾値G(圧力G)以上になる時間t5の時点でオプション制御弁50の開度を増加させる。これにより、オプション装置6A〜6Dの動作速度の低下を抑制することができる。なお、
図14のグラフ(C)では、時間t5の時点でオプション制御弁50の開度を、複合操作の開始前の値に戻しているが、これに限られず、当該開始前の値とは異なる値に増加させてもよい。
【0119】
図15は、実施形態に係る旋回式作業機械100を制御するための制御例3を示すフローチャートである。
図15に示す制御例3におけるステップS31〜S34は、
図8に示す制御例1におけるステップS1〜S14と同様の処理であるため、詳細な説明を省略する。
【0120】
制御例3では、
図15に示すように旋回操作部材81Aによる旋回操作の操作量が前記基準操作量SV未満である場合(ステップS12においてNO)、すなわち、前記第1の開度減少条件が満たされていない場合には、以下のような処理が行われる。
図15に示すステップS35〜S38では、第3の開度減少条件が満たされているか否かを判定する。当該第3の開度減少条件が満たされている場合には、ステップS34においてオプション制御弁50の開度を減少させる制御を行う。具体的には、次の通りである。
【0121】
まず、
図15に示す制御例3におけるステップS35〜S37は、
図13に示す制御例2におけるステップS15〜S17と同様の処理である。オプション操作が旋回操作よりも早い場合(ステップS37においてYES)、コントローラ70は、例えばポンプ作動圧センサ95によって検出される油圧ポンプ20の吐出圧が予め設定された閾値F以下であるか否かを判定する(ステップS38)。当該閾値Fは、
図14のグラフ(E)に示すように、上部旋回体2が旋回動作の起動時の段階又は旋回起動後の初期段階にあるか否かを判定するための値である。
【0122】
油圧ポンプ20の吐出圧が閾値F以下である場合(ステップS38においてYES)、開閉動作制御部71は、オプション制御弁50の開度を減少させるようにオプション制御弁50を制御する(ステップS34)。このようにオプション操作が旋回操作よりも早く、かつ、油圧ポンプ20の吐出圧が閾値F以下である場合に、オプション制御弁50の開度を減少させる制御を行うことにより、オペレータの意図しない上部旋回体2の増速が生じるのを抑制しつつ、旋回動作を優先させて上部旋回体2の旋回を確実に起動させることができる。
【0123】
その後、油圧ポンプ20の吐出圧がある程度増加した後には、旋回動作の起動時に比べて、旋回動作を優先させる必要性が低くなる。したがって、コントローラ70は、油圧ポンプ20の吐出圧が予め設定された閾値G以上であるか否かを判定する(ステップS39)。当該閾値Gは、上述の閾値F(上部旋回体2が旋回動作の起動時の段階又は旋回起動後の初期段階にあるときの圧力)よりも大きな値に設定されている。当該閾値Gは、上部旋回体2の旋回の起動が確実に行われた以降の圧力である。
【0124】
油圧ポンプ20の吐出圧が閾値G以上である場合(ステップS39においてYES),開閉動作制御部71は、オプション制御弁50の開度を増加させるようにオプション制御弁50を制御する(ステップS40)。これにより、
図14のグラフ(E)に示すようにオプション装置6A〜6Dの動作速度の低下を抑制することができる。
【0125】
[その他の変形例]
上記実施形態では、基体として下部走行体1を用いているが、前記基体は下部走行体1のように走行可能なものに限定されず、特定の場所に設置されて上部旋回体2を支持する基台であってもよい。
【0126】
上記実施形態では、交換可能なオプション装置として、グラップル、圧砕機、ブレーカ及びフォークを例示したが、これらに限られない。当該オプション装置は、そのオプション装置自身が旋回モータを駆動する油圧ポンプと同じ油圧ポンプによって駆動されるオプション装置であればよい。このようなオプション装置は、ブーム等に比べて作動圧が一般に低いので、本発明を適用するメリットがある。